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1951-06-29 第10回国会 参議院 在外同胞引揚問題に関する特別委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年六月二十九日(金曜日)    午後一時三十一分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○引揚促進に関する件 ○在外公館借上金に関する件 ○戰争による遺族及び傷病者に関する  件 ○議員派遣に関する件   —————————————
  2. 千田正

    委員長千田正君) 只今より委員会を開会いたします。  休会継続審査なつておりますので、皆様非常にお忙しいところを特に今日はお出でを願つたわけでありまするが、この休会に入りましてから、前の国会で非常に問題になつておりました朝鮮日本人婦女子引揚問題並びにアナタハン島に未だ降伏せざるところの邦人がおりまし三その人たち留守家族かたがたが、どうかして一日も早く降伏して内地帰還のできるようにして頂きたいという、非常に切々たる歎願が数次に亘つて委員会に行われたわけであります。最近の新聞によりますというと、どうやらこの留守家族の願いも叶えられて、内地帰還の運びになりそうなのでありますが、特に今日はこの間の事情の御報告をして頂くために、外務省管理局吉岡引揚課長がお見えになりまして、一応の今までの状況の御報告をお願いすることにいたします。吉岡課長から今までの状況につきまして、朝鮮日本婦女子引揚げの問題並びにアナタハン島の邦人の最近の情勢につきまして、御報告を頂きたいと思います。
  3. 吉岡俊夫

    説明員吉岡俊夫君) それでは先ず朝鮮釜山日本引揚げを待つております日本婦女子或いは元日本婦女子引揚げの問題につきまして御報竹中上けたいと思います。  皆様承知のように本件につきましては、この一月以来総司令部のほうから次々と名前日本政府に通知されまして、これらの人々についてその籍であるとか、身元引受人の問題とか、いろいろその他調査を命ぜられて参りまして、外務省といたしましては、これを受取りました際には、直ちに国家地方警察本部のほうにお願いしまして、調査をやつて来た次第でございます。その結果只今までのところ調査済みとして総司令部のほうに回答された数が……これよりも前に全体で六百八十五件ございます。調査を依頼されたのが……そのうちで五百四十二件、調査の結果を回答しております。そうしてそのうちでGHQのほうから許可が参りましたものが三百五十五件、従つて五百四十二と三百五十五の差の百八十七件が只今司令部のほうで最後的な決定について審査中のものであると思われる次第でありまするが、これもそのうちにはだんだんと許可なつて来るものと期待しております。六百八十のうち残りの百三十八件につきましては、只今まだ日本側調査或いは再調査を続行中のものでありまして、これにつきましても調査の結果が判明次第、直ちに総司令部のほうに報告されるわけであります。本件につきましては、調査の点について非常にいろいろ困難があるらしくて、例えば本籍地が焼失していて、なかなか突きとめられない、いろいろ問題があるようでありますが、国家地方警察本部のほうにも、できるだけ御促進方をお願いしてやつておる次第であります。先ほど申上げましたように、只今司令部のほうから許可なつた件が三百五十五件あるわけでございますが、このうち五十九名は皆様すでに御承知と思いますが、先月の五月二十九日に釜山から引揚げて参りまして、すでに日本に到着しております。そうして最近、昨日ですか、あと百六名の人々が門司に到着いたしました。朝鮮からの引揚問題は大体御報告申上げることは現在のところそんなことかと存じます。  次にアナタハン島に終戰を信ぜずして依然として頑張つております二十二名の人々引揚げの問題につきましては、外務省といたしましても終始司令部にお願いしまして、いろいろ御努力方お願いしておつたわけでありますが、皆様も御承知のように、留守家族からの降伏勧告手紙を三百通ばかり一括いたしまして総司令部にお願いしてあつたのでありまするが、この手紙が六月九日に現地アナタハン島に届けられたとの報告を、その一週間ばかり後に司令部のほうから頂いたのであります。その際に皆様承知のように、やはり井上準二という人が兵庫県の人でありまするが、この人が降伏して来ております。その後いろいろ新聞報道で、アメリカ側としては太平洋戰争最後的な戰闘をアナタハン島に対して準備しておるとか、いろいろ非常に心配の種になるようなことが報道されましたので、実は心配していろいろ事情も伺つたし、又お願いに上つたりしておつたのでありますが、幸い昨日司令部からの報告によりますると、二十六口の朝アメリカ海軍機アナタハン島の川辺を飛んで見ますと、そうすると、海岸に十人くらいの人が出ていて各自白い布を手に持つてつた。これは確かに降伏の意思の表示であると認められたので、あらかじめ用意していたビラをまいた。そのビラには日本語で以て、三十日には救出に来るということが記されておつたそうであります。それで現地アメリカ海軍といたしましては、三十日の朝に現地に赴きまして、そのときに出て来る人々を全部救出して来るという順序になつております。非常に留守家族かたがたは勿論、そのかたがたについては心配されておつたのでありますが、幸いこのたびは何とかうまく解決されるものと期待しておる次第であります。
  4. 千田正

    委員長千田正君) 只今朝鮮日本人婦女子引揚げに関しまして、吉岡課長から御報告がございましたが、ほかに何かこの点につきまして御質疑がございませんでしようか……。ちよつと私からお伺いしますが、子供を連れて来ますね。これはどつちの一体国籍になりますか。
  5. 吉岡俊夫

    説明員吉岡俊夫君) その国籍の問題は実ははつきりしないのですけれども、これから研究の必要があろうと思うわけなんですが、それぞれ朝鮮籍に入つておる子供もありますし、それから入つておらんのもありまして、これは今後研究々要する問題であろうと思います。
  6. 千田正

    委員長千田正君) 引揚げて来られた人たちに対しては、まあ親元であるとか、或いは兄弟のかたがた或いは親戚のかたがたが、一応内地へ来たならば面倒を見てやろうという人たちは一応引揚げて来たわけですね。
  7. 吉岡俊夫

    説明員吉岡俊夫君) そうでございます。
  8. 杉山昌作

    杉山昌作君 それじや日本内地に何かそういう手がかりのない人は全然引揚げを許さぬのですか。そんなのはどういうふうになつておりますか。
  9. 吉岡俊夫

    説明員吉岡俊夫君) 只今のところ籍が日本である場合は問題がないと思いますが、国籍なつておるとか、一応日本身元引受人がないと困難な問題だと思います。
  10. 小酒井義男

    小酒井義男君 引揚げて来るのは無論朝鮮人と結婚しておつた人ですね。
  11. 吉岡俊夫

    説明員吉岡俊夫君) 大体そうでございます。
  12. 小酒井義男

    小酒井義男君 子供はやはり何ですか。多いのになると何人くらい連れて来られますか。
  13. 吉岡俊夫

    説明員吉岡俊夫君) そうですね。五人くらいまで連れております。大体三人くらい連れておるのです。
  14. 千田正

    委員長千田正君) ほかに御質疑はございませんでしようか……。では次のアナタハン島の問題につきまして、御質疑がございましたらお願いいたします。これは一旦アナタハン島のあれは降伏して、こちらから迎えに行つて連れて来て、一応これに捕虜として連合国が取調べて、その後でなければ留守家族の手には届かないのですか。
  15. 吉岡俊夫

    説明員吉岡俊夫君) そうだと思います。一応調査するわけでございます。
  16. 小酒井義男

    小酒井義男君 三十日というと明日でございますね。
  17. 吉岡俊夫

    説明員吉岡俊夫君) そうでございます。今夜立ちまして、あすこはサイパンから十時間ばかりですが、小さな六ノツトくらいの船で明日の朝現地に着きます。
  18. 千田正

    委員長千田正君) この件について何か御質問ございませんでしようか……。それでは附加えまして、吉岡課長にお伺いしたいのですが、これは朝鮮問題でもなく、アナタハンの問題でもないのですが、実は例の奄美大島その他におけるところの人たち内地に帰還したいという誠に切々たる嘆願が来ておるわけです。勿論これは講和会議の後における問題になると思いますが、外務省としては、こういう問題につきまして、何かお考えがありますかどうか。若し御発表して差支えない点があつて御発表願えるのでしたら、お伺いしたいと思います。
  19. 吉岡俊夫

    説明員吉岡俊夫君) 実は甚だ恐縮なんですが、私現在この問題はまだ研究しておりませんので、今後研究さして頂きたいと思います。
  20. 千田正

    委員長千田正君) この点は相当重大な問題でもあり、島民の殆んど全部が日本国籍に帰りたいという熱望がありまして、何万というような嘆願書が来ておるのですから、この点も外務省としまして、無論講和会議が済めば何とか処置できると思いますので、十分御研究を願いたいと思います。それでは引揚課長さんからのお話はこれで終りといたします。   —————————————
  21. 千田正

    委員長千田正君) 次に在外公館借上金審査状況につきまして、これからお願いしたいと思います。大蔵省上田外債課長が見えておられますし、それから外孫省審査室池田室長が見えておられますから、在外公館借上金審査状況の御報告をお願いしたいと思います。
  22. 上田克郎

    説明員上田克郎君) 私は大蔵省外債課長でございますが、大蔵省として、只今この問題につきまして審議状況を申上げますことは、御承知のように大蔵省が主管しまして借入金の評価審議会存開催いたしております。この審議会は三月の末から出発いたしまして、現在までに締議会は三回開きました。審議会にはそれぞれ專門委員を持ちました部会がございます。これは六つに分れておりまして、朝鮮部会、満洲、関東部会、華北蒙疆部会華中華南部会南方部会、それに総括部会というものを持つておりますが、これのそれぞれ開きました回数は、朝鮮部会が五同、満洲、関東部会が三回、華北蒙疆部会三面、華中華南部会二回、南方部会四回、総括部会二回、計部会で十九回開いております。現在の段階といたしましては、それぞれの專門部会での一応の集めることのできました資料を集めまして、総括部会最後審議をやつている、そういう状況でございます。当初の六月初旬の見込といたしましては、この六月一ぱいで総括部会を一応終つて最後審議会委員会を六月末くらいに開きたい、そういう気持で努力して参りましたが、いろいろと問題が複雑でございますので、あと二回ほど総括部会を開きまして、それから審議会に持つて行く、従いまして審議会でいわゆる評価基準が答申されますのは、大体七月の十日前後になろうかと存じております。  一方借入金審査進捗状況につきましては、外務省池田さんのほうからお話があると思いますが、現在まで進行している分に対する予算のみならず、二十六年度中に払われます予定の金額につきましても、とのたび補正予算を組んでもらえるように、私たち事務当局としては関係主計局と相談をすでに始めております。恐らく一般に言われますように、臨時の国会が近いうちに開かれますといたしますれば、それまでには十分予算と共に支払法案の提出ができるものと考えております。委員会或いは部会の論議の対象になりました主要な問題につきましては、その性質上或いは最後の漁業の上程のときまで秘密にして置かなければならない問題が多いかと存じますので、御質問に応じましてお答えすることにいたしまして、一応大体現在の進行状況並びに皆様と申しますか、実際に政府にお貸上げになつたかたたちのお手許にお金が輝くのが一日も早いようにと思つて努力している。大体の見込としては、法案として完了するのは七月の二十日前後と、そういうような気持で努力しております。簡單でございますが、一応説明をいたしました。
  23. 千田正

    委員長千田正君) 只今上田外債課長からの御報告がございましたが、それにつきまして御質問がございましたらどうぞ……。
  24. 小酒井義男

    小酒井義男君 今の七月二十日に終了をするというのは何ですか。
  25. 上田克郎

    説明員上田克郎君) 大蔵省でやつておりますいわゆる俗に言うレートをきめます会議終りまして、それに従いまして支払法案を作らなければならない。その支払いの法案は大体二十日前後には完了するようにと思つて今努力いたしております。
  26. 小酒井義男

    小酒井義男君 法案のできるときはレートは大体もう決定するわけですか。
  27. 上田克郎

    説明員上田克郎君) さようでございます。審議会のほうで、大体これは適切だろうと思われるレートを、大蔵大臣に答申して頂くことになりますが、そのレートがそのまま採用になるか、或いは大蔵大臣が何らかの、それに考慮を加えられるか、その点ははつきりいたしませんが、大臣の指示に従いまして、法案の中にそれが組込まれることと存じます。
  28. 杉山昌作

    杉山昌作君 ちよつと……。今度補肥予算に組むという段取りにはなつておるでしようから、大体今のレートを、今までの審議状態から見て……。それから外務省のほうでどれだけ借りているかという確認のあれがあると思います。それを合せたもので補正予算の大体の見当を付けておりますか。
  29. 上田克郎

    説明員上田克郎君) はい。およその見当は付けております。
  30. 鈴木直人

    鈴木直人君 その総額は大体どのくらいですか。まあそれは本当に参考のために聞くのであります。決してそれが将来どうということではございません。ただ目安だけです。
  31. 上田克郎

    説明員上田克郎君) 全くただそういう数字があつたというふうにお聞きを願いたいと思いますが、私たちの仮試算によりますと、大体最近までのデータによりますと、十億乃至十二億程度数字が一応出ております。
  32. 鈴木直人

    鈴木直人君 人数にしてどのくらいになりますか、件数です。これも本当に参考のためでありまして、法案審議なり、そういうことには全然関係は持たないと思いますから、その点は一つ御了承願います。
  33. 上田克郎

    説明員上田克郎君) 手元に今件数存持つてつておりませんので、正確なところはわかりかねますが、大体十万件程度で十億程度つたと記憶しております。十万件から十一万件程度件数にいたしまして……。
  34. 紅露みつ

    紅露みつ君 すると、今大蔵省審議しているその件数は、もう外務省調査は、全部支払うべきものは済んだわけですか。
  35. 上田克郎

    説明員上田克郎君) さようではございません。御承知のようにあと池田さんから御説明下さると思いますが、私の聞きますところでは、四万件と少しだけが審査が済んでいるというように聞いております。従いまして私どもが予算を組みます場合は、外務省から頂きます資料に基きまして、いわゆる申請の出ております件数につきまして、件数の検討を続けていると、そういう程度でございます。ですからもう少し多くなるかも知れませんけれども、その点は外務省と緊密に連絡いたしまして、又補正予算の場合は遺憾のないようにいたしたい。現在までの段階ではその程度でございます。
  36. 鈴木直人

    鈴木直人君 これはレートの組み方によつて五億円になり、十億円になり、或いは百億円になるというあめ問題ですね。
  37. 上田克郎

    説明員上田克郎君) さようでございます。
  38. 鈴木直人

    鈴木直人君 大体十億ぐらいになるというレートが考えられておると、そういうことですね。
  39. 上田克郎

    説明員上田克郎君) その点も一応大体事務当局として主計局との折衝に、そういうことは一応安全率見込んでやつておるという程度でございます。どういうふうにきまりますか、まだはつきりいたしません。
  40. 紅露みつ

    紅露みつ君 そのレートのきめ方が、委員会としても、又政府に貸した人たちに三つても重大な問題なんですがね。それはそれぞれ調査されるのでございましようが、何らかの方法で内示をしてもらうということが嘗つて委員会での、堅いお約束ではなかつたかも知れませんけれども、申上げてあるはずなんでございますが、そういうようなことはして頂けますか。
  41. 上田克郎

    説明員上田克郎君) こちらではまあ相当申上げていいと思いますが、大体の考え方と申しますか、そういう方法論につきまして申上げてみたいと思いますが、先ず第一に委員会でこういうような考え方がございます。御承知のように、終戰と同時に現地日本との間では為替取引というものは中断されております。これは戰争前もすでに為替取引は相当不円滑でありまして、正常な為替レートというものはなかつたわけでございますが、終戰後主として借入の行われました時代には、勿論為替というものはなかつた。そういう場合に二つ通貨はどうやつて比べるかとなりますと、いろいろ問題がございます。先ず第一はいつの時の通貨についてきめるかということでございます。例えば儲備券などにいたしますと、終戰直後から、それから最後引揚が済みます長い期間がございます。借入期間上海の例で申上げますど、大体二十一年の一、二、三、それから四の一部分ということで、大体二月、三月が一番借入件数が多いのであります。それで一応技術的の必要から、その一番件数の多い、我々はこれをピーク時と呼んでおりますが、借入件数の一番多い時の儲備券価値を、それと同じ頃の日本円価値比較して見て、儲備券日本円で借りたとしたら幾ら借りたことになるだろうか、そういうことを考えて見る。それが第一の考え方です。でございますから、嚴格に申しますと、初めの頃にやはり儲備券百万円貸されたかたと、それから終りかたに貸されたかたとでは、その儲備券購買力自体変化がございます。併しそれは一応我慢してもらうことにして、一番件数の多かつた時の価値日本のその時の価値と比べる。そるういうことになつております。それから価値の比べ方でございますが、これは二つ管理通覧価値をどうやつて比べるかといういわゆる購買力比価というものを調べるということはなかなか困難な問題でございます。これは平常の場合でもなかなかその取り方なり、方法論なりに議論がございますが、いわんやこういつた混乱の際に頼るべき資料というのはなかなかない。従つてどうやつてどういう品物について価値比較するかということが議論されまして、結局のところ主食の値段ということで価値比較をやつたらどうであろうかということになりまして、例えば中支で申しますと、米というもので、その当時の日本の米とそれから上海の米の値段というものを考えて、それで大体購買力比価とつで見る。それで参考的にでき得る限り物価指数その他の、例えば煙草の値段だとか、小麦粉の値段だとか、そういうものをとつて行く。そういうことで比べることにいたしております。その次に米をとるという場合に、日本では闇と公定価格とがあつた。まああつたわけでございますが、これにつきましても、それぞれ闇だけで比較したらどうだとか、或いは公定価格だけで比較したらどうだとかいう議論がありましたが、結局その頃の日本の実情で闇と公定とをどの程度にかけておつたかということを推定いたしまして、ウエイトをかけ、ウエイトをかけたもので両方の購買力をきめるよう。勿論公定価格なり、何なりに、一つ経済圏の中で政治的にかなり貨幣が古く維持されておる通貨と、自由に放任されたところの通貨とそのまま比べるのは不公平じやないかというような議論も日だのでありますが、まあ日本でともかくこれだけに円は使えたんだというような意味でウエイトをかければ、それで大体公正なところが出るのじやなかろうか。それでウエイトを大体付けて、単純に闇だけで比較もしない代りに、公定価格だけで比較をしない。ウエイトとしてはこれは大体確定的なものではございませんが、現地に有利なために、内地では公定四、闇六で借りたものとして考える。そういうような補正を加えまして比較を出しております。それから現在問題になつております点といたしましては、一番これは総論的な問題になりますが、先ほど申上げましたように、終戰と同時に二つの、或いは各地域日本とは切離されて、従つて現地で流通しております通貨日本通貨とは地域的に経済的に全然別個のものであるという理論的な根拠に立ちまして、例えば朝鮮にあります日本銀行舞も、それから朝鮮銀行券も、満洲中央銀行券も、儲備券も、連銀舞も、すべて他地域における通貨という形で、それぞれの地域における今申しましたような購買力を考えて行こう。単純に朝鮮日本ではないではないかということではなくて、一応朝鮮銀行券の、例えばピーク時における例で申上げますと、二十一年の二月、三月における購買力はどうであつたろうか。或いは四月から六月までの購買力はどうであつたろうか。そういうような点を考えて比べて見るということにして、今作業を進めております。それから現在問題になつておりますのは、例えば二十一年の二月、三月をピーク時ととりまして、当時の円で出すことを一応了承いたしたといたしまして、当時の円と現在の円との価値の開きをどうするか。そういうような議論も一応論題になつておりまして、かなり今後問題になる問題ではなかろうかと思いますが、これは対しましては、まだ結論は勿論出ておりません。
  42. 鈴木直人

    鈴木直人君 二十一年の二月、三月の円と今の円というものとを比較するということになりますると、相当多いものになると思うのですが、今十一円というものは、そうではなくして、前のものですか。
  43. 上田克郎

    説明員上田克郎君) さようでございます。
  44. 鈴木直人

    鈴木直人君 それを又取上げるということになると、これはそれに百倍、二百倍になるということになると、百倍になれば千億ということになりますか。
  45. 上田克郎

    説明員上田克郎君) 仰せの通りでありまして、先ほど申上げました十億乃至十二億という数字は、一応そのとき借りた円の価額にするとこれぐらいであろうかという推定でございます。従いまして、きめ方によりまして或いはその後公定の利息を付けるとか、或いは物価指数をぶつかけるとかいうことになりますと、それに応じた変化を帯びて参るという数字でございます。それから当時の二十一年から最近までの変化は、私の記憶では大体二十数倍程度であつたかと記憶しております。
  46. 紅露みつ

    紅露みつ君 これはちよつと大変な問題で、どこにきめられるということがここに集中しておるわけですが、この問題の重点はね。そこでこの部会構成分子はどういうかたがたでしようか、ちよつとお聞かせ願いたいと思います。
  47. 上田克郎

    説明員上田克郎君) 申上げます。御承知のように委員のかたは……委員も申上げましようか。
  48. 紅露みつ

    紅露みつ君 伺わせて下さい。
  49. 上田克郎

    説明員上田克郎君) 会長が大蔵次官舟山正吉委員定員八名ございまして、外務省管理局長倭島英二、大蔵省主計局長河野一之大蔵省理財局長石田正朝鮮部会水田直昌、満洲関東部会高倉正、華北蒙疆部会梅北末初華中華南部会岡崎嘉平太南方部会金子滋男、以上が委員でございます。專門員、一、総括部会外務省管理局総務課長後宮虎郎大蔵省理財局次長酒井俊彦大蔵省大臣官房調査部長石野信一日本銀行政策委員大蔵省代表三井武男閉鎖機関管理官清島省三。次は朝鮮部会鈴木武雄利田國安島津清一郎。これはそれぞれ京城、平壌、新義州の様子に明るいかたということでございます。次は満洲関東部会清島省三、これは前に申上げましたが、阿部武雄武田克色川武雄。これはそれぞれ審陽、前二人、次は長春、その次は大連の事柄にお詳しいかたでございます。次は華北蒙疆部会三井武夫、これは先ほど申上げました。竹部利佐久村田春雄山田樹三郎佐藤秀雄橋場由之、このかたがたは前の四人のかたが北京、天津、あとの二人が済南張家口、そういうことになつております。華中華南部会上海清水健二堤孝遠藤進吉原謙六、このかたは前の二人が上海あとの二人が漢口と広東、そういうことになつております。南方部会、バンコツクについて西牧貢、ラングーンについて山科元シンガポール吉澤洸、ジヤワ及びスマトラ牧田鉛市、以上が專門委員かたがたのお名前でございますが、そのほか幹事が定員十名おります。
  50. 杉山昌作

    杉山昌作君 その満洲とか、朝鮮或いは上海事情に明るいというのは、向うに住んでいた商人か何かですか、或いはその地の金融でもやつていたというかたなんですか。
  51. 上田克郎

    説明員上田克郎君) 大体において銀行支店長のかたでございまして、金融関係を扱つていたかたであります。それから二人くらいあります場合は、官庁側と、そういつた民間側の人に出て頂いております。官庁側財政金融の衝に当つておられた人、そういうような大体選び方をしております。
  52. 鈴木直人

    鈴木直人君 少くともそのときの為替レートを公正に見たとして、現在の物価の関係は仮に別にしても、現在に至る利子は入つていないのですね。
  53. 上田克郎

    説明員上田克郎君) その意味におきまして、これも将来又二回ほど予定しております総会、部会並びに最後委員会審議会、正式の審議会で又議論が出ることと存じますが、利息を当然払うべきであるという考え方も出るでございましようし、或いはその利忠程度じやいかんというお考えも出るでございましようし、その点はどうきまりますか、委員かたがたの御意見としては公定利息程度は付けるべきであるというような御意見も相当出ております。
  54. 鈴木直人

    鈴木直人君 勿論、そうしてそのときにすぐ返してもらえる状態にあつたとするならば、それをすぐ返してもらつて家を買えば相当よいのを買えた、それでその現状でその家を売れば相当多額になる、そういう考え方もいろいろあるわけですから、随分むずかしいかと思いますけれども、すぐ返してもらいたいということは不可抗力という本質的な状態になつておつたと解釈されるのですか、どういうふうな解釈ですか、いわゆる民法上においては、これは民法上の契約から言えば効力がある、であるからして法律的にはまあ責任はないのだが、そういうような解釈も附加えられなければ困難な問題になるのじやないかと思うのですがね。
  55. 上田克郎

    説明員上田克郎君) 大変むずかしい問題だと存じますが、今までのところ皆さんの議論を総合いたしますと、現地での借入れの状態はいつ幾日政府が返すからということでお借りした部分は極めて少うございます。それで大体将来国できめたきめ方に従つて日本で円で返してもらうのだ、そういう程度のお約束でお借りしておるようでございます。従いまして、民法に言いますいわゆる弁済の時期というものは、概括的に申上げますと、ないものが多い、従つて政治的にはできるだけ、一日も早く返してやるという義務は勿論あると思いますが、法律的にいつからいつまでがいわゆる延滞になる、法律上の延滞になるということはないのじやなかろうか、そういうような解釈であります。併しこの場合参考になりますのは、例えば国債を買つたかたは持つてつて来ていいことになつておりますが、その国債を買われたかたには国債の利子が付いておりますし、そういうようなことが或いはこの問題のときに何らか参考になるのじやなかろうか、そういうふうに思われております。これは勿論まだきまつた意見じやございませんけれども、大体そういうような意見があるということを申上げておきます。
  56. 紅露みつ

    紅露みつ君 これはこの審議会でいわば一方的にきめられるような感じが深いのですけれども、その構成の中に引揚関係の人、それから当時借受けた公館等の当事者等も入つておりますが、或いは意見を聞いておるかでもよろしいのですが。
  57. 上田克郎

    説明員上田克郎君) 御承知のように極力資料のあるかたには御提出を願いまして、意見は極力聞いております。例えばそれぞれの委員のかたには、それぞれのかたからいろいろな陳情もございまして、委員のかたはよくそのかたちのお考えを自分で取入れて、そうして御意見を申されております。それからこの審議会そのものの性格が、できるだけ先ず客観的に、先ほど申上げました購買力比較をする、それで政治的にどういう考慮されるかという問題は委員会としては取上げないということが一応の建前になつておりまして、将来政府から議案として提出されました際に、国会で例えば政治的な考慮が払われるとかということはあり狩るかも知れませんが、委員会としてはなるべく客観的な数字を非政治的に出そうということの建前で行われております。
  58. 紅露みつ

    紅露みつ君 それが頗る危険なんですね、こちら側から見ると……。それで先ほども申上げましたけれども、それが法案なつてしまうと、なかなかこれはもう動かしにくいものですから、その前に委員会だけには、これはもう見せて頂く、こういうことにして頂きたいと思うのですが、なお委員長はどういうふうにお考えになりますか。
  59. 千田正

    委員長千田正君) 只今紅露委員からの御要望もありました通り、御承知の通り在外公館付上金の問題は非常に大きな問題でありまして、国の財政にも影響を及ぼし、殊に長年の間これのみを頼りにして引揚げて来た人たちにとつては、一日も速かにこの問題が、政府から支払われることを待望しておりますので、当然当委員会といたしましては、これ又第一国会以来、この問題について愼重に審議を重ね、当局に向つて要請しておつたのであります。この点については是非最後決定をする場合に、一応当委員会に内示されて御協議を願いたいということを、委員長からも委員会委員の御要望として申上げるわけであります。
  60. 上田克郎

    説明員上田克郎君) 仰せの通りでございますので、極力それが実現するようにいたしたいと思います。上司のほうと相談いたしまして……、勿論異存はないと思います。皆さんからの御意見を承わつて、できるだけ公平なものにしたい、さように考えております。
  61. 千田正

    委員長千田正君) では外務省の在外公館借入金に関するところの審査会の審査事情池田室長から今までの状況の御報告を願います。
  62. 池田千嘉太

    説明員池田千嘉太君) では大要を御報告申上げます。  昨年の五月十九日ですか、請求書の受付が締切られまして、大体揃つたのが八月の終りでございましたが、それの前から審査会というものを開きまして、順次可能な範囲で次々と審査を進めておるわけでございますが、先ず審査方法としましては、成るべく安い、簡単に認定できるものから着手しておりまして、順次むずかしいものに移るという方法によりまして、昨年の十二月の終りに確認できたもの約一万九千件でしたか、確認証書を出しましたが、次いで本年の三月の下旬に、これも約一万九千件、ほかに全然該当しないもの、即ち在外資産等に属するものを誤まつて請求して来たものに対して、約一千件余を出しました。その後にも引続きやつておりまして、大体七月の下旬頃に約二万件を出すことにして着々準備を進めておりますが、証書の審査終りになるほど相当複雑のものができますし、それから一方借入れた、主体と我々は言つておりますが、借入者のほうの関係も今までのような整理のできていないものがたくさんありまして、だんだんに困難を極めておりまするが、それらにつきましても、更に一層努力しまして、只今お話大蔵省側における支払の準備の進行に伴いまして、支払ができるくらいまでには、先ほどお話のおよそ確認されるだろうと思われる十万件乃至十二万件くらいは是非皆さまのお手許に届くようにしたいと思つて努力しております。非常に簡單でございますが、何か質問があれば……。
  63. 紅露みつ

    紅露みつ君 それをお伺いしたいと思つていたのでございますが、今十万件というお話でございますが、それはいつ頃までに……。
  64. 池田千嘉太

    説明員池田千嘉太君) 大体この十月乃至十一月頃までにはやりたいと思つております。
  65. 紅露みつ

    紅露みつ君 それが十万件内外ですか。
  66. 池田千嘉太

    説明員池田千嘉太君) 十万件乃至十一、二万件という見当です。
  67. 紅露みつ

    紅露みつ君 大体これは借入金に該当するのだというふうにはつきりした状態になつていたものが十四万件何がしございましたはずでございましたね。
  68. 池田千嘉太

    説明員池田千嘉太君) 一応十二万ちよつと余りに出ていた、この前報告したのはなつておつたのですが……。
  69. 紅露みつ

    紅露みつ君 十四万余何がしだつたと私は思つておるのでございますが、五万八千件ぐらいが何だつたと思うのですね、どうも手数のかかる口だということで十四万八千件ぐらいに私は記憶していたのでございますが、少くともそれだけの口は大体貸した母体もわかつている、はつきりしている口なんだから、調べられるのは、そこまでは一緒に一気に調べて頂かなくちや工合が悪いのではないんでしようか。
  70. 池田千嘉太

    説明員池田千嘉太君) だから今お話しました数字に幾らかの食い違いがありますけれども、大体もう確実にできると思われるやつだけはやりたいと思つております。
  71. 紅露みつ

    紅露みつ君 そうですね。
  72. 池田千嘉太

    説明員池田千嘉太君) はあ、そうでございます。数字に幾らか食い違いがありますけれども……。
  73. 紅露みつ

    紅露みつ君 そうしたら五万八千件と覚えておりましたのですが、多少私どものほうに違いがあつたかも知れませんが、その後手数のかかる口というのはどうなつておりますか、そのままですか。
  74. 池田千嘉太

    説明員池田千嘉太君) これは今の事務と並行しまして、大体審査委員会にも地域代表を入れておりますから、それを満洲なら満洲、華北なら華北という工合に地域的に担任区域をきめまして、よく事情のわかる人に出て頂いてどんどん進めておりますから、これも並行して行くと思いますけれども、証書になる場合はどうしても只今申しました確実なものよりあとになると思われます。尤も御承知華中方面におきます調整料付の送金小切手の関係です。こういうようなのは一括して処理できるものですから、これは何とか早く駄目なら駄目ときめまして、一つ処理したいと思つて、これは手をどんどん着けておりますから、並行して行きますけれども、只今申しましたように不確認とか、確認の処理は、初め申しましたよりやや遅れるということで……。
  75. 千田正

    委員長千田正君) 今紅露委員質問に対してのあなたのほうの数字について、ちよつと私の手許に届いたものと食い違いがあるようですが、私の手許に届いておる報告は、昨年五月十八日の締切までに提出された在外公館等の借入金確認請求書は総数において約二十一万件に達しているが、その現在における内訳は、およそ左の通りである、今日までの調査により審査会法第一條の借入金にほぼ該当すると予想されるものが約十三万八千件、更に調査を要するものと思われるものが約三万八千件、今日までの調査によつて一応非該当と思われるものが約一万四千件、合計二十一万件であるという御報告を受けておりましたが、今のあなたの御報告と多少数字が違うようですが……。
  76. 池田千嘉太

    説明員池田千嘉太君) 只今言われましたのとやや違つているますけれども、訂正、いたします。
  77. 千田正

    委員長千田正君) 十三万八千件という前に報告があつたほうが正しいわけですね。
  78. 池田千嘉太

    説明員池田千嘉太君) ええ、そうです。
  79. 紅露みつ

    紅露みつ君 今お話が出たのですが、調整命ですね。あれに対しては別な法律を設けるとか、別な何かをしなければいけないのでありますね、解決はできないわけですね。あのほうはどういうふうに進めておられますか。
  80. 池田千嘉太

    説明員池田千嘉太君) これは一応調査だけいたしておるのでございます。まだ審査会にかけるまで行つておりませんけれども、一応事務的に見ましてなかなか困難があるのじやないかと思つておりますが、併しまあ政府と言いますか我々事務のほうとしましては、これはいろいろ現地事情もありますし、それからみんな相当困難な中を工面して出したというような事情もあるのでして、これは何とか政府でも優先的に支払方法を考えるべきものではないかということを考えておりますのですけれども、これはほんの事務的でして、こういう点大蔵省のほうの支払いのほうの関係もありますし、更にこれは愼重に審議する要があるのじやないかと思います。
  81. 上田克郎

    説明員上田克郎君) 調整料付送金の問題につきましては、現在までのところこうなつております。調整料付海金と申しますと、或る一部のかたには、調整料という部分は、それがいわゆる外資金庫に納められて、外資金庫の金を在外公館がお使いになつたから、これは在外公館借入金と同様に見るべきだ、そういうような御議論があつたのでございますが、その後我々のほうで調査いたしましたところ、現地のその衝に当つておりました銀行のかたの宣誓書によりまする、外資金庫の金がその方面に使われたことはない。そして又調整料と申しますのは、御承知のように、当時のいわゆる購買力比価というものがオフイシヤル・レートとかけ離れている、それを政治的考慮からオフイシヤル・レートを変えるわけに行かない、いわゆるこれだけの円を確保するためには、普通オフイシヤル・レートプラス調整料というものの全体が見合うのだ、いわゆる為替相場が……そこに全体によつて為替相場を立てて行く、そういうような考え方でありまして、調整料だから情上げたのだからということではなくて、銀行に送金を組んだ、そういうような解釈を最近ははつきりとるようになりました。それでそうしますと、次の段階といたしまして、現地で斡旋したり何かいたしまして、送金を取組んで置きながら、内地でその命がとれないというのが現状でございますが、この問題について、実はこの委員会でも一回問題になりまして、私たちのほうにお下げ渡しになりまして、現在その調査をやつているんでございますが、法律的に例えばこういう意見がございます。送金為替というものは、例えば現地の支店で組みまして、本店に提示いたします。普通の場合は……。その場合に本店がそれをアクセプトしたとき、受入れたときに初めて送金が成立するのであつて、本店にはその受入れる義務はない。従いましてそういうときは現地儲備券百万元なら百万元出して、送金小切手をもらう、そのもらつた送金小切手は、現地銀行に対して一種の預金と同じような性格の金になつて、内地の店がアクセプトしたときに初めて送金が成立する、従つてアクセーヴするしないは本店の自由だということが法律上の解釈のようであります。こういう点につきましては、事が極めて重大でございますので、現在專門家の鑑定を仰いでおりまして、それが決定いたしました上で、大蔵省の、特に現在とどめておりますのは、為替管理法的な建前からとどめておりますので、それが解除していいんじやないかという御議論も一方にございますから、その点がはつきりいたしました上で、例えばそれがどんどん解除されまして、折角作りました金融機関再建整備法による金融機関の再建整備ということがめちやくちやになつてしまう、そういうことがありはしないかということを検討いたしました上で、法律上の問題と、実際上の問題とで解決したい、で、現在專門家の鑑定を仰いでいるという段階でございます。
  82. 千田正

    委員長千田正君) それには私は甚だ疑義がある。私は当時のいわゆる引揚者の一人です。当時は御承知の通り各官庁が全部金庫を閉鎖されて、銀行も閉鎖された、閉鎖された以後において、これは内地の本店がアクセーヴしないというのは当然のことであつて、何の必要があつて当時の居留民から調整料を出して、そういうことをさしてやるということができるか、何らかの目的がなければ、そういう理由が生ずるはずがないのです。我々としましても、内地に帰つてこの金というものは当然役立つと思うからこそ、皆なけなしの着物を売つたり何かして調整料を払つての持ち帰り小切手というものを……当時の状況は御承知の通り内地は連合軍のポツダム宣言を受諾すると同時に、金融機関を閉鎖して、外地においても中華民国なら中華民国の命令によつて、一切の銀行の機能を停止した、停止した以後において何が故にそれをやる必要があるかということですね。何の理由が……、そういうことをする必要がないのですよ。だから現地の問題からすれば、当時のいわゆる内地からの訓令に基いて最高三万円までは、例えば上海まで最下三万円までの小切手は持帰ることができるから、その調整料を出した人に対しては小切手を組んでやるということを、いわゆる居留民が一つの所に集団して収容されておるところに、そういう当時の出先官憲からのサゼツシヨンによつて皆な積んだのですから、それを今更そういうことは法律上ないとか、或いはあるとかという理由にはならないのです。
  83. 上田克郎

    説明員上田克郎君) そういう事情があつたようにも聞いております。その場合に、どうして三万円限度なり、或いは一万円なりというようなものをやるようにしたかということにつきましては、こういうことを聞いております。内地引揚げのかたがお帰りになつて寄る所もない、そういうような場合に全然何も……、折角現地でお働らきになつたかたが、内地に帰つて来て、直ちに衣食にお困りになる、そういうことは日本の治安の上から考えて、それは到底収まらん。だから何とか送金をさせる、送資金ができるように努力したい。そういうことで現地の当局は努力なさつた。それでともかく三万円までは内地でとれるようにしてくれないかということで、そういう話を進めて行つた、そういう事情があるということは知つております。従いましてその調整料をとつて、そうしてそれによつて借入金と同じことをするために七つたというよりも、皆さんお帰りになつて、お金がとれるようにというふうな……。
  84. 千田正

    委員長千田正君) 当時はそういう考えがありましたが、それならば、その調整料をとつた金はどういうふうになつたかということなんです。
  85. 上田克郎

    説明員上田克郎君) 現地のそのままの、何と言いますか、銀行勘定と申しますか、そういうものになつておるように聞いております。
  86. 千田正

    委員長千田正君) 我々から見れば、そういうことはあり得るはずがないということなんです。例えば銀行が全部閉鎖して、銀行に対しては国民政府なら国民政府の各関係機関が一切の業務というものを閉鎖されておるや閉鎖された以後におけるところのそうした受入勘というものは、こういうようにしたら……、居留民から調整料をとつた丘はどういうふうに使われるかということですね。政府のほうでは知らん。やはり我々当時の三井なり、正金銀行なり、或いは三菱銀行に対して、横領なり詐欺なりというような行政的な問題が起つて来る。だから私はそういうふうには考えない。この委員会におきましては、この前、当時の担当者であつた土田公使或いは矢野総領事、或いは岡崎参事官、こういう人たちを証人に呼んで聞きました場合に、この総領事も公使も、在外公館はあるべきはずの金がなかつた。ないはずです。然るにその居留民の引揚げに対して相当盡力された金はどこから来たか、それは当時の三人の証人は、我々は知りませんと……知らない。併しながら外務省の当時の在外公館の官房長は、どうしても居留民を引揚げさせるための金に使わなければならんというので、銀行に金を受取りに行つたことは知つている。その受取つて来た金は果して皆さんからの調整金の中から受取つて来たのか、或いはほかで工面して来たのか我々は知らない、こう言うのです。だから我々の考えから言えば、銀行にあるはずのない金を何が故に官房長に銀行が渡すのか、片方は銀行は閉鎖されておる。全然ないはずなんです。ないはずになつておるにもかかわらず、当時の出先官憲の官房長が金を銀行に受取りに行つたときのその金はどこから……、何億という金を出したが、あるべきはずのないところの金を銀行が渡すはずがない。若しそういう意味でなくて、本当に調整料をとつて、積込んでおつた金がどこに行つておるか、それは帰つて来た人には疑問の的であり、この問題を解決しない限りにおいては、在外公館において一抹のいらゆる不純なる問題存最後まで残すということがあるから、この委員会としてはその点をはつきりしなければならん。前々から委員かたがたはその点を大蔵省にはつきりしてもらいたいということを要請しておるのであります。
  87. 上田克郎

    説明員上田克郎君) よくお話はわかりましたので、その件につきまして、更に調査を進めて行つて見たいと思います。
  88. 千田正

    委員長千田正君) ほかにございませんか。
  89. 飯島連次郎

    ○飯島連次郎君 只今の問題と若干外れますが、公館の借上資金の審査を進めるに当つて在外資産全般の問題が若干の関連を持つているのですが、これは審査会では問題になさつておりますか。
  90. 上田克郎

    説明員上田克郎君) 審査会としては、先ほど申しましたように両方の貨幣価値比較するというふうに重点が行つておりますが、雑談とか何かの場合に当然その問題もいろいろ議論と言いますか、話が出て、公館を先に返すという場合に在外財産の補償の問題も考えなくちやならんじやないかと、そういうような話は勿論触れることがございました。併し会の議題としてそれが取上げられたり、或いは正式のこうやつて机に就いておりまして、話になるということはございません。
  91. 飯島連次郎

    ○飯島連次郎君 その問題に関してもう一つ外務省のほうではおわかりになつておるかどうか、在外財産の届出をしておりますが、こちらへ帰つて来てあの総まとめはどこでやつているのでするか。
  92. 上田克郎

    説明員上田克郎君) あの取りまとめは一応大蔵省の省令を出しまして、日本銀行に現在その資料に全部置いてございます。この取りまとめは御承知のように総司令部の指令に基きまして最初に作つたものでございまして、司令部にそのまま行つているものとこちらで集計したものとその両通りございまして、司令部の意向もございまして、その数はとにかく発表しないで置けということに現在なつております。この九十五号でとりました資料では、個人のかたも法人のかたも全部一応御報告頂くことになつております。約四十八万通集まつております。それから大蔵省自体といたしましても、主として主要な会社につきまして、わかる限りの会社につきまして会社から報告を頂きまして、在外財産調査調査会というものを作りまして、それによつて出しました数字もございますが、これも今のところ伏せておる。一応ございます数字はそれだけでございます。
  93. 千田正

    委員長千田正君) ほかに御質問ありませんか……。外務省池田室長にお伺いいたしますが、これはあなたのほうの業務の内容かどうかわかりませんが、引揚者が引揚げて来た当時、博多或いは門司その他において管理局というものがありまして、そこで一応持帰つて来た小切手或いはそうしたような資産内容のものを全部一応管理局に提出さして、そうしてその代り仮領収書を当人に渡した。これは完全に今でもちやんと管理局のほうにおいては十分に保存してあると思いますが、その点はどうなんですか。
  94. 池田千嘉太

    説明員池田千嘉太君) これは上陸地でお預けになりましたのは全部税関でまとめまして、今の横須賀の税関に全都証券の写しというのができております。そこに全部まとめて整理してあるはずでございます。これは大蔵省関係だけでなく……。
  95. 千田正

    委員長千田正君) これは将来必らずこれにかからないほうの問題或いはかかつてつて審議未了に残されるほうのものが、そうした部面に相当多いと思います。
  96. 紅露みつ

    紅露みつ君 池田室長にお尋ねしますが、いつか委員会で以て視察に参りました当時の審査会のあのメンバーでずつと続けているのでございますか。
  97. 池田千嘉太

    説明員池田千嘉太君) メンバーは官庁側では一、二職が変りましたのもありますけれども、民間委員は大体今まで……。
  98. 紅露みつ

    紅露みつ君 あのままで……。
  99. 池田千嘉太

    説明員池田千嘉太君) そうです。
  100. 紅露みつ

    紅露みつ君 そうすると、同じような能率で進められておりますか。
  101. 池田千嘉太

    説明員池田千嘉太君) 同じ能率でやつております。
  102. 紅露みつ

    紅露みつ君 併しこの補正予算を組むのに大体のというようなことで補正予算を組んで……。それはたつぷり組まれればよろしうございますけれども、補正予算を組まれるまでに十月、十一月というようなことでは、これは非常に遅れることになりはしませんですか。而も後廻しになるのはだんだん手数がかかるのでございましよう。だからこれは十月、十一月にまあこれが終了するとしますね、終了するとしますと、余ほどこの補正予算に十分組込む自信がなければ今年中には返せないようになつてしまいはしませんか。自信がありますか。
  103. 池田千嘉太

    説明員池田千嘉太君) この点は大蔵省にもお願いしまして、成るべく広めにということでお願いしておるわけでございますが、どうしても事務的に一応十三万八千件については一応数字を当りまして、これは正確にというわけには行きませんけれども、一応数字を当りまして、大蔵省のほうへ廻してありますのですが、大体それを基礎にして頂ければ間違いないのだろうと思つております。
  104. 紅露みつ

    紅露みつ君 その数字が問題なんですよ。補正予算を組む上において……。だから何にしてもあなたのほうから早く審査を終了してもらわんというと大蔵省でも困るでしようし、そうして又大蔵省の方針ですね。歳出の基準と言いますか、それはいろいろになつているでしようが、それをこちらでも又委員会審議しなければならないというと、二十六年度には返しますということは、政府当局はもう何遍でも言明していられるところなんですから、これが余ほど連絡を密にしてやつて頂かないと二十六年度に完結する、全部を返すということにはならないのじやないかと思つて心配いたしますが。
  105. 上田克郎

    説明員上田克郎君) 我々の気持といたしましては、二十六年度中に一日も早く皆さんにお返ししたいという気持は勿論持つておりますが、法律上二十六年度中に支払を開始するということになつておりまして、先ほど五万とか、四万とかいうのはすでに完了しておるものは当然二十六年度中にきまります。それから又これから審査を進めますのに二十六年度で行きますが、或いは来年度まで奉賛が済まないということがあり得るかも知れません。その場合に同じような政府予算がないからということを恐らく……今度の法律できまりました払い方をするにつきまして、予算がないからということは恐らくないだろうと思います。二十六年度中に完了しなければならないつもりではおりますけれども、完了は專ら審査進行状況によるわけでございまして、予算としましては、審査が済んだものには十分行けるように、できるだけたくさん予算に組むように、そういうように考えております。
  106. 紅露みつ

    紅露みつ君 外債課長は二十六年度に支払を開始すると言われるのですが、私どもは二十六年度中に返済をしてしまうというふうに承知しているのでございますよ。それは大変に違うのです。支払を開始するのと終了するのでは……。それは一日千秋の思いで貸主は待つているのでございますから……。
  107. 上田克郎

    説明員上田克郎君) 法律的なことばかり申上げるようで甚だ恐縮なんでございますが、との返済の事務に関する法律には、昭和二十六年度中に借入金の返済を開始するため必要な措置を講じなければならないと書いてございます。
  108. 千田正

    委員長千田正君) そういうふうなことに曲げられたのです。
  109. 紅露みつ

    紅露みつ君 おかしいな、承知するのは承知しているのです。
  110. 千田正

    委員長千田正君) 但しこちらの含みでは、二十六年度中に払うという了解の下にお返しするということで、外務省側でなく、大蔵省はそういうわけだつたのです。早く出せということだつた。ところが準備が完了しないから、或いは残るかも知れないから、二十六年度中には全部というわけには行かないかも知れない。併し大半のものはお返しするということを、当時の次官、今の政務次官から、そう了解してもらいたいと、こういう話です。
  111. 安井謙

    ○安井謙君 大変素人くさい質問なんですが、この審査はどういう点が審査されるのですか、要するにレートの問題が一つと、あとは十三万八千件については、恐らく受取リストというものは皆あるんだろうと思う。そのために非常に個々の審査で時間がかかるようには考えられないのですが、その点はどうなんでしよう。
  112. 池田千嘉太

    説明員池田千嘉太君) これは実際に、説明だけで甚だ御了解頂きにくいかと思うのですけれども、証書そのものが外地も、内地もそうですが、債権、債務に関する書類というものは、全然持ち帰りを禁止されておりまして、一方大体整理しているところはありますけれども、台帳が一部欠けておつたり、証書がないもりも勿論ありますし、それから殊にそういうものは北鮮とか、満洲の奥地などが特にそうでございます。そういうようなものがありますのでして、簡単に行けるというのは、今申しました十三万八千件ぐらいの中でも、その中数が、三分の二くらいが先ず簡單に行けるだろうという、あとは台帳、それから今の台帳の欠落とか、或いは証書がなかつたりするものが殆んど占めております。そういう関係で今まで出しました分につきましては、割合簡単に行きましたけれども、それからあとに残つたものを調べますと、我々は非常に残念に思うのですが、二重請求、甚だしきは三重請求までやるのがあるのでございます。これは間違いなくできると思いますけれども、同じ人が東京都と京都で同じ金額につき、片方は領収書を落したから、とられたからと言つて、そうしてもう一つのほうでは証書をちやんと附けて出しておるというような事件がある。それから甚だしいのは三通出ているのがあります。それは多分その奥さんが離縁したのでしようね、そういうようなわけで、東京と京都と、もう一つの奥さんと三重に出ておる、こういうのは広く差し上げればいいのだというなら皆出してもいいですが、払うほうも別家の税でありますので、そう簡單に行かないので、そんなのは一々やはり当らなければならんというような、請求書の面でもそういうような面がありますし、それから先ほど申しました、貸した借りたという当事者の関係が甚だわからないのがうんとありますので、非常に手間どつておるわるけです。
  113. 安井謙

    ○安井謙君 それでは十三万八千件の中にそういう非常に判定に苦しむものがたくさんあるのですか。
  114. 池田千嘉太

    説明員池田千嘉太君) 判定に苦しむというのもある。
  115. 安井謙

    ○安井謙君 十三万八千件という受取りがあるというわけではないですか。
  116. 池田千嘉太

    説明員池田千嘉太君) それはそうでありません。主に借りたという報告書に基いて計数を出したのでございます。だから請求書の面が全部完備しておるというのではありません。
  117. 安井謙

    ○安井謙君 もう一つ技術的なことですが、最近になつて届出をして、あるとから証明書のようなものをとつておられるのですね。
  118. 池田千嘉太

    説明員池田千嘉太君) それはこういうのがある。証明書と言いますのは、これは非常に細微に亘りますけれども、証書がありましても、それを現地ですでに他人に譲つたとか、内地に帰りまして、他人に譲つたというようなのがありまして、そんなのはどちらへ出していいのか、それが両方話合いが付いておればいいですが、そんなのは両方から出たりした場合に、やはり印鑑証明とか何とか頂かんとどうも処理しにくい。それから又出した人に死なれたりした場合の債権債務の相続権の問題でありますとか、そんなのも証明書が要ります。それから又場所によりましては、一口何百円とか、或いは何千円というのでやつておりまして、そんなのが本人の記憶違いで、百円のやつを一千円に考えたり、それから何ですか、多く考えやすいらしいのでして、随分口数だけでやつておるのでは間違いが非常に多い。それで私どものほうでどうも台帳はこうなつておるのだが、何かこれをあなたの申請書とは違いがあるが、何か証拠立てる方法があるなら証拠立ててくれ。若し違うならば、こちらの台帳のほうが正しいならば、それに金額訂正願を出してくれというような手続までとつてつておるのでございまして、それでも強硬に自分のは間違いないというのが随分出て来ますが、そうでなくて、そちらのほうが正しいというのも大分ありますが、それらを一々当りますと、なかなか複雑なものが残つてつて、だんだんむずかしくなつて来ますが、大分手筈は整えてやりつつあるけれども、どうも御期待に副いにくい状態であります。
  119. 千田正

    委員長千田正君) 池田室長にお伺いするのですが、よく地方を歩いておりますと、何十口或いは甚だしいのには百口近いのをまとめて一人の人、例えば当時の隣組の組長なら組長の名前で出しておる。そういうのは勿論金額的に制限をされるような場合になると、その人個人の場合と混同しやすいことがあるですが、そういうのは間違いないでしようか。
  120. 池田千嘉太

    説明員池田千嘉太君) これが甚だ内容がはつきりわかつておりますれば処理しやすい。なるべくならば、そういう場合に代表的に一口で出しておつて、それから別に又そういうのを出しておるというので、二重、今言いました二重請求になつております。これは一応小さいほうで出ておれば、それで認めてもいいと思うのですけれども、そういう何十口とか、大きいのは千二百人分のをまとめて出したのがあるのですが、そうなると、その取扱つておる人が、代表されておる人の住所もわからないというのが大分あるようです。それをどうしたものでしようか、これも甚だ処理に窮しておるのですが、できるだけ手を盡して探してはおりますですけれども、そういうふうなのが間間あるので、殊に上海あたりは最底單位を儲備券の一億、法幣の五十万ですか、切りましたもので、県單位とか、或いは路單位ですか、そういう方法でやられておるようです。上海は大体分りやすいですけれども、そのほか、今言いましたように各地にそういうのがありまして、手の出しようがないというようになつておりまして、なかなか困難なのがあるようであります。
  121. 千田正

    委員長千田正君) 一応今上田課長なり、外務省のほうから池田室長が参りまして、一応の御報告があつたのですが、これは相当に愼重を期さないと、必ずあとでいろいろな苦言が出て来ますので、審査される御当局もなかなか容易ではないと思いますが、なお慎重に愼重を重ねられまして、できるだけ速かに返済方を実施して頂きたい。この点はお願いを申上げて置きます。この辺でこの問題は打切つてよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  122. 千田正

    委員長千田正君) 御異議ないと認めます。   —————————————
  123. 千田正

    委員長千田正君) では次に戰争による遺族及び傷病者等に関する件でございます。御承知の通り、先般は皆さんの御協力によりまして、司令部のほうのOKもとれまして、参議院といたしましては、戰争によるところの遺族や傷病者に対するところの審議会を一口も速やかに作るべきであるというので、審議会法案なるものを通過して、衆議院に送つたのであります。ところが衆議院のほうでは、日数もないこともであると同時に、衆議院の厚生委員会の中の更に戰争犠牲者に対する小委員会のほうで法律を作りたいという念願から、継続審議ということになつて、只今実際の面から見まするというと、動いておらないわけでございます。黒川厚生大臣の帰朝後におけるところの新聞発表によると、この次の国会においては必ずその法案を作つて戰争の犠牲者に対する報償を考えると、こういうふうに発表しておりまするが、私が従来数十回に亘りまして司令部関係に折衝した状況から見ますというと、なかなかポツダム政令できめられたところのいわゆるAGの二百六十号或いは極東委員会において日本政府に要翻したところのスキヤツピンの七百七十五号というものは、日本の将来の再不備というものに関連するがごときことを予想されまして、簡單にはOKが得られないのじやないか。勿論日本としましては、講和会議が済めば日本の独得の立場でやれると思いますが、何しろ予算は非常に大きな予算が伴うものでありまするから、そう衆議院の厚生委員会で考えているような簡單なものでないと私は思うのであります。ところでそういうことを非常に察しまして、このたび遺族厚生連盟のほうを担当しておられますところの森田さんから、特に当委員会にお願いしたいといつて、この席に見えておりますから……。
  124. 森田俊介

    参考人(森田俊介君) 私遺族連盟の森田でございます。今日折角お呼出しにあずかりましたから、遺族連盟として、むしろ御陳情申上げる立場でありまするが、第五国会でも遺族援護に関する御決議が、衆参両院で皆さんの厚い御同情で決議がなされて奉ります。今回の第十国会におきましても、重ねてここに遺族援護に関する、更に突き進んだ御決議を頂いておるのでありまして、終戰後六年にもなりまするので、全国の遺族のかたがたは、我々に対しても何らか政府として考えて頂けるものだという感じを、今回の第十国会において重ねて決議いたされました等のことによつて、一層こういう強い感銘を受け、多くのかたがたが感謝をいたされておりますると同時に、せめてこうありたいとか、ああありたいとかいうような御希望も、だんだん具体化した御希望もたくさん我々種族連盟として取りまとめることができるようになりましたので、先般国会かたがたにも、又政府当局のかたがたにも、遺族会として率直に肚一ぱいと申しますか、御希望を申上げたい点を遠慮なく書き連ねて嘆願陳情を申上げましたような次第でございます。もともとこの戰争による犠牲と申しましても、戰歿者の遺族というものがその大きな部分を占めるであろうと存じまするけれども、他にも傷疾者の関係或いはほかにまだお帰りにならない未帰還留守家族かたがたも、広い意味において勿論戰争による大きな犠牲をこうむられたかたがたでございます。これらのかたがたとのお振合いとか、均衡とかいうものも、当然理論的にはいろいろ考慮いたさなければならんことであることは、私ども遺族会の者としても考え及ばないわけではございませんけれども、関連いたしておりまするのが団体としては遺族会でございまするので、傷痍者とか或いは未帰還者の留守家族かたがたの御心情というものもじかに承わる機会もございませんので、その振合等は一切考えませんで、遺族としての率直なお願い、希望を申上げたわけでございます。その要点をお聞取り頂きますれば、第一には、弔慰金又は見舞金というような、まあ名前はどういうものでも、どういう名前でなければならんということを申すおけではございませんが、そういうものを一応貧富とか、そういうことなしに一律に考えて頂いていいのじやないか。と申しますのは、戰時中には大東亜戰争陸軍特別給與令とか、いろいろな名前で一時賜金がございました。その後未復員者給與法がこの引揚特別委員会の御努力で、埋葬料とか、そういうふうなもので、死亡一時賜金ではございませんけれども、何か形を変るえて、幾らかそれに、まあ実質的には多少お代りと申しましようか、そういうような意味も多少含んだものもあるとは申しながら、一時、只今委員長の仰せになりましたAG二百六十号、年令及び利得に関する覚書によつて一切の利得を與えてはならないことに相成りまして切られておりまするので、その間の理論的にはギヤツプもありまするし、又実際にも多少、何ももらわん、何の恩典にもあずかつておらないかたもあるようでございまするし、私どもいろいろ歩きましたときに……、現実に三人の子を亡くして、その一人は何か死亡一時賜金を頂いて、その金それ自体において取りあえず墓を作つてあとの二人の兄弟は何もできんで、卒塔婆のままで朽ち果てております。墓に参つてその前で老夫婦涙をこぼされた場面も見て来ておりますので、事実ほかにもそういうかたが勿論あると想像いたしております。元は赤紙で応召して直ちに戰死をされたようなかたがたにも二百円の一時賜金が出ました。百倍といたしますと二万円、二百倍とすると四万円というものを頂いておるのでありますから、その額に拘泥するわけではございませんが、そういうもらつておらないかたに、貧富を問わず、そういう弔慰金というようなものを、公務のために逝かれたのですから、何か法を開いて慰めてやつて頂けないか、やつて頂いても然るべきじやないかというようなお願いでございます。  それから第二には、それと併せまして、この戰歿者に対しまする補償と申しまするか、これは前国会の決議による、その政府の御答弁に明らかに公務のために死亡したものであるということは認めるという御答弁が政府からあつているのでございまするから、それらに対しましても一定め遺族に対する年金というようなものを考慮して頂きたいというお願いでございます。同時にこの年令を考慮いたされまする場合に、現在生活保護法がございまするので、生活保護法とは別枠にして、遺族には困つているかたも、困つていない、割にあとしつかりなさつているかたも千差万別でございましようが、生活保護法に盛り込まれておりまする項目を全部取入れて、別枠に遺族扶助に関する法律というなものが組立てられまして、そうしてそのうちの柱として遺族年金、一定の遺族年金を支給され、なおこの遺族のかたが非常に御老人であるとか、或いは又非常に幼いかたであるとか、こういうときには、それらに対して増加年金と申しますが、それらのものを附加して頂いて、そうして生活保護法による組立て方とよくバランスのとれた組立て方にして頂けないものであろうか。特にお願いをいたしたいことは、わけても遺族のかたの唯一の願望は、何と申しましても、残つておる遺児を健やかに育て、これを立派にして行きたい、これを杖、柱にして参りたいというのが遺族の多くのかたがたの唯一の望みであり、悲願であろうと考えまするので、この教育扶助について特段の組立て方をこの中に盛り込んで頂けないか。義務教育のごときは勿論。一定率の教育扶助を盛り込んで頂き、なおそれ以上に、高等学校以上に進学するだけの身体もあり才能もある者は、その進学している間。一定の補助が下付されるようにお組立て願えないであろうか、なおそのほかにお困りになつていないかたは当然御適用はございますまいが、遺族でそういう一定の基本年金なり、増加年令なり、教育扶助なり、そういうものを組立てたほかに、住宅扶助とか、営業扶助とか言いまするものも、それぞれ生活保護法の組立て方に準じまして、お困りになつているかたは、これもその枠の中に組立てて、総合した一つの組立て方をして考慮を頂けないものであろうか。こうして頂くことが現在の遺族の飾らない率直な願いであるというように私ども各地の遺族の声を総合すれば、さように受取れますので、それらのことを文書にいたしまして、この前お願いを出している次第であります。  それからなお第二回のお願いとしては、もう行き過ぎであるかも知れませんが、決して私ども遺族のかたがたに、今決してものになつているわけではありませんが、非常な同情をして頂く段階なつているのだということしか申上げておりませんけれども、だんだん御同情の声が少しコンクリートになつて参りますると、まあいつもらわれるだろうか、いつ出して頂けるかというような、もうそればかり念願をして、そればかり切願をする人が絶えずお見えになりまするので、なお突き進んでは、一体私はこういう立場ですが、もらえるかもらえんだろうかというような話さえ出るようになりましたので、第二回目には終戰後六年経つておりますもので、遺族のかたがたで戰残されたかたが、生前生きておられたときと同様に遺族のかたが、お父さんもお母さんも妻も子も仲好く一家でお暮しになつているかたも相当ございましようが、いろいろな経済的事情やら、或いは一家の御都合その他によりまして、妻のかたが別れて、婚家を別れて出て、別に生活をしておられる、再婚をしておられるわけではありませんが、別に生活をしておられる、その場合に子供を連れて別に暮しを立てておられるかたもありますし、子供はお帆父さんお祖母さんが育てて、妻は別に暮しているかたもあるというふうに、いろいろこの遺族のかたに、生活の苦しいことが大部分の理由だろうと存じまするが、いろいろな離合集散が行われているように思うのであります、これらに対して政府に何らかの施策をして頂きまする場合、又国会として特にいろいろお考え頂きまする場合に成るべく現在の遺族の、そういう離合集散の行われた現在の遺族の事情に適合いたしまするように、そうして何か紛争が起つたり、揉めごとががちやがちや起つたり、少しでもそういうことが少いように、仮にまあ一つも起らないということもないかも知れませんが。或いは起りましたも、そういうようないわば見苦しいと申しますか。いわば好ましくない。そういう紛争を少しでも少くすることのできるような形において、折角の御施策を国会なり政府なりで御研究、お取り上げ頂くことが、非常に現在となれば時間がたつておりまするだけに、それだけに大切なことであろうと考えましたので、第二回目にはそれらの場合を四つなり、五つなりに分けまして、何か適当な御考案を、それらのことを御考慮のうちに入れて頂いて、御考案をめぐらして頂くようにありたいものだというお願いを第二回にいたしたような次第でございます、遺族のかたがたも今回の第十国会におきまする再度の御決議、又現在の諸事情等によりまして、大分明るい希望を抱いて、間もなく我々のことも何かお考え頂けるということを皆考えておられると思いまするから、どうぞ一日も早く、又その願いが無になりませんように、この上ともいういう御盡力御高配を願いまして、六年の門何も構つて噴けないのだ、その情けない思いをしておられたかたがたが少しでも明るい気持を取戻して、これでいいのだと言つて、我々も一つ元気を出してやつて行かなければいかんということを真から思つて進んで行くことができるように、この上も御高配下さいますようにお願いをいたしまして、もう前々から何回も陳情いたしましたことを繰返すだけでございますが、今回出しました陳情は前より少し具体的に申述べて陳情いたしましたような次第であります。ただ私ども遺族団体としては、それならば年令は幾らにして頂きたい、何は幾らにして咲きたいということは陳情書には書きませんでした。と申しまするのは、若しそういうことをまだ実現もしないのに、はつきりと書いておくとしますと、末端の遺族のかたがたに行きますと、もう何ぼ出ることになつて、そういうふうに進んでいるそうだというように、何かだんだん先走りをして非常な誤解をされまして、今度何か具現した場合に大部話が違うじやないかというような、とんでもない、何と言いますか、錯覚と申しますか、渦を捲き起しては相成らんと思いまして、筋だけを書いて御陳情申上げたのでございまして、金額等はそういう先走つた誤解を自分らの団体の中から捲き起しては非常にいけないことだと思いましたので、金額等は一切書かずにお願いをいたしておるような次第でございます。  今日はお忙がしいところをこの席を與えて頂いて、お自にかかつて陳情することを許して頂きまして、厚くお礼申上げます、なおこの上とも重ね重ねよろしくお願いをいたしたいと存じます。
  125. 紅露みつ

    紅露みつ君 森田さんに伺いますが、遺族連盟としての御要望は御尤もだと思います。当委員会はやつぱりそういうような気持で、先ほど委員長からお話がありましたように、戰傷病者等対策審議会設置法案を、これを講和の前に何とか解決したいという気持委員長非常なお骨折りで、関係方面にも足を運ばれて、折角こちらが通つたのですけれども、衆議院のほうで継続審査というような形になつてしまつて……、で、あなたのほうでは何ですか、これに対してどんなふうにお考えになつていらつしやるか、この審議会の設置法というものが果してこれが適当か、或いは継続審査にされたようなことは、これは仕方のないことだと思うか、いろいろな毎度からこれをあなたがたも批判していらつしやるだろうと思います。それから衆議院のほうに陳情なさつていられるだろうと思いますが、厚生委員会のほうに関係を持つていらつしやるのですか、最近の衆議院との交渉ですね、そんなこともちよつと参考に伺つて見たいと思うのですが。
  126. 森田俊介

    参考人(森田俊介君) 私どもが衆議院のほうに参つておりますのは、衆議院のほうではこちらよりも大分遅れたようでございますけれども、厚生委員会の中に遺家族援護に関する小委員会というものを高橋等さんが小委員長で、何名でありましたか、八、九名のかたが委員を構成しておられます、そこに主として連絡をしております。そこに御陳情申上げたり、ときどきお呼出しがあつて説明と申しますか、行つたりしておるようなわけでございます。それからもう一つ只今お尋ね頂きましたこちらの審議会法案のことは、実は私どものこの遺族会に見えるかたがたは、余り長いものですから、いつ頃ものになるだろうかというようなお話が非常に主になりまして、ただとにかくどういう方法でもいいから、一日も速かに実現できるように、衆参両院に一生懸命陳情なり、請願なり連絡申上げて具現するようにしてくれという声でありまして、遺族会の末端のかたがたはそういう道筋の審議会云々とか、どういう筋でどうあるべきかというような考えを吐露する人は殆んど参られませんので、私どもただどんな方法でもいいから、とにかく早くということを主眼に遺族の職を成るべく秩序立てて、ああも言い、こうも言い、でたらめにならんように筋を立てて順序立てて行くことに、殊に力を置きまして、そういうことに対する遺族のまとまつた声というものは、むしろ成るべく早く、少しも早くということだけで、議会内のいろいろな御苦労の面に対する、そういうことに対する具体的な意見は、各遺族それ自体からは余り反映して来ないわけでございます。
  127. 千田正

    委員長千田正君) 森田さん、これはあなたが今まで陳情なさつたことは前から我々も何回も聞いて、遺族のために真剣に考えてやろうというので、この委員会で取上げたわけです。そうして今もおつしやる通り、一日も速かにということであればあるほど、我々としましては、こういうものを作らない限りにおいてはできないのだという見解から審議会法案を通過したのでありまして、若しあの法案が衆議院を出ておれば、すでに今日あたりくらいに一応の態勢は整えておられたのです。にもかかわらず、衆議院のほうでは小委員会などで、すぐにも遺族のほうへ何でもいいから金を渡せるような法案を作つてやるからというようなお話ですが、そういうようなことはなかなか容易にできません。それで休会中でもいいから、この審議会が活動できるようにというので、参議院としてはこの審議会法案を通過されたのです。ところが遺族のほうのお話を承わると、何でもいいから早くして欲しいということで、その経過がおわかりにならないということは、我々委員会として誠に残念な次第です。大体からいうと、なかなかこの問題は予算の措置というものが伴う。このAG二百六十号とスキヤツピン七百七十五号の改廃というような問題と噛み合せなければ、皆さんのお手許にお金が届くような結果にならないのでありまして、このスキヤツピン或いはAG二百五十五号を撤回するためにも審議会が必要であり、更に遺族の数を確定的につかまえるということ、予算措置に対するどころのいわゆる予算に対する査定に対しましても審議芸が必要なのでありますから、そのための審議会を設けるというようなことになつておるのでありますから、少くともこの休会の間でも十分なる態勢を整えたい、そうして遺族の人たちが一日も速かに法案が実施されるようにという気構えを持たせようというので、この委員会としては参議院の全会一致で通してしまつた法案なのです。ところがややもすればそれが歪曲されまして、棚からぼた餅でもすぐ落ちるように考えておつたのでは飛んでもない話でありますから、これは遺族連盟のかたがたにも十分その点を参議院の皆さんの御苦労のあつたことを銘記して頂きたい、どうぞさよう御了承を願います。
  128. 森田俊介

    参考人(森田俊介君) 承知いたしました、
  129. 鈴木直人

    鈴木直人君 お尋ねしたいのですが、参考のためですけれども、先般私靖国神社の集会所にほかの用件で参りましたところが、全国の遺族のかたが集まつておられたようですから、あの部屋をちよつと覗いて見たのですが、岡山県であつたと思うのですけれども、遺族会の人たちが来られまして、その会の空気を見ますと、非常に激昂して、感情的に憤激して、そうして一体我々をどうしてくれるか、何をしているのだというようなことで非常に激烈に事情を訴えて、おりましたのです。それを私見まして、遺族のかたがた只今お話のように非常に困つておられるし、又遺族に対しては国としても何らかの措置をしなければならないということでありますが、今のように成るたけ早くしてもらいたいのだという考え方もありまして、国に対する要求が非常に切なるものがあるようでありました。そこでちよつとお聞きしたいのは、この遺族会でございますね、母体になつておりますその使命ですね、主たる目的がどこに置いてあられるのか、それをお聞きしたいのが一つ。それからもう一つは、遺族会と言いますか、それを構成する連盟ですが、遺族から会費のようなものを年とか、毎月とかというふうにとつておるものでしようか。その点を参考のためにお聞きしたい。この二点をお尋ねしたいと思います。
  130. 森田俊介

    参考人(森田俊介君) お答えいたします。遺族会は古い……私成立の当初から関係をいたしませんでしたけれども、大体各府県ごとに遺族の相互扶助的なお集まりとして各府県にぼつぼつできて、各府県では或いは授産所を持つたり、或いは保育所を持つたり、財団法人になつたり、なつてないようなところもございます。そういうのがあとで全国の連合会というようなものができて来た生い立ちでありまして、現在ではむしろこの我々全国の連合会でありまする東京の遺族厚生連盟では、各県まあ相互扶助と申しましても、結局自分らでは幾ばくのこともできませんから、政府に協同してみんなでお願いをしなければならん、請願をしなければならんものは個々まちまちに請願しないで、まあ連盟を一まとめにしてそうして請願陳情しておる。それから又共同募金の分け前にあずかられるような団体は、地方でもそういうふうな御助成をしておるというようなことでありまして、従つて全国的な私どもの遺族連合会としては実際に直接遺族を府県のよるうに持つておりませんので、この前法務府からもやはり政府にお願いをしたり、陳情したりする、あれだから団体等規正令による届出でをしなければならないということで届出でもいたしております。府県の遺族会はまあそういう政治的にいろいろ請願陳情し、自分らの立場を御了解願つて行かねばならん。請願陳情の面と、自分自身で生活の相談なり、就職の斡旋なり或いは託児所を持つたり、補導したり、そういうことをささやかながら府県或いはそれ以下のところでは少しずつやつておる、そういう恰好であります。従つて現在は各府県で会費のようなものをとつておるところは非常に少いと思います。ないとは申しませんが、極く少額の金をとつておられる。会費的にとつておられるところもあるようでありますが、大体はとつておられないところが多いるようでございます。それらの会は然らばどうして運営しておられますかと申しますと、大体基礎の割にしつかりしておりますところは少し託見所を持つたり、生活相談所を持つたり、いろいろ事業的な面が少しございまするので、赤い羽共同募金の分け前等にあずかられて、それでそれによる範囲で運営をしておられるところが多いのじやないかと、こういうふうに現在見受けられます。それで全国統一的にこういうふうに仕組まなければならないという準則を流して作つた団体ではございませんから、或る県の遺族会は財団法人にはつきりなつておられます。或るところはまだそういう任意団体的な存在であるところもあるというような形で、整備されてはおりません。そういう恰好であります。
  131. 鈴木直人

    鈴木直人君 私も実はこれに関連をして既存遺族会をどういうふうに運営して行くかということに実は苦慮したものなんですが、作りましても、弱い人たちだけの集合なものですから、何もできない。併しながら会が作られました以上は非常な期待を持つておる。そこで只今説明になりましたような年令とか、そういうようなものでも国から出してもらうということが当然であるわけでが、そういうような方向に当然行くわけです。そういうことで、単位団体などはそういうような仕事をしておりますから、或る秘匿までそれを町村等においてよく理解があれば効果があるようになりますが、そうでない。更に全国的団体その他府県団体等になりますると非常に苦しいのじやないかと思うのです。先ほど委員長の話される通り、国の財政に関係するものだから、年金が、なかなかやろうと思つてもちつともはかばかしく行かない。そういうようなことで、何年たつてもその目的が達せられない。それで一体指導者は何しているかというのが全国の声だと思います。そういう中に立つて遺族会の中心をやつておられるかたは非常に苦しい羽目になつているのじやないかと考えているわけです。それで国にそういうことを要求するということが主たる目的のようになつて、そうして会費でもとつておるということになると、ますますこれは非常にむずかしい状態になるだろうと思いまして、我々としても何かやらなくちやならんと常に思つているのですけれども、併しこれは相当、講和会議でもできますと別ですが、そうでないと非常に困難な情勢があると考えるものですから、一応先ほどの御質問をして参考のためにお聞きしたわけです。
  132. 小酒井義男

    小酒井義男君 今伺つているのは、この書類を頂いた長島さんのやつておられる関係なんですね。
  133. 森田俊介

    参考人(森田俊介君) はあ。
  134. 小酒井義男

    小酒井義男君 では先ほどの共同募金なんかの金を交付されて運営しておるというのは県などの場合でありますか、そうでなく、その連盟でありますか。
  135. 森田俊介

    参考人(森田俊介君) 連盟はもらつておりません。
  136. 小酒井義男

    小酒井義男君 そうすると、連盟は別に府県との直接のつながりというものはないわけですか。
  137. 森田俊介

    参考人(森田俊介君) 府県はこの連盟の支部ということになつております。
  138. 小酒井義男

    小酒井義男君 全国に支部はあるのですか。
  139. 森田俊介

    参考人(森田俊介君) いや、ないところもございます。鹿児島とか栃木、秋田なんか何もできておりません。二、三県できておりませんが、大体できて、先ほど申上げましたように先にできて、個々まちまちに陳情なんかしておられたのを、それではしようがないじやないかというわけで、あとで連合会的に今のものができたわけです。
  140. 小酒井義男

    小酒井義男君 そうしますと、年に一同ぐらいはやはり大会……、全国の代議士が集まるようなことをおやりになるのですね。そのときに陳情とか、請願とかの問題がまとめられるわけですか。
  141. 森田俊介

    参考人(森田俊介君) さようでございます。大体そういう方式です。そのほかにも各県は集まつた機会でなくても、自分で請願なんかをときどきしておられるところもございます。そういう機会は特に利用して、請願陳情をしております。
  142. 小酒井義男

    小酒井義男君 府県からの会費は中央の連盟の本部に何も納まらんわけですね。
  143. 森田俊介

    参考人(森田俊介君) 連盟本部は府県から負担金を少し、極く微弱ですが、やつて頂いて、少し出して下さいませんかといつて出してもらつておりまするが、それも何も強制力があるわけではありませんから、自分のところは芳しくて負担金もそれは出すべきだろうけれども、出せないからと仰せになれば、それを行つてとる強制力は持たんわけでございまするから、満額に集まつた例はございません。従つてほかにバツジを、お互いに遺族が集まられても、どのかたが遺族かわからんじやないかというのでバツジを作つて共同で売つて、それで幾らか利益をあげさしてもらつたりして不足を賄つておるという、こういうような微弱なものでございます。
  144. 杉山昌作

    杉山昌作君 厚生連盟というのが今の遺族、各県の遺族会の中心でございますか、別に、遺族会の連盟とか、遺族連盟というのはないのですか。
  145. 森田俊介

    参考人(森田俊介君) 各県の遺族会のこれが連合会でございます。
  146. 紅露みつ

    紅露みつ君 未亡人会のほうはその後どういうふろになつておりますか、連盟のほうに入つておりますか。
  147. 森田俊介

    参考人(森田俊介君) 未亡人会はこの中に直接入つてはおられません。私どもは未亡人のかたはまあ広い意味で一般の未亡人の立場と同じ立場もあるわけですから、未亡人会にも御協力なさつて結構ではないか、又遺族としては遺族としての立場をいろいろ申述べになる点は、我々の団体の中に入られてお申述べになり、それから片一方には未亡人会からお呼びかけあれば、それにも協力されて何も構わんではないかというような態度でいるわけでございます。戰争未亡人だから普通の未亡人とは別だとか、それとは相容れんとか、そういうようなかたくなな態度でなくていいのじやないかと、こういうような考えで未亡人のかたにはお話をしておるわけであります。
  148. 紅露みつ

    紅露みつ君 未亡人会は全国殆んど各県にできない所はないくらいできておると思うのでありますが、現在幾つか入つておりますか、未亡人会として……。
  149. 森田俊介

    参考人(森田俊介君) それは入つておりません。
  150. 紅露みつ

    紅露みつ君 それから何ですね、この各県の遺族会ですね、あの中には直接戰争によるというのでなく、戰災の遺族も入つておるわけですね。それから一般の人も遺族として入つておりますか。
  151. 森田俊介

    参考人(森田俊介君) これは生い立ちのときに、遺族会ができますときにTHWのもうお帰りになりましたネフ課長に、こういう遺族会というようなものを作つていいだろうかというようなお伺いをし、お答えをした実はいきさつをこの各県の遺族会は持つておるわけであります。従つてそのときに戰争未亡人だけではなしに、戰争遺族だけではなしに、公務によつて倒れられたそういう御遺族なんか一緒に入れたらいいではないかというような、御命令ではありませんけれども、そういう言葉節があつたものですから、そういうようなかたは入つておられる形になつております。それから又進んで今極く少いんでありますが、山梨とか、今お話のありましたような戰災による御遺族のかたも入つておられるところもございます。大部分の中心勢力は実際戰争によつて親も子も夫も亡くした御遺族がまあ大部分だということであります。入つてはならないことではありませんから、そのほか公務によつて倒れられた遺族のかたなり、一部そういう戰災による遺族のかたも入つている所もありますが、画一的ではございません。各府県で少しずつ違うようでございます。建前はさつき申しましたように、戰争遺族でなければならないというような書き方はいたしておりません。
  152. 千田正

    委員長千田正君) よろしうございますか……。只今委員からもいろいろ御質疑があつた通り、遺族会、遺族厚生連盟、共に遺族会の中央の援護会が遺族厚生連盟になつておるというふうに我々承知していいわけですね。
  153. 森田俊介

    参考人(森田俊介君) そうでございます。
  154. 千田正

    委員長千田正君) 先ほどの御陳情の趣旨は前々からのことでよくわかりましたし、先ほど私からも申上げましたが、先般ここを通過した傷痍者等という等をなぜ入れたかと言いますと、いわゆる遺族というのは全然その表面に出すというわけに行かないというので、等という中に含めたならばどうであろうかというような向う側の御趣旨が含められたのでありまして、表面に遺族というものを出さなかつたというのは、そういうことでありまして、そういうまで心ずかいとしまして、参議院としましては審議会設置法というものを通過したわけであります。重ねて申上げますが、これは容易ならざる問題であつて、そうしてすぐには法案が出ましても、御承知の通り何段階にも多く分けなければならない問題があると思います。参議院としまして考えていることは、先ず遺族の中でも遺児の教育問題、未亡人の問題、第三には六十歳以上の選抜のかたがたの問題、それから傷演者の問題、こういうふうに四段階に分けて、前から非常に熱心に皆さん研究されたわけであります。あらゆる点から関係筋と折衝しても、結論においてはAG二百六十号並びにスキヤツピン七百七十五号が存続する限りは、必らず皆さんの御希望なさるような法案はすぐ出せないというので、参議院としてああいう方法をとつたのでありまして、これは今後とも恐らく講和会議が決定するまでは、これによつて縛られると思います。そこで我々上しましては政令審査委員会というものが癌だと思いますので、リツジウエイ総司令官から、日本の政令に対する寛大なる方法を考慮するようにという折衝もあつたわけでありまして、ここに参議院としましては、特にAG二百六十号、スキヤツピン七百七十五号の改廃の件を申入れたいと思つているのであります。皆様の御趣旨は、これが改廃されない限りにおいては、講和会議が済むまでは絶対に私は実現できないのじやないか、そういうふうに思われますので、今日は皆さんにもお諮りしまして、この旨を申上げたいと思つております。皆さんにお諮りいたしますが、只今の遺族連盟の陳情の御趣旨のように我々一考えますが、これは前々から皆さんがいろいろ御協議になつているところですが、AG二百六十号、それからスキヤツピン七百七十五号が改廃されない限りにおいては、幾ら日本政府がじたばたしても、これはできない仕事でありまして、この改廃方を参議院の当委員会として政令審査委員会に申入れたいと思いますが、如何でございましようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  155. 千田正

    委員長千田正君) それではこの政令審査委員会に、先般リツジウエイ総司令官から日本の政令に関する再審査をして、できるだけ日本政府自体においてこの問題を解決するようという非常に寛大な処置が講ぜられたということでありますので、参議院の当委員会といたしましても、このネツクになつておりますところのAG二百六十号並びにスキヤツピン七百七十五号の改廃をして頂いて、速かに戰争の犠牲者に対する施策を実施してもらうような方法をとりたいと思います。これは皆さんの御賛成を得ましたので、当委員三から委員長名を以ちまして政令審査委員会に対しまして改廃申入れをいたすことにいたします。どうぞ全国の遺族の皆様にさようお伝えを願いたいと思います。
  156. 小酒井義男

    小酒井義男君 それから私は連盟のおかたにお願いしておきたいのですが、この連盟から頂一いたような趣旨は、委員長から先ほど言われているように、当委員会で取上げて努力をしておるのです。それでこれの実現には引続き委員長を中心としてこの改廃をして行くことに我々も努力して行きたいと思いますが、連盟のおかたも一つ委員会のやつておる真意というものを十分理解して頂いて、そうしてそういう立場から理解ある協力を一つお願いしたいと思います。
  157. 千田正

    委員長千田正君) それでは大体今日の委員会におきまして御審議願う点につきましては、一応段階が来たようでありますが、最後に二件だけ申上げたいのは、私がこのたび米国の陸軍省の招聘に応じて、七月の末に渡米しなければならないような状況に立至るかも知れませんので、次の国会が、その前に開ければ辛いでありますが、若し延びることがありまして、その間私が委員長でなければならないとすれば甚だ申訳ないわけでありまして、私の委員長就任の期間中、若しそういう事態が起きました場合においては、委員長に代りまして、どなたか理事のかたに代つて頂いて、委員会を運営して頂きたいと思うのでありまして、この点をお諮りいたします。
  158. 鈴木直人

    鈴木直人君 理事にはどなたがなつております。
  159. 千田正

    委員長千田正君) 理事は只今緑風会からは口臭委員、自由党からは大谷委員、それから民主党からは紅露委員、社会党からは森崎委員
  160. 鈴木直人

    鈴木直人君 それじや委員長において然るべく理事の中から、今のほうがいいのじやないかと思いますが、きめておいて頂いたほうがいいのじやないですか。
  161. 小酒井義男

    小酒井義男君 今までも前々回からも委員長をやつて来られた何なんかも考えて頂いたら、私大体わかると思います。
  162. 千田正

    委員長千田正君) 鈴木委員の御提案の通りお任せ願えましようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  163. 千田正

    委員長千田正君) それでは丁度紅露委員が見えておられますが、紅露委員は前に長い間委員長を勤められましたので、誠に恐縮でありますが、短いことと思いますので、留守中若しもそういう事態が生じましたら、紅露委員にお願いしたいと思いますが、如何ですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  164. 千田正

    委員長千田正君) それではさように決定いたします。
  165. 千田正

    委員長千田正君) それから休会中の議員の派遣の問題でございますが、これは先般来各委員会の皆さんがおのおの出張の御予定がございましたので、当委員会としてはいろいろ考えておつたのであります。併しこの際引揚問題としましては、いろいろと問題がありますので、とこに休会中でも是非引揚後の更生対策或いは只今のようないろいろな問題が起きて参りますので、いろいろ調査すべきであると私も考えますし、皆さんの御要望もございますので、二班に分けまして議員派遣の要求を議長の下に出したいと思いますが、その二班と申しますのは、第一班は北海道、第二班は宮城、福島、新潟、曾てまだ行かなかつた所であります。この二方面に向つて議員を派遣したいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  166. 千田正

    委員長千田正君) それでは御希望の方の一つお申出を持ち寄りまして、そうして委員長或いは理事と御希望の方との間に案を作成しまして、議長に要請することにしたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  167. 千田正

    委員長千田正君) ではさよう決定いたしまして、今日の委員会はこれを以て散会いたします。どうも有難うございました。    午後三時五十四分散会  出席者は左の通り。    委員長     千田  正君    理事            大谷 瑩潤君            紅露 みつ君    委員            安井  謙君            小酒井義男君            成瀬 幡治君            飯島連次郎君            杉山 昌作君            鈴木 直人君            木内キヤウ君   説明員    外務省引揚課長 吉岡 俊夫君    外務省在外公館    借入金等整理準    備審査室事務局    長       池田千嘉太君    大蔵省理財局外    債課長     上田 克郎君   参考人    日本遺族厚生連    盟       森田 俊介君