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1951-02-27 第10回国会 参議院 通商産業委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年二月二十七日(火曜日)    午後一時三十一分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○通商及び産業一般に関する調査の件  (金属鉱業石油天然ガスも含  む)に関する件)   —————————————
  2. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 只今より委員会を開きます。本日の議題は先週の石炭鉱業に引続きまして、資源関係として石油天燃ガスを含む金属鉱業に関する調査でございます。御承知のように、金属鉱物及び石油につきましては、その戰力物資的特性から、最近の国際情勢の変遷に伴つて急激に需要度が高まつて参りました。従つてその供給確保は目下の急務であります。そのためにはもともと乏しい埋蔵量ではありますが、国内金属資源合理的開発と一部特殊鉱産物輸入確保することが必要であります。政府はかかる時代的要望に応えて種々なる対策を持つているようでありますが、又行うべく準備中のようであります。業界といたしましてはその特殊の立場から産業に対する御批判なり、或いは御要望なりがあると思うのであります。本日は政府側として通産省、大蔵省、安本、物価庁から各種の各担当官がお見えになることになつております。又業界からは日本鉱業協会会長岡部楠男さん、古河鉱業株式会社社長新海さん、田中鉱業株式会社社長田中次郎さんと、それから帝国石油株式会社社長酒井喜四さんの四氏が参考人として御出席になつておられます。実は通産省から政府側が先ず説明をすることにたつておりましたが、まだ見えないようでございまするから順序を変えまして、参考人各位にお願い申上げたいと思つております。本日は御多忙中甚だ有難うございました。御出席頂きまして委員会としても幸いと存じます。本日の委員会開催の趣旨は只今申上げました通りでございまするが、時間の関係上御発言時間は甚だ失礼ですけれども、十分か十五分くらいにおとどめ置きをお願いしたいと思つております。それでは日本鉱業協会会長岡部さんから御発言を願います。
  3. 岡部楠男

    参考人岡部楠男君) 私は日本鉱業協会会長岡部楠男であります。本日は通産委員の諸先生方我が国鉱物地下資源重要性とこれが対策につき御関心をお持ち下さいまして金属鉱業界より同僚二人と国会にお招き下さいまして、業界現状なり意見をお聴きとり下さいますことを衷心より感謝申上げます。私ども業界といたしましても、諸先生方の御熱意に応じまして、我が国産業上、金属鉱業の占める地位の重要性に鑑みまして、企業の伸長と増産に微力を挙げて努力いたしたいと存じておりますので、諸先生におかれましても何とぞ今後とも御指導と御援助をお願いいたします。時間の関係上、私は金属鉱業中の金、銅、鉛、亜鉛硫化鉱鉱業現状簡單に申上げましてこれに対する業界意見を申述べたいと存じます。  第一に、金鉱業につきましては、御存じのように、昭和十八年の金山整備によりまして、銅製錬の熔剤であります硅酸鉱金山を除きましては、設備は撤去されて往時の面影を失い、終戰に臨み、昭和二十年は産金量は一トン八百キロで戰前の七乃至八%に操業度は低下いたしておりました。その後一昨年当りよりブレトンウツヅ協定に基く国際通貨基金参加問題等国際情勢より考慮せられるようになりまして、金の増産を再び必要とされるに至りまして、昨年二月政府金鉱業復興対策閣議において決定いたしまして、主要金山の青化製錬所並びに選鉱場復元価格適正化輸送円滑化租税負担軽減等を決定施策することになりました。そのうち青化製錬設備資金として二億二千万円の見返資金が出ることになつておりましたが、このほうは今以て実現せず甚だ遺憾に思つておる次第であります。各社においても、やむなくその一部は市中銀行融資により企業を進めて、持越、串木野等はそれぞれ完成、操業を開始し、二十五年度産金量は四ドン九百キロの程度に達するに至りました。昨夏朝鮮動乱の勃発以来、政府閣議決定施策は停帶の感がありますが、金の重要性は将来とも変りないものと考えられますので、他日に備えて大幅な探鉱奬励金の増額と、現在国鉄で問題になつております金鉱石運賃割引等施策は是非継続して頂きたいのであります。なお銀は金鉱に随伴して産出されておりますが、銀価格につきましては、国際価格高騰に対応して去る一月二十三日キロ当り八千六百円に値上の改訂をみましたが、一月八日以来更に国際相場が九〇セント一六に高騰いたしましたので、この際国際相場に対応するよう価格改訂を行うよう金鉱業復興見地より希望いたします。  第二に、銅鉱業について申述べますと、電気銅生産額我が国金属鉱業生産額の約五〇%を占めております。その上銅鉱には金、銀、並びに硫化鉱を随伴いたしますので、銅鉱業金属鉱業の支柱をなしております。従つて銅鉱業盛衰金属鉱業盛衰を現わすものであると申上げても過言でないと存じます。電気銅の二十五年度生産は約八万トンで、大体戰前水準に達しております。併しこの内訳は三万七千トンが鉱石産で他の四万三千トンはスクラツプ産になつております。この二、三年は過半をスクラップに依存して来たのであります。このスクラップも本年度あたりから底をつき漸減するものと見られます。元来我が国鉱石銅量昭和元年から五年までの年間平均六万トン程度で、この程度経済的な操業規模とされていたのでありますが、戰時中探鉱を放棄いたしまして十万トン以上も濫掘生産いたしましたので、設備は荒廃すると共に鉱量の食い潰しをやり、確定鉱量を持たなくなつて鉱山が本質的に疲弊いたしたのであります。昨夏以来国際情勢軍拡気運を反映して世界的に電気銅需要は旺盛になり、我が国においても特需や電源開発等に伴い相当需要増見込まれますが、現状では当分の間国内鉱石産では需要を賄い得ないものと思われます。業界は最近の好況に応じまして探鉱に努力すると共に設備改善に努めておりますが、海外経済情勢より鉱石輸入相当困難と思われますので、政府の強力なる措置によつて今後の新設拡張設備資金確保、新鉱床開発鉱業技術改善助成につき特段の施策要望いたします。  第三に鉛、亜鉛について申述べます。鉛、亜鉛選鉱が困難なために金属鉱業の中では比較的近代に発達した業種であります。昭和元年から五年までの生産量年平均鉛が三千五百トン、亜鉛が二万トンでありました。戰時中戰略物資として濫掘したために一時は鉛が一万九千トン、亜鉛が五万二千トンを産出いたしましたが、銅と同様に鉱山は荒廃し、戰後需要の低下と価格の低廉のために久しく苦境にありましたが、最近は市況好転に伴い各鉱山とも増産に努めておりますので、現在では月産鉛千四百トン、亜鉛が四千五百トン程度に達しております。鉛は通信、化学工業設備拡充等で二十六年度電気鉛三万七千トン余り需要見込まれますが、現状では国内鉱大幅増産は困難なので、一部は輸入によらざるを得ないと存じております。亜鉛亜鉛鉄板伸銅、ダイキヤスト、亜鉛華等需要は今後相当増加するものと見られます。二十六年度需要見込は七万三千トン余り国内生産も約六万トン程度に達しますものと一見られますが、電気亜鉛生産電力 の供給が隘路となつておりまするので、電力割当には特別の御考慮をお願いいたします。第四に硫化鉱について申述べます。終戰直後より硫化鉱食糧増産政策一環として化学肥料原料確保見地より政府においても重点を置いて来ました。又硫化鉱資源我が国は比較的豊富でありまするので自給可能なものの一つであります。業界の努力によりまして昭和二十四年度より戰前水準に達しまして、二十五年度は百九十万トン、二十六年度需要の二百二十万トンは自給生産される計画であります。なお硫化鉱につきましては統制価格が維持されており、昨年十二月一日よりは三本建生産者価格が廃止されて、FOBの一本建価格になりましたが消費工場を混乱せしめておりますので、この際統制価格を廃止して経済の自然の姿に置くことにより、この問題は合理的に解決されるものと考えます。なお自由価格とした場合にも価格の不当な高騰はない見込であります。以上金属工業の一部面について申上げました。現在業界におきましても昨年下半期以降の好況に応じて探鉱に主力を注いではおりますが、戰時の探鉱の遅れと新資源開発企業自力では不十分でありますので、現在計上されておる探鉱奬励金並びに鉱床探査予算を大幅に増額して頂きたいのであります。鉱山業固定黄塵が大きく資本回転率は遅いので、拡張新設には長期低利資金を要します。鉱山業地下埋蔵資源対象といたしますが、現在の市中銀行では調査專門家を持たないので、現状では融資が困難であります。この点より鉱業金庫のような鉱業專門金融機関が望ましいので、業界といたしましてはかねてこの設立を要望して参つたのでありますが情勢上困難のように見られますので、政府は先に発表して懸案となつております日本開発銀行を至急設立して、このうちに鉱山專門の窓口を設けられるよう特に皆様のお力添えを希望いたします。  次に金属鉱業山間僻阪の地にあり、道路敷設費利企業としては過重でありますし、地理的にも鉱山道路林産資源開発を兼ねる場合が多いので、産業道路として補助金を増額して頂きたいと存じます。その他今後の増産現行電力割当方式は三千キロワツトアワーの小口需要については昨年の実績によつておりますが、金山のごとく新たに開発するものや拡張するものは不合理でありますので、公益事業委員会に対する理解ある措置をお取計らい願つて頂きたいのであります。なお自家発電復元の問題、自家発電建設助成等も特にお願いいたします。鉱山特殊事情より現行地方税の不合理に対する改正意見は、お手許に差上げました書類により省略さして頂きたいのであります。  以上申述べましたほか鉱山業資本蓄積の問題、中小鉱山開発育成等の問題がありますが、同僚古河鉱業新海社長並びに田中鉱業田中社長より意見を申述べますので、私の意見はこの程度といたします。
  4. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 政府委員出席が遅れましたので、参考人のかたの御発言を願つておるのでありますが、総括的な立場から岡部さんのお話が一段落したところで改めて政府側から所見をお述べ頂きたいと思います。
  5. 始関伊平

    政府委員始関伊平君) 只今お話のございました諸点につきまして若干申上げてみたいと思います。  鉱業に対しましては国といたしましても特別の保護助成政策をとつて参らなければならんというふうに考えておるのであります。一面におきましては鉱業が国の基幹産業であり、それから鉱業の重要な特質といたしましてほかの産業には見られませんようないろいろな條件に強く支配されるというような点からいたしまして、国家公共保護助成が特に不可欠であるというふうに考えておる次第でございます。  先ず最初に政府といたしまして直接やつております事柄といたしまして、只今お話のございましたような資源探査助成金でございまして、これは二十五年度におきましては総額二億八千八百万円程度資源探査助成金、この内訳を申上げますと金が千四百万円、銅が一億二千万円、非金属が五百万円、新鉱床探査が千六百万円、石油が約一億四千万円でございますが、そういう漿励金を交付いたすのでございますが、二十六年度といたしましては、引続きまして総額二億五千万円、内訳金属、非金属合せまして一億四千万円、石油が一億一千万円交付を見込んでおる次第でございまして、この使いかたといたしましては、いわゆる新鉱床探査、それから石油試掘助成重点をおいて参りたいと存じでおります。二十五年度に比べまして二十六年度が若干金額が減つておりますのでございますが、これは朝鮮事変以来の市況好転によりまして、金属鉱山会社等資金蓄積相当にあるようでございますので、そういうような点と見合せまして一応予算の査定の時期におきまし七、只今申上げた程度のいわゆる資源探査助成金を計上いたした次第でございます。  なおこれとは別でございますが、通産省地質調査におきましてこれは国営の直接の国営事業といたしまして地質鉱床探査実施中でございます。只今お話がございましたのでございますが、税法上の関係といたしましては国税に関する問題といたしまして金鉱金地金、それから砂金につきましては事業開始後又は設備の創設後三カ年間は法人税所得税を免除する扱いになつております。なお米国でやつておりまするように所得一定割合を課税の基準金額から除外するという方式がございますので、これを我が国でもやつてみたらどうかということで只今検討いたしておる次第でございます。地方税につきましては市町村税でございまするが、電気ガス税を金とそれから銅、鉛、亜鉛等については免除いたしておる次第でございます。関税の関係といたしましては、金鉱業用品輸入税を免除するというような方法をとつております。只今岡部さんのお話ございました輸送條件改善助成の問題でございますが、これは鉱山開発道路建設助成といたしまして、二十五年度におきましては、いわゆる公共事業費の中から約六千三百万円程度のものを支出いたしまして本年度も引続きましてあの程度のもりを鉱山関係輸送助成方面支出をしたいと考えておる次第でございます。なお輸送関係といたしましては、金の増産対策一環といたしまして金鉱石につきましては鉄道貨物運賃の二割引実施中でございます。なおこの考えかたといたしまして、国の直接行いまする助成のほかに今後の価格政策をどうするかということが非常に大きい問題でございますが、この点につきましては、昨年の朝鮮事変を契機といたしまして、金属資源がむしろ輸出物資と申しまするよりも輸入物資と称するほうが適当なような、つまりメタル或いは原鉱石輸入しなければならんような情勢に相成つて参りましたのと関連いたしまして、国際物価水準よりして輸入採算を可能ならしめるような価格政策を採用することによりまして、企業合理的な採算基準を保証いたしたい、かように存じておる次第でございます。只今政府として考えておりまする事柄につきましては、一番骨子の点は大体申上げた程度でございますが、なお硫化鉱硫黄等統制物資の問題につきましては、最近の生産実績需給関係等よりいたしまして、通産省といたしましては大分前から統制を外したほうが適当であるし、又廃止いたしまして支障はないであろうというように考えておつたのでございますが、これはGHQ関係もございますので、政府全体からいたしましてもそういう意向でございまして、その実現が近いであろうというふうに期待をいたしておる次第でございます。  大体以上でございます。
  6. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 次に参考人新海さんから御発言をお願いいたします。
  7. 新海英一

    参考人新海英一君) 私古河鉱業社長新海でございます。  私は今鉱山経営の上に今日最も必要な問題の一つであります減耗控除制度を確立して頂きたいと、ここに要望いたす次第であります。一般製造工業加工業は初め資本を投下いたしまして工場設備ができ上りますと、原料供給が続き又製品の需要が継続する限りにおきましては、この企業は成立するのでありますが、鉱業におきましては先ず鉱体即ち鉱物埋蔵量、この規模が基本となりまして、これに応じた一定能力工場設備を建設して操業を始めるものでありまして、鉱体工場設備これが資本形成をしておるのであります。而もこの鉱体には限りがありまして、事業の継続して行くとともに刻々と減耗して行くものであります。如何なる名山でもいつかは掘り盡されるというような時が来るので、この点が一般製造工業加工業と全く異なつ鉱山独得の事実であるということをあらかじめ御認識頂きたい。一般我が国金属鉱山では埋蔵資源を毎年技術的に詳細に調査いたしまして、鉱量含有量含有品位を確実につかんだ確定鉱量、これよりも若干確実性を欠くところの準確定鉱量、それから鉱量の存在は推定されるが、更に確実性の少いいわゆる推定鉱量、この三つのグループに分けておるのであります。多くの日本鉱山では大体確定鉱量といたしまして、二、三年程度操業を維持する量を以て操業しておるような状態でありまして、営業状態に入つておる鉱山は、一方鉱石採掘するとこれに竝行して常に探鉱開鉱を行いまして確定鉱量を補充して参つておるのであります。かくのごとくにして採掘は、新規に補充されるこの鉱量とバランスを維持されて鉱業経営を継続しておるような状態であります。これを経理の方面から見ますると探鉱並開鉱のために投下される資本は常に採掘が行われる限り継続的に必要でありますると同時に、この投下資本鉱石採掘されると一緒に同時に回收されなければならんというものであります。この原則の下に従来鉱体に対する減価償却方法として税法生産高比例法が認められておるのでありますが、生産高比例法は、常に過去において鉱体に対して支出した取得価格を基礎としておるために、税法上に認められておる償却費だけでは探鉱開鉱資金に不足するようなことになりまして、鉱業経営上非常な欠陷を持つておるのであります。この点をもう少し詳細に御説明いたしたいと存じますが、鉱山操業開始の当時におきましては、地表に近い鉱体対象としております関係上、坑道も浅く作業も非常に容易でありますし、又探鉱開鉱に要する投下資本も効率が高いのでありますが、これが事業の継続とともにだんだん地表から深くなり、平面的にも又立体的にもだんだん深くなつて行くということになりますと、作業條件は比較的それに比例してだんだん惡化して、更に運搬、通気、排水等の施設に多大の投下資本を要するばかりでなく、経常的の操業費予想外に累増するのであります。殊に我が国鉱床の大部分は垂直的に下部に発展しているような関係で、深い竪坑を開鑿する必要がありまして、その費用は水平坑道開鑿に比べておおむね三倍以上もかかるというようなことで、累増する営業支出並びに探鉱開鉱に要する資本投下は年と共に幾何級数的に累増するものであります。ここで現在行われております生産高比例法を見まするに、我が国税法上で認められております同法では、鉱体に対して過去に投下された資本埋蔵鉱量で割りまして、それで一トン当り償却額を定め、これを一営業期間採掘鉱量に掛け合せて鉱体減価償却金額を求めているのであります。そのために常に償却によつて回收された資本は、先に申上げました通り、次の期間探鉱及び開鉱に必要な資本に不足し、又資源的にも作業條件が惡くなるに従つて償却金額が累増して行くというような非常な不合理な結果を生じているのであります。一例を挙げて見まするに、我が国堅実経営を誇つております一つ会社の或る有力鉱山を取つて見まするに、過去二十七年間において新規に投下した資本と、減価償却によつて回收された資本との比率が僅々二一・九%という僅かの回收に過ぎないのでありまして、他は推して知るべし、如何に恐るべき結果を招来しているかということがわかるのであります。この不足分に対しましては業績の優秀な企業におきましては、極めて高額な法人税負担して内部に保留しました利益金から賄うか、或いは増資、社債、或いは借入金等によつて補填しているのであります。これにもおのずから限度もありますし、又こういう方法が取り得ない企業におきましては、鉱山の生命であるところの探鉱開鉱、こういうものも全部圧縮せざるを得なくなりまして、遂には資本を喰潰して休山の止むなきに至るというようなものであります。地下資源産業重要性は今更ここに申上げるまでもありませんが、この国民経済上最も大事な鉱業をこのままに放置して置くのには忍びませんので、業界といたしましては先般来従来の生産高比例法に代えて、将来惡化する作業條件の下におきましても、なお且つ鉱体に対する資本投下が可能になるような減耗控除実施要望するものであります。この構想はアメリカにおきましてはすでに一九一三年から実施されているのでありましで、我が国では我が国鉱山実情特殊性も十分取り入れまして、採用しなければならんと思いますが、それには先ず代表鉱山を広く選定しましてそのおのおのの山につきまして過去、現在、将来に亘つて埋蔵鉱量品位推定の実收量、山の壽命生産費生産品の売値とか、或いは探鉱開鉱に要する資金、こういうようなものを調査いたしまして、将来鉱体に対しまして投下する資金平均年間所要額標準を定める。言い換えまするとこの鉱体に対して投下する資本金が一カ年間幾らぐらい投下したらよいかというような標準をきめます。そうしてその標準金額鉱産物売上金額の何%というふうに定めて、各企業に対しては毎営業期売上金額からそれだけの金額を控除して積立てる、又政府はこれを容易に実行させ得るようにこの積立金に対しては免税の措置を講ずる、又その積立金は使途を定めまして、鉱体探鉱開鉱資金或いは新鉱体買收資金に当てるようにするのが最も実情に適した方法だと思われるのであります。この比例減耗控除制鉱山におきましてアメリカでは一九三二年から適用されておりますが、この方法によりますと、将来作業條件が惡化した場合を見込んだ鉱体探鉱及び開鉱資金企業は内部蓄積することができます。そのほかに鉱産物価格は非常に騰落が激しいのでありますから、売上金額に応じて好況時には多額の蓄積ができる、又その半面不況時には少額の負担で済むというようなことで企業が著しく安定するという好結果が得られるのであります。今ここに御参考までに現在アメリカ実施しております減耗控除率鉱産物收入に比べて見ますと、金属鉱山に対しましては一五%、硫黄鉱山で二三%、石炭鉱山が五%、石油及び天然ガス一七・五%、ボーキサイト一五%というふうになつておりますが、どの場合でも純益の五〇%を限度としておるのであります。この制度につきましては業界でも委員会を設けまして比率研究等に着手しておりますが、皆様がたにおかれましても実情を十分御賢察の上、可及的速かに実現できますよう、絶大な御援助をお願いいたしたいと存じます。
  8. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 次に帝国石油株式会社社長酒井喜四さんにお願いいたします。
  9. 酒井喜四

    参考人酒井喜四君) 私帝国石油株式会社社長酒井喜四でございます。石油鉱業の概況について簡單に申上げて、この際特に各位におかれまして御配慮をお願いしたいと思う一、二の点に触れたいと思うのであります。  すでに御承知かと思いますが、日本石油鉱業、これを結果の数字から表わしますると、国庫原油生産量でありますがこれは大正昭和を通じてかなり大きな変動をいたしておるのであります。最もたくさん出ましたときが大正の初期において約年産五十万キロリッター昭和に入りましてからは昭和九年ごろだつたかと思いますが、四十万にちよつと足りないというようなところまで参つております。最近は戰争中三十万台を維持し、更にそれが二十万台に落ち、終戰後においては最も惡いときは不幸にして年産十六万キロリッターという台まで落ちたのであります。併しながらその後探鉱その他企業合理化或いは政府助成等によりまして、当年度におきましては大体三十二万キロリッターを超えるという確実な目算が立つておる次第でございます。このように石油生産に大きな消長がございますが、それならば国産原油としての資源は果してあるのかないのかということがしばしば問題になるのであります。この点につきましてはいろいろと推算をする方式がございまして、何人も確実にこれこれであるということは断言できないことであろうかと思いますが、少くともその方面專門家が推算したところによりますと、先ず千五百万キロリッターぐらいは埋蔵しておる、こういうことが言われておるんであります。これはひとり日本地質方面專門家、学者の意見のみならず、GHQのほうの天然資源局專門家も同様の似た数字を推定しておる。又ときどき日本へ技術指導に参りまするアメリカ或いはイギリスのその方面專門家も、先ず一千二百万トンから五六百万トンというようなところを推定埋蔵量として推算いたしております。従いまして我々といたしましては、少くともこの程度のものが地下に埋蔵されておつて、今後我々の調査、試掘、採掘というような段階が科学的に合理的に推進されて行く限りにおいては、これらのものをして陽の目を見せて重要なる資源としての活用が可能であるという確信の下に事業を進めておるような次第でございます。現在その一千五百万内外のうち、確定埋蔵量として我々が把握いたしておりまするのは約五百万キロリツター、これも実は戰争の済んだ直後あたりは二百万そこそこというように言われておりましたのですが、その後綿密な調査、試掘、探鉱をしたことによりまして、現在では約五百万キロリツタ一台の確定埋蔵量を把握しておるような次第であります。この確定埋蔵量というものと現実の年産額との比率は、アメリカあたりの常識によりますると先ず年産額の十五倍乃至二十倍というものを確保して、ここに初めて石油工業というものが安定した基礎の上に企業化され得る、こういうことが一つの常識に相成つております。従つて現在年産三十二万に対しまして五百万内外ということはややその域に達しておりまするが、我々の考えといたしましては過去における最高の生産額、即ち年産五十万キロリツターまでは確実に生産を向上せしめ得るという考えの下に仕事を進めておりまして、従つて今後確定埋蔵量も七百万或いは八百万というところまで是非確実につかみ得る段階に持つて行きたい、かように考えておるわけであります。この点におきまする我々の仕事は、これは先ほど金属工業についてもお話がありましたが、やや似ております。即ち広範な地域に亘りまして先ず地表地質調査をやるんであります。そしてその次には更に精密な地表調査をやり、その結果に基いて或いは重力探鉱であるとか或いは地震探鉱であるとかという、最近非常に発達して参りました物理的な探鉱をいたしまして、これによつておおむね地下の千メーター或いは二千メーター下の構造を推測するわけであります。そこでその推測された構造に向つていわゆる試掘井を掘つて行くわけであります。そしてその試掘の段階におきましては、綿密にその中間の地層を調べついわゆるコーア掘というものをやつて、そしてそこに構造、即ち容れものの形はわかつたが果してその中に石油が現存するや否やということを確認するための井戸を掘るわけであります。これはかなかむずかしい仕事であると同時に非常に大きな費用を要するものであります。と同時にその井戸は決して百発百中じやない、過去の例から見ますると三十本に一本、或いは五十本に一木しか現実に油の暦にはぶつからないというような状況であつたのであります。これらの点から今申しましたような物理的な探鉱が発達すると同時に、適中率も逐次上昇して参つておりますが、何分にも試掘であるだけに費用の負担というものは一個の私企業として、は堪え切れないものになるわけなんであります。かくして試掘井から幸いにして油層に逢着いたしますると、更にその周囲に今度は採掘井を掘りましてそしてその油の埋蔵している地域の大きさがどのくらいあるか、又埋蔵の量がどのくらいになるか、又地下におけるガスの関係、水の関係、圧力の関係等をその数本の探掘井によつて調べまして、ここに初めて確定理蔵量というものが把握されるわけであります。そしてそれからがいわゆる採掘の段階に相成るわけでありまして、そこに初めてその油田を基礎として何本ぐらいの井戸をどの程度に掘り採油をして行つたならば、最も合理的な且つ残されたる鉱利というものをなからしめる合理的な採油ができるかというようなことでそこに採油計画が立つ、こういうような段階を経て石油鉱業企業として成立つてつている、こういうような状況にあるのであります。従いましてその前段におきまする広範なる地質調査並びに試掘の段階につきましては、前々から政府助成制度がございまして勿論慾を申しますればその助成金額等について、もう少し手厚い保護が欲しいということを我々は希望いたしまするが、この制度を更に維持しそれを合理的に運用されるという面から、現在ありまする石油資源開発法に基いて政府及び国会においていろいろ御検討をなすつておられるというように伺つておりまするので、その機会におきまして是非石油鉱業の特殊な状況を十分認識されて、日本石油が更に更に増産の域に達するように御支援をお願いいたしたい、かように思うのであります。  次にこの機会に特に皆様方に申上げて御了解を得たいと思いますのは関税の問題であります。一般的によく原料資材というようなものには関税をかけないほうがいいのだという主張があるのであります。併しながらこれはあくまで一般論でありまして、その対象となりまする企業の重要度、又国内における現況並びにその将来性というようなものから具体的に勘案せられて、果してこの企業日本の重要なものとして保護する価値ありや否やというように判断を願うべきものであると我々はかねがね思つているのでありまして、そういう観点からいたします場合において、石油鉱業並びにその基礎の上に立つ日本石油精製業というものは、関税の保護の上に国内産業としての確立を是非図つて頂きたいと我々は考えている次第なのでありまして、その点につきまてはしばしばそれぞれの官庁、或いは国会、関係方面当局にも我我の意のあるところをつぶさに申上げて御了承を願つているような次第でありまするが、冒頭に申上げましたように、日本石油鉱業というものがここでもう将来性がないということであるならば、又おのずから考え方も変わつて来るかと思いますが、ともかくも現在において三十万を超え将来は五十万キロリットルを目的とする増産資源的に見て可能であり、又或る程度の関税の保護によつて十分企業として採算的に成立し得るという石油鉱業に対しては、妥当な関税を算出されてそれを即時実行されるということについて特に御配慮をお願いしたい、かように思うのであります。  そこで又言訳がましくなるのでありますが、最近石油殊に原油の関税に関連いたしましてそれの影響がどうなるか、或いは現在どうなつているかというような面について、かなり新聞記事等におきましても誤解されているのじやないかというように思われるふしがありますので、この機会を拜借いたしまして数学的にそれらの点について一応の釈明をさせて頂きたいと思うのであります。お手許に石油関税の消費者に対する影響度の問題という刷物を配付して頂きましたのでそれを御覧願えれば十分おわかりになると思いますが、蛇足とは思いまするがそれについて簡單に御説明を申上げたいと思うのであります。一部の新聞記事等によりますと仮に原油の関税が一割かけられますると、それが製品に変つた場合において二割五分の負担の増加になるということがいわれているのでありますが、これは全くの誤算でありまして、この表にも附けてありますように計算いたしました結果は、一割の関税は製品に対する影響は五%乃至は六%という約その半分の程度しか響かない、こういうことを一つ御了解願いたいと思うのであります。この数字の表の説明は省略いたしますが一つあとからでも御覧願いたいと思います。それから関税が消費者の負担を増すという場合において、何が最終において消費者の負担になるかということになりますると、結局最終商品としての価格が問題になるわけであります。ところが今度の関税定率法の改正を拜見いたしましても原料が一割、それから製品については二割乃至三割、こういうような関税率に相成こておるのであります。そういたしますると国内において最終商品に対して関税が影響する面は結局二割乃至三割の面において製品価格にこれが響くのでありまして、勿論この点は日本石油精製業というものの現在のスケール、或いは経営の内容、いろいろな面から見て保護助長する必要があるという観点から立てられた税率であろうと思うのでありまして、私はあえてこの税率そのものを批判する意味ではございません。何か原料だけが消費者のほうに負担として転嫁され、製品の関税というものが消費者との関係においてどうなるかというような面の検討があまりされておらんような記事などを見ますのでここに私から申述べたような次第でございます。それからもう一つここで申上げておきたいことは、今海外から石油として入つて参りまするものはすべてが原油ではないのでありまして、これは正確な数字は私伺つておりませんが、四割乃至五割くらいのものは製品として海外から現状においては輸入されておる、こう思うのであります。従つて国内の価格というものは、輸入された製品価格というものがかなり大きな市場の支配力を持つわけでありまして、従つて現在原料関税のみが国内の市価に影響するという見方には大きな誤りがあるということが言い得ると思うのであります。なおここでもう一つ申上げておきたいものに国内の石油の原料の価格が一万円にもなつておるような話がよく言われております。これはどうしてもはつきり認識して頂きたいことは、現在の公の価格は八千四百五十円でありまして、現段階においては輸入採算価格よりも遥かに下廻つた価格に抑えられておる。勿論これらの点については関係当局のほうで輸入採算と見合つた価格改訂を企図されておることと伺つておりますが、現状においては八千四百五十円に抑えられておるというような点も一つ御認識願いたいと思うのであります。少し弁解がましくなりましたが、我々としましては日本石油鉱業、これを維持発展せしめるためには是非妥当な関税をこの際御決定願いたい、かように思いまして少しくどくなりましたが弁明をさして頂くようになつた次第でございます。もう一つ附加えておきたいのは、関税がかけられたためにこの輸入が非常に阻止されはしないかというこういう面であります。これは過去の歴史を考えてみますると、関税は大体戰前におきましてもこれは従量税でありましたが、従価に換算いたしますと原油、及び重油は一割五分から二割くらいになつておつたかと記憶いたしております。そつの当時は石油業法という石油精製業を保護する法律のあつた時代でありまして、当時外国会社との関係においては、外国会社はできるだけ製品で輸入をして、原料を入れることを抑えるというような意向の強かつた時期であります。そして先方と日本政府との折衝の結果、半分々々にしようと、製品半分、原料半分にしようというような事実上の話合いがあつたような、そういうような時代におきましても関税が一割五分、二割かかつたために、原油の輸入が阻止されたという事実は一度もなかつたんであります。いわんや現状におきましては、日本の精製業の有力なものは外国の原油生産会社と結び付いてここに発展を企図しておる現状から見ますると、国内産業保護のためにするこの程度の関税が石油輸入に障害になるというふうには、毛頭私としては考えられませんので、是非この関税問題につきましては、私どもの意のあるところをお汲み取り下さいまして、将来への発展に対しての絶大なる御支援を賜わりたいと、かように存ずる次第であります。大分取とめもなくて失礼いたしました。
  10. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 次に田中鉱業株式会社社長田中次郎さんにお願いいたします。
  11. 田中次郎

    参考人田中次郎君) 私は田中鉱業の社長田中であります。私は主として中小鉱山立場から、業界の業者の意見を申上げたいと思うのでございます。国土が狭くて人口の過剩に悩んでおります。而も資本蓄積の乏しい我が国における中小企業産業上に占める地位というものは相当重要なものであります。殊に敗戰後海外移民の引揚げ等によりまして、最近では中小企業の問題というものは相当社会政策的問題として取上げられているように存じております。中小鉱山経済的には他の中小企業と同様の立場にあるのでございますが、鉱業が特殊地域にある地下資源対象とする原始産業であり、而も一度採掘しましたならば、その分の鉱石はこれを再生することが絶対に不可能であります。そういう特殊性がありますために、鉱業経営の本質としては、先ほども説明がございましたように常に採鉱と並行しまして、大体同額ぐらいの金額を新らしく開発探鉱に投下しなければならないのでございます。そうして常に一定の鉱量を把握して置かなければ安定した経営は継続できないのでございます。現在稼働中の重要鉱山及び準重要鉱山という数は大体五百六十くらいございますが、そのほかにこれと同数以上の中小鉱山というのがあるのでございます。これらの中小鉱山生産額は、重要鉱山及び準重要鉱山生産額に比べますならば非常に少いのでございますが、併しながら国家的見地から見ますれば、これらの中小鉱山は大鉱山になりまする基礎でございまして、すでにその探鉱開発の役目を果しておるということができるのでございます。で前に申しましたように、鉱業では常に採掘と同額程度の多額の探鉱費用や新鉱床開発ということをやつておるのでございますが、今日有名な大鉱山でも、昔はやはり小さい鉱山から出発したのでございまして、大鉱山も決して一朝一夕にできるものではないのでございます。こういう事実を考えますと、既成大鉱山の老朽化を補充するというような意味におきまして、有望な中小鉱山開発育成ということが、鉱業政策上極めて必要であるということは御承知下さることと思います。次に、中小鉱山に関する問題点とその対策につきまして、二、三申述べたいと思いますが、第一は中小鉱山の金融でございます。元来鉱山調査には專門家が必要なんでございますが、現在興業銀行以外の一般市中銀行には、こういうような調査機関がございません。従つて鉱山融資は非常に困難となつております。殊に中小鉱山というものは、ほかの産業に比しまして非常に不利な状況にあるのでございます。この資金の不自由であるというその根本原因が、やはり鉱山開発を妨げているという結果となつているのでございます。昨年の末に中小企業信用保險法というものが制定されましたことは、中小企業問題解決のために一歩前進したものとしまして、産業界は大いに賛意を表しておるのでございます。併しながらこれを鉱山、特に中小鉱山立場から見ますと、市中銀行現状のような態度をとつておりまする限りは、依然として中小鉱山融資ということは困難な状況であるのでございます。従つて業界といたしましては、今後政府が基礎産業開発助成見地から設けられております日本開発銀行に、先ほども岡部氏から申されましたが、是非この鉱山部というものを設けまして、これは中小鉱山への融資をも含めた融資をして頂きたいというふうにお願いしたいのでございます。  第二の問題は、中小企業に対する見返資金融資の問題でございます。「米国対日援助見返資金の中小企業に対する融資手続に関する規程」という中には、見返資金投資の対象となる中小企業は、輸出産業と生活必需物資産業、それから重要基礎産業の関連産業、この三つに限定されておるのでございまして、基礎産業自体は対象にはなつてないということが明記されておるのでございます。鉱業につきましては、昨年ようやくマンガンと鉄鉱石の山が鉄鋼業の関連産業として認められたに過ぎない状況でございますが、経済情勢の変化に鑑みますと、基礎産業としての鉱業が除外されていることは、誠に遺憾なことと思いますので、前述の規程を速かに改正されて、そうして基礎産業をも対象に加えるようにし、鉱種に限定するということをやめて、広く鉱業として資格者の対象も広くして頂きたい。貸付限度も又引上げるように要望する次第でございます。  第三に、技術の指導と助成の問題がございますが、昨年三月末現在の中小鉱山の実態調査によりますと、従業員数による規模の分類を見ますと、二百三十七の中小鉱山の中で、従業員が二十人未満の事業場の数は百九でございまして、この平均従業員数は十二人、二十人以上五十人未満の事業場の数は八十四でございまして、この平易従業員数は三十人という状況なのでございます。又中小鉱山は優秀な技術者の雇用が非常に困難なのでございますので、その技術陣は非常に貧弱な実情なのでございます。従つて中小鉱山のためには、巡回技術指導班というようなものでも作つておきまして、そうして依頼に応じて受託指導の制度を設けるということが必要と思うのでございます。他からの技術指導を希望するという件につきまして調査いたしましたところ、百六十四鉱山のうち希望鉱山は四十鉱山となつており、このうち指導費用の負担は、負担していいというものは十八鉱山負担できないというものが二十二鉱山というような状況なのでございます。聞くところによりますと、アメリカでも今回の非常事態宣言ということを機会に、特に中小鉱山の奬励策ということが取上げられているというようなことがありますが、我が国におきましても、現に実施中の探鉱奬励金とか或いは新鉱床探査費というものを特に中小鉱山に余計に振向けて頂いて、そうして技術指導や施設の補助金等の交付を御考慮願いたいということを要望するのでございます。  鉱山道路助成につきましては、先ほど岡部氏から申上げましたから、特に申上げる必要もないと思いますが、この道路の負担というものが非常に大きな隘路であります関係上、中小鉱山には特にこの点を考慮して頂きまして、国家の産業道路建設のうちに盛込んで頂くということを希望する次第でございます。これにより新たに地下資源開発されるという点が多々あるのではないかと思うのでございます。  次に中小企業は、それ自体におきまして企業に弾力性が余りないのでございます。従つて統制等の弊害は全面的にこれを受けるという状況にありますので、大鉱山のように彈力性がございませんから、特に中小鉱山については統制の弊害を受けるという心配がございます。最近再統制の問題が盛んに論議されておるようでございますけれども、中小鉱山開発育成を阻害するような統制というものは、絶対に実施しないように希望する次第でございます。  以上簡單に中小企業鉱山問題について申上げました。
  12. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 参考人意見開陳はこれで終了いたしました。これから質疑に入りたいと思いまするが、念のため只今政府側といたしまして出席しておられるかたの氏名を御披露いたします。通産省からは政務次官と資源庁長官、それから鉱山局長がお見えになつております。大蔵省からは主税局長、それから理財局長代理として次長がお見えになつております。それから銀行局長代理として総務課長がお見えになつております。それから税関部長がお見えであります。安本からは産業局長の代理に機械金属課長がお見えでございます。以上御出席になつておりまするから参考のため御紹介いたします。御発言はございませんか。
  13. 西田隆男

    ○西田隆男君 主税局長がお見えになつておるようですからお伺いしますが、今回新海さんが減価償却の問題について縷々御意見をお述べになりましたが、これに対して主税局長の御見解を承わりたいのであります。
  14. 平田敬一郎

    政府委員(平田敬一郎君) この鉱山減価償却に関しましては、御承知通り現在は生産高比例法という方法によりまして償却を計算することにいたしております。私どもこの方法は理論的には相当合理性のある方法であるということを考えておるのでございまして、多年に亘りましてこの方法を採用いたして参つておるのでございます。それに対しまして最近通産省におきましても、償却方法についで特別な方法を研究しておられますし、それから只今私途中で伺いまして失礼いたしましたが、古河鉱業のかたからお述べになりましたような御意見がありますことも、私どもよく承知いたしておりまして、この問題につきましては目下検討をいたしております。と申しますのは、今の耐用年数及び償却方法が、終戰直後に年数等につきまして改訂を加えました等の関係もありまして、最近の事態に必らずしも適応していないところが大分ございますので、目下全面的にこの改訂案を作成いたしておるのでございます。それと並行いたしまして、この鉱山特殊性に鑑みまして、今まで採用いたして来ております生産高比例法のほかに、今御意見をお述べになりましたような方法を採用するかどうか、これは私ども十分研究して行きたいというので目下検討いたしておるのでございますが、問題がやはり相当あるようでございます。アメリカ等におきましても、その方法に対しまして最近ではやはり再検討の機運もなきにしもあらずで、相当あるようでございまして、どうすれば一番合理的な償却ということを達成するためには妥当 であるか、なかなかこれ技術的にも問題が多いようでございます。従いまして、本日ここでまだ結論を申上げる段階に参つていないのでございますが、よく業界等の実情も更に政府としましては十分承わり、或いは検討いたしまして、できる限り鉱業の適正な償却鉱山の妥当な償却ができまして、それによつて鉱業の将来の発展に資するような方向に持つて行きたい。具体的に今お話のありましたような方法をすぐ採用するかどうか、これは相当問題がございますので、まだ結論に達していないことを率直に申上げます。
  15. 西田隆男

    ○西田隆男君 主税局は只今研究中というお話でありますが、新海さんがおつしやつたように、日本鉱業はメタル、石炭の両方とも相当辛苦の営業をしなければならんという状態になつておることは御承知通りと思います。今までの償却そのものの矛盾があるとするならば、少くとも今後においては非常により良い償却法が大蔵省のほうで考えられるように御努力願いたいと思います。  それから鉱山局長にお尋ねします。今大蔵省の見解を承わりましたが、通産省鉱山局ではこの問題に対してどういう御見解ですか。
  16. 徳永久次

    政府委員(徳永久次君) 私ども今新海さんがお述べになりました案というのは、これはもう率直に申しますと、役所ばかりでなしに鉱業界全体、アメリカ鉱業特殊性に非常にふさわしい税制があることを発見するのが余りにも遅かつたというのが事実でございます。去年の夏頃、そういうよい税制があるという断片的なニュースが入りまして、業界と一緒に詳細を掴もうじやないかということでいろいろやつておりまして、ほぼ全貌が明らかになつたというのが今の段階でございます。それでこの内容なり考え方なり、只今新海さんがお述べになつ通りでございますが、私ども今主税局にも、鉱山特殊性に合つたよい制度でもあるし、又かたがたアメリカでもやつておることでもありますので、税制全般の問題として今丁度検討中の際でもございますので、これを取上げて頂きたいということを主税局にお願いいたしておるわけでございます。ただ主税局とされまして、具体的な御検討などにつきましては何といいますか、我々要求する側としましてはアメリカの税率、石炭の場合におきましても税率といいますか、生産比例高で石炭は五%、メタルは一五%、石油は一七%というような、その数字をそのまま当てはめていいかどうかという問題については、我々もお手伝いして妥当なものを掴むということをすべきではないか、そういう意味の実は十分の準備もできておりませんので、只今お聞き及びのような業界で折角委員会を作つてもらいまして、詳細な検討を開始してもらつたという状況でございます。その詳細なデータが揃いますれば、合理的な要求、具体的な案というものを固めまして、更に主税局にも御相談申上げて行きたいと思つているわけでありますが、データの妥当なものに基きまして大蔵省に御相談申上げる限りにおきまして、十分相談に乗つて頂けるのじやなかろうかと思つて、目下折角準備中というのが今の段階であります。
  17. 西田隆男

    ○西田隆男君 鉱山局長のお話を聞きますと、委員会とか審議会とかいうものまでできて民間で研究され、その結論は出て鉱山局のほうへ迴つておるのではないですか。
  18. 始関伊平

    政府委員始関伊平君) まだこの全体の結論が最終的に出ておりません。数字的な結論はアイデイアとしては御検討をお願いしたい、アイデイアはできて今大蔵省と連絡申上げておる、具体的な形においてはこちらの資料を作るというところで、最終的なものは出ていないという状況でございます。
  19. 西田隆男

    ○西田隆男君 その委員会とか審議会という中には通産省の誰が出席されますか、業界だけの構成人員ですか。
  20. 始関伊平

    政府委員始関伊平君) 私のほうの担当官、私どもは出ておりませんが、連絡いたしながらいろんな資料、妥当な数字をつかむべくやつております。
  21. 西田隆男

    ○西田隆男君 鉱山局長としては日本鉱山行政を担当せられておるので、適切妥当な結論を早く業界から出してもらつて鉱山局としても日本鉱山経営はかくかくの方法でしなければならんという確信を持つて、主税局長のお話では十分参酌される御意見ですから、早急に結論を出してもらいたい。
  22. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 参考人のかたにちよつと申上げます。参考人の御質問は取扱上ちよつと困るのでありますが、御意見を重ねて御発表になることは差支えございませんから、政府側の答弁等に対して御意見のあるかたは御発表になつて結構です。
  23. 下條恭兵

    ○下條恭兵君 政府側のかたにちよつとお尋ねしたいと思うのですが、私は旧石油法廃止のときに、従来どうしても鉱業税をかけるということでなければいけないだろうというので、今言つた試掘助成金のようなものはうんと出してもらわないと、国産原油経営維持が困難であるというふうに提唱しておつたのですが、これは当時の鉱山局長がそのままここにおられるからよく御承知通りでございますから、改めて何も言いませんが、今度の輸入原油に対する関税の問題、これは通産省として、まあ新聞に伝えられるような、今日ここの資料なんかにあるようなものが国産原油を維持、育成して行く立場から、どうしても必要なものと考えておられるのか、それともまだ足らんと考えておるのか、その意味からすればこれほどでなくてもよいと考えておられるのか、この点伺いたいのです。  もう一点先ほど始關長官の金額的には試掘助成金は昨年より減つたと言われておるのですが、これはおかしいと思うのです。今年は物価もどんどん上つておりますし、金額は殖えてもそれだけの仕事の量ができるかどうか疑問ですが、減らしておくことは国際原油にアポーズできないというようなことで、昨年の通産委員会の答弁と大分違うように思うのですが、この二点をお伺いしたいと思います。
  24. 始関伊平

    政府委員始関伊平君) 関税の問題でございますが、この問題につきましては、通産省としましては、勿論関税審議会の答申もございまして、閣議決定になつておりますので、政府としての結論は一応出ております。それが十分であるか、或いは不足であるかという点でございますが、その点は非常に考え方のむずかしい点でございまして、只今輸入原油の価格相当に上つておるような点もございますので、現状から申しますれば、大体この程度で十分ではないかというふうに思います。なお将来のいろんな市況の変遷その他を考えますと、これでは不十分になる向きもあるかと思いますが、その場合につきましては、これと並行いたしまして、例えば先ほど来申上げておりますような、政府助成措置、その他いろんな方法を併せまして一本としてやつて参りたい。なお同時に法規の技術的な改正、合理化の点も進んでおりますので、そういうものといろんな方面を併せまして、そういう場合には外油と対抗して行くようにしたいと、かように存じております。  それから助成金の問題でございますが、大体昨年に比べましてほんの少しばかり減つておるのでございますが、これは先ほど申上げましたように、最近の市況好転その他によりまして、会社方面で自分でやる力も相当に大きくなつたというような事情が主観的理由で、ほんの少しでございますが、減つて参つたというように存じております。なお又今後その需給の関係の見通し、その他からいたしまして、なお又輸入相当に考えておるのでございますが、そういう点との関連等も考えまして、事態の変化如何によりましては、この額を何らかの形で変えて行くということも考えなければならんと思います。
  25. 下條恭兵

    ○下條恭兵君 ちよつと始關長官の答弁に矛盾があるように思うんです。それは一方には関税をかけなければ国産原油の保護ができないというような考え方、それから一方のほうでは助成金を減らしても自力でやれるという考え方と、この二つは非常に矛盾しておるんですが、長官どうですか。
  26. 始関伊平

    政府委員始関伊平君) その点若干そういうきらいがございます。その点が考え方の上でむずかしい点でございまして、関税というものはちよつと長い目で見ました立場を考えて参らなければならんというような点と、それから当面の目の前だけの市況との関係が完全なものでございませんので、多少矛盾といいますのは、少し長い目で見るか、当面だけを見るかというような点がちよつと……。
  27. 下條恭兵

    ○下條恭兵君 それでは重ねて、だめ押しのような恰好になりますけれども、政府としましては、国産原油を保護して、発展せしめて行くという基本方針には異動はないわけなんですか。
  28. 始関伊平

    政府委員始関伊平君) その通りでございます。
  29. 下條恭兵

    ○下條恭兵君 主税局長と税関部長が見えておるようですから、大蔵省にお伺いしたいのですが、石油の関税はこれは戰前にあつたことはこれは私も承知しておるのでありますが、今回かけることに決定しましたその動機或いは理由はどういうふうなところにあるのですか、この点を一つお伺いしたい。
  30. 平田敬一郎

    政府委員(平田敬一郎君) 石油関税の問題につきましては、実は大分長い間各方面意見の交換がありまして、結局落着きましたところが、実は提案のこれの一割ということに政府としましてはきめてもらつたわけであります。勿論この趣旨は通産省からも説明されましたように、国産の原油の生産をできるだけ現在の生産確保し、又、将来の新らしい生産の増加ということを考えまして、原油生産業の保護というような点を主たる見地におきまして考えておるのでございます。ただその見地からだけ見ますと、或いは先ほどからも意見がありましたように、まだどうも一割では不十分じやないかというような意見も実は相当ございまして、大蔵省の内部におきましても、保護するという見地であるならば、少し一割では低きに過ぎはしないかというような意見相当つたのでございます。ただ一方におきましては、何と申しましても、石油の国内の産出量が全体の日本供給度に比べますと、そう多いということは言えないという点と、従いましてこの関税をかけました結果、一般石油の消費者に及ぼす影響がございますので、まあやはり私どもとしましては、関税としましてこういうものにつきましては、保護の目的を達成し得る限度における最低の率というようなところをこの際としては考えざるを得んのではないかというようなことを考えまして、結局一割に落着いた次第でございます。関税の審議会におきましても、この問題は大分議論があつたのでございまするが、併し公正なところ、中立的な意見のかたがたの大多数はやはり国内で生産される原油の数量が全体の需給量からみますと、そう多いものではないといたしましても、併しともかく一割或いはそれ強の原油の生産があるということは、日本石油業界全体、或いは石油の需給全体に対しまして非常な強みである。従つて原油につきましては、どうしても積極的な増産対策を講ずる必要があるという点は、これはもう殆んど一致した意見でございまして、さような面におきまして、一方では一割かけることによる影響面からの反対も率直に申上げまして、相当つたのでございますが、大蔵省としましては一割程度の関税率にするのが妥当であるのではないか、こういう結論に到達いたした次第でございます。その他いろいろ問題はございますが、大体そのような点を中心にいたしまして、このような結論に到達いたした次第でございます。
  31. 下條恭兵

    ○下條恭兵君 それではもう一、二点お尋ねしたいのですが、二十六年度における原油並びに製品の輸入見込高はどれくらいでしようか。  それから今度の新税法による関税收入は幾らになるお見込ですか、これをお伺いしたいと思います。
  32. 徳永久次

    政府委員(徳永久次君) 二十六年度の原油の輸入或いは製品の輸入予定でございますが、これは実は我々に確定的に申上げ得る段階にはないのでございます。と申しますのは、石油につきましては司令部関係の了承を得なければ十分に動けないような事情もございまして、我々の今立てております計画通りというふうになかなか行きかねるものですから、その点前以て御了解願いたいのであります。現在の原油の輸入の分の精油能力といたしまして、一日三万三千バーレルを今処理いたしておるわけであります。それを我々は平均といたしまして、二十六年度四月以降四万以上のものにしたいということで今関係方面と折衝中でございますが、大体認められそうな状況に相成つておるわけであります。この数字をベースにして考えますと、原油といたしまして二百三十五万キロくらいのものに輸入がなるわけであります。それから重油といたしまして、それをバランスの取れました……、原油からも重油が出るわけでございますが、重油も考えまして、重油の分としますと、輸入が約八十二万キロを予定いたしております。なお、そのほかに特殊のもの、輸入原油からは十分国内の需要分が取れないもの、パラフインとか、高級の機械油とかいうものが若干ございますが、これは数字的には大したことはございません。主な数字は今の原油の二百三十五万、重油の八十二万くらいを我々は予定しておるという工合に御了解願いたいと思います。  それから国産原油見込の問題でございますが、昨年が三十二万キロ出ております。その後におきまする生産の状況というものは逐次順調に伸びておりますが、昨年の三十二万よりも二十六年度といたしましては伸びるものと予定いたしております。ここに持つております資料があれでありますが、三十五万くらいは優に行くのではないかというふうに考えておるわけであります。
  33. 平田敬一郎

    政府委員(平田敬一郎君) 関係收入の算定の基礎にしました数量につきましては、いつもそうでございますが、大体今鉱山局長から申されました輸入数量と申しますか、見込量に対しまして若干内輪に見ておりまして、二割程度内輪に見ることにいたしまして、それぞれ税額を算定しておりますが、原油の分が九億八千五百万、重油の分が三億二千三百万、それから軽油と潤滑油が三億二百万程度、合計いたしまして十六億一千万円程度関税收入のなかに織込んで計算いたしております。
  34. 下條恭兵

    ○下條恭兵君 安本のかたにお尋ねしますけれども、十六億の関税を徴收することによつて物価政策上どういう影響があるのか、全然ないと見ておられるか、その点を一つお尋ねしてみたいと思います。
  35. 日高準之介

    ○説明員(日高準之介君) ちよつと、私産業局の人間でございますが、物価庁のほうは参つておりませんので、お答えいたしかねます。
  36. 平田敬一郎

    政府委員(平田敬一郎君) 価格に及ぼす影響につきましては、私どもも先ほど帝石からお話になりましたように、最終製品のガソリン等の値段につきましては大体六%前後影響があるのではないかと見ております。従いまして、その他の要素による値上りの要素が大分あることを最近強調されておられまして、関税がかかると同時に非常に値上りするような宣伝があるのでございますが、関税自体としてはやはりその程度の影響である。これは先般関税率審議会におきましても、物価庁の計算も大体その程度になつておつたと記憶しております。
  37. 下條恭兵

    ○下條恭兵君 私は今政府にお尋ねしたいというのは、原油に税金をかけたためにそのためのガソリンの値上りなんかは恐らく帝石からの資料の通りか、或いはそれ以下だろうと思いますが、これをかけることによつて一般物価に対する影響を政府はどう見ておられるかという点が伺いたかつたのでありますが、いずれ機会もありましようから、私はこれで質問を打切ります。
  38. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 政府の提出説明をせられました鉱産物供給確保に対する施策の内容について二、三お伺いいたしたいと思います。  非常に重要な点に亘つて根本方針を述べ、且つ具体的な措置に言及されておるのでありますが、私一番最初に考え方の問題で一点伺いたいと思うのであります。これは起草されたときの考え方がずつと出ておるのじやないかと思いますが、第一方針の一番に、国内統制の強化を回避するということが最後の結論にある。これが努力の目標になつておるようでありますが、こういうことになりますと、結局現在の政府が盛んに宣伝をしておられますことに対する裏付をしておられるような結論になつておると思います。これはこういうような方針を建て、施設をされることは産業生産量確保なり増強に役立つということが事の結びの言葉でなくちやならないと思うのでありまして、非常に奇異に感ずるのですが、その点如何でございますか。
  39. 徳永久次

    政府委員(徳永久次君) これはまだ政府部内全体の固まつておる資料でもございませんので、私特に御説明しなかつたわけでございますが、今のお尋ねの点に関しましてお答え申上げたいと思います。  御承知のように鉱産資源の大半のものが生産財でございます。従いまして生産財につきましては、勿論その中の極く一部というものは消費的な用途にも使われておりますけれども、殆んど大半というものは重要工業生産の基礎資料として活用されておるわけであります。私ども生産財に関する統制というものは極力廃止すべきものではないだろうか、日本生産活動というものを太らせるということが今の日本の最大の課題となつておるのでありまして、そういう意味から考えますと、こういう物資が統制をしなければならんという立場に追い込まれることは極力避けなければならない。そのためには結局供給量を殖すということを考えるべきであろうというふうに考えております。従いまして、資源増産対策ということも当然考えますし、それから地金なり或いは鉱石の形における輸入というものを極力考えるということによりまして、生産活動を阻害しないように、統制によつて阻害しないようにというふうに考えたわけであります。そういう気分を謳つておるわけでありますが、これは物の性質を見まして、日本経済実情に最も妥当な政策であると私も実は考えておるのであります。
  40. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 その点はあと議論になりますから私避けますが、そういたしますと、この方針では統制の強化を回避するということになつておりますけれども、中のほうを拜見しますと、どうもそういうことはいけないような面が相当あるようでありますので、その点二、三を先ず伺いたいと思います。この伺いまする前に、全般的なものとして伺つておきたいのは、この施策が今後更に具体化されるでありましようが、そのときには当然予算措置を伴なわなければこれは意味がないと思うのでありますが、それはいつの予算にそういうものを織込んで具体的な措置とせられるのか、そのお考えを伺つておきたい。
  41. 徳永久次

    政府委員(徳永久次君) この中味にありますもので、予算措置を伴います問題は、国内生産力の増強の一としましては、資源探査並びに開発助成というテーマがあるわけです。このために現在ありまする資源探査開発のための助成費というものを増加するという問題が政府内部できまりました場合には、そのために予算の問題が起つて参ろうかと思うのです。そのほかの問題は税の問題等が主でありまするし、それからその他の施策で事務費程度のものは、これはまあ予算の補正とかそういう問題に入らないで始末の付く程度のことでございますし、私どもまあ問題になるのは、この資源探査、この項目だけではなかろうかというように思つております。これは最初にお断り申上げましたまうに、資源庁内部で今当面の事態の変化に対応しましての考え方をまとめようということで、作文いたしておりますものでございます。政府全体として確定いたしておりませんので、従いましてこれを具体化する際に、いつじや予算に現わすのかということはすぐ実はお答えできないような事情にあるわけであります。
  42. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 相当の字数を使つて大方針で書かれておりますが、私はこれを実行に移そうと思えば、今御説明になつ程度以上に相当予算措置を伴なわなければ効果はないと思うわけであります。従つて今御説明のように、そう大して予算をかける必要がないということであるならば、この方針、そのものにそう大きな期待がかけられない、こういうふうに考えるのでありますが、その御見解は如何ですか。できましたら一つ局長の御答弁の後で、次官の御答弁を願いたいと思います。
  43. 徳永久次

    政府委員(徳永久次君) 只今申しましたように、資源探査助成費の増額の問題は、政府としてきまりますれば、予算の問題になろうかと思います。その次にございます例えば資源減耗の防止、これは先ほど来業界から要望もございました、アメリカにありますような減耗控除制度というものを鉱山制度としてとつてもらいたいということでありまして、これは予算の問題はないわけであります。而も結果としましては鉱山業のためには非常にプラスになる。それは鉱山特殊性に応ずる税制でございますが、今まで我々の誠意が足りなかつたと思いますが、智慧が足りなかつたために実現されていなかつた。これが若し実現しますならば、日本鉱業の発展のために非常に裨益する問題だと実は思つております。融資の問題につきましても、これがために特に予算問題となるわけでございません。先ほどから出ております全体の開発銀行を作るという大蔵大臣に意思表示がしてありますが、それを具体化しました場合には、鉱山にためになるような運用を考えてもらいたいということでございます。その次にあります価格の問題にしましても、予算の問題とは関連を持たないわけであります。その次にございます特殊金属のニツケル、コバルトなど、国内の現下の状況に鑑みまして、当然に助成を必要とするものの助成の仕方を考えておりますが、その内容につきましても予算で保護するという建前ではなしに、短期償却を認めるとか、或いは課税上の優遇といたしまして、万一その期間中に設備が不用に帰するような際があつたならば、償却できなかつた価格で国が買上げるというような問題でございますが、これもすぐ当座予算上の問題が起るような問題じやないのであります。而もそれはこれだけによりまして、重要金属類の生産確保し得るという政策でございまして、相当意味も大きく、而も差当りすぐ予算の問題にならないというふうに言えるかと思うわけであります。
  44. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 まあ局長の御説明はそれで結構ですが、今局長から御答弁頂いたような程度のことで、この重要な不足資源の国内開発はできがたいであろうということを私はしばしば申述べて来たつもりなんです。従つて資源探査並びに開発助成にいたしましても、或いは又鉱業融資のための開発銀行の設置にいたしましても、或いは緊要下足金属製錬事業助成の問題、休眠及び代用資源の利用というような問題を、もう少し高度に国家的の観点に立つて国費を以て積極的に力をいたさなければ、この大方針に沿わないのではないか、こういう考えはないかということを伺つておるわけですが、政府のほうとして現在如何がお考えですか。
  45. 首藤新八

    政府委員(首藤新八君) 地下資源開発につきましては特にこれを重要視しておるのでありますが、而も最近の国際情勢、特にアメリカの軍備拡張がいよいよ軌道に乗つて参り、更にその他の国も軍備拡張をやり出す、そうした場合どうなるかというような点を考えますれば、どうしてもこの際地下資源を積極的に而も緊急に開発をしなければならんということは、これはまあ常識だと考えておるのであります。そこで政府におきましても、本年度予算に対しまして相当巨額の実は助成金を考えたのでありまするが、一般の財政と睨み合せまして、先ほど来申上げておりまする程度に実は圧縮せざるを得ないような状態になつてつたのであります。併しながら何とか別の面で助成する方法がないか、特に非鉄金属、ニッケル等でありまするが、これも鉱山局長から詳細申上げましたような暫定的な緊急措置生産を少しでも増強しようという実は案を持つておるのであります。併しながら非常に最近物価が上つて参つた、到底予算のようは金額では思うような開発は困難であるということもこれ又一般通念だと考えるのでありまするから、今後の情勢と睨み合せまして、何らかここに画期的な十二分に開発できるような措置を講じて行きたい、かように考えておりますので、次の臨時国会ででも然るべき方法を講じたいとかように考えております。
  46. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 それからもう一つ統制強化の問題、この内容にはいろんな点がありますが、一番中心になるところをお尋ねいたしたいと思いますが、それは政府の方針、この原案の方針としては統制強化を極力避けるとこういうことに相成つておりますが、例えばこの五頁の輸入確保というと項を見ますると、「国際的統制強化に鑑み」云々という言葉があります。従つて国際的に統制が強化されて来る場合にはそういう形で日本へ入れました重要資源輸入品というものは、私は紐付になつて来ることが予想されるのではないかと考えるわけであります。現にここには、「製品を以てするバーターの実施等を考慮する。」とありますので、この内容がどういうものであるか御説明を伺えれば了解できると思いますが、そういう意味のことが私は含まれているのじやないか、さようなことになりますならば、これは極めて強度な統制になるわけであります。そのほかにもそういうような問題が若干あろうかと思いますが、今の点を中心に御答弁を頂きたい。
  47. 首藤新八

    政府委員(首藤新八君) 只今輸入とそれから統制という問題でありまするが、この中で御指摘の要するにバーターというような表現によつて今後の統制が一層強化されるように予想されるというような御意見でありまするが、政府といたしましては、最近この非鉄金属輸入が非常に至難になつた、そうしてあらゆる方法を以て輸入の促進に努めておりまする関係上、端的に言いますれば方法手段を問わん、とにもかくにも輸入のできる方法があれば何ではこれを採用して、そうしてできるだけ量をたくさん獲得いたしたいという気持を多分に持つて、そうしてそれを織込んでおるのでありまして、今のバーターという表現も、こういう方法でもとにもかくにも輸入方法があればそれらを一つを併せて輸入しようじやないかという気持を現わしておるのであります。従つてこれがために直ちに統制云々というようなことは考えていないのであります。
  48. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 私が御質問いたしましたのは、重ねて伺いたいと思いますことは、国際的な統制強化の中で日本へ資材を流すということになりますれば、これは想像ではございますけれども、日本生産工場が、一口で申しますならば下請工場のような恰好で持つて来られることがありやしないかということを私は質問を申上げておるわけであります。そういうことになれば国内でそういうものを別枠で扱うということならば別でありますけれども、日本産業全体から考えれば、日本産業活動の中で極めて強い統制が行われておるということに私は資材の面からなると思うのです。そういうことを伺つておるのでありまして、この点を明確にしておいて頂きたい。
  49. 首藤新八

    政府委員(首藤新八君) 御指摘のような情勢になるかも知れないというようなことは、我々も予想しておるのであります。併しながらそれだからといつて今の段階におきまして、どういう方法でそれをやるかという具体的に意見を立てるところまではまだ行つていないのであります。今後の情勢の推移と睨見合わせまして、いよいよそういう段階になりましたならば、これに即応するような対策を建てますけれども、少くとも現在の考え方といたしましては、成るべく統制はやはり回避して行きたい。その範囲内においてやつて行きたいという気持は依然として持つております。
  50. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 それではこれは、私はそんなに遠くない将来にそういう恰好になるのではないかというのでいろいろ考えてもおるわけでありますが、仮に国際的に重要な資源日本へ流されました場合に、一つの完成品の形で完全に下請産業としてあらゆる資材が供給されたときには問題はありませんけれども、特定な日本において非常に不足をしておるというような品物が限定されて参りまして、そうしてその外の物はまあパーツになるわけでありましようが、国内で充足する、こういうような恰好で来ることも予想されるわけでありますけれども、その形は政府としてどういうような恰好が一番望ましいか、そういうような事態が起きました場合には、どういうような恰好が一番とお考えになつておりますか、即ちここにあるバーターという意味がよくわからないのでありますけれども、材料は材料として單独に紐付で輸入をして、そしてこれに代るところの完成品を適当な数量だけ責任をもつて輸出をする。こういうような單純な恰好をお考えになるか、或いはもう少し強度の日本戰時中政府と民間工場との間にやつたああいう恰好のものをお考えになるか、どの辺をお考えになるか一つ……。
  51. 首藤新八

    政府委員(首藤新八君) 現在の段階におきましては、先ほど申上げましたように、全く想像の範囲にとどまるのでありまするから、これに対して具体的にどうするんだというお答えはちよつと控えさせて頂きたいと思います。併しながら仮に御指摘のような情勢に相成りまして特定の製品を作るためにこれこれの資材を、そしてその資材が全部でなく一部は国内で当然これが獲得できるというような場合もあり得るし、又全部が全部資材が輸入されてそして一つの製品を作るという場合もあり得ると思うのでありますが、併し少くとも特定の製品を作るということが一応前提であるということで、それがために資材が輸入されるということになりますれば、当然この場合におきましては紐付といいますが、まあ統制に等しいような配給方法が講ぜられて、そうしてその製品を再び輸出するという段階にいろいろな條件がなりはしないかというふうに考えられるのであります。
  52. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 今お話のように想像の問題でありますから、私どもはこれ以上言及いたしませんが、問題はこの取るべき施策というものは国内の生産力の増強を図るというのが見出しに大体なつておると私は思います。従つてその中に今申上げましたような国際的な生産力の問題までも若干においが出ておるわけでありまして、従つてこういうような施策を実行に移しまする場合、或いは将来の情勢の推移を想像して見まする場合には、なかなか簡單に運ぶわけには私は参らない場面が多々あろうと思う。資金的に、資材的に生産技術の関係においていろいろ問題があろうと思う。従つて事態は非常に急角度に進みつつあるので、政府としてはこういうようなものを成るべく迅速に具体化されたものを立案せられて、そして私どもにもよく過ちのない判断のでき、又そういうような面を通じて意見を申述べられるような工合にお取運びを願いたい。こういうふうにお願いしておきます。
  53. 首藤新八

    政府委員(首藤新八君) 了承いたしました。政府といたしましてもこういう時期は近く到来するのではないかというふうな気持は持つておりまして、これに即応するような準備は着々現在進めておるわけであります。併しながら先ほど来申上げておりまする通りに、現在のところでは全くの仮定に過ぎませんので、その結果を御報告するというところに参つていないのですが、いよいよそういう事態になりますれば詳細に申上げたいと考えております。
  54. 西田隆男

    ○西田隆男君 鉱山局長にお尋ねいたしますが、第二の四頁のところに、輸入による充足至難のため私企業的採算を度外視して、国内において製錬云々というのがありますが、これはどういう問題を予定されておるのか、又実際に私企業を度外視しても国内で製錬をやらねばならんという場合に、国の危險負担により起業を行わしめる云々ということでありますが、これは政府補償をするというお考えであるかどうか、これを御説明願いたい。
  55. 徳永久次

    政府委員(徳永久次君) ここで私具体的に今考えておりますのはニツケルと、コバルトですが、ニツケルは御承知のように日本ではニッケルの取れるような所は全然ございません。世界的には大体その八割というものはカナダに押えられておりまして、それは資源的にも非常に優れた條件でございまして、太刀打ちできそうな所はよそにないというのが現状でございます。日本は戰争中ニッケルの生産というものは或る程度つたのでありますが、戰争が終了いたしまして外国からニッケルが買えるようになりましたら、忽ちぺちやんこに潰れてしまつたという状況でございます。今におきまして考えて見ましても、今ニッケルは外国からそう十分に輸入できませんから何とかしたいというふうに我々は考えておりますけれども、業者の立場になつて考えて見ますと、そういうものは危なくて仕事にかかれないという実情にあるだろうと思います。コバルトにつきましても同じような状況でございまして、ベルギーのコンゴに素晴らしい山がありまするし、それがやはり世界の八割を押えておりますから、それと太刀打ちできるところはどこにもない。而もコバルトもニッケルと同様アメリカにおいてすら軍需品の用途以外には向けられないという状況にある。併し民需系にも不可欠の用途がございますから、これは何とか確保しなければならないという状況にございますが、併しながらコバルトを国内で製錬して下さいというふうに、各社の技術を持つておられるかたに頼んで見ましても、これは手続はとつても十分償却ができるまでに動くかどうか見通しがつかない。危なくてできないというのが実情であるわけであります。従いまして何らか国のそういうものにつきましては生産ができるような態勢というものを考えて供給確保するというのが、我我の責任に相成るのではなかろうかと考えまして、私どもまだ関係省と相談を始めたところでありますが、あらかた国会方面の、党の政調会とか或いは衆議院の通産委員会とかに御相談申上げているわけでありますが、今日こちらで初めに御披露したようなわけでありまして、私どもの考えております案というものは、こういう情勢がいつまで続くかということが非常に不安定なわけであります。その不安定な状況の際に設備を作つて頂くとしまするならば、作つて頂いても危險のない状況を考えなければいかんではないか、そのために考えられますことは、非常に短期の償却を認めたらどうであろう、例えば二年とか三年とかの間に設備を作つてもらつたとして償却できるというような、税の特例を考えて頂いたらどうであろう。それから重要産業のことでありまするので、ほかの例にも若干ございますような、所得税なり法人税等を免除をして頂いたらどうであろうかということを考えているわけであります。そういたしまして若しこういう状況が続きますならば、その償却なら償却を短期に認めました期間中、こういう状況が続きますならば、企業は十分償却も済んでしまうということになりますので、これでよろしいわけでありますが、予定しております期間中に国際情勢が変りまして、べらぼうに安いメタルが入つて来るということになりました場合には、企業としましては償却し得なかつた額だけの分が企業としてマイナスになつてしまうと思う。そのマイナスがないようにということで、残存価格で国が買上げるということを考えたらどうだろうと考えているわけであります。似たような制度は御承知のように産業復興公団、戰争中は産業設備営団と申しておりましたが、ああいうもので、危險で業者がおやりになりませんために、生産設備につきまして国が設備を建設いたしまして、それを企業に頼んで運営してもらつて、製作してもらうというような制度もございます。同様な制度アメリカにも戰争中からございまするし、戰後現在の国防生産のうちにも同じような仕組がございまするし、又現にその仕組によりまして動いている、活動してやつている例もあるわけであります。それの変形としまして国が最初から作るということは考えなくても、うまくこの状況が続くならば国が買上げないで済むということも予想されますし、私どもの考えているような案のほうが、国の立場から見たらベターではなかろうかというふうに考えております。そういうような今アイデアの、構想の一案を作りまして、税法全体の問題、或いは主計局の或る確定の際にも ○Kということにもなりますし、そこらの点大蔵省と今折衝を開始したところであります。
  56. 西田隆男

    ○西田隆男君 その点はそのくらいにしておきましよう。それから第二の措置のところで括弧の三に、石炭企業については合理化三カ年計画を強力に遂行するため云々と、こうなつておりますが、この前の通産委員会で、大蔵省、安本、それから通産省からおいでのかたに聞いたのですが、特に石炭企業の中小炭鉱に対する融資の問題については何ら的確な措置がまだ講じられていない、考えてはいるけれども……何とかしなければならないという程度の御答弁しかなかつたのですが、これもその後相当日数もかかつておりますが、今日までの間に何らか進展した方法が考えられているのか。それともあのとき以来そのままの状態を継続しているのか。その点を一つ資源庁長官から御答弁頂きたい。
  57. 始関伊平

    政府委員始関伊平君) 丁度この前の会議の日に、理財局長から発表をされましたような、見返資金の中小企業に対する融資の適用のありまする会社の範囲が拡張した、貸付限度が高くなつたという問題と、それから只今年度の見返資金の全体の枠を考慮中でございますが、その中に中小炭鉱方面のものも相当に考えておりますという二点を除きまして、要するに、この前のときから別段の進展はいたしておりません。
  58. 西田隆男

    ○西田隆男君 中小炭鉱は金融で非常に困つておることは御承知と思うのですが、いつ頃になつたらはつきりした何か積極的な方法が講ぜられるのですか。それは長官としては今やられている以上のことは考えられぬという御見解を持つておられるのか、何とか処置をして、こういう方法でもやりたいと考えられておられるのか、もう一遍御答弁願いたい。
  59. 始関伊平

    政府委員始関伊平君) 中小炭鉱のことは非常にむずかしい問題でありまして、有効な方法を講じ得ないのでありますが、今申上げました二つの問題に加えまして預金部の金融債引受けの操作によりまして、これは具体的な案件といたしましてできるだけ斡旋したいということを考えております。それからその以外の問題といたしましては、開発銀行の設置がございまして、その中に先ほどからお話のございますような專門の研究会ができ、円滑な運営ができるというようなことを期待いたす以外には余り方法がないのであります。
  60. 西田隆男

    ○西田隆男君 大蔵省からどなたが見えておりますか。理財局次長は見えておりますか。
  61. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 大蔵省からは理財局次長とそれから銀行局の総務課長、税関部長、それだけ見えております。
  62. 西田隆男

    ○西田隆男君 理財局では銀行局でもいいのですが、私が聞くところによりますと池田大蔵大臣は中小炭鉱の金融に対して三十億は引受けたと胸を叩いて確約したということを聞いておりますが、何か大蔵省のほうでは大臣からそういうお話があつて、中小炭鉱の金融に対してお考えになつておりますかどうか、伺いたいと思います。
  63. 酒井俊彦

    政府委員(酒井俊彦君) 中小炭鉱の金融につきまして、私理財局の関係といたしまして見返資金の点だけ申上げますと、見返資金につきましては先般発表いたしましたように、中小企業に対する貸付の枠を若干拡張いたしております。この中小企業に対する貸付の枠で、勿論中小炭鉱の金融も乗つて来るわけであります。それよりも若干大きい程度の炭鉱でございますが、これに対する融資につきましては、安定本部で枠を策定いたしました石炭に対する融資の枠の中で若干金融を考えております。すでに一、二許可になつたものもあるように存じております。大蔵大臣の三十億云々というお話まではまだ伺つておりませんが、中小炭鉱について融資的に……見返資金が出るものであれば早く出してやつたらよかろう、こういうお話はございました。ただまあ見返資金も御承知のように相当厳重な審査をいたしておりまして、回收の非常に不確実といつたようなものに対しては、見返資金の性質上出すことができませんので、やはり相当確実に償還が可能であろうという見込みの立つものに限定せられて、融資がなされておるというような状況でございます。
  64. 西田隆男

    ○西田隆男君 今見返資金お話がありましたが、中小炭鉱に対する見返資金の貸出の枠と申しますか、範囲と申しますか、あなたのほうではどれくらいまでは中小炭鉱に貸してやろうという考え方ですか。
  65. 酒井俊彦

    政府委員(酒井俊彦君) 枠と申しましても中小炭鉱は、中小企業に対する融資の枠の中で相当融資に乗つて来るものがあれば出るわけでございまして、これは御承知のように一四半期に九億ということになつております。ただその中で石灰にどれだけ流れるかということについては、これは実は中小企業に対する貸付はすべて金融機関との協調融資になつておりまして、金融機関の判定を待ちまして、日本銀行が審査をいたしまして、日本銀行がこれはよかろうと思うものはどんどんそこで貸して参りますから、中小炭鉱のために特に幾らという限定はございません。中小企業に対する貸付の枠として一四半期に九億、こういう枠があるのでございます。
  66. 西田隆男

    ○西田隆男君 重ねてお尋ねしますが、今の問題ですが、昨年の十二月末までに見返資金は五十数億出されておるにもかかわらず、中小炭鉱に対しては九千万程度にしかなつていない。結局見返資金の貸付の対象には中小炭鉱は勿論なると考えられますが、一月から今までに見返資金が中小炭鉱に幾ら出ておりますか。
  67. 酒井俊彦

    政府委員(酒井俊彦君) 昨年の四月から、つまり二十五年度といたしまして、千百万円だけ中小企業に直接融資が出ております。そのほか中小企業の今申上げました九億の枠で出ましたものが、確か一、二件あつたように記憶いたしますが……。
  68. 西田隆男

    ○西田隆男君 重ねてのお尋ねでなくお願いいたしますが、日本の中小炭鉱というものは、一年間に七、八百万トンの石炭を出しておるが、その七、八百万トンの石炭を出しておるのに、あなたがおつしやるように一千万が二千万の、この程度の見返資金が出ておつて、この見返資金から中小炭鉱の金融をどうとかするというような考え方は、基本的にこれは変えてもらいたい。従つてこの前にもお願いしたように、市中銀行は貸すことは勿論貸すでしようが、何とか大蔵省のほうで斡旋して頂いて、市中銀行が安心してフルに出せるような方法を考えて頂くべく大蔵大臣にも相談して、大蔵大臣は三十億引受けたと言つたということですが、もう少し大蔵省のほうでも、結局中小炭鉱と言つても年間に七、八百万トンも石炭を出しておるのだ、この炭鉱の金融関係がいけないということは、日本石炭事業のために非常に不利益だという観点から、もつと中小企業の炭鉱金融を特に考えてもらいたい。併し今日お見えになつておる中小鉱山のほうもそうなのですが、話に聞けば十人とか二十人という極めて少い労働者を使つて日本の国策の線に沿つてメタルを掘つておる。こういうところは見返資金対象になりにくい。それでは一般市中銀行で貸すかというと貸さない。それでは金融のために企業は行詰つてしもう。この起草案にもあるように大体の大企業に対しては銀行も信用するし、見返資金の放出なんかも比較的楽にできると思いますが、中小企業に対しては今申上げましたような状態で、全く金融逼塞の状態なのです。これを打開しない限り大企業に押されるのだ。この金融難のために中小企業は潰れてしもうということは、日本のためによろしくない。これは是非大蔵省と安本と通産省と御協議願つて、何とか專門の銀行をお作りになるなら一日も早くお作りになつて、中小企業の金融を私は円滑にするように是非やつて頂きたい。これは昨年の六月頃から言つておるのですが、何らの片もついていない、目鼻もついていないという状態です。どうか次長はお帰りになつて大蔵大臣にお話になつて、早急にこの問題の目鼻がつくような工作を是非今度は大蔵省が主体となつてつて頂きたいと思います。
  69. 酒井俊彦

    政府委員(酒井俊彦君) 只今お話もございましたが、実は見返資金は御承知のように、電力と船舶という基本的な二つの産業を中心といたしまして非常に厖大な金が集中されておる。その他私企業投資といたしましては石炭、鉄鋼を中心に金が出ておるわけでありまして、何といたしましても非常に資金需要が多いにもかかわらず、限られた見返資金を集中的にそういう基礎産業に使つて行くということになりますと、おのずから各企業に対する融資というものも或る程度そこから制約されざるを得ないような状況にあるわけでございます。勿論只今の中小炭鉱等につきましては、今の一四半期九億の中小企業の枠がございますから、その範囲で金融ベースに乗るものは勿論金融機関との協調融資で出て行くわけであります。非常に資金需要が多くて、これをどういうふうに配分して行くかということはこれは大変むずかしいことでありまして、安本が中心になりまして、安本それから通産省等が中心で大体枠がきめられて行くというような状況になつているわけであります。
  70. 西田隆男

    ○西田隆男君 今の理財局次長のお話を聞いておりますと、これは政務次官に御答弁願いたいのですが、結局はコンマーシヤル・ベーシスに乗らないものは金融は駄目なんだ、こういう結論と私は考えるのですが、通産省の行き方としては管轄下にありながらコンマーシヤル・ベーシスに乗らないものの金融はかまわない、こうお考えになつておるのかどうか。政務次官から一つ御答弁願います。
  71. 首藤新八

    政府委員(首藤新八君) 通産省といたしましては中小企業も大企業も全く同じ観点から、この内容の充実を促進いたすような政策を続けて参つておるのであります。併しながら現在までの中小企業に対するところの融資に対しましてはいろいろの制約がありまして、それがためにまあいつ如何なる場合にも中小企業の金融問題というものが解決しないのであります。そこでこれは一応の構想に過ぎませんが、私の見通しといたしましては、どうしてもこの際中小企業という問題に根本的メスを入れて、この考え方を変える必要がありはせんか、大企業を除いたあとの全部の企業体を中小企業という十把一からげ的に片付けてしまう。そこに中小企業に対する金融の解決の一番大きなネックがあるのではないかという見解を持つておるのでありまして、どうしてもこの際中企業、小企業と一応区別しまして、そうしてこの中企業には中企業に即応するような金融体系を整える、現在の中小企業融資その他の限度は大体小企業対象とした限度になつていやせんか。従つてこれを全面的に拡大する、これは恐らく困難であると思いますが、中企業というものを別個に考えて、そうしてそれに対する枠を構成することが適当でないかというふうな考え方を持つておるのでありまして、現在中小企業庁に対しましてそういう構想の下に一つ案を作つたらどうか、そこつで来月の一日でありますが、これらの問題を基本といたしまして、中小企業に特別に関心を持たれている国会議員その他のかたに一応お集り願つて、そうしてこの問題について真劍に御討議を願いたいというふうに考えまして、現在その準備を進めておるのであります。かような状態に現在ありますので、できるだけ速かに根本的にこの問題を解決いたしたいというふうに考えているのであります。
  72. 酒井俊彦

    政府委員(酒井俊彦君) 只今コンマーシヤル・ベーシスに乗らないものは、金融できないかというお話でございましたが、さつき申上げました見返資金からの金につきましては、勿論その回收が全然問題にならん、不確実であるというものは困る。併しながら一般金融機関としては設備資金であるからなかなか貸しにくい、いわゆる一ンマーシヤル・ベーシスではなかなか金融ができにくい。併し見返資金といたしましては、設備資金はかなり長い設備資金でも若干そこを振切つて都合をして貸してくれるというものを取上げて、金融をいたしておるわけであります。一般の金融につきましても、ただ普通に金融機関に参りますと、なかなか実は信用力が足らんというわけで普通の金融に乗らないものにつきましても、別途中小企業につきましては信用保險の制度を利用することによりまして、一般の金融に乗るようにするというようなことで、先般中小企業信用保險基金というものが設定されたような次第でございます。
  73. 西田隆男

    ○西田隆男君 通産政務次官の今の中小企業に対する基本的な考え方のいい惡いは別問題ですが、考えることはいいのですが、金融は現実の問題ですから、今から事業をやつて金融したのでは間に合わんです、実際言うと……。非常に中小企業は困つておる。日本産業構造の実態から考えて、中小企業というものを無視して金融を考えるというところに、自由党の経済政策が自由放任と言われる点があるので、是非中小企業というものをしよつちゆう念頭において、私から言わしめれば、中小企業を本体としての金融を考える。大企業はうつちやつておいても相当できる。できるものにはお世話をして、できなくなつたものに対してはしないというのでは、産業政策的意味を持つ金融としては、これはなつておらんですよ。非常に困つていますから、メタル関係のかたもおられるのですから、中小炭鉱の者もいずれ上つて来るのでりすから、通産省としても大蔵その他と御協力願つて、何とが当面の金融対策を是非一つつて頂きたい。
  74. 小野義夫

    ○小野義夫君 先ほどから各委員の御質問その他希望を述べられ、又業者からもいろいろな要望があつたようでありますが、これを要するに先ほどからの論議を拝聴いたすというと、各党を超越した、社会党の栗山委員、民主党の西田委員等の各党の委員の主張は、殆んど異に同音にこの産業政策に対して画期的なことをやらなければいかんじやないかという御言葉のように要約できると思うのであります。本年度二十六年度予算は大分前にでき上つているから、その結果として相当無理が生じておることは、これはもう止むを得ないといたしましても、政務次官がおつしやつたような政治的なお考えに、真つ直ぐにこの行政府のほうも進んで行くべきであると私は感ずるのであります。各党が、かかる要望のある際でなければ、若し反対の空気が盛んなときには殆んどやることができないのじやないか。この産業政策は超党派的な問題でありまして、各党いずれも産業政策に非常な決意を持つておるような次第であります。実を申上げるというと、二十六年度予算、その他の政策というものが非常な低調なものでありまして、これは通常の年に……緊縮予算のときにできたものというふうに感じられるのでありますから、この際予算を伴わないものにつきましては、断乎として勇猛心を奮起して、そうしてどしどし決裁してやられるように希望いたします。又政治的の、予算を伴うものにつきましては、一つできるだけ早い機会において追加予算その他の方式によりまして思い切つた……、こういう機会というものは、十年に一遍来るか二十年に一遍来るかわからない、恐らくこの前の大戰以上の世界的出来事であると信ずるが故に、産業予算のごときは、如何なる困難が伴いましても、思い切つて出すことこそやがて不景気に対処するところの一番いいことなんであります。もう不景気の絶頂に立つて、どこもここも弱つたときにおいては政府がやりたくもやり得ないのだから、かかる場合においてこそやり得るのだから、勇敢なる産業政策を実行されるということを切に希望するわけであります。又大蔵省当局も税金を取り、金を出すほうは、どうしてもいろいろな振合い上なかなか出しにくいというのが原則でありますが、少くも償却を盛んにやらしめ、そうして不景気に処するということは、これはもうインフレ時代或いは職時時代に対する唯一の方策なんであります。極力償却を三年にやらす、或いは五年にやらすというような意味合いにおいて我が産業を育成する、これは積極的に金を與えるのも一つ産業政策であるけれども、取らないということがより以上のまあ大きな産業政策であるということは、これは申すまでもないことと思うのであります。こういう意味で積極、消極の両政策を、私は與党の立場からこの際大いにやられることが、他日において大いによいのではないかと思うのであります。それでありまして、ただ政務次官の御答弁にはおおむね満足する点が多かつたのでありますが、なお一層一つ末端に徹底するように、その場限りで、どうも政治的にこじつけられては非常に遺憾でありますから、どうかその点はよく資源庁長官、その他関係のかたがたと御相談下されましてお願い申上げたいのです。最後にこの二つの問題がまだ残つておりますが、銀の相場でありますが、只今はニユーヨーク八十セントの相場で、内地換算八千六百円ということに公定されておるのでありますが、その後非常に上昇いたしまして、九十セントになつておりまして、今日は九千六百九十六円程度が然るべき相場であるというように考えるのでありまして、先ほど日本鉱業の会長さんからの説明によりましても、銀の相場を是正してやるこことはやがて金とか銅とかというものをもやはり助ける一助となるのでありますから、銀の相場を至急に御改訂下さるようにお願い申上げます。又この地方税のほうはいろいろぐるぐる迴りしまして、随分業界からはいういろいろな陳情を出しているのでありますけれども、どうもぐるぐる廻りするために、どこに行くのか、総理大臣にでも持つて行かなければ話がきまらんようなことになりますが、これは一つどうか通産つ省が引受けて御交渉を願つて、この主要坑道、それから鉱滓の捨場、それからボタの捨場、その他の設備に対しての地方税の免税を希望するわけであります。今どこか、そういうことが進歩しておりますならば御関係のかたから御説明を願いたいと思います’
  75. 徳永久次

    政府委員(徳永久次君) 只今、終りのほうにありました銀価の改訂の問題は、御尤もな御意見でございまして、私ども今大蔵省の理財局のほうにお願いしておるのであります。理財局のほうとして、今の改訂の貴金属特別会計の制度に若干の欠陷があるようであります。これもまあ資金回転にでもなつておればいいが、現状においては、支出に縛られるというような制約もあるようでございまして、理財局長からここに適当に善処して何とかしてやるからという話をお聞きしておるわけであります。それから固定資産税の問題につきましては、実は国会にも大変御厄介になつておりまして、先般も衆議院の通産委員会でわざわざ地方財政委員会の委員のかたから財務部長等もお呼び願いまして、御相談頂いておるようなわけであります。その後地方財政委員会としましても具体的に地方へ通牒いたしたいというような御相談がございまして、一両日前にも、昨日でございましたか参りまして、大体の打合せをしておるようなわけであります。その通牒の出し振りにつきまして、事務的な通産省と立ての意見、こういう通牒にして下さいということを近くまとめまして、地方財政委員会と連絡するというようなふうに相成つておるわけであります。この中身につきましてはいろいろ問題もございますが、メタル関係については触れないで、メタル関係は地方それぞれ各企業との話合いで問題を片付けるという態度に地方財政委員会も了解いたしております。と申します意味は、坑外施設が相当ございますし、その面で固定資産税が或る程度取れるというようなことから主要坑道を地方公共団体としても大して対象にしてないというような事情もあるようであります。そういう業界と地方公共団体との動きに差障りの起らないような通牒を出してもらうということで、案文を目下検討中でございます。さような次第でございます。
  76. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 申上げますが、地方財政委員会からは、呼んでありましたけれども、今日は出席しておられませんから、若しも必要がありましたら次回にでも呼びますか。
  77. 小野義夫

    ○小野義夫君 是非一つ言明を得たいものであります。
  78. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) それじやこの次はそういうことに扱います。なお参考人のかたに申上げますが、重ねて御意見の開陳がございましたら、御発表をお願いいたします。
  79. 小野義夫

    ○小野義夫君 今の開発銀行というものは、実現されるように承わるのでありますが、その開発銀行の内容について、ただ漫然と開発銀行といつてつたのでは、先ほど西田委員からも縷々申されましたごとく、中小鉱山及び炭鉱などはなかなか普通の銀行家の頭ではわかりつこはないのだ。それでありますから、どうしてもこれをもう二、三年押続けて金を貸せばものになるものを、みすみす反古にし、若しくは惨澹たる資本の放棄ということになりがちなのでありますから、若し開発銀行というものが思うようにその目的を達しようという考え方ならば、あらかじめ実は内容について嚴正なる方針を立てて置かなければならんと思うのです。我々は、この前の議会でありましたか、ともかく鉱山業者の要望として鉱業銀行を、マイニングに関する銀行を作つてくれというので、百億内外の資金の枠を目標としてお願い申上げたのでありましたけれども、それは実現に至らなかつた。今日地下資源開発に対する特殊の銀行の必要なることは、漁村の漁業に対する水産の銀行以上に私は特殊の金融機能を有することだと思うのでありまして、この点についてはつきりした開発銀行の本来の使命を明確にいたしませんと、又々銀行を作つても袖にされてしまつて、わかりやすい地上の物資や或いは土地の開発や或いは電気なんというものは、これは極めてわかりやすい……、この水を処理すれば何キロの電力が出るというのは、大体算術のわかつている男にはわかることでありますけれども、地下資源開発などはそう簡單に算術では出て来ないのでありますから、これは余ほど開発銀行を作るのを焦点において、余ほど何かの鉱山に対してどういうことをやり、殊に鉱山のうちでいわゆる大中小に対してはどういう比率を以てどういうふうな危險に対して負担してやるというようなことまで研究してお作りにならなければ、ただそういう看板ができても、一年か、二年したらその銀行は行詰つちやうので、それは十年、二十年の勇気を以てやつて行かなければならんのでありますから、單なる金融業者についても駄目だと思うのですが、この辺のゆとりは大蔵省にあるのですか、どうですか、それを一つ承わりたい。
  80. 杉山知五郎

    ○説明員(杉山知五郎君) 開発銀行と申しますような、新らしい機構につきまして目下事務的に検討いたしておりますが、どういう業種を取扱うべきかというような問題も、この機構に関連しまして今後十分に検討いたして参りたいと、かように考えております。まだ今のところはいつ頃これが法案の恰好になるかというような時期的な問題もございまするので、今お尋ねになりましたような御趣旨を十分体しまして検討いたして参りたいと思います。
  81. 境野清雄

    ○境野清雄君 今の金融問題ですが、大体中小企業の金融なんというやつは大蔵省、通産省が勘どころをつかんでおるように私たちは考えるので、例えば見返資金にしても先ほどのようなお話があり、又中小企業の信用保險というようなのも謳つてはおりますけれども、大体三十六億ということを謳つておるのに、一カ月僅かに一千万円くらいしかこの間の話じやできなかつたというようなふうになつて、ちよつと金融機関と大蔵省ともう少し連絡をとつてくれないことには、市中銀行は営利会社なんですから、如何に大蔵省のほうでそういうふうな見返資金のことを出しても、或いは保險問題を出しても、自分のほうで見て貸さないという場合には、これは絶対貸さない、特に中小企業は借りられないというような状態になつておる。この中小の炭鉱の問題にしましても先ほど来議論がありました通り埋蔵量というものが、殆んど市中銀行ではそれを調査でき得ないというような場合は、政府として例えば資源庁あたりで埋蔵量というものに対して、一応の自分のほうにスタンダードがあつて、どこの中小炭鉱に対してはどのくらいの埋蔵量があるというような、資源庁あたりから保証でも與えてくれれば、それに対して金融するでしようが、それに対して市中銀行でそれを調査する、勿論調査方法もないし、興銀以外では駄目だというようなことになつておるので、そういうものに対して資源庁自体としては、そういうような用意があるのか、どういうのか、一つ資源庁長官にお伺いしたい。私は併せて見返資金の問題に関しては先ほどから大蔵省の当局から九億出ておる……、これは確かに出ておるのですが、これは多分統計からいいましても、まだ全部貸していなくて相当つておるだろう。余つておるものの一番隘路は貸す方法じやないのでありまして、手続が余り煩瑣過ぎて中小企業はそんなようなむずかしいデータはなくなかできないというのが現実じやないかと、こんなふうに思いますので、手続を大蔵省自体がもう少し簡素化するというようなことに対する用意があるか。もう一つは、今のような裏付けに対して資源庁あたりで、こういうようなものに対してのデータがあるのか、どういうのか、そういう点お伺いしたいと思います。
  82. 始関伊平

    政府委員始関伊平君) 炭鉱の内容につきましては中小炭鉱も含みまして、各社から主として設備資金関係におきましてどの程度の金を投下いたしますと今後生産がどう殖える。その場合にコストはどの程度になる、それからカロリーはどういうふうに上る。なお、只今お話のございました計画の基本といたしましての埋蔵量は勿論でございますが、将来の経理の内容、償還の見込み等を詳細に調査いたしました。私どものほうでいわゆる合理化三カ年計画と称するものが各社別にできておるのであります。その内容を興銀その他の金融機関、乃至は見返資金関係につきましては安本、大蔵省等にお示しいたしまして、いろいろ只今御指摘のような点につきましては、私どもこれをできるだけ裏書きするという立場から、努力をいたしておるのであります。にもかかわりませず、今日までのところ全部の調達金額から申しますと見返資金といたしまして二十数億、その他の関係相当出てはおりますけれども、合理化三カ年計画をやりますためには、非常に不足な金の調達しかできないという状態に相成つております。
  83. 杉山知五郎

    ○説明員(杉山知五郎君) 只今の見返資金関係ですけれども、お答えをいたしますが、中小炭鉱に対する直接投資の枠につきましては、これは各炭鉱別に資源庁から詳しい資料を安定本部にお出しになりまして、それによりまして融資対象を選定して、決定して行くという仕組になつております。それからお話の中小企業に対する一四半期九億の枠のこの金でありますが、これがおつしやる通りまだ全額は出ておりません。これは実は昨年の九月頃まで、つまり枠が一四半期三億でありました当時は、枠自体が非常に小さかつたのでございますから、なかなか融資の申請をいたしましても、金がそれに伴わないとかというようなことがありまして、随分遅れたわけであります。併し今日九億になりましたので、手続的には非常に早くなつておりまするし、それからなお、融資に際しての書類その他の手続につきましては、これは具体的に中小企業のかたから伺つて見ますと、普通の金融機関から融資を受けるよりもむしろ簡單な手続で済んでおるというようなふうに伺つておるのでありまして、このたび枠が拡大いたしましたのに伴いまして、そのことが一般に周知される、徹底されるというようなことになりましたならば、又殊に最近貸付けの対象に五百万円までは貸せるというようなことにいたしましたので、この枠にはまりますものが、今後は相当円滑に融資に乗つて来るのじやなかろうかというふうに考えております。
  84. 境野清雄

    ○境野清雄君 今の大蔵省からの答弁で、市中銀行よりも見返資金の借入れのほうが簡單だというような報告……、それを実際だと思つておるのはおよそ認識不足も甚だしいので、実際問題としますと、これは見返資金は、中小企業にあつては先の一カ年間の收支計算を出せとか何とかいうような條項が相当ある。そういうものに対して原料面においてもそういうふうに日々価格が変つておるというようなものであり、輸出にしたところが六カ月以上の輸出契約はいけないと言つて置きながら、一カ年先の事業計画を出せという、これは立たんものときまつておるようなむずかしいものが出て来るので、今日見返資金の活用というものに相当に障つておるということはこれは事実であつて、そういう点に関しては再度大蔵省のほうでもお調べ願い、これをもう少し簡素化するように、一つ御努力願いたいと思います。併せて今の資源庁長官からの御答弁ですが、資源庁長官からの御答弁の要旨は、逆に見ますと一つの炭鉱が市中銀行から金を借入れする、借入れすると直ちに資源庁のほうへ申入れして、資源庁がこれはこれくらいの価値があるんだということの保証をして借りるという意味なんですか。例えば中小企業庁でやつている工場診断というようなものは、工場診断したものが或る程度中小企業の金融に対しての裏付けになつているというようなことを、最近地方で聞いておるのですが、そういうようなことであつて資源庁として乗り出してやつて頂げるのであるかどうか、その点を一つお伺いしたいと思います。
  85. 始関伊平

    政府委員始関伊平君) 只今のところでは、只今お話のような保証制度は石炭、金属鉱山ともございません。中小企業の信用保險の適用のあるもののほかは含めてございません。ただ先ほど来お話がありましたように、金融機関といたしましては炭鉱の実情等の調査が極めて困難であるというような点もございますので、最終の決定はいわゆるコンマーシャル・ベースで金融械関にやつてもらうわけでありますが、一応の資料といたしまして、大体この炭鉱につきましてはこの程度の金融があれば、こういうふうに改善の効果が上り、なお資金回收も確実である。そういうような意味での資料の提供乃至は斡旋という意味でございまして、只今のところでは保証というような制度一般的にはやつておりません。
  86. 境野清雄

    ○境野清雄君 中小企業の金融というやつは、大体はもう目先に迫つて明日にも要るというような金が、大体中小企業対象になつているので、さつき次官から話したように、これから方針を立てて中企業、小企業と分けるなんと言つてもなかなかものにならないであろう。もう少し大蔵省としても通産省自体にしても、実際に即応するように何とか方針を立ててもらい、そして一日も早くそういう問題が実際化する。借入れができるという方針について一つ格段の御努力を願いたいと思います。
  87. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) お諮りいたします。地下資源開発並びに確保に関する問題は頗る重大でありまして、その対策については一日や半日の討議では盡せないと思つております。本日は、その問題の所在点を概略的に究めたに過ぎないのでありますが、当委員会として更に重ねて対策の詳細について審議することにいたしたいと思います。  本日は、一応これで委員会を閉じたいと思いますが、如何でございましようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  88. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) それでは、本日の委員会はこれで閉会いたします。    午後四時二十一分散会  出席者は左の通り    委員長    深川榮左エ門君    理事            古池 信三君            栗山 良夫君            結城 安次君    委員            上原 正吉君            小野 義夫君            松本  昇君            下條 恭兵君            加藤 正人君            山川 良一君            西田 隆男君            境野 清雄君   政府委員    大蔵省主税局長 平田敬一郎君    大蔵省主税局税    関部長     石田  正君    大蔵省理財局次    長       酒井 俊彦君    通商産業政務次    官       首藤 新八君    資源庁長官   始関 伊平君    資源鉱山局長 徳永 久次君   事務局側    常任委員会專門    員       山本友太郎君    常任委員会專門    員       林  誠一君    常任委員会專門    員       小田橋貞壽君   説明員    大蔵省銀行局総    務課長     杉山知五郎君    経済安定本部産    業局機械金属課    長       日高準之介君   参考人    日本鉱業協会長 岡部 楠男君    古河鉱業株式会    社社長     新海 英一君    帝国石油株式会    社社長     酒井 喜四君    田中鉱業株式会    社社長     田中 次郎君