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1951-03-31 第10回国会 参議院 大蔵委員会 第32号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月三十一日(土曜日)    午前十一時十三分開会   —————————————   委員の異動 三月三十一日委員清澤俊英君、吉田法 晴君、佐多忠隆君及び山本米治君辞任 につき、その補欠として下條恭兵君、 片岡文重君、三輪貞治君及び秋山俊一 郎君を議長において指名した。   —————————————   本日の会議に付した事件 ○日本開発銀行法案内閣提出、衆議  院送付) ○資金運用部資金法案内閣提出、衆  議院送付) ○資金運用部特別会計法案内閣提  出、衆議院送付) ○資金運用部資金法施行に伴う関係  法律整理に関する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○郵便貯金特別会計法案内閣提出、  衆議院送付) ○会計法の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付) ○納税貯蓄組合法案衆議院提出) ○税理士法案衆議院送付) ○相互銀行法案衆議院送付) ○信用金庫法案衆議院送付) ○信用金庫法施行法案衆議院送付) ○関税法の一部を改正する法律等の一  部を改正する法律案衆議院提出)   —————————————
  2. 小串清一

    委員長小串清一君) これより開会いたします。  先ず日本開発銀行法案質疑を始めます。大蔵大臣は少し都合があつて司令部のほうに行かれたそうですから、それが済んだらすぐ来られますから。
  3. 松永義雄

    松永義雄君 一問一答でちよつとお尋ねしたいのですが、財産税というのは税額はどれくらいですか。財産税、さつきから聞いておるのですけれども、若しおわかりだつたら、ほぼ…、わからなければわからないでいいのです。
  4. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) お尋ね趣旨がわからないのですが、財産税
  5. 松永義雄

    松永義雄君 ちよつと長くなるのですけれども石橋大蔵大臣が、曾つて財産税を徴収して、そうしてその金を復興資金に差向けると、こういうことを言明したことがあるのです。それでちよつと開発銀行関係して来ますから、念のためにお聞きしたいと思います。
  6. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) 財産税は、税の当局からでないと責任を持つてお答え申上けられないのでありますが、税の体系から申しまして、元本に食い入るところ財産税はそうむやみに徴収すべきでないということになつておりまして、戦後一回それを実施いたしました。今後差当つてはそういうものの計画はございませんように聞いております。それから富裕税も軽微な財産税ではないかというような論もあるのでございますが、それ以上の細目になりますと、專門外でございますので、私よりはお答え申上げかねます。
  7. 松永義雄

    松永義雄君 私強いて銀行局長お尋ねしたいと思わないのですけれども、若し御存じならば、お答えができたら、何も責任を持つてあなたのほうから聞きたいというのではなく、若し御存じだつたら聞きたいのですが、一時財産税といつて税金を取りましたね。あの時の税額はどれくらいになつているか、若し御記憶があればです。若し記憶がなければ、あなたに記憶がないからといつて、あなたが何も知つているというわけではないのですから、なければないで、税の掛りに聞きたい。成るべく審議を促進するために聞いておる。
  8. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) 私記憶いたしておりません。
  9. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 銀行局長お尋ねしたいのですが、この間大臣に聞いて見たのですが、今度の開発銀行ができるについて、巷間伝えられるところによるというと、開発銀行の大体の資金運営方針はきまつておるということが言われておるですね、それを大臣は、それに対しては、そんなことはないと言われておるのですが、興銀とか勧銀とかいうのが長期資金を賄う場所になつておりますが、今度開発銀行ができますというと、興銀勧銀との関連はどうなるかということが問題になるのです。それについて銀行局長はどういうふうに考えられておるか。
  10. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) 現在不足しております長期資金供給には、第一次的には民間のそれらの金融担当機関でありまする興業銀行勧業銀行等を督励してそれに当らしめたい。併しこれらについては、市中金融のなし得まする限界がございますので、それらは特殊の銀行であります開発銀行を設けて、それを補完するようにいたしたい、こういう構想でございます。
  11. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 もう少しその点詳しく今までのいきさつなり、構想なりを発表願いたいのですが、これは審議都合上そういうのをはつきりしたほうが、日にちも切迫していることですから、できるだけ一つ親切な御答弁を願いたいと思います。
  12. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) 私の御答弁で意を盡しておると思つたのでございますが、この長期資金供給が非常に緊要である、ところでこの市中銀行でありまするところ興銀なり勧銀なりにこれを督励いたしましても限度がある、これは何も回収について安全を欠く貸付を強いるのではございませんが、言つて見ますれば、市中銀行の行います融資につきましては、資金の量並びに質においておのずから限界が出て来ると思うのでございます。質の面から申しますると、債券発行銀行におきましては、債券発行して長期資金を調達いたしますが、債券消化能力には限度がある、これ以上もつと出してもいいのだが、資金源が枯渇しておる、こういう場面もあると思います。それだから一般商業銀行になりますと、それこそ質の問題になるのでございまして、短期資金を集め、短期金融をする建前になつております。ところが日本の商業銀行の実情におきましては、相当の長期資金を出しております。例えば造船に関する資金とか、或いは石炭の設備資金とかいうものを出しておるのでございます。併しこれらの短期商業銀行といたしましては、長期資金専門金融機関から出してもらいたい、自分らは本来の業務であるところ短期商業金融に專ら專念いたしたい、こういう気持が出て来るのでございます。それから量の面から申しましても、市中銀行が実はこれこれの産業にもつと資金を出してもいいと考えておりましても、その資産構成等の面からそれ以上出すことは好ましくないという事態もあるわけでございます。例えば現在造船資金の調達が非常に緊要な問題になつておりますけれども、各銀行の出しております設備資金のうちで造船資金の占める割合というものはこれは非常に顕著な率になつておる、造船資金にはもつと出したいのだが、それを出しても融資自体としては別に不確実なことはないのだけれども、如何にも資産構成が悪くて、貸出構成のバランスを失する、こういうような場合もございますので、勢い手控えるということになるのであります。併しこれらの資金経済全般から申しますとどうしても出さなければならない資金である、こういうものは開発銀行市中銀行後楯となりまして、足らざるところを補つてやる、こういう必要があるわけであります。そういう趣旨でございますから、開発銀行が何も市中銀行を差除けまして卒先してこれらの融資を担当するのではございません。この法案規定の中にも開発銀行市中銀行と競争してはならないという規定も特に設けまして、足らざるところを補つてやるのだという趣旨を明らかにしておる次第でございます。
  13. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 市中銀行長期資金貸出を今まで専門にやつておるのは興銀或いは勧銀だと思うのでありますが、そうしますと興銀勧銀等から肩替り等の要求があつた場合には、積極的にこの開発銀行がそれを引受けるというような構想になるのですか。
  14. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) いわゆる直接の肩替りという言葉には当てはまらないかも知れませんが、事業会社に対して開発銀行が新らしく貸付けるとか、或いはその事業会社社債開発銀行応募してやるという方法によりまして、資金供給いたします。その資金市中銀行からの貸付の弁済に充当する、こういう途は用意してございます。
  15. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 結局長期資金は成るべく開発銀行で賄うことが市中銀行の、例えば勧銀とか興銀あたりのやはり要望となつておるわけなんですか。
  16. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) できるだけ長期資金開発銀行で融通するという建前はとつておりません。興銀にしろ、勧銀にしろ、長期融資は本来の任務でありますから、できるだけ債券発行いたしまして、資金さえ許しますならばもつと貸出してもいいという気持は持つておるのであります。ところ金融債消化能力には限界がございますので、勢い貸出をしたいものにつきましても、これを制限して行くという結果になつております。それらを開発銀行が助けてやる。足らざるところを補つてやるという建前でできております。
  17. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 大変御趣旨は結構だと思いますが、その次、大体この開発銀行で二十六年度に予定しておる資金というものは、どの程度銀行局では見込まれておりますか。
  18. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) 二十六年度の資金といたしましては、先ず当初見返資金から出します百億円、これは全額貸出に充当できます。そのほかに法案規定によりまして復金貸付金の回収せられたもの、而もそのうちに二十六年度につきましては、復金予算といたしまして国庫に納付すべき額がきまつております。それを納めまして残のものでございまして約三十億見当ございます。現在のところでは開発銀行の二十六年度の資金は、百億にその三十億を加えた程度のものでございます。
  19. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 次に復金との関係ですが、復金は仕事を停止しておるわけですね。併しながらやはり復金のような制度があつたほうがよかつたということを政府が認識されて、こういう銀行の設立を企図されたものと我々見ていいのですか。
  20. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) 長期資金供給民間金融機関の力だけでは十分にできませんので、政府後楯による特殊金融機関をこしらえまして、これによつてその長期資金を賄わすことが必要だという結論に達したわけであります。これを復金の復活と見るかどうかということにつきましては、まあ実質的に見ますというと、復金のやつておりましたような機能を又復活することになるかと思いますが、復金についてはいろいろ問題がございますので、すつきりした姿に改めまして出面したいということになつたのでございます。
  21. 松永義雄

    松永義雄君 只今油井委員の御質問なつた最後の点ですが、復金にはいろいろ面倒なことがあつたというのはどういう面倒なことがあつたのですか。それが今度日本開発銀行になるとそういう面倒なことはなくなる。面倒なことというのは一体どういうことですか。
  22. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) このことはすでにもう世間で論議されておりますので多言を要しないのでございますが、復金融資等がいろいろ政治的事情等にからまりまして、復金貸出が純粋に事務的に行われない、こういう非難があつたわけでございます。
  23. 松永義雄

    松永義雄君 今度の開発銀行の目的として、あなたの言葉の解釈によれば純経済的にこれで進んで行こうという意味にとれるのですが、それはあなたのおつしやるように、そうなつて来れば、開発銀行が若しできた場合においては、そういう方針をとられることは別に当然のことであろうと思うのですが、そこで最初に戻りまして、前に油井委員質問されました十八條の一項第二号ですかの証券業者というのは一体どういうふかたですか。
  24. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) これは証券取引法によりまして、証券の売買、応募引受等について政府の免許を受けた者を中心として考えております。
  25. 松永義雄

    松永義雄君 そこにある証券業者応募、引受するに困難というのは、金額が多いとかいう意味の困難の意味か、それとも事業上のことから来る困難ですか、どういうのですか。
  26. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) 金額が多くて一般民間消化では全額消化し切れないという場合もございましよう。それから又社債になりますと、これは長期投資になりますので、そこで事業自体として長期亘つては採算も合い、不安もないものでございましても、差当つて民間資金長期投資をすることが好ましくないという意味のものもございましよう。それらを包括いたしまして、結局民間の普通の消化方法では消化し切れないもの、而もその事業の性質から見まして長期資金が必要である、こういうものについては社債応募の形で長期資金供給してよろしいというのでございます。
  27. 松永義雄

    松永義雄君 そこで問題になるのですが、開発銀行資金の出所に鑑みまして、復金の例を又繰返さないように新たにここに開発銀行作つて、そうして健全な途を歩んで行くという趣旨であろうかと思うのでありますが、その困難なものを引受けて一体果してそれがうまく行くかどうかという点が、前車の覆つたあとで再び私はそういう苦い経験をなめて、又それから国民負担を増すということは私どもとしては非常に憂うることであります。只今あなたのおつしやつたことは市中銀行では引受けられないようなものを開発銀行で引受けてやる、いろいろ証券会社が引受けられないものを引受けてやろう、これは市中銀行にとつては非常に御親切であるが、悪いことだけを引受けて、而もそれが国民負担になるという結論になる。いや決して復金のようなことは起らない、二度とはやらないのだ。又復金のようなことは断じて排撃して改めて行こう、おつしやることはいつでもそういうふうに、如何なる国会、議会においてもそういうことをいつでも政府言つておる。言つてつて、そうして法案ができたあとは実際はどこかと言つたら、又それは同じことだ。一体そういうものに対してはどういうふうに補償されて行かれるか。政府負担すると、こうおつしやるのですか、その点を一つ
  28. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) 復金の二の舞を演じませんようには十分の考慮をいたしておるつもりでございます。それから又この第十八條の二項には資金償還については、確実と認められるものでなければならないという規定を設けておるのであります。市中で引受けることが困難であるという意味は、市中ではそのようなあぶなくてとても手を出さないようなものを開発銀行が引受けるのだ、こういう意味ではないのであります。何分現在資本の蓄積が足りませんので、市中には長期資金が十分ございません。そこで市中では出したくても長期資金を出せないという場合が非常に多いのであります。それらを政府蓄積長期資金で賄つてやるということでございまして、この銀行が情実的な貸出をするとか、或いは不良貸になることもあえて覚悟して金融するということでは決してございません。
  29. 松永義雄

    松永義雄君 確実という文句なんですが、確実々々と言うけれども、昔御承知の通り郵便貯金についても問題が起きたことがある。それから濱口大蔵大臣ですか、あの内閣のときに、有利確実という言葉に改められたことをおぼろげながら記憶しておる。一体これは担保でもとつてやろうというのですか。社債なんか元は物上担保とかいうことがあつたが、これには法律的な意見があると思いますが、その担保関係は……。
  30. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) この貸付資金の融通が確実でなければならないということを法律規定しまして、銀行経営者にこれを遵守せしめるようにいたしておるのでございますが、従つて銀行経営者貸出をいたします場合には、償還が確実であるということを確保いたしますために万般の措置を講ずるわけでございまして、担保をとることもその中に入つて参ります。
  31. 松永義雄

    松永義雄君 第十八條の二項の社債ですね、これは銀行にあらざる直接工業会社なら工業会社発行する社債という意味ですか。
  32. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) そうでございます。
  33. 小串清一

    委員長小串清一君) ちよつと申上げますが、只今日本開発銀行のほかに資金運用部資金法案も併せて質疑を…やはり関係政府委員が大分出ておられますから、一方だけでなく、両法案の御質問をお願いしたいと思います。ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  34. 小串清一

    委員長小串清一君) 速記を始めて。今川町に議題といたしました資金運用部資金法案につきましては、このような修正提案共同一致で出そうとしておるのでありますが、一応案を朗読しましようか。
  35. 野溝勝

    野溝勝君 朗読しなくともよい。
  36. 小串清一

    委員長小串清一君) 同時に資金運用部資金法案施行に伴う関係法律整理に関する法律案というのが、これを修正すれば、やはりこの関係法令修正しなければならんので、この両方を同時に議題とすることにいたします。これは共同でこういう修正案を出す、こういうことにきまりました。
  37. 小串清一

    委員長小串清一君) それでは質疑を続行いたします。
  38. 野溝勝

    野溝勝君 あなたの共同提案決定、それについて実行を図るようにあなたのほうで努力することをしてもらいたいと思います。
  39. 小串清一

    委員長小串清一君) 無論この修正案に対しては各党は皆賛成のようですから……。
  40. 野溝勝

    野溝勝君 衆議院のほうでは修正はしておらないのですが、そういう点について参議院は会期も迫つてる際だから相当な努力をしなければならんと思います。
  41. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 今野溝君のお話のように時間もないですから、これはこの委員会から代表を挙げて、すぐGHQのほうへ了解を求めに行くようにお諮りになつたらどうですか。
  42. 小串清一

    委員長小串清一君) 油井君の御意見通りにしますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  43. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 その方法委員長に指名を御一任願います。
  44. 野溝勝

    野溝勝君 各党から一名ぐらいずつ出して行くようにしたら……。
  45. 小串清一

    委員長小串清一君) そうすると会議ができなくなつてしまう。一人か二人行けばいいのじやないかと思います。
  46. 野溝勝

    野溝勝君 社会党からは、御迷惑だが三輪君に一つ……。
  47. 小串清一

    委員長小串清一君) それでは社会党かち三輪君、民主党からは油井君、お二人のかたにお願いすることにいたします。
  48. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 自由党からも一人行つてもらわなければ都合が悪い。野党だけ来たからなんて言われると……。
  49. 野溝勝

    野溝勝君 共同提案だからいいでしよう。
  50. 小串清一

    委員長小串清一君) それでは自由党から黒田さんにお願いします。  それでは質問を続行します。
  51. 松永義雄

    松永義雄君 郵政省に、資金運用部資金法案に関連する法案について御質問をいたしたいと思うのでありますが、巷間伝うるところによりますと、この法案審議が延びるというといろいろの結果を生ずるということが伝えられているのであります。だから本法案はどうしても通さなければならん、今日中に通さなければならんということが強く主張せられて、その主張される自由党として挙げられていることについて、果してどういうものであるかどうかということをお伺いしたいと思うのであります。審議を促進するために、簡単に一つ質問いたしたいと思いますが、貯金利子支払いがどうなるか、預金部職員給料支払がどうなるか、及び金融債のことがどうなるかという点につきまして一つお伺いいたしたいと思います。
  52. 金丸徳重

    政府委員金丸徳重君) 貯金利子支払がこの資金運用部資金法案施行が遅れることによつて差支えが生ずるのではないかということの心配でありまするが、実際問題といたしましては預金者側利子支払ができないということは、余り長きに互つて延びます場合は別といたしまして、差向きは起らないと思います。その他の点につきましては私のほうの関係でございませんのでわかりません。
  53. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) 来年度の予算資金運用部として予算をとつてございますので、この法案通りませんで、預金部として継続いたしますならば、預金部としての予算一文もないということに相成ります。
  54. 松永義雄

    松永義雄君 預金部職員給料支払なんですが、全然できないということになるんですか。何とか暫定的にも一時凌ぎをつけて行くという方法がないのかどうか。
  55. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) 国会議決を経ました予算を遵守しなければならんということでございますれば、一文も出す途はないのであります。職員生活費を、その個人的な貸借関係で繋いで行くというようなことでありますれば、おのずから話は別であります。それからこの金融債発行につきましてもお尋ねがあつたのお答え洩らしたのでありますが、現在におきましては法律案についての司令部了承のほかに、予算その他の政府資金の出し入れにつきましては、計画を立てまして司令部了承を得ることになつておるのであります。そこで預金部資金につきましても、三月末までに資金運用部法案が通る、言い換えますれば預金部を改組するという前提の下に、ただ資金のほうは、できるだけ早く産業界に還元してもらいたいというこちらの要請に対しまして、只今申しました前提の下に十二月から金融債発行が認められておるのでございます。ところが今月になりましてもまだこの法案が原案のまま通過いたしませんので、資金につきましては当初の約束と異なるという理由を以ちまして、実は三月中の金融債発行計画預金部の引受けますもの約五十億は当初の計画に反しまして、これを実行いたさなかつたのであります。これらが、興業銀行を初めといたしまして資金計画に非常な齟齬を来たして、金融界では相当問題になつておることを申上げておきたいと思います。
  56. 松永義雄

    松永義雄君 預金部職員給料支払のことですけれども、仮にこれは非現業員共済組合というようなところで一時立替払というようなことは、要するに予算関係ないことでしよう。予算関係あるのですか。
  57. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) そういうような法的立場を離れて借金をいたしますことの適当かどうか、それらに対して又利子を払わなければならんかどうか、こういう問題が附随して参ります。私ども国会議決を経ました予算というものは嚴正にこれを守つて行くべきものであると考えておるのであります。
  58. 松永義雄

    松永義雄君 その先は水掛論になるかも知れませんが、予算関係があるかないか、非現業員共済組合において立替払とすることは……。
  59. 高橋俊英

    政府委員高橋俊英君) 予算といたしましては全然ございませんので、他から借入れるということになるわけであります。それは飽くまで公のものではございません。私的なものでございまして、個人が普通の銀行から金を借りる場合と何ら異なりませんで、共済組合ではありましても、誰がそこから借りるかと申しますと、これは国が、或いは特別会計が借りるということにはなりません。
  60. 松永義雄

    松永義雄君 金融債のほうは、これは了解を得ればできる建前建前はそうなつているのじやないですか。
  61. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) この政府資金金融債引受け等の支出につきましては、すべて了解を得なければならないことになつております。
  62. 松永義雄

    松永義雄君 つまりこの法案が通過する、通過しない、延びると延びないを問わず、了解を得ればできるということになつておる建前であるかどうか。
  63. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) この了解と申しますか、許可と申しまするか、それを得なければ出し得ないのでございまして、本件につきましてはこの了解が得られないのでございます。
  64. 野溝勝

    野溝勝君 二、三点お伺いしたいのですが、先ほどからお聞きしておると、銀行局長国会議決を尊重しておるということを盛んに言われるのですが、国会議決は、すでに第五国会において完全に各党意見が一致して議決をされたわけなんです。それによりまするというと、預金部資金につきましては従来の方針通りつてもらいたいという議決なんです。それをなぜ資金を運用するのに恒久的に統一しようというような御意思を持つに至つたかという点です。この点については成る筋からの勧告もあつたという点で、さような方向に向つているらしいのでございますが、いやしくも国会議決されたことを政府当局は、それを尊重して努力を払うべきものと思います。その点一体政府はどういうふうにその国会議決連合国に対して持つてつて話かけたかという点について一つお話を承わりたいと思います。
  65. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) この国会議決につきまして、両院の議決のありましたことは十分承知しております。それを取上げまして内閣の政策として事務的の進行を私どもは命ぜられましたときは、その線に沿うて努力しておつたわけであります。その後、今度はいろいろ来年度の予算に関連いたしまして、預金部の面はこういう方向で行こうというふうにきまりました以上、又その線に沿つてども努力しておる次第でございます。
  66. 野溝勝

    野溝勝君 事務局といたしましては内閣決定に基いて仕事をやる、作業をやるということについてはよくわかりました。併し政府国会議決の尊重をせずして、無視して勝手に閣議で以て国会議決以外の方向へやるような政策、方針につきましては私は賛成はできません。そしてこの問題は政治問題でございますから、いずれ大蔵大臣の来たところで私はこの審議を続けたいと思います。残余のことについては留保しておきます。
  67. 下條恭兵

    下條恭兵君 私は今日この委員会に代つて参りましたので、開発銀行法については第一回の審議の模様も存じませんし、なお又昨日予算委員会大蔵大臣に一応二、三のことを質問いたしましたので、その続きといたしまして銀行局長に二、三お尋ねしたいと思います。第一に私は銀行局長お尋ねいたしたいと思いますのは、昨日予算委員会でもいろいろ大蔵大臣お尋ねしたのでありますけれども、私のみならず他の委員からもお尋ねしたのでありますが、政府は経済立自三年計画というものを持つております。そしてこれは設備資金である以上、当然この設備資金といものは政府の策定している自立経済計画にマツチした方向資金が流れ出なければならぬと我々はこう考えるのでありますが、併しこの條文を見ましても、なお又大蔵大臣の昨日の答弁からいたしましても、この資金の運用に対しては全く市中銀行のやり方と同じように、開発銀行の首脳部に任せつきりにするのだということを言つておるのでありますが、銀行局長は事務的に見まして、そういう開発銀行の総裁以下の首脳部に全部任して、まあ何らの制約を加えない、我々考えれば当然造船にはどれくらいとか、或いは中小企業にはどれくらいというような大づかみの枠でも与えるべきだと思うのでありますが、そういうこともしないと大蔵大臣言つておられるのですが、そういう今意図しておられるようなやり方で、果して自立経済計画にマツチするようにこの資金が運用できるとお考えかどうか、事務的の立場からの見通しをお尋ねしたいと思います。
  68. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) 自立経済につきましては安定本部を中心にいたしまして政府として計画を持つているわけでございます。これを金融的な措置といたしましてどう実施するかということにつきましては、この資金の量から申しましても、まあ政府資金ばかりで実施するのではありませんで、民間資金をそちらのほうに使つて行くような指導などによりましてやつて行き、そこに足らざるところ、或いは重要なところは、政府直属の機関を使うとか、或いは政府資金を使うとかしてこれを補つて行くのでございまして、これが現在の経済組織の大きなあり方でございます。そこでこの開発銀行の業務のとり方ということにつきましては、先ほど申上げましたが、市中金融機関のやつて参りますことを補完する。その力の及ばざるところをこれを助けて行くという立場をとるわけでございます。従つてこの開発銀行だけにつきまして、これらの産業を助成するために各産業ごとにこれこれの資金を出す、こういう建前はとつておらないのでございます。そこでこの市中金融機関で賄つて行けますところは、何も政府特殊機関が発動するまでもなく、手を控えておることでございましよう。又民間資金計画のいろいろな変動によりまして、当初考えておらなかつたことも、是非これは開発銀行の発動が必要であるということになりますれば、この開発銀行融資をするということになるものと考えます。こうした意味におきまして、開発銀行としましては、政府の自立計画なり、或いは産業計画なりについて、その趣旨は十分尊重して行かなければならんと考えるのでございますが、併しこの銀行としては、産業別にどういう資金計画を立てるかということは、これはできない相談である。その情勢の推移に応じまして、時々刻々適正な業務を行なつて行くということが最も事情に即した行き方であろう、こういう構想を持つているのでございます。
  69. 下條恭兵

    下條恭兵君 そういう構想を伺うとなお更私は折角立つている自立計画と必ずしもマツチしないような政府計画が、例えば造船をどれだけ伸ばすとか、電源開発をどうするといつても、結果的に見ると折角の開発銀行資金がそういうほうに有効に使われるかどうかということに非常に我々は疑問を持つわけであります。資金の量から言えば、或いは僅かであるかも知れんが、併し現在の市中銀行長期資金貸出の量なんかを見れば殆んど問題になる所がないものなのでありますからして、この開発銀行一般がかけている期待は大きいと思うのでありますから、そういうようなことからも、私はどうもこれで行くと必ずしもうまく行かんように思うのでありますけれども、見解の相違でありましようから、この点はこれで打切りますが、第三條に「主たる事務所を東京都に置く。」とあつて、第二項に従たる事務所を必要な地に置くことができると書いてあるのでありますけれども、これは設備資金でありますからして、長期設備資金が必ずしも私は大企業に限るとは思いませんし、中小企業なんかでも当然、むしろ中小企業なんか却つて市中銀行で嫌うような設備資金もあるのじやないかと思うので、こういう事務所は全国方々に当然できるだろうと思うのでありますけれども、大体どれくらい設置されるお考えであるかお伺いしたい。
  70. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) 開発銀行の発足に当りましては、その資金量の関係もあり、融資対象も初めから非常に広範囲に亘るということも考えられませんので、差当つて従たる事務所は大阪、名古屋、福岡等の地域に置かれると思いますが、その他は今後の情勢に応じて実情に即した地域にこの従たる事務所を置きたいと思います。これが第三條の三項の趣旨であります。
  71. 下條恭兵

    下條恭兵君 大阪、名古屋、福岡、まあ当然日本経済の今の実情からして御尤ものように思いますが、東北のほうとか、北海道のほうには全然計画はないのですか、当面の問題として…。
  72. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) 大体置かれるに間違のないという確実な所だけを申上げておるのでございまして、その他の地域につきましては、銀行のできました後考究いたしたいと考えております。
  73. 下條恭兵

    下條恭兵君 例えば大阪或いは名古屋とかいいますと、相当或いは東京よりもこの産業的な規模からいうと大きいのじやないかと思うくらいですから、当然こういう所の支店長というか、どういうことになりますか知りませんが、こういう従たる事務所の首脳部というのは、理事が当るとかなんとかいう計画のようでありますがそういう点を一つ……。
  74. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) それらの点につきましては、銀行ができました後、経営者が最も能率よく且つ責任態勢がはつきりするようにきめらるべき問題だと考えておるのでございまして、政府としては腹案を持つておるわけではございません。
  75. 下條恭兵

    下條恭兵君 大体支店のできる場所は考えているけれども、そういうスタツフについては考えておらないと言つておられるのですが、この法案を見ると、理事以下は総裁が任命することになつておるようですから、知らんと言われれば御尤もとも考えられるのですが、何かそういうことではなく、当然この法案の立案に当つては事務当局としてお考えになつていたはずだと思うのですが、実際には大阪とか名古屋とか或いは福岡とかいえば、当然役員なり理事が行つておるようになるだろうと私は常識としてそういうように考えるのですが、そういう点もお考えになつたことがあるかどうか、その点を……。
  76. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) 主要支店には役員なり、支店長を置くのが大銀行の通例になつております。開発銀行としましても或いはそうなるかとも考えますけれども政府からこれを特に強制するというようなことは考えておらないのでございまして、まあ銀行として経営のやりやすいようにやるべきであろうという考えなのでございます。
  77. 下條恭兵

    下條恭兵君 私がお尋ねしましたのは、その次の第十條に役員の定数がありますので、これに関連すると思つて先ずお尋ねしたのでありますが、総裁、副総裁のほかに理事が七名以内とありますけれども、これが支店がまあ七つでも十でもできて、いずれも理事が行つて支店長を勤めるというようなことになりますと、理事というものは全部地方に出ておつて、本店には総裁と副総裁しかいないというようなことになつて来て、役員の数がこれじや非常に不足だという感じがするのですが、こういう点については考えたことがおありかどうか。
  78. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) 七名以内としまして相当のゆとりを取つておつたつもりでございますが、若し足りないというようなことでありますれば、まあ法律改正も決してやぶさかではございません。
  79. 下條恭兵

    下條恭兵君 先ほど松永委員質問に対して銀行局長が、曾つて復金が云々と言つたのでありますが、曾つて復金がいろいろ問題を起したことは我々も承知しております。あの制度自体に欠陷があつたこともこれ又世間周知の事実でありますけれども、この條文に従つて行くというと、そうして今の政府のほうが一切市中銀行的に、開発銀行の首脳部に運用を任して行くということになりますると、これは非常に強大な権限になりまして、又今まで復金で起つた弊害の逆の弊害、つまり政治的な貸出なんかが非常に大規模に行われるような疑いが大いにあると私は思うのであります。そういう意味からしまして、私は理事の数が少いのじやないかとか、或いは支店の支店長はどうなるかということをお尋ねしておるのでありますが、こういう点に対して銀行局長は、将来そういう危険が絶対ないとお考えになるかどうかという点を伺います。
  80. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) 復金の場合は審議会がございまして、それを通じて各方面からいろいろの注文もあつた、それらが或る程度実現せられまして、まあ結局融資に対する責任の帰属というものがはつきりしなかつたということが一番の欠点であつたろうと思うのであります。それで今度は経営者に全責任を負わせるということにいたしました。私は復金に比べましてこのほうがよりよろしいと、こういう確信を持つておる次第であります。それからまあ復金の運営につきましてもいろいろの考えてやるべき余地があつたと思うのでありまして、戦後世相も混沌としておつた状態に仕事をしておつたのでありますが、現在は世相も安定して参りましたので、開発銀行の重役に業務を委しましても世間の監視というものが嚴然として存する、決して無軌道に思惟の趣くままに融資をするという弊害はあり得ないものと考えております。
  81. 下條恭兵

    下條恭兵君 こういう極く少数のこの法律のままで仮に通過するとしますと、総裁、副総裁一、二の人たちによつて決定される。而もこれが日本の金融界において、設備資金の上においては圧倒的な勢力を持つて来るのではないかと私は想像いたしますが、そういう場合に、何よりも経済の民主化が叫ばれ、金融の民主化が叫ばれる際に、少数独裁制をとるような考え方には一般国民の将来の融資、この融資長期資金であつて、いずれも設備資金であつて将来の見通しに立つて貸出のみをやる場合ですから、まあ神様のような総裁が現われて来れば別ですが、そうでないと住々に政治的な圧力が加わりがちであると私考えます。而も圧力が加わりましても私が今申しましたようにちよつと設備資金というのは、運転資金のように短期間に結末が現われないので却つて逃げ道があると思いますので、こういう点に対して国民大衆から疑惑を持たれないような、而も責任は明確で、復金の弊害を除くような責任の所在だけは飽くまで明確であるべきであります。併し暗い影をまとわないような政府資金を出すからにはそういう制度が私は望ましいと思うので、何か総裁独裁制に多少の明朗性を加えるような措置を考える必要がありはしないかと思うのでありますが、そういう立場からの御研究をおやりになつたことがあるかどうかお尋ねします。
  82. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) 開発銀行の役員が独裁になつてはいけませんし、又狭い視野からだけ経営するということがあつては適当でございませんので、特に開発銀行につきましては参与という制度も設けまして、大体産業人等からこれに当てまして、総裁に対する意見具申の機関とした次第でございます。更に開発銀行の経営の実際問題といたしましては、開発銀行関係各官庁等々と緊密な連絡をとつてその意向を尊重して行くということは実際問題としてやるべきであろうと思うのであります。又監督官庁といたしましても、そういうようなことに指導はして参りたいと思うのでございます。それらの実際の運行等は別といたしまして、責任態勢をはつきりいたすということが銀行の経営をむしろ明朗ならしめるものであろうという考えを持つておるのでございます。
  83. 下條恭兵

    下條恭兵君 責任態勢を明確にするということに対しては、これは戦時金融から、復興金融金庫の先例に鑑みて必要なことでありますから言うまでもないことでありますが、併し又少数独裁態勢をとりますと、私が今指摘しましたような疑惑を世間から受けることは事実であります。「参与を五人以内置く」と書いてありますが、日本の全産業設備資金を賄つて行くというわけで、当初のスタートのときは、どうあつても将来の日本の長期資金のこれは総本山になるものと考えられるのでありますが、そういう所に五人以内の民間人を、どういう人をお選びになるか知りませんが、五人以内で十分であるかどうか。その点私は疑問に思つておりますが、今銀行局長は、各役所に開発銀行のほうからこれは相談して来るであろうということをいつておりますが、こんな相談して来ることを待つような消極的なやり方をやらないで、なぜこの参与の中に各経済省から事務次官なり何なりの参与を加えるということをお考えにならなかつたのかどうかということをお尋ねします。
  84. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) 役所の者が相当権威ある地位に就きまして有力な発言をするということは、これは又よし悪しのあることでございまして、審議会の制度をとらなかつたゆえんもそういうところにあるわけでございます。この参与の数も又非常に多くなりますと、日本において各種の委員会の制度等が実際有名無実に終つておるという事例もございますので、本当に人材を極く少数相談役として任命することのほうがより適切であると考えたわけであります。その他につきましては、開発銀行の運営につきましては、先ほども申上げましたように行政当局或いはその他といろいろの連絡をとらして、独善的にならんように実際問題として指導して行くということが一番効果があろうと考えておる次第であります。
  85. 下條恭兵

    下條恭兵君 私は何よりもこういう政府資金貸出なんというものは、国民大衆が疑惑を持たざるように明朗に扱う必要があると思うので、そういう意味からすれば、私はそういう各官庁の内面指導というようなことは、却つて暗い印象を与えてまずいと思いますけれども、これは問題は別としまして、これは銀行局長お尋ねするよりもあと大臣お尋ねすべきであると考えるのでありますけれども、これほど重要な、絶大なる権限を持つ総裁の任命を、総理大臣の任命にして国会の承認を得ることにしなかつた理由はどういうところにあるか。事務当局として立案の際にどういうふうにお考えになつたか、この点を政府委員お尋ねします。
  86. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) 現在は他の制度についても同様なんでございますけれども、三権分立と申しますか、立法機関と行政面とは画然と区別するという建前をとつておるのであります。そこでまあこの総裁の任命は行政面に属しますので、総理大臣の任命だけとした次第でございますので、御了承願いたいと思います。
  87. 松永義雄

    松永義雄君 ちよつと簡単ですが、第一條に「一般金融機関が行う金融を補完し、」という文句があるのですが、それから第十八條第三号に、「銀行その他の金融機関貸付に係る開発資金の返済に必要な資金を貸し付け、」、こういうことになつておるのですが、これは市中銀行にばかり幸いするような規定のように感じられますが、どうでしようか。
  88. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) 第一條の趣旨は、決して一般金融機関の救済というような意味ではございませんので、こういうふうに一般金融機関のやりますことの足らないところを補うとか、或いはこの開発銀行が開いておりますと、一般金融機関におきましても仕事がやりよくなるというふとを狙いとしておるものでございます。
  89. 松永義雄

    松永義雄君 第十八條第三号の「銀符その他の金融機関貸付」になつておるのは、過去に貸付けたところの、その金の返済に借人が困つた場合にその金を貸してやるという規定なんですか。
  90. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) 一般金融機関で金をもつと貸したくとも、先ほど申しましたような事情で十分に金を出すことができないような場合、その足らない分だけを開発銀行が補うという趣旨でございます。
  91. 松永義雄

    松永義雄君 そうすると第三号は貸し増しというようなことになるのですか。
  92. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) 必ずしも貸し増しだけを考えているわけではございません。
  93. 松永義雄

    松永義雄君 そうするとすでに貸出してある金の返済のために金を貸すということに……貸し増しばかりでないとおつしやることは、すでに貸してあつた金に対する返済に対して開発銀行から金を貸してやるということになると思うのですが、若しそうなるとすれば、なぜそういうことをしなければならないかということを聞きたい。
  94. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) 現在では開発銀行がございませんと、市中金融機関ですでに貸出していることが重荷になつて、その他の活動ができないという場合があるわけであります。それには先ほど申上げました市中銀行としての資産分析その他の問題も出て来ると思います。そういう際にこの市中金融機関が重荷となつているような貸出は、これを開発銀行が引受けますならば、市中銀行はその重荷から解放されましてもつとほかの活動ができる。こういう場合もあるかと思います。さればといつてこれは第二項にございますように、市中金融、そのいわゆる開発銀行に肩代りいたします資金の融通につきましても、現在市中金融機関のもてあましているものを引受けてやる、回収について不安が出ているものも救済的に引受けてやるということではないのでございます。
  95. 松永義雄

    松永義雄君 銀行局長答弁はかなり論に合わない詭弁的な内容を含んでいると思いますが、重荷になつているものをその荷を軽くしてやるということは、先ほど私の申しましたこの法律市中銀行が幸いすることになるのではないかということを聞いている。矛盾するのですが、どうですか。
  96. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) これを事業会社の側から見ますると、市中銀行から多額の長期資金の借入れをしている。これを社債に振替えてやります。社債消化は現在のところでは一般から余り期待できませんで、開発銀行がするということでありますれば、事業会社も非常に助かり、市中金融機関の長期貸出しもこれも解消されるというような利便があるわけであります。
  97. 松永義雄

    松永義雄君 それじや私の聞いていることをちよつと申上げておきます。市中銀行貸出をし過ぎてしまつて、そうして困り拔いて、そんな所に貸すのじやなかつた、今になつて気がついても、余り貸出が過ぎて弱つている何とかしてやらなければいけない、そういうところへこの法律がはまつて来て、そうして我々国民負担しているこの金を市中銀行に廻すということが世間で伝えられている。私はあなたがそうではないと言うにきまつているから返答を聞く必要はないが、だから先ほど復金という問題にについて下條委員からもお尋ねがあつた、その貸出については非常に心配なところがある。復金貸出しをする場合に放漫を極めたために、そのために今日我々はインフレーシヨンによつてどのくらい生活に難澁しておるかということはお話通りである。すでに復金において国民がここに非常な負担をいたしておる。インフレぐらい悪い税金はないということは、これはよく皮肉な文句として言われておることだ。すでにそうした銀行貸出によつて国民が非常に難澁しておるのに、更にこういう法律案を出してそうして市中銀行が経済の見通しを誤つたから、そのいづれを問わず貸出し過ぎてしまつて、これが若し曝露されたらどんなことになるかということになつて、それでそれをこつちへ、この開発銀行へ押付けるというような噂が立つておる。我々はだから先ほどからここから出す金は間違いなくやつて行けるか、君は先ほど確実々々と、確実という字は辞書を引いても確実というやはり答えが必ず出て来る。長期資金だから長い先の金は市中銀行だけでいけないのを、ここで引受けているのだとおつしやられるでしよう。そこで更に先ほど下條委員お尋ねなつた文句ですが、何もあなたのことを言うのじやないですが、この頃大蔵省は全く金融ブローカーの市場であるかのような感じがする、こういう噂すら、私は事実じやないと思うが、世間にそういう言葉すら起つておるということを非常を遺憾とするのですが、一体その金融機関の金を貸すのに、自分の力で自分の責任において貸せばいいのに、それが内部指示だとか、何というか、そういうことは避けたいから今度は参与を設けるのだ、こういう文句を引用していられるのであるが、実際今まで行われておる。昨日、一昨日までの瞬間に至るまで、この法案が通過するまでには実際こんなことをやつていて果していいのかということを我々は聞いておる。法案を作る人はこの法文はいい法文だ、立派な條文であるとお考えになつてお作りになるかも知れんが、併しこれを実際運用する人がその当を得なかつたり、その法案が適当でないということになると又もや国民に迷惑をかける、そういうことは一度ならず二度ならず聞いておる。あなたにその覚悟如何ということを聞いてもしようがないのですが、ただその心配をしておるということを申上げて置きます。
  98. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) 肩替り規定がありますが、肩替りは全部銀行救済の好ましくないものであるというふうにきめて頂きますことはいささか迷惑なのでありまして、この新規の貸出につきましても、いけないものはいけないのでありまして、それで開発銀行も当然なすべき仕事をしなければならないので、救済的な金融、或いは情実的な金融になつてはいけないということは、この法案の上においても実際の指導の上においても固く戒しめておるところであります。肩替りはいかん、肩替り銀行の救済になるのだというような仰せでありますけれども肩替りすることによつて事業会社も非常に好都合のことがある。又商業銀行におきましても、その持つております長期貸出肩替りをしてもらえば、長期資金によつて得ましたところ資金を本来の業務の短期金融に廻すことができる、これは経済界のために非常に望ましいことであります。そういうような経済界のためによい結果をもたらしますような場合に限つてこの開発銀行は新規融資し又肩替りする、こういうふうに運営さして行く考えであるわけであります。
  99. 小串清一

    委員長小串清一君) それでは午後一時まで休憩することにいたします。    午後零時二十五分休憩    —————・—————    午後一時五十四分開会
  100. 小串清一

    委員長小串清一君) それではこれより午前に引続き開会をいたします。  税理士法案衆議院送付の案について予備審査をいたします。発議者の衆議院議員三宅則義君の発言を求めます。
  101. 三宅則義

    衆議院議員(三宅則義君) 私は衆議院議員の三宅則義でございます。本日議題になりましたる税理士法案提案理由の説明をさせて頂きます。衆議院におきましては、川野芳滿、三宅則義、宮幡靖、宮腰喜助、松尾トシ子、いわゆる自由党、民主党、社会党各派共同提案でございまして、この趣旨に則りまして、今回の税理士法案に対しましての提案の理由を御説明いたしまするから、何とぞ御審議のほどをお願いいたします。  御承知の通り、現行税務代理士法は昭和十七年に制定せられまして、税務代理士は所得税、法人税等の租税に関しまして納税者の代理等の業務を行なつて参りましたが、戦後申告納税制度及び青色申告制度等が実施せられまして、租税制度に根本的な改正がありまして、税務代理士の職責はますます重加し、その素質の向上を図る必要が強く要望せられているわけであります。右の要請に基きまして新たに試験制度及び登録制度を採用して、人格及び能力ともに適切な人材が納税者の代理等の業務に当り、納税者の信頼と国家の期待に答えて租税負担の適正化を図りつ申告納税制度の適切な発展に資せしめることする等のため、現行税務代理士法を廃止としまして、税理士法を制定することといたしたいと存ずる次第であります。以下本法案の概要を簡単に説明いたします。  先ず税務代理士の名称を税理士と改称することといたしました。税理士の取扱う業務は、現行代理士の業務である国税に関する税務代理及び税務書類の作成並びに税務相談のほか、新たに市町村民税、附加価値税等に関する事務を追加しました。改正法におきましては、税理士として業務を行うためには、現行のせん衡による許可制度を廃止して、原則として試験による登録制度に改め税理士の水準の向上を図りたいと考えたのであります。そこで税理士となる資格を有する者としては、先す弁護士、公認会計士が適当であると考えられ、これに加えまして税理士試験に合格した者及び税理士試験における全科目の試験の免除を受けた者であり、税務又は会計につき二年以上の実務経験を有する者が適当であると考えたのであります。併し無能力者であること、刑罰又は懲戒処分等を受けてから一定年数を経過しないこと等の欠格條項に該当する者は税理士となる資格がないことにしてあります。税理士試験は新制大学卒業者、税務又は会計に一定の年数以上の経験を有する者その他これらに匹敵する学識又は実務経験を有する者を受験資格者とし、税法のうち三科目と、会計学のうち二科目とについて実務の応用能力に重点を置く試験を行うこととしました。なお相当の学識又は経験のある者には、試験科目の一部を免除することとしました。試験は、国税庁におかれる税理士試験委員が公正、適実に行うことにしています。  税理士となる資格を有する者が税理士となり、その業務に従事しようとするときは、税理士名簿に登録を受け、税理士証票の交付を受けることといたました。この場合において、一定の登録拒否事由に該当し税理士業務を行うことについて公正な税務専門職業家として適当でないと考えられる者は、この登録を受けることができません。  税理士業務が納税者の利害に及ぼす影響は重大でありますので、以上のように、税理士となる者は人格、能力ともに適当とされる人に限り、且つその権利義務についても明確にして置くことが必要であると考えられるのであります。そこで税務職員は、税理士が青色申告者を代理する権限を与えられたことをあらかじめ書面を以て申出たときは、その代理する事項に関しまして、その納税者について調査をするために通知するときは、同時にその旨を税理士にも通知し、又協議団の協議官は、税理士が納税者を代理する権限を与えられたことをあらかじめ書面を以て申し出たときは、その代理する事項について協議するときは、税理士に意見を述べる機会を与えることとしました。その他現行税務代理士法に定める義務のほか、秘密保持の義務、信用保持の義務等を加えると共に、税務職員であつた税理士は、その公務員として職務士取扱つた事件については業務を行なつてはならず、又税理士がその業務について受ける報酬は国税庁長官が定める最高限を超えてはならないこととしました。  以上のように税理士の職責の重要性に鑑み、税理士は国税庁長官の監督に服することとし、国税庁長官は税理士が真正の事実に反して税理代理を行つた場合、脱税相談をした場合その他税理士の義務に違反した場合等には戒告、一年以内の業務の停止又は登録の取消の懲戒処分をすることができ、この懲戒処分を受けて異議のある者は大蔵大臣に訴願することができることといたしました。  次に現行の全員加入制の税務代理士会は、その組織を変更して任意加入脱退制の民法第三十四條の社団法人たる税理士会となることができることといたしました。税理士会は、税理士法に基く税理士の義務の遵守及び税理士業務の改善進歩に資するため会員の指導及び連絡に関する事務を行い、又税理士会は同じ目的のため民法第三十四條の社団法人たる税理士会連合会を組織することができることとしました。  最後に新法施行の際の税務代理士は、税理士試験を受けることなく登録を申請することができることとし、業務を続行できるよう考慮いたしました。  以上本法案の概要を御説明申上げました。  税務代理等を行う専門職業家の活動が申告納税制度の発展と税務行政の円滑化に及ぼす影響の重大性に鑑み本法案の速かな成立を希つてやまないものであります。何とぞ御審議の上賛成されますよう切望する次第であります。  甚だ御多忙中恐縮でありまするが、何とぞくれぐれも速かに御審議あらんことを重ねてお願い申上げます。
  102. 松永義雄

    松永義雄君 若し時間がございましたらその時間だけ質問して見たいと思うのですが、何かほかの議案について御進行にたるなら遠慮してもいいのですが。
  103. 愛知揆一

    ○愛知揆一君 ちよつと議事進行について。他にも衆議院から送付された案件があるようでありますから、その提案理由の御説明を願いまして、それから質問に入ることにいたしたいと思います。   —————————————
  104. 小串清一

    委員長小串清一君) 今愛知委員の言われたように更に西村代議士からの相互銀行法案についての提案理由の御説明があるそうですから、これは先ずこの程度にしまして、この相互銀行法案提案理由の御説明を願いましよう。
  105. 西村直己

    衆議院議員(西村直己君) 衆議院の西村直己代議士でございます。只今議題となりました相互銀行法案は、自由党国民民主党、社会党共同提案でございまして、発議者代表が事故がございましたので、私代つて提案理由を御説明申上げます。  我が国における産業構成上、中小企業の占める地位が極めて重大であつて、これに対する適切な金融施策の必要が痛感せられておることは申すまでもないところであります。従来中小金融対策として預金部資金、見返資金等の政府資金の導入、商工組合中央金庫の活用等の諸方策が講ぜられ、相当の効果を上げていることが認められるのでありまして、我々は今後これらの施策がますます拡充強化せられんことを強く要望する次第であります。併しながら中小金融対策の真の根幹をなすものは、この分野における民間金融機関による自主的且つ積極的な金融活動の育成強化にあることは申すまでもないところであります。然るに一般金融機関としての普通銀行は、その商業銀行的性格のため中小金融に重点をおいてその業務を運営することは困難であつて、むしろ無盡会社等のいわゆる庶民金融機関が中小金融機関として大きな役害を果している現状であることは周知の通りであります。よつて我々はこの際我が国における中小金融機関の体系を整備し、中小金融専門機関の制度を確立し、以て中小金融施策の強力な支柱となすことが刻下の急務と信ずるのであります。  本法案はこの趣旨に基き普通銀行の制度とは別に中小企業者のための金融機関として、且つ国民大衆のための貯蓄機関として相互銀行という新制度を確立せんとするものでありますが、その内容の概要は次の通りであります。  相互銀行は地方的に国民大衆の相互金融を主たる業務とし、大衆的な貯蓄機関たる性格を有する銀行であります。その業務としては預金の受入、資金貸付を行うものでありますが、特に大衆の貯蓄の便益とその金融の円滑化に資するため、従来無盡会社によつて採用されて来た月掛、日掛等による掛金方式を取入れてその業務の中心とすると共に、貯蓄性預金の吸収にその特色を発揮せしめることといたしたのであります。なおその性格上債券発行、為替業務等は行わないこととして普通銀行との差異を明らかにするほか、一人に対する大口信用の集中を禁止し、中小金融に專念せしめると共に、営業区域について制限を設け、資金の地方還元の趣旨を明確に致すこととしております。  次に、相互銀行は以上のごとく普通銀行と異なる性格の銀行でありますが、その規模内容等につきまして普通銀行に準ずる資金及び運営の健全性を確保し、その監督の適正を期し、以て預金者等の保護の万全を期することといたしているのであります。  以上、本法律案提案趣旨並びにその概要を申述べた次第でありますが、何とぞ御審議の上速に御賛成あらんことを望みます。   —————————————
  106. 小串清一

    委員長小串清一君) 只今相互銀行法案提案の御説明を願いましたが、次にこの納税貯蓄組合法案につきまして、提案者の奥村代議士の提案理由の説明を伺いたいと思います。
  107. 奧村又十郎

    衆議院議員(奧村又十郎君) 衆議院議員の奧村又十郎でございます。只今議題となりました納税貯蓄組合法案につきましてその提案の理由を説明いたします。  租税制度に関しましては、国民負担の軽減合理化を図るために、昨年以来引続き改正が行われているところでありますが、現在なお巨額の滞納を生じている状況にありまして、かかる状態を今後も引続き放置いたしますことは、税務行政の運用上看過することのできない重要問題であると考えられるのであります。ここにおきまして、あらかじめ滞納の発生を防止し堅実な納税が行われるよう特段の努力をいたさなければならないと痛感する次第であります。よつて今回政府において提案されている徴税制度の合理化の措置と相待つて、現在すでに存在するような納税貯蓄団体に一定の基準を与え、且つ若干の助成措置を講じてその活動を活溌ならしめることを適当と認め、ここに本法案を提出いたした次第であります。以下本法案の概要を簡単に説明いたします。  先ず本法は、飽くまでも納税者が自発的に且つ自由な形態で納税貯蓄のための団体を結成することを期待しておりますので、これら団体のうち税務官公署に対してその規約を届出たもののみをその対象としておりまして、然らざるものにつきましては関与しないのであります。併しながら右の届出をしないものは、本法による納税貯蓄組合と認めないこととし、助成の措置を講じないのであります。  次に納税貯蓄組合は、一定の地域又は勤務先を単位として組織されるべきものとしておりまして、又組合員の加入脱退を制限又は強制し、或いは組合員に対して監督権を行使することを排除することにより、自由にして民主的な組織たるべきことを保証いたしますと共に、組合の地位を利用して課税に関与することを禁じている次第であります。  而して組合の業務は、納税資金の貯蓄の斡旋その他その貯蓄事務に限られ、且つ貯蓄は必ず組合員別の口座によつてなすべきものとし、理事者等がその資金を不当に運用し或いは資金が亡失する等の弊害をなからしめることとしておるのであります。  次にこの組合を通じて行なつた預貯金を納税に充てる場合の利子に対する所得税及び当該預金通帳等に対する印紙税はこれを課さないこととするとともに、組合の事務費の実費を補償する意味において国及び地方公共団体が補助金を交付し得ることとして、その助成の途を講じておる次第であります。  以上が本法案の概要でありますが、本法が強く国民各層の支持を得て、納税貯蓄組合が活溌に結成せられ、納税を容易且つ簡易ならしめることにより、我が国の財政経済の基礎を一層堅実にする上に多大の貢献がなされることを期待してやまない次第あります。御審議の上何とぞ速かに賛成されるよう切望する次第であります。
  108. 小串清一

    委員長小串清一君) 只今の御提案についての御質疑をお願いいたします。
  109. 松永義雄

    松永義雄君 奥村君に質問いたします。この組合で、月賦なら月賦で納税貯蓄をした場合に、その金は組合が預つているのですか、どこへ持つてつて預けるのですか。
  110. 奧村又十郎

    衆議院議員(奧村又十郎君) お答えいたします。これは提案理由の説明にも申上げましたように、組合員別の口座に預けることになつております。組合に預けるということは絶対にないことになると思います。
  111. 松永義雄

    松永義雄君 組合員別に預けるのはいいのですが、預け先はどういう所ですか。
  112. 奧村又十郎

    衆議院議員(奧村又十郎君) 預け先はこの法律にも規定してありますが、指定金融機関に預けるということになつております。指定金融機関及び郵便貯金に預けるということになつてります。
  113. 松永義雄

    松永義雄君 指定金融機関というと、それはこの法文に書いてあるのですか。
  114. 奧村又十郎

    衆議院議員(奧村又十郎君) これは法第二條の二項に、銀行、無盡会社、信用協同組合、農業協同組合、漁業協同組合又は水産加工業協同組合になつております。
  115. 松永義雄

    松永義雄君 その金が納税者から金融機関に移るまでの手続というか、その金の歩き方はどういうふうになるのですか。
  116. 奧村又十郎

    衆議院議員(奧村又十郎君) 大体具体的に申上げますと、組合の事務員が納税者のお家から、その組合員別の通帳と、納税資金になるお金とを預りまして、金融機関まで持つてつて預け入れて、その通帳に預け入れた金額を記入してもらつて、そうしてそれを又持つてつて納税者のお手許へ渡す、それまでのお手伝いをする、そういうことになつておると思います。
  117. 松永義雄

    松永義雄君 そうしますと事務員が使い込んだ場合には税金は納つたことになるんですかならないのですか。
  118. 奧村又十郎

    衆議院議員(奧村又十郎君) この事務員が使い込んだ場合には、これは事務員対納税者の関係、つまり民法上の関係になると思います。
  119. 松永義雄

    松永義雄君 甚だ済まないんですけれども、そこへ非常に大きな問題が存在しているということなんです。それから三宅さんに、速記なしでもいいんですけれども、別に喧嘩するわけじやないんです。
  120. 小串清一

    委員長小串清一君) この案は衆議院では各派共同提案ですでに通過をしているのでございますが、何かもう少しお尋ねが……。
  121. 松永義雄

    松永義雄君 それだから御質問いたします。大変結構な法文なんですが、これは主税局とはどういう関係になりましたか。
  122. 三宅則義

    衆議院議員(三宅則義君) この案は我々立法するときに主税局とも打合せ、国税庁とも打合せまして十分活発の活動のできますように善処したいというわけです。今まで実はあつた税務代理士法は戦時中に、昭和十七年にできたのでありまして、戦時色濃厚でありまして、今度税制がいわゆる申告制度によりました結果もつと進歩いたしました、大幅に改良せられました税務代理士法案というわけで今回立案したのでありまして、関係当局とも十分打合せを了している次第でございます。
  123. 松永義雄

    松永義雄君 日本弁護士連合会から税務代理士改正案要綱(主税局案)意見書というものが配付されておるんですが、この意見書に書いてある意見と、ここに提案されている法文との関係はどういうふうになつておりますか。
  124. 三宅則義

    衆議院議員(三宅則義君) 只今お話意見書を大分入れてありまするが、多少違う所がございまするが、一応本案に対しましては弁護士さんや公認会計士さんは登録をしてやつて頂くということになりまして、登録は国税庁に登録をしまして、登録を了しました者はいわゆるシヤウプ勧告案によりまして、自由に税務代理ができる、こういうふうに進歩いたしたように改善いたしたつもりであります。
  125. 松永義雄

    松永義雄君 只今申上げました意見書の第二項、改正案に対するここに意見というものがあるのですが、そこに記載されてある要綱と、ここに提出になつている法案とはどういうふうな内容に立つておるんですか。速記がないほうがいいと思うのですが……。
  126. 小串清一

    委員長小串清一君) 速記をとめて。    〔速記中止
  127. 小串清一

    委員長小串清一君) 速記を始めて下さい。如何でしようか。この納税貯蓄組合法案質疑は盡きたものと認めて直ちに討論に入ることに御異議ありませんか。    〔「異議なしと」呼ぶ者あり〕
  128. 小串清一

    委員長小串清一君) 御異議ないと認めます。それでは直ちに討論に入ります。御意見のおありのかたはそれぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。
  129. 松永義雄

    松永義雄君 私は納税貯蓄組合法案に対しては賛成いたします。  但し先ほど奥村議員から説明を承わりまして、ここに危険があるということを指摘しておいたのでありますが、私の極めて短い間の僅かな経験でありますけれども、使い込みが出たために税務署のほうから差押えが来るということを聞いたのです。それで結果において刑事問題になつて、そうして公判廷に廻ることはそれは処置として当然なことでありますが、それだからといつて再び金を出さなければならんということになることは、納税者としてはそうでなくともこの法案が苦しい中から月々貯めて行こうという精神と逆の結果になつて非常に苦しむことになつておる。その点を一つ気を付けて頂きたいし、それから主税局長さんにお願いしておきたいのですが、そういう場合は差押えは勿論のこと、納期に遅れたために利息がかかつて来る、滞納利息というかそういうものがかかつて来て、そうでなくても二重払いの上に又利息が溜つて来て、苦しいからこそこういう所に入るのですから、だからそういうことになるというと非常に苦しみを増して来る。結局納めるものは納められないし、納めるためにこういう所に入つて来たために却つて結果において大きな苦しみをしなければならないということになる虞れがあるので、そういう例が一、二にとどまらないのです。だからこういう法案をお通しになつて補助金が出るが、そうしてその組合の理事者がいいことをすると却つて逆のことになるという虞れがある。ですからそういうことを一つ十分胸に置いておいて頂きまして、国税庁の関係かも知れませんが、そういう場合には利息も取らないし、納期の点についても十分酌量してやつて頂くということを強く私は切望して賛成いたします。
  130. 小串清一

    委員長小串清一君) 他に御意見もないようでございますから、討論は終局したものと認めてよろしうございますか。   (「異議なし」と呼ぶ者あり)
  131. 小串清一

    委員長小串清一君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。納税貯蓄組合法案衆議院提出の案に対して御賛成の諸君の御挙手を願います。    〔総員挙手〕
  132. 小串清一

    委員長小串清一君) 全会一致と認めます。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお先ほど御決定になりました法案について、本会議における委員長の口頭報告の内容は本院規則第百四條によつて、あらかじめ多数意見者の承認を経なければならないことになつておりますが、これは委員長において本法案の内容、本委員会における質疑応答の要旨、討論の要旨及び表決の結果を報告することとして御承認を願うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  133. 小串清一

    委員長小串清一君) 御異議ないと認めます。なお報告書に多数意見者の署名を附することになつておりますから、本案に御賛成のかたは順次御署名をお願いいたします。  多数意見者署名       野溝  勝  片岡 文重       三輪 貞治  松永 義雄       小林 政夫  杉山 昌作       大矢半次郎  森 八三一       愛知 揆一  黒田 英雄       岡崎 真一   —————————————
  134. 小串清一

    委員長小串清一君) 相互銀行法案についてなお御質疑のおありのかたは御質疑を願います。これは予備審査であります。御質疑もございませんようですから質疑は終了したものと認めて質疑を打切ります。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  135. 小串清一

    委員長小串清一君) 御異議ないと認めます。  次は税理士法案でありますが、これについても余り質疑もないようですが、質疑を打切りまして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  136. 小串清一

    委員長小串清一君) 御異議ないと認めます。それでは質疑を打切ります。暫時休憩いたします。    午後二時二十八分休憩    —————・—————    午後三時二十五分開会
  137. 小串清一

    委員長小串清一君) 休憩前に引続きましてこれより会議を続行いたします。  信用金庫法案及び同施行法案、右発議者水田衆議院議員より提案理由の御説明を願います。
  138. 水田三喜男

    衆議院議員(水田三喜男君) 只今議題となりました信用金庫法案及び信用金庫法施行法案につきまして、その提案の理由を御説明いたします。  最近中小企業金融はとみにその重要性を増加しつつあり、信用協同組合は、中小企業者に対する金融機関として目ざましい活動を示しておるのでありますが、信用協同組合の根拠法である中小企業等協同組合法は、一般事業協同組合と信用協同組合とを共に自由放任的色彩を以て律しており、金融機関としての組織監督等に関し殆んど配慮せられていない現状にあるのであります。よつてこの際信用協同組合のほかに同じく出資組織による信用金庫の制を度設けて中小金融機関としての体系を確立し、その活動を促進することにより国民大衆のために金融の円滑を図り併せてその貯蓄の増強に資すると共に、金融業務の公共性に鑑がみ、その監督の適正を期し、信用の維持と預金者等の保護に資するため信用金庫法を制定すると共に信用金庫法施行法を制定して現在の信用協同組合のうち的確なものについては信用金庫に転換せしめ、他方転換しないものの監督について所要の改正を加えることが必要となつたのであります。  以上の趣旨によりまして本法律案提案した次第であります。何とぞ御審議の上速かに御賛成あらんことを御願いいたします。
  139. 小串清一

    委員長小串清一君) 御質疑ありませんか。
  140. 松永義雄

    松永義雄君 速記を抜いて御意見を申上げたいのですけれども
  141. 小串清一

    委員長小串清一君) 速記をとめて。    〔速記中止
  142. 小串清一

    委員長小串清一君) 速記を始めて。先ず日本開発銀行法案審議いたします。
  143. 野溝勝

    野溝勝君 細かいことを銀行局長さんからお聞きします。この銀行法でございますが、趣旨はよくわかるのですけれども、午前中の油井君の質問の中にもありました通り、この趣意からいたしますと、これは前の復金の内容と違わんと思うのですが、ただこの銀行の特徴というのは、市中銀行で扱えないようなものを多く扱うというのがこの法案の特徴らしいのですが、一体長期金融ならば勧業銀行興業銀行あたりで扱えるし、それからあえてこういうものを作るよりは、興業銀行をもつと性格的に改組すれば、それでできることだと思うのですが、これには何か深い意図がおありなんですか。
  144. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) 長期資金専門的な融資機関といたしまして、曾つて興業銀行、勧業銀行があつたわけでございますが、戦後両行はこれを普通銀行に改組いたしました。従来特殊銀行と称せられておつた性格を失つたのでございます。ところがこの長期資金供給等につきましては、特に市中金融機関の担当しがたいもの、これについて興業銀行、勧業銀行をもう一度特殊銀行に直したらいいではないかという御意見もあるわけであります。併しこれはこの両行は普通銀行に転換いたしました。これを特殊銀行に復元せしめますことについても又法律規定も要り、又それにつきましては銀行の意向を無視して強制的に昔の特殊銀行に直すということも如何かと考えられるわけであります。そこで現在この興銀勧銀等につきましては、この市中一般金融機関として専ら長期融資に重点を置いた業務を営ませるという指導をいたして行きたいのでございますが、この長期資金蓄積の足りません現在においては、それだけでは足りませんので、ここで政府の背景のある新らしい特殊機関を作り、これを助けしめようというのが狙いでございます。
  145. 野溝勝

    野溝勝君 先ほど舟山さんは同僚の質問に対して、この開発銀行は性格は大体復金と似たものだというようなお話がございましたが、ここで示されたる目的の第一條ですが、この内容を見ますると、経済の再建及び産業の開発を促進するということになつておるのでありますが、経済の再建、産業の開発の対象となるべきものとはどういうものかお聞かせ願いたいと思います。
  146. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) 再三申上げますように、この銀行は、長期資金が現在非常に緊切されておりますのに、市中金融機関では賄い切れませんので、これを補足をして供給しようというのでございます。而して長期資金をどういう方面で要求しておるかと申しますと、各方面であることと考えますが、特に日本経済の再建、産業の開発上必要な産業は、俗に言われております基幹産業、即ち電力とか海運とか、或いは石製とか鉄鋼とか、こういう産業につきまして特に大口の長期資金が必要とせられておるのでございます。そこでこれらは大口でもありますしいたします関係で、市中金融機関からは十分に潤沢にこれが供給をなし得ない悩みがございますので、この両行の趣意といたしましては、先ずこういう方面の産業に重点が置かれることはけだし当然かと考えます。併しこれらの産業だけに限るという意味ではございません。市中金融機関の賄い切れないものは開発銀行でできるだけの面倒を見て行かせたいというふうに考えておるのでございます。
  147. 野溝勝

    野溝勝君 そうなると先ほど局長の言われた復金と性格が大体似ておるという点については、少し違つて来るんではないかと思います。尤も復金自体におきましても金融を付けるときは大体大口を対象にしておりましたが、今度の開発銀行は大口のみの経済再建なり、産業の開発というものを指導しておるものであるか、そういう点が非常に不明なんです。先ほど同僚下條君の質問の際に、中小企業のほうもこれを含めておるかということに対しては明確な答弁がなかつたわけです。そこで私の解釈では、日本開発銀行長期資金供給を行うことにより、経済の再建及び産業の開発を促進するということを謳つておりますが、これは何も大口の大産業、巨大産業のみが経済の再建をやつておるわけでは私はないと思います。あなたの今の御意見だと、結局巨大なる産業資本閥の経済再建、産業の開発をせしめる、こうすればはつきりして来るのですが、その点が明確を欠いておりますので、一つ舟山さんの御見解をお聞きして置きたいと思います。
  148. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) 復興金融金庫の目的といたしておりますところと、この開発銀行の目的といたしておりますところとは、法律上の字句は似たり寄つたりでございます。併し復金におきましては戦後ほかの金融機関等の機能が著しく低下いたしまして、その保有する資金も枯渇いたしました。そこで経済復興のためには相当広範囲な業務を営まなければならなかつたのでございますが、最近におきましては経済界、金融界も安定いたしまして、他の金融機関がそれぞれ機能を復活いたしました。従つてこういう際に政府機関が徒らに無用に出しやばるということは好ましくございませんので、市中金融機関に先ずできるだけの努力をさせましても足らざるところがありますので、それをこの開発銀行が補うという建前にいたしたのでございます。そうして中小金融方面はこの開発銀行は担当しないかということでございますが、そういうことは考えておりません。開発銀行の資力等によりまして、都合が付きますればそちらの方面へも融資は何ら妨げないのでございますが、只今申しましたようにいろいろ制度を整つてつておりますので、この開発銀行はその資力との関係から見ましてもその重点はそれらの産業に向けられるであろう、こういう意味を申上げたのであります。
  149. 野溝勝

    野溝勝君 そうすると結局市中銀行で賄えないようなものをこの銀行で賄つて行くということですが、そうすると市中銀行のほうで、例えば賄えないというのは額が大き過ぎて賄えないのか、或いは貸借の條件が整わないで賄えないのか、そういうことは一体どういうふうに考えられておるのですか。例えば市中銀行が額が大き過ぎて賄えないのか、貸借の條件が整わないのか、その点を一つお聞きいたしたい。
  150. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) 市中金融機関との間に條件の折合いが付かないので、この銀行が特殊の條件を以て資金供給するというのではございません。市中では出し得る金であるけれども、額が大き過ぎて市中金融機関の負担に耐え得ないもの、或いは市中金融機関としては貸付長期に亘り過ぎまして、その本来の性格から見て適当でないもの、これらが開発銀行に廻されて来るわけであります。
  151. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 議事進行について。大蔵大臣は先ほどから見えられるような話であるけれども、一向見えないのですが、これは相当重大なんです。
  152. 小串清一

    委員長小串清一君) それはたびたび催促をしておりますが、今予算案が採決になるので、それが済んだら来ると、こういうのですが。
  153. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 いつ頃になりますか。
  154. 小串清一

    委員長小串清一君) もうすぐです。
  155. 野溝勝

    野溝勝君 それではその点は局長さんのお話では、大体大口を対象にして行くということと、長期ということが特長だということで、その点はそれで私は打切つて次に移ります。  次は役員の点でございますが、我々は金融の民主化を戦後においては説いておるわけであります。ところがこの規定を見ますると非常に独裁性を持つておる。総裁の権限によつて理事も監事も任命することができるし、職員も総裁の勝手だ、かようなことは、一体金融の民主化という点について政府が盛んに強調されておりますが、かようなことが民主化の裏付けになるのですか、ちよつとお聞きしたいのですが。
  156. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) この銀行は全額政府出資でございます。それでいわば政府は株主的な立場にも立つわけであります。こういうような政府機関につきまして役員を政府任命にするということは決して不当なことではないと考えます。
  157. 野溝勝

    野溝勝君 そうすると先ほどあなたがお話なつた内容からいたしますると、誤解が起るのですが、と申しますのは、復金は大体審議会というものを設けてやつて来た。これも政府出資が多かつたわけです。更に日本銀行ども審議会を設けてやつておるわけです。それと一体この銀行との性格はどういうふうに違うのですか。
  158. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) 審議会を設けますことは、復金の場合においてはいろいろの弊害もありましたので、同じような性格の銀行でありますけれども審議会を今回は置かないことにしたわけであります。
  159. 野溝勝

    野溝勝君 審議会を置く置かんというのは、私の聞くのは審議会を置くというのは、大体これは民主化の線に副わせようという意図でああした制度を置いたと思うのです。又そういう答弁であります。然るにこれのみが審議会を置かなんで、総裁の自由意思によつてやれるというような内容になつておることは、どうす金融の円滑を期する上において非常にまずいのじやないかと思うのです。そういう点で政府は日本銀行あたりのような、ああした国営的な銀行には審議会を置き、これも一種の国営的な銀行ですが、これには独裁性を認めるというのは、政府金融政策が一致をしておらんように思いますが、こういう点はどういうふうにお考えになつておられるのですか。
  160. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) この銀行審議会の代りに参与の制度を置きまして、理事者が単に狭い見解からこの銀行の運用をすることを是正しようとしておるわけでございます。
  161. 野溝勝

    野溝勝君 この参与を置くことは、それはわかつておりますが、この参与はただ意見を述べることができる。併しその意見を述べる場合は、これは総裁が任命をするから、いわば家来みたいなものですな、さようなものは普通の諮問機関のような権限はないと思います。それは又別個に規約外権限を示されるのですか。
  162. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) この参与について明確な職務権限の規定もありますので、その意見でありまして理事者が採るべきものは採る。併し経営の最終の責任は理事者がとる、こういう建前が一番銀行の経営上望ましいと考えたのでございます。
  163. 野溝勝

    野溝勝君 私はこの開発銀行法案を一日二日前に手がけたところでよくわからんのですが、この法文から見ますると参与というものは「日本開発銀行の業務に関する重要事項について意見を述べ、又は日本開発銀行の業務に関し、総裁に対して随時意見を述べることができる。」という以外には法文上には何ら示されておらないのですが、別に規約といつても法文の精神を歪曲するような規約はできませんから、大体この精神に副つたものでしようね。
  164. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) 参与は諮問機関であるということをはつきりさしておりまして、それ以上に出るものではございません。
  165. 野溝勝

    野溝勝君 それでは次に移ります。次にお聞きしたいことは第十八條ところでございますが、「経済の再建及び産業の開発に寄与する設備(船舶及び車両を含む。)の取得、改良又は補修(補修にあつては、当該設備に価値の増加をもたらすものに限る。)に必要な資金(以下本項中「開発資金」という。)で銀行その他の金融機関から供給を受けることが困難なものを貸し付けること。」、そうすると資金で「銀行その他の金融機関から供給を受けることが困難」ということになりますると、ただ大口という、長期というだけでなくて、ここで言う「供給を受けることが困難なもの」という意味はどういう意味を織り込んでいるんですか、この点をお聞きして置きたいと思います。
  166. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) この十八條は次の第二項と併せて御覧願いたいのでありますが、銀行が回収上懸念があるから供給が困難であるといつたようなものをこの銀行が引受けるといつた趣旨ではないのでございます。銀行としてはその資金は十分出したいけれども、量が多過ぎて到底負担に堪え得ないもの、或いはその銀行の性格上そういうような長期資金は出したいのであるけれども出しにくいもの、こういうようなものを開発銀行が助けて代りに出して行く、こういう趣旨でございます。
  167. 野溝勝

    野溝勝君 そこで「社債証券業者等が応募又は引受けをすることが困難なもの」、この社債並びにその応募の困難という意味も、あなたの言われる意味では、これは量という意味に解釈してよろしうございますか。
  168. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) 量の場合もありまするし、又質の場合もあると思います。
  169. 野溝勝

    野溝勝君 次にお聞きして置きたいことは、第二十二條の点につきまして「日本開発銀行は、第一條に掲げる目的にかんがみ、その業務の運営により、銀行その他の金融機関と競争してはならない。」、ここで言う競争してはならないというのは、第一條の目的の面だけを出して言われておるようでございますが、一條以外は競争してもいいということになるのですか。
  170. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) この競争の点は、一條のほかにもいろいろ出で来ると思います。例えば利率その他の條件について、他の金融機関とせり合つて、これを借手のほうに融資するということをしてはいけない、そういうことも出て参ります。それから他の一般銀行がやる資金貸出す意図がある場合、それを突きのけてこの銀行が出て参る、こういうこともしてはいけない、いろいろの意味が含まれて参ります。
  171. 野溝勝

    野溝勝君 どうもいろいろの意味が私にはわからないのですが、そのいろいろの意味から非常に問題を起すのですから、そういう点をはつきりしておかなければならんのですが、ただそれだけでは私は理解ができないのですね。ここで特に法文が第一條に掲げておるだけを謳つておる、ほかのことは差支えないように見られるのですから、特にこれだけを謳つておいて、ほかに野放しにしておくというのは、何か癖があるように見られるのですが、こういう点は一つ舟山さん、私は開発銀行の精神には賛成なんですけれども、そういう点を明らかにしておかんと、又二の舞いを起してはいかんような考えを持つておるのでお聞きしておくのですが、この点どういうふうに考えますか。
  172. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) 二十二條は「第一條に掲げる目的にかんがみ」とあるのでありまして、この第一條に掲げておりますことを更にはつきりさす意味において、その意味を敷衍して規定が設けられる、こう御解釈頂いて結構でございます。
  173. 野溝勝

    野溝勝君 第二十八條ところで聞きたいのですが、「日本開発銀行は、予算作成後に生じた避けることのできない事由により必要がある場合に限り、追加予算を作成し、これを大蔵大臣に提出することができる。」、予算作成後に生じた避けることのできないというのは、例えばどういうことを意味しているのですか。
  174. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) これは一般の会計の規定におきまして、予算は飽くまで見積りでありまして、それで足りないために事業の運営が不可能ではいけないので、先ず予備費を設けますが、なおそれでも足りない場合には、追加予算を作成し得ることにするのが一般の例でございます。その一般の例に従いまして、それ以外に特殊の意味はございません。
  175. 野溝勝

    野溝勝君 もうあと数点でありますがこれは省略して大臣の来たときにお伺いすることにいたしまして、大体この案の貫く、ところの精神はよくわかるのでございますが、どうもこの総裁の専制に任せるというような点が却つて私は問題を起す危険性があると思うのです。そういう点を非常に私は強く感じておるので、今各條文に亘つて疑問の点をお聞きしますが、そういう点について政府が十分なる監督をやるということにはなつておりますけれども、併しそのようなことがこういうふうな総裁の独裁制でやつておりますとなかなかできないものでございます。特に舟山局長はそこまで政府が深入りをしてはいかんからというようなことをたびたび答弁しておる、こういう点から見ても、私はこの政府大臣の監督がどの程度まで行き届くかということについては、非常に本法案に対して内容について検討して、これは疑問だと思います。これは大臣のほうに一つお聞きすることにいたしまして、この点は大臣が来ましてから……。
  176. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 この見返資金関係でこの銀行へ百億を出すけれども、見返資金勘定はそうなるとどういうふうになるんです。百億減つただけになつて行くということになれば、大きく見ても金融全体にはただ片一方にあるものが一方に移つたという形になりはしないのですか。
  177. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) 見返資金はこの二十六年度の経済再建費から出すのでございますが、一括この銀行に出資されますと、爾後の投資はこの銀行と申しますか、日本側のほうで任意に取扱い得ることとなるのでございまして、資金の運用について多大の機動性を持ち得るという危険性があるわけでございます。
  178. 小串清一

    委員長小串清一君) 大蔵大臣が見えましたから、大臣質問をなさるかたはそれを先にします。預金部運用資金法についても御質問願います。
  179. 松永義雄

    松永義雄君 これは大臣でなくても結構ですからお答え願いたいと思います。資金運用部資金総額の三分の一を超えてはならないというのは、この三分の一というのはどういうのですか。
  180. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) これは私からお答え申上げますが、預金部資金は国債、地方債への投資、これに重点をおきますので、金融債の引受につきましては一定の限度を画しておる、一つには資金の用途を適正ならしめる、一つには危険分散に役立つ……。
  181. 松永義雄

    松永義雄君 三分の一というのはどういうのですか。資金運用部資金の総額の三分の一を超えてはならないというのですか、これは全部の金ですか。
  182. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) 預金部は今度資金運用部資金となりますが、その総額の三分の一以上は金融債に出してはいけないという趣旨でございます。
  183. 松永義雄

    松永義雄君 そうしますと、資金運用部資金にすでに貸しておる金も含めて、仮に幾つなら幾つあるとその三分の一になるいうことになるですか。
  184. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) 資金運用部資金の総額の三分の一であります。
  185. 松永義雄

    松永義雄君 そうなると極めて重大なんですが、資金運用部資金の総額の三分の一を金融債の方へ廻わしてもかまわないということになりますと、むしろ金融債に応ずるときに、間違いなく応じられるのでしようけれども、併し過去における銀行の経緯を見ますると、銀行であれば必ず確実だということは言い得ないのであります。それでこうした預金部の金を三分の一まで廻すということは非常な危険があると思うのですが、詳しい過去の経緯はこれは長くなりますから省きまして、何もかも御存じのこととして一つ大蔵大臣にそういう危険がないのかどうかということをお伺いしておきたいと思います。
  186. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 最高限をきめております。最高限三分の一ということになつているのであります。従いまして今預金部としては二千億余りであると思います。本年は二百億円、来年度四百億円出しますと、二千億のまだ三分の一にならないが、六百億でありますから、最高限三分の一以内になるわけでありまして、こういう意味であります。
  187. 松永義雄

    松永義雄君 これは前々からこの委員会で御質問いたし御答弁を得ておるのでありまして、重ねて聞くこともないのですが、併し大臣から特に私は伺つておきたいと思うのであります。御承知の通り昭和四、五年頃のあの金融恐慌のときに預金者がどれくらい血眼で各銀行を廻つて歩いたか、あの事実というものは我々貧乏人からいうとおかしいような、気の毒なような気がいたしたのでありますが、とにかく日本を再建しようというので各事業家、国民つてこれに対して一生懸命になることには異議はないのでありますけれども、それだからといつて、この預金部の金を三分の一まで廻して、そうしてこれを銀行に預けて、そうして銀行がそれをそれぞれ事業会社投資をする、そうして銀行だから間違いなく必ず回収がつくというのは普通の常識でありますけれども、併し過去のあの重大な経験というもので銀行すらもあぶないということを我々は感じられるのであります。今のあの郵便貯金、簡易保険というものは命から二番目のものでありまして、その金がそうした銀行の、危険を潜ぐるような所へ融通するということはどうかと思うのでありまするが、その点一つお伺いいたしたいと思います。
  188. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 昔のように国債をどんどん発行するのではございません。地方債はよく出ているが、預金部で集まつた金の三分の一ぐらいを銀行への貸付と申しますか、正確に言えば金融債の引受でございますが、これくらいは適当だと思います。お話のように万が一、そういうことは絶対にないと思いますが、若し赤字がこれに出るようなことがあつたらば、これは法文の上にも出ておつたと思いますが、一般会計から補填いたしたいと思います。
  189. 松永義雄

    松永義雄君 そういうことも前々かや聞いておるわけでありますけれども、御承知の通りに今の経済のやり方を以てしてどういう結果になるかということは今予想しないほうがいいと思いますが、併し万一の場合に政府一般会計からこれを補償するということになつておる、こうおつしやるのですが、併しあのような現象が起きたときに、税金を納める、そうして一般会計から預金者のほうへ補償をするというようなことが果してそれは可能なことでしようか、どうでしようか。
  190. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) いろいろ御心配のようでございますが、私は心配いたしておりません。この金融債発行勧銀或いは興銀或いは農中、商工中金からいたしておりまして、そういうものを預金で引受けることになりますが、私はああいう銀行発行した金融債が恐慌になるというようなことは毛頭考えていないのであります。若しあつたらどうかということは、私はないと思いますからこれは見解の相違だと思います。
  191. 松永義雄

    松永義雄君 これは妙な言い方かも知れませんが、簡易保険にしたつて、預金にしたつて、郵便貯金にしたつて、それぞれの考えで以て保険料を納めたり預金をしておると思いますが、私個人の感覚から言うと、実際は利息なんというものを考えて郵便局に金を持つてつておるわけではなく、郵便局へ持つて行けば、必ず回収がつく、間違いないのだという考えを以て我々はやつておるのであります。然るに銀行だとか或いは信用組合といつたようなものは、工業恐慌とか或いは農村恐慌によつて支払停止をやつている。だが郵便局は確実であるから郵便局へ金を預けたらいいのだ、利息なんかはともかく、元金が戻るということにおいて確実であるからと、こう申して我々は説いて廻り、我々自身も国のためということは第二といたしまして、そうして預金部に金を集めて来た。然るにこれは三分の一の金を金融債に廻せば、これはうまく行けば金が入つて来るでありましようが、それだけ危険性が多いのであります。それをまあ一般会計から補償すればいいのじやないかということになりますが、税金というものは一体どの層が一番余計納めておるかということから思い合せると、我々汗水たらして集めた金が、万一間違つた場合には、国民の大多数、勤労大衆から納めておる税金からこれは補償したらと、それじや貧乏人から取つた税金を以て補償したらいいじやないかと、そうしてこれを利用しておる層はどういう層かというと、これは申すまでもない。一体そういう考えは間違つておるでしようかどうでしようか。
  192. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 私は金融債資金運用部が引受けましても、それが駄目になるというようなことは予想いたしておりません。そして金融債の引受につきましては、やはり産業の開発、経済の自立の面に必要な引受を各層に願うわけであります。
  193. 松永義雄

    松永義雄君 それはこういう案を出されたときは、せいぜい練られて相当深いお考えで出されたと思います。併し現にここへ出ている日本開発銀行は復興金融金庫の後始末ということが今日の前に出ている。それはここで間違つたということをおつしやるわけでもないし、間違つておるかも知れんということを私は聞こうともしない。間違つていないとおしやるのが当然と存ずるのであります。ただ後日これがどういうことになるかということが判断されなければならん問題になるのであります。それはどういう基礎から問題になつて来るかというと、こういうような事実が過去にあつたかないかということが一つの例として出て来る。それは金融公庫と復金と今の日本開発銀行の問題、これははつきり私はここに歴史の一頁として書いてもらいたいと希望して終ります。
  194. 小串清一

    委員長小串清一君) 他に御質問ございませんか。
  195. 小林政夫

    ○小林政夫君 第三十七條に「日本開発銀行は、資金の借入をしてはならない。」と、こうございますが、どういうわけで借入れをしてはならないという規定を、特に條文を置かなければならないのであるかお伺いします。
  196. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) これは日本開発銀行政府の出資ばかりでなく、債券発行も、或いは借入した借入金で資金源を求めたらどうかという議論はあるのであります。これは一応将来の問題といたしまして、只今ところでは債券発行も、借入金をせずに、百億円だけで出発して行こう、こういうわけであります。これは議論のあるところでありまするが、一応こういうことにしたのであります。
  197. 小林政夫

    ○小林政夫君 本銀行の重要使命に鑑みて私は速かにこういう制度を撤廃して、できるだけ多くの資金をこれに集中されるように、特に将来のコンマーシヤルベースに則つた外資等の導入の場合、こういう銀行を中心として考えるというようなことも考えられるじやないかという意味において、この制限規定はないほうがいいのじやないか。まあ差当つて該当事項がないからということで、こういう條文を設けられたという趣旨でありましようが、不必要な制限だと思うのです。
  198. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 御意見は承わつておきまするが、只今ところは借入の制度を認めずに行つたほうがいいのではないか。将来の問題としては考えたいと思います。
  199. 小串清一

    委員長小串清一君) ほかに質問はありませんか。
  200. 野溝勝

    野溝勝君 最初資金運用部資金法案について二、三大臣からお聞きしておきます。先ほど松永君からも御質問がありました通り、零細な預金者に又還元するような趣旨でできておるところの従来の取扱方について、今度はこれを改めて大蔵省でこれを統一強化しよう、こういう狙いのようでありますけれども、一体国会議決をしたものをどうしてそういうふうにしなければならんのか。この点を一つ先ず大臣に聞いておきたいと思います。
  201. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 今回の資金運用部資金法案におきましては、只今お話がございましたように、零細な資金を預つておるのだから、その資金資金運用部をこしらえて、そこに信託し、そして確実な方面に融資しなければいかん、こういう向うからのサゼツシヨンもありますし、私も当初は国会の決議によりまして、予算も郵政省のほうに組むようにいたしておつたのでありますが、予算編成上、関係方面との話合いでいろいろ検討いたしますると、国会の決議はございましたが、只今ところこういうようにいたすのが適当であるという結論に到達いたしたのであります。
  202. 野溝勝

    野溝勝君 大臣答弁では、自分は最初そういう気持努力した、努力したが、連合国側からの意見もあつて、さような取扱方にした、こういう御意見のようでありますが、先ほどのお話を聞くと、従来の零細者の方面に対する融資もやつて行くというお話でございますが、この法案を貫く内容から見ますると、社債などの引受もやるということになつておりますし、その他大企業の方面の資金融資どもやるように見えております。例えば社債の引受、株式投資まで飛躍している、更に資源開発ということまでも考えておるようなんです。そうすると結局その資金というものは、私は従来の地方公共団体或いはその他農村方面の融資よりは枠をずつと狭めちれると思うのです。こういう点に対してあなたの見解では、さようなことはないというような先ほどの意思表示でありますけれども、結局私は一定の量しか……限界があると思うのです。そういう点から見ると、この法案によると結局は大衆の不利になるように思うのです。そういう点はあなたはどういうふうにお考えになつておりますか。
  203. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 野溝さんは、資金運用部資金法案の御質問でございますか。
  204. 野溝勝

    野溝勝君 ええ、そうでございます。
  205. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 資金運用部で株式の引受なんかは考えておりません。金融債の、いわゆる銀行発行いたしまする金融債の引受を、一定の枠で引受けるこういうわけでございます。株式なんかの引受は全然考えておりません。
  206. 野溝勝

    野溝勝君 いや、それはよろしゆうございます。株式は引受けなくても、他の金融債を引受けるについてもやはり私はそういう内容が含まれると思う。併し従来よりは枠がだんだん狭められて来ると思うのです。そういう点に対してあなたはどういうふうに考えておられるか。
  207. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 御承知の通りに昨年の十一月までは金融債の引受が認められなかつたのであります。預金部には相当アイドル・マネーがある。あれを使わないかということが、国会その他にも議論が相当あつた。そこでこの際何とかして金融債の引受をいたし、金不足の産業界預金部の金を出さなければいかんというところから出発したのであります。金融債を引受けるということになると、資金運用部資金特別会計作つて、そうしてそこで運営し、これには政府一般会計で赤字が出たら補償する。とにかく大衆の金は絶対大丈夫だという制度を一応置いて、そうしてやるべきじやないかということに相成つたので、こうなつたのであります。それでは金融債はどれだけ引受けるかということになりますと、これは郵便貯金その他の資金源の増によつてやりますが、本年度におきましては十二月二十億円、一月、二月で百三十億円を引受けました。三月に五十億円の金融債の引受を予定いたしておつたのでありますが、この法案が通らないと、その引受は認められない、こういうので、三月の五十億円は未だに引受できない、こういうことに相成つておるのであります。而して金融債を引受けます場合におきましては、只今ところ勧銀興銀、農林中金、器工中金、一部北海道拓殖銀行金融債を引受けておる。大産業のほうには興銀勧銀の分が割合に行つております。農林中金或いは商工中金の金融債につきましては、中小企業或いは農村方面に流れておるのであります。
  208. 小串清一

    委員長小串清一君) ちよつと今大臣は……予算委員長から要求があつて、もう大臣をよこしてもらわなければ困ると言うのですが。
  209. 野溝勝

    野溝勝君 それは困るのです。開発銀行質問質問としてさせなければ……、権威ある委員会じやないか。そういうことは……。
  210. 小串清一

    委員長小串清一君) それじやおやりなさい。
  211. 野溝勝

    野溝勝君 私の心配しておるのは、例えば輸出銀行にしても開発銀行にしても、大体巨大なる産業方面に向ける大口資金予算政府は非常に御熱心である。ところがこういう零細なる資金関係を持つておる機関に対しましては、大体において金融独占の抑圧をする傾向にあるのです。あなたがたはそういう考えでおらないでも、結果はまあそういうように見受けられるのです。そこで特に心配されておるのは、中小企業の方面或いは農村方面に対する資金融通の点も努力はされておりますが、巨大なる産業方面に対する資金融通の量というものとは殆んど問題になりません。こういう点から特に地方におきましては、せめても最後の一銭をこの簡易保険等の資金に頼ろうという気持を持つておるわけなんです。こういう考え方でおるのであつて、そこで結局あなたがどういうような御答弁をされようとも、この資金一応預金部において統一されることは事実でございます。そこで統一をするということになりまするならば、結局従来の地方に還元をしたような量が全部行くわけには行かんと思うのです。そういう点からこれは非常に心配しておるのでございます。あなたのほうでは、あえてそういう大衆が心配をしておるのに、一部の声があるからといつて、この資金を権限で統一するというような考え方は、例えば連合国から話があつても、第五国会においてはこういう決議をされた。人民の意思であるからどうもこの点については一つ考えてもらいたいという御努力ぐらいはあなたは当然払われたと思うし、又さような場合において意見が一致しない場合は、更に又国会において意思表示を決定にならなければ、かような法案を出すことは、むしろ私は国会を軽く見ておるような傾向にあるのではないかと思う。これは向うからどういうサゼツシヨンがあつても、その点は特に池田大蔵大臣は強硬に頑張らなければならん問題だと思う。そういう点に対する見解並びに交渉に対するいきさつなどについても、この際一つお話を願いたいと、こう思つております。
  212. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 今までの預金部の金資の運用と、今回御審議を願いますあれにつきましては、地方債の関係その他については同じでございます。実質的には太平洋戦争中に統合いたしまして、預金部の郵便貯金その他簡易保険、郵便年金、この資金を統合いたしまして運用いたしておるのであります。で、昨年と違いますのは、昨年の十二月以後は復金債の引受をやることかそれだけ業務が殖えたわけです。今まででもこの簡易保険のほうから直接に一般の人に貸出をするということはしていなかつたのです。而して関係方面との折衝につきましては、この前大蔵郵政連合委員会で御説明申上げたいろいろな予算編成上、又金融債引受けの制度を確立する上においては、こういうふうなことをやつたら適当であるという趣旨がございましたので、それに従つたのであります。
  213. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 委員長ちよつとお諮り願いたいのは、実はこの資金運用部資金法案についてGHQに行かなくてはならない件があり、すぐ向うから電話をかければいいことになつておりますが、大蔵大臣が見えておりますので、簡単ですからほんのちよつと質問さして頂きたいと思います。
  214. 小串清一

    委員長小串清一君) どうぞ。
  215. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 大臣にお伺いしたい点は、この開発銀行資金が見返資金から百億出されておりますが、先ほど銀行局長の説明によりますと、見返資金では何か使途を定めるにもむずかしいような話があつて、この開発銀行になれば非常に簡単に処理されて行くであろうというようなことがあつたのですが、やはりそういうふうに見返資金では運営するということむずかしいことに現在もなつているのですか。
  216. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) この私企業に対しまする見返資金融資につきましては、各関係省に申出がありまして、安本で計画をし、そうして大蔵省がそれを審査の上で閣議にかけまして、そうして個々の会社に幾ら幾らということを関係面方に解除申請を出して、そうして向うから承認が来てから金を貸出すという非常に煩瑣な手続に相成つておることは油井さんも御承知と思います。従いまして我々はこういうことはできるだけ簡素にして行つて、我々独自の考え方で行くべきだという気持で、そうして開発銀行をこしらえる。これも一つの表立つた理由ではございませんで、非常に簡便になるということが言い得ると思うのであります。
  217. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 その点はわかりましたが、見返資金から折角百億このほうへ移しても、あとの見返資金のほうが増額の途がないということになりますと、何んにもならないのではないかという点も懸念されるのですが、将来見返資金についての相当増額というようなことは見込まれるのですか。
  218. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 見返資金の増額ということは、見返資金からの出資の増額の意味でございましようね。
  219. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 見返資金そのものです。
  220. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 見返資金そのものは御承知の通り、アメリカの援助資金、援助物資を国内に売払いまして、そうしてその金を積んでおるのでございますから、アメリカの対日援助物資が来なくなりますと、この資金というものは、資金源が枯渇して、そうして貸付金並びにその利子の回収だけしかなくなつて来るのであります。
  221. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 次に、この大体百億円と復金からの回収金が三十億円、百三十億が二十六年度で用途に使われるようでありますが、この用途については、大蔵大臣はすでにもう方針をお立てになつていると思うのです。そういう点をこの規定の中に盛込まれておるように見受けられるのですが、大体どういつたような程度のものについて重点を置くか、その方針をここでお示し願いたい。
  222. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 用途につきましては、私は腹案を持つておりません。開発銀行の総裁が重役会議でおきめになることで、ただ今までの見返資金から出ている例から見ますと、鉄綱とか、石炭とか、或いは繊維関係、化学薬品、染料或いは又水産物の高度利用、こういう各方面に出ているのでありまして、私は経済自立、産業開発という点から考えて、一般市中銀行貸出を躊躇するというような場合に、回収が確実であればこれが乗り出して行く、こう考えておるのであります。おのずからやはり経済の自立、産業の開発に必要な点は誰が考えても同じでありまするが、我々といたしましては、とにかくこの法案趣旨に鑑みまして適当に総裁がおきめになると考えておるのであります。併し大蔵大臣一般監督権を持つておりまするから、或る程度のこちらの意向は言うことはありますけれども、命令はしないのであります。
  223. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 今の点なんですが、もう開発銀行は来月下旬あたりを以て発足いたすとすれば、相当に見通しが付かなくてはなるまいと思うのです。その点が我々にとつて一番懸念される点でありますが、殊に見返資金であれば相当厳重な規制があつて、いろいろの方面からの目が通るのでありますが、この開発銀行でございますというと、全く役員の考え一つで以てどういうふうにでも運営されるということになると、又復金の二の舞のような事件などが起きることを懸念されるのではないかと思うのです。そういう点についての、大臣として将来の監督行政というようなものの御見解を承わりたい。
  224. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 他の機会にもそういう質問があつたのでありまするが、戦時金融金庫、これは軍の発注のものについて金を出す、復興金融金庫は役員が相当入つてつて、その運用について論議した。私はこういうことよりも、やはり立派な人を選んで、そうして重役陣で適当にきめて行くのが産業の開発に適当だ、こういう信念の下に、委員会等を設けずにやつて行こうという考えを持つておるのであります。
  225. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 もう一点、今朝の新聞で百五十億を預金部資金から国債償還に振向けるということが発表になつておりますが、つい三、四前に大臣は、二十五年度においては、国債償還は絶対やらんというお話をこの大蔵委員会でなされるのですが、あれはどういうふうないきさつになつていますか。
  226. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) あれはこの前の国債償還はやらんと言つたのは、見返資金特別会計の五百億円の答えとして申上げたのであります。今回の百数十億円の分は、一般会計のほうの五百億円のうち、警察予備隊、海上保安庁に使つた残りの分でやつておるのであります。
  227. 三輪貞治

    三輪貞治君 資金運用部資金法案についてでありますが、これにつきましては、先ほど野溝委員からもちよつとお触れになりましたように、二十四年の五月十八日、第五国会におきまして、衆参両院ともに決議をいたしておりまするし、その後において閣議の決定もいたしておりまして、簡易生命保険及び郵便年金積立金は、郵政省において直接に運用することとし云々と、こういう決議がなされておるのであります。そこで最近のドツジ覚書というものが出されたわけでありますが、覚書は、国会の決議、閣議の決定を尊重されるならば、必ずや簡易保険、郵便年金の積立金運用を、郵政省に復元さすべく覚書が発せられるべきものであるのであるのに、預金部金融債引受のみに関して覚書が発せられたことは、両院といたしましても誠に遺憾でありまするし、先に申しましたように、閣議決定をされました現政府といたしましても、誠に遺憾であろうと思うのであります、この点につきましては大蔵大臣は、本員と同様に遺憾のお気持を持つておられますかどうか、お伺いいたします。
  228. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 先ほど答弁した通りに、両院の河議も存じておりまするし、閣議でも一応その線に副つて行くような方針であつたのでありまするが、予算の編成上、又財政金融の状況から申しまして、現段階におきましては御審議つているようなことにいたしたほうがいいという私は結論に到達いたしたのであります。
  229. 三輪貞治

    三輪貞治君 この法案を出されるに至りました重要な動機となつたドツジ氏の勧告を見ますると、この本法の第一條にありまする非常に重要な問題でありますが、「資金運用部特別会計の積立金及び余裕金を資金運用部資金として統合管理し」とありまするけれども、この統合管理を強制するごとき文章はないように本員は考えるのであります。大蔵大臣は、ドツジ書簡の如何なる部分に資金の統合としなければならない必然性が説かれておると御発見になつておりまするか、お伺いいたします。
  230. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 私はドツジ氏と直接に話をいたしまして、そうしてそういう結論に到達いたしたのであります。而して本法案につきましても、関係方面の了解を得ております。
  231. 三輪貞治

    三輪貞治君 大蔵大臣が直接にドツジ氏とお会いになつたのは、ドツジ書簡の出ました前でありまするのか、後でありまするか。
  232. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) ドツジ氏と会いましたのは、前後に会つております。結論に到達いたしましてから覚書が出たのであります。
  233. 野溝勝

    野溝勝君 大蔵大臣開発銀行法のことを聞きたいのですが、この開発銀行法を提案された趣旨は、理由によつてわかつておるのですが、銀行が大体復金の性格を踏襲しているということを、先ほど舟山局長からもお伺いしましたが、大体復金の内容というものは、あれは多く巨大な産業のほうに向けられております。この議会が自然休会に入ろうという矢先にかような重要法案を出すのでございますが、それには予算の裏付けがやはり必要なんであります。その予算の裏付けとして、百億乃至は百三十億の予算がこれに伴うのですが、産業資本家の方面には、かような資金を出す法案を、即時あなたのほうでは提案するのでありますが、一体今農業にしても中小企業にしても、企業にしても、非常に資金面において困つておるのであります。そういう方面に対する資金などの点につきましては極く零細でございます。かような大口の資金に対しまして融通するところ金融機関を考えられることにつきましては、私は非常に不服なんであります。併し日本の産業開発の点からやるという点においては、大体理解もできるのですが、以上申したように、小さい業者に対するところ資金の点を考えておらん。それに復金の性格を、性格と言いましようか、内容を活かして行くというようなことになりますというと、あなたのほうから示された統計によりますると、大体昭和二十六年二月末現在までに八十八億六千五百有余万円を融通してあつたのですが、そのうち農林側には僅かに二億八百二十六万五千円、かようなことになりますと、この予算から見ても、大体農林側にはこのくらいの見当ではないかと思うのです。又更に中小企業などにつきましては、全く飛行機から小便ほどの融通でございまして、どうして一体こういうふうに巨大な産業資金に力を入れなければならないか、そうすることが日本の産業開発になるのですか、そういう点が一つもわからんのであります。でありますから、今度できまするところ開発銀行は、復金融資内容とは違えて行くのか、或いはそういうような融資條件乃至は融資種目というものを、そこに重点をおくのか、そういう点を一つお伺いしておきたいと思うのであります。
  234. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 金融というものは、全体から考えて見なければなりません。特にこの復金貸出先は、御承知の通り敗戦後のときにおきまして、急速に生産増強というので、船とか或いは石炭、鉄鋼とか、こういうものに主として出ているのであります。併し今の状態になつて参りますと、貸付先が私は復金のようにはならんと思うのであります。復金と同じような形態だというと、非常にこれは政府機関として同じでございまして、復金のやり方とは根本的に変つておるのであります。先ず第一に変つておるということは、資金面は、復金は日本銀行債券引受によつてやる、それだけ信用を造出する、併し開発銀行は、資金源を見返から出すので信用の造出になんら、根本的に違うのであります。而も運用については、復金につきましては政府において運用委員会を設けて、そうして国がこうせい、ああせいということを言つておる。今度は総裁、重役会議に任すことにしてあるのであります。よほど性格が変つておりますから御了承願いたい。貸出先のどうこうということは、これはそのときの産業経済の状況によつてみずから変つて来るのであります。然らばこの開発銀行が中小企業のほうに向つて行くかというと、私が察するに、そうはなかなかならんと思うのであります。中小企業のほうは別に見返資金から三億円ずつ毎月出しておるのであります。これは銀行とタイアツプして行きますので、毎月六億円出る計画で行つております。而して又他の中小企業のほうにつきましては、商工中金から中小金融をする、こういうことになつております。それで商工中金なんかは過去二カ年の間に二十億円が百億に貸出が殖えておるという状況になつております。従つて全体の貸出の状況を見て、開発銀行融資して行くと考えて頂いて結構だと思うのであります。
  235. 野溝勝

    野溝勝君 その復金の業務内容と違うというお話でありますけれども、先ほど舟山銀行局長お話によりますると、これは大体大口を対象にしているということになりますれば、復金と一体どういう点で違うのですか。大体復金も大口を対象としているのであります。特にこの取扱上につきましては、総裁に任せるようなお話でございますが、併し政府が監督をするという建前から、総裁に任せるということと、監督をするということは、主にこれは睨み合せて行かなければならん問題であります。そうして見ますると、或る程度融資につきましては、大蔵大臣が大体の私見なり考えを持つているわけなんです。その考えなりを或る程度総裁なら総裁と打合せが大体あると思います。そういう点について、大蔵大臣はこの資金融通の関係について、どういうものを一体重点にして行くか。或いはどういうような一体量的配分をしようとするか。大体この開発銀行を立てようというときに、すでにそういうことはお考えになつていると思うのです。その点を一つあなたの考えているだけで結構ですから、一応輪廓だけでもこの際お話を願いたいと思います。
  236. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) この舟山銀行局長が答えたというお話でありますが、私も今そういうことを申上げたのであります。大体大産業のほうに行きやすい傾向になります。それからどういう産業に出すことを予定しているか、これははつきりした予定はございません。ただ法案にもありますように、日本の経済自立、産業の開発、こういうことを主眼としているのでございまするから、いわゆる重点産業、或いは農林、水産等に行くと思うのであります。ただ重点産業の鉄鋼にどれだけ、石炭にどれだけ行くかというと、それはわかりません。そのときの状況によつて行くのであります。特にこの銀行は、普通の銀行融資を困難とするような場合にやるのでございます。なんぼ初めからこの産業に出すというふうな計画はしないほうが量的にいいと考えております。
  237. 小串清一

    委員長小串清一君) ちよつとお諮りいたしますが、予算委員会において討論採決のためにどうしても大蔵大臣に立会つてもらいたいということを予算委員長のほうから要求されておりますから、暫く大臣は……その御都合で又向うが済んだらこちらにおいでを願いたいと思います。なお銀行局長がおられますから、順次御質問のあるかたは御発言願います。
  238. 松永義雄

    松永義雄君 日本開発銀行法案第四十木條第二項の「日本開発銀行は、毎事業年度」以下の点について御質問いたしたいのでありますが、この政府日本開発銀行に対する貸付金復金の出資金が代るように書いてあるがそうなんですか。
  239. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) この前後の規定におきまして、政府復金に対して流しております出資金は、復金の権利義務を開発銀行が承継しました後においては開発銀行に対する貸付金に振替えられるのでございます。出資に対しては配当等を徴しておりませんが、貸付になりました後は一定の利子支払うというのがこの規定であります。
  240. 松永義雄

    松永義雄君 そうしますと、これは二十七年度ですか、復金が解散して清算したときにそういうふうに変ると、そうしてそのときにおける今日からの見通しとして、その出資金貸付金に廻る額はどのくらいになるお見通しですか。
  241. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) これは引継の時期によつて違いますが、二十五年度末における復金の出資金は九百五十四億であります。
  242. 松永義雄

    松永義雄君 そうしますと、昭和二十七年度のこの解散後において九百五十億円ぐらいの貸付金となつておる。それに対する利息として先だつての御説明によると、五分五厘くらいになつて、その程度の金が開発銀行へ利息として入つて来る。政府のほうく返して行く、払つて行くということになるのですか。
  243. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) 開発銀行から政府に払うことになります。
  244. 松永義雄

    松永義雄君 そうすると、千億円としても五分五厘というと五十五億円なんですが、相当多額の金を開発銀行から政府のほうへ支払ところが、出資金は先ほどお話の百億円、それから復金から入つて来る金が出資金として廻つて来る。それに対する貸付先から入つて来る金利の中から、その五分五厘を払う、こういうことになるのですね。
  245. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) 二十六年度には暫定措置が講ぜられますが、二十七年度からは原則としてお話通りになります。
  246. 松永義雄

    松永義雄君 これは私から資料を要求いたしたいのですが、二十七年度解散後における実際の貸借対照表というか、というようなものを頂きたいと思うのですが、形式的にこれだけ貸付があるから、これだけの金が入るのだというだけのことなら、それは勘定に合うかも知れませんが、実際上それは辻棲が合つて行けるかどうか、つまり復金貸付が健全であるかどうかということです。
  247. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) これは二十六年度中に復金開発銀行と一緒になるのでございまして、その時期によりまして計算が違つて参りますので、そのバランスの見込を申上げることは現在のところ不可能でございます。
  248. 松永義雄

    松永義雄君 それでは細かいところは困難でしようが、大体の見通しとして計算が立つて行くのかどうか。そのとき利息が払えないことになるのではないか。開発銀行から政府に対する貸付となつておるのですから、その利息は払つて行けるのかどうか。
  249. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) それらは四十五條の適用の問題となるのですが、大体九百億程度復金に対しまする出資金開発銀行への貸付金に振替られると御了承願いたいと思います。
  250. 松永義雄

    松永義雄君 私は今ちよつと聞き洩らしたのですが、開発銀行復金の金が入つて来て、それがやはり出資金になるというのですか、貸付金でなく出資金になるのですか。
  251. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) 復金資産構成を申上げますと、政府出資がございましてそれが貸付金市中に対する貸付金になつております。これを開発銀行が引継ぐのでありますので、一方において開発銀行は大体現在八百八十億の貸付金ができます。それに対応いたしまして政府から九百億弱の債務を負うということになるのです。
  252. 松永義雄

    松永義雄君 もう一遍お伺いしますが、それで実質的の辻棲が合うかどうかということなんです。取れるほうは取れるかも知れませんが、民間貸付けた金の利息が入つて来るわけですから、その利息のうちから政府のほうの債務に対して払つて行くということになろうかと思いますが、その実際上の貸借対照はどうか、形式上はすぐできるでしようか。
  253. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) 復金貸付金は元来長期貸付でありますから、十年以上の期間が必要と思いますけれども、これは回収可能と考えております。この回収せられました都度開発銀行といたしましては、政府の借入金を返すのでありますが、この法律規定によりまして、返すと同時に同額が開発銀行に対する政府の出資となるのでございまして、実際上は返さないでよい、それだけ開発銀行に対する政府の出資が殖えて参るのでございます。
  254. 松永義雄

    松永義雄君 それは回収ができた金のことであつて、返済期が来ても回収がつかない金、もとより利息が入つて来べきであらうと思います。その利息を以て政府のほうへは貸付の債務になつているのですが、その利息を政府へ払わなければならん、あれやこれやで計算して見るのでしようが、それはうまく行くのでしようか。
  255. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) 開発銀行が自分の資金貸付けた金額に対して利子を取ります。又復金が貸しておりました債権を引継ぎましてこれからも利子が入つて参ります。これらは準備金として積立てて行くのであります。成るほど一部は政府に対する借入金の利払といたしまして政府に納めますけれども、これらを綜合いたしますれば丁度バランスが合うと考えております。
  256. 小串清一

    委員長小串清一君) ちよつとお諮りいたします。先刻から厚生委員会の上條、松原両議員のかたから委員外の発言を求められておりますが、発言を許すことに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  257. 小串清一

    委員長小串清一君) 御異議ないと認めます。それではどうぞ……。
  258. 上條愛一

    委員外議員(上條愛一君) 資金運用部資金法の制定に伴いまして、厚生年金保険の福祉施設資金の取扱方について厚生委員会決定いたしました意見を御説明申上げまして特別な御配慮をお願いいたしたいと考えるのであります。  御承知の通り厚生年金保険の積立金は今年の二月末に三百二十六億円に達しておるのであります。なお二十六年度予算によりまするというと、厚生保険特別会計年金の勘定で残金積立金が百三十四億円余りになるのであります。御承知の通り養老年金及び遺族年金の給付は昭和三十六年度までは支給いたすのではないのでありますから、今後といえどもこの厚生年金保険の積立金は相当な額に増額して行くと考えられるのであります。元来厚生年金保険では積立金の一部を被保険者の福祉増進を図るための施設、例えば被保険者の住宅施設、診療施設等に融資できることになつておりまして、この目的のために約二千六十五万円が融資せられておるのであります。然るにこの融資は昭和二十一年の一月二十九日附の総司令部の覚書によりまして停止せられておるのであります。然るにこれが融資の再開については労務者を初め、関係者各方面から熱烈なる要望がありまして、国会に対する請願書もしばしば提出せられ、又厚生省当局に対しましても陳情書等が多数寄せられておる現状であります。例えて申しますれば健康保険の赤字が増加せられまして、昨年の三月にはこれが三十億円に達するに至りました。その結果医師に対する報酬支払が遅延して、健康保険の危機を招来するに至つたのであります。よつて社会保障制度審議会においては、この赤字は政府が速かに補填して、健康保険の危機に対処せられたいという決議をいたしまして、吉田内閣に要請したのでありまするが、政府は財源がないという理由で拒否して参つておるのであります。こういう際にこの厚生年金保険の積立金を活用することができますれば、労働者の健康を保持するのに重要な健康保険制度の危機を救うことができると我々は考えられるのであります。又現在我が国の勤労者の第一の悩みは住宅の払底ということであります。若しこの積立金を庶民住宅資金に利用することができますならば、この住宅払底を緩和することができると考えておるのであります。又本日の本院において画期的な結核予防法が通過したのでありまするが、この我が国の亡国病とも言うべき結核撲滅対策といたしまして、患者の入院治療に必要なるその病床は三十万床を絶対に必要といたしておる現状でありまするが、現在はその病床を増設するには多額の資金が必要でありまするが、現在では僅かに九万五千七百二十六床というのが昨年の九月末現在の状態であるのであります。こういう状態においては、折角結核予防法が制定いたされましても、その実効を収むることはなかなか困難だと我々は考えるのであります。殊に入院いたしまして治療して治りました患者が、アフタア・ケアー、即ち後保護のために、その後における保健施設というものが全然ないのでありまするから、従つて折角病気が治りましても又再び病気が復元するというような状態が多いのであります。従つてこの後保護施設にも厚生年金資金を活用することができますならば、結核予防に対して相当なる効果を収められるのではないかと信ぜられるのであります。  然るに今回の資金運用部資金法案によりまするというと、この積立金は大蔵省に統合管理せられまして国債、地方債、金融債等以外には運用せられないことになるのでありまして、今後福祉厚生施設資金融通の途が閉されてしまうことになるのであります。これは厚生年金保険積立金のこの労資の、労働者と経営者によつて醵出せられましたる保険料という特殊性に鑑みまして、妥当な処置ではないと考えられるのであります。従つてどもの要望は、この資金運用部資金法案において、厚生年金積立金が勤労者及びその他一般の庶民階級の厚生福祉施設資金の融通の途が講ぜられるようなふうな御考慮を願わなければならないと考えるのであります。そこでこの法案の第七條中に、曾つて昭和十七年十月八日の厚生保険特別会計年金勘定の余裕金及び積立金の取扱に関する大蔵大臣と厚生大臣との協定のうちに規定されておりまするところの厚生保険特別会計年金勘定の余裕金及び積立金の預入による預金部資金運用の方法は、公共団体等において施行せられる労働者及びその家族等の福祉施設に対する融資に通用し得ることという規定がありまするので、この趣旨の一項目を加えて頂きたいということであります。そうして今回の法案によりましても、厚生年金資金というものが勤労者及び一般庶民階級の福利施設のために活用できるという途をこれは是非とも開いて頂かなければならないと考えるのであります。労資によつて積立てられましたるこの年金保険の積立金というものは、やはりこの労働者階級の、勤労者階級の福利施設のために活用することを第一とすべきことは申すまでもないことであるのであります。  何とぞ大蔵委員会におきまして関係各方面の了解を得て頂きまして、厚生委員会の希望がこの法案の中に織込まれまして、その実現が可能となるような特別の御配慮を切にお願い申上げる次第であります。  なお最後に大蔵当局にお伺いいたしておきたいのでありますが、それは福祉施設資金の融通に当りましては、従来大蔵大臣と厚生大臣との協定に基きまして、その融通先、融通金額決定は厚生大臣に一任せられていたのでありますが、今後もこのことに関しましては厚生大臣意見を尊重して頂いて、積立金を運用するよう考慮せられたいと考えるのでありますが、これに対する大蔵当局の見解を承わつておきたいと考えるのであります。  以上厚生委員会といたしましての決定意見の概略を御説明申上げまして御配慮をお願い申上げる次第であります。
  259. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) 厚生保険積立金の運用につきまして従来の沿革は只今お話のありました通りでございます。この昭和十七年大蔵大臣と厚生大臣との協定がございまして、この積立金の運用についてはできる限り労働者の福祉増進に副うように運用することになつてつたのでございますが、これもお話のございましたごとく、二十一年一月のマーケツト指令によりまして、これが停止せられたのでございます。尤もその後におきましても地方公共団体で行いまする労働者の福祉増進の施設、病院の建設等につきましては預金部資金から廻つておるのでございますが、併しそれよりももつと直接的な方法資金をその方面に使いたいという厚生省の御要望に対しまして、私どものほうといたしましても、極力それが実現を期しまして、具体案をこしらえまして折衝しておりましたことは御承知の通りでございます。併し今日に至りますまで二十一年の指令の線が緩められませんで、今度初めて金融債引受という途が開かれることになつた次第でございます。この法律といたしましては、今のところ更に御趣旨に副うような法律の改正は到底実現困難なのでございます。今後この法案によりまする運用といたしまして、まあできるだけ御趣旨に副つて行きたい気持を持つておることを申上げます。なお審議会には厚生次官も入られるのでございます。この融通先も或いは料金等を厚生省に御一任せよという御要望もございますが、併し現在の法律建前ではこれはできませんが、御意見はできるだけ取入れて参る所存でございます。
  260. 小串清一

    委員長小串清一君) 暫時休憩いたします。    午後五時六分休憩    —————・—————    午後七時十五分開会
  261. 小串清一

    委員長小串清一君) 休憩前に引続きましてこれより会議を開きます。  日本開発銀行法案について御質疑を願います。
  262. 小林政夫

    ○小林政夫君 特に大臣お尋ねいたします。先般同僚委員からもいろいろ日本開発銀行の運営について、疑義の点を質問されたわけでありますが、緑風会としても相当曾つての復興金融金庫のいわゆる政治的融資であるとか、或いは不良融資肩替りというようなことになつてはいかんというような意味において、この開発銀行融資について相当監視する必要があるのではないかという意味において、毎月又は隔月に融資先別の額條件、等について本委員会に報告して頂きたい。それについて、そういうことがやつて頂けるかどうかということをお尋ねします。
  263. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 開発銀行の運営に関しましては、お話のようによほど政府としてもよく行くように十分の注意を加えなければならんと思うのであります。御承知の通り我が国におきましても、復興金融金庫につきまして、いろいろ非難があつたのでございます。アメリカにおきましても、アメリカの復興金融金庫につきまして最近いろいろな問題が起つて、議会においても論議されたのであります。我々はこういう我が国の事情、アメリカの事情を見ましても十分注意しなければなりませんが、このことは余りに監視し過ぎましても、本当に力のある生きた金融ができないということで、角を矯めて牛を殺すというそしりも免れません。従いまして私は今定期的に国会にこれを報告するということが、生きた金融ができるかできないかという点から考えますると、余り干渉がましいことは如何がと思うのであります。大蔵大臣責任におきまして、又会計検査院も検査することになつておるのでございますから、今後の運営の状況を見て考えたい。今ここで直ちにこれをどうこうというようなことをお答えすることは如何かと思います。できるだけの監視はいたしますが、定期的にこれを報告するというよりはやはりときどき報告するほうがよいのではないかと考えております。
  264. 小林政夫

    ○小林政夫君 委員会として要求した場合にはそういつた資料を出して頂けますか。
  265. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 金融のことは、信用にもよほど影響がございますから、銀行ばかりでなく借手の信用等も考えなければなりません。従いまして復金貸付先につきましても、そういう要求は今まであつたのでありますが、どの産業にどれだけということは申上げていいかも知れせんが、個々の人の資産、債務の状況につきましては悪い影響のない場合にお出しいたしますが、一々出すということは復興金融金庫の場合にも実はいたしていないのであります。情勢によりましてできるだけのことは皆様にお知らせしたいと思いますが、貸出先別の金額が幾らというようなことはそのときの状況で一つお任せ願いたいと思います。
  266. 高橋龍太郎

    ○高橋龍太郎君 復金貸出別の報告はこの委員会で要求をして御報告になつておる事実があるのでしようか。この開発銀行融資政府資金であるのでありますから、又復金のような弊害ができてはいかんと我々は考えるのは当然であつて、大蔵委員会からそういう報告を要求した場合には、それは私は当然御報告があつて然るべきだと思うのであります。この点は緑風会としては先刻来総会を開いていろいろ討議をしました結果、緑風会の強い要望でありますので、これは一つ御考慮を願いたいと思います。大蔵委員会として要求をすればそれは当然御報告があるべきじやないか、普通銀行とは違うのですからして……。
  267. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) お言葉のように復興金融金庫につきましては、一回一定金額以上、多分一億円だつたかと思いますが、この分をお出ししたことがございます。昨日も衆議院のほうで、復興金融金庫の貸付の残高が千八百八十億円ございますが、この要求があつたのでございます。産業程度にはいたしまするが……。復興金融金庫は今貸出し先が六千八百件ございますが、こういうものを一々お出しすることは非常に困難でございますといつてお断りをいたしたのであります。併し高橋委員のおつしやるように、大体の大きい大まかな金額で必要があるときにはそれはお出しするのが適当な場合もあるかと思います。できるだけ御希望に副うようにはいたしまするが、これがだんだん仕事が多くなつて参りまして、何百件、何千件ということになりますと、それを今小林さんのおつしやるように毎月報告するということになりますと、非常に煩瑣な点が考えられますので熟考いたしまして、大蔵委員会の要求がございますれば、適当の方法でお出しすることにやぶさかではございません。ただ原則といたしまして、復興金融金庫のような例もございますので、できるだけのことはいたしますが、ここで全部の貸付先を毎月どうこうするということは、なかなか実際問題として困難じやないかというような気がいたしておるのであります。
  268. 小串清一

    委員長小串清一君) ちよつと私からも大臣お尋ねしますが、今御要求の問題は、この銀行に関する金高は相当大きなものだろうと思うのですが、それを産業部門別とか何とかいうことで今こんなふうに融資されておる、こんなふうに運営されておるというようなことは、大蔵委員会で御要求したならばやはり今おつしやるように出して頂くということにお願いしたいと思います。
  269. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 勿論産業別で細かく出すことは結構でございます。貸出先別にしましても、一定金額以上のものならばそれは考えてもいいと思うのでありますが、全部の貸出先を毎月ということになりますと、これは大変な仕事じやないかという気がいたしますので御約束はできませんが、産業別をできるだけ細かく、又大きい貸出先についてはお出しすることはできるだけ考えたいと思います。
  270. 小串清一

    委員長小串清一君) 小林委員どうですか。
  271. 小林政夫

    ○小林政夫君 一定の金額以上、勿論百万円とか五十万円というようなことじやないのですが、緑風会内ではこういう意見もございます。一定の金額といつても、その金額が相当大きいと、口を割つてやられる慮れもある。そこでその一定金額という金額はかなり下のほうに考えなければならんだろう、それで御案内のごとく実業家の人もかなり会員にはおるのでありますが、大蔵大臣の心配されたような点も併せ考えて、高橋委員の言われたような意味において、当局の言明は絶対に復金の二の舞はしないというようなことでいろいろその具体的なこともお話になりましたが、併し既往の実績に徴して相当杞憂される点があるので、これは勿論一カ月ごとにということが困難であれば、隔月でもよいわけですが、こちらから隔月に要求するとすれば、私が申上げたような資料を頂きたい。それで勿論我々として一々検討するということもむずかしいかも知れませんが、そういう報告をしてもらうということであれば、かなり銀行当局においても自省をされるであろうということでございます。勿論事後報告でございますから、資金の機動的な貸付について支障が起るということは考えられないのでありまして、御心配の点はないのであります。むしろ国民全体として相当第二の復興金融金庫になるということについての危惧が濃いのでありますから、是非公正に運用を期する意味において、我々の要求によつてこの資料をお出し願いたいと思います。
  272. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) これは私は日本開発銀行に限らず、こういう御要求はございませんのですが、日本輸出入銀行貸出先も、御要求があれば大体何ら差支えないのであります。政府の出資のものでございますから、あなたがたが御臨見になると言つたら当然のことでございます。できるだけ御希望には副うようにいたします。何も開発銀行に限つたことではございません。日本輸出入銀行貸出先についても御要求があればお出しいたします。
  273. 小串清一

    委員長小串清一君) 如何ですか。別に御発言もないようでございますから、質疑は盡きたものと認めて、直ちに討論に入ることに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  274. 小串清一

    委員長小串清一君) よつてこれより討論に入ります。御意見のおありのかたはそれぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。
  275. 下條恭兵

    下條恭兵君 社会党を代表してこの案には賛成するものでございます。  我々はかねてから長期資金供給する機関が必要であることを主張して参つたのでありますから、その意味においては賛成なのでありますけれども、この法案が休会前僅か二、三日になつて提案されたためにいろいろ研究すべき問題、或いは時間があれば修正したい点がありましたのにかかわらず、それをすることができなかつた事情に鑑みまして、以下二、三の希望意見を附加えて置きたいと思うのであります。  第一にどうしてもこの銀行の対象になるのは大企業であります関係から、日本の産業について大きな役割を持つている中小企業に対しての考慮は将来十分払つてもらう必要があると考えるのであります。こういう機関ができまして、これが大企業偏重の形をとつておりますと、人気的にも従来一般に中小企業が圧迫されたり、或いは農林水産業金融が閑却されたりするという傾向がありましたので、この一点を第一点として特に強調したいと思うのであります。  第二にこの銀行の運営が全く大蔵大臣のしばしば説明されたごとく、総裁の独裁法式をとつておる関係からいたしまして、いろいろ疑惑を招きがちだと考えられるのであります。これは金融の民主化のためには甚だ私は遺憾な点だと考えるのでありますが、今いろいろ大蔵委員会に対して、報告その他を出すことはやぶさかでないというお話があつたのでありますが、報告を出しますということは、これは末の末だと思いますので、この運営に当りましては、十分国民が得心の行く運営を図つてもらいたいと思うのであります。  三番目に附加えたいと思いますのは、復金の事務引継ぎでありますが、この復金の事務引継ぎが、結果において復金の不当の貸出の尻ぬぐいをしたのじやないかという疑惑を持たれないように、この点の運営を十分注意して欲しいと考えるのであります。  以上三点を希望意見としまして本案に賛成いたします。
  276. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 私は本案に反対いたします。  反対理由につきましては、予算委員会で述べましたので詳細は省略いたします。その反対の要点だけについて申上げたいと思いますが、反対理由は四つあります。  第一に、この銀行資金調達の仕方が中小企業金融とか、農林漁業金融を圧迫する危険があるということ、政府側の答弁では十分納得できないのであります。第二は、この銀行の性格について政府の監督というものがなくなつて全然紐が付かないということになりますと、先ほど他の委員が言われましたように、復金の二の舞をするような、復金よりもなお悪くなる、そういう危険があるということ、第三は、貸付計画が全然ないということ、第四は、人事の問題について、総裁の任命が総理大臣によつてなされる結果、それが非常な政党的な色彩を持つた人が総裁に任命される可能性が著しく濃厚であるということ、従つてこの銀行の運営が非常に政党的に左右される危険が多い。この四点から本法案に反対するものであります。
  277. 小林政夫

    ○小林政夫君 私は本案に賛成するものでありますが、他の委員からもお話がありましたように、本法設立の目的を十分達成するように、公正な運営をやるように、特に大蔵当局において、指導監督に遺憾なきを期せられることを條件として賛成いたします。
  278. 小串清一

    委員長小串清一君) ほかに御意見もないようでございますから、討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  279. 小串清一

    委員長小串清一君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。日本開発銀行法案を、衆議院送付の原案通り可決することに賛成のかたの挙手を願います。    〔挙手者多数〕
  280. 小串清一

    委員長小串清一君) 過半数と認めます。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお本会議における委員長の口頭報告の内容については、本院規則第百四條によつて、あらかじめ御承認願うことに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  281. 小串清一

    委員長小串清一君) 御異議ないと認めます。それから委員長が本院に提出する報告書には、多数意見者の御署名をお願いいたします。  多数意見者署名     下條 恭兵  小林 政夫     大矢半次郎  木内 四郎     森 八三一  岡崎 真一     秋山俊一郎  愛知 揆一     高橋龍太郎  松永 義雄     黒田 英雄  油井賢太郎
  282. 高橋龍太郎

    ○高橋龍太郎君 私はこの機会に大蔵大臣一つつて置きたいことがあるのですが、これは富裕税の問題なんであります。二月末に申告期が迫りまして、納税者のほうで、さて申告に着手して見ますというと、非常に困つた点が出て来たのであります。それは非上場株の評価の件であります。国税庁で評価をせられて或いは二千円、二千五百円というような評価が出て来まして、申告者は非常に驚きまして、税務署ではそれでなければ受付けないというのであります。現に私が幾らか持つておる株のごときは、ずつと欠損が続いておる株で、二十円か三十円でも買手があれば売りたいと思う株が九十何円というような評価になつておるのであります。大体私が上場株のいわゆる一流株といいますか、紡績株であるとか、或いは船株であるとか、十四、五の会社につきまして計算して見ますというと、非常場株の算出の方法によります金額と上場株で実際市場の価格というものと比較いたしますと、大体三倍から四倍ぐらいになつております。非常にこれじや課税の公正を失するわけになるのですが、これは大蔵当局は、そういう点をお認めになつたのかと思うのですが、二月何日かに国税庁から地方の国税局に御指令が出ておるように聞いております。この点について大蔵大臣はどういうふうにお考えになつておるか。いずれこれは現在では申告者が思い思いに良心的に申告をしておるものを御採用になりました結果そうなりましたので、更正といういうな問題も出て来るだろうと思うのです。これも止むを得んと思うのでありますが、そう場合に何か更正決定について御考慮になつておりますか、その辺を一つ承わりたい。
  283. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 富裕税の申告に際しましての株式の評価の問題で場ございまするが、国税庁では資産按分で行くという通牒を出しておりますので、それを私聞きまして、それはとんでもないことだ、そういうことをやつたら大変だから差止めろ、こういうので差止めまして、株価の評価について、申告に際し税務署がとやかく言うことは相成らん、こういうことにいたしたのであります。従つてその後幾ら幾らで申告なさいというようなことは税務署からは言わなかつたはずだと思います。然らばどうやつて今後やるかというと、私は一応納税者が申告された金額によることは勿論でございまするが、若しその金額が不適当であつた場合には、これは他との均衡上、株価について更正をせざるを得んと思います。それは如何なる方法で更正をするかという問題になりますと、先ず類似会社の上場株と比較して見る。又第二は収益を見なければならん。第三には今後の見通し、いろいろな点を考えてもらいたい。こういうふうな気持を持つておりまするが、やはり特定の会社につきまして検討を個々に加えなければいかん問題じやないかと思います。御承知の通り財産税のときにおきましては、株式の評価委員会を設けまして、そうして権威ある評価をいたしたわけでありまするが、今回はそういう制度をとつておりまん。又片一方の財産税のときには、株式の物納を認めましたが、今度は株式の物納を認めておりません。そういう関係上今回の富裕税につきましては、株価の評価はよほど愼重に、よほど寛大に行かなければならん問題だと考えております。どういう計算の方法をするかということにつきましては、只今研究を加えておりまするが、納税者の誠実な申告を期待いたしまして、それによりまして適当な決定をいたしたいと思います。
  284. 高橋龍太郎

    ○高橋龍太郎君 私は今の大蔵大臣の御答弁に満足し、敬意を表する次第でありますが、どうか、この決定は無論申告者がまちまちに申告しておりますのですからして、更正の必要などもつて来ると思うのでありますが、更正の場合には、只今大臣のお言葉の中にありましたように、市場株との権衡をお考え下さつて一つ適当に十分御考慮の上御決定を頂くような方法をおとり下さいますことを重ねて希望しておきます。
  285. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 ちよつと大蔵大臣質問いたしたいのですが、これは日本開発銀行のことですが、もうすでにこれは採決されましたが、参考のためにお聞きしておきたいのです。この出資が見返資金特別会計からの出資ですが、この見返資金特別会計の補正というものは必要がないのですか、補正補算は……。
  286. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 必要ございません。
  287. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 その理由を伺いたいのです。
  288. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 予算の枠として審議されたのであります。而して経済再建費は何と申しますか、予備費的の性質を持つたものということでございまして、御審議を頂きました予算から片一方に出すことは何ら予算の補正を要求しないと考えております。
  289. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 そう伺いますと、非常にますます重大なんですが、今後七百四十億の中から出す場合に、補正を全然必要としていないと、そういうふうになるわけですか。
  290. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) さようございます。
  291. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 もう一つお伺いしたいのですが、この法律案の二十四條で「日本開発銀行は、毎事業年度、収入及び支出の予算を作成し、これを大蔵大臣に提出しなければならない。」こ、うなつておりますが、ところ日本開発銀行がこれを出さないで政府がこれを出している。この関係はどういうことになるのでございますか。
  292. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) これは経費予算のことを言つておるのでございまして、開発銀行から出た経費予算を指しているのでございます。
  293. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 二十四條は経費予算だといつても、収入支出ですから、収入支出は明らかに事業計画書にもありますが、こういうことは開発銀行が出すのじやありませんか。二十四條の規定によれば……。
  294. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) 私からお答え申上げますが、二項に「前項の收入は、」云々とございます。なお「支出は、」云々と……。これによつて経費予算を作成すれば足りるということになります。それを三項によりまして、大蔵大臣に提出し、大蔵大臣から閣議を経、四項によつて国会に提出するわけでございます。
  295. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 開発銀行についてはそれだけなんですが、次に資金運用部の問題についてお伺いしたいのですか……。    〔委員長退席、理事木内四郎君委員長席に着く〕   —————————————
  296. 木内四郎

    ○理事(木内四郎君) 木村君に申上げますが、資金運用部資金法案その他まだ議題になつておりませんが、この際改めて資金運用部資金法案資金運用部資金法施行に伴う関係法律整理に関する法律案資金運用部特別会計法案議題として質疑を進めることにいたします。
  297. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 資金運用部の問題について御質問したいのですが、大蔵大臣は、簡易生命保険というものは育成して行くお考えなのですかどうか。この簡易生命保険というものはだんだんこれをやめさして行くと、縮小して行くと、こういうお考えなのですかどうか。
  298. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 大蔵大臣といたしまして、簡易生命保険を縮小して行くというような気持は毛頭持つておりません。
  299. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 大蔵大臣は、昨年三月三十日の予算委員会におきまして私の質問に対してこういうことをお述べになつておるのでありますが、簡易生命保険のことについては、これが郵政省のほうに入つて来たならば勧誘が楽だという表面的の点でなしに、簡保とか郵便年金というものは、一つの大きな社会事業であります。これは一つ預金部の郵便貯金なんかとは別個のカテゴリーに入るものだ、それで私は運用の利益の使い方は、これは被保險者に返すというような根本的な措置がありますので、巷間伝えられるような、大蔵大臣や大蔵省がこの簡保の運用を郵政省のほうにこれを移管することに反対しているというものではない、こういうようにお述べになつているのですが、ところが結果は最近のような状態になつているのです。この大蔵大臣の御答弁、これをされてからその後どういうわけで資金運用部において統一的に運用して郵政省のほうにこれを任せない、こういうことになつたのか、その点をお伺いしたい。
  300. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 詳しくは大蔵、郵政両委員会の連合委員会で述べておるのでありますので、その会議録に讓りたいと思うのでありまするが、私は今お話のような考え方を持つておるのであります。而も又参議院におきましても衆議院におきましても、先般そういう意味においての御決議のあつたことも知つております。又昭和二十六年度の予算編成当初に当りましては、その決議によつて予算を一応作つて見たのでありまするが、その後金融界の情勢その他各般の事情から考えまして、こういうふうに、今御審議つているようにしたほうが只今の問題といたしましては適当であるという結論に到達いたしたのであります。
  301. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 その金融界の情勢その他各般の事情ということは、要約すればどういうことなんですか。私の見るところによれば、資本の蓄積とか、そういう問題が非常に重要になつていると思うのです。従つて資本の蓄積という観点から見て、これを資金運用部で運用するということと、或いは郵政省のほうに運用を任せるということとどちらが資本の蓄積、即ち言い換えれば簡易生命保険の契約高を殖やすということに役立つかどうか。簡易生命保険の契約高が殖えるということは資金蓄積のボリウムを多くすることだと思うのです。そういう点から私は先ほど大蔵大臣が、当然大蔵大臣として簡易生命保険はやはり育成して行くのだ、こういう御答弁でございますので、私は資金蓄積の点からいつても、前に大蔵大臣が大体約束されたことを私は実行されるのが、却つて最近のいろいろな金融情勢その他諸般の変化に対応するゆえんじやないかと思うのですが、その点如何ですか。
  302. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) そういう見方もあります。併し資本の蓄積ということは、蓄積された資本を有効に適切に使うということも、これは資本の蓄積一つの眼目であるのであります。従いまして私は集まりました郵便貯金、簡易保険、郵便年金、こういう積立金を、今までのように国債と地方債にのみ限定せられておつては困りますので、これを運用面からいつて金融債を引受けるようにいたしたいという念願の下に交渉いたしたのであります。然るところ関係方面におきましては、そういう方面に運用するとすれば、国民大衆の血の出るようなお金であるのであるから、これを確実な建前をとつておかなければいかんというので、資金運用部資金特別会計というものができたのであります。而してこういう簡易生命保険に対しましては、従来予定は三分五厘でございまして、実際は四分五厘くらいになつておりまするが、これを資金運用部資金特別会計で運用いたしまして、三年以上のものにつきましては五分五厘程度利子を出すような方法が適当であるという結論に到達いたしたのであります。
  303. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 大蔵大臣の御答弁のように、蓄積された資金をどう配分するかということも、資本蓄積の重要な点であることは了承できるのでありまするが、それと同時に蓄積資本のボリウム、量を大きくする。要するにいろいろな形での貯蓄を多くするということは、これも今の日本の状態としては非常に重要だと思うのです、先ず蓄積資本の量が多くならなければ、配分のほうも適正に行かないわけなんですから、その点でこれは本筋以外に、いろいろな問題がからんで来て非常に面倒な、政治的なあれもありますけれども、国としては簡易生命保険を勧誘する場合に、何というか、奬励になる、非常にそういう勧誘する人を激励して、それが励みになるという形においてやつたほうがいいと、そう考えられますので、資金蓄積のボリウムを殖やすという点から、一番これが今重要だと思うのですが、そういう点が配分より以上に重要だと思うのです。そういう点から大蔵大臣は最近いろいろな事情の変化から、最初の考えと変つて来たと言われる点はどうも承服できないのですが、これは大蔵大臣は、ドツジ氏の書簡があつたからこういうようなことになつたのか、或いはドツジ氏の書簡と関係なく、大蔵大臣の発意においてこういう結果になつたのか、その点について……。
  304. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 木村さん御承知の通り、この簡易保険というものは、戦争中から大蔵省で合同して運用しておつたのであります。敗戦後におきましても、司令部の書簡によりましてずつと大蔵省で運用いたしておるのであります。而してその結果は、最近における簡易保険の募集は非常な成績を挙げておるのであります。だから今まで通りのやり方であつて簡易保険が急に減るというようなことは私は考えておりません。相当伸びて行くと思うのであります。ただお話のような点が、郵政省の職員が簡易保険を勧誘して歩かれるから、その金を郵政省のほうで運用したらいいじやないかという議論は、これは一つの議論であります。私はそれを否定するのではございませんが、併し今まで通りを法制化した形で簡易保険が急激に縮小して資本の蓄積に役立たんとは考えていない。だから両者を兼ね合しまして今まで通りにやつてつて、而も金融債を引受けるということになれば、こういう制度にすべきだという関係方面の考え方もありましたので、とくと検討の結果、こういう結論只今ところつておるのであります。
  305. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 金融債資金運用部資金を統一する形でなければ引受けられないのでございますか。
  306. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 関係方面は強いそういう意見であります。従いまして私は金融債を引受けるようにしたほうがいいという考えの下に、国会の決議もありましたが、こういう結論に到達いたしたのであります。従いましてドツジ氏の私に対する覚書が出る前にこういう結論に到達いたしたのであります。そこで私はこれは大きい問題ですから、私はあなたの言うことはわかつた、わかつたが一応閣議でもきめたものだから、あなたの意向を書面にしてもらえれば非常に説明が楽だというので、私はそういう決意をした後に、ドツジ氏がそれでは一応自分の意見を書こうというので、書いてくれたのであります。
  307. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 金融債は現在でもすでに実際において引受けているのですね。ですから資金運用部というふうにしなくてもできるのじやないですか。
  308. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 昨年の十一月にこういうことを約束いたしまして、十二月から金融債の引受が始まつたのであります。従いまして三月金融債の引受五十億円は、二月まではよろしうございましたが、これを国会に出しましたから、三月分の五十億円の金は三月三十一日、今日に至つても、今日法案が通ることを條件にしておられるようであります。従つて三月の五十億の予定は、本日も実は出ていないのであります。
  309. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 先ほど大蔵大臣は、ドツジ氏の書簡が出る前にそういうふうに、そういうふうということは、資金運用部において統一的に資金を運用するということに決意されたといいますが、それはその司令部のほうの勧告があつたからそういうふうなお考えになつたのですか。
  310. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) そうではございません。今度の予算は御承知の通り一般会計の歳入歳出のみならず、政府関係資金につきましても話合があつたのであります。それでこういう結論になりました。そうして私は政治的に大きい問題ですから、私があなたの意見を聞き置く程度ではいかんから、意見を書面に書いてくれと、こういうので私は結論に到達してから後に書面でドツジ氏がよこしたのであります。
  311. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 この衆議院における資金運用部資金法案に関する大蔵大臣との質疑応答の中で、民主党の椎熊委員に対して大蔵大臣はこういうふうに答弁されておるのですが、椎熊委員が、それではあなたは若しドツジ書簡が出なかつたらこの案は出されなかつたかという質問に対して、大蔵大臣は、ドツジ氏の覚書は出なくても私はこの案を出すつもりであつたと、ですから大蔵大臣は最初からこの前に郵政、大蔵両省の話合の線、又我々に大蔵大臣答弁された線と違つた意見をすでに持つていたと思われるのですが、その点はどうなんですか。
  312. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 椎熊君に答えたのも、今ここで答えたのも同じであります。それは予算その他の折衝の途中でそういう結論になりまして、自分ではそれはこういう結論に到達したが、このことは大きい問題であるからあなたの意見を書面で出して欲しいこういうので出したのであります。だから私に対する書面が出る前に私は決意したのであります。併しその前には閣議で、郵政省のほうへやろうということは先ほど申上げた通りであります。
  313. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 そうしますと、まあ結論として大蔵大臣は今度の資金運用部という形において運用することには必ずしも大蔵大臣は賛成しておるのじやなくて、やはり前に大蔵大臣が郵政省と話合つたあの線、あの線は今でも妥当である、妥当であるけれども二十六年度の予算及び資金運用計画について政府側と話合つた結果、だんだんそういうことができなくなつたので、こういう結果になつたので根本原則としては、根本の考え方としては、大蔵大臣が前から考えておられるように簡易保険の資金というものは被保険者に返すというような根本的の原則に基いて、そうして運用して行くのがいい、こういうふうにお考えになつておるのですか。
  314. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) ちよつと木村さんのお話がわかりかねる点があるのでございまするが、被保険者に返す、私は被保険者に返す返さんの問題よりも資金を集めた人たちがそれを運用するのはこれは原則なんです。だから日本におきましても昔はそういうふうにしておつたのであります。アメリカなんかにおきましてもそういうふうにしておるのであります。ただ今は資金の使い方につきましてよほど考慮しなければなりませんから、こういう案にしたほうがいいという結論になつたのであります。被保険者に返す返さんの問題ということでなしに、原則としては集めた人たちがお使いになるのが原則だ。併し金融経済の状況からして総合運用し、而もこれが今までとめられておつた金融債のほうにも使えるという効果がある場合におきましては、今までも郵政省のほうは集めただけで使つておらなかつたのでありまするからこの際暫く我慢してもらつて金融運用のほうがうまく行くようにしたほうがいいという結論になつたのであります。
  315. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 只今の被保険者に返すという問題は、これは大蔵大臣が私に前にお述べになつ言葉なんです。ですから大蔵大臣はやはりこの保険の性質上そういうことをお考えになつていたわけでして、只今の御答弁を伺いますと、現在としては金融債引受けという問題と関連して統一的に運用したほうがいい。併しそれは今差当りこういう考え方でやる、例えば来年度或いは次の年度、そういうことになれば又その保険の分の正確に原則に基いたような、こういう統一的でなくまあ郵政省のほうの運用に任せておると、こういうお考えを持つておりますか。
  316. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 私はそういう考えを持つております。合同運用したほうが効果的だということは郵便貯金並びに簡易保険、郵便年金の金額が日本の資金蓄積の上において占むる地位において相当考えなければならん。昔のように銀行預金で十分の一もないような場合、或いは簡易保険だつたら五十分の一、百分の一もなかつたという、そういうふうな場合と、銀行預金に対しまして相当のウエイトを持つておる郵便貯金その他の場合におきましては、考え方は変えなければならん。アメリカなんかにおきましては、郵政省がそれを使つておるということは蓄積資本の中における簡易保険とか、郵便貯金というものの割合、ポリウムが非常に低い、こういうことになつて来ますと、財政上大した問題じやない。併し二千億円を超ゆるこういう金額ができますと、この資金のウエイトが相当財政金融に影響がありますので、こういうふうにしたほうが、いいのではないか。又現に戦争中からこういうふうにやつておるのでありますから、    〔理事木内四郎君退席、委員長着席〕 今暫らくこれで行くべきではないか。而もこれがきつい示唆として現れましたので、私はこういうふうにしておるのであります。
  317. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 そうしますと、大蔵大臣の考えは相当弾力性があると考えられるのですね。そう窮屈なものじやない、そこでいろいろこの問題については随分もめているのですから、そういうふうに窮屈な問題でないというふうな形に法案をされれば、問題は解決すると思うのでありますが、やはり当分の間とか、二十何年度、例えば二十七年度、或いは八年度、そういうふうな形にすることには大蔵大臣は賛成できないのでありますか。
  318. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 私は決意いたしまして御審議を願つておるのでありまするが、国会のほうでおやりになることにつきましては私はとやかく申上げません。
  319. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 大蔵大臣必ずしも反対でない……。
  320. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 提案しました部分についてのあなたがたのお考えになつ修正につきまして、只今は賛成とか反対とかいうふとを申上げる立場にございません。
  321. 大野幸一

    ○大野幸一君 それに関連して後日のためにお伺いして置くのですが、大蔵大臣衆議院の与党、自由党初め各党修正案を用意いたしましたその内容は、第二條から簡易生命保険の積立金と郵便年金の積立金は除外するということ、それから併し昭和二十七年三月三十一日までは運用部に預託するというこの二つの意味を盛つて各党共同して修正案を用意したという事実はお知りになつておつたでしようか、どうでしようか。
  322. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 風の便りと言つては語弊があるかも知れませんが、衆議院修正案が考えられたということは事務当局から聞いたことはあります。併し今のような、お話のような正確なあれではありません、修正案が考えられるということだけで、内容については余り詳しく聞いておりません。
  323. 大野幸一

    ○大野幸一君 当時我々はそれを司令部に持つてつてOKをとるために、これは官房長官など、或いは大蔵当局は若しそれに対して、司令部から意見を求められたならば、それに対して国会修正に対しては異議はないということを言うはずであつたということを聞いておるんですが、それは嘘ですか。
  324. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 私はそういう意見を申げたことはございません。
  325. 片岡文重

    片岡文重君 しばしば席をはずしましたので、或いは他の諸君からお尋ねがあつたかと存じますが、今討議されておりまする資金運用部資金法案に関する問題で根本的な問題になりますことですが、この簡保の資金それからここに出ておりまする郵便年金の積立金資金これを預金部で運用するほうが妥当であるというお考えの上に立つての立論であると考えられるのですがそうすると、今までの大蔵大臣の考えておられた預金部の運用と、それから行政面におけるといいますか、郵政省との今までのいきさつ等について、何か私は矛盾するような気がするのでありますが、それらについて一つ意見を伺いたいと思います。
  326. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 御質問の点がはつきりいたしませんが、事情は今木村委員に対しましてお答えした通りで、これ以上のことはありません、具体的に御質問頂ければお答えいたします。
  327. 片岡文重

    片岡文重君 木村さんにお答えなつた点がよく私先ほどお断り申しました通り、前段のほうはよくわかつておりません。席についておりませんから、それで御了解を得たわけでありますが、私聞くとこるによると曾つて郵政省と大蔵省との間においてこの問題について協定がなされておつて、その線に沿うてやつて来られたやに私伺つておるのですが、何か両省の協議が円満につかないで、一方的にこれが出されたやに伺うのですが、そういう点について御意見を伺いたいのです。
  328. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 協定と申しますと、各省いろんなことがありますので存じておりません。どういう協定でございましようか。
  329. 片岡文重

    片岡文重君 それでは今ちよつと資料が見当りませんからその次をお尋ねいたします。衆議院における大蔵大臣の御答弁を伺いますと、簡保の募集、それからこの年金の募集が幾何級数的とは言わないまでに、相当二十一年度から殖えておるという御答弁のように私伺いましたが、二十三年度から二十四年度に亙るこの契約最高高の移り変りといいますか、これを除いて考えて見ますると、必ずしもそうはいかないように資料としては拝見できるのですが、それらの点について一つ意見を伺いたいと思います。
  330. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 私は幾何級数的に殖えているとは言つておりません。幾何級数的のような恰好で殖えていると、こう申したのでありまして、御承知の通り戦後インフレによりまして生命保険は非常な不況に陷つておるのであります。今でもまだそのきらいがありまするが、簡易保険につきましては、私毎年の数字は持つておりませんが、非常に殖えておると私は記憶いたしておるのであります。数字等につきましては、政府委員の事務当局答弁させます。
  331. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) 最近の簡易保険の契約高の計数を申上げますと、二十二年度末におきましては契約高は二百四十四億円でございましたものが、    〔委員長退席、理事木内四郎君委員長席に着く〕 二十五年の十二月に三千七百五十九億に殖えております。これに対応いたしまして民間保険におきましては二十年度末には七百三十五億の契約高でございましたが、それが二十五年度十二月末には五千三百九十三億なにつております。
  332. 片岡文重

    片岡文重君 これはいささか釈迦に説法という形になるかも知れませんが、契約高を以て御説明になられる場合には、これは年々増加して行くのは当然であつて、私のむしろお伺いしたいという点は、そういう契約高でなくて、いわゆる年々の増加高、一年の増え方が本当の増加であろうと思う、契約の高は貯金と違いますから嵩高になつて行くのは当然だと思います。そういう観点に立つての御説明を頂きたいと思います。
  333. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) 私は契約高で行くのが適当じやないかと思います。御質問の点はなんでございますか、毎年の払込保険料をおつしやつたのですか、或いは貯金準備金とか責任準備金に相当するものをおつしやつたのですか。
  334. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) 御指摘の資料がございましたから申上げます。契約の増加高で申しますと、二十三年度簡保九百八十億、民保が千七百億、ところが二十四年度は簡保千七百九十億に殖えておる。これに対して民保千百四十億に殖えております。
  335. 片岡文重

    片岡文重君 それから先ほどいわゆる大蔵省と郵政省の間になされた協定と申しますのは、昭和二十四年十月二十四日になされておるようでありますが、これによつてこの問題は一時的のものであるということの前提に立つてなされておつたようであります。而もその当時日本における経済状態を勘案されての止むを得ない措置としての御協定になつたように私伺つたのですが、最近における経済状態の好転、これはマツカーサー元帥がしばしば述べられておる点からみましても、証拠立てられると思うのでありますが、そういう点に立つてなお且つこれを而も両省の完全なる了解なくして延期されようとされるその御意見をお伺いしたい、こういうことであります。
  336. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) この簡保資金の統一運用につきましては、どうも前提に多少の御理解の足らない点があるのではないかと思うのであります。終戦後二十一年の指令によりまして、法律に優先いたしまして、簡保資金預金部に統合しろということになつておるのでございます。これをこの二、三年このかた一つ制度を変えて簡保の独立運用というところに持つて行こうじやないかということでいろいろの論議があつたわけでございます。
  337. 片岡文重

    片岡文重君 次に伺いますが、先ほど来大臣の御説明の中に郵便貯金という言葉がしばしば出ておつたようですが、問題になつて来る点は、貯金と、それから簡保や何かの性格とはまるつ切り、まるつ切りとは言い過ぎかも知れませんが、大分違うようでありますた従つてどもはこれを控除すべきであるという意見の上に立つ、簡保並びに年金の資金は戦前になされておつたように郵便省に返すべきであるという意見の上に立つておるのでありますから、郵便貯金がどういう率を占めておろうとも、この点については差当つて異議を考えませんので、而も大方の意見がやはり私と同じように考えられまするので、御説明の中に貯金を含めて御説明を下さることは却つてどもの理解を誤らせるように考えられますので、一つお含みおきを頂きたいと思うわけでございます。  それからやはり衆議院における御答弁を伺つておりますと、戦争中から一手に引受けて大蔵省でこれを扱つておつたというふうに御説明になつておられるのでありますが、これ又私どもからみますと、いささか相違があるのではないかというふうに考えられるわけですが、この点についてそういう御答弁通り御訂正の必要がないかどうか、一つ先ず伺つた上で……。
  338. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) あなたとの相違はどの点でございましようか。若し訂正すべきものがあつたら訂正いたします。
  339. 片岡文重

    片岡文重君 大蔵大臣委員会においての御答弁で、大蔵省で一手に引受けて運用をしますことは戦争中から始まつたことであつて、その後もずつとやつておるのであるというような意味の御答弁がされておるのでありますが、これは一部分についての引受けはやつておられたかと存じますが、全体についてやつておられたとは考えませんので、この御答弁によりますと、全部を引受けておやりになつておられたように考えられまするので、この点全部と解釈して差支えないかどうか。
  340. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) それは郵政省におきまして今三十数億円の貸付金がございます。これは今まで通りにやつておるのであります。私の申上げますのは、昭和十八年から大部分を預金部のほうへ統合をいたしたのであります。まだ郵政省自体でおやりになつておるものは三十数億円あることは承知の上でお話し申上げておるのであります。
  341. 木内四郎

    ○理事(木内四郎君) 片岡君御質問ありますか。
  342. 片岡文重

    片岡文重君 いま一つ、この簡保並びに年金は勿論特別会計になつておりますし、而もこの積立てられた資金を以て健康相談所であるとか、或いは巡回相談所であるとかいうようなことにも使つて、実質的にこれを地方に還付するようにすることが、たしか簡保法に調つてあると私は考えておりますが、これを大蔵省に持つて行かれてしまつて、而も確定利率でやつて行かれるというようなことになつて参りますと、こういうような約束された事実が実際においてやつて行けないような結果を招来すると考えるのでありますが、それについて大臣はどうお考えでしようか。
  343. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) これは資金運用部に切換えるといたしましても、現状を変更するものではないのでございます。現在でも二十一年の指令によりましてそういうことは禁止せられております。この郵便貯金の金は勿論でありますが、その他預金部に流入されていました資金は、原則として国債、地方債に運用するということになつておるのであります。
  344. 片岡文重

    片岡文重君 一応終つて置きます。
  345. 木内四郎

    ○理事(木内四郎君) ほかに御質問ありませんか……。ほかに御質疑がなければ、暫時休憩いたしたいと思いますが、両院協議会のほうの模様でここは何どき開くかも知れませんから、大蔵大臣も何どきでも御出席できるようにして頂きたいと思います。なお委員のかたがたもなるべくこの席で御休憩になるように願いたいと思います。暫時休憩いたします。    午後八時二十七分休憩    —————・—————    午後十時十九分開会
  346. 小串清一

    委員長小串清一君) 休憩前に引続きまして、大蔵委員会を開会いたします。資金運用部資金法案資金運用部資金法施行に伴う関係法律整理に関する法律案資金運用部特別会計法案郵便貯金特別会計法案会計法の一部を改正する法律案、以上五案を一括して議題といたします。
  347. 野溝勝

    野溝勝君 わからんですが、もう一回静かに言つて下さい。聞きとれませんから……。
  348. 小串清一

    委員長小串清一君) そうですか。資金運用部資金法案資金運用部資金法施行に伴う関係法律整理に関する法律案、わかりますか。資金運用部特別会計法案郵便貯金特別会計法案会計法の一部を改正する法律案、以上五案を一括して議題といたします。  別に御発言もないようでありますから、質疑は盡きたものと認めて、直ちに討論に入ることに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  349. 小串清一

    委員長小串清一君) 御異議ないと認めます。それではこれより討議に入ります。御意見のおありのかたは、賛否を明らかにしてお述べを願います。
  350. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 私は只今上程されました五案につきまして、反対をするものであります。  反対の理由は、これまでの審議の経過に徴しても非常に朗らかなのでありますが、これを要約すれば三点に帰着することができると思うのであります。  その第一は、これまでの審議の経過を見ておりますと、どうもこの法案は大きな金融業者とか、大きな生命保険会社、これの擁護の法案であるということが非常に明らかになつて来たのであります。大蔵大臣は、この簡易生命保険を維持、育成する、こういうふうに言われて、その方針は変らないと言つておりますが、そういう保険社会の方面から、どうも簡保の競合関係というような点から、簡保の維持、育成を好まない、そういういろいろな動きがあるように思われるのであります。更に又金融機関のほうにおきましては、預金部で零細な資金が集まつたのを、これを以て金融債を引受けるという形で、そうしてこれを大企業のほうに運用して行こう、こういうことを望むわけでありまして、そういう面からも郵政省のほうにおいて、この資金を運用して、簡保がますますこれが発展することについて、これを生命保険のほうからも、大生命保険会社、それから大金融業者のほうからも好まない。そういう点がどうも看取されるのであります。これが審議の経過に徴して、そういう感じを持たざるを得なかつたのであります。これが反対理由の第一であります。  第二の反対理由は、郵政省においてこの資金を運用するということによつて、やはり簡保の募集の成績が非常に良くなる、こういうふうに思われるのでありまして、これまでのいろいろな反対運動とか陳情とか、そういうものに徴しまして、第一線において簡易生命保険の募集に携わる人の心理的な気持として、これが資金運用部で一括長期的に運用せられるということになりますと、簡易生命保険募集の成績が阻害されるとは言えないと思いますけれども、その著しい発展にブレーキをかける危険がある。而も資金蓄積というものは、今の日本においては非常に大切なんでありますから、それに対してブレーキがかかるのではないか。こういうやり方をやるのは、大局から見て決して得策ではない。集まつた国家資金、こういうものを配分する、これをどういう方面に投資するかということも、無論重要なんでありますけれども、日本の現状としては、その前に先ず蓄積資金のボリユームを大きくするということも、これは非常に重要なわけでありまして、そういう観点から見ますと、簡易生命保険の募集成続に幾分でも悪い影響を与えるというような措置は、これはとるべきではない。こういう点から反対せざるを得ない、これが反対理由の第二であります。  それから第三の反対理由は、郵政省がこの資金を運用すると、簡易生命保険に加入した加入者の保険金の運用に危険が生じた場合、危険が生ずる可能性がある。そうしますと、その補償が十分でない、損失が生じた場合、国家がこれを補償しなければならない。そうすると国民の税金というものによつてこれを補償しなければならないとすると、国民負担になるというような意見があるようでありますけれども、これは金融債を引受けても、郵政省で資金を運用しても、これは同じであろうと思うのであります。従来の例に徹しても、郵政省と大蔵省において協議して愼重に投資すれば、そういう危険はないわけでありまして、これを以て資金運用部において資金長期的に運用しなければならないという唯一の理由にすることは当らないと思うのです。  以上三点からこの法案に賛成することはできないのでありますが、最後に若しこの法律案がここで成立しなくても、これまで金融債は一、二月にこれは実際において引受けておるのでありますから、私は今後金融債を引受けることが、本法案が成立しなければできないという理窟はない。若しそうであれば、一、二月金融債を引受けたのは、これは違反なわけでありますが、実際において引受はできておるのでありますから、三月においてもこれが引受はできないという法にないと思うのであります。  以上の理由によりまして、私は労働者農民党を代表して本法案に反対するものであります。
  351. 小串清一

    委員長小串清一君) ほかに御意見もないようでありますから……
  352. 三輪貞治

    三輪貞治君 私は日本社会党を代表いたしまして、只今議題となつておりまする資金運用部資金法案並びに関連法案に対して反対をするものであります。  先ずこの法案は、簡易保険積立金の統一運用を恒久化するものでありますが、これは根本において認識の錯誤に立脚するものであります。およそ統一は非常なよいことと考え勝ちでありますけれども、統一の結果、事物の本質を滅却するような統一は有害無益であります。今回の簡易保険積立金の運用部統一は、まさにこの有害無益の典型であります。今更くどくどしく説明する必要もないのでありますが、現在の日本にとりまして、資本の蓄積と民生の安定は最も大切でありますけれども、簡易保険はこの資本蓄積と民生安定とに最も効果的な経済的施設であります。従つて簡易保険事業を強化発展させることは、日本再建のために極めて大きな意義を有すると考えるのであります。然るに簡易保険は、御承知の通り国民に加入を強制する保険ではなくて、郵便局員勧誘によつて加入する制度であります。従つて郵便局員が勧誘し、募集しやすいように制度を組立ててやるのがこの事業の強化発展に肝要であります。(「私語うるさいぞ」と呼ぶ者あり)私語をやめて下さい。ところが簡易保険積立金を大蔵省に統一運用するとすれば、如何なる結果が起るかといいますと、第一に二十六万郵政従業員の士気は目に見えて沮喪いたしまして、勤労意欲が失墜することは、数十万の陳情者によつて明らかであります。  第二に、資金運用部は、簡易保険積立金の預託に対して年五分五厘以下の利子支払うのでありますが、これを郵政省において運用すれば、六分五厘以上の利子収入があり、これによる利差益は契約者配当の方法によつて加入者に割戻され、その結果簡易保険の契約募集も容易となるのであります。而も簡易保険積立金をいわゆる地方還元の原則によつて従来通り郵政省自体運用することをば認めまするならば、地方公共団体は保険加入に一層熱意と協力とを示し、簡易保険の契約募集と契約保全とは一層容易となり、従つて資本蓄積は現在以上に促進せられるのであります、勿論我々は郵政当局をして簡易保険資金を勝手は放資せしめよと言うのではありません。大蔵省の金融財政方策に順応せしめつ、資金を地方還元せしめよと言うのであります。かくすることによつて郵政省二十六万の従業員をして、旺盛なる勤労意欲の下に簡易保険の募集活動に従事せしめ、而も半面大蔵省の意図する財政金融方針に順応する資金融資を行うものとすれば、大蔵省は何を苦しんで資金の統一的管理という理念に焦慮する必要がありましようか。私は大蔵省のセクシヨナリズムにすべての癌があることを率基に指摘する者であります。  次に資金運用部資金法案が万一不成立となりますれば、金融債引受は不可能となり、経済界の混乱を惹起するのみならず、郵便貯金預入者に対する利子支払は不能となり、大蔵省預金部職員四百数十名に対する俸給支払を中止せざるを得なくなるから、原案通り通過きしめねばならんという説も一部に行われているようであります。併しこれはためにするものの宣伝に過ぎません。即ち預金部資金から金融債の引受をなすことが国家のために必要なりとすれば、そこには合法的な途が開かれておるのであります。即ち先に木村委員も指摘されましたように、昭和二十一年一月二十九日のマーカツト指令第四項によれば、国債、地方債の需要を充たした後なお余裕金あらば、これは司令部の承認を受けて、銀行に対する貸付、又は銀行債の引受購入をなし得ることを公然に認めておるのであります。預金部資金運用法令においても、この金融債の引受買入を認めておるのであります。これらの司令部指令や、国内法の規定が厳存すればこそ、預金部資金運用部金融法案の成立しておらない二十五年度において、司令部承認の下に、本年一月及び二月中に九十七億円の金融債を引受購入し、又三月中に約五十億円の金融債投資を内定しておるのではありませんか。即ち司令部の承認を得ることを條件として、金融債の引受は資金法成立、不成立の如何にかかわらず可能であるということが立証されております。いわんや郵便貯金利子支払や、預金部職員給料支払は、前者は郵政特別会計において、後者は非現業員共済組合において一時立替支払をいたしまして、五月を待つて予算修正を行い、而も単に資金運用部とあるを、預金部に改めることによつて、何ら本質的支障を惹起するものではありません。いわんや本法案によつて簡易保険積立金を永久的に、大蔵省の支配下に置くがござときは、徒らに政府資金の統一を焦つて、反面微妙な従業員心理を没却し、遂には資本蓄積にも阻害を与えるものであることを率直に指摘したいのであります。簡易保険積立金のごときは、一時的にドツジ書簡に敬意を表して預金部に預託することは止むを得ないとしても、これを永久化して簡易保険の企業的生命を奪い、二十六万従業員の士気を沮喪せしめ、一万数千の地方公共団体の地方還元に対する熱烈な期待を抹殺するがごときは、一体何の必要があつてかかる愚を強行せねばならないのでありますか、全く本員の判断に苦しまざるを得ないところであります。  この点の意見の一致を見ました本委員会において各党共同提案修正案をその筋に出して、我々はその成功に努力をいたして参つたのでありまするが、不幸にして先ほどの会合において油井委員から御報告がありましたように、OKが得られなかつたのでありまするが、これを理由にして或いは先ほどからの会合等で承わつておりまするというと、皆さんがたの中には、又しても過去において第三、第四、第五、第七国会等で形式的な決議案を可決いたしまして、而も何らこれが政府或いは司令部当局に容れられるところとなつていない。そういつたような附帶決議のごときものをいたしまして一時を糊塗するというようなことは、全く我々のとらないところであるわけであります。よろしく国会は立法権としての自主権をみずから昂揚する上におきましても、この際断固たる処置をとるべきであると確信して疑わないのであります。我が参議院におきましては特にその性格に鑑みまして、この事態の本質を見極め、冷静事に処するところがなければならんと思います。  私は生命保険の本質を破壊し、国民の輿論を等閑視し、而も何ら実益を収め得ざるところの本法案、而もいろいろな理由に籍口いたしまして、大衆の零細なる保険、共済等の資金を独占資本に奉仕せしめるごとき本法案に対しまして、国民の代表者といたしまして絶対に反対をいたすものであります。(拍手)
  353. 杉山昌作

    ○杉山昌作君 私は只今提案になつております五法案に賛成するのであります。併しながらこの法案の今日までの審議の経過を見まするに、この法案が、殊に資金融資法案がすべての資金を統一して運営するということにつきましては、長きに亘つてこれをやるときには、将来における資金の吸収に支障があるのではないかということを恐れるのであります。併しながら、今日の事態におきまして、統括運用するということは最も必要なことであると思うのであります。  この意味におきまして、只今お話のありました通り共同修正の議も出たのでありますが、そのことが実際において行うことを得ないということになりまして、只今は然らば立法府としては断固たる考えというふうな話も出ておりまするけれども、併し断固たる立法府の権限と申しまするものも、やはりそのときの事態、事情に応じてこれが運用を期して行かなければならんと思うのでありまして、私はただ立法府の断固たる決意というふうなことでなしに、如何にするのが今日の事態において最も適当かということを考えまして、先ほど申上げましたように本案に賛成するものでありまするが、併し又今申上げましたような事由からいたしまして、賛成をするのと同時に、次のような決議を同時に採択せられんことを提議するものであります。で決議は  資金運用部資金法案による簡易保険及び郵便年金積立金の統合運用は、現下の経済事情に鑑み非常臨時の措置として止むを得ないものと認めるが、能う限り近い将来において、郵政省にその運用権を移管し、両事業経営の正常化と、資金の地方還元とに支障なからしめる必要がある。  よつて政府においては以上の趣旨に基き誠意を以て善処すると共に運用権を郵政省に移管する以前においても右の趣旨の実現に努力せられんことを強く要望する。  右決議する。  以上であります。
  354. 木内四郎

    ○木内四郎君 私は国民民主党を代表いたしまして、本法律案に賛成いたすものであります。  当委員会におきましては総意といたしまして当分のうちこの制度を認めるという修正案を出して、関係方面に当つたことは、先ほど来、数氏から述べられた通りであります。これが貫徹されませんでしたことは甚だ遺憾でありましたが、大蔵大臣は当委員会におきまして、数度に亘つて経済金融の現段階においては止むを得ないが、この制度は決して永久不変のものではないということを言つておられました。これは言葉を換えれば、我々が当委員会の総意として関係方面に提出いたしました当分のうちということに該当するものであると考えまするので、大蔵大臣の数度の声明を了といたしまして、私は本法律案に賛成するものであります。
  355. 小串清一

    委員長小串清一君) ほかに御意見もないようでございますから討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  356. 小串清一

    委員長小串清一君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。資金運用部資金法案資金運用部資金法施行に伴う関係法律整理に関する法律案資金運用部特別会計法案郵便貯金特別会計法案会計法の一部を改正する法律案、五案を一括して採決に入ります。以上五案について御賛成の諸君の御挙手を求めます。
  357. 森八三一

    ○森八三一君 杉山さんの附帶決議がありますが、あれはどうなさいますか。
  358. 小串清一

    委員長小串清一君) それはあとでやります。もう一度採決をいたします。賛成の諸君の挙手を願います。    〔挙手者多数〕
  359. 小串清一

    委員長小串清一君) 多数と認めます。よつて五案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  次に杉山委員よりこの法案施行についての注意すべき決議がありましたから、これも併せて賛否を求めます。右杉山委員提案に賛成のかたの挙手を求めます。    〔挙手者多数〕
  360. 小串清一

    委員長小串清一君) 挙手多数であります。杉山委員提案も多数を以て決定されたものと認めます。  なお本会議における委員長の口頭報告の内容については本院規則第百四條により、あらかじめ御承認を願うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  361. 小串清一

    委員長小串清一君) 御異議ないと認めます。  それから委員長が議院に提出する報告書に多数意見者の御署名をお願いいたします。  多数意見者署名     愛知 揆一 木内 四郎     小宮山常吉 小林 政夫     杉山 昌作 森 八三一     秋山俊一郎 岡崎 真一     黒田 英雄 油井賢太郎     大矢半次郎
  362. 小串清一

    委員長小串清一君) 暫時休憩いたします。    午後十時四十四分休憩    —————・—————    午後十一時四十七分開会
  363. 小串清一

    委員長小串清一君) 休憩前に続きまして大蔵委員会を開会します。只今衆議院より提出されました関税法の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案議題といたします。    関税法の一部を改正する法律案の一部を改正する法律案   (関税法の一部を改正する法律の一部改正)  第一條 関税法の一部を改正する法律(昭和二十六年法律第七十六号)の一部を次のように改正する。    附則中「四月一日」を「五月一日」に改める。    (保税倉庫法及び保税工場法の一部を改正する法律の一部改正)  第二條 保税倉庫法及び保税工場法の一部を改正する法律(昭和二十六年法律第六十五号)の一部を次のように改正する。    附則第一項中「四月一日」を「五月一日」に改める。     附 則   この法律は、昭和二十六年四月一日から施行する。  こういう法律案、即ち先刻通過いたしました関税定率法の一部改正のほかに、関税法の一部改正と、保税倉庫法及び保税工場法の一部改正の施行期日の延期を附加したわけであります。  別段御質問もないようでありますから、直ちに討論に入ることに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  364. 小串清一

    委員長小串清一君) 御異議ないと認めます。それではこれより討論に入ります。    〔「省略々々」と呼ぶ者あり〕
  365. 三輪貞治

    三輪貞治君 「五月一日」に改めて、それを昭和二十六年四月一日から施行するというのはどうなんですか。
  366. 小串清一

    委員長小串清一君) この法律は昭和二十六年四月一日からやる、こういうのであります。    〔「採決々々」と呼ぶ者あり〕
  367. 小串清一

    委員長小串清一君) それでは別段討論はないものと認めますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  368. 小串清一

    委員長小串清一君) 御異議ないと認めまして、今朗読をいたしました法案を原案通り可決することに御賛成のかたの挙手を願います。    〔総員挙手〕
  369. 小串清一

    委員長小串清一君) 全会一致でございます。可決すべきものと決定いたしました。  なお本会議における委員長の口頭報告の内容については、本院規則第百四條によつてあらかじめ多数意見者の御承認をお願いすることに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  370. 小串清一

    委員長小串清一君) それから委員長が議院に報告する報告書に附する多数意見者の御署名を願います。  多数意見者署名     愛知 揆一  木内 四郎     森 八三一  下條 恭兵     大矢半次郎  三輪 貞治     黒田 英雄  小林 政夫     小宮山常吉  秋山俊一郎     杉山 昌作  岡崎 真一     松永 義雄
  371. 小串清一

    委員長小串清一君) これにて散会いたします。    午後十一時五十分散会  出席者は左の通り。    委員長     小串 清一君    理事            大矢半次郎君            杉山 昌作君            木内 四郎君    委員            愛知 揆一君            秋山俊一郎君            岡崎 真一君            黒田 英雄君            片岡 文重君            下條 恭兵君            野溝  勝君            松永 義雄君            三輪 貞治君            小宮山常吉君            小林 政夫君            高橋龍太郎君            油井賢太郎君            森 八三一君            木村禧八郎君   委員外議員            上條 愛一君   衆議院議員            西村 直己君            奧村又十郎君            水田三喜男君            三宅 則義君   国務大臣    大 蔵 大 臣 池田 勇人君   政府委員    大蔵政務次官  西川甚五郎君    大蔵大臣官房長 森永貞一郎君    大蔵省主計局長 河野 一之君    大蔵省主計局法    規課長     佐藤 一郎君    大蔵省主税局長 平田敬一郎君    大蔵省主税局調    査課長     忠  佐市君    大蔵省主税局税    関部長     石田  正君    大蔵省銀行局長 舟山 正吉君    大蔵省銀行局預    金部資金課長  高橋 俊英君    郵政省簡易保険    局長      金丸 徳重君   事務局側    常任委員会專門    員       木村常次郎君    常任委員会專門    員       小田 正義君