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1951-02-20 第10回国会 参議院 通商産業委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年二月二十日(火曜日)    午後一時四十三分開会   —————————————   委員の異動 二月十九日委員木村守江君辞任につ き、その補欠として上原正吉君を議長 において指名した。   —————————————   本日の会議に付した事件 ○通商及び産業一般に関する調査の件  (当面の石炭鉱業対策に関する件)   —————————————
  2. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) これより委員会を開きます。  通商及び産業一般に関する調査一環として、本日は当面の石炭企業の問題をとり上げて議題といたします。当委員会が特にこの問題を取上げましたゆえんのものは、端的に申上げますと、過般の炭鉱ストライキ、それは実に参加人員延二百万人、そのための減産八十万トンと見られているのでありますが、この大きな犠牲を無意味にしたくないからであります。政府は今回のストライキは飽くまで労資間における経済鬪争であるとなし、政府は干渉すべきでなく、当事者相互における解決を期待したのでありますが、業界自体も又中労委の斡旋さえも謝絶して当事者自主的解決を望まれたと承わつておりますので、この限りおいては問題はないのであります。併しながら今回のストライキ発生の背景をなしておる石炭企業の僞らぬ姿を思い浮べます際、このストを契機として石炭企業あり方並びに石炭国策あり方について再検討を加える必要がありはしないかと痛感する次第でございます。問題がここまで遡つて発展して参りますと、これは直接の監督官庁たる通産省若くは資源庁だけの問題ではありませんで、そこで委員長といたしましては、本日は通産大臣のほか大蔵、農林、厚生、地方財政担当国務大臣並びにその関係局長出席を要請して一応の事前準備をさせて置きました。都合によつて出席できかねる大臣もあろうかと存じまするが、委員各位におかれては総合的見地から問題の中心点に触れて、十分なる御検討をお願いいたします。  それでは先ず参考人の方から順次忌單なき御意見の御発表をお願いいたしたいと思います。
  3. 高木作太

    参考人高木作太君) 参考人三菱鉱業の社長の高木でございます。私は業界代表の一員といたしまして、最近の石炭鉱業問題点と、今後の石炭需給について意見を述べたいと存じます。  基礎物資でございまする石炭供給需要を上廻りまして、一昨年九月に至りまして十数年ぶりで統制が撤廃されましたことは皆様御承知通りでございます。爾来石炭鉱業はそれまでの強行増産から一転いたしまして、企業合理化に全努力を集中して参つたのでございまして、この努力の結果石炭の品位は上昇し資材の原單位は低減いたしまして、労務者の数におきましては、二十三年の十二月約四十五万七千人でございましたが、二十六年の一月には約三十四万六千人と大幅に減少いたしまして、能率在籍労務者一人一月当り出炭量といたしまして、二十三年十二月の六・九八トンから二十五年十二月には一〇トンと急に上昇を示したのでございます。終戰直後の二十年度下期の平均でございまする四トンの二倍半の能率に達したわけでございます。而も生産量につきましても漸次増加して参りまして、当面の国民経済が必要とする月産三百七十万トン程度生産力確保し得たものを見ることができましよう。併しながら以上を以ちまして石炭鉱業が健全化し、石炭需給が均衡を得たと簡單に片付けるわけには参らないのでございます。申すまでもないことではございまするが、今後の日本経済目標は一日も早く自立経済を達成せしめることにあるわけでございまして、生産設備改善生産力の増大が産業界の課題となり、特に基礎産業でございまする石炭鉱業の場合におきましては、豊富低廉な石炭供給することが重要な使命どなるものでございます。先に述べました通り石炭鉱業は今日までめざましい合理化の推移を示して参つてはおりまするが、現在までの合理化は荒廃した設備の復旧が主体でございまして、いわば現有設備中心とした経営の正常化努力したものでございます。この既設設備による合理化はほぼその限度に到達しておりまするので、今後の合理化の主点は石炭鉱業においても設備改善によつて合理化徹底的推進を図る以外に途がない情勢でございます。この設備改善による合理化は、海外の新技術をも取入れました採炭方式系統的改善を目指しまするいわゆる若返り起業を実施することでありまして、御承知通り採炭現場の移動をいたしまする炭鉱におきましては、全く欠くことのできない起業工事でありますが、従来各種事情に制約されまして、これを久しく実施し得なかつた次第でございます。こういうような関係におきまして、今後数年に厖大な合理化資金調達が必要となる次第でございます。従いまして、今後炭鉱合理化を推し進めますには、数百億の設備資金調達が前提となりまして、これなくしては石炭鉱業の将来の発展もなく、又日本経済自立達成に重大な支障を与えるということになるわけでございます。ところが石炭鉱業経理内容はどうかと申しますると、各企業努力にもかかわりませず、過去の統制時代の低炭政策に禍いされまして、累積いたしました赤字借入金未払金等が一朝一夕にはなかなか解消することができませず、御承知通り統制撤廃当時に残されました約百六十億円の赤字はようやく先般実施しました主として資産再評価によつて帳簿面だけは解消し得たのでございますが、経理の実体は何ら改善されることなく、昨年十二月末現在では、なお各種借入金総計七百九十五億円を残し、問題の復金借入残設備、運転両資金を合せまして三百四十億円を超えておるような実情でございます。所要合理化資金の三分の二は、今後外部借入金を以て賄わざるを得ないような実情にございます。即ち設備資金調達資本蓄積を可能といたしまする税制などは、石炭鉱業の今後を左右する重要な問題でございます。  次に、経済情勢の変化からいたしまして、只今坑木初め、所要資材の入手が非常に困難でございまして、ようやく生産を阻害する徴候が見えつつあるのでございます。又資材費高騰と、懸案でございます炭鉱用電力、及び自家発電問題、海上運賃値上げ等の諸要素は、石炭の市価を高騰せしめる情勢となりまして、一方海陸輸途力逼迫港湾荷役力限界等石炭輸送上の問題として、等閑視を許されないことだと考えられます。更に又石炭鉱業から切離し得ない一般鉱害の復旧問題、或いは技術上、経済上の観点を超えた水質汚濁防止問題等石炭鉱業をめぐる諸問題は誠に多いのでございます。なお今後の石炭需給問題でございますが先に答申されました自立経済審議会の計画によりますと、二十八年度にはおよそ四千六百万トンの石炭生産が必要であると想定されております。これを本二十五年度の推定実績約四十万トンに比較いたしますと、かなり大幅な増産を必要とすることになるのでございます。この増産について、果して成算があるかどうかということが大きな問題でございますが、我我業者といたしましては、若しも先に述べました合理化資金調達が可能となり、又鉄鉱石、その他原材料の手当、或いは船腹対策等確立されまして、政府の施策が明瞭となりまして需要先行き見通しが安定して、石炭増産に対する炭鉱の具体的踏切りが付くような情勢でございますならば、曾つて我々が増産要請に全力を以て応えましたように、全炭鉱の総力を結集して、自立経済確立に必要とする石炭供給確保することが可能であると考えておるものでございまして、石炭産業の特質上、需要の増減によりまして急激に増産或いは減産ができないような事情でございます以上、先に統制撤廃当時の北松炭の轍を踏むようなわけには参りませんので、増産態勢の踏切りをつけますには、愼重を期せざるを得ないと存ずる次第でございます。  私は以上述べました見解に基きまして、一、産業構造の上から見ました石炭需給に対する政府当局の今後の見通し、二といたしましては、特にいろいろ問題がございます、国内で供給不足とされております強粘結炭の今後の輸入その他による確保対策、これらの二点について政府の御見解を伺いたいと存ずる次第でございます。なお先ほど申上げました石炭鉱業の当面のいろいろな問題につきましては、次のごとく代表参考人から陳述を願いたいと存ずる次第でございます。合理化資金確保のための金融機構確立、それから復金借入金に関しまする特別の措置一般鉱害の復旧問題、以上の三つの事項につきましては、円城寺参考人に御陳述を願いたいと存じます。それからその次に税制及び石炭の輸送問題につきましては村木参考人から、なお電力確保自家発動員の問題、坑木確保に関する特別の措置水質汚濁防止法案の問題につきましては板橋参考人から、それから最後に小樽並びに室蘭の港頭設備荷役設備の増強につきましては福谷参考人から、それぞれ陳述して頂きたいと存ずる次第でございます。
  4. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 委員各位並びに参考人の方に申上げます。農林大臣が急に急いで退席したいという希望がございますので、御質問のある方、並びに意見を開陳される方は直ちに質問なり意見なりをやつて頂きたいと思います。
  5. 圓城寺松一

    参考人圓城寺松一君) 農林大臣にお尋ねいたします。  大臣が過日九州においでになつたときに、九州の方で坑木が非常に困つておるということで、これに対する特別対策をお願い申上げて、非常に喜んでおるような、様子であります。それを一つ具体的に直接お聞かせ願つたら仕合せかと思います。
  6. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 今のはちよつと……、委員からの御質問をお願いいたしまして、参考人から意見を聽取することといたしたいと思います。訂正いたしたいと思います。先ず委員の方の御質問がございましたら……。
  7. 小野義夫

    小野義夫君 只今古河鉱業株式会社專務円城寺さんの質問は非常に適切で、石炭増産の上に寄与するものと思うのでありますから、この際農林大臣から今のその質問に対して御説明になつて頂きたいと思います。
  8. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) それでは只今参考人意見開陳につきまして、農林大臣からの御答弁がございましたら……。
  9. 廣川弘禪

    國務大臣廣川弘禪君) 今円城寺さんからお話がありましたが、この間九州地区を視察して参りまして、特に坑木業者等を通じましていろいろお話を聞き、又直接石炭業者等からお話をお聞きいたしたのでありますが、坑木逼迫はこれは決して等閑視できない実情にありまするので、坑木会社坑木業者との間の資金の焦付きですか、これも相当額に上り、我々の聞いたところでは十数億くらいあるかと思いますが、この問題はあとにいたしましても、応急処置考えなければならんと思いまして、九州営林局長を通じまして特定指名入札とでも申しましようか、そういう方途を講じて増産遺漏のないようにせんかということを言つたことでありますが、そのあとのことについての詳細の報告はまだ聞いておりませんが、さようにいたしまして、坑木については政府といたしましても遺漏のないようにいたしたい、なおそれにつきまして單に今までの坑木でなく、その他の木もこれを併用いたすようなことも国有林野庁の方でも研究をしろ、そうして又業者ともそのことについては懇談をして、そうして相研究いたしまして、坑木の少くなるのを防ぐような方途考えたらどうかということを言つておるようなわけであります。
  10. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) ほかに御発言はございませんか。
  11. 西田隆男

    西田隆男君 今農林大臣答弁されたことについて炭鉱業者のほうにお尋ねしたいのですが、農林大臣お話なつたような経過を経て現在どういう段階まで坑木の払下その他の問題が進展しておりますか、その進展の状況を業者のほうにお尋ねいたします。
  12. 圓城寺松一

    参考人圓城寺松一君) それは具体的にまだ聞いておりませんので、ちよつと耳に挟んだ程度でありましたから、そういうやり方について農林大臣に直接お伺いしたらはつきりわかるだろうという程度でございます。その後の経過は聞いておりません。
  13. 西田隆男

    西田隆男君 農林大臣にお尋ねしますが、わざわざ年末の忙しいときに九州くんだりまで行かれて、あのような極めて適切な方法を指示されておりながら、今農林大臣答弁を聞いておるとこれもわからない、業者意見を聞いてもわからない。もう二月の終りになつておるのだが、いつから大体それを実施される御予定で農林大臣は指名されたのか、農林大臣の御答弁要求します。
  14. 廣川弘禪

    國務大臣廣川弘禪君) 役所というところは仕事の遅いところであることはすでに御承知と思いますが、大体指名入札というか、特定者に限つて入札する、そうでないと今パルプ業者が非常に殷賑を極めておりますので、その方面に吸收されて、いわゆる石炭業者に廻らない嫌いがあるのであります。それを九州に行つたときに身近に感じたものでありますから、そういう案を作つて早速そのように実施しろ、こう言つたのですが、いついつからやるということはまだ聞いておりません。
  15. 西田隆男

    西田隆男君 役所は暇の要するものだということは……(笑声)役所が如何にもすべてのことに敏速潤滑を欠くような印象を受けますが、私は指示命令のよろしきを得れば役所必ずしも非能率でないと考えております。而もこの坑木の問題は現在非常に逼迫している問題でありますが、業者諸君も余り熱意を持つておらないようである。そういうことでは実際石炭増産或は坑木確保は甚だ困難であると考えますが、これが梅雨期に入れば山から伐つてそれを積んで山元へ持つて来るのは相当の時日が要る。そうすると当分の間は間に合わんという結論が得られるのですが、まあ半年か二カ月かわかりませんが、長期に亘つて間に合わない場合、坑木確保について何か農林大臣考えになつておりますか。
  16. 廣川弘禪

    國務大臣廣川弘禪君) それで実は視察の結果をまとめようと思いまして大急ぎで各部長会議をやつたときに、石炭協会の武内君を実は電報で呼んだのでありますが、来られなかつたのであります。どのくらいの数量がどういうふうに足りないかということを教えてくれということで私お呼びいたしたのですが、お会いできなかつたので、林野庁のほうに直接それでは行つてお話を願いたいということで帰つて来ておりますので、まだその後私実際のことは聞いておりませんが、林野庁としては多分そのような方向で坑木間に合せようとして努力いたしていると私は信じております。
  17. 西田隆男

    西田隆男君 重ねて農林大臣の御意見を承わりたいのですが、今農林大臣は炭坑の坑木逼迫する一つの原因としてパルプ業者が非常に高い値段で坑木を買うということを仰せられました。その通りだと思うのですが、然らば農林大臣九州に行かれて、そういう手を打たれてのち、バルプ業者買付坑木影響を与えるようなことになつておるかどうか。
  18. 廣川弘禪

    國務大臣廣川弘禪君) これは單にそういう狭くのみ考えないで、全般の需要について只今考えておりますが、輸出の箱代であるとか、或いはその他いろいろなそういう方面においてパルプ業者等から圧迫されて入手困難な方が面ありますので、その一環として案を立てさせているようなわけであります。
  19. 西田隆男

    西田隆男君 数量のことは事務的なことですから、あなたにおわかりにならんと思うのですが、あなたのお考えになることはあなたは妥当と考えておりますか。官庁必ずしも非能率ならずという原則を確立する上においても、早急にこの問題が解決されるように御努力あらんよう要求いたしておきます。
  20. 山川良一

    山川良一君 今参考人から汚濁防止法案勧告ということについて一つ意見を開陳したいという意見がありますが、これは所管は厚生省でございますけれども、汚濁する影響農林関係相当ありますので、参考人からその点だけの公述を願つて、それについての大臣のお考えを述べて頂ければ仕合せに存じます。
  21. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) どなたが発言されますか……板橋君。
  22. 板橋喜介

    参考人板橋喜介君) 汚濁防止法案について要望を申上げたいと思つておりますが、この件に関しましては、各関係方面にすでに業者として意見を申上げております。この鉱業汚濁防止法案に対する勧告案に対する意見簡單でありますが、申上げてみたいと思いますが、勧告案水質汚濁防止法制定の必要を主張しておりますが、炭鉱業者は、他の鉱業部門も同様でありますが、先ず研究調査をやつて炭鉱排水処理技術的、経済的可能限度見通しが付いてからこれを基礎にして法を制定し、適用せられることが最も妥当であると主張するものであります。なお詳しく申上げますれば、勧告案は最初の案に比べますと、国民保健上からの要求と、各種産業発展上から来るところの要求との間に調和を保たせる点において大いに苦心の跡が見られます。その点多大の敬意を払うにやぶさかではありません。又公共水を清潔にするという勧告案根本思想に対しては大いに賛意を表するものであります。従来もできるだけ研究をし、処理をして放流をしております。炭鉱現状は少し技術的になりますけれども炭鉱から出ます汚濁水は数十から数万のP・P・M、PPMと言いますと、一立法メートルに対するグラム数であります。つまり五%乃至一〇%以上の汚濁物質が入つておるのでありますが、これをどの程度までに清澄化し得るか、経済的にどの程度までこれをとり除くことができるか。一昨年来調査を始めておりますが、実情調査するだけでも、調査及び試験の方法も指導して始めなければならない状態であります。これには相当長年月が必要であります。かかる事情の下にその目標もまだ定めることができない。どれだけこれを清澄化すればいいかという目標も定めることができない事情にあります。かかる事情の下に法の適用を受けることは誠に不安であります。先ず調査研究を先にして、一応の目途の付いたときに初めて法制化したい。これが私としては希望するところであります。仮に勧告案の示します通りにしますと、調査、統計、一般事務を行うために、中央及び地方相当人員設備を有する事務局を設定しなければならん。又水質調査研究等を実施するためには、有力なる総合研究所を設置しなければならん。それらの設立費、経費は相当の額になるわけであります。少し長くなりますので簡單に申上げますると、結局勧告案通りにしますと、設備の費用が約四百四億円以上を費すことになるわけであります。これを石炭トンあたり生産費のほうから申しますと、トンあたり百円乃至二百円の高騰を招く結果になります。又これに対する投資というものがトンあたりにして一千十一円という莫大な資金を要することになるわけであります。これの計算の基礎その他のことについては詳しく調べてありますけれども、この席では申上げませんが、結局今の鉱業としては技術的に見ても絶対不可能である。仮に若しその嚴重な取締を受けると仮定しますならば、今までやつておりました水洗というものを全然廃さなければならん。石炭を洗うことをやめなければならん。やめた結果はどうなるかと申しますと、今まで最近全国の石炭カロリーは六千二百五十くらいのカロリーになつておりますが、これが五千カロリー以下になる。坑内から掘つたままの洗わない炭を需要家供給しなければならない状態になるわけであります。これは各産業に及ぼす影響が非常に重大であります。結局この汚濁防止法案そのものが今では尚早である。日本に実施するには尚早であると考えるわけであります。丁度日本の今の産業状態国家状態がまだ主食を十分に買えない状態にありますのに、こうした法案を作りましても、台所を電化しようというようなふうに持つて行くのと同じではないかと考えるわけであります。どうか我が産業が安定するまでこの汚濁防止法案というものは延期して頂きたいというのが我々の主張であります。
  23. 小野義夫

    小野義夫君 只今説明のありました水質汚濁防止法案でございますが、本日は石炭業界の方の御出席でありますが、これはひとり石炭鉱業に関するばかりでなく、例えば化学工業方面において多大にいろいろな染料の洗つたものとか、その他いろいろ惡水が出る、又金属鉱業におきましても、例えば松尾鉱山のごときは到底人力を以て、或いは科学的においてもこれを処置するというようなことは、容易ならざる問題であるのであります。その他天然ガスにおきまして、ガス一対惡水一という比例で出るのでありまして、現に天然ガス開発についてこの惡水に対する国家の適当な設備がなければガス開発はできないというような現状にあるのでありますから、ただそれは單なる海に放流する、いわゆる信濃川下流に持つて行くことさえできないという現状にあるから、この水を綺麗にするなどということは軽々に、アメリカその他のように非常に土地が豊富であつて地上の吸收力が強いとか、或いは太平洋に向つて放流するとか、こういうところのものとは全然違うものであるから、よほど愼重考え軽々にその与論というような、いわゆる産業経済もわからない大衆の言うようなことに耳を傾けるようなことありとすれば、これは国家産業経済に重大なる故障を与えるものでありますから、この点について農林大臣は如何なる所見を持つておられますか。一つこの際我々は承わりたいと思います。
  24. 廣川弘禪

    國務大臣廣川弘禪君) 勧告趣旨はよく気持はわかるのであります。併しこれを直ちにすぐ実施してその産業を殺すというようなことは考えられないことだろうと思うのであります。で農林省所管の問題といたしましても、各県に亘りまして、特に硫黄或いはその他の放流物によつて、非常に田畑を阻害されておるものに対しましては、農林省から国家資本を投じてこれを補つておるような個所も相当ありますので、趣旨には我々賛成でありますが、実際これをどうするかということについてはまだ確たる私は考えを持つておりません。
  25. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) ほかに御発言はございませんか。
  26. 板橋喜介

    参考人板橋喜介君) 最前私申上げましたことは、少し間達つたことを申上げておりますが、私汚濁水を清澄化する場合に今技術的には二〇〇OP・Pくらいまでは可能ではないかというような技術的な意見になると思う。ところが法案は二〇OP・Pまでそれを下げろという法案になつております。最前申上げました四百四億という設備資金がかかるというのは二〇〇OP・Pにしてもそれだけかかる。仮にその十分の一の二〇OP・Pにすれば、これは絶対不可能というわけであります。この点を訂正しておきます。
  27. 小野義夫

    小野義夫君 これは関連でありますから、あとから別にするというと話が途切れるので、この際通産大臣の御意見をも同時に伺つておきたいと思います。
  28. 横尾龍

    國務大臣横尾龍君) 水質汚濁防止法案というのについては、非常に通産省としても関心を持つておるのであります。勿論清澄にすることは望ましい。今お話通り、各鉱業、その他化学工業に対しましても非常なる問題であります。これは私といたしましては産業技術ができるような範囲においてやつて行けることを要望するものであります。それが如何なる法にすればできるかということを研究したのちで出して頂かんと、水質汚濁防止をやることがいいのだということ一存でこの法案を成立されることは私は好ましくない。反対の意を表するものであります。
  29. 小野義夫

    小野義夫君 続いて資源庁炭政局長の御意見をもついでに承つておきたい。
  30. 中島征帆

    政府委員中島征帆君) 水質汚濁防止に関する勧告安定本部のほうに出されておりますので、私どもといたしましては、安定本部に対しまして事務的な折衝をいたしておるわけであります。我々の一番心配いたします点は、画一的な一つ標準ができまして、それが一応は鉱山炭鉱乃至は化学工業等にも適用になるんだが、実際の運用上でそれを緩和して行くというやり方になりますと、その緩和の具体的な条項が決定いたしませんうちにいろいろなトラブルが起る虞れがございますし、且つ委員会制度等で果して妥当な運営ができるかどうかという点に心配がございますので、私どもといたしましては実情詳細調査の上で、具体的な標準というものを炭鉱なら炭鉱、場合によりましては非常に細かい山別川別というような具体的な標準というものが、つまり緩和条項の具体化したものがはつきりきまりました後に炭鉱鉱山或いは産業等に必要のあるような法律のようにして行きたいのであります。全体としての法案をいつ作るかという問題もございますが少くとも炭鉱なら炭鉱につきましては、具体的な点がはつきりいたしますまでは適用がないという形で進んで頂きたいとということを安本に話しまして、そういうラインで具体的に検討しようということに只今相成つております。
  31. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 只今問題になつております水質汚濁防止法案に対する厚生省当局の見解を承わりたいと思います。  なお農林大臣が非常に急いでおりますからこれで退席を……。
  32. 山川良一

    山川良一君 もう一つ参考人から一般鉱害のことについて今日陳述があるようですから、これも農林省関係がありますから、それを一つお聞き下さつてから御退席を願いたい。
  33. 圓城寺松一

    参考人圓城寺松一君) この問題は農林大臣非常にお急ぎのようですから、結論だけを申上げて、そののちに又皆さんには申上げたいと思います。九州、山口地方の鉱害につきましては、特別鉱害の臨時措置法ができますと同時に両院から現地に向われまして、つぶさに視察いたしておられますから事情はその間御承知のことと思います。これによつて戰時中強制採掘をいたしました分につきましては、非常な難航ではございましたが、臨時措置法ができて目下実施中でございます。併しこれに関連いたしまして、強制されないでも鉱害が非常にございまして、而もこれは普通の金銭賠償ですまない、国土計画上から言つても放置できないというのがまだ約百数十億残つておるのでございます。これにつきましては特別鉱害の臨時措置法ができまして以来、昨年の暮に鉱害対策審議会というものができまして、各省歩調を揃えて審議中でごいざますから、これを一つ早く実を結ぶように農林大臣ばかりではなくて、通産大臣その他厚生省、関係各省が早く実を結ぶように一つ御審議を願いたいということを申上げたい。
  34. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) それでは厚生省の水道課長。
  35. 田邊弘

    説明員(田邊弘君) 水質汚濁防止法案に対しまする厚生省の態度という問題について説明するようにとのお話のようでございますが、実はこの水質汚濁防止法案勧告は、安本の資源調査会で決定になりまして、安本総裁に勧告の形で提出されることに決定になりましたのは去る一月二十五日でございまして、只今勧告の手続中だと伺つておるのでありますが、この勧告に基きまして政府水質汚濁防止法案の立案に携わるということになつたのでありますが、その立案の原案を一応厚生省で検討いたすということになりまして、只今その草案の要綱の検討をいたしておるところでございまして、まだ草案すらもできておりません。従いまして、関係各省その他業界のかたがたの御意見を伺うという段階にもまだ立ち至つておらないのでございます。先ほどからこの産業排水の処理の問題につきましていろいろ御意見がございましたが、産業排水の処理の問題は技術的に見ましても非常に問題があるようであります。実際問題として、殆んど経済的に処理する方法のない工業廃水もございますし、又殆んど技術的に困難だという廃水もございますので、この産業廃水に対します規定は、当然ただ水を汚してはいかん、水産とか衞生という面からだけ眺めたのでは不十分であると私は考えております。もつと広い視野と高い見地からこれを検討する必要が十分あると考えております。勧告案の中にもその点は十分考慮すべきであるというふうに到るところで謳つておりますので、この点法案の作成に当りまして十分考慮するのであると考えております。具体的に法案の内容をどうするかというようなことは、まだはつきり方針もきまつておらないのでありまして、まだここで申上げる段階に立至つておりますんから、勧告の内容をできるだけ尊重すべきことは当然でありますが、なお相当研究すべき問題があるように考えているところであります。
  36. 山川良一

    山川良一君 今の汚濁水の問題は勧告は来ておるようでありますが、アメリカでも実際は殆んどやつていない。こういうことは政府でも先刻御承知のことと思いますから、勧告はありましても、化学工業等そのために或る場合にはやめねばならないようなこともできる虞れのある法案につきましては、研究程度で進めるように一つお願い申上げたいと思います。
  37. 小野義夫

    小野義夫君 安本長官がお見えのようでありますから、この際水質汚濁問題につきまして長官の御意見を承わりたいと思います。
  38. 周東英雄

    國務大臣(周東英雄君) 水質汚濁防止ということにつきまして、委員会ができて最近において一応の研究の結論がまとまつて、近く委員会から安定本部総裁に向つて答申されることになつているようであります。この事柄は事柄それ自体としては非常に理想的なものだ。これはできればそういう形がとられることがいいのでしようが、併しこの実施に当つては敗戰後の日本産業経済の実態ということもよく考えなければなりませんし、殊に問題は産業界における負担力、或いは水質汚濁の基準をどこに置くかというようなこと、或いは水質汚濁に関する責任の帰属をどこに置くかというようないろいろな錯綜した問題がたくさんあると思います。従つて仮に法案ができるといたしましても、この汚濁の基準というものをどういうふうにするかということは、むしろ法制でこれをきめるべきものがあるのではないかということも考えられます。私どものほうでは答申がなされましたならば、それらの事柄について愼重研究をいたした上で御処置をいたしたいと、かように考えております。
  39. 小野義夫

    小野義夫君 各大臣の御意見も殆んど同一で、これはよほど愼重を期してやられるということについては我々非常に満足を表するものでありますが、私どもの希望としては実害が発生している、例えば水道の取入口の上流において化学工業を営んで、その濁水、若しくは水質を汚しているという事実が発生した問題について、それぞれの場合において適当な処置をとるということが政府並びに地方庁の職務でありまして、その他の問題におきましては利害相伴つておるのでありまして、むしろ害というよりは、その利益はなくとも産業に過大の負担をかけ、或いはその地方の世論を喚起すとるいうほどの問題にならないようなものにつきまして、これを法制にしますというと、どれもこれもが法律のいわゆる権利に訴えて来るということになり得るのでありますから、これは何か万止むを得ない場合でも、個々の場合を取上げて処理するというような法案にして欲しいというようなことを希望するのでありまして、少くともここ数年間は今長官の御説のごとく、我々日本産業自立経済確立するときにおきまして、これ以上の負担を増加するようなことは一つ見合わせて欲しいということを希望しまして、私の質問を打切りたいと思います。
  40. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) お諮りいたします。通産大臣は病気を押して出席されておるようですから この辺で退席をさしたいと思いますが如何でございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  41. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 別に御異議がないようでありますから、どうぞ。
  42. 山川良一

    山川良一君 安本長官がお見えになつたようですが、先ほどお留守のときに二十八年度の石炭産業についての見通し合理化資金その他のことが問題になつたのですが、そういう点につきまして長官から一通り説明を願えればと思います。
  43. 周東英雄

    國務大臣(周東英雄君) 二十八年度までの石炭需給関係してお尋ねでありますが、大体二十五年度は四千万トン余だつたと思いますが、これに対して供給も大体四千万トンくらいの状況で進んでおりましたが、かなり順調に最近においては各山方が御努力になり、そうして一人当りの生産量も非常に殖えておるということは、山の経営の各位の御努力によると思いますが、そういう関係で非常に順調に参つておりました。ところが最近石炭界におけるストライキの結果、かなり減産の状況で、六十万トンくらい減つたのではないかという話であります。その結果恐らく四千万トン多少今年はへこむかと思うのですが、それでも今までの貯炭のお蔭でまあ辛うじて切抜け得るのではないかと実は二十五年度は考えております。併しそれにしても山元貯炭、港頭貯炭、工場貯炭というものが或る程度バランスを得てなければならぬのですが、今のようなストライキ等の関係その他で港頭貯炭、工場貯炭というものがうんと減つておる。これは非常な問題でありますので、こういう点については速かに船等の輸送力を強化して補いを付ける、こういうことで努力いたしたいと思つております。二十六年度以降の問題につきましては、細かいことはあとで次のかたから申上げますが、大体二十六年度は四千二百万トン、二十七年度が四千七百万トン、二十八年度四千九百万トンという生産計画を以て進んでおるようであります。恐らくこれに関しましては、その生産は上げ得るのではなかろうか、こういうふうに考えております。ここに参考人のほうから出ておりますように、二十八年度に要望される五千万トンの石炭生産が、特別の支障がなければやれるだろうということが書いてありますのですが、この点と政府見通しております生産計画とは大体一致するようでありますので、この点は結構だと思つておりますが、要は、これだけの内地生産があるとしても、恐らくは需要面においての関係からいたしますと、年々それぞれ……最高の二十八年度においては三百万トン程度の輸入炭がやはりその上に必要であろうかという予想をいたしております。これは恐らく鉄鋼生産等における特殊炭、粘結炭が主として問題になると思います。そういう見通しで今おります。併しそれにいたしましても石炭というものが日本経済復興のために、或いは経済の自立をなすために非常な重要な産業であることについては変りはないのでありまして、やや最近造船とか鉄鋼とかいうものが表に出ておるので、石炭の業界のほうからどうもネグレクトしているのではないかというお叱りを受けるのであります。決してそういうことはないのでありまして、石炭というものについての生産計画や、これに対しての必要な金融面なり設備合理化ということによる生産性の高揚ということに対して十分な処置を付けなければ、重要な石炭生産に狂いを来たすというようなことがありはしないかということを恐れるのであります。従つて政府におきましてはそういう面については特に考慮を払い、最近お話によりますと、出炭量が増しただけでなくして相当に質的に向上して、終戰後に比べて五百カロリーぐらいも上つておるということのお話を聞きますと、非常に喜ばしいことでありますが、そこにはかなりいろいろな点で業界の苦心もあることでありますが、そういう点についても選炭設備その他採掘に対する機械等の面において合理化し得るよう機械の輸入とか、それに必要なる資金供給とかいうことについてはこの上とも努力いたしまして、生産目標が達成せられるように、政府においては石炭については努力いたしたいと、かように考えるのであります。
  44. 高木作太

    参考人高木作太君) 只今安本長官からいろいろお話がございましたが、二十八年度において五千万トンの出炭が確保できる、こういうふうなお話でございましたが、先ほど申上げました通りに、自立経済審議会の方の目標が大体二十八年度四千六百万トン、こういうふうな数字でございますので、我我といたしましてはいろいろ要望いたしました諸事項が充足いたしますれば、又将来の需給見通し、これがはつきりした基礎の上において互いに増産するということができますれば、大体においてお互いに業界の全力を結集いたしまして、四千六百万トンの生産確保し得るという、こういうふうなことを考えておりますので、ちよつと重ねてその点を申上げておきます。
  45. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) ほかに御発言ございませんか。
  46. 小野義夫

    小野義夫君 ついでに如何ですか、議事の進行上先ほどお約束のあつた方方の御意見を伺つたら……
  47. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) ちよつと申上げます。公益事業委員会から中川経理長が出席されておりますが、都合によつて早目に退席を希望されておりますので、参考人に申上げますが、自家発電問題について御意見がございましたら御開陳を願います。
  48. 板橋喜介

    参考人板橋喜介君) 自家発電動力とその補強という点でお願いを申上げたいと思うのであります。要点を申上げますと、一番目に従来の電力の割当におきまして、自家発電所有炭鉱の取扱に対して非常に不公正な点がございます。標準料金の適用を受けます水力発電の割当には是非公平な分配をして頂きたいというのが一つの項目であります。もう一つは電力の不足の現状に鑑みまして、これが緩和の方策としまして既存の設備を有しております炭鉱用自家発電を補強し、近代化する強力な助成をして頂きたい、そうして電気事業者をして適正量を委託発電せしむるような措置をお願いしたい。折角ありますこの炭鉱用自家発電所を更に近代化し補強して、そうしてこの際電力の足らない際にこれを幾らかでも増しまして、電気事業者をして適正量を委託発電せしむるように措置を願いたいというのが二つであります。  附加えまして、過去の炭鉱の自家発電に対する未補償の問題がまだ懸案でございますが、この事業の措置に対する解決に対しまして政府御当局の善処をお願いしたい、こう考えるわけであります。内部の詳しいことはすでに公益事業委員会にも書類を以て出しておりますし、御質問がございますれば申上げたいと思うのでありますが、時間の関係上控えたいと思います。
  49. 小野義夫

    小野義夫君 今の説明の要点は公益事業委にも関係があると思います。同時に安本の方にも関係があるようにも考えるのでありますが、先ず安本長官から公平なる電気の分配、今まで不公正なる電気の配分があるという御説でありますが、この点に関して業者一つ安心するように御意見をお述べ願いたい。
  50. 周東英雄

    國務大臣(周東英雄君) 電気の配分について公平にやつてくれというお話で、これは尤もな話、別に不公平の配分をする人はいないでしようが、そこにまあいろいろ三千キロワツト以上、三千キロワツト未満のところとまあ区別して、分けかたを変えたり、或いは業態に応じていろいろとその必要量を見て、殊に前年度使用量を見て分けるというような一応の基準で分けられておるようであります。これについては一長一短があるのでありまして、本当に必要なものがぴつたりと公平に分けることができれば一番いいのですが、何かそこに基準がないとどうもいけないというので、一応今まで立てられたような基準で、先ず第一前年度の使用量を基準にして配分するというようなことが行われておるのですが、これなんか私ども見ましても多少不合理な点もあるようです。前年度は或いは非常な水災害があつたために、それの防除なりあと始末のために非常に電気を食つたが、今年は水災害がない、然るに去年使つたというそういう電気の量を基にして今年配分されると、要らん所に余計行つているという随分不平を聞くのであります。こういう点について、分けかたについて細目を修正しようということで、従来電気の関係通産省にあつたときにそこで研究が初まりかけようとしているときに、公益事業委員会に今度は仕事が移りましたから、そこで新らしく公益事業委員会のほうで細目に亘つて配分についての基礎考えられることになつた。そこで実際問題に即するように、非常に間違つているような点があるならば、それはいずれ委員会が直すことが私は至当と思いますので、その基準については十分皆さんの意見を御開陳になりまして、公益事業委員会等に参考資料を提出されるとよろしいと私は思います。ただ今後一番御不安にお考えになる点は、公益事業委員会が実際上委員会令によると配分をすることに表向きはなります。なりますがこれは決して公益事業委員会が駄目だとか何とかいう意味じやないけれども、結局今までのところこれからでも足りますまいし、主として発電の立場から考えての割当ということが行われるということになると、産業上の立場から見てそれが適否如何という問題が起りますので、そういう点から見ましては、常に総合官庁である安本と密接な連絡をとつて産業における電気の配分というものについてはその遺漏なきを期するように大体話は進めております。大体抽象的に申上げると、そういうことになると思います。
  51. 板橋喜介

    参考人板橋喜介君) ちよつと私が今申上げましたことがまだ徹底していない点がございますので、長官の御説明と少し食い違つた点がございますので申上げますが、この今各産業別の割当を公平にせよということも勿論でありますけれども、炭鉱業自体の中で発電所を持つている炭鉱と持つていない炭鉱とがあるのであります。持つていない炭鉱は受電炭鉱と申しますが、持つている炭鉱は自家発の炭鉱であります。その関係がですね、自家発を持つております炭鉱でもう一つは電気の料金が二種類ございます。二本建になつております。それは標準料金、それから今度は火力料金と二つでありまして、大体においてこの水力を基礎とする料金が標準料金になつておりまして、それがまあ一キロワツト一円二、三十銭のところでございます。火力のほうはまあ大体として五円十銭くらいの値段がするわけであります。その安いこの電力を割当る際に何を標準にしてやるかと言いますと、過去の実績によつてこれを割当てておりまして、足らない分をこの高いほうの火力発電としての料金で取つているわけです。ところが炭鉱で自家発電所を持つておりますと、自分が作ります電力は、やはり日発が作りますこの火力発電と同じくらいの費用がかかるわけであります。五円十銭というような高い値段がかかるわけであります。その際にこの割当が炭鉱で自家発電所を持つておつたものはその自家発電所のある部分だけは自分でやりなさい。まあ全体で百キロを使うとすれば、自家発を三十キロ持つておるとするならばその三十キロは自分でやりなさい。あとの七十キロに対してこの安い電力を割当ようというような割当方になつておるのであります。その点従来とも終戰以来電気自家発を持つております炭鉱は一生懸命で自家発を経理しましても、結局自家発を持つてない炭鉱よりも高い電力を使つておるという状態になつておるわけであります。この不合理を是正して頂きまして、自家発を持つておろうと持つていなかろうと、必要な電力量に対してこの安い電力を国家のこの公共事業に提供して、水力の恩典に浴さしてくれという点を申上げたいのであります。今電力料金が二本建になつておるところにそうしたいろいろな混雑が起るのでありますが、どうしてもそれを一本建にできないとするならば、自家発を持つてつてもやはりこの安い水力の料金、標準料金を同じように割当てて、その代り若し自家発を持つております電力が余つたならば、国家が電力不足の際にこれはできるだけこの全体のために余計にサービス申上げましよう、こういうわけであります。これがまあ不公平という言葉で申上げたわけであります。この点是非今後は割当を下さいますときに、全体の使用量を基準としてやつて頂きたい。又もう一つは過去の実績の、昨年の同月の実績に対して割当るという制度をもう一遍改正して頂きまして、その月々に必要な電力を使うのでありますから、その月々の総使用量に対して、高い電力と安い電力との比を高い電力をみんな一割だけ使うなら、みんなが一割だけ使うような割当方法にお願いしたいというのが、この一項に只今御要望申上げた点であります。
  52. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 只今参考人からの見解に対して、公益事業委員会としての考え方をお述べ願いたいと思います。
  53. 西田隆男

    西田隆男君 今の板橋さんの参考人として言われたことを取りまとめて言いますと、第一点は炭鉱の自家発に対する補償金をやるかやらんかという問題が一点、将来の問題としては、炭鉱の自家発の発電量を水力の場合には補助金をくれるかくれんかということが第二点、この二つが板橋さんの大体の御質問の要点であると思いますから、中川経理長から御答弁しにくいかとも考えますが、公益事業委員会としてのお考え一つお話願いたい。
  54. 中川哲郎

    政府委員(中川哲郎君) 最初のお尋ねの炭鉱の自家発電の補償金を払うかどうかとこういうお話でございましたが、この点は多分昭和二十三年頃に実施せられました電気事業が炭鉱の自家発電の費用の一部を負担しておつた時代がございましたが、それが石炭の価格統制の外れました時期以後打切られております。この点についての御陳情を伺つておりましたので、その点であろうかと存じますが、これにつきましては、当時物価庁におきまして、電気事業の料金の中に折込む折込まないという問題から、資源庁と物価庁といろいろお話合をいたしまして、二十四年の四月から九月十五日までの分を電気事業が負担するということになりまして、その分を電気料金に入れまして支払つておるのでございます。御陳情によりますると、九月十五日以後十二月十三日の電気料金の改訂までの間も支払うべきではないか、こういうお話でございましたけれども、これにつきましては当時その間の事情をいろいろ検討いたしまして、物価庁でさような決定をいたしたのでありまして、電気事業といたしましては九月十五日の分しか見てない。それ以上の分につきましてはいろいろ最近の含み資産その他の問題がございますが、公益事業委員会からこれを支払えということは申せない関係にあろうかと思うのであります。  第二番目の問題の、炭鉱の自家発の動員について将来補助金を出すかどうかということでありますが、炭鉱の自家発の動員につきましては、供給力の不足いたします現在においては、是非これを動員に加わらして活用いたさなければならないことは申すまでもございません。終戰後真先にこの点も取上げられまして、当時は政府でこれを補償して動員いたしたのでございますが、その後電気事業の負担ということで一時実施せられたのでありますが、石炭統制の解除に伴いまして、この点を一応炭鉱炭鉱で、自家発をしておられる鉱山は自分で発電して頂くのを原則にするということに変更を見たわけでございまして、実際問題として経済事情の点からいたしますると、自家発電のある炭鉱とない炭鉱の間の不公平という問題は現実問題としてあるわけでございます。この点につきましてはその間の不公平がないようにという意味合もございまして、或る程度電力の割当において適当な考慮を払わなければならないのではないかという点からいたしまして、経済安定本部におきましても、逐次その点についての考慮をお加え頂いておるように思いまするが、徹底して申せば再び元のような動員の態勢、政府が補償するとか、或いは電気事業が補償するとかというようなつき詰めたところまで行くのが一番行き万としては徹底した方法であろうかと思いまするが、一面におきまして産業の民主化と申しまするか、従前のような国家的な統制をやめろという色彩からいたしまして、各自の負担負担ということでその間の限界が設けられる要請もあるわけでございまるすので、この間の調整は当分の間はやはり電力の割当ということによつて調整をして行かなければいけないのではないかと、かように考えております。なお、具体的な方法につきましては、経済安定本部の割当方法というものを通じまして公益事業委員会のほうもこれと協力いたしまして、その方針に従つて配分をいたしておりますので、実施問題としての適当な調整方法によつてこの点の不公平を幾分なりとも滅して行くということで進むはかなかろうかと思つております。
  55. 西田隆男

    西田隆男君 只今中川経理長の答弁を聞きましたが、非常にうまい答弁で、要領のいい答弁ですが、そういうことでなく、板橋さんの言われておるのは自家発電をしておる炭鉱は割当を受けるときに自家発電をマイナスした割当量を受ける。それでは困るのだという御意見、従つて公益事業委員会若しくは安定本部としてはその自家発電をしておる電力量そのものを、今の場合は日発だけですから、配電会社だけですから結構なんですが、将来新会社でも確立された場合においては、その会社のプール計算の上に立つてその電力量というものを炭鉱に割当てるというような考え方は持つておりませんか。
  56. 中川哲郎

    政府委員(中川哲郎君) 自家発電は炭鉱ばかりでなく、ほかの産業にもございますので、全般として自家発電の動員をどういう方法でやるかという点もあるかと思います。現在の状況の下におきましては、自家発電を持つておる鉱山につきましては、当然その供給力から除外してその山の負担だということでは割当をいたしておらないはずでございます。安定本部におきましてもさような意味合で厳然たる差別を付けるということも如何かということで、或る程度は自家発電して頂く、併しながら割当のほうでも或る程度はこれは見ようという折衷的な操作をいたしておるわけであります。従つて実際問題としては個々の山の配分に当りましては、その点の調整は或る程度炭鉱側におきましてもプール的にせられておると思います。従いまして割当を通じまして、山で或る程度プールしておるというのが実情であると思いますが、それを電気料金の面で徹底したプール計算はできないかというお尋ねでございますれば、これは又電気事業と炭鉱の問題と申しますか、事業間の問題といたしまして一つ研究問題になるかと思いますが、現在の状況下においては割当の方法を通じて、或る程度の電気料も結果においては幾分負担もいたしておりますけれども、一般産業の自家発の動員の問題とからみまして、勢い今申上げました方法で当分行くのか妥当ではないかというふうに考えておりますが、なお現実の割当はどうなつておるかということにつきましては、安定本部なり或いは資源庁のほうで相当御存じだと思いますので、個個の山についての或る程度のプール措置がとられておる現状であろうと思います。
  57. 西田隆男

    西田隆男君 それでは安定本部にお尋ねいたしますが、今中川経理長が答弁せられたように、電力量の割当数量によつて料金が或る程度プールされておるという答弁でしたが、そういうことになつておるかどうか。なつておるとすれば、その数量はどの程度数量でどの程度プールされておるかということを御答弁願います。
  58. 増岡尚士

    政府委員(増岡尚士君) 自家発電の量を割当の際にどういうふうに見るかということは、現在の需給状況、特に供給力の点が足らない結果或る程度標準料金の割当をする場合に、自家発電の負担を自家発電を持つておる産業にしてもらつておるという状況であります。更に簡單に申しますと、割当は自家発電がないものとして割当てておるのではなくて、自家発電が相当たくさんあるものだということで、自家発電を持つておる産業については自家発電を一定数量されるものとして、それに足らない部分を水力料金で使える電力量を追加して割当てているということであります。従つて自家発電を持つておる産業についてはそれだけ一部負担になつて行くということは否めない事実なんであります。それで石炭鉱業についてどういうふうに処理すべきかということについては、先ほど板橋さんからお話もありましたように、石炭産業の特殊性から考えて、できるだけその負担を少くするということで、水力料金で使える電力量を石炭産業に割当てる場合には、石炭産業のするであろう自家発電をできるだけ少く見ることがよろしいのでありますから、大体考え方としては漸次減らして行くという考え方を私どもはとりまして、毎期ごとに石炭産業の自家発電の負担分を少くして、石炭鉱業の負担を少くするようにという措置をとつております。併しながら最初に申上げましたように、これをゼロにして割当てるというところまでには現在のところ行つておりません。今後将来の取扱をどういうふうにするかということでありますが、理想的な形といたしましては、自家発電分を電気事業者の発電量とプールをして料金を計算をするということがやはり一番理想的な彩であるというふうに考えておるのでありますが、若しそういうことになれば割当は一律にできるわけでありますので我々といたしましては従来からそういうところに持つて行くという建前で漸次減らして来て、二十六年度の第一四半期頃に料金改訂でもあつたならば全部ぶち込むというような形で解決をすべきであろうという心組を以つてしておつたのであります。ところが御承知のような電力の再編成の問題が起きまして、会社が分割することになりましたから、全国一本で解決することは困難になりましたけれども、今後我々の考え方としてはやはり地区ごとに自家発電をプールするという考え方で処理するのが本筋ではなかろうか、当然再編成の済みました五月以降においては料金問題が問題になるわけであります。ただその際にそういう形でやることがやはり自家発電を総合的に全部動員をいたしましてともかく供給力が足らない際に、供給力を全部出さすためにはこれが一番いいのだというふうに考えております。その点についてはいろいろほかに御意見もあると思うのでありますが、私ども考えとしてはそういう方向で関係方面と進めてこの問題の解決を図ることが一番正道であるというふうに考えております。
  59. 西田隆男

    西田隆男君 只今の安本側の説明を聞きますと、中川経理長の説明と大分違つておるようですが、公益事業委員会も安本側のような御意見になられて、安本と協力して一つプール計算ができるように御善処方をお願いいたします。  今一つは割当の問題と同時に割当の公平の問題についてですが、昨日の電力委員会で関西地方の鉄鋼業者のかたが見えて問題になつたのですが、質問する前にこの問題は安本との間に何らかの妥協点が見出せて関西鉄鋼業諸君の安心するような状態なつたかならないかを中川経理長に一つお伺いします。
  60. 中川哲郎

    政府委員(中川哲郎君) 関西の電力の割当の問題につきましては、昨日安本のほうに申入れをいたしたのでありますが、経済安定本部のほうで現在通産省と協議中だそうでありまして、まだ御意見を頂いておりません。もう暫らくお待ち頂きますと、安本側の意向も頂戴できるかと思います。
  61. 西田隆男

    西田隆男君 それでは丁度安本長官が見えておりますから、昨日の経緯をお話いたします。炭鉱の問題とよく似たような問題です。炭鉱は自家発電というもので、自家発したものを高い金をかけて使つておる。関西の鉄鋼業者のほうでは鉄鋼業者は負担に堪え得るから超過料金を払えということで、水力の……水力と言つちやおかしいのですが、基本割当量が非常に減らされておる、その上に今度の渇水による発電の減少によつて規制された、更に火力の超過は絶対使つちやならん、そうしてマイナスをして割当基準をしてもらつたものから二〇%削減された。結局四五%の電力の削減を受けた。これじや保安電力だけで何もできない、従つて十万の労働者の生活権に関する問題で関西の鉄鋼業は操業を停止するより方法がないという昨日電力委員会のときの陳情でございました。これは割当超過電力量が使えて、金を高く払つても使える場合ならば割当の公正不公正は問題にならないと思うのですが、今日のごとき状態になつて電力制限を受けたという場合になれば、他の産業に比較して非常な強度な制限を受けておるという実情であるがために、昨日公益事業委員会委員長以下御出席を求めた上でこの問題をお話いたしまして、安本のほうに折衝をして、安本の割当が現実の情勢で何とかなるものであるならば便法を講じてもらいたいということを、公益事業委員会を通じて安本当局との折衝を頼んだわけですが、今中川経理長の話を聞きますと、まだ折衝が妥結していないというお話なんですが、安本として然るべく御考慮願いたいと思うのですが、御意見をお伺いいたします。
  62. 周東英雄

    國務大臣(周東英雄君) 今度の渇水に件う制限に関連しての問題であると思いますが、この問題は内部的に私どものほうの制限発表があつたときに、直ちに連絡をとつております。只今のところでは実は電力の割当は公益事業委員会に移つておる。ところで先ほど私は板橋さんにお答えしたときに、その点はそういう含でお話を申上げておるわけであつて、法制の上からは公益事業委員会のほうが割当をすることになつておりますから、これは飽くまでも電力供給発電の立場のみ見て一律にすぽつと制限を行う、割当を行うという問題はむづかしいのでありまして、今度はいろいろのことがあつて急がれて止むを得ないのですけれども産業の立場から考えても、特殊性を考えて制限をなすような場合においても、何らかそこは重要な産業と然らざるというと叱られるかも知れないが、そのときにおいての国内から見て、これは減してもいいという所と調和を取りつつ制限するならするという行き方をとらなければ、一番大事な今日、あちこち混乱を生じては困るということで、一応この制限をいたしましたが、内容的には相談をして適当な形に是正をするなり、変えることが必要であろうということで相談をしておるはずであります。  それからもう一つ先ほど板橋さんのなんで私はそのつもりで答えておるつもりですが、前年度によつて一例を挙げると、前年度の使用量によつて割当をするということはあなたたちの石炭鉱業界の中に不合理が生じておるということを実は具体的な事例で知つておるのです。こういう面については止むなく一つの線がきめられたようでありますが、そういう面についてはどうしても基本的な修正をし、内容を改正すべき点が出て来ておる。この点は元の資源庁の電力局時代にも大体改正をしようという形で進んでおりますが、いろいろ関係方面との関係もありますので遅れておりますが、たまたま再編成の問題が急速に出て来て、仕事がずつともう公益事業委員会の方へ打つたものですから、実は公益事業委員会の方でも再編成の資料に集中されて手が足らないために今手が廻つておらんわけであります。これらにつきましては、私どもの方も通産省も協力して、どこまでもどうということはないのだから、本当に必要な形に電力の割当が少しでもよりベターに行われるように基準等についても改正をやる、こういうことでやつてておるわけであります。只今の面における鉄鋼業の問題も恐らくは今度のいろいろ制限規定の御陳情だと思うが、これはでき得る限り善処いたしたいと相談をいたして、改めるべきは改めたい。こういうように思つて相談をしておるということだけ申上げて置きます。
  63. 西田隆男

    西田隆男君 安本長官は電力の割当は公益事業委員会に行つておるんだという御説明ですが、法律的にはその通りです。併し公益事業委員会から見えておりますが、今もおつしやつたように、安本の方に御相談に行つてつて、安本の了解が得られたならば何らか方途を講じようというように、公益事業委員会は発足以来時日はまだ浅いのですから、実際の仕事はやつておられんと思います。今長官はこの問題についても安本当局と折衝をしておるだろうということであつたので、事務当局のほうからどういうお考え方を持つておられるか、もう一遍一つお伺いします。
  64. 増岡尚士

    政府委員(増岡尚士君) 今度の電力の制限の措置は非常に急でありましたために、実は十分の打合せを遂げておらないために具体的の場合に非常に差障りもできた所もあると思います。御説明申上げるまでもなく、今までの電力の割当というのは水力料金で使える量を割当てておるので、火力料金では幾らでも使つていいということにはなつております。ところが今度の三千キロワツト以上の割当量を二五%減らしたというのは、標準料金で、使うものを二五%減らしたのではなくてマキシマムをそこに抑えたということのために、ほかの三千キロ未満の需用者との間に相当アンバランスができたということはいなめないと思うのであります。ただ元来第三四半期の割当をいたしました際に、供給力と睨み合して、他の三千キロ以上の需要者に対しては、三千キロ未満の需用者に対するよりも幾らか楽な割当をしまして、水の状況如何によりましてはこれを減らすというような心持で割当をいたしましたので、水の状況が非常に惡くなつたためにあのような制限をかけざるを得なくなつたのでありますが、最初に申しましたように、電力基本料金の割当量の削減ではなくて、マキシマムをきめたということのために鉄鋼業界なんかに対して非常に与える影響が変つたものになつてしまいましたので、その点につきましては公益事業委員会のほうとも連絡をいたしまして、一般的に休電日を更に殖やすというような方法でアンバランスがないようにするとか、或いは割当量というのはマキシマムということではなくして、標準料金というような建前でやるとか、そういうような考えかたができないものかということについて相談をいたしておるのであります。併しながら水の状況が必ずしも急によくなつて来ないということでありますので、直ちにまだあれを変えるところまでは行つておらないのでありますけれども、今申しましたような考えかたで相談を取りまとめることができれば、水の出工合如何によつては漸次その制限を変えて行くということは可能であるというふうに思つております。なお三月以降の割当、或いは緊急の場合の制限の方法については、十分に打合せをあらかじめいたしまして、二月の制限で起きましたような惡い影響を避けるということに十分努力をして行きたいというふうに考えております。
  65. 西田隆男

    西田隆男君 もう一つお尋ねいたしますが、中川経理長、これはあなたも聞いておいてもらいたい。今安本からの御説明を聞きましたがね、必要電力の何割ということで切つたからそんな弊害が起つた。だからこれを標準割当量の何割ということで制限をしたらどうかというこりとを公益事業委員会と話合つているということはこれは結構なことですが、この現在の電力渇水状況はここ数日の間に解消するとは我々は考えない。従つて二十六年度においても、二十五年度の第一四半期は勿論ですが、二十六年度においてもこういう状態が続く可能性がある。企業をやつておるものは、あなたがたの話合が何日たつて結論が出るというところまでは待てない。一日も早く安定本部との間に協定点を見出されてそういう不公平の点を是正するように努力を願いたい。これは中川経理長にお願いしたい。  もう一つの問題は、日発の含み資産と関連性を持つのですが、炭鉱業者が自家発電で高い料金を負担しておる。そのために日発そのものに利益があつて含み資産というものが残されておつたというような形である以上、これはあなたのおつしやつている九月以降のものに対しては払うとか払わんとかいうような話であつたが、これは払うように仕向けて頂かないと、一部の人の負担によつて日発の利益が一部残つておるということであれば支払うのが適当であると考えるから、この点を委員長にその由をお伝え願いたい。これで私の質問を打切りたいと思います。
  66. 板橋喜介

    参考人板橋喜介君) 問題が、又たくさん重大な問題の要望がございますので、この問題に関しては……。
  67. 山川良一

    山川良一君 ちよつと待つて下さい。速記を止めて下さい。
  68. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) ちよつと速記を止めて。    〔速記中止〕
  69. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 速記を始めて下さい。この電力問題につきましてはこの辺で打切つて、第二の問題につきまして、参考人の御意見の御開陳をお願いいたします。
  70. 圓城寺松一

    参考人圓城寺松一君) それでは合理化資金確保のための金融機構ということについてお願い申上げます。先ほど高木さんから炭鉱能率が終戰後順次上つて参りまして、最近は一カ月十トンに達するという程度まで来たという御説明がございました。炭鉱能率につきましては戰前の能率と比較をしてそうして今の能率がいいか惡いかということをよく言われるのでございまするが、戰前におきましては労働基準法のようなこともなくて、時間も随分長いこと働いておりました。それから戰前からしますと、すでに十何年経過しておりますから、掘りまする場所も深くなつておる。又少し專門的になりますが、炭鉱の中から掘出したものを水で洗つていい炭にしまするときの歩止りも惡くなつております。そういうことから考えますと、今日の十トンを戰前のトン数に換算いたしますと、十五トン、或いは見ようによつては十六トンになるだろうと思います。そこで現段階においては、合理化限度に達しておるという高木さんの表現は、私はその通りだと思います。従つて今日以後炭鉱生産能率を向上いたしまして、そうしてコストを下げて供給いたしまするためには、どうしても設備改善をしなければならない。ところが御承知通り復金は二十三年度の第四四半期から卒然として融資の方法を停止いたしたのでございます。その後我々は金融難に対処いたしまして、常に政府当局に対しましても、事あることにお願いを申しておるわけでありまするが、長期の資金を求めることはできないのでございます。それにこの炭鉱の本質といたしまして、先ほども高木さんが述べましたように、急に増産ができない、或いは急に減らすことができない、こういう性質のものであるにもかかわらず、二十四年の中頃、以後におきまして、出炭が漸く需要にミートするような時分になりましたら、世間の人が炭鉱に対する認識をけろりと忘れてしまつております。これはやがて炭鉱能率を低下して減産を来たす原因をなすものと私は考えております。そこでどうしても炭鉱に対しましては、絶えず次の計画をいたしまして改善をして行かなければならんのでございまするが、先ほど総括的に高木さんが申上げましたように、莫大なる借金を背負つたままであります。最近何がしかの利益を得ましても、これは負債の返還と納税をいたしまするというと、新規の投資というものは全然できないような状態でございます。そこで私たちはこの復金が融資を停止いたしまして以来、他の産業の皆さんと一緒になりまして、長期の金融機関の設立をお願いしておるようなわけでございまするが、戰前におきましては、興業銀行が炭鉱の長期の金融を扱つておりました。併し戰後におきましては、普通銀行と変つておりまして、これが長期資金供給の用をなさんのであります。そこで炭鉱のことは忘れ勝ちになりまして、最近は電気、製鉄、造船、そういうことのみに囚われておられてそうしてじりじりと炭鉱設備が落ちて行くということを忘れられておる形でございます。こういう際にこそ、堅実に投資をいたしまして、低廉豊富な石炭を出す準備をしなければならん、かように考えております。最近開発銀行が設立されるということで、これも日産協あたりで他の産業のかたと御一緒に、この銀行が一日も早く、たとえ不完全であつても拙速を尊ぶという皆の声がございまして、一日も早くこれができることを希望しておるわけであります。これなくんば先ほど申しましたように、炭鉱生産能率というものは低下の一途を迫るという原因を作るわけでございます。  その次は復金借入金に関することでございまするが、今申上げまするように、一般銀行が長期の貸付ができない、特殊銀行はなしということでございますので、どうしても新規な長期の資金が借りられないということになりまするというと、復金の私たちの借りておりまする金の返済を一時猶予して頂きたい、これは新規に借金をしたのと同じように、私たちの仕事には働いて来るのでございます。復金の貸金はひとり炭鉱のみでないからお前たちだけにそういう便宜を計るわけには行かん、こう言われると思いますが、炭鉱が終戰後に復金から借りました金は、全貸金の三割以上、三分の一は炭鉱が借金しておるのでございまして、何としても将来はともあれ、早く金を貸してやつて炭を出せということで借りておりまして、他の産業に比べますというと、復金借入金の荷が非常に重いのでございます。そういう特異性をお考え願いまして、一時これを猶予して頂く、そうして開発銀行でもできましたら、その際に私たちはそのほうの金融を得て予定の返済をする、こういうふうにやつて頂きたいと思うのでございます。特に今私は復金借入金を一括してお願いを申上げましたが、復金借入金の中には、約総額の半分が、いわゆる世に炭住と言われまして、炭鉱労務者の住宅を建てることに相成つております。これは戰後石炭が不足して非常に困りましたときに、政府が年産三千万トンに石炭をするのにはどうしたらいいかということを非常に研究しておられまして、その当時一人当りの能率が非常に低能率でありましてから、どうしても住宅を建てなければいかん、併しやがて能率が回復するのだから、遠からず不要になるものである、これを民間に建てろと言つても、建たない、政府の力によつてこれは建てなければ困る、然らずんば石炭増産はできないということを進言いたしまして実現いたしましたのが、この炭住の制度でございます。これに対しましては当時政府は、今申上げました趣旨で、今は住宅が要るがやがて要らなくなる、そういうものに対して業者が危險を冒して住宅を建てない、そうしたら石炭を殖やせと言つても殖えんじやないか、この趣旨を御了承になりまして、然らば炭住建設資金の九割は炭価に入れて、償却金として炭価に織込んで政府が持つてやろう、あとの一割は昔じやないから廃物価格で回收したらいいじやないかということで、明らかに九割というものは業者に負担をかけないという約束の下に、炭住というものは、炭鉱労働者の住宅というものは建つたものでございます。その後どうなりましたかというと、全体の償却が、炭価に繰入れられておりまする償却が僅かに十一円何がし、炭住の償却どころでございません。一般設備の償却もできない。こういうわけでありまして、未だにこれが解決付いておりません。そこでこれもいろいろ事情がございまして、白紙の上に書くがごとく我々の要求のみ申上げるのもどうかと思いまするから、せめて一時返済を延期してもらう。又以上申上げました特殊事情の下に、而も特殊の約束、特約を以て建てたものでございますから、これに対しては金利を現在の見返資金の金利並みに下げて頂きたい。そうでなくても炭鉱の金利は、先ほど高木さんからお話がありましたように、非常な負担でございます。そうしてかくのごとき今申上げまするような炭住の金利も負担しておるわけであります。このことにつきましては炭鉱のことを常に惡口を言う他の産業の人も、そういう約束があつて、諸君がこれを何ともしてもらえんというのはおかしいじやないかと言うくらいでございまして、この点につきましてはもう一年半前から御陳情申上げて、その間私は病気で引つ込んでおりましたが、少しも片付いておりませんので、これを真劍に取上げてそうして約束したことは果すというようにして頂きたい。これは何も日本炭鉱だけあるわけじやございませんから、今申上げますように、私たちの要望をそのまま白紙の上に自由に書いて入れるようなわけには行かんと思いますが、理窟が立つておると思いまするから、入れられるような方法を講じて頂きたい。これは私たちの痛切な叫びでございます。極端な言葉で申上げますと、騙されたというような気持でおりまするのですから、これは政府ばかりじやございません、議員の各位に特にお願いいたしまして実現するようにして頂きたいと思います。私から申上げることは終ります。
  71. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) なお税制について御開陳がございましたら、ついででございますから、お話願います。
  72. 村木武夫

    参考人(村木武夫君) 税制の問題について申上げたいと思います。  先ず炭鉱の坑道の問題でありまするが、これは現在は切羽によりまする採炭場の片盤坑道以外の坑道は、全部固定資産として起業費支出をするようになつておるわけであります。それに対しまして、私どもは次に申述べますようないろいろの理由がありますので、この坑道につきましては操業開始までに掘進いたしまする坑道、それからもう一つ生産規模を拡大いたしますための坑道の掘進、この二つは起業費支出が妥当と思いますが、それ以外の坑道は営業費支弁とすべきが正当であるというふうに思われますので、そういうふうに改正をお願いいたしたいというふうに考えるわけであります。その理由は第一に石炭鉱業は他の地上の工場と性質が違いまして、地上の工場でありますと、一旦設備いたしましたものから生産をして、それが償却によつて又新らしい設備を造つて生産をするというふうに、回転いたして行くのでありますが、石炭業におきましては償却の起業の基礎となりまする経済的採掘可能炭量というものが、自然物でありますので、断層の変化その他によりまして起業当時に予定したものよりは著しく変ることが非常に多いのであります。更に炭鉱業は非常な危險を伴つておりますので、そういう危險によつてガス爆発、或いは自然発火等によりまして炭量が著しく変化することがあり得るのであります。従つてそういう産業に対しまして坑道の大道分を起業費支出とするということは非常に不確定な要素に対して起業を考えるということになるわけでありまして、考えようによりますと不良資産を将来に持越すことと同様の結果を生むからであります。それからもう一つの理由は、操業開始までの坑道並びに生産拡充の坑道は、今申上げました二つの坑道に対しての費用は、生産量を伴つておりませんから、これは起業費支出とすることは妥当だと思われますが、それ以外の坑道は生産維持のための坑道でありまして、探炭量に正比例して行く性質のものでありまするので、これはその意味から行きましても営業費支弁とすべきものであろうと考えるのであります。第三番目の理由といたしましては、石炭業は深部に移行するにつれまして生産費が高くなつて行く特性を持つておりますにもかかわらず、坑道を全道起業に見て参りますと、普通の営業から来る源価高のほかに、この坑道が拡がつて来ることから来る起業の償却額が殖えて参りますので、深部に行きますにつれて、償却額が殖えて行く。元来起業というものは営業原価を維持するか或いはそれを低くするために行わるべきものでありまして、そういうことにならない結果になるような整理方法炭鉱の経営を不完全にするものでありますので、そういう点からも不合理性を考えるわけであります。第四番目といたしましては、戰前の炭鉱業におきましてはそういう方法をとつておつたわけであります。税務署もそれを認めておつたわけでありますが、統制時代になりましてから、殊に低炭価政策をとられるようになりましてからは、扱いが一番初めに申しましたように変つたわけでありまして、こういうことにいたしますと、先ほど申上げましたような理由で架空の利益に課税せられる結果になりますので、企業の健全性の意味からも、而も従来も戰前はやつておつた石炭鉱業の特性としてやつておつた内容のものでありますので、そういう状態に戻して頂きたいということが第四番目の理由であります。第五番目といたしましては、この方法はアメリカでも私の申上げるような方法を現在すでにとつておるわけでありまして、アメリカでは更にこのほかに坑道に対しましては減耗控除の償却方法……。
  73. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) お話中ですが、時間が大分経過して参りましたので、簡單一つお願いいたします。
  74. 村木武夫

    参考人(村木武夫君) そういうような方法をとつておりますので、是非坑道の問題につきましては、私の申上げましたような理由からして、先ほど申上げました内容のように改正して頂きたいというのが私ども考えであります。  それからもう一つは、炭鉱の固定資産の償却の耐用年数が今十二年になつておりますが、これは主として設備並びに機械の耐用年数でありますが、これも戰時中或いはそれ以前は、八年になつておつたわけであります。これは石炭鉱業が三交替制でもうすでに操業いたしておりまして、戰時中と何ら変りがありませんので、戰時中同様の耐用年数に直して頂きたいというのが第二の要望の点であります。三番目は、修繕費の問題でありますが、修繕費はこれは帳簿に記入してあります取得価格とその後の修繕費とのバランスが問題になつていろいろ否認されたようでありますが、これはその後の価値変動が非常に多い点を余り考慮されないで否認される例が非常に多いのでありますので、そういう点をよく理解して頂きたいということであります。  大体以上の三点でございます。
  75. 小野義夫

    小野義夫君 ちよつと速記を止めて下さい。
  76. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) ちよつと速記を止めて……。    〔速記中止〕
  77. 深川榮左エ門

    ○量員長(深川榮左エ門君) 速記を始めて……。
  78. 首藤新八

    政府委員(首藤新八君) 只今円城寺参考人から炭鉱の長期資金、並びに復金の諸問題、並びに税金の問題についていろいろ御質問がありましたからお答えをしますが、円城寺さん御自身の御説明によりますと、最近出炭が軌道に乗つた関係上、炭鉱に関心を持たれないような傾向があるというような趣旨でありますが、これは全く円城寺参考人の偏見でありまして、政府といたしましては、炭鉱に対しましては特別の関心を持つておるということを前提として特に申上げて置きたいと思うのであります。そこで合理化資金の問題でありますが、御承知通り炭鉱合理化問題は合理化審議会の答申によりまして、四百五十億円が計上されておるのであります。政府炭鉱の重大性を認識しておりますことによつてこれをそのまま採択いたしまして、その線に浴つて合理化を推進いたしたいという構想の下に進んで参つたのでありまするが、御存知の通り、何分にも本来の財政状態が急速にそれをやることを許さないのであります。尤も四百五十億のうち、二百七十億が特別融資、百八十億が炭鉱の自己資金というふうに見ておるのであります。そこで百八千億の自己資金は別問題といたしまして、二百七十億の特別融資でありますが、これも三カ年計画で今年度におきまして見返資金を二十億増したい。更に預金部資金基礎とした金融債その他で百二十九億を確保したいというふうに考えまして、目下関係各省、並びに司令部との間に折衝を進めておるのであります。近く何らかの決定を見ることと信じておりまするし、これを速かに実現いたしたいというふうに考えておる次第であります。  次に復金の融資の問題でありまするが、これは昨年十二月末現在、融資の残が三百四十二億円残つております。そしてそのうち百億はすでに返還期日を経過しておるのであります。この金利は九分五厘という比較的高利でありまして、融資の金額が非常に大きいことと、それから金利が高いこと、これらよつて以て炭鉱の負担が相当大きな数字になりますので、勢い経理面に非常な圧迫を加えておるということは我々十二分にその点は認識しておるのでありまして、従つてこれを何らかの方法でもう少し軽減することが必要である。かような考えの下に、実は只今申上げました合理化推進期間は三年間でありますが、この三年間の間は一応元利とも復金の金融の返還を猶予する、そうしてそれが過ぎましたならば、そのときに大体二十ヵ年の長期を限度といたしまして、各会社のその場合における経理実情に即して適当に返還期間を延長するような方法をとりたい。同時に金利の問題でありますが、これも設備資金に関しましては七分五厘程度、いわゆる見返資金と同様程度の七分五厘程度が適当じやないかと思います。もう一つは、先ほど特にいろいろ言われておりました炭住の問題でありますが、これは全く御説の通り、炭住のために融資いたします場合に格段の考慮を払う必要があつたかのように承わつておりますので、この分につきましては、特に金利を三分五厘という低利にいたしたらどうかというような考えの下に、関係筋、並びに関係各省に折衝いたしておるのであります。御承知通り、何と言いますか、ドツジ・ラインの推進期間が依然として継続しております関係上、思うように最終決定を見ておりませんので、勢いその業者のかたから見ますれば、非常に生ぬるい、又非常に延びている、従つて関心が持たれないというようなお考えになるかどうかわかりませんけれども政府といたしましては、非常な関心を持つて、でき得る限り速かにこの問題を解決いたしたいというふうに考えまして、努力を続けておることを御了解願いたいと存ずるのであります。更に只今お話のございました坑道の課税問題でありまするが、政府も大体お説に同意を表するものでありまして、是非とも御希望に副いたいという考えかたから、地方財政委員会に対しまして先般来これ又続いて折衝をいたしておるのであります。  もう一つこの耐用命数の問題であります。耐用命数と、それから修繕費の問題でありまするが、これも実は昨日の省議におきまして資本蓄積、或いは合理化という考えかたから、この際一応耐用命数を相当短縮する必要がありはしないか、併しこれはひとり炭鉱に限らずあらゆる産業を対象といたしまして、耐用命数を短縮する必要がある。更に又従来経費に計上されていないところの、而も実際は修繕に追われるところの設備、これらもここに取上げまして、そうしてこれらを一応修繕費として経費としてとつて置くべきじやないかというので、個々の産業について個々の設備を取上げて、近く大蔵省とこれも折衝を開始することになつておるのであります。かれこれ大体御意思の点は政府といたしましては十二分に了解しておるつもりでありまして、今後も続いてその御希望の線に沿つて邁進いたしたいということを申上げて置きたいと思います。
  79. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 念のために申上げまするが、大蔵省から只今舟山銀行局長、伊原理材局長、石原主計局次長が出席されておりますので、委員のかたの御質問ございましたらどうぞ。
  80. 山川良一

    山川良一君 先ほど円城寺さんから話がありましたごとく、長期資金対策、それから今の局長のかたに税制のことをお尋ねするのはどうかと思いますが、二点だけお答えできれば……。
  81. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) それからお断わりいたしますが、今石原主計局次長は帰られたそうですから、あとの舟山君と伊原君がおりますから……。
  82. 舟山正吉

    政府量員(舟山正吉君) 長期資金炭鉱方面に対する供給につきまして今お話を伺いましたのでございますが、参考人お話もありましたように、復金の機能が停止され、又興業銀行が普通銀行に変つたということで、私どもはこの融資について特殊の機関を持たない、まあ政府の金と申せば即ち見返資金が残つておるわけであります。それらにつきましては、極力まあ市中銀行を斡旋するという程度の力しかないので、この方面におきましても誠に歯がゆい思いをいたすわけであります。又金融業者といたしまして、経済が安定して参りまして、資金が長期化して来る。長期の資金が獲得できるという方向に向いつあつたのでありますが、最近いろいろの情勢の変化などで、まあそれが中断されておるような情勢にあり、又その金利についてもいろいろな問題があるということでむずかしい問題が多いのであります。そこで私どもといたしましては、長期資金確保ということにつきましては、是非とも特殊の金融機関がいるのではないかというふうに考えるのでございまして、現在開発銀行の構想を研究しておる次第でございます。この復金の貸付金の回收、或いはその利下げの問題につきましては、これはすでに長い間の懸案でございます。なかなか解決の曙光をも見るに至つておらないことは遺憾千万でございます。これも私どもといたしましては、開発銀行の問題と併せて解決いたしたい構想を持つておるのであります。即ち開発銀行を設立いたしますれば、それに復金の債権、債務もでき得べくんば吸收さして、ここで懸案を解決したいという気持も持つておるのであります。開発銀行の構想は目下研究中でございまして、まだ具体案を申上げるに至りませんけれども、どうもそこまで行かなければこれまでのいろいろの難点というものが解決できないのではないかというふうに考えている次第でございます。
  83. 伊原隆

    政府委員(伊原隆君) 只今首藤政務次官から大局の説明がございましたので、私は見返資金の担当をいたしておりますのと、社債、自己資金等につきまして若干の所管をいたしておりますので、皆さんのほうがよく御存じだと思いまするが、一応御報告を申上げて置きたいと思います。  石炭の見返資金に対しまする融資につきましては、昭和二十四年度におきまして二十六社に対し四十一億三百万円の融資をいたしました。又二十五年度におきましては、当初の計画が三十四社二十二億円でございましたのを、その後追加をいたしまして、只今の計画が二十四億三千万円、二十二社ということに相成つております。で石炭に対しまする見返資金融資は、司令部方面におきましても非常に好意を以て取扱つてくれておりまするので、皆様御存じの通り非常に順調に進捗いたしまして、すでに二十一億二千百万円の承認を得ております。なお現在未決定のものが三億ほどございますが、これは大部分におきまして昨年の末に計画を追加いたしました会社の分でございまして、これらにつきましても至急解除の運びになることを期待をいたしております。なお昭和二十六年度につきましてはまだきまつておりませんけれども、重要産業、私企業に対します融資のうち、いわゆるその他というのが四十五億ございまするが、これも本年度程度、又はそれ以上を石炭に向けるようにこれは安定本部並びに通産省の御当局とよくお打合せをいたしておる次第でありまして、石炭の重要性につきましては、通産省のほうから十分な御援助によりまして、私ども見返資金の運用には遺憾のないようにして参りたいと思います。なお社債事情につきましては、今年度は非常によかつたのでありますが、だんだんむずかしい状況になつておりますので、石炭鉱業が短い金で借りておられる。これを長期の金に切替える点について御苦心になつておる点はよく了承しておりますから、社債事情、それから株式事情というふうな点を通じまして、できるだけの配慮をしたいと考えております。
  84. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) なお地方財政の税務部長がお見えになつておりますが、御発言ありませんか、税制について。
  85. 後藤博

    政府委員(後藤博君) 固定資産税の中で、償却資産の主要坑道の課税の問題につきまして、簡單に申上げます。石炭関係の主要坑道の範囲をどの程度に限定するという問題につきましては、昨年から通産省並びに石炭鉱業会と種々折衝いたしておるのでありますが、課税団体でありますところの市町村側の要望が非常に強く、且つ広い範囲にこれをかけたいという希望もございますので、その間におきまして財政委員会としては無理のない限度においで話をまとめたいと考えて種々折衝しておるのであります。一応十日ばかり前に話がまとまつたように聞きましたので、私ども鉱業会のかたがたにおいでを願つてお話を申上げておるが、どうも話がまとまつていないようでありますので、改めて話を仕直しまして範囲をきめて行きたいと考えております。先ほど申しましたように市町村側は主要坑道を非常に広い範囲にしたいという希望がございまするが、私どもといたしましては先ほどからのお話通り余り広い範囲にいたしますると起業経営上非常に無理が生ずるというふうにも考えますので、できるだけ限定をいたしまして鉱業会側の意見に近いところで線をきめたい、かように考えておる次第であります。
  86. 村木武夫

    参考人(村木武夫君) 只今お話でございますが、私が申上げました主要坑道の範囲を私の申上げましたような内容にしてもらいたいと申上げましたのは、ただに地方税の関係だけでなくて、炭鉱起業を健全にして行くために、そういうようなかつこうにして行きませんと炭鉱起業の健全性が保てないということが主になつて申上げたことでありますので、勿論地方税の問題もありますが、地方税だけの問題でないということを御理解願いたいと思います。
  87. 西田隆男

    西田隆男君 私席を外しておりましたので、炭鉱の金融問題に対する説明を聞いておりませんが、恐らく大手筋の炭鉱と中小炭鉱と二つに分けて御説明があつたろうと思いますが、中小炭鉱の金融について大蔵省のほうではどういうふうな考えを持つておられるか、一遍御見解を承わりたいと思います。
  88. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) 中小炭鉱からの資金の必要ということにつきまして十分お話を伺つておるのであります。只今も申上げたのでありますが、復金或いは特殊銀行としての興業銀行……政府としては極力興業銀行を初めといたしまして市中銀行を督励いたしまして、そのためには預金部資金等をもできるだけ多く流すというような措置も講じておるのでありますが、何分市中銀行、いわゆる自己の判断によるベースによつて金融するという建前に立つておりますので、私どもはそれが中小炭鉱というように規模が広くなりますので、御斡旋になかなかの困難を感じておる状況でございます。併しそこは金融機関の協力によつて例えば諸般の改善工作も考えております、今般中小企業信用保險制度というようなものもできましたので、これらのことももう少し活用の余地はないかというように考えております。更に預金部資金をこの面にもつと流すような方法はないかというようなことも考えておるのであります。先ほど申上げましたことは、こういう仕事を私どもつておりまするにつきましては、もう一歩進めたら何か開発銀行といつたような特殊な銀行が欲しいものであるというような感じを強くいたしましてその方面研究もいたしておりますことを申上げた次第であります。
  89. 西田隆男

    西田隆男君 只今説明を聞きましたが、成るほど中小企業に対する信用保險制度もできましたし、見返資金の貸付の額も殖えておりますが、実際問題としては中小炭鉱のほうの金融にはいささかも役立つていないというふうに私は見ておりますが、その問題だけを取られて大蔵省として中小炭鉱の金融の問題をお考えになられたのでは、中小炭鉱は大手筋炭鉱に比較して設備の改修の上にも、又改善の上にも非常に立ち遅れるということになつて、或いはつぶれてしまうというようなことも考えられますので、特に中小企業に対する信用保險制度をもつと活用するようなことにするとか、或いは見返資金の殖えたものを炭鉱にもつと大幅に融資できるような方法考えてもらうとか、若しくは見返資金の放出とか、預金部資金の放出というようなことによつて、もつと銀行自体の責任において貸すということは原則としてはよくわかつておりますが、もう少し強く政府当局のほうから斡旋してもらうような方法はないか。中小炭鉱が金融で困つておることは非常なものであります。このまま置いておきますというと、結局起業はつぶれるということを予測されますので、もう少し政府として積極的に何らかの方法を講じて頂きたいと思いますが、早急にそういう方法が講ぜられるものでありますかどうか。
  90. 舟山正吉

    政府委員(舟山正吉君) 只今お話のありましたような諸般の方策をめぐりまして、鋭意関係当局と打合せ、研究いたしております。
  91. 西田隆男

    西田隆男君 今までは中小炭鉱と言つても大手筋と一緒に多少便乗したような形で或る程度の金融をやつてつたのでありますが、これから先は非常に困難になると思いますから、本当に銀行局長が御答弁下さつたように熱心に誠意を以て早急にこの問題の解決方に御尽力願いたいと思います。
  92. 伊原隆

    政府委員(伊原隆君) 見返資金の中小企業に対する融資の範囲につきまして司令部と折衝中でございましたが、本日許可が参りまして、従来資本金三百万円以下というのを五百万円に拡張いたしました。それから貸付金額三百万円以下とありますのを五百万円以内にいたしました。従業員二百人以下を三百人以内ということにつきまして同意を得ました。なお取扱いの金融機関ですが、銀行だけでなく、無尽、信用組合等にも中小企業の見返資金の融資を取扱つてもらう点につきましても同意を得たのでございます。仰せの通り従業員の点につきまして一般の中小企業炭鉱のほうが多いのでありますから、或いは三百人ということではなお御不満かと思いますけれども、今回適用の範囲の拡張になりました点につきましても、できるだけ御利用が願えれば幸いであると存じております。
  93. 西田隆男

    西田隆男君 大変結構なことですが、中小企業企業信用保險法のほうでは資本金か或いは稼動資金かどれか一方が条件にかなつておればできるということになつておりますが、見返資金はそれはできませんか。
  94. 伊原隆

    政府委員(伊原隆君) 見返資金は何分相当嚴重な制限が付いておりますので、只今のところはこれが原則になつております。
  95. 西田隆男

    西田隆男君 中小企業のほうでは人員、資本金で制限されますと、その枠に入らないで残るものができて参りますので、その残つたものに対する金融がほかの何か枠に入つておるものと同じように窮屈でありますが、これに関しては何か特別の方法を講じてもらうわけには行きませんか。
  96. 伊原隆

    政府委員(伊原隆君) 見返資金の融資につきまして只今一条を落したわけでございますので、漸次司令部と折衝いたしたいと思います。
  97. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 最後に時間も大分経過して参りましたが、輸送問題につきまして一括御意見の御開陳をお願いいたします。
  98. 山川良一

    山川良一君 大体参考人から述べられる要旨は書いたものを配付してありますので、又当局の問題点は大体おわかりと思いますから、参考人陳述は若しあれでしたら一応保留して頂いて、御説明に対して不十分なところがありましたら又あと参考人に聞いて頂いたらどうかと思いますが、参考人にお諮り願いたいと思います。
  99. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 参考人のお考えは如何でございますか。    〔「差支えありません」と呼ぶ者あり〕
  100. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 今海運局長と港湾局長とお見えになつております。念のために申上げて置きます。  参考人の御発言はありませんか。
  101. 高木作太

    参考人高木作太君) 山川さんのほうからその内容について御質問願うのでございますか。
  102. 山川良一

    山川良一君 私の申上げましたのは、当局のこれに書いてあることで問題点がわかると思いますし、書いてなくても問題点はわかると思いますから、先ず説明を聞きまして、なお不十分なところがあつたら参考人から重ねて話をして頂くということにしたほうが早く進みはしないかというわけであります。
  103. 村木武夫

    参考人(村木武夫君) 先ほど高木参考人からお話がありましたように、だんだん増産態勢石炭も入つて行くおけでありますが、輸送問題が一番心配であります。その中でも汽船は最近外航のほうが非常によくなつて参りましたので、内航に就航している船が可なり外航の近海のほうに廻つているものが相当あるようであります。更になお調べて見ますと、内航に就航しております船の四〇%以上は戰時標準型の船でありまして、いわゆる戰標船と言われておりますが、そういう船でありますので、この船は船屋さんに言わせますと、もう四、五年で駄目になつてしまうという話も聞いております。そういうことでありますので、汽船の関係が非常に窮屈な状態にだんだんなりつつあるように思われますし、このままで参りますと、日本の内航に就航する船腹というものが非常な危險状態に陷つて来るのじやないかという懸念がありますので、石炭の輸送は相当汽船に依存しなければならん部分も多いので、その点を先ず心配いたすわけであります。いま一つは機帆船でありますが、機帆船は現在百二十万トン前後であるようでありまするけれども、これが三航海乃至四航海以上航海いたしますと、四百万トン以上の輸送能力があるのでありますが、油が非常に逼迫いたしておりまして、その輸送能力があるにもかかわりませず、大体二百万トンの実績を割つておるようでありますが、而も油が二百万トンの輸送の実績のうちの一割か二割は正常なルートを通つて来ているようでありますが、それ以外は正常なルートでないようでありますそれがだんだんなくなつて来ているので、この状態では機帆船輸送というものも殆んど逼迫状態になりはしないか。従つて九州炭その他の阪神への輸送が危險状態にありはしないかという点があるわけであります。更には貨車でありますが、これは運輸省のかたが米ておられないかも知れませんが、貨車は我々の聞くところによりますと、昭和二十六年度には百輛ぐらいしか、僅か百万トン輸送を増加する程度しか増量にならんように聞いておりますけれども石炭だけでも二百万トン乃至三百万トンの生産が増加され、輸送が殖えるわけでありますので、こういう点を考え併せますと、貨車の輸送難で本年非常な苦盃を嘗めましたので、それより以上辛い状態になつて参りますと、これ以上になりますると、この面からも石炭の輸送、港湾荷役に重大な支障が来はしないか。それで相当石炭のほうの需要の要請に備えて増産態勢に入りますが、そういう点で輸送上の問題で行詰つてしまいはぜんかという不安が非常に濃厚なのと、もう一つの問題は汽船その他が非常に逼迫して参りまして、運賃がどんどん上つて参りますと、高炭価問題が去年多かつたのでありますが、石炭一つの輸送業でありますので、需用家において負担して頂く炭価が又殖えるわけでありますので、そういう点でも自立経済の上から非常に大事なことと思われますので、先ず足下を固める意味において輸送問題について、我々の不安をどういうふうに一掃して頂くかという点を一つ伺いたいと思います。
  104. 岡田修一

    政府委員(岡田修一君) 只今の海上輸送につきましての御質問に対しましてお答えいたします。  沿岸における汽船輸送力でございますが、丁度今のところ需要と船腹とが一ぱい一ぱいに見合つているところがあると思います。大体沿岸に動いておりますのが約八百万重量トンで一月に運びましたトン数が百六十万トン余り、丁度八十万重量トンの船がフルに稼動して運ぶ量であります。従いまして今後沿海の荷動きが増加いたしますと、船腹逼迫という状況が来て参るのでありますが、これに対しましてはまだまだ汽船の能率を上げ得る余地があるのであります。港湾の荷役の向上その他によつて汽船の外航率を上げ得る余地がまだ多少ございます。それから米軍に使用されております船腹があるわけでございます。これも朝鮮方面が一段落つけば帰つて来るわけでございます。それから外航に相当無理をして出しておりますが、相当性能の惡いものも外航に出ております。これらはいずれ性能上外航し得なくなつて沿岸に帰つて来るのでありますので、もう少し沿岸輸送の実相を見ましてから船腹対策を講ずる必要がある、かように考えております。なお輸送力を補うものといたしまして、只今御指摘になりました機帆船がございます。これは能力からいたしまして約四百万トン運ぶ能力でございます。ところが御承知のように油の面で相当強い規制を受けております。現在運んでおりますのが約二百三十万トン程度、ここに百五、六十万トン程度の輸送の余力があつて、これをフルに活用いたしますならば、沿岸の海上輸送は相当緩和するわけであります。最近政府のほうで、日本発送電の石炭、その他の海上輸送が非常に困つておる、これに対しましては取りあえず三月分の油を繰上げ使用して、その危機を脱したのでございますが、今後この沿岸輸送の状況によりましては、一属強力にこの機帆船に対する燃料増加ということを関係方面に要請して、その増配を受けるならば相当輸送力の増強に資することと思います。なお運賃でございまするが、丁度今実施せんとしておりまする運賃が昨年の一月に、運営会当時公定されましたその公定運賃に近いところに上つて来ております。御承知通り一時はその公定運賃の五割、或いはそれ以下を割る状況であつたのでございます。それが漸次引締つて参りまして、最近ではその一割減、今後まあ漸く公定運賃に戻らんとしておる状態でございまして、なおこれが今後どういうふうに行くか、もう少し様子を見て対策を考えて行きたい、かように考えております。
  105. 村木武夫

    参考人(村木武夫君) 只今お話のうち戰標船が非常に大きい問題として御言及がなかつたのでありますが、これが先行き心配で、四、五年先までの間には皆なくなつてしまうという事情も聞いておりますので、それが現在の内航就航の四割を占めておるところに問題があると思います。それに対する対策はどういうふうにお考えですか。
  106. 岡田修一

    政府委員(岡田修一君) 戰標船の生命でございまするが、成るほど計算上では四、五年するともう消耗度が急激に起つて来るという何は出るのであります。実際問題として御指摘の通りに、船は四十年、五十年の性能で動いておるのであります。最近輸入せんとしておる船は、大体三十年以上の船であります。従つてこの戰標船の生命は十年と申しますか、或いは十五年、二十年は十分持ち得るのであります。まだ性能の時期を考えるのには多少の余裕があるのではないか、私どもさように考えております。
  107. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 港湾局長が見えておりまするが、御発言ございましたら……。
  108. 福谷玉樹

    参考人(福谷玉樹君) ちよつと私から北海道の室蘭、小樽の荷役設備の増強に対して一つお願い申上げたいのです。現在北海道の石炭は年間約本年度といたしまして千百四五十万トン、約五十万トンくらいできるかと思います。それが年々、来年、再来年といたしまして約一割の増強の運命を持つております。然るに北海道の石炭は大部分が内地、やはり京浜地方に搬出しておるのでございます。その荷役をやりますところは小樽、留萌、室蘭、釧路となつておりますが、道外に出しまする石炭の約八割というものは小樽、室蘭で、現在内地に輸送しておるような現状でございます。港の設備は大体国営といたしまして、鉄道省で室蘭と小樽の設備は建設されております。当初昭和の初年に建設されまして、その当時から殆んど戰時中、やはり鉄鋼資材関係の不足のために非常に酷使して、補修その他が行届きませんので、現在は当初から比べますと、約二割以上の能率が減退しております。特に夏分でさえも現在道外に出しまする小樽、室蘭の能力は約三十万トン、冬分になりますと四十万トン、小樽、室蘭の港頭から内地に持つて行かなければならん実情でございます。夏分といたしまして約三十万トン、然るに老朽のために夏分でさえも現在船が入つても沖待ちをしておる。船腹が足りませんし、ローダーを出す場所が二カ所しかない、小樽に二つ、室蘭に二つ。沖待ちいたしまする関係上、船主によりますと北海道は船を廻さんというような状態でございます。それで業者といたしましては取りあえず非常な不利を忍んで沖荷役の艀積を強行いたしておるような始末です。本年度の一月のごときは約積出予定数量は各社入れまして四十二万トン、これに対する実績はどうかと申しますると、約二十八万トン、そのため船主協会から北海道には船は一切今後廻さんという決議ができまして、郵船、山下、大同、三井六社ばかりが委員となりまして、北海道に参りまして現地を視察しておる。この各社の業者がいろいろ協定して一日に荷役をローダーでは約二千トン保証しなければ、今後船を廻さんというふうな状態になりまして、業者は如何に貯炭を以て強行荷役をしたいにも設備の老朽のために殆んどしよつちゆう故障がある。例えて申しますと、トランスポーターを非常に酷使したためにモーターが二、三時間やればすぐ焼けるという状態で、働くより休むほうが多いという状態で、この点は昨年の五月も札幌の鉄道局に業者代表として陳情して参りました。昨年の十月には大挙して本省のほうに参りましていろいろ説明して、いわゆる御了解を申上げておるのですが、未だはつきりした見通しもなかつたような状態です。今後北海道といたしまして、大体は一割以上の増産をやります時分に、現在の室蘭、小樽の設備では、殆んど山元で生産してもこれは内地の市場に持つて来ることができない、こういうような事情になつておりますので、特にこれは運輸省でございますが、この点今後北海道の増産に対して坑道荷役の機械設備に対してどういうお考えをお持ちになつておるのか、これに対して我々は増産に対する今後の考えかたをして行かなければならんとこう思いましてお願いいたす次第でございます。
  109. 黒田靜夫

    政府委員(黒田靜夫君) 今御質問になりました小樽、室蘭を初め釧路、留萌の石炭搬出のための埠頭整備につきましては、埠頭そのものの積込み、即ち埠頭は国有鉄道、或いは私企業に属するものがございまして、公共事業として取上げておるものはないのでございますが、それに関連いたしまして、一体として港湾のそういつたような石炭荷役の能率を発揮できるような、水面を安全にするとか、或いは防波堤を築造、泊地を造成するということにつきましては、小樽港におきましては現在拓計の埠頭を中心にしましてそこの陸上設備、或いは泊地の浚渫をいたしまして、これは一般貿易船並びに石炭積込船が安全に碇泊できるような工事を引続き二十六年度も行う予定であります。室蘭港におきましても同様に国有の埠頭、或いは市営の石炭積出し設備は、これはそれぞれの会社に願うことになつておりますが、その全面の浚渫であるとか、或いは小船の溜りを築造して、二十六年度から引続いて施行いたす予定になつております。釧路港におきましても、防波堤の越波等がありまして、安全な碇泊が今のところ十分でありませんので、これに対して工事を考えておるような次第でございます。港湾局といたしましては、直接市営或いは国有鉄道の運営しております石炭積込施設に関しましては全然関係しておりませんが、それと一体的に有機的に働くところのそういつたような泊地或いは港湾施設の公共的、基礎的な整備を、今申しましたような方針で以て北海道に対して進めておる次第でございます。
  110. 山川良一

    山川良一君 今の小樽、室蘭の設備の補強強化の問題は、鉄道の積込み機械にも問題があるのですが、鉄道関係のかたお見えになつておられますか。……なおちよつと申上げますが、これはよほど早く補強策を立てられて実行しなければ、北海道の石炭は当然大阪まで賄う状況に必ずなるわけですが、早く計画を立てられて急速にやらなければいかんと思いますが、その点はどうなつておりますか。その辺どなたからでも。
  111. 始関伊平

    政府委員(始関伊平君) 国有鉄道のほうには今日までのところ、私どものほうといたしましては連絡いたしておりませんが、将来のこれは非常に隘路になる慮れがございますので、早速国有鉄道のほうに折衝いたして見たいと思います。
  112. 西田隆男

    西田隆男君 私は資源庁長官でも政務次官でもいいのですが、一般鉱害の問題について円城寺参考人から早急にやつて頂きたいという御希望の話がありましたから、私のお尋ねしたいことの第一点は、そのできております審議会の中に民間人を入れない理由を教えて頂きたいと同時に、審議会が私の知つておる範囲では、第一回の審議委員会は開かれたけれども、その後開かれていないように承知しておりますが、審議委員会の審議の過程はどういう過程まで来ておるか、昨年鉱業法を通す際に殆んど交換条件に等しいようなことで、この審議委員会を設けて急速に一般鉱害の復旧を図るべく要請をして経過報告も出し、閣議決定まで行われて設けられた審議委員会ですが、どうも遅々として進まないような感じがするのでございますが、その二つの点を御答弁を頂きたい。
  113. 始関伊平

    政府委員(始関伊平君) この審議会の発足がやや遅れましたのは、閣議決定では政府部外に置くということになつておりまして、その後これを総合官庁、企画官庁という意味で安本を置くべきか、或いは通産省に置いたほうがいいかというような点につきまして若干意見の調整を要する点がございましたので、やや発足が遅れました次第でございます。民間人を最終的に入れないということを決定いたしたわけではございませんが、只今までのところでは只今お話のように入つておりません。その理由は、その後各省で相談いたしましたのですが、一般鉱害の復旧の問題は利害の対立の調整という観点よりは、むしろ総合的な国土復旧と申しますか、そういう観点からの審議をすべきである。そのために一応官庁側だけで発足したほうがよくはないかというような考えかたと、もう一考はこれは極めて非公式のようでございますが、ああいつたような種類の審議会等には成るべく民間人を入れないほうがいい。例えば或る団体の会長とかその他役員などは入れないほうがいいというような非公式のGHQのメモがございました。その成行等も究める必要もあるというような二つの理由からいたしまして、差当りは民間人を委員に入れないということでスタートいたしております。それから審議会は第一回を一月の二十三日頃であつたと存じますが、通産省大臣室で開催いたしたのでございますが、その結果いろいろの審議事項がございますが、先ず第一に現地の実情調査が非常に不十分でございまして、総額どのくらいかという程度しかわかつておりませんので、先ず手始めに現地の実情を十分に調査する必要があるということに決定をいたしまして、その後幹事会におきまして調査の項目等を詳細に検討いたしまして、大体三月中に現地の調査を一応先了いたしたいということに相成つておりまするので、二回目の委員会は、その様子がやや判明いたしました場合におきまして開催するのが適当であるというようなことで、只今まだ第二回の委員会は開催の運びになつておらんような次第でございます。
  114. 西田隆男

    西田隆男君 第一の問題に対して、民間人を審議委員に入れたほうがいいか惡いかという問題は、議論の余地があると思うのですが、お入れにならなければお入れにならなくても結構と思いますが、民間人なり業界なりの御意見を参考にされるお心組でおられるかどうか。全然民間人の意見にはタツチしないまま官庁だけでやるということに委員会の運びがなつておるのかどうか、この点が一つと、もう一点はこの三月中に現地の調査を終つて、第二回目の委員会を開きたいというお言葉ですが、現在現地の調査に実際に当つておるかどうか。この二つの問題を御答弁願いたい。
  115. 始関伊平

    政府委員(始関伊平君) 先ほど申上げましたように、民間人の委員を入れるかどうかという点は、留保されておる次第でございますが、今後これを入れないというふうに確定いたしました場合には、それぞれの方面代表する民間人の意見を伺う機会を持ちたいと存じております。なお現地調査の問題でございますが、まだ出発はいたしておりませんが、近いうちに出発するように手配いたしておるところでございます。
  116. 西田隆男

    西田隆男君 長官のお話では、この前の特別鉱害の問題のときに御調査なつた鉱害では安心がならん、だから現地の調査をするというお言葉ですが、もう二月二十日ですが、いつから大体調査に立たれるつもりか、一カ月ぐらいの間で調査を完了する見込か、それともこの審議委員会の結論をいつまでにお出しになる御予定ですか。
  117. 中島征帆

    政府委員中島征帆君) 本委員会は先ほど長官が申しましたように、一月に第一回を開いてそのまま今日まで開いておりませんが、その間幹事会を数回開きまして、この対策について協議いたしております。幹事会で只今までやつておりますことは、差当り調査をする上において、どういうふうなポイント、どういうような方式でやるか、そのやりかたについて打合せをやつておりまして、極く最近大ざつぱの方針がまとまりましたので、これを至急具体化いたしまして、一定の調査方式によつて調査報告する。これには勿論特別の経費も要しますので、この関係につきましては大蔵省のほうに了解を求めつあります。で我々の予定といたしましては、遅くも今月中には調査方式等をすべて決定いたしまして、来月早々までに出発をいたしまして、来月中に一応の調査を終りたい。で今度の調査は、あの特別鉱害の場合のごとく、全鉱害につきまして詳細な調査をするということでなくて、全体的な数字は一応出ておりますが、その実態そのものがどういうものであるか、これはほかの災害その他国土開発等の見地から一応鉱害の内容を調べる必要があるというので、全般的な稠密な調査は別といたしまして、その実情をいま少し的確に把握する意味において、一部分の代表的な場所を調査いたしまして、それによつて全貌を、この結果によつて大体こういうふうな状態でこのぐらいな鉱害があるので、これをどういうふうに処理するかということを、その上で委員会に諮りたい。こういうつもりでおります。従つて今度の調査は出発いたしましたならばそう長い期間はかけずに、恐らくは三月中ぐらいに結論が出るのではないかこういうふうに思つております。
  118. 西田隆男

    西田隆男君 今の炭政局長の御答弁では、調査の結論は三月一ぱいに出るというのですが、私がお尋ねしたのはそうではなくて、審議委員会の結論がいつ出るかということなんですが、いつ頃までにお出しになる計画ですか。
  119. 中島征帆

    政府委員中島征帆君) 審議会の結論は、これは予想できませんが、調査の結果によつていろいろな意見が出るだろうと思います。我々としてはできるだけ早くこれをまとめたい意向を持つておりますが、問題が各方面に関連いたしておりまして、その最終結論がどの程度になるか、これは前回の第一回の委員会におきましても、我々の希望的な予想は申しておりますが、二、三カ月中に結論が出れば大変結構だと考えておりますけれども、それ以上又かかるかも知れませんということは言えると思います。
  120. 西田隆男

    西田隆男君 三月一ぱいに現地調査が済んで、二、三カ月したら結論が出るという意味に受取つて差支えありませんか。
  121. 中島征帆

    政府委員中島征帆君) 只今の我々の多少希望的な観測でありますが、そういうふうに考えております。
  122. 西田隆男

    西田隆男君 仮に今炭政局長がおつしやつたようなことで、委員会自身の結論が出るとしたらば、その出た結論はどういうふうな立法ができるようなお見込で進んでおられますか、それを一つお伺いしたい。
  123. 中島征帆

    政府委員中島征帆君) 委員会の最終結論が出ましたならば、これは法制的な措置を要するものは勿論法案を作りまして国会に出さなければなりませんし、又現在の鉱業法の規定を改正する場合には改正案を出さなければなりませんし、更に予算的な措置を要するものは補正予算、又は新規予算として提出しなければならないと考えております。結局問題は現在の金銭賠償を如何にするか、これを原状復旧の方向に持つて行く場合には、やはりこれに対しては法制的な措置が要りますので、そういうことをする必要があるかどうか、又それをする必要があればどういうふうな経費でやるかということをこの委員会の結論として出しまして、その結果によつてそれぞれそれに応じた措置をしたいと、こういうふうに考えております。
  124. 西田隆男

    西田隆男君 これは特に政務次官にお答え願いたいのですが、只今炭政局長のお話を聞きますと、通常国会までには到底結論は出ないし、これに対する対策をも講ぜられない。鉱業法の審議の過程に当つて政務次官もおられたと思うのですが、できるだけ早急にやつてもらいたいという強い参議院の要望であつたことな御承知通りであります。従つて今の結論から行くと、最も早い機会といつても、臨時国会には恐らく出ない。従つて二十七年の通常国会にしかこの結論は法律にするもぜんも出ないというように私は考えますが、政務次官は二十七年度の国会には、必ず法律案として出さなければならんものがあつた場合は出すということを請合つて頂けますか。
  125. 首藤新八

    政府委員(首藤新八君) 西田委員の御指摘の通り、この前の国会で非常に強い御要望があつたことは仰せの通りであります。従つて政府といたしましても、この強い要望に応じまして、只今資源庁長官並びに炭政局長から御説明申しましたように、できる限り速かに結論を出すような方法を講じて参つているのであります。通産省といたしましては、全く仰せの通り如何に遅れましても二十七年度の予算には繰込んで法案も提案いたしたいという固い決意を持つておりますが、御承知通り通産省だけで解決する問題でないわけであります。ここで断定いたしますることはいささか軽率だと思いまするが、少くとも気持の上では遅くとも二十七年度の予算に繰込むと同時に法案を提案いたしたいと、こういうふうに考えているのであります。
  126. 西田隆男

    西田隆男君 それ以上の御答弁は困難だと思いますけれども、これは鉱業法審議の過程において、安本、農林、大蔵というように、各関係各省の大臣諸公に出席してもらつて、あれだけ話合つたのですから、資源庁考えかたが若し是非この通常国会までに出したいという御意向で議事を進まれるならば、そのときまでに恐らく結論が出ると思いますから、関係業者は最も待望しておるのでありますから、この次の通常国会には是非出す心組で、通産省としてはこの問題にかかつて頂きたいということを強く要望いたします。
  127. 首藤新八

    政府委員(首藤新八君) 了承いたしました。
  128. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) お諮りいたします。本日の公報では、特許法の一部改正法律案そのほか四件の法律案並びに纎維製品検査所の設置承認に関する件等がございましたのですが、出席委員も少いようでございますから、次回に讓りたいと思いますが、如何でございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  129. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 御異議ないと認めます。次回に讓ることにいたしまして、本日の委員会はこれで閉会いたします。    午後四時五十五分散会  出席者は左の通り。    委員長    深川榮左エ門君    理事            古池 信三君            廣瀬與兵衞君            栗山 良夫君            結城 安次君    委員            上原 正吉君            小野 義夫君            松本  昇君            下条 恭兵君            加藤 正人君            山川 良一君            駒井 藤平君            境野 清雄君            西田 隆男君   国務大臣    農 林 大 臣 廣川 弘禪君    通商産業大臣  横尾  龍君    国 務 大 臣 周東 英雄君   政府委員    公益事業委員会    経理長     中川 哲郎君    地方財政委員会    委員      木村 清司君    地方財政委員会   事務局税務部長  後藤  博君    大蔵省主計局長 石原 周夫君    大蔵省銀行局長 舟山 正吉君    大蔵省理財局長 伊原  隆君    農林省農地局長 平川  守君    通商産業政務次    官       首藤 新八君    資源庁長官   始関 伊平君    資源庁炭政局長 中島 征帆君    運輸省海運局長 岡田 修一君    運輸省港湾局長 黒田 靜夫君    特許庁総務部長 松永  幹君    経済安定本部産    業局長     増岡 尚士君   事務局側    常任委員会專門    員       山本友太郎君   説明員    厚生省公衆衞生    局水道課長   田邊  弘君   参考人    三菱鉱業株式会    社社長     高木 作太君    古河鉱業株式会    社專務取締役  圓城寺松一君    明治鉱業株式会    社專務取締役  板橋 喜介君    北海道炭鉱汽船    株式会社常務取    締役      福谷 玉樹君    井華鉱業株式会    社常務取締役  村木 武夫君