○
説明員(
久宗高君)
漁業制度改革に関しましては、前に一度、この
委員会で極く簡單に御
説明したことがございますが、その際は最後を非常にはしよ
つてお話いたしましたので、本日は全体の
制度改革の構造につきまして、全体を通観して頂くような御
説明をしたいと考えております。ここでお手許にお配りしました資料でございますが、A、B、Cと符号がふ
つてございますので、これに
従つて御
説明を進めて参りたいと思います。大体
内容は先ず
最初に現在の
制度がどうな
つておりますかという点につきまして
ちよつと申上げておきませんと、
あとの御審議に差支えると思いますのでそれをお話しまして、それから
漁業制度改革の
狙いについて御
説明し、更に
漁業制度改革の具体的な
方法につきましても、やはり補償問題その他と関連がございますので御
説明申上げたいと思います。特に課税問題と関連いたしましては
漁業権の補償についてやや詳細にお話する必要があると思いますが、この問題の
解決が、いずれにいたしましても将来の
免許料の
関係、その他
漁業権制度改革の経済的な裏付の諸問題と関連がございますので、こうした問題についてポイントをここに摘録してございますから、
あとは資料に従いまして御
説明申上げたいと思います。
先ず
最初に
現行の
制度がどうな
つておりまして、そこにどういう
欠陥があるかという点でございますが、これはお手許に配りました表を
御覧にな
つて頂きたいと思います。現在の
漁業制度、つまり
現行法の
内容でございますが、これは御
承知の
通り明治の初年に丁度
土地に関しまして
地租改正その他の問題が起りました際に、やはり同じく
漁業権の
制度という問題が出たわけでございます。
明治八年でございますが、
海面の国有という形で新たに
借地制度といつたようなものが考えられたわけでございますが、これは従来の
水面の
利用関係を相当無視いたしました相当思い切
つた改革でございまして、準備も非常に不足だつと思いますが失敗いたしまして、結局そのまま
徳川以来の
水面利用の
慣行が引継がれまして、
明治三十年代に至りまして初めて
最初の
漁業法ができたわけでございます。
明治三十四年に
最初の
法律が通りまして
明治四十三年に大
改正が行われたわけでございます。その際に
漁業権の法的な
性格或いは
財産権としての
内容というものが非常に明確に規定されたわけでございますが、
現行の
制度によりますと、現在の
日本の
漁業制度というものはこの図に示したような形にな
つておるわけでございます。一番真中のところに
漁業制度別漁獲高比率推計という表がございますが、大きく分けますと、現在の
日本の
漁業制度というものは、一に掲げました
漁業権漁業というものと、
許可漁業と、
自由漁業、それから
私有水面における
漁業と、こう
四つに大きく大別されるわけでございます。極くわかり易く申上げますと、
漁業権制度というものは、
沿岸から非常に近い地域、ここでは各種の
漁業が錯綜しておりますので、又
漁民も非常にたくさんおりますので、
漁業の
利用関係を
漁業権というような
権利で規正いたしませんと到底紛争が
解決できないと、又これに投下された
資本の保護にもならないということから、非常に複雑な
漁業権制度というものをと
つております。但しもう少し沖合になりますと、一々
権利というふうにいたしませんでも
一般に禁止をしておきまして、特定なかたに
免許を與えるという恰好で処理できるわけであります。例えばかつお、ま
ぐろといつたような廻遊性の
漁業をしておりますものにつきましては、そういうような処理の仕方ができるわけであります。更に沖合になりますと、もうそういつたような法的な規正はなくて自由に
漁業ができる、大
ざつぱに言つてそういうふうになるわけであります。一番
沿岸に近いところの非常に厄介なものが
漁業権制度であります。
現行法によりますと、この
漁業権は
定置漁業権、
区画漁業権、
特別漁業権、
専用漁業権と
四つの種類に分れております。この
漁獲高の
ウエイト或いは金額の
ウエイトは、ここに書きましたように、全体の
漁獲高の中で
漁業権漁業が約金額にいたしまして六〇%近いものを現に占めておるわけであります。この
漁業権の
種類ごとの
比率はこの数字に示したような形にな
つておりまして、相当大きな
ウエイトをやはり
現実に占めておるわけであります。
この
四つの
漁業権の
内容でございますが、それはいろいろ補償問題とも関連いたしますが、若干御
説明いたしますと、右の方の図に画いた絵で示したものが
漁業権の
内容でございます。しばしば誤解があるわけでございますが、
漁業権は
水面を所有するわけではなくて、
漁業権によりまして
水面の
利用関係を
権利化するだけの問題でございますので、その
権利の
内容は、
水面そのものを独占するのではなくて、所有するのではなくて、どういう魚をいつどういう地域でどういう
方法でとるかという
権利であるわけであります。一番基本的な
権利といたしましては、この図に書きました
甲部落乙部落の問題で見て頂きますと、
専用漁業権というのが一番基本的な
権利でございます。この
権利は、主として
沿岸の
漁民の
人たちが
一般にやるような
漁業、海藻を
とつたり貝類を
とつたり雑魚を
とつたりする、これが一番基本的な
権利でございまして、これは
乙部落の例で申しますと、ここに線を書きましたような区域、大体一日航程で行つたり来たりできろような
海面でございますが、そういう
海面の中でaという魚を一という
方法でとる、或はmという魚を四という
方法でとる、こういう
権利なのでございます。つまりこの
水面全体の
所有権は国にあるわけでありますから、その
利用関係につきましてこういう枠の中でこの魚をどういう
方法でとるということにな
つておるわけであります。従いまして、ここに掲げられておらない
権利、例えばaという魚を五という
方法でとるというようなものは、これは
権利ではないわけであります。それは自由にとれるわけでございます。これが一番基本的な
権利でございまして、こういうものが
沿岸の殆んど各
部落ごとにべた一面あるというふうにお考えにな
つて頂けばいいと思います。これはむしろ
内容的に申しますと、
ちようど山林の入会いみたいな
関係でございまして、
一般の
沿岸漁民の生活の基礎にな
つておるわけであります。このような
権利、基本的な
専用漁業権の
漁場の中に他の三つの
漁業権があるわけでございますが、これはやや
性格が違
つております。一番代表的なものは御存じの
通りぶりだとか、いわしの
定置網というようなものでございます。この図で申しますと一番右の端に書いてございますが、相当大きく
資本を投下いたしまして
水面を相当広く独占しなければ成り立たないような
漁業でございます。これが
定置漁業。
それからもう
一つの
漁業権はのりやかきなんかについてある
漁業でございますが、
ちようど真中に書きました
区画漁業権、これは
ちようど畑と同じようなものでございまして、水中にいろんな柵なんかを設けまして、そこでかきを養殖したり或いはのりの養殖をするといつたような
権利でございます。これは非常に
農地と似ております。
それからもり
一つの
特別漁業権というのがあるのでございますが、これの代表的なものは地曳でございます。これを特に
権利といたしましたのは、曳く
場所がきま
つておりますので、どうしてもその
場所を特定な方に独占させなければこの
漁業が成り立たないという
意味で
特別漁業権という形をと
つておるわけでございます。そこでこの
定置、区画、特別という三つの
漁業権は、
ちよつともう
一つの
専用漁業権とは
性格が異な
つております。これは
個々の
漁民が
経営できる問題でございますが、
専用漁業権というのは、多数の
漁民がそこに入り
会つて漁場を
利用するという
関係で、若干
権利の性質が異なるわけであります。こういうような
四つの
権利によ
つて漁場の
利用関係をきめたわけでございまして、申し落しましたが
専用漁業権というのは殆んど各
部落ごとに枠付けされておるのでありますから、例えば
甲部落から
乙部落に海草をとりに入りたいというような場合には
乙部落だけが
権利を持
つておりますと、そこに
入漁権というものが設定されるわけでございます。相手が
権利でございますからそれに対して
入漁権という形でこれが契約によつたり或いは昔からの
慣行によ
つて、そういう
権利が與えられるわけでございますが、そういう
権利を持たなければ入れない、つまりその
権利のない者に対しては
甲部落がそれを排除できるという形になるわけであります。
これが大体
沿岸どこに行きましてもある
漁業権でございまして、こういうものが大体
沿岸にべた一面に
ざつと海面の
利用関係をきめているというふうに考えられるわけでございます。
そこでこの
制度の非常な
欠陥があるわけでございますが、それは上の方にまとめて書きましたように、第一は従来からの
慣行、つまり
徳川以来の
漁場利用の
慣行というものをその当時そのまま固定したわけでございます。
明治三十年代から四十年代にかけて新しい当時の
漁業法ができました際に、その
水面の
利用関係を新たに設定するのではなしに、従来の
利用関係というものを一応こういうふうな近代的な
意味の
権利という形でそのまま承継いたしましてこれを
権利化した。従いましてそれから
あとの
漁民の
変化なり或いは社会経済的な
変化というものが起りましても、実は
漁場の
利用関係はその
権利を固定いたしましたのでそこに
変化が織込めないという状態に
なつたわけでございます。又同時にその後の
免許におきましては早い
者勝ちという恰好を
とつたわけであります。
免許の申請がありまして他の
漁業権と支障がないというような場合には
免許しなければいけない、而もそれは
先願主義でやりましたので、
漁場の計画的な
利用というものが全くできなくな
つてしまつたわけであります。
それから一番困ります問題といたしましては、そのような
権利を、当時これはいろいろ法的にも問題があつたわけでございますが、物権とみなしまして
土地に関する規定を準用したわけであります。つまり
土地と同じような
考え方をして法的な
扱い方をしたわけであります。従いましてこの場合に
水面の
利用関係から見ますと、一応他を独占排他しなければそこに投下された
資本が守れないという問題がございますが、
水面の
利用関係はこの図で見ても直ぐおわかりになりますように、
土地のように分割できませんので、いろいろな
漁業が入り
会つて同じ
水面を使うわけであります。そこで他の
権利がその
権利を無制限に主張いたしました場合には
漁場の
利用関係というものは全く梗塞されてしまう。この点は従来の
法律の非常な
欠陥でございまして、一応
排他性というものを與えるといたしましてもそれを何らか
調整する手段が必要であつたわけでございますが、これを全く普通の
財産権と同じように扱いまして売
つてもいいし
買つてもいいと、又
権利を持
つておりまして別に使わなくてもいいと、
財産権と全く同じ行き方をいたしましたので、
漁場の
利用関係からも非常な困る問題が起りましたのと、特に
経営内容にいろいろな困る問題が起
つて参つたわけでございます。そこで代表的な例をここに掲げますと一番上の例でございますが、
不在権者、例えば
漁業権を持
つておりましてそれを
自分では使わない、人に貸しても非常に高率な
賃貸料を取るという問題があるわけでございます。又同じく
経営するかたについて考えました場合、これは
権利を持
つて経営している方もございまして、賃借して
経営している方もあるわけでございますが、例えば
定置漁業に例をと
つて申しますと、この図で書きましたように一番右の
定置網を持
つておる方が、魚が仮に左の方から来る場合に前面の
漁場を誰かに網を張り立てられたら困りますので、そこでここに描きましたように
空権を設けるわけであります。
権利をとりましてそれを実際には張り立てない、そういうことによ
つて漁場を守る、こういう形を
とつたわけでございます。これは
現行制度の
欠陥でございまして、
経営者のかたから見ればそういうことをしなければ
自分の網の保護ができない。こういつたような問題がありまして、相当
漁場にはたくさんの
空権が生れてしまつたわけでございます。
それから更に困つた問題といたしましては、農業と同様に相当に多くの
資本が投下され
現実に
労働者を
雇つて仕事をするという形をとるわけでございますが、
権利が非常に
場所が固定しておりますというような
関係から、ここに正常に例えば工場で
労働者を雇うといつたような形でなくて、
漁業労働者が
権利が非常に限られているということから、そこの
雇用関係に非常な制約を受ける。
従つてそこの
漁村の
封建性ということが強く言えるわけでございますが、それは單に
権利の
所有関係のみではなしに、
漁業の
経営の
内容、例えば
漁業労働者にまつわりつく
封建性といつたようなことが強くここに批判を受けるような形に
なつたわけであります。又小
漁民と相当大きな
経営者の方が同じ
水面で競合して
漁場を
利用いたしますので、
農地にはない問題でございますが大
経営と小
経営の問題が同じ
水面でぶつかり合
つてしまう。そこでその場合にそれを
調整する何らかの
調整機構がなくてお互いに
権利を主張し合うという形で、
漁場をめぐて非常な紛争が起つたわけでございまして例えば
定置漁業権ならば張り立てます場合に相当広く
水面を使用いたしますので、右の場合にその零細な
漁民の
人たちが
專用漁場を使おうといたしましてもそれによ
つて排除されてしまうという形が起るわけであります。又小
漁民同士も
甲部落、
乙部落の例をと
つてみましても村の
慣行に基いて
利用関係がきま
つておりますので、その後事情が変りました場合に、甲と
乙部落の
漁場の
利用をめぐりまして、
專用漁業権、
入漁権というような形で水あらそいのようなものが絶えなかつたわけであります。こういうようなことは
漁業権を従来の
慣行そのままに固定して
作つたということよりも、計画的に
水面の
利用ということを考えなかつた点、殊に
権利を野放しにして
しまつて調整を考えなかつた、こういうところに
欠陥かございまして、
漁場の
利用関係というものを全く梗塞してしまうというような状態に
なつたわけであります。御
承知の
通り明治四十年代から
漁面の
合法化ということが急速に進みまして、これが作られました当初にこの
漁業権というものは立派なものであつたと思うのでありますが、丁度この
法律ができました当時に、
漁業では
産業革命といわれるような大きな
変化が
漁面の
合法化によ
つて行われまして、このような枠にはめたのでは
調整がつかない問題が起つたわけでございます。又同時に紡績が発達いたしまして網の
大型化というような問題もあ
つて漁場の
利用関係を規正する
法律としては極めで不十分なものにな
つたのでありますが、それをそのまま殆んど
改正いたしませんで最近までずつとそのままでや
つて来たわけでございます。
そこで
現実の
漁業権の
所有関係はどうな
つているかと言いますと、概観いたしますとこの左の方の図でございますが、全体の
所有関係でございますが、全体の約六四%は
漁業会、
漁民の団体が持
つているわけでございます。
あとの三二%は個人、四%が会社というような形にな
つております。その内訳はこの下で
御覧になるとわかりますように、
専用漁業権は先ほど申しましたように
漁民の集団的な
権利でございますので、
漁業会が持
つておりますのは非常に
比率が高い、九三%というものは
漁業会が持
つているということは当然なわけでありますが、他の
漁業権、これは個別的な会社でも勿論
経営できるものでございますが、こういうようなものにつきましても
漁業会の持
つている
比率が相当高いわけであります。併しながら実際の
投資関係を見ますと、第三図で、左から三番目の図で
御覧にな
つて頂きますとわかりますように、実際の
権利者が
自分で網を
経営しているものは非常に少い、
賃貸関係にあるものか非常に多いわけでございます。これは
漁業会の所有が非常にパーセントが大きいのと同時に見合う問題でございまして、
漁業会が
自分で
経営しないで賃貸しているものが非常に多い。これだけ見ますと丁度
農地におきまする
不在地主のような
考え方がとれると思うのであります。この
漁業会が持
つておりまして実際に
経営していないという事実の中には、勿論或る種の
漁業会におきましては尨大な場代を取
つているといつたような問題もありますけれども、そういつたことの起りました根本的の理由は、右に申上げましたような
漁場の
所有関係について何ら
調整の機構がない。殊に小
漁民の
人たちが
漁場の
利用関係も考えておりまして、それに対して発言の
方法がないということから、
漁業権を
漁業会に集中的に持たして欲しい、資金その他もございませんので、
経営しない場合におきましても、
漁業権を賃貸いたします場合には、大きな
経営者に対して、例えば
漁場の
利用の
関係のために網をこういうふうにしてくれとか、或いは
労働者を地元で雇
つてくれとか
いろいろ注文があるわけであります。そういうように
権利を通じて、注文をして
漁場の
調整を取
つて来た、
現行漁業法の
欠陥をそういう形で補
つて来たいきさつがあるわけであります。又そういう運動が非常に強くなりまして、
行政官庁におきましても
漁業会に集中的に
免許するというような
行政方針を数年来取
つて来まして、その
意味でこのような高い
漁業会の
比率が出て来ているわけでございます。こういうような事情なのでございます。これを
改正いたします場合の
考え方というものは当然この
欠陥の中から生れて来るわけでございます。
そこで本題に入りますが、Aの
漁業改革に関する
見積書の方に移
つて頂きたいと思います。こういうような問題がございまして当時丁度
農地改革が発足いたしますと殆んど同時に
司令部からの慫慂もございまして、この
改正の問題が論議されることにな
つたのでありますが、
農地と違いまして非常に
内容が複雑でございまして
関係方面でも、これをどういう方向に持
つて行つたらいいか最後まで迷
つておられたようでございますが、そのために
立案過程に非常に長い期間を通じまして、やつと一昨年の十一月に
法律が通りまして、昨年の三月十四日から
法律を施行するというような、非常に
農地改革より遅れてスタートしたわけでございます。
そこで
漁業制度改革の
狙いでございますが、特に
農地改革との
相違点より申上げますと非常に御理解が易いと思いますから、そういう点を入れてお話して参ります。
法律の第一條に書いでございますように
漁業制度の
改革の本当の
狙いと申しますと、当然
漁業生産力の発展という問題と
漁業の
民主化というテーマでございますが、ただこの場合に、同じく
農地改革においてもこういう問題が出ておりますが、ここに相当本質的な違いがあるというふうに考えられます。その点は目的の点からも課題の点からも当然
方法の点にまで及ぶのでございまして、非常に大事な点だろうと思います。
第一に違います点は
農地改革の場合には
農地を分割することができるわけでございます。そうしてあの
農地改革の行き方としては
土地の
地主制度というものをやめまして実際耕作する農民に分割するという
方法であの
改革をやつたわけでございますが、こちらの場合には技術的に見ましても
漁場を分割するということでは処理がつかないわけでございます。いずれにしても相当拡がりを持つ海区で
水面を総合的に使用するということを考える以外に
方法がない。分割したのでは何ら問題の
解決にならないという点が第一点でございます。又同時に
漁業生産力の発展という問題を考えました場合によく問題になるわけでございますが、ただ
漁獲高が殖えるということでは
解決にならないわけでございますが、現在の
日本の
漁業界は
漁獲高からい
つても
漁民の数から行きましても、勿論世界第一と言われるわけでありますが、非常に集約的に使用いたしておるという点。同時に一人当りの
漁獲高というものが非常に少い、
労働の
生産性と申しますかその点が非常に低いわけであります。これが
日本の
漁業界の非常に特殊な点だと思います。ただこれは
漁業関係から申しますと非常に危險な問題でございます。農業のように種も播いてどんどん殖やせばいいという問題ではなくて、一定の資源というものがございましてそれの
適正量を取
つて参りませんと直ちに濫獲の問題が起
つて来る、非常に長期に見て資源を維持して行くということがございますので、單に
漁獲の絶対量を殖やすという問題ではない、適正な
漁獲童を取
つて行くということが
生産量から見ても問題になるわけでございます。ただそう言いながら同時に
個々の
漁民の
漁獲高、一人当りの
漁獲高というものが低い場合には、当然これは
漁業生産高を上げるということも考えられませんし、本当の
意味の
労働の
生産性というものがそれでは沒却されてしまう、この二つを結び付けるのにはどうしたらいいかという問題でございます。それには当然
水面の総合的な
高度利用、そこにおきまする
労働と
資本を
漁場というものをもつと合理的に維持して、そういうものが維持されるような
管理体制を取るということだろうと思います。そういうものを阻む問題としてここに
漁業の
民主化という問題が出て来たわけであります。現に先ほど申しましたように
漁場の
利用関係というものは従来の
徳川以来の
慣行の固定、こういつたようなことから、当然計画的に
利用さるべきものがされない。と同時に
漁場の非常に大きな独占があるわけであります。そういうような点からここに全く新らしい
考え方で
漁場と
労働と
資本というものを結び付けて考えて行く必要があるだろう。又同時にそれは
漁村においでにな
つて頂きますと直ちにわかりますように、單に
漁場の
利用関係に端を発しまして、おさかなをどう売
つて行くかというような問題、それから
漁民生活、
家族制度とか、そういつたようなものがすべて
漁場の
関係から、そういうような固定的な
一つの障害にな
つております。これが
漁村における団体の構成、更に自治体における
行政面にまで及ぶ、県の行政にまで及ぶ。こういつたものを突つ込んで参りますと、しばしば
漁村の
封建性というもので表現されますが、こういつたものが
漁場の独占と結び付いて牢固として抜きがたい現状にな
つております。
そこで今度の
制度改革の場合に、こういつた問題も取り上げます場合の基本的な
考え方として二つの問題を取り上げたわけであります。それはここで課題のところに書いたように結局突込んで考えました場合に、
漁村に残
つております
封建性或いはしばしば指摘されます
低位生産性というようなものは突き詰めて参りますと
個々の
経営が零細で、而も分散しておりまして、個別的な
経営であるということが圧倒的に多いわけであります。全体
日本の
漁業経営者の中の九五%、
漁獲高で七六%を占めておりますが、これはいわゆる
零細経営なのであります。こういうようなものをただそのままの形で残したのでは
漁業生産の発展ということは当然考えられない、そこで
農地におきましてはむしろ結果から見ますと、
土地を分割いたしまして非常な
零細経営が殖えて来た、ただ自作農という形をと
つておりますが、
経営面から見れば非常にむしろ分散されまして、現に経済面で非常に大きな問題に相成
つておるわけであります。この点
漁業制度改革におきましては、技術的にそういう分散、分割という
方法をとらなかつたと同時に、
考え方といたしまして
漁業権の
所有関係をいじるということでなくて、
漁業の
経営というものをこの機会に根本的に直す必要があるのではないか、そういうふうに考えましてその点を先ず第一に取上げたわけであります。ただその場合先ほど申上げましたように、資源というものは限られてお力ますし、その
水面の
利用関係も非常に規正が要りますので、そこで
方法といたしましては、
漁業の
経営の共同化と同時に多角化を図
つて行きたい。これを前提といたしまして、勿論現在の
漁業権というものを一度御破算にいたしませんと、そういう形がとれないということになるのであります。そういうふうにして
漁業経営そのものを或る
意味では、ただ零細な
経営をそのまま守るという
考え方でなくて、
経営そのものを切換えていわゆる産業ベースに乗るような
経営体を
現実に作
つて行こうということを考えるわけです。それと同時にこれと関連いたしまして、
漁業と国民経済の確立を考えるという
制度的
調整をしなければならないということが、その点は詳細に申上げるまでもないと思いますが、
漁業の
経営いろいろ見て参りますと、水産の内部だけで
解決できない問題がいろいろ出ております。例えば資材
関係にいたしましても、魚価の問題にいたしましても、これがそれぞれいろいろな国の現在の政策と結びついて行われておるわけでありまして、そういつたような、殊にこのような原始産業におきましてはそれが非常な形でしわが寄
つておる。これは現に
経営を分析して見れば非常にはつきりするわけでありますが、こういうような点もやはりこの際
制度的に見て頂く必要があるわけであります。そうして見なければ合理的な
経営ができましてもそれを再生産を続けて行くということができないと考えまして、この二点を同時に取上げて行こう、そして
漁業を
一つの産業として確立して参りたいという
考え方を
とつたわけでございます。この点は
農地改革におきましては、むしろ
経営問題は
あとに讓られまして、現在その問題が農業
改革という形で出ておりますし、
漁業の場合も同時に技術的に取上げざるを得なかつた。それで
農地で申しますと、交換分合といつたような問題、同時に
漁場計画という形で全面的に実施して行く、こういう形をとることになるわけでございます。
そこでそういうような
考え方をとりましたので、実際の
方法といたしましては二年間の準備をそこに想定いたしまして、
現行の
漁業権を全面的に消滅させるという
方法をと
つたのであります。これは
法律が昨年の三月十四日に施行されまして来年の三月十三日までこの問題を終るという
一つの枠内で考えるわけでございますが、その間は
農地改革では一筆ごとに処理して行
つて二年間で処理をやらなければならない恰好をとりますが、こちらで一
漁業権ごとにや
つて行くことができないので、横の
関係がございますから
最初から二年間は
現行通りにしておきまして、その間に
あとで申上げますが、
委員会制度を作りましてその
委員会を中心にして
漁場計画を立てて行く。その
漁場計画の中で初めて白紙になりました
漁場につきまして、どういう
漁業権をどういうふうに設けて行つたならば
水面の
漁場関係からい
つて合理的になるか、それを誰に持たせたらいいかをきめてかかるわけであります。
そこで現在の見通しといたしましては、三回に分けて切り換えて
現行漁業権を消滅させることになるのでありますが、本年の九月一日、第二回は来年の一月一日、第三回に残りましたものを整理するという三回に分けまして、
現行の
漁業権を全面的に消滅させる、こういう想定に立
つておるわけでありまして、その準備過程といたしまして、昨年の八月に選挙制によりまして、全国の
漁場を百七十九の海区に分けまして、そこに海区の
漁業調整委員というものができたわけであります。これが中心になりまして、その白紙に帰つた
漁場をどう使うかということを検討したわけであります。それが
漁場計画という形にな
つております。これが大体本年の六月一杯でまとまりまして現在それを公示して、それについて誰にその計画された
漁業権を
免許するかという審査にかか
つておるわけであります。一方旧
漁業権の補償につきましては、別に
あとで申上げますが、補償計画というものを補償
委員会が中心にな
つて今それを固めてや
つておりまして、この新
漁場の方は、
漁業権を前の
制度におきましては申請者が勝手に申請して参りましたものを
先願主義で
免許するということをや
つておりましたが、今度は初めから計画的に立てるわけでございます。その立てた
漁業権を
免許いたします場合に、
法律の中に適格性、誰が
権利を持ち得る資格を誰に優先的に
免許するかというこの計画
免許と、保有主体問題が法的に書いてあるわけであります。そういうことでこれは
経営内容に立入
つての
改革ということを申したわけでありますが、
法律の中にどういう
権利をどういう者が持つべきか、どういう者に
免許しないかということが明確に書いてあるわけでありまして、これが
個々の
経営の
内容にまで立入
つておるわけであります。
そこで新
漁業権の
内容を極く簡單に申しますと、従来は先ほど申しましたように
定置、区画、特別、専用の
四つの種類がありましたが、今度は三つにしたわけであります。
定置漁業権は様式はそのまま残しておりますが、その中の小型の
漁業権というものは共同
漁業権の方に入れて参つたわけであります。
区画漁業権は大体従来通りで、従来ございました
特別漁業権というものは全部共同
漁業権の中に入れました。従来
専用漁業権として扱
つておりましたのを、底についたのではなく浮魚、この
関係を除いたわけであります。これを共同
漁業権といたしまして、この
考え方は共同
漁業権の中に入
つておりますのは、大体
漁民の集団的な
利用によるものであ
つて、まあ非常なラフな言葉で申しますといわゆる入会権的な
性格を持つたものでございます。こういうような計画、
内容を持つたものはすべて共同
漁業権に入れまして、
あとの
関係のものは
定置、区画というふうに処理したわけであります。従来二十年間の
権利であつたものを一応
定置は五年、区画も五年、共同
漁業権は十年ということに改めたわけであります。そこでこの
経営の
内容でございますが、これは適格性、優先順位の中でそういう問題に触れているわけであります。基本的な問題といたしまして、その
権利の保有主体、その
経営内容というものを協同組合を中心に考えて参ろうとしているわけであります。これは單にこの点は、しばしば誤解のある点でございますが、いわゆる
漁業関係におきましては協同組合は主として技術面の主体にな
つておりますが、
漁業関係におきましては、今後の新法制下におきまして協同組合の計画はそういう單なる技術面の協同化と申すよりは、
漁業権の管理又は
漁業経営それ自体を組合がやるといつたような問題が中心にな
つて参りました。いわゆる生産部面の協同化を伴わない限り、
漁業における協同化というものは本質的な部分が抜けるわけであります。そういう
意味からここに協同組合優先という形を
とつたわけであります。ただ入会権的な
権利、多数の
漁民が集団的に或る規律に
従つて定めなければならん計画は、協同組合が
権利を持ちましてそれで
個々の組合員がその集団的規律によ
つて運用して行く、これをば広義の
漁業管理とい
つておりますが、そういう形をと
つているわけであります。ただそれとは別に、例えば
定置漁業権のようなものにつきましては、これは例えば会社が
経営しても
現実にできるわけであります。そういう場合につきましては、協同組合が若し
自分から
経営するならば最優先に扱うという形をと
つておるのでございます。従いまして従来のような
権利を持
つてそれを賃貸するということは認めておらないわけであります。この点が
あとで申上げますように、そういたしました場合に相当
資本を要します
定置漁業その他について、今度の
権利の切替に伴
つて果して協同組合に
権利が行くかどうかという問題が出て参るわけでございます。その場合にその資金をどう賄うかといつたような問題が補償金の問題と関連して参るわけでございます。いずれにいたしましてもこの
考え方といたしましては、單に零細な
漁民の
経営をそのままの形で維持して行こうという
考え方でになしに、共同化という線は出しておりますが、その場合にむしろ
漁業の自営、
漁業の管理という形によ
つて漁業経営の
内容その他もつまり
零細経営そのものを克服して参りたい、それを
一つの産業ベースに乗せて行くという
考え方が基本的な線にな
つておるわけでございます。そういたしまして、
権利が與えられた
あとの結果につきましては、
委員会を中心としてそれを
調整して行くという
考え方をと
つておりますので、従来のように
漁業権というものを主体にして、当時の
権利を主張し合うことによ
つて漁場の秩序を保つということよりも、新らしい
漁業権の法的な
性格を、突込んで申しますと、いわゆる
財産権的な
性格が極めて弱くな
つておりまして、ただ
漁場を
利用する
関係を規定する
一つの基盤とでも申しますか、そういつた
意味のほうが強いわけでございます。
財産権的な自由な
排他性といつたようなものが
委員会の
調整によ
つても非常に弱められますし、又
漁業権が
権利の売買というようなことが行われませんし、担保性、譲渡性といつたものも当然優先順位、そういつたものがきま
つておりますので、その
関係で非常に制限せざるを得ない。
従つていわゆる
財産権的な
性格というものは非常に弱くな
つておるわけでございます。その点が従来と非常に違
つておる点でございます。そこでこういうふうに新らしい
漁業制度を打出します場合に、当然旧
漁業権というものを全面的に消滅させておかなければ、
漁場の
利用関係、殊に
経営の
内容まで立入
つて組替はできないわけでございますが、その場合に当然に旧
漁業権の補償の問題が起
つて来るわけでございます。この現在の
漁業権の法的な
性格につきましては、先ほども
ちよつと触れましたが、
明治初年の一番
最初の
漁業法ができました場合に、
漁業権の
性格が非常にあいまいだつたわけでございます。そこで
明治四十年代に大
改正が行われまして、その際に一応これを
土地に関する規定を準用するという形で
財産権としての
性格を非常に明確に出したわけでございます。それによ
つてそれを担保に入れて金を借りるといつたような問題もその当時においては相当な
意味を持つたようでございますが、それから又逆にいろいろな
欠陥も起きて参ります。但し法的に申しますと、
土地に関する規定が準用されておりますので、これははつきり明確に
財産権としての
性格を持
つておるわけでございます。この
内容から見ますと、
土地とは大分違うのではないかということが考えられます。
土地の場合にはそれ自体が財産的な
内容を明確に持
つておるわけでございますが、
漁業権の場合には先ほども申上げましたように、
土地そのものの
所有権というよりは、一定の
水面の独占的な排他権、そういうものを中心とした
利用権というふうに考えられると思います。そういうものを一応物権として扱いませんと、
排他性といつたようなことが考えられない、こういうような点から一応物権とみなして
土地に関する規定を準用するということで、その
漁業権と
土地との本質的な違いという点までは触れずに、
財産権として処理して参つたものと考えられるわけでございます。又同時に経済的な
性格の点におきましても非常に違う、これと関連して違う点があろうかと思うのでありますが、ただこれが今後の補償問題と関連いたしまして、特に申上げて置く必要があると思いますのは、これは今度の補償問題、課税問題が起りました場合、大蔵省とも折衝しました際に問題と
なつたわけでございますが、例えば
漁業権の中で
専用漁業権というのがございますが、これは元々部落全体の
権利といつたものが主体にな
つておりますので、
法律的に申しますと、よくドイツ法で問題になります共有というような規定が一番当てはまるわけでございます。つまり一定の人間の集団がそれによ
つて権利を持
つておりまして、同時に
個々の組成員もそれについての処分権を持
つておるといつたようなものでございます。ところが現在の
日本の法制はローマ法
関係によ
つておりますので、非常に個人法制の点を貫いております。そこで例えば
專用漁業権などにつきましては、十分法体系の面から見まして扱えない問題があるわけでございます。団体と個人の
関係といつたものが非常に複雑なものにな
つておりますので、それを現在の法制では賄い得ない。殊に
漁業権のようないわゆる無体
財産権に対する法制というものが産業法規と、それから税制における取扱といつたものに若干の食違いがございますので、この
專用漁業権の取扱などは最も解釈が困難な点だろうと思われるわけでございます。それからもう
一つの点は、一応これは法的には
財産権として取扱
つておりますが、実際の取引
関係、それから現にこれを大多数を持
つております
漁業会における実際の経理上の問題を考えて見ますと、この点も非常な問題になろうかと思うのであります。つまり形式上から見ますと、これが非常に
財産権という形をとりますので当然売買も自由でございますし、それから賃貸その他も自由なんでありますが、例えば売買上の自由というものは勿論ございますけれども、大多数の
漁業会においてはこの
権利は殆んど半永久的な
権利として組合が自力で持
つているわけでございます。これが売つたり買つたりできるような
関係だというように大多数の人間は考えていない。勿論一部の会社その他で当然これを買取つたり、売つたという問題はございますけれども、
漁業権の大多数のものについては、
漁業会がそれを半永久的な
権利ということで金庫の奧に書類をしまい込んで置くといつたような形式のものでございます。特に
専用漁業権というようなものはいわゆる
財産権としての
性格というよりはそこに起きます繩張りと申しますか、生活権の基盤をなしておりますので、そういうものを証拠といたしまして、これをただ長年持ち続けて行くということになるのであります。ほんの僅かな例といたしまして、海藻を
とつたりなんかいたします場合に、その村の事情が変
つて農業その他へ殆んど
漁民が行
つてしま
つて、それでその
専用漁業権に頼らなくてもいいというような場合に、これを磯売と申しまして浜全体を売
つてしまう、こういうようなやり方をおとりになる場合がございますが、それはほんの極く僅かな例でございまして、全体としてはむしろそういう繩張りを示したもので、
漁民の生活の基盤をなす
権利というような形をと
つております。
内容は入会権というふうにはつきり規定できるだろうと思うのであります。そういうようなことがございますが、例えば商法上どうな
つておるかという問題を形式的に分けることが非常に困難なる問題がここにあるのでございます。そこでこの補償の問題が起りました場合に、当然問題にな
つたのはこの
法律が出ましたのは、起案にかかりましたのが昭和二十一年以降の問題でありますので、その前に実は財産税の問題が起
つたのでございます。財産税における取扱といたしましては、
財産権として認めまして、主として
賃貸料を基礎といたしまして、
賃貸料の何倍というような取扱をしたわけでございます。当時
漁業権が二十年間の
免許期間にな
つておりますが、平均的に見て十五年ぐらいだろうということでこの財産税のときには、
賃貸料を十五年分とそれに或る利率で以て年金元価に換算したものがかかるわけでございますが、そういうような
方法で財産税の場合は評価するわけでございます。そういうようなことの評価がございますので、
漁業権の補償の問題が起りました場合にその国がすでに行な
つております財産税の評価と余り違つた
方法はとれないということで大体その算定の方式を踏襲したわけでございますが、その場合に若干の改訂をここに加えたわけでございます。この補償の算式においてはお手許にお配りしております
漁業法の厚い法規がございますが、この法規集の九ページの末尾から概略が書いてございます。九ページのところに別表一といたしまして、「
漁業権等の補償金額算出の概要」というのが書いてございますが、これを見て頂けばよくわかるわけでございますが、大事な要点を要約して申しますと、その補償におきまして、一番当局のほうで重要に考えましたのは、国の
漁業権によ
つて一律に消滅さしてしまうわけでありますから、その場合における
漁業権の価値というものを最も客観的に公平に算定する必要があるだろう。
個々の
漁業権の事情もあると思いますが、むしろ
個々の
漁業権の差という点は勿論考えなければいけませんが、全体としての横のバランスというものを最も重要に考えて行こうということと、これが
財産権の場合におきましては、
個々の事情というものが、横の公平という点よりはその
個々の
漁業権の
現実そこに現われておる数字といつたようなものが非常に基礎にな
つておりまして、その点が全面的に
漁業権で切
つてしまうという場合には
考え方を若干変えなければいかんじやないかと考えたわけであります。
それからもう
一つ違いました点は、財産税の場合には
賃貸料を基礎にして考えましたわけでありますが、前三年の平均という形をと
つておるわけであります。財産税は昭和二十一年の三月を基準にして
とつたわけでございますが、
漁業権の場合には前三年の平均を
とつた。ここに
ちよつと問題がございまして、
漁獲高はいろいろ不安定でございますから、
漁獲高を三年平均いたしまして、それで価額のベースとしては二十一年のその基準のときを使うべきが或いは当然であつたかと思うのでありますが、この場合には
賃貸料の前三年平均という形で、価額
関係もプールされてしまつたような形にな
つております。その前三年方式という形をと
つておられたわけでございますが、実際に当
つて見ますと、殆んど前三年のデータを平均するというようなことが非常に事実上も困難であるということで、この補償金の場合には基準年度というものを設けまして、そのときの数字を精細にとりまして、それとの横の公平というものは別途に
調整して行くという
考え方をとりまして、この基準年度といたしましては、三年間の平均ということではなしに、昭和二十二年の七月から二十三年の六月末までの一カ年を基準年度といたしまして、そこのべースで実際を考える。それによ
つて非常に不当な結果が起るという場合には、それを補正して行くという
考え方を
とつたわけでございます。この場合に勿論大事な問題といたしましては、
現実に切りますのは、本年の八月に切
つて参りますので、この間に価額の大きなインフレーシヨンによるような開きがあるわけであります。これにつきましての
考え方としては、勿論本年八月に切ります場合には、財産税のあれに做いまして、切る直前の三年の平均ということも考えられるわけでございますが、ただこれは後で申上げますように、この補償金の賄いは将来
免許料で支払
つて行く新形体で払
つて行く。
免許料の新形体に対して非常に脅かすような厚いものにな
つては困るという点が
一つと、それからもう
一つは新
免許をいたします場合に、その新らしい
漁業権についてとります
免許料といつたようなものの基準が行政的にもきちんと見通しが付かなければならんと、こういうような問題もございまして、その
意味で補償のベースというものを前のほうで公正したわけでございます。この結果、
漁業権については
漁業権が将来消えるということも明確になりますし、その補償の基準もはつきりしておりますので、或る
意味では
漁業権の価額が公定されるというふうに考えられると思います。この場合、基準年度の平均魚価という問題も出て参るわけでございますが、これはそれによ
つていろいろ公平、不公平の問題も起りますので、
現実には昭和二十三年の三月のマル公を基準にいたしまして、この補償の基準の計算をいたしたわけでございます。
ここで特に問題になります点は、その下に書きました参考資料のところを見て来ますとわかりますように、今のように
現実的な必要があり、価額の公定をいたしまして、この補償を賄
つて行くというやり方を
とつたわけでありますが、
現実にはその後のインフレーシヨンが相当進みましたために、現在切る段階から考えますと、
漁業権の補償の価額が相当低いということでございます。これは課税問題ともいろいろ関連して参ると思うのでありますが、その事情を申上げますと、財産税の基準、財産税のときのベースを申上げますと、魚価指数について見て見ますと、昭和九年から十一年、平均を仮に一といたしますと、財産税の際、実際に払いましたべースというのもは、先ほども申上げましたように、昭和八年、九年、十年の平均でございますので、これを魚価指数で現して見ますと、八・〇七になります。それから
現実に昭和二十一年三月
一般の財産税の取られたべースのときを考えますと四五という指数になります。それから、昭和二十三年の三月マル公における魚価のベースというものは、一九二になります。これが只今申上げました
現実の補償金が計算されております場合の魚価の指数でございます。それから若し仮に昭和三十六年の八月、今年切ります前二年後一応現在
ちよつと公式の魚価指数、その傾向線を伸ばしまして、三年平均して見ますと、大体指数としては五〇〇から五五〇ぐらいのところに行くわけでございます。従いまして若しこの
制度改革がなかつたらということを考えますと、現在の
漁業権の補償の額というものを考えますと、大体五〇〇から五五〇ぐらいのべースで恐らく考えなければならない問題ではないか、それが実際には一九二というようなベースで以て開いて行く、こういうように
漁業権の補償が非常に低い、
現実の
漁業権が若し
制度改革がなかつたらと想定します場合の
漁業権の補償額は、
現実の
漁獲高とか
賃貸料といつたようなものから計算いたしました場合に、相当高いものであろうが、こういう形で非常に低く評価されているという点でございます。この点は相当問題になるんではないか、ただ
一般的に取引
関係にこのような補償の低いということが不測の損害を與えるということは、これは自然にこういう
法律関係が出て参りますので、不測の損害を蒙らすということはございませんが、ただ
現実の評価そのものが低いということが考えられる。
それからもう
一つこの点と関連して申上げておく必要があると思いますのは、資産の再評価の場合にどういう取扱をしたかという問題でございます。この点は資産再評価法におきましては、
漁業権の資産評価の倍率は十倍という形にな
つております。併しその十倍という場合に、昭和二十五年の一月が再評価の基準でございますので、若し
漁業権が前三年の平均というものをと
つておりませんで、指数で申しますと、昭和二十一年の三月が四五でございますから、昭和二十五年の一月というのは、大体四〇〇台になります。
従つて十倍の倍数があれば大体その中に納まるという問題になるわけでございます。
現実には今度の補償のべースはそれよりも低い、
従つて資産再評価の倍率も
現実の指数としては一九二と内輪にな
つておりますので、そういう点も
一つの問題になろうかと思
つております。こういうような点から事務当局としましては、前に御
説明申上げましたように再評価という形で課税問題の矛盾を
解決しようという問題もこの点から起つたわけでございます。
なおこの辺につきましては、後で御質問があると思いますので、その際に譲りまして、そこで、次にどのような補償を将来とるか、
免許料との
関係でございます。これを特に申上げておく必要があると思いますが、
免許料、許可料というものの本来の
性格というものと、その後のいろいろな
関係から、若干
法律関係が変
つて来ておりますので、この経過を
ちよつと申上げておく必要があると思います。当初立案いたしました当時の
考え方といたしましては、補償金と将来の
免許料、許可料というものは全く切り離して考えておつたわけでございます。つまり補償のほうは
現実に
財産権として取扱
つております
漁業権を消滅させますので、当然それの補償が要るということなんでありますが、ただ将来の
免許料という
考え方は、
漁業権のような相当独占
排他性を持つた
権利を與えました場合に、現在ではその
漁業権は
財産権として扱いますので、賃貸している、相当高額な
賃貸料をと
つているものがあるわけであります。若しこれが
土地のような場合のように、原始取得というようなのではなく、何らかこの取得については売買価格を払
つているというような場合につきましては、それを回收する
意味からも勿論それは高額であ
つては問題にならんと思いますが、
賃貸料自体というものがあり得るわけであります。
漁業権の大部分は原始取得でも国の
免許によ
つて與えられるものでありますが、その
内容は非常に独占的に
利用できる、そこで同じような規模の網につきまして、仮に五百万円の経費のかかる網におきましても、甲の
場所と乙の
場所においては
漁場の優劣から見て非常に
漁獲の高が違う場合もあると思います。こういうようなものがその
漁場の
現実のよさの違いが経済
関係におきましては、
賃貸料という形で
漁業権者に帰属しているわけでございます。これを
個々の
委員会に帰属させるのは、国からの
免許によ
つて與えた
漁業権を
利用しないで
賃貸料収入をとることはおかしいじやないか、従来の
法律関係はそれが排除できなかつたわけでありますが、新
漁業法におきましては、
賃貸関係は認めておりませんし、そういうようなものはむしろ国が特権料としてと
つて一般的に還元すべきではないか、こういう
考え方から
免許料、許可料というものが考えられたわけであります。即ちこれの
内容といたしましては、むしろ特権料といつた
性格が強く考えられているわけであります。むしろその結果といたしまして、例えば補償料を賄うといつたような形を立案当初はと
つておつたわけであります。ところが
関係方面からそういうようなとり方はいけない、
免許料、許可料というものはいいが、それは補償金を賄う限度に止めろという問題が出まして、補償総額と
免許料の総額というものを見合わして行くような
考え方がそこに出て来たわけであります。従いまして
性格といたしましては、やはりこれをかけます
内容としては、やはり特権料という形をと
つているわけでありますが、それの補償金の財源との関連で枠が付いたというふうに考えられるわけであります。それで又立案当初におきまする国会の
説明におきましてもそういう
説明はしておりますが、現在の
法律関係では一応この補償財源を賄
つてしま
つたのちにおいては
免許料という形式は一応そこで終り、更にその後どうするかという問題は新しい問題として起
つて来るのであります。ただそういいながら
現実の
免許料のかけ方といたしましては、
個々の旧、元の
漁業権とリンクしてこの網のやつはこれにかけるというのではなしに、やはり
現実の
漁業権の優劣、その収益度といつたような問題を
法律に書きまして、それに
従つて割付けて行くという形をと
つております。この点が非常にわかりにくいかと思いますが、そういう
変化が参りまして現在の
免許料というものは補償財源との見合いという点がむしろ大きな点として出て来ているわけであります。
それからもう
一つ問題になります点は、この場合に補償金というものは勿論これは固定した金額で出て来ているわけでありますが、その補償金を賄います場合にどういうようなかけ方をするか、これを何年にどういつた形でかけて行くかということが今後に残された問題でありまして、これがあんまり大きな金額になりますと、
現実の
漁業権に対する非常な負担にな
つて参るわけであります。又同時にここにインフレーシヨンによる魚価そのものの開きが相当出ておりますから、補償金の金額が固定しておりますのでパーセントとしては全体の
漁獲高に対するパーセントはそういう形で減りましても、
現実の
漁業におきましては非常にいわゆる逆さやと申しますか、甚しく出ておりますので、この段階において
免許料を非常に大きくかけて行くという問題が起りました場合に、相当大きな問題があると思います。以上のようなことを総括いたしまして、ここで補償と
免許料の問題がここに当然考えられます。課税問題が出て参つたわけでございますが、そういうような点につきましては、特にここで申上げて置く必要があると思いますのは、いわゆる
制度改革におきます補償金の意義でございます。殊にこれが丁度
農地証券と同じような問題で、
漁業権証券という形で交付されましたので、これをどういうふうに資金化するのかという問題が、実は
制度改革の成否をきめるような大きな問題にな
つておりますので、課税問題をお考えの場合に、当然これも考慮に入れてお考えを頂きたいと思うのであります。先ず
漁業権証券の問題でございますが、補償金の額はこのお配りしましたC表を見て頂きますと数字が出ておりますが、C表に総括いたしました額の現在の計算で、これは今補償計画をどんどん進めているわけであります。一応の推定といたしまして、
海面と内
水面に分れますが、総計いたしまして、約百七十八億になるわけでございます。
漁業権ごとに割りますと、ここに書かれておるような数字になりますが、全体として百七十八億になりわけであります。それでこれがどういうようなふうに帰属するかということが問題でありますが、先ほどの
漁業権の
現実の保有
関係から見まして、百七十八億のうち約百四十億に近いものが
漁業会に行くわけであります。
あと七億近くのものが会社
関係、それから三十二億が個人の
漁業権者に参るというふうに推定されます。これはまだ推定でございまして補償計画が相当最終的に決定いたしませんと、この数字を確定的には申上げられないのでありますが、大体このように推定をされるわけであります。そういたしますと、ここで特に問題になりますのは、
漁業会に行く百四十億という金が
あとどうなるかという問題でございますが、これは先ほど
ちよつと御
説明を落したわけでありますが、この二年間即ち切替えの行われるまでは
漁業会は
漁業権の保有主体でございますし、
專用漁業権の入会権の主体にな
つていますので、解散させるわけに行かない、そこで新らしく
漁業協同組合というものはすでに
法律が発足しておりますが、
漁業会と並行しておるわけでございます。すでに
漁業会の持
つておりました経済行為、つまり売つたり買つたりというようなものは、新
漁業組合のほうに引継がれまして、
漁業会は経済行為をや
つておりませんが、現在も保有主体としては残
つているわけでございます。そこで今度は、
漁業権が消滅いたしますと同時に解散するということになります。そこで
漁業会が解散いたしました場合に、ここに参りました補償金というものがその
漁業会のメンバーであ
つて、新らしい協同組合の組合員である
個々の持ち分に
従つてA協同組合、B協同組合というものに分割されて行くわけであります。
従つて漁業会に行きました補償金がその中の一部は脱退者に参るわけであります。大部分のものは新協同組合の組合員の持ち分に
従つて引継がれるという形をとるわけであります。そこでそれはどういう
意味を持つかと申しますと、先ほども
ちよつと触れましたように、今度の
漁業制度改革におきましては、
漁場を
漁業権の保有
関係だけをきめるのではなくて、
経営の
内容まで変えよう、殊にここにおいて共同化という線を強く引き出そうというところに当然大きな
漁業経営につきましては資金がいるわけでございます。その資金を賄うためにこの新形態が発足いたします場合に、これは新らしい
法律におきましては新らしい協同組合は
定置なんかにつきましても優先的な取扱をすることにな
つておりますが、その場合に
自分で、みずから
経営するという場合に当然生産手段をそこで引取らなければならない。或いは新たにそこで獲得しなければならないということになります。その資金を賄う
意味で百四十億といつた
漁業会に参りました証券の何がしかのものが資金化されればその生産手段を獲得できる、それから又そういうような
経営が出発いたしました場合に、その
改革の効果を保持して参ろうというような場合に、当然例えば共同施設、冷蔵庫とか、製氷とか、
とつた魚の価値を維持し、その高度な
利用を図
つて行く施設も同時に伴わなければ新
経営体というものは維持されない。こういうような資金的な需要というものが同時に伴
つて来るわけであります。その
内容は補償金は協同組合に行くということと、それに更に
漁業権証券の資金化というものが加わればその循環がつくわけでありまして、そのような循環がついたときに初めて
免許料を支払い得るような
経営形体にな
つて行くと、このような一連の循環を持
つて来るわけであります。このようなことは従来も要求があつたわけでありますが、結局フアンドがないために、常に金融
関係からは金が流れないということでこの循環が断切られたわけであります。今度は補償という財政措置によりまして、最も金融に乗りにくい層に金が行
つておるわけであります。証券の形をと
つておりますが、それが若し資金化されて、同時に新らしい
経営体にな
つてそれが発足いたします場合には、ここで大きく
漁業経営の
内容が切替わると、これを
制度的に裏付けて行くのが証券の資金化の問題であります。経過を申上げませんと、なぜそのような資金が当然要るようなものに初めから証券で出すというような形で、現金で交付しなかつたかというお話が当然出ると思います。この
立案過程におきまして、先ほど申上げましたように、昭和二十一年頃からこの立案にかかつたわけでございますが、当時インフレの最中であり、百七十億、百八十億というような大きな金額の補償を現金で交付するというようなことは当然考えられない問題でございまして、この場合には一応止むを得ず
漁業権証券というような形で交付される。併しそれを何らか資金化する必要があるということはたびたび申上げて参つたわけでございますが、一応
法律の形としては、証券で交付できるような形で
法律が出たわけでございます。そこで一番
最初の
考え方としては大体余り細かく考えませんで、
農地証券と同じような形で相当長い年賦償還というようなものを考えておつたわけでございますが、そういうようなことから証券の資金化という問題をくつつけて考えました場合に、長期の元利均等償還方式といつたようなものが非常に支障になるというようなことで、財源的にこの年々の
免許料が入
つて来るものと、それから補償の財源を無理にそれだけでプールしないでもいいということにな
つて、それの切離しがつくならば、これはむしろ別な形で交付したほうがよいではないかという問題も起
つて参りまして、最近になりまして、この
漁業権証券の
内容は一応五年間で利率としては五分五厘の利付公債で払うということに大体きまつたわけでございます。これは大蔵大臣のほうは、この前の国会でまだ決定的にそう考えてはおらんというような御
説明があつたわけでございますが、事務的には一応そんなことで話が進んでおるわけでございます。そこで当初考えましたような非常に長期なやつ、例えば二十五年の元利均等償還というようなことは証券自体としては考えておらないわけでございますが、
免許料の支払い
関係におきましては、一応財源的には切離しまして、相当長期に分割して
免許料を支払い得るというようなことになろうと、そういうような点が交渉として残
つておるわけでございます。いずれにしましても、証券の
内容をこのように相当改めて頂いたという問題と、更にこの場合に
漁業制度の
改革の必要上、例えば買上、償還ということを織込んで
漁業権証券を本当に活かして新
経営体の発足というものを裏付けて行こうといつたようなことが相当昨年末以来真剣に議論されまして、現在大蔵省のほうとの話合いでは、この前の国会におきます大臣の御答弁によりましても、
漁業権証券の資金化ということは
漁業制度改革上最も必要と思われるから、それは特に考えようという御
説明でございました。それで
方法といたしましては、現在国債整理基金特別会計に、償還期限が来ないまだ不確定の債券についての償還の枠も今年は相当に大きな枠が含まれておりますので、それで以てどうしても必要な分というものは買上償還で大きく賄うことを
一つ考えよう、それから又それ以外に
漁業権証券を損保にして農林
漁業特別会計から共同施設などに融資することが考えられる。それから又
漁業権証券の利率も五年五分五厘ということば一応そういうことで考えているけれども、これが若し変れば普通の金融機関による証券の資金化ということも考えられるのではないか。いずれにしてもそういうようなことを三つ組み合せて
漁業権証券を資金化することを賄うと、ただ具体的な資金の額を幾らにするかということは御
説明はなかつた。このようなことで一応証券の資金化の問題も或る程度見通しがつきまして、現在
水産庁といたしましては、この切替えに伴
つて現実に要ります証券の資金化の
内容につきまして数字をまとめまして、大蔵省と今折衝中でございますが、こういつたような問題がずつと起
つて参りました過程におきまして、この課税問題が起つたわけでございます。これは昨年来しばしば国税庁方面、つまり実際の徴収をする面からこの問題が起
つて来たわけでございますが、立案当局といたしましては、
水産庁におきましても、大蔵省におきましても、この問題は殆んど考えても見なかつたわけでございます。
漁業権の補償に
現実に税がかかるというような問題については、立案当時この問題について全く大蔵省もそう考えておられなかつたし、
水産庁としてもそういうことを考えていなか
つたのであります。併しこれは法人税法その他に対する検討の不十分ということと、又
現実の
漁業界におきまする経理がどうな
つているかというような点についての研究が足りませんで、その後
現行法といろいろ照し合せて見ますると、補償額の半分くらい取られるといつたような問題が起
つて、非常に大きな問題が起
つておるわけであります。それで昨年来その問題が起りまして、事務当局同士いろいろこの問題について研究いたしました結果、つまり
漁業会におきまして帳簿に載せていないというのが非常に多いわけであります。こういつたような問題と、併し法的には一応
財産権として扱われてお
つて、そういうような帳簿上の取扱が法人税法上は非常に困つた問題になるわけでございますので、その問題を調節する
意味で事務当局同士がいろいろ相談しました結果、一応この前の国会でお諮りしましたような再評価という形において、再再評価という形においてこの調節をと
つて行こうと、つまり再評価税という問題も国のやつた措置でございますし、補償の問題をきめましたのも国の問題でございますので、前の再評価法においてはこの両者がくついていないわけでございますが、補償額一ぱいまで再評価を認めるということで、補償金が来ました場合に、それと見合つた損失があつたということが数字的にそこにパーに
なつたというような状態を作
つて行くとこの問題は
解決するのではないか、こういうようなところで一応事務当局の話がまとまりましてお諮りして、その後の経過は御存じの通りであります。そういうような経過があるわけであります。ただこの問題が
漁業権の補償金というものが
農地改革の場合のように一方生産面から脱落して行くかたへの
一つの補償という恰好ではなしに、この補償金が今の新らしい
経営体の出発のファンドにな
つておるという点、又その
現実の地盤といたしまして、
経営面まで立ち入つた
制度改革を踏み切つたという点から考えまして、この際
制度改革の要請と金融政策上の要請とを何らかの形で総合して頂く必要があるのではないかと思うのであります。これが一応の御
説明でありまして、大変長くな
つて恐縮でございますが、なお細かい点につきましては、大分
説明をはしよりました問題もございますから、御質問がありましたら又お答え申上げたいと思います。
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