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1951-02-23 第10回国会 参議院 水産委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年二月二十三日(金曜日)    午後一時五十三分開会   —————————————   本日の会議に付した事件連合委員会開会の件 ○水産物増産対策に関する調査の件  (漁船不法拿捕事件に関する件) ○水産業協同組合法の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 只今から委員会開会いたします。  この前の委員会で決定いたしました東支那海における拿捕事件に関する公聴会の開催につきまして、外務委員会連合委員会を開くことにいたしたいと思いますが御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 御異議ないと認めます。それでは三月六日の委員会外務委員会連合委員会を開くことに決定いたします。   —————————————
  4. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 次に松浦委員から緊急質問がございます。この際許可いたします。松浦君。
  5. 松浦清一

    松浦清一君 外務省のほうお見えになつておるのですね。
  6. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) おります。
  7. 松浦清一

    松浦清一君 この委員会で一九四九年以来、つまり終戦東支那海を中心とする以西定曳の日本漁船がしばしば中共それから韓国、台湾、その方面の船に拿捕せられ、中には船を返してもらつたのもございます。又船員だけ送還せられて船はまだ返してもらえない、そういう船もたくさんにありますので、その事件が起りましたその都度、この委員会では問題にいたしまして、その真疑、それからそれに対する日本政府対策、それからその結果等の質問を繰返し申上げて来たのでございますが、その都度水産庁の御当局では、外務省方面と十分の連絡をとりつ適宜応急の措置を講じつあると、こういう御返答を頂いたままで、はつきりその結果というものが明瞭になつておりません。而も業者、それからその船に乗つておる船員等報告に基きまして我々が調査した結果と、それから日本政府側でキャッチしておられる実相との間に必ずしも全部が一致しておらないという点もあるやに了解をいたしておるので、この機会に終戦マツカーサー・ラインというものが引かれて以後外国拿捕せられておりまする船の実情、つまり経過からいいますと、いつどの区域において拿捕せられたか、何丸が拿捕せられて、それに対して日本政府がどういう対策を講じて、そうしてその船がどういう結果になつておるかということを集計的に一つ報告を願いたいということを前以て要請をいたしたのであります。それからそういう非常に業界にとりましても、日本の全体の水産業立場九らいたしましても、まさに危殆に瀕する状態がだんだんと顯著になりつ航る。そういうことを我々が心配して偽りますそういう矢先に、今月の十九日に東経百二十度三十分、北緯三十度十五分の地点において第二十八、第二十九大漁丸、それから第五十六、第五十七大漁丸、これは二月二十七日であります。それから二月の十八日に南星水産和美丸、それから報国水産の第五十七報国丸、この船が拿捕せられておるという、こういう情報業者関係方面から、それから全日本海員組合現地のほうから報告がありまして、非常に困つておる実情にあるわけです。それからこの前の委員会で問題になつて只今、来月の六日に外務委員会一共同で実情調査をやると、こういうことが決定されたのでありますが、そのときに取上げられました問題は、中共拿捕された五隻の船に乗つた五十四名が日本に帰つて来てもたらしたところの情報によりますと、マツカーサー・ラインというものは国連関係においてきめられたのであつて、中興は国連に入つておらないのだから、マツカーサー・ラインの有無にかかわらず、外に出ようが、内にいようが中共は関知せずに見付け次第に艦船であろうが漁船であろうが拿捕するということを現地の者が言つたと、そういう報告をもたらしたわけなんです。それかけでもこの方面出漁する船員にとわましても業者にとりましても殆んど危殆に瀕する状態になりつつあるときに、こういう事件が起りつつある、これは但しそういう方面情報でありますから、水産庁並び外務省方面に対しては、これが確かに拿捕されたのであるかどうか。若し拿捕されたものであるとすれば、それに対して現在とりつつある対策はどういう御対策であるか、こういうことについて経過と御所信を承わりたいと、こう考えます。その御答弁によりましては、更に重ねてお伺い申上げたいと思います。
  8. 木下辰雄

  9. 鈴木一

    政府委員鈴木一君) 只今お尋ねがございました漁船拿捕事件に関しまして御説明申上げます前に、一言お断り申上げたいと思います。出入国管理庁と申します役所は、外国人が国内に入りましたり、或いは出ましたりするそれの管理をいたします役所でございますので、極くひややかに申しますと、日本船拿捕されるというようなことにつきましては、全然所管外なのでございますが、但し従来我々のほうの扱つております仕事の上から、朝鮮方面の密入国というようなことから、軌鮮関係の交渉がございますので、韓国方面、或いは南鮮方面でこちらの漁船拿捕されたというような際には、韓国当局に対しまして、勿論司令部を通じてでありますが、いろいろな交流の途もございますので、便宜出入国管理庁所管外仕事ではございますけれども、斡旋をいたしておりまして、その結果、最近におきましても、四隻ほどでございましたか、韓国側のほうに拿捕されましたのを放してもらつたというような、具体的に解決しました例もあるわけであります。又昨年におきまして、中国方面懸案事項も、これは中共ではございません、中国代表部がこちらにございます関係、又こちらの顏見知りというようなことから、やはり司令部を通じてでありますが、若干解決をした例もあるわけであります。ただ中共の問題につきましては、我々といたしましては、皆様方のほうの実情を承わつて、そうして司令部のほうに取次いでくれという際に、勿論外務省といたしまして十分な御助力をいたしたいという以外には、我々の出入国管理庁としましてはやる途はないのでございますから、その点をあらかじめ御了承願いたいと思います。  第一番に御質問がありました拿捕船の現況、その後の処置というようなことにつきまして、これはむしろ水産庁のほうから御答弁になるものだと思います。
  10. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) この前の松浦委員質問に対してお答えしたいという長官のお申出でですが、よろしうございますね。
  11. 家坂孝平

    政府委員家坂孝平君) この前松浦委員から拿捕船の最近の状況について報告を求められたのでありまするが、水産庁といたしましては、極く最近まで入手しました資料をここに御報告いたしたいと思います。  これは私どもの福岡の監視所から報告されたもの、或いは会社側から報告されたものなどを含めてあるわけであります。川南工業の第十雲仙丸でありまするが、これは十二月七日、農林漁区二九六区において僚船第十一雲仙丸操業中、武装した中共側艦船に襲撃され、約一時間ほど逃走しましたが、更に四、五隻に包囲され、且つ銃砲撃を受けたので、止むを得ず停船、中国人が操舵いたしまして中国船が護衛の下に上海回航、同地に抑留されました。なお第十一雲仙丸危く難を逃がれ帰航したのであります。  第三、第五大壽丸、これは谷沢明氏が所有しておる船であります。これも去年の十二月二十九日、農林漁区三〇九区において操業中、武装船舶二隻より銃撃されたので、逃避せんとしましたが、約二十分後に両船とも数隻の中共船によつて拿捕され、東バーレン島を経て上海回航、抑留されたのであります。  第三、第五日邦丸、これは齋藤庄次郎氏ほか四名の所有船であります。十二月二十九日、農林漁区第三〇八区において操業中、武装船舶六隻より銃砲撃されたので、逃避せんとしましたが、遂に拿捕されて上海回航、抑留されました。  右五隻の乗組員総員五十四名は、上海水産公司船舶一隻をもらい受けまして、本年一月二十四日無事博多港に帰還いたしました。  第六十八明石丸大洋漁業所有であります。これは本年二月十三日、農林漁区三〇七区におきまして武装船舶より銃撃され、逃避せんとしましたが、拿捕されたのであります。  第十八雲仙丸川南工業所有でありますが、これも二月十七日、農林漁区五一三区において武装した中共の船らしいものによりまして拿捕されました旨、僚船からの通報がありましたが、詳細は判明いたしておりません。  以上計七隻が旧臘から拿捕されました七隻でありまするが、ほかに、極く最近に至りまして会社側その他から情報を得ましたものによりますると、六隻の船が又拿捕されたという報を入手しておりまするが、これの詳報、確報はまだつかんでおらないのであります。  それで水産庁といたしましては、この拿捕が頻々と起きまするので、海上保安庁外務省と密接な連絡の下に情報を收集いたしまして、連合軍関係方面報告して、被拿捕船及びその乗組員の早期の返還努力して参つたのでありまするが、拿捕、抑留された乗組員報告によりますれば、中共側官憲は、東支那海全域を自国の領海と主張しマツカーサー・ライン内たると否とを問わず全海域に亘つて漁船は勿論、監視船をも拿捕すると述べているのでありまして、今後とも拿捕事件が惹起するものと予想されまするので、関係官庁とも協議の上、かかる事件の停止について嚴重中共側の注意を喚起するよう、最高司令部に対しまして懇請することとして、目下その手配をしておるのであります。  大体かような状況に目下あるわけであります。
  12. 松浦清一

    松浦清一君 簡単ですから坐つたままでお許しを願いたいと思いますが、今鈴木長官お話によりますというと、拿捕された船舶に関する問題、それから乗組員送還等に関する問題については、鈴木長官のほうは担任しておられないというお話であつたのですが、こういう現実の問題が起りました場合に、一番最初に報告を受けるのは水産庁であると私は了解しておる。水産庁がその詳報受取つてからどういう径路でどういう所に、どういう折衝をなさるのが日本政府建前でございますか。
  13. 家坂孝平

    政府委員家坂孝平君) 水産庁ではこの拿捕問題につきましての情報を得ますれば、できるだけ早急にNRSに先ず報告いたします。そうしてなお外務省海上保安庁にもすぐ連絡報告をいたしましてそうして又外務省海上保安庁からも司令部方面へも連絡をして頂いておるのであります。
  14. 松浦清一

    松浦清一君 そうしますと、そういう問題の総司令部に対する折衝責任というものは水産庁にあつて、そうして日本外務省はそれに対し協力をすると、そういう建前でございますか。水産庁から外務省報告をされて、外務省を通して総令司部のほうに御連絡折衝すると、こういう関係なんですか、直接なんですか。單に外務省というのは、水産庁の総司令部に対する援助方懇請に対して協力をするという側面的なものしかおやりにならん、そういう機構なんでございますか。
  15. 家坂孝平

    政府委員家坂孝平君) その点は水産庁といたしましては、取りあえずNRSに、いわゆる水産部に直接連絡いたしまして、水産部から司令部内のそれぞれの関係セクシヨンに話をしてもらう、こういう筋を通つておるわけであります。それから外務省のほうはどういう筋に行つておられまするか、その点詳細わかりませんですけれども、やはり外務省としても司令部内の関係先に御連絡しておられることと想像しております。
  16. 松浦清一

    松浦清一君 そうしますと、外務省のこの問題に関する立場というものは、單に側面的な、先ほど鈴木長官お話によりましても、知合いがあつたので折衝等のお手伝いをしたと、こういうふうな了解のできるような御者弁を頂いたのですけれども、飽くまでも船の返還乗組員送還その他においては水産庁責任においてこれをおやりになると、こういうふうに了解してよろしいわけでございますか。
  17. 鈴木一

    政府委員鈴木一君) 今までのところはそういうことになつております。
  18. 松浦清一

    松浦清一君 そうするとこの問題に対する日本の、これはまあ対外的な外交機関独立性というものはないことは私は了解できるのですが、総司令部外交関係に対する日本外務省立場というものは、この問題に対しては関係ないと、こういう種類の問題に対しては関係ないと、そういうことなんですか。
  19. 鈴木一

    政府委員鈴木一君) 関係ないということは言えないと思いますが、水産庁外務商ともども司令部に対しまして要求すべきものは要求する、交渉すべきものは交渉する、そういうことであると思います。ただ我々のほうに拿捕船があつたという報告を直接受けて、それによつてすぐ動く、動かねばならないということではないと思います。第一位の担当官庁水産庁であります。
  20. 松浦清一

    松浦清一君 そうしますと、まだ五隻の乗組員五十四名のほかに、前に拿捕された船で帰つておらない者がおると、それから今度十七日、十八日に拿捕せられたというとがほぼ確認されておる。この船の乗組員、それから船の返還船員送還、そういう問題についてはもうすでに積極的に行動を起しておられますか。水産庁はどうか。それを伺いたい。
  21. 家坂孝平

    政府委員家坂孝平君) 実はこの只今申上げました七隻の分に対しましては、本日NRSのほうに私どものほうからの懇請君を持つて行くことにしております。それ以前のやつはすでにNRSのほうにはそれぞれ私ども要望書を持つてつておるわけであります。
  22. 松浦清一

    松浦清一君 七隻というのを明確にして置きたいのですが、二月十七日の第十八雲仙丸以降、十七日の第二十八、二十九の大漁丸、それから同日の第五十六、五十七大漁丸、それから十八日の第五十七報田丸、それから同十八日の和美丸、これだけですね。この七隻ですね。
  23. 家坂孝平

    政府委員家坂孝平君) 実は今お話になりました七隻、只今私が御報告申上げました七隻につきましては、その都度報告だけは一応NRSには取次いでおるわけであります。それから只今ちよつと名前が出ました報国丸大漁丸、それから和美丸ですが、この六隻につきましては、まだ報告を出していないわけであります。それ以外のものほその都度報告をしておりまして、今日持つて参りましようというやつは。そのまとめたやつを又懇請しようと、こういうふうにしておるわけであります。
  24. 松浦清一

    松浦清一君 大変突込んだことを伺つて甚だ恐縮ですが、若し懇請をしてどうしてもうまく行かないというようなことになつた場合に、とるべき措置というものはどういうことになるのでしようか。
  25. 家坂孝平

    政府委員家坂孝平君) これにつきましては、その業者の損失というようなものにつきまして、国としまして何等かの措置を講じたい、かように考えまして今保險関係の点につきましていろいろ考究している段階になつているのであります。
  26. 松浦清一

    松浦清一君 いや、私の聞いたのはこうなんです、結局取られてしまつて日本の自主権がないのですし、自由権もないのですし、どうしても返してくれないというものを武力を以てぶん取つてくるというようなことは不可能な状態日本が置かれている。結局如何に努力しても返してもらえないという船に対しては、やはり政府保護政策考えるとか、或いは船員に対して損害賠償をしてやるとか、こういうようなお考えを願いたいということを考えたから、どうもしようがないというのでは困るということを今御質問申上げたのじやないか。それに対して極めて緊急な措置を講じられるように一つ御希望申上げておきます。そうしませんと事態は誠に憂慮すべき事態であつて、測り知れない状態が将来に起り得る公算が極めて大きい。マツカーサー・ラインというものを認めないというのですから、中にあろうが、外にあろうが、今長官がおつしやつたように、とにかく見付け次第日本の船を持つて行かれるというような危險性が非常に大きくなりつつあるわけです。そのときにこれはどうも返してもらえない、止むを得ない、返してもらえない船員留守宅のほうも、生活保障のことも、これは運命だ、しようがない、こういうことでは日本の現在置かれている立場から考えて、余りに冷た過ぎる、それに対する措置を迅速に講じてもらいたい、こういうことを私は考えているのでして、その点強く要望申上げます。更にそういうことをするから、船の返還、それから船員送還等についての努力が緩やかにやつていいわけがないのでありますから、能う限り最大限の努力拂つて、速かにこれが返還並びに送還措置がとられるように、これは外務省のほうも、関係の濃淡にかかわらず、御協力を頂いて御努力を願いたい、こう考えております。  もう一つ、この前の前の委員会のときに、私はこれは講和問題と関連して、若し講和会議がどういう状態においてでも開かれて、條約が締結されたというその結果において、日本水産業というものは、若し中共やソ連が講和條約に除外された場合、北洋、東支那海方面に対する出漁ということは只今まで申上げて参りましたように、中共というものがマツカーサー・ラインとい、ものの存在を認めない。あつてもなくても同じことですから向う出漁はできない。これに対して講和條約の中にそれらの漁業をどう保障して行くか、どういう工合に保護されるように持つて行くかということに対するお考え伺つて、それに対する御答弁を頂けないのですが、まだその方針というようなものがおきまりにならないものでしようか。
  27. 家坂孝平

    政府委員家坂孝平君) その点につきましては、いま少しお待ちを願いたいと思います。
  28. 松浦清一

    松浦清一君 慎重に一つ考えになつてこの点に対する対策を御講じにならないというと、この前申上げました通り講和條約ができても、日本水産業というものはびた一文にもならない、こういう結果になる虞れが極めて大きいので、腰を入れて一つこの点は御検討を願いたい。
  29. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) この問題について何か……。
  30. 青山正一

    青山正一君 委員長も同感だろうと思いますが、今のいろいろな答弁のやりとりを聞いていますると、外務省のほうで余りこれは本腰になつていないというふうにも非常に考えられるわけなんです。それでやはり相当委員長といたしましても、こういうような重大な問題は、外務省も同じようにその所在をはつきりして頂くように一つ申し入れて頂きたいということが第一点であります。  それから第二点といたしまして、今のお話を聞いていますと、どうもぴんと来ないところが非に多いのではなかろうかと思うのです。例えば今の連合軍というものは、中共政府相手にしていない。それから中共政府連合軍相手にしていない。そういうふうなことになりますと、たとえ連合軍を通じて中共拿捕された船をとやかく言うても、無駄になる場合が非常に多いのではなかろうか。これは報告程度だろう、こういうふうにも考えられるわけです。それでこの水と油の関係にあるこの両者の関係において、たとえ講和條約が結ばれてマツカーサー・ラインが外れたといたしましても現状におきましてはマツカーサー・ライン連合軍も力を入れているのだ。ところがそれ以後になりますと、却つて逆にもうラインは外されたのだから、どこへ行こうともままよという気持を向うが恐らく抱くのではなかろうか。そうした場合において却つて拿捕される船が多くなるということも、これは予想されるわけです。これは今松浦先生のいろいろな質問事項の中にも入つておりますけれども、そういう点もやはり今後考えて、水産庁が特に進んで行つて頂きたいということを今希望するわけです。  この二点だけ、特に委員長のほうでも心得て頂いて、一つ申入れ願いたい、こういう点であります。
  31. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) この前に拿捕本件がありました当時、委員会証人を喚問した際に、当時の外務次官の御答弁は、外務省十分責任を持つてやるということを確かに太田外務次官は言明された。今回の六日の証人喚問の際にも、外務次官その他を呼んでありますからして、その際に委員会も十分その問題を質問して頂きたい、かように存じます。  松浦君の緊急質問に関する事項は、これを以て打切ります。   —————————————
  32. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 次に、本日の議題になつております水産業協同組合法の一部を改正する法律案議題に供します。先ず家坂長官から改正理由の詳細な説明を求めることにいたします。
  33. 家坂孝平

    政府委員家坂孝平君) 水産業協同組合法改正理由を説明申上げます。  今般提案いたしました改正法案の主要な目的は、第一に組合の守るべき財政基準を定める政令根拠規定を設けること、第二は組合に対する行政庁定期的検査を行うことであります。なおこの際漁業法施行法制定の際及び前回法律改正の際見落しました法律上の不備を補うための改正を三カ所附け加えたのであります。  第一の財務基準につきましては、第五十七條の次に一條を案文のごとく加えたのでありますが、このような規定を必要とする理由は、第一に組合の設立は一応全国的に及んだのでありますが、経営規模並びに自己資本等組合経済的基礎が極めて貧弱でありまして資料水産業協同組合に関する統計集七頁)に御覧の通り、四二・五%は百未満組合であり、六九・六%は二百人未満組合であるというように、極めて組合規模が零細でありまして、従いましてその出資金につきましても(同資料九頁)全国の五六・一%は十万円以下の小組合であります。このような状況にありますことは、いろいろな事情によることでありますが、これが育成強化につきましては、單なる機械的な統合等を以てしては申す迄もなく解決されるものではないのでありまして、これを組合経営の基礎的な財務関係より如何にすべきかを示さなければならないと存ずるのであります。即ち組合のとるべき財務基準を制定することが必要であると存ずるのであります。  第二に、なお尚更に新協同組合の大部分は設立されて以来、旧水産業団体資産負債並びに事業を継承いたしておるのでありまして、経済的種々な変動期に当りまして経営極めて困難なものがあるのでありますが、この事情農業協同組合においても同様な事情にあるのでありまして、目下農業協同組合対策と同一な方策を以ては対策検討中であります。然るに農業協同組合においては、すでに法律改正し、財務基準を制定しその中において出資基準出資増加年次目標規定されておるのを初め、組合員である預金者保護のため信用事業経理につき詳細な基準が定めてあるのでありまして、農業協同組合育成強化対策と同一の歩調をとる上におきましても漁業協同組合再建整備目標を明確にし、且つ信用事業経理についても確固たる基準を示すことが組合の健全な育成の上に必要であるのであります。  このような意味合いにおきまして財務基準を制定する必要がありますから、政令でその基準の詳細を定められるようその根拠規定を提案いたした次第であります。  第三に、只今説明いたしました第一の改正と表裏の関係にあるのでありますが、財務基準を制定いたしましても組合財務が適正に実施されているかどうかを行政庁検査いたすのに当りまして、現行の法規によりましては、行政庁組合業務又は会計法令等に違反の疑いがある場合にのみ組合に対して検査を行い得るとになつているのでありまして、かかる検察的検査では組合の運営の指導的検査をいたすことが困難でありますので、行政庁は毎年一回常例的に組合健康診断をする義務を負う様にしたほうがむしろ組合の健全な発達のため必要なことと考えるのであります。このような規定につきましても、農業協同組合法においては前述の改正と共にすでに改正され実施されておるのであります。よつて第百二十三條に一項を案文のごとく加えたのであります。  これが予算措置につきましては、法律御承認の後直ちに追加予算要求をする準備を持つております。  更に本改正関係を持つ條項といたしまして、第百二十四條において、現行においては行政庁検査を行なつた場合当該組合業務又は会計法令又は法令に基いてする行政庁の処分に違反すると認めるときは必要な措置をとるべき旨を命ずることができるのでありますが、軍に検査のみならず、百二十二條の規定による報告を徴した場合にも、行政庁がそのような事態を認めた場合には、同様の措置がとれるようにする必要があるのであります。即ち例えば書面検査による検査等を行なつた場合に適宜な命令や助言を行うことができるようにして置くことが予算上又は定員上の検査の不備を補うことができるからであります。  以上が主要な改正でありますが、なおこの際法律の主として技術的不備な点につき、これを補う意味において三カ所改正いたしました。  その一は、第七條第二項の改正であります。  第七條第一項に規定した四種の組合及び連合会は独禁法第三十四條の組合として同法の適用を除外されるかどうか公取委員会の判定を受けてきまることになつておりますが、独禁法第二十四條の組合には四つの要件が必要であります。そのうち同條第三号により「議決権が平等であること」となつておりますが、議決権のない準組合員又は準会員を持つ団体は、形式的にはこの要件に反することになり、同法の適用除外を受けられないことになりますので、準組合員又は準会員を持つものは、組合法第七條第一項第一号(特定の業種別漁業協同組合)、第三号及び第四号(特定の連合会)については、この條件は備えているものとみなす旨を規定したものでありますが、第二号の水産加工業協同組合は、従来は正組合員のみでありますから、この必要がなかつたのでありますが、先般の法律改正により、水産加工業協同組合も準組合員を持つこととなりましたので、前述の三種の組合及び連合会と同様に独禁法第二十四條第三号の要件を備えるものとみなす必要が生じたのであります。これは先般の法律改正の際当然改正すべきところ洩らしましたので、今回改正することとしたものであります。  その二は、第八十二條第三項の改正であります。先般漁業法施行法により協同組合法の一部を改正いたしました際、第八十條、第八十一條、第八十二條第三項中「従算する者」を「常時従事する者」と改正なつたのでありますが、第八十二條のみは條文が「組合の営む車業に従事する組合員」となつておりますので、前改正の常時従事する者では改正にならず、常時従事する組合員とすべきなので、改めて第八十二條第三項中の「従事する組合員」を「常時従与する組合員」に改めたのであります。  その三は、第百二十九條第一項中「千円」とありますのを、「一万円」に改めましたのは、貨幣価値の下落に伴い、千円の罰金では効果がありませんので、この際これを一万円に改めたのであります。  大体以上が改正理由で、ありますが、よろしく御審議を願いたいのであります。
  34. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 御質問ありませんか。
  35. 青山正一

    青山正一君 この改正点は、平常から曾根課長の持論でありますが、これは昨年の七月ですか、八月に農業協同組合もこういうふうに改正されましたのですが、そのときにおける予算的措置というものが非常に莫大な数字のように僕は新聞紙上で見たわけでありますが、この漁業法の関係で一体どのくらいの額で予算的措置を講ずるか、その点一つ触れて頂きたいと思います。
  36. 曾根徹

    ○説明員(曾根徹君) 一応農業協同組合法律が御承認になりまして後予算を請求したように心得ております。で只今、準備いたしております予算につきましては、本省に十二名、それから各県に平均四名、二名ずつを以て二班を編成して、各県では二班の四名という補助職員、中央におきます十二名は現在の班のほかに、なお職員の検査の能力を向上せしめるための指導というようなことをも含めまして十三名、以上の増員に更に旅費等を加えまして、総計二千三百万円の予算を、計数を整理して準備しておるのでございます。
  37. 青山正一

    青山正一君 協同組合自体に何かそういうような途を講じてあるんじやないのですか、あの農業のほうでは。
  38. 曾根徹

    ○説明員(曾根徹君) 農業のほうにおきましても、政府職員及び補助職員の増員として適格な数を記憶しておりませんが、約七百名の増員があつたように存じております。
  39. 青山正一

    青山正一君 農業の七百名というのは、協同組合に駐在した職員の費用というふうにたしか僕は聞いておりますのですが、今その説明を聞きますと本省で十二名、各県に四名というようなことになりますと、一体どれだけくらいになりますか。その点もう少し農業協同組合のほうの関係一つ検討なすつて、この予算的措置というものは、別にこの点には関係ありませんですけれども、やはりうんと御研究なすつて、十分な措置をして頂きたいとこういうことを望みます。
  40. 曾根徹

    ○説明員(曾根徹君) 御承知の通り農林省の協同組合部におきまして新たに検査課を設けまして、行政官庁が責任を持つてその常例検査の体制を整えております。なお只今質問の内容の各組合に指導職員を配置しようというような件につきましては、育成強化というような線に沿つて各県で民間の非常に優秀な指導者を委嘱しまして、特に必要のある組合に特別指導の意味を以て指導員を巡遣されておるというようなことを聞いておりますが、只今御注意のあつたこの点につきましては、詳細研究いたします。
  41. 青山正一

    青山正一君 農業のその予算的措置に要する費用というものは相当莫大なように僕は聞いておりますが、この漁業協同組合もこんな引つ込み思案ではなしに、やはりそんな点まで御注意願つて一つ十分な措置を願いたいと、こういうふうに考えております。特にあの際農業協同組合がそれによつて相当恩惠を受けたと、生き還つたというような事実もあるわけなんですから、この際漁業協同組合育成強化する意味合いにおいても、こういう際において十分な予算を取つたほうがよかろうと、こういうふうに考えております。
  42. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) ほかに御質問ありませんか。……第五十七條の二の自己資本の額を政令で定めることになつておりますが、現在日本の金詰りが非常な深刻な場合において、組合の自己資本を急に増加するということは、むしろ組合を倒壊に導く虞れもある、そういう関係で一応政令案が水産庁でできておりますので、政令案を朗読して簡単に御説明願います。
  43. 曾根徹

    ○説明員(曾根徹君) 政令案の御説明を申上げます。この政令案は只今のところまだ総司令部の正式の承認を得ておりません。飜訳して数回に亘りまして提出いたしまして、大体この線に落着くのではないかという見通しでございますが、まだ正式な承認は得ておらないことを御了承願います。読みながら御説明申上げます。    水産協同組合財務処理の基準を定める政令(案)   内閣は、水産業協同組合法(昭和二十三年法律第二百四十二号)第五十七條の二の規定に基き、この政令を制定する。   (自己資本の基準)  第一條水産業協同組合法第十九條   第一項(同法第九十二條第二項において準用する場合を含む。)又は第九十五條(同法第百條第二項において準用する場合を含む。)の規定により組合員又は会員に出資させる水産業協同組合(以下「組合」という。)の自己資本の額は、左の各号に掲げる金額の合計額以上でなければならない。   一、当該組合の有する固定資産の価額   二、当該組合の加入する漁業協同組合連合会、水産加工業協同組合連合会及び農林中央金庫への拂込済出資金  2 前項の自己資本とは、拂込済出資金及び準備金準備金、積立金その他名称のいかんを問わず、剰余金のうちから積立てられたものであつて資本勘定に属するものをいう。)の合計額(繰越損失金がある場合にはその額を控除した額)をいう。  この自己資本とは拂込済の出資金と準備金とで、準備金は準備金、積立金でありまして、引当金のようなものを除きまして、資本勘定に属するような積立金、準備金のその合計額でありまして、繰越の損失金はこれを控除する。この自己資本に対しまして、  3 第一項第一号の固定資産の価格には、当該固定資産の取得又は拡充のためにした借入金の残額で返済期限の到来しないもの(借入期間が一年をこえるものであつて、数回にわたつて定期に返済する契約のあるものに限る。)を除く。  この場合の固定資産の価格には、固定資産の取得の価格、又は拡充のためにした借入金でありますが、年賦償還のような形になつておりますもので、その返済期限がまだ到来していないものはこれを除くのであります。そのような考え方による固定資産の価格と、系統出資金の拂込済出資金の合計額以上に見合うだけの自己資本を持たなければならないという基準でございます。これにつきましては、只今委員長からも御注意ございましたように、附則におきまして五年間の年次計画を一応立てまして、一挙にではなくこの五年間にこの目標に向つて少くとも自己資本額は固定資産と系統出資金の合計額に見合うだけのものを充実することを基準としたものであります。   (経理の区分)  第二條 信用事業(貯金の受入及び資金の貸付ならびにこれらに附帯する専業をいう。)とその他の聖業をあわせ行う組合は、信用事業信用事業以外の難業とを区分して経理しなければならない。  2 前項の信用事業に係る勘定には、信用事業に係る資産として現金、預け金、有価証券、貸出金及び信用卒業に関するその他の債権を、負債として貯金、信用事業に関する借入金及びその他の債務を収入として貸付金利息、預け金利息、有価証券利息及び信用事業に関するその他の収益を、支出として貯金利息信用事業に関する借入金の利息及びその他の損費を含ましめ、信用事業以外の事業に係る勘定には信用事業に係る勘定に属しない資産、負債、收入及び支出を含ましめなければなら。  この第二條は、信用事業勘定についての勘定項目をはつきりと明示しまして、信用事業とその他の事業経理の区分の基準にいたしたのであります。   (貯金の運用の基準)  第三條 唇用卒業を行う組合は、その貯金を定期的貯金の百分の六十の額に相当する金額をこえて、一年をこえる期間の貸付のために運用してはならない。  貯金の運用の基準につきまして、信用事業を行う組合は定期的貯金の六〇%以上を一年以上の長期貸付にしてはいけないという、貯金運用の基準を設けたのであります。これは申すまでもなく、先ほど長官から御説明がございましたように、組合員たる預金者保護と併せて組合の信用を高める目的でございます。   (貯金の拂戻準備の基準)  第四條 信用事業を行う組合は、貯金の拂いもどしに充てるために、左の各号に掲げる金額の合計額以上の金額を、信用事業を行う組合、農林中央金庫、銀行又は郵便局へ預け入れなければならない。  拂戻し準備預金の規定であります。   一 要求拂貯金の百分の二十に相当する金額   二 前号の貯金以外の貯金の百分の十に相当する金額  要求拂貯金の二〇%と、そのほか定期的貯金の一〇%に相当するものは、拂戻し準備拠金として預け入れをして置かなければいけないという意味であります。   (余裕金の運用の基準)  第五條 組合は、左の方法による以外に、その業務上の余裕金を運用してはならない。   一 信用事業を行う組合、農林中央金庫、銀行又は郵便局への預け金   二 国債証券、地方債証券又は農林中央金庫若しくはその他の金融機関の発行する債券の取得  余裕金の運用の基準は右のように規定したのであります。  以上が協同組合財務を健全にする最低の基準考えたのであります。併しながらこれを実施するにつきましては、なお現状は遠く離れておりますので、その経過規定といたしまして附則を設けました。  1 この政令は、公布の日から施行する。  2 この政令施行の際現に自己資本の額が第一條の基準に達しない組合については、同條の規定は、この政令の施行の日から起算して五年間は、適用しない。    五年間の後にこれを適用する。  3 前項の組合は、左表の上欄に掲げる期日までに、その自己資本の額の第一條の固定資産の価額と拂込済出資金との合計額に対する比率がそれぞれ下欄に掲げる比率以上になるようにしなければならない。    第四項第二條の規定は、この政令の施行の日の属する事業年度の次の事業年度から適用し、第三條及び第四條の規定は、この政令の施行の際これらの基準に達しない組合については、この政令施行の日から起算して一年を経過した日から適用する。    第二條の信用事業勘定の経理の区分につきましては、翌年からはつきり実施する、貯金の運用の基準、拂戻し準備預金の基準等は次の年から実施する。    この政令施行の際組合が第五條第二号に掲げる有価証券以外の有価証券を所有している場合には、当該組合は、同條の規定にかかわらず、余裕金をこれらの有価証券の所有のために運用することができる。  すでに第二号に掲げる有価証券以外の有価証券を所有しておる場合には、この規定にかかわらず除外するというふうに経過的な規定を設けた次第でございます。  以上簡單でございますが、一応の御説明を申上げました。
  44. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 何か御質問ありませんか。
  45. 松浦清一

    松浦清一君 これは何ですか、私いつも坐つていて恐縮ですが、協同組合法の改正をやるというと、政府の予算的措置というものはどういうことになるのですか。
  46. 曾根徹

    ○説明員(曾根徹君) 先ほど御説明いたしましたように、御承認ございました後に、この次の国会を控えまして追加予算をいたします。
  47. 松浦清一

    松浦清一君 国会の承認を前提としておるけれども、その見込は立つておるのですか、役所のほうの考え方としては……。
  48. 曾根徹

    ○説明員(曾根徹君) 当初二十六年度の予算を編成いたしましたときに、あらかじめ農業協同組合におきましても、このような法律が制定されました以上は、大体国会の承認を得られるのではなかろうかという心組から予算を計上いたしたのでありますが、事務当局といたしましては、まだ法律改正がないのにこういう予算を計上するのは少上早計である、法律が実施されてから予算を計上するようにというような、はつきりした約束ではございませんが、そういうような事情の下に、その際その予算の計上を一応引下げたのであります。農業協同組合経理におきましても、先ほど申しましたように法律施行後に追加予算をいたして、只今実施しておりまするので、それと同様なことでございまするので、経費については当然考慮されるべきものと考えている次第でございます。
  49. 松浦清一

    松浦清一君 予算的な措置が講ぜられるかられんかということを聞くと、どうも委員が政府委員質問するのは逆のようになりますがね、漁業法の関係なんかの予算内措置というものは完全に講じられて、そうしておの適用が予算的な面において遺憾なく適用されているわけですか。
  50. 松任谷健太郎

    ○説明員(松任谷健太郎君) 御質問の意味は、現在これから提出します漁業法の一部の問題ですか。
  51. 松浦清一

    松浦清一君 これもやはり改正になつてからのこともあるのですが、予算の問題……。
  52. 松任谷健太郎

    ○説明員(松任谷健太郎君) この問題はいろいろ今予算の計数等量つているわけでございますが、予算を必要といたしますのは、漁業法の一部改正の中で、この問題といたしましては、小型機船底曳の整理の問題等に関連いたしまして、いろいろと予算的措置又は資金的措置といつたような問題がございますので、そういつた財政資金といたしましてどの程度要求すべきであるかという具体的な計画につきまして、現在審議中でございますので、それがまとまり次第事務折衝なり国会への御連絡等を申上げたいと、かように存じておるわけでございまするが、いずれにじましてもやはり同じような予算の問題といたしましては、追加予算の問題として考えておるわけでございます。
  53. 青山正一

    青山正一君 今松浦さんのおつしやつたことにからんで申上げるわけなんですが、例のあの漁業法が施行されてから、その後に請願とか陳情とかが山のように溜つておると思うのですが、これは予算的措置が非常に少なかつたというふうなことからして原因するのだろうと思います。例えば調整委員会の費用だとか又は漁業法の予算的措置が十分に講ぜられなかつたために、例えば法律も大きい海区ごとでなく小さい部落ごとに、つまり單個の調整委員会というものを設げられるべき筋合いのものが海区に亘つていなかつたという恰好になつて、あとから問題の起らんように、やはり相当、松浦さんのおつしやつておることも、それから又私が言おうとするところもそこにあるわけですから、あとからこれは予算的の裏付けがなかつたとかどうとかというふうな問題にならんように十分に措置を講じて頂きたい。例えばいつの委員会でも、漁業法の審議に当つても或いは協同組合法の審議に当つても、殆んど各委員から資金の裏付けのない法律というものは駄目だとか、或いは予算的措置のない法律というものは駄目だということを強く要望しておるのですが、今度のこの法律はそういうふうな間違いのないように一つあらかじめ念を押して置きたいというのが松浦さんや私の主張なんです。
  54. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) ほかに御質問ありませんか。この法案と同じような意味の農業協同組合改正法案に対しては、参議院の委員会から希望條件を附けて承認した例があります。併し大体今この政令案を検討いたされまして、いろいろ質問応答も進みましたから、これによりますと大体において自己資本の額を増す場合においても、五年間の猶予期間があります。水産業協同組合法改正法律案に対する希望條項は、大体この政令によつて達せられたというようにも思いますので、如何ですか、別にその法案に対する希望條項はありませんか。
  55. 松浦清一

    松浦清一君 ありませんね。
  56. 青山正一

    青山正一君 農業協同組合のほうの……どういうふうな。
  57. 岡尊信

    ○専門員(岡尊信君) 要するに予算措置でありまして、ただ軍に監督をするだけでは足らない。要するに指導監督費或いは役職員及び組合員の教育宣伝費或いは自治監査的成費、これが主たるものだと思います。及び教育施設費と、少くとも三億数千万円を予算措置孝講ずるように要望する、こういうことなんであります。
  58. 青山正一

    青山正一君 それにからんで申上げるわけですが、五年間の育成強化の方針というのはどういうものですか、その点を一つ承わりたいのであります。
  59. 曾根徹

    ○説明員(曾根徹君) この法律改正に伴いまして財務基準を制定し、その場合にやはりどうしてもそれを検査を並行して参ります場合におきましては、当然組合によりましては基準に達しないような、到底達しられないような組合が生ずると思います。その場合にその基準に達せられない基本的な理由等をよく検討いたしまして、只今御説明されましたような、非常な零細な組合等につきましては、場合によりましてはこれの合併というようなことにつきまして、例えば地方の育成教育会等とも図り、これの合併等をも慫慂し、基礎を固め、この財務基準に、少くとも最低限先ず財務基準に達するような財政的な基礎のある組合に対するということが第一の目標であります。つまり経営基礎の、先ず第一に健全化をいたさなければならないと思います。  第二に、やはり協同組合の民主化といたします上におきましては、組合に対する良識ある理解が基礎になつて、その上における自由な自主性を発達せしめなければならないと思うのであります。ただ單に自由、自主性というものではなく、協同組合に対する教育を十分にやるということが大なことだと思います。従いまして協同組合育成強化組合員の教育ということを法律規定してあります通り、財政の基礎が確立しますならば、必ずその教育費等も計上されて、組合員の教育を進められると思うのであります。それらに対しまして、組合に対するる理解を十分に深めるということが第二に大事な点だと心得ます。その点につきましては、只今委託経営いたしております組合学校等をも強化し、更に講習会等をもいたしまして、そういう点について努力いたしたいと考えます。  第三に、やはり常々陸地とは離れた沖合において組合員が活動しておりますので、その組合経営は一にかかつて役職員の経営能力にあると思いますので、この役職員の能力の向上ということに努力をいたさなければならないと思います。  次にこのようにいたしまして更に強化すべき点は、協同組合の組織的な充実だと思います。單に單個の組合ばかりでなく、これを現に総合し、更に多く基盤を持ちまして系統的な組織の有機的な力としまして、組合の能力、機能を発揮しなければならないと思います。  以上のような点に特に重点を置いて協同組合育成強化をいたして行きたいと思います。  なお当面の問題といたしまして、旧債等によります負債及びその後の経済的な変動によります負債の累加、更にそれに伴います金利の重圧等が取りあえず当面の問題として非常に協同組合経営を困難にしております。この負債に対しまして何らか利子補給等のことについて考慮しなければならんと考えておる次第であります、
  60. 青山正一

    青山正一君 先ほどからいろいろお話を聞いておりますが、例えば最後の予算の決議に要する費用というのは、僅か二千数百万円であるとおつしやつておりますが、今いろいろな厖大な計画もあるそうですね。それから組合経理とか運営も、それだけでは組合の運営の合理化或いは運営の刷新も図れないと考えておりますが、つまり検査と共に役職員の指導監督とか、或いは実地検査指導員とかいうものも僕は必要だろうと思うのです。そういつた意味合いも、やはり附帶決議と申しましようが、希望條項と申しましようか、そういうものも一つ考えになられたらいいんじやなかろうかと、こういうふうに考えておりますので、委員長如何でしようか、今日一日でこれを仕上げしなければならんということになつていましようか。若しこれを適当な、農業協同組合に対してもそういうふうな條項が付いておりますからして、あとから事務当局一ついろいろこういつた不備を、委員各位の意見がそうならば、一つそういうふうにお取上げ願つて、そうして明日でも明後日でもいいからこれを決定してもらいたいと思うのですが、こういうふうな方針で進んで行かれることを希望いたします。
  61. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 今の青山委員の意見は何ですか、希望意見で、申合せを、あれを付けたいということであります。
  62. 青山正一

    青山正一君 まあそれは農業協同組合のような行き方でやはりやつてつたほうがいいんじやないかと思いますが。
  63. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) それでは成るべく本日中に何しようと思いますが、大体専門員のほうで草案がありますから、その草案を一つ御覧下さいまして、青山委員のほうは御提案にして頂ければ結構だと思いますが、それでは合’の希望條件を一つ……。
  64. 岡尊信

    ○専門員(岡尊信君) 政府への注意を喚起する事項一つ第五十七條のこの政令作成家施に当つては経済界の現況なり、現下漁村の金詰り等を十分考慮して愼重を期するの要がある。第二として、第百二十三條の三項として、行政庁は、出資組合業務又は会計状況につき、毎年一回常例として、帳簿検査その他の検査をしなければならないとあるが、これには相当数の人員を中央及び地方に増員し、これに要する経費だけでは組合経理の合理化も運営の刷新も図れないから、検査と共に役職員の指導監督なり、実地検査の指導費、これは組合へ人を置く費用の補助費でありますが、指導費等を盛つての経費を加えて十分なる予算措置を講ずる要がある、こういうことであります。
  65. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) この青山委員の希望條件をこの法案に附することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  66. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) それでは今青山君の希望條件を、討論の際に更に御発言願いまして決定いたしたいと思います。もう質疑は別にございませんか。それでは質疑はないものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  67. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) それではこれから討論に入ります。御意見のあるかたは賛否を明かにしてお述べ願います。青山君からこの内容が上つておりますので、この希望條件としてお述べ願いたいと思います。内容はわかつておりますから。
  68. 青山正一

    青山正一君 本法律案は、漁業協同組合にとつては非常に必要な法律でありまして、是非とも一つ通過させなければならんというふうな考えでおります。殊に漁業協同組合育成強化という点におきましては、この法律を十分活かして今後運営して頂きたい。こういうふうに考えております。殊に政府への特に注意を喚起する事項といたしまして、第五十七條の二の政令の作成実施に当りましては、経済界の現況なり、或いは現下の漁村の金詰まり等を十分に考慮して愼重を期する必要があろうと思いますが、そういつた意味合いのことを強く要望して頂きたい、こういうふうに考えているのであります。  更に第百二十三條の三項として、行政庁は、出費組合業務又は会計状況につきまして、毎年一回常例として帳簿検査その他の検査をしなければならないということでありますが、これには相当数の人員を中央に、或いは地方庁に増員し、これに要する経費だけでも二千万円から三千万円を必要とするように解しますが、ただその検査だけでは組合経理の合理化も、或いは運営の刷新も図れないのでありますからして、検査と共に役職員の指導監督とか、或いは実地検査の指導費などを盛つて、こういつた経費も十分に以えての予算的措置を講ずる必要があろうと、こういうふうに考えているのであります。どうか各委員ともそういうふうな気持で進んで頂きたいと強く要望いたして、社会党といたしまして、この案に賛成するものであります。
  69. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) ほかに御発言ありませんか。討論は盡きたものとして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  70. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 御異議ないものと認めます。青山君の希望條件附によつて只今討議がありましたが、ほかに御意見ございませんようですから、青山君の希望條件附で採決に移りたいと思います。  それでは只今から原案の採決をいたします。原案に賛成の諸君の挙手を願います。    〔全員挙手〕
  71. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 全員一致、原案通り可決すべきものと決定いたしました。  それから本院規則第七十二條によりまして、委員長が議院に提出する報告書につき多数意見者の署名を附することになつておりますから、本案を可とされたかたは順次御署名を願います。    多数意見者署名     青山 正一  秋山俊一郎     人交 太蔵  松浦 清一
  72. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) なお本会議における委員長の口頭報告の内容は、本院規則第百四條によりまして、あらかじめ多数意見者の承認を経なければならないことになつておりますが、これは委員長において本案の内容、本委員会における質疑応答の要旨、討論の要旨及び表決の結果を報告することとして御承認を願うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  73. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 御異議ないと認めます。  では本日はこれを以て散会いたします。    午後三時二十二分散会  出席者は左の通り。    委員長     木下 辰雄君    理事            青山 正一君    委員            秋山俊一郎君            入交 太藏君            松浦 清一君            櫻内 義雄君   政府委員    出入国管理庁長    官       鈴木  一君    水産庁長官   家坂 孝平君   事務局側    常任委員会專門    員       岡  尊信君    常任委員会專門    員       林  達磨君   説明員   水産庁漁政部長 松任谷健太郎君    水産庁漁政部共    同組合課長   曾根  徹君