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政府委員(舟山正吉君) では御指示によりまして、大体逐條的に主要点を御
説明申上げたいと思います。
逐條に入りますまでにこの銀行の仕組み全体について一言申上げますと、従来
政府公庫等と称せられました
政府機関でありますところの金融機関に比べまして、この開発銀行はもつとその活動力を自由にしよう、
政府からの規制をゆるやかにしようというのが大きな狙いにな
つております。その意味におきまして、先般成立いたしました
日本輸出銀行の例に則
つておるところが非常に多いのでございます。
先ず第一條の目的でありますが、「
日本開発銀行は、長期資金の供給を行うことにより経済の再建及び
産業の開発を促進するため、
一般の金融機関が行う金融を補完し、又は奬励することを目的とする。」とございまして、これに基きまして、業務の内容は十八條に出て参るのでございますが、これは
政府の特殊機関として飽くまで市中金融機関の長期資金の供給を補完し、又はこれを奨励するというところを狙
つていることを明らかにしたのでございます。
第二條の法人格等は、特に御
説明申上げるところはないかと存じます。第三條の事務所につきましては、先ず本店は東京都に置きまする。この銀行の業務の量が多いことが予想せられますので、大阪、名古屋、福岡等には従たる事務所を設けたい。その他必要に応じてそれを増して参りたいと
考えておるのであります。大体におきまして、この開発銀行は、開発銀行みずから直轄の人員によ
つて相当の融資をすることを建前といたしたい。勿論地域或いは業務の分量等によりましては、後に出て参りますように、他の銀行に業務を委託するのでありますけれ
ども、相当直営的な業務というものに重点を置いて行きたいと
考えておるのでございます。その点は別途御
審議を願いまする予算等にもその気持が現われて参
つておるわけでございます。
資本金は見返資金から、第四條にございますように百億出しますけれ
ども、
あとでなお出て参りますように、一言にわかりやすく申上げますれば、
復興金融金庫が貸出しをしておりますその貸出しの回收金は、回收される都度自動的にこの開発銀行の資本金にな
つて行くという仕組みをとろうとしておるのでございます。但し
昭和二十六年度は、
あとで申上げますように、特例がございます。現在復金の貸出金は八百八十億ございまするので、それらの大部分が将来開発銀行の資本金に順次な
つて行く建前でございます。四條の三項に「必要があるときは、
大蔵大臣の認可を受けて、その資本金を増加することができる。」旨を謳
つております。この
法律を通じまして、
大蔵大臣の認可を受けます事項は、殆んどこれだけでございまして、その他の営業
方針とか、或いは定款等につきましては、
一般の銀行の例にはよりませんで、この銀行が自主的に定められる建前をと
つております。それから第五項には、
日本開発銀行の出資者は
政府だけに限るとの趣旨を明らかにしております。第五條の定款等、第六條の登記、第七條の名称の使用制限等は類似の法文に出て参ります
規定で特に御
説明申上げることはないかと存じます。
第八條の解散につきましては、先ほ
ども申上げましたように、この解散時を想像いたしますと、見返資金による資本金、それから復金等の回收金が
一般会計からの出資金とみなされて存在いたします出資金と二種類の出資金が併存するわけでありますが、それらについて残余財産の分配をどうするかというような問題は起
つて来ると思うのでありますが、それは解散のときにおける
法律で定めるということを明らかにいたしたのであります。
第二章の役員及び職員の部分に入りますが、第十條に役員として、総裁一人、副総裁一人、理事七人以内、監事二人以内及び参與五人以内を置くということにな
つております。理事も輸出銀行の場合に比べて多くな
つております。参與は、先ほど言いたしました五項におきまして、その職務権限を明らかにいたしまして、
産業人をこれに当てまして、適切なる
意見を具申する機関といたしたい
考えであります。
第十二條は「総裁、副総裁及び監事は、内閣総理
大臣が任命する。」と謳
つておりますが、理事及び参與は爾後において総裁が任命するのでございます。言い換えれば、総裁、副総裁に、その経営陣の構成は一任する、そうしてこの責任を持
つてもらうという趣旨の下に掲げたものでございます。
十三條は任期の
規定でございますが、これは最近の他の法令にもございますように、それにおきまして一部分は、この最初の任期はこの目的に
規定してあります任期の半分といたしまして、全員が一時に改選されることのないようにいたしております。それから十四條の代表権の制限、十五條の代理人の選任、第十六條の職員の任命、第十七條の役員及び職員の地位等につきましては、特段に御
説明を加える必要はないかと存じます。
第三章業務でございます。第十八條に第一條の目的を受けまして、業務として三項目を掲げてございます。即ち経済再建及び
産業の開発に寄與する設備費、ここには船舶及び車輌を含むことといたしまして、その取得、改良又は補修に必要な資金でありまして、市中の銀行その他の金融機関から供給を受けることの困難なものに貸付ける。但し、その貸付にかかる貸付金の償還期限は一年未満のものであ
つてはならないと
規定してございます。この市中で金融を受けがたいということと、一年未満のものを除くということは二号三号にも共通な
規定でございまして、ここにおいてこの銀行といたしましては、長期
産業設備資金でこの市中で調達が困難なものを專ら担当するという趣旨をはつきりいたしまして、市中金融機関との業務の分野を確定いたしたのであります。第二号は開発資金の調達のために発行される社債、それには特別の法人債も含むのでございますが、これが証券
業者等が応募又は引受をすることが困難なものに応募することとな
つておるのであります。この社債の引受につきましては、銀行業務と証券業務と分離するという最近の
考え方に基きまして引受は落してございます。それから第三号は、俗にいう肩替りでございまして、銀行その他の金融機関が貸付けているこれらの資金の返済に必要な資金を貸付け、又は返済資金を調達するために発行される社債に対して応募するという業務を謳
つておるのでございます。それから第二項に参りまして、第一項の
規定を読みますと、市中で調達が困難な融資を担当するとありますが、その意味は決して救済的な金融をするのではない、飽くまでぺーイング・ベースにのつたものでなければならないということを明らかにいたしますために特に第二項の
規定があるのでございます。この資金の償還又は社債の償還が確実であると認められる場合に限
つてこの銀行は叙上の融資をすることができるということをはつきりさせたものでございます。十九條の貸付利率は、やや抽象的な字句でございますが、これに盛られました思想は、決して市場金利に比べまして不当に低い利率を出してはならないということでございまして、即ちこの銀行の收得いたします貸付金利息等がこの事務費等を十分に賄えるに足るようにされなければならない、且つ市中の銀行の貸付利率も参酌してきめなければならないということを謳
つております。この利率を実際問題として具体的にどの程度にきめるかということはまだ成案を得ておらないのでございます。実際問題といたしましては復金が現に有しておるような利率、これらは大きな参考になろうと
考えておるのであります。第二項のほうは、これは特定の借入先に対して利率を変えてはいけないということを謳つたものでございます。第二十條の業務
方法書は特に申上げることはございませんが、先ほ
ども申上げましたように、銀行が自主的にきめることにな
つておるのであります。二十一條の業務の委託は銀行以外のものに対しては委託を禁止しております。
それから第四章の
会計のところに移りますが、これは輸出銀行の例と大体同じでございまして、特に申上げることはなく、手続的な
規定が多いのでございます。第二十四條におきましては、この開発銀行のこしらえます予算は、いわゆる
経費予算に限りまして、その他の事業予算は、これは組まないでよろしいということにいたしたのでございまして、その自由なる行動を妨げないようにしている次第でございます。以下予備費、予算の議決、予算の通知、追加予算及び予算の修正、暫定予算、予算の執行等につきましては特に申上げることもないかと存じます。
それから以下大分進みまして、三十六條の利益金の処分でございます。開発銀行は毎事業年度の損益計算上利益金を生じたときはこれを国庫に納付することをいたしませんで、準備金として積立てて行くということを明らかにしたのでございます。この準備金は
損失の補填に充てるのでございます。それから三十七條資金の借入の制限につきましては、実体的にいろいろな議論もある点かとも存じます。即ち開発銀行は資金の借入を一切禁止せられておるのであります。或いは資金の借入を認め、或いは金融債の発行を認めてはどうかというようなことにつきまして論議もございました。
当局といたしましても、そのことについては研究もいたしたのでございますが、結局この発足に当りましては、この
規定で参りたいという
考えに落ちついた次第でございます。第三十八條の余裕金の運用は、輸出銀行の場合もそうでございましたが、相当限局されております。市中への余裕金の預託等は認めておらないのでございます。
第五章の監督に参ります。第四十條に、
日本開発銀行は、
大蔵大臣が專管であることも明らかにいたしております。役員の解任につきましても特に申上げることはないかと存じます。
第六章の補則に参りまして、
復興金融金庫との関連をいろいろと
規定しております。実は
日本開発銀行の発足に当りましては、発足と同時に
復興金融金庫をこれに吸收するという
考え方も別途あり得るのでございますが、本
法案におきましてはその
考え方をとりませんで、取りあえず開発銀行は開発銀行として発足せしめる、そうして
復興金融金庫はこれと併存せしめまして、併し
昭和二十七年三月三十一日、即ち二十六年度一ぱいの間において
政令で定める日に解散して、その権利義務を開発銀行に承継せしめるという建前を
とつたものでございます。そこで第四十四條におきましては、
日本開発銀行の業務がいろいろ制限されておりますが、承継されました債権、債務については大体従前
通りの業務を行なうという
規定を設けたのでございます。それから
復興金融金庫の解散時の資本金の額、四十五條でございますが、これは九百五十四億でございますが、実はこれを全部
政府の貸付金として引継ぎますには、若干の補正を要するのであります。二十五年度末の資本金の額は確定いたしておりますけれ
ども、その他に
昭和二十五年度分の
復興金融金庫の国庫納付金の納付額のうち、
復興金融金庫法第三條但書の
規定によ
つて切捨てられた額、これはどういうことであるかと申しますと、復金の時代におきまして、国庫納付がある、それに応じて復金の資本金は減少さして行くのでありますけれ
ども、但し納付金に一億未満の端数がありますと計算の便宜上出資から切捨てて行かないのであります。そこで国庫に納付されたが、まだ資本金として切捨てられないものがある、これらにつきましては二十五年度末の資本金の額から控除しなければならない、これが第一の項目であります。
それからその次の
昭和二十六年度において
復興金融金庫が解散の時までにこれこれの
法律に基きまして国庫に納付した金額、これも元来繰入れらるべき金額であります。それでありますから、これも二十五年度末の資本金の額から控除いたすのであります。
それから最後の末尾にあります「未拂込資本金額の合計額」、これも控除いたすのであります。これが解散の時における復金の正確に計算したと申しますか最終的な資本金の金額であります。これを解散の時における資本金の額と見るという
規定でございます。
それから四十六條に参りまして、復金の解散の時における
政府の
復興金融金庫に対する出資金というものは、今のようにして計算するのでありますが、これを
日本開発銀行の成立の時に
政府の
日本開発銀行に対する貸付金と
なつたものといたすのでございます。そしてつまり復金に対する出資金というものが爾後開発銀行に対する貸付金の形で整理せられるのでございます。結局
政府に返さなければならない、戻さなければならん
関係は同じでありますけれ
ども、出資金を貸付金に振替えるわけでございます。そうなりますと第二項の
規定によりまして、この
政府の貸付金に対して一定の利子を拂う、この利子は年五分五厘を予定いたしております。
それから次の(法定出資)と書いてあります第四十七條の
規定でございますが、これの細目に入ります前に一言に申上げますと、復金の貸付金が返
つて参りましたものが、これらの
規定によりまして、
日本開発銀行の資本金に自動的に組替えられて行くということであります。但しこの四十七條の前四半期の下に(
昭和二十六年度の毎四半期を除く。)とございますように、
昭和二十六年度につきましては第二項に特例が書いてございます。
先ず二十七年度以降の分について、即ち第一項について申上げます。「
日本開発銀行が
復興金融金庫から承継した権利のうち、その融通した資金に係る債権」、貸付金と簡単に申してよかろうと思います。それから保証債務の肩替りによりまして取得した貸付金、それからそれらの貸付金を保全するため必要な
経費、例えば立替えてありますような保険料のようなものであります。こういうようなもので、結局貸付金に振替えたもの、これらのすべての貸付金のうち、回收したものができましたならば、この四半期ごとに、本来ならばこれが一度
政府に返還せられまして、そうして
政府は更に開発銀行に対する出資としてこれを出すわけでありますが、その間自動的に回収金が四半期ごとに開発銀行の出資になるものとみなされる、こういう趣旨でございます。これこれを生じたときは、当該四半期末において、当該
復興金融金庫関係回收金の額に相当する額の第四十六條第一項に
規定する
政府の貸付金が返済されたものとみなし、その返済されたものとみなされた
政府の貸付金の額に相当する金額が、同じ四半期末におきまして、
一般会計から出資されたものとみなす。こういうことでございます。ただ第二項に参りまして、二十六年につきまして実は
一般会計の予算におきまして復金の納付金が一定額もうきめられております。これだけは復金が関発銀行に乗り移りましても、一応納付して歳入を埋めて行かなければなりませんので、その
関係を
規定したのでございますが、一言に申しますと、七十六億の復金納付金の予算、これだけは先ず納めてもらわなければいかん。その後余剰ができましたならば、これは関発銀行に属せしめるという趣旨でございますが、字句によりますれば、「
日本関発銀行は、
昭和二十六年度に限り、前條第一項に
規定する
政府の貸付金の返済に充てるため、第四十三條第一項の
規定により承継したもののうち一号から三号まで」というのがこの末尾に出て参りますが、今度御
審議願いました
法律によりまして二十五年度において回收はしたが、二十六年度に繰越して納付することにな
つておるものというのが第一号の
規定であります。それから同じく第二号はやはり農林債券の償還金が二十五年度中にございましたら、これは二十六年度にな
つてから納付するということに
法律が今度できておりますが、その金額でございます。大体二十億九千万円にな
つているのであります。それから第三号は復金で二十六年度に予想せられておりました回收金でありますが、五十五億二千九百万円であります。この二号と三号合せましたものが七十六億一千九百万円になるのでありまして、これを限度といたしまして、これだけは当然予算に計上されており、復金から納付しなければならないことに
なつたものですから、これは優先して納付せしめるということを謳つたものでございます。そこでこれ以上にオーバーした分につきましては、第三項に
規定があるのでございまして、超過額の
政府貸付金が来年度末
昭和二十七年三月三十一日において返済されたものとみなされまして、その金額が同日において即ち二十六年度末において
政府の
一般会計から
日本開発銀行に対し出資されたものとみなされるのでございます。大体現在の計算ではこの金額は二十七八億見当かと
考えております。
それから以下の
條文につきましては、手続的な
規定が多いのでございますが、特に第七章罰則では申上げることもございません。
それから附則に参りましても手続的な
規定が多いのでありますが、第三項におままして、「
大蔵大臣は、設立委員を命じて、
日本開発銀行の設立に関する事務を
処理させる。」ことにな
つております。それから第八項におきまして、「
日本開発銀行は、設立の登記をすることに因り成立する。」ということにな
つております。それから第十項におきまして、先ほど第四十七條に申上げましたのは、復金の元本の回收に関する
規定でございましたが、この十項におきましては、いわゆる利益金に属する
規定で、やはり
一般会計に二十六年度の復金の予算で納付しなければならないことにな
つております額は、優先国庫に納付してもらう趣旨を謳つたものでございます。即ち開発銀行は、
昭和二十六年度に限り、左の各号に掲げるものを、四十五億三千二百八十万二千円を限度といたしまして、来年度一ぱいに国庫に納付するというのでございます。納付の順序といたしましては、ここにございますように、この
復興金融金庫の権利義務の承継にまり、
日本開発銀行の成立の時における貸借対照表に利益金として計上すべき金額、それから第二号は、
昭和二十六年度の開発銀行としての損益計算上の利益金、これはわかりやすく申上げますれば、復金と開発銀行とを二十六年度中には
一つに見まして、その利益金というものがこの四十五億三千二百万円ほどになりまして、優先国庫に納付するということに相成るのでございます。その他の利益が入りますれば、これは開発銀行の準備金になるのであります。
それからこれらの事項に関連いたしまして、税の問題がいろいろ起
つて参ります。それはこれを各項目ごとに申上げますと細かくなりますので、概括的に申上げますと、
昭和二十六年度の利益につきましては、これは法人税、所得税を課せない。何となればこれを課しますると、開発銀行の二十六年度の利益からは、二十六年度の予算に定められただけの納付金ができないからであります。二十七年度からは普通に所得税、法人税が課せられるわけでございます。地方税につきましても二十六年度はこれを課し得ないことにな
つております。
それから復金からいろいろ債権債務の譲渡があるのでございますが、それについて登録税法による課税の問題が生じますが、これは移転登録といたしますと税額が非常に大きくなる。そこで変更登記の率でこれを徴收するということを十七項に謳
つております。その他細目がございますが、なお御
質問によりましてお答え申上げることにいたしたいと思います。