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1951-02-19 第10回国会 参議院 地方行政委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年二月十九日(月曜日)    午後一時三十九分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○地方行政改革に関する調査の件  (地方行政調査委員会議行政事務  再配分に関する勧告の件)   —————————————
  2. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) これより地方行政委員会を開会いたします。  今日は地方行政改革に関する調査といたしまして、地方行政調査委員会議行政事務配分に関する勧告について御審議を願いたいと思います。右勧告は、昨年の十二月二十二日付で内閣総理大臣のほうから送付をいたしで参りました。その要点につきまして、地方行政調査委員会議神戸議長から御説明を願いたいと思います。
  3. 神戸正雄

    政府委員神戸正雄君) 昨年の十二月二十二日付を以ちまして、行政事務の再配分に関する勧告案内閣及び内閣を通しまして国会のほうへ御提出いたした次第であります。この勧告案につきましては前に私どもこの案を審議中にも当委員会に罷り出まして、若干の御説明を申上げましたのであります。その後いろいろ調査をいたしまして審議いたしました結果、漸く大綱を十二月末になりまして決定することができた次第であります。これによりまして行政事務配分の一番主要な問題だけは捕えまして、その基本の線をきめた次第でありまして、なお若干残された問題もありますし、従いましてこれを以ちましてこれが完了したわけではありません。大体の御説明を申上げます。  この前にも御説明申しました通り趣旨は、一番主眼は地方自治拡充ということを目標といたしておるのであります。憲法に規定された通り、その線を遵奉し、更にシヤウプ勧告の示しました一つ目標を参照としまして、内外の各種の情勢を参酌してこれをきめた次第であります。先ず原則といたしましては三原則を立てまして、責任明確化原則能率原則並びに地方、殊に市町村優先原則というもの三つを立てまして出発いたしたわけであります。申すまでもなく、従来の日本の国及び地方行政のあり方というものは、ややもすると委任事務が多くて、従いまして国の仕事であるか地方自治体仕事であるかはつきりいたしません。これをこれは国の仕事である、これは府県仕事である、これは市町村仕事であるとして、そうして各責任を以てそれをやつて行く。与えられた財源自分たちの持つたところの能力というものを十分に発揮して、そうして飽くまで自分仕事自分でやる、責任を以てやる、こういうことをして行くということが第一の目標であります。更に能率のことも考えまして、能率の上がるところでやる、一番能率の上がりそうなところを選んで仕事を配当する、こういうことも考えました。併し行政事務はできるだけ国民の生活に直結して近い所で成るべくやらせ、国よりは府県府県よりは市町村というふうにできるだけ目の届く所で仕事をやつてもらつて、そうしてその仕事がよいか悪いかの判断がついて仕事をますます、行政事務をますます有効に適切に行うように、国民がみずから自主的に導くという気持を発揮してもらうこと、こういう考え方に基いておりまして、ただ三つ原則がありましたものですから、従つて大体一つ原則で行きますれば極めて明瞭簡單でありますが、三つの総合をした結果、徹底しない点が多少あることは止むを得ないことだと思います。その場合におきましては、私どもは先ず公平妥当と信じたところによつて決定いたしたいと思います。細かい事項については恐らく異論も出て来ることは止むを得ないと存じておる次第であります。この三つ原則に基きまして、先ず国の仕事といたしましては国の存立に直接必要な仕事である、全国家的な企画の仕事である、或いは統制的な仕事である、統制仕事というのは、府県とか地方考えに従わないで、国家立場から統制しなければならぬというような仕事、或いは府県地域を越えた仕事、その府県地域関係のない仕事というようなものを国家としてやらなければならない。人民へのサービスを図るような仕事であるとしても、地方のやるのに任しましては余り能率が上らんとか、或いは適当でないとか、非能率、不適当と認めるような仕事というようなものを二十九種類きめまして、先ずこれは国がどうしてもやらなければならぬという仕事だけを先ず国に留保しまして、そうしてあと仕事はできるだけ地方に、地方仕事として任すということにいたしまして、その地方仕事においては、市町村というものが、これが人民に直結したところの団体でありますから、市町村にやらす、併し二つ仕事、それは市町村の区域を超えて行わなければならぬというような仕事であるとか、或いは市町村にありましては十分能率が上らんとか、不適当であると認められるような仕事を、これを府県というものが、市町村の上に立つている、市町村を包括するところの団体としてやる、こういうようなことに持つて行こうといたしたのであります。大体の標準といたしまして、そういう標準をきめまして、各種行政につきまして、一々検討しまして、これの責任の所在を明らかにしよう努めたのであります。その間におきましては、随分いろいろな議論もありまして、決定に困つた次第であります。併し最後には止むを得ず決定を下しまして、或いはなお異論を残している点があろうとも心配しておるのであります。一々のことを申しますと何ですが、例えば例を以て私ども審議中に問題になりましたむずかしい問題の二三をとつて申しますと、例えば運輸行政におきまして府県府県立場、国は国の立場で以てそれぞれ所属について異論がありましたので、非常にむずかしい問題を生じておつたのでありますが、併し私どもといたしましては結論といたしまして鉄道軌道のごときものは、これは国の仕事と認めました中に、初めには一地方限りの、一府県内のものであれば、府県でやらせればいいじやないかといろ議論もありましたが、鉄道軌道はすべて国に所属することにいたしました。それから自動車がむずかしい問題でありましたが、自動車路線をきめる、定路線旅客自動車、或いは貨物自動車というようなもの、そういうようなものを国といたしまして、あと貸切自動車であるとか、或いは自家用の自動車であるとか、或いは特定の人のために動くところの自動車といつたようなものは、これを府県所属にいたしまして、更に軽車両は市町村といつたように分けて行きました。なせそうしたかと言いますと、私ども見方によりましては、鉄道なり、軌道なり、或いは定路線旅客貨物自動車というものは、交通一貫性というものを重んじまして、国の全体に一つ交通網というものを考え連絡ができる。連絡する上においてはやはり国が監督し、取締るほうがそれがうまく行くだろうと、こう考えたのであります。それに関係のないところの、それと離れて動くところの自動車等はこれは必ずしも国が取締らなくても、地方で以てできますし、又殊に自動車のごときものは道路を非常に使用する、損傷する関係もありまして、道路維持管理仕事というものは多分府県に待つところが多いのでありますから、こういつたものは府県にやらしたらよかろう、だから交通一貫性を保つに必要でない限りにおいては、むしろ地方にやらせるということにいたしたのであります。併し地方といたしましては、自分の一府県内限りのことであれば、すべての交通地方で監督したい。こういう希望が出ておりましたけれども、併しこれは最後にはそういうことで一つ標準をきめまして、分配をいたしておる次第であります。  それから労働行政のことを申上げます。労働行政の問題につきましても、これは実は地方といたしましては、労働行政は今日の時勢におきまして、多分地方で以て処理できるから、全面的に地方に移したいという希望があつたのでありますが、検討いたしました結果、大きなところでは、例えば労働基準行政というものは国の仕事に全然残しました。併しいわゆる職安、職業安定の仕事はこれは地方に、府県に留保するというよりは、むしろ今までのところ極めてあいまいでありますが、地方のほうではつきりやるということにきめた次第であります。実はこの労働行政というものは、地方でもやかましい問題で、失業問題とかいろいろからみまして、始終府県庁なり、或いは市町村役場に押しかけていろいろな問題をかれこれ起しておるというような問題でありますから、従いましてこれにつきましては、指導に直接当つておるところの府県仕事としても差支えないではないかというような考え方もありましたが、併しこの労働基準行政のほうの問題ですと、基準はこれは一つには国際的な問題にもかかわりまするし、日本労働基準というものがはつきり正確に行われておるということは、日本の国際的の権威を維持するためにも必要であると思いまするし、国際的の苦情を除くゆえんでもありますし、将来には条約の上においても相当これは問題がありまして、いずれもつと強い構想を入れた法規になりましようが、いずれにいたしましても、そういう関係もありまするし、又国内的の関係におきしまても、一府県を特に基準を緩めるとかいうようなことをいたしますと、各地方の間に不均衡ということもありますし、こういつた仕事というものは、やはり国が統制としてしつかりと厳重に統一的な方針によつてつて行くということのほうがよく行くであろうと考えて、これは府県にもできるという府県のほうでは主張いたしましたが、府県がたとえできても、どうしても多少寛厳よろしくやりまして、寛大にしてほかの地方よりも競争上有利にしようということも考えまするし、やはりこれは国がやつたほうがよいということで、国に留保することにいたしました。併し職業安定の仕事とこれは又別問題であります。これも考えようによりましては、国の立場から行きますと、国は全体の労働状況を見て職業紹介をするということで、これは国でやつたほうがよいではないかと、こういう考え方も出ましたけれども、併し実際この職業紹介職業安定の仕事というものは、主としてその地方心々労働状況に応じて職業紹介するものでありましようし、多少はそのほかの府県と連繋をとりまして、大きな、地方的な面で調節をする仕事でありますから、府県でできるとか、或いは時に国家全体の面から考えまして九州から北海道までというようなことも考えられますけれども、これは併し例外的であつて、大体においては府県を中心にして地方的な仕事をやつておる。地方でできる仕事をやる。地方の役人でもできる仕事をやるというので、国を煩わす必要がないので地方に移すことにした次第であります。こういつた関係でありまして一々申上げますと何ですが、それぞれにいろいろな主張があり、これはこちらがいい、これはこちらがいいというので折衝をし、いろいろ話合いをして、もうこれくらいできめようということできめる次第であります。実はきめるにつきましてはいろいろな原則上の食い違いを、結びつける意味においての食い違いもありましようし、国、府県市町村立場で直接いろいろな要求が出まして、それをまとめるに相当苦心をいたした次第であります。  さて、そういたしまして仕事配分につきましては二、三の例を以て御説明をいたしましたので御了承を願うことにいたしまして、仕事やり方につきましては、これはこれまでのやり方というもの、とかく許可認可とか或いは変更取消、代執行という権力的な関与で以て、国が或いは府県が、府県市町村に向つていろいろ関与する、干渉するという場合が多くありました。それがためにいろいろなあちらこちらの折衝事務に手間どつておる、事務簡素化ということもそれによつて侵されておつた。これで誠にそういう面のまずい点があつたのでございますが、併しすでに私ども考えましたような責任明確化という原則をきめて、仕事を割当てた以上は、与えられたるところの仕事、指定されたところの仕事府県なら府県に指定された仕事市町村なら市町村に指定された仕事は、府県府県責任において、市町村市町村責任においてやる以上は、あえて国なり府県なりからして、その府県市町村に向つて強制をしないで責任を持つてやる。やつた仕事がよいか悪いかという判断は、国民がそれによつて、自然に選挙の上において、その他の面において、人民投票なら人民投票の面においてもわかりましようし、更に又輿論によつて監視することもできますし、そうむちやなことをするものじやない。もつともつと責任を持つてやらせるというようなふうに持つて行きたいと、こう考えるのでありまして、これからのやり方というものは、少くとも国の仕事を、委任された仕事は別といたしまして、各府県なり市町村責任を持つてやらせるという仕事については、許可認可ということを要せずやれるようにし、更にその取消とか、変更とか、代執行ということも、直ちに国なんかが発動しないようにしよう。むしろそれがやる場合には仮に国家的の重要性のある問題であるならば、国といたしまして府県のやつたことをそのままにして置くわけにいかん。それは変更とか、取消をさせなければならんとか、代執行をしなければならんということが起り得る。国の重大な利益に関する場合におきましては必要がありましよう。そういう必要な場合におきましても国が直ちにそういう手続をとらないで以て、一応何か将来の問題ですけれども、私どもの提案といたしましては、この中立的な一つ機関作つて、その意見を聞いて国がやる。国が直接やらない、意見を聞いて事前承認を得て、得た上でそれの取消なり変更なり代執行をやる、そういうことにしよう。併し仕事によつては例えば伝染病関係とか急を要するという場合には、そういう中立的な機関事前承認を得ないで、事後承認を得る。事後承認で足るということでありまして、私ども考え方といたしましては、地方団体府県なり市町村なりが責任を持つてつておる仕事については、国においては権力的関与を避けて、非権力的に、権力的に作用するときには中立的機関事前承認が要る、事後承認が要るというところに持つて行つて、余り権力を振り廻さんようにしてもらいたいと、こういうことであります。でありますから国が府県なり市町村にどういうことをやるかと言えば、或いはこれは報告でも取るとか、報告を取る場合には余り取り過ぎてはいかんでしようが、或いは又援助をするとか、助言をするとか、技術的な援助を与えるとか、助言を与えるとかいうようなことをやりまして、成るべく権力関係がないようなところで以て仕事をよく行うように、よい方向に向うように、いろいろお助けをするということで、むやみに許可認可取消変更のことをしないようにしよう、こういうやり方であるのであります。無論委任ということを全然なくしたわけではありません。最小限度機関委任のようなものは残さざるを得ないでありましようが、併しこれはできるだけ少くして、すべての仕事を成るべく各団体責任においてやらせる、委任するというようなことになると、委任されたほうでも人の仕事でありますから、それだけ何と言いますか、十分に執行できないということにもなりましようし、自分仕事だ、自分仕事としてやつたほうがよく行くだろう、こういう見方であります。そういつたことで私ども仕事配分すると同時に、仕事やり方につきましても、できるだけこの責任主義によりまして、上からの、国なり府県なりからの権力的な関与を避けるということに持つて行きたいという力強い考えを盛り込んでおる次第であります。  それからなお二、三申しますと、適正規模の問題でありますが、これは先刻申上げた方針によりまして、これまでよりは府県市町村仕事が多く行つたわけであります。府県のほうはそれほどでありませんが、少くとも市町村におきましては、これまでの機能においてはどうもこれらの固まつたところの、多くなつたところの仕事を負担するにおきまして、規模が小さ過ぎるじやないかということを考えまして、だんだん調べて見ました結果、町村というものはまあ人口の七八千くらいが先ず基準ではないかということを、いろいろな点から総合して考えたのであります。一番すぐはつきり出て来ましたのは中学校ですが、中学校一つ造るという單位が丁度人口七八千くらいでしよう、中学校が適当だということになりまして、そういうことを考えたのですが、他の点を考えまして、衛生になりますと人口十万くらいになりませんと、余りに問題にかけ離れますから問題にいたしませんが、中学校ぐらいになりますと人口七八千ぐらいが基準になる。そこでだんだん調べて見ますと、役場費用とかいろいろな費用考えますと、人口が余りに少い所では費用というものが相当高くつきます。余りに大きくなりますと……、人口一万以上になるとちよつと割高についておるようであります。それから町ということになりますと、町の体面もあり、町の構成上いろいろな費用がかかりまして、人口七八千ぐらいの所が、いろいろな役場費とか雑多な費用が少いのであります。そういうことから考えまして、せめて人口七八千ぐらいを基準にしてもらいたい、人口の少いところ、六百ぐらいのところがあるが、そんなところは特別であります。恐らくそういう少いところは離れ島であるとか、山間の谷底であつて、非常に不便なところであるとかいうところになると、止むを得ず人口の少いところでもということになりましようが、そういうような状況でない、できたらまあ成るべくそれくらいの程度に持つて行きたいと考えておる次第であります。無論村の大きさということはその地形とか或いは産業の種類とか、いろいろなことを考えなければなりませんからして、簡單にも申せませんが、できたらこれを七八千ぐらいの標準で以て、それを目安にして村を構成したほうがいいという結論に達しまして、そういう結論を出しまして成るべく各府県委員会作つて、各町村規模をそこへ持つて行くようにいろいろお世話をする、指導をするというようなことにいたしたいと考えておる次第であります。同時に、府県規模ということが問題でありますが、府県規模につきましては、これはまあ今のままでも府県というものは小さいながらも町村と違いまして、幾ら小さい府県でも或る程度人的に揃つておりますし、金の面から見ましても不健全かも知れませんが、平衡交付金のようなものがあつて、税源が足らんところでも財源の補充ができております。これでも行けるということであります。  第二の問題といたしまして、併しこれで足りるわけではありませんので、府県は或いは町村同様にもう少し大きくしたほうがいいのではないかという意見もありまして、その点はまだ結論が出ておりません。府県にしましても何がしかもう少し大きくするほうがよくないかというような問題がありまして、それを研究中であります。これは後日結論を得ましたらば、案を作成したいと考えております。  その他におきまして申上げたいことはこの案におきまして、なお同じような問題で残つております問題は、東京都の区の問題でありますが、こういう特殊な、特別区と申しますか、特別区の問題につきまして、仕事配分の問題に関連しまして、区が都からしてもつと仕事をよこせという問題があります。これは一般の府県市町村との関係と似た点もありますが、かなり違つた点がありまして、そのために区のほうでいろいろな特別の要求を出しておりますが、これもどういうふうに持つて行くかということが一つ関連して残つております。これも今研究中でありますが、これもやがて附帯して考えて見たいと思つております。そのほかの問題としては、北海道の道というものの、これも今日府県並み考えておりますけれども北海道というものは開拓という国家的な大きな仕事を持ちまして、この仕事国家から委されてやるということにつきましては、これはほかの府県などとは違つた事情がありますから、従つてどういうふうにこの問題を解決するか。特殊な問題、北海道の道というような特別な地位というものをこのままにしておくか、或いはどう改良するかということが一つ問題であります。  もう一つ大都市の問題も、又若干再配分等大都市特殊性を認めまして、特に仕事を持たせましたが、なおそれ以上にも大都市には仕事を、府県仕事でも委していい仕事もあるのではないかというような問題がありまして、大都市の問題は一部であるが、一部分が残されております。大都市仕事をどういうふうに扱うかということが残つておるわけであります。  そのほかにおきましては、行政仕事におきまして二つばかり残つた点があります。一つ法務の問題ですが、法務、司法、法務の問題と警察の問題と二つ残してあります。法務の問題は、外国にはその例がアメリカあたりでは発達しておるわけです。地方法務というものを持つている制度が発達しておりますが、日本では文書課法制課という小さい形で若干は府県なり、大都市にはありますが、アメリカのような規模においては存在しておりません。従いまして、こういうものを新らしく設けるかどうか、そうしてどういうことをやらすか、やらす仕事につきましても、各国の例をそのまま採つていいのか、日本とは事情の違う点もあります。殊に検察官の問題のごときは、検察官というものを地方に置くということが、果して全体の法制上差支えないかという点に多少の問題があり、今専門家にもお願いいたしまして、意見を徴したりして研究中でございますから、これ又やがて何らかの結論を出したいと思つております。警察問題は、地方自治警察の問題ですが、これまでの警察におきまして、私ども見まして、地方自治体警察というものは、飽くまで原則としては尊重しなければなりませんけれども自治体警察国家警察との関係におきまして、連絡調整の欠点もあるのではないか、こう考えているのであります。国家警察自治体警察自治体警察相互間の連絡協議とか応援とか、相互応援とか、これも協議ということを本位として、その運営原則を動かさないで、運営が一層よく行われ、一層能率の高くなりますようにするには、どうしたらいいかということを研究中であります。今新聞等で私どもが発表をしたとかしないとかいうことをいわれておりますが、まだ研究中であります。案はできつつありますけれども、まだ試案の程度でありまして、これにつきましても原則を尊重しつつ、よくするためにということの方針を以て考え中であります。大体勧告案というものの趣旨要点で残された問題であります。もう一つ残つている問題は、財政問題であります。先に十月に私どもといたしまして、応急的に補助金地方起債災害復旧費国庫負担の問題につきまして勧告案を提出いたしました。財政問題、応急的の財政処置について提出いたした次第であります。なお恒人的の措置といたしましては、この事務配分の工合によりまして、国なら国におきまして金が余る場合がありましようし、府県なり市町村において仕事が増えて金が足らん面が自然にできて来ると思います。その計算は甚だむずかしいことでありますが、そういうことの大体の目安を付けました上で、財源の足らんところに、この配分をした結果財源の足らないところには余つたところから財源を移すということを考えたいと思います。そういうことにつきましての研究を同時にやつておる次第でありまして、これは甚だむずかしい問題でありますが、まあ簡單に言いますと、応急的にしますれば平衡交付金のようなものに盛り込むということが比較的簡單仕事のようですが、これとても国家財源の上から言つて平衡交付金の増加、必ずしも容易ではありませんし、いわんや新らしい税を考えるか、或いは或る税を甲の団体から乙の団体に移すということについても、いろいろな問題を引き起すのでありますが、それらにつきましてもう少し検討した上で、何らかの結論を出したいというふうに考える次第であります。大体その程度であります。
  4. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 御質問ございませんか……。なおこの行政事務の再配分に関する地方行政調査委員会議勧告に関しまして各省の意見、又全国知事会とか、全国都道府県の議会の議長会、全国町村会、そういうものの意見は別に刷りましてお手許に廻してございます。  神戸議長にお尋ねいたしますが、只今お話の警察の問題、検察の問題等に関する勧告は、いつ頃内閣並びに国会のほうに御提出になる御予定でございます。
  5. 神戸正雄

    政府委員神戸正雄君) 誠に御尤ものお尋ねですが、実は簡單に扱いますれば極めて近いときにも勧告が出し得ると思つておりますけれども、非常にむずかしいので、どうしてもその点がそれぞれの二つの案等に存在しますので、その解決がちよつと今私どもはつきりと申上げかねます。暫らく控えておる次第で、ちよつと明示することができませんが、私どもといたしましては、できるだけ早く少しでも早く出しまして国政の進展に寄与したいと考えておりますが、併し軽卒にこれを出しますと、父御迷惑になりまするし、慎重に考えておる次第であります。一応試案的なものを考えてどうも迷つておる点がありまして、どうぞ悪しからず……。もう暫らくしましたならば明示することができる時期が来ますから、ちよつと暫らくの間御猶予願いたいと思います。
  6. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 こうした貴重な研究に基いて勧告がされても、大体実現については従来の例に見て容易でない点があろうかと思いますが、政府のほうと非公式でも御連絡になつた結果、二十六年度から成るべくは実施したいという勧告希望は、現状においてはどういうふうになつておるものか、法律案の関係もあるでしようから、この点調査委員会議として非公式に考えられる点をお答え願いたい。
  7. 神戸正雄

    政府委員神戸正雄君) 私どもといたしましては、できるだけ早く、且つできるだけ多く実現して頂きたいと存じておる次第でありまして、すでに私は内閣総理大臣にも申上げて、是非こういうことを早く実行に移すようにお願いいたして置きました次第でありますが、今日の段階におきましては、官房長官指導の下に、次官会議で目下御審議中であると承わつております。立入つて申上げるのはどうかと思いますが、これを実現する県は、私の想像でありますけれども、恐らく国の仕事、国の役人の手を要する仕事が全体から言えば相当残りましたけれども、減ると思います。残るという結果は中央官庁の役人の数を減らさなければならんことになりますでしようが、併し人を減らすということはこれは一つの生存問題で、社会問題でありますので、その点恐らく当局におかれましても、慎重を期しておられるゆえんだろうと思います。結局その仕事は減らしたいが、併し減らす結果人を減らすことは忍びないから、先ず慎重に考えて、人の行く先を何とか考えてやりたいというくらいの親心を持つておられる気持ではないかと感ずるのでありまして、恐らくこれを等閑にしておられるのではない、すでに各行政庁におきましても意見を徴されたところの結果を見ますと、成るほど反対はあります。反対もありますが、賛成の面もあるので、全面的に反対ではないので、賛成をして取上げたいが、人の行く先を考えて徐ろにやりたいという気持があつてのことと思います。それらのことを見ますと、誠にむずかしい問題で、極めてデリケートな問題でありますが、私といたしましては是非一つできるだけ早くやつて頂きたいということを申入れておるに過ぎない。或いはもつと督促でもいたすのが本旨かと思いますが、併しそういつたことを考えますと、解決の途を講ぜられた上において処理されるということで止むを得ないことではないかというふうに推察いたしております。
  8. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 もう一点現在具体的に勧告されてある事項に関係のある法律の一部改正案なるものが、農林その他相当数勧告が行われた後に政府提案となつて出ておるのですが、これらを調査委員会議として検討を加えて、この勧告の趣旨に副つて履行して行くのに便宜な点を考えた法案であるか、或いは逆行しておるという法案であるというふうにお考えになつたものがあるか、こういう点お聞きしたいと思うのですが……。と申しますのは十二月に勧告されたならば、やはり何らか全体の関連する法案についてはこの勧告も頭に入れて修正されることが、望ましいのじやないかと考えるわけですが、案外そうしたことが考慮されないかのような法案がある。最近においても本委員会調査した問題にもそういう点があつたのですが、こうしたやり方について調査委員会議ではどういう検討を加えられ、又どうお考えになつておられるか、お伺いしたい。これが第一点です。  それから第二点は、素人のこれは質問でありますが、勧告に基いて政府提案、関係法規の修正として現われて来た場合に、調査委員会議としてこれらに国会等において意見を述べ得るような、そういう権限と申しますか、或いは手続等はあるのかどうか、これが実際実施されるという場合には、調査委員会議のその都度々々の意見というものはもう不必要なものであつて、一通り勧告が済めば調査委員会議の使命は一切終つたものであるというふうになるのかどうか、この点お伺いしておきたい。
  9. 神戸正雄

    政府委員神戸正雄君) 第一の点でありますが、お説の通り最近になりまして私ども勧告案が出ました後に若干の法案が出まして、法案の趣旨が勧告案と食い違つておるのがあるということは私どもも聞き及んでおります。それは一例を申しますと、計量法ですか、私の聞きましたところでは、計量法などにも、こちらの勧告と違つておる点があるということがわかりまして、法制局のほうから私ども事務局のほうへ話がありまして、意見を徴されたということであります。従いましてその意見を徴せられたときに、その法案の中に出ておる条項で以て、こちらの趣旨と違つたものはかようかように改めて頂きたいということを記しまして、法制局のほうへ提出いたしたのであります。なおその他二、三の法案も法制局のほうから頂きまして、事務局のほうでそれについてはこちらの案との食違いの考を指摘して修正方を申入れまして、全部それが承認ではなくても、重要な点はお直し頂いたように伝え聞いております。若し精密なことをお聞きになりますれば、事務局長が来ておりますのでお答えいたしますが、私の聞いておるところでは、相当に法制局のほうで私どものほうの会の事務局で出した意見を尊重されて、修正をせられたというふうに聞いておる次第でありますから、私の聞いただけでは、私どもの趣旨が認められて相当に尊重されたものと聞いております。  第二の点につきましては、私どものほうといたしましてはどういうふうに解釈すべきか一向に……、適当な解釈があるかも知れませんが、私ども自分としては我々の会議というものは我々が案を作る。最善の勧告案を作ることを御付託になつたのでありまして、それを提出いたしますればそれで一応責任としては全うしておるものであり、あとを一々私どもが見まして、出て来る法案についての意見を述べるのは必ずしも仕事ではないと思いますが、併しながら私ども政府委員を任命されました以上は、政府委員の資格におきまして私どもの知つておることを卒直に申上げることは、その意味においては責任かと存ずる次第であります。どういうふうに扱うべきかという点につきましては、第二点は私どもといたしましては十分のお答えはできかねますけれども、私自身の信ずるところでは、まあ会議の議長なり議員なりといたしましては一応の責任は済んでおる。併しながら政府委員立場において何がしの御意見をお求めになりますれば、喜んで、進んで罷り出るというつもりでございます。
  10. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 よくわかりましたが、それでもう一点。現在地方行政調査委員会議の議員、議長が政府委員であられるということは、政府委員として内閣を経由して国会に勧告された、その勧告について説明を国会にするという程度政府委員なのでしようか。まあ政府委員である限りは政府部内一体となるのですから、法案等が出る場合に、異なる意見を出すわけには行かんでしようか。これはどういう意味合いで政府委員になつておられるのか、この際ちよつと素人質問ですが、使命と資格についてお考えの点をお聞きしておきたいと思います。
  11. 神戸正雄

    政府委員神戸正雄君) どうも私もこういつたことについての経験がありませんから、何かはかの例がありますとそれを類推してはつきりとお答えできるかも知れませんが、私ども立場から申しますれば、どうも政府委員である以上は一体となるからして矛盾し、衝突する考えを述べることは慎しまなければいかんというふうにも考えますが、併し私どもの権限が、やはりどうも勧告案を作れということの使命を承わつておる、それだけの権限でありますので権限を越えてよそのことまで申上げるということは、むしろ差控えたほうがいいのじやないか。遠慮したほうが、いいじやないかと思います。というのは若し政府の意見が、私ども意見と他の政府委員意見とが食い違つた場合には、どうするかという問題が起つて来ましようから、私どもといたしましてはただ勧告案の趣旨はこうだつたということの御説明を申上げて、それ以上のことは政府の代表として政府の所管のかたがたのほうが言うべきものであつて、私どものほうはまだ勧告案立場からの御説明をいたすだけで、むしろ附随的に、参考としてお聞取り願う程度のことにしたほうが、筋が通つているのでないかと、こう考えております。
  12. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 私なぜこういうことをお聞きするかと申しますと、現在出ている勧告案に関連のある法規、或いは今後勧告するものに基いて諸法規の改正というものが出て来る場合に、本委員会において政府の原案についていろいろ質すという場合に、行政調査委員会議にも、委員会議の立場において法案に対する意見を求めたい、この勧告書に基いて求めたいという場合が多々あるだろうと思う。その場合に政府として調査委員会議の立場から原案反対或いは望ましくない、不都合であると考えるというような自由発言を許される政府委員であるかどうかということを、前以て聞いておかないというと、くだらんことをお聞きするというふうなことになるわけでありまして、もう一度その辺しつかりお伺いしておきたいと思います。
  13. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  14. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 速記を始めて下さい。
  15. 神戸正雄

    政府委員神戸正雄君) これは国会におかせられましても先例のないような……先刻の御意見によると人事院と同じだということで、先例のあることかも知れませんが、併し私どもの使命から申しますと、政府即ち内閣意見として考えておるところと私ども会議考えておるところとは、必ずしも一致しないと思います。一致せん場合のほうが相当にあり得るということを想像いたします。と申しますのは、内閣というものは行政府であります。行政府は行政の各官署の責任者の集まりでありますが、各官署の立場から申しますれば、私どもの問題のように国と府県市町村との関係、従いまして対立したところの利害の……利害と言つてはいけませんかも知れませんが、考え方が初めから違つております。初めから市町村の我々のところへ提出するところの意見府県の提出する意見、政府の答えるところの意見というものはすべてどこかに食い違いがあります。或る点においては一致しましても相当に食い違うということは止むを得んことでありますので、従いまして本当に政府の役人が、国のことも府県のことも市町村のことも、何もかも全部を総合して公平に判断するだけの大きな度量を持つていましたならば、そういうことはなくて済むことでありますけれども、実際におきまして、事実問題としてどうしても国の、政府の立場において府県市町村に讓りたくないという仕事が出て来ることでありますからして、そういうことを考えますと、政府の意見というものが、必ずしも我々の三者を総合した意見と一致することは望めぬ場合も出て来ますからして、そうしますると、政府の意見、即ち法案等におきまするところの意見と、私ども意見とが一致する場合と、一致しない場合とが出て来る。従いましてむしろ私ども立場を幾らか特別にお計らいを頂きまして、或る程度国会におきましても、寛容の態度で以て独自の立場を主張することを認めると共に、少くとも開陳することをお許し願いたい。政府の主張はこうであるが、併しこういう考え方が、行政調査委員会議の案に出ておるのだ、こういう点において違つておるのだということで、それからの御判断はこちらで以て、国会において如何ようともお取計らいを頂くことにいたしまして、私どもには或る程度一般の政府委員とは多少特殊のお扱いを頂くような慣例なりができますれば仕合せと存じます。そういうふうにいたして頂きたいというのが私ども希望的な意見であります。
  16. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 次には委員長にお伺いしますが、この勧告自体は地方行政委員会の所管に、先例はなくともなるだろうと思うのですが、そうした場合、この関係する法令の改正案等が出ている場合には、今後事務の再配分に重要であるという部分をこの委員会に認めた場合は、関係法案の審査をしている委員会と、積極的にこの問題についても審査し得るような機会を求めるように、今後委員長においてお取計らいになられるかどうか、この際お伺いしておきたい。
  17. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) これは皆さんにお諮りをして、この委員会として態度を決定しておかなければならない問題と考えております。私といたしましては、地方行政調査委員会議というものができまして、そうして国会に対しても内閣を経由して貴重な報告をよこしているのであり、その勧告地方行政事務に大関係のある勧告であります。行政事務の再配分となつておりますけれども地方行政事務に最も関係のあるものでありますから、この委員会として当然大関係を持つて来るのであります。それでこの勧告に含まれておる重要なことで各主管の委員会にかかるような法案が出て参りましたしときには、今小笠原君からお話のございましたように連合審査を申込むなり、又は特に委員の代表を選びましてそうしてこの委員会の主張を当該委員会で委員外発言としていたしますなり、そういう処置をとつてつたらどうか、こういうように考えておるのであります。
  18. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 了解……。
  19. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 地方行政調査委員会議議長に対しましてほかに御質問ございませんか……。それでは行政事務の再配分に関しまする地方行政調査委員会議勧告につきましては、今日はこの程度にいたしておきたいと思います。  それでは今日はこの程度で散会をいたします。    午後二時五十八分散会  出席者は左の通り。    委員長            岡本 愛祐君    委員            石村 幸作君            高橋進太郎君            安井  謙君           小笠原二三男君            相馬 助治君            中田 吉雄君            西郷吉之助君   政府委員    地方行政調査委    員会議議長   神戸 正雄君    地方行政調査委   員会議事務局長  大野 連治君   事務局側    常任委員会専門    員       福永與一郎君    常任委員会専門    員       武井 群嗣君