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1951-03-29 第10回国会 参議院 地方行政委員会 第32号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月二十九日(木曜日)    午後一時四十四分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○地方税法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○地方財政平衡交付金法の一部を改正  する法律案内閣提出衆議院送  付)   —————————————
  2. 岡本愛祐

    ○委員長(岡本愛祐君) これより地方行政委員会を開会いたします。  今日は地方税法の一部を改正する法律案及び地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案の本審査を行います。両案を併せて議題といたします。
  3. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 事務局に伺いますが、平衡交付金法改正案ですが、この十五條の百分の七十の現行のを百分の八十に改める、その根本の改正案考え方ですね。どういうところを狙つてこれを改正なさるのですか。その点を一つお話を願いたい。
  4. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 平衡交付金財政需要額及び財政收入額算定につきまして、標準的な條件を備えました地方団体基礎にいたしまして、標準財政收入額及び標準財政需要額というものを算定の基本にいたしまして、彈き出すわけでございますが、財政收入額算定いたします際に、百分の七十というものを従来押えて来たわけでございますが、これを標準税率の百分の八十に今回いたそうといたしておりまする理由は、第一にこの財政收入額財政需要の面から申しまして、御承知のごとく新たなる財政負担平衡交付金制定後いろいろ起つてつたわけでございまして、そういうような各種の地方団体がどうしても支弁いたさなければならん、経費平衡作用の線におきまして、枠内におきまして見て行きまするためには、どうも百分の七十ということは若干窮屈であります。事務的な経費以外のものを非常に圧縮いたさなければならないというような恰好に相成りまするので、百分の八十という枠の程度において財政需要平衡を図りますと共に、この收入の面におきましても、非常に地方団体によりまして、税收入でこぼこが、アンバランスがあるわけでありまして、百分の七十というのを百分の八十にいたしまする結果といたしまして、使えば大都市等におきましては、一割余計に見込むということの結果といたしまして、相当多くの額が基準財政收入額として見込まれまする半面農村地帶とか、或いは税の比較的少いようなところにおきまして、これを一割余分に見込みましても、出て参りまする額というものは比較的少いわけでございます。そういう財政收入額財政需要額というものの差引をいたしますならば、そこに出て参りまする数字は、やはり都市方面に低く、財源の比較的少いようなところに厚く出るような結果になるわけでございまして、そういう意味で更に平衡作用をより徹底して参ろうと、こういうようなことが狙いのわけでございます。
  5. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 岡野国務大臣に伺いますが、この百分の七十を百分の八十に今度上げられましたが、お聞きの通り地方公共団体は挙げて基準財政需要額を見積るその額が、今日まで非常に少いので、もう少し各県市町村とも自分たち仕事をする上においても、地方行政をする上においても、基準財政需要額をもう少し幅広く認めてもらいたいということは、これはもう地方公共団体の大小にかかわらず輿論であると思うのですが、然るに最初の平衡交付金の法案のときに、第十五條を御説明の際に、私はここに書き留めてあるのですが、百分の七十、残り百分の三十は結局地方公共団体自由財源になるというような、非常に特色のある説明があつたのですが、それは或る程度我々も自由財源ということは非常にいいことだと考えておつたのですが、今度現在の基準財政需要額見積りも少い、加えて今度八十に上げることによつて、なけなしの自由財源も縮小され、三十が二十に減少するということになつて来ますと、この二つ理由で更に地方財政を圧迫することになつて、今後自由財源というものは百分の二十では殆んどものにならない。三十の場合でも総額財政需要額見積り等が少いために、自由財源とはいうものの、これは右から左に出てしまつて、言うがごとき自由財源というふうなものを持つているところは少いと思うのです。然るにこの際百分の八十に上げられて、更にそれを圧迫する、手も足も出ない。如何に苦しい地方公共団体であつても、やはりおのおの特色がありますから、特色を生かすために、やはり特色のある仕事を大なり小なりやつて行くべきだと思うのです。そういう場合には、やはりこの自由財源が非常に活用されるのだが、今度それを更に縮小する、三十を二十にしてしまうということは、我々どうもいろいろ考えて見ますが、納得が行かないのです。むしろこの際地方財政考えて行く上には、百分の七十はそのままにしておいて、更に財政需要額を大幅に見てやるというところに力を入れるべきであろう、そういうふうに思うのですが、どうも今後の政府改正案は如何なる点からいつて地方財政のためにならない、非常に今弱い財政の基盤に立つているのに、それを強化する方法でなく、逆の作用を来たす。第二回目の今度平衡交付金ですが、常に大蔵省によつて多分に切られるということから、困るものであるから、今後できるだけ地方財政平衡交付金を少額にして行くためになさるように思うのです。これは平衡交付金はいつまでも多額のものが国から来るなんてことは、理論として、又原則として感心したことではないけれども、やはり地方自治を本当に裏付けする強固な財源になるまではやはり地方任せでなく、できるだけ国としてこういう制度を生かして財政基礎を作つてやることが肝要であると思うのですが、今申上げましたような理由で、どうして八十になさつたか、甚だ了解に苦しみ、財源を圧迫しますからそういう点を大臣はどういうふうにお考えになつているのか伺いたい。
  6. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます、理想から申上げますれば、私は百分の百というのが理想なんじやないかと思いますが、併し平衡交付金を作りますときに、できるだけ自由に、又自分仕事ができる至当なマージンを取るために三〇%というものを残しておつたのであります。併し御承知通り地方財政というものが非常に逼迫しております。そうして逼迫しておりますけれども、或る非常に税源のたくさんあるよい地方では税收が余る。併しながら足らないところはますます足らなくなつて来る、こういうことが、この半カ年ほどの平衡交付金の分配なんかにおいてほぼ状況がわかつて来たわけであります。そういたしますと、平衡交付金というものは、これはその額においてはいろいろ御異論もございましようが、もらつたものを如何に平衡化するかということに重点を置きまして、できるだけ財政收入の少いところに多く廻り、同時に財政收入額がたつぷりあり、若しくは十分とは言えなくても相当のところまで行けるというところは、それをそういう方面から非常に足りない方面へ廻して行くという、即ち平衡化をますます前進させる、こういう意味で実はやつておるわけなんでございます。でありますから、若し非常に地方財政が裕福である場合でございますというと、多々ますます弁ずるわけで、マージンの多い方がいいかも知れないけれども、只今のところでは地方財政も、それから中央財政相当つているわけでございます。そういたしますと、少しでも足りておるという方面からそれを削つて、そうして非常に困つておるという方面に分けてやるということが平衡化趣旨じやないか、こう思いまして、とにかく一〇%この際上げて見たと、こういう建前でやつておる次第でございます。併しお説はその通りでございまして、我々といたしましても、又平衡交付金に関するいろいろなことを考えなければならんほかの事情もございますので、そういうことに対しては御趣旨の点をよく尊重いたしまして、今後善処いたしたいと存じております。
  7. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今地方財政の一面だけをお考えになつてそういう議論が出ると思うのですが、もう一点伺つた、七十の場合に、三十は自由財源であるという御説明をそのとき政府から承わつたのですが、自由財源のことはどういうふうになるのですか。
  8. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。自由財源と申しますけれども、自由財源ということは結局税收のあるなしによつてきまるわけでございますから、たとえ三〇%の自由財源を與えて置きましても、税收がそれに沿わないときには、やはりその三〇%が自由に行かんということがございますから、私はその点におきまして、これを二〇%にしましても、三〇%にしましても、入るところの財政收入というものは大体きまつておりますから、大した差はないと、こう私は考えております。
  9. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 重ねて大臣に伺いますが、私は先ほど説明の中に、平衡交付金のことも、これは国に厄介になるのが能ではないということを言いましたが、これはやはり百分の八十に上げることによつて、今後の平衡交付金というものは、ほかの財政需要とかそういうことはいろいろありまするが、理論的に考えて、上げるということは、平衡交付金を更に削減して行くというふうな趣旨が織込んであるわけですか、その点はどうですか。
  10. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) 絶対にそういうことはございませんで、平衡交付金が来年度千二百九億要るのが、中央財政の関係によりまして千百億にされたということに対しては、私遺憾と存じておりますが、併しこれも国家財政現状といたしましてはいたし方ないことと存じますが、併しながら私の考えといたしましては、どこまでも平衡交付金というものは現段階以上に増してもらわなければ地方公共団体はやつて行けん、でございますから、若し仮に補正予算でもあるような場合には、これを一つ増額するということに私は努力したいと、こう考えておる次第でございます。
  11. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 重ねて大臣に伺いますが、我々は地方税法の審議の際に、一度否決しまして、多少その後変更がありましたので、次の国会であれは通しましたが、我々の観点からいつても、又今回の一部改正案に対して、與党も加わつて衆議院においては地方税修正行なつた。結局減額をしておるわけなんですが、それであつても、例えば入場税なんかは衆議院修正でははねられたようですが、ああいう非常に高率入場税なんというものをかけて置くことは、我が国の文化国家の再建なんということから考えると、全く矛盾した政策であつて、世界に顔向けができない。ああいうふうなものでも教育に役に立ちますが、それを百分の幾つというようなああいう高率をかけておる。而も地方財政の上から止むを得ず今度蹴られたようですが、むしろこういうふうな百分の八十なんということを考える前に、もつと地方税税率等について適正妥当な税率修正して、而してこういうことをやるならばわかりますが、それをやらずに、今度の修正は、政府案でなく、議員が国会に提出された上で修正を加えたわけで、何らそれは政府努力でないのですが、私は地方税税率をもつと適正なものにして、而うしてこういうことをやるべきではないか。而も八十に上げられるが、そういうことは地方税の非常に高いために、徴收成績が悪いのです。そういうことをどういうふうにお考えになつておるのか。地方税收入は非常に悪いのです。年度末を控えて強行徴收をやつても、なかなかうまく行かない。ために、国民は非常に困つておるわけです。そういうふうな際に、一生懸命やつて八十を超す税收入を上げるところは少いと思いますが、そういうことを度外視して、まだ地方財政が確立しないで弱体なものに対して、こういうものを上げるという根拠はどこにあるかと思うのです。それを伺いたい。
  12. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お説は多分なんだろうと思います。地方財政が非常に窮屈で、又税の徴收が非常に困つておる、そういう場合に百分の七十を百分の八十に上げるのはどうかと、こういうような御質問かと存じますが、これは先ほども申しましたように、平衡交付金を分けます点におきまして、幾らか税收入のよく入るというところよりは、歳入が非常に少いという方面に優遇して平衡交付金が分けられると、こういうことを狙いにしてやつておるわけでございますから、結局非常な大きな世帶徴收額が少いというのと、非常に小さい世帶徴收額が少いという苦痛というものは、小さいほうに非常に苦痛が多くて、大きいところは幾らかそれよりは軽いと、こういう意味で、それならば非常に苦痛を感じておる方面平衡交付金を少しでも余計にやると、こういう意味で百分の七十を百分の八十に直したわけでございます。
  13. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今の大臣の御説明を伺うと、今の説明だけ聞けば、少いほうに多くやるようにするのだからいいじやないか、でこぼこを調整するのだというようにとれるが、現実はそうでないのですね。現在でもいいところと悪いところと相当開きがある。区民税のごときは、悪いところは昨年末四五%ぐらい。それが年度末までにどのくらいに行くかわかりませんが、あれなんかは住民税が最も成績が悪いと思うのです。よいところもあるけれども、これもせいぜい八十乃至八十五です。折角そうやつて努力をして取れるところは、だんだん八十五くらいに上げて行きたい。併し弱体なところは一向について来ないのですね。非常に成績が悪いのです。折角努力して八十か八十五に上げつつあるときに、それを一〇〇%見ると、成績を上げようとしておるよいところに対しても非常に気の毒じやないか。今そういうことをするのは、折角でき得べくんば強行徴收をしてでも一〇〇%上げたいと努力しておる、それもなかなか容易なことではないと思うのです。それを今までは百分の七十であつたから多少でも見てくれたが、今度こうしますと、よいところであるというので、非常に成績を挙げていて、まだ本当に基礎のできないところに、これも平衡交付金を減らされてしまう。今大臣は、でこぼこがあるから税の收入の悪いほうに廻すのだと言われるけれども、一体どのくらい廻せるかといえば、悪いところは悪い並に税の総額というものは低いから、やるといつたつてそれは僅かなものですね。そうしてよいほうは、よいほうといつても非常によいのではない。八十か八十五のところからぽつと減らされる。弱いところへ廻すのだからよいと言われるけれども、廻す率は、もともと総額が小さいから、それにこれをかけるわけですから、大した増額にはならない。ますますこのでこぼこの幅がひどくなるのではないかと、そういうふうに思うのですが、その点はどうですか。
  14. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) 私はでこぼこがむしろ平均されて、平均される点がどういうふうに平均されるかと申しますれば、税收の少いほうに余計に廻ると、こういうような感じがします。それから税を徴收するために非常に苦労しておると、又税の徴收がむずかしいということは、これは一般的なことでございますから、この徴收ができないということと、それから平衡交付金平衡化を促進するということとは二つの問題だろうと、こう私は考えております。
  15. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今大臣は訳のわからん屁理窟を言いましたが、そういう理窟は一向通らないのですよ。というのは、この地方税が適正妥当なものの税率であるならばいいですが、これが妥当でないのです。国家のほうでは、今度も税法上の何百億の減税であるとか馬鹿げたことを政府言つておるが、国家財政のほうではそういうふうなことを言つておるのです。併し地方財政のほうでは、この前増税してそのままになつておるのです。今度與党も加わつて修正案を出して引下げるところじやないですか。妥当でないから、あなたの與党たる自由党もこれに参画して引下げておる。妥当でないからこういう努力をするのです。妥当であれば、こういう努力をする必要はないのです。而も入場税のごときものは、さつきも申上げました、ああいう非常な高率なものは、文化国家の手前から言つても下げるべきである、我々はそう考えておるのです。今大臣説明では、税收一般のことだと言われるけれども、それは妥当な税率であるならば、そういうことが成り立つかも知れませんが、ああいう高率税金を取るということは妥当じやないのではないですか。そういうふうな大臣が、地方自治庁長官たるあなたが、そういう考えを持つてつては非常に地方団体のために有害であると私は思うのですね。もう少し現状を把握して頂かなくちや困る。あなたはそれじやこの地方税の、今度與党も加えたこの税率引下げはどういうように思つておりますか。そのお考えを承わりたい。余計なことをやつたのかどうかですね。
  16. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) 修正案は、御承知通りに民、自、社会党一致して修正されたわけでございますが、我我といたしましては、政府の立場といたしましては、原案が支持したかつたのでございますが、併し国会でそういうような御修正が出た以上はそれに服従せざるを得ないわけで、服従しておるわけであります。
  17. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 そういうその馬鹿げたことはないのですね。一国の国務大臣といえども、国民利害得失考えるのは政府でも野党でも同じであつて、そういうような引下げてやるというのはいいことであつて、何もこういう努力をした後に、あなたが自治庁長官であるから、自由党内閣の閣僚であるから、これよりも原案のほうが支持したいのだ、そういう馬鹿げた考え国民のためにならんじやないか。国会努力して、司令部と交渉して、少しでも下げればそれは国民のためになり国のためになる。高い税金を取るのが能じやないのです。こういうことがあるのに、大臣衆議院通つて来たものに対してもあなたは自分政府案がいいのだというような、そういう幅の狭い考え方では非常にいかんと思うが、重ねて伺いますが、今の税收入、その他の問題は岡野さんにこれ以上聞いてもいい加減なことを言うでしようから聞きませんが、どうもこの大臣考えを聞くと、地方税の点なんかは私は非常に遺憾に思うんで、我々としても今後とも入場税引下げその他についてはやはり輿論が強いのですから、輿論のためにその輿論を尊重して、我々は努力をしなくちやいかん、それには政府引下げることに努力し、もう一方府県税とか市町村民税を根本的に検討を加えて、強固な財源その他について今後検討を加えるべきであるにかかわらず、こういうふうに引下げ通つても、まだ自分の出した政府案にこだわつておるというようなことでは、甚だ私は遺憾に思いますが、今大臣伺つたがよくわからんのですが、今次長から御説明を伺いましたが、どうもその点が納得行かないのですが、この前の委員会で、今度の七十を八十に変えて、差額が二百億とか何とかいうようなお話伺つたように思うのですが、その点はどうなんですか。どういうことであつたかよくわからなかつたので、もう一度御説明を願いたい。
  18. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) この七十を八十に引上げました趣旨は、要するに歳入の面におきましても歳出の面におきましても現在よりもそれぞれ一割方引上げられることになるわけでございまして、従つてこの各地方団体歳出が八割方それぞれ保障される、それだけを支出するために必要な経費というものは保障されることになるのであります。半面それを賄うための必要な歳入が保障されることになるわけでございまするが、その効果といたしましては、先ほども申上げましたように、大都市とかその他におきましては結局その財政需要額の八割という、一割方引上げられました額と、それから收入のほうの税收入のほうの一割方引上げられました額との差額というものは、收入引上げ一割によつて引上げられまするものが比較的多い場合が多いということになるわけでございまして、その他非常に財源を持つておりまするような地方団体では、收入のほうの一割引上げということが非常に多くなるわけでございまして、従つてそういう団体に対する交付金交付が少くなつて来る半面財源は少いが、需要額は一定のやはり需要を満たして行かなければならんというところでは、需要額が多く出て参りまして、收入の一割増というのは低く出て参りますから、従つて受けます交付金額というものは殖えて来る、こういう結果になるわけでございます。それを全体的に申しますと、結局税額が従来は二十五年度におきましても一千九百八億、要するにそれの九割というものは平衡交付金と合せて考えられる基礎的な財政收入になるのでございまして、今回の昭和二十六年度におきましては、税額は二千八十七億という額でございますので、それの九割ということに相成りますから、これを両者比較して参りますると大体二百億、税額から申しますと一割、百分の七十から百分の八十だけ引上げられるということは即ち二百億引上げられる、こういうことになります。
  19. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 政府は今度の改正案をお出しになつたが、そうすると單位費用の問題が変つて来ると私は思うのですが、その点は今度八十に上げることによつて單位費用補正係数というようなものはどういうように変つて来るのか。又どういうふうに考えておられるのか。その点が非常に重要な点だと思うのですが、その点を詳細に御説明願いたい。
  20. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) なお詳しくは財政課長から申上げますが、要するに二百億だけ殖えて参るわけでございまするから、單位費用算定におきましても、或いは決定におきましても、或いは補正係数決定等におきましても、そういう数字をそれぞれ脹らまして計算をする、こういうことに一般原則としてはなるのでございます。
  21. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 その今までやつたのを脹らますということになつて来ると、非常に適正を欠くのじやないでしようかね。今度上げたのですから、削る分がありますから、削られるほうが非常に馬鹿を見るのじやないですか。單位費用を上げたために途中で單位費用上つたためにもらうべきものが減少するという結果になりますね。その点はどうなんですか。
  22. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 今の総額が大体二百億脹らまるわけでございますから、それをそれぞれの單位費用の額に比例的に脹らまして参りますれば、特に特定の費用が圧縮されるということはないわけでございます。
  23. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 そうすると、その差額の二百億が弱小税收入のところにまるまる行くということになりますか。
  24. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) まるまる二百億が行くということではございませんで、先ほど申上げましたように、それぞれの地方団体の必要といたしまする標準的な経費の八〇%までがまあ保障されるということに相成りまするわけでございますから、従いまして大都市におきましては、それを賄う経費がありまするならば、特に交付金がもらえないということになりますけれども、小さな団体におきましてもその八〇%程度水準の、行政を賄うのに必要な経費がもらえるという意味におきまして、七〇%の水準の、経費を賄うに必要なものをもらいまするときよりも、より余計にもらえるはずである。そういう意味におきまして、富裕な地方団体と貧窮な地方団体との間の平衡作用が現在よりもよりよく行われるであろうというところに期待いたしておる次第であります。
  25. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 もう一点伺いますが、これは立ち入つたことを伺うのですが、この八十にお上げになつたあれは、大蔵省主税局等がこういうことを非常に強く要望したのではないでしようか。その点はどうですか。
  26. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) この点は政府といたしまして百分の七十という数字を先般の国会政府原案として提案いたしまする際に、検討いたしました場合におきましても、七十にするがよいか、八十にするがよいかということはいろいろ議論があつたところであります。ただその際に平衡作用を余り強めますることの結果として、先ほど西郷さんも仰せになりましたような、何と言いますか、自由財源、いわゆる彈力性を余りに抑えることは地方自治建前から申して適当であるまいというような半面考え方もあつたわけでございまして、それで百分の七十ということにいたしたわけであります。そのことは又同時に徴税意欲にも影響する、できるだけ自由なる財源を殖やして置きまするならば、努力をして税金を取ろうという地方団体考え方を強めるであろうという考え方を持つてつたわけでございます。その後の実際の状況を見て参りまするというと、そういう面も勿論あるわけでございまするが、他面給與の改訂でございまするとか、その他各種の新らしい負担が地方に殖えて参つたわけでございまして、これはいわば動きのつかない義務的な経費として地方に課せられるわけであります。そこでそういう経費が殖えて参りまするならば、やはりそれを支出いたしまするに必要な経費だけはすべての地方団体に対して多少これを保障して参らなければならん、そのほうが平衡化趣旨にも合うし、又地方団体財政の状況にも合うことでありますから、そこでまあ八〇%にしようという考え方なつたわけでございます。勿論この案を作りまするに当りましては、大蔵省方面とも折衝をいたし、御指摘のように主税局方面には又別個の今の百分の八十にしたらどうかというような意見もあつたことは事実であります。それは百分の七十にして置きまするというと、百分の七十だけ取ればいいのだというような考え方地方団体にあるというような一つの考え方を持つた意見もあつたようでありまするが、まあそういうところもないとは私ども考えておりませんが、先ほど来申上げまするように、基本的には財政需要のその後の非常に増加して参つたということと、他面税源の偏在を調整すると、こういう両用の作用狙いまして百分の八十というふうにいたしたいと考えておるのであります。
  27. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 もう一点次長に伺いますが、今度のこの百分の八十に変更とですね、事務当局は地方税率並びに今の徴收成績等から勘案して、どういうふうに影響を持ち、因果関係があると、どういうふうなことになるか、地方税率徴收成績、それと今度の変更、その三者の関係はどういうふうにお考えになつておやりになつたのか、伺いたい。
  28. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) この基準税率を百分の七十にとるか、八十にとるかということと、この徴税意欲ということの関連でございますが、これはやはりいろいろの見方があろうと思うのであります。先ほど西郷さんも仰せになりましたように、自由財源をできるだけ殖やすと、それによつて自主的な仕事をできるだけ余計やるようにするという見地からいたしまするならば、百分の七十というような、低く抑えて置きまするほうが、そういう趣旨には合うわけでございます。ところが半面この義務的な各種の行政経費をどうしても支弁して行かなければならんという一つの要請があるわけでございまして、そういう見地から申しまするならば、やはりそれに見合いまするところの税收入をどうしてもとつて参らなければならん、従つて百分の七十という場合におきましては、少くとも百分の七十だけの税收入地方団体として取らんことには、それが欠けました場合におきましては、穴が開きまするので、どうしても百分の七十は取る、そこで百分の八十というふうにいたしました場合におきましては、そういうような意味から百分の八十という線まではやはり地方団体としても努力して取るであろうと、こういう一つの想像も可能であるわけであります。自由財源に多くを廻したほうが徴税意欲が増すか或いは保障される財源の中の問題として、そこまではどうしても取らなくてはならないというふうに残しておいたほうが徴税意欲が増すか、これがやはり見方によつていろいろ違うと思いまするし、又団体の当局者の考え方によつて非常に左右されると思うのでありまするが、とにかく百分の八十まで取らなければ、若しそれが少しでも欠ければその部分は赤字になると、こういうような建前になりまするならば、やはりそういう意味での徴税の能率というものは、若干増して来るのではないかというふうに考えております。
  29. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 さつき大臣にも伺い、又次長にも伺つたんですが、この百分の八十に上げることによつて成績の悪い弱小の団体へは少しでも多く行くんじやないかというお話でしたが、これについてはですね、果してそうなるのかならんのか、非常にデリケートな問題だし、これは言うがごとく地方の弱いほうに必ずしも多額に行くというのではなく、多少は殖えるけれども、上げるほどこれは殖えて行かないんじやないかと思うんですね、その点ですね、大臣伺つたんだが、大臣の答弁はもう全然わからなかつたのですが、事務当局からその点はどういうふうに考えておられるのか、御説明願いたい。
  30. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 財政需要と申しますのは、各種の法律なりこれに基きまする命令等によりまして、一定の水準行政をやらなければならんということが、大体七、八〇%ぐらいまでそれぞれきまつておるわけであります。従つて財政需要自体につきましては、都市と農村におきまして若干の違いはあるにいたしましても、それほど大きな開きはない、ところが半面收入のほうで申しますると、例えば非常に巨大なる固定資産があるというような市町村では、非常に税がたくさん入つて来る。又大都市等におきまして、各種の例えば事業税でありまするとか或いは法人税でありまするとかいうようなものが入つて参りまするところでは、これは又非常に税收入が多くなつて来るわけであります。で、そういうふうに財政需要方面よりも財政收入方面におきまするアンバランスが非常に多いわけでございまして、従つて両者をそれぞれ一〇%ずつ引上げて参りまするならば、財政收入のほうの偏在ということがよりよく調整せられるというふうに考えるわけでございまして、そういう見地から先ほど申上げましたように、比較的税源の少いような農村地帶或いは都市に余計廻つて行くのではないかと、かように考えております。
  31. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今のこの百分の八十の変更によつてですね、どう殖えるかという問題については、今政府考えを聞いていますが、法貴調査員あたりが非常にそれについて研究しておられると思うんですが、その意見を、今ここで御同意があれば聞いてみたいと思うんですが、如何ですか。
  32. 岡本愛祐

    ○委員長(岡本愛祐君) 只今西郷君から法貴調査員がこの問題について研究をしておるから、その意見をこの委員会で述べさしたいという御意見が出ましたが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  33. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 異議ありませんが、その前に私も一つ岡野大臣にお聞きしたいと思う、たつた一点です。いいですか。
  34. 岡本愛祐

    ○委員長(岡本愛祐君) ええ、どうぞ。
  35. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 この法律案は、結論から言うてですね、今の段階では時期尚早でないかということを思うわけです。と申しますのは、先ほどから西郷委員も言つておられますか、七十を八十にして、この自由財源を少くするというのは、それは理論的には、平衡化という点からいえば、そう進んで行くのがいいでしようが、その前提としては基準財政需要算定する單位費用の見方等が真に適正なものでなければならんじやないかと思う。それがなされておらないために、去年来各地方では地財委の見積りに対して自由財源というものを注ぎ込んで、漸く苦境を切抜けるというような状況になつておる。特にひどいのはベース・アツプに伴う費用等においては、平衡交付金自体において政府において考えた点と地財委の考え方が違つて、その開きが非常に地方財政を圧迫しておる。而も本年百九億という平衡交付金自体を切つてしまつておる、そうしてなお自由財源というものを少く見るということになつたらますますこれは圧迫してしまう。地方財政というものは非常に困つた状態になるのではないかということが私考えられるわけです。で両者相待つていわゆる基準財政需要額を見る見方が確立して、初めてこの基準財政收入のほうも引上げて行くということがいいのじやないかと思うのです。去年など風評等があつたが、平衡交付金というきまつた金額があるために、それから逆算して單位費用決定したとさえ言われておる。そういうことで実際に地方の標準的な、県なり市町村の財政規模から照らして、平衡化のために算定基礎である單位費用というものを見積つたのでないとすればなおのこと、これは非常に困つた結果になるんじやないかと思うわけで、而も私たち社会党として穿つた話をするならば、この單位費用も今後規則でやつて行く、法律化することはやめるというような点と、基準財政收入額を七十から八十に上げるということが何か関連性があるように思えてしようがない。いわゆる辻褄をその都度々々合せて行くために操作されるんではないか、この單位費用が操作されるんではないかということを考えるわけです。で結論としては時期尚早ではないか。どうもこの提案の趣旨を読んで見ても無理しておると思われるような点が見受けられるわけなんです。で私のこの意見に対して大臣の御意見をお伺いしたい。
  36. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。財政委員会の規則を実は二十六年度には法律で決定しなければならないということになつてつたのでございますが、それをもう一年延ばして頂く。こういうことになりましたことは平衡交付金の制度をとりましてまだ大した年数を経ておりませんで、皆様がたの御説の通りになかなかむずかしい問題でありまして、これをきちんと法律できめてしまうまでの自信がついていないわけなのでございます。でございますから、この財政委員会の規則というものをもう一年委員会でいろいろ実情に沿うて、そうしてうまくやつて行くというような意味におきまして、法律化することを……法律化して動きがとれないで、そうして法律化して見たところが非常に実情に合わなかつたというような欠陷を出さないために、規則でもう一年やらして頂きたい、こういうことにしたわけです。  それから片方の百分の七十を百分の八十にしたのは、それを関連があるわけではございませんで、むしろ先ほど次長から申上げましたように、平衡交付金平衡化を一歩前進させるという、こういうような意味でやつておるわけで、これとの関連はございません。詳しいことは財政課長から御説をいたせます。
  37. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 平衡化々々々と言われますが、要望に沿うだけ、地財委の要望に沿うだけ地方財政需要の増というものを認めた平衡交付金というものでないのに、平衡化ということは、それは比較しての話であつて、個々の地方公共団体財政というものはこのことによつて非常に追い詰められたところに行くんじやないかということを考えるわけです。それは理論的にだけ或る程度押付けた平衡化ということは行えるのでしようが、現実の財政はどうなるかということが我々としては心配なわけなんです。再三申上げますが、国からもらう部分がどこの町村でも足らないという恰好で困つておるのに、それに自由財源を苦労して充てて、この急場を凌いでおるのに、その分が少くなるような結果になつて、国から流し込むものが十分流れないということは、これは困つたことではないだろうかと、こういうわけなんです。
  38. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) これは御説の通りでありまして、先ず問題は二つに分かれると思います。千二百九億なければ立つて行かんという財政委員会の要望がありまして、それを百九億中央財政の状態から切つた、そのために地方が困つておる。これが一つの問題であります。でございまするから問題は財政委員会言つておる通りに百九億中央財政が出せばこれは結構なんです。けれども出せないという点において地方財政が非常に困つておるということは、これは認めます。事実でございます。そこで今度は百分の七十を八十にしたことと、その百九億切つたこととは関連がありますけれども、併しそれなら百九億切られた後に、そのあとの平衡交付金をどうするかの問題、それにはやはり非常に困つたところに少しでも余計に行つて、少しでも楽なところはほかの方面に廻してやるというようなことにしたほうが、やはり平衡交付金平衡交付金として使うのに工合がいいのじやないかというので百分の八十にした、こういうことでございまするから、問題は分かれております。でございますから結局御説の通りに、地方財政委員会の要求通り中央財政が百九億出してやつて下さつても、若し百分の七十を百分の八十にすればやはり同じような結果が起きまして、非常に困つておるところへは少しでも余計行く。それから又余り困らんところへはそれだけ少く行くということになりまするから、やはり平衡化ができるわけでございますから、それとこれとは二つの問題だろうと思います。
  39. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 最後にそれじや奧野さんに地財委のほうの財政課長としてお聞きしたい。自治庁の財政課長ではなくしてお伺いしたい。この法案に対して地財委においてはどういう意見があつたお話願いたい。
  40. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 昨年地方財政平衡交付金法を立案するに当りまして、いろいろな考え方があつたわけでありますけれども、地方財政平衡化を進めるためには、税收入を一〇〇%把握すべきではないか、こういう考え方が有力にあつたわけであります。各地方団体財政需要を測定いたしまして、更に財政收入を測定いたしまして、その差額平衡交付金として交付するわけでありますから、各地方団体財政需要を個々に的確に把握いたしまするならば、この法律の理想から言いまして、大臣先ほどお話になりましたように收入も一〇〇%と見るべきであろうと思うのであります。併しながらこれに対しまして地方財政委員会といたしまして持ちました考え方は、若し税收入を一〇〇%計算に入れるということにいたしますと、税收入を測定いたします際に、各地方団体が現実に課税いたしました額というものを基礎にして計算せざるを得ないものが非常に多いだろう。そういたしますと一生懸命に課税対象を把握いたしまして、税收入を挙げました団体はそれだけ交付金を少ししかもらえないということになつてしまうわけでありますから、徴税意欲を阻害するだろうということを第一に心配したわけであります。そこで税收入は七〇%しか計算に入れない半面に、その程度だけ財政需要も切下げて、全体について測定しなければならないということになつて参るわけであります。ところが一年間この結制度を運用いたして参りました果、現実の個々の団体の課税額基礎にしないでも、相当多くの部分につきましては、客観的な測定方法があるということを発見して参つたわけであります。そうするのならできるだけたくさんな收入を計算に入れたほうがこの制度の理想にかなうのではなかろうかというふうに考えておるわけであります。例えば遊興飲食税の額を把握するにいたしましても、一面には遊興関係の業者に国が課しましたところの所得税の課税標準額を基礎にとつております。もう一つには、これらの業者の数を法人経営のものと個人経営のものとに分けまして基礎にとつておるわけであります。こういうふうなものを基礎にして測定して行くのなら、何も七〇%を把握しないでも場合によつては全額を把握いたしましても、必ずしも徴税意欲を阻害するということにならないわけであります。これが第一点であります。  第二点は、今までは個々の地方団体財政需要を測定するというふうなことは少しもやつて参らなかつたわけであります。地方財政を調整する制度といたしまして、地方配付税制度というものがあつたわけでありますけれども、この場合におきましても課税力が全国平均よりも少い団体にはそれだけ多く行くように配分しておりましたけれども、課税力というものは山の中の農山村の課税力も、或いは東京や大阪の大都市におきますところの課税力も同じに見るべきではないだろうと思うのであります。言い換えれば、課税力が不足しておるから不足額を補わなければならないという場合の課税力は、同一に見るべきではないだろうと思うのであります。併しながら地方財源の徴税制度として地方配付税制度をとつておりましたときには、やはり同一に見ておつたわけであります。言い換えれば、余り個々の地方団体財政内容に深入りしたような徴税制度は避けなければならない。それによつて個々の地方団体の自主的な財政運営というものを成るべく尊重して行かなければならない、こういう考え方を堅持して参つたわけであります。併しながら地方財政平衡交付金制度におきましては、何百種類という個々の、国からの補助金を通ずる関渉を一挙に断ち切つてしまいたい。かたがた半面個々の地方団体の必要な財源というものは完全に確保されるようにして行かなければならない、こういうところから一万有余の個個の地方団体につきまして、現実に必要な財政需要というものを測定して行かなければならないことになつたわけであります、言い換えれば、地方財政につきまして革命的な変化が加えられた年が昭和二十五年度であります。未だ曾つてない一万有余の個々の地方団体の個々の財政需要を測定いたして参りますというのは大事業であります。これを我々は個々の地方団体に現実に適応した財政需要というものを一挙に把握できるだろうかどうだろうかということにつきましては、非常な不安を持つてつたわけであります。併しながらいろいろ運営いたして参りますと、大体甚だしい不的確なことのない程度に測定することが可能ではなかろうかという自信を持ち始めたわけであります。最初に申上げましたように非常に不安でありましただけに、不的確な形において或いは教育費、或いは土木費、或いは衞生費として測定されたものが、それが個々の地方団体が則るべき財政需要として、言い換えればその団体が編成すべき予算の項目として考えられてはならないという気持を持つたのであります。不的確に測定されましたところの個々の衛生費、個々の土木費というものが、その団体財政規模、或いは予算の編成に当りまして、そのまま基準となるようなことになつてしまいますと、甚だしい不当な行政が行われて来ることになるわけであります。而も又個々の地方団体につきまして土木費が幾ら、或いは警察費が幾らというふうな金額が出て参りますと、それぞれに関係する人たちからどうしてもその程度の額までは予算に計上しないと承知しないというふうな問題も生じて来るわけであります。そうすればこのような自信のない財源需要の測定なら、標準的なものよりもできる限り少い金額、言い換えれば必要最少限度にとどめる必要があるのじやないだろうか、言い換えればできる限りこれを最少限度の財政需要として測定して行く代りに、若干のものをプラス・アルフアとして残すべきではないか、必要最少限度のものとして測定して行きますなら、そこに若干不的確なものがございましてもプラス・アルフアとして残されました財源を以て足りない部分は補う、若干多いものは或いはそのままでもよろしいでしようし、僅かなものは調整も可能だろうと思うのであります。そうするのならプラス・アルフアとして残すための財源考えて行かなければならんわけであります。そこで財政收入は全額を把握いたしませんで、七〇%にとどめたいというふうに考えたわけであります。併しながらこの欠陥も、一年間の運営に徴しますればそう甚だしい不的確もなく測定して行ける、更に二十六年度におきましては一歩的確性に近付けて行くことが可能であるというふうなことを考えたわけであります。それなら地方財政平衡交付金制度の持ちますところの理想に、一歩々々近付けて行く意味合いにおいて基準財政收入七〇%として計算いたしますものも八〇%に引上げたほうがよろしい。これが又逆に全地方団体におきまして先ほど次長からいろいろお話がありましたような財政需要の増加があつたわけであります。半面に又、地方税法の改変におきましては若干税源の偏在するものが出て参つております。例えば市町村税について申上げますと、新たに法人税割を課することにいたしました。現に固定資産税がかなり偏在しておるわけであります。これにつきましても若干研究問題が残つておるわけであります。その上に、更に法人の所在いたしますところの市町村におきましては法人税割が加わつて来るわけでありますから、従来の持ちました偏在性が一層強化されることになつてしまうわけであります。税收入が偏在するということは平衡交付金制度の下におきましては、基準財政需要額から基準財政收入額を控除いたしましたものは交付金であります。ところが偏在する団体におきましては、この基準財政收入が大きいわけであります。大きくなつてつて参りました税源というものは、他の団体では使えないわけであります。言い換えればそれだけ無駄が生じて来るわけであります。この無駄を少しでも少くしようとしますなら、基準財政需要から控除いたしますところの基準財政收入が標準税收入額の七〇%でありますよりは、八〇%にいたしましたほうが、無駄の生ずる生じ方というものは少くなつて来るわけであります。この面からもやはり七〇%を若干引上げなければならないというふうな問題が生じて参つたわけなんでありまして、私はこれは税種の一面を取つて申上げたわけであります。地方税全体に対しまして若干その嫌いが生じて参つておりますのは事実でございます。こういうふうなものを総合的に考えました結果、先ほど西郷委員から縷々おつしやいましたことも一つの形式であります。我々もこの両案につきましていろいろ考えたのでございますが、只今私が申上げましたような意味合において、現に提出いたしておりますところの案を最善と考えたわけでございます。
  41. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 私聞いておるのは、地方財政委員会の委員のかたがたは最善のものとしたのがどうかです。
  42. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 地方財政委員会におきましても七〇%方式を継続すべきだという意見を持つておる人と、八〇%方式をとるべきだという意見の人と二つございますが、併しながら結論として八〇%方式に引上げるというふうなことになつたわけであります。
  43. 竹中七郎

    ○竹中七郎君 今の問題で私はちよつとお聞きいたしたいのでございまするが、第一に私こういうふうに考えるのでございます。内閣において平衡交付金を千百億にすると……、先ほど長官も申されました通り財政委員会では千二百九億、こういうふうになつております。そこで百億ばかり足らない。又起債のほうも財政委員会のほうではまあ二百七十億くらい殖やせというやつをやつた、こういう問題が起つて参りましたので、このバランスをとるために大蔵省が今の七十を八十にしたほうがいいのじやないか、そうすれば二百億ばかり出て来ると、こういうところでしぶしぶやられたのを、今理窟付けられて無駄ができるとかいろいろなことを言つておられますが、そういうふうに私は考えられるのですが、そうじやないかどうか、この点を一つ先ずお伺いしたい。
  44. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 竹中さんのおつしやいましたようなことが八〇%方式の結論になつたわけじや全然ございません。
  45. 竹中七郎

    ○竹中七郎君 この税制改革は、この二十五年度からいわゆる革命だとあなたは申されましたが、この革命をやりまして、まだ一年そこそこのもので、又その内容を変えるというそんな不見識なことを財政委員会がおやりになることが先ず問題で、無駄という問題は、これは私もまあ平衡化する、地方財政の、各都市を平衡化するということはいいが、平衡化するために私はこの予算委員会でも申しましたが、中ぐらいの都市は非常に困る。現在日本の中小都市或いは府県というものが漸く育成されたところにおいて、こういうふうにして中ぐらいの都市をいじめるようなことばかりをおやりになりまして、本当に健全なる中小都市、いわゆる地方自治体を育成するということを逆に逆にとやつておられるように私は考える。この点についていわゆる貧弱と申しますか、そういうかたがたを助けるためにいい、本来又非常に收入のあるところはもらわないのでありますから……、併しこういうふうになりますと、結局平衡交付金がもらえない、今までもらつてつたのがもらえないようになる都市、或いは市町村が非常に多くなつて来るのです。そこに又いろいろな不便が出て来まして、何とかかんとかやらなきやならんというようなわけになつて、まだ一年もたたんのにこういうふうなことを考えられるということが私は非常に問題であつて、本当は腹の中ではあなたは、結局大蔵省の主税局の問題を、この百九億或いは起債というものができないから仕方がない、辛抱したということに私は考えるのでありますが、こういうことはどうですか、長官……。
  46. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) それは絶対ございません。それは財政委員会平衡交付金平衡化を図るための理想に一歩々々近付けて行きたいと、こういうような考えであつて大蔵省の圧迫とか、大蔵省からそういうことを言われてやつたということには承知もしておりませんし、そうでないと思います。
  47. 竹中七郎

    ○竹中七郎君 もう一つ、二十五年度の徴税成績はどんなふうになつておりますか。横浜の、神奈川の成績を見まするというと、平均いたしますというと、普通税が五一%、事業税が四〇%、遊興飲食税が五六%、入場税が七五%というふうになりまして、八〇%に行つておりませんが、全国的なものをお調べになつたことがありますか。
  48. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 地方税收入のうち、府県税につきましては毎月報告をとつておるわけなんでありまして、確か一月末現在の数字が出ておつたと思いますが、今私覚えておりませんので、あとで資料としてお届けするようにいたしたいと思います。ただそのうちで入場税のようなものは、これは毎月々々前月の徴收分を納入しておりまして、非常に成績が上つておるようであります。遊興飲食税につきましては、多少遅れ遅れしておりまして、その結果二十五年度分が四月、五月に入つてから相当な部分が納入されるというふうな結果になつて来ておる部分が多いようであります。それで十二月末までの数字で確か四五%内外じやないだろうかというふうに私記憶いたしております。
  49. 竹中七郎

    ○竹中七郎君 それからもう一つだけ……。七〇%でやつておるというと、無駄ができる、この無駄というのはどういう無駄でございますかね。これをちよつと……。
  50. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 基準財政需要額から基準財政收入額の七〇%を控除したものが交付金であります。その際は税收入の多い団体でありましたら、基準財政收入額の八〇%をとつた場合にはマイナスが出て来るけれども、七〇%をとつた場合ならプラスが出て来るというふうな変化はあるだろうと思うのであります。でそういう種類のみならず、逆に基準財政收入が多いために、交付金交付にならないというふうな団体におきますところの基準財政需要額を超えるような税收入というものは、その団体財政需要が若し的確に測定されておるものでしたら、その団体には不必要な財源が與えられておるという結果になるわけでございますので、その部分が無駄にならざるを得ない、無駄と言わざるを得ないというふうな考え方を持つておるわけであります。
  51. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今のに関連するのですが、さつき奧野君の説明で無駄な金がある、そういうふうなものに役立つと言われるけれども、それは数から行けど極めて少いのであつて、その調整方法いうとうものは平衡交付金でなく、ほかにその運用の措置はあると私は思う。例えば固定資産税が小さい村では非常な、サゼツシヨンがあるために、歳入に多大の変化を来たしたために、無駄な金が出るということも現実にありますが、その運用の方法は別途講ずべきであつて、むしろ財政收入が多いために、余剰があるというふうなところには平衡交付金は関係ないのではないですか。
  52. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 現在固定資産税につきましては、西郷さんのおつしやつたようなやり方をいたしておるわけでありますけれども、個々の具体的の税收入をその団体から取上げまして、他の団体に配分するということになりますと、必ずしも客観的な基準で取上げることもできませんし、必ずしも又客観的な基準で、関係の地方団体に配分するということにもなりませんので、非常に中央政府地方行政自体に干渉するという非常な圧迫を加えるというような感じがするのであります。でありますから、ここで資産税につきまして取つておりますこういう方法で、成るべくなら避けたいというふうな気持を持つておるわけであります。それから無駄の問題でありますが、先ほど竹中さんに申上げましたように、基準財政需要額から基準財政收入の七〇%を控除した場合にはプラスになるけれども、八〇%を控除した場合はマイナスになるというような団体が若干あるだろうと思うのであります。たまたま今度の地方税法改正で、税源が偏在するという場合が若干あるであろうし、單に税制の改正のみならず、我が国の、朝鮮動乱を契期といたしますところの産業界の変化に伴いましても、この傾向が顯著になつてつているわけであります。殊に法人が非常な増收を挙げております。法人企業の所在しておりますような団体というものは、限られた団体であります。この面からもやはり若干平衡交付金制度について考慮を加えて行かなければならないのじやないかというふうなことも予想されるというふうに考えておるわけであります。
  53. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 更に伺いますが、今一般予算において国家財政においても御承知通り、予算委員会、本会議等においても、今の二十六年度予算では、これは到底本年度のうちには遂行できない、公共事業等の計数を少くし、量を少くしてやらなければ、これが現在の物価情勢と睨み合したときには、到底今の政府案では駄目ではないか。これは全くその通りであつて、何人でもそう見ておるのですが、そういう今の情勢にあるときに、こういうふうな百分の十を上げるということは、実に時期も悪いし、そういうことをすべきではないのです。むしろ国民の懷ろは苦しいのですから、地方税税率引下げて、一般的に、一様に地方税が取り易いようにしてやつた後に、こういうことは順序としてやるべきであつて、今日は減税々々と吉田内閣は言うが、物価はうなぎ上りに上つて来て、今日主婦の連中、例えば主婦連合会なんかも非常に調査をして、この間も話を聞きましたが、どうも日用品に至るまでぐつと上つてつて、非常に国民は、今インフレに悩みつつある。そういう際に、税率のことを考えないでおいてこういうふうな責任回避的な意味から、こういうふうなことをなさるということは、どうも私は如何なる方面から考えて見ましても、政府の出したこの案は不適当なものである、そう思わざるを得ないので、失礼だけれども年々、配付税から平衡交付金になつても、大蔵省では非常に風当りが強いから苦肉の策というか、責任の回避というか、そういう点については大蔵省も大いに尻押しをして、責任回避のために、こういうことをやつたようにとれるのですね、失礼だけどもそういうふうにとれるので、そういうふうな責任を回避するばかりが能ではないのであつて、我々はもつと大臣初め努力して頂きたいのは、何内閣の何々大臣と取つ組み合つて、ああいう馬鹿げた削減をされないように、みずから政府自体がそういうようなことをやつた後に、そういうことをされるのならば話はわかるが、大蔵大臣に歯が立たんので、大削減を喰らつてつて、それをほつたらかして、こういうことをやるような順序がわからない。自治庁長官としてなさることは、地方財政委員会のいう通りに、平衡交付金を取ることに努力すべきであつて、それはさておいて、その責任回避の手段としてこういうことをやられる。地方税率引下げに対しては、さつきの御答弁には反対であります。そういうふうな考えは、少くとも地方公共団体財政考える上に甚だ当を得ざるものである、そういわざるを得ない。そういう点をさつきから申上げたのでありますが、どうも地方財政委員会といい、自治庁といい、こういうようなことに大いに理窟をつけて、その理窟も奧野君なんかの理論としてはわかりますが、現実は理論でいう通りに行かないのであつて、もう少し全体的に徴税成績が上つておるのならいいのですけれども、非常に悪い時に以て来て、八〇なり八五なりに上つたものはそうたくさんにはない。それをすぐ変更して取上げてしまうということは、自治庁とか財政委員会のすべきことではない。もつと政府としてやるべき平衡交付金なりを合理的に取る、そういうことに力をいたすべきであつて、それをほつぽつておいて、そういう勝手なことを一方でやるということは、取りも直さず地方が困る、結局国民が困る。利益は並べ立てられるけれども、利益は極く僅かだ、弊害のほうが大きくて時期が悪いです。こういうことをやるのは。(「答弁の必要はないよ」と呼ぶ者あり)
  54. 岡本愛祐

    ○委員長(岡本愛祐君) それでは法貴調査員。
  55. 法貴三郎

    ○調査員(法貴三郎君) 大体の論点は、各委員の御発言によりまして出盡したようでありますから、ただ結論的に一二考えて見るべき点と感ずる点を申上げます。この平衡交付金算定について、百分の七十を八十に上げるということは、現在の百分の七十による基準財政需要の額と、地方団体が実際に必要としている一般財源による義務的な必要経費、それとの比較、差額、そういうものを考える。次に百分の八十に上げました場合における基準財政需要額と、地方団体一般財源による義務的必要経費との比較を考え、その関係において自由財源としての百分の三十と百分の二十との関係を考えるという点が、一つの要点になるのではないかと思います。つまり現在の平衡交付金によりまする基準財政需要の見方が非常に低いので、地方においてはその財政処理上、義務的必要経費に甚だしく不足しますので、又政府財源措置がございませんので、百分の三十による自由財源相当充当してやつて、やつと切り抜けておる状況であります。これは百分の八十を基礎にすることによりまして、單位費用その他がわかりますから、基準財政需要額は若干殖えるようでございますけれども、なお地方が実際に使つておりまする一般財源による義務的な必要経費をカバーするまでには至らないであろうと思うのであります。そしてその場合に、残りの自由財源というものは、標準税率によりまする税收の百分の三十から百分の二十に減るわけでございますから、そこの自由財源の不足によりまして、地方団体財政というものは、やはり非常に困難を感じるということが起るのではないかと存じます。併せてこの百分の八十という基準をとりますことについては、地方団体の税の徴收率如何ということを考える必要があるのでございますけれども、これは地方財政委員会標準税率によりまする税收の額というものは、課税対象の把握率を何%と抑え、その抑えました対象について更に徴收率何%と抑えまして、大体の税額算定したものでございますけれども、これは税によりましては、推定によるものもあり得るわけでございまして、実際の地方団体が取り得る税額というものは、その団体の税務機構によりまするところの調定額の何%ということが実際の基礎になるべきものではないかと思うのであります。そして例えば各府県の決算を見ますと、大体においてその団体の税の徴收率というものは、その年度の調定額の八四、五%内外ではないかと思うのであります。でありまするから地方団体自由財源の額というものは、税による部分というものはそう多くないのでありまして、この百分の七十を八十に上げるということで、地方財政は更に困難を加えるのではないかと思うのであります。更に物価の騰貴ということもございまして、こういうやり方をしては、昭和二十六年度というものは二十五年度におけるよりも地方財政の困難を増すのではないかという感じがいたす次第でございます。その具体的な例といたしましては、最近神奈川県において本委員会の各委員が御調査をなさいましたけれども、その神奈川県の提出いたしました数字におきまして、平衡交付金による基準財政需要の見方が実情に合つているものは教育経費だけでございます。これは文部省が義務教育費の国庫負担法というようなものを出した関係もございまして、地財委のほうとも或いは了解があると存じますけれども、府県の支出いたしまする小学校、中学校の教員俸給、これについては大体必要額の九五%ぐらいを見ておる。そうして府県においても一般財源によつて支出いたしておりまする金額は、大体財政基準額に近い数字で進んでおるわけでございます。その他の数字はすべて基準財政需要額を遥かに上廻つておるのでございまして、例えばこの神奈川県の提出いたしました資料によりますると、平衡交付金法に基く基準財政需要額というものは二十九億七千三百万円になるけれども、一般財源による義務的の必要経費というものは四十四億になるのである。そしてこれについての財源というものは、大体あらゆる財源を動員して一般財源として三十八億しか予定することができない。つまり二十六年度においてはこの必要な義務的経費だけについても、すでに六億の赤字財政となる勘定である。そして更にこの百分の七十を八十といたすことによりまして、現在の單位費用その他は変えませんで、そのままで計算いたしますると、神奈県の平衡交付金の配付額というものは、恐らく一億円近くの減額になるのではないかと思うのであります。要するにこの百分の七十を八十といたしますことは、交付団体の数を増すということでございまして、現在の平衡交付金制度について言われておる一つの大きな主張というものは、基準財政需要の見方が少いから、現在のように財政收入額との差額を單に配付するにとどまらず、あらゆる団体に少くとも若干の平衡交付金的なものをくれるようにして欲しいという希望が強いのでございます。これは結局において平衡交付金制度による單位費用その他の計算によりまする基準財政需要の額というものが、地方団体財政の実情に合つていないということでございまして、そして今度の改正によりまして、交付団体の数を殖やすということは、要するに中間的な規模の団体、府県においては神奈川県或いは福岡県、埼玉県のような県、都市においては大都市、小規模な町村を除く中間的な都市におきましての犠牲において、他の団体平衡交付金を賄うということになるのではないかと思うのであります。更に根本的な問題といたしましては、平衡交付金制度の單位費用その他の計算におきまして、これは誰の責任でもございませんけれども、客観的に標準的な団体の規模によりまして、單交費用その他を計算して、あらゆる団体に一応の適正な行政規模を與える。財源を與えるというふうな根本的な制度をとつておるにかかわらず、その標準がはつきりいたしておりませんし、且つ財源の不足によりまして、法律が目的といたしておりますところの所期の目標を貫徹することができないことになつておるわけでございます。こういう意味におきまして、百分の七十を八十に上げるということは避くべきことと存じますが、更にもう一つの点は、平衡交付金算定單位費用その他の基準は、過去一年間を通じて地方財政委員会の職員が努力し、あらゆる試算を試み、一応の結論に達し、そうしてこの一年の成果によりまして、つまりこの一年間の税收その他の見合い、或いは事業の見合いによりまして、その是非についての一応の結論が出ようといたしておりまするときに、更にこの基準を百分の七十から八十に上げまして、このことによりまする單位費用の増加その他によつて、技術的な数字の変更を試みるということは、これは地方団体財政全体に利益があるまいという感じがいたす次第であります。大体簡單でございますが……。
  56. 高橋進太郎

    ○高橋進太郎君 ちよつと政府委員にお聞きしたいのですが、私は平衡交付金の今回の改正は、どうも今調査員の調査で、要するに平衡交付金の現在足らないという、そういう実態を抑えている調査じやないかと思うのです。で問題はそこにあるのじやないので、こういう平衝交付金制度を作つたときの各県なり各町村なりの、言い換えれば税收入のあり方と、その後いわゆる金へん景気、或いは糸へん景気といつたような一つの特殊な特需なり、或いは景気変動によつて、而も現在の地方税というものは都市偏重であり、必ずしもこういつたような事態を予想していない税收の配分になつておるわけです。従つてこの平衡交付金制度、或いは新らしい地方税法を作られたときの各府県の税收入と、現在こういう或る意味の一つの特殊な経済状態から見て、各府県なり町村なりの税收入の変化割合というようなものが、恐らくこの法案を作らざるを得なくなつた一つの理由だと思うのですが、そういう点についての研究をせられたかどうか。言い換えるならばあの新税法をば作り、税法自体もいろいろ非難があり、又問題のあるものを内包するのですが、ああいつたような地方税法そのものに根本的に問題は残つておるのですけれども、この現在の地方税法というものが、いわゆるこういう一種の景気変動において非常に税收入というもの、各地方団体税收入というものが非常にでこぼこを来たす。従つて、困窮するところの今の状態であるならば、困窮するところの町村は非常に困窮する。従つて比較的いいところは、現在七十でありますから三十だけが自由財源になつて、そういうものは非常に楽になる。こういうので、言い換えれば税收入の変化が、前と現在とではやはり非常にその差異が来ていると、こう思うのです。これは一つの挺子入れと申しますか、若干の調整機関として役立てようと思うのですが、その辺の調査のほうの一つ御見解をお聞かせ願いたい。
  57. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) その点は、極く概括的に考えておりますが、まだ詳細な数字的な結論は出しておりません。ただ私の考え方といたしましては、現在の平衡交付金單位費用その他によりまする標準財政需要の見方というものが非常に低いから、そういう特需景気その他によります若干の税收というものがございまして、現在の財政收入の増加ということがあり、そうしてそれが大きくなりましても、それは平衡交付金の上に、基準財政需要の上に出過ぎたということで、直ちに財源として多過ぎるのだということにはならないのである。こういうふうに考えております。
  58. 高橋進太郎

    ○高橋進太郎君 どうも私は調査員のあれは、どうも平衡交付金が足りない、その足りない実態、その問題から現在の公共団体の実態との関係を論ぜられておるので、問題はそういう実態的な問題じやなくて、調整上の問題だと思うのです。従つて私が申上げたような現在の平衡交付金或いは税法、即ち二十五年度の各公共団体税收入の一種のバランスと、それから二十六年度で予想されるバランスとにおいて非常な食違いと言いますか、変動があるように思われるのでありますが、その辺の御調査について若し政府委員のほうに何かありますれば……。
  59. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 税收入昭和二十六年度において一層偏在して来るということの調査はないかという意味でございますか。
  60. 高橋進太郎

    ○高橋進太郎君 ええ。
  61. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 現在二十六年度税收入の見込として提出しております中でも、例えば事業税につきましては約六十億円の自然増收というものは認めます。御承知のように事業税というものは、従来は原始産業にも課税しておつたわけでありますけれども、二十五年度からは原始産業の分はなくなつたわけであります。言い換えれば商工業部面においてのみこの收入が得られるわけでありますが、それにつきましては、他の部面には見られないような多額の増收を予期いたしておるわけでありまして、そうした面から言えば、そういう地域においては收入が非常に増加しておるということが言えるだろうと思います。或いは又入場税や遊興飲食税につきましても自然増收というものを挙げております。自然増收を特に挙げておりますのはこの主税だけでありましで、この主税はいずれも非常に偏在する性質があるということは十分御了解頂けるところだろうと思います。
  62. 高橋進太郎

    ○高橋進太郎君 それじや專門員にお願いしたいのですが、いわゆる非常に変動の多い遊興飲食税と入場税と、それから事業税の二十四、二十五、二十六ぐらいの比較表を一つ出してもらいたいと思うのです。それから公共団体でも、都市とそれから町村分について……、都市とそれから村の中庸的なものと、それから辺鄙なものというような工合に一つ何か三段階にでも分けてお調べ願いたい。
  63. 法貴三郎

    ○調査員(法貴三郎君) 御希望の数字はできるだけ揃えるように心掛けます。ただこちらは手もございませんし、そういう統計数字を收集するとしても組織も欠けておりますから、どの程度のものができるかは一応実行して見ないとわかりかねると思います。それからなお只今お話がございました自然増收、特需景気による事業税等の増收ということがございましたが、それは若し税收の増加ということがございますれば、それ自体が自然的な平衡作用と相成るのじやないかということを考えてよろしいと思います。
  64. 岡本愛祐

    ○委員長(岡本愛祐君) 先ほどの調査員の意見に対しまして、政府委員に若し意見がありますればお述べを願います。
  65. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 平衡交付金基準財政需要額算定について神奈川県の例によつても実情に適合していないというふうな御意見がございましたが、これについて若干御説明をしておきたいと思います。例えば教育費は九五%もその団体の予算額を充足しているけれども、その他の経費は非常に低いというお話がございました。我々は個々の団体基準財政需要額を測定して行きます際に、現実の所要額の一律に八〇%、一律に七〇%というような測定の仕方をすべきものではないと考えているのであります。どの団体におきましても、どうしてもこの程度のことはやらなければならないというような財政需要は、成るべく完全に充足するような測定の仕方をし、他面その団体が時々いろいろなことを勘案しながら、彈力性を持つた運用の仕方をやれるようなものにつきましては、或る場合においては土木行政に重点をおいて行く、或る場合においては警察行政に重点をおいて行くというふうなやり方のできるものにつきましては、全体的に相当削減されても止むを得ないのじやないかというふうな考え方を持つているわけでありまして、そういう意味合いから教育費、殊に義務教育費は一〇〇%充足するということを目途にして基準財政需要額を測定しております。全体として財政需要額の八〇%に満たない程度しか基準財政需要額として測定して行くことができませんから、一〇〇%に近い財政需要の測定の仕方をする部分がございましたら、他の部分におきましては七〇%、六〇%に下る測定の仕方をしなければならないということを先ず御了承願いたいと思うのであります。  もう一点は、従来は個々の地方団体は予算の編成を思い思いにやつて来たわけであります。税收入も決して平衡化的なことは考えられずに、そのまま付與されて参つたわけであります。従つて例えば青森県とか、岩手県とかというところの現実の予算の編成の仕方とか、或いは東京とか神奈川県とか、大阪というところの予算編成の仕方との間には非常な差がございます。更に言い換えて見ますれば、なすべき文化施設が青森県や岩手県においては行われていないでありましよう。又東京や神奈川や大阪府におきましては、なすべき文化的な施設の平均を超えて行なつているということが言えるかも知れません。それでは、基準財政需要を測定する場合に、現実の予算額をとるか。あるべき財政需要額をとるか、ここに非常なむずかしい問題があるわけであります。併しながら昭和二十六年度においてとりました方式は、現実の予算額を基礎にすべきではないという考えでありました。併しながら同時に一挙に、青森県や岩手県の施設も、東京都や神奈川県の施設も同等でなければならないという、それから算出されるところの財政需要額であつてもならないと思います。言い換えますれば、過渡的な措置といたしまして中間案をとつたわけであります。将来におきましては、その地帶々々におけるところのあるべき施設に見合つた財政需要を測定するように持つて行かなければならないと思います。併しながら地方財源というものは潤沢ではございませんので、どうしても現状基礎にして與えられた財源平衡化方式において配分することを考えるわけでありますから、中間的な方法をとらざるを得ないと考えたわけであります。この点も御了承願いたいと思うのでありまして、基準財政需要額がその団体に不適合であつたかどうかということは、全地方団体を通じて考えて、大体においてこの辺でよろしいのかどうかということしか言えないのではなかろうかというふうに考えておるわけであります。又そういう考え方の下に運用いたして参つておることも御了解を願つておきたいと思います。
  66. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 もう一点伺いますが、先般も愛知、富山に参りましたが、両県ともこういう平衡交付金制度はやめてもらいたい、特別平衡交付金なんかも大いに期待しておるけれども、災害があつたり、そういうところには行きますけれども、そういうようなことがないような所にはもう一文も来ないようである。そういうような制度よりも、むしろ昔の配付税、配付金の制度のほうが合理的な計算によつてやるのだから、あのほうがいいというような意見も持つておるところもあるのですが、今度七十を八十に上げることによつて、更にそういう考え方を殖やすような結果になるのではないかと思うのですが、その点はどうですか。
  67. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 地方財政平衡交付金制度につきましてもそうでありまするし、基準財政收入を七〇%から八〇%に引上げる問題についてもそうでありますが、個々の地方団体間において利害が相反しております。従来財政の非常によかつた団体におきましては、地方財政平衡交付金制度というものは当然好まないと思つております。それは従来なら人口に応じて半分を交付し、課税力の差において半分を交付するというようないたし方をして参りました関係上、人口が存在いたします以上、富裕な地方団体におきましても若干の地方配付税を受け得たわけであります。併しながらどうしても全地方団体を通じまして、あるべき施設は行えるようにして参りたい。而も限られた財源で以てそのような方法を講じて参りたいということで考えて参りますれば、富裕な地方団体は成るたけ地方財源的なものをもらわないようにしてもらうよりいたし方がないのではなかろうか、地方財源というものが相当余裕があつて、若干ロスが出てもかまわないというような状態に置き得るように、我が国の経済そのものが回復し、発展いたして参りますならば、私は今の平衡交付金制度をあえて採用する必要はないだろうと思います。併しながら経済の現状からいいまして、どうしても與えられた地方財源というものを、最大限度に活用いたすより仕方がないという場合には、この平衡化方式を採用せざるを得ないのではなかろうか。こういうように考えておるわけであります。基準財政收入の測定を七〇%から八〇%に引上げることによりまして、今お話の愛知県でありますとか、神奈川県でありますとかいうふうなところは、特に基準財政需要を動かさない限りにおいては減少するという結果になるわけであります。青森県や岩手県におきましては、若干増額されるという結果になるわけであります。併しながらこれは基準財政需要の測定の仕方に何ら変更を加えないという前提の下においてであります。併しながら基準財政需要の測定の仕方というものは、やはり逐次改善を加えながらその団体の実情に最も適合したように工夫をいたして参りたいと考えておりますので、結果においては果してどちらに変るかということは、私は断言できないというふうに思つておるわけであります。
  68. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今のお説はわかりますが、それはそういうお説を肯定する前提として百分の七十であろうが、百分の八十であろうが、今のお説はわかるが、それを肯定する前に先ず政府考え方の誤りを質す必要があるのではないか。小野政務次官も仰せられたように、何とか見てやるべきものを、大蔵省国家財政の犠牲のためにそれを半減して見たり、勝手に切る、そういうようなことを一方に政府がやつてつて、それはそのままとしておいて、如何にこういうものをひねくつて見たり、理論的に立派な考え言つても、それは地方にとつては実に迷惑であつて、それを肯定する前に先ず出るものはやるということがなければ、私はもう問題にならんと思うのですよ。こういう制度があるにかかわらず、細かい計算をして算定しても、政府国家財政の立場から勝手に切つてしまうということを由自自在にこれをやらしておく以上は、こんなことをやつたつてこれは全く地方は有難迷惑だと私は思う。こういうことをやる前に、やはりやるべき平衡交付金は全額やるというそのことが、こういう制度を作つた以上はそれを確実に政府が実行して、而してあとにほかのいい考えも肯定はできるけれども、ほかのことはさておいて、あれはあのままに勝手に切つてしまう。それが行われる以上、私は地方はだんだん政府の言うことを信用しなくなると思います。そういう点を格段の努力をして頂くことが先決問題だと思うのです。そういう点について例えば奧野君にしても、鈴木次長にしても非常に地方財政に詳しいのだが、根本的に誤つた考え大蔵省が持つている。誤つた推計表を作つて地方財政考えることは、それを何とかして政府努力して調整しない限りは、私はどんなものを考えても駄目だと思います。そういう点について岡野国務大臣とか、地方財政委員会というものは何かそういう点を是正するというようなお考えはないのですか。
  69. 小野哲

    政府委員(小野哲君) 先ほど来今回の改正法律案につきまして、いろいろ事務当局のほうからも御説明申上げたのでありますが、只今西郷さんからお話の点につきましては、全くその通りのお考え方と思います。先ほど岡野国務大臣からも御答弁申上げたことと思いますが、勿論平衡交付金総額の確保自体についての努力をやつて行かなければならんということは私も同感であります。ただ今回の改正法律案基準財政收入額算定する場合の基準税率のパーセンテージを上げるということについては、一つの又理由があり、これによつて少くとも平衡交付金制度の運用の上に一歩前進を進めて行くという、地方財政委員会の運用上の見地からの考え方ということにつきましても、私は是認し得るものと思うのであります。  なお地方財政の実態の抱握が何よりも大切でございますので、実は地方財政委員会の委員諸氏とも種々協議いたしまして、できるだけ早い機会に、且つ又できるだけ的確な資料を、この目的を持つて地方財政の実態の把握、調査に進んで行くように、私どもも努力して参りたいと考えておる次第であります。
  70. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 もう一点伺いますが、大臣に本来伺うべきことですが、今回百九億切られておりますが、それの復活は勿論のことですが、まだその他に起債の枠の拡大とか、考えなければなりませんが、第一に補正第一も出て来ましたが、第二、第三と出て来ると思いますが、一方において警察制度のほうにおいてもすでに補正予算を組みたいという金額も六十億ですか、今日新聞で見ましたが、そういう際に自治庁並びに財政委員会においては現在の物価上昇等を考えて、地方財政は今のままでは行けない。單に削られた部分だけの復活だけでは到底地方財政は遂行できないと思いますが、補正第何号が出るかわかりませんが、その際にどういうような考えを持つておられるか、その腹案を伺いたいのです。
  71. 小野哲

    政府委員(小野哲君) 只今お話のように、地方財政委員会の意見書による地方財政平衡交付金の増額ということも、一面期待をいたしておりまするし、同時に又物価その他変化に伴う国家予算との関連におきまする地方財政平衡交付金総額の再検討ということも考えられる場合が起つて来るであろう、さような場合におきまして十分に善処することを私のほうといたしましては、期待をいたしておる次第であります。
  72. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 この單位費用地方財政委員会の規則できめるということを二十六年度もやりたいということについてお伺いしたいのですが、先ほどからの説明を聞きますと、岡野大臣は自信がない、それから奧野課長は大体地方財政需要をつかみ得る自信を持つことができたというような話もしておられる。そこで私お尋ねするのですが、この昭和二十六年度ばかりでなくて、未熟である、自信がない、的確でないということは今後相当の年数を経過しても、毎年度あり得ることじやないかと思う。それでこういう基本の問題として單位費用は規則でやるというほうがいいのか、法律化するという根本の建前がいいのか、この際この点を伺つて置きたいと思うのです。その都度々々まだうまいものができないからというだけでやつてつて原則は法律で作ることが正しいのだというお考えを続けてお持ちになつて行かれるか、根本的に規則のほうがいいとす、るのか、はつきり一つ御答弁願いたい。
  73. 小野哲

    政府委員(小野哲君) 私から先ずお答えをいたしたいと思いますが、平衡交付金制度の本質から考えまして、單位費用のごときものはやはり法律で定めることが妥当である、こういう考え方を私は持つております。将来もその考え方で参りたいと思つております。ただ昭和二十六年度から法律によつてこれを規定するということにつきましては、何分平衡交付金制度が実施されまして日が浅いということと、地方税法の施行が遅れましたような関係もありますために、昭和二十五年度地方財政の実績を的確に把握するということにつきましては、この点については愼重に考慮を要するのではないか、かような意味合いから、更に一カ年地方財政委員会規則によつて單位費用をきめると、こういうことにすることが適当であると、かような見地から一カ年延期することにいたしたいと考えておる次第であります。
  74. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 そうすると、これは長いことではないので、二十六年度限りである、二十七年度は法律を出すという自信を持つておられるように伺うわけですが、それで結構ですか。
  75. 小野哲

    政府委員(小野哲君) 御説の通りであります。
  76. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 そうしますと、それは政府の予算査定等が行われる時期において、臨時国会に本年度中に御提案にならなければ、これは又平衡交付金の予算問題が非常に問題になると思うのですが、この点はどうですか。
  77. 小野哲

    政府委員(小野哲君) できるだけ先ほども申しましたように、二十五年度の実績等を勘案いたしまして、速かに準備を進めて参つて御審議を仰ぐようにいたしたいと考えております。
  78. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 極端な議論ですが、未熟なものであろうが、自信のないものであろうが、現に施行しようとするものを法律化することが何でいけないのか。地財委の少数のかたがたの討論によつてこういう費用をきめるよりは、国会において多数の総意を酌み、又地方輿論を聞いて決定するということが、同じ的確なものではないにしても、納得の行く費用になつて、それが実施される曉は、地方も従来のような不満というものが相当程度解消するのじやないだろうかということを考えるのですが、而も地方においては地財委の規則できめるという、その規則がお手盛りで様々に変つて行くということに非常な不安を持つておる。二十五年、その結果この平衡交付金の配分が何度も変つた。そうなれば地方財政について地財委からどれだけの交付金をもらえるかということについて、安定感を持つことができない。いつでも不安な状態にあつて、そうして年度終りの二月、府道府県会なり、市町村会等において、漸くまあ最終決定なつたというもので見て、思惑通り行かなかつた、この歳入欠陷をどうするかというようなことで、どこの府県でも市町村でもこの点が論争の種になつておる、こういう不便を防ぐためにも、仮に今不満な配分を受けるにしても、法律を以てこれを実施し、公開し、地方公共団体が地財委の手を煩わすことなく、自分の計算によつてもう平衡交付金の入つて来る見込をはつきりと把握した上で、当初に予算を立てる。こういうふうにさせて行くのが私は地方自治の上からいつていいのじやないかと思うのですが、最善のものである、自信のあるものであるということでない限りは、法律に出せないというわけが私にはわからない。この点をお聞きしたい。
  79. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 單位費用を法律で定めたほうがよろしいという考え方は小笠原さんと私も全く同意見であります。ただ昭和二十五年度は従来思い思いに地方団体財源を得、又その運営を行なつておりましたものにつきまして、個々にその財政需要を測定することにしたわけでありまして、言い換えれば一万有余の地方団体に一定の財政需要の枠るはめてしまつたわけであります。非常な冒險ということも私は言えるだろうと思うのであります。このことをいたしますに当りましては、一応予算額を基礎といたしまして、個々の基準財政需要額或いは單位費用額というものをきめて行つたわけであります。併しながら二十五年度から初めてこの地方財政平衡交付金制度を基礎にした地方財政の運営が行われて行くことになつて来るわけなんでありまして、従来の全く思い思いの地方団体財政運営から拾つて来るところの單位の測定がそのまま固定さしていいものであるか、どうだろうかということは一つの疑問としてお考えになつて頂けると思います。一応地方財政平衡交付金が制度としてできましてからの、後の個々の地方財政の運営の実績というものを基礎にして将来の地方財政平衡交付金基礎にとつてつたほうがよろしいのではないかという意味から、先ほど来次官もお話になつておりますように昭和二十五年度の実績を検討した上で單位費用というものを法制化すべきではなかろうか、こういうような考えを持つているわけであります。今お話のありましたように二十五年度平衡交付金の額を決定するに当りましては先ず仮決定の段階を経まして、それから本決定をしたわけであります。本決定をするにつきましても当初考えておりました單位費用の補正計数につきまして各地方団体の意見を聞きながら更に改めております。そういうことから言いますと、何度も測定費用を改正し、補正計数を改正しているわけであります。併しながら我々はこのようにたびたび改正することによつて、あらゆる人たちの意見を受け入れながら少しでも実情に適合するように持つて行きたいという努力を払つているということを、私はむしろそういう見地で認めて頂けるのじやなかろうかというような考え方をしているのでありまして、改正するたびにやはり複雑な調査を実施しているわけであります。この本決定をいたしました結果、大体において我々が安心できるような方向に持つて行けたと思つているのでありますけれども、その実績を検討しなければなりません問題と、もう一つは現にいろいろな法律が地方行政調査委員会議の勧告等にも関連いたしまして行われている最中でありまして、それに伴つて又府県市町村財政需要も変つて来るというような関係が若干の部分だけではございませんで、非常に広い範囲において今年度あるわけであります。そういうことも考えまして、やはり二十六年度はもう一遍地方財政委員会の規則によつて單位をきてめ行きたい。それからそれによつて少しでも実情に最もマツチするような努力を更に傾けて行きたいというような考えを持つているわけであります。ただ法律化いたしますと、どうしてもその改正というようなものが、国会が絶えずあるわけでもございませんので、現にとつておりますように一年のうちに何度も改正するというやり方もできませんために、どうしても固定化する虞れがあるだろうと思います。その点を恐れましてもう一年だけ規則で定めさして頂きたいと考えておるわけであります。
  80. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 私はそういうことはちつとも理由にならんと思うのですがね。法律が改正されることは何で悪い。而も法律によつて一年に何度改正するか、最終的な改正年度内に行われれば交付金の最終決定ができて、渡されることには何ら変更はないわけで、それで国会が開かれるのは年度の終り、三月に国会もあるわけなんで、十二月からの国会があるわけなんですから、そのとき改正した最近の案とみなされるものを出してもいいわけです。そのとき改正してもいいわけなんです。私はちつともそういうことは理由にならんじやないかと思います。而も地財委はそういうことからいうと、何か我々から言えば政府側に圧倒せられて、政府側が決定した平衡交付金で賄うようにするがために、この規則というものを適宜変更している。いわゆる政府に圧倒せらるる、そうして一方は平衡交付金の増額を盛んに国会に要求する、これはどうも矛盾していると思う。私は平衡交付金を突如として百九億足りない、殖やしてくれなんていうことを言うよりは、その全く基準になるところのこの單位費用を曲りなりにも法制化しておくならば、これによつて積算して得た結論から平衡交付金額というものは当然叩き出されて来るのじやないか。そのとき政府側がこれは困つたということにはならんと思う。必ず叩き出しただけの金は予算化しなくちやならんという問題になる。そうでなければ政府側が法律を改正するということになつて来ると思います。そこで初めて国会の権威においてこの両者を勘案して裁定して行くということが最も民主的でないか、最も地財委の要求が容れられるところではないかと私はそう思う。それで一方平衡交付金は束にして増額方を要求し、一方片方のほうは規則でお手盛りでやつて行く、こういうことは私にはどうも納得できない。
  81. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 地方財政平衡交付金地方財源の上で非常に大きな部分を占めておりますために、成るたけ早く今後地方団体の受けるべき金額を決定いたしませんと、その団体財政運営に非常な支障を来たすことになるわけであります。たまたま昭和二十五年度におきましては、初めてのことでありますために、早く決定しなければならないことについての特例を法律に定めておつたわけであります。昭和二十六年度以降は法律に書いてありますように、八月三十一日までに決定しなければならないことになつております。で只今法制化するといたしますなら、現に昭和二十五年度の配分に用いました規則をそのまま法律化しなければならないという問題になるだろうと思うのであります。
  82. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 それで結構です。
  83. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 併しながら我々は、昭和二十五年度のこの実績というものをもう一遍検討する必要がある、こういう考え方を持つておるわけであります。なぜなら平衡交付金制度の全然存在しなかつた時代の予算を基礎にして單位費用というものを決定して行かざるを得なかつた従つてこのことが果して正しいかどうかということは、むしろ二十五年度平衡交付金制度の存在した一年間の地方財政のあり方というものを、もう一遍つぶさに調査をいたしました結果、考え直さなければならないのじやないかというふうに考えているわけであります。その意味において二十五年度の規則というものをもう一遍検討する。もう一遍検討しながら八月三十一日までに決定するまでには、何度も私は全地方団体の意見を徴しながら單位費用なり、補正計数なりに種々の修正を加えて行かなければならないだろうということを考えております。二十五年度の配分に当りまして行いましたような経過から徴しましても、相当修正をたびたび加えなければならないということは十分考えられるわけであります。そういうふうな止むを得ない事情のために、やはり法制化してしまうことは困難であるというふうに考えているわけであります。これが来年の三月三十一日までに決定してよろしいものなら、或いは一旦法律化いたしておきまして、その後不穏当なところを又改めて国会改正を願つて行くということも絶対にとれないことではなかろうと思うのであります。併しながら何分早く決定しなければ地方団体財政運営に支障を来たすものですから、止むを得ず昭和二十六年度だけはもう一遍規則で單位費用をきめたい、こういうように考えているのであります。
  84. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 最後にですが、どうもだんだんそういう話を聞くというと、何か国会軽視というような気にもなる。もう不完全なものでも私はいいと思うのです。而もそのことこそが地財委としては平衡交付金というものをはつきりとつかみ取る最も手近な途だと思うのです。その武器は使わないで、そうして平衡交付金だけは国会で何とか増額してくれという要請をする。これはどうも片手落ちじやないか。こういう單位費用の底の底まで国会に見せて、そうして国会の審議にかけてこそ平衡交付金の問題も我々は判然し、又協力できるのであつて、こういうところはまあ地財委のお部屋の中にあつていろいろ結論を得ない限り、平衡交付金だけは何が何だかわからんけれども、いずれ百九億欲しいのだから出してくれ、こういうふうなことはどうも私は納得できない。これ以上は論議しませんが、我々社会党としては、こういう法律できめるとなつておるものを、法律化しないということについては原則的にもう反対なんです。
  85. 岡本愛祐

    ○委員長(岡本愛祐君) それではお諮りいたします。地方税法の一部を改正する法律案に対しまして、衆議院側で修正案を議決せられて本院に回付になつたのであります。その修正案について衆議院地方行政委員長から説明を聞きたいと思います。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  86. 岡本愛祐

    ○委員長(岡本愛祐君) それでは説明を聽取いたします。前尾衆議院地方行政委員長。
  87. 前尾繁三郎

    衆議院議員(前尾繁三郎君) 只今議題にして頂きました地方税法の一部を改正する法律案に対しまする衆議院地方行政委員会修正案につきまして簡單に御説明申上げたいと思います。  お手許にすでに案は配つておりまするので、簡單にその要旨を申上げますと、改正の点は五つあるわけでございます。その一つは市町村民税のうち今回創設されました法人税割の一〇%という案を一五%にいたすことであります。それから一つは個人の均等割を八百円を七百円に、六百円を五百円に、四百円を三百円にというふうに、百円ずつ引下げることでございます。次に各種の協同組合、農業協同組合等でありまするが、協同組合に対しまして事業税並びに市町村民税、今回の法人税割も含めてでありまするが、それを或る制限の下に免除しようということであります。それからもう一つは、新聞事業に対しまして事業税をこれ又非課税にすることでございます。それから最後の一点は、遊興飲食税におきまする旅館その他の場所におきまする飲食、宿泊に対しまして、大学以外の学校の修学旅行の場合に非課税にするという事柄で、この五つの点でございます。御承知のように昨年来当委員会におかれましても、又我々の衆議院委員会におきましても、いろいろ新らしい地方税法につきましていろいろな論議をして参つておるわけでありまして、相当大幅な修正をいたしたいということで考えて参つて来ておつたわけであります。それぞれ各党におきましても修正についての御意思が一応決定いたしておつたのでありまして、できるならばこの際各党ともその所信に向つて修正をしたいというわけで検討して頂いておつたのでありまするが、これはあらゆる場合に一貫しておりまするいわゆる均衡予算、広い意味の特別会計を含めての均衡予算ということが至上命令でありますので、何としても財源を捻出しなければ減税はできないというような状況でありますので、遺憾ながら我々の切望いたしておりました遊興飲食税、或いは入場税というものの高い税率に対して、これを引下げるということに相成りますると、本年の税收入相当一杯に見積られておりまするので、我々も税率引下げましても、或る程度收入は確保できるんだということも考えるのでありますが、併し全然收入減が来たさないというわけには参りませんので、それらのために遂に遊興飲食税、入場税税率の軽減ということについては、放棄せざるを得ないような状態にあつた次第であります。併し法人税とこの市町村民税におきまする法人と個人の不均衡ということは、従来から申されております点でありますが、何とかして個人の市町村民税引下げなければならないという強い要望がありますので、一面におきまして、法人におきまする非課税は、今回法人税額の一割の課税がされはいたしましたが、なお多少引下げの余地があるのではないか。従つて法人税割を引上げまして、そうして個人の均等割を引下げよう、これが市町村に枠がきまつております現在としまして、最も合理的なやり方ではないかということで、法人税割を五%政府原案引上げまして、そうして個人の均等割を百円ずつ引下げるという結論に到達いたしたのであります。そういたしますると、多少の財源の余裕がありますので、その財源の許します限りにおきまして、他の減税に振向けるということを考えて参つた次第であります。御承知のように農業協同組合を初めといたしまして、各種の協同組合は非常な資金難に陥つておることは御承知通りであります。従いまして、その資金難に多少の余裕が出ましても、この際に事業税なり、市町村民税を取りますると、殆んど剰余金というものは残らない。従つて成るべく資金を蓄積させる、そうしなければ本来の協同組合の事業活動を遂行し得ないと我々考えておりましたので、従つて或る制限と申しまするのは、協同組合が、非組合員の事業活動が余りに協同組合法等に制限されておりますような制限を逸脱してやつた場合は、これは別でありまするが、先ほど、一つの協同組合に対しまする制限といたしましては、非組合員にまあ違法となるわけでありますが、余りに大きな分量でやるということについては面白くありませんから、そこで一つ制限をしよう。それから一つは現在協同組合につきましては御承知のようにアメリカでは非課税にいたしておりまするが、これをもう非課税にする必要はないということになつておりまするにかかわりませず、なかなかこれは非常な問題になつておるのでありまして、将来日本の協同組合でもそういう心配があるのじやないかというような有力な示唆があつたのであります。従いまして現在協同組合法によりますると、出資金の半額までは利益の一割でありましたが、それを積立てなければならんというような規定があるのであります。従つてそこらまでは非課税にして行く。そうしてできるだけ資金を積立てさせようというような趣旨から、そういう制限の下に非課税にしようというような結論に相成つた次第であります。第三番目の新聞事業の事業税の非課税につきましては、御承知のように国税当時にはこれは非課税になつてつたのでありますが、最近地方税になりまして、殊に新聞事業法でありましたか廃止になりまして以来、課税をいたしておるのでありまするが、新聞事業の公益性というような点からして、これも非課税にすべきだという結論に達しましたので、事業税を非課税としようということとなつたのであります。附加価値税については、問題がまあ多少趣きを異にいたしておりまするので、今後の検討に待つというようなことにいたした次第であります。次に旅館の修学旅行に対する飲食、宿泊に対する非課税につきましては、現在でも府県のうちにこれを非課税にしておるものが相当あるというような状況であり、何人も修学旅行にまで、殊に遊興飲食税という名の付いておる税金を取るということは甚だ面白くないというふうな考え方からいたしまして、これを非課税にするということにいたした次第でありまして、従いまして只今申上げましたのを数字的に申上げますと、法人の法人税割、市町村民税におきまする法人税割の五%引上げによりまして、二十億五千四百万円のプラスが出て参るわけであります。で個人の均等割百円ずつ引下げによりまして、十七億七千二百万円ということの減收に相成つて参ります。又協同組合の事業税の非課税が千二百万円、市町村民税が六千万円、次に新聞事業の非課税が三千万円、この旅館の、修学旅行の非課税が四千万円と、それが計二十億二千二百万円ということに相成りまして、何ら收支の均衡を破らないという結論に達した次第であります。衆議院といたしましても、もつとあらゆる問題について検討して減税をいたしたいという心組で種々関係方面とも交渉いたしたのでありまするが、何としましても均衡予算という建前におきまして、こういうふうな結論にならざるを得なかつた次第でありまするが、併しこの案につきましては、国民民主党、社会党、自由党と、他の党派、共産党以外のかたは全部賛成というわけで、共同提案の形を以ちまして委員会で可決いたしまして、衆議院を通過さして頂いたような次第でありまするので、どうぞ愼重に御審議を願つて、是非お通し願いたいと思う次第であります。ただ甚だ提案が遅れましてその点皆さんにお詑び申上げなくちやならない次第でありまするが、いろいろ関係方面との折衝に手間取りましたために、甚だ皆さんに御迷惑をおかけしましたことを、終りにお詑び申上げて置きたいと思います。
  88. 竹中七郎

    ○竹中七郎君 ちよつと伺いますが、事業税の千二百万円と言われた、これは一億二千万円じやないですか、一億二千万円じやないと計算が合いませんが……。
  89. 前尾繁三郎

    衆議院議員(前尾繁三郎君) 事業税一億二千万円です。えらい計算を間違いました。
  90. 竹中七郎

    ○竹中七郎君 これは何の事業税ですか。
  91. 前尾繁三郎

    衆議院議員(前尾繁三郎君) 協同組合の事業税非課税です。
  92. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 六千万円は何ですか。
  93. 前尾繁三郎

    衆議院議員(前尾繁三郎君) 協同組合の市町村民税です。
  94. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 新聞の点で、政令で定める新聞というのはあれはどういう意味なんですか、お伺いいたします。
  95. 前尾繁三郎

    衆議院議員(前尾繁三郎君) 新聞事業と申しましても、いろいろ御承知のように、雑誌類はこれは非課税にいたしておりません。従いましてその限界等に問題があるわけです。まあ日刊紙というようなことを考えておるのであります。又この事業の段階におきましても、広告の取次ぎというようなものも含めて行こうというので、まだ成案を決定はしておりません、まだ成案を得ていないのです。ちよつと私申上げた中で、出資金の二分の一というのが法定積立金の出資金の四分の一となつておるそうでありまするから……、ちよつと私考え違いをしておつたと思いまするので。
  96. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 協同組合ですか。
  97. 前尾繁三郎

    衆議院議員(前尾繁三郎君) この積立金、協同組合です。
  98. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 前尾委員長に伺いますが、入場税、飲食税の、向うの承諾を得られなかつたの財源の問題ですか。
  99. 前尾繁三郎

    衆議院議員(前尾繁三郎君) 全くそうであります。
  100. 岡本愛祐

    ○委員長(岡本愛祐君) ほかに御質問ございませんか。
  101. 堀末治

    ○堀末治君 特に新聞事業だけ事業税をやめるというのはどういう趣旨ですか。
  102. 前尾繁三郎

    衆議院議員(前尾繁三郎君) 先ほど申上げましたように、国税時代は新聞事業は免税にいたしておりました。この事業税……営業税はですね、それが地方税に変りました途端に最近急に課税になつたのでありまして、それに対してどうもこれは理窟は両方にあると思います。理窟は両方にありまするが、地方税に変つてすぐ課税するという結論も出ない。それに対してまあいわば公益事業ということで、公益性から新聞に対する課税というのは、例の附加価値税の場合にもいろいろ問題になつておりました。従つて事業税についても非課税にするというほうがむしろ妥当ではないかと……、額も大した額ではありません。
  103. 堀末治

    ○堀末治君 仮になんでありませんか、新聞事業でも利益のあつたものに課せられるんでしよう。で、やはり新聞事業でも立派に利益を挙げたらば取るのが当り前でないでしようか。
  104. 前尾繁三郎

    衆議院議員(前尾繁三郎君) その点はそういう理論もあるわけです。で、利益には事業税である限り課税するのが当り前だという理窟も立ちます。併し又公益性、営業ではないんだと、單なる事業ではないんだと、で事業税は……、所得税については従来から課税いたしておりました。併し営業税については課税しなかつた。それはまあ公益性という理由によつて来たのであります。そういうような、事業の性質が急に変つたわけじやないのです。国税時代に対して。そういう点で非課税にするほうがむしろ妥当だというような結論に達したわけであります。
  105. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 関連して伺いますが、読売新聞のやつておるジヤイアンツなんというあの野球ですね、そういうようなものはどうなんですか。
  106. 前尾繁三郎

    衆議院議員(前尾繁三郎君) 従来からそれは非課税の範囲にいたしておりません。国税時代に事業の收益を皆分類しまして、新聞の発行による事業という限界を設けております。
  107. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 そうしますと、新聞の発行そのものに伴う……それだけを非課税にすると、その他の出版関係、いろいろの事業、これらは当然事業税を課すると、こう了解していいわけですか。
  108. 前尾繁三郎

    衆議院議員(前尾繁三郎君) 大体においてそうであります。
  109. 竹中七郎

    ○竹中七郎君 先ほど前尾委員長からのお話でございますが、新聞の非課税対象というものは非常にむずかしいわけで、これをはつきりやつて頂かないといけませんので、特に前尾さんにお願いしておくわけで、日刊なら日刊と本当に正規な新聞と、與太新聞は困りますから、こういう点をはつきり一つこれは政令でおきめになるかわかりませんが、この際御努力願いたいと、こういうことを申上げておきます。
  110. 前尾繁三郎

    衆議院議員(前尾繁三郎君) 申上げておきまするが、今の法案へ入る範囲で成るべく広く行きたいとは思つておりまするが、只今お話のような点は、日刊新聞というので、ずつと前から考えております。それからまあ地方の新聞では殆んど利益が出ておりませんから、恐らくまあ事業税に対しては余り影響がないと考えております。
  111. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 もう一点伺いますが、附加価値税は来年から行われることになつておりますが、特に自由党ではそれに対して、それまでに何らか修正したい、或いはもう一年事業税で行きたいというような、そういう点についてのお考えはどうなんですか。
  112. 前尾繁三郎

    衆議院議員(前尾繁三郎君) 只今のところ事業税……全般的に事業税にするかどうかという問題については検討中で、何とも申し上げられないのでありまするが、新聞事業の附加価値税に……若し附加価値税をやりましても、新聞事業には免税をしたいと考えております。併し只今事業の性質は、附加価値税の性質という問題から、必ずしも事業税と同一に取扱うかどうかは多少疑問がありますので、この際はもう少し検討して来年一月までには間に合うような結論を出したいというふうに考えております。
  113. 岡本愛祐

    ○委員長(岡本愛祐君) ほかに御質問ございませんか。……それではこの程度で散会いたしたいと思います。    午後四時十五分散会  出席者は左の通り。    委員長     岡本 愛祐君    理事            堀  末治君            竹中 七郎君    委員            石村 幸作君            岩沢 忠恭君            高橋進太郎君           小笠原二三男君            中田 吉雄君            西郷吉之助君   衆議院議員    地方行政委員長 前尾繁三郎君   国務大臣    国 務 大 臣 岡野 清豪君   政府委員    地方自治政務次    官       小野  哲君    地方自治庁次長 鈴木 俊一君    地方自治庁財政    課長      奧野 誠亮君   事務局側    常任委員会專門    員       武井 群嗣君    常任委員会調査    員       法貴 三郎君