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1950-12-11 第10回国会 参議院 通商産業委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年十二月十一日(月曜日)    午後二時十分開会   —————————————  委員氏名    委員長    深川榮左エ門君    理事      古池 信三君    理事      廣瀬與兵衞君    理事      栗山 良夫君    理事      結城 安次君            上原 正吉君            小野 義夫君            重宗 雄三君            松本  昇君            小松 正雄君            島   清君            下條 恭兵君            椿  繁夫君            加藤 正人君            高瀬荘太郎君            山川 良一君            山内 卓郎君            駒井 藤平君            境野 清雄君            西田 隆男君   —————————————   委員の異動 十二月十日委員椿繁夫君辞任につき、 その補欠として吉田法晴君を議長にお いて指名した。   —————————————   本日の会議に付した事件 ○調査承認要求の件 ○通商及び産業一般に関する調査の件  (最近の貿易一般に関する件)   —————————————
  2. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) これより委員会を開会いたします?  公報でお知らせいたしましたように「調査承認要求に関する件」を議題にいたします。第八国会以来承認を受けて実施しておりましたところの通商及産業一般に関する調査は、その報告書委員長に御一任いたされたので、一昨日議長まで調査未了報告書を提出しておりましたが、今国会においてもやはり通商産業一般に関する調査承認を要求し、通商産業並びに産業情勢を全面的に検討することにしてはどうかという意見が出ております。調査承認要求書を提出することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 御異議ないと認めます。要求書を提出することにいたします。調査目的方法等について諸般の手続きは委員長に御一任をお願いいたします。  次に右調査承認は正式に出ておりませんが、早速本日より右調査を開始することにいたし、最近の貿易一般に関して当局説明を聴取したいと存じますが御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 御異議なければ当局説明を求めます。本日は経済安定本部貿易局通産省通商振興局から関係官が出席することになつております。先ずこれらの当局から第一に貿易情勢説明を願い、第二に輸入問題として計画に対する実績の状況、輸入困難の物資輸入促進策等、第三に輸出問題として海外市場の動向、関税引上問題輸出銀行等について説明を願い、第四に最近の貿易協定の問題、第五に対中国貿易、これらの諸問題について御説明をお願いいたします。先ず経済安定本部湯川政府委員
  5. 湯川盛夫

    政府委員湯川盛夫君) 今ここで頂きましたのに主なる項目が書いてございますが、それにぴつたり合うかどうか知りませんが、大体お話したいと思います最近における貿易情勢、これにつきまして大体輸出輸入につきまして申上げます。輸出のほうは大体順調に伸びて来ておることは御承知通りであります。一月から九月までの輸出通関実績についてお話します。九月までに五億三千二百二十万一千ドルでありまして、月平均が五千九百二十四万四千ドルという形になります。昨年は一月から十二月までの暦年輸出総額が五億九百万ドルでありまして、月平均四億二千四十七万五千ドルでありましたので、それから見ましても、今年は大体月中均六千万ドルという数字相当に順調に伸びておるということが言えるのであります。輸入につきましては一月から九月までの総計、これはたびたび改訂になりまして、結局最後の形になるまでには十回変更なつております。一番最近の数字では、これは今朝確しかめたところでは九月までの総計が六億九千百大十九万九千ドルという総計でありまして、これを月平均割によりますと七千六百八十五万五千ドルという数字になるわけであります。昨年度は暦年年間で九億四百六十一万七千ドルでありまして、月平均七千五百三十八万四千ドルということになります。大体昨年の月平均よりも今年の一月から九月までの月平均は百五十万ドルほど多い、こういうことになります。輸人につきましては大体四月が非常に沢山入りまして九千三百万ドル入りましたのですが、その後五月、六月、七月とだんだん落ちて来まして、その辺でちよつと輸入が下振で若干心配したのでありますが、八月になりまして六千八百万ドルに回復し、九月は、これは暫定的の数字しか出ておりませんが、七千六百万ドルというふうに上つて来ました。十月はまだ正確な数字は出ませんが、大体九月よりいいのではないかと思います。  それから輸入計画輸入実績輸入計画と申しますのは私の方で貿易計画といつております。輸入計画コミツトメント・ベースで、買付計画であります。大体主なる品目を申上げますと主食の米はコミツトメント・ベース計画では九十八万トンということになつております。四月から九月までの上半期に入りましたのは四十五万一千トン、大体四六%までは上半期に来ております。十月から来年の三月までに予想されますところの割合を、手固く見まして四十七万四千トン、両方合せますと九十二万五千トンということになります。昨年度の実績は二十九万六千トンであります。米に関しては当初のコミツトメント・ベースに対して九四%、昨年度の実績に比べると三倍余りになります。次に大麦につきましては計画は五十三万トン、これは上半期九月までには余り人づておりませんで四万五千トンでありますが、これはシーズン関係がありますから十月以降に期待しているものが非常に大きいのであります。大体三十九万三千トンぐらい人づて来る。それから小麦につきましてはコミツトメント・ベース計画は百六十万トンであります。これに対して上半期、九月までの実績が七十六万六千トン、下半期が大体六十三万トンを予定しておりまして、まあ百四十万トンぐらいのものが到着実績ではなつております。この大体三つにつきまして昨年の実績と比べますと、昨年は米について二十九万六千トン、大麦について三十八万一千トン、小麦について二百四万二千トンという数になりますが、今年はこれに対して米については九十二万五千トン、大麦について三十九万三千トン、小麦について百三十九万六千トン、これを大体算術的に足しますと、今年は二百七十一万四千トン、昨年は二百七十一万九千トンということになります。尤もこれに玄米換算にしてこれを比率をとりまして、これを統一的な基礎で考えますると、今年のほうは玄米換算にしまして二百四十七万三千トン、昨年度の実績玄米換算にして二百三十四万七千トンということになります。昨年よりは玄米換算にすれば今年のほうがいいということになります。  砂糖につきましてはこれはコミツトメント・ベース計画は四十一万ばかりでありますが、そのうち上半期に十二万二千トン、下半期で期待している分は二十九万トンほどであります。  大豆にうきましてはコミツトメント・ベース計画は二十万トンでありまして、上半期実績が十六万一千トン、下半期に十三万トンほど期待しております。  それから燐鉱石につきましては、コミットメント・ベース計画は八十八万トン、上半期到着実績が五十六万七千トン、下半期到着を予想しておりますものが五十九万六千トン両方合せますと百十六万三千トン本年度内に到着するということになります。  カリにつきましてはコミツトメント・べースの計画は三十二万トン、上半期実績が二十三万七千トン、下半期見込み十四万二千トン、合せて年度内の見込みは三十七万九千トンであります。  それから原綿綿花につきましては、コミツトメント・ベース計画は百四十八万俵でありますが、上半期実績が六十六万三千俵、下半期見込みが百三万五千俵、従つて到着のほうの見込みからいいますと、百六十九万八千俵といつたようなことを期待しております。  それから鉄鉱石につきましては、これは当初の計画はコミツトメント・ベーースでは大体二百万トンを考えて進めておつたのでありますが、その後このベース改訂がありまして、今の計画は大体二百五十万トンということになつております。従つて初めのうちは  二百万トンの計画でやりましたので、若干これは実際の成績が、二百五十万トンのベースで進んでいなかつたので遅れておりますが、上半期実績が八十八万トン下半期が百二十七万トンということになります。  それから塩につきまして、これはコミツト・メントベース年間計画は百二十万トン、上半期実績が八方九千トン、下半期見込が七十五万トン、合せまして八十三万九千トン、大体八十四万トンくらいであります。  それから強粘結炭につきましては、これは当初の計画コミツトメント・ベースで七十六万トンということになつておりましたが、これもさつき鉄鉱石と同様に途中で計画変更になりまして百四十万トンになりました。それに対しまして上年期実績は三十四万三百トン、下半期は大体百万トンほど見込んでおります。  それからレーヨン・パルプ、これは当初の計画は二万一千トンでありましたが、その後改訂になりまして今は三万一千トンという計画なつております。上半期実績は二万トンばかりでありまして、下半期は大体二万五千トンを見込んでおります。  それから生ゴムにつきましては、大体計画が五万トン、これに対して上年期実績が三万五百トンばかりでありまして、下半期でやはり三万四千四百トン来ることを期待して総計六万四千九百トシくらいのものを期待しております。  まあ主な物資については大体計画と、それから実績、それから来年三月までの見込、こういつたようなものを……、まだこれはいろいろ小さなところではあちらこちらしよつちゆう変更しておりますが、大きなラインとしてはこんなところであります。  輸入の点が特に問題になると存じますが、輸入につきましては最初外貨予算で以てやつておるわけでありますが、外貨予算は御承知のように今年の一月から日本側で組むことになりまして、最初関係方面の意向としては初めてのことでもあるから、できるだけ健全な組み方をするようにというまあ注意もありましたし、多少不慣れな点もありましたし、まあそれから昨日あたりの実際の現実の輸入された数量というようなものもまだ正確に把握していない点がありまして、一月—三月あたり割合に小さな……、今から考えれば比較的小さい予算でやつたのであります。一月—三月は大体一億三千万ドルほどの輸入予算を組んだのでありますが、その後途中でだんだん変更になりまして、一億二千二百万ドルというのが最後にでき上つた形であります。そのうち通産省によつて輸入公表をされたものが大体約六〇%、即ち七千三百万ドルばかりであります。これに対しまして民間輸入機構があつて、そうしてそれに対して承認の下りたものは公表額の大体八九%、即ち六千五百万ドル程度であつたのであります。これは予算に対して公表額が非常に少いといいますのは、まだ何しろ初めてのことでありましたし、いろいろな点で不慣れであつたので、事務的に輸入交渉が遅れたこと、或いはポンドの資金思つたよりもなかつたというようないろいろな手違いがあつたからであります。又民間でも長い間民間輸入方式をやつておりませんので、そういう点でいろいろ不慣れな、いろいろの仕事におきまして若干不慣れという点もあります。四月—六月の予算になりまして、だんだんこの制度に習熟して来まして、四月—六月現在では、一億四千百万ドル、修正された最後数字では一億八千百万ドル、かなり大きくなりました。その予算のうち通産省によつて輸入公表をされたものは約九〇%、即ち一億六千百万ドル輸入承認されたものは公表額の八六%、先ず相当いい成績をだんだん示して来ました。七月—九月の予算は、これは七月の中旬にきまりましたが、朝鮮事変等の影響もあり、この際成るべく輸入を増大しようという考えも若干織込められまして、当初は二億五千七百万ドルという、前の二期に比べますと相当大きな輸入予算を組んだのでありますが、その後だんだん時局の進捗に伴つて輸入要請が非常に殖えて来ましたので、何遍も輸入予算を修正追加しまして、最後の形では四億四百万ドルという大きな額に上つたわけであります。そのうち輸入公表は殆んどフルに行われまして、その公表額のうち十月の末までに輸入承認をされたものが公表額の八一%という大量に上つております。なおこの期からは輸入をできるだけ簡單に効率的に行うために、例の自働承認制度という制度をば新たに採用をいたしました。これによつて相当の大きな改正をしたわけであります。大体自働承認制の額は総計八千三百万ドルであります。なおこの期から先物の買付ということのために特別の予算制度を作りまして、そちらのほうにさつきの約四億四百万ドルとは別に約一億二千万ドル見込んだのであります。  それから次に十月—十二月の予算におきましては、これは策定当時はほぼ前期と同じ三億八千五百万ドルという輸入予算を組んだのでありますが、その後、これも目下実施中でありますが、漸次追加しておりまして、十一月末現在の形では四億八百万ドルという予算なつております。こういうわけで七—九、十—十二といつたものは相当に大きな予算を組んでおりますが、これは先程申上げておりますように、これはコミツトメント・ベース計画つまり買付計画でありますから、これが実際に荷物が到着するのは、丁度時 限爆弾のように暫くズレて、数カ月ズレて出て来ることになります。従つて初めに申上げました輸入の毎月の実績というものは、だんだん十一月、十二月、一月、二月、三月というふうに、この大きな予算がだんだんと効果を現わして来ますから今後相当に上つて来ると思います。輸出の問題は国別物資別輸出傾向、これは輸出認証統計というのが通産省でやつているものがありまして、それで国別、種別、相当詳しいものが出ておりますから、後でその資料でも通産省のほうからお配りして頂いて説明は省略いたしたいと思います。  最近の貿易協定の内容と傾向、これも大体主として通産省のほうがお詳しいかと思いますが、貿易協定は、これは何といつて日本貿易相当大きな率を占めておりますので、できるだけ協定を殖やしたいと考えております。現在は協定の数が二十五ございます。その中で一番金額的に大きな協定は、いうまでもなくスターリング地域との協定でありまして、この間締結になりましたが、これは輸出輸入とも九千二百六十万ポンド、ドルにしまして約二億六千万ドルと、こういつた大きなものであります。これに続きます協定はまあ大体輸出輸入と殆んど均等しておりますが、輸出のほうでお話ししますとパキスタンとの協定、これが九千七百五十万ドル輸出の枠であります。それからその次は台湾、これが五千万ドル、それからインドネシアの四千四百四十万ドル、それからタイの四千五百万ドル、琉球の四千万ドルといつたのが大きいのでありますが、そのほかに千万ドルぐらいの協定もたくさんあつて、そうして二十五の協定ができております。協定貿易貿易総額の中でどのくらいの比率を占めているかと申しますと、昨年度の統計によりますと、昨年の一月から十二月までの計算では、輸出に関しましてはこの協定国に対する輸出が総輸出の七〇%でありまして、非協定国に対するものが三〇%弱、そういう数になつております。  輸入につきましては、協定国からの輸入が昨年は二六八%で非協定国からの輸入が七三・二%ということになつております。輸入についてこの非協定国からの輸入が七三%もありましたのは、これは御承知のように輸入の中の相当大きな部分ガリオア輸入でありますので、これがアメリカから来るものが大部分でありますから、これを非協定国のほうに数える結果こういうことになるわけであります。今年に入りましてから一月から六月まで、上年期のこの実績協定国と非協定国と分けまして総輸出入の中における割合を出して見ますと、協定国のほうに対する輸出が五八・八%、非協定国に対する輸出が四一二%、それから輸入のほうにつきましては協定国からの輸入が四〇・五%で、非協定国からの輸入が五九・五%ということになります。輸入につきましては昨年よりも今年のほうが協定国からの輸入が顯著に殖えております。こういつた傾向はだんだん援助資金がなくなつて、自立経済なつて行かなければならないのでありますから、先ず傾向としてはいい傾向であると思います。  次に中国貿易の現状と見通し中国との貿易は、昨年に比べますと今年は先ず増加の傾向にあつたのであります。昨年の暦年をとりまして中国との貿易、これは一応台湾を除いて計算をしておりますが、輸入が大体二千百七十五万四千ドル、それからこちらからの輸出が三百十五万一千ドルという数になつておりまして、輸入については輸入総額の約二・四%、輸出につきましては輸出総額の〇・六%であつたのであります。これは昨年であります。今年は一応八月までの数字、その後文相当殖えておりますが、通関統計ドル建てが出ませんので……。八月までの実績をみますと、輸入が二千七百六十五万四千ドル、こちらからの輸出が七百二万五千ドル、こういう数になつております。従つてこれは総額に対する比率は、輸入は八月までの輸入総額の四・四%、輸出は八月までの輸出総額の一・五%になります。この%はいずれにしても昨年も今年も少いのでありますが、今年のほうが去年よりも若干よくなつておりますし、それから昨年度の数字につきましては、まだ当時の未公表部分がこの中に入つております。即も輸入については、その大きな部分を占めております海南島の鉄鉱石というのが昨年の輸入の中には入つておりますし、輸出につきましては華南方面大分綿布を出しましたが、それも人づております。従つてこういつたものを差引いた対中共貿易ということでみれば、今年の貿易は昨年の貿易よりも更に一層増大したことになります。その輸出の中でどういうものが出ておるかと申しますと、昨日は繊維などが相当に大きくて、繊維それから金属及び銅製品といつたようなもので三分の二以上占めておつたのでありますが、今年はその大部分金属製品とそれから機械ということになつておりまする  それから輸入のほうでは昨年は海南島の鉄鉱石相当に大きな部分を占めておりますが、今年は鉄鉱石中共から恐らく来ない今年の大きなものは、まあ大豆食糧の中で、特に大豆、それからまあ石炭が若干あります。そういつたようなものが大きいようであります。あとは皮革とか豚毛とかその他いろいろの薬草類といつたようなものであります。この見通しという点が、これが数日来問題になつておる点であります。例の中国本土、満州、それから北鮮、マカオ、香港、そういう地域に対しまして、五十数品目船積停止、これも特別許可があれば出せるわけでありますが、一応そういつたような措置をこちらでとりました結果、今後先方がどういう態度に出るか、そういつたような問題がありまして、まあそういつた数字でこれは相当つて来るわけであります。その場合、あちらがとる措置でもどういう措置をとるか中共からじかに積出すもの以外、わきを経由して来るようなものむ停止するか、或いは決済が例えばほかの地域で行われておる、香港決済がなされておるものは禁止する。そういつたような問題もからんで来て、まあどういうものがつまり影響するかといつたような問題があるのであります。その点は今いろいろ研究しておりますが、まあ一応そういう場合には大体石炭とか大豆とかはアメリカの方に振替えなければならない。それからまあそのほか細かい、銅は南米のほうの代用品で補うとか、そういつたようかいろいろなことでやつております。  大体ここに書いてありますことは、お話したかと思いますが、あといろいろ御質問によつてお答えしたいと思いますので、市場調査機関の問題とか輸出銀行の問題、これは通産省小室通商政策課長がおいでになつておりますから、そちらから一つ御説明申上げたいと思います。
  6. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 湯川貿易局長司令部に呼ばれておるので、早く退席される必要がありますので、局長に対して御質疑のある方は御発言願います。
  7. 境野清雄

    境野清雄君 今の輸入の問題で羊毛を聞き落したかどうか知りませんが、羊毛はどんなふうになつておりますか。
  8. 湯川盛夫

    政府委員湯川盛夫君) 羊毛につきましては、昨年の実績は大体二十五万俵となつておりますが、今年のコミツトメント・ベース計画では大体二十七万一千俵ほどと考えておつたのであります。これに対しまして上半期実績は七万六千俵、羊毛は御承知通りに、買うシーズンが九月頃から始りますので、要するに実際入つて来ますのは下半期になるわけでありますが、下半期では大体二十二万一千俵考えておりまして、年間を通じての大体の見通しは、二十九万七千俵ぐらいと考えております。
  9. 結城安次

    結城安次君 私、表を要求したいのですが、つまり昭和十二年、十三年、十四、十五年と四カ年間輸入輸出実績、それと、この二十三、二十四、五年は推測くらいの、どういうふうに輸入輸出なつているか、主なものでいいです。食糧品繊維品、鉄鋼、機械、六つか七つくらいの項目で結構でございますから、それの調査資料として要求いたします。エキスチエンジをどちらかにまとめて、ベースを同じにしなければならんと思います。
  10. 湯川盛夫

    政府委員湯川盛夫君) 只今の資料は、それでは通産省のほうと相談いたしまして、作つて差上げることにいたします。
  11. 境野清雄

    境野清雄君 今綿花のお話を聞いたのですが、大体九月までに六十六万三千俵入つたといいますが、九月までの価格と十月以降の価格を、大体でもおわかりになりましたら、綿花羊毛あたりについて御説明願いたいと思います。
  12. 小室恒夫

    説明員小室恒夫君) 大ざつぱなことならば何ですが、後で価格資料を差上げます。
  13. 結城安次

    結城安次君 特需と申しますが、これの今後の見通し、それから今まで特需として発注されたもので、納入されないむのが非常に多いかどうか。これらが引続き納入されるかどうか、新たに出るかどうかというようなお見通しは如何でございますか。
  14. 湯川盛夫

    政府委員湯川盛夫君) 特需につきましては、十一月の大体終りまでに契約のありました額が、これは物の供給のほうでありますが、九千九百万ドルほどあります。それで、これがおのおのその納入の時期がいろいろ分れておるようでありますが、その中で大体今までに納入も済んで、サプライのあつたものが、これは少し古くて恐縮なのでありますが、十月までで三万ドル、十一月が又相当つたと思います。まあ大体今契約なつておりますものは、若干要らなくなるものがあるかも知れませんけれども、来年の三、四月頃までには大体納入になるのではないかと思います。最近は大体十月、十一月あたりは、月に千五、六百万ドルほどづつ殖えております。初めの九月あたりは、一月だけで三千六百万ドルありました。大体最近は千五、六百万ドルの率で行つております。ずつと先のほうの見通しになりますと、これはなかなかわかりませんが、そういつた点も、将来の発注見込ということもできるだけ連絡を受けたいと思つて交渉はしておりますが、これはなかなか向うでも予定が立つていないようで、余り正確なところをつかんでおりません。
  15. 境野清雄

    境野清雄君 今の綿花の話ですが、十月以降の百三万五千万俵というものは、従来の米綿主体でなくなつていると思うのですが、これの内訳は大体おわかりですか。
  16. 湯川盛夫

    政府委員湯川盛夫君) 下半期に、大体さつき百三万と申上げましたが、そのうちこの米綿は 御承知のように、アメリカ輸出割当になりましたのが、当初八月から来年の三月までに五十五万俵割当になつたのでありますが、その後文追加がありまして、十四万三千俵ほど追加になつております。そこでこれで大体六十九万三千俵ほどになりますが、あとの部分が、メキシコとかパキスタン、エジプト、印度、南米、そういつたようなところでございます。ただこのあとの国のほうは、御承知のように、自働承認制で、どこからでも入れるだけ入れるということになつておりますので、国別にどこから幾らというような計画はありません。
  17. 境野清雄

    境野清雄君 レーヨン・パルプはどうですか。このレーヨン・パルプは、前の予定では、北欧と、アメリカ、カナダから六万五千トン買付をしたというような政府の報告が前に一度あつたのですが、それがどんなふうに十一月以降が二万五千トンというふうに変つておるのか、その点おわかりになりましたら……。
  18. 湯川盛夫

    政府委員湯川盛夫君) レーヨン・パルプにつきましては、長期契約が必要だと、来年一年分くらいを大体早くコミツトする必要があるというのでありまして、長期契約予算というのを計上しまして、大体それで以て、来年度に一万トン余を予定しておるのであります。そのほかに期近もので、そのときに買えるものがあれば手を打つと、こういつた計画なつておりますが、先ほどお話申上げた数字は、三月までの到着見込ということになりますので、こういつた形になつております。
  19. 境野清雄

    境野清雄君 そうすると、前にスエーデン、フィンランド、ノールウエーと長期契約をしたというものはできておるのですか、できていないのですか。或いはそれともこの年間契約のものは今の数字から除いたものとして考えてよろしいのですか。大体安本が前に発表したときにたしか国内産のパルプを十万トン輸入十二万トンという線を一度発表したので、二十二万トン、昨年度に対して七〇%以上殖えるだろうというような案をこの前聞いたのですが、その年間契約というものを除いたものから二万五千トン別途に入るという解釈をしてよろしいのですか。年間契約のうちのものが三月までに二万五千トン入つてくるという解釈でよろしいのか。
  20. 小室恒夫

    説明員小室恒夫君) 長期契約の外貸予算を主体といたしましてレーヨン、パルプの輸入の進捗状況につきましては、大体全体として化繊以外のものも若干入つておりまするけれども、十万トン輸入を予定しておるものに対して、買付契約の済んでおる数量が二万二千七百トン、これは十一月二十七日現在であります。そのほか人絹関係として、米国、カナダ スエーデン、フィンランド、ノルウエー等から将来各種のレーヨン・パルプを買入れたいという数量が六万九千二百トンでございます。六万九千二百トン、これは見込みというか、極力努力して買うべき数字でございます。どの程度がどの時期に入つてくるかということはまだ申上げるまでには行つておりません。
  21. 境野清雄

    境野清雄君 さつき綿花の話ですと、何か特需用として十万俵アメリカが出すというそのものはこの数字に入つておらないという解釈でよろしいのでございますか。
  22. 小室恒夫

    説明員小室恒夫君) 先ほど貿易局長から説明されたように、当初のこの輸出割当日本向けの五十五万俵、それからその次に認められましたものが十四万六千俵、そのほか来年の一月一日に恐らくは若干の輸出割当の増加が日本向けに見込まれておるのじやないか。これはいずれも本年の八月始めから来年の三月の末までの輸出割当でございます。そのあとに実際にどの程度の輸出割当が継続されるかどうか。又そのうちで日本向けにどの程度の、仮に輸出割当が継続されるとしてですね。輸出が認められるかどうか、又輸出割当が継続されないとしても丁度端境期の米綿の需給関係から見て、どの程度の日本向けに輸出ができるかということは、まだ今日では見込みの問題であつて、確たる見当はつきかねるわけであります。それから特需用の原料として別枠で或る程度綿を輸入したいということは、輸出割当が非常に厳重に行われておりました時期におきまして、日本側は或る程度司令部に懇請した事項でございますけれども当時の輸出割当の事情と最近の事情と多少事情も緩和して参りましたし、追加の割当等もございますので、その問題をどういうふうに取扱われるかということは、これはやや観念的の問題、というとおかしうございますけれども、そういう点もありますので、我々としてはちよつと御説明しかねるということでございます。ただ全体としての米綿輸出の期待数量は、或る程度輸出の一番最初の事態を考えた当時に比らべれば、大分よくなつて来ております。従つて全体としての需要を満たすこともそう困難ではないのではないかという感じをもつております  ○境野清雄君 そうすると通産省自体として、前に発表しました今年の十二月末日までに十三万二千俵の線、来年の十一月は十六万俵という線によつて国内と輸出との大体バランスをとろう  というときには、百四十八万俵の線でやつてつたのが、それが百六十九万八千俵になつた場合に、今後特需がいくら殖えて来ても百六十九万八千俵の中で我々は計算しなければならないというふうに解釈してよろしいわけでございますか。
  23. 小室恒夫

    説明員小室恒夫君) 御承知のような国際情勢でもありますので、特需というものの性格が今後どろなるか、又繊維製品、特に綿製品に対して、どの程度の特需がありますかわかりませんので、特需について若し期待できないような状態が来れば、当然原料関係で再検討を加えなければならないということになると思います。
  24. 境野清雄

    境野清雄君 そうすると結局は百六十九万八千俵というものが、大体来年の三月までの日本へ入る棉花としては、総数というふうに考えてよろしいわけですね。
  25. 湯川盛夫

    政府委員湯川盛夫君) 来年の三月までに、こちらに到着する見込みのものとしては、大体そういうふうに考えてよいと思います。
  26. 吉田法晴

    吉田法晴君 先ほど特需関係見込みで九千九百万ドルというお話でありましたが、これは各産業別にということでありますと、実績ということになるかも知れませんが、一応見込みとして九千九百万ドル各産業別の見込み、或いは実績の分を含めてあとで頂けますか。
  27. 湯川盛夫

    政府委員湯川盛夫君) 今の九千九百万ドルの大体内訳を、それではちよつとここでお話しますが、総計詳しく申しますと、十一月二十六日までの数が出ておりますが、九千九百二十九万二千ドルであります。その中食糧及び飲料、これはビスケットとかそういうものが主のようでありますが、それが大体二百九十八万四千ドル、それから繊維及び織物関係が千三百六十八万九千ドル、それから木材及び紙が千四百九十七万三千ドル、動植物製品、これが百七十八万八千ドル、それから油脂及び臘、これが四万二千ドル、それから化学品が五百五十一万八千ドル、非金属鉱産物が四百五万八千、金属及び同製品が二千二百七十一万二千ドル機械類が三千三百七万六千ドル、この機械類の中にはトラックとか車両とか、そういうものが主でございます。それから雑品が四十五万二千ドル、大体こういつた数字でございます。
  28. 吉田法晴

    吉田法晴君 先ほど御説明を頂きました、大体メモしたのですけれども、できれば、今のと一緒に頂けたら幸いと思います。それから今後の見通しについてはお話がございませんでしたが、大体の概数といいますか、お見通しは全然ないわけではないだろうと思いますが、来年度予算に関連いたしまして、多少なりともお見通しがございましたら一つお願いいたしたいと思います。
  29. 湯川盛夫

    政府委員湯川盛夫君) 特需見通しにつきましてなかなかどうもこの戦局の推移とか国際情勢の如何によりますので、見通しが立てにくいのでありますが、今のところ極く大雑把に来年度一億五千万ドルから一億八千万ドルぐらいのところじやないかと一応考えております。
  30. 吉田法晴

    吉田法晴君 それから中共貿易の禁止その他で相当産業に対する影響が考えられるのであります。これは中共関係だけじやなくて今後の輸入の困難なところから起つて参ります産業に対する影響等についてこれも概略でよろしいのでございますが、どういう工合に考えておりますか。
  31. 湯川盛夫

    政府委員湯川盛夫君) 中共貿易見通しという点でございますが、輸出のほうは先ほどお話になりましたようにまあ全体の中におけるパーセンテージが少うございますし、それから中共プロパーに対する輸出としましては鉄鋼製品が大部分でございますが、これは必ずしも中共でなくてもほかでも相当需要がありますので、あまり大きな影響はないかと思います。ただこの中共のほうの今後の出方で日本の、こちらで輸入するほうにどういう影響があるかという問題になるわけであります。その大きなものはやはり強粘結炭そういつたものじやないかと思います。それらにつきましては今後どういうふうになるかわかりませんが、どうしても中共から入らないということになれば、こちらの仕入先をほかに転換する。そういつたような面のことについても、主としてアメリカ輸入先を転換する。そういつたようなことを考えなければならないと思つております。
  32. 吉田法晴

    吉田法晴君 その場合に価格輸送費等もありましようが、そういうものについての影響、例えば高くなるのじやないかといつたようなことも考えられますが、そういう点についてはどうでしようか。
  33. 湯川盛夫

    政府委員湯川盛夫君) 強粘結炭価格につきましては、中共は今開らん炭は十二ドルぐらいの計算になるのであります。アメリカのほうは十七ドルで行くか、それぐらいになるかと思います。ただ実際は今度はこの石炭の質といつたようなことになりますと、開らん炭のほうがアツレユが多いようですから、そういつた計算も全部しますとまあ余り大した違いはないと思います。  それから大豆につきましては今香港決済で買つておりますが、これはこちらのほうが百四十ドルで、アメリカのほうはそれより大分安く、百二十ドルぐらいじやなかつたかと思います。
  34. 境野清雄

    境野清雄君 大体安本のこの輸入計画相当齟齬しているように思つておりますし、輸入計画は大体失敗していると思つているか、例えば羊毛なんかについてもこの前の発表のときに、すでに七—九月の外貨割当を済ましたものが八万四千俵という発表がしてあるのに対して、今日聞きますと幾らですか、七万六千俵しか入つていない。外貨割当をした八万四千俵も入つていないということになるとおかしいし、先ほどのお話のオープシヨンの関係で十一月以降に入つて来るというお話ですけれども、二十二万一千俵は十二月以降三月までに入つて来るということは相当困難じやないか。ただ数字だけで、前に八万四千俵外貨割当をして買付げたし、当時多分六万六千俵かを追加で買入れしたい、そヶいうときでも十一月以降は十四万俵か、十五万俵になるかで、相当これは困難じやないかという見通しであつたので、ただ数字的に残つた二十二万一千俵というものを十二月以降に入れるということは相当これはオークシヨンとしては考えても困難じやないかと思いますが、その点のところはどうですか、お見通しは……。
  35. 湯川盛夫

    政府委員湯川盛夫君) 正確の数字はちよつと忘れましたが、確かに羊毛につきましては初めに相当量買うことになつておりましたけれども、大体そのときの予算は金額に上つてきまつておりまするが、その金額では当時の俵数だけ買えなかつた。そこで何遍も追加しましたが、やはりその予定の俵数は非常に羊毛は値上りしました。それからもう一つ羊毛は濠州の羊毛は市が立つてから買うことになつておりまして、これは確か八月の二十九日か八日の頃から始まりましたので、どうしてもやはり買う時期が九月から来年度の三月頃までということになりますので、第三四半期、第四四半期に重くかかつて来る、こういうことになつて来るのではないかと思います。
  36. 境野清雄

    境野清雄君 そうすると、大体安本 のほうで多分直接に当てられたのかどうか、これは東洋経済か何かで見たんですが、数字が間違つておれば別ですが、今年の七月から来年の六月までの見通しとしては、輸入が十三億千三百万ドル、それから輸出は八億七千六百万ドルかというものを一応安本ではお立てになつて、その差額の四億三千七百万ドルに対して、一応今のお話のあつた特需が一億万ドル——一億一千万トル、それから日本船の海外渡航收入というものを併せて二億万ドルくらい、ガリオア・フアンドの対日援助物貧というものが確か二億三千五百万ドルというものでバランスをとるというような数字を何かで私は見たことがあるのです。それから同時に、その当時におきまして羊毛に関しては、従来安拂額は五千万ドルであつた。併しそれが数量は僅か二割きり殖えないで支拂額は一億になるだろうというふうなことが書いてあつたように記憶するんですが、そういうような見通し、総体のものに対しては安本は最近の朝鮮の模様その他が変りましても一応その数字のようなもので進んで行くのかどうかを一応御説明願いたいと思います。
  37. 湯川盛夫

    政府委員湯川盛夫君) 羊毛の点につきましては大分單価が変りましたので多少その点は変つて来ると思いますが、今年の初めに貿易計画を立てましたときには、大体一俵百九十ドルという額になつておりますが、最近十月あたりのあれでは三百六十ドルと非常に上つております。こういつたまあ修正は織込まなければならないことになつております。それから現在の計画としましては二十五年度の国際収支計画、収支の予想といつたようなものもこれはたびたびそのときのあれで変つておりますが、まあ最近の大体の予想としましては収入のほうを十一億四千三百万ドルと、それからそれに対しまして文出のほうは十二億一千万ドルとそういうふうになつております。
  38. 境野清雄

    境野清雄君 輸入のほうが十二億一千万ドルですか。
  39. 湯川盛夫

    政府委員湯川盛夫君) 輸入とそれから貿易外の支拂と合せまして……。
  40. 吉田法晴

    吉田法晴君 中国貿易の禁止の措置、これについての基本的な問題かも知れませんけれども、いわゆるまあ朝鮮事変その他の国際関係と商取引というものとは別であるべきだという観点に立つてお話を申上げるわけなんですけれども、どのくらい続くか。これは国際関係もございましようが、従つて中国からの輸出のまあ報復的な措置はどういうふうになさるかということの見通しははつきりなさらないかと思いますけれども、成るべく早くこういう措置のとまることを希望する意味においてそういうお話を申上げるわけなんですが、このまま長く続くものでありますか、それとも或いは近い将来において解け得るものであるかどうかその点については如何でございましようか。
  41. 小室恒夫

    説明員小室恒夫君) 吉田委員からのお話でございますが、法律的の措置としては取りあえず一カ月積み止めということになつておりますけれども、各方面の意見も要するに国際情勢の推移を待たなければ何とも言えないというのが……、ちよつとその問題についてのお答えはまだ差控えさして頂きます。
  42. 吉田法晴

    吉田法晴君 今のところでは、向うからの、とにかく影響というものはまだ出ていないわけですね。
  43. 小室恒夫

    説明員小室恒夫君) 何分にもまだ措置を実施しましてから日が浅いものでありますから、その程度に影響が現われているかということはまだはつきりつかめておりません。或る程度は影響があるでありろうということは我々は予測しております。
  44. 吉田法晴

    吉田法晴君 撫順炭ですが、ガス発生炉用炭について一万トンというお話を聞いておりますが、これの実績と、それから見通しはどうですか。それから先ほど伺つたかと思いますけれども、ちよつと落しましたので強粘結性炭についても一緒に。
  45. 湯川盛夫

    政府委員湯川盛夫君) ガス工業用の撫順炭につきましては、一応三万トンくらい予定されておりますが、これが決済は、香港のオープン・アカウントでやることになつております。この決済香港でやるものまで影響するかどうかというような問題があるわけであります。若しそういうものも全部向うでいけないということになれば、それだけ影響するわけであります。それから開らん炭につきましては大体本年度内に五十三万トンくらい期待していたわけであります。そのうち九月末までに入りましたものは二十三万二千トン余、あと十月以降は約二十万となつております。これも九月までの分は香港のオープン・アカウントと、それから中共のエスクロ方式の両方で入れておりました。併し十月分以降の分は殆んど香港決済ということになつております。そこでそういうものはそのままならば或いは非常に強度のものによつてとれるかと、いう問題がまだ、調査研究中でありますので、はつきりした情報がありません。
  46. 吉田法晴

    吉田法晴君 撫順炭の実績はわからないのですか。
  47. 湯川盛夫

    政府委員湯川盛夫君) 撫順炭は最近はずつと入れておりません。今度入れようかといつて予定をしております。
  48. 吉田法晴

    吉田法晴君 それから例えばこれは一つの例になりますけれども、こういうものが中国その他から入つて来ないということになればどういうことになるのですか。その場合に例えば輸入数量について変化が起るかという問題ですね。例えば強粘結炭については輸入を無理しても入れなければならんということになるかもしれませんが、或いはガス発生炉用炭になれば相当国内にもあるというのも事実だと思いますが、輸入先の変更従つて数量に変更がなされ得るかどうかということです。
  49. 湯川盛夫

    政府委員湯川盛夫君) 強粘結炭については御詮の通りであります。ガス発生炉用炭につきましては必ずしも入れなくてもいいというものが相当あるわけであります。全体からみてこの程度ほしいということで、一応入れることにしたわけであります。併しいよいよ入らないということになつた場合には、或いは国内産でも間に合うならばそれでもいいし、又どうしても足りなければ考えなければならん、こういうことになつて参ると思います。
  50. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) ちよつとお諮りいたしますが、貿易局長は三時半に司令部に行かれることになつておるそうですから、これだけにいたしたいと思います。  次に小室課長に主として海外市場の動向、輸出上の問題等について説明して頂くことにいたし、そのあとで金融保険課長から、銀行法の説明をして頂きたいと思います。
  51. 小室恒夫

    説明員小室恒夫君) 最近の我が国の輸出の動向でございますが、御承知通り朝鮮事件を契機といたしまして、世界の貿易情勢が、一変いたしまして、それまで各国の戰後の復興が次第に進歩するに伴いまして、いずれかというと、生産力のほうが有効需要よりも過剰になるような傾向が、世界市場一般に、見られておりました。その結果といたしましいわゆる貿易上の用語でいうバイヤース、マーケット、金を持つておる買手が非常に強いマーケットであつたのでありますが、朝鮮事件を契機といたしまして、主として軍需関係の職略物資の買急ぎというようなことが契機となり、又全般的には、各国の経済が自然一種のインフレ的な気運を世界一般に招来いたしまして、各国の有効需要が、ずつと殖えて参り、従つて日本品に対する輸出需要というものも、相当活溌になつて参つたわけであります、いわば金よりも物の時代という気運が相当濃厚に現われております。又丁度アメリカあたりが中心になりまして、国防生産体制を確立する意味からいたしまして、綿花輸出統制とか、その他のいろいろな重要物資輸出統制などが先鞭をつけまして、原料面の不安というようなことも手伝こいまして、相当原料に制約せられておるような製品、直截に言いますれば、綿花輸出割当が行われれば綿製品のほうがより強く蓬頭して参ります。そういうような一般的な背景の下におきまして、我が国の輸出は、当初期待しておりました一年間に六億四、五千万ドルというようなところからは、遥かにこれを凌駕した輸出の規模になつて参つたわけであります。その間において、もとより輸出価格の値上りというものも相当ございまし数量も伸び、価格上つたというのが、概して言えば大勢でございます。今日貿易の振興といえば、輸入の促進ということと同じことのように言われておるのでありますが、輸出のほうは、先ず供給力のほうに支障がなければ大体各商品とも軒並みに伸びておる、軒並みに買つてもらえるというのが今日只今の情勢でございます。もとより国際情勢がいろいろな意味で変つて来れば、我が国の輸出の大勢も変つて来ると思いますが、今日只今の輸出のほうは、問題は供給力にかかつておるわけであります。供給力の点について申し上げますと、結局輸出産業の供給力を海外の有効需要の増大に対応いたしまして、できるだけ拡大していくということが何よりも肝心でありますが、申すまでもなく、電力の供給が一般的に隘路になつておる。更に又金詰りで、生産設備を拡張していくというようなことがなかなか思うにまかせない。或いは、海外からの原料の輸入というようなものが思つたよりもなかなか進捗しないというような事情によりまして、生産能力を有効需要に即応するだけ殖やして行くということは、なかなか困難な事情があるわけであります。又生産設備の拡張なども紡績なんかは比較的順調に参つておりますが、例えば化学肥料という問題になれば、電力からすつかり隘路ができてしまうというようなのが一例でございます。まあそういう状況におきまして、結局如何にして輸出産業の供給力を確保するかという問題と、それから国内で以て必要な需要、内需と特需、別需、いろいろな言葉で呼ばれておりますが、要するに内需の重要なものと輸出の動向というものをどうやつて調整して行くかという問題も従つて生じて来る状況になつております。而して今日のところ輸出産業の供給力をできるだけ拡大して行く。その中に一番大事な裏付けである輸出用原材料の輸入に最大の努力を拂うということに重点をおかれておるわけであります。又輸入の場合ほどではありませんけれども、輸出品の入れ物の問題、いわば船腹の問題というようなこと今後はなかなか重要な問題になつて来るかと思います。そういうような状況でありまして、大体本年の年初以来の輸出は丁度只今お手許に輸出統計総括表、調査課作成という表をお廻ししてありますが、これはスキャップで以つてつた統計表でございますが、一月から八月までの総計が四億五千七百万ドルということになつております。そのうちで以て大体繊維品が四割六分、鉄鋼が九%、又非鉄金属関係等とか、そういうようなものが一一%、又機械関係が九%、それから農水産物関係が一〇%、つまり一割、それから雑貨関係が一二%、肥料等の化学製品関係が二%、石炭が一%、こういうような大雑把な構成になつております。で、先ほども申上げましたように、これらの主要輸出品はいずれも海外における有効需要の増大に対応して輸出は伸びて行つたのでございますけれども、特に供給力の点で非鉄金属、或いはまあ特に不足した非鉄金属等を使うような金属製品、そういうようなものには、輸出上の隘路も出て参るわけでございます。又鉄鋼等についても総体として申せば、輸出の需要が極めて活溌でありまして、特に特需輸出とが競合した時期におきましては、鉄板等の輸出が思うに任せなかつたというような事情も相当つたわけでございます。先ほど貿易局長から御説明があつたように、中共向けの輸出の七、八割までが鉄鋼関係であるから、輸出市場の転換ということも、概して言えば心配はなかろう、そういうような御説明があつたのでありますが、大体こういう金物関係は、世界的軍拡態勢ということもありまして、輸出市場の確保もさることながら、供給力を如何にして確保するかということに重点が置かれて参るかと思うのであります。  我が国の輸出の大宗は、今のパーセンテージで申上げたことでも明らかなように、依然として繊維製品であります。繊維品についても、又特に綿製品でありますが、本年は大体年初以来の輸出契約高から申せば千億ヤールを遥かに上廻つておりますし、積出しにおいても大体十億ヤールに達するかと思うのであります。で今日の世界的な綿製品の市場の状況と申しますると、千億ヤールということは、世界第一の綿製品輸出国であるということになるわけでございます。もとより曾つて二十七億ヤール輸出した記録を有する日本からいえば、輸出、よほど綿製品の輸出の規模は違つてつておりまするけれども、今後米綿の生産の見通しとか、各国の綿の輸出見通しとか、そういうものに関連いたしまして、どの程度にこの伸張度を持続できるか、そういうことはなかなか見通しが困難でありまするけれども、紡績において設備制限の撤廃を初めといたしまして、毎年七十万錘その他の施設計画を以て進んで参つておるということは、輸出においても更に々々今日の発展を続げて行かせるという積極的意図を業界においても示し、又当然主要輸出品に対し、政府としてもこれを助成振興して行かなければならんという考えを持つておるわけでございます。国別ということでありますが、御承知のように、綿製品の主要市場と申しますると、広い意味での英系諸国、これがやはり一番大きな問題でありまして、英本国並びにその植民地、それから一応協定の面からいいますると、独立協定を結んでおりまするが、パキスタン、これらの国々を一纏めにいたしますると、一番これは大きな市場であります。それに次いではインドネシア或いはタイ及び世界各国で日本の綿製品を需要しない国はむしろ少いくらいに各国に行き渡つておるわけでございます。値段等もむしろ米綿の上がり方等に比べれば、却つて輸出の値段のほうが据置きであつたということも言えると思うのであります。尤もそり牛面米綿輸出割当に関連いたしまして、各国が、より小さな綿花の生産国が、輸出の統制も行い又輸出の値段を上げたというようなこともあつて、原料も米綿だけを標準にして参るわけに行きませんけれども、値段が相当強かつたということは、一般的に言えることでございます。  その次に我が国の古来の重要輸出品である生糸につきましては、大体米国の景気の回復、特に最近では米国の軍拡景気の進展というようなことに関連いたしまして、米国を王といたしまして、フランス、スイス等の欧洲向け等を含めまして、大体本年は昨年慶の四万八千俵弱ぐらいの数字に達して、八万俵を超えるような実績になるかと思つております。絹織物等についても特に羽二重等を中心といたしまして相当米国向け或いはエジプト、カナダというような国々に対しまして、相当の期間の輸出が今までに行われ、又今後においても或る程度期待されておるわけでございます。この人絹、スフ製品等につきましても、糸の売行はやや不活澄でありまして、特に重要市場であるインドにおける輸入許可等と関連いたしまして、必ずしも期待通りには参りませんでした。又羊毛製品につきましては、市場が比較的限定されておるということ、又相場がどうも海外の相場のほうが日本の国内のコストというか、相場に比しまして割安であつたということで、競争が十分できなかつたというような事情がありまして、必ずしも所期の効果を挙げなかつたのでありますけれども、そういう小さな比較的伸びなかつた、或は不振であつた商品もございますけれども、概していえば、繊維製品全体として輸出は伸張しまして、当初の輸出計画を上廻るということに予想される、それが又全体としての六億五千万ドルというような輸出計画年間において上廻る大きな原因をなしておるわけでございます。  次に機械輸出について簡單に申上げまするが、機械類は昨年におきましては大体七、八千万ドル契約高で八千万ドルばかり、総額に対して一四%というような数字なつておりまして、本年においては、さつき申上げたと思いまするが、大体九%というような数字でありまして、金額からいうて、輸出実績からいうて、四千二、三百万ドルというようなところになつております。パーセンテージが減少したのは、繊維製品がむしろ金額的に殖えたからということもありまするが、まあどちらかというと、大型の機械が最近昨年に比して減少いたしました。特に船の輸出などは減つております。御承知のように船の輸出というと、一隻百万ドルを超えるということは、直ぐ出て参りますので、こういう大ものが減りますると、機械輸出相当影響するわけでございます。それから又もう一つ機械類の大ものといいますると、紡織機械が昔から出たのでありますが、これが我が国の紡績の設備拡張というようなことも関連いたしまして、やはり海外に値段が引き合うというわけに参らん、そういうようなことで、腱械類の中ではやや凸凹がありまして、最近では船舶とか、紡織とか、ディーゼルエンジンというようなものに代りまして、むしろ、シンだとか或は自転車だとか、或は小型の消火機械類、それにまあ車両というようなものが、機械類の輸出の主力になつておるわけでございます。これらの部門は、比較的部分的にではありまするけれども、特需等の影響も受け易い部門になつておるわけでございます。  それから鉄鋼でありまするが、鉄鋼については全体としてさつき九%と申しましたが、年初以来輸出は好調で、特に朝鮮事変後においては、時局の影響も受けまして、海外からの引合が、どちらかというと殺到いたしまして、全額的にいうと昨年よりよほど伸びております。まあ現在の主要な輸出品目は亜鉛、鉄板でありまして、その市場も濠洲それから今の中共或いはフイリツピンというようなところが主な市場になるわけでございます。又亜鉛鉄板以外にも各種の鉄鋼材、或いは又鋼材に至るまでの半製品等について、特にアルゼンチン等においては需要があるわけでございます。亜鉛鉄板が鉄鋼輸出に次いで大体毎月どのくらいになりまするか、大体五割前後になつていやしないかと思います。それから最近では二次製品等も相当出て参りました。特にアメリカ軍需生産の増大の態勢と関連いたしまして民需品がやや枯渇するというような傾向もあると思いますが、アメリカ等の二次製品として出るというような、従来例を見なかつたような輸出も行われて曲るわけであります。  又非鉄金属はこれは申すまでもなく最も時局の転換の影響を受けるものでありまして、各国の或る程度奪い合いになる品物でありまして、九〇%というような金額的にも大きなものに上つておるわけでございまするが、大体その中心が銅並びに銅の製品でありまして、電気銅、銅線、銅板というようなものが多いわけでありますが、かなり広汎な地域に亘つております。ベルギー、オランダ、スイス、イタリー或いはインドというような国々、それから又濠洲というような国々がこういう銅に対する需要が相当あるわけであります。又アルミニュームにつきましても鋼と或る程度代替関係に立つという関係もありまして、朝鮮事変以後非常に国際需要が増大いたしまして、従来ありましたストックを全部売盡したというような状況に至つたわけであります。特にアルゼンチン向けに大量のアルミニユームの輸出が目立つておるわけであります。  他の品物、農水産物、或いは雑貨というようなものになりますが、これは特にアメリカの景気の回復というようなことが大きな原因になつて可なり軒並に伸びておるわけでありますが、一つ一つの品物について余り詳しく御説明することは取りあえず避けたいと思います。又化学製品、特に肥料については朝鮮事変の結果といたしまして、朝鮮における東亜最大の化学肥料工場が破壊せられた影響がありまして、特に日本の硫安に対する輸出需要というものが殺到しておるわけでございますが、これは衆議院の農林委員会等においても大分問題になりまして、国内の需要と輸出との関係をどういうふうに調整するかという問題があつたわけでありますが、香港、又最近では台湾等に対して或る枠の中で輸出が行われておる関係でございます。商品別、地域別に見た輸出の状況はこの程度にいたして置きたいと思います。
  52. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 只今輸出状況の説明がありましたが、只今頂いた資料には輸出状況に関するものがないので、只今頂いた輸出の諸資料を早い機会に出して頂、きたいと思います。  なお金融課長のお話を伺つてから一括して御質疑を願いたいと思いますが、よろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  53. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) それでは金融課長。
  54. 川出千速

    説明員(川出千速君) 輸出銀行の設立されました趣旨とそれから輸出銀行の内容について要点だけを申上げます。  輸出銀行の設立されました目的は、いわゆるプラントと申しますか、資本財のことなんですが、工場設備であるとか、或いは発電施設であるとか、或いは船舶、車両というような大型の機械類、こういうものは非常に生産期間が長期に亘りますし、それから契約金額も一つの契約で非常に金額が伸びておるというようなものでございますから、そういうものの輸出を促進するために、そういうようなプラント類の輸出の金融を円滑にしようという目的で作られたわけでございます。それでそのプラント類は戦前輸出された実績があるかと申しますと、これは朝鮮とか、満州とか、中国というような地域には出ておつたわけでありますが、その他の地域についての実績というものは殆んどないと言つてよかつたわけでございます。こういうようなアジア大陸方面の輸出はこれは本来の目的ではないものでありますから、結局戰前は余り実績がなかつたということになります。では戦後はどうかと申しますと、戰後も最近、昨年、その前あたりからだんだん活発になつて来て、最近非常に前途有望であるというように思われて来たわけでありまして、戦後も大した実績はないわけでございます。従つてこういうプラント類の輸出は今後将来に期待がかけられるというような状況になつておるわけでございます。輸出の振興は重要でございますが、プラント輸出の振興の意義と申しますか、それは一件の金額が非常に巨額である。例えばそれが非常に大きなものになりますと、一つの契約で円価で十億円くらいに達するのがあるわけでございます。普通は一億円とか二億円というのが多いわけでございますが、中にはそういう大きなものがございます。従つて外貨を確保する上において非常に有利であるというのが第一点。それからこういうプラントを輸出しますと、その輸出だけで終らないで必ず原材料とか、部品であるとか、或いは技術者の招牌とかいうように、あとの輸出が必ず附随してついて来る。従つて市場を確保する上において長きに亘つて一定市場を確保することができるという有利な点があるわけでございます。それからもう一つは機械設備が戦時中に非常に拡大されましたものですから余りがあるわけでございます。過剰になつておるわけでございます。これを活用して輸出に向けられるというような点。こういう点が非常に有利な点だと思います。それから海外の市場としてはインド、パキスタンその他の後進国の工業政策が、いろいろ消費品を成るべく輸入を抑えて、そうしてこういうような重機械類等の生産財を輸入しようというふうにだんだん政策が変つて来ておりまして、そういう方面の需要は今後急速に伸びて行くという見通しがございますので、そういうような情勢にも適合することができるというような理由によりまして、戰前、戦後を通じて繊維類の輸出輸出の大宗を占めておりまするけれども、繊維ばかりでなくて、今後はこういうようなプラントの輸出に期待するところが大きいという点がプラント輸出の振興の意義でございます。  さてこのプラント類の輸出の振興のため障害になつております点はいろいろありますけれども、現在一番問題になつておるのは資金の問題でございまして、先ほどちよつと申上げましたように、こういうものを輸出する場合には先ず巨額の金が要る。それを製造してから輸出するまでには、期間が相当に長い。生産期間が一年以上に亘るのもあるのでございまして、金の額が大きくて、而も借りる期間が長いのでほかに輸出された場合の代金の支抑方法も特殊な支拂方法がとられるのでありまして、大蔵委員会の方で作成された資料が配付になつておると思いますけれども、それによりまして御覧になつてもわかるのであります。物が輸出された場合に、その代金の全部が支拂われるのが、これは普通の状態でございますけれども、こういうプラント類の輸出される場合には、物が船積みされて輸出されても、その代金の全部が支拂われない。例えば船積みされた場合には全体の八割が支携われる。そしていよいよ物が向うに着きまして、設備される、据付けられる場合に、あとの一割が支拂われる。それからいろいろ運転いたしまして、一年間くらい様子を見ていよいよ大丈夫だというときになつてあとの又一割が支拂われる。この割合は物によつて非常に違いますけれども、そういうふうに輸出された場合に全額安排われないという特殊な支拂方法がとられるわけであります。これは金を貸す銀行側から見ますと非常に危険な金融になるわけであります。貸す期間は非常に長い。而も物が輸出されたあとで全額金が貰えないかむ知れないというような危険な金融でありますから、普通の銀行はこういうプラント類の輸出のための輸出資金というものを貸す場合に、非常に貸し澁るわけでございます。これが非常な大きな障害になつておるわけでございます。勿論市中銀行もいろいろ苦心をしまして、今まで何とか金繰りをつけて来たわけでございますけれども、これを市中銀行に依存しておりますと、折角有望なプラント輸出がうまく行かないということになりまして、今年の春くらいから輸出金融金庫というような名前で、政府の出資の特殊の金融機関を作ろうということになつて、いろいろ大蔵省、或いは通産省あたりと折衝を重ねまして、そうして実を結びましたのが日本輸出銀行でございます。  日本輸出銀行の概要は法律を見て頂きますとわかりますが、その要点を申上げますと、資本金百五十億円でございまして、そのうち五十億円を本年度中に佛込みまして、あとの百億円を来年度に佛込むという予定になつております。  それから業務でございますが、業務は大きく分けま、て二つありまして、国内業者、つまりプラント類を作る製造品業者、或いはそれを輸出する輸出業者に前貸の生産資金を貸付けるということが先ず第一の業務でありまして、それから第二の業務としましては外国の買手、プラントを買う外国の政府であるとか一或いは外国の商社に円で以て金を融通してやる、つまり一種のクレジットを與えるというのが業務の第二でございます。第一の国内業者に対する国内金融が輸出銀行の業務の主体でありまして、対外的なクレジットというものは、これは第二義的に考えられておるわけであります。その業務のやり方は市中銀行を飽くまで通すことにいたしまして、市中銀行で金繰りがつかないというものを輸出銀行で取上げるという建前をとつております。この輸出銀行は市中銀行と競争してはいけないという規定が法文に入つておりますように、市中銀行でどうしてもうまく行かなかつたところを補つてやるという立場をとつておるわけでございます。従つてその業務のやり方は市中銀行が輸出業者なり、製造業者に金を貸してやつた。その手形を再割引して引受けるというやり方が一つと、それから市中銀行と輸出銀行と共同をして融資してやる。例えば市中銀行は全体の融資額の二割を負担し、後の八割を輸出銀行が負担するという、再割引して行くか、或いは共同で融資して行くかの二通りしか許されていないわけであります。従つていずれにしても市中銀行を通してやるということになるのでありまして、そういうことになりますと、この業務も市中銀行が事前審査でいろいろなことをやりますから、人手も非常に少くて済むわけでありまして、大蔵省の予算では役員以下、タイピスト、運転手等も入れて四十一名ということでできておるわけであります。  それから業務のところで金利の問題でございますが、金利等はこれは日本輸出銀行の総裁に委ねる。その他いろいろな細かい業務方法等についても法律を規定しないで輸出銀行ができてから、輸出銀行の総裁がそれをきめるという建前をとつておるわけであります。非常にほかの政府出資の特殊金融機関と違います点は、業務の面においては成るべく監督をせず、総裁に一任して、輸出銀行において自由に自由裁量を以てやれるという建前をとつておる点において非常に違つておるわけであります。従つて政府出資でありながら銀行というような名前をとつておるのは輸出銀行だけでありまして、その名前から来ているところもそういう点にあるのだと思います。監督の面は予算面からする監督、これは大蔵大臣と国会で監督をするわけですが、予算面、経理面からする監督、それから人事に対する監督というふうに分れておりまして人事は総裁は総理大臣が任命することになつております。その他の理事は総裁が自分の判断で任命をするということになつておるわけであります。業務運営は先程申上げましたように、なるべく監督をせず総裁に一任をして自由にうまく運営されるようにしようというふうに法律ができております。この点は外の、例えば金融公庫とか、或いは金融金庫というものと非常な特色をなしておるというように考えます。要点だけであります。
  55. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) 只今説明なされました輸出銀行並びに輸出関係説明について、御質問がございましたら御発言を願います。
  56. 境野清雄

    境野清雄君 この輸出銀行は大体大蔵省の所管で出たので結構ですが、プラント輸出を中心にしておるということは、言い換れば通産省に一番関係がある。その通産省に一番関係がある法案を、ただ大蔵委員会だけでやつて、連合委員会も何にも開かず最後のどさくさでこれを強行した形になつておるが、今のお話でも大体通産省と大蔵省自体とはいろいろ内部的に折衝したと思うのですが、今後プラント輸出というもの、或いはまだ法案をすつかり読んでおりませんので、分りませんけれども、プラント輸出というもので百五十億の金が要らん、全部が要らんというような場合が生じて来たときに、それをプラント輸出以外のものには鉄則として使わせないとか、或いはプラント輸出自体においても、通産関係でいろいろ変つて来たことができても、大蔵省へのどんな折衝で運行をやるのかどうか、そういう点を一つ通産省として今まで大蔵省と折衝しておりましたのならば、これはまあ通産関係の一番大きな問題になつておるのに、大蔵省だけでそういうようなことをやる。今後とも通産委員会がこれを審議したり、或いはこの問題に対しての取扱いをこうして貰いたいというような場合にどういうよらな効力になるのですか。その点を通産省の方から御説明願いたいと思います。
  57. 川出千速

    説明員(川出千速君) 輸出銀行を立案します過程、それからまあこれが法律になりました過程におきましては、通産省と大蔵省は協同をして審議しまして、関係方面への折衝も一緒にやります。それからこの法案の内容につきましても密接な連絡をとつて来たわけであります。今後のいろいろな運営につきましても両省で、政府のほうでいろいろやる仕事があります場合には、両省の間で協議をした上でやるという約束になつております。それから輸出銀行の個々のいろいろな業務の面につきましては、これは法律にもありますように、成るべく総裁に一任をして政府はコントロールしないという建前をとつておりますので、そういう点につきましては特にいろいろ干渉をするというようなことはないと考えております。
  58. 境野清雄

    境野清雄君 そうすると通産委員会で今後ともこの輸出銀行に対してもいろいろの面を協議したものは通産省自体は一つそれに対して大いに御援助を願つて、大蔵省との折衝をして頂けるというふうに解釈してよろしゆうございますか。
  59. 川出千速

    説明員(川出千速君) そういうように解釈して結構でございます。
  60. 結城安次

    結城安次君 只今の御説明によりますと、こういうプラント輸出に関する金融には非常に危険があると思います。これは金貸しは危険が伴うので、その危険の程度がひどいと思いますが、この損失は国家が補償することになりますかということが一つと、それからもう一つはこの扱いを市中銀行にさせるという場合に、市中銀行が調査して、輸出銀行に持つて行くという場合に、輸出銀行ではそれを鵜呑みにするのですか、或いは輸出銀行が又調査してこれはやらないということができるのですか。その二点だけちよつと。
  61. 川出千速

    説明員(川出千速君) プラント輸出に危險が伴いますというのは、これは程度の問題でございまして、法律の中にも條文がございますが、この銀行が融資する場合は契約ができておつて、而もその契約の履行が確実であると認められた場合に限るということになつておりますから、非常に危ないということがはつきりわかつておれば、融資は法律上も避けなければならないという建前をとつております。併しそういうように確実だと思つて融資した場合にどうしてもそれが焦付いてしまつて駄目だというようなことになれば、それは政府の負担になるのではないかと思います。それからもう一点調査ですか、融資するかどうかは輸出銀行がきめるわけでございまして、その前に市中銀行を通じて来るわけでございます。市中銀行が全部負担するわけではなくて輸出銀行が何割か……、輸出銀行の負担する割合のほうが遥かに多いと思いますが、そういう場合に最後に決定するのは輸出銀行の判断で決めるのであります。
  62. 結城安次

    結城安次君 説明はよくわかりましたが、市中銀行が調べたものを、更に輸出銀行に危険率が八割あるわけですから、よほどまだ調査しなければできないという場合に、総裁以下運転手まで入れて四十一名というようなくらいで、更に調査ができるのでしようか。
  63. 川出千速

    説明員(川出千速君) 市中銀行のいろいろな調査は勿論奪重いたします。それから通産省あたりでもこういうようなプラント物の輸出契約ということになりますと、事実上いろいろ介入しまして調査するというようなことも出て来るわけでありまして、そういうような情報も勿論輸出銀行のほうへも連絡しなければならんと思います。輸出銀行自体としても専門家が集まるわけでございますから調査しなければならないというふうに考えております。又政府全額出資で、市中銀行がやれないようなことをやろうというわけでございますから、市中銀行が貸すという肚を決めたものを、輸出銀行のほうへ持つて来て、調査をし直して、それは駄目だというようなことは実際問題としてはそんなにはないのじやないかと思つております。
  64. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) ちよつとお尋ねしますが、今の貸付金の中に八割は輸出銀行で、あとの二割は地方銀行だということでしたが、さつきの御説明によりますと、輸出した場合には八割貸して、あとは機械なりを積出したときに一割、それから運転してから約一ケ年で一割、その率はどういうふうに出すのですか。
  65. 川出千速

    説明員(川出千速君) それは全体の所要金額を按分するわけであります。
  66. 境野清雄

    境野清雄君 今結城委員から質問した例の危険補償というものは政府のほうが只今考えておることが相当あまいので、従来の輸出物に対するクレイムというようなものは相当あるので、そういうような点から言つて、このプラント輸出というものに対しては、勿論プラントですから個々の物じやない。個々の物を一つ一つ検査をして、その物が合格した場合でも向うへ行つて総体的なプラントの物になつた場合には、それに対してクレイムというものが相当付く例があると思うのですが、そういうものに対して政府自体は個々の物の検査というものによつて、それがパスしているものに対しては、向うへ行つてから出て来たクレイムその他のものは大体政府が負担するというような解釈になつておるのですか。
  67. 川出千速

    説明員(川出千速君) 今の検査制度ではそういう制度はないのであります。
  68. 境野清雄

    境野清雄君 先ほどの輸出銀行じやないですが、輸出の問題、この間農林関係で非常に問題になりました台湾への肥料の輸出というのはもら完了したのですか。
  69. 小室恒夫

    説明員小室恒夫君) すでに積出した物を除きまして、全体としてたしか七万七千トンだつたと今記憶いたしますが、その枠の拡大について台湾側と話を進めておつて契約ができたかどうか私はその点は今ちよつとつまびらかにいたしませんが、帰つてから確めてから御報告しますが、実際上は必らずできるにきまつておる。できたかできないかは形式上の問題と思つております。
  70. 境野清雄

    境野清雄君 あの当時通産大臣が何か価格は国内の価格より安いけれども台湾との関連上出さざるを得ないというような話でございまして、その後幾らか価格を上げたようですが、まだ業界が希望して、いるよりも三、四ドル安いのではないかというような話が出ましたが、その辺の折合はついたのですか。
  71. 小室恒夫

    説明員小室恒夫君) 私も最終的に何ドルなつたということは、今ちよつとそこで申上げられませんが、御承知のようにあの肥料の輸出は実態的には向うからも米、砂糖、塩等に関連しておりますので、輸出をする場合の業界から言えばそういうこともよくわかりますけれども、同時に輸入する物資の値段が輸出値段と同様或いはそれ以上に上げるということになりますと、国としてはやはり利益になりません。その間の調整がよほど苦心をしておつたかと思います。今どの程度の値段であるかということははつきり申上げられません
  72. 境野清雄

    境野清雄君 あの輸出問題は最初農林省と相当トラブルがあつたということなんですが、是非業界から余り反対の出ないように一つ通産省では格別に骨を折つてもらいたい。こう思いますし、又次の物が出ますので、その物が出るときにいろいろな前の轍を踏むということのないように、一つ通産省ではこの点責任を持つてつて頂きたいと思います。
  73. 小室恒夫

    説明員小室恒夫君) 上司に報告いたします。
  74. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) ほかに御質問がなければ、本日はこのくらいで打切りたいと思います。如何ですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  75. 深川榮左エ門

    委員長深川榮左エ門君) それでは本委員会はこれで閉会いたします。  なお明十二日午後一時より炭鉱、鉱山関係の諸政策に関する安本、その他各方面から政府委員を呼んでおりますので御出席をお願いいたします。    午後四時十九分散会  出席者は左の通り。    委員長    深川榮左エ門君    理事            古池 信三君            廣瀬與兵衞君            結城 安次君    委員            松本  昇君            吉田 法晴君            加藤 正人君            山内 卓郎君            境野 清雄君            西田 隆男君   政府委員    経済安定本部貿    易局長     湯川 盛夫君   説明員    通商産業通商   局通商政策課長  小室 恒夫君    通商産業通商    振興局金融保險    課長      川出 千速君