○
政府委員(
神戸正雄君) 昨年の十二月二十二日付を以ちまして、
行政事務の再
配分に関する
勧告案を
内閣及び
内閣を通しまして国会のほうへ御提出いたした次第であります。この
勧告案につきましては前に私
どもこの案を
審議中にも当
委員会に罷り出まして、若干の御
説明を申上げましたのであります。その後いろいろ
調査をいたしまして
審議いたしました結果、漸く大綱を十二月末になりまして
決定することができた次第であります。これによりまして
行政事務再
配分の一番主要な問題だけは捕えまして、その基本の線をきめた次第でありまして、なお若干残された問題もありますし、従いましてこれを以ちましてこれが完了したわけではありません。大体の御
説明を申上げます。
この前にも御
説明申しました
通り趣旨は、一番主眼は
地方の
自治拡充ということを
目標といたしておるのであります。憲法に規定された
通り、その線を遵奉し、更に
シヤウプ勧告の示しました
一つの
目標を参照としまして、内外の
各種の情勢を参酌してこれをきめた次第であります。先ず
原則といたしましては三
原則を立てまして、
責任明確化の
原則、
能率の
原則並びに
地方、殊に
市町村優先の
原則というもの
三つを立てまして出発いたしたわけであります。申すまでもなく、従来の
日本の国及び
地方の
行政のあり方というものは、ややもすると
委任事務が多くて、従いまして国の
仕事であるか
地方自治体の
仕事であるか
はつきりいたしません。これをこれは国の
仕事である、これは
府県の
仕事である、これは
市町村の
仕事であるとして、そうして各
責任を以てそれをや
つて行く。与えられた
財源で
自分たちの持
つたところの能力というものを十分に発揮して、そうして飽くまで
自分の
仕事は
自分でやる、
責任を以てやる、こういうことをして行くということが第一の
目標であります。更に
能率のことも
考えまして、
能率の上がるところでやる、一番
能率の上がりそうなところを選んで
仕事を配当する、こういうことも
考えました。併し
行政事務はできるだけ
国民の生活に直結して近い所で成るべくやらせ、国よりは
府県、
府県よりは
市町村というふうにできるだけ目の届く所で
仕事をや
つてもら
つて、そうしてその
仕事がよいか悪いかの
判断がついて
仕事をますます、
行政事務をますます有効に適切に行うように、
国民がみずから自主的に導くという気持を発揮してもらうこと、こういう
考え方に基いておりまして、ただ
三つの
原則がありましたものですから、
従つて大体
一つの
原則で行きますれば極めて
明瞭簡單でありますが、
三つの総合をした結果、徹底しない点が多少あることは止むを得ないことだと思います。その場合におきましては、私
どもは先ず公平妥当と信じたところによ
つて決定いたしたいと思います。細かい事項については恐らく
異論も出て来ることは止むを得ないと存じておる次第であります。この
三つの
原則に基きまして、先ず国の
仕事といたしましては国の存立に直接必要な
仕事である、全
国家的な企画の
仕事である、或いは
統制的な
仕事である、
統制の
仕事というのは、
府県とか
地方の
考えに従わないで、
国家の
立場から
統制しなければならぬというような
仕事、或いは
府県の
地域を越えた
仕事、その
府県の
地域に
関係のない
仕事というようなものを
国家としてやらなければならない。
人民へのサービスを図るような
仕事であるとしても、
地方のやるのに任しましては余り
能率が上らんとか、或いは適当でないとか、非
能率、不適当と認めるような
仕事というようなものを二十九種類きめまして、先ずこれは国がどうしてもやらなければならぬという
仕事だけを先ず国に留保しまして、そうして
あとの
仕事はできるだけ
地方に、
地方の
仕事として任すということにいたしまして、その
地方の
仕事においては、
市町村というものが、これが
人民に直結したところの
団体でありますから、
市町村にやらす、併し
二つの
仕事、それは
市町村の区域を超えて行わなければならぬというような
仕事であるとか、或いは
市町村にありましては
十分能率が上らんとか、不適当であると認められるような
仕事を、これを
府県というものが、
市町村の上に立
つている、
市町村を包括するところの
団体としてやる、こういうようなことに持
つて行こうといたしたのであります。大体の
標準といたしまして、そういう
標準をきめまして、
各種の
行政につきまして、一々検討しまして、これの
責任の所在を明らかにしよう努めたのであります。その間におきましては、随分いろいろな
議論もありまして、
決定に困
つた次第であります。併し
最後には止むを得ず
決定を下しまして、或いはなお
異論を残している点があろうとも心配しておるのであります。一々のことを申しますと何ですが、例えば例を以て私
どもの
審議中に問題になりましたむずかしい問題の二三をと
つて申しますと、例えば
運輸行政におきまして
府県は
府県の
立場、国は国の
立場で以てそれぞれ
所属について
異論がありましたので、非常にむずかしい問題を生じてお
つたのでありますが、併し私
どもといたしましては
結論といたしまして
鉄道、
軌道のごときものは、これは国の
仕事と認めました中に、初めには一
地方限りの、一
府県内のものであれば、
府県でやらせればいいじやないかといろ
議論もありましたが、
鉄道、
軌道はすべて国に
所属することにいたしました。それから
自動車がむずかしい問題でありましたが、
自動車も
路線をきめる、定
路線の
旅客の
自動車、或いは
貨物の
自動車というようなもの、そういうようなものを国といたしまして、
あとの
貸切自動車であるとか、或いは自家用の
自動車であるとか、或いは特定の人のために動くところの
自動車とい
つたようなものは、これを
府県の
所属にいたしまして、更に軽車両は
市町村とい
つたように分けて行きました。なせそうしたかと言いますと、私
どもの
見方によりましては、
鉄道なり、
軌道なり、或いは定
路線の
旅客貨物の
自動車というものは、
交通の
一貫性というものを重んじまして、国の全体に
一つの
交通網というものを
考えて
連絡ができる。
連絡する上においてはやはり国が監督し、
取締るほうがそれがうまく行くだろうと、こう
考えたのであります。それに
関係のないところの、それと離れて動くところの
自動車等はこれは必ずしも国が
取締らなくても、
地方で以てできますし、又殊に
自動車のごときものは
道路を非常に使用する、損傷する
関係もありまして、
道路の
維持管理の
仕事というものは
多分に
府県に待つところが多いのでありますから、こうい
つたものは
府県にやらしたらよかろう、だから
交通の
一貫性を保つに必要でない限りにおいては、むしろ
地方にやらせるということにいたしたのであります。併し
地方といたしましては、
自分の一
府県内限りのことであれば、すべての
交通は
地方で監督したい。こういう
希望が出ておりましたけれ
ども、併しこれは
最後にはそういうことで
一つの
標準をきめまして、分配をいたしておる次第であります。
それから
労働行政のことを申上げます。
労働行政の問題につきましても、これは実は
地方といたしましては、
労働行政は今日の時勢におきまして、
多分に
地方で以て処理できるから、全面的に
地方に移したいという
希望があ
つたのでありますが、検討いたしました結果、大きなところでは、例えば
労働基準行政というものは国の
仕事に全然残しました。併しいわゆる職安、
職業安定の
仕事はこれは
地方に、
府県に留保するというよりは、むしろ今までのところ極めてあいまいでありますが、
地方のほうで
はつきりやるということにきめた次第であります。実はこの
労働行政というものは、
地方でもやかましい問題で、失業問題とかいろいろからみまして、始終
府県庁なり、或いは
市町村役場に押しかけていろいろな問題をかれこれ起しておるというような問題でありますから、従いましてこれにつきましては、
指導に直接当
つておるところの
府県の
仕事としても差支えないではないかというような
考え方もありましたが、併しこの
労働基準行政のほうの問題ですと、
基準はこれは
一つには国際的な問題にもかかわりまするし、
日本の
労働の
基準というものが
はつきり正確に行われておるということは、
日本の国際的の権威を維持するためにも必要であると思いまするし、国際的の苦情を除くゆえんでもありますし、将来には条約の上においても相当これは問題がありまして、いずれもつと強い構想を入れた法規になりましようが、いずれにいたしましても、そういう
関係もありまするし、又国内的の
関係におきしまても、一
府県を特に
基準を緩めるとかいうようなことをいたしますと、各
地方の間に不均衡ということもありますし、こうい
つた仕事というものは、やはり国が
統制としてしつかりと厳重に統一的な
方針によ
つてや
つて行くということのほうがよく行くであろうと
考えて、これは
府県にもできるという
府県のほうでは主張いたしましたが、
府県がたとえできても、どうしても多少寛厳よろしくやりまして、寛大にしてほかの
地方よりも競争上有利にしようということも
考えまするし、やはりこれは国がや
つたほうがよいということで、国に留保することにいたしました。併し
職業安定の
仕事とこれは又別問題であります。これも
考えようによりましては、国の
立場から行きますと、国は全体の
労働状況を見て
職業の
紹介をするということで、これは国でや
つたほうがよいではないかと、こういう
考え方も出ましたけれ
ども、併し実際この
職業紹介、
職業安定の
仕事というものは、主としてその
地方心々の
労働の
状況に応じて
職業を
紹介するものでありましようし、多少はそのほかの
府県と連繋をとりまして、大きな、
地方的な面で調節をする
仕事でありますから、
府県でできるとか、或いは時に
国家全体の面から
考えまして九州から
北海道までというようなことも
考えられますけれ
ども、これは併し例外的であ
つて、大体においては
府県を中心にして
地方的な
仕事をや
つておる。
地方でできる
仕事をやる。
地方の役人でもできる
仕事をやるというので、国を煩わす必要がないので
地方に移すことにした次第であります。こうい
つた関係でありまして一々申上げますと何ですが、それぞれにいろいろな主張があり、これはこちらがいい、これはこちらがいいというので
折衝をし、いろいろ話合いをして、もうこれくらいできめようということできめる次第であります。実はきめるにつきましてはいろいろな
原則上の
食い違いを、結びつける意味においての
食い違いもありましようし、国、
府県、
市町村の
立場で直接いろいろな
要求が出まして、それをまとめるに
相当苦心をいたした次第であります。
さて、そういたしまして
仕事の
配分につきましては二、三の例を以て御
説明をいたしましたので御了承を願うことにいたしまして、
仕事の
やり方につきましては、これはこれまでの
やり方というもの、とかく
許可認可とか或いは
変更、
取消、代
執行という
権力的な
関与で以て、国が或いは
府県が、
府県、
市町村に向
つていろいろ
関与する、干渉するという場合が多くありました。それがためにいろいろなあちらこちらの
折衝に
事務に手間ど
つておる、
事務の
簡素化ということもそれによ
つて侵されてお
つた。これで誠にそういう面のまずい点があ
つたのでございますが、併しすでに私
どもが
考えましたような
責任の
明確化という
原則をきめて、
仕事を割当てた以上は、与えられたるところの
仕事、指定されたところの
仕事、
府県なら
府県に指定された
仕事市町村なら
市町村に指定された
仕事は、
府県は
府県の
責任において、
市町村は
市町村の
責任においてやる以上は、あえて国なり
府県なりからして、その
府県、
市町村に向
つて強制をしないで
責任を持
つてやる。や
つた仕事がよいか悪いかという
判断は、
国民がそれによ
つて、自然に選挙の上において、その他の面において、
人民投票なら
人民投票の面においてもわかりましようし、更に又輿論によ
つて監視することもできますし、そうむちやなことをするものじやない。もつともつと
責任を持
つてやらせるというようなふうに持
つて行きたいと、こう
考えるのでありまして、これからの
やり方というものは、少くとも国の
仕事を、
委任された
仕事は別といたしまして、各
府県なり
市町村に
責任を持
つてやらせるという
仕事については、
許可認可ということを要せずやれるようにし、更にその
取消とか、
変更とか、代
執行ということも、直ちに国なんかが発動しないようにしよう。むしろそれがやる場合には仮に
国家的の
重要性のある問題であるならば、国といたしまして
府県のや
つたことをそのままにして置くわけにいかん。それは
変更とか、
取消をさせなければならんとか、代
執行をしなければならんということが起り得る。国の重大な利益に関する場合におきましては必要がありましよう。そういう必要な場合におきましても国が直ちにそういう手続をとらないで以て、一応何か将来の問題ですけれ
ども、私
どもの提案といたしましては、この中立的な
一つの
機関を
作つて、その
意見を聞いて国がやる。国が直接やらない、
意見を聞いて
事前に
承認を得て、得た上でそれの
取消なり
変更なり代
執行をやる、そういうことにしよう。併し
仕事によ
つては例えば
伝染病関係とか急を要するという場合には、そういう中立的な
機関に
事前の
承認を得ないで、
事後の
承認を得る。
事後の
承認で足るということでありまして、私
どもの
考え方といたしましては、
地方団体、
府県なり
市町村なりが
責任を持
つてや
つておる
仕事については、国においては
権力的関与を避けて、非
権力的に、
権力的に作用するときには
中立的機関の
事前の
承認が要る、
事後の
承認が要るというところに持
つて行つて、余り
権力を振り廻さんようにしてもらいたいと、こういうことであります。でありますから国が
府県なり
市町村にどういうことをやるかと言えば、或いはこれは
報告でも取るとか、
報告を取る場合には余り取り過ぎてはいかんでしようが、或いは又
援助をするとか、
助言をするとか、技術的な
援助を与えるとか、
助言を与えるとかいうようなことをやりまして、成るべく
権力の
関係がないようなところで以て
仕事をよく行うように、よい方向に向うように、いろいろお助けをするということで、むやみに
許可、
認可、
取消、
変更のことをしないようにしよう、こういう
やり方であるのであります。無論
委任ということを全然なくしたわけではありません。
最小限度に
機関委任のようなものは残さざるを得ないでありましようが、併しこれはできるだけ少くして、すべての
仕事を成るべく各
団体の
責任においてやらせる、
委任するというようなことになると、
委任されたほうでも人の
仕事でありますから、それだけ何と言いますか、十分に
執行できないということにもなりましようし、
自分の
仕事だ、
自分の
仕事としてや
つたほうがよく行くだろう、こういう
見方であります。そうい
つたことで私
どもは
仕事を
配分すると同時に、
仕事の
やり方につきましても、できるだけこの
責任主義によりまして、上からの、国なり
府県なりからの
権力的な
関与を避けるということに持
つて行きたいという力強い
考えを盛り込んでおる次第であります。
それからなお二、三申しますと、
適正規模の問題でありますが、これは先刻申上げた
方針によりまして、これまでよりは
府県、
市町村に
仕事が多く行
つたわけであります。
府県のほうはそれほどでありませんが、少くとも
市町村におきましては、これまでの機能においてはどうもこれらの固ま
つたところの、多くな
つたところの
仕事を負担するにおきまして、
規模が小さ過ぎるじやないかということを
考えまして、だんだん調べて見ました結果、
町村というものはまあ
人口の七八千くらいが先ず
基準ではないかということを、いろいろな点から総合して
考えたのであります。一番すぐ
はつきり出て来ましたのは
中学校ですが、
中学校を
一つ造るという單位が丁度
人口七八千くらいでしよう、
中学校が適当だということになりまして、そういうことを
考えたのですが、他の点を
考えまして、衛生になりますと
人口十万くらいになりませんと、余りに問題にかけ離れますから問題にいたしませんが、
中学校ぐらいになりますと
人口七八千ぐらいが
基準になる。そこでだんだん調べて見ますと、
役場の
費用とかいろいろな
費用を
考えますと、
人口が余りに少い所では
費用というものが相当高くつきます。余りに大きくなりますと……、
人口一万以上になるとちよつと割高についておるようであります。それから町ということになりますと、町の体面もあり、町の構成上いろいろな
費用がかかりまして、
人口七八千ぐらいの所が、いろいろな
役場費とか雑多な
費用が少いのであります。そういうことから
考えまして、せめて
人口七八千ぐらいを
基準にしてもらいたい、
人口の少いところ、六百ぐらいのところがあるが、そんなところは特別であります。恐らくそういう少いところは離れ島であるとか、山間の
谷底であ
つて、非常に不便なところであるとかいうところになると、止むを得ず
人口の少いところでもということになりましようが、そういうような
状況でない、できたらまあ成るべくそれくらいの
程度に持
つて行きたいと
考えておる次第であります。無論村の大きさということはその地形とか或いは産業の種類とか、いろいろなことを
考えなければなりませんからして、
簡單にも申せませんが、できたらこれを七八千ぐらいの
標準で以て、それを
目安にして村を構成したほうがいいという
結論に達しまして、そういう
結論を出しまして成るべく各
府県で
委員会を
作つて、各
町村の
規模をそこへ持
つて行くようにいろいろお世話をする、
指導をするというようなことにいたしたいと
考えておる次第であります。同時に、
府県の
規模ということが問題でありますが、
府県の
規模につきましては、これはまあ今のままでも
府県というものは小さいながらも
町村と違いまして、幾ら小さい
府県でも或る
程度人的に揃
つておりますし、金の面から見ましても不健全かも知れませんが、
平衡交付金のようなものがあ
つて、税源が足らんところでも
財源の補充ができております。これでも行けるということであります。
第二の問題といたしまして、併しこれで足りるわけではありませんので、
府県は或いは
町村同様にもう少し大きくしたほうがいいのではないかという
意見もありまして、その点はまだ
結論が出ておりません。
府県にしましても何がしかもう少し大きくするほうがよくないかというような問題がありまして、それを
研究中であります。これは後日
結論を得ましたらば、案を作成したいと
考えております。
その他におきまして申上げたいことはこの案におきまして、なお同じような問題で残
つております問題は、東京都の区の問題でありますが、こういう特殊な、特別区と申しますか、特別区の問題につきまして、
仕事の
配分の問題に関連しまして、区が都からしてもつと
仕事をよこせという問題があります。これは一般の
府県と
市町村との
関係と似た点もありますが、かなり
違つた点がありまして、そのために区のほうでいろいろな特別の
要求を出しておりますが、これもどういうふうに持
つて行くかということが
一つ関連して残
つております。これも今
研究中でありますが、これもやがて附帯して
考えて見たいと思
つております。そのほかの問題としては、
北海道の道というものの、これも今日
府県並みに
考えておりますけれ
ども、
北海道というものは開拓という
国家的な大きな
仕事を持ちまして、この
仕事を
国家から委されてやるということにつきましては、これはほかの
府県などとは
違つた事情がありますから、
従つてどういうふうにこの問題を解決するか。特殊な問題、
北海道の道というような特別な地位というものをこのままにしておくか、或いはどう改良するかということが
一つ問題であります。
もう
一つ、
大都市の問題も、又若干再
配分等で
大都市の
特殊性を認めまして、特に
仕事を持たせましたが、なおそれ以上にも
大都市には
仕事を、
府県の
仕事でも委していい
仕事もあるのではないかというような問題がありまして、
大都市の問題は一部であるが、一部分が残されております。
大都市の
仕事をどういうふうに扱うかということが残
つておるわけであります。
そのほかにおきましては、
行政の
仕事におきまして
二つばかり
残つた点があります。
一つは
法務の問題ですが、
法務、司法、
法務の問題と
警察の問題と
二つ残してあります。
法務の問題は、外国にはその例が
アメリカあたりでは発達しておるわけです。
地方に
法務というものを持
つている制度が発達しておりますが、
日本では
文書課、
法制課という小さい形で若干は
府県なり、
大都市にはありますが、
アメリカのような
規模においては存在しておりません。従いまして、こういうものを新らしく設けるかどうか、そうしてどういうことをやらすか、やらす
仕事につきましても、各国の例をそのまま採
つていいのか、
日本とは
事情の違う点もあります。殊に
検察官の問題のごときは、
検察官というものを
地方に置くということが、果して全体の
法制上差支えないかという点に多少の問題があり、今
専門家にもお願いいたしまして、
意見を徴したりして
研究中でございますから、これ又やがて何らかの
結論を出したいと思
つております。
警察問題は、
地方自治警察の問題ですが、これまでの
警察におきまして、私
ども見まして、
地方自治体警察というものは、飽くまで
原則としては尊重しなければなりませんけれ
ども、
自治体警察と
国家警察との
関係におきまして、
連絡調整の欠点もあるのではないか、こう
考えているのであります。
国家警察と
自治体警察、
自治体警察相互間の
連絡協議とか
応援とか、
相互の
応援とか、これも
協議ということを本位として、その
運営が
原則を動かさないで、
運営が一層よく行われ、一層
能率の高くなりますようにするには、どうしたらいいかということを
研究中であります。今
新聞等で私
どもが発表をしたとかしないとかいうことをいわれておりますが、まだ
研究中であります。案はできつつありますけれ
ども、まだ試案の
程度でありまして、これにつきましても
原則を尊重しつつ、よくするためにということの
方針を以て
考え中であります。大体
勧告案というものの
趣旨要点で残された問題であります。もう
一つ残つている問題は、財政問題であります。先に十月に私
どもといたしまして、応急的に
補助金、
地方起債、
災害復旧費の
国庫負担の問題につきまして
勧告案を提出いたしました。財政問題、応急的の
財政処置について提出いたした次第であります。なお恒人的の措置といたしましては、この
事務の
配分の工合によりまして、国なら国におきまして金が余る場合がありましようし、
府県なり
市町村において
仕事が増えて金が足らん面が自然にできて来ると思います。その計算は甚だむずかしいことでありますが、そういうことの大体の
目安を付けました上で、
財源の足らんところに、この
配分をした結果
財源の足らないところには余
つたところから
財源を移すということを
考えたいと思います。そういうことにつきましての
研究を同時にや
つておる次第でありまして、これは甚だむずかしい問題でありますが、まあ
簡單に言いますと、応急的にしますれば
平衡交付金のようなものに盛り込むということが比較的
簡單な
仕事のようですが、これとても
国家の
財源の上から
言つて平衡交付金の増加、必ずしも容易ではありませんし、いわんや新らしい税を
考えるか、或いは或る税を甲の
団体から乙の
団体に移すということについても、いろいろな問題を引き起すのでありますが、それらにつきましてもう少し検討した上で、何らかの
結論を出したいというふうに
考える次第であります。大体その
程度であります。