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1951-03-31 第10回国会 参議院 水産委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月三十一日(土曜日)    午後二時四十六分開会   —————————————   委員の異動 三月三十日委員櫻内義雄君辞任につ き、その補欠として中井光次君を議長 において指名した。   —————————————   本日の会議に付した事件漁船保険法の一部を改正する法律案  (入交太藏君外四名発議)   —————————————
  2. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) それではこれより委員会を開会いたします。  只今緊急上程されました漁船保険法の一部を改正する法律案を議題に供します。  先ず提案者から提案理由の御説明を願います。
  3. 入交太藏

    入交太藏君 只今上程されました漁船保険法の一部を改正する法律案について、その提案理由を御説明いたします。  近年頻発する漁船捕獲拿捕抑留事故は、我が国の置かれております特殊な国際的環境によるものでありまして、これによつて漁業者が受ける精神上並びに経済上の打撃は誠に深刻なものがあるのであります。  漁船拿捕事件は、昭和二十年の韓国によるものを初めとし、引続き同国、ソ連、中国及び中共により年々増加を見ているのでありまして、本年二月末日までの累計は実に二三七隻、うち、抑留、未帰還のもの百十二隻に上つております。殊に昨年末、上海水産公司の手によつて送還された拿捕漁船乗組員五十数名の言明によりますと、中共側はマッカーサー・ラインの存在を否定しておるばかりでなく、東支那海全体を中国の領海であると宣言している有様でありまして、漁業関係者に非常な衝動を与えると共に、又これを契機として、この種の事故は更に頻発する趨勢を示しているのであります。  これがために、関係漁業者の不安は申すまでもなく関係金融機関にまでその不安が波及し、特に東支那海を漁場とする以西底曳網漁業は勿論、千島、樺太に面する北海道各種漁業は前途誠に暗澹たるものがあるのであります。  この窮状を打開することはもとより関係漁業者の熱望するところでありまして、先般参議院においても外務、水産連合委員会を開き、証人を喚問し、詳細に実情を聴取した結果、政府において至急これが対策を講じることを強く要望した次第であります。  政府においては、それに基いて過日連合軍司令部に対し切実な懇請を行なつたのでありますが、一方漁業経営上の不安を除去するためには、取りあえず国の再保険建前とする漁船保険法改正し、この種の危険を保険する途を開く必要がありますので、同法に対し次の改正を行わんとするものであります。  即ち  (一) 現行漁船保険制度におきましては前に述べましたような漁船拿捕抑留による損害を填補する途が開かれていませんので、今回の改正によつて、新たにその途を開くことにいたしたのであります。但しこの場合においても法令に違反して航行又は操業した場合には損害を填補しない建前をとつております。  (二) 組合員保険目的たる漁船拿捕抑留せられ三十日間解放されないときは、これを組合委付して保険金額の全部を請求することができることにしております。  以上がその大要でありますが、何とぞ慎重御審議の上、速かに可決せられますようお願いする次第であります。
  4. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 法案内容につきまして村田課長から御説明を願います。
  5. 村田育二

    法制局参事村田育二君) 条文につきまして簡単に御説明申上げます。  第十七条の次に十七条の二を一条加えておりますが、現行漁船保険法におきましても第二十八条第二項において商法六百四十条を準用しておりまして、特約をすれば戦争保険の契約をすることができるようになつておりますが、そこに書いてあります保険理由の範囲が戦争その他の変乱に限られておりますために、現在必要とされております事態に対処するために十分でありませんので、今度新たにその条文を設けまして「政令ヲ似テ定ムル之ニ準ズル事故」というのを加えたわけであります。ここで政令を以て規定する事故として考えられておりますのは、捕獲拿捕抑留、それから水雷その他の爆発物爆発というようなことを考えられると思います。  それから第十七条の二の第二項は、例えば漁船操業区域の制限に関する法令に違反のような場合には、損害填補の責に任じないというふうな趣旨規定でございます。  それから十八条の次に加えました十八条の二でございますが、これは保険委付の原因を規定したものであります。保険委付現行法におきましても、商法の八百三十三条を準用いたしておりましてできることになつておりますが、今度十七条の二を新たに加えましたのに対応いたしまして、やはり一条を特に設けまして、そうして捕獲拿捕抑留せられた場合には一定期間の後に委付をなし得る、そうして保険金額の全部を請求し得るということにいたしたのであります。  それから第二十二条の四に新たに第四項を加えたわけでありますが、これは漁船保険組合におきましては、保険料率定款で定めることになつております。それで定款変更総会決議を経て農林大臣の認可を経て効力を生ずるということになつておりますが、この十七条の二に基いて、新たに特約を以て契約できる保険につきましては、保険率か情勢によつて変化いたしますので、その変化に応じて料率を速かに改訂する必要がございます。そこで大臣がその変更命令を出しましたときには、直ちに総会決議等の手続を要しないでその効力が生ずるようにいたしたのでございます。それでそのあとは勅令政令に改めるというふうな、その他新たに設けました各条に伴う法文の整理でございます。  以上条文説明大要でございます。
  6. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 何か御質問がありましたら、お願いします。
  7. 千田正

    千田正君 勅令政令に改めるという点でありますが、勅令政令に改めた理由ですね。便宜上であろうと思いますが、そのうちの最も重要な点等について御説明願えれば……。
  8. 村田育二

    法制局参事村田育二君) 勅令政令に改めますのは、単なる立法技術上の整理に過ぎませんので、すでに日本国憲法施行の際現に効力を有する命令規定効力等に関する法律という、昭和二十二年法律第七十二号の第二条におきまして、他の法律中「勅令」とあるのは、「政令」と読み替えるものとする、となつております。読み替えて適用されておりますのですが、今形式的な整備をこの機会にやろうという趣旨でございます。
  9. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) ほかにございませんか……ございませんようでしたら、これから討論を省略して直ちに……。
  10. 千田正

    千田正君 採決の前に賛成意見を申上げます。先ほど発議者であるところの入交委員から、この法案に対して御説明がありましたが、これは誠に我々が長い間考えておつた法案でありまして、非常に結構なことと思うのであります。特に他国の戦争或いは変乱等のために、平和を目標とする国が犠牲になつたり、若しくは侵略の目的なつたり、或いはまじめに法律守つて生業をしている場合において侵されたりするような場合において、こうした機構が制定されるということは、誠に結構だと思うのであります。特にこのたびの目的が、日本が未だにいわゆる独立国家として認められない特殊な立場にあつて、而も生産を上げなければならない、こうした漁民、或いは漁業経営者が不幸なる拿捕或いは抑留というようなことによつて生ずるところのいろいろなる損害を国が全部負担できないために、こうした保険という意味においてこれを補填して行くということが、この中に新たに盛られたという点につきまして賛意を表するものであります。
  11. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) それでは、これから採決に移ります。  本案賛成の諸君の挙手を願います。    〔総員挙手
  12. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 全員一致原案通り可決決定いたしました。  なお本会議における委員長口頭報告内容は、本院規則第百四条によりまして、あらかじめ多数意見者の承認を経なければならんことになつておりまするが、これは委員長において本案内容、本委員会における質疑応答要旨討論要旨及び表決の結果を報告することとして御承認願うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 御異議ないと認めます。  それから本院規則第七十二条によりまして、委員長が議院に提出する報告書につき多数意見者署名を附することになつておりますから、本案を可とされたかたは順次御署名を願います。   多数意見者署名     入交 太藏  千田  正     秋山俊一郎  青山 正一     松浦清一
  14. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 本日はこれを以て散会いたします。    午後三時一分散会  出席者は左の通り    委員長     木下 辰雄君    理事            青山 正一君            千田  正君    委員            秋山俊一郎君            入交 太藏君            松浦 清一君   政府委員    水産庁長官   家坂 孝平君    水産庁次長   山本  豊君   事務局側    常任委員会専門    員       岡  尊信君    常任委員会専門    員       林  達磨君   法制局側    参     事    (第三部第一課    長)      村田 育二君