○
参考人(工藤友惠君) これはみんな同じことになるので、私も実は前の四人のかたのおつしや
つたことで言うことが大体ないのですが、大体少し特に私が申上げたい点だけ
ちよつと強く申上げる必要がある点だけ申上げたいと思います。
大体私の
考えております点は、書類にしましてお手元に差上げてあるのでございまするから、非常に面倒でも
是非これは読んで頂きたいということ、これは同時に酒井さんもお見えにな
つていますが、私は同様の趣旨をしばしば大蔵省にも申入れておるのですが、残念ながら大蔵省はまだ容れるところが少いのでございますから、これも
一つ酒井さんがここにいられるので、特に強力にこの参議院のかたと共に
是非お願いしたい、こう思います。
強調します点は、順序が今差上げてあります私の原稿と違うのでありますが、第一にこれは
金子さんも非常にお触れに
なつた点でありまするが、再
評価と統制
価格の問題であります。電鉄
事業や、或いは電気
事業その他は料金又は
価格が現在まだ統制されております。再
評価をしてその結果
減価償却が殖えていても、これを
価格の上、或いは運賃の上に織り込むことが許されないのが現状でありまして、大体申しますというと、関西が特に再
評価を私鉄
関係が行えない、電気は特殊な
関係がございますけれども、今の状態では行えないこういうことにおきまして、さほどはつきりした根拠は私は今申上げるあれを持ちませんが、例えば電鉄
事業におきましては、今の再
評価をしないままで、而もできないままで今の
減価償却をや
つて行きますというと、二千五百年掛る
計算になるそうでありまして、こういうことを恐らく天文学的
数字というのでしようけれども、二千五百年掛らなければ
償却できないような状態にな
つておるということについて、これはむしろこういう問題については根本的に
政府も国会も一緒にな
つて一つお
考え願わなければならん。理由をはつきり申上げますれば、安い電気、電気は公益
企業だ、ガスは公益
事業だ、或いは電鉄は重大公益
事業だ、それの影響がどうだということに藉口しておるならば、それは電鉄
事業、或いは電気
事業、若しくは倉庫も入るでしよう、ガス
事業、そういうものの株主を犠牲にして、株主の皮肉な言葉で言えば上前をはねて、それで国民が甘い汁を吸
つておるということでありまして、これは許さるべき現象ではないと思うのであります。この点についてどうも世間は少し同情が足りな過ぎるのでありまして、これは申上げますれば、電気業者、ガス業者にも責任があると思いますれども、何せ公衆の
利益とか、
一般産業の基礎
産業であるとか、そういうようないろいろなことに籍口してお藉口しておりますのは全く不当でございまして、この点を何とか是正するのでなければ、到底再
評価のことはできないのであります。伝え聞くところによりますと、主税局方面におきましても、電鉄等についても再
評価した場合に、いろいろ又いいことがあるような……、それも又無理のない点でございますけれども、税の上でいろいろ
措置もできるようなお
考えもあるように、
ちよつとこれは公式ではなくて噂さで聞いたのでありまするが、そういうことになればますます以て電鉄、その他の
事業は苦しくなるのでございます。こういう点において十分にこの再
評価を行える状態を作
つて上げて頂きたい。これにつきましては、一年というようなのは先ほど
金子さんもおつしやいましたが、到底望みがないのじやないか、こう思うのであります。併しそれについても、一年延ばしても、それを一日延ばせば延ばすだけその一年間だけはその電鉄は食い潰しになるのでございますから、今後その点についてよほどお
考え願いたい。私どもの
考えによれば、例えばこれらの公益
事業の増加
償却額全部を他の
一般に転嫁するために、料金を一時に
引上げることは、
一般産業、或いは社会に急激なる影響を及ぼすからよくないというならば、料金
引上げを順次に認めまして、それに応ずるだけ再
評価を行い、再
評価の
限度に達するまでに小きざみに何回でも再
評価ができるようになるまで、
従つて一年という短期間に限らないように願いたいと思います。この点につきましては、先に申上げましたが、この方面の
企業家の声がいろいろな事情でまだ十分に挙
つておらない、私どもは心配するが故に申上げるのであります。これに関連しまして申上げたいのは、
一般におきまして再
評価の時期でございます。大蔵省も……これは私のほうで頂いたのは最初の案でございます。それから大蔵省案も少し変
つておるかも知れませんが、これによりますというと、先ほど酒井さんの御
説明もそうでございましたが、二十六年の一月一日次後九月三十日までに開始する
事業年度の初日現在で再
評価を行う、こういうことにな
つております、即ち遅くも本年九月三十日までに第二次再
評価を
実施させようという御意向のようでございますが、
前回の再
評価が不十分であ
つた理由は、先ほど内山さんからも言われ、皆さんからも言われたように、いろいろたくさんの
原因がございますが、その
一つにこの時期の問題が非常に短期で見通しが付かなか
つたということがあるのであります。そうして今年は一年経
つたから少しは
考えも付いたろうと言いますけれども、更にその間の実際の動きを見ますというと、こういう短期では到底内外の経済情勢の見通しが付き得ないのであります。
従つてこの点に御考慮頂きまして、
是非こういう短期間を強制しないように、私どもの
考えによりますれば少くとも三年間ぐらいの間に改むべきだと思うのであります。それを早急に片付けてしまうということにも日本人らしい何というか、潔癖さというのか、短兵急というところがあ
つて、いい点があるかも知れませんが、いろいろ事務上の都合もございましようけれども、実際の
経済界のために本当に日本の経済というものを正常な姿に置こうという念願にこの再
評価法があるならば、
是非この点についてもう少し考慮すべきじやないか。勿論私ども三年というものはときに長きに失する場合があるというならば、例えば二年間ぐらい、少くとも二年間ぐらい、昭和二十七年ぐらいまでは行くべきだ、今年の九月三十日までにや
つてしまうというのは余り酷ではないかこう思うのであります。この点については噂でございまして、こういうことを責任を持
つて言うのは或いはいかんかも知れませんが、
関係方面に九月までというような約束をしたというようなことを聞きますが、こういうことは恐らく噂に過ぎないと思いますから、国会の方面において十分にお
考え願いたいと思います。この点は先ほども公益
企業等につきましては三年でも困る、恐らくなかなか許されない、それは公益
企業におきましては、例えば私鉄等を見ますというと、国鉄との競争問題がございまして、国鉄はこれは完全に
資本の食い潰しで経営をや
つておるので、国家というものは有難いものでございますけれども、併し私
企業はこれに対して競争して行かなければならないのでございますから、この点を御考慮にな
つて、国鉄のほうも妥当なところに上げて行く、それと同時にマル公のほうも上げてもらうと、そういうような面を
考えまして、そういう面の業者も私どもにいろいろと
意見を言うて来る者は非常に長い期間を要求しておるのであります。
従つて少くともこの時期をこの辺に考慮された上におきまして、私どもとしましては二十八年末までに延ばすというような御
方針を御再考願いたいと思います。
再
評価の
基準と
資産の問題につきましては、
中島さんから
紡績業を例にと
つて言われましたが、
紡績業が非常にはつきりしまして、非常にいい詳しい
数字が出ておりますが、ほかの
産業においてもみんな同様でございまして、これは卸売
物価指数をと
つて御覧になればわかるのであります。大体におきまして昭和二十五年六月を一〇〇とすれば、昨年十二月は一三四にな
つておるのでございまして、三割もすでに違
つておる。こういうことをやる場合にはこれはもう一度
考え直す必要があるのじやないか、こう思うのであります。なお
既経過年数に関する問題につきましては、
中島さんがお挙げになりました
紡績の例は、これはあらゆる
産業に通ずる問題でございまして、この点も十分に御考慮願いたいと思います。それから再
評価税の問題はこれは無視することができないのでございまして、
金子さんもおつしやいましたし、内山さんも言われましたが、再
評価税というのは、特に最近或る種の糸へんとか、金へんとか新聞が書き立てまして、この方面の
事業では非常に
利益があるから、これに税金をかけるのが当然だという頭が一部の経済というもの、はつきり申上げれば或いは税法というものさえも理解のない方面から言われておるのでございますけれども、払うべきものは払う、これは当然でありまするけれども、不当なものを払
つて、而もお題目は
企業の健全化とか、或いは経済の再建とか言
つても
意味ないのであります。この点は再
評価税は私どもはすでに
委員会の皆さんに昨年差上げました
通り、昨年私どもが
調査したところによりますと、この再
評価税というものは非常に阻害にな
つておるということは
数字の上で出ております。
数字は一々詳しく申上げませんが、すでに詳しい報告を差上げておりますからお読み下さ
つて、
是非この点は本来基本的に無税であるべきものが六%ということに
なつたことに対して御再考になりまして、勿論これは一旦取
つた税金を返すということはこれはなかなか困難でございましようから、昨年一年やりまして、三%納めておるものはそのままにしまして、今後三%に済ませて、そうして納税期についてもこれは更に先ほど酒井次長の
お話がございましたけれども、あの
程度でなくてもう少しいろいろお
考え願いたいと思います。尤も理財局のお
考えにな
つておるその点は、非常に私どもは延ばすようにな
つておりますことは賛成なんでございますが、一層そのことを願います。特に税率六%は不当であるということにつきまして、これは恐らく
経済界におりまするすべての者の
意見だということを申上げたいと思うのであります。公平とかいうようなことを観念で言いますけれども、公平というものは正当か、不正当かということから起るのでございますから、こちらのほうで今儲けておるそうだからとか何とか理窟を付けて寄附金を取るというような頭の税法については、少くとも今日の税体系にあ
つてはならないと思います。この点につきまして附加えますれば、本来再
評価法というものは理財局の主管でありまして、主税局の主管でないというところにむしろ非常な
意味がある。これはむしろ通産委員のかたが非常に御注目になるべき点だと思うのですから、
通産省方面が本当に……、
通産省方面並びに国会の通産委員の方面のかたが非常に熱心にな
つて頂かないと、
企業の健全化だとか或いわ日本の経済の安全ということが目的であ
つて、税が目的ではない。或いは公平理論ではないかということをよく頭の中に入れて置いて頂きたいと思うのであります。この点は幾度申上げても足りないことだと思います。
その次に、これに関連いたしまして
固定資産税、これもすでに
金子さんが御
指摘になりました
通りでございまして、私どもの
調査によりますれば、
固定資産税がどうも邪魔にな
つて困る。あれは少くとも再
評価をするというとそれたけはやられてしまうということがございましたが、事実
法律的にもそういうようになります。私どもがシャウプ一行のワーレン氏と懇談いたしましたときも、実はこの点で何とかして再
評価をまあ勢いづけるために、水増しにならんためにやるんだと、まあ要らん心配だということだ
つたのでございますが、そういうことをワーレン氏も言
つております。ところが今日ではこれを実行しなければ、そうして弱い
産業ほどひどい目に会うということを避け、そして又、非常に孜々営々として
収益力を回復していい配当をしようとしているときにな
つて、
固定資産税や再
評価税が調いして、十分な再
評価ができないために正当な収益が得られないとすれば、これは非常に
産業間の不公平を来たすものだと思うのでありまして、今の
固定資産税のことにつきましても十分な御考慮を願いたいと思うのであります。この問題のために再
評価を十分にし得なか
つたというものは、私どもの
調査によれば三八%の多きに達しておるということを御記憶願いたいと思うのであります。これに対する
方法といたしまして、私どもの取敢えず
考えましたものは、再
評価と何らの
関係がこの
固定資産税
関係にないということを
一つや
つて頂きたいと思うのであります。そうすれば事は簡単なのでありまして、現下の
資産再
評価法第四十
五條に法人の再
評価の申告が詳細に
規定されておるのでございます。その第八項にはこういうことがございます。「税務署長は、第四項(第五項において準ずる場合を含む。)の
規定による明細書又は前項後段の
規定による書類の
提出があ
つた場合においては、その写に誤りがない旨を確認して、大蔵省令で定めるところにより、遅滞なく、地方財政
委員会又は当該
資産の所在する市町村の長に送付しなければならない。」と
規定しておるのでございますがこれは明らかに
固定資産税の課税の
参考のためにでございますから、これを削
つてしまうと、この一連の
法律を削ることによ
つて事は簡単に片付くのでございます。而もこの事は非常に
考え得ることだと思うのであります。この点を
是非お
考えを願いたいと思います。
最後に、再
評価積立金の
資本組入について申上げたいと思うのであります。これは
金子さんも内山さん、小野さんも非常に慎重に、どちらかと言えばまあもう少し慎重にしたほうがいいのじやないかというような御議論もあるようでございまして、その点、私どものほうでもそういうことをいろいろと
お話になるかたがたくさんございます。一々御尤もで、殊に内山さんの言われた証券業者諸君の中に途轍もないことをいろいろ言うて煽
つておる者がある。そして割合に株主の何といいますか、思惑的株主の策動を恐れること、これは御尤もでございます。それで従いまして内山さんのおつしやることに私は反対するわけではございませんが、その理由といたしましては、大蔵省が原案とせられておるところの
資本の組入を許すということが理窟の上で当然でございまして、今のような弊害はあらゆる新法で以て削除し、いろいろの株価の上とかその他で考慮することは別といたしまして、
是非これは大蔵省原案を支持すべきものだと私は思うのであります。この点につきましては、従来
経済界が再
評価法ができた当時に、五年間据置くということに対しまして非常に反対もありましたし、いろいろの
意見がございました。ところが今日になると又逆の現象になるというのは、むしろ不思議でございまして、私から申しますれば、これは今お述べに
なつたような、皆さんの危惧の点を十分に御考慮の上に
是非この原案は生かして頂きたい。と申しまするのは、第一は今も申したように、例えば糸へんは儲け過ぎるのではないか、金へんは儲け過ぎるのではないか、百貨店は儲け過ぎるんじやないかということですが、そのときは常に名目的な配当率にな
つておるんでございます。どうも社会的に見ましてもいかんし、同時にこの点は本当を言えば大した配当じやない。三割配当とい
つてみたところで、今
考えれば非常に低いものなんでございますけれども、これに対して非常に大きなような感じを世間に対して与えるということもいかんし、同時に非常に重大なことは、私の心配することは
企業経営者を怠けさせる
傾向があるのでございます。申上げるまでもなく、配当がたくさんあるときには、
企業経営者が非常にその人が優秀であるかのごとき錯覚も起すのでございまして、更に
企業の経営の
合理化もやらなければ……一言に言えばこれは非常に悪いことでございまして、今日の代表的
産業には絶対にございませんが、低い
産業ではやはり余計なような配当に乗じまして不当に、従業員にも不当に出すだろうし、そうして自分もたくさん取る
方法を
考えないとも限らない、この点は私は
企業の健全化から見まして名目的には如何にも世間で納得するような配当ができるようなあれを
是非資本の金額にして行くほうが正しい道だと
考えるのであります。但しかえすがえすも申しまするが、今のような危惧の点、
金子さん、内山さん、小野さんのおつしや
つた危惧の点は
是非なくなるようにして頂きたい。こう思うのであります。
なお、これにつきまして
資産再
評価の積立金の
資本組入れもや
つた場合に、これが増資、承わるところによりますれば、最近のあれには少し直
つているようでございますが、これが例の千分の七の
登録税を誘せられるということはこれは甚だ
意味のないことでございまして、有償交付の場合であろうと何であろうとこれは本質的にはいわゆる
一般の増資とは違うのであります。本来
登録税というようなものは理論的に言うとおかしなものでございますけれども、そういう
登録税の根本的のものをやりましても、千分の七というのは一億や
つても七十万円ですか、十億やれば七百万円、非常に大きい
数字が出て参りまして、こういうものも又やはりこの
資本組入を阻害することになる、これはそれを阻止するというならいいかもしれませんが、これは元来無税とすべきものであるということを私は強く申上げて置きたいと思うのであります。
以上、雑駁なことでございまして、その他の、今私の
資本組入れに関する多少の問題を除きましては、大体お手許に差上げました私の原稿の
通りでございます。よろしくお願いします。