○
政府委員(
近藤止文君)
只今蚕糸問題につきまして、
農林省の
蚕糸局長から
需給関係の
概略の
お話がございました。私から
綿花、
羊毛、
化繊の
原料である
人絹パルプ、これらの
需給の
見通し並びにそれに伴いまして
綿製品、
毛製品或いは
化繊の
製品はどのくらいの
生産が今後行われるかという
概略の
見通しにつきまして御
説明申上げます。お
手許に
纎維関係の
原料輸入及び
生産見込という
資料を差上げてありますから、これによりまして御
説明申上げます。この御
説明を申上げます前にあらかじめお断りをしておきたいと思いますのは、この
原料輸入生産の
見込み表を作りましたのは、本年一カ年間に亘りまして年間の
計画にいたしましたので、
相当部分につきましては、すでに確実にこちらに到着しているとか、或いは
輸送中であるとか、
買付の済んだものもございますので、そのほかに今後将来に亘りまして、
日本が
買付けし得るであろうという
見込の
数字が入
つておりますので、結論といたしまして、この
数字が必ずしも的確にここに参るということは申しかねるのでありまして、そういつた
予想の
部分につきましては多分に
通産省としての
見込が入
つておりますので、その点をあらかじめ御了承置き願いたいと思います。
最初に
綿花につきまして御
説明申上げますと、この表にございますように昨年の十二月末現在における
在庫は四十二万八千俵でございます。次にすでに昨年中に
買付を済ませまして、今年の一月以降に逐次
入荷して参ります
見込のものが七十八万九千俵でございまして、その
内訳は
米綿が三十一万八千俵、その他の
地域の綿が四十L万一千俵ということに
なつております。これはすでに
買付が済みまして現に
入荷しつつあるものもございますし、又
輸送途中のものもあるわけでございます。
入荷の
状況は一月は比較的良好でございまして、二十万俵を超えるくらいの
入荷が現にございました。
只今のところでは
船腹その他の
関係で特にこの
入荷が遅れるということの
予想はございません。むしろ一、二、三と
相当多量に
入荷いたしまして、
国内におけるこれらの
入荷綿花の資金繰りのほうがむしろ問題になるというような
状況でございますので、
船腹のほうは
差当りとしては非常な困難に遭遇しておるというようなことはございません。それから次に、この一—十二月一ぱいまでに、今年の十二月までにどのくらい入るか、つまりこれから新たに
買付をいたしまして、年内に品物が入る
見込の
数字をこの表におきましては七十万三千俵と押えてございまして、その
内訳は
一応
米綿を三十一万俵、その他の
地域のものを三十九万三千俵と
見込んでおるのであります。ただこの
見込のなかで確実に決定いたしておりますのは、
米綿の中でこの一月に
追加割当がございました十七万俵でございまして、それ以外のものにつきましてはまだ的確にどれだけの
数字が、
買付けたとか一又
買付見込が十分であるというところまでは参らんのでありまして、
相当予想の
数字が入
つておるのであります。ただこの
米綿三十一万俵という
数字は確実に
なつておりますので、残り十四万俵だけが今年十二月までに
入荷するという
見込に
なつておりまして、この
見込の
数字は非常に内輪に
数字を見ておるのであります。大体
アメリカの新編が八月くらいから出廻
つて参りまして、これが十一、十二月
当りにおける
日本の
貿易用の
綿花には十分間に合うのでございまして、又四月以降におきまして
米綿の古い綿の
追加割当があるかどうか、これも
予想ができませんのでこれは一応ゼロということで計算して三十一万俵という
数字を出しました。そうして実は足らず前の
数字は、その他の
地域オートマチック・アプルーバル・システム、パキスタン、
ベンゴール、アルゼンチン、エジプト、メキシコ、ブラジル、その他の
地域のほうに三十九万三千俵という
数字を挙げておるのでありますが、実際問題といたしましてはもう少し
米綿のほうが殖えまして、その他の
地域のほうが減るということになりはしないかとも考えております。こういつた
供料の
予想量を立てますと、一月—十二月におきます
供給予想量は百九十二万俵であります。そのうち需要といたしまして
消費綿として百六十九万俵、ランニング・ストックどいたしまして二十三万俵という
計画を立てておるのであります。大体この
計画の中で先ほど申上げました点だけが不安定な
要素でございまして、その他の分のものは現に
買付が済んでおる。或いは
割当が来たというようなことで確実な
数字が入
つておりますので、このくらいの
綿花の
供給ということは本年度におきましてさして困難ではないというように考えるのであります。この
予想から参りました場合に、
生産は
一体どのくらいになるかという
見通しでございますが、今年はこの
数字で参りますと、
綿糸の総
生産高といたしまして七億七百十五万ポンドという
数字を
見込んでおります。これは昨年の実績に比べまして三割七分増加でありまして、昨年は五十一億七千七百万ポンドという
数字に
なつております。その
内訳をここに書いてございますが、
輸出が一応十三億五千万ヤールという
織物の
輸出を
見込んでおるのでありますが、昨年は十億六千方ヤール、これが大体三割近く増加するということに
なつておるのであります、が、
一体輸出をどのくらい
見込むかどうかということは非常にむずかしい問題でありまして、これら
イギリスなり或いは印度における
外国に対する
輸出の量が、どうなるかという問題ともからんで参りますし、又その他の諸国におきまして
一体どのくらいの資金を用意すべきかというような金繰りの問題も出て参りまして、はつきりいたしませんが、できるだけ品質の良好なものを少く出しまして、多くの
外貨を得るという、最も能率的な
輸出を今年はやらなければならんと私
ども考えておるのでありまして、一応十三億五千万ヤールというような
数字を押えて見たのであります。実際はどういうことになりますか、もう少し経過いたしませんとはつきりいたしません。ただ問題は本年中に非常な
世界情勢の不安でもありますれば別でありますが、若し正常の
状態から参りますならば現在の
綿花市場というものは
アメリカの新綿の出廻りによりまして、よほど変化を見、なければならないというふうに思われます。
従つてそれに伴いましての
綿糸、綿布の
価格の問題、
輸出数量の問題、こういうものにつきましても必ずしも
楽観論ばかりでは参らないのでありまして、今年の下半期におきましては或いは逆
鞘等の問題も起
つて来る
可能性があり、もう
暫らく様子を見ませんとはつきりいたしませんが、一応
輸出は十三億五千万ヤールということに押えまして、糸及び二次
製品八千万ポンドと踏んで参りますと、
国内においては特需を除きまして約五億五千万ポンドの
供給ということになりまして、昨年に比べまして三割の増という
数字が出るわけであります。大体こういつた
需給の
見通しを立てておるのでございますが、何分にもはつきりしません
要素がございますので、この
計画も将来多少は変更せざるを得ないというふうに思うのでございますが、全般的に申しまして
綿製品の
生産というものは、昨年に比べて
相当増加いたします。又昨年あたりに比べますれば急速に増加する趨勢にあるわけでございます。
設備の、
増錘の様子などを見ましても、
相当の増産を
見込むことは決して間違いないというように考えております。
それから次に
羊毛につきまして
概略御
説明を申上げます。実はこの
羊毛の表は大変わかりにくい表に
なつておりまして甚だ恐縮なんでございますが、無理に今年一カ年間の
計画をここに織り込みましたので、
数字が今まで御
説明を申上げておりましたような
数字と少し懸け離れた
数字が出て参
つておるのであります。と申しますのは、大体
綿花は従来は普通毎月ならして
買付けできるような
状態が多うございました。特に
米綿は一年中買えるが、ほかの
地域につきましては季節的に
買付けしなければならんというものがございますが、概して年間平均して買えるのが普通でございますが、
羊毛のほうは
シーズンがございます。その
シーズンに一年分を買
つてしまうということになりますので、一月から十二月というので、その期限を切りまして
数字を出しますと、非常に不自然な
数字になるのでございまして、この点はあらかじめお含みを願いたいと思います。
羊毛につきましては普通七月から翌年の六月までを一応年度といたして計算をいたしまして、そうして濠州
羊毛オークシヨンの始まります頃からスタートいたしまして、一年間を計算するというのが普通でございますが、
資料の
関係で
一月から十二月といたしましたので、
数字が少し馴染みにくい
数字に
なつておりますが、お含み置き願います。昨年の十二月現在の
在庫は六万八千俵でございます。
買付け済みで今年の一月以降に
入荷して参ります
見込のものが二十七万三千俵でございます。これを
合計いたしますと三十四万俵
程度の
数字になるのでございますが、大体これくらいが昨年の七月から今年の六月までに
見込みます普通の年度
計画における
数字でございます。三十四万という
程度のものを確保するということでスタートしておるのでございますが、実は
買付けのほうは比較的昨年の十月——十二月の間におきまして順調に
行つたのでございますが、現実には支拂條件を四月以降に遅らせる、その他の操作をいたしまして、ポンド不足の
関係をカバーしておりますので、結局
買付けはいたしましたが、現実に
入荷いたして参りますのが、今年に入
つてから非常にたくさんに
なつたという
関係上、十二月末の
在庫が非常に少くて
一月以降に入
つて参りましたりが非常に多い、こういうことに
なつておるのであります。なおその他に新らしく
買付けいたしますものといたしまして、ここに十五万俵の
数字を
見込んでございますが、そのうちで新らしい
羊毛年度に入りましてから
買付けをいたしますのが、この十五万俵のうちの大
部分でございまして、極く僅かの
数量がこの一月から六月の旧
羊毛年度におきまして
買付け得られる
数字ということに
なつておるのであります。
従つてこの十五万俵を加えますと、一月から十二月の
供給予想量は四十九万一千俵という非常に大きな
数字に上
つておるので
ございますが、それにいたしましても、実は新
羊毛年度の
買付数というものを比較的に内輪に見ておりますので、もう少し余計な
数字によらなければなりませんし、又のぼせたいと、かように思
つておるのであります。新旧
羊毛年度の年度が重なりましたので、四十九万一千俵という
数字が出たのであります。
供給量に対して大体需要の
予想を申上げますと、四十六万乃至五十五万という
数字があるわけでございますが、毛の
関係につきましては、実は
輸出のほうの
関係は
余り重要性はございません。大
部分は
国内に
消費されるものであります。而も
国内で
消費されますもので、極く特定な緊急な需要というものは比較的多くありません。大
部分は民生用に充てるということに
なつておりますので、結局原毛が余計人
つて参りますれば、それだけ余計作りまして、これを
国内に流すというかつこうになるのであります。
設備の
関係から申しましても、大体六十万俵ぐらいの原毛が入
つて来ましても消化できる能力がございますので、結局原毛の入り方如何によ
つて供給量が増減するという、こういうことになるのであります。一応その
消費の
状況を四十万俵乃至四十九万俵というふうにいたしまして、その間にランニング・ストツクの所要量を六万と見て四十六万乃至五十五万俵要るということになるのであります。最低の場合には四十六俵で間に合うという
程度になるのでございます。この
消費予想に非常に開きをおいてありますのは、何か突発な特別な需要が起りました場合においては、そういうものがこれくらいまで要るという
予想数字が入
つておりますので、
消費予想量に
相当の幅を置いたわけであります。この場合に
一体どのくらいの
生産ができるかということが下に書いてあるのでございまして、四十万俵を前提といたしまして計算いたしました場合におきましては、梳毛糸が四千二百六十万ポンド、紡毛糸が四十八万五千ポンド、これは昨年の率に比べますと、二割八分及び二割の増加ということになりまして、
合計九千百十万ポンドという
数字が出て参りますと、二割六分増ということになるのであります。その他にフエルト或いは帽帶というものを加えまして四十万俵という
生産量を
見込んでおるわけでございます。大体
羊毛関係の
需給は
只今申上げました通りでありますが、次に
人絹パルプ及びそれに伴いましての
化繊の
生産予想について申上げます。これは実は年間を
予想いたしまして、一月から十二月までの
数字を出したいと思つたのでございますが、
計画を大体四月から三月というふうに組んで大体ほうぼうで発表されておりますので、その
数字を一応と
つて見ます。年間の
計画と殆んど同じようなかつこうになるのでありまして、ただ三月末の
在庫が四千トン、そういたしまして一年間の
入荷及び
生産の
見込が二十万五千トンと、こう
なつておりますが、この
在庫の
関係が多少食い違いまして、昨年の十二月末の
在庫におきましては、四千トンの
数字がもう少し大きなところに
なつておるのであります。一—三における
入荷が
余り順調でございませんので、結局
相当三月末に
在庫が減
つて来るという計算になるわけでございます。
あとの
数字は大体ここに挙げましたのと同じ
数字になるわけであります。その二十万五千トンというものに対しまして、四千トンの
在庫を持ちますと、二十万九千トンの
供給になりまして、
消費の
予想で二十万五千、
従つて普通に必要といたしますランニング・ストックを二万トンと
見込むといたしますと、実は少々不足をするということになるのでございますが、この二十万五千トンの
数字を前提にいたしまして
生産計画を立てて見ますと、人絹におきまして一億四千ポンド、スフ二億五千万ポンド、計三億九千万ポンドの
生産が
見込まれますから、そうすると、昨年に比べまして五割四分の増加ということになるのであります。ただ
人絹パルプは、御
承知のように、国産パルプの
生産が非常に進みまして、又特に国産パルプは増産体制が非常に顯著でございまして、むしろうつちや
つておきますと、国産の
人絹パルプは十三万五千トンはおろか、もう少し大きな
数字ができる
可能性があるのでございますが、そういたしますと、ほかの製紙用パルプなり、石炭の坑木なり、そういつた方面との摩擦も生じますので、一応十三万五千トンに押えてございますが、国産パルプは現在の
状態でございますと、これ以上に増産される形勢にあると思うのであります。その半面
輸入パルプは昨年一カ年聞の長期の為替資金の
割当をもらいまして、九万二千トンの
買付けをするということで始めて見たのであります。多少時期が遅れました
関係もありまして、又同時に北欧あたりにおける
生産が思うように進んでおらんというところから、実は売物が少いのでありまして、当初は九万二千トンと
予想いたしましたけれ
ども、よほど努力いたしまして七万トンくらいの
輸入が確保できるということじやないかと思われます。これも今年の下半期になりましてどのくらい
買付けができるか、そういつた問題ともからみますので、はつきりいたしませんが、実態というものは、このくらいは
買付け得るのじやないかと考えておるわけであります。だんだん
化繊関係におきましては、国産のほうの依存度が高ま
つて来ておるという現状でございます。ただこれだけの
生産をいたしますのに必要な塩の問題と、それから塩の
輸入の問題と、それから国産の硫黄の増産の問題、この二つが、現在ではレーヨン・パルプの問題に劣らず重要な問題に
なつておるのでございまして、近海の塩がなく
なつて参りまして遠海塩を入れなければならんということから、結局苛性ソーダ、そういつた方面の
供給が十分行くかどうかという問題、硫黄に関しましても、今の公定
価格等の
関係がございまして、現状ではなかなか増産がスムースに参らないというようなこともございます。これらも隘路に
なつておりまするので、これだけの
予想の
生産が上るかどうかということには多少疑問を持つのでございますが、併し最低少くとも三億五千万ポンドの
生産は十分挙げられるということに思
つております。
主な纎維の
原料につきまして、
輸入の
状況は
只今申上げました通りでございますが、この問題に関連いたしまして現在の統制の問題につきまして、どういう
状況にあるかということを一応御参考までに申上げておきたいと思います。現在纎維につきまして統制の行われておりますのは、極く一部の種類につきまして
輸入為替資金の
割当制を残しておるものがございます。これは綿につきましては、
米綿、それから
羊毛につきましては、大体濠州及びアルゼンチンにつきまして
割当をすることがございますが、それから
人絹パルプ、これにつきましてメーカーに対しまして
輸入為替資金
割当をいたしておりますが、その他の
部分につきましては全部オートマテイツク・アプルーバル・システムで自由に買えるように
なつておるのでございます。為替の統制の問題に引続きまして、
国内の
関係で統制を現在でも残しておりますのは綿だけでございまして、その他の纎維はすべて自由に
なつております。綿につきましては御
承知のように、昨年の四月以降末端における
消費統制というものは撤廃をいたしまして、逐次下から上のほうに統制を撤廃する
段階を辿
つて来つあつたのでございますが、丁度
只今が
綿糸の
割当、それから綿布につきまして極く一
部分生産資材につきましての
割当制度を残しておりますのと、それから
綿糸、綿布につきまして公定
価格の制度がございまして、
価格統制をこれは小売の末端まで実施いたしておるのであります。この問題を今後どういうふうにするかという問題でございますが、これは現在のところではまだ安本或いは物価庁等と相談中でございまして、結論は出ておりません。但し綿につきましての問題は、最近の機会におきまして
国内用に充てておりました
政府の
手持綿花が種切れになるのでありまして、この
政府の
手持綿花がなくなりますと、
国内用に充てられます
綿糸、綿布の
原料になります
綿花につきましても、民間で
買付けをいたしました綿を充てなければならないということになるのでありまして、これは大体三月の末までにはそういう時期になるのでございます。その場合に従来は
政府の
手持の綿をプール計算によりまして平均
価格を出しまして、拂下げいたしましたその拂下げ
価格をべースにいたしまして、
綿製品の公を形成いたしておつたのでありますが、民間
買付けの綿ということになりますと、そのプールをいたす方法がございませんし、又
買付けました綿の値段にしましても各社が各様の買い方をいたしておりますので、千差万別であります。その場合に
一体どういう
価格の形式をするかということが、
相当これはむずかしい問題でございまして、同時に
綿製品が非常に重要な
輸出品であると同時に、国民生活にも重要なものでございますので、これらの統制のあり方を今後どうするかという問題は、緊急にきめなければならない問題でありますと同時に、非常に重要なる問題でございます。ただ現在の
段階におきましてはまだどうするかという結論を出しかねておる
状態でございます。近い将来には何らかの決定が行われると思
つておりますが、そういう
状態でございます。なおほかの纎維につきまして再統制云々という話もぼつぼつあるようでございますが、
只今の
段階におきましては自由に
なつております纎維につきまして、もう一遍統制をするということは現在考えておりませんが、但し今後の
状況如何によ
つてどうなるかわかりません。
只今のところではそういうことは考えておりませんし、又
只今御
説明申上げましたように、全般的に纎維の
製品は
生産が増加するのでありまして、而も今後これらの
原料が
輸入は非常に困難になるということは考えられますが、なく
なつてしまうということは考えられませんので、そういつた
情勢から判断いたしまして、再統制というようなことにつきましては現在私
ども考えておりません。
簡單でございますが、以上
概略御
説明申上げました。