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説明員(
山下興家君)
改訂を大幅にするかしないかということについては、
人事院の
決定であるか
山下人事官個人の
考えであるかというお問いでありますが、これは実はまだ先のことでありまして、
改訂するかしないか、
国会が開かれるときに
改訂するかしないかというようなことも、どうせ
人事院会議にかかるでありましよう。それでありますから私が今からどうだこうだと言うことはむずかしい。その
意味からいうと私個人の意見になるのであります。併し地域給というものはこういう
立場で私
どもお
つたのです、とにかくああいうものは
生活給であ
つて好ましくないけれ
ども、とにかくに今そこに暮すには暮し得るようなお金が欲しいということで地域給ができておる。ところが今までの地域給のきめ方は、団体的の折衝だとか、その他非科学的の行き方が非常に多か
つたのであります。それでこれは何とかして訂正しなくちやならん。正しい姿にしなくちやならんというのがそもそも地域給の
研究の起りであります。それでどれだけたちますか、一年半もたちますか、とにかく前からずつとこの
研究を続けて来たのであります。ところが非常に
改訂をしなければならん。上のものが上り過ぎておるものもあり、下に上らないで非常に困
つておるところもある。だから結局一応これは今までのを御破算して、そしてあるべき姿に変えたいというのがその目的であ
つたのであります。併しそうすると結局下るものもあり上るものもあるということになる。ところが今のようなインフレの
生活状態では下るということは実際困るのでありまして、今までもら
つておつた金をポケツトから出すということは誠に工合が悪いのでありますから、これは何とかしてそういう苦しみがないようなふうにしたいというのが先ず最初
考えたことであります。これはどうすればいいかというと、
給與ベースが上つたときに同時にこれを乗つけて行けば、たくさん上る人と少く上る人とがある。併し上らない人というのはないから、これなら先ず満足してもらえるだろうというので
給與ベース改訂のときを始終狙
つてこの地域給を出したい出したいと思いながらよう出せないで来たのが現状であ
つたのであります。ところがこの前八月の上旬に出しましたときにはこれは一緒に出せるということでや
つたのでありますが、御
承知のように一月から
給與が
改訂に
なつた。そのときは二十五年度の
予算の中でもうすでに地域給に対する
予算は各省に配付済であ
つて、今更それをたくさんやり過ぎたから取上げるとい
つたようなこともできんからという技術的の面からあそこで止むを得ず地域給というものと
給與ベースというものとが離れちやつた。離れて、今まで一緒にしたいという
気持があるのにどうも事実離れてしまつたから困つた。それで今度四月にな
つて二十六年度に本当にな
つて来たときに、それじや地域給だけをやらなくちやならんということになると、又前の苦しみに返りまして、やはり今まで渡しておつたところから取上げなくちやならんという單独の問題に又返
つて来たわけであります。そこで困
つてどうしようかというあげく、まあ不徹底ではありますが、今まで上げてお
つたのはこれは既得権として下げない、上るほうだけ上げよう、そうして調節をと
つて来ようというのが今度の行き方であつたわけであります。ところがこの十
国会で又それが流れたようなかつこうにな
つておりまして、十一次
国会に出さなくちやならない。そのときには今度どうするかという問題が今の
千葉さんの御質問だろうと思いますが、併しもともと
考えて見ますと、地域給なるものは一刻もあんなものはなくしたいのであります。
給與というものは先刻からたびたび申上げましたように、
労働の
対価であるから、だから住む場所によ
つて給料が上つたり下つたりするはずはないのであります。だからどこへ住んでもいいようにする必要がある。言い換えれば東京と同じだけの地域給を全国が皆もら
つて、それでそれを本給へ繰入れてしま
つて、地域給はありませんということになれば、それはもうどこへ
行つても住めるのであります。人事交流の上から
言つても、何から
言つても誠に結構、そういう姿に早く返したいというのが私
どもの念願であります。併しそうするためには少くも一人あたり千円近くの金が要りましてなかなか今の国力ではちよつと、むずかしいのであります。それを狙いながら今の
改訂をして行くのだから、これは純理から申しますと下げるべきものを下げていないじやないか、それはどうするかということになるけれ
ども、とにかく一番上まで持
つて行くという操作から言えば或る程度の進歩でありますからこれは不合理が多少あ
つても眼をつぶ
つて最後の線へ行く道程であるのだ、即ち行くときに右と左の足を出すのだけれ
ども、右足が先出たり、左足が出たりするけれ
ども、まあ向うへ行く目的に一歩でも近付いて行くから先ずよかろうというのであ
つて、この前
勧告いたしました地域給をこの際
改訂をするという
気持は私は持
つておらないのであります。それで恐らく
人事院としましてもそういうものを又元の姿に返そうという
気持は持
つておらんだろうと想像いたします。