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国務大臣(
大橋武夫君) いずれも御尤もな御
質問でございます。第一の問題でございますが、先ずその前にちよつとお断りをいたしておきたいと思いますが、本
法案の
提案の決定に際しまして、これについて予算の問題で、増加の
人員がどうこうというふうなことで新聞紙上等においても伝えられたことがありまするので、そのいきさつを一応申上げたいと思います。当初
法案を
考えました際におきまして、私どもの一応の
考え方といたしましては、
警察力の増強を図る方法といたしまして、
国家地方警察において現在は三万でございまするが、これを新たに二万増員いたしまして五万にいたしたい、そうして将来
町村の
警察が廃止をせられた場合におきましては、当然その職員を国家
警察に編入しなければなりませんが、それは全員にあらずして半数くらいをやるがいいだろう、こういう
考えでおりました。そこでこれを計数を以て申上げますると、純粋の増加は二万でございまして、
町村警察が一万九千でございまするからこの半数の約九千、従
つて二万九千増加する、こういう計算でございました。それをいろいろ
検討いたしておりまする間に、地方自治体の
警察が廃止された場合においては、その
人員を引取るということが当然必要ではないか、そうすると一万九千が廃止された場合におきまして、一万九千の
人員を引取らなければならない、そうなれば別に二万増員は必要がなかろう、こういうことになりまして、それでは幾ら増員を認めるかという点になりまして、まあ五千くらいにして置こうということに相成
つたわけであります。この五千という数の
根拠は、昨日
説明の中にも申上げました
ように、現在三万の
国家地方警察の総員数のうち、大体常時五千人くらいが再教育のために各種の学校に入
つております。そうしてそれがために実際現場の勤務員は、学校再教育中は職場から離れるわけでございますが、それが全体の
人員が足りないために、職場から離れておる間代りの者をそこへ勤務せしめるということが現在できないわけでございまして、これがために
全国におまきしても
国家地方警察に属する多数の駐在所等においては、学校在学中
人員を配置できないというものが相当ある、これはひとり駐在所ばかりでなく
警察署等におきまする勤務についても同様の
取扱に
なつております。いわばそれだけ当然なければならない者が再教育のために欠けておるという
実情でございまして、これだけは少くとも早急に補充する必要があるわけであります。この数が約五千でございまするから、五千だけこの際増加する、その代り地方
自治体警察の廃止された場合においてはその
人員を定員に加える、こういうことになりまするから、一万九千と五千で二万四千ということに相成るわけであります。最初の案は二万九千、今回の案は二万四千でございまして、約五千人だけ節約しておるわけでございまするが、これはその後におきまして
政府としましては
一般的な行政整理という
ようなことについても
考える必要がありはしないか、その際において特に
警察官だけを非常に大幅な増員をするという
ようなことは
考えられない、こういうことに相成りまして、それらの事情を勘案いたしました末に、か
ような案にきま
つたのであります。そうしてこれを特に急いで実施しなければならんという
理由は、御
承知の通り
警察官を補充いたしましてこれを教育をいたしまして、そうして実際活動できる
ように仕立上げまするには、少くとも募集から教育までを入れまして、約八、九カ月しませんとなりませんので、それでできるだけ早く
法律を作
つて準備を進める必要があります。それから又募集をいたしましても、募集をし、そうして応募者につきまして身許調べをいたしましたり、試験をいたしましたりすると、実際採用するまでに約二、三カ月はかかるわけであります。その後に六カ月ぐらい最小限度必要であります。そうい
つた事情がございまするのと、又
自治体警察の廃止ということにつきましては、この案の
内容におりまする通り、人民投票という
ような新らしい手続等もございまするので、どれだけの
自治体警察が廃止になるということにつきまして、今後の実際上の予算を見積る上から申しましても早目に手続を運んで予算の見積りを立て得る
ようなことにしておきたい、これらを
考え併せまして、できるだけ早くこの
法案をできるものならば確家いたしたいと、こう
考えたのが急いで
提案をいたした
理由でございます。
それから予算につきましては、御指摘の通り、今国会におきましてこれに当然必要なる補正予算を同時に
提出する運びにいておりません。併しこの点につきましては大蔵大臣におきましても案の
内容を分に
検討を加え、又この
改正案が成立いたしましたる上は、これを実施するに必要なる経費というものを次の臨時国会等の際におきまして優先的に補正予算として
提案するということにつきましては、完全なる了解を得ておるわけであります。
それから第三の御
質問の予備隊と
警察との
関係でございまするが、これは予備隊というものは、
警察の
通常の事務についての、例えば
一般犯罪の捜査、それから交通取締、こういうた
ような
一般の
警察の
通常の事務についての予備的な役割は全然考慮されておりません。これは
国内におきまする異常な暴動の際でありますとか、つまり
通常の
警察力を以ては処理することのできない
ような場合におきまして、その予備隊の持
つておりまするところの強大な実力というもので以て処理をする、これが目的に
なつておるわけでありまして、従来の戦争前の制度で申しまするというと、非常事変、或いは災害等の際におきまして
府県知事が出兵請求をしたりいたす、こういう場合におきまして出兵をいたしたという
ような事態があります。この
警察予備隊もそういう
ような、従来ならば出兵請求をする
ような非常の場合におきましてその活動をする、こういう役を引受ける、そうい
つたものでございます。勿論これは
国内におきまする
治安だけのための予備隊でございまするから、従来のごとき
軍隊とは
根本的に性格を異にいたしております。併し実力を備えておる、そうして
部隊として行動をする、そういう点におきましては同じ
ような
国内治安の使命を持
つておるものでございまして、この点普通の
警察とは全くその目的が違
つておる。併し勿論
根本的にはどちらも
治安のためにございますのですから、従
つて全然無
関係のものでないことは勿論であります。実際の運用の上におきましては、今申す
ような明らかな差異を認める、こういう
考え方で参
つております。