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1950-12-14 第10回国会 参議院 地方行政委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年十二月十四日(木曜日)    午後一時二十五分開会   —————————————   本日の会議に付した事件地方公共団体議員及び長の選挙期  日等臨時特例に関する法律案(内  閣提出、衆議院送付)   —————————————
  2. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) これより地方行政委員会を開会いたします。  今日会議に付しまする事件は、地方公共団体議員及び長の選挙期日等臨時特例に関する法律案でございます。今日は参考人方々おいでを頂きまして、この法律案についての参考意見を聴取いたしたいと存じます。後ほど、今お見えになつておる方々のほかに、朝日新聞社の西島芳二君、毎日新聞社の住本利男君が見えるはずになつております。なおおいでを頂くように申したのでありますが、選挙制度調査会宮沢俊義君及び早稲田大学教授吉村正君は旅行その他のためにおいでがありません。五つかたおいでを頂くことになつております。それでは杉村章三郎君、お願いをいたします。
  3. 杉村章三郎

    参考人杉村章三郎君) 実は突然地方公共団体議員及び長の選挙期日等臨時特例に関する法律案につきまして、参考人として御召喚を受けまして参りましたわけですが、準備もありませんので、ただ簡單に二、三気のついた点を申上げて見ようかと思います。  この法律案は要するに主要な問題としましては、すでに最近の機会において任期が来ておりますところの知事が任意に辞職する傾向がありますので、それをまあ防止するという法案のように伺つておるのであります。つまり知事がそういうように任期前において任意に辞職するということは、これはその理由としまして、もうすでに任期の見えておるところの者が、来年度の予算編成に当るということは、これは言わば抱負を実行するという機会がどうもないわけで、実際に自分で当らないものについて、予算その他についてその計画を立てるということは不適当であるから、従つて任期前でも辞職して、そうして後任者にその地位を譲つて、その後任者予算編成に当るというのが適当ではないかというような動機のように伺つておるのであります。そういうようなことを防止するためにこの法律案ではこの特例を設けまして、これをまあ認めないという方法を講ずるのでありますが、その理由としまして丁度その選挙運動期間というものたまたま予算編成の時期に当つておるのであるからして、そういうことを認めないで、四月以降にそういうことを認めますけれども、とにかく選挙期日を延ばそうというのがこの法案趣旨とせられておるところであります。そうして又これに伴いましてこの法律案では議員の場合もやはり同じような方法によりまして、選挙期日を延長するということによりまして、予算編成期というような、年度の始めに当りましてそういう選挙に煩わされないようにするというのが、この法案趣旨考えられるのであります。それに基きましていろいろな手続上の点につきまして、殊に同時選挙ということを成るべく行わせようというのがこの法案趣旨考えられるのであります。結局これは私の考えるところでは知事の場合と議員の場合とは多少違うのではないかというように考えられるのでありまして、知事の場合につきましては任期前の辞職ということもさつき申しましたような動機でなされるのでありまして、これもまあ一つ理窟であろうと思うのであります。それで知事の場合におきましては、選挙が行われましても直ちにそこから任期が始まることになるわけでありますからして、そうさして弊害はないのではないかというようにも考えられるのであります。ただ選挙がこの予算編成期に際して行われるということは、多少動揺を来たすということは考えられますけれども、それが絶対にいけないということはまあ考えられないように考えられるわけですけれども、議員の場合におきましてはこれは同時にそういう事態が起つた場合におきまして、補欠選挙というようなことが考えられるわけでありますが、これも併し多数の、三分の二以上の者が辞職しなければ、六カ月以内でありますれば補欠選挙なりを行わないということになりますからして、この点も問題がなくなると思うのであります。併しまあ議員の場合におきましてはそれが多く行われればやはり相当に問題になろうかと思うのであります。そういう点、それからここに私あとから刷り物を頂きましたが、この法律においては長の選挙あとにし、そうして議員選挙を先にするということが適当であるかどうかというようなことも、御意見としてここに出ておるのであります。この点につきまして、これも考え方によるのでありまして、議員選挙を先にするということも一つ理窟であろうと思うのであります。議員選挙を先にして、それで住民意思全体、議会に対する意思というものが定まつて、そうして後にその情勢に応じて長の選挙が行われるということは、やはり議会というものを優先的に考える場合におきましては、やはりこれでいいのではないかというように考えられるのであります。  それからこの法案におきましては、すべての議員選挙を四月二十九日ということに統一しておるわけであります。任期が四月二十九日……四月の末、四月の三十日でありますか、そういうことになつておるわけでありまして、従つて順序から申しますれば、その選挙が行われまして、それからその就職、議員としての実際の職務をとるまでの間に、空白な期間というものがそこにあるわけであります。これは無論遡つて選挙の当時から任期は計算せられるわけでありますが、このギヤツプというものがどういうように解決されるか。これは実際問題としては大したことではないかも知れませんが、そういう点も問題にはなろうかと思います。  それからなお同時選挙を行わせるということでありますが、これは現在の法律によりますれば、同時に行うことができるというので、成るべく同時に行なつて、そうしてその費用を節約する。それから又住民に対してもそのほうが便宜であるということから同時に行うことができるというようにし、その裁量を選挙管理委員会でありますか、に任せておるのでありますが、この法律では同時に行わせるというように強制をしておるわけでありまして、その点も従来の法律趣旨から申しますと、多少考えられる点ではなかろうかと思われるわけであります。  それからここにちよつとありますが、この法案臨時措置というふうにありますけれども、併し同じ問題はやはり四年先にも起り得るわけでありまして、結局こういうことが必要であるということになりますれば、やはりこれは臨時特例ではなくして、将来起るべき同じような事態についての一般的な原則のように考えられるわけでありまして、こういう点につきましてもここに多少不合理な点があるのではなかろうかと思うのであります。なおこれはいわばかなり自然に行われる選挙に対して、或る意味において統制を加えるというような法案考えられるのでありまして、而もこれが政府提出ということになつておるわけでありまして、その点におきまして、この種のものはむしろ議員提出において、実際上それが地方議会議員の本当の輿論というものに鑑みまして制定せられるということが、むしろ望ましいのではないか。これはまあ蛇足でありますけれども、ちよつとその点申上げる次第であります。  非常に雑駁なことを申上げましたけれども、これで以て私の公述を終りたいと思います。
  4. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 杉村君の御意見に対して御質問ございませんか。
  5. 竹中七郎

    竹中七郎君 今のお話伺つてつていろいろありますが、私のほうでお伺いいたしたいのは、選挙をやるに三つ方法があると思うのです。只今政府が出しましたように議員を先にして首長あとにするというのと、県は県で県の議員とその知事、それから市町村長市町村会議員、こういうのがあります。もう一つは逆に、今までの法律のように、首長を先にして議員あとにする、こういうのといろいろありまして、経費の面で一番少いのは全部一緒にやるというので、一つ一つあとにして四回やるというのは経費が一番たくさん要る。全部一緒にやるというのと、一つ一つやるというのと、この二つはやめまして、先に申上げました三つのうちでやりますと、どれが一番いいとお考えになりますか。いわゆる原案と、それから逆に首長を先にやつて議員あとにする。それからもう一つは、県は県で知事県会議員、それから市町村長市町村会議員、これでやつて、あなたがたの中立の立場、学者の立場でどの辺がいいとお考えになりまか。いろいろ意見があるのですが……。
  6. 杉村章三郎

    参考人杉村章三郎君) そういう点は非常に切実な問題であると私は考えますけれども、私案はそういう点余り考えておりません。順序としてはさつきの第三の案でございましようか、市町村関係だつたら市町村関係を先にやる。長の選挙議員選挙を先にやる。それから府県府県でやるというのが、順序としては一番妥当なんじやないでしようか。
  7. 竹中七郎

    竹中七郎君 そうですか。
  8. 中田吉雄

    中田吉雄君 最近任期が満了する前に、予算編成期等の問題で知事が辞任して立候補している問題につきまして、議員のやめるほうはどうも批判的な立場をとられ、知事のほうは大体事情止むを得ないのではないかというふうに了承されたように思うのですが、四年前に立候補するときには大体四年の任期を確約して、而もここで出るのならいいのですけれども、他の立候補者準備できない間隙を狙つて再選を狙おうというような、或る意味では最近の選挙はそうなんです。予算編成期にかち合うから事前にやめて立候補するというよりは、他の競争候補者が来年の四月には準備して出るから、その準備が完了せぬ前に不意討ちを食らわして立候補するというのが最近の動向なんです。そういうのが最近の流れなんですが、これは政治道徳立場から言つてどうなんですか。
  9. 杉村章三郎

    参考人杉村章三郎君) 私は政治家ではないので、そういう政治的な面はよくわかりませんけれども、私はただそういうむしろ純な動機というほうを考えまして、予算編成に当るのは新らしく選挙されたかたがいいということも一つ理窟だろうと思つて申したわけでありますが、その動機の点なんかになりますと、どうも……。それからもう一つは、私も余り自信はないのでございまして、この動機は、どうも知事が実際初めに組む予算というのはいわゆる骨格予算であつて、そうしてだんだんそれを補正予算にして、そうして自分の事業なんかの抱負をそこにまじえるというのが通例だということも聞きましたが、そうだとすれば、やはり私のさつき申しましたのは論拠が多少薄くなるわけです。必ずしもそういうことに拘泥する必要はないと思います。
  10. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 今中田委員から杉村君に言われたことなんですが、最近ともかく任期満了前に知事及び市町村長が当然に来年の四月にある選挙を前にして、他の立候補者立候補準備が整わない間に、自分が自治体の政権を握つていることを利用して、そうして何か大衆の人気を博するような事柄を政治的に捉えて、そうして辞表を提出する。辞表を提出するのならば再立候補しなかつたらいいのだけれども、再立候補選挙準備行為として辞表を提出してやる傾向が非常に起つて来ているのです。その例は青森県の太宰治の兄さんである津島知事が、青森県にはりんご税収入というものが県税で非常にあつたのを、税制の改革で県税収入としてのりんご税収入がなくなつたから、自分県行政をやるということが非常に困難であるから、県民の信を問うというようなことを理由にして辞表を出した。そうしてやめておればいいのだけれども、すぐ立候補してそうして当選しておる。それと同じようなことが現に今展開中の選挙運動にあります。岐阜県の知事がそういうことをやつておる。ほかの市町村でもその例に倣うような人が非常にあるようです。それで私はこの間の委員会岡野国務大臣に聞くというと、それは県民選挙のときにおいて選挙によつて判断して決定すべき問題である。こういう答えなのです。それは形式論としては整つていると思うのです。併し必ずしも実質的に、実はそういうような策略的な、非常に卑劣なるところの動機によつてそういうことをやつた者が、県民の審判を受けて負けるかというと、そうじやない。恐らくこれは勝つのです。現在の事態において現実的にはこれは一つの問題なので、こういう点はよく一つ考え願つてもう一度それについての御答弁を願いたいと思うのです。  それからあなたが言われましたことで、これは選挙法改正であるからして、政府提案として出されていることは不適当であつて議員提出案として出されるべきものであると、私はこれは全く同感なので、それは選挙法規というものは、この間両院で以て選挙法規改正のための特別委員会を作つて非常に審議をしまして、私もその委員の一人ですが、やはりあなたがおつしやるような形式でやつたわけなんです。これも当然そうすべきであるというあなたのお説には全く私は同感なので、その点は賛成なんです。それから今、竹中委員質問した首長選挙を先にして、議員選挙あとにやるか、或いは議員選挙を先にやつて首長選挙あとにするか、或いは県は県、市は市というように自治団体によつての個別的な同時選挙を、首長議員との同時選挙をやるかということについての御答弁でありますが、これは私としてはやはり県は県、市町村市町村として首長議員同時選挙をやるといつたことは私はいいと思つておりますが、それは別としまして、この政府原案におけるごとく議員選挙を先にして、首長選挙あとにするという、これは現行法では反対になつておるわけです。これについて市長会等から我々委員のほうへ言つて来ておりますところの政府案に対する反対理由は、首長選挙あとにするというと、実質的には改正前の市町村制のごとくに、議会によつて市町村長選挙せられると同じような、間接選挙的な実質を帯びて来るということが非常にいけない。そうして同時にそういうことになるために、先に選挙されたところの県会議員或いは市町村会議員援助を受けて……県知事及び市町村長実質選挙運動に対する援助を受けなければならないような形になつて来ると、そのことそれ自身が一つの不合理であると同時に、これは又見えざるところの一つのポリテツクスによつてその間に忌わしいところのスキヤンダルが生ずる原因が非常にあると言つておられるのですが、これは私は非常に理由があると思うのです。ではそれに対する反対論としては、それじや先に首長選挙をやつたところで、そのときにも現在の県会議員市町村会議員がやはり議会議員としているんだから、大した反対はないんではないかという反対論も想定されます。併しながらそれは選挙によつて恐らく半数くらいは改選されて来るでしようが……、この市長会言つておられるところではやはり政府案はいけない、先に首長選挙をやるべきだ。先に県知事選挙をやり、先に市町村長選挙をやつて議員選挙あとでやるべきであるということを非常に強く市長会或いは自治団体代表者が主張しておられるのです。これは私は非常に正しいと思うのです。これはやはりお話があつたかと思いますが、先の二つの点についてお話し願いたいと思います。
  11. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 さつき杉村先生は、この原案のように議員が先になろうが、首長あとになろうが、議会優先という考え方からすれば一向差支えないんだろうと、こういうお話があつたのです。それでここは非常にこの委員会としては審議のキー・ポイントなんで、議会優先だからもう先でも構わぬということでなくて、現在の地方自治法執行機関大統領選挙のように選んでおる建前と考え併せてですね先生意見はつきりお聞かせ願つて置く。これが非常に動向を決するポイントになりますから……。そういうことを先に伺わなかつたものですからポイントを外したような……。
  12. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 いや、こういうことは如何にも地方自治法なんかの基本的な問題に触れておらないようであつて、そうして候補者にでも出ようなんて思う人は重大な関心を持つておるわけなんです。それが一つ政治問題になりかかつておるようなわけなんです。それで私といい、小笠原君といい、言いましたことは、これは又考え方によつて相当重大さが違うと思いますが、その考え方について一つはつきりお話し願いたいと思います。今の、岐阜県の知事がそういう政策的な意味辞表を出して再立候補して、今選挙戰酣わなんですが、これは非常に私は怪しからんことだと思つておりますが、そういうことについての御答弁をお願いいたします。
  13. 杉村章三郎

    参考人杉村章三郎君) これはそういう政治関係は私よくわからないのですけれども、私としては純理としてはさつき申しました通りと思いますが、結局それで現在行われておりますところの選挙の時期が、丁度そういう予算編成の時期になつているわけですからして、それをずらすという方法をどうするかという問題になつて来ると思いますが、それでずらすということになりますれば、一回はそういうふうな弊害は起つて来る。今後においてはそういう問題は避けられるのじやないかということはまああるわけですね。それでそれをこういうふうな法律でやれば又あとの問題に残つて来る、こういうことにはなる。そういう問題は一つあると思うのです。  それから第二の点は、議員のほうを先にすべきか、或いは首長のほうを先にすべきかという問題、これは成るほど市長会のおつしやるところも非常に尤もなところがあるように思います。ただそういう大統領制というようなことでありましても、実際はそれで以て現在の地方自治法というものは貫いているのではなくて、やつぱり不信任手続によつて辞職するなり或いは解散するなり、その両者の対立というものは現在の地方自治法においてもあるわけなんです。従つてそこのところは結果においては、或いはそういう市長会の憂えているように、市会選挙した旧制度と同じになるというようなことを言うのでありましようけれども、実際の運営から申しますると、恐らくそういう議会議員を先にして、そうして市会に対する住民意思というものがきまつて、それからそののちにおいて長を選挙するということのほうがいいのではないかというように、私は今そう考えているのですが。いろいろお説はあるでしようが……。
  14. 相馬助治

    相馬助治君 議事進行について。杉村先生に対する関連質問があつたらそれだけは取上げて頂くとして、これだけのお歴々が参考人としておいで下さつているので、一人の先生で議論が白熱しますと、委員が何を考えているかということもわかつてあと参考人方々がいろいろおつしやる場合に非常にやりずらいのではないかと私は思うので、一通り先生方の御意見を聞いて、そうして総合的に取扱われることをお願いいたします。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  15. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 相馬君に申上げますが、実は杉村先生はお急ぎになるのです。それで座を立つて頂く関係で、質問をして頂いたわけなんです。
  16. 相馬助治

    相馬助治君 わかりました。
  17. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) それでは次に……。
  18. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 どうもはつきりしないのですよ。今のこともいいと言つている。それから今度は自治団体ごと同時選挙、それも竹中さんの質問に、それは三つのうちでそれもいいと言つているが、どれが……。
  19. 杉村章三郎

    参考人杉村章三郎君) いや、さつきは……、議員のほうが先がいいかどうかということは、私はさつき申上げた。議員のほうが先がいいということは申上げたのです。
  20. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それからそうでなくて、議員が先、或いは首長が先、或いは県は県で同時選挙市町村市町村同時選挙、その場合には同時選挙がよいと、こういうことなんですか。
  21. 杉村章三郎

    参考人杉村章三郎君) 仮にそういうふうに分ければ、地方単位のやつがよいと、こういうことを申しておるわけなんです。そういう前提なんです。
  22. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 大体杉村さんに対する委員方々、私も含めての質問で、一番我々が聞きたがつているポイントがどこにあるかということは、ほかの参考人のかたにも多分御了解願えたと思うので、その点に触れて御陳述を願いたいと思います。
  23. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 今吉川委員から御発言がありましたようなことで、只今杉村君に対しまして各委員から質問なさつたようなことが、今日来て頂いた参考意見ポイントでございますから、さよう御了承願いたいと思います。  それでは次に、東京市政調査会理事小倉庫次君にお願いいたします。
  24. 小倉庫次

    参考人小倉庫次君) 小倉でございます。私がここで御参考に申上げようと思つて参りましたことは、只今委員長から御要望のありました点、その点を申上げようと思つて参りましたのであります。只今審議になつておりまする法案で、私共が一番異論のあります点は、今問題になりました議員選挙を先にして、長の選挙を後にしているという点、その点が一番私共の異論のある点でございます。くだくだしいことは申上げませんが、実際によい長で次に引続き長に立とうという、そういう人たちの言うておるところを聞きますと、議員選挙が先にあるために、自分たちは、自分を支持してくれる議員立候補者のために選挙費を搾り取られる。その上で又自分選挙もやらなければならない。こういう二重の選挙費を実は使うことになるので、何としてもこの点は非常に困る。こういうのが本当に私共が出て欲しいと思ういい長から、私が接した範囲で聞いた意見でございます。なぜこういうふうになつたかという理由は、私共頂いた書類だけでは判断ができませんので、私共はできればこの点は是非国会において十分御審議になつて頂きたい、こう思うのであります。私共が第一に一番いい、最良案考えておりますのは、四つ選挙を同時にやるというのが、これが一番私は最良の案だと思います。選挙というものは、要するに投票人のための選挙でありますので、国民に迷惑をかけない、国民に都合がいいようにということが、先ず選挙のやり方の主眼でなければならないと思います。そういう意味では、四つ選挙を同時にすれば、一遍選挙のために時間を割るだけで済みますし、選挙費は勿論非常に省けますし、或いは生産力の減退というような大きな面から見ても、非常に一遍で済ますのがいいのでありまして、仮にこれが選挙管理上どういう技術的な困難があるか。それは、私は詳らかにしておりませんが、もう国民もだんだん回を重ねて、同時選挙にも馴れて来ておりますので、国民自体は私は同時選挙をちつとも困らないと思うのです。むしろ選挙技術的に困るというような点がありますれば、それは止むを得ませんが、そういう理由は、私共納得の行く理由はまだどこからもう聞いておりませんので、できれば四つ選挙を同時にやつて頂きたい。そうしてこの四つ選挙を同時にやることによつて地方政治に対する国民関心というようなものは非常に高まりまするし、それによつて投票率というようなものも非常によくなるのではないだろうか。幾つにもばらばらに分けてしまつては、非常に関心が薄くなります。四つを同時にやることによつて国民関心を高め、投票率をよくし、殊に選挙の目的をよりよく達成することができるのではないだろうか。第一案は、四つ選挙を一度にやるというのであります。それから若しこれができなければ、次善の案といたしまして、先ほどからお話の出ておりますように、市町村段階選挙市町村の長及び議員一緒にして、市町村段階を一回やる。それから都道府県段階、こういうレベルを二つに分けてやるのが次善の案だと思います。これはくだくだ申しませんが、要するに長を選挙するというときには、その市町村なり府県なりの政治というものを頭に考え投票人選挙するわけでありますので、この長に対してこの議員ということで考えて選定するわけであります。それが府県の長、市町村の長ということでは、府県のこと、市町村のこと両方頭の中に入れて判断をするというような非常に混乱を来たし易い。而も、それを並べて考えなければならない理由はどこにもないと思います。それで、市町村段階では、自分市町村のことを考えながら、この長にこの議員という兼合いで行くのがよろしいと、こういうふうに考えるのであります。この調査頂きました記録によりますれば、そういうレベルの分け方は多少選挙費が余計かかるように出ておりますが、それは少少の金には代えられない点ではないかと思うのであります。  それからその次の第三案は、どうしてもこの長と長、議員議員というふうな分け方にしなければならないという理由があるのでありますれば、つまりこの政府原案のような分け方にする理由があるのでありますれば、少くとも長を先にし、議員を後にして頂きたい、こう思うのであります。ちよつと考えますと、長を先にしたつて議員を後にしたつて、そういう選挙も、例えば運動費というようなものを搾られるという点では同じではないかと、抽象的にはそういう意見も成り立つのでありますが、現実的に私共が接してそういう立場の人の話を聞きますと、もう長になつてからと、ならない前とではとても想像もできないほどの違いがあるのだと、こういう説明でございました。こういうことは、私共素人が申上げるのは本当に差出たことでありまするが、皆様非常によくおわかりでしようと思います。そういうことでありますので、只今の政府の原案につきましては、少くとも長を先にし議員を後にするというような、こういうふうなことにだけはして欲しいというのが、これが現実に地方の長でありました人たちあたりの意見でございまして、議員のほうの意見でも必ずしもこの通りしなければならんという声は私ども聞いておりません。それから自然のままに任せますれば、先ほどお話のありましたように、任期は長が先に満了し、次に議員が満了するというのですから、自然の順序で行きますれば、少くとも長を先にし議員を後にするというのが、これが本当に天の法則だと思います。これをひつくり返すというときには、よほどの理由がなければならないのではないかと思います。私はそういう理由を聞いておりませんし、納得の行くような理由は私共まだ聞いておりません。  そういう意味で、選挙のやり方、分け方につきましては、只今出ております法案は、申しにくいのでありますが、私共から言わせますと、どうも最悪のコンビネーシヨンで最悪の順位をとつたというようなふうな感じを受けるのであります。その他の点につきましては、この法案について特別に私共異議のある点はございません。  以上簡單でございますが、私の意見はこれにとどめる次第であります。
  25. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 有難うございました。
  26. 竹中七郎

    竹中七郎君 ちよつと速記をとめて下さい。
  27. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  28. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 速記を始めて。それでは次に東京都選挙管理委員会委員長澁谷常三郎君、お願いいたします。
  29. 澁谷常三郎

    参考人(澁谷常三郎君) 私は東京都の選管の副委員長の澁谷でございますが、委員長の松崎氏が昨日アメリカから帰られた早々で、まだ出席ができませんので、私が委員長代理として参りました。今日私がここへ参りまして申述べることは、このお示しの法案そのものについてどうこうということは私の言う筋でない。私の受持つておりまする選挙管理委員会としての考えを申上げたいと存じます。  私共選挙管理委員会委員といたしましては国民意思の現われであるところの投票を、如何に余計投票してもらつて、そうして国民意思を正直に現わしてもらえるかどうかということばかり考えておりますのでございます。従つて従来ただひたすらに選挙ごとに投票率を上げて、国民意思を一人でも余計に表明してもらいたいということだけを考えておつたのです。従つてその投票を一票も間違いなく発表したい、こういうふうに考えてやつて来たものでございます。今いろいろお話を承わつておりますと、来年の選挙に当りまして同時選挙をどのように組立て、いつ頃やつたらいいかというようなお説が大分伺われるのでありますが、私共選挙関係の者といたしましては、同時選挙をやるにいたしましても、成るべく少いほうがいいということを痛感しておるものでございます。それは従来の成績を以て申しますれば、單独の選挙の場合よりも二種類以上の選挙を同時にやつた場合には、かなり甚だしく無效投票が余計にあるということでございます。私共はそのことだけを以て見まても、まだまだ現在では同時選挙というものは成るべく避けてもらいたい、こういうふうに私共は考えておるのでございます。成るほどお説の通り費用も少くて済み、又選挙民の時間的の負担も少なくて済むでしようけれども、これを今まで、殊に終戰後私共選挙に携つて見ておりますというと、第二者として選挙事務を冷靜にとつておる者といたしましては、選挙民の考えというものはかなりうわついた、ということは言葉が違つておるかも知れませんけれども、国会議員選挙の場合には、これは国民的の祭典であるというようなことを言つて選挙民そのものもその気になつておるようです。それから地方公共団体選挙には、これはもう自分たちのものだと言つて、かなり本腰になつてくれておるようでありまして、従つて身近の選挙ほど投票率がいいということなんです。これはあとで申上げますが、従つて同時選挙の場合でも組合せのことをよほど考えておやりになるというと、この投票率は非常に上る。こういうふうに私共は思つております。ついこの間やりました東京都の教育委員選挙の際に成るほど無效投票というものは單独選挙でございましたから僅かでしたけれども、同時にやむました立川、八王子、同時に市の教育委員選挙をやつた場合に、遥かに無效投票が余計になつた。無效投票ということは、これはいろいろ間違わないようにしておりますんですけれども、やはり今の、これは言葉は悪いですけれども、選挙民の理解の程度では免かれないらしいんです。混乱しておりますし、その場になりますというと何が何だかわからないで、用紙の区別も何も皆間違つて入れてしまうんです。これは明らかに開票して見るというとわかるんです。そういうようなわけでして、二種類、三種類、四種類の選挙を同時にやるということになりますと、これは大変な無効投票だろうと思う。今まで大抵九%—一一%くらいでしたけれども、これが四種類ということになりますというと、二割五分くらいの無効投票が出るのじやないかというふうに恐れているようなわけであります。それから若し四種類の同時選挙をなされたといたしますというと、現在のような選挙事務関係職員の陣容ではとてもまあ処理し切れないと言つては過言ですけれども、ちよつとお受けしかねるくらいに考えておるのであります。ただ人の問題、物の問題はどうにもなるといたしましても今度能力の問題ですね。選挙の投票の処理というのは、これは並大抵のものではありません。先生方を前に置いてそういうことを申上げるのは甚だ失礼と思いますけれども、これは実際眺めて見ると大変なものでございます。一概に誰でもできる、それは数の計算や、判別はできますけれども、いよいよ一票、一票の無効投票の適否、採否についての判別等については、これはよほどの知識と経験を持たないというと、判別がしかねるというような事態が随分ございます。これが同時に四種類の選挙をやられた場合には恐らく、いよいよ集計が済んで発表というまでには三日くらいかかるだろうと思うんです。而しこれは性質上どうしても晝夜兼行ということになりまして、徹夜が三日も続かなければなりませんので、実際上生きた人間がやる以上はかなり無理ではなかろうか。これは私選挙管理委員関係といたしまして考えるのであります。  それから組合せのことでございますが、いろいろお説がありますが、私冒頭に申しましたように、投票率を上げるというためには、どうしても地方の知事さん、村長さんというふうに、或いは県会議員さん、村会議員さんというようなふうにやらんというと、若し地方公共団体の町長さんと町会議員さん、県知事さんと県会議員さんというふうになりますというと、成るほどこれは町会議員、村会議員と町長、村長  さんの選挙のときは、これは投票率は相当上りますけれども、知事さん、県会議員さんということになりますというと、これはもうずつと違つて来る。  これはもう止むを得ない、これは当然だと思います。関係がかなり遠くなりますから……これは従来の実績上はつきりしております。この点も御参考になる点だと思います。大体私は同時選挙についての考えはこんなふうに考え  ておるものであります。なお選挙管理関係でお尋ねがございましたならば、後で御質問頂きます。
  30. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 有難うございました。それでは質問は後にお願いいたしまして、次に朝日新聞社の論説委員西島芳二君にお願いいたします。
  31. 西島芳二

    参考人西島芳二君) 西島でございます。本日は来年の地方選挙期日をどうするかという法案に関する非公式な公聴会で、世論代表の立場から何か話をしてくれという御依頼でございます。私は勿論この地方選挙とか、或いは地方公共団体の事務とか、そういうものにはずぶの素人であのますし、又世論のほうからしましても、この地方選挙期日を如何にするかというのが、これほどいろいろな問題になつているということは、遺憾ながら新聞紙面に今まで反映されていなかつたようでありまして、これは勿論新聞社のほうの怠慢であると言われればいたし方ありませんが、ここで先ほどから聞いておりまして、初めてこういうことが問題になつておるのかなと、こういう工合に考えておるのであります。新聞紙面では何でも頻々と選挙期日の変更というのが雑報で出ましたが、この案がいつ出たのか知りませんが、恐らく衆議院にでも出た時分に、新聞に大きく議員のほうは四月二十九日、首長のほうは五月二十日というような工合に、雑報で大きく出ておりまして、こういう工合にきまつたのかと実は私考えておつたのでありまして、それが参議院に来ましてこんなに問題になつておるということは、実は不敏にして知らなかつたのであります。従いまして私がここで先ほど来各方面の御専門の方々お話なつたようなまとまつた、まあ何らかの意見を申上げるという資格はないのであります。ただこの二、三日前にこの法案を渡されまして素人ながら読んで見まして、どうもこれは素人論でありまして、こういうことはもう委員会で論議になつた問題であろうと思いまするが、この法案を提案する理由がどうも私には納得できなかつたのでありまして、予算編成の時期に行うことが適当でないというのが唯一の理由のようであります。たしかこの前の、昭和二十年の選挙は、四月の四日、五日に行われたようでありまして、それはやはり予算編成の時とぶつかつたんだろうと思います。又この資料によりますと、三月の中旬から下旬頃までにこの予算編成の事務が終つておるのでありまして、議決もされておるのでありまして、若し任期の満了というものが当然予定されるならば、この公職選挙法三十三條でありますか、あれに規定してあります通り、法文通りやつて任期もきちんと満四年なら四年、それから選挙選挙法に記載する通り、任期満了の前から三十日以内にやるべきものであろうと私は思うのであります。もうそういうことは、いろんな予算編成の都合とか何とかいうのは、一つ政治理由でありましようが、そういうものを理由をつければ、幾らでもつくと思いまするが、そういうことにすると切りがない。これはまあ私は地方自治体の実情を知りませんから、こういうことを申し上げるのかも知りませんが、きつぱり法律通わやつておれば、こういう問題が起らなかつたのじやないかというように私は考えるのであります。なお先ほど来の首長選挙期日と議員選挙期日をどうするか、その組合せはどつちを先にやるかというのが非常な問題のようであります、これは私も実は先ほど来議論を聞いておりまして、初めて論点がわかつたのでありまして、まあどつちがいいかという点は今にわかにはつきりとここで断定して申上げるほど考えて来ておらなかつたのでありまして、てき得るならばこれを一遍にやつてしまつたら、こういう問題は起らないのでありますから、一遍にやるにしくはないが、まあ別の場合に、議員が先か首長が先かということは、どうも実は私はこういうことがあれば、議員を先にやつて、それから首長をやつたほうが一体この地方自治に対する市民の関心というものもだんだん深まつて来ていいし、それから先ほど来どなたか間接選挙のようだと言われましたが、これまで議員を選んでから首長を選んでおつたのであるから、そのほうがよくはないか、つまりまあここに出ておる原案でもよかろうじやないか、どつちを先にしても大したことはないと実は考えておつたのであります。たださつき小倉さんから首長のほうが任期が先に切れるから、そうなればやはり首長を先にやるのが順序だと聞きまして、そうすると、私が先ほどから言つておりますように、法律通りに、できるだけ法律の規定通りにやつたらよかろうという議論からしまするというと、どうもそつちのほうへ旗を上げたほうがよさそうに思うのでありまして、まあこれほど大きな問題であるということを知りませんでしたから、私の判断を実は固めて来なかつたのであります。まあ今考えておる通りのことを申上げれば、公述人としていいだろうと思つたのです。  以上考えたことだけ申上げます。
  32. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 有難うございます。それでは続きまして毎日新聞社の政治部長の住本利男君にお願いいたします。
  33. 住本利男

    参考人住本利男君) 私の申上げますことは私個人の意見でございますから、その辺あらかじめ御了承願いたいと思います。今問題になつております法案を見ておりますると、少し余りに政治的になり過ぎておるんじやないかという感を深くするわけです。もう少し事務的に問題を考えられる必要があるんじやないか。今まで衆議院或いは参議院の審議の跡を聞いておりますると、與党、野党それぞれ少し政治的に……これはまあ選挙でありまするから、政党の皆さんが真劍になつて、そういうふうに考えられるのはこれは止むを得ないと思いますけれども、どうもそのにおいが余りに強過ぎるんじやないかと、こう思います。この点については一つ参議院あたりで冷静に、もつと事務的に御審議願いたいと私は考えるのであります。問題になつておりまするこの首長のほうの選挙を先にするか、或いは議員のほうの選挙を先にするか。この点についても先ほどの例えば市長会等の御意見を見ますると、首長選挙が後になると金を余計食うというお話がありましたが、これはまあ御尤もだろうと思います。ところが選挙の実際を見ますると、仮に首長選挙を先にやりましても、その首長候補者自分の当選を期する上に、当然その自治体の議員候補者というものはその当時からわかつておる。誰が県会議員に出るかということはわかつておる。結局この人たちの支持を得なければ出て来られないことになる或る程度首長選挙を先にやつても金はかかるんじやないかと考えるわけです。ですから首長が先か議員が先かという議論は、理論的に行くとどうも余り大した違いはないようにも思えます。ただこの前の二十二年の選挙のときを見ますと、あのときは首長のほうを先にやつたようですが、その理由はまあ参考書類を見ますと決選投票があるから何か先にやつたというふうなことになつております。そういう理由で以て大した根拠なしに首長選挙を先にやつているのです。今度又議員を先にやるというふうに変りましたけれども、これも理論的には余り大した根拠がないのじやないかと実は考えるのです。確かに自治体の議会というものが先に成立するということは、先ほどもおつしやられておりましたけれども、まあ理論、理窟としては私たちは納得し易いのではないかと考えるのです。そうなつて参りますと私の意見としては、この四つ選挙を一遍にやるのが一番好ましいと思います。ただ今東京の選挙管理委員会のほうのお話を伺いましたが、日本の現在の選挙民の程度、或いは又選挙技術の問題、開票技術の問題等から言つて四つを一遍にやるということは、これはなかなかむずかしいだろうと思います。例えば仮にここにあります先ほど来から問題になつておりまする県なら県だけの県知事県会議員選挙一緒にやるといたしましても、とにかく一般選挙民が候補者の名前を十分に記憶できないということは、これはもう嚴然たる事実であります。ですから原案のように市会或いは県会議員などを一緒にやりますと、市会議員県会議員などが一緒になつてしまつて選挙民の眼から行くと、どつちがどつちだかわからなくなり、確かに無効投票が多くなるので、その意味から言いますればアメリカ式に四つ選挙を一遍にやつてもしまうのが、私は一番理想的だと思います。将来そういうふうになつて行くべき段階であろうと思います。現実にまあそのためには公職選挙法改正しなければなりますまいし、或いは又選挙の技術の上において相当革命的な変化を来たさないと、このアメリカ式の符号式、記号式の選挙はむずかしいと思います。ですが一つ議会としては何よりも先にこの方面に向つて御努力して頂くならば首長が先か議会が先かというふうな議論は当然消えてなくなつてしまうわけでありまして、誠に公平に一挙に片付いてしまうということになるのであります。この点についての御努力を今から私たちは要望したいと思います。これは確かに選挙開票技術から行くと大変手間がかかります。我々新聞のほうでも市会議員、市長、県会議員県知事、一挙に開票せられますと、新聞のほうの扱いも、これは容易なことじやないのです。ですから私の言うのは誠に自分の仕事の上から行くと好ましくないのであります。選挙の全般的な将来のことも考えますと、こういう議論をなくする意味においても同時選挙は当然やるべきであると思います。  それからこの原案ではありませんが、先ほど来問題になつておりまする府県府県だけやろう、市町村市町村だけやろうというこの考え方は、私は賛成です。こうすると市町村のほうの首長議員選挙について選挙民の何と言いますか、興味が非常に集まつて来て出だしがいい、投票がよろしいというお話がございました。県会議員並びに県知事の問題になると、自分の身近な問題でなくなる。従つて投票が少くなるというお話がありましたが、まだ選挙啓蒙が実際問題において十分になつておらない現在の段階においては、止むを得ない事態だと思います。これなどはおいおいと直つて行くのではないか。ですから先ほど来問題になつておりまするどちらが先かというふうなことも、一つ今の日本の現状から言えば理想案に行くまでにいろいろやつて見たらどうかと思います。やつて見て工合の悪いこと、余りひどい弊害が現われるというような点は、これはもう当然今から反対できるのですが、どちらが先かというような点についての弊害判断はなかなかむずかしいと思います。  最後に一つ申上げたいのは、先ほど来お話が出ましたけれども、例えば知事などが早く辞職をいたしまして、選挙に備えるというふうなことも、実は私たちもいろいろ聞いております。これは誠に残念なことであります。これはできるだけ法によつてそういうことができないような或る程度の措置を講じて頂きたい、こう思う次第であります。  大体以上で私の公述を終ります。
  34. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) どうも有難うございました。  それでは御質疑をお願いいたします。
  35. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 今の公述についてはあとで伺いますが、もう一つ公述外のことでお聞きしたい点は、選挙日を祝祭日にやるか。平常の日にやるというときの利害について選挙管理委員会のほうの投票数を多くしたいというほうの考え方と、それから一般住民として会社、官庁に勤めておられるという立場から、そういうことについての御意見をお伺いしたいと思います。
  36. 澁谷常三郎

    参考人(澁谷常三郎君) この点については、従来日をきめるに当つてはよく考えて下すつてきめられたのでございますけれども、実は選挙関係の者といたしましては、特に祝祭日だから投票率が上るであろうというお考で、従来日曜或いは祭日におきめになつたらしいのですけれども、結果からいたしますというと、大した違いはありません。休日だから投票率が上るというようなことは特に目立つておりません。従つて私共といたしましては、日曜日は余り好ましくないということを従来意見書などに現わしておつたつもりでございます。くだいて申しますというと、休日に一日特に選挙だからということで、そのつもりでいてくれればいいのですけれども、東京あたりですと釣りに行つたり、朝早く出かけたりなどいたしまして、大事な時間に家を留守にしております。そういうことがかなり多くございます。それから休日ででございますと、これは当然費用が嵩みますので、その点も私共はこれだけお考え下すつても、却つて金がかかるのに………というふうに言つているようなわけであります。
  37. 竹中七郎

    竹中七郎君 もう一つ皆さんがたのお話の中にはないことですが、二つ選挙をやります間隔でございますね。この間隔は大体二十日になつておりますが、十日くらいでやれるかやれんか、一週間くらいでどうか。この点につきまして御專門の澁谷さんのほうからお述べを願います。
  38. 澁谷常三郎

    参考人(澁谷常三郎君) これは、私共どうしても間隔は二週間くらい置いて頂かんというと、事務上余り間隔が短かくては困ります。
  39. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 続いて澁谷さんにお伺いしますが、自治団体ごと選挙を仮にやるとした場合、首長においては決選というようなことが起るかも知れません。その場合に次の一般の選挙のとき、特殊なそういう地域の首長の決選投票を同時に行う。いわゆる三つの投票をやるということになりますが、それくらいの特殊な重複は技術的に我慢できることですか、どうですか。
  40. 澁谷常三郎

    参考人(澁谷常三郎君) その場合には、私は同時選挙は少いほどいいと言つておりましたけれども、選挙民には相当その場合の予備知識がもう十分行つておりますから、先ほど申しましたようにその場合には、初めから三種、四種の同時選挙をやるときより弊害は少いと思います。
  41. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 私が先ほど杉村さんに、青森県知事及び岐阜県の選挙戰たけなわである、その県知事選挙、その他弊害のある選挙市町村等においても現在非常に行われておるのでありますが、毎日新聞の政治部長のほうのお話によりますと、よろしくないことであるとこう思つて、そういうよくない政治的謀略を禁止するところの法令を作るべきであるというお話があつたのでありますが、他の参考人方々の御意見を、それについて承わりたいのですが、市政調査会の小倉さん、並びに朝日新聞の西島さんの右についての御意見を、この際拝聽いたしたいと思います。
  42. 小倉庫次

    参考人小倉庫次君) 私の考えとしては、私は青森県並びに岐阜県の実情を承知しておりませんので、それに基いての意見とは申せませんが、仮にそういういい口実を掲げて、実は極めて巧みな選挙作戰を行うという、そういう余地を存して置くことは、やはり制度としてはいけないことなので、まあそういう悪い者に悪用されないような、そういう逃げ途のないようなことを、制度としては考えるのが適当だと思います。
  43. 西島芳二

    参考人西島芳二君) 立法の方法も非常にむずかしいかと思いますが、何かそういうものを防ぐ適当な立法が講ぜられれば結構だと思います。
  44. 住本利男

    参考人住本利男君) 私が発言をいたしましたのは、青森県知事の実例に基いて言うておるのでない。そういう個々のケースを問題にして申上げておるわけでありません。今のこれまでのいろいろな県知事全般の中から見た弊害として、そういうことを一般的に申しておるのです。その点を御了解願いたいと思います。
  45. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 只今のに関連してですが、一つ方法としては、補欠選挙みたようにして、四年の中の残任期間だけを選挙させるという方法もあるかと思うのですが、これについて西島さん、住本さんの御意見を伺います。それから前に戻りまして、県知事や市長、地方行政の首長の空白があつてはいかん。だから選挙が五月二十日なら五月二十日に延びるようであるならば、その期間知事任期を延ばしてくれと、こういう要望が強いのですが、この点については西島さん、佳木さんから御意見があつたらお伺いいたしたい。
  46. 西島芳二

    参考人西島芳二君) 初めのほうは何ですか。
  47. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 初めのほうは、途中で自己の意思で辞任し、再立候補し、当選を期するという戰術に選挙が使われないように………。
  48. 西島芳二

    参考人西島芳二君) その場合に、あと期間だけやれということですか。
  49. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 ええ。
  50. 西島芳二

    参考人西島芳二君) 今問題になつておる岐阜県の知事の問題とか、ああいう問題に関連してですか。
  51. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 いや、一般的に………。
  52. 西島芳二

    参考人西島芳二君) 将来こういう弊害が起きた場合に、それを防止する立法ができればいいのですが、立法ができない場合に残任期間だけやれということですか。これは一般的にそういう立候補を防止するとか、再任を認めないというような立法ができれば、それに越したことはないが、できない場合には一応合法的にやつておるのですから、或いはその期間ちよん切るというのはどうですかね。
  53. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 よくわかりました。もう一つ選挙のために首長の空白の期間が長過ぎる。その間任期を延長してくれという要望が県知事、市長に強いのですが、政府側の意見では現職を利用して選挙活動をすることを防止するがためにちよん切つたんだ、こういう話なんですが。
  54. 西島芳二

    参考人西島芳二君) 特に任期を延ばすということに私は賛成じやないのですがね。
  55. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 住本さんにお願いいたします。
  56. 住本利男

    参考人住本利男君) 今の残任期間だけという問題ですが、これはそういう弊害を防止するのに或る程度有効じやないかと思います。それからもう一つ任期延長ですが、これは確かに任期を延長して延長の間でも点を稼ごうという弊害がある。私も余り賛成ではないのですが。
  57. 竹中七郎

    竹中七郎君 ちよつと澁谷さんにお伺いいたしますが、先ほどの公述の中におきまして、府県市町村と別々にやるということは市町村は身近であるから投票率もいい、道府県だというと、そういうふうじやないと、こういうようなことを言われまして御反対のようでありましたが、今の情勢がですね、議員首長と、こういうものの弊害とか、或いはどつちが早いがよいか、どつちが先がよいかということが、政治的に非常にこんがらがつておるときにおいて、府県市町村と、こういうようなふうにしたほうが、そのためには相当有効に働くじやないか。それから今のような府県或いは市町村、分けてやりますと、決選投票におきまするやり方において、これは今の政府原案のようにやれば決選投票は一回で済むし、これは二回になるわけでありますね。そういう約五千万円くらい金がかかるという欠点はあるが、いろいろの事情を察しますと、そういうふうにやつた方がはつきりするし、今の候補者といたしましても非常にスムーズに行くのじやないかと、こういうようなことを考えますが、この点につきましてあなたのほうは大体自治庁や何かに御相談になつて原案に御賛成なつたものと存じますが、その点につきましてもう一度………。
  58. 澁谷常三郎

    参考人(澁谷常三郎君) 私としてはこれに対して何とも申しかねますですね。どちらがいいかということに…。
  59. 安井謙

    ○安井謙君 さつき住本さんの言われました政治的な扱いに過ぎるとおつしやる意味は、この法案自体の内容がそういう考慮で図られておるという………、それともこの扱いの衆議院なり参議院なり、或いは各党派の闇取引………。
  60. 澁谷常三郎

    参考人(澁谷常三郎君) いや、そうじやない。審議振りを見せていると政治的である。こういうふうに感ぜざるを得ない。
  61. 中田吉雄

    中田吉雄君 その点に関して実は発言しようと思つておつたのですが、我我は特にこの問題に十分なる判断を下したいと思いますので、それで参考人にはお忙しいときにおいで願つて、そういう意見も聞いて、愼重な配慮の下にやろうというのは、これは純粋な地方自治の発展のためという見地で、むしろ超党派的にやるべきだという見解で、全くそれとは逆なんです。一つ誤解のないようにお願いいたします。(笑声)
  62. 住本利男

    参考人住本利男君) 又誤解させないようにして下さい。(笑声)
  63. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 先ほど、知事を辞職して次の選挙に備えることを防ぐ立法が必要じやないかという発言が、西島さん、住木さんからございましたが、実は公職選挙法を作りますときに、これは考えたのですが、私共はそういう現任の知事とか市長とかが、任期四年を終えないで辞職して、又選挙候補者に出るというときには、半年前にやめなければならない。それもリコールでやめるとか何とかいうときには別ですが、自発的にやめて選挙に出るならば、任期中ですね……、半年前にやめなければならない。その理論的根拠は四年間というものは、これはその県民なり市民なりに約束して出ておる。それに何とかかんとか理窟を付けてやめて、選挙に出るということは、これはやつぱり一つの信義に反しておる。又四年の任期を二年ぐらいでやめて、又出るというようなことになるところもあるのですが、それは他の選挙に出る、例えば参議院に出るために知事をやめる。そういうことは工合が悪いじやないか。総括的に、選挙に出るなら半年前にやめるというのを考えておつたのです。ところがそれは選挙法の制限だ、基本的人権の制限だというような議論が出ましてやめたんです。ところがこういう弊害が出て来るので、これは改めて考えなければならん、そういうふうに考えております。
  64. 石川清一

    ○石川清一君 お配りになつておると思うのですが、資料によりますと今日までに全国一万五百六十二都道府県市町村の公共団体の中で、二千六百、約二割五分くらいの都道府県市町村首長選挙をしておるけれども、このままの状態でもう仮に四年置くと、五割の半分の市町村選挙期日を異にするわけです。選挙公営の建前からこう六う点について統制を、統制という言葉は語弊がありますが、何か手を打つて置かなければ一年中恐らく選挙をしたければならんじやないか、こういうようになつて行くように思うのですが、特に新聞社のお二方の御意見を承わりたい。
  65. 住本利男

    参考人住本利男君) つまり選挙期日がばらばらになつてしまうということですか。
  66. 石川清一

    ○石川清一君 そうです。
  67. 住本利男

    参考人住本利男君) 結局こういう特例を出さざるを得なくなるということですね。
  68. 石川清一

    ○石川清一君 四年間でありますから。
  69. 住本利男

    参考人住本利男君) それはむずかしいのじやないですか。(笑声)例えば死亡によつて知事の補充とか何とかというのは、それを或る時期まで延ばすということはどうでしようか。一年中選挙をやるということになるかも知れませんが……。
  70. 西島芳二

    参考人西島芳二君) 地方自治というのは別々の建前のものでしようからね。一齊にやるというのはどうでしようか。国会議員と違うのだから……。
  71. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 澁谷さんにもう一度聞きますが、選挙技術の上から投票を多く獲得する、一般住民意思を集中させるという意味から言つて、率直に政府原案のような組合せと、それからその他の方々意見にもありました団体ごとの選挙ということについて率直な意見をお聞きしたいのです。と申しますのは、毎日のほうのお方はやつぱり啓蒙ということも必要なんだから、団体ごとでやるという場合にやつていいのじやないか、そういう方法一つあるのじやないか。それを市町村府県とくつけないと、身近の者が入つて行かなければ投票が多くならんということだけでなくて、啓蒙によつてそれを克服して行くという段階じやないかというふうなお話もあつたのですが、どうなんでしよう。
  72. 澁谷常三郎

    参考人(澁谷常三郎君) 御説の点の常時啓蒙ということは、これは私共選挙関係の者は従来ずつと前々から言つておりまして、それについての予算等もおねだりをしたこともあるのですが、なかなかそれは認められないのです。それで選挙ごとに線香花火的な運動をしておりまして、その場を過ごしておつたというわけでありますが、これは何としても選挙管理委員といたしましては、あまねく投票ということを勧奨して参ります者としては、どうしても市町村の長は長として選挙をするということをすれば、投票成績は上るというそれだけしか私は考えておりません。今の段階では……。
  73. 相馬助治

    相馬助治君 私は澁谷さんに一つお聞きしたいのですが、この同時選挙が殆んど技術的に四つつてはむずかしいというお話ですが、それは一つに越したことはないと思うのです。選挙管理委員会立場から言えば……。ところがこれは小倉さんのおつしやつたこともやはり傾聽する実際の何があろうと思う。私の考えるのに、選挙管理委員会がもう少し頭を使つて色分けにでもして、例えば知事さんは全部赤い色にする。立会演説も赤い紙、そこの投票用紙も赤い紙、凾も赤く塗つた凾というふうに、全部赤なら赤でやる。県会議員は緑なら緑で行く。こういう考慮を拂うならば、私は可能ではないかとも考えるのです。四つ同時選挙は殆んど不可能に近い、こういう御意見ですか。それともできるならばその四つ一緒では困るけれども、やはり技術的の面については研究して見る必要があると、こういうふうな見解なのか。そこをもう一回御研究のほどを聞いて見たい。
  74. 澁谷常三郎

    参考人(澁谷常三郎君) 只今の御質問の点は、私共選挙関係の者としては、相当従来とも研究しておつたのでありますが、但しこれで十分とは決して思つておりません。同時選挙に当りましては、御説のように色刷り等いろいろ研究しておりまして、すでに御覧になつて頂いておるのでございますが、先ほど申しましたような理由で、今の段階では單記無記名、公職選挙法にお示しのような方法では四種類の同時選挙はかなり考えなければならないのではないかと私は思つております。但しこれが記号等によつて丸をつけるとか、バツをつけるとかいうような方法をとられれば、これは又別でございますけれども、かなりこれは根本的のことでございますから、今これに改めて、さあ今度の選挙はこれでやるといつた場合に、果して御希望になるような実績が上るかどうか、一回、二回はかなり問題じやないかと私は思つております。
  75. 相馬助治

    相馬助治君 同時選挙の場合でも、例えば参議院の地方区と、全国区の場合の無効投票の現実に現れた数字を見ても、全国のほうへ地方区が入つているという数字が、地方区のほうへ全国区が入つているという数字よりも遙かに上廻つているのです。これは従つてこの数字は、或る特殊な村、例えば非常に山の中の村で、殆んど全国区の候補者というものは、勿論選挙演説にも来ないし、非常に縁遠いというような村では、意識的と思われるようなほどに、地方区の人の名前が全国区に入つておる。これは恐らく同時選挙であるから間違つたというのではなくて、やつとこすつとこ地方区の候補者の名前も覚えたお婆さんが、白紙で出せんからというので、両方へ同じ候補者の名前を書いた、こういうのはあり得ると思います。私はなぜこういうことを言つたかと申しますと、選挙管理委員会としては、望むらくは一つ一つをやりたいと、こういうお話だろうと思いますが、先ほどの首長首長でやつたほうが便利なんだという極めて機械的な考え方は、私はどうかと思うのです。それから市町村議員さん、市町村長のほうが、県会議員知事さんより投票率が多いから、その人気のあるのとないのと組合せて、投票率を上げるというような……、ちよつと言い過ぎですけれども、そういう考え方も私共はこの際とるべきではないかというふうに考えるので、技術上今あなたのおつしやつた丸をつけてでもやるなら別だとおつしやつたですが、何かうまい方法四つ選挙も同時に可能であるという見通しはございませんか、こういう方法ならできるというような…。
  76. 澁谷常三郎

    参考人(澁谷常三郎君) 速記をちよつとやめて下さい。
  77. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  78. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) 速記をつけて下さい。
  79. 澁谷常三郎

    参考人(澁谷常三郎君) 御指摘の点でございますが、私の申しましたことは機械的に、便宜的に過ぎるというお話でございますけれども、必ずしもそうでないのです。私は長は長として同時にやつたほうがいいということは、それは飽くまでも投票率を上げたい。上げるそのことが私共としては一番考えておることだけに申しましたので、従来この投票の方法等につきましてのいろいろの意見改正意見等につきましては、都道府県の管理委員会、連合会あたりが、各地方の特殊性などを考えまして、いろいろ改正意見を申上げておりまして、すでにお耳に入つておると思いますけれども、金管を通じていろいろの意見を申上げておりますが、それを一つお取上げを願つて、今後大いに私共が骨を折るのでございます。あえて骨を折ると申しますか、骨を折ることはもうそのつもりでやつているのですから、せいぜい私共の骨折り甲斐のあるように仕事をさして頂きたいと思つているのです。今お示しのいろいろの御意見は、私共も十分考えまして、近く都道府県代表者諸君とお目にかかりますから、十分御意見のあつたところを伝えたいと思つております。そうして共に一つ将来一票でも本当の意思の現われるようにしたいと、こう思つております。私のお答えがお気にいらんかと思いますが、今日の場合私はこの程度しかお答えできません。
  80. 中田吉雄

    中田吉雄君 澁谷さんにお尋ねしますが、私も地方の成績に関係しまして、県会と市町村の長なんかと選挙をからみ合せてやりますと、県庁が選挙費用を町村に負担さしちやうのです。負担区分がはつきりしませんから、これは非常に強硬な反対があるのです。そういうことのない選挙費用を当然……、委託してやるのですから、市町村に出させるべきではない。やはり県庁は市町村の上に君臨しまして、市町村のやつとからみ合せてやるというと、選挙費用を転嫁してしまう。そこで地方公共団体としてやはり選挙費用をはつきりしてやつてもらいたいという意見もあるのです。今度の地方税の改正でも、県庁が市町村に税を取り立てることを委託してはいかんとはつきりさせちやつたのですが、或いはそういう線をはつきりするために……、三十四億も選挙費用が要るわけですから、組合せてやつても……、この関係はどうですか、実際の御体験からそういうふうに無理やりに上級団体から下級団体に委託する場合は、選挙費用を押しつける。からみ合せてやると、そういう弊害がありませんか。
  81. 澁谷常三郎

    参考人(澁谷常三郎君) それは御指摘の点も確かにございます。ございますが、一体この選挙管理委員会制度というものは、まだ本当に私は確立しておらぬと思つておりまして、只今の御意見等は、これは府県の管理委員会知事ですか、その間の関係なんか、今後大いに調整方について皆さんのお力を頂きたいと、こう思つております。
  82. 竹中七郎

    竹中七郎君 もう一遍澁谷さんにお伺いしたいのですが、この政府原案は大体あなたのほうの選挙管理委員会原案を取出したというふうにわれわれは見ておるのですが、あなたの御意見なのですか。この点ちよつと一つ伺いたいと思います。
  83. 澁谷常三郎

    参考人(澁谷常三郎君) これは私個人の意見ではございません。
  84. 竹中七郎

    竹中七郎君 そうじやないのです。その点この原案選挙管理委員会にいろいろ相談と申しますか、質問したりいろんなことをしてやつたのか、自治庁がやられたか、あなたのほうの御意見は相当これは盛つてこの原案を出されたかどうか。こういうことを言つておるのです。
  85. 澁谷常三郎

    参考人(澁谷常三郎君) それは私その点は、実は冒頭に申しましたように、委員長代理だものですから……。
  86. 竹中七郎

    竹中七郎君 ああ、そうですか。
  87. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 全国じやないから無理だね。
  88. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) なお小倉君に一つ伺つて置きますが、政府の原案があなたは一番最悪の案だとおつしやつたですが、政府のほうの言い分は、四月の五日に知事や市長の任期が切れるのが多いですから、四日に選挙をやれば、と言つても四月四日じや予算編成に差支えが起つて来るから、それは五月二十日まで延ばす、議会議員ですね、これは四月二十九日まで任期があるんですね、それは成るべく議員の空白を置かないために二十一日に選挙をやる。それまで延ばしても予算編成に差支えない。こういうふうな意向なんですね。四月の四日に首長選挙をやつて、二十九日に議員選挙ができればそれはいいと思いますけれども、政府の予算編成上の支障が起るということを建前とすればこれだけは延ばして、片一方の議員のほうは延ばさない。議員の空白は置かない。こういう建前だと、こうおつしやるのですね。それでそれを考えられてもやはり最悪の案でしようか、どうですか。
  89. 小倉庫次

    参考人小倉庫次君) 首長の空白の期間を置かないことが非常に望ましいので、置くとすれば極めて最小限度短かいほうが望ましいのでありますけれども、将来四年というのは非常に長い期間でもありまするし、大事なことでありますので、多少の空白ができることの不便は忍んでも私は先ほど申しましたようなことがいいのではないかと思つております。
  90. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) いや私の申しましたのは、そうすると首長も空白ができる。議員も非常な空白ができる。殊に首長あと議員をやるなら、又えらい議員の空白ができる。それでも差支えないと、こういうのですか。
  91. 小倉庫次

    参考人小倉庫次君) どうもそれは止むを得ないと思います。
  92. 岡本愛祐

    委員長岡本愛祐君) ああ、そうですか。  それじやほかに御質問ございませんか。それでは長時間どうも有難うございました。それでは今日はこの程度で散会いたします。    午後三時十三分散会  出席者は左の通り。    委員長     岡本 愛祐君    理事            堀  末治君            吉川末次郎君            竹中 七郎君    委員            石村 幸作君            岩沢 忠恭君            高橋進太郎君            安井  謙君           小笠原二三男君            相馬 助治君            中田 吉雄君            西郷吉之助君            岩木 哲夫君            石川 清一君   政府委員    地方自治政務次    官       小野  哲君    地方自治庁次長 鈴木 俊一君   参考人    東京大学教授  杉村章三郎君    東京市政調査会    理事      小倉 庫次君    東京都選挙管理    委員会委員長 澁谷常三郎君    朝日新聞社論説    委員      西島 芳二君    毎日新聞政治部    長       住本 利男君