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1951-02-22 第10回国会 参議院 通商産業委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年二月二十二日(木曜日)    午後二時三十二分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○特許法の一部を改正する法律案(内  閣提出衆議院送付) ○意匠法の一部を改正する法律案(内  閣提出衆議院送還付) ○弁理士法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○商標法の一部を改正する法律案(内  閣提出衆議院送付) ○実用新案法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○南阿連邦日本繊維製品輸入関税引  上げ措置撤回に関する請願(第一九  一号) ○地方自治法第百五十六條第四項の規  定に基き繊維製品検査所支所及び  出張所設置に関し承認を求めるの  件(内閣提出衆議院送付) ○中小企業金融難緩和に関する請願  (第二九号) ○商工組合中央金庫等資金増強に関  すを請願(第五五七号) ○喫煙用具輸出保護育成に関する請  願(第一〇号) ○輸入促進および円滑化に関する陳情  (第四七号) ○競輪の健全育成に関する請願(第四  二号)   —————————————議員派遣要求の件
  2. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) それではこれより委員会を開きます。  本日は公報でお知らせいたしておきましたごとく、議題も大分たくさんあるようでございますが、先ず特許法関係ほか法律の一部改正法律案四件があります。それに対して質疑の残つているかたは順次御発言をお願いします。その法律案特許法の一部を改正する法律案意匠法の一部を改正する法律案弁理士法の一部を改正する法律案商標法の一部を改正する法律案実用新案法の一部を改正する法律案、五件の法律案でございます。
  3. 栗山良夫

    栗山良夫君  私はこの提案理由政府側説明を伺いますと、いろいろ止むを得ない事情があると思うのですが、まあこういう問題に対する根本的な政府のお考えを一つ伺つて置きたいと思うのであります。それは提案理由説明書の中に特許庁は開設以来工業所有権制度による諸収入支出を賄い、なお且つ相当の余裕があつたのでありますが、大体その特許庁関係のようなところは日本工業技術発展指導に当る重要な部門であろうと思いますが、そういうところがそういうような收入支出を賄らという考え方がいいか悪いかということに問題があると思うのであります。特に工業技術一般指導にしましても、通商産業省の予算を見ますと僅か数億円より入つていない。こういう実情でありまして、あれなどももつと殖やさなければならないのじやないかと思いますが、問題はこういうよらな国の産業振興のために最も重点的な関心を持たなければならん仕事を掌る特許庁財政というものを、こうゆうようなかつこうで賄うことはやめまして、そうして国庫の費用でもう少し十二分に仕事をすると、こういうようなふうに持つて行くべきであると私は思うのでありますが、との点に対するお考えを伺いたい。
  4. 首藤新八

    政府委員首藤新八君) 御尤もなお設でありまして、政府も全く同感であります。たまたま説明いたします場合に、只今栗山委員の指摘されたような表現をいたしておりましたので、こういうふうなお考えなつたと思うのでありますが、飽くまでも奨励は、経済の発展のためにこれをできる限り優遇しなければならん。従つてこの特許庁におきましても、収入如何にかかわらず内容を充実拡大いたしたいとかように考えまして、明年度におきましても相当数の増員を実は予定いたしておるのであります。ただ今度の改正支出という面よりも、手数料その他が他の政府で決定しておりまするものに比較しまして非常に低率になつておる。同時に又現在の物価から考えましても余りにも低きに過ぎる。かような考えから適当に引上げる必要ありという見解の下に提案いたしたのでありまして、特許庁費用をカバーすることを目的といたして引上げたものでないということだけは御了解を願つて置きたいと思います。
  5. 栗山良夫

    栗山良夫君 そうしますと、通産省といたしては、こういう発明発見に対する奨励或いは工業技術民間指導というような問題については、その方針としては国費をこれに投ずることはやぶさかでない。そういうはつきりした態度をお持ち願つておることを確認し。て置いていいわけですか。
  6. 首藤新八

    政府委員首藤新八君) その遡りでありまして、財政の許す限りこういう問題には思い切つた措置を講じたいと、常にさような気持を持つておるのであります。
  7. 栗山良夫

    栗山良夫君 実はもう二三年前から私どもはそういうことを強調して来たのでありますけれども、どうも私どもの十分と思われるほどにそういう施策が行われていないように考えるわけですが、そういう方針を少くとも近い将来に実行に移されるような用意があるのでございましようか。
  8. 首藤新八

    政府委員首藤新八君) 只今政府といたしましては具体的なあれは持つておりませんが、発明協会におきまして、いろいろの案を練つておるように聞いておるのであります。余り遠からんうちに、政府のほうに進言して参るのではないか。かような場合におきましてはできる限りこれを取上げまして、こういう面における施策を強力に推進いたしたいと、かように考えておるのであります。
  9. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) ほかに御発言はありませんか。
  10. 小野義夫

    小野義夫君  只今問題になつておりますところは特許法の一部改正実用新案法の一部改正意匠法の一部改正弁理士法の一部改正商標法の一部改正、以上五件でありますが、このことにつきましては先般来の委員会にも相当論議されまして、仔細に質疑があり、政府側応答もあつたようでございますから、この辺で質疑を打切りまして、討論、採決されたら如何ですか。
  11. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) ちよつと速記を止めて。    〔速記中止
  12. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 速記を始めて。別に御発言もございませんようですから、質疑は盡きたものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 御異議なしと認めますそれではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたは、それぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。
  14. 栗山良夫

    栗山良夫君 私は社会党を代表いたしまして、この法案賛成をいたします。但し政府側提案理由説明書主文をなしておりますものは、特許庁支出工業所有権制度による諸収入では賄い切れない、そういうところが主文なつておりまして、そのあとに物価の変動に伴う諸法令料金も適当に増額されておるので、これと均衡を保ちたいというような工合になつておりますが、こういう意味であれば、私ども賛成しかねる点があるわけであります。併し先ほど政務次官から、こういうように説明に書いてあるけれども、事実は中心になるのは、他の諸料金との均衡をとるためにやりたいのである、特許庁財政運営については別個な観点でやる、将来努力をするつもりである、こうおつしやつたので、それを了解いたしまして、そうして賛成をいたしたいと思います。
  15. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) ほかに御発言、こぎいませんか。
  16. 古池信三

    ○古池信三君 私は自由党を代表いたしまして、特許法の一部を改正する法律案ほか、四法律案につきまして、賛成意見を述べるものであります。本法案は時局の推移に順応し、この改正は止むを得ざるものと認めまするので、自由党といたしましては、本案通過賛成をいたすものであります。なおこの機会希望を申述べたいと思うのでありまするが、特許その他の出願は、いずれもこの添附書にありまするように、非常に件数が多数に上つており、又それぞれが国民の権利義務に重大なる影響を與えるものでありまするから、これが審査決定のためには相当の日数を要することは当然と考えまするけれども、成るべく能率を上げて、できる限り迅速に処置せられるように希望をいたしたいのであります。この希望意見をこの機会に申上げまして、本案通過には賛成いたすものであります。
  17. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) ほかに御発言はございませんか。  ほかに御意見もないようでございまするから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 御異議なしと認めまして、それではこれより採決に入ります。  特許法の一部を改正する法律案意匠法の一部を改正する法律案弁理士法の一部を改正する法律案商標法の一部を改正する法律案実用新案法の一部を改正する法律案を一括採決するに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) それでは只今の五法案について採決いたします。  只今の五法案を原案通り可決することに賛成のかたの挙手をお願いいたします。    〔総員挙手
  20. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 全会一致と認めます。よつ本五案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお本会議における委員長口頭報告内容は、本院規則第百四條によつて、あらかじめ多数意見者承認を経なければならないことになつておりまするが、これは委員長において、本五案の内容、本委員会における質疑応答要旨討論要旨及び表決の結果を報告することとして御承認願うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  21. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 異議なしと認めます。  それから本院規則第七十二條によりまして、委員長が議院に提出する報告書に多数意見者署名と附することになつておりますから、五案を可とされたかたは、順次御署名と願います。   多数意見者署名     廣瀬與兵衞  古池 信三     栗山 良夫  小野 義夫     上原 正吉  松本  昇     重宗 雄三  加藤 正人     山川 良一  境野 清雄   —————————————
  22. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 次に広報では、地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、繊維製品検査所支所及び出張所設置に関し承認を求めるの件とございまするけれども、これを後廻しにいたしまして、都合上、請願第百九十一点から議題といたしたいと思つております。本件についてはすでに昨年末に加藤君からの要望もあり、且つ本日関係業者において対策協議のための会合があつて、全国から本件関係を持つ業者が上京しておられますので、特に参考人として、日本毛麻貿易協会理事長守田壽雄君、関谷産業株式会社社長関谷喜久雄君、江商株式会社常務取締役高見重義君、綿輪会から長谷稔君の出席を求めております。従つてこの参考人のかたがたからも本件に関する説明を聞いて頂きたいと存じます。この点お含みの上、先ず紹介議員境野君から、この請願趣旨を簡単に御説明をお願いいたしたいと存じます。
  23. 境野清雄

    境野清雄君 私から説明申し上げてもよろしいのですが、幸い業者参考人のかたがお見えになつておりますので、そのほうから一つお聞き取り願いたいと思います。
  24. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) それではお諮りいたしますが、業者が四人見えておられますが、そのかたから請願趣旨を拝聴することに御異議ございませんでしようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  25. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 異議なしと認めます。それでは参考人として守田君。
  26. 守田九壽雄

    参考人守田九壽雄君) 私日本毛麻貿易協会理事長守田九壽雄でございます。  過般南アフリカ南ア連邦におきまして、日本繊維製品に対しまして八月二十五日附を以ちまして、非常に高率な関税を突如課したわけであります。これによりまして一番商品のうちで打撃を受けましたのは毛織物でありまして、毛製品と申しましても、大体毛織物中心でございまして、その毛に関しまして大体概要を申述べたいと思います。南ア日本貿易関係は、他の商品は別といたしまして、毛の関係につきましては戦前より南アより相当量羊毛日本へ輸入いたしまして、戦前におきましても日本毛製品輸出市場といたしましはインドに次ぐ大きな市場であつたわけであります。職後日本貿易再開と共に、いち早く相当大量の日本からの毛織物買付が実現いたしたのでありまするが、先ほど申しました八月二十五日附でこれに対しまして従来一割の関税でありましたのが、暫定的に五割の関税を賦課したわけであります。これによりまして毛製品南ア向け輸出は全く止つてしまつたわけであります。毛の輸出の現在のマーケットといたしまして、やはり南アけ唯一の大きな市場であつた関係もございまして、我々業者は非常にこの問題に当面いたしまして困つたわけであります。これはすでに御承知と思いまするが、特にいわゆるソ連その他ソ連衛星国、その他では日本というふうに、日本が特にエクストラ・デユーテイーをさせられて、いわゆる差別的な待遇を受けるに至つたわけであります。南ア実情といたしましては、国内には羊毛産業は現在では殆んどございません。全部英国から或いはイタリーからベルギーから買つておるわけでありまして、日本製品英国製品に次いで一番たくさん輸出しでおつたわけであります。同時に現在イタリー英国とも非常に輸出力が減退いたしておりまして、日本商品は比較的デリハリーの短かい商談が可能であるということ、丁度向うの民情に適した商品の供給ができますために、非常に現地といたしましては日本品を渇望しておりました際であるにかかわらず、そういう措置がとられたわけであります。早速当局へ御依頼いたしまして、事情を調査いたしますると共に、我々も関係業者といたしまして得意先を通じまして現地商工会議所或いはその他の機関にこの問題を訴えまして、昨年以来この問題の解決に努力いたしますと共に、陳情書を提出いたしまして請願なつたものであります。幸いにも御当局の適切な措置によりまして、一月の二十日に問題の第一回の解決といたしまして五割のものが二割五分に下げられましたが、これは現在英国に比べましてはやはり二〇%の割高であります。イタリーその他の各国に比べまして今日でも依然として一割天分の関税差があるわけであります。この南ア政府の新らしくとられた関税五割を二割五分に引下げられた措置以後の状況はどうかと申しますと、依然といたしましてイタリー品或いはベルギーのものに対しまして一割五分のハンデイキヤツプがあること、英国品に対しまして二割のハンデイキヤツプがあることは、やはり今日でも非常な重荷となつております。それかために、折角五割が二割五分になつたのではありまするが、今日従前のようにはかばかしく契約は進みかねておる。これは非常に羊毛値段が上昇した、繊維市場価格がそれに追随していないという点は幾分はあるのでありますが、やはり何と言いましてもこの差別関税と言いますか、エクストラ・デユーテイーのあることがやはり貿易の阻害になつておるわけであります。最近一月二十日のこの措置南アで実施されました以後には、大体混紡品の極く価格の安いものが相当量契約できつつあります。併し今申上げたように従来出ておりましたよろなものはやはり値段競争難の現状にありまして、我我業界といたしましては是非早い機会に他のいわゆる競争国と同じように、このエクストラ・デユーテイー撤廃を更に要望したいと考えておるわけであります。最近現地から各商社へ通信が参つており、又各商社代表者が多数現地にも駐在しておりまして、我々始終連絡をとつておるわけでありますが、現地においてもこれが早く撤廃されることを非常に要望しておるのであります。いま少しこの問題の解決に力を押してもらえますれば、我々の見通しといたしましては、さほど困難なく撤廃ということが実現するのではないか、かように考えております。請願をお取上げ願いましていろいろお骨折願つておりますことをお礼を申上げますと共に、今後もこの問題の解決に更にお力添えを願いたいと御依頼申上げます。
  27. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 次に政府より本件につきまして御意見がございましたら御発言をお願いいたします。なお申上げますが、本件につきましては、去る十二月当委員会においての結果に基きまして、通産大臣まで善処方をお願いして置きましたが、それに対する経過の報告も御発表をお願いいたしたいと思います。
  28. 首藤新八

    政府委員首藤新八君) 只今の御陳情に対しまして、政府の今日までとつた対策、並びに今後とらんとしておる構想というような点をお答えいたしたいと存じます。  御指摘の通り、昨年八月二十五日突如南アにおきまして輸入税を大幅に引上げたのでございます。これは全く日本政府といたしましては寝耳に水の驚きをいたしましたので、直ちに総司令部並びに英国の大使館、更に又当時向うに滞在しておりました民間関係者を委嘱いたしまして、いろいろ陳情をいたし、又引上げ理由を調査いたしたのであります。その結果南ア関税引上げは結局最恵国、並びに特恵国以外の国だけを対象としたものでありまし丁、特に日本対象としたものでないことは明白になつたのであります。更に又この引上げ目的が同国の産業を保護するということを目的といたしたものでありまして、不正競争を防止するというような意味は全然認められないのであります。更に又西ドイツがこの引上げ対象国なつていないということでありまするが、これも一九四八年ですか、ガット協約国西ドイツをこれに入れる、要するに最恵国としての待遇を與えるということで署名いたしましたので、従つてそれ以後西ドイツガット協約国に入つておるという関係から、西ドイツは除かれたということに相成つておるのでありますが、いずれにいたしましても日本の折角復興しかけました輸出貿易に非常な影響をもたらしますので、爾来あらゆる方法を以ちまして関税引下げを交渉いたしました結果、先ほどお話通り、一月二十日、先月の二十日でありまするが、五割を二割五分に引下げたということに相成りまして、かなり日本輸出にも好影響をもたらしておると思います。併しながらなお最恵国、或いはその他に比較いたしましても、相当高率になりまするので、その後もあらゆる機会、あらゆる場所を選びまして引下げの折衝を続げておるのでありまするが、併し目下のところ最も確実に引下げられそうな措置は、このガット協約国に入るということが最も効果的な対策だと、かように信ずるものであります。ところがそれをいたしまするためには、日本の現在の関係法を全面的に改正いたしまして、ガット協約国に入れるような措置を講ずる必要がある。かように考えまして最近大蔵省、通産省、両省の間におきまして、この関税全面的改正を検討いたしておるのであります。大体これも完了いたしましたので、近く国会に提案いたしまして、そうしてその次にガット協約国に入りたいという実は構想を持つておるのであります。恐らく国会におきましても御協賛を得るであろうということを確信いたしておりまするので、国会通過いたしましたならば、早急に以上申上げたような措置を講じて参りたい、かように考えておる次第であります。なお又この問題につきまして、民間調査団派遣してもらいたいという要望がありまするけれども、現在の情勢から考えますると、ガット協約国に入るということが一番効果的であると信じておりまするので、取りあえず現在のところはこの面に進んで参りたいという考えを持つておるのであります。以上御了承願いたいと思います。
  29. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) ちよつと申上げますが、この件につきましては、丁度大臣委員長として申入れましたときに、その最近の時期に日英通商会談があるから、そのときに特に大臣に御出席願つて、そうしてこの関税等については一つ善処しで、そうして関税改正をして頂くように、向う発言をしてもらうようにお願いして置きましたのですが、その辺の御報告大臣から如何でしようか。
  30. 横尾龍

    ○国務大臣横尾龍君) 南ア関税問題につきましては、業会のかたも関心を持つておられることはよく承知しておるのであります。先刻政務次官からお話した通りのいきさつであります。又日英協定会談に対しましても、今の件につきましても話をいたした次第であります。さよう御了承願います。
  31. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 特に一つお願いして置きますが、この問題は、やはり大臣としての御出馬をお願いしまして、日本としても特別の関税は高いということは甚だ貿易上困るわけでありまして、我が国の産業に非常に影響しておることだと思いますので、特に今後ともこの問題につきましては御配慮をお願いしたいと切にお願いして置きます。なお大阪の高見君より発言を求められております。
  32. 高見重義

    参考人高見重義君) 江商常務取締役高見であります。このたびの南ア関税につきましては、先ほど詳細は守田さんから言われましたので、私から更に先立つて説明する要はないと思うのであります。関税引上げ以来政府並びにスキヤップのとられた政策に対しましては、我々民間業者は非常にその速効的な処置に対しまして、極めて効果がありましたことを大いに感謝する次第であります。荏苒日を空しくしておりますと、事実がありのままに証明いたすことになりまして、そのままずるずるべつたりに関税引上げが実行されるという経験は我々従来嘗めていた苦い経験でありますので、一日も早く問題を解決するということにつきまして、民間業者は一致結束してその善処要望したのでありますが、それに応えて政府のほうにおかれましても極めて迅速に処置され、現在のような二割五分の引下げというような完全に満足ではないのでありますけれども、一応我々といたしましては満足をせざるを得ないような結果を出されて、非常に感謝をいたしておる次第であります。私が勧告します綿のほうにつきましても、もともと綿は毛とは相当事情を異にして、南アヘの輸出は綿の輸出から見ますと大きなウエイトはないのであります。これを具体的に申上げますと、昨年の約十一億二千万ヤールの輸出に対しまして、南アヘの輸出というものは僅かに五千五百万ヤ「ルと、そデ重大な意味でないのであります。が併しこれが東南アフリカ、西アフリカ、東アフリカ、更に東南アジアの諾地域にこの関税引上げが無雑作に実行されるということになりますと、極めて日本輸出に憂うべき結果を招来することを非常に心配していたのであります。事些細なりといえども、今回のこの綿布の関税引下げにつきましては、我々は非常に将来のことを考えますと満足をしていないような次第であります。ただ先ほどガツト加入問題、又調査団派遣、これにつきまし首藤さんからいろいろ御説明があつたのでありますけれどもガツト加入相当の時日を要する、而も最近の情勢を見生すと、やはり各国関税政策というものが、刻々に日本とつて不利になつて来ておる。これを早く解決せなければ、この空間をどうするかということは私は非常に重大な問題であると考えるのであります。日本関税が或い規制されまして、そうしてそれに対して日本政策の面を十分、ガツトに新らしく入るということにするのが一番正当な事由であると思うのでありますが、このガツト加入までの空白時間というものを、できるだけ日本とつて不利にならさないような、あらゆる私は施策というものが必要でおる、こう感ずるのであります。その一例といたしましては、先ほど委員長も仰せられました日英通商協定、これに対して暫定的なことをやるとか、海外各地調査団を至急派遣いたしまして、個別的にその條件を取入れるということが絶対私は必要であると思うのであります。翼くばできるだけ今後の日本輸出貿易について単なる価格競争というのではなくして、関税より来るところの日本の不利な圧迫は全然我我業者といたしましては、極めて不愉快な存在でありまして、如何に経営の合理化をやりましても、どうにも打開できないというような点が多々あると思いますので、でき得るだけ今より万全の対策を進めて頂きたいと希望いたしまして私の話を終ります。
  33. 首藤新八

    政府委員首藤新八君) この南ア貿易に対しましては、政府は非常にこれを重大視しておるのであります。と言いますのは、昨年来南ア貿易が漸次殖えて参つた、殊にアメリカの軍備拡張がいよいよ軌道に乗りまして、軍需生産が飛躍的に殖えます以上は、民需が漸次低下して行くのでございまして、従つてアメリカの輸出圏内でありましたところの南アというものは、今後いよいよ日本との貿易係が急カーブを以て上昇して行くであろう、こういう実は予想から南ア貿易には格段の関心を持つておるのであります。従いましてその最も障害となるべき関税に対しましては、これ又特段の関心を持つておるのでありまするけれども、先ほど来申上げましたごとこと、日英通商会談におきましても、しばしば大臣から申入を出したのでありますが、更に又正式に司令部、又とちらの大使館を通じましてもいろいろ引下げ陳情をやつて来たわけであります。その結果が五十から二十五になつた、要するに半額になつたのであります。これ以上使節団が参りまして陳情いたしましても、果して幾ばくの効果があるかという点に若干政府といたしましては、疑念を持つのであります。それよりも最も効果的である対策をとることが根本的ではないか、そのためには日本南ア関税引上げられることに不愉快を感ずると同様に、日本関税の高いとによつて、外国も不愉快を感じるであろう、従つて先ず日本関税を全面的に改正いたしまして、以てガツト協約国の一員に入るということが時間的に考えましても、効果的な点から考えましても一番有効だという実は信念を持つておるのであります。更に又民間の使節団が参りまして、いろいろ陳情することも有効かとは存じますけれども、他の方面との振合いもあります関係上、二割五分からどの程度引下げられるかという点に一応考慮しなければならんのではないかということも考えられます。特に御承知の通り現在におきましては、この使節団を派遣するということは、司令部との関係もありまして、そう簡単には参りかねる事情もあるのでありますので、而もこれほどの手数をかけてなお適切でないとい方法をとるよりも、片一方では最も効果的であるというはつきりしたものがありますので、その方法をとるのが適当ではないかというふうに考えておるのでありますが、いずれにいたしましても、先ほど申上げました通り南ア関税に対しましては特段の関心を持つておりますので、今後相当の何をとりまして、極力引下げに対しましては配慮いたしたい、かように考えております。
  34. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) ほかに委員のかたで御発言はございませんか。
  35. 境野清雄

    境野清雄君 今の政府の答弁で見ますと、大体五〇%を二五%に下げた、二五%に下げたのであとは全然望みがないから、前に二五%に下げたような努力をして、無駄だからそれは打切るというのか、それとも打切つてガツト協約国になるということのみに専念するというのですか。両方いわゆる先方に対してはエクストラ・デユーテイーをなくするような努力をしつつ、併せてガツト加入するということを考えられるのか、その点を一つ伺いたいと思います。
  36. 首藤新八

    政府委員首藤新八君) 只今申上げましたところにおきましては、ガツト協約国に入ることだげでなく、その以前におきましてもあらゆる方法を以つて政府としてなし得る範囲において引下げの方法をとつて見たい。両方二つの線から進んで見たい、かように考えておるのであります。
  37. 境野清雄

    境野清雄君 先ほどの高見さんのお話によると、ガツト加入までに相当の期間を要するのではないかというようなお話がありまして、その空間をどうするのだというようなお説だつた。これは非常に御尤もだと思うので、政府自体としては今関税や何かに手を入れまして、ガツト協約国になるとの見通しについては一応どうなつて薫るか、伺いたい。
  38. 首藤新八

    政府委員首藤新八君) 先ほど申上げましたごとく、通産省、大蔵省の間におきまして、新聞税定率を大体決定したのであります。従つてこれを近いうちに国会に提案いたしたいというふうに考えておるのでありまして、国会通過いしますれば、多分これを御協賛を願えるものであるという実は考え方の下に、それぞれガツト協約国たるべく準備を進めておるのでありますから、先ほど高見参考人が言われたようにそう時間はかからない、さように考えておるのであります。
  39. 境野清雄

    境野清雄君 前に五〇%のものを二五%に下げた経験もあるでしようから、南アの問題については業者自体としても相当重大問題だと思うので、余り空間のないように、一つ格段の政府の努力をお願いします。
  40. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) ほかに御発言はございませんか。  それでは請願百九十一号を採択いたすことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  41. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 御異議ないと認めまして、採択することに決定いたします。
  42. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 次に地方自治法方百五十六條方四項の規定に基き、繊維製品検査所支所及び出張所設置に関し承認を求めるの件を議題といたします。本件は本日の衆議院本会議に上程、可決付託されました旨報告がありましたので、直ちに当委員会としては本審査に入りたいと存じます。質疑のおありのかたは御発言をお願いいたします。
  43. 境野清雄

    境野清雄君 繊維製品検査所の新らしい設置には、前に請願など出ており、相当これは必要なものということは、私どもも承知いたしておるのでありますけれども、大体既設の繊維製品検査所相当予算が不足しておつて、人員その他が相当まだまだ拡充しなければ従来の繊維製品の検査所というものは完全な運行ができ得ないというのが現状であるのにかかわらず、出張所をたくさん設けることは逆に見ますと、既設の繊維製品検査所というものが手薄のまま行くということはなかなか従来の繊維製品検査所は困ると思う。この点に対して一つ政府のほうから、今後新らしい年度において繊維製品の検査所をもつと拡充する意思があるのか、予算としてはもつと殖やせるようになつておるのか、その点の御説明を願いたいと思います。
  44. 近藤止文

    政府委員(近藤止文君) 只今の御質問でございますが、来年度におきましては繊維製品検査所の検査員の人員を相当増加することにいたしまして、現在予算の御審議をお願い申上げております。  なお、今回設置いたします支所出張所につきましては、従来本所から一々出張いたしまして検査いたしておりました関係上、同じ人数を以ていたしましても検査の能率が非常に低かつたのでありますが、支所出張所にいたしまして、そこに従来出張検査に使いました職員を相当数常駐いたすことによりまして、相当の能率増加ということに相成りまして、職員の手不足の点をかなりの程度補い得ることになると思うのであります。将来検査の数量、或いは検査所を別に相当増設しなければならないという情勢にもございますので、そのほうは来年度の予算に人員の増加をいたしまして賄いたい、かように考えております。
  45. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) ほかに御発言はございませんか……。それでは別に御発言もございませんようですから、質疑は盡きたものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  46. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 御異議ないと認めます。それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたはそれぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います……。別に御意見もございませんようでざいますから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  47. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、繊維製品検査所支所及び出張所設置に関し承認を求めるの件、右の件について承認を與えることに御異議ございませんか。    〔「異議な」」と呼ぶ者あり〕
  48. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 御異議ないと認めます。それでは承認を與えることに決定いたしました。  なお、本会議における委員長口頭報告内容は本院規則第百四條によつてあらかじめ多数意見者承認を経なければならないことになつておりまするが、これは委員長において本案内容、本委員会における質疑応答要旨討論要旨及び表決の結果を報告することとして御承認願うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  49. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 御異議ないと認めます。  それから本院規則第七十二條によりまして、委員長が議院に提出する報告書に多数意見者署名を附することになつておりますから、本案を可とせられたかたは、順次御署名を願います。   多数意見者署名     庸獺與兵衛  古池 信三     栗山良夫  上原 正吉     重宗 雄三  加藤 正人     山内 卓郎  西田 隆男     境野 清雄   —————————————
  50. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 次に請願第二十九号と五百五十七号を一括して議題に供します。  本件に関連して委員のうちから中小企業信用保險法の実施状況に関し質疑が出ておりますので、両者に深い関連を持つ商工中金の副理事長に参考人として御出席願つております。先づ専門員から請願趣旨説明いたさせます。
  51. 小田橋貞壽

    ○専門員(小田橋貞壽君) それでは請願第二十九号及び五百五十七号の請願趣旨を簡單に御説明申上げます。  第二十九号は中小企業金融難緩和に関する請願というのでありまして日本絹人絹織物同業会岸加八郎ほか五十九名から出ておるものであります。その趣旨は、最近における一般市中銀行の融資態度は、日銀の引締めを反映して来たことと、オーバー・ローンの進行を防ごうとする機運からますま消極的となり、その選択貸傾向はいよいよ強化されて来た。この結果は、中小企業者に全面的な圧迫となり、業者の運転資金枯渇状況は実に惨憺たるものがあるから、速かに流通の円滑化を図られると共に、手許資金を潤択に保有し得る方途を講ぜられたいというのがその趣旨であります。  それから五百五十七号は、商工組合中央金庫等資金増強に関する請願というのでありまして、熊本県議会議長大久保勢輔氏からであります。その理由は中小企業等協同組合の系統金融機関としての商工中金及び国民金融公庫の貸付資金が極度に窮乏し、現下の深刻なる金融難に対し運用の万全が期せられない状態にあるので、中小企業振興対策上この両特殊機閥の強化は極めて緊要と考えられるので、資金の早期増加方を要望すると、こういうのであります。
  52. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) この二つの請願について政府側から御発言をお願いいたしたいと思つております。
  53. 首藤新八

    政府委員首藤新八君) 中小企業の金融問題でありまするが、これにつきましては政府は常に積極的に金融の疏通を図りたい、円滑化を図りたいということを重点的に考えて参つたのであります。従つて御承知の通り昨年十一月からは見返資金をこれまでは一四半期三億でありましたものを一気に三倍にいたしまして九億に拡大いたしたのであります。更に今日まで中小企業の金融ができないという最も大きな原因は中小企業の信用が薄弱であるという点からの銀行の貸澁りが最も大きな理由でありましたので、中小企業の金融を緩和いたしまするのには何といつてもこのネツクを取らなければならない、そういう考え方から実は前国会におきまして御協賛を経ました信用保險制度、恐らくこれは画期的な制度だと我々は考えているのでありますが、これによつて国家が七割五分の補償をいたすという制度でありまして、この七割五分を補償することによつて今日まで信用薄弱ということで金融を躊躇いたしておりました銀行も恐らく従来とは変つた金融をするだろうという考え方を以ちまして、実はこれも一月から実施いたす予定のものを、年末関係がありましたので、昨年の十二月十五日からこれを実施いたしたというような方法をとつて参つたのであります。然るにいろいろ保険料の分担問題等々が政府部内の意見が統一いたしません関係上若干実施が遅れているのでありますが、それでも先月からぼつぼつ関始いたしたのであります。今日までの申込はまだ七口、千五百万円程度に過ぎませんけれども、追々この法案が一般に徹底するに従いまして殖えて参るだろうというふうに期待いたしておるのであります。併しながらなおこれで満足していいかどうかという点にも若干疑問があるのであります。と申上げまするのは、この陳情書にもありましたごとく、各銀行の手許が常にオーバー・ローンになつている現在においても、まだ解消していない。更に又最近は国際物価が急激に値上りいたした、従つて今日までの融資額でほ到底賄い切れないというような事情にも追い込生れているのが現状であります。かたがたこれらの問題を今後どういうふうに解決して、以て金融を円滑にするかという点につきましては、折角中小企業庁におきましても現在検討をいたしているりであります。なお来月一日にはこの問題につきましてとくと関係機関のお智慧も拝借いたしたいというふうにも考えて準備をいたしている次第であります。ところが見返資金も先ほど申上げたごとく一気に三倍にいたしたのでありますが、どういうものか案外申込手が少い。現在でも十三億余の余裕を持つておるというようなことになつておるのでありますこれは結局は地方の銀行が手許資金拂底又は相手の信用薄弱というようなことで、かような面倒な手続をして貸すよりももつと楽な安心の行く方面に貸したほうがいいというような気持を持つたことがこういうような結果になつたのではないかというふうに考えておりますが、極力各銀行の協力を得たいというふうな考え方を持つておるのであります。  もう一つはこの商工中金並びに国民金融公庫の問題でありますが、商工中金も久しい間開店休業のような状態でありましたが、昨年下半期来は非常な勢いで金融が殖えて参つたのでありまして、昨年春までは十数億か二十億程度であつたかと考えますが、それが年末には九十何億というふうな融資をいたしまして、名実共に協同組合の中枢金融機関と申上げてもあえて遜色のないところまで現在は行つておると思うのであります。而も中金におきましてはいよいよ預金部資金その他の金融債を利用いたしまして、本年度においては更に大幅な金融をいたすべく目下準備をいたしておりますると共に、今日なお地方府県に対しましては七、八県中金の機関のないところがありますのでこれにつきましても早急に支店、出張所を開設いたすべくこれ又中金のほうで鋭意準備を進めておるのであります。かたがた久しい間中金はあつてもさほど機能を発揮しなかつたのでありますが、昨年下半期以来、更に又今後におきましてはいよいよ中小企業に対するところの中心的金融機関どなることがはつきり見通しがつくような情勢なつておるわけであります。  もう一つは国民金融公庫でありますが、これは大蔵省の所管でありますから、私から申上げることはどうかと考えますけれども、これもこの前の臨時国会におきまして十億を予算に組みまして、更にこの通常国会におきまして二十億を殖やし、合計これも六十億になるのでありまして、かたがた昨年までの丁度倍額に増加いたしまする関係上、この面も相当に融資が円滑に行くであろうというように考えておる次第であります。
  54. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 参考人の商工中金の佐藤副理事長から、商工中金の現状並びに保険制度の現状について御説明をお願いいたしたいと思つております。
  55. 佐藤鐶

    参考人(佐藤鐶君) 今商工中金は、政務次官からお話がありましたように、多少数字を正確に申上げますと、一昨年の年末の貸出は二十八億でありましたけれども、昨年の年末は百九億八千万円、約百十億になります。昨年中で八十億を超える貸出増加をいたしましたのみならず、十二月一カ月をとりますと十一月末が八十五億であつたのが、十二月末は約百十億でありますから二十四億何千万円と一カ月に貸出の純増をいたしました。こういう機関は余りないのだそうでありまして、日本銀行の考査局で聞きますと、非常に略例な発達をしたわけです。殊に十二月一月の貸出の純増は大体大銀行の貸出の十二月中の純増の中間ぐらいでございます。ほぼ大銀行並みぐらいの貸出が純増いたしたのであります。それでもなお融資の申込に対しては応じ切れないような状況にございます。今年は一—三月に二十一億円の債券を出します。それを加えましても三月末の貸出は約百三十億になると思います。このままの情勢で参りましても年末には二百億の貸出にはなろうかと思います。ただそれで十分かということになりますると、この百十億の貸出でありましても貸出額から申しますと大体地方銀行で五番目ぐらいのところにございます。大銀行の例をとりますと一番大きな銀行は十二月末の残高で貸出が七百億を超えておりますし、六百億台のは三四行ございますから全国的な組合の中央機関として組合資金を十分に賄うということになりますとやはりまだ今の二倍三倍も或いは更にそれ以上にならんと十分に機能を果すまでには行くまいと思つております。そこで資金源の問題でありますが、長期資金につきましては預金部による債券の引受等で十分の解決を見ておるわけでありますけれども、増加運転資金その他の短期資金源についてはまだ不十分な点もありますので、この点もこの機会にむしろお願いを申上げたいと思います。それから今の信用保険制度のお話でございますが、これ又政務次官からお話なございました通り、今日までのところは極く少いのでありますが、お手許に配付しております表よりはすでに受入れました分が二件以上殖えております。私どものほうの中金で貸出を決定いたしておりますものやその予定になつておりますもの、それから更に二三聞合せたものを入れますと今日大体保険を利用するものが、利用しているだろうと考えられる願が約六千万円に上つております。それでもなおこの制度の意義から申しますと不十分と思いますが、これは制度が新らしい、そうして金融機関というものは非常に保守的でありますから新らしい制度にはすぐに飛びつかないというような状況もあると思ひますが、併し私どものほうから信用保険制度の説明会に各地へ主張いたさしております役職員の報告によりますると、その集まりは非常にいいのでありまして、各銀行の貸付担当者が多数熱心に説明の聴講をいたしておりますから、近日にこの信用保険制度の活用を見るだろうと私は実際考えております。ただ銀行というものは今日のような物価高騰期になりますと増加運転資金に追われましてなかなか長期資金源がない、或いは又従来長期資金を出しつけていない金融機関もございますし、それらの点が急速に今の信用保険制度が実施されてすぐに実績を挙げないという事情だろうとこういうふうに考えております。従いまして時期がたちますると信用保険制度の活用を見るというような感じがいたします。その程度でございます。なお御質問がございましたらばお答え申上げます。
  56. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 御発言はございませんか。ほかに御質問ないようですから、請願第二十九号並びに第五百五十七号は採択いたすことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  57. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 異議なしと認めます。それでは採択に決定します。   —————————————
  58. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 次に請願第十号を議題にします。  先ず紹介議員油井賢太郎君から趣旨説明を求めたいと思いまするがおいでになりませんから、本件については専門員から説明をいたさせます。
  59. 小田橋貞壽

    ○専門員(小田橋貞壽君) それでは、請願第十号喫煙用具輸出保護育成に関する請願というのでありまして、東京都喫煙具工業協同組合理事長中村吉松氏からの請願であります。  本件につきましては、実は第九国会において、請願第三百五号という形で同趣旨のものが出ております。そしてこの委員会で審議いたしまして、十二月九日の本会議で採択となつているのであります。その要旨は、喫煙用具の輸出は、戦前、戦後の実績から見て、雑貨輸出として重要であるが、併しこれに物品税がかかつておりますので、但し物品税は輸出に対しては免税となつておるのでありますが、いろいろな理由で、これらの輸出にこの内地にかかる物品税がいろいろな悪い影響を與えておるから、この喫煙用器具の輸出の維持発展のために税率の軽減及び免税点の設定を陳情中であるが、これが実現に関して格別の措置を賜わり、これらの輸出保護育成して頂きたい、こういうのがこの請願趣旨でありますが、その理由としては、喫煙用具の輸出品の製造工場は、今輸出不適格品又は輸出端生品、契約破棄品、輸出閑散期中り製品というようなものを内地に消化しなければならないのだが、この場合に、現在の物品税のため製品価格が割高となつて、これを内地に販売する妨げとなつておりますので、輸出向喫煙用具の大半を占めている百円以下の製品については、是非免税点を設けてこれの内地販売を容易にして頂きたい、こういうのがその主要な趣旨であります。
  60. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 請願第十号は前に採択しておりますので、これを本日採択することにいたしたいと思いまするが、只今説明通りでございまするが、異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  61. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 異議ないと認めます。それでは採択に決定いたします。   —————————————
  62. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) それでは陳情第四十七号輸入促進及び円滑化に関する陳情、右を議題といたします。専門員より説明をいたさせます。
  63. 小田橋貞壽

    ○専門員(小田橋貞壽君) 陳情第四十七号、輸入促進および円滑化に関する陳情、これは大阪の関西経済連合会中橋武一氏からの陳情であります。その要旨を申し上げますと、我が国のように重要物資の海外依存度が非常に高い国では、今後の経済計画遂行の上において、どうしても原料の入手が困難であるため、その経済計画の遂行が困難になつて来る。そしてその成否の鍵が今後如何に輸入原料を確保するかにかかつている。そういう事態であるから、輸入を特に促進してもらいたいが、輸入に際しての最大の問題は、外貨資金がどうであるかということにある。だが最近の我が国の外貨の手持高は非常にたくさんになつている旨であるから、而もそれが我が国当面の輸入量を一応賄うに足りるだけの金額に達しておる状態である。又四半期ごとに作成される輸入外貨予算も、その修正予算において、本年一—三月の一億二千三百万ドルから、四—六月の一億八千二百つ万ドル、七—九月の三億九千五百万ドル、十—十二月の三億八千六百万ドルと漸次増加されて、来る一—三月には五億二千五百万ドルが計上され、更に輸入方式についても、民間輸入に移行される物資が漸次増加すると共に、自動輸入許可制度、長期輸入契約制度の採用等民間輸入実施以来の改善の跡は極めて顕著である。併し、それでもまだ輸入の困難と不円滑を来たすことがあるから、従つて次のような諸政策を至急に実施して欲しいと、こういうのであります。それで只今申上げました本年と申しますのは、実はこの陳情が十二月二十七日に出ておりまするので、本年と申しますのは、昨年のことであります。  次の諸点と申しますものを項目的に申上げますと、輸入物資引取用工業手形の再割引の復活、それから外貨予算の組み方を少くとも半年間とすること、この二つであります。つまり物資引取用工業手形の再割引復活と申しますのは、九月二十五日から実施されたユーザンス制度によつて輸入手形円金融問題は一応解決されたが、その後のユーザンスによる外貨貸付状況は極めて多額に上り、わけても大阪における需要が圧倒的に多い。そうして、これによつて見ると、一つは資金母の面から見て、ユーザンスによる外貨貸付額と輸入物資引取資金との間に著しいアンバランスがある。今ユーザンス実施前の三カ月間における輸入手形決済融資と輸入物資引取融資との閥係を見ると、輸入物資引取融資額は月平均五十二億に過ぎず、ユーザンス実施の結果貸出不要となつた輸入手形決済融資額月平均四十八億円をこれに廻すとしても、月間百億円の引取融資能力があるのにとどまつて、多少の事情の変更があるとしても、メーカーの資金能力と銀行の融資能力から見で誠に心細い。それから第二点は、ユーザンスによる外貨貸付が十二月に人つて減少しておる。従つて、折角のユーザンス制度ぶもはや利用するに由なきような状態にまで立至つておると、こういう点であります。それから外貨予算の組み方を少くとも半年間とすると、それは今までの四半期ごとにやつておるのでは非常に不便であるから、少し長期の契約ができるように半年間としてもらいたい。こういうような措置を講じて輸入促進及び円滑化に資してもらいたいというのがこの陳情趣旨なんであります。
  64. 加藤正人

    加藤正人君 今専門員から御説明がありましたが、私はこの陳情者の関西経済連合会に関係しておる者として、陳情の趣意をもう少し徹底させたいと思うのであります。要は、輸入が今日一層必要な問題になつておる。然るに、このユーザンスは四カ月というように期限も延びたのでありまするが、最近大蔵大臣は、物資によつてその期限をいろいろ按配しておるというようなことであつた。又今日の安本の計画というもので見ると、四カ月というようなことを言つておるので、さつぱり今後の方針がぐらついておるように我々は思うのであります。甚だ心許ないように感じます。で、ユーダンスによつて多少ゆとりができたようなものの、まだ輸入原料を確保する上においては不十分である。一番的確な最も理想的な方法は、今注視されている輸入物資引取工業手形の日銀による再割引、これは誠に即効薬なんです。これを是非ともやつてもらいたい。  次に外貨予算を四半期ごとにしないで半年間、長期の契約でできるようにしたい。こういうようなこともこれは痛切な願いでありますけれども、この陳情の重点は第一の輸入物資引取工業手形の再割引を復活することにあるのです。今日は大蔵当局がおられないのでちよつと心許ないのでありますが、通産次官も所管の問題の最も重要な点でありますから、この点について強力に日銀当局その他大蔵当局に向つて、再割引の復活ということにできるだけの努力をして頂きたい。これは陳情なつんというので非常に軽く扱われていますが、甚だ遺憾なことでありまして重大問題です。この点について通産省としては今後どういうふうな方法を以て、この陳情趣旨を達成せしめて頂けるか、伺つて置きたいと思います。
  65. 首藤新八

    政府委員首藤新八君) お説のごとく、この輸入促進問題に関連いたしまして、一番困るのは到着後の金融難であります。ユーザンスの制度をとりまして、非常に緩和いたしましたけれども、これが三カ月とも四カ月ともとにかく期日が来たときは当然金融が要るわけであります。従つて工業手形の復活に対しましては、昨年来日銀、大蔵当局に対しまして、通産省といたしましては、あらゆる機会をとらえては復活のま渉を強くいたしております。ただ今日までの反対理由といたしましては、過去において工業手形を適用いたしておりました場合、これを悪用する商社がかなり多かつたそうであります。例えば物資を販売していないのにもかかわらず、メーカーの手形を借りて、それを銀行に持込む、そうして不当な金融をいたす、そうして思惑買にこれを使用するというような覆うべからざるところの事実が相当甚だしかつた。特に昨年朝鮮事変が起つた直後でありますが、繊維品が非常に暴騰いたしましたが、この暴騰した一番大きな原因は、要するに工業手形を悪用したこと、そうしてこれによつて莫大な金融をいたした。これが思惑買の根拠であつたという極論さえもするかたもあるのであります。そこでその後企業者業者の手形を発行するということになつたのでありますが、実はこの原因は只今申上げたような弊害を防止するということが一番大きな原因だと思うのであります。そこでそういう理由でなかなか復活が思う通りに参りませんので、スタンプ手形をできる限り優遇するというような方法をとつてやるのが現在であります。併しながらこれもおのずから限度がありまするし、殊に今日までしばしば申上げております通り、昨年十月以降からは巨額な輸入計画をいたしております。特に一月以降は飛躍的な輸入の契約が済んでおります関係上、どうしても四月以降にはスタンプ手形だけでは賄い切れないという事態が起つて来るのであります。その場合には好むと好まざるとにかかわらず、工業手形を復活してもらいたいという実は強い気持を持つている次第であります。なお只今加藤委員の指摘されたユーザンスの期日でありますが、これは当時から原則として三カ月でありますけれども、併し遠隔の地域に限つては四カ月にしなければ折角ユーザンスの制度を設けながその効果がないということから買付場所によつて三カ月乃至四カ月ということにいたしておるわけであります。併しながらこれも昨年十月以来の輸入が非常に殖えましたみで入着後の金融を緩和するという考え方から、全部四カ月にしてもらいたいといち業者要望もありますし、又通産省といたしましてむそういう金融の面を全部四カ月にいたしてもらいたいという交渉をいたしておるわけであります。安本は大体これに同調いたしておりますが、大蔵省では最終的に同意を與えていないというのが要するに三カ月といい、四カ月という意見の食い違いを生じておる原因であると思います。更に長期の為替でありますが、これも御承知の通り昨年秋以来パルプ或いは鉄鉱石というようなものに出しましたが、相当長期の契約ができる措置を講じてあるのであります。例えばパルプのごときは一年先までも契約ができる、鉄鉱石でも四カ月、六カ月の契約ができる途が開かれておるのであります。併しながら今日までのところはその範囲が非常に限定されております関係上、できる限り自由は適時な買付をしたい、これは又営業上自己の好むときに好む月に或いは好む量をいつでも買えるという態勢をとることがいいことは議論の余地はないのであります。併しながら昨年七月までは先着順という極めて不合理な輸入方法が一本だけ認められて、その他の輸入は殆んどできなかつたのでありますが、それでは輸入の促進ができないということからあらゆる方法を講じまして自動承認制、いわゆる或る程度自由に適時に買えるというような方法をとりまして、現在すでにこれに適用されておる商品は百七十何種に上つておるのであります。殆んど輸入品の主なものは自動承認制に入つておると申してもいいかと思います。なお又スウイング制なり或いはスワップ制とか、とにもかぐにもこれまで隘路になつておりました制度は殆んど解消いたしまして、この半年間に貿易上の措置といたしましては画期的と申上げてもいいようないろいろな努力か拂われて参つたのでありまして、大体今日のところでは余り輸入には支障がないのではないかというふうに考えます。併しこの一・四半期ことの為替の許可ということは、これはまあ御説の通りでありまして、政府におきましてもせめて半年ぐらいの為替の予算を組みたいというふうに考えまして、現在その点が可能性があるかどうかという点を検討いたしておるのであります。
  66. 加藤正人

    加藤正人君 この工業手形の再割引に伴う諸弊害があるからなかなか復活しにくいというお話でありましたが、今日の場合如何なる方面にも弊害が伴うものであります。これは又業者が適当な防止の措置をすれば絶対に防ぎ得ないこともないのでありまして、一方輸入のことたる実に日本とつて急を要するときでありますから、多少そこに目こぼれになるような弊害があつても、それを急速に実施するように通産省も強力に主張して頂きたい同時にちよつと承わりたいのはポンド制のユーザンスについてはどういう御見解でありますか。今日どういう経過を辿つておりますか。
  67. 小室恒夫

    説明員(小室恒夫君) 御承知の通り、スターリング地域との貿易におきましては、我が国の輸入が秋から冬にかけて大体集中いたしまして、輸出のほうは年中平均的に行われる関係で、季節的にスターリングの資金が不足いたしますので、この不足を匡正する意味で、いろいろな対策考えたわけでありますが、その中で最も現在重要なものは、この一月二十二日から正式に実施いたしております。英系諸銀行からスターリング貨で輸入金融をしてもらう措置でございます。これは金願の限度といたしましては、四千二百万ポンドということで発足したわけでありますが、この対象なつております物資が、原綿、原毛或いは銑鉄、鉱石類、或いは黄麻、加里というように非常に広汎に亘つておりますし、今日輸入の最盛期で、非常に資金の需要つが多うございます。それだけではやはり賄いかねるということで、その増額について交渉しておるわけです。これは幾らになるということは、ちよつと私今申上げられないのじやないかと思いますが、相当程度の増額はこれは期待できる、少くとも季節的な意味でのスターリング資金の不足から物が買えないという事態は、大体解消したと見ていいのじやないかと考えております。ただ絶対額として、即ち一年を通じて資金が不足するスターリング地域からもつと買いたい物があるということは事実でありますが、これは輸出との見合いの関係にもなりまするので、丁度目下日本と英側との間で貿易の実績を検討して参つておるのであります。そのほうの結論はまだ正式に出ておりません。それとの兼合いで考えられることじやないかというふうに考えております。
  68. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 第四十七号の輸入促進および円滑化に関する陳情は、採択することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  69. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 異議なしと認めます。それでは採択に決定いたします。   —————————————
  70. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 次に請願第四十二号は競輪に関するものでありますが、これは法案とも関連がありますので、別の機会に審議したいと存じます。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  71. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 異議なしと認めます。それではこれを別の議会に譲ることにいたします。   —————————————
  72. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) なお議員派遣の件をお諮りいたしたいと思います。速記を止めて。    〔速記中止
  73. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 速記を始めて下さい。議員派遣につきましては、委員長の一任ということにいたします。  今日の委員会はこれで散会いたします。    午後四時八分散会  出席者は左の通り。    委員長    深川榮左エ門君    理事            古池 信三君            廣瀬與兵衛君            栗山 良夫君    委員            小野 義夫君            上原 正吉君            松本  昇君            重宗 雄三君            加藤 正人君            山内 卓郎君            山川 良一君            駒井 藤平君            西田 降男君            境野 清雄君   国務大臣    通商産業大臣  横尾  龍君   政府委員    通商産業政務次    官       首藤 新八君    通商産業省通商    繊維局長    近藤 止文君    特許庁総務部長 松永  幹君   事務局側    常任委員会専門    員       小田橋貞壽君   説明員    通商産業省通商    政策課長    小室 恒夫君   参考人    日本毛麻貿易協    会理事長    守田九壽雄君    江商株式会社常    務取締役    高見 重義君    商工組合中央金    庫副理事長   佐藤  鐶君