○
政府委員(
平田敬一郎君)
お話の点はなかなか
議論のあるところでございますが、
税法上という
言落がいいかどうか、これは私
ども決してそういう
言落がいいとは実は
考えていないのでありまして、ただ従来の
予算額と前
年度の
予算額と、その年の
予算額とを比較して
税收入がどうなるかということで
減税額というものを
計算した例もございまして、そういうふうな
方法よりもむしろ今回いたしましたように
現行税法をそのまま来
年度実行するとするならば
幾ら収入が上るか、それに対しまして
改正税法で実行いたしますれば
負担が
幾らになる、その差額が
税法の
改正によりまして
租税の
收入を減らして行く、これが
つまり改正による
減税額、こういう
考え方をと
つておるのでありまして、やはり建て方といたしましては、私
どもは
減税額を見る場合におきます見方は
後者のほうが正しいのじやないかと見ております。ただ併しそれだけで
減税云々の問題を
議論するのは非常にまあ私らとしましてはシンプルな
議論であ
つて、然るがごとくに
簡單なものではない、これは応の
減税額を示す目安だと思います。大まかにはそういうことが言い得るかと思うのでありますが、むしろ
実質負担が殖えるか殖えないかというこれは一つは各税に亘りまして一体税の
負担がどうなるか、これが番大事なことではないかと思います。
所得税が果してこの
個人ごとに見てどのくらい
減税になるか、物品親等におきましても
減税した結果価格にどういう影響があるか、その結果
消費者がどういう
減税の効果を受けるか。酒にいたしましても、
減税によりまして値が下
つて消費者の
負担がどうなるか、これが一番これは軍視すべき点でありまして、そういう問題から
減税か否かを
議論すべきではないかと第一に
考えます。それから大まかに見ました場合におきましては、これはやはり私
ども一つは
国民所得に対する税の
負担というものを見ておりますが、この
国民所得の
計算が率直に申上げまして非常に精密を欠く、精密を得る
段階に至
つておりませんので、これはこの
議論からだけでもなかなか盡せないと思うのでありますが、一つの目安としてはそういう見方もあると思うのでございますが、そういう点からお
つて行きましても、やはりこの
減税に実はなるのでございまして、その資料としまして若干例を申しますと、二十四
年度におきまして、国税、地方税を通じて二七四彩の
負担でございます。それが二十五
年度になりますと、二三%に下
つておりますが、この
改正税法を実施した後における
負担は二〇・二%くらいにまあ下る、こういう
計算も一つはできるのであります。これも
国民所得の
計算自体、或いは税の見積り自体につきまして芸干の問題がございます。実績にな
つて見ないと本当のところはわからない。併し傾向としましては
相当この
負担の
軽減の方向を示しているのじやないかというふうに
考えるのでございます。それから更に遡りまして問題はこういう問題があろうと思いますが、結局二十六
年度に予定している
税收入額と二十玉
年度に予定している
税收入額と総額において同じじやないか、
減税でないじやないか、こういう見方が実はあるわけであります。併しそこは私ほ、結局いろいろ問題ございますが、
国民の
所得が実際において増加している。結局
実質的には税収の増加によりまして
実質的に増加する、こういう面に関する限りにおきましては、それによりまして税の自然
増収が出て来た場合、その自然
増収を
税法の
改正で
減税いたしまして、それによ
つて税の
負担を前年と同じくするということは、これは取りも直さず私は本当の意味の
減税だろうと思うんです。つまり
実質的に
国民所得が増加して、それだけ担税力が増加するわけでありますから、それに従
つて税の自然増が出て来る
部分を、これを
税法の
改正によ
つて減らすということになりますので、結局税引の
国民の
所得と申しますか、税を引いた残りの
国民の手取り
所得が殖えて来る。その引いた残りが結局一方におきましては
家計費に向い、
消費に向う、他方におきましては
資本の
蓄積に向うと思うのでございますが、そういうものが殖えて来るということに関する限りにおきまして、やはり
改正によ
つて実質的な
減税であろうというふうに
考えるのであります。問題は非常に
減税の額をシンプルな額で表現して、それが唯絶対なるかのごとくこの行きますのはこれはまあどうかと思うのでございますが、大体におきましては、併し先ほ
ども提案理由で
説明いたしました
通り、
税法を
改正しない場合の税額と、
改正した場合の税額と比較しまして、その差額を
改正上の
減税額、こういうふうに見ますのは、これは一つの有力な見方であろう。但しそれだけに限
つて問題を解決してしまうということはこれは無理で、これはさつき申しましたようないろいろの角度から検討して、
実質的に
減税になるということを研究し、結論付けるべき問題じやないか、私はかように
考えているのでございます。