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参考人(森田俊介君) 私遺族連盟の森田でございます。今日折角お呼出しにあずかりましたから、遺族連盟として、むしろ御陳情申上げる立場でありまするが、第五
国会でも遺族援護に関する御決議が、衆参両院で皆さんの厚い御同情で決議がなされて奉ります。今回の第十
国会におきましても、重ねてここに遺族援護に関する、更に突き進んだ御決議を頂いておるのでありまして、
終戰後六年にもなりまするので、全国の遺族の
かたがたは、我々に対しても何らか
政府として考えて頂けるものだという感じを、今回の第十
国会において重ねて決議いたされました等のことによ
つて、一層こういう強い感銘を受け、多くの
かたがたが感謝をいたされておりますると同時に、せめてこうありたいとか、ああありたいとかいうような御希望も、だんだん具体化した御希望もたくさん我々種族連盟として取りまとめることができるようになりましたので、先般
国会の
かたがたにも、又
政府当局の
かたがたにも、遺族会として率直に肚一ぱいと申しますか、御希望を申上げたい点を遠慮なく書き連ねて
嘆願陳情を申上げましたような次第でございます。もともとこの
戰争による犠牲と申しましても、戰歿者の遺族というものがその大きな部分を占めるであろうと存じまするけれども、他にも傷疾者の
関係或いはほかにまだお帰りにならない未帰還
留守家族の
かたがたも、広い意味において勿論
戰争による大きな犠牲をこうむられた
かたがたでございます。これらの
かたがたとのお振合いとか、均衡とかいうものも、当然理論的にはいろいろ考慮いたさなければならんことであることは、私ども遺族会の者としても考え及ばないわけではございませんけれども、関連いたしておりまするのが団体としては遺族会でございまするので、傷痍者とか或いは未帰還者の
留守家族の
かたがたの御心情というものもじかに承わる機会もございませんので、その振合等は一切考えませんで、遺族としての率直なお願い、希望を申上げたわけでございます。その要点をお聞取り頂きますれば、第一には、弔慰金又は見舞金というような、まあ
名前はどういうものでも、どういう
名前でなければならんということを申すおけではございませんが、そういうものを一応貧富とか、そういうことなしに一律に考えて頂いていいのじやないか。と申しますのは、戰時中には大東亜
戰争陸軍特別給與令とか、いろいろな
名前で一時賜金がございました。その後未復員者給與法がこの
引揚特別
委員会の御努力で、埋葬料とか、そういうふうなもので、死亡一時賜金ではございませんけれども、何か形を変るえて、幾らかそれに、まあ実質的には多少お代りと申しましようか、そういうような意味も多少含んだものもあるとは申しながら、一時、
只今委員長の仰せになりましたAG二百六十号、年令及び利得に関する覚書によ
つて一切の利得を與えてはならないことに相成りまして切られておりまするので、その間の理論的にはギヤツプもありまするし、又実際にも多少、何ももらわん、何の恩典にもあずか
つておらないかたもあるようでございまするし、私どもいろいろ歩きましたときに……、現実に三人の子を亡くして、その一人は何か死亡一時賜金を頂いて、その金それ自体において取りあえず墓を作
つて、
あとの二人の兄弟は何もできんで、卒塔婆のままで朽ち果てております。墓に参
つてその前で老夫婦涙をこぼされた場面も見て来ておりますので、事実ほかにもそういうかたが勿論あると想像いたしております。元は赤紙で応召して直ちに戰死をされたような
かたがたにも二百円の一時賜金が出ました。百倍といたしますと二万円、二百倍とすると四万円というものを頂いておるのでありますから、その額に拘泥するわけではございませんが、そういうもら
つておらないかたに、貧富を問わず、そういう弔慰金というようなものを、公務のために逝かれたのですから、何か法を開いて慰めてや
つて頂けないか、や
つて頂いても然るべきじやないかというようなお願いでございます。
それから第二には、それと併せまして、この戰歿者に対しまする補償と申しまするか、これは前
国会の決議による、その
政府の御答弁に明らかに公務のために死亡したものであるということは認めるという御答弁が
政府からあ
つているのでございまするから、それらに対しましても一定め遺族に対する年金というようなものを考慮して頂きたいというお願いでございます。同時にこの年令を考慮いたされまする場合に、現在生活保護法がございまするので、生活保護法とは別枠にして、遺族には困
つているかたも、困
つていない、割に
あとしつかりなさ
つているかたも千差万別でございましようが、生活保護法に盛り込まれておりまする項目を全部取入れて、別枠に遺族扶助に関する法律というなものが組立てられまして、そうしてそのうちの柱として遺族年金、一定の遺族年金を支給され、なおこの遺族のかたが非常に御老人であるとか、或いは又非常に幼いかたであるとか、こういうときには、それらに対して増加年金と申しますが、それらのものを附加して頂いて、そうして生活保護法による組立て方とよくバランスのとれた組立て方にして頂けないものであろうか。特にお願いをいたしたいことは、わけても遺族のかたの唯一の願望は、何と申しましても、残
つておる遺児を健やかに育て、これを立派にして行きたい、これを杖、柱にして参りたいというのが遺族の多くの
かたがたの唯一の望みであり、悲願であろうと考えまするので、この教育扶助について特段の組立て方をこの中に盛り込んで頂けないか。義務教育のごときは勿論。一定率の教育扶助を盛り込んで頂き、なおそれ以上に、高等学校以上に進学するだけの身体もあり才能もある者は、その進学している間。一定の補助が下付されるようにお組立て願えないであろうか、なおそのほかにお困りに
なつていないかたは当然御適用はございますまいが、遺族でそういう一定の基本年金なり、増加年令なり、教育扶助なり、そういうものを組立てたほかに、住宅扶助とか、営業扶助とか言いまするものも、それぞれ生活保護法の組立て方に準じまして、お困りに
なつているかたは、これもその枠の中に組立てて、総合した
一つの組立て方をして考慮を頂けないものであろうか。こうして頂くことが現在の遺族の飾らない率直な願いであるというように私ども各地の遺族の声を総合すれば、さように受取れますので、それらのことを文書にいたしまして、この前お願いを出している次第であります。
それからなお第二回のお願いとしては、もう行き過ぎであるかも知れませんが、決して私ども遺族の
かたがたに、今決してものに
なつているわけではありませんが、非常な同情をして頂く
段階に
なつているのだということしか申上げておりませんけれども、だんだん御同情の声が少しコンクリートに
なつて参りますると、まあいつもらわれるだろうか、いつ出して頂けるかというような、もうそればかり念願をして、そればかり切願をする人が絶えずお見えになりまするので、なお突き進んでは、一体私はこういう立場ですが、もらえるかもらえんだろうかというような話さえ出るようになりましたので、第二回目には
終戰後六年経
つておりますもので、遺族の
かたがたで戰残されたかたが、生前生きておられたときと同様に遺族のかたが、お父さんもお母さんも妻も子も仲好く一家でお暮しに
なつているかたも相当ございましようが、いろいろな経済的
事情やら、或いは一家の御都合その他によりまして、妻のかたが別れて、婚家を別れて出て、別に生活をしておられる、再婚をしておられるわけではありませんが、別に生活をしておられる、その場合に
子供を連れて別に暮しを立てておられるかたもありますし、
子供はお帆父さんお祖母さんが育てて、妻は別に暮しているかたもあるというふうに、いろいろこの遺族のかたに、生活の苦しいことが大部分の理由だろうと存じまするが、いろいろな離合集散が行われているように思うのであります、これらに対して
政府に何らかの施策をして頂きまする場合、又
国会として特にいろいろお考え頂きまする場合に成るべく現在の遺族の、そういう離合集散の行われた現在の遺族の
事情に適合いたしまするように、そうして何か紛争が起
つたり、揉めごとががちやがちや起
つたり、少しでもそういうことが少いように、仮にまあ
一つも起らないということもないかも知れませんが。或いは起りましたも、そういうようないわば見苦しいと申しますか。いわば好ましくない。そういう紛争を少しでも少くすることのできるような形において、折角の御施策を
国会なり
政府なりで御
研究、お取り上げ頂くことが、非常に現在となれば時間がた
つておりまするだけに、それだけに大切なことであろうと考えましたので、第二回目にはそれらの場合を四つなり、五つなりに分けまして、何か適当な御考案を、それらのことを御考慮のうちに入れて頂いて、御考案をめぐらして頂くようにありたいものだというお願いを第二回にいたしたような次第でございます、遺族の
かたがたも今回の第十
国会におきまする再度の御決議、又現在の諸
事情等によりまして、大分明るい希望を抱いて、間もなく我々のことも何かお考え頂けるということを皆考えておられると思いまするから、どうぞ一日も早く、又その願いが無になりませんように、この上ともいういう御盡力御高配を願いまして、六年の門何も構
つて噴けないのだ、その情けない思いをしておられた
かたがたが少しでも明るい
気持を取戻して、これでいいのだと言
つて、我々も
一つ元気を出してや
つて行かなければいかんということを真から
思つて進んで行くことができるように、この上も御高配下さいますようにお願いをいたしまして、もう前々から何回も陳情いたしましたことを繰返すだけでございますが、今回出しました陳情は前より少し具体的に申述べて陳情いたしましたような次第であります。ただ私ども遺族団体としては、それならば年令は幾らにして頂きたい、何は幾らにして咲きたいということは陳情書には書きませんでした。と申しまするのは、若しそういうことをまだ実現もしないのに、はつきりと書いておくとしますと、末端の遺族の
かたがたに行きますと、もう何ぼ出ることに
なつて、そういうふうに進んでいるそうだというように、何かだんだん先走りをして非常な誤解をされまして、今度何か具現した場合に大部話が違うじやないかというような、とんでもない、何と言いますか、錯覚と申しますか、渦を捲き起しては相成らんと思いまして、筋だけを書いて御陳情申上げたのでございまして、金額等はそういう先走
つた誤解を自分らの団体の中から捲き起しては非常にいけないことだと思いましたので、金額等は一切書かずにお願いをいたしておるような次第でございます。
今日はお忙がしいところをこの席を與えて頂いて、お自にかか
つて陳情することを許して頂きまして、厚くお礼申上げます、なおこの上とも重ね重ねよろしくお願いをいたしたいと存じます。