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1951-07-12 第10回国会 参議院 地方行政委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年七月十二日(木曜日)    午前十時四十二分開会   本日の会議に付した事件   ————————————— ○地方行政の改革に関する調査の件 ○小委員会設置の件 ○理事補欠選任に関する件   —————————————
  2. 西郷吉之助

    ○委員長(西郷吉之助君) それでは只今より委員会を開会いたします。  本日は国警長官並びに田中警視総監が出ておられまするが、先般の警察法改正に伴いまして、その後の状況にできるだけ詳細に御説明を願いたいと思います。
  3. 斎藤昇

    説明員斎藤昇君) 先般御審議、通過を頂きました警察法改正につきましては、この改正趣旨徹底並びにこれらの実施に遺漏のないように私どもといたしましては本国会におけるいろいろな御意見等十分地方にも伝えまして過ちなきを期しておる次第であります。取分け実際問題といたしまして、表面に現われて参りまする問題は町村警察廃止の問題でございまするが、本問題は町村住民投票によつて決定せられることに相成つておりまするので、我々警察関係者といたしましては、この町村警察廃止すべきか、すべきでないかという具体的の当該町村についての問題につきましては、一切意見を申述べることを差控えておるのであります。ただ法律精神並びに廃止の場合の手続、及び廃止された場合に財産処分の問題でありますとか、爾後の国警において責任を持つ場合に警察官の受入れの問題、及び国家地方警察として廃止するであろうと考えられる人員の問題等につきまして、検討をいたしました結果を質問があればそれに対して答えるという態度を取つて、今日まで進んで参つておるのであります。今日まで町村議会において廃止住民投票をやろうと決定をいたしました町村の数は、私のほうの手許において知り得ておりまする数は四十でございます。今後なお殖えると考えまするけれども、併し、総体としてどの程度になるかという見通しは今日の段階におきましてもまだ不明でございます。これらの経緯につきましては御質問に応じましてお答えいたしたほうがよろしかろうかと存じますので、一応概況だけを申上げて御参考にいたして置きます。
  4. 田中榮一

    参考人田中榮一君) 先般警察法の一部改正に際しましての参議院地方行政委員会といたされまして、非常に本案の重要問題に鑑みまして種々御配慮頂きましたことを謹んで御礼を申上げたいと思います。お蔭を以ちまして、警察法の一部改正は皆様の御努力によりましてここに成立をいたしまして、我々といたしましても警察法改正趣旨に鑑みまして、これが改正法精神を十分に納得了解をするというような方法で、それぞれ関係団体を通じまして下部自治体警察官並びに公安委員会等にもよく法の趣旨伝達宣伝をいたして参つたのであります。で最近自警連までに報告いたされました数字は昨日までで報告が少し遅れておりますので、十四、五しかまだ参つておりませんが、或いは今斎藤国警長官の言われた数字くらいは或いは現実にさようなことになつておるのではないかと存じております。現在町村警察の数は全体で千二百九十四ございます。自治体警察総数といたしましては、千五百六十でございまして、そのうち市を除く町村警察の数は千二百九十四を数えておるのであります。その後警察法改正されましてから、各県を単位に公安委員会連合会又は警察長連会協議会等におきまして、今後の対策につきまして、いろいろと運営につきまして協議をいたしておつたのであります。で現在のところ警察法精神というものは未だ十分に関係住民一般徹底がされてないのであります。例えば東京都内におきましても、都民の一人一人について一体警察法というものはどういうものでございましようかと言つて仮に聞いてみましても、本当に警察法がどういうものであるかということは、有識者かたがたですら十分におわかりになつてないのであります。それから又都会議員かたがたにいろいろ御意見を伺つてみましても、まだ警察法というものがどういうものであるかということが十分におわかりになつてない点もあるのでございます。いわんや地方町村におかれましては、町の当局は勿論のこと、町会並びに町民大半というものは、一体警察というものがどういうような組織ででき、又現在の警察法というものはどういうものであるか、自治体警察はどういうものであるかということは殆んど関心が持たれてないのであります。これは警察側にも若干の落度があるのでありまして、従来御承知のように、警察というものは、その警察あり方とか、警察の功績とか、警察のそういつた点についていわゆる啓蒙宣伝ということはやつてはならないのだ。そういつたお手柄、功名なんかを宣伝したり、警察の仕事を宣伝してはどうもいけないのだというような古い考え方からいたしまして、割合に一般住民警察の如何なるものであるかということが十分に宣伝されてないのであります。従つて一般住民にとりましては、国警であるか自警であるか、自分の町の警察国警なのであるか、自警なのであるかそれすらわからないというのが私は大多数ではないかと考えておりまして従いまして住民大半におかれましては、結局目先の問題は、税金が安くなればそれでいいんだ、要するに地方分権化趣旨を忘れて、ただ税金さえ安くなればどつちでもいいんだというような極めて封建的な考え方が相当多いようでありまするので、自治体警察側としましては、自治体警察本質並びに自治体警察あり方というものについて十分に一つ町村民にわかつてもらいたい、そういうことを一つやることが必要ではないか、このことならばあえて警察存廃、存続すべしとか廃止すべしとかいうのでなしに、要するに自治体警察本質あり方を十分に町村にわかつてもらつて、その上で存廃決定してもらうということがこれが極めて自然の考え方でありまするので、大体におきまして今さような方針でいわゆる町民に対していろいろな自治体警察あり方について一つ宣伝をするというような方式を考えておるのであります。  それから又自治体警察の経費の点につきましてもまだ十分に了解されてない点がありまするので、計数的にいろいろな資料等が必要であれば、いつ何時でも一つ出せるように用意して置くようにというようなことでいろいろやつておるのであります。それから只今のところ自治体警察存廃に関する問題は、平衡交付金にすべてかかつておるのであります。町村において将来平衡交付金が増額されるかどうか、それから又この平衡交付金が今後政府財政上の都合によつてこれが減額されるかどうか、この点に非常にかかつておりまして、将来平衡交付金が若し減額されるということになれば、今でも若干持出しになつておるところにもつて来て、平衡交付金が減額されることになると、いろいろの点について自治体警察を維持するということは町村財政を圧迫することになるからして、先ずこの点について将来考えなければならんということであります。従つて今後平衡交付金が出るか出ないかということが、この自治体警察存廃の点にかかるのではないかとも考えるのであります。それからいま一つ、これは誤つて宣伝されておるのではないかと思うのでありますが、この九月三十日までに白か黒かを決定しなければ、それ以後になつたならば、もう自治体警察廃止することができないのだ、というような多少宣伝が誤つて伝えられまして、九月三十日以後に、例えば来年になつて自治体警察廃止した場合においては、もう国警はその廃止された警察官を全然収容しないのだ。従つて九月三十日までにやならいとバスに乗遅れるというような考え方がありまして、多少焦慮の気持があるのであります。私どもはこの点については絶対にそういうことはないのだ。九月三十日に若しできなければ、又来年において若し町村の都合によつて廃止するということになれば、来年において廃止されても国警においては十分にこれを収容してもらえるのであるからして、その点は心配なかろうと思うから、十分に慎重に考慮してもらいたいということを言つておるのであります。それから最近自治体警察廃止に若干拍車をかけるような一つの傾向が現われておることは、これは誠に残念なことでありまして、この点は関係方面からも特に私のほうに御注意がありまして、又関係方面から自治庁なり、自治体なり、町村会方面にもちよつと連絡があつた考えておりますが、或る県の地方課長が、町村長会議の席上におきまして、財政的に考えて県としては……、或る県の町村長会議質疑応答内容でありますが、町長側から現在まで国警隊長地方課長の話を聞いておると、国警に引摺られるような点があるが、その点はどうであるかというような質問に対しまして、地方課長は、それは勿論そうだ、財政的方面から見てそれが当然であると思う。平衡交付金も二十五年度は十六万円に算定されておるが、実際は十二、三万円しか配当されていない実情であるというような発言をされたことに対しまして、現在持つておる町長側からも相当意見が出ました。県が、地方財政平衡交付金を実際握つておる県の当局者が、その平衡交付金というものについて、自分で握つてつて、その立場において国警に譲るのが至当であるとか、それから又廃止するのが当然であるというような言動を、弄することは、これは非常にその影響するところが大きいのでありまして、勿論町村長としましては、平衡交付金によつてどうしようかという考えでいる矢先に、勿論そうなんだ、県としても国警に譲るのがいいんだというような言動を弄せられますると、非常に適正なる判断に対しまして誤つたことになりまするので、この点が特にその権限を持つた県当局なり地方課長が、責任ある人がさようなことを言われることは、当然将来平衡交付金において、いろいろ左右されるという考えがありまするので、この点につきましては私どもも非常にこの情報を聞きまして憂慮をいたしておつたのでありまするが、又関係方面におきましてもそういう情報を入手されましてそれは少し行き過ぎではないか、もう少し慎重にそういう点はやるべきであるというような考え方で、私からも知事会並びに町村会方面にも連絡をとりまして、将来こうしたことのないように十分御注意を願いたいと、かようにお願いをいたしておる次第であります。それから又時には県の最高のかたがたが出まして県の方針としてはこうなんだということを伝えて頂くことは、これ又同様に非常な疑惑をこうむる虞れもございますので、この点も十分注意をして頂いたらどうだろうかということもお願いをいたしておるのであります。そのほか私のほうとしましては自警国警もそうでありまするが、自警側といたしましても自治体警察は持たなくてはいけないのだ、絶対に持つべきだと地方民に個々に話しかけるとか、それから又これは当然国警に行かなくてはならないのだ。いずれにいたしましても、町民自由意思による投票を阻害するということは、これはどうも面白くありませんので、まあこの点は仮に自治体警察本質啓蒙する場合におきましてもかかる点を十分に注意して疑惑をこうむらぬように一つお願いをいたしたいということも私ども考えておるのであります。それから又いま一つ自警国警が如何にも本問題につきまして、或る新聞には自警国警戦機動くというような記事を書かれまして、私ども頗る迷惑をいたしております。恐らく国警も同様に迷惑をしておると思う。如何にも自警国警が鎬を削つて両者感情的に対立しておる、これを見た国民としましては、非常に一般に治安の上に不安な気持を起すということで、かかる点におきましてもこういう問題が新聞紙上において取上げられていわゆる興味本位に書かれるということは、ひとしく国家のために憂慮すべきところでありますので、この点は十分一つ自治警察側としても注意しようじやないかということも我々申合せておるのでありまして、恐らく国警側も同様にさような方針下部のほうに通達をしておられるものと考えております。まあ現在のところ我々といたしましてはできるだけ事態は静観して、それは或る程度成り行きに任せて行くほかないだろうというような状況で、只今経過を静観いたしておるような次第でございます。又御質問によりましてお答え申上げたいと思います。
  5. 中田吉雄

    中田吉雄君 只今国警長官のほうから大体廃止のほうに向つているのが、四十ぐらいではないかというようなお話がございましたが、主たる理由はやはり財政的の問題ですが。その点について一つ廃止を決議いたしました理由、別にわかつておりましたら大まかでいいですから……。
  6. 斎藤昇

    説明員斎藤昇君) 私のほうといたしましてはそういう理由をいろいろ穿さくをいたしますると如何にも国警自治体警察廃止を慫慂する材料に使うのではないだろうかというような誤解を受けたりいたしまするので、そういう点は全然穿さくをいたしておりません。従つてどういう理由でありますか、まだ聞いておりませんが、併しこの問題が最後の終結を終つてしまいましたならば、その後に徐ろに将来の対策理由を調べることが必要であり、又適当ではなかろうかと、かように考えておるのであります。ただ臆測いたしまするのに、やはり財政の問題、それから自治体、小さな自治体警察の持つておりまする制度上もうこれでは工合が悪いというような点等いろいろあるのであろうとかように考えております。
  7. 中田吉雄

    中田吉雄君 現在まで昭和二十六年度の平衡交付金が一部ずつ支拂われておりますが、本年度の単価はどうなつておりますか。この点についてわかりましたらお願いしたいのですが、どなたでも……。
  8. 斎藤昇

    説明員斎藤昇君) 地方財政委員会のかたはお見えになつておりませんが、私のほうで聞いておりまするところによりますと、二十六年度の警察費に対する財政需要というものをどういうように見るか、まだ決定しておらないように聞いております。
  9. 中田吉雄

    中田吉雄君 仮渡しになつておるのですか。概算交付はどれくらい行つておるかわかりませんか。
  10. 斎藤昇

    説明員斎藤昇君) 十六万円余りの見当で仮渡しになつておるのじやないかと思います。
  11. 田中榮一

    参考人田中榮一君) なお私から補足的に説明いたしまするが、この平衡交付金は二十六年度は一千百億の粋は現在与えられておりまするが、これに対しまして、今回の警察費に充当すべき平衡交付金というものがまだ仮決定も何もされておりませんので、どうなるかわからんと思います。それから大体私ども地財委のほうに内意を聞いて見ますと、大体二十五年度のいわゆる十六億三、四千万円程度のものは、二十五年度当時程度のものは出るであろうという回答であります。それからなお、自治体警察廃止した場合におきましては、廃止した月までのいわゆる月割計算によつて平衡交付金が交付されるということも承わつております。
  12. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 あの警察法の審査の場合、あれだけ国会で重要な論議が交わされて、一部改正法が成立したのですが、一般に他の法律案でも成立し、公布されますと、それぞれの所管官庁地方において説明会とかというようなことで指導をするということが普通のようでありますが、あのときも論議したように啓蒙が足りない結果、いろいろ批判があるということも言われておつたのに、今度こういうふうに法改正がなつたのに、地方関係団体にどういう啓蒙をしたかということが私たちには地方を歩いて見てさつぱりわからないわけです。どうもやつておるらしくも見えない。国警長官廃止なつた暁における温かい心遣りで警察官を吸収して行くというような方面の談話が新聞記事なつたというくらいのものがまあ注目すべき点であつてあとは何にもないように思うのです。でこれは大橋法務総裁のほうの責任ではないかと思いますが、そういう意味だけから言つて国警側で一々この事務的な処理をしておられたというのですから、長官にお伺いしますが、地方自治庁のような、地方自治団体指導機関であるような政府機関とどういう連絡をおとりになつて、この警察法改正趣旨徹底させることに御努力になつたのか、この点お伺いしたいと思います。
  13. 斎藤昇

    説明員斎藤昇君) 私のほうといたしましては、仰せの通りできるだけ法律内容趣旨、殊にこの警察の内部問題につきましては、自治体警察国家地方警察との間で了解をし合うというだけでよろしい問題もありまするが、一般かたがたに御承知を頂かなければならない問題が起りまして、殊に警察廃止の問題のごときはそうでありまするから、これらにつきましては、警察の機構といたしましては、隊長会議を開きまして、隊長からそれぞれ趣旨徹底を図るようにいたしておりまするし、又地方自治庁とも連絡をいたしまして、町村長会議事務局と話合いまして、国家地方警察自治庁地方財政委員会などと一緒になりまして、適正なる解釈及び宣伝と申しますか、趣旨徹底パンフレツト作つて、これを町村長会から各町村徹底をさして参る、町村の部内で行うというように出しているのであります。又地方におきましては、町村長集まり等から求められる場合が非常に多いのでありまして、このような場合には隊長、県の庁地方課長或いは総務部長も出かけまして、趣旨徹底を図る、こういう情況でございます。
  14. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 今のお話のようなことは、政府としても公式なものではないように考えられるわけですが、隊長隊長会議で御自身は指示を受けてお考えになられても、国警側立場として隊長宣伝啓蒙をやるということは行き過ぎではないかという自粛する気持もあるでしようから、じつとしておられるのじやないか、私はこれは当然だと思うのです。ところがじつとしてはおるが、関係町村なり或いは県当局は、隊長に非公式にはいろいろ聞いているんじやないか。そうするとこの公開されないところで、これはこうなんだ、ああなんだという解釈だけでなくて、やはり主観が入り、指導性を持つという場合には、こうしたほうがいいんじやないかという場合が出たりもするんじやないか、私はこの事実知らんのでありますが、そういう場合もあるんじやないかと思うのです。又県当局側でも公式には、政府当局のどこから一貫した指導を受けておるとも考えられないので、何か知事会なり、総務部長会なんかのような場合に話が出たという程度のことじやないか、而もそのパンフレツトのことですが、これは是非あとで見せて頂きたいと私は思うのでありますが、これは町村会の発行になつてつて政府の一義的な法を解釈したパンフレツトではないのじやないか、そういう点が非常に今度ばらばらなために、地方にいろいろなデマが飛んでいるのじやないかというふうに、私たち地方を廻つて感じたわけでありますが、これは責任というようなことから行けば、どこがこういうことを政府機関としてはやるのであるか、お伺いしたい。
  15. 斎藤昇

    説明員斎藤昇君) 法律内容、或いは平衡交付金内容、そういつた実態につきましては政府十分誤りのないように正確な指示を与えるということが私は必要だと考えております。この点につきましては先ほど申しましたように十分徹底をするように図つておるのであります。お尋ねの点は恐らく自治体警察廃止するかしないかという、その実態について政府は何らか指導すべきじやないかという御意見のように承わりましたが、法律審議の際にも又法律の明文にも、地方住民自由意思によつて廃止をするか、或いは引続いて維持するかということを決定をするということに相成つております。それについてその自由意思をきめさせるについて、廃止をするほうがいいであろうか、或いはしないほうがいいであろうか、或いはそれに影響を来たすようなことは政府としては私は宣伝をしないほうがよろしいのではないかと、かように考えます。又国家地方警察といたしましてもさよう考えておるのであります。そういうわけでありますから、当該自治体警察を持つておられる住民人たち有識者人たちは日夜その地方警察というもののあり方を十分目撃しておられるわけでありまするから、それらによつて自由に廃止をするか、或いは依然存続をするかおきめになることが適当である、かように考えておるのであります。
  16. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 只今国警長官が私の質問をそういうふうにおとりになつたようですが、私は国警長官意見に賛成なんで、そういうことを政府機関指導することには反対なんで、私の申上げておるのは法の実体について解説を適切に与えるという点について不十分ではないかということを申上げておる、そのことは地方は全然、これは私のタツチした小範囲のものですけれどもわかつてはいない、そうして而も法の解釈で非常に重要な点が誤つて伝えられておる。公式の会合等において県当局、或いは町村団体首脳者が明らかに間違つた解釈を与えて指導しておる。そして而もこれは或る所で見たのですが、警察法改正に関する公聴会というふうなものを青年団体がやつておるのに、自公連側の代表、それからそういう社会における権威者として弁護士のかたなどが出て、そうしてデイスカツシヨンをしておるのですが、もう初めから、私傍聴していますというと法解釈を間違えて、間違えた前堤の上でこの論議をされておる。それでこういうことはどこから出て来た話であるかということで、いろいろ私も聞いて見たのですけれども、それぞれ当事者は弁をあいまいにしておつてわからんのです。で私はこの間違つた解釈国警側が与えたものだとも、自警側が与えたものだとも全然考えられない。それは国警側の次長さんも自警側部長さんもいろいろ御苦心なさつて行き過ぎないように御注意になつておるというような点は、末端まで私も歩いて見て承知しておる。だからそういう、私もいわゆる警察関係のほうからああいう露骨な曲げられた法解釈指導されておるとはさらさら考えない。けれども現にそれが横行しておる。その私の申上げております内容は、田中警視総監お話にあつた内容です。それはこの法律が出たから九月三十日までに廃止するかしないかという意思決定を必ず関係団体はやらなければならないという法律なんです。だから何でもかんでも議会議案としてこれをかけなくてはならない。だからかけた場合にどつちに片を付けるかということについては、町村長諸君は肚をきめてかからなければならん、こういう指導がなされておるわけです。これは私は行き過ぎではないかと考えるわけです。それは住民なり或いは議会なり或いは執行部町村長などの発意によつて廃止したいというところが、廃止に関する議案を出せばいいので、廃止したらいいか廃止しなかつたらいいかという、そういう議案の出し方も私はおかしいと思う。ですから結局は、ああいう形で現実問題として枠を狭められて行くというと、廃止するという議案関係執行部理事者議会に出さなくてはおさまらないという結果になつて行くのではないかと思うので、これは少し行き過ぎではないかと思うわけです。こういう点については、国警長官はもうそういう指導はしていないということを言うだけですから、私は質問の形では申上げない。全国的にいろいろ情報が入つておるだろうと思うのですが、こういうデマ的な世論というものが、地方に現にあるということをお聞きになつておるかおらんかお伺いしたい。
  17. 斎藤昇

    説明員斎藤昇君) 只今のような事務的な法律解釈につきましては、知事会議の際にも又全国町村長会議の際にも、勿論全国町村長会は極く最近、二、三日前にあつたわけでありまするから、それ以前は町村長会を通じては、徹底していなかつたかもわかりませんが、そういう際に又各府県の地方課長会議というような際にも十分間違いなく説明をし、徹底をいたしておるのであります。パンフレツト等もお目にかけたいとも思つております。今の間違つた解釈をしたという点につきましても、私はそれは今まで聞いておりませんでした。さような事柄で町村が何とか早くきめなければならんという立場に追込まれておる趨勢ということは聞いておりませんでしたが、先ほど警視総監からそういう御説明がありましたし、自警連のほうからも、やはりそういう声があれば直ちにそれは間違つておるという訂正を出しておられるに相違ないと思つておりますので、一時そういう誤つた解釈がどこかであつたにしても、今日は殆んど是正されておるのではなかろうかと思います。
  18. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それでは又別な観点でお伺いしますが、その知事会というのには、どういう方面指示を與えたのですか。
  19. 斎藤昇

    説明員斎藤昇君) 知事会議には大橋法務総裁も出席されまして、警察法改正趣旨お話になり、私からも事務的な解釈上の事柄のお話を申上げたのであります。
  20. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 その場合に、この趣旨町村関係徹底せしむるように特段の御配慮を願いたい、こういう趣旨指導なさりたわけですか。
  21. 斎藤昇

    説明員斎藤昇君) 知事に対する指導というわけではありませんが、こういう法律が通り、その内容はこういうものであるから周知を賜わりたいという意味のことを申上げたのであります。
  22. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、現にそちこちで、知事が町村自警を持つている関係者を招集して、そうしてこの問題の扱いについて話合いをしているというようなことは、これは中央の指示に基くものではないのですか。
  23. 斎藤昇

    説明員斎藤昇君) 知事が自治体警察を持つている関係町村を集めて何かやつておられるということは、これは中央の方針として示したものではありません。そういう会合を持つてつてもらいたいということは全然話しておりません。
  24. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それでだんだんわかつて来たわけですが、そうすると一つそれはもう結論ですが、大橋法務総裁が御出席になつておらないから、一つ国警長官のほうでお考え願いたいのですが、これは田中警視総監も先ほどからお話をしておられるのですが、この一点だけはもう一度新聞発表なり何なりで正しい扱いについて、慎重であれというようなことを、発表を中央でなさるということが重要なことじやないか。まあ私、主観として、地方を見て来て言うことで当らないと言われればそれまでですけれども、私はこれは重要なことじやないかと思うのですが、その点何か今後措置されることについてお考え頂けるかどうかお伺いしたいのです。これは開いて帰つた知事さんは、やはりまじめであればその点何かやりたいし、地方課長地方課長でやりたい。ところが片方自公連は自公連で何かやつている。いろいろそれらが錯綜して、非常に地方では微妙な空気になつているのじやないか。その証拠には、四十かの廃止の報告が来ているということですが、それは相当徹底した考えを持ち、相当勇気を持つてつた町村団体がそういう議決をしたのだろうと思う。大体の町村団体は、今はもつとよその自治団体の動きを見てとか、或いは大体中央のほうでもう右か左かその空気ができて来るだろうから、そのときまで待つて一気にやろう、それまではじつとしておれというようなことで、よそのほうを見比べてじつとしておることになるので、これはちよつとした動きによつては中庸を得るとか、自己判断によるとかいうことではなくして、右か左かというふうに片が付いて行く虞れが随分あるように思うのです。で、その中心になるものは、先ほど警視総監お話しましたが、警察制度の本当の精神というものが全然下部徹底していない。そうして地方分権も、民主主義のための警察制度というようなことも、そういう観点などはさらさらなくて、治安の強化と財政的な負担に耐えないということ、或いは警察官の士気が沈滞するとか、或いはボス化せられる。こういうような部面だけで事を処理して行こうとする傾向が強いと思うので、国警長官がああいう親切な新聞談話等を御発表になつたと同じように、行き過ぎておる部面については行き過ぎておるという、これは発表は如何かとは思いますが、廃止するしないについての手続上の問題については、はつきりした解明を一般民にも與えるという意味で、もう一度新聞等を通じて談話等を以て公正な扱いがなされるように御指導なさつたら如何かと、私はそう思うのです。そういう点について御意見があつたらお伺いしたい。
  25. 斎藤昇

    説明員斎藤昇君) 先ほどの知事、或いは地方課で関係町村長を集めているというお話でありますが、私の聞いておりますのでは、関係町村長が寄り集まつて、やはり県の地方課から財政上の平衡交付金関係がどうなるかとか、或いは手続はどうであるかとかいうことをはつきり確かめたいという意味から、むしろ自発的に出席を求められるという形を私は今まで聞いておつたのは皆さようであります。積極的に知事が招集してという事例は一つも私は聞いておりません。なお先ほど御質問のこの九月三十日までに決議をしなければもうバスに乗り遅れてしまつてあと廃止ができないのだというようなこと、デマと言いますか、間違つた解釈が横行しておるようでありますれば、さようなことのないように趣旨徹底を更に図つて見なければならんと考えております。
  26. 西郷吉之助

    ○委員長(西郷吉之助君) 小笠原君にちよつと申上げますが、平衡交付金の問題で奥野財務課長並びに小野政務次官が出ておりますから……。
  27. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 今のことで……、国警長官お話は誠に御親切なお話つたのですが、是非一つあとあと自警国警というものが感情的に対立したとかしないとか、騙されたとか騙したとか、こういう変な話にならんように、一つデマであろうが何であろうが、正しいほうに御指導になるようにいろいろ御配慮を願つて置くほうがいいと思うので、特段に私は長官にお願いして置きたいと思います。
  28. 相馬助治

    ○相馬助治君 この警察法改正に伴う指導の問題で、小笠原君からいろいろな点を尋ね、又意見を付せられたようですが、私も過去の実態で一点を申上げて、この際斎藤国警長官に一点お願いして置きたい点があります。私は今度の警察法改正について、各県においては隊長が長官等の指示を頂いて帰つて下部人たちを集め、市町村理事者等を集めて指導なさつておりますが、どういう話がされたかということについて、私も二つばかりの実例を聞いたのですが、隊長も非常に苦慮しておる点は、これを機会にして国警が勢力を伸すんだというような影響を下の者に酌取られては困るという顧慮から、そういう点については触れずに、極めて事務的なものを話しておるという、善意はよくわかつております。ところが聞いておる町村長あたりにして見るというと、どういうふうにしていいのであるか、さつぱりわからない、そこで今度は裏へ廻つて実際のところこれは一体どうしたらいいんだ、こういうことになると、廃止するならこれは法律が出たんだからこの際ぱつぱつとやるほうがいいじやないかというようなことになるらしいのでして、そうしますと、今度は町村長自分の村だけで廃止するということを議会に出せない。そこで私はこれは小笠原君も聞いたようですが、知事や何かが指導してでなくて、自発的に町村長廃止の法案を出したいけれども自分の村だけでは出せないから、そこで皆自発的に寄り集まつて上の団体のような、そういう会合で以て一つこういうことを町議会に出して見ようじやないか、出すことにしようということで……、これは実際問題なのです、打合せをして、そうしてこれを本会議でなくて協議会にかけたものであります。私どもの町においても町議会の協議会にこの問題がかかつた。そのときの町長の説明は、自分廃止ということを考えていない、併し皆集まつてこの問題は早急に町民の意思を聞いて見る必要があるということに大体相成つた。もともと法律によつて弱小町村でも自治警察を持たせられた、だから本来ならば議会において法律でやめるならやめるということをきめてくれればよさそうなものに、生半可民主的に自発的にきめろなんということを言われたから困つた町村長は皆集まつて議会へかけてこの際民意を聞いて見ようじやないかということになつたから、自分の意思ではないけれども議会にかけるが、さあ皆さんどうだ、藪から棒なものですから町会議どももどう返事をしていいかわからんというので、この次の協議会、こういうことになつておるのです。従いまして私がお願いしたいことは、いろいろ斎藤国警長官なんかの指示から指導をするということにおいて誤解を招き、間違つた指導をされては困るんですけれども、長官あたりが非常に善意を以て誤解されまいとして自由なる判断に委せようとして積極的な指導をされなかつたことが、今日下部においてはどうしていいかわからんというような状態にまで相成つておるわけであります。従つてできることならば小笠原君の言つたことも具体的なことなんですが、議会において出す意見等についても、その精神というものは地方自治振興という建前から、現在の新警察制度の真精神というものはどこまでも高く評価され、我々は守らなくちやならない、但し機能上いろいろな問題についてこういう改正案が出たんだということについて、私にして見ると間違いのないもうちよつと積極的な指導があつたほうがむしろこれはよろしいんじやないか、こう考えておるのです。これらについては国警長官としてどういうふうにお考えであるか、その一点だけ伺いたいと思いますが、要するに私の聞いておることは、下部では処置なしになつておるのであります。どうしていいかわからない。
  29. 斎藤昇

    説明員斎藤昇君) 只今のような町村の協議会を開いて、どうすべきであろうかという民意を聴くというやり方は、私はこれはいいやり方じやないかと考えております。町村長、或いは一応町村会議員だけの発案できめられますけれども、併しその発案をする前に民意を聴いて見ようという行き方は私はいいやり方じやないか。非常に適切な方法である。併しその際に法律解釈が間違つてつたり、或いは平衡交付金の問題が違つてつたり、或いは将来の財政の見通しを非常に間違えて話をしたりすることは誤解を与えますから、そういうことについて間違わないように正しい解釈をとり、正しい見通しを与える。我々はかように考えますが、その方法は適当ではなかろうかと考えておるのであります。殊に町村長がその考え方によりまして、自分たち責任を逃れたいという意味合いが相当あるように見えます。一つは先ほど警視総監自警連の会長として話されましたように、自警連のほうでは自治体警察廃止をしないというように相当自警連の各府県で決議をしたり、或いは自公連で決議をして、廃止しない運動というように誤解を起されておるのだと思いますが、現実にそういう決議なんかをしておられるようでありますから、それらに対する憚りという意味から町村長自分責任を取つてやるということになると、公安委員会や、或いは警察長に対して悪感を抱かれては困るという配慮も手伝つておるだろうと思います。そういう一方のほうの決議とか何とかいうものに対しまして、或いは町村長が集まつて、それをどういうようにやろうか。一方こういうふうに決議をしておるが、我々単独では困る、かような事態も出て来るのではないか。かように考えますが、政府としましては住民自由意思ということになつておりまするから、先ほど申しました正しい法律解釈、或いは正しいその他の知識というものは、これははつきりしなければなりませんけれども、併し持つたほうがいいかどうか、これは当該町村の具体的な問題でありまするから、抽象的にどうということはできませんし、その町村状況を見て……、こういう状況ならお前のほうはこういうふうにしたらよかろうということを言うことも、これは私は差し控えたい、こういうように考えております。
  30. 相馬助治

    ○相馬助治君 その点なんですが、私は国警長官責任を以て指導しろというのではない。国警長官はその立場上妥当ではないと思う。これは法務総裁でもいたらお聴きしたいところなんですが、地方の事態によつて廃止なり存続なりきめるのですから、どうこうというのではないのですけれども、小笠原君も指摘したように、法解釈そのものが間違つておるし、間違いか間違わないものかもわからないというものまである。今どういうことなんだというようなわけで……。ですから一体政府としてはもうちよつと、これほどの大きな問題なんですから、何とか積極的な指導が必要じやないか、こういうふうに考えておるわけなんです。そういうことを聴いておるのです。
  31. 斎藤昇

    説明員斎藤昇君) 法解釈等の問題は、これはまあ役所仕事で若干遅れておつたと思いますが、その前に、もう法律が通つた、まだ公布にもならない先からいろいろなことが、こうしようという相談なんかがあつて、又こちらから法解釈十分徹底する前に、そういうような間違つた何が、勝手に解釈をして勝手に動き出したという向きがあつたであろうと思いますが、昨今は私はもう徹底して参つた法解釈、或いは財政その他につきましてももう徹底して参つた、かように考えております。
  32. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 長官の言う意味では、或いは徹底して来つつあるかと思うのですが、その徹底しつつある前提として私の申上げておるのはこの警察法改正が出たので、この出たこの際ですね、自治体警察を持つ全町村は、何らか議会なり住民の意思を聞くという態度をとらなければならないのだという考えを持つておるのが行き過ぎではないかということを申上げておるのです。そこのところが重要だと思うのですが、先ほど相馬君も言うた通り、何ら異議がなかつたら黙つてつてもいいはずの法律なんです。或いは住民のほうから三分の一なら三分の一の署名を持つて起ち上つて来るとか、議会から発議されて来るとかというようなことがない場合に、町村長が積極的にどうしようという意思もないのに、まあ協議会程度ならそれもやつても悪いとは思いませんけれども、何か追い込まれてどつちにするか……、一応はこの際質してみなくちやならんのだと、こういう考え方が最も全国的にこれはあると思うのです。なぜこういうふうになつて来たかという点が私は趣旨徹底を欠き、警察制度の真精神というものが何ら徹底しておらないから、ただ単にさつき言いました具体的な事象を理由として、いろいろ問題が複雑に起つて来ておるのじやないか。そこでそういう点を私申上げておるのです。
  33. 斎藤昇

    説明員斎藤昇君) よくわかりました。わかりましたので申上げまするが、今九月までに町村会で何か決議をし、或いは廃止をするかしないかの投票をやつてしまわなければならん。こういう誤解ではないように思います。只今お話を伺いまして……。それは九月までに、とにかく今年中に廃止をするならば九月までに手続を済ましたものは、十月一日から廃止をするということになつておりまするから、町村責任者としては、それじやこの十月に切換える措置をやるかやらないか、これは来年まで見送るか、将来の研究問題として残そうかということは、やはりこれは考えなければならんだろうと思います。住民町村会議員の人たちからもどうしたものだろう、九月までにやつて十月から廃止をするというのならば、それまでにしなければならんし、見送るという問題ならばもう少し研究を要するということで、それじや何もしないであれだけの問題で、而も以前から相当やかましく言われた町村警察廃止問題でありますから、私の町は一体どうしたらいいかということを責任者としては考えるのが当然だと思う。その場合に自分だけではこう考えておつても、それはやはり村会議員なり村民の代表の人たちの意向によつてやらなければならんのが当然でありますから、事前に協議会を開いて廃止の手続を九月までにするか、或いはこれは研究問題としてもう少し残すか、或いは自分のところは一応とにかく今の状況では将来持続して行こう。持続して行くという結論に達したならば町村会の決議も或いは投票もする必要は勿論ないことは知つておりますけれども、併しそれは態度はやはりきめなければならんというふうに、追い込まれておるのは当然だと思います。何も考えるなということを言うのは、これは私は政治上の間違いではないかというふうに考えております。
  34. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 我々は国会ではそういうふうに波風を立てて、あらゆる所がその去就を決定するためにあの法律考えて、又あの法律の通過をまあ見るという結果になることを了解はしていないのです。それは重要な問題だと思うのです。それはその地方住民の意思によつて、発意によつて廃止したいという所が、これは住民投票なり何なりをやるのであつて廃止するともしないとも、存続するという結果になることまでも何も一々やれというふうに考えて、あの法律をきめたとは思わん。廃止したいという場合に、今回の場合は廃止したいという場合に、そういう手続をとつてやることができるというだけのことなんです。それで今度はそれを復活するというのは、それは将来の問題で、復活するという場合にそういう手続をとつてやることができるという、今存続するということのための議決なり或いは廃止するというための議決なり、どつちにもわからんことをやれというようなことをあの法律できめたとは思わん。そこが私どうもはつきりせんのですがね。
  35. 相馬助治

    ○相馬助治君 その問題について……、その問題は私非常に重要だと思うのです。でこの際町村長が態度を決定することは止むを得ないんじやないかというような長官が考え方を持つておるんだとすると、新聞談話の、温かく受入れてやるなんということは、これは聞き方によるというと、自治警察廃止する一つのジエスチヤとも、今度は誤解されても止むを得ないんじやないかと、こう私は思うのです。私は九州旅行中に温かく受入れてやるという三段見出しの新聞を読み返して見ますと、これはどういう心理的影響を与えるかまあこの段階では温かく受入れてもらわなければ困りますから、仕方がないと私は見ていたものの、国警自警にいささかも優越しておるものではないと我々も考え国警長官みずからも認められていて、而もこの段階において廃止するならもう廃止しなさいという言葉はないが、あたかも温かく受入れてやるんだ。こういうことになると、これは問題はかなり複雑であるなと、こういうふうに見て取つていたわけなんです。併しこれは長官の責任ではありません。これは新聞がそういうふうに書いたんですから、あなたの責任でなくて、温かく受入れてやるという精神は尊重されなくちやならない、併しその気持は続けて頂かなければならんのです。そういう今小笠原君が質問したその一点ですが、この際その態度を町村長決定するのは止むを得ないのじやないか、当然じやないかという考え方で温かく受入れてやるなら、私はこれは一つ意見があるので、その点も考慮されて一つ小笠原君の質問にお答え願いたい。
  36. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私の申上げておるのは、攻撃的な意味合いで申上げておるのじやないのですから、誤解のないようにお願いしたいわけですが、そこで又誤解されるといけませんから私の考えをもう少し申上げますが、今度の警察法改正自治体警察廃止するとも、そのままで行くとも、地方住民の意思に任せるのだということになつておるのはその通りでありますが、併し自治体警察というものはなくしてしまわなくちやならんというようなものでは全然ない、自治体警察というものの精神を認め、これが存続ということにウエートを置いて考えておつたのがこの法の改正なんです。どつちでもいいということではない。自治体警察はこれはこの警察制度の真精神としてこういう二つの行き方は根本原則としてとつて行くという建前で、そうしてその地域の実情においてどうしても維持することが不可能だと思われる所においては、住民の意思においてこれを廃止するという可能性を、これを認めたというふうに私は思つておるわけなんで、もう警察制度の原則から何からもう引つくり返して、どうなろうと勝手なんだということではないと思う。それでそういう意味合いから考えますと、今地方において行われているようなことは少し行き過ぎている、もうこの法律が出た際に振返つて自分自治体警察の問題について考え直して見て右するか、左するかということをきめなければならん。こういう考え方は私はおかしい。そうではなくて財政的に、或いは治安の維持のための機能が十分に発揮できない。或いは警察官の士気が沈滞する。或いは警察がその地域住民のボス的な存在のために屈服する。非能率である。だからやめるのだ、こういう意思のある所においてこそ初めてその廃止のためのいろいろな手続なりが行われて行くというふうに私は考えている。それを住民廃止するかしないかという論議をさせて、そうして一切合切立直つて存続させるというのは存続というふうに肚をきめさせて、やめるものはやめろというふうに肚をきめさせる。こういうふうに一般的な取扱をするということがこの法改正趣旨つたとは私は思わぬ。この点において私の言い分がお前のほうが間違つているということであれば、これは何をか言わんやでありますが、もう少しこれは警察制度の根本精神を活かして、なお且つ住民の意思を尊重して行くということについては法の解釈なり、或いは現在行われている地方の実情というものを、国として指導する必要があるのじやないかということを考えて、再三先ほど来申上げているようなわけなんです。野放しに、手放しに原則がどうであろうと何であろうと、勝手自由だということであれば私はこれは問題は別じやないか。こう思うので、非常に微妙な関係に立つているものですから、長官の御意見を伺いたい、こう思つているわけなんです。
  37. 斎藤昇

    説明員斎藤昇君) 私も攻撃されているとは思つておりませんし、又私の見解が過ちでありましたらどこまでも一つお教えを頂きたいと思いますが、法律解釈、それから精神はお述べの通りだと私は思つております。自治体警察を全廃するということが法律精神でないことは勿論であります。当時も申上げました通りでありますし、法律の部門から見ましてもそれはおつしやる通りであります。併し現実の政治問題として今当該町村長の立場に立たされた場合に、財政主の点はこうだ、それから能率その他いろいろは見解から自分はこう思うけれども、併しお前たちはどうであるかということはやはり聞いて見たいというのは、私は町村長立場として政治上の立場としては、これは止をむ得ないのじやないかしらと思うんです。今のこのときに、自分の所は町村警察をどうするかという問題は、これは何も考えておらんのだという態度で私はおられないだろうと思います。この法律のこういう規定のおかれましたのもその当時の輿論としまして、相当自治体警察廃止して欲しいという陳情や、或いは議会に対する請願なんかもありましたのに鑑みまして、これは、方的に廃止するということはいけないので、住民自由意思できめたほうがよかろうということでおきめになつたわけでありますが、併しそういう背景からできた法律改正であり、又現実の問題としては、自治体警察を置いておりまする所では、今後こういうことができるということになつた、併し自分としてはこう思うから当分まだ十分様子がわからんからこれは、態度は来年以降に延べよう、或いは自分のほうはこれはそういう財政の見地からも、或いは能率その値いろいろな点からも適当だと思うから置いておきたいと思う、だから法律上は何ら手続をしないで置こう。法律上手続をするかしないかということについて、何らかやはり私は肚をきめなければならん立場にあるということは、政治上当然のことではなかろうかと、かように思います。この際町村長は何もするな、何らか声があるまではそういう協議会も開くことは穏当でないというようなことは、これは私は著しくそれらの人たち町村制のやり方というものに対してよからん、何と一言いますか、指導の仕方と言いますか、場合によつては強制をするというようなことになつて政府としてはそういう立場はとれない、かように考えております。間違つてつたらば……。
  38. 高橋進太郎

    ○高橋進太郎君 議事進行について。どうでしよう、昨日からも地方行政委員会をやり、又地方行政につきましてもいろいろ今後のやり方についても問題があるので、一応午前中この辺で休憩して頂いて、又二時から再開を願いたい、我々も又……。
  39. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それには賛成ですが、併し警察関係のほうはけりを付けて、そして地方行政のほうは午後にというふうにお願いをしたい。
  40. 西郷吉之助

    ○委員長(西郷吉之助君) それでは今高橋さんの動議がありましたが、もう少し警察のほうだけは進めて、午前中にも済ましたいという意見がありまするが、もう少し継続しますか、どうしますか。
  41. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 あと五分で済みますから……。
  42. 西郷吉之助

    ○委員長(西郷吉之助君) それからさつき平衡交付金地方財政委員会からも来ておりますから、その問題も……。
  43. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 何の意思もない所は黙つておれ、余計なことなんだという意味合いのことを私は申上げたとすれば、それは誤解なんで、先ほどから再三再四、法の解釈、或いは指導という問題を申上げたのはそこにある。ただ空手放しで、はつきりした法の解釈の下に、又財政的な或いはその他の部面、いろいろの実態を把握せられた上で、町村長が協議会等にこの問題を持出して、そうして新警察制度の精神というものが歪められないで、現実的な問題としてその自治体警察存廃の問題が論ぜられて行くというふうであればいいというのです。そうではなくて、ただ単に警察制度の精神というものはどこかへ置いて、そうして財政上或いは治安維持上というようなことだけ、その地域における狭い見解だけで論議されて、それも多数決だ、だからきまつたというようなことも、これも又民主主義ではないと思う。そういう基礎になるものについては十分間違われない前提の下に各地方が十分論議をして行くというふうにありたいと思うのであります。ところがその点において私は不十分なために、各町村長は世間のほうを見渡し、或いは先に相馬君が言うように、或る種の団体において統一した意見を立てて、そこできめられたからこうやるのだというふうに持つてつて自分責任を転嫁する、こういうようないろいろなことを考えなくちやならんという問題が起つて来ると私は思うのであります。これ以上論議しませんが、先ほど来申上げておりますように、この改正法内容が過ちなく伝えられるということと、その方法的な部面においても、過ちなく明朗にこれが実施されて行くというふうに、積極的な御指導が私は必要ではないかと申上げておるのでありまして、是非一つよろしくお願いしたいと思うのであります。それからその指導の最も重要なポイントになりますものは、財政的な負担の問題でありますので、これは平衡交付金にかかつておる問題でありまするから、少くとも今地方論議の過程にありまするこの際において、地方財政委員会警察関係の単位費用ばかりでも二十六年度のそれについては速かに公表をして、種々なる憶測に基く論議を避けるというふうにさせる必要が政治的に非常にあるだろうと思うのであります。それでこの点につきましては、地方財政委員会警察費問題について二十六年度どういうふうにお考えになられ、どういう段階になつておるかということを詳細御説明を願うと共に、地方関係者にも徹底させるように特段な御配慮をお願いしたいと思うのですが、御返事如何によつては、これは午後に質問することにいたします。
  44. 西郷吉之助

    ○委員長(西郷吉之助君) 小笠原委員にちよつとお諮りいたしますが、今の答弁の前に、先ほど来の問題について田中警視総監のほうの御答弁があるそうですから……。
  45. 田中榮一

    参考人田中榮一君) 先ほど来小笠原委員からのお話がございまして、法の趣旨がまだ徹底していないことは怪しからんというお話で、どうも最初冒頭に申上げましたごとくに、実際のところ地方民には殆んどと言つては失礼でありますが、実際問題として法の趣旨が全然わかつていないのじやないかと思います。まあ警察法というものに対して、恐らく警察法を研究されておるというかた自体が極めて少いのであります。いわんや町村の有力者のかたがたでも、一体今の警察はどうなつておるのだ、国警自警と二本建になつておるのじやないかという程度のことはわかつておりますが、両者の運営がどうなつておるかということは殆んどおわかりになつておらないのであります。それから従いまして法の精神、従来警察の一元化されたことからいわゆる警察国家が作られたのだ、従つてこれを是正するために、民主日本を作るために、地方分権化された警察制度を作つたのだ、従つて地方分権の趣旨に基いて、市町村というものが政府から分離して、ここに独立した自主性を持つて、ここに市町村みずからが警察を持つて法律を執行し、従つて管内の治安の責に任ずるのだというあの警察法の大精神というものが、これが殆んどわかつておらない。殊に民主警察という点の、いわゆる理念的な問題は、平衡交付金とか或いは治安問題といつたような具体的な問題を切り離して見て、理念的な問題でありますから、これを如何に主張いたしましても、やはり問題はこれは、これをやめると税金が幾らか安くなるとか、今平衡交付金がどうなるかという、結局算盤だけの問題になつてしまつて、この理念を主張するものとしては、非常に今不利な立場にあるわけであります。我々としましてはこの理念をできるだけ町村民に御理解願うように実は努力をいたしておりますのですが、やはり現実は経済面、財政面が重要でありまして、主としてその方面に向つて注意が注がれるわけであります。そこで然らば国警が民主警察は、市町村自治体で以て警察を持つべきであるということは勿論主張して頂いておるのでありますが、併しこれは現実の問題としても実際問題として国警かたがたが民主警察を持たなくちやいけないのだということは、これは事実問題として私は言えないと思うのです。そこで然らばじや誰がこれを主張するかという問題であります。町村長がこれを主張するか、或いは町村会議員がこれを主張するか、勿論主張されるかたもあると思うのでありますが、今申上げましたごとくに町村長さん自体としても十分に警察法に御理解を持つたかたが少いのであります。それから又いわんや町村会議員くらいのかたがたにも警察法に対して御関心を持つたというかたは割合少いわけでありますから、これだけを、一般住民にこれを理解徹底せしめるだけのまあ御努力を願うということが非常に無理でありますので、そこで止むを得ず自治体警察側といたしましては公安委員会なり、それから自警連の名前を以ちまして、自治体警察というものはこういうものであるのだという、併し悪い点はある、悪い点はあるが、一方において、自治体警察というものは民主警察として今日警察法の原則として認める、こういう制度であるのだというようなパンフレツトを作りまして、まあこれを方々に配布して、自治体警察あり方一般に認識を願つておるわけであります。ところが一部にこうしたことをやること自体が怪しからんというようなことを言い触らしまして、それがために自治体警察側としても非常に迷惑をいたしておるわけであります。曾つてこの首都建設法を徹底いたします際に、東京都知事としましては首都を建設する首部建設法をやります場合に、首都建設法は首都建設のために必要なものである。我々は首都建設といつたところでさつぱりわからんのであります。そこで東京都知事といたしましては首都建設というものはこういうものである、将来はこういうふうになるものである、法律はこういうものであるということをわかりやすく書いたパンフレツトを東京都民一般に配布いたしまして、そうして東京都民の一般投票によりまして首都建設法というものが先般通つたのでありますが、東京都知事がこれは宣伝いたしたのであります。これは私東京都知事は公務員でありますが、私はこれは公職選挙法違反ではないと思う。同様に公安委員会連合会なり、自警連が、自治体警察というものはこういうものでありますぞというパンフレツトを配布することは、私は絶対にこれは公職選挙法違反でも何でもないと思う。当然のことでありまして、又これをやるべき当然の義務を持つていると、こういうことを私どもは信じておるのでありますが、国警の幹部のかたかたにいたしましても又同機であると思うのでありまするが、ときに一部誤つた考えを持つた人がおりまして、これが公職選挙法違反であるというようなことを宣伝いたしまして、現に或る県ではそれが問題になりまして或る責任者の談話まで発表されておるような状態でありまして、一体それならば自治体警察というものは誰がこれを守るのであるか、これを主張するものさえそれが違反であるというようなことを言われたのでは、全然これを主張するものはないのであります。かような点は一つどもといたしましても十分に一つ慎重な態度でいたしまして、若し町村会議員がやつておるならば、そうしたものは公職選挙法違反になる虞れがないから、徹底的に一つこういうものはやつてもらわなきやならん、十分に注意してもらいたいというような趣旨徹底を図つておるのでありまするが、今申上げたような次第で、法の宣伝ということにおいても自治体警察側としてはいろいろな点を心配しながらやつておるわけであります。従つて今小笠原委員も言われたように、警察法精神はまだ本当にわかつていないということは、そういう点にも私はあるのではないかとかように考えておるわけであります。この点は自警連側といたしましても、この法の精神徹底しなかつたというのは、私どもとしましても大いに責任を感じておる次第であります。この点だけを一つ申上げさせて頂いた次第でございます。
  46. 小野哲

    説明員(小野哲君) お答えいたしますが、警察費の算定に当りまして、単位費用をどうするかという問題でありますが、御承知のように本年度は給与改訂等も行われておりますので、地方財政委員会においては検討し直しまして、八月一ぱいには新単位費用を算出して参りたい、かように目下準備をいたしておりますので、御了承願いたいと思います。
  47. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 その答弁は誠に明快な答弁ですが、親切を欠くという点をまあ免れないのじやないかと思うのです。これは今論議しますと長くなりますから、午後のほうに廻すことにいたしたいと思います。
  48. 西郷吉之助

    ○委員長(西郷吉之助君) それでは時間も過ぎましたので、午前中はこれで休憩にいたしまして、午後一時半から再開いたしたいと思いますが、その方針でよろしうございますか。
  49. 相馬助治

    ○相馬助治君 私は田中さんに一点だけ聞きたいのですが……。
  50. 西郷吉之助

    ○委員長(西郷吉之助君) 関連するなら今おやりになつていいですが、それでは休憩の前に……。
  51. 相馬助治

    ○相馬助治君 昨日自治庁のほうから本委員会に起債の問題について陳情がありましたのですが、そのとき野村委員長は政府では六大都市に対して起債を許す考えは毛頭ない、こうきつぱりした御返事です。そこで私は一点伺つて置きたいことは、この本質的な議論は地方財政委員会を相手にしてやりますから、一点伺つて置きたいことは、無線自動車の購入や、その他の新規事業がございますね。この問題を考えて、起債が許されないときにはこういうことはやめちまう考えですかということが一つ。それからこの無線自動車をどうしても買わなくちやならないのだというならば、今度定員が自由になりましたから、自治体警察は……。定員等を減らして操作する自信があるかという、こういうことなんです。多分これはないとおつしやると思うのですが、若しないというならば、具体的に警視総監は、起債が許されない場合にはどうだというところまで突込んで、都の方面了解が行つておるかどうかというこのことです。地方財政委員会質問する前提としてこれだけ参考に伺つて置きたい。
  52. 田中榮一

    参考人田中榮一君) 責任ある野村委員長から六大都市が起債は許されんという断言をされたことでありますが、私どもとしましては誠に遺憾に思つております。これは別といたしまして、大体現在この起債によつてやりますのは、主として警察官の住宅と、それから無線施設その他の諸施設の整備拡充にあるのでありますが、若し起債ができないということになりますると、私はこの無線自動車の拡充強化というものは、或いは不可能になるのじやないかと思われますけれども、無線自動車の整備拡充は大体二十五年度には何台、二十六年度には何台ということを大体GHQからの御指示によりまして、大体配備計画を作られまして、予算と睨み合せてその範囲内において逐次拡充をいたしておる次第であります。従つて若しそれができないとなると、いわゆる第二年目の拡充計画というものが、或いは不可能に陥るのじやないか。ただ都の財源で、然らば起債が許されなければ、一般財源からこれを認めようという余裕があるならば別でありますが、私の考えでは今日本はなかなか一般財源で警察官の住宅を作るとか、それから無線車をやるというようなことは、現在の都の財政状態におきますと非常に不可能ではないかということを考えております。従いまして若しこれがいかんとなれば、無線自動車の拡充計画に非常に大きな変更を来たさなければならんことになるであろうと予想しております。
  53. 相馬助治

    ○相馬助治君 野村委員長の断言を私は遺憾としておりますので、参考にそのことを聞いたのでよくわかりました。
  54. 西郷吉之助

    ○委員長(西郷吉之助君) なお先ほどの田中総監の御意見に対しまして、斎藤長官が発言を求めておられます。
  55. 斎藤昇

    説明員斎藤昇君) 只今田中警視総監の御答弁の中に、私は聞き違いであつたら訂正いたしますが、自治体警察精神或いは自治体警察というものはこういうものだということを明らかにされることは私は適当であり、なさるべきことであると考えますけれども自治体警察を持つべきであるという運動を只今されますることは、私はこれは穏当ではない。場合によれば……、これは選挙法違反にならないとおつしやいましたが、なる虞れが多分にあるのみならず、現実にこれが住民投票という場合になつて来て、その自治体警察において警察を持つべきだという運動を警察官がいたしますならば、これは公職選挙法違反になる、こういう解釈をいたしておりますから、その点を念のために申上げます。
  56. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 どうも今のように鯉口を二寸くらい抜いたような話をされると、自省体警察がどうも困るのじやないかと思うのですが、私は国警長官の話もわかるのですが、どうもそういう話をされると、根本に遡つて又蒸返してものを言いたくなる。それは自治体警察というものが存続するのが建前なんで、廃止するというものは事情があつて廃止してもいいという特例を認めたというふうに私は考えている。原則は国警と五千人以上の市街地的な町村自治体警察を持つ。そうして事情によつて持たないこともできるというので、平等な立場でそれは考えられているとは私はさらさら思わん。そこのところが私の考えの違つておる点であるか、長官のほうの解釈の違つておるところであるか。非常にこれは問題が大きいのじやないかと思うのです。当初予算で、自治体警察を維持する所は予算を組んでおり、そうしてああいう改正警察法が公布されたというこの途中において問題を論議する場合には、私は率直に言うて、常日頃廃止意見町村長なり議会なり住民なりが持つておるというような所が、これによつて論議すべきであつて、もう論理的にいうならば何らそういう問題を起しておらない所は、予算も組んである所は、本年においてはこれを存続してそのまま持つて行くというようなことが私は望ましいことでこそあるというふうに思つておる。それが全体的に治安問題や何かについて不都合であるという部面は、それはあるかも知れません。併しこの今の警察制度の精神から言えば、私はそうあることが望ましいと思う。それを廃止の方向に行くということを積極的に運動するということならこれは行き過ぎがあるでありましようか。啓蒙して、自治体警察を存続し、新警察制度の精神徹底せしめるという運動は私は何ら差支えないのじやないか、ただそのことが公職選挙法における地方公務員たる警察官が、こういう特定な選挙投票の問題について自由な投票を阻害するというようなことになれば、これは選挙違反になる疑いがあるというような御発言については、私もこれは検討をしなくちやならんと思いますけれども、根本義としては、私はそういう方向で行くのが至当ではないかとさえ思つておる。そこで長官のお考えと私の考えとが違つておるというのであれば、私の考えておることが違つておるなら違つておるということをはつきりこの際お示しを願つて置きたいと思います。
  57. 斎藤昇

    説明員斎藤昇君) 小笠原委員のお考えは、根本義におきましては私も全く同意見でありまして、ちつとも違つておりません。
  58. 相馬助治

    ○相馬助治君 この問題は非常に重要なんで、私は法務総裁の出席を求めたいと思いますが、その前に私は斎藤国警長官にお尋ねして置きたいことは、先ず具体的に実例を考えた場合に、今知事選挙が行われる、それを予想して、地方自治の建前からこういう人格が崇高にして、こういう見識を持つた人を選べという宣伝は、具体的にはAという者に有利になり、Bという者に選挙に至つたときに不利にはなるかも知れないけれども、そういう啓蒙運動は公務員がやるということは、やつたつていささかも私は選挙違反にはならないと思う。問題は、住民投票が告示されて行われるときに、地方自治警察の職員が、治安の任に当るべき者がそれを放棄して街頭に立つて何かしたり、かにかしたりすることになれば、これは明らかに選挙違反であるけれども、今自治体側が警察法の持つ真精神を敷衍し、これを啓蒙することはいささかも選挙違反の疑いはないと、こういうふうに考えるのですから、これについて斎藤国警長官は個人的見解でございまするか、それとも法務総裁等とも具体的に意見を徴して打合せの上の御見解でございますか、その点だけを一点伺つて置きたいと、こう思います。
  59. 斎藤昇

    説明員斎藤昇君) 今お述べのように、事前に自治体警察精神自治体警察あり方徹底をされるということは何ら選挙法違反にはなりません。
  60. 相馬助治

    ○相馬助治君 それは選挙運動になるのですか。
  61. 斎藤昇

    説明員斎藤昇君) 選挙運動にはなりません。併し具体的の場合に、今挙げられましたように、住民投票の場合に、廃止反対とか賛成という運動をすれば、これは明らかに選挙法に引つかかる問題でありまして、その事前に、これが事前運動になるかどうかという微妙な点はありまするが、併し言われたように、自治体警察精神というものを宣伝される限りにおいては、これは選挙運動になりません。
  62. 相馬助治

    ○相馬助治君 わかりました。それでは法務総裁の出席云々という発言は取消します。
  63. 田中榮一

    参考人田中榮一君) 私の発言がいろいろ誤解をされまして申訳ありません。自治体警察側としましては、警察法第四十条の精神であり、原則として自治体というものは自治体警察を持つのが原則である。併し必要によつてはこれを維持しないことができるというあの精神を、これを宣伝することは私は自治体警察官として、いささかその身を自治体警察官に置く者が人から問われた場合に、自治体警察はこういうものであるという場合に、自治体警察官という自分立場からそれを啓蒙宣伝することは、結局選挙法違反には絶対ならんと思つておりますし、私どももやはり警察官でありますから、公職選挙法がどの程度ならば違反になるかくらいのことは大体私どもよく心得ておりますから、その辺は心配ないと思うのであります。ただそういうことのためにとかくそれを利用されて、若しも自治体警察官の行わんとするところの正しい啓蒙運動が阻害されるようなことになりますると、この新警察法の維持確立ということに非常に大きな支障を来たす虞れがございますので、私どもとしましてはこういう点を十分に一つ関心を持つて注意をしておるということを申上げたに過ぎないのであります。この点一つ誤解のないようにお願いいたします。
  64. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私たちだけの質問で非常に時間を取つて恐縮だつたわけですが、もう時間も相当過ぎておりますので、午前中はこの程度にして午後再会願いたいと思います。而も委員長にお願いですが、平衡交付金の問題で警察費のほうの関係もありますので、警察側にも事務多端でありましようが、午後も御出席願いたいし、国警長官には実は半分しか質問しておらないので、あと警察法改正から当然起つて来ておる五千人の定員増の配置の問題や、或いは北海道における問題等懇談的でも結構ですが、お考えをお聞きしたいので、その点も一つお願いして置きたい。
  65. 西郷吉之助

    ○委員長(西郷吉之助君) それでは今お聞き及びの通りでありますから、午前中の委員会はこの程度で休憩いたします。    午後零時三十二分休憩    —————・—————    午後二時十七分開会
  66. 西郷吉之助

    ○委員長(西郷吉之助君) それで午前中に引続いて会議を続行いたします。
  67. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 午前中警察制度改正後の状況についていろいろお伺いしたのですが、我々としましては国警であろうが自治体警察であろうが、その間一切摩擦を生ずることなく所期の目的を達成できるように御努力を願いたいわけでありますし、又平衡交付金警察費関係に関連する問題等については八月にならなければ実際の単位費用等の計算も確実にならんというような紋切り型の御答弁と伺つたのでありますが、これら一切総合して考えて見ますというと、過渡期のいろいろな微妙な問題があるために十分審議を尽せないというような憾みもありますから、この際本委員会を秘密会として、もつと問題について十分な論議ができますように、又十分関係当局の御意見も承われるようにいたしたいと思います。よつて只今から秘密会にして頂くように動議を出します。
  68. 西郷吉之助

    ○委員長(西郷吉之助君) お諮りいたします。只今小笠原委員よりお聞きの通りの動議が出ましたが、これに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  69. 西郷吉之助

    ○委員長(西郷吉之助君) ではこれより秘密会にいたします。関係以外のかたは御退席を願います。    午後二時十八分秘密会に移る
  70. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それから固苦しい論議になつてはいかんと思いますので、速記のほうもおとめ願うようにお願いしたいと思います。
  71. 西郷吉之助

    ○委員長(西郷吉之助君) では只今重ねて小笠原君より速記を中止する動議がありましたが、さよういたすことに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  72. 西郷吉之助

    ○委員長(西郷吉之助君) さよういたします。では速記を中止いたします。    午後二時十九分速記中止    —————・—————    午後四時三十七分速記開始
  73. 西郷吉之助

    ○委員長(西郷吉之助君) 速記を始めて。それではこれで秘密会を終ります。    午後四時三十八分秘密会を終る
  74. 高橋進太郎

    ○高橋進太郎君 だんだんと二日間に亘つて地方行政につきましては、いろいろ話したのでありますが、結局問題は依然として地方財政の窮乏、而も今年度の火のついているような状況に対しまして、どういう手を打つべきかということはやはり焦眉の急だと思います。従つてこの委員会としても、このまま放置するということは現在の状況からできないのではないか。従つて何らか、或いは小委員会を設けるなり、或いは各党から案を持ち寄つてもう一度この地方行政委員会で練るなり何なりして、そうして改めて政府に申入れるなり、何かこの窮乏の途を打開する方法を見出したいと、こう思うのです。従つてこの点について一つ委員長から皆さんにお諮りして頂きたいと、こう考えます。
  75. 西郷吉之助

    ○委員長(西郷吉之助君) お諮りいたしますが、今高橋委員よりお聞きの通りのお申出がありましたが、この際地方財政の補正予算がどうしても必要だと思いますので、そういうことを考えますと、私どもやはり小委員会を設置することにいたしては如何かと思いますが、如何ですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  76. 西郷吉之助

    ○委員長(西郷吉之助君) では皆さん御賛成でありまするから、小委員会を設けることに決定いたしました。  なお如何にして行くかの問題でありまするが、それについてはいろいろ御意見があると思いまするけれども、今回の委員会は昨日、今日二日間審査を予定いたしましたが、明日から或る期間をおきまして、各党でこの地方財政の補正予算の内容をきめて頂きまして、適当な機会に再び小委員会を開くことにして、その際小委員会を設けますか、小委員会はここで作つて置きますか、どういたしますか。
  77. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 只今御出席を見ますと、各会派出ているようですから、小委員会だけは構成してしまつて、計画を立てて、或る時期を画して仕事をやつて行くというふうにして頂きたいと思います。
  78. 西郷吉之助

    ○委員長(西郷吉之助君) ではお諮りいたしますが、今小笠原君から御意見がございましたが、本日は各党のうち民主党がお見えになつておりませんけれども、これは欠席で止むを得ないと思います。でありますからその点御了承の上で委員会を設置することにいたして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  79. 西郷吉之助

    ○委員長(西郷吉之助君) では過去の例を申上げますが、先般も小委員会を設けた際は八名でありまして、その内訳は自由党、社会党、緑風会おのおの二名、民主党、第一クラブ一名の八名の小委員会があつたのでありますが、その程度で差支えございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  80. 西郷吉之助

    ○委員長(西郷吉之助君) なおお諮りいたしますが、今申上げました自由党、社会党、緑風会おのおの二名、民主党、第一クラブおのおの一名、これで御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  81. 西郷吉之助

    ○委員長(西郷吉之助君) さように決定いたします。  只今決定いたしました小委員会に関する名称の問題でありまするが、その小委員会の名称はどういうふうにいたしますか、御意見を伺います。
  82. 高橋進太郎

    ○高橋進太郎君 これはやはり緊急の問題を取扱うものですから、地方財政の緊急対策といつたような意味合いはどうですか。
  83. 西郷吉之助

    ○委員長(西郷吉之助君) ではお諮りいたしますが、今高橋委員より、その名称は地方財政の緊急対策に関する小委員会、さような名称で御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  84. 西郷吉之助

    ○委員長(西郷吉之助君) さよう決定いたします。なお、各派割当のこの氏名につきましては、各派にお持ち帰りの上御決定を願いまして成るべく早い機会にお申出を願いたいと思います。  今の小委員会の開催時期でありまするが、大体いつ頃開くかというふうな目安をここでおきめ願つて置くことが非常に幸いじやないかと思います。
  85. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 小委員会が構成されたその会議において、そのことも決定を願うようにお願いいたしたいと思います。
  86. 西郷吉之助

    ○委員長(西郷吉之助君) ではお諮りいたします。今の小委員会決定いたしましたが、非公式にでも一応……。速記をめて。    〔速記中止〕
  87. 西郷吉之助

    ○委員長(西郷吉之助君) 速記を始めて下さい。  お諮りいたしますが、御承知の通り本委員会理事の堀末治君並びに吉川末次郎君が海外に行つておりますので、書面を以て辞任の申出がございまするが、辞任を許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  88. 西郷吉之助

    ○委員長(西郷吉之助君) ではその御両人の理事の補欠選挙をいたしたいと思いますが、慣例によりまして成規の手続を省略して委員長に指名を御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  89. 西郷吉之助

    ○委員長(西郷吉之助君) では理事の後任を御指名申上げます。岩沢忠恭君並びに中田吉雄君を理事に指名いたします。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  90. 西郷吉之助

    ○委員長(西郷吉之助君) ではさように決定いたします。  なお申上げますが、民主党の竹中君が理事でありましたが、本委員会の委員を辞任されましたので、民主党の理事が欠員となつておりまするが、目下民主党にお諮りいたしておりまするが、決定いたしませんので、この理事の分だけは次の機会にいたしたいと思います。御了承を願います。  では本日は本委員会はこの程度を以て散会いたします。    午後四時四十七分散会  出席者は左の通り。    委員長     西郷吉之助君    理事            岩沢 忠恭君            中田 吉雄君    委員            高橋進太郎君            安井  謙君           小笠原二三男君            相馬 助治君            石川 清一君   国務大臣    法 務 総 裁 大橋 武夫君   事務局側    常任委員会専門    員       福永与一郎君    常任委員会専門    員       武井 群嗣君   説明員    国家地方警察本    部長官     斎藤  昇君    地方自治政務次    官       小野  哲君    警 視 総 監 田中 榮一君