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1951-01-29 第10回国会 参議院 大蔵委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年一月二十九日(月曜日)    午後一時三十五分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○郵政事業特別会計歳入不足を補て  んするための一般会計からする繰入  金に関する法律案内閣送付) ○厚生保險特別会計法の一部を改正す  る法律案内閣送付) ○食糧管理特別会計歳入不足を補て  んするための一般会計からする繰入  金に関する法律案内閣送付) ○食糧配給公団清算経費財源に充  てるための剩余金使用に関する法  律案内閣送付) ○アルコール專売事業特別会計から一  般会計への納付特例に関する法律  の一部を改正する法律案(内閣送  付) ○租税関係等提出予定法律案に関す  る件 ○金融関係等提出予定法律案に関す  る件 ○塩の需給関係等に関する件   —————————————
  2. 小串清一

    委員長小串清一君) これより大蔵委員会を開会いたします。  郵政事業特別会計歳入不足を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律案、それから順にここで付議しますが、その次は厚生保險特別会計法の一部を改正する法律案、その次、食糧管理特別会計歳入不足を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律案、その次は食糧配給公団清算経費財源に充てるための剩余金使用に関する法律案アルコール專売事業特別会計から一般会計への納付特例に関する法律の一部を改正する法律案、以上予備審査を付託されておりますから政府の御説明を要求します。西川政務次官
  3. 西川甚五郎

    政府委員西川甚五郎君) 郵政事業特別会計歳入不足を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律案ほか四法案提出理由説明申上けます。  先ず郵政事業特別会計歳入不足を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律案提出理由を御説明申上げます。  郵政事業特別会計におきましては、別途御審議を仰いでおりまする昭和二十六年度特別会計予算に計上してありますように、歳出総額五百七十一億七千七百二十四万五千円に対し、この会計固有歳入額は五百三十五億九千三百四十一万円でありまして差引三十五億八千三百八十三万五千円の歳入不足を生ずることになるのでありますが、これは本特別会計固有業務が、公共的性格のものであるのに鑑みましてその料金が低廉になつております関係上、給與改善等に要する経費財源不足を来すこととなつたものであります。  本会計におけるこの不足額につきましては、総合均衡予算建前からいたしまして、これを一般会計からの繰入金を以て補てんすることにいたしたいのであります。  なお、この繰入金につきましては、この会計独立採算制建前であり、且つ、その経費性質に鑑みまして、後日この会計財政状況が健全な状態になりました曉には、繰入金に相当する金額は、予算の定めるところによりまして、一般会計に繰り戻すことにいたしたいと存ずる次第であります。  次に厚生保險特別会計法の一部を改正する法律案提出理由を御説明申上げます。  厚生保險特別会計におきましては、昭和二十六年度以降結核患者用病床を増設いたしまして健康保險事業福祉施設を拡充し、結核対策の充実を期したいと存ずるのであります。併しながらこれに要します経費は、この会計財源のみを以ては不足いたしますので、その一部を一般会計から繰入れましてその事業の目的を達成いたさせたいと思うのでありますが、一般会計からの繰入金は、業務勘定におきましては、現行の本特別会計法におきまして業務取扱に関する諸費のみが認められておりますので、福祉施設経費につきましても一般会計からこの会計に繰入れることができることといたしたいのであります。  次に食糧管理特別会計歳入不足を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律案提出理由を御説明申上げます。  農業災害補償法第十二條の規定によりまして、農業共済組合組合員の支拂うべき農作物共済に係る共済掛金の一部をこの会計において負担し、更にこの負担金食糧消費者負担するよう食糧売渡価格に織込むことになつておりますが、食糧消費者価格の値上りに伴う家計費に及ぼす影響等を考慮いたしまして、昭和二十二年度から、引続きこの負担金食糧消費者に転嫁させないことができることの臨時的措置を講じて参つたのであります。昭和二十六年度におきましても、別途法的措置を講じ、同様の臨時措置を継続することといたす予定でありますが、これに伴いまして、この会計から農業共済保險特別会計に繰入れまする四十一億六千百六十四万五千円を限り、一般会計からこの会計に繰入れることができることとして、この会計に生じまする歳入不足を補てんすることといたしたいと存ずる次第であります。  第四に食糧配給公団清算経費財源に充てるための剩余金使用に関する法律案提出理由を御説明申上げます。  食糧配給公団は、昭和二十六年四月一日に解散し、昭和二十六年度中に清算結了予定でありますが、同公団昭和二十五年度の国庫に納付すべき剩余金は、目下のところ十四億五百八十一万九千円と推定されますが、これを同公団清算に要する経費財源の一部として充当いたそうとするものであります。  第五にアルコール專売事業特別会計から一般会計への納付特例に関する法律の一部を改正する法律案提出理由を御説明申上げます。  今回この法律を制定しようといたしますのは、現在は、アルコール專売事業特別会計の毎会計年度の決算上の益金を一般会計歳入納付することとなつているほか、昭和二十五年度におきましては、この会計の同年度末における固定資産及び作業資産価額合計額が、昭和二十四年度末におけるそれらの資産価額合計額より減少した場合は、その減少額に相当する金額昭和二十五年度において、この会計から一般会計歳入納付し、当該減少額に相当するこの会計固有資本を減少することとなつているのでありますが、昭和二十六年度以降におきましても同様の措置をする必要がありますので、所要の改正をしようとするものであります。  以上五法律案提出理由について申上げましたが、何とぞ御審議上速かに御賛成あらんことをお願い申上げます。
  4. 小串清一

    委員長小串清一君) 次は租税関係提出予定法律案について主税局長説明を聽取いたそうと思います。
  5. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 主税局から本国会提案する見込法律案につきまして概要を御説明申上げたいと存じます。  なお最初に若干の順序を申上げたいと思いますが、内国税関係税制改正に関する要綱につきましては、すでに閣議決定を経まして関係法律案を総司令部提出いたしまして、最終承認を受ける段階にまで参つております。このほうは予算に緊密な関係がございますので、成るべく早く国会提案するつもりで目下促進を図つている次第でございます。但し、内国税に関する法律案の中にも例えば国税徴收法改正法律案、それから税務代理士法案、それから資産評価法改正に関する法律案等法律案は若干遅れて提案することに相成るかと考えておるのであります。  次に関税のほうの改正に関する法律案につきましても目下立案中でございますが、このほうは近く関税率審議会を開きまして、そこの諮問を経ました上で閣議決定を経まして国会提案する見込でございます。このほうもできる限り早く提出する手筈にいたしておりまするが、相当広汎な範囲に亘ります一般改正でございますので、なお若干の時日を要するかと考えております。  最初税制改正に関する要領の内容を極くかいつまんで申上げて見たいと思います。このほうは近く法律案としまして提案になります際に更に詳細なる御説明をいたすことに相成るかと存じますので、内容の微細な点はその際に讓りたいと考えるのであります。税制改正に関する法律案としまして提案いたしまするのは、所得税法以下の改正法律案でございますが、大体三つの点から改正案考えておるのでございます。一つ目下最も要望されておりますところの減税を行うという点でございます。それから第二の点は、制度につきまして若干の改正を行うという点でございます。その制度改正につきましては二十五年度国税地方税を通じまして根本的な改正を行いましたので、この際再び根本に触れるようなことの改正を行うのは如何であろうかという趣旨におきまして、いわば二十五年度改正の補正というような見地から取上げた改正が大部分でございます。税制簡素化を図る、或いは更に一層前年度改正趣旨を徹底するような改正を行うといつたような改正が主な事項でございます。それと第三の点といたしましては、最近特に自立経済の確立に関連いたしまして重要性を加えて参りました資本蓄積との関連において税制上できる限りの考慮を加えようという見地からいたしました改正でございます。  これらの点が主なる改正点でございまして、内容は後ほど次の機会に詳細に申上げようと思いますが、一番の問題はやはり所得税減税に最大の力を入れようという点でございます。そうしまして、所得税につきましては、税率扶養控除基礎控除、これらの所得税に最も重要な関係のある改正先般給與所得関係措置につきまして御説明申上げましたと同じ案でございます。基礎控除二万五千円を三万円に引上げる、扶養控除一万二千円を一万五千円に引上げる、税率につきましてはそれぞれ現在の八万円と十二万円の階級区分を削除いたし、新たに三十万円と百万円の階級区分を設けまして順次上にずらすようにいたす見込でございます。これらの点は前回申上げましたのと同じでございますので、特別にこの際といたしましては申上げることを省略いたしたいと思います。新たに設けまする制度といたしましては、現在のいろいろな控除制度のほかに、要綱に示してありまするように、若干の特別の控除制度を認めようという点でございます。一つは六十五歳以上の方に対しまして一万五千円の特別控除を認めるということ、次は扶養親族のある未亡人につきまして所得から一万五千円を控除するということ、この点につきましては未帰還者の婦人につきましても同様な取扱にいたしたいと考えております。法律にそのことを成るべく明記いたしましてやりたい。と申しますのは、法文最終案がまだでき上つておりませんが、大体生死が不明の人には同じ扱いをするというような法文にしたいと考えております。それから勤労学生につきましては一万五千円の控除をしよう、但しこのほうは所得金額年十万円以下、資産所得五万円以下の場合に認めたらどうか、こういう考えでございます。老年者未亡人につきましては特別に所得の額の如何を問わないことにいたしております。  その次に生命保險料につきまして新たに二千円までの控除を認めようという点でございます。これは主として先ほど申上げました第三の資本蓄積との関連において生命保險普及促進を図るという趣旨多分に取入れましてこのような制度を挿入するようにいたしたいと考えておるのでございます。  それから所得税につきましてはそのほか合算について現在は御承知通り昨年の改正で大部分合算をやめたのでありますが、ただ未成年の子供、妻これらの資産所得合算する建前にいたしていたのでございます。それから扶養親族所得がある場合も合算いたしておるのでありますが、今回はそのような合算は全部やめまして、子供であろうと、奥さんの分であろうと、資産所得と何たるとを問わず、各人別に所得者ごとに分別課税するという趣旨に徹底いたしておるのであります。これによりまして、簡素化が大いに役立つのではないかと考えております。  それからその次は預貯金につきましては源泉選択制度を認めまして、百分の五十の税率によりまして課税したらどうか。これは昨年取りやめたのでございますが、最近の預貯金増強見地等から考えまして、やはり従来ありましたこのような制度を再び復活したらよかろうという結論になりまして、このような提案をいたそうと考えておるのであります。尤もこの点につきましてはまだ関係方面最終承認を得ておりませんので、法律案国会提案する運びに至りますまでに了解を取りまして、提案することに相成るかと思つております。  それからその次は農業所得者以外の所得税申告の時期が、今までは六月、十月、一月となつておりますのを七月、十一月、二月というふうに一月ずつ遅らせよう。今年の確定申告だけは臨時特例で二月にいたしておりますが、これを来年度から普通の本格改正いたしまして、法律に恒久化しようという改正でございます。これは納税者の便宜と、徴税上の税務行政の運営との関係並びに農業所得者と一緒にすることにより簡素化を者えまして、このような改正にいたそうという点であります。その他所得税につきましては、申告源泉納税義務者申告しなければならない限度、例えば現行法でありますと、三十五万五千円からは確定申告を要することになつておりまするが、それを五十万円程度まで確定申告を要しないことにいたしたい。それに簡易税額表をそれだけ上に余計に定めまして、成るべく年末調整で片付けてしまいたいというような改正をいたしたいと思います。その他若干それに類似の成るべく簡素化見地がら考えました若干の改正法文に謳い込む考えでございます。  以上の点が所得税に関する主な点でございますが、所得税は大体以上の諸改正によりまして六百十億円程度減税に相成るかと思つております。そのうち五百八十億円程度は、つまり大部分基礎控除扶養家族控除並びに税率改正によりまして減税になるはずであります。  それから次は法人税でございますが、法人税につきましては、昨年度改正相当拔本的改正が行われておりますので、今回は余り根本的改正はいたしておりません。ただ資本蓄積とも関連いたしまして、法人社内留保をできるだけ多くするというのが今の諸情勢としても、趣旨からも緊切だろう、こういう考えからいたしまして、積立金に対しまして課税制度をやめるということにいたしたいと思います。ただこれは現在の法人課税制度根本的な考え方としては触れる問題でございますので、飽くまでも一種の臨時特例という形にいたしたい。従いまして租税特別措置法改正で行きたいと考えております。さつきの預貯金利子に対する選択制度も同様でありますが、租税特別措置法改正で参りたいと考えております。なおこの場合におきましても同族会社に対しましては現在七%課税いたしておりますが、普通の二%分は課税をやめまして、五%程度課税同族会社につきましては一般個人事業とのバランスに鑑みまして存置したいと考えております。なお非同族会社の子会社に対しては現在は積立金課税を適用することになつておりますが、このほうはどうも妥当ではなかろうというのでやめることにいたしたいと考えております。  それからその次は減価償却でありますが、減価償却につきましては一つは政令の改正によりまして耐用年数全般的改正目下検討いたしております。その改正によりまして最近の実情に即しました減価償却が先ず第一にできるようにいたしたい。それに関連しまして償却方法等につきましても、例えば特別陳腐化による償却を認めるか、認めないか、或いは残存価格を今一律に一割にいたしておりますが、それを適当に改正するか、そのような技術的な問題も併せて檢討いたしておりまして、それによりまして相当減価償却の問題は合理化されるものと考えておりますが、この要綱に謳つておりますのは、そのほかに特別に政策的に余計にこの際特別償却を認めようという点であります。通産省で考えております設備近代化法案とよく歩調をとりまして、この際産業の復旧に非常に緊急と認められますところの機械設備等を新たに購入いたしました場合におきましては、その最初に取得いたしました価格を基にしまして、勿論償却額合算するわけでございますが、最初の三年間は普通の方法によりまして計算いたしました償却額の五割増しの償却を認めたらどうかというふうに考えております。この方法によりますと、耐用年数は十八年くらいの機械設備でありますと、三年目には帳簿価格半分くらいになる。三年後に三年間の最初の普通の償却を入れまして、特別償却普通償却を加えまして、三年目には半分くらいまで償却しよう。こういう考え方でこのような程度償却を認めたらどうかという点であります。これも租税特別措置法改正によることでございます。  それから次は見返資金で償還しております優先株式に対する利益の配当は、所得計算社債利子と同様に見まして損金に算入したらどうか。これは実質社債利子に非常に近いのみならず、これを課税いたしますと、折角のコストが高くなりまして、金利が大分高くなりますので、このような改正をやめまして、特別の措置考えたいという考えでございます。  それから次は相続税でございますが、相続税につきましては主として生命保險の獎励という意味を取入れまして、生命保險金のうち、十万円までの金額を特別に控除したい。相続税はそうしまして各人ごと課税いたしますので、例えばお子さんが三人おられるような場合でありまして、別々に受取人をきめた場合には三十万円までかからない。五人のときには五十万円までかからない。こういうことになります。相続人ごと保險金を受取る人ごとに十万円まで特別控除をしようという考えでございます。  それから通行税につきましては、航空機の通行が近く開始されるようでありますので、これには汽車汽船等負担均衡から申しましても課税するようにしたい。ただ汽船の二等乘客には現在課税しておりますが、これは汽車の場合でございますると、二等と三等とどつちに持つて行くべきか、議論があるわけでありまして、この際若干配慮を加えるという意味におきまして、汽船の二等の分は課税から除外したらどうか、三等により近い性質多分に有する、こう見まして廃止したらどうか、こういう考えのようであります。  それから砂糖消費税につきましては、先般申上げましたように免税措置をやめよう。印紙税骨牌税につきましては、最近の貨幣価値に応じた免税点に改めよう。受取書は現在百円から課税いたしておりますが、千円以上に課税することにしてはどうか。商品切手は十円以上課税でありますから、それを五十円程度以上に課税することにしたい。その他のものもおおむねこれに準じまして、課税税率は変更いたさない考えでございます。それから骨牌税の中で麻雀の税率は据置く方針でございますが、トランプ等税率は少し高過ぎますので引下げたい、今百三十円でございますが、それを五十円程度に引下げたい。  それからなおその他高級織物物品税課税するかどうかという問題でございまするが、これは現在のところ留保なつておりまして、まだ決定いたしておりません。  それからその他の事項といたしましては、国税徴收法税務代理士法につきまして改正を行いたい。これらの法律案につきましては、後ほど又説明する機会があろうと思います。国税徴收法につきましては分割の制度を新らしく導入するかどうか、それから差押えの禁止物件範囲をもう少し拡大するかどうか、そのような点につきまして目下検討いたしております。税務代理士法につきましても同様に今後の税務代理士の素質の向上を図るために試験制度を導入する等のことを決定いたしております。  資産の再評価につきましては、大体再評価税その他の基本的な條件は前回と同じにいたしまして、この際もう一度再評価を行うことを認めたらどうかという考えであります。但し再評価による積立金はいま三年経たなければ資本に組入れない法律なつておりまするが、状況によりましてこれを各企業の自由で組入れすることを認めることにしたらどうかということを研究中でございます。大体高さはやはり前回定めました率の高さによりまして、ただ一年経過しておりますので一年分の償却差引かなければなりませんが、それを元にしまして、今年の十一月三十日ぐらいまでの間にもう一遍再評価をやり直すことを認めたらどうかと、こういうことで目下案を検討いたしております。細目はまだ決定いたしておりません。その方面法律案は先ほど申上げましたように若干提案は遅れることに相成ろうかと思います。  以上の諸点が内国税に関する改正の主な点でございます。  歳入につきましては特別に御説明申上げるほどのことはないと思います。現行法によりまする見込税は五千百八十八億円に対しまして、改正案を適用いたしますと、四千四百四十五億円程度收入になり、差引七百四十億程度減税になる、こういう計算でございます。なおこれらの点につきましても詳細は更に適当な機会に御説明申上げたいと存ずる次第でございます。  それから次は関税関係でございますが、関税につきましても関税法関税定率法保税倉庫法等の一部改正を行う考えでございますが、この中で一番重要な問題は関税定率法の一部を改正する法律案でございます。その他の法律案はおおむね現行法を最近の事態に鑑みまして補正的に改正を行うという点で大したものはございません。関税法改正は表としては実は全面改正に相成るのでございます。目下先ほど申上げましたように最終的に仕上げをいたしておるわけでございます。内容は御承知通り現在の関税定率法従量税従価税から相成つております。従量税につきましては実は戰前の税率がおおむねそのままになつております。これに対しまして物価が二百倍以上も騰貴しておりまするので税率といたしまして誠にナンセンスな税の負担なつておりますのでこの際この税率を適正なものに全面的に改める必要があるのでございます。それが一点。それから第二点といたしましては贅沢品に対しましては贅沢品輸入の特別の法律がございまして、十割という禁止的な関税なつております。これは最近の国際貿易並びに関税の世界の動向にどうもマツチしませんのでこのほうは更に大幅に引下げたい、大体最高は五割程度のところに持つて行くように考えておるところでございます。そういう趣旨で著しく高い関税率はこの際最近の傾向に照らしまして引下げる考えでございます。それから全体といたしまして関税率を定めます場合におきましては、最近の産業事態に適応しますように全面的な、各品目ごとに検討いたしまして改正を加えるという考えでございます。ただ食糧とか鉄鉱とか、現在なお関税課税することが不適当なものにつきましては臨時措置といたしまして特別に免税するような措置も併せて配慮に入れておるのでございます。そうしまして各品目全体に亘りまして全面的な改正を行いたい。税率といたしましては価格の変動が相当なお著しく変るものもございますので、この際としましては従量税率よりも従価税率が適当であろうというので、殆んど全部従価税率に改めるということにいたしております。かような考え方目下関税定率法全面改正考えております。これはさつき申しましたように、関税率審議会諮問を経ました上で国会提案しまして御審議を願いたいと考えておる次第でございます。従いまして関税関係の諸法案は若干遅れますことにつきまして御了承願いたいと思います。  大体非常に粗雑な説明でございましたが以上で大要を終りたいと思います。
  6. 小串清一

    委員長小串清一君) 次は金融関係提出予定法律案について銀行局長説明を求めます。
  7. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) 御配付申上げました大蔵省関係法律案調というものによりまして、銀行局所管法律案についてその審議経過過程或いは御審議を願う見込等につきまして御説明申上げます。復興金融金庫法の一部を改正する法律案ここからが所管でございます。これは回收金納付した場合に、一億円未満のため切捨てられた金額が一億円以上になりました場合はこの減資に充てることにいたしまして極力減資を速かにする、その他の技術的な改正でございます。  次は銀行法案でございますが、これは草案についての御内覧を得ておるわけでありますが、この扱いにつきましては、今国会に御審議を願うかどうかまだ最終的な態度を決定いたしておりません。と申しますのは、いろいろ内外の情勢によりまして、金融制度、或いは金融政策というものにつきましても、もう一度考え直して見る必要がありはしないかという問題と関連いたすのでございます。こういう際に恒久的に亘るところの制度改正が適当であるかどうかということについて若干の再検討を要すると考えておるのでございます。ただこの法案の中にあります信用調整的な分、預金準備制とかマージン・リクワイアメント、或いは金利に関します問題、こういうようなものは今後の情勢の進展、或いは銀行法と切離して何らか立法措置を講ずるときが来るかも知れんというふうには考えておりますが、ここでお目にかけました銀行法案自体を提案することにつきましてはまだ態度をはつきりきめておらない次第であります。  それから次の国民金融公庫法の一部を改正する法律案、これは二十六年度におきまして先般も十億の増資に引続きまして二十億の増資をするということを言つておりますが、次の相互銀行法案と信用金庫法案、これは銀行法における制度改正いたしますと共に、これらの現在の無盡会社及び信用協同組合につきましても制度を整える必要があるという趣旨でこれらの法案を用意したのでありますが、銀行法案提出しないということはなりますればこれら二法案につきましても提出されるか否かは再検討を要することと考えております。或いは衆議院方面におきましては議員提出法律案としてこれを提案したいというお考えもあるようであります。  次の農林漁業資金融通法案、これは二十六年度予算一般会計から二十億、見返資金から四十億、農林漁業関係に長期資金として、且つ低利を以て供給するという考えであります。農林省と大蔵省の共同提案として御審議を願う予定なつております。  それから次の二法案、農林中金法と商工中金法でありますが、これは現在従来の特殊銀行も普通銀行に改組せられたのであります。商工中金とか、農林中金とかいう特殊銀行を依然残して置くことは適当でない。特に役員の選任方法等政府任命となつておりますが、これらについて再検討を要するのではないかという意見もありまして、なおその他銀行制度改正と見合せまして、これらの金庫法の内容にも改正を加えたらどらかという予定をして参つたのでありますが、まあ制度について、余りこの際手を着けることは適当でないといたしますれば、これらの法案につきましても見送りになるものかと考えております。  それから次の資金運用部資金法案、これは例の預金部制度改正に関するものでございまして、制度改正することによつて預金部資金を金融債にも運用して差支えないという司令部からの書面もございまするので、これは是非とも今国会提案して制度改正を行いたいと考えておるのでございます。この大きな筋道につきましては、従来の預金部資金、預金部の制度と大した変りはないのでありますが、先ず資金の受入面につきましては、政府の国庫余裕金或いは特別会計積立金及び余裕金等を受けるのでありますが、これは定期預託金のみといたすのであります。そうしてこの預託金の條件は、預託期間三カ月以上一年未満のもの、或いは一年以上三年未満のもの、三年以上五年未満のもの、五年以上のもの、こういうふうに分けまして、最低年三分五厘から最高年五分五厘までの利率をそれぞれつける予定にいたすつもりでございます。それからこの資金運用部資金の運用は、やはりこれが国庫に預託された資金だという建前から、国債、地方債等を中心に運用するのでありますが、なお、あとで申上げますように、金融債にもその運用を認めるのでございます。運用は国債又は国に対する貸付金、次は政府機関等国会の議決又は承認により予算を定めなければならない法人の債券、又はこれらに対する貸付、公社公団等が入るわけでございます。それから地方債又は地方公共団体に対する貸付、それから従来公法人と言つておりました、土地改良、水害予防組合等私人の出資のない公法人的な法人でありまして、特別の法律によつて債券発行の能力を與えられているものの発行する債券の引受又は貸付、これらに運用する。そうしてその後に金融債に運用するということになるのであります。金融債に対する運用は、政府資金の本質から考えまして制限がございます。即ち総額においては資金運用部資金の総額の三分の一を超えてはいけない。それから金融債を発行いたします金融機関別には、発行残高の五割を超えてはいけない。且つ債券発行の各回号別には一回の発行額の六割を超えてはいけないという制限をつける見込であります。それから資金運用部の損益は資金運用部特別会計で処理いたすのでありますが、この資金運用部特別会計に赤字を生じたときには一般会計で補てんするということが大きな相違になるかと思います。その半面、資金運用部特別会計に決算上剰余を生じましたときには、二分の一を積立て、残余を一般会計へ繰入れるのを原則といたしますから、この預金部資金特別会計といたしましては、従来一般会計から借りがございますので、当分の間は剰余の全部を一般会計へ繰入れるものとする予定であります。それから別途預託の側におきましては、郵便貯金について郵便貯金特別会計を設けまして、郵便貯金業務の收支採算を独立せしむる見込でございます。それからなお郵便貯金、簡易生命保険及び郵便年金の支拂は政府が保証するということを法制化する予定でございます。  以上が預金部制度改正に伴います重要なる諸点でございます。  それから次の保険業法の一部を改正する法律案につきましては、先ず、改正商法が施行せられまするので、これに歩調を合せまするところの改正、これは先ほど申し落しました銀行法その他につきましても、同様でございまして、或いは金融関係法規の新商法に対する関係一つ法律として、技術的な法律として御審議を願うことになるかと考えております。保険業法につきましては、これは又銀行法等と同様に根本的改正も一時企画いたしたのでありますが、併し他の制度に関しまする法律が見送りになりますので、保險業法につきましても、全面的改正はこれをいたしません。一部改正にとどまるのでありますが、それにつきましてはなお当面必要とされておりまするところの若干の諸点について改正をいたしたいと考えております。一二例示いたしますと、損害保險の種類を殖やしまして、保証保險というものを追加するという案、それから現在保險会社が大きな保險を引受けるというようなときに、各社共同して引受けますと、独禁法或いは事業者団体法に抵触するというような問題があつて、非常に不便を感じますので、これが独禁法、事業者団体法との関係において、その適用を解除して保險会社の仕事をより容易にするという点を改正いたしたいと考えておるのでございます。  それから更に生命保險につきましては、募集についていろいろの弊害がございます。そこで募集人とか、保險の募集人の取締につきまして、法律を適当に改正いたしたいということを考えておるわけでございます。その他一二の点を研究いたしております。ここに書いてございます法律案は以上の通わでありますが、そのほかに日本開発銀行とも申すべき制度につきまして研究し、関係方面とも折衝いたしております。この開発銀行の構想は、この日本の現在の産業経済界において必要とせられておりまする長期の資金を特殊の金融機関の手によつて供給するということを目途とするのでございます。即ち政府出資によりまして、或いは一般会計或いは見返資金から出資をいたしまして、この資金を長期の特殊の方向に流すのでございます。これは関係方面との折衝が十分進んでおりません、又当方と関係方面との意見の間には相当の食い違いもございましてまだ解決いたしておりません。その大きな点といたしましては、私どもといたしましては、やはり資本金の何倍かに相当する債券を発行いたしまして、預金部でこれを引受けてもらつて銀行の資金量を増強するという措置が必要ではないかと考えておるのでありますが、関係方面ではそれに未だ同意はしておらないのであります。それからもう一つの点は、私どもはこの銀行を拵えた以上、相当積極的に活動せしめたいと考えておるのでありますが、まだ関係方面の意向といたしましては、市中銀行がすでに短期融資の形で金融しておるが、実際上それが固定化して長期貸付となつている、それをリイファイナンスするという程度にとどめたらどうかという意向が強いのであります。まあ肩替りと申しますか、そのことによりまして市中銀行は今後は短期流動資金のみを取扱う銀行となる、こういう構想であります。私どもはもう一歩進めて積極的な金融業務を営めるようにしたい。その他につきましては大体日本輸出銀行の例に倣うべきではないかという構想を持つております。更にこの開発銀行ができますれば、従来の復金の回收事務の調整も適当に考えなければならないのではないかという考えを持つておりまして、それらの諸点については目下研究中でございます。  銀行局関係法案の大要を御説明申上げました。
  8. 森下政一

    ○森下政一君 この機会に私銀行局長に伺いたいのですが、前国会で可決いたしました例の中小企業信用保險、あれの制度が新たに発足したわけですが、今どういう段階まで進んでおりますでしようか。私は、大阪での話なんですが、相当あの制度を私は中小企業の人々に宣伝しました。銀行へ行かれたらばそういうわけで、もとより銀行の資金で融通を受けるのだけれども、万一の場合には七五%まで政府のほうから損失をカバーしてもらえるということになつておるから、中小企業が融資を受けられるのは従来に比して非常に楽になるはずだ、そういうことを若し御承知なければ早速取引銀行に行かれて折衝を開始されたらと言つたところが、おしなべてどの人も銀行に行つたら、銀行ではそんなことは聞いておらん、知らんというような話なんですね。念のためにたまたま私は富士銀行の大阪支店長、これは富士銀行の重役のはずなんですが、に出会いまして、こういうことについて本店のほうから何か言つて来ておりませんかと言つたところが、まだ何も聞いていないということなんですが、そうすると、折角ああいうものを作つたけれども、まだ発足していないような気がするのですが、どういう段階にまで進捗しておるのか、進捗状況を伺いたいと思います。
  9. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) 中小企業信用保險の制度の実施につきましては、極力これを急いでおりましたのですが、現在は保險約款その他の草案の作成も終えまして、これを金融機関に内示して、そうして本年度の包括契約の枠でありますところの三十六億円、これを各金融機関に割振るという仕事があるわけでありますが、そのうち二十億くらいは割振りを了したという報告を受けております。そこで残ります問題は、保險約款について金融機関と基金の間に正式の取りきめをするということが或いは残つておると思うのでありますが、御指摘のような点は銀行の首脳部では、つまり企画面におきまする関係者は十分承知しておるはずでありますが、それが実務方面にまでまだ浸潤しておらんというようなことはあろうかと思います。なお実際の進行状況を資料を作成いたしまして御報告申上げたいと思います。
  10. 森下政一

    ○森下政一君 そうすると、割振りは了したけれども、保險約款等の草案がまだまとまつていないということのために、実際のそれによる取引という段階には行かんというわけですね、現在では……。そういうことですか。
  11. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) 約款の草案等はできておりますが、基金と金融機関との間の契約の締結その他の未済のものがあるのではないか、従つて実務に移す段階には遺憾ながら行つていないのではないかと考えております。
  12. 森下政一

    ○森下政一君 三十六億の枠の中で二十億は割振りを了したということであれば、それがどういうふうに割振られたかということの資料を御提示願えるでしようか。
  13. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) 提出いたします。
  14. 森下政一

    ○森下政一君 もう一点伺いたいのは、近頃新聞紙上等で非常に賑わしく書立てられておりますが、例の市中銀行の銀行債発行の問題でございますね。これは地方銀行等が預金吸收が非常に困難だという利害関係から総じて反対の態度をとつておるかのように新聞紙上で承知するのですが、この問題は一体どういうことになりつつあるか。それからこれに対して銀行の中でも反対しておるものがあるかどうか。銀行局長の見解としてはどういうふうにお考えでございますか。御意見を伺うことができれば伺いたいと思います。
  15. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) 昨年できました銀行等の債券発行に関する法律によりまして自己資本の二十倍を超えて預金がない場合、預金が自己資本の二十倍に足りない場合には、銀行は債券の発行ができるという規定になつておるのであります。そこでこの債券につきましては、まあ長期債もございますが、一年くらいの割引債の形の短期債券も予想できる、又予想しておつたところであります。そこで現在現金が民間に滞留しておるといろ傾向が認められますので、別途資本蓄積に対しまする緊急措置とも申すべきことによつて民間からの資金還流を図ろうとしておるときでございますので、銀行が短期債の発行によりまして資金を吸收することは非常にいいことではないかというように考えておるわけであります。法制的に申しますと、先ほど申しました法律によりまして銀行は余力があれば、事前の届出で債券を発行してよろしいのであります。これは認可事項でも指示事項でもないのであります。併し金融情勢、金融事情との調整も考えなければなりませんので、日本銀行方面とも連絡をとりまして意見を聞くようにしておるのでありますが、只今申上げましたように、金融情勢によりまして最近一つの市中銀行が発行を計画して参りましたときには、大蔵省といたしましてはこれは別に法制を以て、法律的な根拠を以て認可するわけでもありませんし、又阻止のできるわけでもありませんのでありますが、この発行については同意を表しておるのであります。そこでまあ債券と申しますと多く預金とは法律的に性質を異にしておるわけでありまして、一年の割引発行による債券、これは言い換えれば定期預金として事実上相違ないものと考えております。ただ税法上の扱いその他が違います。割増金附定期預金につきましても一年のものもあるといつた状況でありまして、これはなにも商業銀行が債券を発行するというふうに大げさにとらなくてもよろしい。これは一つの定期預金として吸收するものである、こう考えてよろしいものではないかと考えております。そこでいよいよ一つの市中銀行の御計画がきまりましたときには、他の銀行、特に地方銀行から反対の意向が表明せられるのであります。その理由といたしますところは、いろいろありますが、要するに自己資本の二十倍という制約については、現在の実状におきましては、そういう短期金融債を発行したくもできないものがある。それであるから、一つの銀行がこの機会に金融債を発行することは不公平である。こういうことが取上げられるとすれば取上げられる理由と思うのであります。併し貸倒れ準備金も自己資本の中に算入しても差支えないという法的解釈もございますので、そういたしますと、もう大銀行につきましては殆んど全部、地方銀行でもこれを発行し得る余力のありますのは、或る程度に限られるのでありますが、まあそういう銀行につきましては、別途自己資本が預金額に比べまして低く過ぎるという見解も成立ち得るのであります。そこで全部が全部その余力を活用して発行できるという時期まで待ちませんで、これは現在余力があつて発行できるものは発行するということが適当であろう。資金吸收という面から見まして、そのくらいのことはして差支えなかろう、こういう見解を持つておる次第でございます。
  16. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 ちよつと今のに関連しまして、先ほどお話の或る銀行というのは東京銀行だと思いますが、それは二十億の貿易債券を出したいというので大蔵省に認可を求めに行つたが、それが半分の十億にされた。これは日本銀行と大蔵省の間になんか意見の相違を来たして、日本銀行はこれを許したくない、大蔵省はまあいいだろうというのでとにかく十億になつたようですが、併し今、日本の貿易状態からいつて貿易資金が必要な際、そんな銀行と大蔵省だけの間で以て、そういうふうに妥協的のようなきめ方をするということは、国民のほうから見て妙な感じがする。大蔵省と日本銀行が対立しておるようで、何らか金融制度について二元化しておるような感じがするので、その経緯をこの際、御説明願いたい。
  17. 舟山正吉

    政府委員舟山正吉君) 東京銀行が当初発行計画二十億であつたのを実施の段階で十億に減らしましたのは、これは別に大蔵省の干渉或いは日本銀行の干渉によるものでありませんし、又両者の妥協によるものでもございません。この金融債発行計画を発表いたしましたときに、反響が東京銀行としましては、予想外に大きかつたので、そこで東京銀行としてはそれは商売のことでもありますから、そうむげに各方面の反感を買つてもいけないということで一億に減額したのでありまして、ほかに他意はございません。そこで大蔵省といたしましてもとにかく新たにここに試みをいたすわけでありますから、当初出過ぎまして弊害がありますよりも、まあ小出しに試験的にやつて見るということは至極結構なことと考えております。なおこの金融債の発行につきましては、これはその方法論自体は少しも悪いことでないのであつて、ただ問題となるといたしますれば、今後各銀行がむやみやたらに金融債の発行を競争し、そしてその條件がまちまちになるというようなことがあつては、弊害の面が大きくなつて参るかと存じます。そこで今後この制度を継続して参りますについては、毎月発行額或いはその條件というようなものを、その都度適当に調整して行くという措置が必要かと考えております。
  18. 小串清一

    委員長小串清一君) それでは銀行局長説明をこの程度にしまして、かねて御通知いたしました塩の需給関係等について日本専売公社の塩脳局長が御説明に来ておりますので、これは本日の公報にも出して置きましたから、それでは村岡さん一つ説明を願います。
  19. 村岡信勝

    ○参考人(村岡信勝君) それでは今から、専売公社の塩脳局長でございますが、委員長のお言葉によりまして最近の塩の需給状況その他の関係につきまして簡單に御説明申上げます。なお御質問等がございましたならば又それによりまして御説明申上げたいと思います。お手許に資料を差上げてございますので御覧になりながらお聴きを願いたいと思います。  一番初めの紙にございますが、上のほうの表は今年度昭和二十五年度の春、つまり昨年の四月から昨年の暮、十二月末日までの間の塩の需要供給の実績を示した表でございます。一番左のほうから御覧になつて頂けばよろしいのでございますが、先ず二十四年度、前年度から繰越しました塩が合計して九十七万五千トンございます。九十七万五千トンのうち輸入原塩として繰越されたものはここにあります四十七万九千トン、約四十八万トンであります。こういう繰越塩を以て二十五年度を迎えたのでございますが、昨年一ぱいの状況を見ますと国内での塩の生産は、当初の計画、今年の三月まで通しまして年間五十二万トンでありましたけれども、昨年夏、秋の例の両台風、ジエーン、キジアの台風のために被害が相当ございまして、そのために計画通りの生産ができませんので、その表にございますように昨年十二月末までの実績は約三十七万八千トン、三十八万トンに足らないということであります。従いまして、今後一月から三月の実績を見ましても、御承知のように一月から三月の頃は余り生産の成績が例年とも上らない時期でございますので、一年を通じまして国内生産の量はそう大したものになるまい、当初の計画五十二万トンに対しましては少くとも十万トンも下廻り四十二、三万トン程度はせいぜいではあるまいかと予想しております。又輸入のほうは十二月末まで僅かに三十九万七千トン、四十万トンに及ばない数字でございます。両者合せまして昨年中の新らしい塩の輸入の量は七十七万六千トンになります。そこで二十四年度から繰越しました塩に昨年中の新らしい輸入を加えまして全体の供給量ができるわけでありますが、その総体が約百八十四万三千トンであります。ちよつとお断りして置きますが、その次の欄の加工受入というところで再製塩三万七千トン、粉碎塩に五万四千トンとございますが、これはいずれもその前年から、或いは又その年になりましてから輸入されました塩を原料といたしてそれに手を加えて再生し、或いは粉砕いたすという数字でございますので、單純に各欄の数字を合計しただけでは実は供給の数量というわけじやないのでありますが、一方この右のほうの欄にありまする需要のほうの欄でも同じように重複をいたしてございますので、差引計算をいたしますと、大体数字が合つて来るわけでありまして、この計の欄にあります百八十四万三千トンは供給の全体量というわけじやありません。その前の欄の九万一千トンの数字と若干ダブつております。そのことを一応お断りいたして置きます。いずれにしましても大体百八十万トン前後の数量が供給の総量であります。そこで一方の需要のほうの数字は御承知のように、特に最近になりましてからソーダ用の原塩の需要が急激に増加して参りました。当初の予算ではソーダ用には六十五万トンの数量を予定しておりましたところ、情勢が変りましたので、昨年の十一月補正予算措置を講じまして、七十万トン程度までこれを増加いたし、更に実際上は七十五万トン程度まで供給し得るようにいろいろ予算のほうの措置を講じて参つたのでございます。そういたしますと百八十四万三千トンのこの供給を以てしてはソーダ用の今の七十五万トンの需要、更には一般用の需要というものを賄うには極めて窮屈な状態になつて参つております。昨年十二月末までのソーダ用の配当量はここにございますように五十一万五千トンということでありますが、これは七十五万トンの年間需要量というものをベースにいたした第三四半期分までの一〇〇%量に相当いたします。大体さような状況で年を越しまして、一月に持越しました数量が最後の右の欄にあります六十二万七千トンでありまするが、この表で御覧になつてもおわかりのように、六十三万七千トンを塩の種類ごとに見ますと又ここに大きな問題があるのでありまして、特に原塩の数量が九万五千トンという数字になつております。年度当初には四十八万トンの原塩があつたものが、年末には僅かに九万五千トンという数量になつております。これは今申しましたソーダ用原塩への割当というものが非常に大きい、それから一方輸入の量が当初の予定に比較して非常に少なかつたということがここに現われて参つております。そこでソーダ用原塩の七十五万トンの確保その他原塩の所要量を満しますためにはこの昨年中の入荷量約四十万トンの輸入塩のほかに、更に年度内に少くとも四十五万トン程度以上入れる必要があるということでいろいろと操作をいたしておりますが、現在の見通しとしましては大体三十万トン程度がすでに契約が締結されて、船の手配もできているというような状況であります。それ以上の数量につきましては今後なお一層の努力を要するような状況であります。ただ輸入のほうの関係は昨年の十二月になりまして非常に状態が悪化いたしまして、特に運賃が非常に増嵩をいたしまして、当時十一月前後まではトン当りの運賃がせいぜい十ドル以内でありましたものが、十二月以降は日増しにひどく運賃が上つておりまして、極めて最近の状況では運賃だけで十七ドル、或いはそれ以上というのが普通の状況であります。この差上げました資料の一番最後の紙に「塩の価格の変遷」というものを掲げてございますが、その輸入価格の最後のところにトン当り七千円という数字を挙げてございますが、これは大体二十ドルというものをべースにして換算価格であります。そういう工合で非常に輸入価格の値上りの結果、実は塩の入手というものが非常に困難になりまして、緊急に不足の数量を入れるためにいろいろやつておるのでありますが、御案内のように一つは外貨のフアンドの関係、外貨予算の割当が今まで必ずしも円滑に参つておらなかつたというような事情のために、特に例えばドルの地域、アメリカを初めとしましてメキシコ、トルコ等、ドル地域の塩の供給源からの輸入が今まで振わなかつたということもありまして、もう一段の輸入の確保という点につきましてはこの方面の解決が急務ではあるまいかと考えております。  大体最近までの塩の需給の状況等について簡単に申上げました。
  20. 小串清一

    委員長小串清一君) 何か御質問ございますか。
  21. 杉山昌作

    ○杉山昌作君 今の工業塩の輸入の問題ですが、本年度が三十九万七千トン原塩が入つておるので、今日すでに契約ができて、船の手配までできた、まあ三十万トンだということですが、これだけあつたら大体本年度あたりは工業塩としてソーダ工業あたりはまあ何とかやつて行けるということになるのでありますか。
  22. 村岡信勝

    ○参考人(村岡信勝君) 塩の輸入の関係についてなおもう少し詳細に申上げたいと思いますが、昨年の十二月までに今申上げましたように四十万トンの実際の輸入があつたわけでありますが、輸入の契約といたしましては現在までに百三十七万トン契約をいたしております。ところがこの百三十七万トンのうち、契約上荷物の引渡期日を本年の四月以降に予定しておりますものが約三十四万トンございます。又この百三十七万トンの契約のうち、先ほど申しましたような、非常な途中からの事情の急変するということによつてフレートが非常に上つたというために、もともと安い條件で契約いたしておりましたものが、供給者のほうで輸出をいたさないというような事態が相当件数発生いたしておりますが、そのために契約はしたけれども、輸入は見込なしと思われる数量が百三十七万トンのうちに約二十七万七千トンございます。差引きいたしまして約三十万トンが今年の一月から三月までの間に入るであろうと思われる数量であります。ところがそれによつて合せて七十万トンの新らしい輸入があり、又昨年度からの持越しの原塩も相当あるわけでありますが、御承知のように原塩の需要はひとりソーダ工業への振向けのみならず、他の食料用、特に醤油でありますとか味噌等の業務用の食用に充てられる分が相当ございます。その方面の需要につきましては、最近の原塩の不足に照らして若干、或いは相当これを切詰めをいたしておりますが、それにしましても最低限度の塩はこれは確保をする必要がございます。そのために今申上げました七十万トンの輸入では相当十分なる原塩の供給もむずかしいのではないかと心配いたしておる次第でございます。
  23. 野溝勝

    ○野溝勝君 ちよつとお伺いしますが、あれですか、この工業塩と食用塩と価格が非常に違うんですがね、あれはどういう理由なんですか。例えば一トンが食用塩だと一万七千円……約一万八千円ばかりするんです。工業塩だと一トン五千円ですが、最近もつと上つておると思うのですが……。
  24. 村岡信勝

    ○参考人(村岡信勝君) 今のお尋ねに対して申上げますが、一般の塩の値段は昨年の暮、十二月二十九日でございますが引下げをいたしました。今お話の値段一万八千円、七千円とおつしやいますのは、改正前の値段でございます。昨年の暮から、改正いたしました結果、その内地の生産塩、一般の家庭用或いは一部業務用に当るわけでございますが、いわゆる白塩等でございますが、その値段は一万四千円にいたしました。その他粉碎塩等につきましても引下げをいたしました。現在は輸入原塩の値段がばらで一万二千円であります。併しながら御指摘のようにソーダ用に売ります塩は現在の特別価格を適用いたしておりまして、その値段はトン当り三千円でございます。この関係は一にソーダ工業というものの再建といいますか、運営上、又は補助をいたす必要があるというところから出発しておる補助なんでございます。ただ専売公社の塩の特別会計の立場といたしましては、塩の特別価格が相当採算上に影響いたしておりますことは事実でございます。
  25. 野溝勝

    ○野溝勝君 ちよつとお伺いいたしますがね、それであなたのほうで一体製塩業者のほうからの買上価格は一体どれくらいですか。
  26. 村岡信勝

    ○参考人(村岡信勝君) 九千七百四十五円でございます。
  27. 野溝勝

    ○野溝勝君 そこで九千七百四十五円で買上げて、そこで工業用の塩が三千円、片一方のものが一万四千円、幾ら下げてもまだ四倍から五倍かの較差があるわけですがね。一体そんなに一般人民をまあ何というかね苦しめて、そうして工業塩のソーダの重要性が、そんなにウエイトを置かなければならん理論的な何か根拠がありますか。あんた重要性と言うが、どんなことが重要性ですか。
  28. 村岡信勝

    ○参考人(村岡信勝君) 今までの特別価格の沿革から言いますと、昭和二十四年度におきましてはやはり特別価格は三千円でございましたが、そのために塩の特別会計に相当程度の穴があく、当時の計算では大体三十六億から三十七億の間でございましたが、その金額につきましては、実は一般会計からその差額に相当するものを、三十七億前後のものを繰入を受けまして、従いましてほかの一般の塩のほうにこの値段の差額を転嫁するという必要なしに来たのでありますが、昭和二十五年度におきましてはそういう操作をいたしませんでしたために、結果といたしまして特別価格の差額を一般の塩の売値に転嫁するという結果になつております。ただ如何にも現在の三千円の価格は低きに過ぎるということが痛感されますので、この際我々公社のほうといたしましては、少くとも輸入のコストという程度にまでこれを引上げるのが適当ではあるまいかというふうに考えております。
  29. 野溝勝

    ○野溝勝君 私の意見に対して非常にお考え下さるようですが、輸入の価格を七千円も出して、業者に三千円でやるから、みすみす四千円も輸入のあれだけで損することになるのですな。これは一般会計から操入れようとかどうしようとか、実際は我々の租税のうちから運転されているのであつて、どういう形にしようとも事実上は国民の負担ですからね。それで化学工業、ソーダ工業の重要な点も我々は少しはわかるが、如何に言つてもこれでは余りに開きが多過ぎる。そこで私は十分にこの点考えてもらわんと、今回の予算関係においても、この問題が一応論議されると思うのですけれども、こういう点について政府は單に考えるというだけでなくて、一体どの程度までにしようという腹案がありますか、その腹案があつたらこの際構想を話して下さい。
  30. 村岡信勝

    ○参考人(村岡信勝君) 実は公社のことを私から申上げるのは甚だ不適当かも知れませんけれども、先ほど申上げましたような公社の会計の立場から言えば、これは輸入価格というものを反映するレベルまで上げるのが至当であろうと考えますが、目下所管の公社から言いますと、物価庁の方面がどの程度かということについて折衝中でございますので、今のところは結論は出ておりません。
  31. 清澤俊英

    ○清澤俊英君 近頃ソーダ工業というような化学産業は大体べらぼうに儲かつておりますな。そういう状態のとき、殊に野溝君の言われたような問題が相当考えられると思いますが、これはあなたのほうの所管でないと思いますが、申上げたいのは、どういう会社に玉に迴つて来るか、大体の、細かいところでなくてもいいから大きな会社を相当数知らしてもらいたいと思います。あとでよいですから……。
  32. 小串清一

    委員長小串清一君) それでは後に資料を出してもらうことにいたします。
  33. 黒田英雄

    ○黒田英雄君 ちよつと席を外しておつてお尋ねがあつたかも知れませんが、二十三年度に比べて二十四年度は非常に需要が少いようですが、これは二十三年度が非常に多くなつたので消費者が持越しているのですか。それともどういう関係ですか。
  34. 村岡信勝

    ○参考人(村岡信勝君) お言葉のように、二十三年度と二十四年度が非常にかけ離れて違いますが、前年度の終りに、実は財政收入の確保等の立場から、いわゆる選り抜きと言いますか、競争的な販売をやりましたために、相当成績が上つたと申しますか、数字の上においては殖えております。それが昨年度に影響いたしまして、相当下廻つたというようなことになつておるということが一つの原因にもなつておるのでございますが、そのほか、やはり絶対需要と申しますか、実際の需要の面で、例えば梅干の梅が不作のために需要が少なかつたとかいうようなことも影響いたしておると思いますが、今申上げたように、前年度に相当選り抜き的な販売をやつたということが翌年度に影響しておるということが言えると思います。
  35. 杉山昌作

    ○杉山昌作君 さつきの価格の問題ですが、工業塩の問題が今出ておりますが、如何にもソーダ用塩に隠れた補助金をやつて、一般の人の負担がという問題もあつたようですが、これはまあ御尤もな意見だと思いますが、もう一つ食料関係の塩の値段ですが、漬物用の塩、それから味噌、醤油の営業者のやつているやつ、それから水産物の塩漬にするやつ、殊に南洋に捕鯨船が持つて行く塩というような問題につきましては、前国会で相当たくさんのそれを特別に低価で売つてもらいたいというような請願がありまして、この委員会でも取扱つたのですが、これにつきましては、一体政府は将来はそういうような特別に大口に買われるものは、ソーダ用でなくても安くしようというふうな何かお考えがあるのですか、その点を伺いたいと思います。
  36. 村岡信勝

    ○参考人(村岡信勝君) 今お話の味噌、醤油その他、特に水産関係の塩蔵用の原料塩について特別の価格を置くべしという御主張が相当お話のようにございましたが、今お挙げになりました中で、全部のものをそういう特別価格にいたしますことは如何であろうかと考えております。といいますのは、やはり味噌とか漬物とかいうような形で塩を攝取いたしますのも、或いは塩の形でそのまま攝取いたしますにつきましても、いずれも最終的には国民一般の口に入るということについて変りはないのでありまして、一方において味噌、醤油等について特別価格にいたします結果は、当然に塩の杉において配給いたしますものについての値上りという結果を招来いたさなければ会計の收支が整わないということになりますので、塩の形を以て攝取されるものについてのみ高い値段をかけるということが必ずしも適当であろうかどうかいささか問題があろうと思いますが、或る種の目的、用途に供せられます塩、殊に捕鯨用の塩等につきましては、実際上の大口という点もありますので、若干一般の塩とは異にいたした程度の特別価格を置くのが適当であろうということで、目下そのほうの具体的な案の研究を進めております。
  37. 小串清一

    委員長小串清一君) 御質問はありませんか……それでは本日の塩脳局長の説明はこの程度で終ることにいたします。本日はこれを以て散会いたします。    午後三時五分散会  出席者は左の通り。    委員長     小串 清一君    理事            大矢半次郎君    委員            愛知 揆一君            九鬼紋十郎君            黒田 英雄君            清澤 俊英君            野溝  勝君            森下 政一君            小宮山常吉君            杉山 昌作君            高橋龍太郎君            油井賢太郎君            森 八三一君   政府委員    大蔵政務次官  西川甚五郎君    大蔵省主税局長 平田敬一郎君    大蔵省銀行局長 舟山 正吉君    大蔵省主計局法    規課長     佐藤 一郎君   参考人    日本專売公社塩    脳局長     村岡 信勝君