○
政府委員(
石田正君)
お話のありました
関税及び
貿易に対する
一般協定でございますが、これは御
承知の
通りに一九四七年にジュネーブで、
国際貿易機関がございますが、I・T・〇と呼んでおりますが、これの
準備委員会の最中にこの
国際貿易機関のできるまでの
暫定機関といいますか、それができるのが待
つておれないということがございまして、二十三の国がこの
協定を締結いたしたのであります。この
協定は一部、二部、三部というふうに分れておりますが、一番重要な
部面は第一部でございまして、この第一部におきましては、二十三の国がいろいろと
関税交渉をいたしまして、そうして或る物につきましては
関税率の
引下げをする。それから或る
品物につきましては低い
関税率を将来上げないというような
約束をする。又これはまだありませんが、或る低い
関税率を将来これ以上には上げない
約束をする、こういうふうなことをきめたわけであります。この
税率につきましては二
通りございまして、いわゆる
最恵国扱いをするところの
税率と、それから又
特恵を與えております国につきましては、その
特恵税率というものと
両者につきましてそういうふうな
約束をしたわけでございます。この二十三の国がやりましたところの第一回の
ガットはその後一九四九年になりまして、アンシーという所で
会議をいたしました結果、更に十ヵ国が
加つたのであります。それからなお去年の年末から今年にかけまして、私はつきりした数字は忘れましたが、たしか六カ国と思いますが、これが今度新らしく
ガットに加入すべく
交渉をいたしておるわけでございます。この六万国の中にはオーストリーとか、西独とか、或いは韓国というような国が入
つておるのでありまして、我々といたしましてはその帰趨がどうなるかということを非常な関心をも
つて見守
つておるわけでございます、この
ガットと言いますものは、第一部は先に申しましたような工合に
関税率の問題でございますが、二部以下はまだ発効いたしておりませんが、このほうになりますると、或いは
為替統制であるとか、或いは
国内の
補助金の問題とか、そういうふうな問題につきましていわゆる自由な
貿易の流れを阻害するような障害になる手段を減らそうと、こういうふうなことが規定せられておるのでありまするが、現在の
情勢から申しまして、この
ガットというものがどうなるかという点につきましては、先ほど申しました
国際貿易機関のほうがどうなるかという点と非常に
関係を持
つておるのでございまして、
国際貿易機関が若し発効いたしまするならば、そちらのほうにこの
ガットというものは吸牧されると申しますか、その一部をなすというようなことになるように
考えられてお
つたのでありますが、このI・T
○のほうにおきましては、大体
アメリカのほうが急にこれを批准するということのけはいがない、或いはもう
諦らめてしまうというような動きがありまして、そこでその点非常に悲観的にな
つて来ておるわけであります。そこでむしろこの
ガットのほうの中にI・T・〇の部分を入れて、そうして何と申しますか、I・T・〇の
代替物にしようとこういうふうな
考え方も常に或る
方面においては起
つて来ておる。こういうのが
現状でございます。ただ
国際経済の
現状が相当何と申しますか、緊迫いたしておることは争われないことでございまして、そういう
緊迫状態が続きますると、平常時の観念を以て律し難いという
部面がありまするので、他面におきましては
ガットというものはこれは更に
国際関係が険悪に相成る場合には一時眠らしてしまうといいますか、廃棄するというようなことになるのではないかと、こういう
考え方も従来からあるわけであります。ただ今までのところいたしましては、果して
ガットがI・T・〇の代りのように拡大強化されて行くか、或いはキガツトが
現状以上の進歩を示すことなく、そのままに残るかどうかという、こういうような問題につきましては的確に今予断を下すことはできないというのが
実情でございます。
それからなおこの
ガットが拡大いたします場合は勿論でございますけれども、拡大いたしませんでも、
現状のままで大体足踏みをいたすといたしましても、
日本が
国際貿易の中におきまして、
関税障壁というものの抵抗を
輸出面において少くして行こうというためには、
日本として成るべく早い機会にこの
ガットに加入したほうがよろしい、こういうふうに
考えられるわけであります。なおこの
ガットに
日本が加入することにつきましては、
イギリスその他の国におきましてなかなか容易に肯んじないということ、これは前回に申上げたいことがありますので、ここでは省略させて頂きます。