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1951-02-17 第10回国会 参議院 地方行政委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年二月十七日(土曜日)    午前十時三十八分開会   —————————————   本日の会議に付した事件地方行政の改革に関する調査の件  (東京都の治安問題に関する件)   —————————————
  2. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) これより地方行政委員会を開会いたします。  本日は国内治安の問題につきまして御審議をお願いいたします。吉川委員鈴木委員から御要求もありましたので、今日は自治体警察側から東京警視庁田中総監以下においでを頂きまして、御説明を承わりたいと存じます。どうぞ田中総監
  3. 田中榮一

    参考人田中榮一君) 只今岡本委員長から御紹介にあずかりました警視総監田中榮一であります。東京特別区内におきまする、警視庁管内におきまする昭和二十五年度中における大衆犯罪状況につきまして申上げたいと思います。これから申上げる事項につきまして都内にこういうような事件があつたということを概括的に申上げまして、なお詳しいことにつきましては本日同道いたしました古屋刑事部長原警邏部長から個々の具体的な問題につきまして詳しく又御説明をいたしたらどうかと考えております。
  4. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 本日総監初め警視庁のかたが見えておりますから、我々は治安状況につきでき得る限り詳細にお話を伺いたいと思いますので、場合により秘密会をすることを御要求いたします。その時期等は委員長において裁量をして頂きたい。
  5. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 只今西郷君から秘密会の時期を委員長が裁量して適当に取計らえという動議が出ましたが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) ではそのようにいたします。では必要のときに……。
  7. 田中榮一

    参考人田中榮一君) 終戦後における大衆犯罪を通観して見ると、昨年度に急激に増加しておりまして、件数で見ますと、終戦後一昨二十四年までの合計が発生件数として二十二件、人員六百四十三名の検挙であるのに、昨年中だけで、すでに発生件数が百八十一件、人員が八百三十八名というものの検挙を見ておりまして、この五カ年間の通計を遥かに凌ぐ不法事件発生を見ております。こうした現象は昨年一月早々コミンフオルム機関紙プラウダ紙に掲げられましたいわゆる野坂批判契機とする日本共産党の戦術転換によつたものでありまして、その後国際情勢の推移を反映して、激しい反帝闘争が激化したものと考えられるものであります。かかる情勢一般労働運動に反省的な刺戟となつて参りまして、民主的労組の大同団結の機縁を作り、又総評議会の結成にまで発展いたしました。左派全労連の退潮を示したのでありますが、一方左翼急進分子は極めて焦慮し、又逆に反撥的に尖鋭化して行く傾向もあつたのでありまして、これに伴いまして、集団による不法事件等行動随所に見るようになつたのであります。で昨年先ず大きな事件としまして取上げなくてはならんことは、皇居広場前の五・三〇事件でございます。この事件内容は非常に興奮いたしました左翼急進分子が進駐軍の将兵に対しまして不法暴行行為に出でたのでありまして、これに端を発しましていわゆる五・三〇事件というものができたのであります。その後この事件に関連してマ元帥に対する質問書事件というものが起りまして、それから更に自由労働者職安闘争からレッドパージ反対闘争に及んで参つたのであります。この事件契機といたしまして従来警察取締態度に対しましてはつきり大きなエポツクメーキングな取締の対策をここに樹立したのであります。従来かような示威運動並びに示威行進等に対しましては、東京都の公安條例届出制度によつて一応取締をいたしておつたのでありまするが、これを契機といたしまして届出制度許可制度にするというような機運が濃厚になりまして、それと共に公共場所における集会に対しても何らか措置をとるべきであるというような機運が極めて濃厚になつて参りまして、その後全国に魁けまして東京都の公安條例を新らしく作りまして、いわゆる公共場所における集会等に対しましてもこれを許可制度とし、従来の届出制度許可制度改正をいたしたのであります。大体におきましてこの公安條例のいわゆる公共場所における集会に対する許可制度ということは、全国的にこれが採用されることになりまして、只今では他の都市並びに他の県におきましてもこの東京公安條例を見習いまして、大体本内容内容としたところの公安條例が広汎に制定せられたことは誠に注目に値いするところであります。先ずこの労働争議関係について申上げますると、この労働組合の三月攻勢は、民主労働組合を主体に展開いたしましたが、不法事件は割合少なかつたのであります。一方左派急進分子労働組合は五月鬪争というものを展開して、日立の亀有、大森工場、それから東日本電線会社、それから私鉄東貨労、それから新理研、東宝などが特に激しい鬪争を展開いたしまして不法事件を惹起いたしております。  次にレッドパージに関する問題でございまするが、昨年七月中央気象台新聞労組を皮切りに開始されましたレッドパージ闘争は、日共使嗾下に各企業体内にあつて激烈な闘争を繰返しまして、管下随所不法事件を起しております。蒲田の糀谷におきまする電業社のレッドパージにおける不法事件、それから神楽坂管内における大日本印刷工場におけるレッドパージ不法事件、これらの事件におきましては取締に当つた警察官自体も非常に身の危険を感じまして、正当防衛上止むを得ず拳銃を使用したような事件等管内において起つておるのであります。レッドパージ闘争に絡んでの特異事件は特にこの全学連都学連等を中心としたいわゆる学生不法事件でございます。早大は十月の十日頃から十七、八日頃にかけまして、約二回に亘りまして騒擾があつたのでありますが、特に十月の十七日は平和と学生擁護大会を早稲田の校内並びに大隈講堂の前で展開をいたしまして、十月十七日の夕刻に相当多数の学生が集まりまして、そうして学校当局レッドパージに対して不法弾圧を呼びまして、遂に総長以下教授大部分を二階に軟禁をするというような状況がありましたので、学校当局の要請によりまして直ちに警察官を派遣いたしましてこれが解散を命じたのでありますが、その際は非常に乱暴狼藉を働きまして、或いは三階から投石をいたしましたり、或いは警察官に対して暴行いたしまして、その際に学生百四十五名の検挙を見たのでありまして、警察官は二百三十一名でございましたか負傷いたしたのであります。本件は十五名が起訴され、まだ公判は開かれておりません。なおこの警察官負傷の数が非常に多かつたのは、夜間でございまして、三階から投石をされたためにその負傷が多かつたのであります。追放者のその後の動きを見ると管下、これは工場事業場その他におけるレッドパージによつて追放されました者のそれが約千六百八十六名ということに相成ります。そのうち拒否した者が七百六十名、そのうち提訴した者が七十九名でございます。現在この被追放者の約三分の一の、主として元組合の有力なる闘争分子があらゆる問題に介入いたしまして、いわゆる指導分子として活溌に党活動を展開いたしております。千六百八十六名のうちの約三分の一、即ち六百三十五名が求職申込をしておるのでありまするが、現在までは就職者は全くない、皆無の状況で、再就職に対しましては雇傭者側は固く門戸を閉ざして警戒しておるような実情でありまして、従つて現在これらの者はいずれも失業いたしております。この六百有余名の者が大体三月頃から失業保険受給の終了する時期に相成つておりますので、若しこれらの者が失業保險受給が終了した場合に、殆んど収入が皆無になつた場合において、いわゆる生活苦から来る焦慮、又自暴自棄というような点から、或いは相当これらの者が過激な行動にでる虞れがあるのではないかと考えるので、この動向については十分に一つ注意をいたしておるような次第であります。  それから職安闘争でございまするが、この職安闘争は先ず関西方面で火蓋が切られたのであります。管下では二月下旬に、関西よりやや遅れまして開始されまして、年末まで間断なく鬪争を繰返して、紛争事件数が九百四十件、検挙事犯は三十九件、約二百名に及んでおる状況であります。本年に入りましては、まだ職安闘争におきましては不法事件というものは本年に入つてはまだ起つておりません。  それから次に反税闘争でありますが、中小商工業者に対する集団的反税闘争は群馬県では最も激しかつたのでありまするが、管下におきましては四月共の品川区議の高木陽一なる者が、これが指揮で品川税務署大衆動員を行なつたのを初め、検挙事犯を見た者が十四件、三十八名に及んでおりますが、年末以降は專ら文書活動に終始して現在に至つております。  それから勅令第三百十一号、只今はこれが改正になりまして、政令三百二十五号ということになつておりますが、この政令三百二十五号違反事犯発生いたしましたことは、昨年中の特別な現象でございますが、管下におきましては、占領軍将兵に対して暴行を加えた五・三〇事件以後、質問書事件に名を籍りた占領軍誹謗文書の掲示並びに頒布を初めといたしまして、朝鮮事変に絡んでいわゆる露骨な反米宣伝随所発生いたしまして、昨年一カ年間で八十六件、百四十四名の検挙を見ておる次第であります。その編集、印刷、頒布方法も極めて巧妙でありまして、日共活動の重心が特にいわゆる文書に移行しつつあるのでありまして、従つてその捜査も極めて困難を来たしておるのでありまするが、今年に入りましては、昨日現在、二月十六日現在で五十五名の検挙を見ており、ますます増加の傾向があるのであります。特に日共機関紙のアカハタのいわゆる身代りと認められまする平和の声捜査では、管下においてその印刷所のほか発送元を探知いたしまして、全国配付網を掴み、全国齊検挙に及んだのであります。新聞で御承知と思いまするが、去る十四日には、日共東京委員会発行ビラ政令違反の容疑でこれに対しまして捜査令状を執行いたしまして、宣伝ビラ二万枚を押収いたしたのであります。その際に東京地区委員会事務所を本庁におきましてで急襲いたまして、これらのビラその他の証拠物件を押収いたしたのであります。  それから朝鮮人関係について申上げますと、三月十日と二十日に、上野の台東区内にもと朝鮮連盟で使用いたしました台東会館というものがあつたのであります。この台東会館は、旧朝鮮連盟に属しておりました朝鮮人がお互いに金を集めまして、それによつて建設をいたした会館でありますが、この会館は旧朝鮮連盟の支部がここに、事務所としてこれを利用いたしております。又朝鮮人の人々が一部居住をいたしておつたのでありますが、これにつきましてこの財産権の所属が十分はつきりいたしておりません。法務府にその実情を訴えて、その財産権確認方を要請いたしたのでありますが、法務府におきましてこれをはつきり朝鮮連盟所有物件であるということが確認をいたされましたので、三月の十日と三月の二十日の二回に亘りまして折衝を行なつたのであります。第一回の三月十日の折衝は十分にその目的を達せず、一応接収をいたしたのでありまするが、まだそのやり方が生温い感じがありまして、十分に目的を達成することができませんので、三月二十日に改めて完全な接収をいたしたのであります。で、この接収のあることを聞きまして、旧朝鮮連盟がこれを妨害するために約五百名ほどの者が参集いたしまして、飽くまでこの接収を妨害するという態度に出まして、もう初めから暴力行為に出まして、或いは防塞を作り、或いは随所にスクラムを組みまして、警察官の侵入を防止するというようなことで、建物附近では殊に抵抗が激烈を極めまして、遂に相当に随所に乱闘を現出いたしたのであります。彼らの暴行状況はかねて用意いたしました石塊、それから器物、器具、それから唐辛子等を屋上から投げつけまして、警察官に目潰しを喰わせるというような極めて計画的な暴力行為に出ましたために多数の警察官負傷いたしたのでありますが、百二十名のうち日本人が十二名おりまするが、百二十名の検挙をいたしたのであります。目下本件は第一審公判進行中で、丁度今日でございますが、今日で公判回数が二十四回に及んでおるのであります。その後朝鮮事変発生以来、旧朝連系在日鮮人活動が極めて織烈に相成つておりまして、皆さんも御承知のように、この十一月の二十九日の神戸事件を初めとしまして、相次いで大阪、京都神戸大津四日市等に同様な騒擾事件が展開されたのでありますが、これらの事件は漸次東海、関東方面にも波及して参りまして、神奈川県において連日のごとくこの騒擾事件の頻発を見たのであります。都内もこの影響を受けまして、深川枝川町の朝鮮人集団部落を初めといたしまして、都内全般亘つて区役所税務署警察署等に対する執拗な波状的陳情戦術が展開されました。逐次実力行動機運が熟しつつあつたのでありますが、十二月の二十六日の内閣官房長官朝鮮人極左分子強制送還に関する声明が発せられますると、連日繰返されておりました陳情闘争も一応鳴りを靜めるに至つたのであります。それほどにこの声明は彼らに大きな刺戟を與えたのでありまして、爾来いわゆる極左分子はこの声明を逆に利用いたしまして巧みに一部の朝鮮人を煽動して朝鮮人の大半は朝鮮強制送還されるだろうというようなことを巧みに利用してアジつておるのであります。そこでこの朝鮮人が仮に送還されたとしたならば死刑に処せられるであろう。従つて是非ともこれは如何なる暴力行為を以てしてもこれを阻止しなければならんというように非常に宣伝をいたしまして、こうしたこの不穏な空気が只今醸成されまして将来大衆行動に起上るべく準備をしつつあるやにも見受けられるのであります。これらにつきましては、十分に我我としましても詳細に内偵いたしましてそうしたことを未然に防止すべく絶えざる努力を拂つておるのであります。目下の一部朝鮮人闘争目標とすするころは、前に申上げました朝鮮人送還反対、それから同時に彼らの臆測に基くところの資産凍結反対闘争講和闘争に集約して、これを進歩的日本人日常闘争に結合せしめて軍需生産妨害輸送拒否等朝鮮内戦を勝利に導くための一切の鬪争へと指向しつつあるのでありまして、今の階段ではまだ組織準備階段と見て差支えなかろうと考えております。従つて具体的現象としては煽動宣伝の域を出ないのでありまして、直ちに治安に大きな影響があろうとは考えませんが、前に申上げましたように、極左分子朝鮮人行動隊組織によつてあらゆる行動尖鋭部隊たらしめんとするのでありまして、昨年末日共関東地方委員会本部で開かれた朝鮮人グループ指導者会議日本祖国戦線朝鮮人青年団員全員を参加せしめることを指令したと言われておりますので、本年の治安上の重大な問題は、これら日鮮尖鋭分子による果敢な暴力闘争ということを防止する必要があると考えております。なお朝鮮人関係で当面しておる問題としては旧朝連系の財産接収問題で可なり早急に処理しなければならん問題が四件ほどありまして、適当な時期においてこれを処理しなければならんと考えておりまするが、ただ昨年の三月発生いたしました台東事件というようなこともございますので、その辺は一つ時期、方法等につきましては十分愼重に考慮を拂つて参りたいと考えておるわけであります。  以上を以て管内治安概要を申上げましたが、又御質問によつて他参考人かち一つ詳しく御説明申上げることといたします。
  8. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 御質問ございませんか。
  9. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 本日田中総監おいでを願いましたのは、先般私たちが神戸京都、名古屋、大津等騒擾事件に参議院の院議に基いて調査に参りました結果を御報告申した節に、膝元の東京都においてもそれよりももつと大きなスケールにおいて同様の事件が起つているのであるから、重大な問題であるが故に議員の全員のかたに一応その問題についての実相を知つて置くということが必要なことであるからというので、今日総監おいで願つた結果になつたわけでありますが、それで今総監から概略についてお話があつたのでありますが、東京都は人口も多く、又朝鮮人及び第三国人居住数も我々が取調べに参りました都市よりも多いわけでありまして、それで今御報告になりました個々事件の一々について具体的に詳しくお話を願うということは、非常に時間がかかると思いますので、今お話になりました中で、お話の中にも多少その概要お話になつておるわけでありますが、特に代表的な、顯著な個々事件の一、二を抜いて、更に詳細に皆にわかるようにお話を願えれば大変結構だと思うのであります。即ちどういう武器が使われたとか、或いはそれの参加人員はどうであつたとか、或いは共産党との関係はどうであつたとか、どういう政治目的を以てそれがどのように具体化されたとか、そういうようなことを多少お話になりましたが、もう少し詳しく一つ二つの例を抜いて一つお話願えれば、もう一度はつきりすると思います。このように一つお諮り願いたいと思います。
  10. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それではこれから秘密会にいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議な」」と呼ぶ者あり〕
  11. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それではさよう決定いたします。  それでは委員のかたのほかは、議事に必要なかただけにして頂きまして他のかたは御退席を願います。    午前十一時十二分秘密会に移る。
  12. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) これより秘密会に入ります。  速記を止めて下さい。    午前十一時十二分速記中止    ——————————    午後零時二十三分速記開始
  13. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 速記を始めて下さい。それでは秘密会はこれにて閉じます。    午後零時二十四分秘密会を終る。
  14. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 本日の委員会はこれで散会いたします。    午後零時二十五分散会  出席者は左の通り。    委員長     岡本 愛祐君    理事            吉川末次郎君    委員            石村 幸作君            高橋進太郎君            安井  謙君           小笠原二三男君            相馬 助治君            西郷吉之助君            鈴木 直人君   事務局側            福永與一郎君            武井 群嗣君   参考人    警 視 総 監 田中 榮一