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政府委員(
瀧本忠男君) それでは私から今回行いました
作業の原則というようなものにつきまして今少しく詳しく御
説明申上げたいと思います。
我々の
作業におきましては、先ほど
人事官から
お話がございましたように、
特別CPS三百八十
都市について行いました
昭和三十四年五月、二十四年十一月、二十五年五月とこの三国の
特別CPSから求めました
地域差指数というものを主として勘案して
作業の
重点にしたのでありまするが、この
特別CPSの三面の値を按配いたしまする
方法につきましては、先ほど
人事官から
お話がございましたように五月の
数字を二つ加えて二で割り更に十一月のものとの
平均を出した、こういうことをやりました。これはどうしてそういうことをや
つたかと
申しますると、この二十四年五月乃至二十五年五月という時期は比較的
経済事情の
変化の少らか
つた時期でございまして、二十四年五月を二十五年五月と比べて見ますると
指数が部分的には違
つておると
ところがありますが大勢としてよく似ておるのであります。
ところが五月の型と六月の型は必ずしもうまく一致していない、従いまして三つ加えて割ると非常に五月にウエイトをかけるという結果になりまするので、
年間の
平均としてはむしろ今
人事官が言われたような
方法が適当なのではないかというようなことからそのような
算出方法を
とつた次第でございます。
併しながら
我我は個別に見て参りまするのに、この
指数の
変化、推移、
傾向といいますか、そういうようなものにつきましてはやはり
十分観察をして参
つたのであります。又先ほど
人事官の言われましたように
特定の
地域におきまして、この町が
一つの大きな工場の
従業員で殆んど構成されておるというような場合、その
数字を入れまする際にこれ又そういう
考慮を十分加えて読むということをいたしました。又或る
都市が
観光都市であるというようなことのために、五月、十一月という時期をとられて調べられたのでは
年間の
平均とほど遠い、どうしても調べるならば夏場を調べてもらわなければならんという
ところも勿論あるわけであります。こういうものにつきましても勿論そういう
考慮を加えました。又或る
地域におきましては非常に寒冷の
地域であるために、五月、十一月という時期が何と
申しますか冬の準備或いは雪に閉されてお
つてそうして物が欠之しておるために
物価が高くなるということから、
年間を通じて見るならばその時期を
とつたということは、その
都市にと
つては非常に高い値をと
つておる、そういうことも又
考慮いたしたのであります。そういう
工合にいたしまして
特別CPSからRDI即ち
地域差指数というものを算出いたしましてこれを
作業の
根幹といたしました。
特別CPSというのは我々の方の依頼によりまして
内閣統計局で
行なつております
指定統計ということにな
つております。これは
虚僞の申告はできない、
統計法上禁ぜられておるわけであります。又この
調査をやるに際しましては、この
調査というものは或る
特定の目的のために使わないから正確に書いてもらいたいということも
言つておるのであります。併し何しろ
全国一万以上の
市町村数に比べまして三百八十
都市という数は非常に少いのであります。又
一つ都市におきましても
消費者世帯というものを無限にとるということは勿論いかないのであります。やはりその数というものは相当範囲が限定されておる。そうするとたまたまこの
調査は
ランダム・サムプリング任意抽出法によりまして
平均が出るように作られておるようにできておりますが、なお数がそれほど十分でないというために少しは
誤差があることがあり得る、そういうことのために我々は
統計局で
統計学上どの
程度の
数字について
誤差があるかということを聞いております、そういうことも勿論
考慮に入れております。
それから本
調査は
指数が八六以上というような所につきましては殆んど全
都調査をしたと
言つてもいいほど
調査をしたことにな
つておりますが、それ以下の
地域につきましてはいわゆる
抽出調査にな
つております。村は殆んど
調査されておりません。町が
抽出調査にな
つております。村をなぜやらなか
つたかということになるのでありますが、我々は
公務員の
消費生活というものを問題にしておるのであります。生産いたしまする
世帶を
調査の対象にいたしましてもそこに何といいますか、
消費の標準というものはうまく出て参らんということもございますので、村というものは殆んどとらなか
つたのであります。仮に、村は非常に数が多いわけでありますが、
とつたとしてもその
抽出というのは非常に悪い、
信頼度というものは非常に低いといわれるのであります。それからもう
一つ技術的に
農村等におきましては非常に忙がしい、それから又こういう或る
程度精細な記入を要求するような事柄は
一般の農家に要求いたしましてもこれはなかなか技術的にもうまいものが出て来ないのでございます。主として上の町以上の
ところについて
調査したのであります。こういうことにな
つております。これが
一つの
基準にな
つております。
今
一つは先ほど
人事官から申されましたように、
府県には我々が
提出を要求いたしております、県内における
生活水準というようなことから、
府県内の
地域に
順位を付けてもらいまして
提出の要求をしておるのであります。これを我々が全部鵜呑みに使うというようなことはいたしませんで、又我々の立場からその
順位の
妥当性というようなことを検討いたしまして、おかしいという場合には再三
照会を発しておる、だから一遍
府県が出したものを出し切りで使
つておるというようなことはいたしません。又
府県から出されました
順位表が
最初は非常に純粋なものが、出されてお
つたが、その後出されて来たものはどう
考えてみても少し政治的な
考慮が加わ
つておるのではないかというような場合には、むしろ
最初の
順位表に
重点を置いて坂上げたというような所もあります。いずれにいたしましてもこの二つをからみ合せまして今回の
作業の骨格を作成いたしたのであります。
更に
都市と
周辺の
町村ということにつきましては、先ほど
人事官からも
お話がございましたように、これは今回のやり方がすべて
勤務地主義にな
つておりまするが、その
居住地主義という
考え方もあり得るわけであります。
居住地主義の利点も取入れますために
都市と
周辺の
町村の間には成るべく大幅な格差は設けないという
一つの
方針を入れて参りました。それから又同一
経済事情の下にあります
都市の間につきましてはこれ又
均衡を図るということにいたしました。それから我々の
作業はもともと
府県の
順位表というものを出してもらう必要があります
関係上、
特別CPSをやりました三百八十
都市というものを
府県別に分けて
考えたのであります。県全体としてはやはり
順位がついておりましようけれ
ども、
府県別に分けてやりまして四月、五月の
府県内における
特別CPSをやりました
都市のその
指数というものを
一つの
根幹にいたしまして、これに
府県の
数字を当てはめて
府県別の
作業をや
つたわけであります。全体を通じまして東京の次に
大阪とか、
大阪の次にどことかというように、
全国を順次並べるという
作業はいたしません。
従つてこういう
作業をや
つておりますので先ず
府県の
バランスというものは相当とれておる。我々はこの
作業をやりましてどうもわからないときには
実地調査をした所も相当あります。又運よくと
申しますか
陳情等に来られたときには聞き質すという方便もあるわけであります。又我々の気付かないことについては
陳情等で教えてもら
つたこともあります。又
電通省とか郵政省とかのいわゆる
現業官庁に
照会を発しましてそしてそういう所の意見も十分聞いてや
つております。
府県相互間に或る
府県の
地域給が割合に高いとか、或る
府県が非常に低くな
つておるようなことがあ
つては、これは非常に
工合が悪いのであります。
府県間の
バランスというものはこれはやはり何
級地が幾つあるから
バランスがとれておるというのではないのでありまして、やはりそこに表われておる
特別CPSの
指数と睨み合せて
バランスがとれておるかどうかということであります。そういう意味におきまして
府県間の
相互の
バランスというものに十分
注意いたしました。尤もこのことは的確にそれを判断するような
資料というものはあるはずがないのでありますから、各種の観点からいろいろ工夫をいたしまして、そうしてあちらから、こちらからというふうに、
府県のアン
バランスというものがありやしないかということを
注意をいたした次第であります。
それから
同一行政区画内はこれは全部
均衡を図る、これは従来
市町村はそのうちから更に
区分されておりました。又
市町村は勿論でありますが、郡の方は非常に細分割されておるというような
ところもあ
つたのであります。できる限り我々にはこの
同一行政区画内は、これは例えば教員の異動というようなことに端的に従来不便があ
つたわけであります。今回やりました
作業で完全にそれが除去されたとは
申しませんが、
併しながらできる限り
市町村内は勿論、できれば郡内も
均衡を図るという
方針をとりました。
又この
作業は大体八千五十八円のべ
ース引上の一環をなしておるものでありまして昨年の五月現在で行われておる
作業であります。従いましてもうそれでいいということもできるのでありますけれ
ども、
併しなから
朝鮮動乱以後の
地域別に起りました
経済事情の
変化というものにつきましては、やはり或る
程度考慮するのが適当であろうということでそういうものについても
考慮したのであります。
なお一番問題になりました点は先ほど
人事官も言われましたように、この
地域給の査定の
作業が本年の一月一日に切替えられたのであるならば、或いはその上げ下げをするということも当然できたでありましよう。
併しながらすでに現在
暫定案といたしまして、二割五分、一割五分、五分で押して参
つたのであります。而も我々の八千五十八円の
勧告は大体本年の一月一日にその
水準においては実現されたのでありますけれ
ども、これは我々は昨年の五月の
水準でや
つておるのでありますので、時間的のズレもあり
一般的に見てみますならば、昨年の五月以降におきまして
朝鮮動乱の
影響を全般的に受けておるわけでありますから、そういうような状況におきまして即ち現在更に
地域給のみについてこれを引下げを行うということになりますとやはりそれは相当辛い問題であります。
それから又我々の八千五十八円の
勧告がそのまま実現されませんで、この傾斜が少し急にな
つておりますために
却つて下の部分につきましては、そのために非常に不利益をこうむるという所もあるかも知れませんというような
考慮から、現在の
暫定案はもう切下げない、その実績は確保するということで
作業を始めたのであります。従いまして仮に一番最後に申上げました
一つの
方針が入らなければ、全部はまだまだきれいな形に
なつたでありましようけれ
ども、現在の状況の下におきましてはそういう
考慮を
給與行政上加える必要がありますので、そういうものが入
つておりまするために、若干我々が思
つた程度にうまく
均衡のとれなか
つたものもあり得るわけなのであります。
併しながら以上申上げましたようにいたしまして作りました我々の案というものは、現在我々の力を動員いたしまして作り得るこれはもう最高のものであるというふうに
考えております。
併しながらこれは今後におきましてやはり
地域の
経済事情の
変化ということも相当あり得まするし、又将来に
亘つて変化ということはあるのであります。
給與法にも明示されておりますように、我々は今後に
亘つてそういう
事情を絶えず研究いたしまして、必要があればこれを
勧告するということは申すまでもないことであろうというふうに
考えております。
今回のそういう
措置によりまして、
地域が変
つたことは先ほど
人事官から
お話がございましたが、更にこれを受取ります人員がどういうふうに
変化したかという点をちよつと申上げてみたいと思うのであります。それは現在
地域給の
支給を受けております
公務員の数というものは案外多いのでありまして、これは東京とか
大阪とか大
都市に集中いたしております
関係上、当然そういうことになるのでありますけれ
ども、現在
勤務地手当を受けております者は、国家会務員八十八万くらいのうち約七五%が多かれ少かれ
地域給というものの
支給を受けておるのであります。今般の改訂によりましてそれがどれだけ殖えるかと
申しますと、絶対値におきましてはやはり約七八%になりますから三%だけ
公務員の数が多くなるということであります。
併しながらこの中には
地域が上が
つた者もあり、従いまして引上を受けた
地域並びに新らしく
指定されました
地域というものを両者合計いたしてみますと、
国家公務員の約九%が今回の
措置によりまして
給與が引上げられる、こういうことになる次第であります。
以上でございます。