○衆議院議員(小山長規君)
只今議題となりました旧令による
共済組合等からの
年金受給者のための
特別措置法の一部を
改正する
法律案の提案理由を御説明申上げます。
御
承知の
ように第九国会におきまして、
日本製鉄八幡共済組合の
年金受給者の年金額につきましては、先に国家公務員共済組合の年金額が改定されたのに鑑み、
昭和九年一月三十一日以前、即ち、官業共済組合時代の退職者の分に対して、国が、その年金額の改定に伴い必要となる責任準備金の増額分に相当する金額を同共済組合に対し交付する法律的
措置が講ぜられたのでありますが、官営時代からの在職者で民営後受給資格の発生するものの分に対しては、何らの考慮がなされてないのであります。
思うに、八幡製鉄所が
日本製鉄に移管されましたとき、従業者のうち官吏に対しましては、恩給法の定めるところにより、官営時代の清算が一切国庫
負担により行われたのでありますが、雇傭員及び職工に対しましては、実質上官業共済組合の形態をそのまま存続させ、
政府は移管後の待遇につき従来と変らないことを保証し、官営時代の清算を一挙に行うことがなかつたのであります。又、当時従業者の退職手当については、官営在職期間に相当する部分を、移管後におきましても
政府が責任を負う趣旨の規定を法律を以て設けているのであります。従いまして、退職手当については、第八国会において、
日本製鉄株式会社廃止にあたり、
政府がこれを補償する
措置の講ぜられましたことは既に御存知の通りであります。共済組合年金につきましても、曾
つて官業に在職しておつた以上、官業時代の退職者のみならず、民営後に退職し又は退職すべき者の年金増加額のうち、官営在職期間の増加部分を国庫が
負担することとするのは、如上の経緯並びに趣旨に照らして、曾
つて事業主の
立場にあつた
政府の当然の責任と
考えられるのでありまして、現行法が官業共済組合時代の退職者の分のみに限定しているのは、極めて理由薄弱であるばかりでなく、公平の観念にも反すること明らかであります。従いまして、本
改正案におきましては、受事由の発生が官営時代であると民営時代であるとを問わず、年金増加分のうち、官営在職期間に相当する部分の二分の一を国庫
負担とすることとし、その交付方法としましては、一時交付を取りやめて毎年
四半期に交付する
ようにいたしたのであります。なお本
改正法の施行期日は
昭和二十六年五月一日でありますが、その適用は一月一日に遡ることにしまして、旧法の規定によ
つて交付した金額は
改正法の規定により二十五年度及び二十六年度に交付すべき金額の全額とみなすことといたしました。
以上がこの
法律案の趣旨並びに内容でありますが、何とぞ愼重御審議の上、速かに可決あらんことを切望いたします。
なお附加えて申上げますが、本
法案は衆議院の
委員は自由党、民主党、社会党、共産党全員一致で立案し且つ賛成いたしたものであります。