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1951-05-18 第10回国会 参議院 地方行政委員会 第38号
公式Web版
会議録情報
0
昭和二十六年五月十八日(金曜日) 午後二時五十五分開会 ――――――――――――― 本日の
会議
に付した
事件
○
警察法
の一部を
改正
する
法律案
(内 閣送付) ―――――――――――――
岡本愛祐
1
○
委員長
(
岡本愛祐
君) これより
地方行政委員会
を開会いたします。
警察法
の一部を
改正
する
法律案予備審査
を続行いたします。御
質問
を願います。
吉川末次郎
2
○
吉川末次郎
君 この前の
委員会
で
法務総裁
に
質問
いたしまして御
答弁
を得たいと申上げておきましたが、ほかの
委員会
に出席しておりましたために、折角
法務総裁
に
御足労願つたの
ですが、お帰りに
なつ
た
あと
で、御
質問
できませんで、甚だ残念でした。全く私が遅か
つたの
ですから、罪は私にございますが、その節、大体伺いたいことのうち、極く総括的な面につきまして、一二点これを除きまして、他のことについては、
斎藤長官
から御
答弁
を得ましたので、
斎藤長官
に伺わなか
つた
ような点、それについてお伺いいたしたいと思
つて
おります。一括して
質問
いたしまして、一括して御
答弁
を願いたいと思います。大体私のお伺いいたしたいことは、技術的な、或いは
法律
の条文に関した面のことは、
審議
の進行に伴いまして、後日いろいろお伺いいたす
機会
があると思いますから、その
前提
になります、むしろ
政治
的なことについて、お伺いをいたしたいと思います。 それで私
たち
がこの
警察制度改正法案
に対して、そういう点から一番問題にいたしておりますことは、先般も
斎藤長官
に対する
質問
のときに若干触れたのでありますが、この
警察制度
の
改正
ということそれ自体が非常に重大な
意味
を持
つて
おるばかりでなくして現
内閣
が現
段階
において
日本
の
国民
になさんとしておるところの
政治
の全体に
亘つて
、折角
終戦
後作られた諸種の
民主主義
的な
政治
というものをば、旧
憲法
の
時代
に逆転させようとするところの
傾向
が非常に強いということを我我が看取いたしておりますということ、及び先に
マツカーサー元帥
に代
つてリツジウエイ将軍
が
最高司令官
に就任しまするや、いわゆる
リツジウエイ声明
を出しまして、それに基いて今日までの
占領政策
に基くところの
日本
の過去の被
軍事占領国
としての諸
制度
が再
検討
されるという、この重大な問題に関連して、その一環として
警察制度
の
改正
が含まれておるということがここに加わりまして、更に
警察制度改正
に対する
政治
的な関心が高まり、又その
重要性
が単なる
警察制度
の
改正
のみの問題でないという点において、非常に大きな
政治的意義
を持
つて
おるのであると私は
考え
るのであります。で、先般も申したことでありますが、
終戦
後、
日本
は新
憲法
を制定いたしまして、旧
憲法
の
基本
的な
精神
でありました
君主主権
、或いは
国家法人説
を
基本
とするところの
国家主権
というような
考え方
を一擲いたしまして、
主権
は
人民
にあるという、いわゆる
人民主権
の
基本的精神
に基くところの新らしい
憲法
が作られ、又その
憲法
に基いて、すべての
法律
及び
制度
の
改正
が行われて来たのでありますが、
制度
は非常に
民主主義
的にな
つたの
でありますけれども、その実は
民主主義
的にな
つて
おるかというと、少しも
民主主義
的にな
つて
おらないのが現実の事態であると
考え
るのであります。而も
吉田内閣
は、
制度
に副うところの実をもたらすために、
国民生活
を
民主主義
的な
方向
へ指導するということを図らないで、為政者それみずからが新
憲法
の
精神
をば
理解
するところの
知性
を
欠除
いたしておりまするがために、ただ新らしい
制度
に
国民
が不慣れであり、そのことから来る何らかの弱点といいますか、
欠陥
が露呈せられるというと、忽ちこの新らしい
制度
はこういう
欠陥
があるのではないかというので、自分が持
つて
いるところの
民主主義的知性
の
欠除
を反省することなくして、これを直ちに旧
憲法
的な
考え方
に逆転せしめ或いは
反動化
そうとする
傾向
は、これは一切の
政治
の部面に現われておると
考え
るのであります。人間は子供の時から養成されて来たところの
教育
によ
つて
大体においてその人の
思想
が固まるのでありますから、すでに四十、五十に
なつ
たところの大人が頭の切替を
憲法
が変
つた
からとい
つて
することは、
普通人
には私はこれは極めて困難なことだろうと思うのであります。況んや八十に近いところの
吉田
さんなどには、これは似てのほかの困難なことだと思いますが、せめては私はこの若き世代を担うところの青少年の諸君の
教育
だけでも新
憲法
の
精神
に基いてや
つて
貰いたい、そうして、その将来は非常に遠いことであ
つて
も、それに待つよりしようがないというようなことを
考え
てお
つたの
でありますが、それも
又新憲法
の
精神
を少しも
理解
しないところの、ビスマルク、
モルトケ時代
の第二次欧州大
戦前
の
日本
の
泊憲法
が制定せられた
時代
の
ドイツ
の
国家哲学
や
ドイツ
の
思想
から、頭が動きがとれないようにな
つて
いるプロシヤ主義的な
教育者
でありまする
天野
氏を
文部大臣
にして、そうして
日本
の
学制制度
をば旧
憲法時代
のそうした古い
考え
に逆転さすように
教育
をリードしておるということは、非常に重大な問題であると
考え
るのであります。それが大体お尋ねしたいところの大体の私の
基本
的な
考え
なのでありますが、そういうようなことについても
大橋法務総裁
の
内閣
を代表しての大体の御
意見
をこの際承わ
つて
おきたいと思うのであります。それに関連いたしまして、この
警察制度
の
改正
の
意義
は
政治
的に非常な
重大性
を持つのでありますが、この
重大性
を持
つた
ところの重大な
法案
を
閉会間際
の会期切迫せる今日においで御
提出
にな
つたの
はどういうわけであるか、もつと早くこれをお出しにならなければならないのじやないかと私
たち
は思うのであります。十分の
審議
を尽すということは、立府法の私は義務であるだろうと思うのでありますが、すでにもう二十八日に迫
つて
おりまするところの
あと
十日の間では、到底私は
国会
が十分
審議
するいとまを持たないと思うのでありまして大体におきまして我々はこれを握り潰すとか否決するとかいうような
考え
は今持
つて
おりません、
警察制度
の
改正
については十分慎重に
審議
したいというのが我々の望みでありますが、期日が十分ないと思いますので、本
会議
の選を経て引続いて次の
臨時国会
に
審議
を重ねて行きたいというようなことが今日の我々の
心組み
でありますが、そういう
心組み
を先ず申上げて、それと併せて
一つ
今の
大橋法務総裁
に対する
お答え
を願いたいということが第一点、その
前提
として
考え
るならば、今申しました非常に抽象的なことでありまするが、
吉田内閣
の
政治
が新
憲法
の
精神
を十分に
理解
しないで、そうして新
憲法
の
精神
の
方向
へ
日本
の
制度
を
改革
し又
国民
を
教育
して行くというようなことに
努力
しないで、逆転さす
方向
へのみ
努力
していられるということが非常な
政治
上の危機であるというふうに思いますることについての御
答弁
を得られるならば、それをその
前提
として御説明を願いたい。 それから第三番目に御
答弁
を得たいと思いますことは、この
リツジウエイ声明
によ
つて
大体
政府
が
考え
ていることとして伝えられておりますることには、こういうことが大体言われておるのであります。これは何も
政府
の御発表に
なつ
たものではありませんが
世間
では大体こういうふうに見ておる第一には、
ポツダム政令
はすべて
国内法
に切換えられ、
物統令
、
公益事業委員会令
、
持株整理委員会令
、
団体等規正令等
の再
検討
が行われる。これは
政府
が発表していらつしやる正式に発表していられるものや、或いは
大臣
の談話そのほかでも公式或いは非公式に発表されておるものもあると思いますし、大体
第三者
の
観測
に基くものもあると思いますが、ともかくこういうことがまあ予想されておるのでありますから、これについて御
答弁
願いたい、それから
集中排除法
、
事業者団体法
の
全面撤廃
が
考え
られ、
戦前
のような
輸出入組合設立
が問題とな
つて
来るだろう。それから
各種委員会
の
廃止
、殊に
教育委員会
、
公益事業委員会
、
公安委員会
、
人事院
の
廃止
、これに伴う大幅の
行政機構
の
改革
が行われるのではないか。又
安本
を中心とした
企画官庁
をいわゆる
戦時体制
或いは準
戦時体制
的なものに呼応して強化する、殊に
経済
上の統計、調査を全面的に
安本
或いは総理府へ委譲することが内定しておるというようなことが伝えられておる。総
司令部
の
商業勘定
、外貨の
運営権並び
に
通商協定
の
締結権
、
関税自主権
の実質的な委譲が行われる。これはまあ結構なことでありますが、それから独禁法や
労働基準法
の
運用
は国際的な水準に止めるということ。それから
農地改革
を恒久化するため、
農地
の
強制譲渡
に関する
政令
、
自作農創設臨時措置法
、
農地調整法
を一本に纏め、
農業用地法案
を
休会明け国会
に
提出
するというようなことが伝えられておる。又
食糧緊急措置令
は、これは
超過供出
を規定したものでありますが、今
国会
に
提出
中の
食糧
の
政府買
入
数量指示
に関する
法律案
が
超過供出
も規定しているので、同
法案
に切換える。それから米価の決定、
供出等
の
補正割当
、
食糧輸入計画等
が
日本側
に委される
可能性
があるというようなこと、これもまあ結構なことだと思いますが、それから漁船の
操業区域制限
に関する
政令
については
講和
後の
漁業協定
で漁区の拡張を解決したい。まあこれも結構なことだと思うのであります。それから又
一つ
には、我々が今
審議
しておる問題でありますが、
警察制度
の
改正
については、
国警
、
自警統合
の場合、
政府
の直轄より
国家公安委員会
の
委員長
に
国務大臣
を当てるというようなことの見透しが非常に強いということを
第三者
が言
つて
おるのでありますが、こういうこと。それからまあ
大分
いろいろありますが、これは余り言
つて
おると非常に長くなりますから、ともかくも、そういうような
リツジウエイ声明
に基いて
政府
がいろいろな
法令
の
改正
を行うということを
考え
ておるということが伝えられておるわけなんです。で、今読みましたものの中でも要するに
日本
の
自主権
の回復に基いて、非常に結構なことも沢山ありますが、今言うような
人事院
を
廃止
するとか、或いは
各種
の
委員会
を、
教育委員会
、
公安委員会
というようなものを
廃止
するとかいうようなこと、これらは先般も申したのでありますが、新らしいアメリカの
制度
として
日本
には非常に新しい
委員会制度
のコンミツシヨン・ガバーメントというようなものが、三権分立以来の大
事件
であると言われておりますが、非常に
日本
には新らしい
計画
であ
つた
と思うのであります、この
委員会
のごときものは……。ところが、それが
日本
には不慣れであるために、古い
考え
で、そんなものは要らんということで、一括こういうものはみんな
廃止
されるということが伝えられておるわけでありますが、その
一つ
として
公安委員会
というようなものもこれは
廃止
してしまうのだということが伝えられておるのでありますが、一々について御
答弁
を願えなくても結構でありますが、総括いたしまして、まだ
大分
ありますけれども、私が申上げました
範囲
内においても大体申されたと思いますので、こういうことを
政府
ではどのように
考え
ていられるのかということを、特に読み上げました条項に基いて、
人事院
の
廃止
その他
各種委員会
、
教育委員会等
の
委員会制度
の
廃止
の問題、及び
公安委員会
の
廃止
、並びにそれが存続されて何らかの形で
残つた
場合においては、これを
委員長
は
国務大臣
にするというような
世間
の説に対する今日までのいろいろなお
考え
、
内閣
内における
意向等
、或いは、
はつ
きり
言つて貰つて差支え
のないことならお話を願いたいと思うのであります。なおお尋ね申上げたいのでありますが、御
答弁
を伺いましてから再
質問
をいたしたいと思います。
大橋武夫
3
○
国務大臣
(
大橋武夫
君)
吉川委員
に
お答え
を申上げます。最初の御
質問
の点は、
吉田内閣
の
性質
を眺めるというと、新
憲法
の
民主化
の
精神
と逆行しておるのではなかろうか、最近の
施策
が、殊に
憲法
の
精神
から見ると、進歩的な線でなくして逆転の
傾向
のほうが強いように思われる、こういう御
趣旨
でありまして、これについてどう
考え
るかという御
質問
の御
趣旨
だ
つた
と私は思
つて
おります。勿論この問題に関連いたしまして、
吉田
総理なり、或いは
天野国務大臣
なりについての個人的な御
批判
もございましようし、かような点は別といたしまして、御
趣旨
について申上げますると、現
内閣
といたしましては、この
内閣
が組閣いたしまして以来、
我が国
の再建をいたしまするためにはできるだけ速かに
講和条約
を
準備
するということが必要であります。そうして
講和条約
の
締結
後ということによりまして、初めて
我が国
が
外国
とできるだけ有利な
立場
において、産業上、或いは
通商
上の
立場
をとる、これこよりまして
国民経済
の立て直しということもあり得ると思う。その
前提
としてどうしても
講和条約
を早急に
締結
するような
態勢
を
国内
において作り出す、このことが必要である。こういうふうに
考え
て参
つた
わけであります。そうしてこのことを実現いたしまするためには、
ポツダム宣言
その他
終戦
当時以来の
占領政策
並びに諸
外国
におきます
日本
に対する
考え方
、こうい
つた
ものから
考え
まして、
国内
におきます
民主化
というものをできるだけ
推進
いたして参りたいということがその
前提
として欠くべからざるものである、こういうふうな
考え
の下に
国内
の
民主化
ということの
推進
の
努力
がなされなければならないという次第であります。
政府
といたしましては新
憲法
の
民主主義
というものを
国内
の施政のあらゆる面において活かして参りたい、
行政
の面におきましても、又
教育
の面におきましても、この新らしい
民主主義
の
精神
というものをできるだけ活かし、そうしてできるだけこれを広い
範囲
に完全に受入れて行く、そうした
態勢
に
国内
の情勢を導いて行くてことが使命だと、こう
考え
て
施策
を進めたいと思
つて
おるわけであります。これらの
努力
につきましては、幸いに総
司令部
を初め諸
外国
におきましても、漸次その
実情
を認識せられまして、最近におきまして
講和条約
に対する諸国の気がまえがとみに進んでおるということも、又かような面におきます
政府
の
施策
が多少なりとも
効果
を生じた結果ではなかろうかと、かように
考え
ておる次第であります。併し事は
政府
の
施策
の
実績
についての御
批判
でございますので、
政府
としては、又さような
方向
に
施策
を進めて行きたいと、かように
考え
ておるのでございます。その
実績
から
考え
ましていろいろの
立場
から
批判
をされるということは、これはそれぞれのお
立場
においてあり得る。少くとも
吉田内閣
におきましては
只今
申上げましたような
趣旨
によ
つて民主化
を
推進
するということが必要であり、又そのために
努力
をいたして参りたい、こういうふうに
考え
ておる次第であります。 それからこの問題に関連いたしまして、ややともすれば民主的な新らしい
制度
を
国内
において新らしく取入れる、そうしてこれを
運用
いたして参る上におきまして新
制度
の
運用
に習熟しないために、多少なりとも好ましからざる結果が現われるということ、これは
制度
全体の罪でなくして、
制度
に対する未熟なことが
原因
であるにもかかわらず、この民主的な
制度そのもの
に本質的な
欠陥
があるのではないか、こうい
つた
考え方
が最近横行しておる次第であります。こう私はすべての面においてかような
考え方
があるとは
考え
せんが、併し相当いろいろな面におきまして、そうした
欠陥
があるという
批判
は、これは現在の
我が国
のいろいろな問題を
考え
た場合に免れないところである。この点については或る程度まで了解できるが、
警察制度
の面につきましても、例えば現在の
公安委員会
というようなものが真に
警察
を運営するだけの能力がないとい
つた
問題、この問題につきましても、
公安委員会
の
制度
というものを今後
経験
を重ね又習熟を積んで参りまするならば本当にこれが
警察民主化
の
推進力
として十分に期待できるほどの働きをなし得るということも
考え
得られるのでありますが、これに対してややもすれば、かくのごとき
制度
は無用の長物ではないかというような
批判
もあるわけであります。又
国家警察
と
自治警察
との
関係
につきましても、現在までの状況においていろいろ必ずしも緊密なる連絡があるということが言い得ない。そして、この点は、この
国警
、
自治警
という二つの対立した
警察制度
の
運用
ということについて、未だ
関係者
が十分習熟しておらないという点から来たところも多々あると思うのでございまするが、ややもすると、これは
自治警
、
国警
の二元的な
制度そのもの
の本質的な
欠陥
であるというふうに見られるようでございまするが、これはやはり
制度
の本質というものを私どもが今少し掘下げて
研究
し、そして、この
制度
の真の
性質
なり又
意味
なりというものを
十分理解
をいたし、その完全なる
理解
の上に立
つて
これを
運用
いたして行くということにいたしまするならば、相当解決のできる部分がありはしないか、こう私個人としては
考え
ておるような次第であります。これらの点についての
世間
の今日普通に行なわれておりまする
批判
というものを
考え
て見ますると、
吉川委員
の申されましたごとく、
制度
の
運用
に習熟せざることから来たいろいろな
欠陥
を似て
制度
の本質的なる
欠陥
ではないかというふうに
考え
る
傾向
がある、この点からもそういう
傾向
を認めざるを得ないと、こういううふうに思うのでございます。私は
警察制度
の問題につきましても、この
制度
の習熟せざるために生じた
欠陥
、それから
制度
の持つ本質的な
欠陥
というものを十分にこれは区別をいたし、殊に
制度
の
改正等
の場合におきましては、この点について十分な認識を以てそして
改正
を
考え
て行くということは必要であると、こう
確信
をいたしておるのでございまして、微力ではご
ざいまするがさような面
におきましてもできるだけの
努力
をいたして参
つた
つもりでもあり、又今後におきましてもこうした点にできるだけの
努力
をいたしたいと、かように念願をいたしておるものでございます。 第三に、
リツジウエイ将軍
の
声明
に基きまして、
占領政策
についての再
検討
の
権限
が
日本政府
に与えられ、これに基いていろいろな現行の
法令
につきまして、こういう点をこういうふうに直すであろうという
観測
が行なわれておるのでありまして、この点について
政府
の態度なり見解なりについて御
質問
を頂いた次第でございまするが、
政府
といたしましてはこの
リツジウエイ声明
というものが非常に含蓄のある
声明
であると、こういうふうに
考え
ております。と申しますのは、この
声明
の中には、
日本政府
が従来と同様に
占領政策
の重要なる事柄はこれを引続き持続して行く、守り続けて行くということについての完全な期待の下に、諸
制度
の再
検討
の
権限
を与える、こういうふうに書いてあるわけであります。これは何でもかんでも
日本政府
の
考え
に
従つて
すべて直してやろうという
意味
ではないのでありまして、あくまでも
占領政策
の
基本政策
というものが維持されると、そういう
前提
の下に、今その
占領政策
の
基本
的な
精神
というものを、
日本
の
実情
に照らし、過去の
経験
に徴しまして、よりよく、より十分に実現するという線に沿うてこの
改革
というものは許されておるものであると、こういうふうに
政府
といたしましてはこの
声明
の
趣旨
を
考え
ておる次第でございます。従いまして、お述べになりましたるいろいろな
制度
につきましては、この
占領政策
としての中核をなしておりまする各
方面
におきまする
民主化
の
推進
、或いは
軍国主義
乃至
独裁主義
の払拭、こうい
つた
線は如何なる場合においても守られることが必要であるから、むしろさような
精神
は、より以上将来においても育成されると、そういう
方向
に
従つて改革
ということを
考え
る、こういうふうに
考え
ておる次第でございます。これはこの
リツジウエイ声明
に従い諸
改革
についての根本的な
精神
についての
政府
の
考え方
でございますが、
政府
といたしましては、この
考え方
に従いまして、
各種
の
法令
につきまして再
検討
の仕事を
只今準備
をいたしておる次第でございます。そしてこれは先般来新聞紙にも伝えられましたる通り、
政府
の本来の機関だけでこれを立案するということは必ずしも適当ではない。民間における諸
方面
の有識者を広く集めまして、その御
意見
を十分に参酌した上で
改革案
を立案いたして参りたい、こういう
考え方
をいたしまして、現に今週の月曜日に
関係
の
委員
の
かたがた
に委嘱をいたし、そして、その第一回の
会合
をいたして、明日第二回の
会合
を持とうといたしておるわけであります。そういうような次第でありまして、この
リツジウエイ声明
に基く
国内
の
改革
の
準備
の手続が、
只今
その案を
考え
て頂きまする
前提
なる重要ないろいろな問題についての
基本
的な
考え方
、それを先ず話合
つて
頂く
委員会
のごときものを持つ、その
段階
でございまして、これらの重要ないろいろの問題につきましてどういうふうになるかということについての
考え方
というものは、まだ全く白紙的な状態であるという次第でございます。なお特にこれらの問題のうち新らしくできておりまする
委員会制度
、
人事院
でありまするとか或いは
公安委員会
、こうい
つた
ものについてはどういう扱いになるであろうかという点を特に御
質問
を頂いたのでありまするが、
公安委員会
につきましても、現在のところ特に変
つた
考え
を持
つて
おるわけではございません。ただ
公安委員会
において、
国務大臣
を
委員長
にするとか、或いは
委員
に入れるという
考え方
が一般に
政府
の
考え方
として流布せられておることにつきましては、多少
原因
はあると存ずるのであります。即ち当初
政府
といたしましては、これは分けの
はつ
きりとした案というわけでもございませんが、試みの案といたしまして、従来特にいろいろな点において問題とな
つて
おりましたる
内閣
と
国家公安委員会
との
関係
をできるだけ緊密密接ならしめる、こういう
趣旨
から申しまして、
国務大臣
を
委員長
に入れるということにしては如何であろうということを
考え
てお
つた
時期もあるわけであります。併しこのことは、その後いろいろ
研究
をいたしましたる結果、一応さような案ということについてはとりやめる。そして現在の
公序委員制
の下において、できるだけ
運用
の
工夫
によりまして、
政府
と
公安委員会
の
関係
を緊密ならしめるような、そうしたことをもう少し
努力
をいたして参りたい。直ちに
制度
の
改正
ということでなく、
制度
としては現状のまま、その
運用
の上においてできるだけ
工夫
をいたして参りたい、こういう
方針
にいたしまして、現在の
警察法
の
改正案
におきざましては、この線に沿うて、
国家公安委員会
については、この際
改革
の手は染めないという
方針
をと
つて
おるわけであります。従いまして今回
リツジウエイ声明
が出ましたのを
機会
に、本来、
政府
はさようなふうな
考え
を持
つて
お
つた
こともあるのでありまするから、今後その
声明
の
趣旨
に
従つて改革
の案を構想するという場合においては、当然そうした前の
考え方
が復活して来るのではなかろうか、こういう推察の下にかような説が流布されてお
つたの
ではないかと思うのであります。併し
政府
といたしましては、
只今
のところ、
警察法
の
改正
ということにつきましては、もとよりこれらの特別の
委員
の
かたがた
において御
研究
は十分に願わなければならんことであるとは思
つて
おりますが、併しこの
法案
を
提出
いたしまする心持といたしましては、これを以て
警察法
の
改正
は先ず一
段階
である。そして、これを以てできるだけ当面の
治安
上のあらゆる要請に応じ得るように、そうした面に向
つて運用
上の
工夫
に
努力
いたして参りたい。そして恐らく我々の
努力如何
によ
つて
は、必ずこれを以て
治安
上の十分な
効果
を期待できるものだ。かような
確信
の下に提案をいたしておる次第であります。どうかさよう御了承をお願い申上げます。
吉川末次郎
4
○
吉川末次郎
君 いろいろ御
答弁
を願いまして、なお
法案
の
審議
の過程におきまして、いろいろその他にも御
答弁
を促したいことがたくさんございますが、先に
斎藤長官
からも
大分
御
答弁
を承わ
つて
おりますので、大体今の御
答弁
に関連して更に一、二点のことだけをお伺いして、それでやめたいと思うのでありますが、
吉田内閣
と我々とは、もとより、拠
つて
立つところの
政治
的なプリンシプルが違い、プラツトホームが違うのでありますから、
思想
の
相違
がありますが、その
思想
の
相違
のことにつきましては、
考え
の
相違
でありますから、これ以上お伺いいたすことは避けたいと思います。それで、今の御
答弁
で大体了承いたしましたが、もう一度ためを押してみたいのでありますが、お伺いいたしておきたいのでありますが、この
リツジウエイ声明
に関するところの政策再
検討
とでも申しますか、それについての
委員会
が組織されて、すでにそういうことが始められておるということは、
法務総裁
から
只今
お話に
なつ
た通りであり、又新聞記事等におきましても我々承知いたしておるのでありますが、これも
思想
の
相違
であると言えばそれまでのことでありますが、併しながらその顔触れを見ますというと、これも先般言
つた
ことでありますが、或いは前田多門であるとか、そのほか木村篤太郎であるとかいうような、いずれも最近まで戦犯によ
つて
追放されていた人で殆んどそれが満たされておるということは、戦犯に
なつ
た人の中には気の毒な人もあり、必ずしも
思想
がそれほどの人でなか
つた
けれども、
法律
に触れて形式的な
立場
で追放の憂目を見ている人もありますけれども、併しあの顔触れは、本当にこの戦犯に値するような、いずれも新
憲法
の
精神
を
理解
し得ない、それに背反するところの言動に終始して来たところの、やはり
日本
の
民主化
を本質的に妨げるような線の人であ
つて
、そういう最近まで戦犯であ
つた
ところの人間ばかりを集めて、
リツジウエイ声明
を再
検討
するところの重要な
委員会
を構成するというようなことは如何かと思われるのですが、これも
思想
の
相違
でありますが、もう一度これについての御
答弁
を促したいということが第一点、これは総理
大臣
から聞くことかも知れませんが……。 それから、だめを押すようでありますが、
警察制度
の
改正
は大体これで打切
つて
、
リツジウエイ声明
に基くところの
政府
の
審議
会の答申、或いはその他の
内閣
の
方針
の変更というようなことによ
つて
は、もう少くとも、百年、二百年の後は別でありますが、今日においてはもうしない、これで打切りだ、
警察制度
の
改正
はもうこれでいいのだというように御
答弁
願
つた
ものと思いますが、さよう了承いたしましてよろしうございますか。その二つについて御
答弁
を願いたいと思います。
大橋武夫
5
○
国務大臣
(
大橋武夫
君)
委員
の顔触れの問題でございまするが、実はこれは新聞には
委員
とか
委員会
というふうに伝えられておるのでございまするが、実際は総理の個人的な相談相手と申しますか、さような形でございまして総理が平素よく信頼しておられまする近しい
かたがた
を内々でお招きいたしまして、そうして忌憚のない御
意見
をお述べを頂きたい、こういう
趣旨
のものでございます。従いましてこれが
委員会
として或る諮問に応じて答申をするとか、そういうふうなものではございませんので、ただ
委員会
においてこうした
意見
があ
つた
ということを、将来この再
検討
に基く諸種の
施策
を講じて参りまする際の参考にいたしたいという程度のものでございます。従いましてこの
委員会
におきまするいろいろな
かたがた
のお述べになりまする
意見
というものは、もとより外部に発表されるようなものでもなく、又その
意見
というものは、全くこれは総理に対する個人的な
意見
の発表というだけの事柄でございまして、これによ
つて
政府
が如何なる解釈をとられるかということは、これは
政府
独自の責任によ
つて
なす、全く
政府
としての責任で
内閣
がや
つて
参るのであります。こういう事柄でございます。顔触れについての御
批判
は拝聴いたしましたが、ただこの
性質
についてはさようなものでございますということを御了承頂きたいと存じます。 それから
警察法
改正
につきまして、この
改正
はこれは先ず第一段の手始めであ
つて
、これを手始めとして次に適当な
機会
に根本的な
改革
をするのであるというような噂も一時伝えられておりますが、
政府
並びに
公安委員会
の
考え方
といたしましては、先ず現状において過去の
経験
から見て
改正
すべき諸点いろいろありまするが、これだけの
改正
をすれば、先ず現在において
治安
上いろいろな要請には十分に応じ得るものである。無論これは
運用
に応じてさような実効を挙げまする上におきましては
関係者
の十分なる
努力
を必要とするとは存じますが、
関係者
といたしましてはあらゆる
努力
をいたし、又
政府
といたしましても十分に
努力
をいたしまして、この
改正
を完全に実施することによりまして、完全な
改正
の目的を達したい、こういう
考え
でございます。将来これを
運用
いたしまして、又相当の期間の
実績
を見て、どうしても直さなければならんという場合がありましたならば、それはそのときに
考え
るべき事柄でありまするので、
只今
の
考え
といたしましては、これだけの
改正
をしましたならば、これをあらゆる
努力
をして完全に
運用
すれば、これ以上に
改正
をする必要はなかろうという
確信
を持
つて
提案をいたしておる次第であります。
吉川末次郎
6
○
吉川末次郎
君 第二番目の
あと
のほうの御
答弁
に関連して申上げたいと思うのでありますが、
警察法
の
改正
については、現在のところこれ以上のことは
確信
を持
つて
改正
するということはないということで、ややその点だけは確かな御
答弁
を得ましたので、若干安心をいたしたようなわけなんであります。端的に私
たち
の
考え
を申しまするというと、新
警察法
は地方分権を骨子といたしておるのでありますが、地方分権と申しましても地方
行政
全般に通じまして正しい地域を小分して、その小分されたるところの地域の自治体が、それぞれ独立の識見を持
つて
行くということが単なる地方分権であり、それが又即
民主主義
であるというような
考え方
が、地方自治体の一部に今日非常に瀰漫いたしておるのでありますが、我々社会党の
立場
からいたしまするというと、横断的機能的に、いろいろな
行政機構
を
考え
て行くという
立場
をと
つて
おりまするから、必ずしもそう小間切れのような地域の小分したる個々の自治体が独立的な
自主権
を持つということが即
民主主義
の
精神
に即応するものであるとは、実は我々は
考え
ておらないのでありまして、それはむしろ中世紀的な、封建的な地方分権主義であ
つて
、我々はそれを小間切れ的地方分権主義と言
つて
おるのでありますが、それをフアンクシヨナリーに、機能的に分権を
考え
て行かなければならんということを
考え
ております。そういう点からいたしますというと、私は現在の地方
制度
というもの全般に亘りまして
改革
の余地が多分にあるということは平素
考え
ておるものであります。併しながらただ久しく封建的な、中央集権的な官僚
政治
に壟断されて来ました
日本
の地方
行政
といたしましては、
一つ
一つ
の過渡的な
段階
としては、一時は、これを
警察
国家的な中央集権から、多少小間切れ的な地方分権主義というと語弊がありますが、そういう
方向
へ一度還元して、そうして更にそこから芽生えて来るところの民衆の
民主主義
的な意識、
警察
行政
について申しまするならば、
警察
というものはシテイズンの
警察
である。シテイズンすべてが
警察
官であるというところの
精神
に基いて
民主主義
的な
警察制度
が打ち立てられなければならん。そして、それから機能上地域を拡大していろいろ
考え
て行くということの必要があるならば、その
民主主義
的な意識の発展によ
つて
それが行われなければならんというような
考え
を持
つて
おるのが、我々の
基本
的な
考え方
でありますから、その点は十分御了解を得たいと思います。又我々はそういう態度で臨みたいと思うのであります。それで、必要なことは、なぜ我々が一時的にも、一時はどうしてもこれを旧
制度
というものをば、全面的に変革してしま
つて
、そうして小さな自治体の居住民それ自体が、自分の自治体を、自分が
警察
官である、ポリスメンであるというバイ・ザ・ピープルの
精神
によ
つて
警察
行政
をやるという
考え
を持たすという必要があり、そのためには全面的に個々民の
民主主義
に対するところの意識の成熟を待つということがどうしても必要になるのではないか。ところが先ほど来、申しましたようなことで、
日本
の為政者が、そういう新
憲法
の
民主主義
的
精神
というものを十分に
理解
されないために、それに逆行するような一切の
政治
を行な
つて
いらつしやる。又殊にヤンガーゼネレーシヨンを養成するということについても、又
知性
の欠如から、古い国家至上主義の
精神
で以てそれを養成する
方向
へ、
吉田内閣
にな
つて
からいろいろな性
教育
なり何なりが少くとも逆転したということが、私は当面しているところの
日本
の非常に大きな
政治
の危機であると
考え
ているものであります。それにつきましては、先に宮城前広場のメーデーの禁止において、やはり
吉田
さんが少しも
民主主義
はわか
つて
いないで、旧
憲法
のときと同じように、天皇陛下というものはやはり神様のようなものである、いわゆる天皇の神格化、天皇さんみずからが自分は人間天皇であると言
つて
いらつしやるのに、やはり神さんにして置こうというような
考え
でいられることを看取して非常に残念に思うのであります。又最近の母の日なんかも、これは私は非常に
民主主義
的ないい祭日を作られたものであると思
つて
非常に喜んでいるのでありますが、ところが実を見まするというと、自分の母親の情愛をすべての子供が偲ぶという極めてヒユーマニステイツクな観念に基いて作られた祭日であると思うのでありますけれども、町に母を偲ぶしるしであるカーネーシヨンを胸につけている人は非常に少くて新聞に出ましたところは、やはり皇后陛下に母の日にお祝いの花束を持
つて
行くというようなことが主なる何か祭日の目的のように知られておる。昔の国母陛下であるというような
立場
の、封建的な
考え
が、やはり祭典の目的であるかのような、これは
内閣
がそのようにおしに
なつ
たかどうか知りませんが、少くとも
天野
文部大臣
の
教育
思想
からすれば、やはりそれのほうがいいようなところへ行くのであ
つて
、これも非常に私は最近の
傾向
として残念なことと思いますが、一切の面に、そういう面が非常に強くな
つて
いる。
思想
の
相違
としていたし方ありませんが、ともかくも
民主主義
的な
警察制度
を作りながら、それを育成して行くところの裏付けになる
民主主義
的意識の
制度
ということについて、それに逆行するようなことばかりを
吉田内閣
がや
つて
いらつしやることを非常に残念であるということを更に附加えて申上げておきたいと思います。 なお御
質問
申上げたいことが多々ございますけれども、これを以て私は打切りたいと思います。
安井謙
7
○安井謙君 先ほどの
吉川委員
の御
質問
に関連して
一つ
、国策
審議
委員
の中に戦犯者がいるというようなお話でしたが、戦犯者と公職追放者は同じ
意味
に解釈してよろしいのかどうかを念のためにお伺いしておきたい。
吉川末次郎
8
○
吉川末次郎
君 議事進行について……、私は戦犯と公職追放と混同して申上げたかも知れませんが、公職追放の
意味
なんです。それはその
意味
において
一つ
御了解願いたい。ただその公職追放者のメンバーを以て殆んど満たしているというところに、やはり
吉田
さんが
民主主義
的な
精神
を
理解
していらつしやらないで、新
憲法
の下におけるところの総理
大臣
たるところの資格をお持ちにならんものであると私は
考え
るということを申上げておきます。
安井謙
9
○安井謙君 戦犯者ではないという御意思はよくわかりました。じやよく
一つ
速記録を御訂正でもなさるといいと思います。
吉川末次郎
10
○
吉川末次郎
君 私の言葉が速記録に載
つて
いればいいでしよう。私自身が取消せば……。
安井謙
11
○安井謙君 それは結構。それに関連して
委員
の皆さんの非常に御熱心な御
質問
と、当局の懇切丁寧な御
答弁
で、非常に大綱的な問題は進捗したかと思うのでありますが、私も今日の
法務総裁
の御
答弁
に関連しまして、一二念のためにお伺いしたいと思
つて
おりますが、
警察制度
の、今日
国警
と自警の問題が、運営の不慣れのために非常に支障を来たしているということも確かにありますが、同時にこれは
制度
の根本的な問題が、依然として、
警察
能力というほうから見ると、能率化という面から見ると、相当まだ残
つて
いるのではないかと思いますので、これは
法務総裁
としては、差当
つて
これを
改正
する御意思がないというように承わりましたが、私はこれをただ
国警
のほうの
権限
拡大という線で、これを持
つて
行くということは、にわかに賛成できないのでありますが、もう少し進んで、これは
吉川委員
もおつしや
つて
いたようでありますが、本当の
警察
の能率化、或いは
権限
、権力の強化という
意味
からは、もつと別な線から
考え
られるアイデアがあるのではなかろうかという気がいたしますので、これは今日御
答弁
になられなくとも結構でありますが、私どもは、今度の
改正
はその
意味
から甚だ微温的なものではないかというような
考え
を持
つて
おりますことを
一つ
附加えておきたいと思います。 それからもう
一つ
関連しまして、この
改正案
が出ます当時どの首都
警察
は、首都であるために、
国警
に移管したほうがいいんじやないかというような御議論もあ
つた
ようでありますが、この点につきまして、今日
政府
当局ではどういうようなお
考え
を持
つて
いらつしやるか、その点の御
答弁
を頂きたいと思います。その二点をお伺いいたしたい。
大橋武夫
12
○
国務大臣
(
大橋武夫
君) 首都
警察
の問題はこの
改正案
について取上げておりませんが、この問題は慎重に
研究
する必要があると
考え
ておりまして、今なお
研究
をいたしております。
小笠原二三男
13
○小笠原二三男君 皆さん本日
法務総裁
に特に御
質問
がない場合には、私、地方財政
委員会
、自治庁のほうにお伺いしたいのですが、よろしゆうございましようか。
竹中七郎
14
○竹中七郎君 私、二、三お伺い申上げたいと思いますが、現在の
国家公安委員会
がありますが、これと、いわゆるこれは
国警
関係
の
委員
の
かたがた
でありますが、併しこの自警
関係
と
国警
関係
の連絡、協力というものがどうもないために、このたびにおきまして相当その調節に手間を取られる、或いは随分いろいろなことが起こる、こういうことにな
つて
おりますので、こういうことをお
考え
に
なつ
たかどうかという問題です。
国家公安委員会
に、
国警
並びに自警と申しますか、自警からの推薦者、
内閣
からの推薦者で合同してやるとか、或いは連合
委員会
を作
つて
、これを法制化して、
はつ
きりやるというようなお
考え
をお持ちに
なつ
たことがあるかどうかということを、
一つ
、第一点としてお伺いいたします。 次に、この近隣の町村が連合いたしまして、三万、或いはその程度、こういう程度の人口がありますものが組合
警察
をこれから作ると、こういうときに対しまして、これに対するいろいろなお
考え
をこのたびの
改正案
を作られるときにお
考え
に
なつ
たことがあるかどうか。又現在市の三、四万の所で、その近隣にありまする一万か二万、一万くらいのものが
一つ
一緒にやりたいしいうときにおきまして、これは全部
国警
に持
つて
行くというお
考え
でなくして、そちらのほうがいいという住民の意思があ
つた
ときには、そうしたほうがいいかどうか、こういうことに対しましてお
考え
があるかどうか。 次に現在の自警の単位費用の問題がありますが、これは平衡交付金におきまして、先般も自警側の代表者から申されました通り、十八万のものが十六万数千円にな
つて
いる。現在行
つて
いるのは二十万くらいである。こういうことになりますが、このたび
警察
の強化をせられますにつきまして、この
自治警
のほうに対する平衡交付金の単位費用、これを増額するということに対しまして、
法務総裁
は御
努力
に
なつ
たかどうか、こういうこと。 それからもう
一つ
は、現在これはちよつといろいろの問題がありますが、特審局の問題でございますが、現在の特審局は法務府の管理にな
つて
おられて、その人員が非常に少か
つた
ために、その活動が非常に緩慢であるというように見受けられますが、これに対しまして何かお
考え
があるか。いわゆる米国式のFIBというような捜査局式のものをお
考え
に
なつ
たことがあるかどうかということをお伺いいたしたいと思います。
大橋武夫
15
○
国務大臣
(
大橋武夫
君) 第一の御
質問
の点は、
国警
と自警との連絡を図りますために、
国家公安委員会
の中或いはその所轄の下に、何か合同
委員会
のようなものを作りたい、こういう御
質問
であ
つた
かと存じますが、この
国警
と自警、並びに全国に多数ありまする自警を将来できるだけ育成するという面におきまして、何らかの機関が必要であるということは
考え
ております。丁度自治体の消防に対しまして、これの指導育成に当りますために、国家消防庁というものを
国家公安委員会
の下に置くというようなことですが、そうしたようなことが少くとも必要ではないかということを
考え
ているわけでありますが、差当りましては自治体公安
委員
の連合会、それから国家公安
委員
の連合会がございまするので、これらの双方から適当な代表者を選びまして、法制の根拠はございませんが、事実上定期的な
会合
を持つというような
工夫
は或る程度試験的に
只今
試みようといたしております。これはできるだけ早くや
つて
行きたいと
考え
ております。 それから近隣の市町村が集まりまして、組合を作
つて
、自治体
警察
を独立して持つということはどうかという点でございますが、実は私の
考え
といたしまして、今日の
警察法
というものが地方分権という
精神
を持ちまして、自治体
警察
を多数持
つて
おります。併し現在の
警察法
の建前は、自治体
警察
だけで以て全国の
治安
を十分にやれるという
考え方
ではないのでございまして、やはり自治体
警察
の間に国家地方
警察
があり、国家地方
警察
が必要な場合には応援或いは援助する、こういうふうな、自治体
警察
に対する補完的な作用をもつ、こういうその補完的な作用をも
つた
ところの国家地方
警察
と、個々の自治体
警察
、この協力によ
つて
全体の
警察制度
ができ上るという
考え方
にな
つて
おる。こう思うのでありまして、かような次第でございまするから、現在の
警察法
を
運用
いたして参ります上から申しますると、国家地方
警察
というものはこれはやはり自治体
警察
と同様に必要なものであります。そうして、それが或る程度の規模を持つということが必要であります。そういう
意味
におきまして悉くの町村が組合を作
つて
自治体
警察
にな
つて
しまうということが現在の建前といたしましては困ることではないか、こういうふうに
考え
ております。 それから交付金の問題でございまするが、交付金につきましては、
国家公安委員会
におきましても、又
内閣
の一員といたしましても私、自治体
警察
の費用のための交付金をできるだけ増額することによりまして、自治体
警察
の育成を図ることが必要である、こう
考え
まして、これに
努力
をいたしておる次第であります。
竹中七郎
16
○竹中七郎君 特審局の問題を……。
大橋武夫
17
○
国務大臣
(
大橋武夫
君) 最後の特審局の問題でございまするが、
只今
の私の
考え方
といたしましては、こうい
つた
非
民主主義
的な活動に対しまする特別な取締の機構といたしましては、特審局というものを持
つて
おることが必要である。そうしてこの特審局を単なる
警察
というものに限定することはどうであろうかという
考え
でございます。と申しますのは、昔の特高の
時代
におきましては、御承知の通り未だ今日のように人権というものが十分に確立されておりませんので、
警察
が或る犯罪の端緒を得まするというと、直ちに逮捕捜査するというようなことが許されてお
つた
。まあ、これは公然と許されてお
つた
か知りませんが、事実そういうことが行われてお
つた
わけでございまして、そういう場合におきましては
警察
だけで以てこうした犯罪の捜査というものができるわけでございます。併し現在におきましては、刑事訴訟法の
改正
によりまして、さような
警察
だけでやるということは困難でございまして、どうしても裁判所の令状を得る、或いは適当なる手段、
警察
が逮捕いたしました後四十八時間以内には必ず検事に送らなければならんというような
関係
上、これらの犯罪についての完全なる捜査というものは、検察庁と
警察
というこの二つのものが協力して、一体として活動をして行くということでなければ、捜査上の能率を挙げることができない。従いましてその協力をすべき
警察
と検察庁、この二つのどちらかが全体についての指導的な役割をも
つて
、そうして一方は他方を指導するというような形では、現実の問題として協力
関係
がうまく行かない場合がありはしないか。
従つて
やはり機構といたしましては、こうした非民主的な犯罪に対する捜査機関といたしましては、この両者に属せずして両者の中間的な
立場
にあります特審局というようなものがあ
つて
、そうしてこれが
警察
と検察庁双方の協力を得て進んで参るという形が、現在の刑事訴訟法の下においては実際的ではないか。こう
考え
ておる次第でございます。
小笠原二三男
18
○小笠原二三男君 昨日
法務総裁
に自治体
警察
に関する財政的な裏付けの問題について伺
つたの
でありまするが、それと関連しまして地方財政
委員会
にお伺いしたい点があるのであります。 先ほど竹中
委員
から御
質問
があ
つたの
でありまするが、昭和二十五年度の平衡交付金配分におきまして、
警察
吏員一人当り仮決定においては十八万二千八百円とされてお
つた
ものが、その後の本決定において十六万三千五百円というふうに減額を見たわけであります。そこで国家地方
警察
のほうは一人当り十九万六千円も見ておるのに、規模の小さい地方の自治体
警察
が、その主たる経費である人件費そのものも国の見方が小さくなりたということは、非常にこれは重大な問題でありまして、ますます弱小自治体
警察
を行殺しにしてしまう結果にな
つたの
ではないかという
批判
が強いわけでありまするが、先ずなぜこういう減額を財政当局でなさ
つたの
であるか。又こういう国家地方
警察
と均衡のとれない予算単価というものをおきめになられた根拠について御説明願いたいと思うのであります。
荻田保
19
○
政府
委員
(荻田保君)
お答え
いたします。この地方財政平衡交付金法にあります基準財政需要は御承知のように、普通地方
関係
、自治体の支出しております全経費を目標にしているのじやなくて、平衡交付金の九割の額と、それから地方税の七割の金額、これに見合うだけの経費を見ております。従いまして全般的に普通の地方団体が支出しております経費よりも基準財政需要は相当内輪になるのでございます。その
意味
におきまして、
警察
官吏一人当りの経費も実際の必要額よりは少し内輪に見てあるのでございますが、それはそれといたしまして、全体的に、
警察
に限らず外の経費につきましても、現在の平衡交付金の額では足りませんので、この点につきましては先
国会
以来たびたび我々の
考え
ております額を見積りをお示ししてあるのでございまするが、それだけ確保できませんので、どうしてもそこで全体的に基準財政需要をそれ以上に低減しなければならないという問題が起
つて
いるわけでございます。これは今後とも全体的に地方財政強化のために私共
努力
したいと
考え
ております。
小笠原二三男
20
○小笠原二三男君 自治体
警察
とは言いながら、国家地方
警察
と共に相協力して全国的な
治安
維持のために
警察
の能率化ということを
考え
る建前の
警察
における
警察
官の基準財政需要額が内輪に見られるということ、それ自体において、平衡交付金の枠が殖えないという理由があるのじやないかと思われるのですが、私素人でわからんのでありますけれども、なぜそういうふうに内輪に見てお
つて
、それで地方の自治体
警察
が、地方自治の
一つ
の固有事務である自治体
警察
が育成強化せらるると地方財政
委員会
がお
考え
にな
つて
おられるのであるか、その辺の事情を御説明願いたい。
荻田保
21
○
政府
委員
(荻田保君) これは先ほども御説明申上げましたように、総額におきまして、ひとり
警察
に限らず、義務
教育
費等すべて或る額を毎年度必要額としてきめるわけでございます。そうして、それに基きまして地方財政平衡交付金の額とか、自治体の額とか、地方税の額とか見るわけでございますが、そのようにしてきめましたものにつきましては、先ほど申しましたように、平衡交付金の基準財政需要としては総額をとらずに、平衡交付金の額の九割をとる。それから地方税の七割の額、これだけに圧縮しましたものを基準財政需要に計算いたしまして、平衡交付金の配分をいたすのであります。従いましてこの額以上に、先ほど申しました残りの地方税の額の三割とかいうものが地方団体に残
つて
おりますのでありまして、これにつきましては、むしろそのように各費目に分けてしまわずに、地方が自由に使うという余地を残しております。その
意味
におきまして、平衡交付金に用います基準財政需要の額は普通の額よりも少し下廻
つて
、これはひとり
警察
費だけに限
つて
はおりません。一般の経費もそのようにな
つて
おります。
小笠原二三男
22
○小笠原二三男君 そうしますと、国家地方
警察
同様の
警察
官の水準に達せしめるためには、結局自治体
警察
におきましては、足りない分を特別平衡交付金でもらうか、三〇%の税その他で見ておられる平衡交付金の需要額を算定するときに見ない収入の一部を以てこれで賄え、それでいいのだということになるように聞えるのですが、そう了解してよろしいかどうかお伺いしたい。
荻田保
23
○
政府
委員
(荻田保君) 国家地方
警察
と、それから
自治警察
の実際要ります単価というものは必ずしも
国家警察
と一緒ではございませんで、
国家警察
のほうには通信費とかその他、地方にない経費も入
つて
おります。必ずしもこれは一緒にならないのであります。それはそれといたしまして、基準財政需要額は先ほど申しましたように一般財源によ
つて
賄われるもののうち一部しか対象にと
つて
いないのでありまして、その残りにつきましては、財源として残された分、主として地方税の三割の分、この額が当ることにな
つて
おるのであります。
小笠原二三男
24
○小笠原二三男君 今の御説明では、国家地方
警察
のほうは相当厖大な通信資材その他の設備いろいろのものがかけられて、一人当りの経費として十九万六千円と出ておる、
従つて
当然高いのであ
つて
、必ずしも
警察
官一人当りの対象として地財委が見ておるものは権衡を失するものではないという裏付けになるような気持でお話のようでありまするが、私
たち
は必ずしもそうは
考え
ない。規模が小さい自治体
警察
であろうとも、
一つ
の
警察
運営をやるのには、初めから
警察
署を建て或いはその内部に設備を持つというようなことは、個人当りの負担というものは、国家地方
警察
総体の人数における個人割の負担よりも重いのじやないかとさえ思われる。で、必ずしもその
意見
には同意しがたいものがあるのでありまするが、又
あと
でお尋ねする
機会
もあると思うので、次に移りまするが、昨日
法務総裁
に
質問
した場合に、実はこういう
質問
でありまするが、今度の新らしい
警察法
一部
改正
の
法律案
によ
つて
、自治体
警察
がその定員の枠を外されたという場合に、自治体
警察
官が減るか殖えるか、その見通し如何ということを伺いましたところが、市街的な町村において自治体
警察
を今維持しているものが一万九千人あるが、これが全部国家地方
警察
に吸収される
態勢
に
なつ
た場合吸収されるとも
考え
られない。而もその他都市部における自治体
警察
等は、却
つて
治安
確保、能率化のために定員を従来よりも殖やして行くという意向があるようでもあるから、一般的には自治体
警察
の総体の定員の枠は殖えるんじやないか。こういう見通しだ
つたの
であります。
従つて
その場合には、各自治体
警察
が自由意思で
警察
官の定員を殖やす場合には、国が平衡交付金おいてそれぞれの増員分を
警察
官の費用というものを見てくれるかどうか、このことについてどういう裏付けを持
つて
この法
改正案
を出したのであるかということを伺いましたところが、
法務総裁
は、そういう場合には当然平衡交付金において見て行くというようなことが望ましいことであ
つて
、私は極力そういうことに
努力
したいというお話でありましたので、再度
質問
しまして、そうな
つて
実際定員が殖える場合には、今限られた平衡交付金総額の枠内操作では解決しないのであ
つて
、交付金全体の総額という問題まで、この
内閣
の
国務大臣
であるあなたが
努力
せられるということであるか、という
質問
をしましたところが、そういう意向を持
つて
この問題を
考え
ておるということであ
つたの
でありまするが、そこで地方財政
委員会
としましては、そうした場合に、
法務総裁
が
考え
られるように、平衡交付金の算定の基礎の中に、地方が自動的に増員した分を見てくれるのであるかどうか、この点を承わ
つて
おきたいと思うのであります。
荻田保
25
○
政府
委員
(荻田保君)
只今
御
質問
になりました点は、非常に実際問題としてはこのお
考え方
にむずかしいところがございます。と申しますのは、自治体
警察
の、今後定員等について国からの枠を外す、自由にやるという場合に、自由に殖やしましたものを、何でもかんでもこれを国家の平衡交付金の枠の中に入れて見るということは、これは少しむずしいと思います。ただ国家的見地から見まして、増員したほうがいいということが認められるものにつきましては、これは飽くまで平衡交付金において裏付けをして行かなければならないと思います。従いまして、現実の問題に当りましては、地方がただ地方だけの
考え
で殖やしたものか、或いは全体的に見てもそれだけ殖やすのが当然であるかどうか、そこの見分けをしまして、国家的に見ましても、どうしても殖やさなければならんという数字につきましては、それは平衡交付金の枠の拡張ということによりまして、財源の裏付けをして行くべきであると我々も
考え
ております。
小笠原二三男
26
○小笠原二三男君 そこもどうも私必ずしもそうだとは
考え
られない部面がありますのは、国家的見地に立
つて
判定を下して、その場合には
考え
られるだろうが、地方が自由にや
つた
分を全部見るということについては如何かという話でありまするが、私は平衡交付金の
制度
から言うて、少くともその地方の標準財政需要額を
考え
るという場合には、
警察
の能率化、強化という問題から、これだけなくちやや
つて
行けないというものが、地域の住民の意思として決定に
なつ
たならば、これは国の意思がそれに作用する、しないにかかわらず、そういう観点ではなく、まさか無駄な
警察
官を置くというものはどこにもないのであ
つて
、十分これは国が見て行かなくちやならん
立場
になるのじやないかと
考え
られるのですが、まあ一応荻田さんには別な問題を
質問
するとして、地方自治庁が地方自治の建前から、今のようなことに対してどういうお
考え
をお持ちにな
つて
おられるか、お伺いしたいと思います。
小野哲
27
○
政府
委員
(小野哲君) 今回御
審議
を願
つて
おります
警察法
の一部
改正
によりまして自治体
警察
の定員の枠が外されるということになるについての交付金の取扱方の問題でありまするが、
只今
荻田君からお話をいたしましたように、地方財政平衡交付金の算定の方法をどこに求めて行
つた
らいいか、言い換えれば測定の基準をどこに求めるかということについて、従来の
考え方
をこの際、今回の
改正
に伴うて
考え
直して行かなければならない問題が起
つて
来るのではないか、かように思うのであります。即ち定員について、測定の
範囲
並びにこれによる数値を求めて行くという
考え方
で、果して公正な平衡交付金の算定の基礎が求められるかどうか、こういう問題が起
つて
来るのではないかと私は想像するわけであります。この点につきましては、勿論地方財政
委員会
において十分に
研究
をしてもらわなければなるまいと思
つて
おるのでありますが、総体的に申しまして、自治体
警察
を現状通り維持して行くという当該地方公共団体の意思の決定がありました場合におきましては、自治体
警察
の維持の本質から
考え
まして、今できるだけこれに必要な財政措置は講じて行かなければなるまい、又そうすべきだという
考え
を私どもは持
つて
おるわけでありますので、地方財政
委員会
における
研究
の結果と相待ちまして、財政措置については遺憾のないように自治庁においてもいたして参りたい、かように
考え
ておる次第であります。
小笠原二三男
28
○小笠原二三男君 今の御
答弁
で、遺憾のないように善処して参りたいというのですが、これは地方の財政内容が遺憾のないように措置して参
つて
頂けばいいのですが、そうではなくて、地方自治庁の責任が一応全うされるように遺憾ないようにや
つて
行くというだけでは、私は誠に遺憾なんでありまして、今お話に
なつ
た点についても、私は非常に不満な点があるわけであります。と申しますのは、
廃止
になる分は、勝手に地方自治本義に照して
廃止
することもいいだろう、減員するという場合についても、それは地方自治の
精神
に副うて減員してしまう、却
つて
平衡交付金をやらないだけでも儲かるというくらいのことであ
つて
、そうして殖える分については、必ずしも地方自治の本義ということは言わんで、国家的の見地と言う。私はこの点はわからんのであります。少くとも特殊なる事案の問題で、自治体
警察
と
国家警察
が相共に関連を持
つて
、いわゆる国家
治安
を維持しようという建前から言うこの
警察
行政
費については、他の部門とはやはり趣きを異にすべき点があるのじやないかと思うのであります。そうして少くともそういう場合には、増員することは余裕財源を持
つて
いる所は増員したらいいだろうということであるならば、若しもそれを是とする場合には、少くとも最低水準だけはこの線において維持しなければならんというふうに、この減らすというほうを維持して行くように強制するというようなことででも財政的に国が
考え
て、而も
警察
の能率を強化するという万何に行くべきものではないか、こう思うのであります。今、地方財政
委員会
並びに自治庁からお伺いしますというと、昨日の
法務総裁
などの
意見
とは必ずしも同じではないどころか、全然これは連絡もとれておらないし、問題にならんと思うのであります。本日も他の法務
委員会
との連合審査で住民登録
法案
の問題で、地方財政の問題を法務府に聞きましたところが、法務府側ではこの諸度調弁書費については国で見るように
努力
したい、来年度予算化する、こういうような話があり、経常年度における経営事務費については、平衡交付金の算定基礎の中にこういう事務費という項目を入れるようにしたい、それでこの点については地方財政
委員会
とも成る程度の了解が得られているやの話があ
つたの
ですが、これも他の
委員会
において、荻田さんなり小野政務次官をお呼びして
質問
して行くと、本日のように又ぐらぐらして来るのじやないかと思うのでありまするが、この点が
はつ
きりしないというと、実は我々社会党としましては、この
警察法
一部
改正
法案
に必ずしも同調できない。一般にこの
法律
は如何ようにでもきめるけれども、財政的には何ら
はつ
きりした目途を持たぬというようなことでは、私
たち
国会
議員として責任を持てない。而も小野政務次官は、先ほどこれは今の地方自治の建前から、地方財政については地方がそれぞれ
考え
るのが本義であるということを言
つたの
ですが、私御尤もと思うのであります。併し今の地方財政は、平衡交付金の
制度
或いは起債その他とからみ合
つて
、国と地方とが持ち寄
つて
地方財政を維持して行くという建前をと
つて
おる限りは、必ずしもそういうことだけで地方にこれを任せきりにして手放せということは、この
法律
がいわゆる
治安
の維持確保、その現状に鑑みてこの
改正
をするという
趣旨
には絶対合わぬと思うのであります。そこで、この点、
法務総裁
のほうとは
関係
御当局は如何ようなる御連絡があり、如何ような財政的な裏付けを以てこを措置しようとしたのであるか、伺いたいと思うのであります。で、それに関連しまして、自治体
警察
相互間、或いは自治体
警察
が
国警
側から協力をされた場合に、自治体
警察
側は、その金の負担は国家地方
警察
が持つというふうにな
つて
おるのでありますが、この点についても、まあ請願、陳情等で見ますというと、そういうことのために、国家地方
警察
に一々連絡するというようなことを抜きにして、そうしてそれぞれ協力し合うたときの金そのものは、平衡交付金などにおいてプールしておいて、そうして国から直接金がほしい、こういう自治体
警察
側の意向もあるのでありまするが、こういう協力費と申しますか、これらの
関係
については、自治庁はどういうふうに国家地方
警察
なりからお話を受けておるのであるか、受ていなければ、何も御
答弁
は要りません。関連しましてこの二つお伺いしておきたいと思うのであります。
小野哲
29
○
政府
委員
(小野哲君) 私が先ほど
お答え
をいたしました中で、或いはお聞き誤まりがあるかとも思うのでありますが、自治体
警察
をそのまま離してしまうという
意味
ではないのでありまして、
制度
の
改正
に伴うて
警察
費の財政需要の測定についてのやり方は
検討
を加える必要が起
つて
来るのではないか、この点を私が申上げたのであります。と同時に、先ほど荻田
政府
委員
から、国家的見地から云々というようなお言葉がありましたが、その点につきましては、小笠原さんがお
考え
にな
つて
おりますように、やはり自治体
警察
と国家地方
警察
とが相待
つて
初めて国全体の
治安
の維持が全うされるわけでありますので、
従つて
当該地方公共団体において幾ばくの
警察
吏員を必要とするかどうかということは、やはり国全体の
治安
維持の見地からも見るということが妥当ではないか、さような
考え方
から、恐らく国家的見地という言葉を使
つたの
ではなかろうかと思うのでありますので、この点、補足的に私から申上げておきたいと思うのであります。なお自治体
警察
の財政措置の問題につきましては、事務当局におきましてもいろいろと
研究
をして参
つて
おりますし、なお今後とも
研究
をいたさなければならない問題もあろうかと思いますので、地方財政
委員会
とも連絡をとりまして、これらの諸問題について
検討
を続けて参りたい、かように
考え
ております。
小笠原二三男
30
○小笠原二三男君 ここで再三論議しても、これはどうも
はつ
きりしませんので、又後日岡野自治庁長官、
法務総裁
と御列席の上で、統一ある御
意見
を伺いたいと思いますので、一応この財政問題について留保をしておきたいのですが、ただ、
あと
の
研究
したい
関係
から、ちよつと御
質問
しておきますが、自治体
警察
側においては、実際の
警察
官一人当りの所要経費が二十万余円かか
つて
おるというのでありますあなたがおつしやるこの七〇%の税収を見、平衡交付金の九割を見る、標準財政需要額として十六万三千円というのを見たというのでありますが、他のそれら全部入れて一〇〇%に計算しても、現実に今かか
つて
おる二十万余円に達するであろうかということは、私、計数上の疑問があるのでありまして、現実に二十万余円一人当りかか
つて
おる、こういうことから地方財政が圧迫せられ、自治体
警察
の維持ということが非常に困難であるということから、
廃止
論が出、又それらも一部の理由として取入れて、
治安
の確保に資したいという
警察法
案の
改正
に
なつ
たと思うのでありまするが、この現実の地方の二十万余円もかか
つて
おるということと、標準財政需要額が十六万三千円にしか見られないという点について、事務当局の責任者として荻田さんの御所見を、この際承わ
つて
おきたいと思うのであります。
荻田保
31
○
政府
委員
(荻田保君) ちよつとくどくなるのでございますが、この平衡交付金の問題を少しばかりお話しておきたいと思います。
只今
二十万何千円とおつしやいました数字、ちよつとどういう数字か私承知いたしませんが、大体三つ数字があるとお
考え
にな
つて
頂きたい。平衡交付金の基準財政需要額として見る額と、もう
一つ
は、
政府
が総額において
警察
費に幾ら要するかということを算定いたしまして、それから平衡交付金の総額、或いは起債の総額、地方税の総額というようなものをきめますその数字と、それからもう
一つ
は、現実に地方団体が支出しております現実の数字でございます。その現実の数字と
政府
の枠として見まする額と、これとが一致いたしますれば、地方団体がこの自治体
警察
をや
つて
行くのに、実際の経費には事欠かないわけでありますが、そこに開きがありますことが、現実の問題といたしまして、財政がや
つて
行きにくいということになるわけでございましてこの点は恐らくひとり自治体
警察
だけではなく、他の経費にも一般にあるのだろうと思います。そこからいたしまして、地方財政が一般に苦しいという問題にな
つて
来ているのでございます。それに対しまして我々といたしましては、今の枠ではいけないから、もう少し地方財政平衡交付金なりを総額において殖やさなければ、全体的に地方財政がや
つて
行けないということを
考え
ておるわけであります。次に第三番目の基準財政需要として見まするのは、先ほどからたびたび申しておりますように、この中の一部分、地方税の七割と交付金の九割の額とを見ておりまするので、これは当然低くてよいのでございます。 それからもう
一つ
、先ほどの御
質問
に関連いたしまして、
お答え
しておきたいのは、この平衡交付金の基準財政需要に使いますのは、現実にその地方団体が支出しております額というものは、これは掴まえるべきではないと思うのであります。国家的見地という言葉を使いましたが、小野政務次官から御註釈もありましたように、全く私もそのような
意味
で申したのでありまするが、つきましては、全国的に
考え
まして、基準となりまする数字で以て、この基準財政需要をきめるのであります。例えば小学校の経費つにいたしますれば、一学級当り一・五人の教員を持つというのが、全体的に見て基準になるこれで以て義務
教育
費の基準財政需要を算定するわけであります。それ以上の一・五人以上、その団体がもつと
教育
に力を入れたいために、一・五人以上のものを出しましても、それに対して国の平衡交付金の算定の際、それを直ちに基準にして分けることはできないのであります。併しながら国家的見地から一・五人では全体の
教育
のレベルを推持することができない。
従つて
これを一・六人に殖やさなければいけないというようなことが決定になりますれば、その殖えまする分につきましては平衡交付金の増額をいたさなければならん。従いまして自治体
警察
につきましても同様でございまして、仮に今の
警察
官の総数で以て、自治体
警察
の数で以て、全体的にはそれで
治安
が保てるのだということになりますれば、それは別に平衡交付金を殖やす必要はないのでありますが、自治体
警察
についても或る程度増員をしなければいけないということになりますれば、それは平衡交付金の総額において増額をしなければならなくなる。併しながらこちらから見まして、中央から見まして、一応それでよいという数字をつかまえて基準財政需要を算定して、それによ
つて
地方財政平衡交付金を分配いたしまするので、仮に或る団体が、
政府
の見るところはこれだけだけれども、自分のほうではもつと
治安
に力を入れたいという希望がありますれば、自由に増員してもいいということになるわけでありまするが、その分までも全体的にこちらの基準財政需要によ
つて
見ることはできない。その点、従いまして具体的には殖やしたものが皆平衡交付金の算定に入るかといいますると、そうはならないのであります。ただ中央から見まして殖やさなければ
治安
が保てないという数字は、これは飽くまで平衡交付金によ
つて
財源の措置をして行かなければならないかと
考え
ております。
小笠原二三男
32
○小笠原二三男君 いろいろ義務
教育
等の経費などを例にして御説明がありましたが、少くとも平衡交付金の
制度そのもの
は、地方の標準的な公共団体の規模を捉えて、そうして、そこにおける実態を基礎にして
一つ
の単位費用その他の基準というものが出て来るように私は
考え
るのでありますが、
只今
申しました現実に地方の
警察
費がかか
つて
おるという二十万余円というものは、これは平均値なのであ
つて
、その下もあればその上もあるわけなんです。そういうモデル的な、標準的な地方自治団体における自治体
警察
の実態を御調査の上で、こういうものをおきめにな
つたの
であるかということを伺いたいものでありまするが、そうでなくして初めから九万五千人という
一つ
の大枠をきめて、そうして大中小の都市の規模というものでその人数もきま
つて
来たわけでありまするが、それらに合せて先ほど荻田さんのおつしやるような総体の
警察
費という枠を出すわけだから、こういう結果にな
つて
来たのではないかと、素人流にも
考え
られる。三本建てでいろいろ調査の上、諸種の事情を勘案の上、十六万三千円という
警察
の単位費用が出たとは断じて
考え
られない。そういう証拠には、義務
教育
でも一校当り中学校等においては二十数万円の所要経費を最初見てお
つた
ものを、これを十一万円位に大削減して、これらはただ単に平衡交付金の総額を逆算して
一つ
一つ
の学校に当てはめたのであるという、これは世上隠れもない定評なんです。荻田さんうまいことを如何ほどおつしや
つて
も、私は私なりの頑固な頭でその通りには受取ることができない。而も今
はつ
きりと地方の自由意思によ
つて
、国家的な見地から見て、もうたくさんだと思われるのに、それ以上の
警察
官を持
つて
おる町村には必ずしも平衡交付金は行かないのだということは、これは誠に
はつ
きりしたわけでありまして、こういうことでは非常に
法務総裁
等の御
答弁
とは違
つて
おる点がある。これは私の誤解かも知れませんから、あるやに思われる、こういうことにしておきますが、再度この点は御
質問
申上げることにして、時間もありませんから、私だけは
質問
を留保して終ります。
竹中七郎
33
○竹中七郎君 私は今の小笠原君の
質問
に関連して一点だけ荻田さんにお伺いしたいと思います。それは、昨年と申しますか、前
国会
と思いますが、基準財政収入額を七割から八割にするという
政府
の平衡交付金一部
改正
法案
が出たのであります。その時におきまして、あなたのほうは三割が余分であると、かようにお
考え
にな
つて
御了承になりまして、あの議案が出たと私は思うのでありますが、今お聞きしますというと、
警察
費におきましても、
教育
費におきましても、消防費におきましても、この平衡交付金の項におきましては八割乃至九割ぐらい、その三割が全部税金が入
つて
来た、かようにお
考え
にな
つて
おるかどうかという問題でございますが、これはどういうようにお
考え
になりますか。この収入額は税金が実際十割入
つて
おるというならば、三割の余裕があるわけでありますが、これは八割或いは九割、私は最低八割くらいしか入
つて
おらない。悪い所になりますと、七割、そういうのにかかわらず、
警察
費でも、三割残
つて
おるからこれを出す。こういうことでは、あなた方財政
委員会
は地方財政を如何にしてうまくや
つて
やるかということに対して非常に不親切な
考え方
だと思う。この三割というのは、いろいろなことで困
つて
おるやつをやるので、三割必ず入るというのではない。一割入るか、二割入るかわからん。その中で九割ということはちよつと無理がある。私はこれは今聞いて憤慨に堪えないから、これを
一つ
聞くのです。
荻田保
34
○
政府
委員
(荻田保君)
只今
御
質問
になりました点は基準財政需要の見方が強過ぎないかということに帰するのだろうと思います。つまり地方税といたしまして千九百億を去年取れるといたしまして、その七割の額を基準財政需要に持
つて
来ておるのでありますが、果して千九百億円取れるかどうかという問題に帰着すると思います。まだ詳しく二十五年度の
実績
が出ておりませんので、的確な数字は申上げられませんが、道府県分について、もう二カ月前ぐらいの二月末ですか、一月末でしたか、数字が集ま
つて
おります。それによりますると、道府県分は大体九百億取れるということにな
つて
おりますが、たしか調定額はすでに上廻
つて
おります。
従つて
その徴税率が七割、八割になるか九割になるか、そこの問題に帰着するだろうと思いますが、これが必ずしも今おつしやいましたように、去年いろいろ問題がございましたので、徴税成績がよくな
つて
、果して収入額において九百億円ができるかどうかということは今ちよつと申上げかねます。むしろ少し怪しいのじやないかと
考え
ております。
鈴木直人
35
○鈴木直人君 昨日
法務総裁
に今回
提出
された
警察法
の
改正
過程における予算的措置等について
質問
をしたのですが、地方財政
委員会
関係
のかたがおられなか
つた
から、この際改めてお尋ねしておきますが、問題は平衡交付金に関することになるわけでございます。即ち当初の
国警
の案によりまするというと、地方自治体から
国警
の
方面
に移行するところの
警察
官に必要なところの、新らしく必要に
なつ
たところの予算については、二十六年度においては二十六年度の平衡交付金を以てこれに充てるというようなことが案文の中に入
つて
おりましたが、この
国会
に提案されたところの成案によるというと、それがなくな
つて
おるわけであります。それについて
法務総裁
に昨日聞いたのでありまするが、大蔵省といたしましては、平衡交付金から減らすということも言うておらないし、又その分については新らしく財源を大蔵省自体が認めまして、そうして、それで以て国の責任において賄うのだ、こういうことも
はつ
きりいたしておらないというような説明であ
つたの
です。私の推察によりますというと、最初二万人の増員をするという
計画
に対してそれを五千人に切
つた
ということは、これは国の財政
関係
からして一万五千人というものがどうも金を出したくないということからして五千人にな
つたの
だ、こういうふうに思
つて
おるのです。理由はいろいろ付いております。五千人にいたしましたところの理由が、いろいろ弁解的な理由は付いておりまするが、現実は要するに大蔵省
方面
から査定において削られたのだということになると思う。で、それについて
治安
上遺憾のある点がないかという点については昨日聞きましたのですが、本日はその予算的な
方面
なのですが、そういういわゆる大蔵省の
考え方
である限りにおきましては、この十月三十日を以て大体本年度におけるところの自治体
警察
から
国家警察
のほうに移行される人数が町村民の一般投票によ
つて
わか
つて
来るわけですから、十一月以降においては何人が自治体
警察
が
廃止
されて
国家警察
のほうに増員されるということが十一月になるとわかるわけです。その際に予算的な措置が行われると思うのです。で、
法務総裁
の言うように、一万九千人が全部仮に自治体
警察
から
国家警察
のほうに移行されたということにいたした場合においては、二十五年度の平衡交付金の算定から見ますと、
警察
官一人当り十六万三千五百円でありまするから、それに一万九千を掛けますと約三十一億程度のものになるわけであります。そうしますと、仮に本年の十月末を見まして一万九千人のものが
国警
のほうに移管されたということを仮に
考え
た場合に、地方財政
委員会
といたしましては大蔵省との折衝が必らず始まると私は
考え
るわけです。そのときに三十一億というものを既定予算から減らせというような交渉が始まるのじやないかということを想像できるわけであります。そういう際において地方財政
委員会
としては如何なるいわゆる態度をとられるか、又この
警察法
か制定される過程において地方財政
委員会
と
法務総裁
なり大蔵
大臣
等との間においてそれについての交渉があ
つたの
かどうかという点を第一にお聞きして、第二には、いわゆる十一月以降において三十一億程度のものを地方財政平衡交付金から減らせというような折衝が始まるような場合には、どういうような見解をと
つて
行かれるかということをお聞きしておきたいと思うのであります。 又第三には、現在当初予算において計上されたところの平衡交付金の総額におきましては、地方財政
委員会
の勧告通りには行
つて
おらない、要求通りには行
つて
おらないのでありまするから、恐らく今後補正予算等におきまして地方財政
委員会
の主張によるところのいわゆる総額について、
国会
及び
政府
方面
におきましても平衡交付金の増額がいわゆるだんだん
考え
られ来ることになると思う。その際に、もう三十一億というものは
警察
が維持しないことにな
つたの
だから、それは要らんじやないか、
従つて
新らしく必要なところのものに対してはその三十一億を以て充てたらいいじやないか、決してもう余分に更に追加予算を出す必要はないじやないか、こういうようなことの折衝が始まると思うのです。そういう際にはどういうように
考え
られるか。その三点についてお聞きしておきたいと思います。
斎藤昇
36
○
政府
委員
(斎藤昇君)
法務総裁
と大蔵
大臣
の間にどういう折衝がありましたか、細かい点については承わ
つて
おりませんが、私が大蔵
大臣
と折衝いたしました経緯及び事務当局が大蔵省の人々と折衝いたしました経緯につきまして申上げますが、最初は
只今
お話のありました通り、町村の
警察
を
廃止
をしたならば、それだけが国家地方
警察
に肩替りになることになるわけでありますから、財源も肩替りになるというように大蔵省の事務当局のお話がありました。最初の原案はそういうように聞いてお
つたの
であります。即ちその場合において平衡交付金の一部を移用することができるということを原案に入れてお
つたの
であります。ところが、その後、大蔵
大臣
は、平衡交付金の枠が非常に少な過ぎるという強い輿論と議会の要望があ
つた
。
従つて
町村の
警察
を
廃止
しても平衡交付金は減らさない。その代りこれを国家地方
警察
に肩替りした分は新たな財源を以て賄うというように
方針
の変更をするということを言明されたのであります。そのゆえを以ちまして平衡交付金の一部を移用する規定も削除いたした次第であります。で、今日の予算の折衝はその基礎に立
つて
折衝をいたしておるのであります。一万九千人の町村
警察
の
警察
吏員のうちで幾ばくが
廃止
になるかわかりませんが、今日約半分一万人は見るということを
前提
にして、予算の面では新らしい財源で賄うというように事務当局との話合いをいたしております。これはただ予算を作る際にメドを作る必要がありますから、一応一万人という予定で新らしい財源を
考え
ておりまするけれども、現実にこれが一万五千人であるとか或いは極端な場合には一万九千人に
なつ
た場合にも財源は新たに附ける、平衡交付金から附けるのではないという原則は私は確立されていると
考え
ております。大蔵
大臣
もその
方針
は変更になることはなかろうと、今までの折衝の経過はさようにな
つて
おりますから、さよう御承知を願います。
荻田保
37
○
政府
委員
(荻田保君) 直接法務府と大蔵
大臣
との折衝の結果は存じませんが、我々といたしましては、先ほど
斎藤長官
のおつしやいましたように、原案にあります移用の規定がなくなりました以上、どうも、この点これは将来にそういうような場合があ
つて
もそういうことはないものと
考え
ております。
鈴木直人
38
○鈴木直人君 そうなりますと、当然現在の平衡交付金の算定の
法律
の内容によりますれば、その自治体の
警察
から仮に一万というものが移動する、そういうことになれば、その算定の基準から当然その分がなくなるということになるのでありますから、その分につきましては、新しく平衡交付金の増額を要求しておるその額については自然放棄するということになりますか。
荻田保
39
○
政府
委員
(荻田保君) 実際の数字はわかりませんけれども、いずれにいたしましても、半年分だけ要らなくなります分につきましては、余分な財政需要までその団体に対して與える必要はないから、全体の計算におきましては差引きいたしたいと
考え
ております。
石川清一
40
○石川清一君
只今
の
質問
に関連をいたしますが、斎藤
国警
長官のほうは総体の一千二百億は減らさないと、こういうように聞えますし、又一応
理解
されたのは、その町村の、自治体
警察
を持
つて
お
つた
町村の一応の定員の枠の一年分だけは減らさないのだと、こういうようにも
理解
いたされるのですが、その点についてどちらでしたか、
一つ
お聞きしたい。
斎藤昇
41
○
政府
委員
(斎藤昇君) 私の了解いたしておりますのは全体の枠でありまして、個々の町村は
警察
は持たなくなるということになれば、これは今荻田局長から話がありましたように、その分は不要になるということになるのが当然であろうと思います。
石川清一
42
○石川清一君 その場合に、定員の枠が
廃止
になりまして、町村自治体
警察
で定員を殖やした場合には、自動的に平衡交付金が多くな
つて
行くように
考え
られますが、その点お伺いしたい。
荻田保
43
○
政府
委員
(荻田保君) これは先ほど小笠原
委員
の御
質問
に
お答え
いたしましたように、定員の枠が
廃止
されますると、定員で以て平衡交付金を分けることができないのでございまして、枠の基準を作らなければなりません。その際に適当にその市町村の、客観的に見まして、妥当な
警察
費の額というものを算定いたします基準を新たに
考え
たいと思います。
鈴木直人
44
○鈴木直人君 実はそれは非常に理論的ないいことなんですが、先般自治体
警察
を
廃止
する場合にも調べたのですが、最初の案によりますと、自治体
警察
を
廃止
しますれば定員の半分程度は
国警
が引受ける、後は半分程度は一ケ年間の定員外として養
つて
は行く、こういうような案でありました。そういうことでありますれば、おそらく全国の自治体
警察
官は自分の身に振りかかる、不安を
考え
て……
廃止
するということが非常に困難ではないか。それよりも全部この際は引取
つた
ほうがさつぱりしていいではないかということを申上げましたが、それは今回の案によりますと全部引取る、こういうことにな
つて
いるから、それは解消したと思うのです。ところが財政
関係
から見ますと、非常に町村自治体などは敏感でございまして、いつ平衡交付金の配分が決定するかわかりませんが、一度決定した後において
警察
が
廃止
されれば、その分のものは引上げられるのだというようなことにな
つて
、そうしてそれが町民なりそういう人
たち
にだんだんわか
つて
来たということになれば、おそらくそれなら
一つ
警察
を維持して行こうじやないか、そうして行けば平衡交付金ももらえる、ところがそれを取上げられるようなら、それはどつちに得にもならん、それじや持
つて
行こうじやないかという感じが自然起りやしないかということが想像できる。それで今小笠原君なり皆から言われる通り、自然に殖える場合にはもらえない、ところが
廃止
すれば取上げられるというようなことでありまするというと、非常に一方的な
考え方
で余り感じがよくないことにかりやしないか。一年間くらいは平衡交付金は減らさない、こういう大蔵省の
方針
である限りにおいては、一度や
つた
ものはほかの厚生施設なり何かに使
つた
ほうがいいというくらいにしてや
つた
ほうが却
つて
警察
を
廃止
するためにいいのではないかというふうに
考え
られる。まあ
警察
を
廃止
すればその分は
一つ
ほかの
方面
に使
つて
下さいというくらいのやり方をや
つた
ほうが、
警察
を
廃止
する意図であればいいのじやないか、こういうふうに
考え
られるのですがどうでしよう。
荻田保
45
○
政府
委員
(荻田保君) その点でございまするが、先ほどからも御説明しておりますように、基準財政需要はいずれにいたしましても八割くらいの額しか見ておりませんので、仮に平衡交付金の額だけを、
廃止
に
なつ
たから
廃止
に
なつ
た半年分を出さないといたしましても、やはりその分におきましては相当地方の財源にゆとりができるというふうになりますれば、単に財源的に計算すれば、それは
廃止
したほうが得になると思います。
石川清一
46
○石川清一君 今度の
改正
法案
によりますと、定員が自治体
警察
では或る程度自由になる。その場合に、現在の自治体
警察
は平時には無用で有事には無力だという説に従いまして、現在の数を半分にした場合に、万一の場合には
国警
の応援は手弁当でやられるのですから、その場合に平衡交付金の配分の状況はどういうようになりますか、お尋ねいたします。
荻田保
47
○
政府
委員
(荻田保君) 先ほどから申しておりますように、個々の団体で殖やすとか減らすとかいう単なる
考え
によ
つて
やりますにつきましては、何らこちらとしては関與しない。それが事実だろうと思います。併し国家的見地という言葉を使いましたのですが、全体的の均衡から見ましてどうしても殖やさなければならん或いは減らしたほうがいいという場合におきましては、その額は平衡交付金にプラスするなり減額することになります。要は、中央と申しますか、全国的な見地から見まして、
国家警察
と自治体
警察
を併せ見て、そうして自治体
警察
にどれだけの人数、どれだけの財政需要が要るかということを計算いたし、その額だけは国として確保して行こう、こういうふうに
考え
ております。
岡本愛祐
48
○
委員長
(
岡本愛祐
君) よろしゆうございますか。それでは今日はこの程度で散会いたします。 午後五時七分散会 出席者は左の通り。
委員長
岡本 愛祐君 理事 堀 末治君
吉川末次郎
君 竹中 七郎君
委員
石村 幸作君 高橋進太郎君 安井 謙君 小笠原二三男君 西郷吉之助君 鈴木 直人君 石川 清一君
国務大臣
法 務 総 裁 大橋 武夫君
政府
委員
国家地方
警察
本 部長官 斎藤 昇君 国家地方
警察
本 部総務部長 加藤 陽三君 地方財政
委員会
事務局長 荻田 保君 地方自治政務次 官 小野 哲君 事務局側 常任
委員会
専門 員 福永与一郎君 常任
委員会
専門 員 武井 群嗣君