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1951-07-14 第10回国会 参議院 人事委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年七月十四日(土曜日)    午前十一時四分開会   —————————————   委員の異動 六月八日委員大谷瑩潤君辞任につき、 その補欠として草葉隆圓君を議長にお いて指名した。   —————————————   本日の会議に付した事件 ○国家公務員給與問題に関する調査  の件  (給與ベース改訂に関する件)  (夏季手当に関する件) ○本委員会の運営に関する件
  2. 伊藤保平

    ○理事(伊藤保平君) それでは只今より人事委員会を開きます。今日は給與ベース改訂に関する件の継続審査をお願いいたします。
  3. 千葉信

    千葉信君 山下人事官にお尋ねいたします。給與ベース改訂に関する勧告の問題については前国会でもいろいろ問題になつたところでありまするが、御承知通り従来の例から言いますと、給與ベース引上げ予算編成以後になされるのが常で、問題が難関に逢着するという状態のために、実現が常に種々な障害に突き当りましたけれども、そういう状態から勧告の時期というものが十分考えられなければならないことが一つと、それから現在の物価高の状態から言いましても、もうすでに勧告の時期が非常に遅延して来ておるという状態だと思うのですが、そういう状態の中でもう政府自身のほうでは、十八カ月予算というようなことが言われておるようでございまして、十月一日からの補正予算ということになりますと、時期的にもそろそろ補正予算編成が開始されておるというふうに私ども考えざるを得ませんけれども人事院としては一体給與ベース勧告の時期をどういう時期というふうに現在お考えになつて進めておられるか、先ずこの点について人事院見解を承わります。
  4. 山下興家

    説明員山下興家君) 今千葉さんからのお話で、給與ベース改訂勧告をいつするかということについては、相当愼重考える必要があると思うのであります。御指摘になりましたように予算編成の時期に十分間に合うということが大きな條件一つであると思います。それで次の臨時国会がいつ開かれるかということと、そこに補正予算が提出されるとすれば、その補正予算編成に十分間に合うし、そうして又こちらから勧告をしましたいろいろなデータについて、政府でもこれを十分検討をせられる期間を置いて、そうして適当な時期に勧告をするというのがやり方だろうと思います。併し余り早くやりますと、又そのデータが余り古過ぎるというようなこともありまして、丁度適当な時期を見計らつて勧告をすることにしたい、そう思つております。
  5. 千葉信

    千葉信君 只今の御答弁から想像されますことは、前にも一応問題になりましたけれども、現在いろいろな物価の問題に関連して、例えば米価引上げであるとか、或いは電力料金値上り、或いは運輸通信料金引上げ等の問題が考慮されております。いずれも国民生活に大きく影響を與える値上りが相当当面する問題になつているようでありまするが、只今お話になられた條件を十分考慮しながら勧告をする必要があるためにその時期等を考えているというのは、こういうふうな問題を具体的に取上げてお考えになつておられるために、そういう御答弁になつておられますかどうか、その点伺いたいと思います。
  6. 山下興家

    説明員山下興家君) 只今指摘になりました点についても無論考慮すべしとは思いますが、御承知のように今まで人事院といたしまして勧告をするのにその計算基礎となりますものが二つございます。それは理論生計費から考えまして、公務員給與ベース国民平均生活水準に合わす、それよりも少くはならないという点が一つと、もう一つ民間の企業の平均に成るべく接近さすというこの二つの線で来ておるのでございます。それでございますから、今の御指摘になりました米だとか、それから電力料金とか、それから輸送費、そういつたものは理論生計費のほうにどう影響をして来るかということは考慮するのでございます。併しそういうものが民間給與にどう影響をするかということによると、これは直接でなくて、間接になつて参りますから、なかなか時期が遅れるだろうと思います。それで結局理論生計費考えます上において米だとか、電力料金、そういうものは当然考えますが、併しそれは未来は我々は考えない、過去の事実のみについて考えるということでありますから、それにはそういう事実があつてからでないと何とも申上げかねる。そういう事実があつたら又改めて影響について研究をして、勧告するというつもりでおります。
  7. 千葉信

    千葉信君 そういたしますると、こういうふうに了解して差支えございませんか。実はもうすでに今年の三月たり四月頃の消費者価格、或いは標準生計費等をとつて見ても、人事院当局としては、もう当然に公務員法第二十八條による勧告をしなければならないような大きな変化が起つて来ておるにもかかわらず、人事院当局がまだ勧告しないでおるという事実はいろいろこれらの状態を調査して、その情勢に適応する勧告を出したいということであつて、第十国会の終末において問題になりました。できれば米価値上り等、或いは電力料金運輸通信料金等料金の見通しなり、或いは確定を待つてからそれに即応できるような勧告を出したいという意向もあるというふうなお話に対して、そういう條件を考慮するということになれば、これは勧告は非常に時期的に遷延するから、そういう状態では現在の窮迫しておる公務員生活は成立つて行かないからできるだけ早い時期に勧告する、そういうことが主張されたわけでありまするが、只今の御答弁から言いますと、米価或いは電力料金等値上り等の問題についてはこれは一応先の問題として現在の情勢に即応するような勧告を近い機会に補正予算編成等を十分考慮して、それにできるだけ間に合う時期に勧告をする、こういうふうに人事院態度がきまつておるというふうに了解して差支えございませんか。
  8. 山下興家

    説明員山下興家君) 千葉さんの今言われました通りと思います。ということは、もう一遍申上げますと、今度の補正予算国会に提出されますときに間に合うようにしたいということが第一條件でありまして、それに間に合えばそれまでにいろいろ米価その他が改訂されますとそれはどういう影響があるだろうという推定はできますがそれを基礎として計算をしてベースをきめるというのには恐らく間に合わんだろう、そういうふうに考えております。
  9. 千葉信

    千葉信君 只今お話は、時期的に多少のズレが私との考えにあるようでありますが、今度の臨時国会までに提出される補正予算等に間に合うようにという言葉は、私の考えておるように、その補正予算編成する場合に、政府がそれを考慮できる時期というふうに考えて差支えございませんか。
  10. 山下興家

    説明員山下興家君) その通りでございます。まあ国会が再開になりますときに出しましてももう間に合わんのでありますから、その予算編成されるのに間に合うように、而もそれが十分消化され研究をされる時期を置きながら提出したいというふうに私どもは希望しております。
  11. 千葉信

    千葉信君 そこで問題になりますことは、御承知通りに、今年四月の地方選挙が行われておりまする最中に、これは政府或いは自由党方面から公務員賃金ベースは二千円程度引上げる用票あるということがいろいろ放送もされ、又公約の形もとられたようでありまするが、その問題が六月中旬になりましてから二千円が直ちに千円というふうに豹変されたようでありまするし、それから又その千円の中には本年一月以降における昇給分を差引くとか、差引かないとかいうような、誠に我々としては愚劣至極な放送がなされているようでありますが、人事院当局としては八千五十八円ベース勧告のときにも八千円前後の枠をはめられたために人事院当局として最初に出た結論というのは、そういう歪められたというような誤解も伝わつたようでありますが、今度の場合、人事院政府のこういう謀略的な態度に牽制されないで賃金ベース金額を算定し、勧告する用意があるかどうか、その点この際承わつておきたい。もう一つは、できればこの際人事院進行中の作業の中から出ている結論としての金額を若し大まかでも御答弁できましたら一つ承わりたいと思います。
  12. 山下興家

    説明員山下興家君) 四月の地方選挙の場合に二千円とか又千円とかいうようなことについては私ども全然関知しないのでありまして、御承知のように、旧憲法におきましては、公務員に対する給與というものは陛下から頂くものという観念でありましたから、国策のほうから考えて今度千円やろう、二千円上げようというようなことは考られたのでありますけれども、私どもは新憲法においてそういう観念は全然ありません。我々は公務員とはできるだけのサービス国民に対してするのだ、国民公務員に対してそのサービスに対する報酬として金を與えるのだ、それが即ち俸給である。そうして殊にそこに労働争議その他が許されておらないのでありますから、人事院としては出す数字公務員としても満足し、納税者である国民も満足するような数字考えなくちやならない、それで一つ一つ積み上げて行つて結果がどうなるということであつて、初めから幾らというようなことは到底出て来ないのでございます。それですから二千円と言われても三千円と言われましてもどちらも我々のほうからは非常に縁遠いことでございまして、何とも申上げかねるのでございます。それで千葉さんが先刻どうも八千五十八円出すときに八千円の枠をはまされたというようなことは、これはどうも人事院に対して非常に大きな恥辱でございまして、そういう観念は毛頭持つておらないので、枠はあるということ自体は全然知りません。現にないのでありますから、それは一つ若し誤り伝えたことがありましたらそういうことは全くないのだということを御了承願いたいのでございます。つきましては、今進行中のものが幾らになるかということは今申上げましたように、だんだん積み上げて行つて、最後合計して幾らになるかということでありますから、計算の途中においてさて幾らになるだろうかという予測を申上げることは私甚だ責任上面白くないことでございますから、出たところ勝負一つお願いしたいと思います。
  13. 千葉信

    千葉信君 出たところ勝負を待つておりますと非常に私ども不安でございますので、できるだけその点は或る程度明確にしたいと考えておるわけでありますが、大体今度の給與ベース引上げ勧告に関する人事院事務操作というものは第十国会の最中におきましても私ども承知しましたところでは五月下旬になれば一応の結論が出る、こういうような形で進行されておつたようでありまするが、併しこの問題については、これ以上追及し、お尋ね申上げても、容易に答弁が得られないと思いますが、先ほどの御答弁の中に、政府言つている二千円とか一千円は大よそ人事院としては縁遠い数字であるというふうに答弁されたように思いまするが、そういうふうに了解して差支えございませんか。
  14. 山下興家

    説明員山下興家君) 先刻申上げましたように、積み上げて行つて計算して合計幾らということで私ども申上げるのでありまして、千円とか二千円が離れているとか、近いとかということを申上げかねるのでございまして、大よそ縁遠いと申しましたのは、その意味が縁遠いという意味で千円とか二千円という先に合計が出るはずはなかろう、あとから合計が出るという意味で縁遠いと申上げたので、数字が近くなるとか、遠くなるとかいう予測には、全く何とも申上げかねるのであります。
  15. 森崎隆

    森崎隆君 話題が次に変るようでございますから、一つだけ給與水準のことについて今山下人事官も申されましたのですが、内容の一端だけをお尋ねいたしたいと思います。余りに早く勧告いたしますと、それだけ公務員に対して不利な結果を生ずる、これはやはり私たちいい意味考えまして、誠に有難い御趣旨だと思いますのですが、この趣旨は昨年以来ずつと、又人事院ができまして以来ずつと通して来られました基本的な御方針でございまするか、最近にそういうような御方針を立てられたのか、その点ちよつとお伺いしたい。
  16. 山下興家

    説明員山下興家君) 森崎さんのお話は、私どもにとつて誠に痛い点でございまして、だんだん進歩して行つておるのでありまして、一番初めに国会開会中に何か出しまして、そうしてまあ更に騒ぎを起したというようなことは、あれはお許しを願いたい、過去にそういうことはあつたのでございます。併し全く我々が早急に仕事をするというのでなしに、本当に正常のレールに乗つたときの仕事状態は、私どもが今考えておりまするように、予算編成されるのに間に合うように、而もそれが余りに早過ぎないようにということを目標としておるのであります。なぜかと申しますと、予算編成には十分にこれを尊重して頂きたい、そういう意味はただ人事院がぱつと出すのじやなくて、基礎がありまして、これは国民生活水準に合すのだ、そうすると国会としては誰も賛成してもらうものだろう、なぜかというと、国民は反対される道理がなかろう、それから又公務員も満足してもらうものだろうというところを狙つて出すのでありますから、十分尊重はしてもらう必要がある。併しそれかといつて、国全体の経済をそれによつて左右をするということはよろしくない、これはフアツシヨでありますから、そうは考えておらない。だから十分に理解してもらい、尊重してもらう時期において、そうしてかけ値なしで、少しのかけ値もないところを出すというのが今の考え方でございまして、これは前に比べると相当進歩した行き方だと思つております。この前から八千円ベースを出しますときにその方法をとりました。御承知のように八月初めに、国会が七月に終つて八月の初旬において間に合わすように出しますと、それは二十六年度の予算編成に取りかかる、大蔵省として予算編成に取りかかるデータを集める月でありますから、それに遅れないようにいたしましようと言つて、あのときにたしか八月九日でしたかに出したのであります。そのときからの気持が無理がないように、十分尊重するようにという気持で出したのでございまして、これは今度も変えないでその方針によつて進みたいと希望しております。
  17. 森崎隆

    森崎隆君 えらい用心深くいろいろお話を承わつたのでありますが、決して私といたしましては、昨年の問題をとやかく言うつもりは実はなかつたのであります。ただ昨年のことを振返つて一言申上げますれば、八月九日の勧告案については、相当あのときに勧告する時期、あのときに決定しておるといたしますれば、それ以前に出すはずであつた勧告案がそのまま八月九日に出されたというところに、現在の人事院のいい意味の魅力というものがある。又勧告後半歳を経ましてやつとああいうことになつたのでございますが、そういう点でも今後は一つ一度勧告したら、国会がいつ開かれようと、二度と勧告しないというような気持でなくて、国会がずつと引延ばされて遅れましたならば、矢継早に今言いましたような新らしい資料に基いて少しでも有利な、国会で審議するにふさはしいようなベース勧告を何度でも出して頂くという、こういう気持に是非なつて頂きたいと実は思つておるわけであります。それから今の点を聞きましたのは、そういう過去のことについてとやかく申すのでなくて、今のように余りに早過ぎても條件が悪くなるという気持で、予算編成にも間に合うし、余りに早過ぎて不利な勧告案を出すことのないように、その気持をもつと積極的に私は出して頂きたいという気持を持つわけであります。現在のようにこれだけの気持でございましたならば、若し政府意思国会開会ということが、まあ意識的に、無意識的にかかわらず、ずつと遅れて行きますならば、結局政府国会を開くという時期につきましては、否応なしに政府決定従つてそれに近付いたところで勧告しなければならないという一つの押被されるという條件の下に、人事院勧告をしなければならないという結果が生じて来るのではないか。私は人事院給與水準勧告につきましては、もつと高所に立つた権威を持つて頂きたい。言い換えましたならば、国会開会について政府はどういうような意図を持つておりましようか。十一月に開くというおつもりでありましようか。又臨時国会を開かないで十二月に通常国会をやろうという意思でありましようとも、現在の公務員給與につきましては、これ以上遷延できない、どうしても七月なら七月、八月なら八月に国会を開くのだ、そうしてこのベースはかくあるべしという、而もその時期は八月一日なら一日からどうしても実施して行かなければならんという時期的な意味を含めまして、嚴とした勧告案人事院として出して頂きたい。この肚がまえを持つて頂きたい。実はそれを希望いたしたかつたのであります。今のようにさつき人事官から申されましたような趣旨をもつと徹底させますれば、そこまで嚴とした勧告を出して然るべきじやないか。逆に言いましたならば、人事院の本当の権威ある勧告が出ましたならば、当然国民の支持をもあましようし、それに従いまして政府愼重勧告案を検討して、これは誠に尤もであるということで、そのことだけにつきましても、早速補正予算を組むということを、作業を早めまして、人事院の次期の勧告は別といたしましても、予想される時期に間に合うように国会が開かれるように政府を持つて行くというところまで、権威あらしめたいという気持を実は申上げたかつたのでございまして、昨年のああいう問題でとやかく申すのではございません。殊に人事院は非常に成長しつつあるのでございますから、今後にそういう大きな期待をかけたいと思います。そういう意味人事院におかれては勧告、私ども考えからいたしますれば、すでにもう勧告は遅過ぎるという気持も十分持つております。一日も早くはつきりと一つ勧告案を出されたい。なお勧告案を出すについては電力料金の問題とか、米価麦価の問題とか、これはまだ未決定であるといつたようないろいろな條件もございましようが、そういう條件は、そのままじつとしておりましては、とてもやはりいつが来ても勧告が出ないということも起り得るのでございます。まあ非常に公務員給與安定ということにつきましては、或る意味では大きな損失、犠牲を與えるのじやないかと思いますので、或る時期までは待つて、それ以上待てない場合には、独自の見解に立ちまして、そういう米価と、麦価や、電力料金の問題、輸送費問題等を、適当な線を人事院で一応考えられまして、それで早くベース・アツプの勧告をされたい。その後国会が早急に開かれまして、そこでそれまでにまあ米価等決定いたしますれば、その部分の修正はその後においていたしましても決して遅くはない、こういうような切実な国民気持に即応いたしまして、政令二百一号の一つ大きな責任を負つておるところの人事院といたしましては、もう少し勧告については時期的な面……内容は勿論でございますが、もつともつと一つ早くやつて頂きたい。これは私として御希望を申上げる次第でございます。
  18. 千葉信

    千葉信君 山下人事官にお尋ねいたします。今国家公務員や、又地方公務員諸君から、政府、或いは地方自治体に対して、夏季手当であるとか、お盆手当というような名目で、現在の赤字補給がどうしても必要だというような立場から、赤字補給金の交渉が相当熾烈に行われておりまするが、この問題について国家公務員諸君人事院総裁に対して、夏季手当、若しくはお盆手当勧告についていろいろお話合いを申上げたときに、淺井総裁のほうから、夏季手当、或いはその種の赤字補給金等の問題については、法的な根拠がないから、人事院としては考慮する余地がない、こういう御答弁があつたそうでありまするが、恐らく私はそういう御答弁をするはずがないとは思いまするけれども、若し事実であるとすれば、相当これは私は問題ではないかと思います。御承知通り公務員法の第二十八條によりまして、この給與勤務條件等基礎事項は、国会により社会一般情勢に適応するように随時これを変更することができる、そしてそれに対しては人事院勧告することを怠つてはならないという形になつておりまして、こういう條文から言いましても、現在のように常時給與改訂が、勧告が出ても直ちには実施もされないし、それから又大体が従来の例から言うと、国会でこれが審議されて決定した後に実施されて、遡つて適用されるというようなことは殆んどない。こういう條件から言いますと、これまでの公務員諸君生計費赤字に対しては、やはり人事院当局としても相当今度の場合などは考慮する必要があるのではないか。特に物価が非常に上つているにかかわらず、給與ベース改訂が遅れているという状態からいたしますれば、今度の場合におきましては特に人事院としてはこの問題を真劍に考える必要があるし、若し又真劍に考えるとすれば、これを独立して、給與べースの勧告と別に、赤字補給金の問題について勧告をするくらいの態度というものが必要だとは思いまするが、又一方から言いますと、今度の給與ベース勧告の際に、赤字補給金のこの問題を取上げて勧告をする親切が、当然私はあつて然るべきだと思うのですが、人事院としてはこの問題についてどういうふうに現在考えておられるのか、方針を立てておられるのか、その点を承わりたいと思います。
  19. 山下興家

    説明員山下興家君) 夏季手当の問題は、御承知のように日本でもお盆と暮というのでまあ收入があるのが或る程度習慣でございますが、夏季のほうは冬季ほど大きくなく、この頃はだんだんと夏季に対する贈答費とか、或いは特別な出費とかというようなことが十二月に比べると非常に少くなつておるということは御承知通りでございます。私ども給與ということに関係しての考え方といたしましては、これは陛下から頂いた給與であるならば又別でありますが、私ども給與労働に対する対価であると考えておりますから、労働をしないで特別の……、労働をしないで何かの、上のほうからもらうといつたような感じはできるだけこれを避けたい気持でございます。それで、そういう意味からいつて毎月もらうのは幾ら、一年間は幾らだというのがはつきりわかつて、そこで労働に対する報酬ということを正々堂々と私はやつて行きたいと思つておるのでございますが、ただ御承知のように冬は非常に出費が多いものですから、年末は特に多いのですから、これには非常に苦心をしたわけでございます。それでその名義の上と実際の上とでどう調節をするかというようなことについていろいろ苦心したあげく、御承知のように年末給といつたようなものが、十三回拂いだといつたよう考え方から、あれはただもらうものじやなくて、初めから労働対価として計算に入れた数字であるという立場考えておるのでございまして、今のところ夏季にもそれを及ぼすという考え方は私どもとつておりませんのでございます。多少はこれは今までの習慣から言いましても無理があるかも知れませんけれども、そこに理想と実際の間の戰いと言いますか、苦しみと言いますかが存在するわけでありまして、御了承を得たいと思います。
  20. 千葉信

    千葉信君 どうも、山下さんの只今の御答弁を聞いておりますと、公務員諸君の現在提起しておる夏季手当の要求に対して、実はいささか誤解をされておる節があるように私は考えざるを得ないのであります。今お話の中にありました労働に対する正しい対価というような問題は、これは非常に根本的に大きな問題を孕んでおるところでありまして、現在の賃金水準労働の正しい対価などとお考えになつておられるとしたら、これはもう給與に対する本質的な誤解をされておられるというふうに私ども考えざるを得ないのであります。その点については、いろいろ能率給体系とか、或いは現在とられておる生活給という体系の中で論議されなければならない点があると思いまするが、今日はその問題については割愛することにいたしまして、只今答弁になりました節から私ども遺憾に堪えない点は、現在公務員諸君が提起しておる夏季手当は、これはどこまでも給與ベース改訂が遅れておるために、不当に給與が支給されておる、そのために公務員諸君生計費には大きな赤字が生じて来ておる、その赤字を何とかしなければならないという立場から要求が出されておりまするし、又政府としてもそういう状態に対しては給與改訂後までこの問題を放置することができない、どうしても給與改訂以前にこの赤字状態に対しては何らかの救済措置を講じなければならない、又一方もそういう立場から、名前は夏季手当であるとか、或いはお盆手当というような名称をつけておりまするけれども、本質はどこまでも給與ベース改訂が遅れているための赤字の補填である。従つてそういう條件に、そういう問題等に対して、やれ労働に対する正しい対価がどうの、それから又通念的には従来冬季に比べては夏季はそう経費がかからない、そんなことをおつしやつておられるのは、現在の物価状態公務員生活状態を知らないかたのおつしやることである。人事官ともあろうものが、現在の公務員諸君の生計の状態なり、赤字状態がどういう形になつているかということを知らないはずはないのです。それを昨年の年末手当の問題をここに持出され、そうして年末手当の場合にはこれは従来日本の国内における通念的な状態として、年末にはいろいろ経費が多くかかるし、支出も大体多いから自分のほうとしては考えたんだということで、夏季手当なりお盆手当という形で出されておるけれども、実質上はベース改訂までの赤字をどうにかしなければならないという、ああいう要望をはつきりとらえておらないのじやないか。こういう点を私は非常に不服に思う次第でありまするが、特に今度の給與ベース改訂の際には、遡つて救済することはどうしても必要だ。こういう点からこの際どうしても私は赤字補給金の問題について今度の給與ベース勧告の際には昨年の年末手当の勧告を出されたと同様の立場で、この問題を是非取上げて頂きたいと思うのです。これに対して山下人事官の御答弁を一応承わりたいと思います。
  21. 山下興家

    説明員山下興家君) どうも私ども勧告をいたします基礎数字は、想像でなくて、過去の現実の事実に基いてやるということは、初めから我々のとつておつた原理でございます。これをどうも先に延ばして、将来こうなるだろうということを想像することは非常に困難であります。それであるから結局統計その他がありまして、時間が遅れるということはどうもこれは止むを得ないことであります。それでインフレーシヨンの時分には遅れます。デフレの時分にはやはり遅れるのでありますから、これはどうも給與ベースがどうしても民間給與よりも或る程度遅れて行くという事実は、これは止むを得ないのであります。それで止むを得ないからそれじやそれでよろしいかということになると、私どもはそうは思わないので、できるだけ遡及をしてもらいたいという気持ではございます。併しそれはどうも国の財政その他がありまして、十分国会で御審議を願つて、どこまで遡及し得るかというところは国力その他を御勘案になつておきめ願うよりほかにないと思うのでございます。ただ私ども改訂をいたしますときには、お盆だとか暮だとかいうようなものを余り考えないで定まつた月、一カ月に幾らもらわなくちやならんのだというところに主眼点をおいて査定し、勧告をするという建前に立つておるのであります。その時期遅れについては、又適当に国会で御審議を願うことを希望いたします。
  22. 千葉信

    千葉信君 そうしますと山下人事官のお考えでは、デフレのときには明るい見通しが出て来るから、インフレのときには相当それに対して先に税金を拂つておけという、こういうお考えでございますか。そうして又国家でそういう問題等について時期的には国会のほうでお考えになればいいというようなお話でありまするけれども、実際上従来の実例から言いましても、国会で審議されて、給與ベース改訂されるまでは、大体時期的に非常に遅れて来る。そういう従来の状態からいつて人事院としてはやはり今申上げたように、現在の非常に窮乏した状態に対応するような処置はどういう方法でとるべきか、根本の行き方についてこれはまあ今山下さんのおつしやつたように、月幾らぐらい與えなければならないかという本筋の勧告をされることは勿論当然でありまするけれども、これに附帶して、例えば昨年年末手当の勧告を出されたときのように、やはり現在生じておる赤字に対しては、当然人事院としては何らかの考慮を拂つて然るべきだと思うのですが、その点については、国会のほうで適当にお考え願いたいというのは、私どもとしていささか承服できないお話であるのですが、如何でございますか。
  23. 山下興家

    説明員山下興家君) 私ども勧告いたしますのは、国の経済をどうするかというところまで立入りますと越権になると思うのでございます。併し公務員給與はかくあるべきものだ、我我の計算ではこうするのが適当である。これは公務員と内閣の間に立つて公平に考えればかくあるべきものだということを天下に公表し、国民に訴えるのが私どもの職務と思つておりまして、これを何月から必ず実行しろとか、或いは今までの赤字を補填すべきだとか、そういうようなところまではどうも立入るべきものとは思わないのでございますが、そうなつて来ると今度は国の経済の上にどう影響するかということになりまして、なかなかこれは経済が非常に窮乏しておりますときには、今度は勧告それ自身が出せるか出せないかという大きな問題に逢着するのでありまして、勧告は経済が如何にあろうとも、その現状をとらえてこうするのが正しいのだというどちらにもつかず、政府側でも公務員でもない中間に立つて、こうすべきが道理だということだけを申すわけでありまして、それを国民、即ちそれの代表者である国会が尊重されて、十分これを御研究下さるだろうと私は思つておるのであります。
  24. 千葉信

    千葉信君 お話結論の中から出て来るのは、公務員給與はどうあるべきだということを人事院としては的確にとらえてそれを勧告すれば足りるのだ、そういう御答弁の中にも、これからの一カ月分の給與なら給與がかくあるべきだという俸給表、或いは地域給或いは扶養家族手当の勧告案を出されることは、これは本筋ではありまするけれども、併しそれと同時に現在公務員諸君給與されておる俸給と、それから物価等の状況から睨み合せて、実はこの程度の赤字が生じておるとか、であるから今日直ちにこういう給與がされなければならないという、そういう立場に立つての年末手当が、或いは赤字補給金夏季手当というような問題を親身に勧告の中に取上げるということは、ちつともこれは政府予算に立入つて、国家の財政をどうしろとかこうしろとかいうことまで意思表示するものにならないと思いますが、その点はどうも山下さん感違いをされておるようでありますが、如何ですか。
  25. 山下興家

    説明員山下興家君) 私もそれは感違いしておるかも知れませんが、十分研究いたしますが、併し今のところ私が思うところは、こう思います。調査をする時期をはつきり明示しております。これは何月の調べでありますということ、それからその何月の調べによるとかくかくあるべきものだ。給與はかくあるべきものだということを申すのでありますから、理論的に言えばそれはその月に遡つて補給するのが当然だと思います。例えば、ところが三月にはこうありましたとこう言つて、そうすれば何千円であるべきだと言えば三月から赤字になつておるわけでございますから、当然三月に遡つてこれはまあ予算編成すべきものと思うのでございます。併し今までマイナスがこれだけあるから、これだけを補給しろとか何とかいうことになると、これは国家の財政に影響するのであつて、何月の調べでこれだけ足りないということ、足らないんだということをはつきりするということは、これは経済から離れたのであるから、初めて私どもはこれは正しいのであり、政治から離れておるのだ、そう思うのでございます。若しもそれが誤りであるならば、いつでも研究して訂正いたします。(笑声)
  26. 紅露みつ

    ○紅露みつ君 大変に理論がむずかしくなつてしまつたのですけれども、そうむずかしいことではないのじやないでしようか。山下さんは公務員給與がどうあるべきかということを勧告なさるのであつて、それが赤字補給金というようなことになると、国の財政に響いて行くから、無論行き過ぎだというようなことをおつしやるのですが、そういうように何かちよつとわからない理窟になつて来るように思いますのですけれども、併しそういうものじやないと思うのですね。今おつしやるようにどうあるべきかということを勧告して下さるのが人事院だとすれば、この問題はもう極めて簡單に片付くのではないでしようか。どうあるべきだということを勧告なさつても、それがずれてしまう。そこに当然赤字が生れる。だからそれを遡つてとか、或いはどういう形にとか、まあいろいろな形が出て来ましようけれども、その間の赤字というものは、これは嚴然として出て来るのですから勧告が遅れる、或いは勧告からの実施のズレ、そういうところにできる赤字補填の、これは勧告をなさることは、ちつとも政治的に行き過ぎだと私どもは思いませんが、どういうものでしようか。そうして山下さん先ほどからも夏季手当というようなことは、習慣上からも起つているのだと言われるなら、その名目をお使いになつて一向差支えはないのじやないでしようか。で、こうあるべきだということを言われたのが、それがその言われたときから的確に実施されるならいいのですけれども、もうすでに勧告しておりますでしよう。規定の五分値上りというときからもズレがはつきり……。これが長い。今後においてもそれはまだずれるのですから、今後のことはとにかくといたしまして、すでに赤字が出ておるのですから、こうあるべきだということを、山下さんそれは政治に行き過ぎだと、政治面に行き過ぎというようなお考えは、一つそれはだんだんと理窟が積み上つて来てそんなふうになつてしまつたのと違いますか。もつと簡單にお考え頂いたほうがいいように思いますのですが……。(笑声)
  27. 山下興家

    説明員山下興家君) それはどうも考え方によるのでございまして、私どもも国の財政を考えながら勧告をするというのであるなら、それは当然そう考えていいと思うのでございます。併し若しもそうであるならば、同期に今度逆手が来るのであります。どうかというと、今こんなに窮乏しておる財政の下で、こういう公務員給與を上げるということは、国策にもとるじやないかと、こう出て来ますと困るのです。だから我々は財政には関係ないのであります。公務員は約これだけの給與をもらうという権利があるのだということを主張する立場に我々は立つておる。だから国民としてはいろいろする仕事がたくさんありましよう。たくさんありましようが、併し国民平均生活水準まで公務員生活水準を持つて行くということに対しては、一つも誤謬がありますまい。それだつたらどんなむずかしい仕事があつても、先ずそれは成るべく延ばしておいて、これを尊重してもらいたいのだというために、財政というものに関係なしに、給與ベースはかくあるべきものだということを私ども言つておるわけであります。それだからそれは計算はつきりありますから、例えば三月からのズレというものは、もう皆マイナスだということは誰もわかつておるのです。だからこれを財政を見積りますときに、大蔵省なり何なりが見積りますときに、当然これは補給するということが当然のことであり、我々が勧告しないにしても勧告するときには何月と言わないで、できるだけ早くと言つておりますから、それはできれば遡及して調査の時期まで遡及するということは当だろう思うのであります。それを今度国会研究されるのでありますから、私はその線をどこまでも通して行きたいという気持があるものだから、何だか固苦しく考えるようにお考えでしようけれども、それと新憲法の下では我々はただ頂戴するのではない、一文だつてただ頂戴するのではない。すべて労働対価として同等の権利を以て給與は受けるのである。だから幾ら受けるかわからんような給與は受けたくないのだという肚を私どもは持つておるのであります。その理想とあの間に挾まりますから、お考えになつて大分窮屈な理窟ばかり言うようにお考えかも知れませんけれども、なかなかそう簡單には行けないところがあるのでございます。
  28. 紅露みつ

    ○紅露みつ君 まあ、それはいろいろに言われるでありましようけれども、現在まあ財政と経済のむずかしい関係になつて来るのですが、いずれにしても、赤字公務員のかたたちは非常に出ちやつていることは確かなんです。国民生活水準に合せてとおつしやるが、合つていない、それが何月も溜つておるのですから、赤字があるということは確かなんですから、要するにこの赤字を埋められるように一つ勧告なさるということは構わないのじやないでしようか、こうあるべきなんで、もう国民生活からこんなにずれて来ておるのだから、調査の結果は人事院で手間取つてしまつたのだから赤字が出ておるのだ。遡及できるのなら無論問題ないのですが、遡及できるという見込がないのでございましよう。それならその気持で以て、その内容で以て理窟がどうあろうとも夏季手当というようなものを勧告なさることは一向差支えないのではないでしようか。やはりおできにならないのでしようか。(笑声)
  29. 山下興家

    説明員山下興家君) 私どもは遡及というには理窟がちやんとあると思います。なぜかというと、それだけのものの調査が前なんだから、その間に赤字があるから当然それは遡及し補填してくれるべきだと、これは一つの権利だと思います。併し、ここに何ものかわからん夏季手当というようなものをぽかぽか出して行くと、一体それは何ものか、どつから来たのか……。我々は一厘だつて、一銭だつて意味のない金を受取りたくないのだという立場から考えますと、遡及という意味夏季手当ということとは同じ金ではあるが意味が非常に違うように私は思うのでございます。
  30. 千葉信

    千葉信君 山下さんのおつしやられることはわからないわけではない。例えば給與ベースがかくあるべきだという勧告を出す場合でもその基準となつているのは今年の三月なら三月、従つて三月の基準に従つて給與ベースはかくあるべきだということになれば、これはもう本当にそういう場合に正しく対応するためには、三月に遡つて支給しなければならないという結論山下さんのおつしやる通り当然出て来るはずなんです。その点で私は決して山下さんの御意見を、又御理論を否定するわけではありませんけれども、併し、山下さんといえども、そういうお立場でそういう理論の上に立つて勧告された場合に、果して適正に三月なら三月から公務員諸君にはこういう赤字が生じておるから、仮に十月一日から給與ベース改訂をする、それ以上の手は打てないという場合に、その基準となつた三月当時からの赤字に対して従来適正な給料が決定されたことがあるか、それから又、そういう條件に対して何らかの考慮が拂われたことがあるかというと、これは山下さんも御承知通りないわけです。全然ないわけです。それから又、将来の見通しとしても、そういうことは我々としては到底期待できない、そこで今申上げておるように特に三月なら三月の基準から言うと、公務員給與はかくあらねばならないというそういう勧告と同時に、その基準となつた三月以降のベース改訂まで、やはりこれは何らかの考慮をどうしてもする必要があるという意味の表現をはつきり勧告の中に行われるか、さもなければそういう給與は、一応便宜上から言うと夏季手当であるとか、或いは生活補給金という形で出すことが望ましいという、そういう積極的な態度人事院としてとることが、これが本当に人事院の権限を生かすのじやないか、又人事院の義務じやないかとこう考えておるのですが、一応この問題についてこれ以上お話合いしても、少しこれはどちらも頭にあがつて来ておるようですから、少し山下さんも僕も頭を冷やしてからこの問題を更に論じたいと思いますから、次の問題に入りたいと思います。  これも聞くところによりますと、地域給の改訂に備えて人事院のほうから現在益の各地域の物価の状況をできるだけ正確に調査してそれを送つて欲しい。或いは仰せに従うと、特殊な條件があれば、そういう條件については十分な考慮を拂いたいから至急資料を提出して欲しいというようなそういう通牒が出されているということでありまするが、これは事実でしようか、どうでしようか。
  31. 山下興家

    説明員山下興家君) 今給與局長に聞いて見ましたが、御承知のように調査はいつでもやつておるわけでありますから、調査を出すということ、出してもらうということは、お願いするのが時々刻々あるわけであります。それだからといつてこの前出しましたようなあの地域給を変えるという意思を以てやつておるわけでは決してございません。結果においてえらく間違つていてどうにもならんというときには、それはそのときどきに又考慮いたしますが、今度は大きく変えるという目的を以てそういう調査をお願いしたという事実はございません。
  32. 千葉信

    千葉信君 どうも山下さん、少し先走られて、私の希望するところと正反対な答弁をされてしまつたようですが、まあその通牒を出されたことは一向……、これは私はその考えに押されて進むのでもないが、又そうあるべきだと思います。ただ私がその問題をお尋ねしましたことは、当然現在の給與法から言いましても適正な地域給の決定のためには、人事院当局としても当然常時調査研究は続けられていなければならない。これは私もわかつております。併し私の特にお尋ねしましたのは、早急にそういう処置をとられるということは、当然の結論として人事院としては先に勧告された地域給の勧告を全面的に大幅に修正しなければならない立場からやられたのだと、実は私は思つて、非常に人事院に敬服しておつたわけです。ところが今承わりますと、大幅に改訂する、若しくは修正する意思は毛頭ないというような非常に私の当初期待したのと正反対な御答弁を承わつたわけでありますが、そこで私お尋ねしたいことは、この前人事院が地域給の勧告を行われましたその方針の最も顯著な例というのは、一月以降の暫定的に支給された地域給が、給與ベース改訂自体が非常に低い水準で改訂されたということと、それから一月以降の暫定支給が或る程度既得権という形若しくは実績という形になつているので、給與政策上それを保障するのだというこういう慮度で暫定的に支給された地域に対しては、そのおのおのの支給率を減額しないで勧告された。それが今度の勧告における最も大きな特徴の一つだと思うのです。ところが御承知通りに私どもの見通しにしても、これは人事院当局としても同様だと思うのですが、只今人事院では給與ベース改訂について勧告される用意があるということも、これは先ほどの答弁でもはつきりいたしましたので、そこでその上に更に政府のほうで二千円とか一千円とか言つておりますけれども、いずれにしても十八カ月予算という形で十月一日から給與ベース改訂したいという意向が、これ又政府のほうにあるようでございます。そうすると改訂される金額幾らということに構わないで、この際いつ改訂されるかということを考えますと、大体人事院勧告が出されても十月一日頃になるのではないか。そうして一方地域給の問題にいたしますと、これはもうどうしても今度の国会でなければ改訂ができないという形に、御承知通り結論が出ております。第十国会でとうとう提案されませんでした。そうすると今度の第十一臨時国会で地域給の改訂が行われるという段階に進んで来ておるわけでありますので、そうすると、先に暫定支給されておるところの地域給からは一月以降の実績或いは既得権を保障するという必要からああいう措置をとられたということは、今度は給與ベース改訂と同時に地域給の改訂が行われるとすれば、この方針というものは今度は立論の根拠なり、若しくはそういう方針をおとりになつた根拠というものがはつきり消滅すると思うのです。そうすると人事院としてはそういう給與政策上とられた地域給のあの改訂の基本というものは今度は全面的に変更した形において、立場において地域給の大幅改訂を行わなければならんという立場になつて来ておると思うのです。人事院では一体この点はどう考えでおられるか。この点については第十国会最終日だつたと思いますが、人事院の事務当局では、そういう考えは一応の考え方としては正しいという御見解の発表があつたわけでありますが、只今お聞きしたところによりますと、そういう大幅の改訂意思はないということですが、それは一体山下人事官個人のお考えか、それとも人事官会議の結論であるか、この点もこの際併せて伺つて見たいと思います。    〔理事伊藤保平君退席、理事千葉信委員長席に着く〕
  33. 山下興家

    説明員山下興家君) 改訂を大幅にするかしないかということについては、人事院決定であるか山下人事官個人の考えであるかというお問いでありますが、これは実はまだ先のことでありまして、改訂するかしないか、国会が開かれるときに改訂するかしないかというようなことも、どうせ人事院会議にかかるでありましよう。それでありますから私が今からどうだこうだと言うことはむずかしい。その意味からいうと私個人の意見になるのであります。併し地域給というものはこういう立場で私どもつたのです、とにかくああいうものは生活給であつて好ましくないけれども、とにかくに今そこに暮すには暮し得るようなお金が欲しいということで地域給ができておる。ところが今までの地域給のきめ方は、団体的の折衝だとか、その他非科学的の行き方が非常に多かつたのであります。それでこれは何とかして訂正しなくちやならん。正しい姿にしなくちやならんというのがそもそも地域給の研究の起りであります。それでどれだけたちますか、一年半もたちますか、とにかく前からずつとこの研究を続けて来たのであります。ところが非常に改訂をしなければならん。上のものが上り過ぎておるものもあり、下に上らないで非常に困つておるところもある。だから結局一応これは今までのを御破算して、そしてあるべき姿に変えたいというのがその目的であつたのであります。併しそうすると結局下るものもあり上るものもあるということになる。ところが今のようなインフレの生活状態では下るということは実際困るのでありまして、今までもらつておつた金をポケツトから出すということは誠に工合が悪いのでありますから、これは何とかしてそういう苦しみがないようなふうにしたいというのが先ず最初考えたことであります。これはどうすればいいかというと、給與ベースが上つたときに同時にこれを乗つけて行けば、たくさん上る人と少く上る人とがある。併し上らない人というのはないから、これなら先ず満足してもらえるだろうというので給與ベース改訂のときを始終狙つてこの地域給を出したい出したいと思いながらよう出せないで来たのが現状であつたのであります。ところがこの前八月の上旬に出しましたときにはこれは一緒に出せるということでやつたのでありますが、御承知のように一月から給與改訂なつた。そのときは二十五年度の予算の中でもうすでに地域給に対する予算は各省に配付済であつて、今更それをたくさんやり過ぎたから取上げるといつたようなこともできんからという技術的の面からあそこで止むを得ず地域給というものと給與ベースというものとが離れちやつた。離れて、今まで一緒にしたいという気持があるのにどうも事実離れてしまつたから困つた。それで今度四月になつて二十六年度に本当になつて来たときに、それじや地域給だけをやらなくちやならんということになると、又前の苦しみに返りまして、やはり今まで渡しておつたところから取上げなくちやならんという單独の問題に又返つて来たわけであります。そこで困つてどうしようかというあげく、まあ不徹底ではありますが、今まで上げておつたのはこれは既得権として下げない、上るほうだけ上げよう、そうして調節をとつて来ようというのが今度の行き方であつたわけであります。ところがこの十国会で又それが流れたようなかつこうになつておりまして、十一次国会に出さなくちやならない。そのときには今度どうするかという問題が今の千葉さんの御質問だろうと思いますが、併しもともと考えて見ますと、地域給なるものは一刻もあんなものはなくしたいのであります。給與というものは先刻からたびたび申上げましたように、労働対価であるから、だから住む場所によつて給料が上つたり下つたりするはずはないのであります。だからどこへ住んでもいいようにする必要がある。言い換えれば東京と同じだけの地域給を全国が皆もらつて、それでそれを本給へ繰入れてしまつて、地域給はありませんということになれば、それはもうどこへ行つても住めるのであります。人事交流の上から言つても、何から言つても誠に結構、そういう姿に早く返したいというのが私どもの念願であります。併しそうするためには少くも一人あたり千円近くの金が要りましてなかなか今の国力ではちよつと、むずかしいのであります。それを狙いながら今の改訂をして行くのだから、これは純理から申しますと下げるべきものを下げていないじやないか、それはどうするかということになるけれども、とにかく一番上まで持つて行くという操作から言えば或る程度の進歩でありますからこれは不合理が多少あつても眼をつぶつて最後の線へ行く道程であるのだ、即ち行くときに右と左の足を出すのだけれども、右足が先出たり、左足が出たりするけれども、まあ向うへ行く目的に一歩でも近付いて行くから先ずよかろうというのであつて、この前勧告いたしました地域給をこの際改訂をするという気持は私は持つておらないのであります。それで恐らく人事院としましてもそういうものを又元の姿に返そうという気持は持つておらんだろうと想像いたします。
  34. 千葉信

    ○理事(千葉信君) 私の先ほどの質問の中の言葉が必ずしも正確でなかつたために誤解を受けられた点があるようでありますが、私の申上げましたのは、この前の地域給に関する人事院勧告のときには一つ給與政策というものがとられた。それは一月以降暫定的に支給された実績若しくは既得権を保障してやる必要があるというような立場から人事院としては給與政策上現在の暫定的な支給からはどの地域も減らさないという方針勧告を出されたということが特徴の一つ従つてこれに対してははつきりと私の質問に答えて山下さんから次のような答弁がなされております。「暫定措置として一月からは今のようにこれをすつかり五段階を実行することができなかつたよう情勢もありまして、今になつてこれを実行しようとすると相当又給與改訂の時分から離れて来たものでありますから、止むを得ず今までのもらつておつた率は下げない、或る必要なところを上げることによつてバランスをとつて来ようという行き方になつたのでございます。」こう言つてはつきりと山下人事官は一月以降の暫定的な支給、これが既得権という形になつて来ておるから、これを減額することは給與政策上必ずしもいい方法ではないと考えからそういう方法をとつたのだ、こういう方法をとられたということはこの速記録にもありますし、又淺井総裁もこの点については私どもの質問にはつきりと一つの政策上とつたということを言つておられるわけです。従つて私の先ほど御質問申上げたことは今度地域給が大体改訂される時期というのは給與ベース改訂と同時に行われるだろうということが見通しとしてはつきりあるわけです。そうするとそういう段階で地域給を改訂するということになりますれば今申上げたような給與政策をおとりになつた根拠というものが消滅し去るのではないか。その場合には人事院としては現在出されておる地域給の支給別区分を大幅にそういう方針を一擲して修正される用意があるかどうかということをこれを私はお尋ねしておるわけです。その点一つ……。
  35. 山下興家

    説明員山下興家君) 先刻私がお答えしたのでそれでいいように思うのでありますが、どこか何も違つたところがないように思いますが、ということは、先刻お読みになつたことも私が今申上げましたことも同じことでありまして、既得権を認めなくちやならなくなつたわけを今御説明したのであつて、それが最上の策だとは申さない。併し目的地へ行くに右と左の足とどつちが先になつたか。とにかくに一歩左足が先に行つておれば今度は右を動かして行こうというのであつて、それを出した足を下げようという気持は無論ありません。だから大幅に改訂する気持はない。併し何とかして地域給全廃をしたいのだ。どうしたらできるかということについては私どもは非常に苦心をしておるのでありますから、今度の勧告のときにも何ものかその方向から行くかも知れないのですけれども、併し地域を改訂する、即ち地域をいじるのだという気持は今のところありません。非常に誤つたところは特別でありますが、そうでなければ全体としてこれをなくして行きたい。なくする方法を考えるかも知れないけれども、地域のこちらに入つておるのをこちらと入れ違えたり、いろいろなことはしたくないと思つております。
  36. 千葉信

    ○理事(千葉信君) そうすると今のところ人事院としては、今度の国会が開かれるまでの間に地域給のすでに勧告されたものを再修正するということについては何ら考えておられないというふうに了解してよろしいわけですか。
  37. 山下興家

    説明員山下興家君) そういうものを目的としてはやつておらない。やつておる、今までに出したものの中で、本当に間違つたり何かしておりますと、それた字句の修正をする場合もありましようし、或いは村と町が間違えておつたということがあるかも知れません。そういうようなことの訂正は無論あるだろうとは思いますが、併し全面的に改訂をしようという気持は持つておらないということを申上げます。
  38. 森崎隆

    森崎隆君 地域給の問題が出たようでございますが、ちよつと前の話とこんがらかりますけれどもお盆手当と一緒にその点もう一度人事官に意見を申上げてはつきりしたいと思います。さつき或る程度の議論がありまして、で少しぼやけたからということで、千葉さんのほうからも話を聞いたようでありますけれども、併しどうもはつきりしない。これはもう少し徹底的にお盆手当の本当の性質、実態というものからお考え願わないと、このままで行きますと、山下さんのほうでは公務員が非合理的に何か勝手に贅沢でもして、赤字が出たらこのお盆の機会に幾らかもらつて、それで花火でも上げようというようなのんきな、何か労働に対する対価ということを全然蔑視したような、そういうお盆手当ではないかというように人事官の御発言の内容がとれるのです。今も人事官のほうでは地域給を成るべくなくしたい、これは私のほうでもよくわかります。これは実にむずかしいというけれども、私はこれほど簡單なものはないと思う。問題は基本給の改善の問題だ。これが本当に民間給の実態とバランスをとつて行けるような給與の実態というものが確立されますれば、これは問題は起らぬわけであります。又或る新聞社の重役さんは言つておりますけれども、新聞社で働いておるのは俺で、俺が俸給をもらうのは当然だが、それを家族手当なんということで働いていない妻子が俸給をもらうのは以てのほかだということを言つておりますが、そういう面はなくして、地域給を取つているということを大きく取上げて、それで人事官の責任を果たすことができると思つたら間違いだ。お盆手当というものは赤字の問題と半面をなすところの、もつともつと現在の公務員給與の実態に則して、勤務地手当を落とすということを考えるよりも先に取上げなければならない問題だと思う。例えば現在の千円アツプのベースというものが現行されておりますけれども、これだつてあなたがたのほうで勧告された八千五十八円ベース、これは昨年の五月以降の資料です。あの当時ですらそうですよ。而もその間に差額の赤字がある。而もあの人事院勧告は、現在人事院勧告前に、給與ベースとして法律化されているとしましても、あの資料は昨年の五月以前のものである。それ以来いろいろと赤字は積つておる。おとなしいから公務員は言わない。それを何と言つてもいい、お盆手当言つても何と言つてもいい。この一年を二つに分けた日本の旧来の風習からのお盆という時期を一つの契機として、何とかその赤字幾らかでも解決する途を講じなければならんと思う。これはもう公務員自体の問題ではなくて、人事院給與に対する責任者として特に取上げるべき問題ではないかと私実は思うのです。そういうふうにお考え頂いたならばお盆手当という名前がいやなら何でもいいのです。どんな名前でも結構ですから、実態はもうかくのごとく、政府並びに人事院責任である。これを早く解決して頂くという意味で現在この問題を我々はお願いしているわけです。先ず人事院としまして是非とも一つこれは勧告を、名前はどうでもいいが、臨時に一つ給與というものを勧告をして頂く、というよりむしろ意思があるとか何とかいう問題ではなくて、当然やるべきことをなぜやらんかということを私どもは言いたい気持がある。これが先ず第一の点であります。  もう一つは今の地域給の問題で、千葉委員からいろいろ適切な御質問がありまして、人事院山下さんのほうでは、別に現在出した勧告中のあの案を維持するという意思ではない。むしろ根本的にこれを消滅せしめようというようなお考えは持つているように聞きました。現在勧告中のあの勧告案内容につきまして、あなたがたのほうではどんなお考えでございましようか。間違いが多少あるとするならばという仮定的なお言葉でございまするが、現在に至りましても山下さんのほうでは間違いがあるとははつきり確認されていないのでございますか。それを一つお聞きしたいのであります。
  39. 山下興家

    説明員山下興家君) 森崎さんの今年一月からの給與改訂の目標とするところは七千九百七十七円でしたか‥‥、千円アツプのベース、そういうことであつたですけれども、実際やつて見たところはそれじやどうなつたかと申しますと、一月にこれを調べて見ました結果は八千二百七十七円になりまして、大体八千三百円程度のものであります。だから目標よりもよほど上廻つておつたということであります。なぜそんなに上廻つたかと申しますと、結局十二月に切替えるのですから、十二月の平均給がどこになるだろうかという予測が間違つたというだけでありまして、予測をした目標よりも下つているじやないかというようなことではなくて、上り過ぎているじやないかという攻撃ならばあるかも知れませんけれども、下り過ぎているということはないのが事実であります。それじや今幾ちになつているかというと、まだわかりません、どのくらいになつておりますか調査してからでないとわかりません。今のところ一月の調査がはつきりしている。それで地域給の問題ほどむずかしい問題はないのであります。それは地域給を増すのは簡單だ。お金さえあれば幾らでも、先刻申上げましたように一人当り千円ぐらいあれば抹殺できるけれども、それが今の国力としてなかなかむずかしいのが本当であります。それが、地域給がここが何級地になるかという査定は非常にむずかしいのであります。幾らつてもこれは恐らく、一年半も一生懸命になつて、我々も相当人数を使つてやりました。金も随分使いました。併しこれで完全無欠だというところに行かない。どこまで行つても細かく行けば行くほど危くなつて来まして、橋一つ渡つたらこれは五%違うのだ、どうだと言われると、それはなかなか立証しきれないのであります。だからそういう変なものは早く抹殺してしまいたいという気持であります。これに手を着ける必要なし、理窟の上で完全だとは決して申しません。但しこれに手を着け出すともうきりがないのでありますから、丁度ぼろきれを修繕するようなものでありまして、一方修繕すれば一方破れるというわけで、とても目的地に達しないのでありますから、それで大きくは改訂する意思はありませんということを、その意味において申上げたのであります、完全だということを申したわけではないのであります。
  40. 森崎隆

    森崎隆君 さつき私が御意見申上げたことにつきまして、現在は政府案よりも非常に上廻つているということを申されましたが、これは人事院としての御意見ですか。山下さん一人の御意見ですか。重大な問題だと思いますのではつきりその点‥‥。一言附加えまして言いますならば、あなたのほうの勧告案が八千五十八円よりも非常に上廻つておるから満足だというように言つた、現在の給與から。これは重大な発言です。その点はつきりお聞きします。
  41. 山下興家

    説明員山下興家君) そういうことを申したのではありません。それはこういうことを申したのです。我々の目標とするところは七千九百八十一円というのが目標でありました。併し実際に調査して見て、どこへ行つているかというと八千二百七十七円という数字が出ましたということであつて、私が言つたのでも何でもない、これは数字で出ましたということであつて、それだから七千九百八十一円に達しないではないか、それを一つ何とかしろというお話ならそれにはあたらないということで、それではこの八千二百七十七円で大丈夫と思うかといつたら、いやそれは大丈夫と思わんからこそ今度は何とか勧告しようという決心がついて、今研究しておるわけでございます。それですから誤解のないようにお願いします。
  42. 森崎隆

    森崎隆君 今の人事官のお話は、何か政府の代弁者の言葉のように聞こえたのです。私の申しましたのは、水準というものと実質的に支拂つた賃金というもの、これは昇給昇格等があつてずれて上つて行くのは当然のことで、言い換えますと、私が聞きたいのはあなたのほうで勧告した八千五十八円ベースを実施されたら一月に幾らになるかという問題です。政府の七千九百八十一円の水準で一月に八千二百七十七円になるといたしますれば、あなたのほうの勧告した八千五十八円ベース、あれが実施されたとしましたならば、実態が一月にはどうなるか。恐らくこれは八千三百、四百、五百になるかも知れない。その問題を話しておるのです。だから人事院勧告案が実施されましても、政府の案とはそこにズレがあるわけです。而も人事院勧告案というものは昨年の五月以前の状況で、一年間の赤字というものは正確に考えたら随分あるはずだと思う。それを一つ赤字の補填の意味でもお盆手当でもいいから何とかしてもらいたい。私はこの際今の件ではつきりしない点があつては困りますから給與局長にお願いしておきますが、現在までの給與の実態が、若し人事院勧告案が出されたとした仮定の上におきましては、一月に実際に昇給昇格等を合せまして実質的にどれだけになつておるか調査を願いたいと思う。それと、政府の現在出されておるところの七千百八十一円による八千二百七十七円、これと比較してもらいたい。若し人事院勧告案、八千五十八円ベースが出されて昇給昇格等があつて、八千二百七十七円よりも下廻つておるということになりますれば私は頭を下げます。その点はつきりしてもらわないと、人事官の言つていることは、何か政府ベースがいい結果が出る、満足しなければいかんというような、政府の代弁者のようになつているので、人事官といたしましてはそういうことは言つて頂きたくない。それからもう一つは勤務地手当の問題でございますが、突つくとどこまで突ついてもぼろ着物のように果しがないということはよくわかりますけれども、一応勧告が出ますと、例えばA町というものと、B町というものとの中間に介在するようなものはどうなるか。そういう部落町村等がございますが、はつきりと今度指定された中間において、そこの実際の物価その他の調査から見まして納得の行かない面がいろいろあるわけです。これは無理はない、これだけはどうしても直さなければいけないというような面をたくさん私たちは持つておる。これは最小限度のこれだけは是正しなければ、人事院の理想的な、科学的な資料に基いた、誰にも不満のない勧告案であるという大きなことは、私は文化国家の一番大事な給與責任者の人事院として言えないと思う。間違つておるところはどしどし修正して、修正勧告案というものを出して然るべきではないか。予算のことについてはあなたのほうは別に必要はないのであつて、二千万なり五千万、或いはたとえ一億であつても、これはあなたのほうでどうこういうことではなくて、それは政府国会とで飽くまでやるべきことで、現に不合理な点はたくさんございます。これは聞かせろといえば我々幾らでも申上げますが、給與局長にはいろいろな点を随分申上げておる。実際人事院でこれは言つてつて政府においても認めておる点がたくさんあります。これを是正すると、その地区では俺のところも上げてもらいたいという、それはわかる、納得できるというわけで不合理な点がたくさんある。これを直さずして、一つところと突つくとぼろをどんどん縫装するように大変だから、そんなことは駄目だというので通らんということはそれは科学的に立脚した人事院給與に関する作業とは私は言えないと思う。そういう意味でさつきお伺いいたしましたように、果してあの勧告案を完全だと思つていらつしやるのですか。どうしても是正しなければならない不合理な点があると思うかどうかということを私はお伺いしたい。人事院の基本的な問題とはこれは別の意味でお伺いしたいのです。
  43. 山下興家

    説明員山下興家君) 八千五十八円と我々が勧告いたしましたのは、あれが十二月に実際に切替えて行きますと幾らになるかということについては調査してお知らせしていいと思いますが、恐らく八千四百円とか八千四百円以上になるだろうと思うのであります。そういうときにはこういうインフレのときよりよほど緩和しておつたろう、今よりよほど緩和した状態にあつたろう、楽であつたろうと私ども考えるのでありまして、決していいの悪のという問題ではない。あれはこの国会に出したのでございまして、この国会で法律案として成立したのでありますが、それだけの問題じやなくて、あの根本的な、基礎的ないろいろな問題を、我々非常に不満であつたのでありますが、それを今更ほじくり出して、前にはこう勧告したからこうだろうとか何とかというようなことは私ども言いたくないのでありまして、之は之、一遍国会を通過してしまうと、その勧告は採用されようがされまいが、それは又新たな問題でありまして、新たな立場において今度は前の言質なり或いはいろいろなものに囚われないで、今度は本当の形を研究して行こうという立場に立つておるのでありますからして、その点御了解を願いたいのであります。地域給につきましては細かく言いますと、いろいろな点がたくさんありまして、ただ非常に金がかかる問題でありますから、大袈裟にやれば何千万円とかかる問題でありまするから、これは大袈裟にはやりたくない。併しいろいろな調査が我々のほうに集まつて来ますと、これは十分にその怪しいと思うところについては研究をいたしましよう。そうして若しもどうしてもこれは変えなくちやならんということがはつきりして来ましたら、それはそのときに変えるということもやりましよう。そういうことでございます。
  44. 千葉信

    ○理事(千葉信君) その前に森崎委員に申上げますけれども只今御要求のありました八千五十八円ベース改訂された場合に、一月における給與の実績はどういう状態になつているかということについての御調査は、これは人事院のほうに確認願つて、別にここで答弁は頂かなくてもいいと思いますが、それでようございますか。
  45. 森崎隆

    森崎隆君 さよう願います。結構です。
  46. 紅露みつ

    ○紅露みつ君 地域給の問題に又戻つているようですが、これはもう手を着けたら際限がないという人事院気持はわかるのですが、私どもとしましても、幾つかのこれはもう解決してもらわなければしようがないというふうな幾つかのものを持つている。これは各委員ともみんな持つているだろうと思う。どうしても人事院として認めなければならんものがたくさんあると思う。だからこれは非常にむずかしい問題で、立派なものにいつになつても仕上らないということはよくわかる。そこで人事院はこれはもうなくしてしまつたほうがいい、本給のほうを引上げて行くのが一番いいことだ、こうお考えになつておられるのですが、それには大変金が要る、今のお話では千円くらいずつ上げて行けばかたがつくのですが、これは国力がないというお話ですけれども、千円という金は大変だといえば大変でありましようけれども、先ほどもお話に出ましたように、この四月の選挙のときに首相が二千円引上げるというようなことを言つておられ、近頃になつて、千円だと言つておられる。そうするともうそこに千円という差が出ております。これはどこへきまるかわかりませんけれども、千円全部引上げて、そうしてこれが合理的に、ややこしい地域給の問題が解決するというならば、そういうふうな考え方人事院は一方では地域給の今の不合理をできるだけ、できるだけと言いますか、どうしても間違つたところは直して行かなければならない、これはもうそう行かなければならないと思うのです。いやでも応でもこれは直してもらわなければならんというところへ出ると思うのですが、そういう問題が解決するのだと、それならばそういう調査をしながら、一方において千円くらい引上げればこれは解決するんだということの調査も進めておられるのですか、そうしてそういうことの見通しもついておられるのですか。いつ頃、じやこれをなくしてしまおうかというようなことも、あれだけ地域給というものを切捨ててしまいたい、これももうなくしてしまうというお考えがあるならば、それらの給與体系の立派な本筋を如何に考えるか、いつ頃これを実現しようかというような調査もしておられると思うのですが、この点如何ですか。
  47. 山下興家

    説明員山下興家君) 地域給をやめるということは面倒だからやめるというわけじやない。十分御承知のように、人事交流の上から言いましても、又給與というものの本体というか、性質から行きましても、これは不合理なものであるということは誰も承知しておることと思います。ただ千円くらいできるじやないかということにつきましては、今度の給與ベースというものの引上げとは又別個の考えでありまして、それを給與ベースを上げる代りに、千円くらいぱつとみんなに渡して、地域給をなくしたらそれで済むのかと申しますと、なかなかそうは行かないのでございます。それですから、地域給をなくするための金と、それから給與ベース改訂するための金とは相殺できないのでありまして、そこでその国力の上から言つて、それが果してできるかどうか、即ち生活給から能率給に切替えるのはいつかというむずかしい問題が出て来るのでありまして、これにつきましてはそういう希望だというだけでありまして、まだこういう手段をとつたらそれができるか、できるという結論には達しておらないのであります。そういう実情でございます。
  48. 紅露みつ

    ○紅露みつ君 そうすると能率給の切替えられるまでは今のところできないという見通しだと思いますが、その能率給が実現するかということの見通しがつかないとすれば、地域給は如何にこれが不合理なものでありましても、相当程度継続しなければならないと思いますが、そうするとやはりずつと前に戻つて、その既得権を認めるというようなことから来ておる。これは不合理です。余計それを認められて、そうして実体以上の僅かでありましようけれども、もらつておるとすればよろしいのでありますが、その前の段階に遡つて五分に切下げられた、切下げられたものにとつては一月からはその暫定的な線で行きますと、五分切下げてある。その線はそれよりもなくしてしまうというようなことはせんということですけれども、もう一つの前の段階になりますと、一割もらつておつたものが五分に引下げられて、そのままになつておるのがたくさんある、だからこれは言うて見ると非常に不合理です。でこれは人事交流の上からも大変な違いがあるのです。こういつたものをそういうふうに先の見通しがつかないで、これを認めて行くのでありますから、むしろこの際相当程度それはこれで万全ということにはなり得ませんまでも、或る程度の大幅な改訂をして、そうして根本的にこれは合理的なものにして行かなければならないのじやないでしようか。どんなふうなお考えですか。これはごたごたしながらそうして今度の十分な改訂もしないで、つまりうるさく言われるところとか、まあこれは非常に言葉が悪いかも知れませんが、誤謬のあるところは無論訂正されるでしようが、これでただよちよちと進まれるつもりですか。
  49. 山下興家

    説明員山下興家君) 私どもも紅露さんのお考え通り考えまして、何とかして地域給を合理化したいということから一年前もその前から年々に研究いたしまして、先ほども申しましたように何千万円といつたような金を使い、いろいろな調査をしてでき上つた結論がこの間勧告したあの案であります。それですからこれから先に若し非常に工合が悪いところがあつたら、小修正は止むを得ないけれども、余りあんなようなことをやることはできないことだと、そういうふうに今のところ思つておるわけであります。で、決して合理化ということに対してなおざりにしておるわけではない。併しその全部をなくするというのには、それではどういうふうにするかと言うと、いろいろな案が考えられております。例えば今のように五段階まであるのをぱつと二段階ぐらいしてしまつて、で、下のほうはさつと真中まで上げるという上げ方もありましよう。又気持よく全部上げてしまうという行き方もありましようし、それから比率を或る程度縮めて行くという考え方もありましよう。いろいろ利害得失がありますから、これをやつて行くときにはやはり一つの国策として十分研究をしたあげく案を作るべきもののように考えます。
  50. 森崎隆

    森崎隆君 ちよつと動議を出したいのですが、大体一時近くになりましたし土曜日ですからこの際散会いたしまして、明後日或いはその次の日でも結構ですが、開いて頂きまして、そのときの議題としては今のお盆手当の問題につきましても人事院はつきりした態度を、勧告するかどうかというところまでお聞きしたい。それから寒冷地手当、石炭手当勧告案が出ております。これについてもいろいろお聞きしたい。ベース勧告について、つまり手当の問題、又はその水準の問題等或る程度のめどは私は立つ時期じやないかと思います。ただ米価等が未決定のために正確なところは出ないでも、大体のめどはつくのじやないかと思いますが、その点についても……。なお官房長官に御出席願いまして、二千円アツプ、千円アツプ、その引替えに行政整理をやるというような非常に不都合極まる無責任な発言をしておる、それについても官房長官に聞きたい。それを議題とすることにいたしまして、今日はこの程度で散会せられんことの動議を提出いたします。
  51. 千葉信

    ○理事(千葉信君) 只今森崎委員から動議がありましたが、これに附加して申上げたいことは、官房長官は本日は渉外事務が急にできたために出席できなかつた。そうして大蔵省のほうからも只今のところ主計局給與課長補佐の岸本晋君が説明員として参られておりまするし、人事院のほうから瀧本給與局長が見えておられますが、何といたしましても官房長官或いは大蔵当局のほうからも責任者の御出席がございませんが、只今の動議御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  52. 千葉信

    ○理事(千葉信君) それでは今日は散会いたしまして、丁度今日委員長のほうからも十六日の朝着京をするし、できれば十五日、或いは十六日どうであろうかという電報が参つておりますから、委員長のほうでも十六日開催のことについては御異議ないと思います。そこで今森崎君から動議の出ました中でお話のありました政府委員並びに人事院当局から御出席願つて、御動議のような内容についてもう一回、十六日の午前十時から人事委員会を開催することにしたいと思いまするが、この場合出席して頂くかたがたについて特に御注文がございましたら、この際御発表願いたいと思います。……それでは大体只今の動議のように決定いたしまして、十六日の午前十時から人事委員会を開催することにいたします。以上を以て散会いたします。    午後零時五十一分散会  出席者は左の通り。    理事            加藤 武徳君            伊藤 保平君            千葉  信君    委員            西川甚五郎君            森崎  隆君            小野  哲君            紅露 みつ君   事務局側    常任委員会專門    員       川島 孝彦君    常任委員会專門    員       熊埜御堂定君   説明員    人  事  官 山下 興家君    人事院事務総局    給與局長    瀧本 忠男君    大蔵事務官    (主計局給與課    勤務)     岸本  晋君