○
法制局参事(
堀合道三君) 第十
七條に新らしく第二項として「
会員の
加入及び
脱退は、自由とする。」という
規定を加えました。これは第十五條に
行政書士会の
設立の
規定がございまして、
行政書士会の
設立は自由であるという
原則にな
つております。
従つて会員につきましてもその
加入、
脱退は自由であるということを
原則的に明示したほうがよろしい、そういうような御
意見もこの
委員会の中に出ておられたようでございますので、その
趣旨を明らかにしようするものでございます。
それから第十九條の
修正は、これはこの
委員会で大変問題に
なつた
規定でございまするが、
行政書士でない者が、
報酬を得る
目的で
行政書士の職務を行うことを禁止いたしまして、この禁止に違反いたしますと、第二十
一條の
規定によりまして、「一年以下の懲役又は一万円以下の罰金」という重い処罰を受けることにな
つております。ところがここで問題になりまするのは、「
報酬を得る
目的でこういうような
犯罪構成要件では余りにも主観的であ
つて非常に危険である。もつと客観的にとらえられるようなそういう
規定にすべきであると、こういう御
意見が出てお
つたわけでございます。その御
意見の御
趣旨に則りまして改正いたしましたのがこの十九條の一項の
規定でございまして、「
行政書士でない者は、業として第
一條に
規定する
業務を行うことができない。」こういうような
修正をいたしたのでございます。即ちこの
修正の
趣旨は「業として」と申しまするのは、いわゆる反復継続的に
行政書士の
行務を行うこと、そういうことを禁止する、そういう
趣旨でございます。それから「第
一條に
規定する
業務」というように直しました
趣旨は、第
一條の
規定を見ますと「
行政書士は、
他人の
依頼を受け
報酬を得て、
官公署に提出する
書類その他」の「
書類を作成することを業とする。」とございまして、
他人の
依頼を受けて
報酬を得る
目的で行う
業務である。そういう
意味を更に的確に
表現すること、そういう
意味におきまして「第
一條に
規定する
業務」と直したのでございます。即ち
原案の
行政書士の
業務と申しますると、
行政書士の個々の
業務行為を指すみたいでございまして、それにこの「
報酬を得る
目的で」ということが当然
表現として入
つておるかどうかということが明瞭を欠きますので、その点を明らかにいたしまするために「第
一條に
規定する
業務」というように
修正をいたしたのでございます。それから附則の第二項の
修正は、これは
原案によりますると、
法律施行の際、即ち三月一日ということにな
つておりまするが、この三月一日に現に引続き一年以上
行政書士の
業務をや
つてお
つて、而もその
業務をいたしました
経験が通算いたしまして三年以上になる者、これは
無試験で、当然にこの
行政書士となり得る、こういうことにな
つております。ところが
本法施行の際引続き一年以上
業務をや
つておらなければならないという
要件は余りにも厳格に過ぎるんてはないか。こういうような御
意見があるのでございます。即ち第
二條の第二項の
規定によりまして、新しく
無試験で
行政書士となる
資格を認めたのでございますから、これとの関連におきましても、少くとも過去におきましてこの
法律施行の際、現に
行政書士の
業務をや
つておる者であれば、過去におきまして三年以上の
経歴があれば当然に
行政書士ということにしていいではないか、即ち
原案で参りますると、この
法律施行の際、現に
行政書士の
業務をや
つておりますけれども、そうして過去に通算いたしますると三年の
経験があるけれども、併しこの
法律施行の際には、六ケ月、或いは三カ月しかや
つていなか
つたという場合には、過去に十年の
経歴がありますとしても、当然には
行政書士とはなれない、こういうことになりますので、それは余りに厳格であるから引続き一年以上というのを削るという
趣旨でございます。それからその次は附則の第十項の改正点でございまするが、これは
二つの部分に分かれておりまして、第一の部分は建築代理士に関するところの経過的な
規定でございまして、即ち新らしい附則の第十項は、「建築代理士に関しては、この
法律施行後でも、当分の間、條例の定めるところによるものとし、その條例は、第
二條第二項及び第十九條第一項但書の
規定の適用については、
法律とみなす。」という新しい
規定を設けました。これは現在各
都道府県におきまして建築代理士という制度がございまして、その建築代理士の
業務は建築基準法に
規定されました各種の
書類を
他人の
依頼を受けて作成するということを主たる
業務といたすものでございまして、この
法案の
原案の第
一條の
行政書士の
業務の中に当然に入るわけでございます。若しこの新らしい附則の
規定を加えません場合には、建築代理士の
業務はこの
法律によりますると
行政書士の
業務の中に吸収されることになりまして、そうして現在建築代理士に関して制定されておりまするところの條例は失効するという結果になるのでございます。そういたしますると、建築代理士は或る者につきましては当然
行政書士になるのでございまするが、逆に今度は従来建築代理士でなか
つた行政書士が建築代理士の
業務をやり得るということになりまして、建築代理士の
業務の方に
行政書士の方が食い込んで来るというような結果になるのでございます。ところが建築代理士の
業務は抽象的には
行政書士の
業務と同じでございますけれども、併しその
仕事の実体は建築法規に関するところの
書類の作成でございまするが、その場合にはいろいろ図面を作る、或いは実地にその工事の現場に行
つて書類と実地とが合
つておるがどうか、そうい
つたようなことを調べる必要がございます。そうして又その
資格といたしましても、
新制高校におきまして建築
関係の学科を修めた者でなければ建築代理士になれない。こういうことにな
つております。そのようなことから考えまして、これは建築代理士については、従来
通り條例の効力を存続させることにいたしまして、そうしてこの
法律との
関係におきましては、その条例は
法律と同じものとみなしまして、この
法律との間の調整を図
つて行こうというのが第十項の
修正案の
趣旨でございます。即ち第
一條第二項の
規定の適用についてはこの建築代理士條例を
法律とみなすというのは、これは
行政書士は建築代理士に関する
業務を行うことができないいということにいたす
趣旨でございます。それから第十九條第一項の但書の
規定の適用につきましても同様に扱うというのにはこれは建築代理士はその建築代理士条例に基きまして建築代理士
業務を行う場合には十九條の適用がない。即ち何らの禁止がない。そういう
意味でございます。即ち十九條の但書は「但し、他の
法律に別段の定めがある場合」、その条例を他の
法律と同じように取扱いまするから、
従つてその條例に基きまして建築代理士がこの
法律で言います
行政書士の
業務に該当することを行うことは
差支えない。こういうことになります。それからその次は附則の十一項の
規定でございまするが、これは
原案の第十項の
修正でございまして、
原案の十項におきましては、地方自治庁設置法の改正をいたしております。この改正の
趣旨は、地方自治庁の権限の中に
行政書士に関する事項を新たに加えようとするものでございます。ところが地方自治庁設置法には、その第三條に地方自治庁の所掌
事務という
規定がございまして、それから第五條に権限を定めた
規定があるわけでございます。で、その第三條の所掌
事務の中に
行政書士に関する
事務が入
つておるならば、
原案のままで一応いいのでございまするが、実は第三條の所掌
事務の中には
行政書士に関する
事務が当然に入るようにな
つておらないのでございまして、どうしてもこれは三條の所掌
事務の
範囲を拡げませんと、地方自治庁としてはこの
法律に関する施行
事務を行うということができないわけでございます。そういう
意味におきまして第三條に
行政書士に関する
事務を処理するという所掌
事務を
一つ加えるという
修正に相成
つておるわけでございます。
なお五條の権限の中に加えないことにいたしましたのは、これは第五條の権限の
規定におきましては、例えば
認可とか或いは
書類の受理とか、そうい
つたような所掌
事務を遂行いたしまするために必要ないろいろな権限を
規定しているのでございまして、
行政書士に関することにつきましては、地方自治庁の権限というべきものがないのでございますので、むしろ五條に加える必要がない。こういうことで五條のほうは触れてないわけでございます。