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1951-08-08 第10回国会 参議院 大蔵委員会 閉会後第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年八月八日(水曜日)    午前十時三十八分開会   ————————————— ○金融政策並びに制度に関する調査の  件  (油糧払下げ問題に関する件) ○租税特別措置法の一部を改正する法  律案に関する小委員長中間報告   —————————————
  2. 小串清一

    委員長小串清一君) それではこれより第三回の大蔵委員会を開会いたします。  先ず前回のときに小林委員から御要求になりました銀行預金調査に関する問題及び中小企業信用保険制度活用現状について政府側関係者答弁を求めます。……それでは小林君。
  3. 小林政夫

    小林政夫君 私は今般九州、大体福岡長崎熊本大分、宮崎という方面調査して帰つたのでありますが、いろいろ御報告をいたしたい件もございますが、他地区を視察、調査されて報告された結果、それに対する政府当局のいろいろな御意見等で重複する点もありますから、前回において大体意見の出ておる点は省略をいたしまして、他地区調査されたかたから、意見の出なかつた問題について、調査の結果に基いて御報告をいたしたいと思います。御報告を兼ねて政府当局の御意見を承わりたい。  先ず、その中小企業信用保険制度利用状況でありますが、これが非常に低調でありまして、現地のほうの見解では、金融機関負担をすることになつている保険料を、金融機関負担しなければならんという点にも問題があるのではないか。それから保険の割合、或いは出先機関中小企業庁関係からいつて通産局であるというようなことのために、金融機関なじみが薄くて円滑に行かないのじやないかというような意見があつた。現在全国的に見ても、中小企業信用保険利用状況、それがどうして不振であるかということについての政府当局見解を承わりたいと思います。
  4. 松尾金蔵

    説明員松尾金蔵君) 中小企業信用保険利用現状をかいつまんで御説明申上げますが、二十六年度、本年度の上半期分といたしまして、政府との特別会計における包括契約は現在約七十一億円の包括契約を結んでおります。従いまして金融機関といたしましては、この総合計で七十一億以上に達する程度までは自動的に附保し得るような状態にはおかれているのであります。実際には只今指摘になりましたように保険料の一部を負担をし、又保険制度が、御存じのように全額保険ではなくて、七五%の保険ということになりまして、残りの二五%は金融機関危険負担に残されておる。その他後ほど若干御説明いたしますような若干の制約があるというようなこともあると思いまするが、現在では七十一億の包括保険契約に対しまして、実際に保険に附されている総額と申しますと、七月末の数字で十億五百万円であります。若干端数が附いておりますが、十億五百万円であります。こういう包括契約の額から申しますと、大部分が上半期におきます七十二億の包括契約をやることを予定しておつたのでありますから、包括契約の額としましてはほぼ一ぱい近くまで契約は進んでおるわけであります。ただそれを実際に保険に附する額は、只今申しましたように十億余りであります。その間のギヤツプは、実際の貸付の面と並んで総額……、まだ七十一億に対して十億程度までにしか達していない状況であると思います。その理由と申しますか、そういう状況である点につきましては、我々もいろいろその事情についてはかねて調査をいたしているのであります。只今指摘のありましたように、保険料の一部金融機関負担の問題、又先ほど申しましたように金融機関が二五%の危険負担を背負つておるというような点、又この保険制度運用におきまして、金融機関保険事故発生後六カ月経過しなければ保険金請求ができないというような状態になつておるのでありますが、御承知のようにもともとこの保険制度利用しますのは六カ月以上の期間、六カ月以上の比較的長期貸付資金であります。六カ月以上の期間貸付たもので、保険事故発生以後六カ月を経過しなければ保険金請求ができないということになりまするので、金融機関の側から申しますると、通計一年間そこに期間があるわけであります。この点も金融機関としましては、折角の保険制度が六カ月を経過しなければ保険金請求ができないという点では、かなり窮屈な思いをされているのではないかと思います。ほかに若干問題はあると思いますが、我々の今研究しております点では、こういう点について、折角保険包括契約をいたしましても、金融機関が実際にこれを利用する際にこういう問題に絡んで若干躊躇する嫌いがあるのではないか、こういうふうに私どもは考えております。これは私どもも単なる研究ではなくして、いずれどういう点の改正について法律改正を要する問題もあるのでありますから、そういう点を研究いたしまして、早急にこの点を改善したい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  5. 小林政夫

    小林政夫君 私が最後指摘している出先官庁通産局であるということは、成るほど中小企業の実態は通産局で把握ができるでしようが、金融機関出先機関とのなじみの薄い点、これは財務局あたりであるとしよつちゆう銀行と連絡があるというようなことで、かなり金融機関に対する利用促進について相当指導力が発揮できる。こういう点について通産省側としてはどういうふうに考えられるでありましようか。
  6. 松尾金蔵

    説明員松尾金蔵君) この点は形の上で申しますと、通産省なり中小企業庁金融機関なじみが薄いけれども大蔵省関係なじみが深い。こういう関係は一応は私どももそういうふうに言えると思います。ただ実際の状況から申しますと、御承知のようにこの保険制度に伴う特別会計中小企業庁が所管いたしまして、元締は我々のほうでありますが、実際の包括契約なり或いは保険事故発生のときの事務取扱い商工中金にそういう細部の事務を委託しているのであります。各地方通産省出先機関である通産局は、勿論それぞれの部課におきまして指導なり監督はいたしておりますが、特に銀行が実際の保険事故発生の問題なり、或いはその他の最後手続については、東京でもそうでありますが、各府県に殆んど全部を持つております商工中金が扱つております。商工中金銀行との間が余り親しくないというお話ならば又別であります。大体同じような金融業務に携わつているわけであります。その点は我々も必ずしもその点から利用度が落ちているとは考えないのであります。なおそういう点につきまして我々も研究して、未熟な点があれば又……。
  7. 小林政夫

    小林政夫君 これは中小企業信用保険制度法案審議のときにもいろいろこういう結果も予想して、この委員会においても各委員から意見の開陳がありましたので、ここで繰返す必要はないのでありますが、なお一層御研究になつて、折角ある制度ですから広く利用されるように、積極的に指導をやられたいと思います。  それから中小企業金融については、見返資金運転資金利用さしてくれとか、或いは商工中金が直接、間接組合員といいますか、構成員貸付ができるようにして欲しい、又昔の勧業銀行がやつたような不動産担保金融がやれるような、政府特殊金融機関の設置をせられたいというような要望もありました。この点については不動産担保金融、特に自分の住んでいる家屋敷担保にしての金融中小企業については運転資金であるか、或いは設備資金であるかというような観念もはつきりしないところがあるし、相当長期低利の金が使いたい、こういう要望が強いのであります。この点についても御考慮願いたいと思うのであります。  次にこれは全国共通の問題だろうと思いますが、特に九州地区、北九州よりも更に南、福岡方面或いは長崎方面よりも又熊本方面というふうに、東京から離れるほど至つて問題が深刻のようでありますが、と申しますのは預金秘密性の問題であります。無記名預金制度を速かに復活をしてもらいたいという強い要望であります。特に長崎県等については或る村のごときは百二十何名というような者が一括して或る支店預金が押えられて、相当全村的な問題でトラブルを起したという例もあるわけであります。又その後私たちの行つた前日も、長崎の或る支店で又トラブルが起つたというふうな問題もありました。特に又熊本財務局管内のほうでは、今東京都その他のところでは見られないような一応預金を全部見せろというふうなことも行われたように聞いております。又証券については投資信託が今般実施されるようになつておる。相当うまく隠れた資金が引出せるようになつたわけであります。これとても銀行預金を引出してそつちへ持つて行くのではなしに、いわゆる箪笥預金が流れて行つておるという傾向が強いように思われる。従つて相当箪笥預金というものがあるのじやないか。又箪笥預金じやなくて、例えば銀行委託金庫ですか、その中にも相当現金が箱入れで入つているのじやないか、いわゆる箪笥預金のように見られるものが相当あるのじやないか、無記名定期預金復活を非常に望むわけであります。この預金秘密性を保持する問題については、単に国税関係だけでなく、地方税関係についてもやはり紛争があるようであります。当局では通牒を以て善処をされるようでありますけれども、とかく末端機関である税務署現地において今申したようないろいろな紛議を起しております。特に又こういうこともあるようであります。両建預金を一方的に押える、或いは担保にしておる物件である有価証券等を差押えるというようなことで、相当銀行としても警戒をせざるを得ない。一応貸金をするときは滞納があるかどうかということを調べて貸さなければならん。又逆にはそういうことが税務署から調べられたということで、金融機関に対する信用が損われておるというふうな例が、今後は銀行へ金が来ないというふうなこともあるし、又特にそういう傾向は非常に弱小の金融機関に至るほどそういう圧力がきついようであります。例えば協同組合関係等においてもそういう事例が頻繁として起る。そこで協同組合に預けたのでは全部税務署にわかつてしまうというようなことで、それが普通の金融機関へ流れて行くという傾向もある。私も意外に思つたくらい協同組合関係の人が強くこの預金秘密性保持という問題を陳情しておりました。この点について銀行局国税庁両方の御意見を伺いたいと思います。
  8. 吉国二郎

    説明員吉国二郎君) 私国税庁法人税課長吉国でございます。  只今お話のございました預金秘密性の問題でございます。これは御承知のように昭和二十三年に銀行局長通牒で、預金秘密性に関する通牒が出ております。その当時は財務局長依頼書というようなものを持つて調査に行きますというような通達になつてつたのであります。その後シヤウプ使節団が参りまして、第一次勧告の中で無記名預金廃止、それから税務関係預貯金調査の拡大というようなことを特に申しました。そういう関係で御承知のように無記名預金が一時廃止されたわけであります。同時に二十三年の銀行局長通牒廃止になりました。ただその際に国税庁からは預金増強貯蓄増強というような問題が依然として重要な現在であるから、特に一般的に銀行預金を一齊に調査するというようなことは絶対にやらん。又特定人間調査する場合においても、課税の必要及び滞納処分の必要については特に注意をしてやれというような通牒を出してあるわけであります。只今お話がございましたのは、実は滞納処分に関連した問題かと存ずるのであります。滞納処分につきましても、具体的に特定人間滞納を処分するというような場合にはこれはやはり調査しておると思います。ただ一般的に滞納が多いからというようなことで、その村に関係のある金融機関を全部調べるというようなことはいたさしておらないつもりなのでございますが、又調査のほうにおきましても、現在例えば法人税調査におきましては、準備調査を十分にいたしまして、先方の出しました財務書類、或いは先方記帳状況を調べる。その記帳を以てしては到底正確な数字が把握できないというようなときに大体調査を行なつております。殊にその調査を行う場合におきましても、相当に大きな重要な問題であるときは現在は通達では要求したしておりません。大体税務署長依頼書を持つて行くというように指導をいたしております。法人関係におきましては、一般的に一齊に預金調査するというようなことは絶対にいたしておりません。この点につきましては特に注意をしておるような次第であります。
  9. 小林政夫

    小林政夫君 国税庁長官とか或いはあなたがたにお尋ねするといつもそういう御答弁なんですが、末端へはどうも徹底しておらないようであつて、今の滞納処分の問題でも、先ほどお話したように両建預金ということはいかんということになつておるけれども、一応この頃はなかなか税務署の人が上手になられて、滞納があるからちよつとその人の預金を見せろと言わずに、この人は一体預金が何ぼあるのかということで尋ねて、それが担保に金が出ておろうとおるまいと、それで一応見てすぐ押える。それから今の有価証券担保のものでも、担保のほうを先に押えて、それは税法上できるけれども金融機関としてはどうも安心できないというわけです。田舎のほうの銀行等は特別の応接室もないし、税務署の人が入つて来られていろいろ話をしたということだけでも大分村民を刺戟するという問題もあるので、そういうことについては相当慎重にお願いをしたい。一般的に調べるということはないはずであると言われる。我々もないと思つてつたのです。ところが田舎でして、多分命令が徹底しないか、熊本財務局管内では最近までそういう事例があつた。衆議院の大蔵常任委員の人が行つて見て、これはえらい田舎ですなというような話をしたということで、そういう事例もあるのであります。一つそういう趣旨は徹底願いたいと思いますが、とにかく抜本塞源的に、一応投資信託の問題も許されておるのであるから、無記名定期預金復活ということについて考えてもらいたいと思いますが、銀行局長も見えておりますが、どうですか。
  10. 河野通一

    説明員河野通一君) 遅参いたしまして甚だ申訳ございません。  お話の途中で、或いは御質問にしつくりお答えできるかどうかわかりませんが、先般の委員会でも私申上げましたように、預貯金増強ということは非常に現在国の金融政策として重要なことにつきましては、重ねて今日申上げる必要もないかと思うのでありますが、貯蓄増強のために講じなければならんいろいろな施策の中で一番大きな問題は、預貯金者に対するサービスを向上するということが何よりも大事なことであろうと思います。これがためにはやはり金利を上げて行くということが一つと、もう一つ税制、或いは税制のみではなく、税務の現実の執行の面において適正な運営をして行くということが最も大きな問題であろうと思うのであります。金利の問題につきましてはこの前の委員会でも申上げましたわけでありますが、税の問題につきましては、一つ税制の問題として今後いろいろな点で改善を加えられることを私どもは期待もし、又強く推進をいたしておるわけであります。具的に申上げますと、最近の機会におきまして国会のほうに提案をいたしたいと思つておりますが、例えば郵便貯金預入限度を今現行三万円でありますが、これを相当大幅に引上げたい。それからそれに応じまして国民貯蓄組合預金預入限度、これがやはり今三万円でありますが、これを郵便貯金と対応して大幅に引上げて参りたい、かように考えております。この点はすぐおわかり願えるように国民貯蓄組合預金にいたしましても、郵便貯金にいたしましても、その範囲においては税がかからないということになるわけでありまして、これはやはり裏から言いますと、税制上の取扱いの緩和ということに相成ると思うのであります。  それからもう一点は、預貯金等に対する現在の源泉選択課税の税率の問題についても、これは今にわかにここで結論を申上げられませんが、もう少し調整をする必要があるのではないかと私どもは考えております。これは或る程度適正なところまで調整ができますれば、そのほうからも割合税制としての制約が或る程度緩和することになるかと考えております。  それからこれは税制の問題ではありませんが、今お話になつております預金調査の問題でありますが、これは今国税庁から担当の事務官が申上げましたような経過になつておるのでありますが、私ども末端におきまして若干行き過ぎたところがあるように聞いております。これは現在国税庁長官といろいろ打合せをいたしております。最近の実情に応じまして、余り行過ぎたことにならないように、適当な方途を講ずるべく現在いろいろお打合せをいたしておる段階でございます。併しながらこれは税の建前から言いまして、預金を絶対に調査をしていかんということは、如何に預金というものを保護して行くにいたしましても、これはできないわけであります。おのずからその運用に当つて度を過すというようなことのないように、必要最小限度調査にするということが望ましいと思います。具体的に申上げますと、今お話も出ましたが、滞納処分をいたさなければならぬ場合に、ほかに財産がなければ、これはやはり一応調べなければならぬので、預金以外に何も財産がない場合には、やはり預金を調べて、預金を押えるとか何とかしなければならぬわけです。ところがその運用に当つて、ほかに財産を十分調べないで、すぐやすきにつく、滞納なつたからといつて、いきなり預金へ行けばいいようになつているようなきらいも末端においてはあるようです。これは実際の運用の問題でありますし、制度としての運用の問題ではございませんので、先ほど申上げましたように国税庁長官とも十分お打合せをいたしまして、余り度を過さないように、資本蓄積に障害を及ぼさないような意味において、できるだけ調節を加えて参りたい、かように考えております。そう長く時間が掛らないので、この問題に対処できるというふうに私は考えております。  それからお話の出ておりました無記名預金の問題でありますが、これは従来の経過は御承知のようなことで、現在これは認めているのであります。預貯金と税との関係で、今申上げましたような執行及び税制面でいろいろ改善を加えて参りたいと思つておりますが、併し何といいましても、一番問題になるのは無記名預金の問題です。現在のところでは、国税当局としてはまだこの問題について踏切りがつかない、率直に申上げまして、踏切りがつかない状態であります。これはまあいろいろ理論的に言いますと問題が実はあるわけです。例えば割興とか投資証券等は無記名でやつているじやないか。然らば預金つて記名でいいじやないかということがよく言われるのでありますが、これは理論的に言いますと、やはり割引興業債券とか投資証券預貯金とはおのずから性質が違うわけでありまして、割興にいたしましても投資証券にしても、これは或る程度市場性は持つているわけです。今御承知のように証券市場にはございませんから、実際的にはそういう円滑な動きはいたしておりませんけれども建前としては割興等はやはり市場性があつて、適当な転々売買ができるということを本来の趣旨といたしているわけです。ところが預金というものは大体そういう性質のものではございませんし、そういう面から言いましても、性質としては理論的に見まして若干異なる点があるわけです。従つて割興について無記名を認めているのだから、預金つてすぐ無記名を認めていいとは直ちにはならんと思います。併し私どもといたしましては、今申上げましたような資本蓄積増強いたしますために、こういう制度のあることが非常に望ましいということで目下折衝は続けております。ただこれができませんでも、今申上げましたように郵便貯金貯蓄組合預金等預金額限度相当大幅に、現在では十万円から十五万円ぐらいに上げたいと思つておりますが、それを大幅に上げて参りますれば、今お話のような或る程度の無記名預金をやつたとそう程度の違わない効果も出て来るわけです。両者合して行けば一番よいのでありますけれども、できることから逐次やつて参りたい。かように考えております。
  11. 小林政夫

    小林政夫君 それでは爾余の問題についてはここに報告書を作成しておりますから、これを提出いたしておきます。  なお終りに言いますが、熊本局を言いましたけれども、そのほかの徴税については、例えばインターナル・コントロール・システムについても一年前から実質上やつているのだというようなことで、そういう点については熊本国税局管内はうまく行つているようです。その点は特に申上げておきます。
  12. 森八三一

    ○森八三一君 只今小林委員から九州方面の御調査の結果、要望のあつたところの点について当局の御意見を伺われたのでありますが、私清沢委員と一緒に北海道のほうに参りまして、いろいろ調査をいたしました事項について御報告を申上げたいことがありますが、只今の問題に関連いたしまして一、二お伺いいたしたいと思います。  その一つ中小企業金融の問題であります。おおむねの府県に県内の施設として信用保証協会制度があつて、これが相当活発に動いている県があることは御案内の通りであります。そこで今度の国策による保険制度とこの信用保証協会の関連ということでお伺いをいたしたいと思うのでありますが、中小企業者は非常に金融に困つているために保証協会制度利用いたしまして、その金融の利便を受けるように将来は進んでおつたところへ今度の制度ができたわけでありますが、結局企業者になりますと、両方手続をしなければならんというような不便があるために、国のほうで行われた保険制度のほうがあと廻しになつて保証協会のほうへ集中をして来るというようなふうに情勢がなつておるように思うのでありますが、そこで問題は保証協会をもう少し盛り育てて行くようにいたしまして、保証協会に対する国の再保証というような制度に切替えて参りますことが、制度を一本化して、中小企業者手続上の不便を除いて行くという結果になるのではないかというように思われるのであります。そういうようなことについて相当強い要望もあつたのであります。殊に北海道の事情といたしますると、国の施策であります保険制度のほうの利用余りなくて、道でやつております信用保証協会制度につきましては一〇〇%の利用がされておるというような実状にあるのでありますが、こういうような関係からいたしまして、信用保証協会をもう少し法制的に基礎を与えて行くようなことが望ましいのではないかというように思われるのであります。そういうような要望もあつたのでありますが、これに対する当局のお考えを一つ承わりたいと思うのであります。
  13. 松尾金蔵

    説明員松尾金蔵君) 只今お話のありました点は、私どももかねてからそういう要望の各方面にあることを承知いたしております。現在信用保証協会全国保証の現在高は百億以上になつておるのでありますが、恐らく現在の中小企業金融の立場から申しましたならば、もつともつと保証要求というものはあるはずであります。そういう意味から申しましても、信用保証協会保証能力を更に引上げるという意味からも、現在の国による信用保険制度を再保険利用することは当然考えられることであります。我々もそういう方向研究をいたしております。  信用保険制度の現在の利用状況については先ほど触れましたが、これと併せましてそういう利用状況をかなり活溌にする意味におきましても、これを併せましてこの問題を研究いたしたいと思つておりますが、法制上の扱いといたしましては、信用保証協会制度法制化する方向でこの問題を解決するのか、或いは信用保険法改正方向でこの問題を解決するかは、まだ多少技術的には研究が残つておると思います。実質的にはこの法制上の問題をできるだけ早急にそういう方向に持つて行きたいと思つております。
  14. 森八三一

    ○森八三一君 その次にお伺いいたしたいのは商工中央金庫の問題でありますが、北海道現状といたしますると、商工中央金庫に対する資金の需要は非常に厖大なものでありまするが、この資源であります預貯金の増加は遅遅として進展を示していない。そのために折角の要望に応えられませんような実情にあるというようなことからいたしまして、商工中央金庫の業務の内容について改正要望があつたのであります。その要点は、商工中央金庫は直接に個々の組合員からの預貯金取扱いができるように、商工中央金庫建前改正をして頂きたい。若しそういうふうになりますれば、組合員の預貯金が直接に商工中央金庫に吸収ができまして、困つておる組合員、中小企業者に対する融資が円滑に進められて行くという要望であつたのでありますが、これに対しましてどういうような状況になつておりますか、一応お伺いしておきたいと思います。
  15. 松尾金蔵

    説明員松尾金蔵君) 只今お話になりました点につきましても、私前々からそういう各方面要望も伺つております。又実際貸付をいたしまして、それを使うほうの側からいいましても、預金ができることが非常に便利であることは申すまでもないことであります。従いまして当然そういう要求商工中金自身も前々から言つておるわけであります。その方向研究いたしておりますが、ただそれによつて商工中金の実際の運用資金がどれくらい増加を期待できるかという点については、実際問題としては若干の疑問があるかも知れないと思つております。つまり現在の商工中金の店舗の配置状況から、いいましても、必らずしもそれだけで預金の増加、金融資金の枠の増加ということに行くかどうかは疑問があるのであります。貸付預金両方で行くということは、そういう資金源の増加という意味以外にも相当意味があるわけであります。そういう方向で今進んで行きたいと思つております。
  16. 森八三一

    ○森八三一君 最後にこれも小林委員からお話のあつた預貯金の申請の問題でありますが、一般的の問題は先刻銀行局長からお話がありましたのでよく理解はできたのでありますが、私どもに訴えられました意見の中で、相当多く議論されておりましたものといたしましては、協同組合関係意見であります。と申上げますのは、協同組合は御案内のように組合員が一定の地域内に住居する者ということが原則であると同時に、その組合員はよく公開されておるのであります。税の関係からいたしまして、組合員を指摘して調査をするのには非常に便宜な立場に置かれておるという関係から、協同組合に対しての調査が集中され、その他の金融機関に対しては、どういう人が預金をしておるのか、貯金があるのか、これは税務当局におきましても不明な問題でありますので、一応さぐりを入れるという程度で、調査は進められますが、具体的に何がしの預貯金を持つているという確認の上での調査というものは進められない。協同組合の場合には、もう殆んど額の問題は別にいたしまして、預貯金のあることは確認の上で調査が進められて行くというような関係のために、折角零細企業者が集つて組織している協同組合預貯金が、そういうことに不満を生じますために却つて外部のほうに逃げて行く。国全体としての預貯金としては減少いたしませんけれども金融機関別には非常な問題が起るということで、いろいろ意見の開陳があつた、希望があつたわけでありますが、今銀行局長お話のようにこの問題については鋭意研究しておるし、主税局のほうとも連絡をしているというお話でありますが、そういうことの結論が出ます場合、今申上げましたような金融機関相互の間における不均衡という問題が是正される方法を持たれませんと、この問題はやはり今後とも残つて行く問題ではないかというふうに思われますので、折角御研究になつて、結論が出ますときに、今申上げましたような金融機関相互の間における税務当局調査に不均衡が生じない、こういうように取扱つて頂きたい、そういう要望のあることを附言いたしておきます。
  17. 小串清一

    委員長小串清一君) 油井委員から銀行局長金融政策のことでお尋ねしたいということですから、油井委員
  18. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 銀行局長が見えていますから一点伺つておきたいのですが、この前の委員会でも金融制度或いは金融の引締め、緩和というようなことについて銀行局長の御意見を伺つておいたのでありますが、最近の各界の情勢を見ますというと、大分物価が下つているのであります。而もそれは国際物価水準から見ても遥かに低いものが現在では現われているというような状況になつております。一例を承げますれば、輸出の羽二重等におきましては、先般一ヤール百三、四十円ぐらいのものがだんだん下つて参りまして、現在では六十二、三円まで下つているものがあるのです。ところがアメリカにおきましては、若しそれ以上下るというとダンピング・タツクスといつて、今まで二五%の輸入税をかけておつたものが五五%かけなくてはならない、こういつたような制度ができている。而も一方においては政府としては輸出においてダンピングをやつてはいけない、こう言いながら片方においては金融のためにどうしても投げざるを得ないというような状況になつてつて、滞貨金融ということを申入れをする。滞貨金融はそれはいかん、こういう矛盾した政策をとつているわけであります。そのために糸代にもならない、製品をますますダンピング・タツクスがかかつても何でも売つてしまわなければならないというような現状になつております。そのほか或いは人絹とかスフとか羊毛関係、繊維関係すべてにおいてもそういうようなことになつている。又更に油脂関係においてもそういつたような状況が出ているわけであります。して見るというと、政府ではダンピングはいけないと言いながら、滞貨金融は絶対してはならん、こういうふうな矛盾をどうして解決されるかということが業界として疑問になつて参るわけであります。この点を明白にされて、やはり国策上最も有利な途を金融関係のいわゆる当局においてなさねばならないと思うのです。局長の意見を一応承わつておきます。
  19. 河野通一

    説明員河野通一君) 輸出入及びそれに関連する金融の問題につきましては、先般の機会に申上げたのでありますが、今お尋ねの第一点は、最近人絹、羽二重その他が非常に下つている。下つている場合にそれがダンピングになるかという問題が一点であります。私どもはダンピングになるような輸出はこれは好ましくないということは申しているのでありまするが、ダンピングの意義であります。これは私どもはこういうふうに解釈しているのでありまして、国内の価格と同じ程度の価格で出すのはダンピングじやないと考えております。国内の価格でといつてもなかなかむずかしいのでありますが、国内の価格を割つて輸出します場合にはダンピングになる。国内の価格と同し価格で輸出されるならばダンピングじやない。ただこれを相手国がどういうふうにとりますか、いろいろこれは問題があると思います。殊にイギリス等におきましては相当こういう点について考えている向きもあるようでありますけれども、私どもはダンピングという意味は今申しましたように解釈しております。  それから繊維品を中心にして、国内の価格乃至は国際価格というものが今後どういうふうになるか、それによつて普通言われております……本当の意味ではありませんが、普通言われております輸出滞貨金融をどういうふうに扱うかということが問題の中心になるかと思うのでありますが、一例をとつて申上げましても、今綿関係、これは最近梱十一万円程度かと思います。御承知のようにこのアメリカの綿花の問題があるわけでありますが、大体今の見通しでは綿花が大体三十一セント或いは二セント程度に落ちつくのではないかということが予想されております。こういうことになつた場合に、一体今後安い綿花が入つて来て、而もそれが生産に入つて、生産品として国外に輸出する場合に、公正な競争に耐え得るような価格というようなものは幾らぐらいになるかということを考えて見ますと、それはいろいろの計算がありますが、少くとも現在の十一万円程度の価格ではなかなか出て行かないというのが現在のところの見通しであります。これはいろいろ専門家の御意見もあるわけでありますが、少くとも十一万円というものじや綿花が三十二、三セントになつた場合にこれは出て行かないというのが普通の常識的な見方であります。そういうような観点からいたしますと、どうせ国外におきましては先を見て契約というものは恐らく行われるのでありますから、少くとも今のような価格を維持して輸出を更に伸ばして行きますということは、当面としても、いわんや将来の見通しの問題として申上げますならば荷重でありますが、なかなかそう簡単に行かないのではないかということが一点であります。  それから価格が一般的に非常に下つて来ておる。これをどつかでとめなければ誰かが損をするという問題があります。インフレーシヨンによつて問題を解決せざる限り、まあ不当と申します言葉が悪いならば過当と申しますか、過当に値上つたものが、或る程度国際水準その他の点から見まして適当なところに価格が安定して参ります場合には、高い物を買つた人が安く売らなければならんということがどつかに起るのでありますから、誰かが損をする者があるわけであります。結局誰かが負担をするという問題に帰すると思うのでありますが、いずれにいたしましても、数カ月前に過当に値が上がり過ぎておつた。国内の値が上がり過ぎておつた。これは今申しました日本の経済というものが国際貿易に依存することが非常に大きい現在の情勢或いは将来から申しまして、この過当に値上つておるものを或る程度叩いて行かなければならんということは当然起るのであります。国際価格に鞘寄せしながら価格を安定して行くというのが当面の国策の根本であります以上は、高い物を買つた人がどうしても安く売らなければならんということは、程度の問題はありましても、当然起つて来るわけであります。この際における切替をできるだけ円滑に、ロスを少くして行くことの配慮は政策として当然講じなければなりませんが、基本的には今申上げましたような高い物を買つた人がやはり安く売らなければならんというもので、どこかで損失というものが出て来るだろう。その損失をどういうふうに配分して、誰が損を負担するかということを国策として研究して行かなければならん問題はあるにいたしましても、先ほど申上げましたようにインフレーシヨンで問題を解決せざる限りこの問題はどうしても起ると思うのであります。その場合の切替をできるだけ、重ねて申しますが円滑に、ロスを少くしてやつて行くという配慮が国策のために必要であると思います。  それから今油井さんからのお話に、或いは直接触れておらんかと思います。が、輸出滞貨金融ということがよく言われる。私どもは輸出滞貨金融というものを別枠的な特別の措置としてこれを処理することは考えていません。併しながら経済が安定した基礎の下に運営される限りにおいて必要とされる金融は特にこれは見て参らなければならん。現に御承知の通りに日本銀行の貸出資金は数カ月前までは千二百億程度であつたが、現在のところでは二千百億を超えております。その間日本銀行の一般の貸出資金による信用の放出は八、九百億を増加いたしておるわけであります。この事実が示しておりますように、日本銀行はただ一律にがむしやらに機械的に金融を締めるということはいたしておりません。必要なものはどんどん金融をつけて参つておるわけであります。金融界、市中銀行といたしましても、これが必要な限りにおきましては個々に判断して必要な金融はつけておるわけであります。その趣意で日本銀行の貸出金はあるのでありますから、私どもは一律に全部金融を断わるということにいたしません代りに、オーバーローンに特別の措置として中小関係金融は別枠的に、これも機械的に金融をつけるということもいたしません。個々に判断いたしまして、必要なものについては金融を極力つけるという方向に進めて参つておる。かように考えております。併しながら今申上げましたように綿関係にいたしましても、まだ国際価格水準というものの将来の見通しは決して強気ではないと思うのでありまして、これらの点も十分睨み合して、将来を見通しながら国際競争に堪え得るような価格を基礎として金融というものは、若しつけるにいたしましてもつけて参らなければならんと、かように考えておる次第であります。
  20. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 詳細なる御説明で大体の点は了承できるんですけれども、実際問題において局長の思いやりのあるような政策がとられていないという点が多々見受けられるのですね。それともう一つはあなたの言葉でもあつたのですが、例えば綿のような大企業組織のほうに対しては、いわゆる日本の経済界に及ぼす影響が大きいという観点からか知れませんが、率先してその問題をお取上げになる。中小企業関係のようなほうに対しては一向かまわないというふうになるのですね。殊に地方金融機関等においてはまあ大口貸出しというものは殆んどなくて、皆中小企業貸出しなんですが、そういう方面において殆んど日銀の金融政策の引締めということに引つかかつて、につちもさつちも行かなくなつているというのが全国的の趨勢になつております。そういう点の、いわゆる大資本主義的の傾向をこの際やはり払拭する必要が私あるのじやないかと思うのです。それが一点と、もう一つは輸入金融の点ですが、大分見込輸入が多かつたということは、この前局長からもお話があつたのですが、それに対してもう少し金融の面において例えばユーザンスを多少延長するとか、スタンプ・ビルの制度をもう少し活用するとかで以て一カ月か二カ月延長すれば、相当価格も持ちこたえて、無理のない価格になつて来るような状態にかかわらず、それを引締めることによつて予期しないような大暴落を招いて、これ又経済界を撹乱させるというようなことが間々生じると思うのです。而もそれが八月、九月、今月とそれから来月あたりが最もピークになると思うのです。そういう点についての局長としての最近の具体的な方策がおありになつておるか、この点お伺いしたいと思います。
  21. 河野通一

    説明員河野通一君) 第一点のお尋ねは、中小企業について今申上げましたような輸出滞貨、或いは引取り関係金融が非常に詰つておる。この点は私ども十分承知しておりますし、これに対する対策も苦心しておるわけでありますが、一般銀行でありますが、銀行に対しましては金融が大口と申しますか、そういうものに偏倚しないように、銀行の機能として公共的な立場から、能う限り中小企融に対しても金融をいたすべきことをたびたび申しておりますし、又個々にそういう点から金融機関は具体的に指導をいたしておるわけでありますが、ただ問題は中小企業金融というものの特殊の性質からいたしまして、と申しますのは裏から申しますと、金融機関というものが多数の預金者から金を預かつておるわけで、実はその金を運用しておるわけでありますから、回収と申しますか、そういうものが確実に返つて来るものでければ実はできないわけであります。そういう点から銀行その他の一般の金融機関が行いまする中小企業金融というものはおのずから限界がある、かように考えられるわけであります。さればといつて普通のルートを通した金融がつかないからというので、中小企業を放り出してしまうということは、これはできないことは当然のことでありますために、私どもといたしましては一般のコンマーシヤル・ベースによる中小金融のほかに、いろいろな観点から中小企業金融の疏通について従来もいろいろ考えて参りましたし、今後においても十分この点を考えて参りたいと思うのであります、従来におきましても見返資金その他によつて、できるだけ中小企業金融の疏通について努力はいたして参つたのであります。なお今後におきましては、先般の当委員会におきましても申上げました通り、財政の許します限り、できるだけ多額の政府資金というものを中小金融の疏通のために割こうというのであります。金額等については具体的に申上げる段階に至つておりませんが、できるだけ多額の政府資金を或いは一般会計或いは見返資金なり、或いは許されるならば資金運用資金等の政府資金をこの方面に注ぎ込んで、中小企業金融の特殊性に鑑みまして、コンマーシヤル・ベースたけで金融がつかない場合におきましては。これらの政府資金を活用して中小金融の疏通に努めたいと、かように考えておるのであります。  いま一つ輸出関係、輸入関係のユーザンスの問題でありますが、これは御承知のように輸入引取資金の問題が数カ月前非常にやかましい問題に相成つたのであります。その当時から私どもは一貫して基本的な考え方で御説明を申上げ、答弁いたして参つたのであります。輸入引取資金関係金融はいろいろ言われておりまするが、個々には非常にむずかしい場面に直面された業者のかたもありますが、先ず今のところでは個別的な金融措置によりまして何とか私は金融はついておると考えます。勿論業者のかたから申されれば、まだついていないという御意見があるかも知れませんが、先ずついておると思います。ただ問題は二点あるわけでありまして、一つは輸入関係のユーザンスの期間の切れるものが今お話しのようにこれから実は起きて来る。これらの問題をどうするかということが一つ。それからもう一点は輸入を取扱つて参りました業者が、最近の戦後の特殊の事情で余り専門化いたしませんために、輸入もやり輸出もやり、輸入の中でもいろいろな種類の商品を扱つておるというような関係で、金に印はないものでありますから、輸入の引取資金のほうは曲りなりにもつくといたしましても、その上に輸出関係の捌きの悪いために、輸出滞貨金融の問題が非常にうるさくなつて来ておるのであります。実は金額的に言えば、輸入引取資金の問題に比べれば輸出関係のいわゆる滞貨金融というものは、所要資金はそう大した金額ではないのであります。そういうわけで今皺が寄つておるのはむしろ輸出関係の滞貨金融のほうであります。輸入の引取資金関係だけならば、先ほど申上げましたように曲りなりにも金融は多少ついておると思います。従いましてその関係においてはユーザンスの期限を延長するとか、或いは特別な措置を講じなければならんという問題はむしろないのでありまして、デイーラーの金融をどこへ金融をつけるかということを全体として考えれば問題は解決するのではないかというように考えます。従いまして今直ちに結論を申上げますれば、ユーザンスの期限を延長するということは考えておりません。ただ問題は、約束をいたしました物がこちらに入つて来るまでに暫く船積を延期する方法があるかないかという問題は今研究いたしております。そういうことが若し当事者間でそれでいいということになりますならば、当面必要でない物が、船積を急ぎますために国内の物資に対しまして非常な圧迫になる面があるのでありますから、これは当事者間で話合いのつく限りにおいては船積を延期するという措置を講じて参りたい。特にこれは油脂原料についてあるということでありますが、そういうことはできるだけやつて参りたいと考えております。
  22. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 それに関連するのですが、簡単に言つて、個々の金融の問題も重要なんですが、全体的に見まして、最近日米経済協力に関連して、総司令部のほうでは日本の物価を下げろ、新聞では一割乃至一割五分下げろと言つておりますが、政府の物価引下げのやり方はどこに重点を置くかと言いますと、今まで大体見ておりますと、金融に非常に重点を置いておるように見られる。そこでこれは三十日ですか、一万田総裁が総司令部に呼ばれて、そうして政府のほうも呼ばれたようですが、第二四半期の資金計画における通貨量を縮小しろ、こういうことを要望されたということが新聞に出ておるのですが、お聞きしたいことは金融政策を考える場合、現在或いは近い将来考える場合に、総司令部の言つておる、一割乃至一割五分物価を下げろと言つておりますが、政府は物価を現在より下げるつもりで政策をやるのか、或いは大体現状程度で物価を安定させようというつもりで金融政策を考えておるのかどうか、この点が一点。  それから第二には、第二四半期の通貨量を縮小しろと言つておることは、これはどういう意味か、聞くところによると大体第二四半期、六月までの通貨量を縮小しろというふうに要望されたように伺つておりますが、政府のほうでは、当局のほうではどういうように考えておられるのか、縮小しろということは、これは具体的にどのくらいの通貨量を指すのか、その二点をお伺いしたい。
  23. 河野通一

    説明員河野通一君) 第一点の物価を将来どの程度のところに一体政府としてはおくつもりかということ、これは木村さんに甚だ抽象論を申上げて恐縮ですが、大体国際価格の水準というものを考えて、それによつて安定して行く、ただ国際価格といいましても、御承知のように非常に国際情勢が今いわゆる中だるみと言つておりますが、国際的にも殊に綿花の増産等もありまして、相当下押しの情勢にありますので、国際価格自体が固定しておりませんので、甚だその点はむずかしい問題であろうと思いますけれども、私どもの考えでは大体将来を見通して国際価格が大体安定するというような見通しで、それに大体鞘を寄せて、自由なる、公正なる競争によつて輸出のできるというようなところに日本の価格というものを置かなければならない、かように考えております。  ただこれは一般論でありまして、個個に申上げますと、例えば鉄関係等につきましては、それ自体の立地條件その他から非常にむずかしい問題も控えていることは御承知の通りであります。又国際価格といいましても、特殊の種目につきましては最近むしろ逆に国際価格を割つているものもありますが、稀少物資を中心としましてむしろ上つているのであります。水準ということを考えますと、物価水準とは一体何ぞやという非常にむずかしい問題になります。水準として考えてもそうでありますし、個々の国際価格も地域によつて違いますし、非常にむずかしい問題でありますが、要するに私どもは公正な競争によつて輸出ができるという点に価格の水準を持つて参りたいということが私どもの念願であります。特に今後日本の経済というものが国際貿易に依存するところが非常に多いのでありますから、今後諸外国からの援助を期待しないで、自分の足で立つて行くためには、どうしてもそういうふうな態度の下に行動せなければならん、かように考えている次第であります。  それから大体国の物価が、金融相場ということがよく言われておつて、物価を金融で繰作しているようにいわれておりますが、金融で具体的に繰作をするということは別にやつてもおりませんし、金融自体も物価の安定という、今申上げましたような意味における物価の安定状態に基礎をおいて金融をつけて行こうということになるのでありまして、物価はやはりこれは経済学の原理の言う通り需給できますのであります。ただそれに補助的にインフレというものがつくとつかんとによつて、物価も上つたり下つたりといいうことがありましても、金融相場ということが非常に言われておりますが、これは非常に私はミスリーデジグな言葉であろうと思います。金融だけで物価を左右するということはなかなか困難であろう、又すべきものではないと私は考えております。  それから第二点は通貨量の問題でありますが、通貨量の問題について……。それから物価の問題につきましては一割下げるとか一割五分下げるとかいうようなことが現在言われているように報道されておりますが、これは関係方面の一部にはそういうふうなことを、具体的に数字は挙げておりません、一割とか一割五分ということを言つた人は誰もありません。誰もありませんが、相当程度現在の水準より下げなければならんというような意見を一部に持つている人はあります。併しながら今後、主食の消費者価格も上り、近く電気料金、或いは運賃その他も上つて行くような一つの要素もありますし、それらの点も睨み合せながら、そういうような値上りして参りますいろいろなもののはね返り等を考えてなお現在の水準を相当程度、これは程度の差はありましても、相当程度下げるということは実際問題として困難だというふうに私は考えております。金融の繰作につきましても、そういうことも今後考えて参りたいと考えております。  それから通貨量を第二四半期末において或る程度減らせというような意見があるというようなお説であります。これも一部にはそういうふうな意見の人もあるようでありますが、通貨というものは、これは日銀総裁もたしか言つていると思いますが、これはやはり活き物といいますか、金融というものは活き物でありますから、予算のようにきちんと三カ月先に通貨は幾らで貸出しは幾らというように押えてしまうというわけには行かない。そのときそのときの情勢によつて緩急よろしきを得るように、経済の運行が堅実に且つ円滑に動き得るように、金融からの裏付といいますか、つかい棒をして行くというようにならなければならん。その裏には勿論私どもインフレは絶対に避けるという方針をとつておりますが、経済全体を極端な計画経済をとつておりません現在からいいますと、三カ月先の通貨量というものは、銀行券の発行高というものは何億であるということはこれはなかなかむずかしい問題でありまして、インフレーシヨンにならない方法で、而も物価政策としては今申上げましたような、極く抽象論でありますが、態度の下に金融というものが経済の運行を円滑にして行くための裏付として堅実に運営されて行くという態度に立つてつて参らなければならん、従いまして通貨量は幾らあつて、その当時の日本銀行の貸出金は難らでというようなきつぱりした数字は、なかなかこれは困難だと思います。従来からいろいろと計画を作つておりますが、すぐに実は変つてしまうような、実績と計画とはなかなか合わないような、殊に最近のような変動の甚しいときにおきましては、こういうふうなことは実際問題としてなかなか困難だというふうに私どもは考えております。
  24. 小宮山常吉

    ○小宮山常吉君 私ちよつと中小企業庁銀行局長に、自分がこの間四国を廻りまして、先ず金融情勢、それから自分も経済人として一般のいろいろな中小企業金融情勢についているいろいろ参考的なものをとりましたり、又いろいろ話を聞きましたのですが、中小企業庁というものができておりまして、もう長い間、又中小企業金融という問題は随分、私から申すまでもなく、銀行局長中小企業庁でもよくおわかりと考えておりますが、中小企業庁というものは、一つの工場で言えば、家を建てて、機械を入れて、いよいよ運転というその先を少しも、運転資金金融ということに連絡ができていないような感じがします。こういう点は中小企業庁としてもやはり大蔵省とか、銀行局長あたりと、やはり運転のできるように面倒を見てやるということをよく言われるが、いわゆる許可だけをして、やつと家ができて一切のものが揃つたけれども、いよいよ今度入つてそれを動かすというときについての連絡ができていない。やはり中小企業庁中小企業庁、大蔵省は大蔵省、銀行局銀行局、区々というわけで、非常に困つているという話を聞いているのですが、この点は中小企業庁あたりでも一つ面倒を見るように金融の面でして、それで中小企業というものが十分やつて行けるということの一つお考えを伺いたい。なお金融についても、これは銀行局長にお尋ねするのですが、もつと見返資金を拡充できないか。私たち見ますように大きな工場だとか大きな企業家は十分に銀行信用して、大きな配当を持つてつて、割合に金融に楽ではないかというようなことを聞いておるが、中小企業というものについては殆んど銀行にしても、一般の銀行は尚更のこと、銀行局にしても中小企業庁にしても割合に心配が少いのじやないか。それは中小企業については信用制度もありますしするけれども、もつと見返資金だとか、それから大きな銀行にたくさんに政府の金が流れておる。こういうのを集めまして、中小企業というような、つまり信用組合だとか協同組合だとか、又無尽会社だとかいうものに、やはり短いものでなく、一カ年くらいの長い期間の融資へ廻したならば、中小企業がこう騒ぐようなこともないじやないか。又廻しましても割合にそういう細かいのは……。銀行というものは今日ではもう長い間あれですな、小切手を書きましても、三日とか四日経たなければなかなか払い戻しをしてくれない、振込みもしてくれないというために、中小企業だとか小さい商人が因つておるのをしよつちゆう聞いておるのです。こういう点からいつて、私ども又四国へ参りまして、いろいろな点から言いましても、是非一つ見返資金をもつと便宜に、一つ面倒を見て融資する、特に大銀行政府から融資しているのを集めて、一つ信用組合とか無尽会社とか組合あたりに廻して面倒を見るようなことを私はお願いしたいと、これはまあ四国を廻りましたり、いろいろ経済の情勢から見まして一つお願いするのですが、この点について今後中小企業庁、又銀行局長は如何にお考えになつておられるか。
  25. 河野通一

    説明員河野通一君) 中小企業金融につきましては、先般の委員会でも申上げましたし、先ほどもちよつと出たことですが、中小金融の特別の性格から申しまして、これがためには十分特別な措置として努力して参りたいというつもりであります。お話の見返資金の問題でありますが、これは制度改善と現行の制度の上における制度の簡素化と申しますか、手続の簡素化の問題と二つあるのです。手続のほうは先般来たびたび前国会におきましても、国会でむしろお叱りを受けまして、私どもも非常に至らん点もございましたので、この点については十分に末端まで徹底するように簡素化については相当努力して来ましたし、その実績は相当つておるように思います。最近の数字ではたしか本年に入りましてから四月、五月まで大体一億二、三千万円くらいしか見返資金関係中小企業金融は出ておりませんが、六月は二億五、六千万円、七月におきましては、私は記憶しておりませんが、相当に上つて、おります。そういうわけでだんだんよくなつておることは当然御推察も行くと思いますし、私ははつきり申上げられると思います。更に現行制度の下において取扱機関が本来銀行が中心でありましたのを、信用組合とか無尽会社とか大幅な取扱いに指定をいたしまして、これらが相当活動を進めて参つております。今後におきましても程度の差はおのずからありますけれども相当進捗して参るのじやないかと考えます。なお制度改善はどうかという問題につきまては、問題はいろいろございますが、一番大きな問題は、やはり中小企業金融のためにこの見返資金運転資金のほうに廻すことができんかという問題であります。これはたびたび国会方面からも御要望を伺つておりますし、私どもはそれができれば非常に都合がいいというので、いろいろ関係方面とも折衝いたしたのでありますが、見返資金性質からいたしまして、長期のものであつて運転資金にこれを廻すということは諸外国の例から見ましても、今のところ非常に困難であるということを申上げざるを得ないのであります。  それからそのほか見返資金として設備資金に出すにいたしましても、取扱金融機関が円滑にこれを出しますために直接融資の形でなくして、見返資金からは各取扱金融機関に紐付で資金を渡す、その資金を直ちに金融機関が自分の責任においてこれを融資して行く、いわゆる紐付融資という言葉を使つておりますが、こういう制度を進めて参りたいと、今までその点を折衝を進めております。これはできるだけ実現して参りたいと思います。それからそういうふうにいたしまして、いろいろ手続上或いは制度上摩擦がありましたり、支障のある点は即時直して行くつもりであります。又現在も相当直して来たつもりであります。なお具体的にこういう点が工合が悪いというお話がございましたら、なおよくお話を伺つた上で、できます限り改善を進めて参りたいと、かように思います。なお今申しました設備資金は見返資金からの直接投資ではなかなか設備資金以外には出せないというものもあり、それから如何にこの制度をうまく活用いたしましても、本年度として見返資金のほうに四十億、去年から引継ぎました十二億と合せまして五十二億というものを本年度内に消化することはなかなか困難であります。そういたしました場合には、これを或る程度どうしても努力をいたしましても、残ると思われる金額は、これはどのくらいになりますか、二十億前後になるかと思いますが、これは特別の機関へこれをそのまま出資いたしまして、或いは国民金融公庫とかその他の特別の金融機関がいいか、これはいろいろ問題があると思いますが、これを出資して、その金融機関の資力を拡充することによつて設備資金を得て、その機関の本来の用途へ融資のできるようにして行きたい。そういたしますならば今一番中小企業が弱つておられる長期運動資金というか、固定的な運転資金のほうへもこの金が出て行くことができる、こういうふうな態度をとつて参りたいと、かように思つておる次第であります。
  26. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 簡単に。さつきの御答弁を伺つたのではさつぱり問題の焦点がわからないのですが、結局物価を無理にここで人為的に、司令部が要請していると伝えられているように政府は下げる意思はない、そういうことなのかどうか。政策的に或いは金融を締めたり、或いは財政の方面で緊縮財政をとつたり、そういうことをして今の水準より無理に下げる必要はない、又それも非常に困難だから、大体現状程度の物価水準で政策を考えて行くという意思かどうか、それが一つと、それで又そうした場合現状の物価で輸出関係はどうか、下げなくて輸出は支障ないのかどうか、その点をはつきり聞きたいのです。これはまあ今後の政策に重要な影響がありますので、そのめどは一体どこに置いているのか、ところが司令部のほうじや相当通貨量は縮小せよ、物価は現在よりも下げろ、こういうふうに言つている。そこのところの見解の相違があるわけで、政府は一体どういう肚でいるのか、そのめどだけでいいんですが……。
  27. 河野通一

    説明員河野通一君) 重ねて申上げますわけでありますが、繰返すことになると思いますが、先ほど申上げましたように、今木村さんのおつしやつたことを逆に申上げているわけで、あるべき国際物価水準に日本の物価を鞘寄せして行くということを基準にして金融というものを考えて行く。逆に申上げますれば公正な国際取引、国際競争に耐えて輸出が計画通りに行い得るいうところまで価格を鞘寄せして行く、そのために必要な金融は行う。具体的に個々の問題としていろいろ問題がありましようが、一般論としては今申上げましたように、具体的に今一体国際価格水準はどうかといことにつきましては、これは皆様がたよく御承知のことであります。国際価格というものは固定しておりません、先ほど申上げましたように……。将来の見通しも考えなければならん。殊に一番大きな国際商品である綿等につきましては、先ほど申上げましたように相当程度今後まだ変つて行く、一部はもうすでに織込んであるようでありますけれども、更にはつきりした数字が今日たしかきますわけだと思いますが、作柄の予想が出るわけでありますが、それで大体わかれば、それを睨んで採算点をとりながら国際価格水準というもののめどがついて来る。それらを合せながら金融というものをここに考えて行く。今の水準が一体高いのか安いのか、端的に言えというお話なのですが、これは今申上げましたように、国際価格というものがどう動くかわかりませんが、併しやはりそれに応じて金融というものは考えなければならん。或いは高過ぎるものがあれば下げる。殊に鉄等につきましては、個々の企業につきましては相当問題があると思いますが、そういう問題、個々に金融的にも産業的にも考えて行かなければならん問題が多々あると思いますが、水準的に申せとおつしやられれば、くどいようですが、何度繰返しても今申上げた程度しか申上げられないのであります
  28. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 大蔵大臣がいわゆる新政策を発表したときに、談話でそう言つておるのです。司令部から要請されたインフレ抑制策については、特に金融面に重点を置くということを談話で発表しております。そこでこの物価引下政策としては、金融面に非常に重点がおかれるだろうということはあれからも推定つくわけです。先ほど金融相場というものはない、金融というものは資金関係によつてきまつた物価に対応して金が流れて行くのだから、特に金融操作によつて物価をどうこうするということはないというお話ですけれども、あのいわゆる新経済政策というのですが、あれを見ますと、大蔵大臣の談話では、物価引下政策については特に金融面に重点をおくということを強調しておるのです。そうしますと、何か今の御答弁ですと非常にあいまいで、そういう御答弁をなさつておいて、実際にはぐんぐん締めて行くというふうにどうも我々には思えるのですが、その点が非常にあいまい模糊としておる。ですからもう一度金融政策というものは、結局物価を国際水準に鞘寄せする場合に、特に金融面から鞘寄せするという操作はとつて行くものではない、そういうふうにお考えになつておるわけですか。
  29. 河野通一

    説明員河野通一君) こういうふうに申上げたのであります。国際価格水準に国内の物価の水準を鞘寄せして行くということが目下の目標であります。その目標に合せるように金融操作もやつて行く、こういう意味であります。
  30. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 今のに関連するのですが、それじやあなたのお言葉によると、いつも日本の物価というものは国際物価より高いところにあつて、それを低くする。尤も安くなつてつておるのもあるのですね。国際水準より遙かに安くなつたような物資に対しては、国際水準に鞘寄せするまで金融面で面倒を見るという考えはありますか。
  31. 河野通一

    説明員河野通一君) その点はお話が少し違うと思います。国際価格を割つておりますものは、それじや国際価格まで一体価格を吊上げるように金融をルーズにするかというお話であります。これは国際価格というものが、先ほど申上げましたように、非常に抽象論として申上げておるのであつて、将来の見通し等も考えなければならんと思います。それでとにかく輸出できる、公正な競争によつて輸出できるベースまで価格を持つて来て、そこで安定させるのでありますから、個々に判断いたしまして、それじやそれより下つておるものは上げる。国際価格水準まで上るところまで金融をつけるかという問題につきましては、国内の金融は先ほど申上げましたように、これはコンマーシヤル・ベースで金融される。個々の誰が抱いておりましても、それがそこまでは必ずしも価格が上つて、そうして金融されたものが必ず返つて来るということは言えんと思います。個々に判断して、それが金融がつくかつかんかということはやはりコンマーシヤル・べースでやる。ところが中小金融につきましては先ほど申上げましたように、そういうコンマーシヤル・ベースだけでは行けない点がありますから、中小企業については特別の金融を講じなければならん。ただ今国際価格を割つておるから、何でも彼でも金融をつけるということにはならんと思います。だからそこに政府金融をそこまでつけることによつて、必ず金融としての目的を達し得るかどうかということは、それを行なつたら必ずそれが一定期間において回収されるかどうか。コンマーシヤル・べースで金融できるかという問題を考えなければならん。一概に今お話のようなことにはならんと思います。かように思います。
  32. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 これは重大な問題だから私はもう一点局長にお伺いしたいのですが、国内生産の原料、そういうものを以て作られた輸出品、例えば生糸とか或いは人絹とか、絹、人絹織物とか、そういつたようなものに対して、アメリカあたりからこれは極端にいいますと、日本じや今輸出滞貨があつて少し悩んでおる。金融はつけない、もつと下るだろうというので、向うで買いたくても足下を見すかして買わないというふうな状態がしよつちゆうあるのです。これは日本の国の経済としては非常なマイナスだと思うのです。そういう点について画一的に輸出滞貨に対しては金融をつけないのだという政策は間違つておると思います。論より証拠、若しあなたのほうで国内の原料によつて生産される物資に対してはできるだけ金融をするというようなことをあなたが発表されたら、明日にも相場は暴騰すると思います。それでもアメリカはついて来るということははつきりしておるのです。そういう点は余り遠慮なさらずに、やはり国際物価水準というものはよく検討されて、適当な対策を講じてもらわなければ、結局日本の貿易界においては大変なマイナスになると私は思うのです。局長としてはその点についてどういうふうにお考えになつておりますか。それともやはり相当の強圧もあるということになるのですか。
  33. 河野通一

    説明員河野通一君) 別に強圧もありませんし、私遠慮をいたしておるつもりでもございません。今根本問題に触れられたのでありますが、これはお話の通り大きな問題だと思います。我々考えて見ますのは、やはり日本の経済力にマツチした取引というものが行われなければならん。経済力というのはいろいろな意味がありますが、一口に言えばインフレーシヨンの問題、いろいろな問題があります。非常に皆さんがた専門家を前に置いて失礼でありますが、個人の経済を考えて見ましても、まあ貧乏人が安いときに何年か先、十年も二十年も先の、極端に言えば、洋服地を買つておきたい、それから靴下も今安いのだから三年分ぐらい買つておきたいという慾望はあると思うのです。併しこれはやはり個人生活を考えたつてその経済が非常に弱い場合にはそういうわけには行かない。その例は非常に悪うございますけれども、それと同じように、日本の経済力というものから考えて、一体輸入をして固定されて、どのぐらい持てるかということは非常に考えなければならん。いずれは三年先か五年先かには輸出できる、生産に廻つて、生産の過程に入つて輸出できるのだから幾らでも買つたらいいじやないか、物の裏付がございまして、それに対して金融したらいいじやないかということにはならんのです。日本の経済力自体を考えて持ちこたえ得る、非常に堅実なベースにおいて持ちこたえ得るストツクというものは、そういうものは必らず三年先に輸出できるのだから、今買つておけということにはならない。そこにはおのずから日本の経済の力というものと考え合わして、人間、個人生活を考えに例えては悪いわけでございますが、個人生活で三年先の分も買つておくということができないと同様に、日本では今買えない、買溜めをしたらすぐインフレーシヨンになるということになる。そいう点から考えまして、おのずからいずれはそれが生産の過程に入つて売れるのだから、今は幾らそれに対して金融をしてもインフレーシヨンにはなりませんということにはならん、こう思うのです。非常に話が毎々叱られて恐縮ですが、抽象論を申上げてあれなんですけれども、そういう意味で経済力と睨み合わせながら輸出ということ、輸入ということも考えなければならん。こういう点を特に私は申上げたいと思います。
  34. 小串清一

    委員長小串清一君) 油井君、時間の都合がありますから、油糧に関する質問について管財局の公団清算室次長、又油糧砂糖配給公団の清算人及び経理部次長も見えておりますから、そのほうをちよつとお聞きになつたらどうかと思う。
  35. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 油糧公団関係で以て二、三お聞きしたいのですけれども、最近新聞等では御承知のように油脂関係等においても、やはり輸入の厖大であつたということ等から見て相当値下りをしておるわけです。三月あたりまではかなり値段が高くなつて、三月末にたしか油糧公団は解散されたと思うのですが、その当時でありますれば国内のいわゆる油脂関係の品物の逼迫によつて値段も相当高いし、又売れば幾らでも売れたというような状況にもかかわらず、その当時余り処分もしないでおいて、最近一般物価水準の値下りと共にこの油脂関係相当の値下りがあつたようなときにおいて、今公団の手持を大量に放出するというような噂も出ておるのです。そうしますというと、まあいろいろの都合で以て、輸入優先で以て、買付けたいわゆる原料手持の消費者或いはメーカーという者は、たださえ困難な経済状態になつておるときに、もう一押し公団の放出によつて押倒されるというような結果も出やしないかと思うのですが、この関係等について関係当局のほうのいわゆる将来の見通しと意向とを承わつておきたいと思う。
  36. 島村律

    説明員(島村律君) 只今の油井さんの御質問に対してお答えをいたします。油糧砂糖配給公団は、今年の四月一日から清算を開始したわけでございますが、清算に入りましてから、全然処分に意を用いなかつたわけではございませんので、清算人が四月一日に任命されましてから、四月の二十七日に第一回の入札を行なつたわけでございまするけれども、その際は落札者がございませんでした。予期に反したわけでございますが、その後お説のように市況は冴えませんで、入札のようなドラツステイツクな方法は差控えて参りまして、需要家が公団に買付けを申込んで来ました場合には、これを受付けるというような方法を以て、市況に不当な圧迫を与えないように配慮して参つた次第でございまして、第二回目の入札を六月の十八日に計画をいたしましたが、これも当時の市況を勘案いたしまして、思い切つて入札を中止いたしまして、専ら市況の安定回復を静観しておるようなわけでありまして、併しながら清算開始当初約三万五千トンばかりの油がございました。その後約八、九千トンばかり処分が行われておりまして、現在約二万五千トンばかりの在庫があろうかと思います。今後の見通しでございますが、或いは方針でございますが、私どもといたしましては、今日のような市況の下で入札を行うとか或いは大量の処分をするということは、固より公団清算の側からは望ましい場合もございまするけれども、一面産業政策の要請の面との調和も図らなければなりませんので、売り止めはいたしておりませんが、需要家が買付けの申込がございました場合に、販売の申込みが、買いたいという申出がございました場合には採算の許す限り、又市況に値崩しというような悪影響を及ぼさない範囲においてそういう申込に応じて行きたい。まあ消極的な販売政策、処分政策をとつて参りたいと、こんなふうに考えております。差当つては併しながら時期的な関係もございまして、品質も夏分でございますので、品質が悪化して参ります虞れのあるものがございまするので、そうした不良化の、不良品についてはできれば処分がしたい、又全国に七、八百カ所ばかりの小口保管の商品がございます。こうしたものは全体の数量から見ましても、そう圧迫を加えるような数量でもございませんので、保管者が買取りを希望するような場合にはこうした少量のものは処分をいたして参りたい、かようにいたしまして、大部分の在庫がこの八、九月、十月にかけて残るわけでございますが、こうしたものは今後の市況の安定と睨み合せまして、その後の状況によつて処分をきめて参りたいし、こういうふうに考えております。公団の清算計画といたしましては、最初九月の末を以て一応結了のめどといたしておりましたが、今申しましたような市況の関係もございますので、只今の方針といたしましては、本会計年度一ぱいまでに清算を延長する方針でございます。
  37. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 今のお話のうち、七百トンですか、その小口というのは。
  38. 島村律

    説明員(島村律君) いや、所在箇所が七百カ所ばかり。
  39. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 それは数量は。
  40. 島村律

    説明員(島村律君) 千トン足らずだろうと思います。
  41. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 そうすると千トン足らずでは殆んど影響がないのですが、そこで大蔵省主計局においで非常に公団の清算をやかましく言つて、何でもかんでも早く清算しろということで、いわゆる売上げ代金の入金を急いでおるという話も聞いておるのですが、その点はどういうふうに解決されておりますか。
  42. 島村律

    説明員(島村律君) 今私が御説明いたしましたような方針については賛成しております。
  43. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 もう一点伺いたいのですが、公団は清算すると三十億から黒字になるというのは、大分予定が狂つたというのですけれども、現在の成行き価格で以て採算した場合には、当初三十億の黒字というのはどの程度になるかということをちよつとお知らせ願いたいのです。
  44. 吉田敬助

    説明員(吉田敬助君) 私清算人の吉田でございます。  只今油井委員からの御質問でございますが、三十億の黒字が出るであろうといつたようなことが、この三月頃に公団のほうで追及されておつた。そういうように伺いましたが、現在の市況からいたしましての御質問でございますが、この公団は砂糖、油糧と同じ形の品目を取扱つておりまして、大体の予想を申上げますというと、現在公団存続中の事務の整理が遅れておる面もございまして、三月までの決算は現在まだ作成いたしておりません。目下作成を急いでおります。従いまして正確なところは申上げられませんが、我々の予想といたしまして、二十五年度におけるところのものは、油のほうにおきまして約八億、砂糖のほうにおきまして約九億、十七億以上、十七億ぐらいかと思います。又清算結了の際におきまして、二十六年度におきましては油の市況が非常に悪くなつておりますので、利益金が約二、三億出るかと考えておりますが、これは今後の商品処分の如何にかかつておると考えます。砂糖のほうは全量すべて食糧庁のほうに引渡してありまして、食糧庁のほうとの決済を急いでおりまして、このほうからは約六億、五億程度の金が出るであろうかと考えられるのであります。  以上お答えいたします。   —————————————
  45. 小串清一

    委員長小串清一君) それでは租税特別措置法に対する小委員会中間報告があるそうですからちよつと。
  46. 大矢半次郎

    ○大矢半次郎君 租税特別措置法の一部を改正する法律案に関する小委員会における審議の経過につきまして中間報告を申上げます。  昨八月七日小委員会を開きまして、全国漁村経済協会常務理事及川孝平君から全国漁業協同組合連合会長会議並びに全国漁村経済協会の陳情の趣旨の説明を求め、これに対する農林省、水産庁並びに大蔵省主税局の意見を聴取し、詳細に質疑応答を重ねたのであります。問題となつた主なる事項を申上げますというと、  第一に漁業界における補償金のうち漁業協同組合に承継する分、及び漁業会以外の者の受ける補償金のうち、漁業制度の改革によつて、新漁業権者となるものの分については再評価税を課しないものとするという点でありまするが、これはこの法律案の中心問題でありまするので、後に述べることにいたします。  第二は、漁業会に対する事業税のうち、清算所得としての分については課税しない措置をとることであります。大蔵省の泉税制課長の説明によれば、漁業証券を受けることによつて生ずる清算所得に対しては、すでに去る七月十六日附にて地方税法の施行規則を改正し、資産毎評価を行つたものについては事業税を課しないことを明らかにしているとのことであります。  第三は、漁業会員中漁業協同組合の組合員となつた者については補償金の承継による持分の増加を理由として所得税及び市町村民税を課税しない措置をとることであります、大蔵省側の説明によれば、当該補償金の漁業協同組合の承継が、出資の増加の形式を以てせられた場合には、現行法上課税せられないのであるが、持分増加の形式を似てせられた場合にはなお検討したいとのことであります。よつて水産庁に対しまして、漁業会から漁業協同組合への補償金の承継が、果して出資の増加の形式によつてなされるのか、又は持分増加の形式によつてなされるのかを質しましたが、大体持分増加の形式によりたい模様でありましたが、右の点に関しましては、なおよく両省間において研究打合せを遂げて、次回までに明らかにしてもらうことにいたしたのであります。  第四は、法人は資産再詳価法の適用を受けるためには、所定の申告を必要とするのでありますが、漁業会の事務能力を顧慮し、煩雑の手続を略する趣旨にて、申告を要さないことにしてもらいたいということでありましたが、これに対して大蔵省側においては、できるだけ手続は簡素にするが、一応申告は要することにしたいとのことでありました。  以上の質疑応答を経て、最後に本法案の中心問題である補償金に対する再評価益課税の可否について、各委員間において腹臓ない意見の交換を行なつたのでありますが、結局今回の漁業改革の狙いは、漁業の民主化とその生産の発展にあり、特に組合優先主義によつて漁業権が配分されるものと思われるから、これが実現を容易ならしむるがために、漁業会の受ける補償金については非課税とし、その他は原案通りとするを妥当とすることに、全員の意見が一致した次第であります。  以上御報告申上げます。
  47. 小串清一

    委員長小串清一君) 只今委員長より報告がありまして、まだ小委員会でもきまらないのですが、大体各委員の御意向もそう大差なければ、この際小委員会で審議して決定案を出してもらうということで如何ですか。御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  48. 小串清一

    委員長小串清一君) それではさようにお願いいたします。  本日はこれを以て散会といたします。    午後零時二十九分散会  出席者は左の通り。    委員長     小串 清一君    理事            大矢半次郎君            杉山 昌作君            木内 四郎君    委員            黒田 英雄君            九鬼紋十郎君            松永 義雄君            小宮山常吉君            小林 政夫君            油井賢太郎君            森 八三一君            木村禧八郎君   事務局側    常任委員会専門    員       木村常次郎君    常任委員会専門    員       小田 正義君   説明員    大蔵省銀行局長 河野 通一君    大蔵省管財局公    団清算室長   島村  律君    油糧砂糖配給公    団清算人    吉田 敬助君    国税庁法人税課    長       吉国 二郎君    中小企業庁振興    部長      松尾 金蔵君