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1951-07-24 第10回国会 参議院 大蔵委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年七月二十四日(火曜日)    午前十時四十分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○租税特別措置法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付) ○派遣議員の報告   —————————————
  2. 小串清一

    ○委員長(小串清一君) これより大蔵委員会を開きます。前議芸における継続審議の案件をお諮りいたします。先ず租税特別措置法の一部を改正する法律案、この問題について水産庁から特に説明に見えていますから、先ず以て水産庁のほうから御説明を願いましよう。
  3. 松任谷健太郎

    説明員松任谷健太郎君) 本日は長官が参りまして御説明申上げる予定にしておつたわけでございますが、外務省筆会議がございましてやむを得ず代理で説明をいたすことになりました。あとから遅れて参る予定になつております。その点御了承頂きたいと思います。  それから本日の御要求になつておられまする漁業法の大体の概要等につきまして、御承知通り漁業法農地改革とやや遅れて発足しまして、漁業民主化なり生産力の向上といつたような点を狙いまして、昭和二十四年の十二月十五日目に公布になり、二十五年の三月に施行になつておるわけでございまして、すでに実施の段階に入り、本年の暮に全面の切換が行われるというような予定になつておるわけでございますが、この立案過程から担当しておりました久宗連絡官が本日参りましてその経過なり内容概要につきまして御説明申上げようと、かように存ずる次第でございますので、御了承願いたいと思います。
  4. 久宗高

    説明員久宗高君) 漁業制度改革に関しましては、前に一度、この委員会で極く簡單に御説明したことがございますが、その際は最後を非常にはしよつてお話いたしましたので、本日は全体の制度改革の構造につきまして、全体を通観して頂くような御説明をしたいと考えております。ここでお手許にお配りしました資料でございますが、A、B、Cと符号がふつてございますので、これに従つて説明を進めて参りたいと思います。大体内容は先ず最初に現在の制度がどうなつておりますかという点につきましてちよつと申上げておきませんと、あとの御審議に差支えると思いますのでそれをお話しまして、それから漁業制度改革狙いについて御説明し、更に漁業制度改革の具体的な方法につきましても、やはり補償問題その他と関連がございますので御説明申上げたいと思います。特に課税問題と関連いたしましては漁業権の補償についてやや詳細にお話する必要があると思いますが、この問題の解決が、いずれにいたしましても将来の免許料関係、その他漁業権制度改革の経済的な裏付の諸問題と関連がございますので、こうした問題についてポイントをここに摘録してございますから、あとは資料に従いまして御説明申上げたいと思います。  先ず最初現行制度がどうなつておりまして、そこにどういう欠陥があるかという点でございますが、これはお手許に配りました表を御覧になつて頂きたいと思います。現在の漁業制度、つまり現行法内容でございますが、これは御承知通り明治の初年に丁度土地に関しまして地租改正その他の問題が起りました際に、やはり同じく漁業権制度という問題が出たわけでございます。明治八年でございますが、海面の国有という形で新たに借地制度といつたようなものが考えられたわけでございますが、これは従来の水面利用関係を相当無視いたしました相当思い切つた改革でございまして、準備も非常に不足だつと思いますが失敗いたしまして、結局そのまま徳川以来の水面利用慣行が引継がれまして、明治三十年代に至りまして初めて最初漁業法ができたわけでございます。明治三十四年に最初法律が通りまして明治四十三年に大改正が行われたわけでございます。その際に漁業権の法的な性格或いは財産権としての内容というものが非常に明確に規定されたわけでございますが、現行制度によりますと、現在の日本漁業制度というものはこの図に示したような形になつておるわけでございます。一番真中のところに漁業制度別漁獲高比率推計という表がございますが、大きく分けますと、現在の日本漁業制度というものは、一に掲げました漁業権漁業というものと、許可漁業と、自由漁業、それから私有水面における漁業と、こう四つに大きく大別されるわけでございます。極くわかり易く申上げますと、漁業権制度というものは、沿岸から非常に近い地域、ここでは各種の漁業が錯綜しておりますので、又漁民も非常にたくさんおりますので、漁業利用関係漁業権というような権利で規正いたしませんと到底紛争が解決できないと、又これに投下された資本の保護にもならないということから、非常に複雑な漁業権制度というものをとつております。但しもう少し沖合になりますと、一々権利というふうにいたしませんでも一般に禁止をしておきまして、特定なかたに免許を與えるという恰好で処理できるわけであります。例えばかつお、まぐろといつたような廻遊性漁業をしておりますものにつきましては、そういうような処理の仕方ができるわけであります。更に沖合になりますと、もうそういつたような法的な規正はなくて自由に漁業ができる、大ざつぱに言つてそういうふうになるわけであります。一番沿岸に近いところの非常に厄介なものが漁業権制度であります。現行法によりますと、この漁業権定置漁業権区画漁業権特別漁業権専用漁業権四つの種類に分れております。この漁獲高ウエイト或いは金額のウエイトは、ここに書きましたように、全体の漁獲高の中で漁業権漁業が約金額にいたしまして六〇%近いものを現に占めておるわけであります。この漁業権種類ごと比率はこの数字に示したような形になつておりまして、相当大きなウエイトをやはり現実に占めておるわけであります。  この四つ漁業権内容でございますが、それはいろいろ補償問題とも関連いたしますが、若干御説明いたしますと、右の方の図に画いた絵で示したものが漁業権内容でございます。しばしば誤解があるわけでございますが、漁業権水面を所有するわけではなくて、漁業権によりまして水面利用関係権利化するだけの問題でございますので、その権利内容は、水面そのものを独占するのではなくて、所有するのではなくて、どういう魚をいつどういう地域でどういう方法でとるかという権利であるわけであります。一番基本的な権利といたしましては、この図に書きました甲部落乙部落の問題で見て頂きますと、専用漁業権というのが一番基本的な権利でございます。この権利は、主として沿岸漁民人たち一般にやるような漁業、海藻をとつたり貝類をとつたり雑魚をとつたりする、これが一番基本的な権利でございまして、これは乙部落の例で申しますと、ここに線を書きましたような区域、大体一日航程で行つたり来たりできろような海面でございますが、そういう海面の中でaという魚を一という方法でとる、或はmという魚を四という方法でとる、こういう権利なのでございます。つまりこの水面全体の所有権は国にあるわけでありますから、その利用関係につきましてこういう枠の中でこの魚をどういう方法でとるということになつておるわけであります。従いまして、ここに掲げられておらない権利、例えばaという魚を五という方法でとるというようなものは、これは権利ではないわけであります。それは自由にとれるわけでございます。これが一番基本的な権利でございまして、こういうものが沿岸の殆んど各部落ごとにべた一面あるというふうにお考えになつて頂けばいいと思います。これはむしろ内容的に申しますと、ちようど山林の入会いみたいな関係でございまして、一般沿岸漁民の生活の基礎になつておるわけであります。このような権利、基本的な専用漁業権漁場の中に他の三つの漁業権があるわけでございますが、これはやや性格が違つております。一番代表的なものは御存じの通りぶりだとか、いわしの定置網というようなものでございます。この図で申しますと一番右の端に書いてございますが、相当大きく資本を投下いたしまして水面を相当広く独占しなければ成り立たないような漁業でございます。これが定置漁業。  それからもう一つ漁業権はのりやかきなんかについてある漁業でございますが、ちようど真中に書きました区画漁業権、これはちようど畑と同じようなものでございまして、水中にいろんな柵なんかを設けまして、そこでかきを養殖したり或いはのりの養殖をするといつたような権利でございます。これは非常に農地と似ております。  それからもり一つ特別漁業権というのがあるのでございますが、これの代表的なものは地曳でございます。これを特に権利といたしましたのは、曳く場所がきまつておりますので、どうしてもその場所を特定な方に独占させなければこの漁業が成り立たないという意味特別漁業権という形をとつておるわけでございます。そこでこの定置、区画、特別という三つの漁業権は、ちよつともう一つ専用漁業権とは性格が異なつております。これは個々漁民経営できる問題でございますが、専用漁業権というのは、多数の漁民がそこに入り会つて漁場利用するという関係で、若干権利の性質が異なるわけであります。こういうような四つ権利によつて漁場利用関係をきめたわけでございまして、申し落しましたが専用漁業権というのは殆んど各部落ごとに枠付けされておるのでありますから、例えば甲部落から乙部落に海草をとりに入りたいというような場合には乙部落だけが権利を持つておりますと、そこに入漁権というものが設定されるわけでございます。相手が権利でございますからそれに対して入漁権という形でこれが契約によつたり或いは昔からの慣行によつて、そういう権利が與えられるわけでございますが、そういう権利を持たなければ入れない、つまりその権利のない者に対しては甲部落がそれを排除できるという形になるわけであります。  これが大体沿岸どこに行きましてもある漁業権でございまして、こういうものが大体沿岸にべた一面にざつと海面利用関係をきめているというふうに考えられるわけでございます。  そこでこの制度の非常な欠陥があるわけでございますが、それは上の方にまとめて書きましたように、第一は従来からの慣行、つまり徳川以来の漁場利用慣行というものをその当時そのまま固定したわけでございます。明治三十年代から四十年代にかけて新しい当時の漁業法ができました際に、その水面利用関係を新たに設定するのではなしに、従来の利用関係というものを一応こういうふうな近代的な意味権利という形でそのまま承継いたしましてこれを権利化した。従いましてそれからあと漁民変化なり或いは社会経済的な変化というものが起りましても、実は漁場利用関係はその権利を固定いたしましたのでそこに変化が織込めないという状態になつたわけでございます。又同時にその後の免許におきましては早い者勝ちという恰好をとつたわけであります。免許の申請がありまして他の漁業権と支障がないというような場合には免許しなければいけない、而もそれは先願主義でやりましたので、漁場の計画的な利用というものが全くできなくなつてしまつたわけであります。  それから一番困ります問題といたしましては、そのような権利を、当時これはいろいろ法的にも問題があつたわけでございますが、物権とみなしまして土地に関する規定を準用したわけであります。つまり土地と同じような考え方をして法的な扱い方をしたわけであります。従いましてこの場合に水面利用関係から見ますと、一応他を独占排他しなければそこに投下された資本が守れないという問題がございますが、水面利用関係はこの図で見ても直ぐおわかりになりますように、土地のように分割できませんので、いろいろな漁業が入り会つて同じ水面を使うわけであります。そこで他の権利がその権利を無制限に主張いたしました場合には漁場利用関係というものは全く梗塞されてしまう。この点は従来の法律の非常な欠陥でございまして、一応排他性というものを與えるといたしましてもそれを何らか調整する手段が必要であつたわけでございますが、これを全く普通の財産権と同じように扱いまして売つてもいいし買つてもいいと、又権利を持つておりまして別に使わなくてもいいと、財産権と全く同じ行き方をいたしましたので、漁場利用関係からも非常な困る問題が起りましたのと、特に経営内容にいろいろな困る問題が起つて参つたわけでございます。そこで代表的な例をここに掲げますと一番上の例でございますが、不在権者、例えば漁業権を持つておりましてそれを自分では使わない、人に貸しても非常に高率な賃貸料を取るという問題があるわけでございます。又同じく経営するかたについて考えました場合、これは権利を持つて経営している方もございまして、賃借して経営している方もあるわけでございますが、例えば定置漁業に例をとつて申しますと、この図で書きましたように一番右の定置網を持つておる方が、魚が仮に左の方から来る場合に前面の漁場を誰かに網を張り立てられたら困りますので、そこでここに描きましたように空権を設けるわけであります。権利をとりましてそれを実際には張り立てない、そういうことによつて漁場を守る、こういう形をとつたわけでございます。これは現行制度欠陥でございまして、経営者のかたから見ればそういうことをしなければ自分の網の保護ができない。こういつたような問題がありまして、相当漁場にはたくさんの空権が生れてしまつたわけでございます。  それから更に困つた問題といたしましては、農業と同様に相当に多くの資本が投下され現実労働者雇つて仕事をするという形をとるわけでございますが、権利が非常に場所が固定しておりますというような関係から、ここに正常に例えば工場で労働者を雇うといつたような形でなくて、漁業労働者権利が非常に限られているということから、そこの雇用関係に非常な制約を受ける。従つてそこの漁村封建性ということが強く言えるわけでございますが、それは單に権利所有関係のみではなしに、漁業経営内容、例えば漁業労働者にまつわりつく封建性といつたようなことが強くここに批判を受けるような形になつたわけであります。又小漁民と相当大きな経営者の方が同じ水面で競合して漁場利用いたしますので、農地にはない問題でございますが大経営と小経営の問題が同じ水面でぶつかり合つてしまう。そこでその場合にそれを調整する何らかの調整機構がなくてお互いに権利を主張し合うという形で、漁場をめぐて非常な紛争が起つたわけでございまして例えば定置漁業権ならば張り立てます場合に相当広く水面を使用いたしますので、右の場合にその零細な漁民人たち專用漁場を使おうといたしましてもそれによつて排除されてしまうという形が起るわけであります。又小漁民同士甲部落乙部落の例をとつてみましても村の慣行に基いて利用関係がきまつておりますので、その後事情が変りました場合に、甲と乙部落漁場利用をめぐりまして、專用漁業権入漁権というような形で水あらそいのようなものが絶えなかつたわけであります。こういうようなことは漁業権を従来の慣行そのままに固定して作つたということよりも、計画的に水面利用ということを考えなかつた点、殊に権利を野放しにしてしまつて調整を考えなかつた、こういうところに欠陥かございまして、漁場利用関係というものを全く梗塞してしまうというような状態になつたわけであります。御承知通り明治四十年代から漁面合法化ということが急速に進みまして、これが作られました当初にこの漁業権というものは立派なものであつたと思うのでありますが、丁度この法律ができました当時に、漁業では産業革命といわれるような大きな変化漁面合法化によつて行われまして、このような枠にはめたのでは調整がつかない問題が起つたわけでございます。又同時に紡績が発達いたしまして網の大型化というような問題もあつて漁場利用関係を規正する法律としては極めで不十分なものになつたのでありますが、それをそのまま殆んど改正いたしませんで最近までずつとそのままでやつて来たわけでございます。  そこで現実漁業権所有関係はどうなつているかと言いますと、概観いたしますとこの左の方の図でございますが、全体の所有関係でございますが、全体の約六四%は漁業会漁民の団体が持つているわけでございます。あとの三二%は個人、四%が会社というような形になつております。その内訳はこの下で御覧になるとわかりますように、専用漁業権は先ほど申しましたように漁民の集団的な権利でございますので、漁業会が持つておりますのは非常に比率が高い、九三%というものは漁業会が持つているということは当然なわけでありますが、他の漁業権、これは個別的な会社でも勿論経営できるものでございますが、こういうようなものにつきましても漁業会の持つている比率が相当高いわけであります。併しながら実際の投資関係を見ますと、第三図で、左から三番目の図で御覧になつて頂きますとわかりますように、実際の権利者自分で網を経営しているものは非常に少い、賃貸関係にあるものか非常に多いわけでございます。これは漁業会の所有が非常にパーセントが大きいのと同時に見合う問題でございまして、漁業会自分経営しないで賃貸しているものが非常に多い。これだけ見ますと丁度農地におきまする不在地主のような考え方がとれると思うのであります。この漁業会が持つておりまして実際に経営していないという事実の中には、勿論或る種の漁業会におきましては尨大な場代を取つているといつたような問題もありますけれども、そういつたことの起りました根本的の理由は、右に申上げましたような漁場所有関係について何ら調整の機構がない。殊に小漁民人たち漁場利用関係も考えておりまして、それに対して発言の方法がないということから、漁業権漁業会に集中的に持たして欲しい、資金その他もございませんので、経営しない場合におきましても、漁業権を賃貸いたします場合には、大きな経営者に対して、例えば漁場利用関係のために網をこういうふうにしてくれとか、或いは労働者を地元で雇つてくれとかいろいろ注文があるわけであります。そういうように権利を通じて、注文をして漁場調整を取つて来た、現行漁業法欠陥をそういう形で補つて来たいきさつがあるわけであります。又そういう運動が非常に強くなりまして、行政官庁におきましても漁業会に集中的に免許するというような行政方針を数年来取つて来まして、その意味でこのような高い漁業会比率が出て来ているわけでございます。こういうような事情なのでございます。これを改正いたします場合の考え方というものは当然この欠陥の中から生れて来るわけでございます。  そこで本題に入りますが、Aの漁業改革に関する見積書の方に移つて頂きたいと思います。こういうような問題がございまして当時丁度農地改革が発足いたしますと殆んど同時に司令部からの慫慂もございまして、この改正の問題が論議されることになつたのでありますが、農地と違いまして非常に内容が複雑でございまして関係方面でも、これをどういう方向に持つて行つたらいいか最後まで迷つておられたようでございますが、そのために立案過程に非常に長い期間を通じまして、やつと一昨年の十一月に法律が通りまして、昨年の三月十四日から法律を施行するというような、非常に農地改革より遅れてスタートしたわけでございます。  そこで漁業制度改革狙いでございますが、特に農地改革との相違点より申上げますと非常に御理解が易いと思いますから、そういう点を入れてお話して参ります。法律の第一條に書いでございますように漁業制度改革の本当の狙いと申しますと、当然漁業生産力の発展という問題と漁業民主化というテーマでございますが、ただこの場合に、同じく農地改革においてもこういう問題が出ておりますが、ここに相当本質的な違いがあるというふうに考えられます。その点は目的の点からも課題の点からも当然方法の点にまで及ぶのでございまして、非常に大事な点だろうと思います。  第一に違います点は農地改革の場合には農地を分割することができるわけでございます。そうしてあの農地改革の行き方としては土地地主制度というものをやめまして実際耕作する農民に分割するという方法であの改革をやつたわけでございますが、こちらの場合には技術的に見ましても漁場を分割するということでは処理がつかないわけでございます。いずれにしても相当拡がりを持つ海区で水面を総合的に使用するということを考える以外に方法がない。分割したのでは何ら問題の解決にならないという点が第一点でございます。又同時に漁業生産力の発展という問題を考えました場合によく問題になるわけでございますが、ただ漁獲高が殖えるということでは解決にならないわけでございますが、現在の日本漁業界漁獲高からいつて漁民の数から行きましても、勿論世界第一と言われるわけでありますが、非常に集約的に使用いたしておるという点。同時に一人当りの漁獲高というものが非常に少い、労働生産性と申しますかその点が非常に低いわけであります。これが日本漁業界の非常に特殊な点だと思います。ただこれは漁業関係から申しますと非常に危險な問題でございます。農業のように種も播いてどんどん殖やせばいいという問題ではなくて、一定の資源というものがございましてそれの適正量を取つて参りませんと直ちに濫獲の問題が起つて来る、非常に長期に見て資源を維持して行くということがございますので、單に漁獲の絶対量を殖やすという問題ではない、適正な漁獲童を取つて行くということが生産量から見ても問題になるわけでございます。ただそう言いながら同時に個々漁民漁獲高、一人当りの漁獲高というものが低い場合には、当然これは漁業生産高を上げるということも考えられませんし、本当の意味労働生産性というものがそれでは沒却されてしまう、この二つを結び付けるのにはどうしたらいいかという問題でございます。それには当然水面の総合的な高度利用、そこにおきまする労働資本漁場というものをもつと合理的に維持して、そういうものが維持されるような管理体制を取るということだろうと思います。そういうものを阻む問題としてここに漁業民主化という問題が出て来たわけであります。現に先ほど申しましたように漁場利用関係というものは従来の徳川以来の慣行の固定、こういつたようなことから、当然計画的に利用さるべきものがされない。と同時に漁場の非常に大きな独占があるわけであります。そういうような点からここに全く新らしい考え方漁場労働資本というものを結び付けて考えて行く必要があるだろう。又同時にそれは漁村においでになつて頂きますと直ちにわかりますように、單に漁場利用関係に端を発しまして、おさかなをどう売つて行くかというような問題、それから漁民生活家族制度とか、そういつたようなものがすべて漁場関係から、そういうような固定的な一つの障害になつております。これが漁村における団体の構成、更に自治体における行政面にまで及ぶ、県の行政にまで及ぶ。こういつたものを突つ込んで参りますと、しばしば漁村封建性というもので表現されますが、こういつたものが漁場の独占と結び付いて牢固として抜きがたい現状になつております。  そこで今度の制度改革の場合に、こういつた問題も取り上げます場合の基本的な考え方として二つの問題を取り上げたわけであります。それはここで課題のところに書いたように結局突込んで考えました場合に、漁村に残つております封建性或いはしばしば指摘されます低位生産性というようなものは突き詰めて参りますと個々経営が零細で、而も分散しておりまして、個別的な経営であるということが圧倒的に多いわけであります。全体日本漁業経営者の中の九五%、漁獲高で七六%を占めておりますが、これはいわゆる零細経営なのであります。こういうようなものをただそのままの形で残したのでは漁業生産の発展ということは当然考えられない、そこで農地におきましてはむしろ結果から見ますと、土地を分割いたしまして非常な零細経営が殖えて来た、ただ自作農という形をとつておりますが、経営面から見れば非常にむしろ分散されまして、現に経済面で非常に大きな問題に相成つておるわけであります。この点漁業制度改革におきましては、技術的にそういう分散、分割という方法をとらなかつたと同時に、考え方といたしまして漁業権所有関係をいじるということでなくて、漁業経営というものをこの機会に根本的に直す必要があるのではないか、そういうふうに考えましてその点を先ず第一に取上げたわけであります。ただその場合先ほど申上げましたように、資源というものは限られてお力ますし、その水面利用関係も非常に規正が要りますので、そこで方法といたしましては、漁業経営の共同化と同時に多角化を図つて行きたい。これを前提といたしまして、勿論現在の漁業権というものを一度御破算にいたしませんと、そういう形がとれないということになるのであります。そういうふうにして漁業経営そのものを或る意味では、ただ零細な経営をそのまま守るという考え方でなくて、経営そのものを切換えていわゆる産業ベースに乗るような経営体を現実に作つて行こうということを考えるわけです。それと同時にこれと関連いたしまして、漁業と国民経済の確立を考えるという制度調整をしなければならないということが、その点は詳細に申上げるまでもないと思いますが、漁業経営いろいろ見て参りますと、水産の内部だけで解決できない問題がいろいろ出ております。例えば資材関係にいたしましても、魚価の問題にいたしましても、これがそれぞれいろいろな国の現在の政策と結びついて行われておるわけでありまして、そういつたような、殊にこのような原始産業におきましてはそれが非常な形でしわが寄つておる。これは現に経営を分析して見れば非常にはつきりするわけでありますが、こういうような点もやはりこの際制度的に見て頂く必要があるわけであります。そうして見なければ合理的な経営ができましてもそれを再生産を続けて行くということができないと考えまして、この二点を同時に取上げて行こう、そして漁業一つの産業として確立して参りたいという考え方とつたわけでございます。この点は農地改革におきましては、むしろ経営問題はあとに讓られまして、現在その問題が農業改革という形で出ておりますし、漁業の場合も同時に技術的に取上げざるを得なかつた。それで農地で申しますと、交換分合といつたような問題、同時に漁場計画という形で全面的に実施して行く、こういう形をとることになるわけでございます。  そこでそういうような考え方をとりましたので、実際の方法といたしましては二年間の準備をそこに想定いたしまして、現行漁業権を全面的に消滅させるという方法をとつたのであります。これは法律が昨年の三月十四日に施行されまして来年の三月十三日までこの問題を終るという一つの枠内で考えるわけでございますが、その間は農地改革では一筆ごとに処理して行つて二年間で処理をやらなければならない恰好をとりますが、こちらで一漁業権ごとにやつて行くことができないので、横の関係がございますから最初から二年間は現行通りにしておきまして、その間にあとで申上げますが、委員会制度を作りましてその委員会を中心にして漁場計画を立てて行く。その漁場計画の中で初めて白紙になりました漁場につきまして、どういう漁業権をどういうふうに設けて行つたならば水面漁場関係からいつて合理的になるか、それを誰に持たせたらいいかをきめてかかるわけであります。  そこで現在の見通しといたしましては、三回に分けて切り換えて現行漁業権を消滅させることになるのでありますが、本年の九月一日、第二回は来年の一月一日、第三回に残りましたものを整理するという三回に分けまして、現行漁業権を全面的に消滅させる、こういう想定に立つておるわけでありまして、その準備過程といたしまして、昨年の八月に選挙制によりまして、全国の漁場を百七十九の海区に分けまして、そこに海区の漁業調整委員というものができたわけであります。これが中心になりまして、その白紙に帰つた漁場をどう使うかということを検討したわけであります。それが漁場計画という形になつております。これが大体本年の六月一杯でまとまりまして現在それを公示して、それについて誰にその計画された漁業権免許するかという審査にかかつておるわけであります。一方旧漁業権の補償につきましては、別にあとで申上げますが、補償計画というものを補償委員会が中心になつて今それを固めてやつておりまして、この新漁場の方は、漁業権を前の制度におきましては申請者が勝手に申請して参りましたものを先願主義免許するということをやつておりましたが、今度は初めから計画的に立てるわけでございます。その立てた漁業権免許いたします場合に、法律の中に適格性、誰が権利を持ち得る資格を誰に優先的に免許するかというこの計画免許と、保有主体問題が法的に書いてあるわけであります。そういうことでこれは経営内容に立入つて改革ということを申したわけでありますが、法律の中にどういう権利をどういう者が持つべきか、どういう者に免許しないかということが明確に書いてあるわけでありまして、これが個々経営内容にまで立入つておるわけであります。  そこで新漁業権内容を極く簡單に申しますと、従来は先ほど申しましたように定置、区画、特別、専用の四つの種類がありましたが、今度は三つにしたわけであります。定置漁業権は様式はそのまま残しておりますが、その中の小型の漁業権というものは共同漁業権の方に入れて参つたわけであります。区画漁業権は大体従来通りで、従来ございました特別漁業権というものは全部共同漁業権の中に入れました。従来専用漁業権として扱つておりましたのを、底についたのではなく浮魚、この関係を除いたわけであります。これを共同漁業権といたしまして、この考え方は共同漁業権の中に入つておりますのは、大体漁民の集団的な利用によるものであつて、まあ非常なラフな言葉で申しますといわゆる入会権的な性格を持つたものでございます。こういうような計画、内容を持つたものはすべて共同漁業権に入れまして、あと関係のものは定置、区画というふうに処理したわけであります。従来二十年間の権利であつたものを一応定置は五年、区画も五年、共同漁業権は十年ということに改めたわけであります。そこでこの経営内容でございますが、これは適格性、優先順位の中でそういう問題に触れているわけであります。基本的な問題といたしまして、その権利の保有主体、その経営内容というものを協同組合を中心に考えて参ろうとしているわけであります。これは單にこの点は、しばしば誤解のある点でございますが、いわゆる漁業関係におきましては協同組合は主として技術面の主体になつておりますが、漁業関係におきましては、今後の新法制下におきまして協同組合の計画はそういう單なる技術面の協同化と申すよりは、漁業権の管理又は漁業経営それ自体を組合がやるといつたような問題が中心になつて参りました。いわゆる生産部面の協同化を伴わない限り、漁業における協同化というものは本質的な部分が抜けるわけであります。そういう意味からここに協同組合優先という形をとつたわけであります。ただ入会権的な権利、多数の漁民が集団的に或る規律に従つて定めなければならん計画は、協同組合が権利を持ちましてそれで個々の組合員がその集団的規律によつて運用して行く、これをば広義の漁業管理といつておりますが、そういう形をとつているわけであります。ただそれとは別に、例えば定置漁業権のようなものにつきましては、これは例えば会社が経営しても現実にできるわけであります。そういう場合につきましては、協同組合が若し自分から経営するならば最優先に扱うという形をとつておるのでございます。従いまして従来のような権利を持つてそれを賃貸するということは認めておらないわけであります。この点があとで申上げますように、そういたしました場合に相当資本を要します定置漁業その他について、今度の権利の切替に伴つて果して協同組合に権利が行くかどうかという問題が出て参るわけでございます。その場合にその資金をどう賄うかといつたような問題が補償金の問題と関連して参るわけでございます。いずれにいたしましてもこの考え方といたしましては、單に零細な漁民経営をそのままの形で維持して行こうという考え方でになしに、共同化という線は出しておりますが、その場合にむしろ漁業の自営、漁業の管理という形によつて漁業経営内容その他もつまり零細経営そのものを克服して参りたい、それを一つの産業ベースに乗せて行くという考え方が基本的な線になつておるわけでございます。そういたしまして、権利が與えられたあとの結果につきましては、委員会を中心としてそれを調整して行くという考え方をとつておりますので、従来のように漁業権というものを主体にして、当時の権利を主張し合うことによつて漁場の秩序を保つということよりも、新らしい漁業権の法的な性格を、突込んで申しますと、いわゆる財産権的な性格が極めて弱くなつておりまして、ただ漁場利用する関係を規定する一つの基盤とでも申しますか、そういつた意味のほうが強いわけでございます。財産権的な自由な排他性といつたようなものが委員会調整によつても非常に弱められますし、又漁業権権利の売買というようなことが行われませんし、担保性、譲渡性といつたものも当然優先順位、そういつたものがきまつておりますので、その関係で非常に制限せざるを得ない。従つていわゆる財産権的な性格というものは非常に弱くなつておるわけでございます。その点が従来と非常に違つておる点でございます。そこでこういうふうに新らしい漁業制度を打出します場合に、当然旧漁業権というものを全面的に消滅させておかなければ、漁場利用関係、殊に経営内容まで立入つて組替はできないわけでございますが、その場合に当然に旧漁業権の補償の問題が起つて来るわけでございます。この現在の漁業権の法的な性格につきましては、先ほどもちよつと触れましたが、明治初年の一番最初漁業法ができました場合に、漁業権性格が非常にあいまいだつたわけでございます。そこで明治四十年代に大改正が行われまして、その際に一応これを土地に関する規定を準用するという形で財産権としての性格を非常に明確に出したわけでございます。それによつてそれを担保に入れて金を借りるといつたような問題もその当時においては相当な意味を持つたようでございますが、それから又逆にいろいろな欠陥も起きて参ります。但し法的に申しますと、土地に関する規定が準用されておりますので、これははつきり明確に財産権としての性格を持つておるわけでございます。この内容から見ますと、土地とは大分違うのではないかということが考えられます。土地の場合にはそれ自体が財産的な内容を明確に持つておるわけでございますが、漁業権の場合には先ほども申上げましたように、土地そのものの所有権というよりは、一定の水面の独占的な排他権、そういうものを中心とした利用権というふうに考えられると思います。そういうものを一応物権として扱いませんと、排他性といつたようなことが考えられない、こういうような点から一応物権とみなして土地に関する規定を準用するということで、その漁業権土地との本質的な違いという点までは触れずに、財産権として処理して参つたものと考えられるわけでございます。又同時に経済的な性格の点におきましても非常に違う、これと関連して違う点があろうかと思うのでありますが、ただこれが今後の補償問題と関連いたしまして、特に申上げて置く必要があると思いますのは、これは今度の補償問題、課税問題が起りました場合、大蔵省とも折衝しました際に問題となつたわけでございますが、例えば漁業権の中で専用漁業権というのがございますが、これは元々部落全体の権利といつたものが主体になつておりますので、法律的に申しますと、よくドイツ法で問題になります共有というような規定が一番当てはまるわけでございます。つまり一定の人間の集団がそれによつて権利を持つておりまして、同時に個々の組成員もそれについての処分権を持つておるといつたようなものでございます。ところが現在の日本の法制はローマ法関係によつておりますので、非常に個人法制の点を貫いております。そこで例えば專用漁業権などにつきましては、十分法体系の面から見まして扱えない問題があるわけでございます。団体と個人の関係といつたものが非常に複雑なものになつておりますので、それを現在の法制では賄い得ない。殊に漁業権のようないわゆる無体財産権に対する法制というものが産業法規と、それから税制における取扱といつたものに若干の食違いがございますので、この專用漁業権の取扱などは最も解釈が困難な点だろうと思われるわけでございます。それからもう一つの点は、一応これは法的には財産権として取扱つておりますが、実際の取引関係、それから現にこれを大多数を持つております漁業会における実際の経理上の問題を考えて見ますと、この点も非常な問題になろうかと思うのであります。つまり形式上から見ますと、これが非常に財産権という形をとりますので当然売買も自由でございますし、それから賃貸その他も自由なんでありますが、例えば売買上の自由というものは勿論ございますけれども、大多数の漁業会においてはこの権利は殆んど半永久的な権利として組合が自力で持つているわけでございます。これが売つたり買つたりできるような関係だというように大多数の人間は考えていない。勿論一部の会社その他で当然これを買取つたり、売つたという問題はございますけれども、漁業権の大多数のものについては、漁業会がそれを半永久的な権利ということで金庫の奧に書類をしまい込んで置くといつたような形式のものでございます。特に専用漁業権というようなものはいわゆる財産権としての性格というよりはそこに起きます繩張りと申しますか、生活権の基盤をなしておりますので、そういうものを証拠といたしまして、これをただ長年持ち続けて行くということになるのであります。ほんの僅かな例といたしまして、海藻をとつたりなんかいたします場合に、その村の事情が変つて農業その他へ殆んど漁民が行つてしまつて、それでその専用漁業権に頼らなくてもいいというような場合に、これを磯売と申しまして浜全体を売つてしまう、こういうようなやり方をおとりになる場合がございますが、それはほんの極く僅かな例でございまして、全体としてはむしろそういう繩張りを示したもので、漁民の生活の基盤をなす権利というような形をとつております。内容は入会権というふうにはつきり規定できるだろうと思うのであります。そういうようなことがございますが、例えば商法上どうなつておるかという問題を形式的に分けることが非常に困難なる問題がここにあるのでございます。そこでこの補償の問題が起りました場合に、当然問題になつたのはこの法律が出ましたのは、起案にかかりましたのが昭和二十一年以降の問題でありますので、その前に実は財産税の問題が起つたのでございます。財産税における取扱といたしましては、財産権として認めまして、主として賃貸料を基礎といたしまして、賃貸料の何倍というような取扱をしたわけでございます。当時漁業権が二十年間の免許期間になつておりますが、平均的に見て十五年ぐらいだろうということでこの財産税のときには、賃貸料を十五年分とそれに或る利率で以て年金元価に換算したものがかかるわけでございますが、そういうような方法で財産税の場合は評価するわけでございます。そういうようなことの評価がございますので、漁業権の補償の問題が起りました場合にその国がすでに行なつております財産税の評価と余り違つた方法はとれないということで大体その算定の方式を踏襲したわけでございますが、その場合に若干の改訂をここに加えたわけでございます。この補償の算式においてはお手許にお配りしております漁業法の厚い法規がございますが、この法規集の九ページの末尾から概略が書いてございます。九ページのところに別表一といたしまして、「漁業権等の補償金額算出の概要」というのが書いてございますが、これを見て頂けばよくわかるわけでございますが、大事な要点を要約して申しますと、その補償におきまして、一番当局のほうで重要に考えましたのは、国の漁業権によつて一律に消滅さしてしまうわけでありますから、その場合における漁業権の価値というものを最も客観的に公平に算定する必要があるだろう。個々漁業権の事情もあると思いますが、むしろ個々漁業権の差という点は勿論考えなければいけませんが、全体としての横のバランスというものを最も重要に考えて行こうということと、これが財産権の場合におきましては、個々の事情というものが、横の公平という点よりはその個々漁業権現実そこに現われておる数字といつたようなものが非常に基礎になつておりまして、その点が全面的に漁業権で切つてしまうという場合には考え方を若干変えなければいかんじやないかと考えたわけであります。  それからもう一つ違いました点は、財産税の場合には賃貸料を基礎にして考えましたわけでありますが、前三年の平均という形をとつておるわけであります。財産税は昭和二十一年の三月を基準にしてとつたわけでございますが、漁業権の場合には前三年の平均をとつた。ここにちよつと問題がございまして、漁獲高はいろいろ不安定でございますから、漁獲高を三年平均いたしまして、それで価額のベースとしては二十一年のその基準のときを使うべきが或いは当然であつたかと思うのでありますが、この場合には賃貸料の前三年平均という形で、価額関係もプールされてしまつたような形になつております。その前三年方式という形をとつておられたわけでございますが、実際に当つて見ますと、殆んど前三年のデータを平均するというようなことが非常に事実上も困難であるということで、この補償金の場合には基準年度というものを設けまして、そのときの数字を精細にとりまして、それとの横の公平というものは別途に調整して行くという考え方をとりまして、この基準年度といたしましては、三年間の平均ということではなしに、昭和二十二年の七月から二十三年の六月末までの一カ年を基準年度といたしまして、そこのべースで実際を考える。それによつて非常に不当な結果が起るという場合には、それを補正して行くという考え方とつたわけでございます。この場合に勿論大事な問題といたしましては、現実に切りますのは、本年の八月に切つて参りますので、この間に価額の大きなインフレーシヨンによるような開きがあるわけであります。これにつきましての考え方としては、勿論本年八月に切ります場合には、財産税のあれに做いまして、切る直前の三年の平均ということも考えられるわけでございますが、ただこれは後で申上げますように、この補償金の賄いは将来免許料で支払つて行く新形体で払つて行く。免許料の新形体に対して非常に脅かすような厚いものになつては困るという点が一つと、それからもう一つは新免許をいたします場合に、その新らしい漁業権についてとります免許料といつたようなものの基準が行政的にもきちんと見通しが付かなければならんと、こういうような問題もございまして、その意味で補償のベースというものを前のほうで公正したわけでございます。この結果、漁業権については漁業権が将来消えるということも明確になりますし、その補償の基準もはつきりしておりますので、或る意味では漁業権の価額が公定されるというふうに考えられると思います。この場合、基準年度の平均魚価という問題も出て参るわけでございますが、これはそれによつていろいろ公平、不公平の問題も起りますので、現実には昭和二十三年の三月のマル公を基準にいたしまして、この補償の基準の計算をいたしたわけでございます。  ここで特に問題になります点は、その下に書きました参考資料のところを見て来ますとわかりますように、今のように現実的な必要があり、価額の公定をいたしまして、この補償を賄つて行くというやり方をとつたわけでありますが、現実にはその後のインフレーシヨンが相当進みましたために、現在切る段階から考えますと、漁業権の補償の価額が相当低いということでございます。これは課税問題ともいろいろ関連して参ると思うのでありますが、その事情を申上げますと、財産税の基準、財産税のときのベースを申上げますと、魚価指数について見て見ますと、昭和九年から十一年、平均を仮に一といたしますと、財産税の際、実際に払いましたべースというのもは、先ほども申上げましたように、昭和八年、九年、十年の平均でございますので、これを魚価指数で現して見ますと、八・〇七になります。それから現実に昭和二十一年三月一般の財産税の取られたべースのときを考えますと四五という指数になります。それから、昭和二十三年の三月マル公における魚価のベースというものは、一九二になります。これが只今申上げました現実の補償金が計算されております場合の魚価の指数でございます。それから若し仮に昭和三十六年の八月、今年切ります前二年後一応現在ちよつと公式の魚価指数、その傾向線を伸ばしまして、三年平均して見ますと、大体指数としては五〇〇から五五〇ぐらいのところに行くわけでございます。従いまして若しこの制度改革がなかつたらということを考えますと、現在の漁業権の補償の額というものを考えますと、大体五〇〇から五五〇ぐらいのべースで恐らく考えなければならない問題ではないか、それが実際には一九二というようなベースで以て開いて行く、こういうように漁業権の補償が非常に低い、現実漁業権が若し制度改革がなかつたらと想定します場合の漁業権の補償額は、現実漁獲高とか賃貸料といつたようなものから計算いたしました場合に、相当高いものであろうが、こういう形で非常に低く評価されているという点でございます。この点は相当問題になるんではないか、ただ一般的に取引関係にこのような補償の低いということが不測の損害を與えるということは、これは自然にこういう法律関係が出て参りますので、不測の損害を蒙らすということはございませんが、ただ現実の評価そのものが低いということが考えられる。  それからもう一つこの点と関連して申上げておく必要があると思いますのは、資産の再評価の場合にどういう取扱をしたかという問題でございます。この点は資産再評価法におきましては、漁業権の資産評価の倍率は十倍という形になつております。併しその十倍という場合に、昭和二十五年の一月が再評価の基準でございますので、若し漁業権が前三年の平均というものをとつておりませんで、指数で申しますと、昭和二十一年の三月が四五でございますから、昭和二十五年の一月というのは、大体四〇〇台になります。従つて十倍の倍数があれば大体その中に納まるという問題になるわけでございます。現実には今度の補償のべースはそれよりも低い、従つて資産再評価の倍率も現実の指数としては一九二と内輪になつておりますので、そういう点も一つの問題になろうかと思つております。こういうような点から事務当局としましては、前に御説明申上げましたように再評価という形で課税問題の矛盾を解決しようという問題もこの点から起つたわけでございます。  なおこの辺につきましては、後で御質問があると思いますので、その際に譲りまして、そこで、次にどのような補償を将来とるか、免許料との関係でございます。これを特に申上げておく必要があると思いますが、免許料、許可料というものの本来の性格というものと、その後のいろいろな関係から、若干法律関係が変つて来ておりますので、この経過をちよつと申上げておく必要があると思います。当初立案いたしました当時の考え方といたしましては、補償金と将来の免許料、許可料というものは全く切り離して考えておつたわけでございます。つまり補償のほうは現実財産権として取扱つております漁業権を消滅させますので、当然それの補償が要るということなんでありますが、ただ将来の免許料という考え方は、漁業権のような相当独占排他性を持つた権利を與えました場合に、現在ではその漁業権財産権として扱いますので、賃貸している、相当高額な賃貸料をとつているものがあるわけであります。若しこれが土地のような場合のように、原始取得というようなのではなく、何らかこの取得については売買価格を払つているというような場合につきましては、それを回收する意味からも勿論それは高額であつては問題にならんと思いますが、賃貸料自体というものがあり得るわけであります。漁業権の大部分は原始取得でも国の免許によつて與えられるものでありますが、その内容は非常に独占的に利用できる、そこで同じような規模の網につきまして、仮に五百万円の経費のかかる網におきましても、甲の場所と乙の場所においては漁場の優劣から見て非常に漁獲の高が違う場合もあると思います。こういうようなものがその漁場現実のよさの違いが経済関係におきましては、賃貸料という形で漁業権者に帰属しているわけでございます。これを個々委員会に帰属させるのは、国からの免許によつて與えた漁業権利用しないで賃貸料収入をとることはおかしいじやないか、従来の法律関係はそれが排除できなかつたわけでありますが、新漁業法におきましては、賃貸関係は認めておりませんし、そういうようなものはむしろ国が特権料としてとつて一般的に還元すべきではないか、こういう考え方から免許料、許可料というものが考えられたわけであります。即ちこれの内容といたしましては、むしろ特権料といつた性格が強く考えられているわけであります。むしろその結果といたしまして、例えば補償料を賄うといつたような形を立案当初はとつておつたわけであります。ところが関係方面からそういうようなとり方はいけない、免許料、許可料というものはいいが、それは補償金を賄う限度に止めろという問題が出まして、補償総額と免許料の総額というものを見合わして行くような考え方がそこに出て来たわけであります。従いまして性格といたしましては、やはりこれをかけます内容としては、やはり特権料という形をとつているわけでありますが、それの補償金の財源との関連で枠が付いたというふうに考えられるわけであります。それで又立案当初におきまする国会の説明におきましてもそういう説明はしておりますが、現在の法律関係では一応この補償財源を賄つてしまつたのちにおいては免許料という形式は一応そこで終り、更にその後どうするかという問題は新しい問題として起つて来るのであります。ただそういいながら現実免許料のかけ方といたしましては、個々の旧、元の漁業権とリンクしてこの網のやつはこれにかけるというのではなしに、やはり現実漁業権の優劣、その収益度といつたような問題を法律に書きまして、それに従つて割付けて行くという形をとつております。この点が非常にわかりにくいかと思いますが、そういう変化が参りまして現在の免許料というものは補償財源との見合いという点がむしろ大きな点として出て来ているわけであります。  それからもう一つ問題になります点は、この場合に補償金というものは勿論これは固定した金額で出て来ているわけでありますが、その補償金を賄います場合にどういうようなかけ方をするか、これを何年にどういつた形でかけて行くかということが今後に残された問題でありまして、これがあんまり大きな金額になりますと、現実漁業権に対する非常な負担になつて参るわけであります。又同時にここにインフレーシヨンによる魚価そのものの開きが相当出ておりますから、補償金の金額が固定しておりますのでパーセントとしては全体の漁獲高に対するパーセントはそういう形で減りましても、現実漁業におきましては非常にいわゆる逆さやと申しますか、甚しく出ておりますので、この段階において免許料を非常に大きくかけて行くという問題が起りました場合に、相当大きな問題があると思います。以上のようなことを総括いたしまして、ここで補償と免許料の問題がここに当然考えられます。課税問題が出て参つたわけでございますが、そういうような点につきましては、特にここで申上げて置く必要があると思いますのは、いわゆる制度改革におきます補償金の意義でございます。殊にこれが丁度農地証券と同じような問題で、漁業権証券という形で交付されましたので、これをどういうふうに資金化するのかという問題が、実は制度改革の成否をきめるような大きな問題になつておりますので、課税問題をお考えの場合に、当然これも考慮に入れてお考えを頂きたいと思うのであります。先ず漁業権証券の問題でございますが、補償金の額はこのお配りしましたC表を見て頂きますと数字が出ておりますが、C表に総括いたしました額の現在の計算で、これは今補償計画をどんどん進めているわけであります。一応の推定といたしまして、海面と内水面に分れますが、総計いたしまして、約百七十八億になるわけでございます。漁業権ごとに割りますと、ここに書かれておるような数字になりますが、全体として百七十八億になりわけであります。それでこれがどういうようなふうに帰属するかということが問題でありますが、先ほどの漁業権現実の保有関係から見まして、百七十八億のうち約百四十億に近いものが漁業会に行くわけであります。あと七億近くのものが会社関係、それから三十二億が個人の漁業権者に参るというふうに推定されます。これはまだ推定でございまして補償計画が相当最終的に決定いたしませんと、この数字を確定的には申上げられないのでありますが、大体このように推定をされるわけであります。そういたしますと、ここで特に問題になりますのは、漁業会に行く百四十億という金があとどうなるかという問題でございますが、これは先ほどちよつと御説明を落したわけでありますが、この二年間即ち切替えの行われるまでは漁業会漁業権の保有主体でございますし、專用漁業権の入会権の主体になつていますので、解散させるわけに行かない、そこで新らしく漁業協同組合というものはすでに法律が発足しておりますが、漁業会と並行しておるわけでございます。すでに漁業会の持つておりました経済行為、つまり売つたり買つたりというようなものは、新漁業組合のほうに引継がれまして、漁業会は経済行為をやつておりませんが、現在も保有主体としては残つているわけでございます。そこで今度は、漁業権が消滅いたしますと同時に解散するということになります。そこで漁業会が解散いたしました場合に、ここに参りました補償金というものがその漁業会のメンバーであつて、新らしい協同組合の組合員である個々の持ち分に従つてA協同組合、B協同組合というものに分割されて行くわけであります。従つて漁業会に行きました補償金がその中の一部は脱退者に参るわけであります。大部分のものは新協同組合の組合員の持ち分に従つて引継がれるという形をとるわけであります。そこでそれはどういう意味を持つかと申しますと、先ほどもちよつと触れましたように、今度の漁業制度改革におきましては、漁場漁業権の保有関係だけをきめるのではなくて、経営内容まで変えよう、殊にここにおいて共同化という線を強く引き出そうというところに当然大きな漁業経営につきましては資金がいるわけでございます。その資金を賄うためにこの新形態が発足いたします場合に、これは新らしい法律におきましては新らしい協同組合は定置なんかにつきましても優先的な取扱をすることになつておりますが、その場合に自分で、みずから経営するという場合に当然生産手段をそこで引取らなければならない。或いは新たにそこで獲得しなければならないということになります。その資金を賄う意味で百四十億といつた漁業会に参りました証券の何がしかのものが資金化されればその生産手段を獲得できる、それから又そういうような経営が出発いたしました場合に、その改革の効果を保持して参ろうというような場合に、当然例えば共同施設、冷蔵庫とか、製氷とか、とつた魚の価値を維持し、その高度な利用を図つて行く施設も同時に伴わなければ新経営体というものは維持されない。こういうような資金的な需要というものが同時に伴つて来るわけであります。その内容は補償金は協同組合に行くということと、それに更に漁業権証券の資金化というものが加わればその循環がつくわけでありまして、そのような循環がついたときに初めて免許料を支払い得るような経営形体になつて行くと、このような一連の循環を持つて来るわけであります。このようなことは従来も要求があつたわけでありますが、結局フアンドがないために、常に金融関係からは金が流れないということでこの循環が断切られたわけであります。今度は補償という財政措置によりまして、最も金融に乗りにくい層に金が行つておるわけであります。証券の形をとつておりますが、それが若し資金化されて、同時に新らしい経営体になつてそれが発足いたします場合には、ここで大きく漁業経営内容が切替わると、これを制度的に裏付けて行くのが証券の資金化の問題であります。経過を申上げませんと、なぜそのような資金が当然要るようなものに初めから証券で出すというような形で、現金で交付しなかつたかというお話が当然出ると思います。この立案過程におきまして、先ほど申上げましたように、昭和二十一年頃からこの立案にかかつたわけでございますが、当時インフレの最中であり、百七十億、百八十億というような大きな金額の補償を現金で交付するというようなことは当然考えられない問題でございまして、この場合には一応止むを得ず漁業権証券というような形で交付される。併しそれを何らか資金化する必要があるということはたびたび申上げて参つたわけでございますが、一応法律の形としては、証券で交付できるような形で法律が出たわけでございます。そこで一番最初考え方としては大体余り細かく考えませんで、農地証券と同じような形で相当長い年賦償還というようなものを考えておつたわけでございますが、そういうようなことから証券の資金化という問題をくつつけて考えました場合に、長期の元利均等償還方式といつたようなものが非常に支障になるというようなことで、財源的にこの年々の免許料が入つて来るものと、それから補償の財源を無理にそれだけでプールしないでもいいということになつて、それの切離しがつくならば、これはむしろ別な形で交付したほうがよいではないかという問題も起つて参りまして、最近になりまして、この漁業権証券の内容は一応五年間で利率としては五分五厘の利付公債で払うということに大体きまつたわけでございます。これは大蔵大臣のほうは、この前の国会でまだ決定的にそう考えてはおらんというような御説明があつたわけでございますが、事務的には一応そんなことで話が進んでおるわけでございます。そこで当初考えましたような非常に長期なやつ、例えば二十五年の元利均等償還というようなことは証券自体としては考えておらないわけでございますが、免許料の支払い関係におきましては、一応財源的には切離しまして、相当長期に分割して免許料を支払い得るというようなことになろうと、そういうような点が交渉として残つておるわけでございます。いずれにしましても、証券の内容をこのように相当改めて頂いたという問題と、更にこの場合に漁業制度改革の必要上、例えば買上、償還ということを織込んで漁業権証券を本当に活かして新経営体の発足というものを裏付けて行こうといつたようなことが相当昨年末以来真剣に議論されまして、現在大蔵省のほうとの話合いでは、この前の国会におきます大臣の御答弁によりましても、漁業権証券の資金化ということは漁業制度改革上最も必要と思われるから、それは特に考えようという御説明でございました。それで方法といたしましては、現在国債整理基金特別会計に、償還期限が来ないまだ不確定の債券についての償還の枠も今年は相当に大きな枠が含まれておりますので、それで以てどうしても必要な分というものは買上償還で大きく賄うことを一つ考えよう、それから又それ以外に漁業権証券を損保にして農林漁業特別会計から共同施設などに融資することが考えられる。それから又漁業権証券の利率も五年五分五厘ということば一応そういうことで考えているけれども、これが若し変れば普通の金融機関による証券の資金化ということも考えられるのではないか。いずれにしてもそういうようなことを三つ組み合せて漁業権証券を資金化することを賄うと、ただ具体的な資金の額を幾らにするかということは御説明はなかつた。このようなことで一応証券の資金化の問題も或る程度見通しがつきまして、現在水産庁といたしましては、この切替えに伴つて現実に要ります証券の資金化の内容につきまして数字をまとめまして、大蔵省と今折衝中でございますが、こういつたような問題がずつと起つて参りました過程におきまして、この課税問題が起つたわけでございます。これは昨年来しばしば国税庁方面、つまり実際の徴収をする面からこの問題が起つて来たわけでございますが、立案当局といたしましては、水産庁におきましても、大蔵省におきましても、この問題は殆んど考えても見なかつたわけでございます。漁業権の補償に現実に税がかかるというような問題については、立案当時この問題について全く大蔵省もそう考えておられなかつたし、水産庁としてもそういうことを考えていなかつたのであります。併しこれは法人税法その他に対する検討の不十分ということと、又現実漁業界におきまする経理がどうなつているかというような点についての研究が足りませんで、その後現行法といろいろ照し合せて見ますると、補償額の半分くらい取られるといつたような問題が起つて、非常に大きな問題が起つておるわけであります。それで昨年来その問題が起りまして、事務当局同士いろいろこの問題について研究いたしました結果、つまり漁業会におきまして帳簿に載せていないというのが非常に多いわけであります。こういつたような問題と、併し法的には一応財産権として扱われておつて、そういうような帳簿上の取扱が法人税法上は非常に困つた問題になるわけでございますので、その問題を調節する意味で事務当局同士がいろいろ相談しました結果、一応この前の国会でお諮りしましたような再評価という形において、再再評価という形においてこの調節をとつて行こうと、つまり再評価税という問題も国のやつた措置でございますし、補償の問題をきめましたのも国の問題でございますので、前の再評価法においてはこの両者がくついていないわけでございますが、補償額一ぱいまで再評価を認めるということで、補償金が来ました場合に、それと見合つた損失があつたということが数字的にそこにパーになつたというような状態を作つて行くとこの問題は解決するのではないか、こういうようなところで一応事務当局の話がまとまりましてお諮りして、その後の経過は御存じの通りであります。そういうような経過があるわけであります。ただこの問題が漁業権の補償金というものが農地改革の場合のように一方生産面から脱落して行くかたへの一つの補償という恰好ではなしに、この補償金が今の新らしい経営体の出発のファンドになつておるという点、又その現実の地盤といたしまして、経営面まで立ち入つた制度改革を踏み切つたという点から考えまして、この際制度改革の要請と金融政策上の要請とを何らかの形で総合して頂く必要があるのではないかと思うのであります。これが一応の御説明でありまして、大変長くなつて恐縮でございますが、なお細かい点につきましては、大分説明をはしよりました問題もございますから、御質問がありましたら又お答え申上げたいと思います。 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  5. 小串清一

    ○委員長(小串清一君) ちよつと皆さんに御報告いたします。社会党の佐多委員が辞されまして、今度今御出席になりました菊川君が委員となられましたから、どうぞよろしく。
  6. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 私社会党の菊川でありますが、どうぞよろしく。   —————————————
  7. 小串清一

    ○委員長(小串清一君) 何か御質問がありますか。
  8. 小林政夫

    ○小林政夫君 許可料、免許料を決定し、徴収をする機関はどうなつておるか、どういう予定ですか。
  9. 久宗高

    説明員久宗高君) 許可料、免許料内容はしばしば手数料と間違えられるわけでございますが、手数料ではなしに国がこれを徴収するわけでございます。従いまして内容を決定いたしますものは、これは政府、国が決定するわけでございます。実際の徴収につきましては、現在この法律では市町村に委託できるような形になつておりますが、この点はまだ大蔵省のほうと相談いたしまして、仮にそういうような市町村に委託して徴収するような形をとるか、別途の形をとるかまだ決定しておりません。法律には一応市町村にも徴収を委託できるような規定が入つております。
  10. 小林政夫

    ○小林政夫君 どうも法律がよくわからんのですけれども、もう大分実施期も迫つておりますし、そういう点ははつきりきめておいて頂きたい。政府が決定するにも主務大臣となつておるが、これはどういう方法で決定されるのか、具体的なことをお尋ねしたかつたわけでございます。若し具体的にきまつておらなければ至急に御決定願いたい。  それから次に法律並びに今の説明によつて、これは一番課税の問題と関連して重要なのですが、補償総額の百七十八億の範囲において免許料、許可料を取る、こういうことになつておりますが、漁業権というものは今の御説明のように排他権がある。そうすると何年か経つて一応その百七十八億円の補償額だけを国家が收入をした後において、排他権、それを使用したものから何らかの名目によつて国家が使用料を取る、取らなければならないのではないかと思うのですがどうですか。
  11. 久宗高

    説明員久宗高君) この点は先ほどちよつと御説明いたしましたように免許料、許可料は、当初考えました当時におきましては、特権料という形で、補償とは無関係に考えておつたのでございます。そのためにこれに特別会計でも設けまして、それで許可料、免許料を考慮にいたしまして、その運営を図るというところまで当初の相談は行つてつたわけでございますが、御承知通り途中から補償額との見合という問題が入りまして、法律におきましても直接これをこれに充てるという書方にはなつておりませんが、考え方としては補償総額との見合という形になつておりますので、現在の法律をそのままにいたします場合には、免許料、許可料という形は、この補償の額を完済した後においては一応この問題は切れると考えられます。そういうふうに御説明しておるわけでございます。ただその場合に、更にどういうふうにするかという問題は又新らしく考えられる問題ではないかと思います。
  12. 小林政夫

    ○小林政夫君 それはその通りの御説明つたのですけれども、取らなければならんでしよう。取らずには済まんでしよう、何らかの意味において。
  13. 久宗高

    説明員久宗高君) 漁業経営は現在のように各種の国の政策そのものによつて非常にそういう政策のしわが寄りまして、現実に大きく整理ができない。逆になつております。それ自身が個々の具体的な国の政策によつているといつたような場合においては、特権料を一般的に取るということは非常にむずかしいと思うのでございます。それでありますから、この今度の法制においても免許料を勿論徴収する計画を立つておりますが、この実施までの過程において国の個々の政策面について制度改革の実施と併せて総合的に調整して頂くというのが当初に申上げましたようにこの制度改革二つ狙いのうちのむしろ大きな面であるわけでございます。これが若しできない場合には当然に法律にも書いてございますように、減免の問題なり、そういう問題が当然に出て来ると思う。若しそういうことが制度的にすつかり解決されて、漁業経営が少くとも他の産業と同じような平均的な利潤を生み得るような形に置かれておる場合には、先ず権利が取られてありますから特権料というようなものが考えられると思います。ただ今の国の税体系全体がそういうような特権料という形のものを明確な形で取るような形になつておりませんので、税体系から見てそれをフルに取つて行く、特権料に相当する部分をフルに特権料として取つてしまうというような形で行われるかどうかは、税体系全体からお考えになつたらおわかりになるのではないかと考えております。
  14. 油井堅太郎

    ○油井堅太郎君 今の御説明を聞いておりましたのですが、この新旧漁業権の性質というものは全く前と新らしいのとは同じというふうに我々は聞えなかつたんですが、全然違つた形体のものであるというように解釈していいのですか。いわゆる前の古い漁業権というものは消滅してしまつて、新たに今度別な漁業というものが制定された、そういう解釈をしてよろしいのですか。
  15. 久宗高

    説明員久宗高君) その通りでございます。その意味は物理的に考えましても、前にありましたようなのと全然違つたものが新漁場計画によつて出て来る場合が多いわけでございます。勿論一貫して違わないというようなものもございますが、全体として見ますと、大きく変化しております。つまり物理的にも前のとは網の性質その他等が全く違う、法律漁業権性格から見ましても本質的な違いがあるわけでございまして、前の漁業権においてはそういう権利を国から授権されました場合に、それをどうこうしても自由であつたわけでございます。今度の場合にはいわゆる農地で申しますと、地代修取権と申しますか、そういうものが国にあるわけでございまして、漁業権を以てそれによつて賃貸料収入を、むしろそういつたものを主体とした漁業権という性質がなくなつてしまつて、全く漁業権の行使のための排他性だけが與えられて、それを財産権として人に貸付けるといつたような面がなくなつて、ただそういう收入が当然あるわけでございますが、それが国に帰属してその内容免許料であるというふうに考えて頂きたい。免許料というのはむしろ国に対して賃貸料を払うというようにお考え頂いてもいいと思うわけであります。
  16. 油井堅太郎

    ○油井堅太郎君 そうしますと、この前の国会で論議されたいわゆる漁業権の讓渡に対する課税問題です。讓渡という字句が非常にこれは根本的に相違を来たすと思うんですが、この点は大蔵省では譲渡とみなして、つまりそれに対して税金をかけるということになるんですね。その点あなたがたのほうの解釈とは根本的に変つて来るんですね。それは大蔵省との話合はどういうふうになるんですか。
  17. 久宗高

    説明員久宗高君) この点は大蔵省との折衝過程においても、又法制局におきまする論議の点におきましても問題になつた点でございますが、つまり大蔵省の考え方としては、漁業権の消滅という形式は取つております。これは讓渡とやはり考えられる。従つて讓渡所得という問題がそこにどうしても出て来るんだという解釈であつたのであります。私たちといたしましては、当初一応形式的に讓渡という問題は全然成り立たない、これは飽くまで消滅であつて讓渡ではないというように議論をしたわけでございますが、突つ込んで考えました場合に、漁業権そのものは土地のような一つのものではないのであります。それを国が買上げてこれを売渡すというようなことでなしに、全くこの実体も変りますから、一応消滅させて、内容は同じものでありましても、一応違つたものをここで免許するというように考えざるを得ない、併し内容から見ますと、やはり漁業権というものが財産権として扱われておつたので、そういう形式を取つておりますので、これを消滅したから譲渡という形ではないというのは相当形式的な議論ではないかというように事務当局としては考えられたのであります。ただその場合に定置漁業権とか、区画漁業権とか、特別漁業権につきましても、確かに財産権的にも扱えるわけであります。現実に又或る場合においては事例は少ないが、現に売買される場合には賃貸料を基礎といたしまして、財産的な評価がそこに行われるわけでございます。ただ専用漁業権につきましては、形式的に申しましても、又内容から見ても譲渡という観念は成立たないじやないかということを強く私どもは事務当局側として大蔵省に申入れたのでありますが、この点の主張は到頭通らないで、時間的には時間切れでこの前のような恰好に出たわけであります。この專用漁業権につきましては、先ほどちよつと申しましたように、いわゆる財産権的な性格というよりは、その人個人に帰属した、その集団に帰属した権利であつて、その人以外は持つことは本来意味がない。若しその集団が全然これを放棄してしまつた場合に、初めてそれは他の人間によつて財産権的に取扱われて行く、こういうことであつて、大部分の專用漁業権というものは、現実にその集団が行使しておちわけであつて、むしろ生活権を守るために繩張りをきめたわけであります。従いましてこれを形式的に、財産権として扱え、帳簿上そういうように扱えと申しましても、そういうような財産主体というものをその人たち利用しておる場合には計上されること自体が無理があるというふうに考えますので、そういう意味において専用漁業権の問題については、形式的に見ても実質的に見ても国に対する譲渡としては考えられない。これは飽くまで消滅に対する完全な損失補償が要るのではないかということを主張したわけであります。
  18. 油井堅太郎

    ○油井堅太郎君 そこの点が一番肝腎なんですね、あなたがたのほうで非常に力強く交渉されたけれども、結局消滅というふうな解釈をとられないで、讓渡という解釈をとられてしまつたと、そういうなら、つまりあなたがたの説が破れてしまつた、大蔵省の説が正しいということは、あなたがたは、認めた、こういうふうにもちよつと解釈されるのですね、そこのいきさつはどうですか。
  19. 久宗高

    説明員久宗高君) 問題をはつきりいたしますために、突込んで申上げますと、この問題を議論して参りましで、私担当しておりまして、非常に痛感いたしましたのは、今の漁業権というような無体財産権、特に專用漁業権というような、いわゆる個人構成では取扱えない権利、こういうようなものに対しての産業法規と税法との間に法体系上の矛盾があるのではないか、その点でこれを実体的に押して行きましても、形式的にだけ割切ろうとしましても、どうしてもこの現在の法律を前提とする限りどつかで食違いが出るのではないかという問題にぶつかつたわけであります。その点から專用漁業権と、定置区画特別漁業権については分けて考えまして、定置区画特別漁業権につきましては、同じく漁業権としては物権とみなして、土地に関する規定を準用すると、一本で行つておりますが、実体的に入つて行きました場合、これは少くともいわゆる個人構成で取扱つておる財産権と同じように扱つてもいいし、又扱えるじやないかというふうにも考えられたわけであります。ただ專用漁業権につきましては、そこのところはどうしても割り切れない、ただそれを救う場合に、個々の法人税法においては、あの漁業権個々財産権というものが、全く完全な財産権として、完全に個人構成を貫いてできておりますので、そこに考慮する余地がないわけです。形式的に見ますと、その問題をどうしてもくつ付けられないで、つまり今の再評価というところに問題を持つて行くわけですが、ただ專用漁業権についでは事務当局といたしましては、私どもの説明が足りないのか、或いはその漁業権の実体についての御理解が大蔵当局に十分通じなかつたのか、とにかくその問題については相当議論したわけでありますが、遂に一応その段階においては認められずに処理されてしまつたわけであります。この点については、私どもといたしましては、何らかの形でその問題を解決したいと考えておるわけです。十分のところまでお話合がつかないうちに一応時間切れでああいう形で出たわけであります。
  20. 大矢半次郎

    ○大矢半次郎君 今の問題に関連いたしまして御質問いたしますが、私は特別措置法で今問題になつておるのですが、譲渡であるという、こう言つておるのではないのであります。この特別措置法を設けなければ、漁業会等が漁業権の消滅によつて対価を受ける、それが資産の増加になつて当然莫大な税がかかる、それを緩和する方法をどうして見出すかというのに、資産再評価法を適用すればそれは譲渡ではないけれども、譲渡とみなしてやるんだという、こういうのでありまして、あれは譲渡だから資産再評価で課税するのだという、こういう趣旨じやないかと考えますが如何でしようか。
  21. 久宗高

    説明員久宗高君) 今の点もやはり交渉過程において問題になりました。つまり譲渡だからかける、或いは譲渡だからかけないという形ではなしに、現実には、要件というものが財産権として取扱われる以上、他の税法の取扱から見ましても、経理上載つていないのがおかしいという問題があるわけです。そこで補償金が出ましたら、それとの見合いのものが、勿論失われるわけでありますが、それが経理上見合つていないという形になつておるような事実を何とか調整しなければいけないということから、再評価という形において失つたものと得たものがパーになるという状態を作れば、そこに現実に譲渡所得というものが出ないじやないかということも、この再評価の特例を設けようというところに、一番最後の話合いに行つたわけでございます。
  22. 小林政夫

    ○小林政夫君 大蔵当局の説明によつて、許可料、免許料を経費に見ると従つてそれだけ課税所得が減るから税金も或る程度認めるのだという見解ですね。御承知のようにそういうけれども、今の免許料、許可料というものは特権料であつて、国の取る特権料であつて、いわば公課でありますから、当然我々としては課税対象にならんと、経費として提示すべきものであるというふうに考えるので、このために課税所得が減るから税金がそれだけ減るんだという議論はどうもおかしいと思うのです。あなたのほうはどうお考えですか。
  23. 久宗高

    説明員久宗高君) 私どもその通りに考えております。これは経費に入れる、入れないといつたような問題は、当然に経費として落される。又賃貸料、許可料というよりもこれは漁業権を買取る金額のように考えられるわけでありますが、年々の漁獲、年々の所得の中からこれが支払われて行くという形をとるわけでございますから、同時に公課の内容を持つておるわけですから、従つて経費として当然差引かれるのです。
  24. 小林政夫

    ○小林政夫君 この際出張の報告を兼ねて今度私が北九州に廻りましたが、そのときにこの件についての要望があつたわけです。というのは、許可料、免許料を各県別に、県で補償額をもらいますね、長崎県なら長崎県で八面ですか、補償金をもらう。県のもらつた補償金の範囲内においてその県の漁業者が払う免許料、許可料を払わせてくれ、こういう要望がありますが、どう思われますか。
  25. 久宗高

    説明員久宗高君) この免許料と許可料の現実の割付方につきましては、まだ確定的に申上げるまで行つていないわけでございまして、考え方といたしましては、この総額を、漁業免許料をかけるといたしまして、先ほど申上げましたように、この特権料的な考え方が基礎になつて、又そういうふうにいたしませんと、漁業経営を非常に脅す恰好になりますから、漁場の優劣というようなことによつて割付けて行くわけです。ですからそういうような割付方をいたします場合に、個々に細かく前の條件がこうだからこれはこうだという形の割付方はできないわけでございます。ただ現実的に考えますと、全然前のものは白紙にしてしまつて百七十八億の何年間分を漠然と割付けて行くという形もとれませんから、やはり漁業権の補償の際にいろいろ漁獲高その他を検討しておりまして、それと見合つて大きく枠を考えて行くということになると思います。或る県の枠が全部その県で処理されるというような形にはなりませんで、もう少し違つた恰好のプールか行われるだろうと私は思います。
  26. 小林政夫

    ○小林政夫君 そうすると今の予定では、まあ全国を單位としたプールで大体やられるということになつて、各県ごとのプールはやらないというわけですね。
  27. 久宗高

    説明員久宗高君) その県の補償では定置漁業だけが問題になつておりますので、今度の免許料、許可料をかけます場合に、或る種の漁業権が全然なくなつてしまつて、許可に移るという場合がございます。例えばその許可漁業の業者の範囲がその県から逸脱して他の県にもかかるものがございますから、嚴密にその県の補償額はその県にかかるということは申上げられませんが、ただ大体において県との見合いということは勿論入つて漁獲高の点から見ても無関係ではないのでございます。嚴密にその県の補償額とその県において徴収する許可料、免許料をリンクさせるということは考えておらないのであります。
  28. 小林政夫

    ○小林政夫君 そのほうが無税論を言うのにはいいと思います。それから次に、今の免許料、許可料とは違い、漁業権証券の先ほどの説明の第五のBですが、漁業権証券の資金化による使途の方向付け、これがまあ非常に重要だと思うのですが、これについて行政指導によつて、現金買上償還であれ、或いは別途金を注ぎ込むにしろ、漁業制度改革を意義付けるための、金が分散しないということについての具体的な方法というか、どういう方法をとつて水産庁はやつて行くという考えであるか。
  29. 久宗高

    説明員久宗高君) お手許に配つております資料の中にFというのがありますから、ちよつと見て頂きたいと思います。これは今後の補償金につきまして、これを今度の制度改革関連して本年度どのくらい資金化したいかというものを下からまとめてとりましたものを集計したわけでございます。この総括表で見で頂きますと、当然の問題でございますが、この資金のうち、今度の漁業権切換えに伴いまして生産部面を共同化する心要がございますので、その関係で要る金というのが約四十五億という数字になつて出て来ております。それから同時にそれら新経営体が発足したあとの魚価の維持なり漁獲物の高度利用の共同施設関係で、この漁業権証券の交付を機会に是非作りたいというものが約二十三億ほど出ております。そのほかに共同施設でなしに個々の組合員が船の補修をしたいといつたようなものは、この機会に証券と関連してやりたいというものが若干出ておりまして、その他というのが付いておりますが、下からまとめてとりましたものが約八十億というような要求が出て来ております。そこでこういうような要求が出て来ておりますが、この場合に今お尋ねがありました、証券が分散されてしまつて、勝手にばらばらに使われては意義がないではないか、それについて何らかのことを考えているかというお話でございますが、これを法的に規制することは勿論できないわけでございます。そこで水産庁といたしましては、大蔵当局の御理解も頂きまして、これを最も経済的に、つまり制度改革上最も望ましいと思われる使途に使われる場合に漁業権証券が最も有利に資金化する、最も確実に資金化するという経済的な面でこの裏打ちをして参りたいと思つております。従いまして、今認められております考え方は、買上償還というもので相当大きく賄われるわけでございますが、買上償還をいたします場合に、單なる消費面ではなしに、生産部面の共同化とか或いは共同施設という面で改革の筋に副つた資金化の要望がございます場合には、それを優元的に買上げるような方法を具体的に考えて参りたい。勿論これは証券の一般性という問題もございますから、この買上げの実際の問題には途中に幾つかの段階があつて、そこに行政指導に伴つて買上償還ということが行われると思いますが、そういう形でやつて参りたいと思います。これは組合運動によりまして個々に分散して消費面に使つてしまうということでは、折角補償をもらつた意味がないではないかということで組合運動を中心にしまして、この分散の防止、或いは消費面に無駄に使われることの排除をして参りたいと思つております。又この問題を調節いたしまするために、国会方面からも御意見がありまして、地方ごとに資金化のための協議会というものを作つて参りたいと思つております。その協議会にはそれぞれ、勿論漁民の代表も入り、金融関係のかたも入り、或いは行政官庁の責任者も入りまして、この資金化をして行く場合の、どういうふうに資金化をして行くか、その資金化の内容の査定と申しますか、そういうような協議芸を各府県に作つて頂きまして、そこのルートを通して本当に必要な方面に適時に資金化が行われて行くような方法を考えたいというように思つております。
  30. 小林政夫

    ○小林政夫君 どうもまだ抽象的で、この協議会の制度のプランを承わつたわけでありますが、現在不振な漁業界であり、非常に借財の多い漁業界であります。そうして資材販売業者、漁船製造業者等、いろいろこの漁業権証券の交付を手ぐすね引いて待つているわけであります。証券が出たら押えてやろうということはみんな考えておるわけであります。そうすると、法的には分散を防ぐ途がないということであると、これは本人はそういう意思でなくても、他の債権者竹債権確保の措置によつて止むを得ず分散をするというような虞れが非常にあるのです。私も今度九州な廻つて見て、各県の事情を協同組合長等によく聞いて見ましたが、絶対分散しないようにやりますという、言葉だけは非常に力強く分散しないようにやると、決意もしているということであつたが、相当むずかしい問題だと思うのです。もう少しはつきりした具体的な周到な計画をお立てになろ必要があるのじやないか。
  31. 松任谷健太郎

    説明員松任谷健太郎君) 只今の問題につきましては、御心配の点が各地方から出ておるわけでございますが、水産庁といたしましては、前国会にいろいろの御意見の御要望の線に沿いまして、実は最近通牒を出しましたのでございます。只今久宗連絡官から申上げましたような、協議会のような形で各県で資金化の効率的な活用をするための運営その他のことを中心にしてやりますのと併せまして、農林中央金庫に対しましては、漁業権証券が制度改革の裏打ちになるような資金化の方法を講ずる意味合いにおきまして、協同組合と農林中央金庫との関係におきまして従来の負債関係等にこれが充当されるというようなことにのみ使われるというようなことでは大変でございますので、そういつた点が特にないようにというようなことで、これは農林中央金庫の理事長とも話合いを進めまして、そういつたような通牒を出しまして、農林中央金庫のほうも一緒にそれを徹底させるというような処置をとつて頂くことになつたわけであります。又一方各地方銀行等に対しましては、大蔵省の銀行局長ともお話合いをしまして、この証券の分散防止なり、法律的な資金化のために青田売り等の弊害が生ずるようなことのないように特別に銀行方面にも注意を喚起してやつて行くというような意味合いの共同通牒を出したような次第であります。更に又民間の、と申しまするか、漁業団体の側におきまして、証券の分散防止と法律的な資金化の線に沿いまして、いろいろと自立的に方策を研究し、講じつつあるようでありまして、役所の側といたしましても、そういつた民間の動きに対しまして全面的にバツクいたして、この資金化の問題を支障なく運んで参りたいというふうに考えているわけであります。
  32. 小林政夫

    ○小林政夫君 今の筋の通つた借財は問題ないと思うのですが、網屋であるとか、或いは船の何であるとかというような個人の高利貸というふうな面からの借財が零細漁民ほど多い。そういうことについては、例えば債権者集会だとか、債権者ともよく懇談をするというようなことも必要ではないか。そういうことについて十分、ただ筋の通つた中金だとか、或いは地方銀行だという借財よりは、そつちのほうが問題だろうと思う。そういう点を十分御注意願いたいと思います。
  33. 油井堅太郎

    ○油井堅太郎君 漁業制度改革関係法令集というのを配られたのですが、これによつて先ほどの説明の点もよくわかるのですけれども、全面的に漁場の整理という根本問題について、要するに今までの漁業権は消滅させて、政府はその消滅に対する補償金を交付すると、こういう建前なんですね。そうすると、消滅と補償金の関連がいわゆる讓渡でなくして、損害補償であるというふうに我々は先だつて来考えていたわけなんです。そうすれば所得税法の第六條の第七号で、損害賠償によつて所得する者に対しては免税という規定があるのです。その点については大蔵省当局と、このいわゆる趣旨との関連においてよく打合せをなさつたのですか。その点はどうしても納得してもらえないのですか。
  34. 久宗高

    説明員久宗高君) 当初大蔵省にこの問題を交渉に参りましたときに、我我これを損失補償であるという点を非常に主張して参つたのであります。合法的な手段によつてやるわけでありますので損失補償である。ただその場合におきまして、所得税法におきまして今引用されました條文の解釈において、損失補償の問題が考えられると思うのでありますが、ただ法人税法におきましては、一切の財産がすでに正当に評価されているということを建前といたしまして、そうして計算上のプラス、マイナスが自動的に出るようになつておりますので、その場合にいわゆる財産権であるというふうに規定しました場合に、帳簿上それが載つていないというような場合に、そこに補償金が参りました場合に、これは非常に大きな差額が自動的に出て参る。これの処理が法人税の場合には付きませんので、今の讓渡である、讓渡でないという問題の議論では処理できない問題がそこにあると思うのです。この点は議論になつているのであります。一応その点からやはり再評価という形で考えなければ処理できないのではないかと一応事務当局としては考えられるわけであります。
  35. 油井堅太郎

    ○油井堅太郎君 そうしますと、それは法人と法人でないいわゆる個人との区別であつて、法人の場合はあなたがたは仕方がないと、こういうふうに解釈されるのですか。個人の場合には原則的に私が言つたように損害賠償として非課税にするものであるというふうに考えられるのですか。そこの点をはつきりして頂きたい。
  36. 久宗高

    説明員久宗高君) 今の損失補償というふうに考えました場合、損失の内容は何であるかという問題が出ると思います。そこでそういうような内容的な考慮からこれを処理して行くことが一つはできると思いますが、ただ今の法人税法と所得税法の関係から仮に損失補償という問題を貰いて行つても、今度のような場合、つまり漁業会が大部分の漁業権を持つてつて、而も大部分のものが帳簿においては財産権としての処理をしていないという事実がございましたので、それを深く追及いたしませんでした。
  37. 大矢半次郎

    ○大矢半次郎君 この免許料、許可料とありますが、両方の区分はどういうものでございますか。
  38. 久宗高

    説明員久宗高君) 先ほどの御説明で落したのでありますが、免許料と言いますのは、漁業権に関するものについては免許料という言葉を使つております。許可漁業に対する分、これは許可料というふうに言つております。本質は同じでございます。
  39. 大矢半次郎

    ○大矢半次郎君 そうしますと漁業権証券はこの漁業権の消滅の対価として出すのでありまして、それが大体百七十八億出して、これの償還財源として免許料、許可料を取る、こういうことになつておるわけですが、許可料、免許料の総額は相半ばするようになつておる。従つて漁業権証券で與える補償の約半分を、従来の漁業権関係者のほうから将来免許料を徴収する、こういうふうに考えでよいのですか。
  40. 久宗高

    説明員久宗高君) 実はここにDとして免許料、許可料徴収計画というのを一応の数字として出してあるのでございますが、これは今度の予算の関係ちよつと至急まとめなければならなかつたので一応整理いたしまして出したわけでございますが、この点につきましては、まだ大蔵省と今後の免許料をどういう形で取るかという点について意見がまだ一致していないのでございます。水産庁といたしましては、このDのような考え方をとりたいと考えておりますし、一応大蔵省の事務当局ではEのような考え方をしておられるのであります。この数字は、大蔵省のほうの考え方としては漁業権証券の内容を前に考えておりましたような、相当長期の元利均等償還の形で出さないで、五年五分五厘の備蓄証券として出しておる、而も買上償還というものをできるだけ織込んで資金化の問題を考えようということなんでありますが、ただこれと見合う免許料収入のほうは、前の考え方と同じように長期の元利均等の償還方式によつて出して行つたものを賄うような形で大体パーになるような年々の免許料を徴収して行きたい、差額においてそれが見合うようにして行きたいというような考え方で考えられているのであります。併し水産庁としてはこのPのような考え方をいたしまして、補償額が百八十億見当になると思うのでありますが、これが五年の五分五厘ということで参りますと、これに約五十億の利子が考えられるわけでございます。それから全体を補償の元金と利子分と考えました場合に、二百三十億というものになりますので、これを二十五年に分けて免許料で返して行くわけであります。而も当初の五年間くらいは、現在の漁業経営の実態から見ますと、非常にズレが明確に出ておりますので、これをいきなり均等に掛けて行くというような負担能力はちよつとないと考えますので、五年くらいは漸増的に上げて参りまして、その後は、六年くらいは、つまり制度改革の効果が明確に現われるような段階になりましてから、大体均等にとつてつて、二十五年間で総額をお納め頂くというふうに考えております。この違いがあるわけでございますが、この資料の中三枚目の所を見て頂きますと、Dと書きました書類の三枚目の所に、つまり六年目からの免許料の大体の見通しが書いてございます。これによりますと、定置区画、共同漁業権関係許可漁業関係で、徴收の願の見通しと、それに見合う水揚金額が書いてあります。今のお尋ねの許可漁業漁業権漁業の額がほぼ半分になるというようなお話でございましたけれども、これは許可漁業の場合に、漁業権漁業から許可漁業に移つたものも含まれますし、それから漁業権漁業と直接関連のない許可漁業も許可料の対象になつて参ります。これは沿岸漁場の開放ということによつて、新らしい漁場利用関係がそこに出て参りますので、私どもといたしましては、全体の漁業権漁業においても、許可漁業においても、それを負担して行く必要があるであろう。この場合に受益負担という考え方だけではなしに、やはり許可漁業における、非常に許可が特定いたします場合の特権料的な性格の問題も織込んで考えて行かなければならんと思います。ただこの点は、従来一番最初の、完全に割切つた特権料というものの考え方と、補償の枠が付きましてから以後の考え方におきましては、若干のそこにズレがあるように考えられます。
  41. 大矢半次郎

    ○大矢半次郎君 今の御説明で半分わかつて半分わからないのでありますが、立法の初めにおいては、補償金との関連もそう持たせないで免許料、許可料を考えて行くと、併し最終的に司令部との関係において一定の枠をはめられて両者関連するようになつたと、こういうお話でありました。そうすると例えば遠洋漁業許可料なんかは、漁業権のほうと、従来全然関係のないもののほうに入つて来たのだからして、どうも免許料、許可料の性質というのは甚だわかりにくく、幾ら説明を聞いてもわかりにくいようであります。
  42. 久宗高

    説明員久宗高君) 今の許可料の中で、いわゆる沿岸漁業の今の許可制度がございますので、沿岸漁業の許可料の関係と、遠洋関係を分けて御説明すべきだつたのでありますが、それを落しましたので、もう一回申上げますと、沿岸漁業関係では、漁業権制度の解放によりまして、全く新らしく沿岸漁場利用関係を組立て直しますので、その関係免許料、許可料で賄つて行く。従つて沿岸漁業における許可漁業においても、その許可の独占性に従つて割り振りが行くのであります。ただ遠洋関係につきましては、この漁業権の補償額とは一応これは全然切離された問題でございます。それば純然たる特権料として考えられると思います。これは沿岸におきまして、そういうような漁業権免許料、許可料という体制をとりました場合の魚価の、魚の価格の体系の問題もございますし、それから遠洋漁業関係におきましては、相当魚価がはつきりきまるような関係になつておりますので、一応独占性というのは非常に明確に現われておるわけでございます。そういう意味におきまして、ここにおきましては特権料というものがむしろ主体でございます。ただその場合に免許料、許可料というものとの関連がございますので、これの補償額、沿岸でどの程度の許可料をとるかということの意味合いで遠洋を見ておりますので、法律におきましても或る関連性を以て規定しております。
  43. 小串清一

    ○委員長(小串清一君) 午前中の審議はこの程度で休憩に入ります。午後は二時から開会をいたします。午後には理財局と主税局から出席されまして、漁業権に関する課税の問題と、それから出張中問題となつた酒税関係に関しても御質疑を願うことにいたします。ではこれを以て休憩いたします。    午後零時四十六分休憩    —————・—————    午後二時三十四分開会
  44. 清澤俊英

    ○理事(清澤俊英君) それでは午前に引続きまして審議を続行いたします。  先ず第一番に漁業権の補償金の課税問題について御質疑を願いまして、時間がありましたら先般の各地の視察状況の御報告をお願いすることにいたしたいと思います。質問ありませんか。
  45. 松永義雄

    ○松永義雄君 これは恐らく他の委員からも御質問があることと存じますが、このたび調査に参りました際に、漁業に関する関係者から強く要望せられたことは、結論から申しますと税金をできるだけ軽減して頂きたいという強い希望があつたのであります。その趣旨はもう大蔵省のかたにはすぐぴんと来られると思うのでありますが、要するに漁業というものは、その言葉通り技術商売で、獲れるときもあれば獲れないときもある。必ず田圃のように耕作して收穫があるものとは違つて、魚の場合にはもう殆んど漁獲がないといつたときもあり、非常に気まぐれな仕事であるのでありますから、それに対する課税というものも考えて頂かなければならないと思います。即ち獲れたときは獲れないきとの用意をして、あらかじめ堅実なる漁業経営を成り立たせて行かなければならん。従つて獲れたときに獲れたからといつて、それだけの所得があるからといつて、どんどん税金を徴收されたんでは、それでは獲れなくなつたときになかなかその辻棲を合わすことができない。何とかそれを何かの方法によつて軽くして頂けないかというふうな強い要望もあつたのであります。一つ主税局の御意見を伺いたいと思います。
  46. 平田敬一郎

    説明員(平田敬一郎君) 漁業権の補償に対する課税の問題につきましては、前の国会で御審議を煩わしまして、継続審議になつておるわけでございますが、この原案の作成に当りましては、今お話のような点も実はでき得る限り考えまして、こういう特別な措置を講じない場合におきまして、まあ著しい軽減と申しますか、非常な特例を認めたということになつているように、私どもとしましては考えられるような次第でございまして、この程度ます行きますならば、お話のような趣旨を相当実現し得るのではないか、これ以上行きますということはどうもその他のいろいろな讓渡所得の課税問題等との関係がありまして、著しく行き過ぎになりはしないかということが考えられる次第でございまして、全くお話のような趣旨からしまして、この法案ができ上つているということを御了承願いたいと存ずる次第であります。なおやはり漁業権者の立場から申しますと、更に一歩進んで零にするという御意見もこれは確かにお気持としては尤もだと私は思うのでございますが、これはやはり一般の場合との比較その他のことを考えますと、この法律は私は相当思い切つたそういう趣旨からする特例を設けた法律であつて、これ以上に行きますということは、根こそぎあらるゆほかの考慮を捨ててしまうということになつてしまいまして、そこまで行きますのは少し如何であろうと実は考えられる次第であります。重ねて申上げまするが、漁業権者の実情とそれから漁業法の特殊性に顧みまして、税法といたしましては異例の特例を認めるということに実は私どもとしましては考えておりますことを御了承願いたいと考えるわけであります。
  47. 松永義雄

    ○松永義雄君 少し私の質問の仕方が惡かつたので、私の希望するような御答弁に参らなかつたのですが、私の申上げるのは、ここに今問題になつている法案についてでなく、将来一般漁業に関する所得について何とか目こぼし下さるような方法をとつて頂くようにお考えになるか、こういうことです。
  48. 平田敬一郎

    説明員(平田敬一郎君) 一般漁業に対する課税の問題につきましてお話の点、これもたびたびそういうお話を承わつておるのでありまして、現在の税法も非常に面倒ですが、例の五カ年間にならして課税するというような方法を採用いたしております。これは漁業が或る年は相当條件はいいが、或る年は非常に損を生ずる、非常に変動が甚だしい、而も漁業はほかの工業等と違いまして、資本が少くて自家労力に依存している部分が相当多い、こういつたような点も併せ考えまして現在の税法ができておるのでありますが、ただこれは非常に方法が複雑であるのと、必ずしも実情に完全に応じされないのじやないかという議論も確かにあるようでございます。変動所得一般の課税方法をどうするかといつたようなことにつきしまても、実施の結果に顧みまして再検討をして見たいという気持で現在おりまして、お話のような点もよく考えまして、漁業所得について妥当な課税ができますように、将来の問題としましては一層考えて見たいと思います。  なお所得の実際の査定と申しますか、把握、これが又なかなか漁業についてはむずかしい問題があるかと思います。記録等がはつきりしない場合におきまして、勢い認定で行かざるを得ないといつたような場合もあるかと思いますが、そういう場合につきましては、前々いつも申上げておりますように、やはり実態をよく調べた上で、調べて本当に自信のあるところで更正決定などもやつて行く、その間公正な意見はよく聞きまして妥当な結論を得るように努める、制度と実際の査定と両方うまくやらなければ漁業所得の課税の問題は片付かないのじやないかと思いますが、そういう点につきまして一層研究いたしまして、実情に即応するような課税が行われるように将来とも勉強して見たいと考えておるわけであります。
  49. 松永義雄

    ○松永義雄君 ちよつとほかの問題に移つてよろしうございますか。
  50. 清澤俊英

    ○理事(清澤俊英君) ほかというのは何ですか。
  51. 松永義雄

    ○松永義雄君 漁業権以外で、調査事項になつている点です。
  52. 清澤俊英

    ○理事(清澤俊英君) 一つ漁業権だけにして、あとにやつて下さいませんか。
  53. 大矢半次郎

    ○大矢半次郎君 私法律の解釈をちよつと伺いたいのでありますが、所得税法においては個人が損害賠償として受取つたものは所得税の対象にならないように規定してある。漁業権は強制的に消滅させられる、その対価として漁業権証券が與えられる、従つてこれはいわば損害賠償的の性質を有するものである、然るにこれを讓渡所得ありと見るのは無理だという、こういう見解もあるようでありますが、その点如何でしよう。
  54. 平田敬一郎

    説明員(平田敬一郎君) そういう問題につきましてもよく検討したのでございますが、やはりの実質を考えますと、一種の強制讓渡と申しますか、そういうふうに見たほうがより実情と申しますか、実態に即応するのではないかという考え方をとりまして、純然たる火災等で燒けましたものに対する損害賠償といつたようなものと違つて見たほうが実質的に妥当ではないかと、こういう考え方をとりましてこういう法律に実はいたした次第であります。
  55. 大矢半次郎

    ○大矢半次郎君 漁業権がそのまま他に移転する場合には、讓渡所得として見るのは適当と思われますけれども、午前中に水産庁当局のお話を伺つて漁業権が消滅して、そうして今後漁業免許料、許可料として徴収するが、性質はよほど違つて来る、内容においても違つて来るのでありまして、従つてそういう場合に讓渡があると見て課税しなければならんという解釈をとるのはやや無理ではなかろうかと思います。租税特別措置法の一部を改正する法律のこの案におきましても、これらの権利の消滅を当該資産の讓渡とみなして云々というのは、讓渡でないからして、課税を軽減する場合においてはこれを讓渡とみなすのを適当とすると、こういうふうに解釈すべきであつて、この規定を待つて初めていわゆる看做讓渡になる。そうでなければ讓渡にはならん。個人の所得税法上これを何に見るかというのはもつと広い見地で検討する必要があるのではなかろうかと、こういうふうな気がしますが、如何でしようか。
  56. 平田敬一郎

    説明員(平田敬一郎君) 今の点は私どもも最初から相当問題にしまして検討した点でございますが、純粋の法律論と申しますか、漁業法の法的構成から申しますと、一旦消滅せしめまして新たに免許いたしまして新らしい漁業権と申しますか、特殊の権利を設定するといつたように法律の形式といたしましてはなつておりますので、やはり法文といたしましては、そういう場合におきましては実質に着眼いたしまして讓渡があつたものと見て所得税法を適用すると、こういうふうな法律構成にしたほうが妥当であるという考の下に、こういつた條文にいたしたのでございます。ただそれは形式論とそれから実態と両面から併せ考えまして、私がさつき申上げたのは実態論に着眼して申上げた次第でありまして、立法する場合においては実態に着眼いたしまして即応するようなそれぞれ課税をするのが妥当ではないか、それに応じましで法律構成は、又その法律関係に適応するような税法の法律構成にするというのが妥当ではないかというので、かような條文にいたしたものと考えております。
  57. 大矢半次郎

    ○大矢半次郎君 補償金に対して、法人、個人を通じて課税上如何なる扱いをするかという場合には、お説のようなことも有力な一つ考え方かと存じますが、現行法の下においてなれば個人に対してはどういう扱いをするのが至当であるか、それを伺いたい。
  58. 平田敬一郎

    説明員(平田敬一郎君) 御承知通り法人の場合におきましては、これは全部讓渡所得云々の規定でなくて、一切の収入が収入になりますので、問題なくそれは課税の対象になるのでございます。これに対しまして個人の場合は、お話のように資産を讓渡した場合、相続の場合を含みまして讓渡した場合に、初めて讓渡所得を計算しまして課税するということになつているのであります。従いまして何ら立法しない場合におきまして、果して所得税法だけで讓渡所得になるかならないかということにつきましては、解釈論としましては若干の疑義はあると思いますが、ただ私どもは所得税法の解釈に当りましても、でき得る限り実態に即して解釈するのが妥当ではないかと考えているのでありまして、まあ今決定的意見を、立法しない場合にどうなるかということを申上げる必要もないかと思いますので、実質に着眼しますとやはり所得として課税すべきものではないか、ただお話の通り形式論としまして疑義が若干あることは否定し難いのでございます。法文といたしましてはさようにはつきりいたしまして、その関係を明瞭にしたほうがいいのじやないかという考えを持つております。そういう趣旨も入れまして、これはさような規定の仕方に相成つたものと考えているのであります。
  59. 大矢半次郎

    ○大矢半次郎君 私はくどく再三お聞きしたのは、法文は讓渡所得にならんのを讓渡所得とみなしておると言つておりながら、提案理由の説明には如何にも現行法の下において讓渡所得として課税しなければならん、そうすると無理があるからしてこういう評価の方法を用いるのだと、こういう説明になつてつて、どうもその点甚だ矛盾があるような気がいたしてお尋ねしておる次第であります。
  60. 平田敬一郎

    説明員(平田敬一郎君) それは提案理由の説明は趣旨本位に説明を書いたのではないかと思うのでございます。細かく法律的にいろいろ議論しますと確かに大矢さんの御疑問の点もございますので、それにつきましては、私が申しましたように大分ややこしい御説明を必要とする事項であることは今申上げた通りでございます。提案理由といたしましては、常識的と申しますか、実態に応じまして極くわかり易く書いているということが御了承願いたいと思います。
  61. 油井堅太郎

    ○油井堅太郎君 或いは重複するかも知れませんが、一応局長に伺つておきたいのですが、この新旧の漁業権の性質について我々水産庁のほうからいろいろ問い質してみ、新漁業制度改革に関するいろいろの意見書なんかも見ますと、一体新らしい法律を作る趣旨というのが、今までの漁業権というものを政府で以て一律に消滅させてしまう。それでそれに対して補償金を、消滅させる代りに政府が交付するというのが根本論なんです。そうすると消滅させるということになれば、やはりこれは実際の漁業権者から見るならば、今まで考えたこともないものを政府の強圧によつてそういうふうにさせられるので、いわゆる損害賠償的の性質のものじやないかと、これはもう常識的にそう考えられます。それについていわゆる水産庁と大蔵省側の今までのいきさつを聞いてみますと、大蔵省側の強い主張に対して、又水産庁でも相当の主張を持つておる。それがこの前の国会では結論に達しないでそのままになつてしまつた。それは又参議院においても、我々がこの点についてどうも最終の日まで結論に達しなかつたと同様な点であつたと思うのです。そういう関係から見まして、局長としてはやはりこの消滅という点に重点を置いて、これは讓渡でないというふうにはお考えになれないですか。政府が、今同じ政府ですね、大蔵省にしろ水産庁にしろ二つの意見が同じ政府部内にあるというのも、我々にとつては変なものじやないかと思うのですが、これは意見を統一させる必要があると思うのと、我々から考えますと漁業権者に対して今までの漁業権を消滅させた以上は、これは損害賠償的な性質のものじやないかと、かように考えるのです。その理由といたしましては、もう一つの点から見ましても、この消滅させられた漁業権者と、それから新たに政府が漁業権を認めるといういわゆる新らしい漁業権というものの関連というものが多少、多少どころじやない根本的に違つているのです。今までの漁業権者に対してそつくりと又新らしく漁業権を許可とか免許とかいうようなことでやるのでなくて、全然対象が変つているというふうなことが明日になつたんです。そういう点から見ると、これは讓渡でないというふうに我々は考えられるわけです。この点について局長のお点えを一応お聞かせ願いたいと思います。
  62. 平田敬一郎

    説明員(平田敬一郎君) 最初に申上げますが、私の聞いているところによりますと、本案は農林省と最終的に打合せてできまして、政府としまして一致した意見としまして国会に提出しているということは御了承願いたいと思うのでございます。中途におきましていろいろ議論をし、話合いをいたしまして、農林省の意見を大分入れまして、実はこの案ができ上つているような次第でありまして、少くとも最後にまとまつたところにおきましては、本案につきまして見解の差はないものと私どもは了解をいたしております。それからもう一つの、今の新らしいところの漁業権と、新らしい免許制度関係でございますが、これにつきましては、確かにいろいろ意見があると思います。あると思いまするが、私どもは殊に立法に当りましては実態に即応していずれが妥当かということを判断しまして決定すべきものではないか。で法律形式はまあいろいろな形式を使う場合もありますが、それはそれといたしまして、実質如何なるものであるかということを土台に考えまして、それによりまして結果的に果して何が妥当であるか、それを考えて適当なる立法措置を考えて行くようにしたらどうか。従いまして先ほどもちよつと申上げたのでございますが、漁業法の規定は一旦消滅せしめまして新らしい漁業権を設定するという、こういう法律形式を漁業法といたしましてはとつております。従いまして立法に当りましては、消滅した場合におきましては、形式はやはり資産を讓渡したものと見て適用する。こういう税法のほうにおきましても、立法形式をとつたほうがいいのだという考え方をいたしておりますが、こういうようにみなして適用するということは、実態が讓渡と大体同じ性質のものである、むしろそのほうに見たほうが課税上より妥当な結果を得る、こういう判断の下にこういう法律作つたわけでございます。とんでもない似通いもしてないものを実はみなしているのではなく、むしろ実質はそれと同じように見たほうが妥当である、こういう考え方からいたしまして、かような法律構成をとつているのでございますので、私は殊に立法に当りましては法律構成よりも実質関係が果して前の法律と異なるか、それから今度の漁業権の消滅ということが一体どういうことであるかということで、常識的と申しますか、実態に応じまして判断しまして決定するというのがいい解決方法ではあるまいか。ただそういうふうにいたしまして課税するといたしますれば、実は相当な負担になりまして、到底漁業法改革の趣旨に即しない、又担税力の見地から言いましても、果して今まで一般原則通りに行つていいか、これも疑義がございますので、この法律相当大幅の特例を設けまして、再評価税だけの課税をする、まあこういうふうにしたようなわけでございます。法律の解釈的な面と立法論とは若干違いまして御議論、御判断を願つたらどうであろうか、かように考えたのでございます。殊に立法しない場合において解釈論としてどうなるかということになりますと、ややこれは規定の問題があり得るだろうということも先ほど皆さんに申上げた通りでございますが、私どもといたしましては、相当広汎に全国的に行われましたことでありますので、解釈上疑問がございますれば、法律上疑問のないように條文を作るということは安当であるという見解の下に、このような條文を作つた次第であります。
  63. 小林政夫

    ○小林政夫君 讓渡とみなすことが実質上妥当であるということでありますが、例えば農地の場合においては政府が買上げた。その土地は実在するわけで、又他の農業者に讓り渡すということで、物の売買ができるわけです。併し今度は新らしい漁業権を、今までの漁業権とは内容の異なる漁業権を設定し、必ずしもその漁業権を他の業者に一定の代価を以て讓り渡すことができない。免許料を政府に納めるということであるけれども、漁業権というものは、一つのものを金銭に評価して讓渡するというようなことは、将来においてはこの漁業改革を行なつた後においてはできないことであつて、みなされることが少し無理ではないのですか。そういう意味で言えば……。
  64. 平田敬一郎

    説明員(平田敬一郎君) これは一種の何といいますか、私はそういう理窟も確かに一つの理窟らしく聞えるのでございますが、例えば土地收用法などの場合、家屋が建つている土地を收用する。そういう際に家屋と土地とを一緒に強制買収いたしました後は家を壞してしまう。こういう場合も或いはあるのでございますが、壞すがどこかよそに持つてつて建てるのであるからやはり移転ではないかというような、そういう際に理窟を言うか言わんかということですが、そういう理窟を考えないでもいいのじやないか。やはりその土地の時価を評定いたしまして、その土地の分だけ家屋の分を含めまして補償する、こういう場合におきましては、これはやはり土地と家屋を一定の対価で讓渡した場合と同様に考えまして、課税関係を律したほうがより妥当ではないかと思うのでございます。漁業権の場合におきましても補償の仕方その他いろいろ問題がございますが、大体におきまして成るべくいつの時価をとるか、若干問題はございますけれども、強制讓渡のその一定の時期の時価と申しますか、漁業権の価格を評価いたしまして、それを補償するという建前になつておりますので、実質関係を考えますとお話のようないろいろな理窟もございますが、私どもはむしろすんなりと一種の強制讓渡に近いものだと、こういうふうに解釈いたしまして、同じ立法課税関係に律せしめることが結果的に見まして妥当ではあるまいか、こういう考えを現在持つております。併しお話の通り仮に立法がないといたしますと、お話のような議論も相当私は出て来る余地があると思います。確かにあり得るのではないか、それは決定的に立法しない場合におきましても、課税した場合にすぐ駄目になるとはそうも考えません。確かに議論といたしましてはあり得る議論である。併し立法いたします場合におきましては、それよりも全体の姿、全体の実情、実態をよく把握いたしまして、それに応ずる課税関係にする。そうしまして特例措置として認めるべきものは認める。そういう行き方のほうがより妥当な結論を得るのではないか、こういう考えを持つて立法しておることを御了承願いたいと思います。
  65. 油井堅太郎

    ○油井堅太郎君 今の局長のお話のうち、この漁業権の算定基準をどこにおくかというお話があつたのです。我々もこの算定規準ということを考えて見ますと、例えば二十六年、つまり現在の九月とかそれから二十七年一月にかけて漁業権の補償としての漁業証券を渡されるという点から見るというと、この渡すほうは相当物価が高くなつて現在が基準になつて、而も渡すべきいわゆる消滅させた漁業権の算定は二十二年の七月一日から二十三年六月三十日ということになつている。この当時の物価指数と現在とは大分違うのですね。若し現在の物価指数を基準として、つまり現在の漁業権を算定して若し漁業権の補償をするとすれば、恐らくこれは百七十八億というのは三倍近い五百億見当になるのじやないかと思うのですね。それならば今局長のお話のようにまあ解釈的に見てこれは讓渡とみなされると言われても或いは漁業家としては止むを得ないと思うのですが、そうでなしに、こういう一方的といつたようなことで消滅させた時期が二十三年七月或いは二十三年六月三十日のその間においたとすれば、飽くまでこれは損害補償というような建前でお出しになるのじやないかという根本方針が我々に解釈できるのですが、これについては局長はどうお考えになりますか。
  66. 平田敬一郎

    説明員(平田敬一郎君) 漁業権法律的に消滅せしめると申しますか、そういう場合におきまして補償する場合におきましには、これはやはり相当な対価で措置するというのが私は原則になつていると実は考えるのでございますが、取り方はいずれの対価をとるか、その時価が今後永久的に続くものであるとするならば、或いはそのときの時価をとるという有力な考え方も成り立つであろうと思いますが、一時に、一遍に何と言いますか措置いたしまして、それによつて補償するというのでございますから、これはなかなかそういう価格も必ずしも妥当と言えない。そこで三カ年平均か何かの価格によりまして実収高を元にして評価するのが、それが結局一番こういう措置をやるにつきまして妥当な評価ということで決定されたものだろうと考えるのであります。没収といつたようなことはちよつとこれは今の憲法の趣旨から照しますと適当ではないので、やはりあの評価自体としましては、そういう措置をやるように評価といたしましてはやはり私有財産権と申しますか、漁業権につきまして特別の措置をするようにして妥当な補償額をきめる、こういう考え方の下に私は決定されていると思うのでございます。それが果して妥当か、低いか高いか、これは又いろいろ意見があろうかと思いますけれども、それはそれといたしまして、やはり一定の手続を経て決定されておりますので、そのことまで蒸返しましてどうするということは如何かと思うのであります。さように私どもは考えておる次第でございます。
  67. 油井堅太郎

    ○油井堅太郎君 どうもこれは我々はどつちに加担するというわけではないのですが、常識的に見て大分消滅させたとき分評価基準の時代と今日は違つておる。そうである以上は、精神的にこれは確かに損害補償の性質のものであるという解釈から見れば、これは妥当と思うのですが、讓渡と見て成るべくその讓渡の価格を低目に見て、それに対する課税を安くするという親心であるというふうに解釈されると、漁業家としては大変有難迷惑ではないかと思うのです。税金を若し本当に讓渡として高く取られるなら、やはり高い価格で以て評価してもらうのが、これは妥当だと思うのですが、それについてはどうお考えになりますか。
  68. 平田敬一郎

    説明員(平田敬一郎君) 評価のよし悪しにつきましては、私どもは余り立入つて意見を申上げることは差控えたいと思います。それはやはり漁業法の今回の改正の趣旨に従いまして適当な価格で補償されております。法律論といたしましては結局消滅せしめるものにつきまして、その時としまして社会的に妥当な対価を払いまして新らしい漁業権に乗換えてもらう。こういう趣旨であろうと私は法律を考えるのであります。課税におきまして低目にきめて、課税が低くなればそれでいいじやないかということを実はさつき申上げたのではございません。まるつきり課税しますと相当な課税額になることは御承知通りでございます。これは一にかかりまして全国的に一律に強制的に漁業権の強制讓渡と申しますか、言葉の上では消滅して新らしいものを作ると申しますか、そういう措置をとつておりますけれども、又評価の点におきましてもいろいろ問題がありますことも、私ども来していずれが妥当であるかということにつきまして断定的の意見は申上げがたいといたしましても、いろいろ意見がありますことも承知しておりますので、相当国家的な必要から大掛りの強制措置でございますので、税法の特例を非常に破りまして、ほんの最後の再評価税だけにとどめる。こういう措置をいたしておるわけでございますが、その辺は漁業法改正の趣旨に先ほど申上げましたようにできるだけ即応するような課税関係に努めたい。こういうことを重ねで私から申上げて御参考にいたしたいのでございます。これでもなおひどいではないかという点がおありになるだろうと思いますが、その点は先ほど松永委員にお答えいたしました通りやはり零にするということは、幾らそういう趣旨を考えましても行き過ぎじやないかということを考えまして、最低の線で実はこの法律案を作つたのであります。私どもといたしましては、そういう気持であるということを御参考までに附加えておきます。
  69. 油井堅太郎

    ○油井堅太郎君 平田局長の思いやりのある温情のあるところはよくわかるのですけれども、併し只今のお話のうちにも、漁業権の評価基準というものに対しては、大蔵省はいつ頃きめるかということはタツチされていないという話があるのですが、そうだとすれば、やはりそのほうの基準をきめた水産庁というものの意見も相当よく呑み込んでおやりになることが必要だと思います。なぜなら水産庁では、大蔵省であとから税金を取るなどということは夢にも考えなかつたという話の下に、こういうふうな評価基準というものをきめた。それがあとから税金を取られるということを聞いて、実はびつくりしたのだという話もあつたのですが、そうである以上は、やはり同じ政府部内ですから、又これに対しては大蔵当局のほうの解釈のしようで、課税をしなくても、損害賠償という、いわゆる所得税法の第六條の第七項ですね、こういうもので以て解釈も付くのじやないかと思うのです。そうすれば水産庁側での最初の意見通り、評価の基準も水産庁にやらして、而もその補償に対しては税金はかからないのであるという解釈を、政府の解釈として、これは無税にするのが当然じやないかと、我々にそう考えるのです。重ねて一つ局長の御答弁を願います。
  70. 平田敬一郎

    説明員(平田敬一郎君) 水産庁との関係は先ほど申上げた通りでありまして、この案を水産庁といろいろ打合せました結果、全面的に意見の一致を見まして国会に提案いたしておるわけでございます。閣議におきましても、農林大臣の御賛成を得まして提案いたしておりますので、最初考え方に若干見解の違いがあつたとか、或いはそれはどこがどうだつたとか、そういうことも私は過去のいきさつに過ぎないと思います。最終的には本案によることにつきまして農林省とも意見の一致を見まして提案をいたしております。重ねて申上げて御参考にいたしたいと存じます。
  71. 小林政夫

    ○小林政夫君 今油井委員からもお話があつたのでありますが、全免にするのは他との振合い上如何かと思うということなんですが、どういう点が支障があるのか。ここまで大蔵当局において考えられたということも、今油井委員のお話の通り相当漁業制度改革についての思いやりを持つて、成るべく軽減をしようという趣旨において考えられたので、非常にそういう点においては敬意を表しておるのでありますが、もう一歩進めて、而も現在から考えれば百七十八億という金額も非常に漁業家にとつては不満な金額であります。而も現在の漁業界から言うならば、こういつたもの以外に相当の財政資金を見込まなければ、この漁業制度改革の本来の趣旨も貫かれないというときに、十億何がし、而も一応国家の収入としては予定されておらない収入を得ることになるわけなのであります。まあ大蔵大臣は自然増収だということを言われましたけれども、いろいろな経緯から考えますれば、全然財政収入としては当初予定されておらなかつたものなんです。それを漁業制度改革について非常に好意を持ち、是非やらさなきやならんという大蔵当局の考えであるならば、十億六千万円という金もこの際ゼロにするということがなぜできないか。他との振合い上ということも、法理論的に考えてもいろいろ解釈はつくので、それをゼロにするという気持でおれば幾らでも法規の適用、或いはその他について考えられると思うのですが、そういう点について他との振合い上云々と言われる点がよく呑み込めないのですが……。
  72. 平田敬一郎

    説明員(平田敬一郎君) 今のお話の法律の解釈論といたしまして、当然かからないのだということは、これは私ども必ずしもそういうふうには考えていないのでございまして、理論は確かにあり得ることだと考えますが、法人の場合でも問題なく措置いたしませんと、全額補償を受けました場合におきまして、三五%の法人税がかかつて来る。これは疑問の余地がありません。個人の場合には、先ほど大矢委員からお話がありましたように、そういう見解もあり得るだろうと、併しそれが正しいかということになりますと、私さつき申しましたように、当局としては必ずしも正しいと考えていないということを申上げたいのであります。まあそういう法律論は別といたしまして、実質の問題として考えますと、毎々申上げておりまするように、やはり一定の漁業権を今まで持つてつた人が、その漁業権を以ちまして収益を挙げていた。年々その収益が所得になりまして、所得税がかかつてつたわけでございます。今度そのまま継続されるかたもおりますけれども、一応縁が切れろ人のことを考えますと、この機会に一定の、多い人は何十万という補償をもらう人がおられるようでありますが、そういう金をもらいまして漁業権関係が切れてしまう、こういうことになるわけでございますが、そういう際におきましては、やはり今まで漁業法に基いて認められておりました漁業権、それを先ほどから申上げましたように、実質は他に讓つたのとほぼ同じ関係になるのではないか。それを考えますと、やはり漁業権を取得した価格に対しまして、相当高い価格で漁業権を讓渡できたと、こういう場合におきまして、讓渡所得の問題が出て来るわけでございますが、そういう税金を払つてもらうのは、どうもこれは当然ではあるまいか。問題は、ただその讓渡所得全体を課税するのは酷だという議論がありますが、そこまで行けば全体の問題でありまして、特にこの問題に関係はないと思うのであります。やはりそういう収入の課税関係から申しますといたし方ないと、ただそれにいたしましても、無條件に課税いたしますと、この前の財産税の評価をいたします際に、実はあれも何カ年かの平均によつておりまして、相当低い評価になつておるところが多い。従いまして、讓渡の差額が相当厖大に出て来まして、再評価税がありましても、六%のほかに、普通所得になる人が、人によりましては相当多い。そうでない人も勿論おりますが、そういう人も大分出て来るのであります。やはりこれに対しましても理窟を申上げますと、実は財産税の課税がそれだけ低かつたのだから、この際取戻されてもしようがないじやないかという、こういう議論も実はあるのであります。まあそういうところまで行きますことは、今度の漁業権改正の趣旨からいたしましてどうも妥当でない、やはり名目的な値上り所得に対しまして、最後のぎりぎりの線として課税いたしておりまするところの再評価税、この税だけはせめて納めてもらうことにいたしまして、あとの部分は全部課税の負担をなくしようと、こういうことにいたしたわけであります。そういうくらいのところでございますれば、いろいろ御不満のある人もおられるでしようが、先ずこの際といたしましてはいたし方ないのではないかと、かように考えておるわけでございます。なおあとに條文がございますが、土地收用法、強制収用をした場合におきましても、まあ漁業権につきましては、そういう措置をやるといたしますれば、同様の待遇をしたほうがいいだろうという條文を付加えて、同様な措置をとることにいたしておりますので、今までは実はこういうものにつきましても、理窟通り課税して参つていたのでございます。そういうものとの比較の点その他を考えますと、先ずこの辺くらいのところは納めて頂いたほうが妥当ではないか、こういう考え方で提案いたしておるわけでございます。
  73. 小林政夫

    ○小林政夫君 衆議院での速記録を見ますと、土地収用の場合は、大体収用される直前当時の時価を基準とされるような政府答弁であります。併しながら漁業権の場合はいろいろ準備の過程も経なければならんので、油井委員からもお話があつたように、昭和二十二年の七月一日から二十三年の六月三十日まで、こういう大分物価の、現在から言えば安いときを標準とせざるを得ないというふうなことになつておるが、そこに手心上大分違うのではないか、もらうほうの側においてもそういう点が私は違う点があると思います。いろいろ話すとこれは議論になりますから大体今の趣旨から御了解になつたと思いますが、法人の場合においては特別の措置をしなければ税金がむずかしいだろうということは、私も勿論承知しておりますが、これは別途又考えなければならん。平田局長の言われたような、一部のものについて多少考えなければならんというような面があるかも知れませんけれども、やはり全体的に考えてその大部分が成るべく再建、漁業制度改革のために役立つような状態にもなるので、総体的な考慮から特殊な取扱を別途にする、或る一部のものについて特殊な取扱はできないということであるならば、どうも全面的な措置を考えなければならんのではないかと私は考える。併し意見になりますからやめます。
  74. 大矢半次郎

    ○大矢半次郎君 漁業権相当部分は漁業会が持つておりますが、漁業会はもう大体仕事を今やつていないのです。ただ漁業権所有の主体としてあつて漁業証券も解散すれば清算されてしまうのではないかと思いますが、こういうふうに課税して徴収上支障なく行くものでありますかどうですか。漁業会のうちには相当資産内容の芳ばしくないものもあるのではなかろうかと思いますが、そこらの点はどういうふうにお考えになりますか。
  75. 平田敬一郎

    説明員(平田敬一郎君) お話の通り漁業会が持つておる分につきましては、この措置で補償金をもらいますと、あとその分割方法をきめまして、すぐ解散になるのが大部分のように承わつておりますが、何しろまとめて政府から金を払います関係もございますし、而してこの課税関係が比較的簡單でありますから、先ず徴収のほうもよほど不注意をしない限りにおきましては、そう問題はなかろうかと実は存じております。併しあと解散する関係もございますから、お話のような点はやはり留意いたしまして、税法通きりまつたものは実行できますように注意をして参りたいと思つております。
  76. 油井堅太郎

    ○油井堅太郎君 私はこの際一つ要求しておきたいのですが、さつき平田局長の話では、この件に関して農林省当局も納得したというような、納得した証拠には閣議で以てこれは決定したのだという話は、御尤もだと思うのです。併し農林当局として、いわゆる漁業権者の状態をよく把握して、こういうことで閣議で以て決定したのか。單なる政治工作のために、妥協のためにこういうふうな案にしたのか。そのいきさつを一応聞いておかないと、我々この審議に対して将来のためにもいささか疑念がある。そこで農林当局の最高首脳部たる農林大臣に一遍ここへ来てもらつて、その当時のいきさつを聞きたいと思いますので、さようお計らいを願いたいと思います。
  77. 小林政夫

    ○小林政夫君 理財局から見えておるようでありますが、この漁業権証券の償還五年間、それから利率は五分五厘というふうに伝えられておりますが、午前中に農林事務当局の話ではまだはつきり決定されておらないような話もありました。又先般大蔵大臣もまだはつきりきまつていないというふうなこともありました。ところが衆議院の議事録を見ると、五月二十二日の大蔵委員会では、酒井さんがはつきり決定したということを言つておられるわけですが、どうなつておるのか、伺いたいと思います。
  78. 田中弘一

    説明員(田中弘一君) 課長が病気で休んでおりますので、私が代つて参りました。漁業権証券の條件につきましては、大体五年、五分五厘という線で現在立案中でございまして、近いうちに省令を公布する、こういう予定にかつております。   —————————————
  79. 清澤俊英

    ○理事(清澤俊英君) それでは大体漁業権の問題では御質問もないようでありますから、出張中にいろいろ税金の問題で要望やいろいろなものがあつたでしようが、それを一つ御報告を兼ねて御質問願いたいと思います。
  80. 松永義雄

    ○松永義雄君 二点ばかりお伺いいたしたいのですが、これも本省のほうで御承知通り下部国税局、税務署と申しますか、将来における税法の改正についていろいろ研究せられておるようであります。かねがね我々として考えておるものと同様な考えを持ておる態勢もあるようでありますが、重ねて一点お伺いしたいのは、前置のくだくだしいことは避けまして、勤労所得税の控除につきまして、局長の御意見を一つ伺いたいと思います。
  81. 平田敬一郎

    説明員(平田敬一郎君) 税制につきましては少くとも所得税の軽減は成るべく早い議会にやりたい。これはもうすでに大蔵省としましても固い方針で進んでおります。その他の事項につきましては、新聞紙等にも出ておるようでございますが、できる限り実情に即応しまするように、妥当な改正をするようにいたしたいというので、目下具体案につきましてはいろいろ検討いたしております。今お話の勤労所得税の控除の問題でございますが、これは確かに御議論のような意見も出るのでございますが、そうしますと農民等の控除をどうするか、小営業者の勤労控除を認めるかどうか、こういうような問題もございまして、今俄かに結論的な意見を申上げることができないのは遺憾でございますが、よく一つ検討いたしまして、正しい結論が出るように努めて参りたい。どうも営業者なり農家の所得の把握が十分でないので、勤労者は十分だから控除を多くしろという議論が実際問題として大分ございます。この議論をやりますと、結局課税をいい加減にするということになりまして、なかなかむずかしいところになつて参るのであります。然らばといつて勤労所得はほかの所得に比べて担税力が同じかと申しますと、それはやはり一番、本人がなくなればすぐ所得が消滅するといつたような弱いものでございますので、勤労所得の控除をしなくちやならんということにおきましては、これはもう大体意見は一致しておるのでございますが、それらを余り多くしますと、先ほど私が申しましたような実際上の課税が十分に行かんから勤労所得だけを軽くするといつたようなことにならざるを得ない、そうなりますと、果して所得税の本旨に基いたことができるかどうかという問題もありまして、なかなかむずかしい点であろうと存じます。まあよく一つ負担の比較等をいたしまして、妥当な結論を得るように努めたいと考えております。今申しましたほかの所得が捕捉がうまく行かんから勤労所得は特別控除しろということにつきましては、どうも俄かにそういう考え方で問題を処理するわけには参らないのではないかという感じを持つておりますことを附加えておきたいと思う次第でございます。
  82. 松永義雄

    ○松永義雄君 もう一点、酒税法第二十五條第一項を改正して、同法第五十三條の密造酒類等の所持、讓渡し、讓受けの禁止の規定に違反した場合に、通告を受け、又は起訴されたときは酒類販売の営業を停止するように改めると、こういうような意見があつたのでありますが、問題は、違反した場合に販売の営業権まで取上げられ、営業を停止されるということは、商売から言うと死刑の宣告があつたようなことになつておりますが、罰金とか刑とか科せられるために、起訴される規定はこれは別としまして、営業までこれを停止させなければならんといつた理由が一体どこにあるかと我々は考えるのでありますが、若しそうした場合において科せられるときに、一体大蔵省としてはどういう御意見を持つておられるのですか、お聞きしておきたいと思います。
  83. 平田敬一郎

    説明員(平田敬一郎君) 今の点につきまして松永さんは御賛成の御意見なのかどうなのか。
  84. 松永義雄

    ○松永義雄君 いや、死刑の宣言だと言つたのであります。
  85. 平田敬一郎

    説明員(平田敬一郎君) そういう意見もありますが、現在まだやつておりませんし、やることにつきましてもよく一つ検討した上で結論を下すようにいたしたいと考えております。
  86. 森八三一

    ○森八三一君 調査に参りましたときに問題がたくさんありますが、主たる問題だけを御報告かたがた局長にお伺いしたいと思います。勤労控除の問題は、只今松永委員からもお話がありましたように、強い要望がございましたが、これは努めて社会政策的な見地からも考慮しで頂きたいと思います。同時に保險料の控除の問題でございますが、現在は二千円ということになつておりますが、これもやはり同様な見地から一万円程度に引上げるべきではないかと、安くなるほうは不賛成はございませんので、一般的なことでございますが、保險料の問題は、特にその他の要望事項と同様に考うべきではないので、特に考慮する余地があるというようにも思われますが、御見解を承わつておきたいと思います。  それから青色申告は是非とも徹底し、普及いたしまするように努力をし、進めて行かなければならんことを痛感いたすのでありますが、併し実際問題といたしましては、第一年度よりは第二年度のほうが減つて来ておるというような、結果的には非常に遺憾な状況が現われておるということであります。これにつきましていろいろその実情等を考えますると、青色申告をするために特別の恩典はあるのでありまするが、あの程度のことであつては申告をするために要するいろいろの手続、手数等から考えますると、あえて積極的にこれをやつて行こうという熱意を喪失するというような面が非常に多いので、そこで要望されておりまする事項としては、所得の総額から優先的に或る一定率のものを控除してやるというような特別な恩典を、現在の恩典の上に附加して行くというようなことを考えて行けば、この制度について相当の成績が挙つて行くのではないか、自然徴税関係におけるいろいろの手続も簡素化されて行くと申しまするか、省略をされるということで、双方得る結果が生れて来るのではないかというような点、それから單純な農業漁業或いは銭湯とか理髪店とかいつたようなところの業種につきましては、記帳その他の方法についてもう少し簡素化して行くような具体的なことを考えて行かなければ、そういうような業種の諸君が示されておるような記帳をし、整備をするような能力を持つておりませんので、気持の上では青色申告をしたいと考えましても、実質的に、そういうような行為が伴つて来ないということで、こういう点を特に考えて欲しいというような要望がございました。  それから所得税法の六十四條でありまするが、これによつて農業漁業、商業、工業等の零細企業者が組織しておりまする団体に対しまして、その組合員の所得について必要のある場合に調査ができるという規定のありますることは、関係者も十分了承はいたしておりますが、ややともいたしますると、この六十四條の発動が一般的、普遍的、抽象的に求められるというような事例がある。そのために却つてその維持、育成、発展を図つて行かなければならんこれらの協同組合の発展を、阻止しておるというような事例がある。もつと端的に申上げますると、漁業協同組合に対しまして、漁獲高の個人的明細を全部提出しなさいというようなお話があるといたしますると、漁民漁業協同組合を組織しておるわけでありますので、自己の組織いたしておりまする協同組織を通じて生産と処理をいたしたいと思いましても、ついいろいろな関係からその組織を利用するということについて躊躇をするというようなことで、その精神は必ずしも十分理解し得るような状態ではないかも知れませんが、実質的には組合の発達を阻害しておるというような事例があるので、六十四條の発動については十分の留意をして頂きたいというような要望がございました。更に先刻問題になりました漁業権の補償に関する問題の論議の中に、これは直接その関係ではございませんが、新らしく漁業権を獲得いたしまして、零細漁民を包擁して今後漁業をやつて行こうとする組織は、漁業協同組合がその衝に当るわけでありまするが、現在漁業協同組合は極めてその、経営が不振の状況でありまして、すでに前国会におきましても、再建整備に関する特別の法律までも作つて、これを援助するというような状況になつておる矢先でもありますことでありますので、今後漁業協同組合等、零細企業者の組織を発展せしめて参りまするためには、これに課せられておりまする現在の三五%の法人税について特に考慮をする必要がある。これは前国会におきましても、大蔵大臣から特別法人として考慮をする価値が十分にあるように思います、十分研究いたしたいという御答弁もあつたわけでありまして、それぞれ今度の税制改正に対処いたしまして御研究を願つておるとは存ずるのでありますが、その状況がどうなつておりまするか。非常に強い要望もございましたので一応お伺いいたしておきたいと思います。  それから特に北海道の特殊事情でございますが、砂糖消費税の道内における歳入分が三億数千万円でございますが、現在の北海道における砂糖の生産状況並びに国全体の砂糖の状況から考えまして三億数千万円の消費税は、目的税として砂糖の生産に還元をする、助成をするというような特別な方途が考えられたいというような要望がございました。それから納税の順調な徴収を確保いたしまするために、前国会で設けられました納税組合の制度でありまして、これも極力その維持発達を図つて行かなければならんわけでありまするが、幸いに政府におきましても、これが助成についていろいろ御考慮を願つておりますことは、非常に喜ぶべき方向とは思いまするが、現在の助成の程度では、納税組合の健全な発達を図るということには余りにも縁遠い実情ではないか。却つてあの程度の助成でありますることにおいて、この組合法の制定当時委員会におきまして議論のございましたように、結果においては非常に不測の損害を組合に與える、いろいろなトラブルを捲き起すというようなことも考えられますわけでありまして、折角できまする納税組合は、真にその目的を達するように維持いたして行く、或いは発展せしめて行くということが好ましいのでありまするが、現在の情勢ではこれはいかんので、これを考慮して頂きたいというような要望も多分にございました。それからなおこれは官庁関係の諸君の特に希望でございまするが、北海道といたしましては、非常に寒冷の地帶でありまするわけであつて、現在まで支給されておる石炭手当では到底やつていけん。その上にこれが税の対象になつておるということは非常に苦痛であるので、少くとも石炭手当は税の対象外においてもらいたいというのが、これは官庁職員の全部共通的な御希望でございましたので、そんな点を御報告かたがた御意見を承わりたい次第でございます。
  87. 平田敬一郎

    説明員(平田敬一郎君) 大分実情に応じまして御研究願つておりますことは、私どもも十分存ずる次第でございますが、勤労控除の問題は、先ほど松永委員にお答えいたした通りでございまして、これは相当大きな問題でございますので、よく検討いたしてお答え申上げたいと思います。生命保險の控除の拡張はしないかとの問題でございますが、これも本年創設したばかりでございまして、私ども二千円を十分な額だとは思つておりませんが、ただこれをお話の通り拡張がいいかどうかということになりますと、これは又よほど問題になろうかと思います。なおこれに関連いたしましては、むしろ健康保險の控除の問題等もありまするので、そういう問題とも関連いたしまして結論を出して行きたいと思います。  それから青色申告の点は全く御尤もで、そういう点をたびたび実は研究してみたことがあるのでございます。今お話のうち一部の、殊に何と申しますか、中小の業者に対する記帳の仕方、これを簡素化すべしという御意見はこれは全く同意見でございまして、私どもできる限り実はその趣旨でやつているのでございますが、なおまだ十分徹底いたしませんで、むしろむずかしくしているところもあろうと思います。ただこの点は最初簡素化しましてだんだんやつて参りますと、やはり業者のほうも満足しないで段々詳しいものにするという傾向のようでございます。そういう傾向でありますから、従つて私は、逆に最初は簡單なものから始めると自然に満足しなくなつてむずかしいものをやるから、安心して簡單でいいようなものにしろと言つているのでございます。その点徹底しないところがございます。その点もお説のような必要がございますならばお説のようにいたしたいと思います。控除の問題につきましては、たびたび議論もし、あれしてみたのでございますが、先ほどの勤労控除と同じ類似の問題が出て来る所得税法における所得というふうなものが本当の所得ではないか、それが原則なんで、青色申告を出したからといつて所得税法の一般所得に対しまして特別に相当大幅の、相当なそれは効き日があると認められる程度の特別控除をいたしますと、ほかの所得は皆いい加減にしているということを、実は表面上認めるということにならざるを得ない。で、その若干費用がかかるから、そういう点から言つて何か援助したらどうかということでございますが、極く僅かなものになつて来るかと思いますが、控除を置くかどうかという問題は、実は我々今申上げましたような点があつて、今まで踏み切れなかつたと申しますか、そういう問題になつております。これは実際問題としましては、今の所得の全体の把握の状況からいたしまして、それはやつたつていいじやないかということが相当ございまして、いつも検討いたしている問題でございますが、なお最終的に自信のある結論を得てない問題であるということを付加えて置きたいと存じます。それから団体に対する諮問につきましては、これは従来は相当広く所得自体を諮問しまして、順位等をつけさせて団体の意見を聞くというようなこともやつていたのでございますが、非常にうまく行つているところと、反対に弊害があるところとございまして、どうも課税の本旨から見てそういうふうにやるのは適当でないだろうということから、昨年からああいうような規定に改正いたしまして、組合から当然普通のコースで集つてない資料、課税上組合が特に集めなければわからないような資料は、原則として取らないことにいたしておるのでありまして、組合の通常の仕組において集まつて資料等を提出せしめたり、諮問したりするということでしか現在のところなつておりませんが、そういう点の運用よろしきを得まして、行き過ぎしないように、十分するようにいたしたいと考えております。それから特に法人では、これもたびたび議論している通りでございまして、今度法人税をどうするか問題でございますが、この点よく実情に応ずるように一つ検討してみたいと思います。  それから砂糖消費税を北海道の生産地に還元するという問題でございますが、どうも砂糖消費税を直ちに還元するというのは、少しどうも問題があろうかと思いますが、ただ日本におきまする砂糖の自然的條件が非常に外国と比べて悪い。従つて砂糖に対しまして現在も若干の助成策を講じておると思いますが、なお十分であるかどうか、そういうものにつきまして特別なことを考えられないかという問題になりますと、これは又おのずから問題があろうかと思います。ただ砂糖は北海道にできて、その税金があるから、その税金の部分を北海道に何か還元するということにつきましては、直ちに行くかどうか、これでよろしかろうというような考えが出て来ないのでございますが、これはむしろ皆様がたのお話を承わりまして、善処いたしたいと思います。  それから納税組合につきましては、誠に御尤もな御意見でございますが、私ども零細な申告所得税納税者の納税を、円滑ならしめるためには、どうしても貯蓄組合の発達に待たなければならない。これはもう非常に強く現在でも感じております。ただこの趣旨が飽くまでも政府機関と申しますか、天降り的なものでない、納税者の自発的な組織、それによりまして責任の関係なり納税の義務関係を明らかにする、こういう趣旨から実は出ておりまして、それが日本の場合においてそんな生易しいことじやできんという考え方もございましようが、これは併し戰後の一般的なこういう問題に対する考え方の流れが、そういうふうになつておりますので、余り補助金を勇敢に出しまして政府が面倒見たり、余り干渉してやるのは如何であろうか。私どもは、できる限り自発的にこういう組合が成長いたしましてうまく行きますように、期待しております。さればと言つて補助金を出さないわけじやない、若干出しております。それが足らんというお話でございましようが、実際等もよく見まして、今申上げましたような趣旨等も考えまして、妥当を期するように努めて参りたいと考えております。  それから寒冷地の問題は、これはいろいろ北海道、東北方面から議論がございまして、何か特別控除をすべきだという案でございますが、どうも生活費の差異により所得税の基礎控除その他に差異を設けるということになりますと、これはなかなか議論が実は一つで盡きない。先般も私はこの委員会におきましてお答えいたしたかと思いますが、都会と田舎の生活が違うじやないかという問題が実はあるのであります。地方税におきますれば、そういう問題がみずから反映し得るのでありますが、国税におきましてはなかなか簡單に行かない。従いまして、確かに地方の実情から申しますと、その地方に行つて見ますと、恐らく尤もだという感じを私ども受けると思うのでありますが、さて然らば国税としての全般的な所得税の制度に、そういうものを織り込んだほうがいいかどうかということになりますと、これ又なかなか問題がありまして、簡單に行かない点がございますので、これも何分の工夫の仕様がないかという注文を受けておるのでありますが、なかなかこれといううまい考えがなくて今日まで来ておるというような実情でございます。まあいろいろ問題がございますが、よく研究いたして見たいと思いますが、早急には結論が出るかどうか、問題が非常に多いようであり熱すから、簡單なように見えましても、全体に繋がる問題で解決がなかなかつかないということを附加えて置きたいと思います。
  88. 小林政夫

    ○小林政夫君 私は山崎委員と福岡、長崎、大牟田、熊本、大分、延岡の順序で殆んど九州の大半を廻つて来たわけでありますが、主として漁業権補償の問題、税務行政並びに徴税状況、中小企業金融協同組合の再建整備等の問題について現地の事情を調査いたして参つたのでありますが、漁業権補償の問題については、いろいろ私もその間の調査の結果に基いた意見を申上げたわけでありますが、特に私の廻つたところの漁業協同組合、漁民のかたは補償金に対して税金がかかるということは全然考えておらなかつた、是非減免してもらいたいという強い要望であります。協同組合の再建整備の問題或いは金融の問題等は明日に讓ります。で今日は主税局長が見えておりますから、税制の問題に限つて御報告したいと思います。最近の地方税状況は頗る良好であります。昨年の、やはり同じ地区を廻られた愛知議員の報告にあつたような反税闘争というようなことはすつかり影をそひめております。その原因として考えられるのは、更正決定を緩和しておる、それから税制の改正及びその反税闘争というか、共産党の闘争が地下にもぐつたということが原因のようであります。併しかなり激しかつた反税闘争が特に福岡地区あたりであつたのであります。なかなか油断はできない。特に最近の傾向としては、只今お話にあつた納税組合を共産党員が指導をして作らして、而もそれに対して政府の補助をもらうというようなものもどうもそういう傾向に出ておるということであります。まあ額は千円だから大したことはないのでありますけれども、馬鹿らしいという話をしている向きもある。  次に国税と地方税との調整を図ることであります。地方税の税収入に対する徴税費の割合というものは大体一三%ぐらいという高率になつておる。そこで又国税に対する附加税的色彩の強いものがかなりあります。こういう二重三重の調査が納税者に対して行われるというようなこともあり、そういう徴税費の節約、或いは行政機構の整備等の点から考えましても、地方税の、附加税的色彩のある税目を廃止して所得税の附加税とすることが望ましいという意見がありました。  それから所得税関係を申上げますと、先ず第一に国民の担税力はすでに限界に来ておるから、国民の最低生活を維持するためにも租税を軽減しなければならないし、又国民思想の点から考えましても、余りに零細な所得者に対する課税が行われるということはよろしくない。従つて基礎控除額を五万円ぐらいにしたらどうか。それから勤労所得は事業所得に比して、今もお話がありましたように、必要経費の控除がないだけに不利が多い。例えば事務消耗費或いは被服費、研究費、職務に要する交際費、通勤費、強制居住費、職務に対する寄附金、国庫納付金、又は所得税の毎月納付による金利面の不利等を考慮して、現行の百分の十五、最高限度三万円を、少くとも百分の二十最高限度五万円に引上げるべきであるという、こういう意見。  第一番目には、第十国会において決議されました退職所得についてでありますが、これについては非常に面白い案があります。退職所得及び一時恩給は勤労に対する報酬であつて、給與所得と同一性質の所得であるから、課税範囲を少くとも五十万円に限定すると共に、勤務期間の多少を考慮して一律に十分の二の控除を行ない、残りの支給金額を勤続年数で割つた、除した金額に対して逓減した税率を適用して負担の公平を期すべきであるという要望であります。即ち例えば四年勤めて五万円もらうという人もあるし、十七年勤めて僅か六万円しか退職金がもらえないというようなことは、勤続年数を相当考慮して税率を考えるべきであるという、こういう意見であります。  それから第三は、小さい問題になりますが、変動所得の計算が非常に煩雑である、従つてその利用者が少いので、又実質的にも軽減割合が低いというようなこともあつて、割合に効果がない。それでこの規定を廃止して、これらの所得に対しては課税所得金額を半額控除して、その他の所得と合算して税率を適用したらどうか、こういう意見。  第四は、森委員からもお話がありましたが、青色申告者の適正な申告により、特に所得の増加したものについては、当分の間特別措置として増加分に対し一定割合の斟酌規定を設けるようにすれば、青色申告制度を育成することになるものと考えられる。併しなかなかこの青色申告の状態が悪く、大体納税者の三%ぐらいあつたろうと思います。  第五に、所得税三十万円以下の少額所得者に対する税の負担は、現在の社会生活の実情に照らすと過重に失するのみならず、徴税事務の煩雑の割合に税収の効果が上らないので、税率を大巾に二割程度引下げるほか、十万円以下の少額事業所得についても、勤労所得並びに純然たる資産所得との権衡上一割程度の控除を認むべきである、こういう意見。  次に法人税関係といたしましては、同族会社に対する課税標準計算の場合、個人と同様本人並びに同居親族の給與を損金としないようにして欲しい、こういうのであります。最近個人経営を法人組織に変更することが盛んに行われておりますが、法人組織の場合、本人の給與を経費と認めておるために、実質的には個人経営と変らない法人組織のものとの間に租税の権衡を失する、こういうわけであります。  それからいつも問題になるのでありますが、今も森委員からお話があつた協同組合に対して、一般株式会社と同様に三五%の法人税を課税するということは不合理でありますから、現行法人税率を是非改正して欲しい、軽減して欲しいという、補償金に対する課税減免と同様に非常に熾烈なる要望でありました。  最後に酒税の問題であります。御承知通り九州はいも焼酎の密造の本場であつて、密造酒の問題は全国的なものでありますけれども、又清酒、合成酒を問わず、酒税率の大幅引下げと同時に、増石が要請されておる。特に燒酎は消費の大半が一般大衆であつて、三百六十円の現行価格は高過ぎる。百五十円乃至二百円の生産原価を持つ密造酒が横行しておつて、当局としてもその取締りに手を燒いておる状態だ、で非常に今密造の検挙件数が上つております。これはまあ全国的に上つておるようでありますが、特に密造の取締りに力を入れられたということもあつて、かなり密造検挙件数が多いわけであります。特にこの私の廻つた管内において、特殊な例としては、宮崎県の宮崎市の郊外にいわゆる青島部落というのがあつて、これは戦争中に沖繩及び南西諸島の住民が軍の命令によつて強制疎開をさせられたのであります。そこへ海外からの引揚家族が加わつて、昨年末には三千九十名の人間がおりました。現在住民の八〇%がその密造をして生計をやつておる。で密造の生産高は年産四千石を下らない。全国第二位のカストリ部落であると言われておる。これに対して県或いは市当局、警察当局の意向としては、社会的治安的問題であつて、徹底的な取締りを成るべく避けて、できるだけ住民の更生策を講ずるように專心したいという消極的な態度が見られるわけでありますが、併し税務署乃至国税局としても、單独で徹底的な取締りをすることは困難で、現在のところはまあ形式的な取締りを反復しておるという実情であります。勿論国税局側としては、近く関係官庁と緊密な連絡の下に徹底的な取締りを行う予定という話でありましたが、密造者側においても再三の取締りによつて密造の手段方法が非常に巧妙であつて、なかなか行つてもしつぽがつかめないというふうなことで、非常にそのいわゆる検挙件数としては減つておるけれども、密造高というものは相当なものに上つておるということが推測できるような状態であります。でそういうようなこともありますので、焼酎の現行価格を二百五十円見当に引下げることができればいいのではないかと、こういうことであります。併しこの問題は、そういつた特に青島部落の問題は、戰時中の強制疎開というような問題もあつて、社会政策的な十分な考慮をしなければならんと思います。以上であります。
  89. 平田敬一郎

    説明員(平田敬一郎君) いずれも相当詳細な御研究でございまして、非常に私ども敬服いたすのでございますが、大分問題が重複しておりますので、少し簡單にお答えさして頂きたいと思います。  国税と地方税の調整の問題ですが、課税の資料等を同じようなものをあちこち集めておると、これは確かに私どもも、こういう狹い国で、余り同じようなことをあちこちでやるのは少し如何であろうか。調査と賦課でありますね、そのほうはできますならば成るべく一本にするような方向に持つて行きたい。併し徴収のほうはやはりそれぞれありますので、なかなか昔のように市町村が一本で徴収するところまで行つたほうがいいかどうか相当問題でありますが、少くとも課税標準の調査とか賦課の決定とかいつたような問題は、まあできる限り一緒にするように持つて行きたいと考えて、目下研究いたしております。  それから基礎控除の問題、これも御尤もでございまして、減税案の一環としまして目下考えております。  それから退職手当の問題は、これはなかなか問題がございますし、国会におきましてもいろいろ御決議もあるような次第でございますので、これもよく研究いたしております。ただお話のように勤続年数を加味してやりますと、そうなりますと、これはまあなかなか複雑で、変動所得の平均課税というような問題が出て来るかと思うのでありますが、まあ成るべく簡易な方法で、こういう所得の特殊性に顧みまして、実情に応ずるような方法を考えてみたいということで、研究いたしております。  それから勤労控除の問題は、たびたび申上げましたので省略いたします。  変動所得も大分面倒でございますので、簡單にする方法一つ考えてみたいと思います。それから青色申告は、先ほど申上げた通りでございまして、これはなかなか急激にはむずかしいと思いますが、徐々に育成を図つて行くように、できる限り実情に応ずるような工夫をこらしまして、努力してみたいと思います。それから税率の問題も、減税の一環としまして再検討をしてみたいと思います。何しろ所得が非常にこう今までフラツトになつておりまして、余り階級別の差が少いものですから、税率が非常に真ま中頃にまとまつておる。大分直しましたが、なおまだやはり不十分な点が残つておるということが顯著に考えられるようでございまして、検討してみたいと思います。  それから同族会社の場合に給與を損金にしないということは、これは一つ考え方でありますが、なかなか問題がありまして、これは恐らく税務署等で言つている人の意見かと思いますが、これはなかなか簡單に参りませんので、法人個人の負担の問題といたしまして研究してみたいと思います。それから営業者は、営業所得として一本で課税いたしまして、タブつて課税しないことにいたします。給與をもらいますと、給與にやはり課税するわけでございますが、法人に課税し、給與で又課税するというのは、これは少しどうかと思うので、又違つた方法調整はやるべきではないかと思つております。それから特別控除の問題は、先ほど申上げた通りでございまして、よく検討してみたいと思つております。  それから燒酎の問題につきましては、お話のように、値段を下げればこれに越したことはないと思いますが、やはり全体としての酒の生産量関係、それから財政需要の関係等から睨み合せまして、そのときどきの妥当な税率をきめて行きたい。まあ酒のほうは、数量が戰前に比べますとまだ相当つておりますので、正規の酒を殖やしまして、税率を下げて税収を図るように、なお一層努力しなければならんかと思います。これはまあ原料事情等がございますから、その辺と睨み合せまして妥当な結論を得るように努めたい。密造につきましては、やはりこれは必要な取締りをできる限りいたしまして、目的を達成するようにするよりほかないと、目下かように考えておるわけであります。
  90. 松永義雄

    ○松永義雄君 ただ一点御質問いたしたいのですが、それはガツトの問題ですが、この点ちよつと恐らく省議でも議論に上つておるのではないかと思うのですが、過ぐる国会におきまして関税定率法をきめましたときに、関税協定に入るように提案した、そういつた趣旨の説明があつたと考えておるものであります。然るにその後これについて新聞紙上に伝えられておりますが、実情はどういうふうになつておるかということを、事極めて日本の貿易に大きな影響があると思いますので、でき得る限り差支えない限りお話願いたいと思います。
  91. 平田敬一郎

    説明員(平田敬一郎君) 誠に御尤もな御注意だと存じます。関税定率法を御改正願いました際におきましても、成るべく合理的な関税制度にいたしまして、ガツトといつたような国際協定に日本も成るべく早く参加し得るようなふうに持つて行きたいというふうに申上げたのでございますが、丁度幸いに平和條約のほうも非常に促進されまして早くなりそうでございまするし、ガツトのほうにつきましても、先般も私外国に行きまして一二事情を聞いて参りましたが、まあ成るべく早く組織の中に入りまして、特別の協定税率の適用を受け得るように持つて行きたい。まだ具体的にアクシヨンをとる段階にまでは参つておりませんのですが、できる限り機会をとらえましてそのように持つて行きたいと、かように考えております。本年のたしか五月頃相当会議を開きまして、やはり世界の関税に対しまして更に一段進んだ協定を結んであるようでありまして、私どももできる限りそのような国際協定に入りまして、日本といたしましても貿易に不利のないように務めたいと、かように考えておるのでございます。今のところ差当り詳しくどういうふうにしていつ頃どうするかというところまでは実は参つていないのでございます。御注意の点誠に御尤もと存じまするので、條約等のこととも関連いたしまして、機会を逸せず参加し得るように努力いたして参りたいと思います。
  92. 松永義雄

    ○松永義雄君 極めて政治的な御答弁でして、まあせいぜい御努力を願いたいと思うのでありますが、ところが日本がこれに入りたい、念願しておる、然るに新聞紙上によればいろいろの故障があるかのごとく伝えられております。外交がない今の日本状態といたしましては外交交渉というものがないでしようけれども、差当り併しまあ事実上そういつたような何か話合いというものがあつて、そうした協定の参加について何か進行しているのではないかと想像いたすのであります。何か交渉という面からお話願えることと思いますが、差支えない限り速記をとめてでもお伺いしたいと思います。
  93. 平田敬一郎

    説明員(平田敬一郎君) これは松永さん御存知のように日本といたしましては先ず小麦協定、これが一番国際協定としましては先決問題に考えておるのであります。このほうはたしか大分、私よく帰つて来まして細かく聞いておりませんが進んでおるように承知しております。ガツトとなりますと世界の各国を実は相手とするわけでありまして、一国だけでは話がつかない。従いましてこれは仮に加入するにいたしましても、そうそう簡單に行かない問題も相当あるかと思います。ただ平和條約が結ばれましたあとにおきましては、これは私は比較的早く加入し得るような状況になり得るのではないか、又そうしなくちやならないのではないかと考えておりますが、今日今具体的にどういう行動をとつてどうしているかというようなことにつきまして申上げる段階にまだ至つていないのでございます。そのうち機会を見ましてよく御連絡いたしまして善処することにいたしたいと思います。
  94. 森八三一

    ○森八三一君 一緒に参りました清澤委員ともいろいろよく話をしたのでありますが、これは一つお調べを願い、わかつておりますればお話を願いたいと思いますが、特に北海道の地理的な関係がそういう結果をもたらしておるのであろうとは思いまするが、税務関係の諸君に結核が多いということを特に痛感したのでありますが、他の北海道外における官庁と税務関係の諸君との間にそういう特別に開きがあるのかないのかという問題、若し北海道内の他の官庁の勤務よりも税務関係の諸君が格別に罹病者が多いということであるといたしますれば、これは相当格別の考慮を払う必要がある社会的な問題ではなかろうかと思うのでございまして、税務署長さんなり国税局の局長さんなりに伺いますれば、やはり数カ月雪の中におるというようなこと、それから事務の性質が比較的机に向つておる時間が長いということ、たまたま机を離れると厄介な折衝が多いというような精神的な苦痛が多いということがそういう結果をもたらしておるのであらうというような話でありますが、そのことにつきましておわかりになつておることがあればお話を伺いたいのであります。なお対策があればこれもお伺いいたしたい。  それから北海道の酒のお消費に対する、特に清酒でありますが、これも非常に道内生産は少くて、三〇%程度といたしますると、石炭を向うから運んで来て又作つたものをこつちから運んで行くという、経済上から考えましてもそこに非常に不合理が考えられる、どうせ持つて行くなら道内生産に移行すべきではないか。その場合に道内における既設の釀造施設があるとかないとかいうことも資材の関係等から一応問題があると思いますが、これも十分に遊休施設があるというような話でありますが、そんな関係につきましてお伺いいたします。
  95. 平田敬一郎

    説明員(平田敬一郎君) 税務官吏の結核の問題につきましては、これは或いは国税務庁のほうからお答えするのが妥当だと思いますが、先般局長会議をいたしました際におきましても、やはり各局長からこの問題を問題にして出たようであります。大体長期欠勤者が七、八%程度おりまして相当各局におきましても重視しましてその対策を考えておるようでありますが、北海道におきましてほかの官庁よりも多いか少いか、その辺私そこまで突込んで聞いてなかつたのでありますが、全体としてどうも税務官吏に長期欠勤者が多いということはどうもこれは事実のようでございます。まあ仕事は相当お忙しいとかなんとかいう事情もあろうかと思います。それと同時に若くて最近採用しました諸君が多いということもこれも一つの原因であろうかと思いますが、できる限り対策は講じて参りたいと思いますが、なかなかこれは一般の官庁の施設以上に入れますと問題がむずかしくございまして、早急な解決策を講ずるということもなかなか困難なこともあるようで、併しそのように各局ともこの問題を重要視してやつておりますので当然打つべき手は打つと申しますか、できるだけ対策を講じていると考えているのでございますが、私どもといたしましても十分注意いたしまして、できる限りそういうようなことが少くなるように努めております。なおこの問題は具体的な問題でございますが、必要がございますれば又国税庁から来ました際にでも御検討願えばよろしいのではないかと思います。  それから北海道の酒の消費の問題ですが、これは昔から実はあるのでありまして、清酒の生産は実は昔からある工場がございますが、北海道のように新らしく開けたところでは比較的少なかつたのでございます。そういう際におきまして実は統制をやつた、統制をやります場合におきましては、原料が非常に制限されておりますので、これをおのずからやはり一律に制限せざるを得ない。北海道は生産が少いから余計造らすということはなかなか実はむずかしい。これは業者に重大なる利害関係かあるので、全国の業者は酒の生産を二割にとどめて北海道は四、五割にするというわけには参りません。それで一律に造石高の制限ということにならざるを得ない。実際問題といたしましても一種の造石権の権利を譲渡しまして北海道が使つておるという例も少しあると思いますが、北海道の道米で麹を造る、全国平均よりも更に高めるところまで持つて行きますことはどうも簡單に行かん問題だろうと思います。で極力合成酒等の生産を進めまして、そのほうで不足を補うということを講じて参つたのでございます。併し御指摘の通り現在なお原料不足で、どうも併しこの問題をそういう見地からだけ考えまして、さつき申しましたように北海道のほうにも米の割当を多くするというこれもなかなかむずかしいのでございまして、漸次酒の数量が殖えて来ますれば、問題が解決しやすいかと思いますが、現在のところは或る程度工作と申しますか、石炭は北海道から持つて来て、本州で掘つた分が北海道に行くということは、或る程度起りましても、これは実は仕方がなかろうと考えておるのでありまして、何かいい案がありますれば又考えてもいいと思いますが、これは多年の問題でございまして、やはりそういう状態で現在も推移しておるということを附加えて置きたいと思います。
  96. 大矢半次郎

    ○大矢半次郎君 局長は最近欧米を視察されて帰つて来られたのですから、あまり固苦しくなく、極くまあ打ちくつろいだ気持で一つ伺いたいのですが、日本の税制はシヤウプ勧告に基いて、余りに直接税を重点的にやつておる。これは日本の産業はアメリカとかイギリスとかと違うからして、実情に適しないんじやなかろうかという気がいたしておりますが、今もお話のあつたような酒ですね、食糧事情が大分緩和したからして、前から問題になつておる農家に委託釀造のようなことも真劍に今年あたりは考えていいんじやなかろうかと、そういう方面の税収入も殖やすということをむしろとるべき策じやなかろうかという気がいたしますが、世界的な視野から見てどういうふうにお考えになりますか。  それからもう一つは、全般的に個人の所得税は軽減するが、場合によつては法人の税率を増そうというようなお考えもあるやに聞いております。如何にも法人の収入は躍進的にはなつておりますけれども、これは全面的ではないのでありまして、従つて今すぐに法人の税率を五%なら五%増加するというのは、果して現下の日本の産業の上からいつて適当なりや否やということは、一つの疑問だと思うのであります。一方において、この前の国会で大蔵大臣に対して質問いたした通り、法人、個人を通ずる直接税の課税の方法ですね、日本のような行き過ぎた税法をとつておるところは、私は世界各国どこにもないような気がするんですが、従つて欧米を視察された結果から見て、果してこのままでいいかどうか。その二点について、余り固苦しくなく、座談的でよろしうございますからお伺いしたいと思います。
  97. 平田敬一郎

    説明員(平田敬一郎君) どうも私は極く短期間に見て参りまして、あまり大きなことは申上げかねるのでございますが、ただお話の通り米英の税制とヨーロツパの大陸の税制は非常な違いがあるということは、行つ見て、こちらで本で読み、感じておりましたより以上に強く実は感じて参りました。アメリカが一本直接税、所得税中心でやつておりますが、イタリアなんか殆んど丁度その逆でありまして、八〇%間接税によつておる、併し間接税といいましても一般取引高税、フランスも同様ですが、取引高系統の租税で賄つておるので、所得税が比較的少い。フランスも大分イタリアに近い。これは非常に対蹠的でありまして、私前から統計はしよつちゆういじつていたのでありますが、このたび行きまして、話を聞いて成るほどと思つたのでありまして、役所の組織もおのずからそういうふうにできておりまして、間接税の系統の役所が相当しつかりした人がいるようでございます。まあ理由もいろいろ聞いて見たんですが、やはり経済の発展が低い所では所得税はなかなか無理だと、こういう非常に理由がありそうに述べておる学者もおりましたが、やはり直接税は納税思想と大分関係がありまして、ヨーロツパの大陸では、なかなか所得税を納めようという気に一般の国民のかたがたがなつていないらしいところが最大の原因らしいのでございます。なかなか行政も従いまして直接税の税制は、アメリカ、イギリスに比べて、大陸のほうはうまく行つておりません。まあフランス、イタリアは日本の国の騒ぎどころではないと考えておりましたが、而も所得税は日本より低くそういう状態であります。そういう状態でありますから、すぐ日本の場合におきましても大陸式に考えたらどうかということになりますと、これは又そう早急に結論を下すわけに参らんと思いますが、余まり直接税中心に進み過ぎるのは如何であろうかということは、これは一つの感想としまして感じて参つたのでございます。その方便としまして、どういうふうにしたらいいか、これは問題でございますが、まあ酒の増石を伸ばすというのは一つの問題でございます。併しこれも収入全体をどの程度殖やせるかということになりますと、これももう大きく期待するわけに参らん。然らば取引高税……、フランスは附加価値税に似ておりますが、日本の附加価値税は評判が悪くて、取引高税を一遍やりましてやめたわけですが、こういう税金は所得税より遥に大きい税金で賄つておる。そういう税金も果して日本として考え直したらいいかどうか。まあ早急に結論は下しにくいんじやないかと感じておりますが、まあ併し相当違いがありまして、その違いがあることにつきまして、それぞれ学者にもそれから大蔵省の連中にも、責任者にも私会つて来ましたが、やはり滔々と合理性を主張しております。そういう点はちよつと面白いと思つて感じて参つたのでございます。感想をと申されましたので、余り要領を得ないのでございますが、そういう点一応申上げて置きたいと思います。  それから法人税の問題につきましては、増税案が実は大分有力でありまして、本委員会におきましても松永委員などはその御意見のようで、増税というようなことも前国会にも承わつたのでありますが、これは上げたほうがいいかどうか、なかなかこれも私は両様の問題があるのではないかと考えます。まあ財政需要が相当足らない場合におきましては、今のような法人の実績からいたしまして、或は上げたほうがいいというふうに結論が行くかと思いますが、所得税その他減税もできるという事情の下におきまして、然らば法人税を上げたほうがいいかどうかということになりますと、これは又そう早急に上げるほうがいいということにも参らない、お話のような点も考慮いたしまして、慎重に決定したらどうかと考えております。まあ併しこれは最近は相当法人の業績はよろしうございますので、引上論が有力でありますことは御承知通りでございます。税率といたしましては、まあ日本の法人税は安いほうではあるようであります。アメリカは一年半ぐらい前までは四二%であつた、普通税と附加税を入れまして。二万ドルを超える所得に対して大体四二%でありましたのですけれども、昨年の暮でしたか、四七%に上げまして、それを更に五%上げて五二%に行つております。超過所得税はそのほかに三〇%、勿論超過所得税を引いた残りに法人税をかけますので、両者を合せました税率というものは、五二%と三〇%の合計の八二%ではなく七〇%ぐらいでありますが、会社が利益を出すと七〇%で、実業界の人に大分会いましたが、これではとても事業の拡張などむずかしいという話を聞いて参りましたが、事実そういうような傾向は、これは、否定しがたい。それからドイツもやはり五〇%は取つておるようです。まあ直接税が低うございますので、個人の超過所得と同じく確か二七・八%ぐらいかけておる。イギリスは四七・五%、四七%を〇・五%上げまして今は四七・五%、法人、個人を上げましてスタンダードレート四七・五%に上げました。当時の情勢はそうでございました。そういう点から見ますと、日本の所得税は、地方税を入れてもそう高くないが、事業税をどうするか、これは問題でありますので、そういう問題と関連して具体的には決定いたしたらどうかというふうに考えております。二重課税の問題につきましては、これは実は大分学者に会つて聞きましたら、成るほどそんないいことをやつておるのか、併しそこまでできるかといつたような感じでございました。従つてこの問題も増収を図る必要があるかどうかという問題と関連してきめればいいので、必ず二重課税を避ければ絶対にいいとか、或いは両方取るのはもう当然だとか、余りこの問題はどつちか理窟に過ぎないで処理したほうがいいのじやなかろうかという感想を実は持ちまして帰つたような次第です。イギリスのの学者等は、やはり会つてみましたら、当然二重課税するのはいけないのだということを強く主張しておりました。或る有名な財政学者です。併しそれをイギリスは今実は利潤税という新らしい形で破つております。配当しますと五〇%所得税以外の特別税を課税する、留保しますと、それを二〇%で低い税率にしております。配当と法人の課税とは、今まではイギリスは長く一方だけしか課税しないという建前を立てておりましたのが最近臨時税の形で変えておる。実は反対したのだけれどもそうなつたとかその学者は強弁しておりました。そういう傾向もございます。アメリカは勿論全額両方課税しておりまして、日本のような進んだ制度はとつていない。取引所に行きましたところが、それはすばらしい制度だといつて非常に褒めておりました。そういういろいろ人によつて国によつて見方が大分違う一つの問題でございますので、余りこの問題もどつちか理窟で一方的に強く頑張るほどの問題ではないのじやないかというふうに感じまして、今後の状況に応じまして妥当な決定を下すようにして行きたい。ほんの感想なんでございますが、余り責任のない感想談としまして申上げて置きます。
  98. 清澤俊英

    ○理事(清澤俊英君) ちよつと最後に私一つお聞きしたいのは、入場税は五割に下げて地方税から国税にして強力に取立てるということが企てられるという話があるそうですが、実際にやつておられるのですか、そういう計画は。
  99. 平田敬一郎

    説明員(平田敬一郎君) 実は遊飲興食税と入場税について問題がございまして、問題はむしろ遊興飲食税についてあるのでございます。入場税につきましては、遊興飲食税との釣合いでどうするか少し検討いたしておりますが、御承知通り遊興飲食税は非常にいい加減な割当になつている。税率は高いのですが、恐らく実際に適用されている税率は、東京都なんか三分の一か五分の一とか言つておりますが、これは責任のあるあれではございませんが、そういうらしい意見が大分ありまして、それを否定し得ない事情があるようでございます。併し県によりましては相当フルにつかまえまして課税している所もありまして、業者間の課税も組合等で査定いたしまして非常に公平にうまく行つている所もありますが、反面非常に情実に流れている所もある。従つて、これは何とかしなければならんではないかというのが正当な議論としてございます。それをするにしましては、やつぱり国税にして、税率をこの際思い切つて下げて、割当の制度を全部一遍やめてしまつて、実績と申しますか、個々の飲食料金ごとにぴたつと税率を適用して課税するような方式に切替えるのがいいのじやないか、こういう考え方は実はあります。府県もなかなかそういう方向に行くことにつきましては自信がない。そうすれば税務署に移してやつてみようか。これが国税に関しまして税率を下げて成るべく課税を確実にやる、そういう意見でございます。それに関連しまして入場税につきましても、税率も高いから下げる、同様な方法でやつてみよう、こういう意見もございます。こういう問題につきましてはやはり府県の財源でございますので、果してそれがいいか悪いか、それからそういうふうにした場合に課税がうまく行くかどうか。この辺に非常に問題がありまして、両説あつてまだきまつていないのであります。まだ大蔵省におきましても最終的には決定していない実情でございます。問題の所在はそういうところにありまして、目下検討しているということを申上げて置きます。
  100. 清澤俊英

    ○理事(清澤俊英君) それからちよつとさつき森さんの御報告にありました肺病の問題ですがね。非常に結核患者が多い。而もその原因が一日お晝など殆んどコツペパン一枚でやつでいる、非常に苦しい生活をしている者が多いものだから、こういう話があるのですがね。これは私ら人道問題じやないかと思うのですがね。実際生活している人がお晝も食べられないでコツペパン一枚だ、それで稼げというのはこれは無理な話で、調査も何もいらない、直ぐわかることだと思うのですが、そういうものに急速に何か考える御意思はありませんですか。
  101. 平田敬一郎

    説明員(平田敬一郎君) 今のお話、そういう日も場合によつてはないとは言いかねると思いますが、税務官吏の待遇につきましては、御承知通り前から大分御同情を得まして、ほかの役人よりも少しペースが上になつています。職階も特別職階ですが、特別の級になつておりまして、悪いとは言えないかと思います。ほかよりも。まあ例外としまして非常に家族等の多い者は非常に困つている者も相当いるかと思いますが、これは役人全体の問題でございまして、今お話のような点は、併し仕事は非常に税務署は忙しくて、ほかの役所よりもより以上にやりますために特にオーバー・ロードをやつているというのは、これは私は事実だろうと思います。こういうものに対してどうするか、これは仕事をできるだけ簡素化すると同時に、成るべく熟練の度を増しまして早く仕事ができるようにするといつたようなことを考えると同時に、まあ厚生施設等につきましても法令に許す範囲内、予算の許す範囲内におきましてできる限りの措置を講じて行かなければならない。そういうふうに努めているつもりでございます。結果は今御指摘にもなりましたように、なかなか簡單に実効を上げていないというのが実情だと思います。併し今お話の点はずつとそれでやつているというのではなかろうかと思いますが、若しもそういうのが多くて、それでやつているのが多いとなりますと、むしろ官吏全体の問題だろうと思うのでございます。
  102. 清澤俊英

    ○理事(清澤俊英君) それはそうでしようがね。それでこういうのですよ、大体たくさんそういう人がおるのにという話も出ましてね。大体場所によりまして地方民が家から通つている場合には住宅料とかそういうものを払わんで、ところがたまたまそういうものの数がないので、地方から通つて来られない人を雇うと、間代が高いというようなことで、結局そういう結果になるというのですな。そうすると原因はわかつているのですから、あなたがたになれば、東京はどうか知れんけれども、地方へ行きますれば、課長さんぐらいになれば大体官宅をお持ちになつて安い低額のものがあるのですけれども、下のほうにはそれがないのですから、それらは考えたらすぐわかると思うが、一つ急速に何か考えるほうがいいと思うのですがな。そうして結核患者をこしらえて稼がせるなんというのは途方もない私はあれだと思うのです。考えるどころじやなくて、明日からでもやつてもらわなければ……。
  103. 油井堅太郎

    ○油井堅太郎君 私はこの際希望條件を二つばかり申上げたいのですが。一点は先ほど来問題になつている法人税ですね。これは日本が大へん安いようなお話をなさつていらつしやるけれども、今まで資本蓄積というのは全然できていないのです。そのため昨今金融問題でもつて各企業体とも困つているのですね。そういう点から見て、あながち引上げるというばかりがこれは能ではないと思うのです。むしろこれは引下げて、その代りにそこに累進課税ということを織込んだらどうだろうと思うのですね。一面においては三十割、五十割なんという利益を上げているところもあるのだし、又事業によつては二割、三割ぐらいの普通の正常利得しか得ていない、而も資本蓄積ができない事業もあるのです。そういう点から勘案して、三五%というものを却つて三〇%或いは二五%というふうに引下げて、その代りに二割以上の利益が上つた分に対しては一〇%増しにして行くとか、又五割以上上つた場合には更に一〇%上げる、そういうふうにやつて行けば、総体的の課税においても額は余り減らないと思うのです。むしろそのほうが納税するほうもやりよくなりはしないか、こういう点を当局も数字的に検討して頂きたいということを希望して置きます。  もう一点ですが、最近税金の引下げによつて、殊に農村地帶や何かというのは非常に課税対象が減つているのですね、恐らく半分以下になつているというところもたくさんあるのです。そういうところの国税出先機関の人々は今までと違つて相当仕事がひまになつているのです。先ほど清澤さんからもお話がありましたが、まあそういう例は私はきつと最近の税務署においては何か特殊事情じやないかと思うのであります。併しながら私はひまになつた人員がただ揚子で以てまるで重箱の隅をほじくるような單に忙がしそうに見せる形態じやなくて、大きな見地で国家の徴税事務を行うというような立場でいてもらいたいと思います。それについては人員が多過ぎるというような点があつたら是正をして待遇の改善を図る。そういう方向に向つてもらいたい。こういう二つの希望條件を申上げたいと思います。
  104. 清澤俊英

    ○理事(清澤俊英君) 大体もうありませんね。それでは今日の会議はこれで終りたいと思います。なお明日は午前十時から金融問題について大蔵当局の御説明を願いまして質疑を行いたいと思います。金融問題に対する局長の御報告もその際あると思います。それでは今日はこれで散会いたします。    午後四時四十二分散会  出席者は左の通り。    委員長     小串 清一君    理事            大矢半次郎君            清澤 俊英君            杉山 昌作君    委員            木内 四郎君            黒田 英雄君            菊川 孝夫君            松永 義雄君            小宮山常吉君            小林 政夫君            森 八三一君            油井堅太郎君   事務局側    常任委員会專門    員       木村常次郎君    常任委員会專門    員       小田 正義君   説明員    大蔵省主税局長 平田敬一郎君    大蔵事務官    (大蔵省理財局    国庫課勤務)  田中 弘一君   水産庁漁政部長 松任谷健太郎君    水産庁連絡官室    長       久宗  高君