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参考人(
池田亀三郎君) では
委員長の御指名によりまして、私から
要望の概要を申上げたいと思います。
塩の問題につきましては、従来は
專売公社即ち
政府がおやりに
なつてお
つたこともございました。これに対しまして、とかく
一般の認識も十分でなか
つたきらいがあ
つたのでございます。併し大体従来は大した
支障なく塩を
生産し、
輸入がございまして、私
どもも
相当仕事を続けてやつて
参つたのでございます。これは御
承知の
通り日本が
食料塩が約百万トンといたしますと、その約半分はやはり
輸入で、
工業塩は全部を挙げて
輸入にまつてお
つたのでございます。而もその
輸入のうちの約半分は
中共地区から
輸入してお
つたのでございまして、
従つてふだんの
備蓄等も
朝鮮、満州或いは関東州、
北支とい
つたふうなところが、
備蓄の代用にも
なつたわけでございまして、これ又大した
支障なく
仕事を続けてや
つて参りました。ところが
朝鮮動乱に続きまして、
中共の問題が起りまして、最近は
中共地区からの約
輸入塩の五〇パーセントが入らなく
なつたということからいたしまして、而も昨
年度の
輸入状況を顧みますと、昨
年度の
年度替りの三月末は、約
食料塩、
工業塩合わせまして百万トン
程度の
備蓄があ
つたのでございます。ところがあの当時一番船も安く
塩そのものも安か
つたときでございますけれ
ども、
輸入がはかばかしくなか
つたのでございまして、結局今日になりますとその
備蓄を全部食い潰して、そうして一
——三月の第
四半期におきまして、相当な
赤字、約十五万トンと予定されたのでございますけれ
ども、その
程度の
工業塩の
赤字ということを予想ざれたのでございまして、そこでこれを使つております一番大きな
需要者をここに大体パンフレツトにも差上げてございますけれ
ども、御
承知の
通り無論これは
ソーダでございます。
ソーダといつても
ソーダ灰、
苛性ソーダ、そのほかのものでございますが、それよりはむしろこれを
ソーダ或いは
苛性ソーダを使います大きな
需要者といたしますと、今
輸入出の大宗をなしております
化学纎維、又実際の生活上必須の
化学纎維、そのほかガラス、板ガラスそれから
化学薬品、或いは
食糧関係、まあそういう
方面で痛くこれを憂慮いたしまして、むしろ塩よりは間接に塩の製品を使う面、これは御
承知の
通り化学工業全体といたしまして、殆んどこの
ソーダ類を使わない
化学工業はございませんのでありまして、そういう
関係からいたしましていろいろ心配いたまして、ここで
塩輸入促進連盟とい
つたものができまして、私が
委員長を仰せつかつてやつておるのでございます。そんなふうでございまして結局いろいろ
連盟ができましてから
司令部にもケネデイ、マクダモツドそのほかのかたにお会いしまして、又
政府のほうには
安本長官、
通産省等の
首脳部のかたにも一々お目にかかりまして御了解を得たのでございまして、なお衆議院のほうは
通産委員会の中の小
委員会でも御
承知願いまして、近く
決議案ができる、こう
考えておるのでございます。そこで私
どもの
考えておりますのは、一
——三月の第四
四半期分でございます。これは若し
切符を発行してそれだけの
ソーダ類が手に渡らないということになりますと、先に取
つたものは
切符が現物化いたしますけれ
ども、遅れたものは
空切符になるというような大きな
支障が起るわけでございます。この点につきましては
專売公社でも非常に心配して下さいまして、又
政府筋もいろいろ斡旋して下さいまして、まあ大体において今先に申しました十五万トンに圧縮されまして極少量不足する
程度だというふうなところまで運ぶのじやないかとこう予想できるような
状態にまでもな
つたのでございます。ところがこの来
年度の二十六
年度の塩でございますが、これは大体
食料塩として一応百万トン、これは私
どもの
仕事の
範囲外でございますからきておきまして、
工業塩といたしますと、あとで
政府筋からも御
説明あると思いますが、私
どもの
希望を相当圧縮されまして、約百万トン
程度に恐らく
通産省はこれをお認めに
なつておると思いますが、約百万トンぐらいかと想像されますが、その
程度に圧縮しても
是非必要ということに
なつておるのでございます。そこでこれから更に
先ほど申しました昨年の三月から
切換のときに持つておりました約五十万トン近くの
備蓄、こういうものをやはりこういう
情勢になりますと、なおさら
備蓄の必要を痛感されますので、これを約五十万トン、結局六ヵ月分の
備蓄ということにいたしまして百五十万トンの
輸入を
要望、しておるのであります。そこで
先ほども申しましたように、
中共地区の約五〇%の塩が入らなくなるといいますと、この
代りは結局準
近海には殆んどございませんので結局は
紅海、
地中海方面より
輸入するほか
方法がないのでございます。そとで
生産力と申します。か、
市場で大体買い得るものが約二百万
程度、こう予想されるのでございまして、ところがこの塩全部が
日本が買うということは相当困難を予想されます。又御
承知の
通り今日の船の
状態からいたしますと、航路が延びましたり、いろいろ
塩自体が荷物の性質から申しましても非常に大きな懸念を持つわけでございます。そこでそういうことからいたしまして、それではその
代り、或いは補充といたしまして、どこに求めるかということになりますと、やはり
メキシコとか、或いは
米国に求めるよりほかないのでありまして、而もこの
方面でありますと、
只今も
アメリカからいろいろの会社の社長も見えております。又近く見えることに
なつておるようでございます。この
方面にも或る
程度の一ヵ年とか或いはその以上にもなりましようが、長期的な
契約でもできますならば、相当安定した或る
数量の
輸入は可能かとこう
考えておるようなわけであります。
そこで私
どもの
要望にも申上げておりますけれ
ども、今申しましたような
情勢からいたしまして、先ず大体この
外貨資金の枠を
確保するということでございます。この点は一
四半期分に対しても
先ほどからも非常に憂慮しておりましたが、私
どもも
司令部に参りましたし、そのほかいろいろ運動いたしましたが、とにかく先週の木曜日に
米国或いは
メキシコから
ドルで買うことが
許可になりまして、なおギリシヤ、
トルコからも、
トルコのほうは多分
塩代金だけかと思いますけれ
ども、その
方面の購入も
許可ざれたのでございます。一応はこれでこの
方面は解決できた恰好でございますが、なおこの後の
情勢によりまして二百万トンの
集荷物の
外貨資金の枠と邦貨の
裏付けが
希望されるわけでございます。なお
外貨資金といたしましても、今度の三月
年度替りにおきます
債務限度、これが二十億かと聞いておりますが、これでは塩の値段が大体昨年の上半期で十
ドル見当のやつが最近は二十
ドル乃至二十三
ドルと想像せられます。約倍くらいに
なつております。来
年度は十二
ドルに
予算ができておるそうでありますが、これは大きく單価が変つて来ることになりますので、その辺に対する
外貨確保とそれから今の
限度資金の枠と、円の
裏付けとい
つたことが当然
考えて頂かなくちやならん、こう
考えておるわけでございます。それからなお
供給地でございますが、無論
近海或いは準
近海或いは
紅海等近まから取ることは有益なことはこれは申上げるまでもございませんけれ
ども、これが不安定でありますれば、少くとも或る
程度安定した区域、
アメリカあたり、
メキシコ等から或る
数量のものの
確保を
要望いたします次第でございます。
それからなお
輸入決済の
方法、これは塩だけでなくて、外の面でもいろいろ
希望が出ておるようでございますけれ
ども、
スターリング地域或いは
ドル地域そのほかの面でのこの
決済方法の改善をお
考えを願いたい、こう思うのでございます。
なお何としましてもこの
輸送船腹の
確保でございます。これは申上げるまでもございません。一体二百万トンの仮に塩を
輸入するといたしますと、ざつと計算して塩は五十万トン
程度の
船腹が要るかというふうな計算にも
なつておりますので、
船腹の
確保をいたしたいのでございます。まあ大体から見まして、つまり塩とい
つたものは先だつて
自立経済審議会にもこの問題が出たのでございますけれ
ども、あまり皆さんの関心が薄いのでございまして、私
どもは
是非これを
食糧、小麦とか或いは石炭、
鉄鉱石とか、綿花というのと
同等並にこの塩の
輸入というものにつきまして
重点性を認めて頂きたい。まあ大体こういうことで私
どもの
要望を申上げたい。こう
考えておる次第でございます。
なお繰返して申上げますと、できればこの際若し仮に何か東南アジアでなくても、
中東方面でも若し事故でも起りますと、到底
紅海或いは
地中海等からの
輸入は不可能になりますので、成るべくこの際先ず優先しまして安定した
供給地の
アメリカなり
メキシコからでも或る
程度の
塩輸入を
確保して頂きたい。これを大体今日
希望いたしておくのであります。