○
政府委員(平田敬一郎君)
本案につきましては、提案理由といたしましては、先般御
説明申し上げたかと思いますが、なお若干細目を補足しまして、御
説明申上げたいと存じます。
改正の点は数点ございますが、第一点は、外国貨物を積載しておりまする船舶につきましては、税関長の認許を得た場合のほかは積荷目録又は運送目録を提出した後でなければ貨物の積卸ができないという改正にいたしたのでございます。これは従来は、古くはこのような制度にな
つてお
つたのでございますが、戰時中簡素化の
趣旨からいたしまして届出にしておりましたのを、再び認許に改めようという点であります。大体この
程度は国際慣習といたしましてもいたしておるところでございます。
それから第二の点は、日曜日や休日など税関の通常の執務時間外におきまして外国貨物を積載する船舶の貨物の積卸、それから保税地域におきまする貨物の搬出入及び取扱を同じく税関長の特許事項といたした点でございます。この点もずつと前はこのような制度でございましたのを戰時中簡素化の意味から届出制にいたしてお
つたのでありますが、再び最近の取締の必要等からいたしまして特許事項に変更しようという点であります。それが第二点であります。
それからその次は税関の手数料につきまして、根拠規定を
法律に設けた点でございます。この点は従来は政令でいたしていたのでございますが、財政法の
趣旨によりまして、その根拠を
法律に有せしめる意味におきまして、條文の改正を加えたのでございます。即ち先ほど申上げました臨時開庁、それから貨物の積卸、搬出入並びに取扱、外国貿易船の不開港への出入、それから施設利用の特許、こういう場合におきましては特許手数料を、それから指定地域外の検査或いは造船材料置場などに税関官吏を派出する場合におきましては、派出手数料を、それからその他収容貨物につきましては敷料をそれぞれその
法律の規定に基きまして納付せしめることにいたしておるのであります。その具体的な額等の細目につきましては、これは政令で定めることにいたしております。
それからその次は輸入業者の保護につきまして若干の規定を設けたのでございます。この点は先般も定率法の審議に関しまして御
説明申上げたのでございますが、先ず関税の賦課に対しまして不服のある場合におきましては、税関長に審査の請求ができるわけでございますが、この審査の請求がありました場合におきましては、税関長は一カ月以内に文書を以ちましてその決定を審査請求人に交付しなければならないことにいたしております。これによりまして早く解決を図りまして、正当な利益を擁護しようという点でございます。而うしまして審査の請求の決定に対しまして、更に不服があります場合におきましては、これも従来と同様に大蔵大臣に訴願することができるわけでございますが、大蔵大臣が訴願の裁決を行います場合には、関税訴願審査会の諮問を経て行うことにいたしておるのでございます。審査会の構成等につきましても、従来の不備の点を若干改めることにいたしまして輸入業者の利益の保護を十分ならしめることにいたしております。
それからその次は密貿易の取締につきまして規定の整備を図
つた点であります。その
一つは、犯則嫌疑の物件を拾得しました者、それから犯則嫌疑の遺失物や漂流物を保管します警察官署、市町村長、これらの人々がこれらの物件を速かに税関に届出でなければならないことにいたしております。この点につきましては従来規定が不備でございまして、問題がございました点を明らかにしよういうわけであります。又これらの物件並びに拾得物件の還付を受ける者の所在が明らかでない場合等においては、税関長はその旨を告示いたしまして、公告をいたしましたのち六カ月以内に還付の請求をする者がないときには、そのものを国庫に帰属せしめるということにいたしまして、処理の迅速化と適正化を図ろうという点であります。
それから次に税関に対しまして虚偽の輸出入申告及び輸出入申告書添付の各種証明書を提出いたしましたものに対しましては五万円以下の罰金を科する規定を設けることにいたしました。更にいわゆる第三者通報制につきましては、現在も
法律があるのでございますが、その報償金を若干引上げまして、没収貨物の原価の、現行法は百分の十にな
つておるのでございますが、それを百分の二十に引上げる。
金額の最高限度も現在は二十万円にな
つておりますのを五十万円に増額する。又犯則貨物を届出でました者に対しても、そのものが国庫に帰属しました場合には、第三者の通報者と同じような報償金を支給するというふうに改正いたしておるのであります。このような制度によりまして、極力密貿易の取締の強化に資する考えでございます。
なおその他若干規定の細目の改訂がございますが、以上の点が重な点でございます。