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政府委員(木内信胤君) 従来や
つておりますユーザンス方式を今度変えて欲しいということを私
日本銀行のほうに
提案して今御研究中であります。その利害得失でありますが、それを御
説明いたします前に、普通俗にポンド・ユーザンス及びドルユーザンスというものを
ちよつと御
説明申上げたほうがいいかと思いますから、そのことを申上げます。
元来ユーザンスというものは、
輸入者が荷物が到着してから暫くの間売捌きの期間金融をつけてやるという方式でありますが、そういうことを
日本における
為替銀行がなし得る
基礎は誰がくれるのかと申しますと、元来外銀買取
銀行である、ニユーヨークならニユーヨーク、ロンドンならロンドンの
銀行、その
銀行が、自分は金を拂
つたが、対価を、何といいますか、リバースという言葉を使いますが、回復と申しますか、その回復を受けるのは四カ月先でもいいということに外銀がしてくれるのがユーザンスの本体であります。それは一時そういうユーザンスを使
つたこともあ
つたのでありますが、昨年の初め、
只今も答弁にもありましたように、外貨がどんどん殖える状態になりましたが、外貨が殖えるにかかわらず金を借りる必要がない。金を借りれば利息を拂わなければなりませんから、不必要な利息は拂う必要がないということに考えられましたので、一応差止めたわけです。ところが最近になりまして、ポンドは大分前から
不足いたしまして、たしか一月の末項からポンドは外銀のユーザンスを使うということに
なつたわけであります。それに引続いて最近は
輸入が非常に捗りまして、外貨は大体今申上げました
通り減少態勢に入りましたし、
輸入の必要のあるものはどんどんしたほうがいいと考えられておりますところから、ドルにしても短期ではありますが借金をして、その分だけ余計に
輸入ができるようにしようということにな
つております。これがドル、ポンドを合わせました外銀ユーザンスと呼ばれて、外銀が金を貸してくれるからポンドのユーザンスが與え得るという仕組であります。そこでそれらは常道であるので、そういうことになるはずでありましたが、一時先にも申しました余計な利息を拂うまいという観点からそれをやらないということになりますと、代りのものを出さなければ困る。現在のやり方で申しますと、
日本銀行が仲に立ちまして、先方ではユーザンスをくれないのですから、船積証明が来ましたときに、私どもの外貨が落ちるわけであります。落ちたときに
為替銀行からその外貨を取立てる。
為替銀行は外貨を持
つておりませんから、円を取立てて外貨を売
つた形式にして、それを始末するということをやる代りに、
日本銀行に私どもは外貨を売りまして、
日本銀行がその外貨を
為替銀行に貸してや
つて、貸した外貨を私どもに預け込んで、
所要の期間にその外貨を落すという恰好にして、先方の、伺う側のほうは始末をつけまして、
日本銀行はその外貨を最高四カ月まで貸しますから、その期日が来たときに、今度は
輸入業者から円を取立てまして、その円で以て私どものほうの
会計から外貨を
為替銀行が買いまして、その買
つた外貨で以
つて先に
日本銀行から借りたところの外貨の債務というものを返済する。こういう仕組にな
つておるのが現在の日銀ユーザンスと呼ぶものであります。その仕組によ
つて外銀から借りなとも、日銀から借りたことによ
つてその
基礎をもら
つて、その
基礎の上に業者に対してユーザンスを與えるということにな
つておるのであります。これが現在のやり方なんであります。これは甚だ複雑でありまして、私どもが外貨を日銀に売る、日銀がそれを
為替銀行に貸す、
為替銀行がそれを私どもに預け入れる、預け入れたもので向うの決済をする、それが最初の三角形の取引であります。それが四カ月先になりまして、丁度その逆のようなことを三角形で行うということで、まあそういう形で行きますから非常に結構なことであ
つて、そういう
制度を起しましたことが、幸いにして最近にな
つて明らかにたりましたように、
輸入が相当捗
つたという事実を作
つた上には功績は大いに大きなものがあ
つたと思うのであります。
然るにそれをなぜ変更したいかと申しますのは、いろいろなことがありますが、換言して申しますれば、その三角形を二度やるということは非常に面倒な余計な手数であるのみならず、
日本には外国
銀行の支店もありまして、その支店が
日本銀行と同じ
立場で仕事をしたいという希望を持
つておるのがイギリス系の
銀行であります。イギリス系の
銀行は、これはイギリスは為替管理が布いてありますから、イギリスの為替管理から言えば、イギリスの
銀行の
日本における支店というものはイギリスの為替管理法から見ての外国人、
日本の為替管理法から見ますと為替内国人、エクスチエンジ、レジデントという言葉ですが、従
つてイギリス側にそういう
関係もございまして、
日本の
為替銀行と同じ
立場で仕事をしたいという気分が強いのであります。最近はポンドのユーザンスが始まりましてから問題は非常に変りましたけれども、自分たち自身のお客さんに対して、
日本側の
銀行がやると同じことをしたいと思いますと、今の日銀ユーザンスシステムに彼らが乗りたいという場合が出て来るわけです。彼らも日銀ユーザンス・システムに乗
つて仕事をしたいと思う場合には、今の日銀から外貨を借りますから、借りるために
為替銀行は日銀に約束手形をやる、これは外貨表示であります。外貨表示の約束手形を入れるというのが今の
制度でありますが、彼らはそのシステムに乗
つて仕事をするためには外貨の約束手形を書かなければならないという必要に迫られる。その約手の書くということはイギリスの慣習から申しますと約束手形というものは大体破産する一歩手前に書くものであ
つて、め
つたに書かないものである。自分の
銀行が約束手形を書くということは非常に恥になる。のみならず外資
関係においてイギリスの為替管理法から見れば外国人でありますから、それがポンドの債務を負うということはイギリスの為替管理法にも抵触することになるので、今の
制度では彼らは乗れない。それで非常に揉めていたのです。たまたまポンド・ユーザンスを始めたりしまして、彼らからもら
つております信用限度、クレジツト・ラインという言葉を使
つておりますが、その信用限度を拡張する必要がありまして、その交渉は何回となくや
つているのでありますが、その交渉にも支障を生じて来たというような状態でありましたこと、ほかに
理由がありますが、それらのことがこのややこしい
制度をやめて、そういう煩いのない普通の
制度にして欲しいということを私ども考えました
理由であります。
なおもう一つ申しますと、現在は、細かくなりますが、信用状発行の際に信用全額について今の外貨貸付をするのであります。それを日銀が外貨を貸付するのでありますが、そのために私どもは外貨を日銀に売らなければならないのでありますが、
輸入が非常に増大した結果としまして、信用状の
残高は非常に殖えて、従
つて私どもは日銀に売るべき外貨に
不足を来しておるという状態も目に見えて参りました。それらの事情も含めて、とにかくこれを普通のややつこしくない
制度にしたいと思
つたのが改革案の
理由であります。
どういうふうに改革したいかと申しますと、要するに信用状を発行いたしますときに、そのためのマージン・マネーというものを積みますが、そのマージン・マネーを積むこと、及び向う側において船積
書類ができまして私どもの外貨が落ちるとき、即ち外貨を
所要するときに、
為替銀行が自分の金で以て円を特に拂込んで外貨を買
つてくれさへすれば、当り前のことなのですが、それで済むことであります。
為替銀行の業務としますれば、自分の円
資金を以て外貨を調達するのは当り前のことでありますから、そういう体裁に変えよう。そうすればああいう外貨貸付という三角形を二度やるという煩いはすべて除くことができます。そういうことにしようというわけなのであります。ということにいたしまして、私希望いたしましたことは、
日本銀行の最低日歩でありますところの一銭四厘を以て、その外貨を買うための円
資金を
為替銀行に貸してやることはできないでありましようかということを申しておる。それが許されるならばその点は非常に單純化いたしますので結構なことだろうと思います。大体まあ利害得失と申しますとそのくらいのことでございます。