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政府委員(内田常雄君) それでは私からこの資料を引用いたしながら今回の法案につきまして簡単に御
説明申上げます。
前回提案趣旨
説明の際に申述べてありますように、この
有価証券の処分の調整に関する
法律と申しますのは、
政府と持株会社整理委員会、閉鎖機関整理委員会、この三社がそれぞれの原因によりまして保有いたします
有価証券を処分するに際し、銘々勝手な処分をや
つたのでは
有価証券市場等を撹乱し、又却
つて処分が渋滞を来すような趣旨から、この三者を似て証券処理調整協議会というものを作りまして、この証券処理調整協議会を通じてこの三者が株式処分をや
つて参るとこういうことを内容とした
法律でございましたが、昭和二十二年以来この制度をや
つて参りました結果、今日までで大体この
法律の目的を達成いたしまして、持株会社整理委員会におきましてはその大部分九十数%の株式を今日までにおいて処分済みであり、又閉鎖機関整理委員会につきましても八十数%の株式を処分済みであり、
政府はこの二つの委員会と違いまして今日までに処分いたしましたものはなお二十数%でありまして、今後はなお七千万株余りの株式を持越しますけれ
ども、
政府のものを別にいたしますと他の二つの委員会につきましては、大体この
有価証券の処分を完了し、殊にこの持株会社整理委員会はこの期間の間におおむね五月中或いは六月末までには残りました四、五彩の株式全部を処分し、又は旧持主に返還する措置が内定しておりまするためにここ一、二カ月以内に持株会社整理委員会が当初に持
つておりましたところの一億数千万株は全部なくなることに相成ります。そういたしますと残るところは
政府と閉鎖機関整理委員会だけでありまするが、この二者を以て従来のように証券処理調整協議会を置きまして、これに予算、人員をかけまして株式の処分をやりますということは、形式上及び実体上から無
意味である。形式上から申しますと閉鎖機関整理委員会は
大蔵大臣の監督の下にございまして、実際の運用といたしまして現在
政府の株を管理いたしておりますところの大蔵省管財局が閉鎖機関整理委員会を監督いたしておりますから、この
政府と閉鎖機関整理委員会との
関係は二つではありますが、実際はもう内輪同士ということになりますから、こういう内輪同士の二つがわざわざ予算と経費をかけて証券処理調整協議会という形を残す必要はなくな
つたということ、これは形式上からでありますが、又実質におきましては、
政府は先ほど申しますように、まだ七千万株余り残しますけれ
ども、これは後ほど資料で御
説明申上げますが、この七千株のうち実際処分すべき株は二千万株足らずでございまして、約五千万株ぐらいのものは処分が全然できないとか、又は処分する必要がない株式であります。言い換えますならば、この処分の対象にならない五千万株
程度のものは、その株式がすでに解散した会社の株式であると歩、或いは閉鎖機関に指定されておる会社の株式であるとか、或いは在外会社の株式でありまして、今これを処分してしまうにも処分しようがない。例えば満鉄の株であるとか、北支
開発株式会社の株であるとか、中支那振興会社の株であるとか、そういうものが多いのでありまして、処分し得るものは全体の七千万株のうち二千万株、而もこの二千万株は実は財産税として納付された株式が主なものでありまして、従来今日まで財産税
関係で納められた株約四千万株
程度、そのうち二千万株が売り残りますのでありますが、この財産税
関係の株は全国的に納められた代納株式でありまして、会社等もローカルな会社が多うございまして、中央で証券市場との調整を図りながら売
つて参るという式のものではございません。大体地方にある小さい会社の株式が多いのでございまして、これらは各地方ごとに地方の
状況を見ながら逐次売出して参りますればこと足りる、こういう式のものでございます。又閉鎖機関整理委員会が現在まで持
つております売残しの株につきましても大体国と同じようなことが言えるのでありまして、現在持
つております株約一千数百万株ございますが、これはこの表にもございますが、当初に九千万株余りありましたものを八十何%売れまして、現在千五百万株
程度でありますが、これらも大半は売れないもの、又売る必要のないもの、即ち在外会社の株式であるとか、或いは清算中の会社の株式であるとか、或いは閉鎖機関に指定された会社の株式のようなものでありまして、会社の清算の進捗を待
つて漸次この残余財産の分配として金が入
つて来る、或いは全然無価値のものとな
つて処分し得べくもないもの、こういうものが多うございます。そこでこの昭和二十二年の
有価証券の処分の調整に関する
法律を
廃止いたしまして、協議会を持たないで
政府は
政府として、又閉鎖機関のほうにつきましては
政府が閉鎖機関を監督しながら逐次処分をして参ればそれで十分であろう、こういう趣旨でございます。
お手許にお配りしました表のうちで細かい数字を列べました横書のものがございます。一番左側の上がその株式でありまして、その株式の中が国と日CLC、それからCILCとありまして、日CLCのほうは特殊会社整理委員会で、CILCというのは閉鎖機関であります。この三者が、国はここにありますように昭和二十二年当時でありますが、当初保有株数九千百万株、日CLCが一億六千五百万CILCが九千九百万株、こう持
つてお
つたものを、二行目、三行目の欄に亘
つてそれぞれ証券処理調整協議会が、印刷にはSCLCと書いてありますが、この証券処理調整協議会を通じて処分して参りましたもの、その合計が左側四段目でありまして、合計においては二千五十万株余り、持株会社整理委員会においては一億五千九百万株余り、閉鎖機関においては八千三百万株余り、そのすぐ右にパーセンテージが出ておりますように、国が二二%余り、持株会社整理委員会が九六%余り、閉鎖機関整理委員会が八四%余り、平均いたしまして七三・九%というものを処分した。
従つてその次の欄で本年の四月末まで本年未処分のものは、国において七千百万株余り、持株整理委員会において六百万株余り、閉鎖機関整理委員会において一千五百万株余り、合計で九千三百万株、こうございます。
その次の欄はその
法律が決定になりますとこの
法律公布の日から三カ月以内でその
法律を施行いたして証券処理調整協議会を閉ずるのでありますが、その証券処理調整協議会を閉ずる時期を仮に六月末と見た場合に、六月末までに四月以降処分の見込をつけておるものが、それぞれ四十一万二千株、六百二十三万五千株、二百九十八万七千株、合計で九百六十三万株となりまして、結局六月末までに、言い換えますと、証券処理調整協議会が存続する間にその機関を通して処分をするものが総平均七六・六%にな
つて、後へ持込むものが、一番右の欄の合計にあるように八千三百万株であります。その内訳は、国が一番大口で七千万株、持株会社整理委員会が穴月末を以て金株式の処分を了して残りが零。閉鎖機関のほうは一千二百六万株こういうことになるわけであります。
それで出資証券、社債等についても
状況は大体同じであります。
そこで次の表にやはり国の例をと
つて、七千万株国が持
つておりますが、それは如何なる株式かと申しますと、先ず国の持
つておるものが一般会計の
関係で持
つておるものと、特別会計の
関係で持
つておるものと両方あるわけであります。一般会計のほうは主として従前の特殊会社等に対しまして
政府が従来から出資してお
つたものが主でございます。特別会計のほうは、財産税及び戦時補償特別措置法というもので戦時補償の打切りに関連して国が収納した株式、それを御
承知のような財産税等収入金特別会計という会計にまとめまして整理いたしておるものでありますが、二つに分れまして、この七千万株のうちで、一般会計分が五千百万株、財産税等収入金特別会計の分が千九百万株、かようにな
つておるわけでございます。お手許の縦書の表の一番右のほうにございます。
そこでその一般会計の七千万株のうちでは、先ほど申しましたように売れるものと売れないものがあるわけでありまして、この一投会計五千万株のうちで売り得るものは五百万株弱、つまり一割弱でありまして、あとの九割余はこれは売り得ないものであります。売り得るものとして代表的に挙げ得るものは、この表にもございますように、帝国石油株式会社に対しまする
政府の出資株、それが売り得るものの大部分でありまして、その売り得るものが合計して十二銘柄でありますが、その中の一銘柄である帝国石油が九割以上占めておる。あとの十一銘柄につきましては又あとのほうにございますが、その五百万株弱のものを除きました四千六百万株は売り得ないもので、如何なるものかと申しますと、ここに大体載
つておりますし、先ほど私が申しましたような在外会社、或いはすでに清算段階に入
つております会社でありまして、満鉄、北支那、中支那、
日本石炭、
日本製鉄、帝国燃料興業等であります。その中でも満鉄が一番多いことにな
つております。この銘柄も僅かでありまして、全体で十五銘柄、即ち、
政府が一般会計で持
つておりますものが合計二十七銘柄、そのうち売り得るものは十二銘柄、而も本当に売り得る主力は一銘柄、かようなことに相成
つております。
特別会計で持
つておりますものは、二千万株弱、すぐその左のほうにございます。これは処分し得るものが大部分であります。これはもとより
政府が税金の代りに取
つたものであることは先ほど申上げた
通りでありますから、大部分売り得るものでありますが、その売れるもの千六百九十万株余りの中で、ここにございますように、三井、三菱、住友の三本社のものが、ここに挙げました金額のように大きな割合を占めております。これは実は売れると書いてありますが、今日例えば三菱本社等は市場相場が立
つておりますから、売れば売れるのでありますが、これは恐らくここ一、二カ月のうちに売らんでも、他方持株会社整理委員会が実は処分の仕事が終りまして近く解散を見込まれておりますが、それまでに全部清算分配を完了する
計画にな
つておりまして、この三社ともこれを売るまでもなく残余財産の分配金が入
つて参ります。さようなことで、処分可能ではありますが、実際はこれもここ一、二カ月のうちに現金にな
つて入
つて参る。この三社を含めて銘柄数はここにございますように千八百六十二銘柄とな
つておりますが、あとは非常に細かいもので、先ほど申しましたように財産税の物納株といたしまして、各地方のローカルな建値もないような株式でありますが、それは地方処分をやれば、売れる、その代表的なものはあとにあるのでありますが、細かいものでありますから、証券処理調整協議会を
廃止いたしましても一向差支えないものでありまして、今までに証券処理調整協議会がありました
時代におきましても、証券処理調整協議会の承認を得まして
政府自身が各地方で処分をしてお
つたようでございます。処分不可能なものが百六十八銘柄二百七十四万株ございますが、それは株式等でありながらその会社が清算に入
つたということのために売れないが、残余財産の分配がその中に入
つて参る、こういう恰好にな
つておるものでございます。この
政府持株のうちここに挙げました主なものの一覧表がなお添附の表に載
つてございますから、それを御覧願えば大体おわかりと存じます。特別会計のほうも、今申した細かいもので、これは全銘柄もありますから、挙げ出しますと際限ございませんが、大体目ぼしいものをこの添附の表に載せてございますからこれも御覧願いたいと思います。
それから閉鎖機関整理委員会のほうも、四月末現在ではまだ処分残りが千五百万株ある。併し六月までに三百万株
程度を証券処理調整協議会を通じて売りまして、六月末日閉鎖機関整理委員会の手許に残るものは千三百万株
程度ということになりますが、その内訳もこれは資料としてお配りしてあるはずでございまして、一番最後から二、三枚目の表がそうでございますが、CILC管理株式等の内訳(昭和二十六年四月末現在)とな
つている表でございます。これがこの合計では千二百六十六万株ということにな
つておりますが、処分できるものが四百九十万株、処分できないと申しますか、処分しないでも自然に残余財産の分配で入
つて来るもの等が七百七十五万株、その処分できるものの内訳を更に市場性のあるものと市場性はないが売れるものと分けてございます。処分できないものは、清算会社、在外会社、閉鎖機関等イロハと分けてあるのでございまして、お手許に御覧に入れておるわけでございます。
かような
状況でございますから、私
どもといたしましては、この際この昭和二十二年の
法律に基きます証券処理調整協議会を
廃止いたしまして、予算の節約もいたし、あとは
政府及び
政府の監督下において閉鎖機関が処分できるものは処分して参るということで十分ではなかろうか、殊に先ほど申しましたように、持株会社整理委員会がおおむね六月末日を以てその任務を終了するということにな
つておりますから、持株会社整理委員会がなくなりました後になおこの証券処理調整協議会だけが残るということは適当でありませんので、この際これをきめたほうがよろしいと、こういう趣旨でございます。