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1951-02-01 第10回国会 参議院 地方行政委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年二月一日(木曜日)    午後一時五十八分開会   —————————————   本日の会議に付した事件行政書士法案衆議院提出) ○地方行政の改革に関する調査の件  (派遣議員報告)  (朝鮮人騒擾事件に関する件) ○連合委員会開会の件 ○地方行政調査委員会議及び地方財政  委員会の勧告に関する件 ○本委員会の運営に関する件   —————————————
  2. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) これより地方行政委員会開会いたします。  先ず行政書士法案審議をお願いいたします。衆議院提出案でありますから、衆議院側から提案理由説明を聽取いたしたいと思います。
  3. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 今付議されました法案は、前の第九回国会におきまして審議未了になつた参議院において審議未了になりました法案を、再び衆議院において通過して参議院へ回付されたものでありまして、その内容におきまして、前の第九国会において付議されたものと全く等しいものであります。つきましては、右の法案に対する提案理由説明は、その節すでに我々は承わつておるのでありますから必要がありますれば、我々速記録を再び読んだらいいのでありますから、提案者側提案理由説明は省略いたしまして、直ちに審議に入りたいと思いますが、なお提案趣旨等は、議員提出法案でありますから、質問において答えてくれることだろうと存じます。本日はさよう取計らい願いたいと思います。
  4. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 只今吉川委員から提案理由説明は、今回衆議院から提出行政書士法案は第九国会において提出されたそれと全く同一であるから、提案理由趣旨説明は省略せられたいという動議が出ましたのですが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) じやさよう取計らいます。なお第九国会におきまして行政書士法案を詳細に御審議願つたのでありますが、そのとき皆様がたから出ました御質問並びに御意見を参酌いたしまして、一応お手許に廻してありますように、修正の原案とも言うべきものを、仮に委員会事務局において作つて見ました。これは御承知の通り第十国会劈頭にこの法案提出をされまして、自然休会に入つたのでありますが、参議院においての審議期間は、正式に法案提出の日から六十日間であります。その六十日の期間が来る二月十日に満了することになります。だからそれまでにこちらの御審議を終了して頂きまして、本会議を経て衆議院に返したいと、こういうふうに考えております。その関係で実は事務的の都合上、この修正案事務当局で仮にまとめて見ましたのでございます。これをよく御研究下さいまして、御審議を煩わしたい、こういうように考えております。この修正については、衆議院のほうで必ずしも同意をいたすことが困難であるというような事情も成るものはあるようでございます。なお御審議に当つていろいろ衆議院側意見も御聽取を願いたいと存じます。それで今日は行政書士法案はこの程度で打切りにいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それではさよういたします。   —————————————
  7. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 次に、昨年十二月十七日より二十三日に亘りまして、神戸京都大津名古屋における朝鮮人自由労務者その他の騒擾事件調査に、本委員会から吉川、竹中、石村の三委員に御出張を願いまして御調査を煩わしたのであります。その御報告を承わりたいと存じます。
  8. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 只今委員長のお話がありました神戸、京都、大津及び名古屋、当時なお膝元の東京都においても同様な、主として朝鮮人を中心といたしますところの一種の騒擾事件が起りまして、院議に基きまして我々三人が神戸、京都、大津、名古屋に出張を命ぜられまして、その事件のいきさつ等につきまして、調査をいたしました結果について御報告申上げたいと思うのであります。我々はその間現地におきまして、自治体警察国家地方警察、並びに検察当局及び知事、市長その他多くの関係者に面接いたしまして、これにつきまて事情をいろいろと聽取いたしまして、大体におきましてその事件の全貌は把握することができたと思つておるのであります。我々が調査いたしましたところの具体的な内容につきまして、ここに調査報告書を大体用意いたしておりますが、つぶさにそのことをば詳しくお話申上げるということは冗漫にもなりますし、又相当時間を要するかと思いまするので、その調査に参りました四つの地域、特に神戸市に起りました事件につきまして、やや詳しくお話を申上げまして、大体において共通点が非常に多いのでありますから、それについて御了知を得まして、他の地におけるところの事件の内容につきましては、この報告書を速記録にそのままお載せを願いまして、それによりまして詳細のことは御了解下さるように委員長にお取計らい願いたいということを先ずお願い申上げる次第であります。  それで今申しましたごとく、神戸の事件の内容につきましてお話し申上げて見たいと思うのであります。朝鮮事変が発生いたしましてから、神戸地方の、以前、民青系と言われておる、民主主義青年同盟でありますか、民青系と大体言われておるのでありますが、その系統に属しておりまするところの朝鮮人は、日鮮共同の反帝闘争、即ち帝国主義反対鬪争という名によるそうした運動のために、特別工作隊と名付けるところの団体を結成いたしておつたのであります。それは專ら青年行動隊とみなすべきところの、行動を目標に置きました一つの団体でありますが、それによりまして、国連に対するところの反対的な秘密活動朝鮮人のこの団体が続けておつたのであります。ところが昨年の十月に入りますると、その特別工作隊を組織いたしまするところの青年層のほかに、前の朝連系の幹部、それから朝鮮人父兄会等北朝鮮系の勢力をば一体化しまして、そうして名目といたしましては、レツド・パージの反対、反税即ち税金の徴収及び増徴等に対するところの反対運動であります。反税運動と一般に言つておるのでありますが、それから越年闘争、即ち越年資金をよこせというようなことを目標にいたしました反税越年闘争朝鮮人のすべての生活闘争をからみ合せまして、そうして活溌な動きを示して来まして、地方におきまして治安上、看過しがたい情勢を呈して来たのであります。十一月の下旬頃からこれらの朝鮮人神戸市内の市の各区役所に押しかけまして、朝鮮人に対する市民税を全免せよ、或いは朝鮮人に対するところの生活保護法の適用というようなことを要求項目といたしまして、波状的に集団的な陳情を行いまして、旧朝連系の幹部や、先に申しました特別工作隊員等が、これを指導するような模様でやつたのであります。特に神戸市の長田区の区役所の管内というものは、ゴム工場等に働いておりました朝鮮人が特に多いのでありますが、その登録数は七千六百二十三名、神戸市内朝鮮人労働者が居住いたしておりますその約半数であります。それからそこに更にそれ以外の移住者約一千名を加えまして、約九千名が朝鮮人として在住しておるのでありますが、今申しましたようにこの長田区役所に押しかけましたところの陳情運動が、外の地区に行われましたよりも特に激しいものであつたということができると思うのであります。十一月の二十日には朝鮮人六十五名、同じく生徒約二百名が今申しました長田区役所に押しかけまして、形勢が不穏となりまして、出動いたしました警察官は公務執行妨害の現行犯といたしまして、全相福という朝鮮人を警察のほうでは逮捕いたしたのであります。十一月の二十四日には、約三百名の朝鮮人及び朝鮮人の生徒が二隊に分れまして、一隊は教師に引率されまして、長田警察署に押しかけました。そうして先に申しましたところの全相福というこの警察が逮捕いたしました朝鮮人の釈放を要求いたしました。そうして二隊の中の一隊は長田区役所集団示威行進を行いまして、革命歌を盛んに合唱いたしまする等のことで気勢を挙げまして、午後は約三十名の朝鮮人が区長の部屋に入つて参りまして、内外呼応して喧騒を極め、区長が出て行けというところの退去の要求にも応じないで、朝鮮人の生従数十名区役所の庁舎内に侵入しまして、窓ガラス或いは区役所の什器等を破壊する等の暴行を働きましたがため、二十六名がそのために逮捕されたのであります。その二十六名の中には日本人も若干名含んでおるのであります。なお当日は、以上のほか葺合区役所、それから葺合警察署長田税務署及び長田警察署、生田県税事務所及び灘区役所の各地に先に申しましたような形においての集団陳情が行われたのであります。  十一月の二十七日には、朝からこの西神朝鮮人学校という朝鮮人の学校、西神というのは西と神戸の神であります。朝鮮人の父兄や生徒が続々集合しておるというところの情報がありますし、更に又姫路地区相生地区、大久保町の方面から神戸市に向つたというところの情報がありましたので、神戸市警察局緊急事態に備えて、神戸地方検察庁国家地方警察側とも連絡して警備体制を整えておつたのであります。午前十時過ぎに、学校におけるところの集団は約四百名に達しまして、前回の事件で勾留中の被疑者の釈放要求と、生活保護の陳情を行おうと気勢を挙げますと共に、これらの朝鮮人と呼応していると認められるところの自由労務者、それから民主商工会の会員、それから朝鮮人らは市内の各税務署、区役所等集団陳情を名として押し寄せまして、警察力の分散を企図しておるというように考えられるので、午前十一時に神戸市警察局長は甲号非常召集を発令したのであります。同日正午頃になりまして、今申しました西神朝鮮人学校朝鮮人の集団は、代表者を選びましてそれぞれ神戸市役所長田区役所神戸地方検察庁等に対して、前に言いましたような要求の交渉を始めたのでありますが、学校の中におきましては刻々参集者の数を増加して参りまして、ここに集まりましたところの朝鮮人らは手に手に棍棒、或いは薪のようなものを携えまして、そうして学校の校庭には石ころ等を投げるために用意して、そうして不穏の形勢を示し、特に白鉢巻をしましたところの青年約百五十名が中心となりまして、スクラムを組んで行進の演習をしまして、実力行動に移行せんとするところの徴候が極めて顯著であるという情報が入つて来たのであります。午後三時頃には、約九百名の集団となりました学校内の朝鮮人は、三列縦隊のスクラムを組みまして、解放歌を高唱し、梶棒、薪など、先に申しましたような兇器を振りかざしまして同校の南門から表通りに出まして、北のほうに行列して進んで、行進を始めたのであります。学校附近警察隊が待機しておつたのでありますが、警察隊はその後方から追尾していましたところ集団から警察隊に向つて猛烈に石を投げるようになりましたので、そこで警察隊は、この行列をして行進をしておりますところの石を投げた者の検挙に移りまして、ここで警察隊とこの朝鮮人行列行進隊との間に大乱闘が行われて、そうして激しい抵抗を排して警察隊は現場で約百二十名の朝鮮人を逮捕したのでありますが、残余の朝鮮人集団は、沿道の民家、巡査派出所等に投石いたしまして、警察を誹謗いたしますところのビラを撒き散らしまして、そうして途中警察官と衝突しながら長田区役所前広場に至りまして、同区役所及び隣接の長田税務署に石を投げ、梶棒を振つてこれを襲撃し、窓ガラス等を破壊したのであります。午後四時頃、計百八十一名に達する大量検挙によりまして漸く暴徒を鎮圧することができたのであります。夜になりまして更に十二名を逮捕いたしましたので、逮捕いたしました朝鮮人の総数は百九十三名になつておるわけであります。  この騒擾事件の負傷者は、警察側では五十名、朝鮮人側では三十七名というところの報告を警察当局から現地におきまして聞いたのであります。逮捕しました者は取調べの結果、九十八名が騒擾罪及び政令第三百二十五号の違反として起訴されたのであります。  これが神戸の事件でありますが、大体他の地域におきましても共通点が非常に多いのであります。併しながら必ずしもその要求いたしておりまするところの事柄、或いはそのときの暴動の起りましたことについての、闘争の題目といたしておりまするようなことは違つております。又京都のごときは、それに自由労働者及び京都大学の学生を中心とするところの学生隊等も参加いたしておりまして、朝鮮人だけの運動ではないのであります。ただ併しながら時を同じくしてそれが行われており、その闘争の題目、或いは闘争の様相は多少違つておりますけれども、目標にいたしておるところは大抵同じものがあるだろうと思われるところに、極めて重視すべきところの点があるのではないかと考えるのであります。名古屋、大津及び京都のことについての具体的な事件の内容は、さつき申しましたごとく、ここに申上げることは長くなりますから省略いたしますが、大体以上申しましたようなことにおきまして、こういうことが窺われるのであります。  第一には、これら各地におけるところのこの騒擾事件というものが、非常に計画的に行われたということであります。即ち同時多発的に、ほぼ時を同じうして各地に事件を起しまして、そうしてその目的は警察力の分散を狙つたと見られるのでありまして、即ち今お話申上げませんでしたけれども、名古屋の愛知県庁に対するところの集団デモ事件と、神戸の只今報告いたしました長田区役所及び長田税務署襲撃事件等はいずれも十一月の二十七日であります。それから名古屋におきましては翌二十八日にも、これを繰返しているばかりでなくして、十一月の一日に起りました大津地方検察庁に対するデモ事件は、彼らの当初の計画では十一月二十八日に決行する予定であつたと言われておるのであります。更に二十七日当日、京都におきましては先に日本共産党京都委員会が開催されまして、井上電機の犠牲者、レツド・パージを受けました犠牲者であります。それの奪還祝賀大会というものが計画されておりましたのですが、その集会の許可が与えられなかつたので、共産党の公開党大会と称しまして、個々の参集者五百名が気勢を挙げたのであります。又十二月一日大津事件の当日は、競輪が催される予定でありましたので、大津市の警察はそのほうに警備が割かれるだろうというようなことを予定した。併しながらそれは雨天のために中止されたのでありまするけれども、そういうことを非常に狙つてやつておるということが、当局からは報告いたしておるのであります。即ち以上申しましたようなことにおいて、非常に計画的である。そうしていわゆる同時多発的な戦略で以て、それを同時にやつたということが窺われるのであります。暴徒の行動に見られるところの計画性につきましても、名古屋の事件について見まするというと、三々五々各地から余り目立たないような方法でひつそりと集まつて参りまして、そうしてそれが一定の所で集合して群集となり、或いはグループグループとが一定の地点で計画的に合流いたしまして、そうしてそれが有力な集団となるように初めから計画しておる。或いは他の地区から一味を動員いたしまして、大集団を形成する等の集合の方法や、例えば愛知県庁ガラス窓が破壊されたのでありますが、その場合に用いましたところの朝鮮人学童パチンコ操作、子供がよく鳥を打つたりする遊びに使つておりまするところのパチンコに石ころをつけて、コムの弾力ではね返して鳥を打つあのパチンコであります。それを非常に使つておるのでありますが、それは名古屋におきましては、県庁の窓ガラスを割るのに子供にそれを使わせたのでありますが、同様にこれをほかの所でやはりそのパチンコを使つておる。或いは目潰しをするために、紙でこしらえたところの紙筒の中へ唐辛を詰めて来まして、そうしてその唐辛しの紙筒を振り廻して、警察官その他の目潰しをやるというようなことは、名古屋で検察庁の当局がそういう証拠品を挙げて来て、我々にいろいろと説明いたしたのでありますが、そのほかの地方でもやはり唐辛の紙筒を警察官の目潰しに使う。或いは集団的にそういう行動をして押しかけて来るときには、警察官にピストルなどをば使用させないように、又相手方の戦闘力を削ぐという計画的な戦術によつて、これは東京でも同様であつたということでありますが、いたいけない小さな子供、それからか弱い女等をばその示威運動の先頭に立たせまして、そうしてその子供にわざと警察官に冗談を言つて、ピストルをいじくらせたり何かして、そうしてそういうことをやらさして、まあ向うの言葉で言いますと、「おつさん、ええピストルやなあ」というようなことを言つて、その子供に警察官の腰のピストルをいじくらせたり何かさしておいて、そうしてその隙に青年が石を投げたりいろいろなことをやつておるというような、そういう行動も視察いたしました地域においてそれぞれ極めて共通的なものがあるのであつて、一定の統制のある行動をやり、又かねてそういう訓練を相当にやつて、然る後にこれをやつたということが窺われるのであります。  第二に、視察いたしまして共通的に感じますることは、さつき具体的に御報告いたしました事例によつておわかりになりますように、それが暴力的であり、又戦闘的であるということであります。これらの暴徒らは警察との衝突に備えまして、あらかじめ小石或いは瓦片、目潰し、梶棒等の攻撃道具を用意いたした者が多いのでありまして、又実際にこれらのものを使用いたしまして、果敢、執拗に警察官等に抵抗して、攻撃を警官に加えておるのであります。名古屋の旧朝連の財産接収反対運動、そういう旧朝連の財産接収に反対するという闘争題目で名古屋ではそうした暴動が行われたのでありますが、その中心地でありまするところの中村会館というところでやつたのであります。そこにおきましても神戸騒擾事件の根拠地でありまするさつき申しました朝鮮人西神小学校におきましても、戦闘的な青年行動隊員尖鋭活動の中心となつておるのであります。殊に神戸の場合は、先に御報告いたしましたように、彼ら青年は白鉢巻をいたしまして、みずから決死隊であると放言いたしておるのであります。又暴徒の行動は警察力に対しまして極めて挑戦的でありまして、警備に当るところの警察官等が、これに誘発されて行き過ぎた行動に出ないように苦心したというように警察のほうの幹部は私たちに言つておるのであります。又警察官と衝突するに当つては、先ず警察官の帽子を奪うというようなことも戦術として共通的にやつておるのであります。名古屋の事件におきまして、血と汗で築いた会館は血で守る、台東会館、これは東京の事件でありますが、台東会館のようにやるから犠牲を覚悟してかかれというような言葉を使いまして、その言辞は実力行使を暗示しておるということが窺われるのでありまして、その行動は極めてさつき申しましたように挑戦的であります。  それからいわゆる共産党的テクニカル・タームを以ていたしますると、地域権力闘争の展開と見られるのであります。それにつきましては日本共産党の機関誌の「前衛」第五十三号にそうした地域権力闘争のことについての記述があるのでありますが、長くなりますからこれは省略いたしますが、どうぞ報告書によつて御覧を願いたいと思うのであります。今回の事件及びその前後に起りましたデモ、集団陳情集団暴行等の対象の多くは県庁、検察庁、警察署、それから税務署、市役所、区役所県税務事務所職業安定所等の官公署であります。又各地で各種各様の問題をとらえまして陳情、要求、抗議等を名として、デモ行為から集団暴行騒擾事件になるようにいたしておるのでありまして、要求事項は、例えば十二月一日に大津の地方検察庁に対するところデモ事件の際に、庁内に撤かれました朝鮮語によるとこのビラの内容の一端をここに翻訳したものによりまして御報告いたしますと、このようなことが書いてあるのであります。  吾等は次のことを要求する。  一、夫の賃金では食つて行けない。  一、寒さを凌げる内職をよこせ。  一、貧困な同胞に正月を越せる物品を無料で出せ。  一、米代を上げるのは反対だ。  一、失業者に家賃、電燈、水道、米代を無償でせよ。  一、生活保護法を適用せよ。  一、朝鮮兒童教育補助金を出せ。  一、先生に越冬資金三カ月分を出せ。  一、晝食のかけを認めよ。  一、炭、毛布等の越冬物資を出せ。  一、にんにく、唐辛、胡麻、塩辛、白菜を出せ。  一、商工業者に無担保、無利子の資金を借せ。  一、貧困者より一切の税金を取るな。  一、職安労働者に食える賃金一日三百円を出し、一切の失業者に職を与えよ。  一、朴光海、岡田を初め、あらゆる愛国者を即時釈放。  この朴光海、岡田というのは、これはこの指導者でありますが、それが大津におきまして検束されておるのであります。  一、朝日人民間の離間を策動する八幡の暴力団捏造事件を即時取消せ。  一、何の根拠のない救護資金捏造事件を即時中止せよ。  一、あらゆる捜査に外国人登録証を悪用するな。  一、今回の事件に誣告、中傷をし、同胞を日警に売らんとする居留民団を叩きこわせ。  一、義勇軍募集絶対反対。  一、国連協力の美名をかり、朝鮮内戦に対し干渉反対。  一、戰争反対、ピストル政治は真つ平。  一、一切の外国軍隊は朝鮮より手を切れ。  一、自由平和独立を守ろう。  というようなことであります。そこで旧朝連系の朝鮮人共産主義勢力とが連携合作して、そうして事件の主導力を握つておるということは明らかでありまして、各事件で検挙されました者の顔触れ、経歴などからそのことが十分窺われるのであります。各事件に殆んど常に日本共産党名で激越な文句のアジビラが撒かれ、或いは貼られ、又共産党員アジ演説等の応援が行われているのであります。共産党幹部級有力分子というものは、殆んど第一線の行動には出ていない、わざと出ていないように見えるのであります。間接的な応援乃至指導に当つておるもののように思われると、当局は我我に報告いたしておるのであります。従つてこの地域におけるところの日本共産党の幹部級の者で検挙された者は極めて少いというのが、当局の我々に対する報告であります。併しながらその他事件前における両者間の往来、動静というようなものは認められて、実質的には共産党の各地における支部が合作して、こうした事件をやつたものであるということは明白であるというのが、当局の説明でありました。  大津事件におきましても、京都円山事件におきましても、先に若干御報告いたしましたが、一部の自由労務者が一翼として参加いたしておりますことは、注目すべきことであると思うのであります。自由労務者は、従来といえどもしばしば各地におきまして、職よこせの集団デモ事件を起していたのでありますが、今回の事件におきましては、朝鮮人、学生等の集団と合流して、集団暴行に加わつているのであります。最近レツド・パージによつて解雇された尖鋭分子は、その旧職場に働きかけても受入れられなくなりましたので、方向を変えて自由労務者に対する働きかけに力を注いでいるとの情報と睨み合せまして、この騒擾事件における自由労務者の動向と役割を大体推察することができると、当局は我々に説明をいたしているのであります。  神戸の騒擾事件に関して男二十名、女四十六名について警察当局が行いました、デモ行進をやつたときの、そのデモ行列行進が通過いたしましたときの市民の記録なんかを集めているのでありますが、その警察当局が私たちに物語るところのことをば、参考資料としてここに申上げますというと、「デモ行動沿線罪体調査」というのでありまして、昭和二十五年十一月二十九日午後五時現在での調査であります。これらの沿道の人間が、警察当局にそのときの事情について申しておりますところによりますというと、大体次のようなことが言われているのであります。  一、戸を閉めて屋内でふるえていた。  二、玄関の戸を閉め、奥の間に逃げ込みふるえていた。  三、屋内で子供とふるえていた。  四、屋内で手を耳に当てふるえていた。  五、鮮人の殺気立つた空気を見て焦躁と不安にかられた。  六、恐ろしいので屋内に隠れていた。  七、店の商品をなおして屋内に逃げた。  八、家を捨てて逃げた。  九、鮮人が家に侵入して来たので、奥の間でふるえていた。  一〇、鮮人が家に侵入して来たので、窓から飛び出て逃げた。  一一、家の裏口へ鮮人が侵入して来たのでふるえていた。  一二、鮮人が靴ばきのまま畳の上に上つて来たのでふるえていた。  一三、恐ろしくて屋内で仕事が手につかなかつた。  一四、志里池小学校教頭は生徒を避難させた。  一五、八百屋の台を暴徒にひつくり返された。(被害一千二百円)  一六、事務所の門を閉めた。  一七、事務所の警戒についた。  一八、警察官に対する暴行を見て不安焦躁にかられた。  一九、鮮人が唐辛を持つているのを現認した。  二〇、事務所の責任者が人夫を避難させた。  二一、区役所で机の下に隠れていた。  二二、区役所の小使室に逃げた。  これは区役所の吏員だろうと思いますが、  二三、座布団を頭の上に乗せて避難した。  こういうようなまあ調査を警察当局が我々に報告いたしているのでありますが、大体においてそのときの実情と、それを目撃していたところの周辺の人心の動きがこの一端で御了承を願えるかと思うのであります。  以上のようなことで、結論的に我々調査団の共通いたしますところの所感を申上げたいと思うのであります。この種の事件は、これを個別的に切り離してばらばらに観察するのでは、到底その真の性格と意味を把握することはできないと考えます。千変万化する事件の表面的形態に眩惑されるということなくして、これを一連の相関関係において把握し、その奥に潜み、その根底にあるものを衝かなければならんと思われるのであります。即ち今回の各事件は、表面の様相は異なつておりましても、ひとしくいわゆる二つの世界の対立する国際政治情勢を反映するものとして、これを総合的に認識する必要があると考えるのであります。更に具体的に申しまするならば、今回の事件はいずれも朝鮮動乱の推移に刺激され、影響された共産主義勢力と、旧朝連糸の朝鮮人尖鋭分子らが互いに気脈を通じて、現下の情勢を利用し、勢いに乗じて学生、自由労務者、一般左翼分子等に働きかけて、共産党のいわゆる地域権力闘争を同時発生的に各地に展開いたしまして、その暴力的戦術を実地に試みることによつて、かねて企図しているところの暴力共産主義革命行動の予備演習をやつたものとまあ疑われても、彼らはこれを否認することはできない、断じて否定することはできないであろうと私は考えるのであります。これが我々視察団の共通的に、三名の名で御報告申上げたい事項であります。  次に、私、一委員といたしましての私見が多少加わるかと思うのでありますが、今結論的に御報告申上げましたように、それが国際政治との関連性において行われているところの、共産主義的な暴力革命的行為の少くとも予行演習的なものとして行われているということについて、各地におけるところの調査いたしました警察当局が、そういう認識が極めて薄弱である。或いは極言いたしまするならば、私たちが今御報告申上げましたような考え方を少しも持つておらなかつたと言つても誤りでないほどの認識しかなかつたということが、私は極めて重要なことではないかと考えるのでありまして、それがどこから来るかということが、警察行政のことを担当いたしておりまするところの地方行政委員会において考えられなければならないことであるかと思うのであります。例えば名を挙げると、視察に行きましたその土地の人が、或いは困られるかも知れませんが、露骨に申しますると、各地ともすべてそうであります。併しながらその例として、例えば京都府の国家地方警察の公安委員長のごときは、我々に対しましてそれほど重大な事件であるというわけでもないのですから、どうぞできるだけ穏便に済ましたいと思うというような話でありまして、全く今申したような横断的な意味において、それが行われているというところの何らの認識がないということを表白いたしておるのであります。そのほかの地方においても皆そうであります。考えますのに、そういうような見方をするということは、第一には警察組織におけるところの必要委員会及び警察行政の単位というものが地域的に独立的なものであつて、横断的な連繋というものは必ずしも完全でないということが、一つの原因であるかと思うのであります。大津でその事件が起るならば、大津自治体警察の所管としての大津市内の一つのローカル・アフエアーとしてのみしかその警察当局及び公安委員会はそれを考えない。それが今言うように同時に多発的に全国各地において行われておるということについての関連性をどうしても考えないようになるのであります。  それからもう一つは、こうした重大な政治的な意味、国際政治的な意味、或る意味におきましては治安上におけるところの警察行政上の事件といたしまして、現段階におけるところの最大の問題であり、又日本における政治上の最大の政治問題の一つであるとして考えなければならん。そうした事件というものをば、そういう重大な意味においてこれを少しも考えない。そう考えることができるような知的能力を持つたところの責任者というものが、各地において公安委員会の委員或いは警察署長の職に必ずしも就いていない。彼らのインテリジエンスからするならば、その事件が余りにその知的能力より離れたる大きな問題となつておるというようなことを考えるのであります。  それからもう一つは、これ又私見でありますが、たびたびこの地方行政委員会で言つたことでありますけれども、共産党の行動というものが如何なるところの理論的な基礎において、それが行われておるかということに対する、多くの政治家というものの認識の欠除でありまして、これは本委員会において特に私が吉田首相及び樋貝、殖田その他のいわゆる治安閣僚を招致いたしまして、この問題について多くの言を費して質問し、論戰をいたしたのでありますが、吉田内閣総理大臣を初め、治安閣僚の当局というものが、共産主義撲滅、或いは共産主義反対ということを旗印にしながら、その反対をしておるところの共産主義というものはどういうものかという、即ちマルクス・レーニン主義に対する理論的な認識というものを持たないで、ただそういうことを叫んでおるところに、私は吉田内閣総理大臣に対して……、自由党内閣の持つておるところの最大の外交及び政治上における欠陥があるのであるということを言つたのでありますが、同様のことを痛感するのでありまして、中央の国政の担当者それ自身が、現下の世界に対処すべきところの、相手方の理論的な基礎というものに対する何らの理解を持つておらんのでありますから、況んや地方警察の警察長、或いは公安委員会等が十分なるこうした理解をしておらんということは、又無理がないということも言えるのでありますが、これは非常に大きなる私は政治上の問題であると考えておるわけであります。これは私見になりますが、併しながら私の私見は、更にこれらの問題を調査いたしまして痛切にそれを感じたのであります。それらの詳しいことは議論に亘りますから、これを省略して置きます。  それからこうした神戸事件、その他の事件のその後の処置につきましては、新聞記事等で多少その後知つたのでありますが、大橋法務総裁の、新聞紙上におけるところの記事による総裁の言といたしまして、これらの暴動を起すような朝鮮人をば本国へ返すということでありますが、総裁からその詳しき意見の内容を承わりたいと考えておりますが、それは当然に考えられるべきところの、この際適切なる処置であるというように私も考えるのであります。ただ聞いておりまするところでは、視察に行きました名古屋の検察庁で聞いたことでありますが、南朝鮮では共産党員が若し日本からでも送還されて来るならば、何か向うの本国ではすぐ死刑に処せられるということになつておりますから、これは一つのエピソードでありますが、これはやはり調査の内容でありますから、エピソードとして申上げたいと思うのであります。  それからなお、これは京都の公安委員の一人で、アメリカに長くいた人が我々に話したことでありますが、アメリカではそうしたアメリカ全国を通じてのそういう国家的な意味を持つた、ナシヨナルな意味を持つたところの警察行政、各地域別的に、各州或いは各自治体において地域的に分別されておるところの警察行政の横断的な立場からする欠陥を補充するために、フエデラル・ビユーロー・オブ・インヴエステイゲーシヨンというものがあつて、それを補充しておるということを話しておりましたが、私たち十分にそれに対するところのインフオーメーシヨンを持つておりませんが、今日、読売新聞に国家地方警察の武藤君がアメリカを視察されて、そのことを話していられるのが新聞記事に非常に大きく出ておりましたので、出張いたしましたところの公安委員会についてもたまたまその話が出たんであります。ビユーロー・オプ・インヴエステイゲーシヨンでありますから、検察局とでも訳すのでありましようか、全米国を通じての、そういうものに対する警察行政の機関であります。武藤君の新聞記事にも出ておるのでありますから、国家地方警察等におきましても武藤君がそれについての御調査がありますならば、この委員会へ調査の報告書を一つ提出してもらつて、我々の参考にするようにして頂きたいと思うのであります。ほかのことはこの調査報告書を一つ速記録に載せて頂くということをお願いいたしまして、これを以て一応私の報告を終ります。
  9. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 只今吉川君から貴重な御報告を頂きました。なお詳細は書面で報告をいたされるそうでありますが、それを速記録に載せることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それではさように決します。石村さん何かございませんか。
  11. 石村幸作

    ○石村幸作君 大体至れり盡せりで、結構です。
  12. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 どうぞ足りないところがありましたら補充さして頂きます。
  13. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) この報告に関連いたしまして、今日法務府から刑政長官の草鹿淺之介君、それから特別審査局長の吉河光貞君、国家地方警察本部の警備部長柏村信雄君が出席されております。御調査を頂いた委員の各位並びにこれらの政府委員に対しまして、御質問ございましたら御質問をお願いいたします。なおその前に委員のかたがた、今日御登院のかたは大体お揃いになつたようでありますから、過般皆様がたの満場一致の御同意を以ちまして本委員会の專門員になられました武井群嗣君を御紹介いたします。
  14. 武井群嗣

    ○專門員(武井群嗣君) 私專門員を拝命いたしました武井であります。至つて未熟、未経験のものでございますが、皆さんがたの御指導によりまして、職責を全うしたいと思います。よろしくお願いいたします。
  15. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 これは一つ提案なのでありますが、事件内容は我々の委員会といたしましては今後ともこういう事件は、私は国際政局の推移と相待つてつて来ることを、相当に我々は予想しなければならないと思うのであります。又以前において行われましたところの三鷹事件であるとか、平事件等も、すべてこれは共通の立場に立つてつて来ておるのでありますから、事件が私は重大だと題うのであります。それらの事件だけは、結局革命とか何とかいうことがありますが、少くとも革命の予行演習的の意味において行われておると思うのでありまして、これは視察に参りました我々三人だけでなくして、この委員会の全員がやはり具体的なことを直接的に、いろいろと我々が聞いて来たように、よく知つて頂く、実地検証をやはりして頂く必要があるんじやないか。それで、これは私見でありますが、同様のことが東京でも行われたのでありますから、地元の先ず東京で警視総監等をこの委員会に御招致になりまして、東京で起つた同様事件について、詳しく一つ具体的な話を警視総監からさすというようなことを、委員会として考えて頂きたいということを提議することが第一点であります。それからこれは政府側に対する質問でありますが、さつき申上げましたところの、今日武藤君が読売新聞に書いておられますF・B・Iというのでありますが、それについて我々が詳しくいろいろなことを知ることができる資料を、至急我々に提出してもらうように、この委員会でおきめを願つて委員長にお取り運びを願いたい。それから第三点は、さつきの報告に申しましたこの事件のその後の処置はどうなつておるかということを一つお知らせ願いたい。
  16. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 只今吉川委員から御提案がございました、東京で起つた同種事件につきまして、警視総監をこの委員会に招致いたしまして、その詳しい報告を聽取する、それにつきまして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  17. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 警視総監もいいわけでありますが、これは内容を実際に詳しく検討する場合には必ずしも警視総監が全体の戰術なり、作戰なりと知つておるというわけでもないと思うのです。そういう意味において本当に検討するというなら、もつと直接的に関係しておつて、一番詳しくそういうことがわかつている地位の上下にかかわらず、そういう人も一つ来て頂いたら、効果があるんじやないかと、こう考えます。附加えて申上げます。
  18. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは今の吉川委員の御意見に対しまして、鈴木委員からお附加えがありましたが、警視総監と、それに関係する最も直接的調査に当つておる係官、これを招致することに御異議でございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは適当の機会に、そういう運びにいたしたいと思います。なおもう一点、吉川君から御提議がございましたF・B・Iアメリカの連邦検察局と申しますか、それを国家地方警察本部の武藤刑事部長が過般アメリカに出張いたしまして、そのことを調べて来ておるようであります。その調査書を提出さしたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  20. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは国家地方警察のほうからそういうふうにお運び願いたいと思います。なお国家地方警察本部から、溝淵次長が見えました。
  21. 石村幸作

    ○石村幸作君 今吉川委員要求でありました警視庁方面の説明を聞くのは結構ですが、この際、これは私ども調査に歩いた時の経験によりまして、まあ微細な説明を聞くことができるでしようが、その資料ですね、これを集めてここへ出して頂く、いろいろな資料ですね、それを謄写にでもして提出してもらうと、話を聞いて、これを具体的に呑み込む上に便利ですから……。
  22. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それではさよう取計らいます。
  23. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 武藤君から資料を提出してもらつて我々読むわけでありますが、この資料に基いて同君に直接に来てもらつて、聞いて来たことの話をして頂きたいと思うのです。他のかたの御賛成があれば……。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  24. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 御異議ないようですから、さよう取計らいます。  なお、石川委員より御質問のございました御視察に行かれた神戸京都大津名古屋事件のその後の事件捜査始末の大要につきまして、御答弁願いたいと思います。
  25. 草鹿淺之介

    ○政府委員(草鹿淺之介君) 現在検挙いたしましたその後の状況を申上げます。先ず神戸事件でありますが、先ほど御報告にありました通り約百五十名を勾留いたしまして、騒擾罪として取調べたのでありまして、昨年十二月十八日に九十八名に対して公判請求をいたしております。それから三十八名を起訴処分にいたしたのでありますが、この中で三十一名は起訴猶予になつております。それから七名は嫌疑なしということで不起訴になりました。それから子供がおりますので家庭裁判所に送致いたしましたものは十四名あります。その後捜査を現在も続行しておりますが、今年の一月十六日に更に八名を逮捕して目下これを取調中であります。この罪名は騒擾罪、刑法第百六條第二号、それと政令第三百二十五号違反、これらの罪名によつて起訴いたしております。  それから名古屋について申上げます。十二月九日に金泰京を暴力行為等処罰に関する法律違反及び住居侵入罪、それから十二月十一日に朱原極それから鄭都文、これらに対しまして公務執行妨害罪、傷害罪でそれぞれ公判請求をいたしたのであります。  それから大津事件について申上げます。昨年の十二月二十二日三十五名、うち女が七名入つております。これに対しまして公判請求をいたしました。なお十二月二十七日に一名公判請求、罪名は住居侵入、公務執行妨害、傷害及び外国人登録令違反、これは不正入国その他登録証を持つていない、こういつたような罪名で起訴いたしております。  京都のは、ちよつと詳しい資料を今日は持つて参りませんでしたから……。
  26. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 只今御説明がありました具体的人物についてお聞きしたいのですが、第一回の騒擾罪がありましたときに、知事、検事正等が……、県庁の知事の部屋で押し込められておつた事件、あのときもいわゆる騒擾罪関係して検挙されたり、或いは起訴猶予になつたり、或いは起訴されて、その後刑の執行があつた。そういうような関係を持つたその同一の人が、今度の今読上げられたものの中に入つておりますか。入つておるのならばどういう彼割をしておるかということをお聞きしたいと思います。
  27. 草鹿淺之介

    ○政府委員(草鹿淺之介君) 神戸事件のほうで、前の神戸事件のときにやはり関係していましたものが、これは一人は実刑を受けたわけですが、この刑を終つて出ました者が一人、その他にもう一名今度の新らしい神戸事件関係しておりますが、役割はちよつと今資料を持つて来ませんでしたので……、今のところわかつているのは二名おります。
  28. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 大体ああいう運動は、何回も闘争経歴を経るごとに、その実戦の経験を経るごとにそういうような重要な役割を演じられる、ああいうようなことは曾つて共産党のかたがおりましたのですが、今のお話によるとそういう関係は全然なく、全く新らしい者がそれを始めたということになりますのですか。
  29. 草鹿淺之介

    ○政府委員(草鹿淺之介君) わかつております分は、只今申上げました二名だけであります。従いましてあとは新らしい者ということになります。
  30. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 昨日私の緑風会における文書箱の中に、全官庁労働組合京都地方協議会というものから「十二月九日円山事件の流血弾圧に就ての意見書」というのが入れてありました。それを見ますると、この集会禁止は不当である事実を挙げ、それから警察による誘導と挑発によつて、事態は決定的に悪化したという詳しいことをずつと書いておりますが、「事件後の各界の印象は、弾圧に対して好感を持つていない」……。それから日本社会党京都府連青年部という名目で「市民に訴う(円山事件の真相はこうだ)」というビラを撒いた。その内容は、失業、重税、低賃金で生活を破壊されて、正月を迎えられない労働者市民が、九日午後二時より円山で越年資金要求大会を開催する事を決定するや、市警は当日十二時前に警官約三千名で公園を占拠し、音楽堂に通ずる道という道には武装警官がピケツト・ラインを張り、通行人を尋問し、市民の墓参りさえ禁止してしまつた。午後二時過約八十名の労働者、学生が労働歌を唱い始めるや、一千余の警官がこれを取囲み、「かかれ」の号令により棍棒を振り上げて襲いかかり、婦人、子供の区別なく、泥靴で蹴ちらかし、六名の労働者の手足を持つて担ぎ去つたのである、というようなことを頻りに言つております。この点に関する刑政長官の御意見を聞きたいのであります。
  31. 草鹿淺之介

    ○政府委員(草鹿淺之介君) これは、我々のほうで検察庁、それから京都市警のほうから当時の状況の報告がございますが、我々のほうに来ております報告によると、事実は全く逆であるということが言えるのであります。
  32. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 各地におけるそうした資料は大分たくさん持つてつておりますから、この次の機会にでも持つて参りますが、それは向うへ行つて聞きますと、相当そういうことを言う者もあるのです。それから又京都等においては一般の市民では多少そうした方向へ傾いた感想を持つている者もあるように思うのですが、併し先に御報告いたしましたごとく、京都にいる人は京都だけの事件、即ちローカル・アフエアーとしてそれを見ているのですね。そうすると一方で、向うで意識的にこれは何でもない事件であるのにということを言うと、そうかなあと思い易い傾向になるのです。併しながら御報告しましたように、京都で起つたときには、神戸でも名古屋でも大津でも、いわゆる同時多発的に起つているということから考えるならば、そうした京都だけで見ているというのにも一つの基本的な欠陥があるということがわかるのです。それから京都は、さつきも報告が十分でありませんでしたが、自由労働者学生運動中心になつている。朝鮮人運動には神戸のようにはなつておらんのです。併しながら今のような同時多発的な運動であるということを考えると、京都ではたまたまひとり朝鮮人のみの運動にはなつていないけれども、これは関連性があるということは考えられるのであつて京都のさつき多少悪口のようになりましたが、国家地方警察の公安委員の人も今言うような見方をしています。これが私は非常に重視さるべきであると考えるので、今あなたがお読みになりましたその意見書は、私の判断からしても実相と離れた考え方というように思います。
  33. 草鹿淺之介

    ○政府委員(草鹿淺之介君) 京都市民の中に、いろいろな噂が出ているというお話でちよつと私思い出しましたので申上げますが、京都の場合の一つのやり方と言いますかで、注目すべき点は暴動をやつております最中から直後にかけまして、これらの中の連中が盛んに警察官がどこそこで市民の誰を殺したとか、そういつたような噂をほうぼうでやつた事実があります。
  34. 石村幸作

    ○石村幸作君 今のお話の通りそういう宣伝ビラですね、委員長ところへ届いたという、そういう宣伝が非常に巧みでして、今吉川委員も言つた通り、私ども出かける前に、すでに警察官が発砲して大分弾圧したようなことが漫然と耳に入るぐらいに宣伝が行届いておつた。さて、行つてよく話を聞き、調べて見ますと、特に京都市長の話によりましても、その事件のために数名の群衆が殺されたというのがまことしやかに非常に強力に伝えられて、京都市長の公舎に一ぱい溢れるほど一晩に家族が押しかけて来て、心配の余り泣きついておる。それもあるし、又同時に、そういうふうに心配して押しかけている者たちが、台所を家捜しして食い物や何か引きずり出して食つちまうというような、非常に傲慢な態度があつた。非常に宣伝が巧みなんです。こういう悪宣伝に国民が惑わされないように、何とか方法を講ずる必要がないかと痛切に感じております。特に警察官が非常に弾圧したと言いますけれども、成る所で公安委員警察隊長かの話によりましても、基本人権の擁護ということはむしろ警察官を第一番に擁護してもらわなくちやいかん、警察官の主張すべき言葉であるという冗談もあつたくらいです。負傷者の数を比較しましても、各事件ごとに殆んどが、例えば群衆のうち三十人怪我人があると警察官には五十人くらいある。全部警察官のほうが数も多いし、負傷の程度も非常に重いように現われておる。ですからこのようなデマと言いますか、宣伝に国民が惑わされないようにするということが、当局の一つのこれは重大な使命じやないかと考えます。
  35. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) ほかに御質問ございませんか。御質問がなければ、御報告に関する件はこの程度で打切りにいたしたいと思います。   —————————————
  36. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 次に教育公務員特例法の一部を改正する法律案というのが、文部委員会に付託になつております。これにつきまして当委員会から連合審査を申込む必要があるかどうか、御意見を承わりたいと存じます。それでは各会派で御研究願いまして、この次におきめ願いたいと思います。   —————————————
  37. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それから次に、すでにお手許にお廻ししてございますように、地方行政調査委員会議の第二次勧告が参つております。それから地方財政委員会のほうから設置法の附則によります勧告が参つております。これもお手許に差上げてございます。これを会議並びに委員会から説明を聴衆いたしたいと存じます。ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  38. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 速記を始めて下さい。  それではお諮りいたしますが、行政書士法案につきまして明日一時から委員会を開きます。なお政府は警察法の改正を企図しておるようでありますから、法務総裁からどういうふうな進行状態になつておるのか、そういうふうなことについて聞いて置きたいと思います。御異議ございませんか。
  39. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 政府は非常におつかなびつくりして、はつきりした成案ができるまでは、いろんなことを言うと後から揚げ足を取られては困るとか、いろんな政治的考慮をしまして、往々にして成案が出ない前にはまだどうとかこうとか言いまして発表できないのですが、そういうようなことはこちらも考えないようにして、秘密会でも何でもいいですが、一応内容を聞いて置けば非常にいいと思うのですが、我々もそういうことについて、あの時はこうだつた、今度はこうだというような人は誰もないわけですから、そういう含みで少し突つ込んで聞きたいと私は思うのですがね。
  40. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) なおお手許に廻しましたように、地方自治庁関係の本国会提出する予定の法律案は、地方税法の一部を改正する法律案、これにつきましては今申した地方財政委員会からの勧告が二つ来ております。それから第二に、地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案、それから第三に、地方財政法の一部を改正する法律案、第四に、災害復旧事業費の国庫負担に関する法律案、こういうものを言つて来てございます。
  41. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 これは勧告の通りを法案にしておるのですか、そうじやないのですか。
  42. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) そうではありません。勧告の点は盛り込まれてないようです。地方税法の一部を改正する法律案は……。
  43. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 これは成案ができていますか。
  44. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 要綱がございまして、要綱の又下案が事務局のほうには一部届いております。
  45. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 そうすると、これはまだ先になりますね、実際には。
  46. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 先になります。それからなお地方公営企業労働関係法案というものが、地方自治庁のほうから出る予定になつておるのでありますが、これはその下案はまだ労働省の労政局のほうでもやつている、こういうふうに聞いておりますが、結局は小野政務次官の話によりますと、これは地方自治庁のほうでやることになりまして、従つて地方行政委員会にかかるのだ、こういうことであります。それにかかわらずこの中には載つておりません。その関係は、先ほど小野政務次官が来ておりましたが命退席しておりますから、後で調べましてお知らせをいたします。それから衆議院のほうから消防組織法の一部を改正する法律案、これは地方議員連盟で練りました案につきまして、総司令部のほうと打合せをして、今向うが立案いたしておる、こういうのがございます。今までに出ると予定されているものの概要は右のようでございます。  それでは今日はこれで散会をいたします。    午後三時二十六分散会  出席者は左の通り    委員長     岡本 愛祐君    理事            堀  末治君            吉川末次郎君    委員            石村 幸作君            岩沢 忠恭君            高橋進太郎君            安井  謙君            中田 吉雄君            西郷吉之助君            鈴木 直人君            石川 清一君   政府委員    国家地方警察本    部次長     溝淵 増巳君    法務府刑政長官 草鹿淺之介君    法務府特別審査    局長      吉河 光貞君   事務局側    常任委員会專門    員       武井 群嗣君