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1951-05-11 第10回国会 参議院 厚生委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年五月十一日(金曜日)    午前十時四十七分開会   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○小委員追加選任の件 ○医師法歯科医師法及び薬事法の一  部を改正する法律案内閣提出)  (右法案に関し証人証言あり)   ―――――――――――――
  2. 山下義信

    委員長山下義信君) これより厚生委員会を開きます。
  3. 藤原道子

    藤原道子君 私は遺族援護に関する小委員会委員及び厚生住宅に関する小委員会委員定数を二名増加し、そうしてその人選委員長に御一任することについての動議提出いたします。
  4. 山下義信

    委員長山下義信君) 只今藤原委員から遺族援護に関する小委員会委員定数を二名増加いたしまして、及び厚生住宅に関する小委員会委員定数も同様二名増加いたしまして、その人選委員長に一任するの動議に御異議ございませんですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 山下義信

    委員長山下義信君) 御異議ないと認めます。つきましては右遺族援護に関する小委員会並びに厚生住宅に関する小委員会委員といたしまして、石原幹市郎君及び河崎ナツ君を指名いたします。   ―――――――――――――
  6. 谷口弥三郎

    谷口弥三郎君 先日書類を以て各委員かたがたに申上げて置きましたが、最近全国各地から、例えば平塚市、或いは大分県或いは宮崎県の延岡市、青森県とか或いは長野県とか又は福井県とか或いは島根県その他多数の方面からいたしまして医薬分業に関する法律改正についての各種の陳情書が参つておるのでございますが、その陳情書によりますというと、日本医師会長であるどころの私が、法律改正による医薬分業に同意したというようなことを記載しておりますので、如何にも現在提出中の該法案にでも賛成しておるかのごとき感を與える虞れがございますので、ここにその経過を極く簡単に発表させて頂きたいと存じます。  従来日本医師会におきましては、現行任意分業、即ち患者医者からでも或いは薬剤師からでも自由に薬をもらい得るところの制度が我が国の現状に適するものと存じまして、これを主張しておつたのでございますが、ただこの際診察料などの、医師技術に対しまするところの報酬薬価の中に含めているという現行医療体系を改めまして、新らしいところの医療費体系を実施しますと、自然処方箋の交付も増加いたしますし、従つて患者は自由にどちらからでも薬をもらえるのでありますからして、この新らしい医療費体系というのが最もよいと存じておるのでございます。従つて第一に、医者技術に対して相当な評価支拂を受けるようにすればよし、又第二に、国民大衆にもそれらの無形サービスに対する報酬支拂うところの方面についての教育並びに宣伝をいたしまして、これらの方法をやれば自然医薬分業の形になるので、それをやれば特に法の改正或いは強制などをする必要もないと存じておつたのでございます。ところが、関係方面からいたしまして、三つのいわゆる技術料を上げる、或いは無形サービスに対する報酬というのと同時に、法の改正をしたほうがよろしいという意思表示が頻りとありましたのでございますが、私どもといたしましてはその当時、これは丁度二月の二十七日の話でございますが、その当時出されておりました三種類法案というのは、共に国民の福祉に対しまして決してこれによつてはうまく行くものではない、現在のいわゆる任意分業制度のほうが最もよいというように考えて、その三種類に対しましては絶対反対をいたしておつたのでございます。それにもかかわらず法の改正をせいというようなことで、種々考案をいたして見ましたが、どうしてもそれ以上のものを作成することができませなんだために、その委員会におきまして特に我々は反対をしておつたような次第であります。又現在においても同様にそれに対しては反対をいたしておるのであります。常識から考えましても、日本医師会が同意し得ないような法案に対しまして、日本医師会長たる私が賛意を表するわけはないのでありますが、それにもかかわらず同じような文句の陳情書が参りますので、これは全然誤つておるということをここに言明しておきたいと思つて申上げる次第でございます。   ―――――――――――――
  7. 山下義信

    委員長山下義信君) これより日程に入ります。  本日は医師法歯科医師法及び薬事法の一部を改正する法律案審議のため、証人として宮尾武男君、赤木朝治君、藤林敬三君、齊藤齊君、清水玄君、塩田広重君、勝俣稔君の七名に御出席を願つております。そのうち勝俣稔君は出張不在のため本日は出頭いたしかねる旨の申出がございました。藤林敬三君はまだ御出席がございません。これより御出席証人宣誓を求めることにいたしますが、宣誓に入りまする前に証人の各位に念のため申上げておきます。証人が虚偽の陳述をしたり、正当な理由なくして証言を拒んだりいたしますと、法律によつて罰せられることになつておりますので、念のため申上げておきます。それでは証人のかたに順次宣誓を求めることにいたします。宣誓書の朗読を順次お願いいたします。御起立を求めます。    〔総員起立証人は次のように宣誓を行なつた〕    宣誓書   良心従つて真実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。         証人 宮尾 武男    宣誓書   良心従つて真実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。         証人 赤木 朝治    宣誓書   良心従つて真実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。         証人 齋藤  齊    宣誓書   良心従つて真実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。         証人 清水  玄    宣誓書   良心従つて真実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。         証人 塩田 広重
  8. 山下義信

    委員長山下義信君) 御着席を願います、それでは一応委員長から証人のかたに御発言をお願いすることにいたしますが、医師法歯科医師法及び薬事法の一部を改正する法律案に関連いたしまして厚生省内に設置せられましたる臨時診療報酬調査会及び臨時医薬制度調査会における医薬分業につきましての両調査会審議の状況について証人の御証言を願いたいと存ずるのでございます。つきましては両調査会長を兼ねておいでになりました赤木証人から両調査会審議の模様につきまして御証言を願うことにいたしたいと存じます。なお続きまして一応臨時診療報酬調査会の副会長であらせられ、且つ答申案特別委員長の立場においでになりました齋藤証人から詳細に当時の事情につきまして御証言を願いたいと存じまする。先ず赤木証人から御発言をお願いしたいと存じます。
  9. 赤木朝治

    証人赤木朝治君) 臨時診療報酬調査会臨時医薬制度調査会が設けられまして、第一回の会合は昭和二十五年の八月七日に開会いたされたのであります。このときは両調査会合同会議でございまして、その会議におきまして会長、副会長の選挙が行われまして、不肖両調査会会長に選挙されましたのであります。その調査会に対する諮問は、すでに御承知だと存じまするが、第一日の八月の七日の会議におきまして両調査会に対する厚生大臣諮問案が出たのであります。この諮問案は恐らくお手許に廻つておると存じますので、ここに案を読上げることは省略いたさせて頂きたいと思います。爾来引続きまして八月の十九日に第二回、九月の五日に第三回、それから第四回を九月の十九日、二十日の二日に亘りまして開き、第五回の総会を十月の三日と四日に亘りまして開き、第六回を十月の十日、第七回を十月の二十四日、二十五日、それから第八回を十月の三十一日、第九回を十一月の七日、八日、第十回を十一月二十一日、二十二日、第十一回を十二月の一日、第十二回を十二月の五日、第十三回を二十六年の一月二十四日というような回数を重ねまして総会を開いたのであります。総会は延十三回、十八日間に亘りまして、毎回おおむね午前十時から午後三時まで会議を開いたのでありますが、遅いときには午後六時に及ぶときもありまして、第一回から第十回頃までは主として日本医師会日本薬剤師協会歯科医師会及び厚生省から提出いたされました厖大なる資料について検討を加えて参つて来たものであります。そこでその資料検討の結果、第十回の総会におきまして特別委員会を設けて、更に具体的に審議をし、答申案を作成をするということになりまして、第十回の委員会において小委員会を設けることになりました。そうしてその後はこの特別委員会において又回を重ねて審議されまして、その特別委員会決定案が第十三回の二十六年の一月十四日に本会報告されまして、本会で議決になつたのでありますが、第十回と十三回の間に二回ばかりは中間の問題がありまして聞きましたが、この時はまだ決定するに至りませんで、第十三回の一月の二十四日に特別委員会から提出されました案を審議いたしまして、同日答申案決定いたしましたものであります。この特別委員会審議なり、その特別委員会の案の内容につきましては、これは特別委員長であられました齊藤証人から詳細にお述べを願つたほうがよろしいかと思いますから、ここでは省略いたしておきます。  かようにいたしまして一月の二十四日に臨時診療報酬調査会におきまして、医師歯科医師薬剤師に対する技術料その他の基準についての答申ができましたので、その答申がきまつた上、次に医薬制度調査会のほうの審議を進めることにいたしたのであります。尤も医薬制度調査会もその答申のできる前にいろいろ資料等関係もございまして総会を二回開催いたしたのでありますが、その答申が、臨時診療報酬調査会答申が出ましたので、更に本格的に医薬制度調査会のほうの仕事を進めることになりまして、爾来総会を開きますることが数回ございましたが、第二回は十二月八日、それから第三回を一月三十日、第四回を二月五日、六日、七日、こういうふうに亘つて開催いたしたのであります。でこの会議におきましては医薬分業の可否ということが主たる題目でありまして、これを若し可とするならば如何なる方法によつて、如何なる時期にこれを実施するかということが諮問でございまするので、そういう点に亘りまして審議を進めて参つたのであります。その結果数回に亘りまして総会を開きましたが、なかなか意見が一致いたしませんので、三志会即ち医師会歯科医師会薬剤師協会かたがたによく談合して頂きまして、何とか解決方法を見出して頂きたいということで三志会協議せられることになりまして、三志会でその後数回に亘つて協議ができたのであります。然るにその三志会協議の結果は何らのまとまるところがなかつたために、更に医薬制度調査会のほうにおきまして何らかの解決案を求める必要が起りましたので、そこで如何にしてこれを解決するかということが、相談の結果、この方におきましてもやはり特別委員会を設けて、具体的の解決方法を研究するということに相成りまして、特別委員会を設けられた次第であります。そうしてその三団体の委員のほかに、中立の委員を加えまして特別委員会を設けて、特別委員長には齊藤齊君が更に委員長として選任されまして、その委員会答申案を具体的に作成するということに相成つたのであります。この特別委員会審議の結果が、二月の二十八日であつたのであります、第六回の総会を二月二十八日に開きまして、齊藤委員長から特別委員会審議経過報告がありましてその特別委員会の結果を本会議に御提出に相成つたのであります。併しこれは特別委員会におきましても全会一致ということに参りません。決を採つた案でございするので、従来努力いたして参りました三志会円満解決するということは不可能であつたのでありまするので、この最後の段階に及びましてもなお且つ何とか円満解決の途がなかろうかというので、更にこの本会議を休憩をいたしまして、全員の協議会を開いて妥結の途を開いて途を講じたのであります。然るに遂にその妥結点を発見いたしませんために、本会議委員会から提出になりました案について採決をいたすことに相成つたのであります。その採決の結果は、先の診療報酬調査会報告とは違いまして、本案についてはどこまでも反対する側がありましたので、投票の結果は、出席委員三十名のうち、可とするもの十九名、否とする者十一というようなことで原案が可決になつた次第であります。  以上本会議における大体の経過を申し上げた次第でありまするが、その特別委員会における具体的の細かい件につきましては、齊藤委員長から御証言をすることにして、私の証言はこれで終ります。
  10. 山下義信

    委員長山下義信君) それでは齊藤証人から。
  11. 齋藤齊

    証人齋藤齊君) 只今赤木会長からお話がありました報告特別委員会が設けられまして、不肖図らずも委員長に互選いたされまして、皆様のお世話をいたしたわけであります。従いましてその責任上そのあらましを申上げますると、大体次のごとくでございます。  特別委員会は十一月二十八日から開催されたのでございます。大体二日ずつ連続いたして催され、第一回は十一月二十八日、二十九日、第二回は十二月五日、六日、第三回は十二月十二日、十三日、第四回は十九日、二十日と、このように殆んど毎週催しました。今年に入りましてからは第五回を一月の九日と、第六回を一月の十六、十七日の二日間、第七回を一月の十九日に催したのであります。詳細に審議経過を申上げるのでございまするが、その前に大体の概要を申上げますれば、先ず最初に問題になりましたのは、厚生省諮問にありまするところの、この諮問を読んで見ますると、医療の向上と国民経済的負担力とを勘案したる医師歯科医師及び薬剤師の適正なる技術料及び薬価基準につき会の意見を問う。その次に右基準は云云ということがございます。その基準ということは一体どういうものであるかということが皆さん議論中心になりまして、それから又その基準と実際の医療報酬との関係がどうであるか、薬価というものはどういうものであるか。薬価意義といつたようなものが大分論議が交されたのでありまして、技術料につきましては、現在の医療報酬というものが、技術料と薬の価、所要経費と、そういうものは一切合切込みになりまして、渾然として徴収されておられます関係上、この技術料というものが、これが分離ができるかどうかということが先ず問題になりました。ところでこれは技術料というものは分離することができるのだという皆様の御結論になつたわけです。なお又その際、その技術料というものは一体どういうようなものか、技術料意義についても大分議論がありました。そうこういたしておりまするうちに、話が各所に飛びますので、これは一つ委員長試案を出して、その試案に基いて議論を進めて行つたらよいだろうというようなお話になり、委員長案というものを作りまして、これは私個人でもできませんので、厚生省側幹事側意見を参照いたし、また皆様の御意見も考え合せまして、委員長案というものを提出いたしたのであります。それは第四回の特別委員会のときでありました。その後はこの委員長試案というものを中心にいたしまして議論が進められたのであります。その委員長試案は、大体お手許にあると存じまするが、その答申案にいろいろと数式が書いてございます。その数式になります基の案でございましてその数式につきましていろいろと皆さんの御議論がありました次第でございます。例えば技術料というものを、医師最低生活費に関するものと、それから技術の難易というものに関するものと二つに分けて考えるというような御議論もあつた次第でありまして、又医師歯科医師の一日当りの診療に関する、その診療に従事する時間、これを制限しろ、そういうような時間がきまりませんと非常に算定が困難である。例えば歯科医かたがたにおかれましては非常に時間を食う。一般に八時間労働なんということを言つておりますけれども、そんな時間ではとても自分の責任が果せないのだというようなことでございました。かくいたしまして漸く先ほど述べました一月十九日の第七回の特別委員会におきまして結論に達しました次第ございます。  その結果を申しますると、先ほど申しました技術料及び薬価基準という基準とは何かということと、これにつ  いては個々診療行為についての具体的な数字ではなく、技術料とか薬価を定めるべき原則といつたようなものであるということになりました。即ちその基準というものは、幾ら幾らというきまつた数字でなくつて、そういう数字を導き出すところの原則というようなものだということになりました。そういたしますると、今度はそういうふいにきめられた基準と実際の医療報酬との関係についてこれをどうするのかということが問題になりました。そういよ実際的の問題はこれは実際問題を取扱つて行きますところの、社会保険公的医療機関におきましてはその点を具体化して行かなくちやならんのでありまして、そういう所では中央社会保険医療協議会或いは医療審議会でこれを具体的にきめて行けばよろしい。我々のほうの委員会におきましてはそういう具体的にきめないで、ただそういうものを導きますところの基準をきめて行けばいいのだということになつたのであります。又一方医療の中には、今申しましたような社会乗除以外に一般自由診療があるのでありまするが、この自由診療についでは何も強制的にきめることはできない。併しながらこの社会保険等がはつきりした数字をきめて行けばそれによつて医師歯科医師はそれを標準にしまして、これから適当にきめて行くだろう、そのきめて行くことのよりどころになつて行くんだということでございました。それから薬価というものはどういうものか、先ほど薬価基準というものがございましたが、この薬価というものはどういのものかと申しますると、薬価にもいろいろと議論がございました。これは薬の原価というような関係から見るというような議論もございましたが、この委員会におきましては、これは患者側のほうから眺めた薬の価というふうに考えることになりました。技術料については先ず分離ができるかどうか。先ほど申しました通り現行におきましては技術料というものはほかの所要経費とか、そういうものと一緒に徴收されているんだけれども、これを分離できるかどうかということが議論されたのでありますが、これは結局先ほど申しました通りに、分離は可能であるというふうに皆さんの御意見が一致いたしたのであります。さてその技術料というものは一体どういうものであるか。技術料意義につきましては、これはこの委員会におきまするところの中心課題であつたのであります。これにつきましては皆さん非常に御熱心に御議論になりました。これは答申案の中にございまするから後程そちらで申上げます。その後おいおいと皆さんの御議論が出るに従いまして、従前の議論を修正し、そしてだんだんと整理されて行つたのであります。そうして先ほど申しましたように、委員長試案が出て来たのでございます。  そして最後にこの答申案の、横書きのものでございますが、お手許にお持ちだろうと思いますが、これは数字や何かがございまするから一応お持ち頂いたほうが御理解がいいかと存じます。  医療報酬の構成。a、医療報酬を次の二つに分ける。診療に対する報酬S1、調剤に対する報酬S3、総報酬をSといたしますれば、Sというものは、S1という個々診療に対する報酬を寄せ集めたもの、この変な文字は、ギリシヤ文字のシグマという意味でございまして、これはすべて寄せ集めるという記号でございす。それにS2、調剤に対するすべての報酬を寄せ集めたもの、そういうものを合せたものが医療報酬であります。  次に診療に対する、報酬S1は次の要素からなり技術料分離できる。技術料というものをG1といたしました。これはローマ字のG、技術料のGの字を使つただけの話であります。医師歯科歯師薬剤師を除く人件費N1、それから所要経費これをM1といたしました。それから行要経費と申しますのは衛生材料費処置手術等に使用する薬品費光熱材料費修繕料固定資産税その他事業に伴う公租公課償却費図書研究費等を申すのでございます。ここで税金の中で所得税のごときものはこの中に含んでおりません。事業に要する公租公課だけを含んでおります。そうしますとS1というのは今のは技術料、それから人件費、それから今の所要経費M1、こういうものを寄せ集めたものである。脇に1と書いてございますのは、これは調剤に要するものと区別するために1というふうに小さく書いてあります。次のCの調剤に対する報酬S2は次の要素からなり、技術料分離できる。技術料G2、それから医師歯科医師薬剤師を除く人件費、これをN2、それから薬、これはなぜ薬という字だけを使つたかと申しますと、先ほど申しました通りに、薬価とかいろいろな問題がございますので、ここは薬という字をただ一字使いました。患者に投與されるものに限る。調剤を行う機関における取得価格基礎とし、損耗率を見るものとするという註釈を書きました。それをK、そうしますると、S2といいうのは、技術料G2、それに人件費N2を加え、それに所要経費M2を加え、それにKを加えたもの。従いまして先ほどaという所で申しました大きなS、すべての医療報酬というものはどういうものかと申しますると、bの所で述べましたS1、即ちG十N1十M1そうののも総合計診療に西する報酬の総合計。それに調剤に対する報酬、即ちG2十N2十M2十K1そういうものを寄せ集めた、そういうものを加えたものがこの総報酬だということになります。こんな記号を持出しまして甚だ御迷惑と存じますが、議論をいたしますのに、ただ空漠として議論をいたしますよりも、こういう数字記号を使いまして議論いたしたほうが、非常に議論がしやすかつたものでございますから、委員室に黒板を持出しまして、こういうような記号で物事を書きましてそれで皆さんが御議論になつた次第であります。記号を書いたということは、又皆さんの考えていらつしやることを言葉で現わさないで、ただ記号で現わして、それで議論を簡単に進行さして行つたということでございす。  次に所要経費、これは医療のほうの所要経費及び調剤のほうの所要経費M1、M2及び人件費のN1、N2の基率というものを考えたのであります。所要経費衛生材料費処置手数料等に使用する薬品光熱材料費修繕料償却費図書研究費等診療調剤を行うに要する経費であり、固定資産税その他事業に伴う公租公課を含む、住民税所得税所要経費とは認められないが、事業に伴う特別所得税は存続する限りはこれを所要経費とする。次に所要経費M1、M2は原価計算方式により算定することが適当である。厚生省資料病院診療所原価計算要綱案」は参考となるであろう。これはこういう基準を出しまして、その後厚生省におきましてはいろいろと作業がありますので、その作業をいたします上にこういつたものが役に立つだろうということをここで明書した次第でございます。人件費N1、N2は所要時間、平均賃金を勘案して定める。これも作業をいたしますときの参考的にここに書いてございます。所要経費原価計算具体的方法及び人件費については、別途調査会を設けることを適当と認める。所要経費算定については、日本医師会資料、「診療報酬適正単価決定に必要な基礎的考察」、「入院料原価計算」、厚生省資料病院原価計算」、日本薬剤師協会資料薬局業態調査」等が重要な参考資料となるであろう。  技術料G1G2基準技術料意義技術料専門的技術に対する報酬である。もう一遍申しますると、技術料専門的技術に対する報酬である。診療に対する技術料基準技術料専門的技術に対する報酬であつて医師歯科医師生活費に充てられるものであるから、その決定に当つては、医師歯科医師専門技術者としての生活を十分考慮して定めなければならない。もう一遍申しますると、技術料専門的技術に対する報酬であつて医師歯科医師生活費に充てられるものであるから、その決定に当つては、医師歯科医師専門技術者としての生活を十分考慮して定めなければならない。次に小さい(I)でございますが、診療所要時間が同じであれば、技術指数によつて増減差異があるべきであり、技術指数が同じであれば、診療所要時間に比例する。即ち、診療行為技術料G1=(1十α)gtここでtというものは診療所要時間、gというものは単位時間の医師の平均技術報酬、(1十α)は技術指数である。この点もう少し詳しく後ほど申します。その次に(II)技術指数は診療が高度の専門技術によるものである性質上、これを定めることは相当困難である。技術料を何らかの経済的価値に表現しなければならない以上、これを決定する必要があるものである。技術指数の決定に当り、各診療行為の難易差を余り大きく見過ぎるときは各医師歯科医師の受ける診療報酬の額が著しく現状とそぐわない結果となることも考えられるので、平均技術報酬基準として、各診療行為の頻度、医療施設の実態等をも斟酌の上、実情に即するようにすべきである。(III)診療所要時間は、実働時間であつて、一診療行為に従事する全医師歯科医師の実働時間の総計とする。(IV)gは現実の総技術報酬で、G1G2というものを集めたものございます。そこでミス・プリントがあるようでございます。これはどうせ後で又作業のときによく注意いたしておきます。(ΣG)即ち調剤に要する諸掛を医師歯科医師の総所得から差引いたものを診療に従事した全医師の総診療所要時間(Σt)で除して得た数値である。(V)、技術指数、診療所要時間、平均技術報酬決定に当つて厚生省日本医師会、日本歯科医師会資料が重要な参考資料となるであろう(VI)なお個人の技術差を別途考慮することが望ましい。調剤に対する技術料専門的技術に対する報酬であるが、各調剤行為の技術指数は便宜上一率としても差支えない。  それから先が薬の問題になります。薬価基準薬価の構成は、調剤に対する技術料G2)、人件費(N2)、所要経費(M2)及び薬(K)である、従つてS2=G2十N2十K、技術料は前掲(3)Cにより、所要経費は前掲(2)により薬は取得価格損耗率を見るものとする。  医療の向上及び国民の経済的負担との調整。従来の診療報酬については必ずしも合理的でない面もあるので、技術料G1G2)が、所要経費(M1、M2)、人件費(N1、N2)及び薬(K)から分離し、適正に評価決定せられることによつて医療の向上が期せられるであろう。医療報酬は、国民医療費負担力に相応するものでなければならないが、医療報酬中、所要経費人件費等はおのずから定まるのであるから、Gの量は国民医療費負担力に制約され、現状においては、多くの増額を期待できないが、技術料原則として国民所得の向上に比例して引上げられるものであろう。  これがそのときの答申のないようでございます。そこでこの中で御注意、御注意と申しますか、一応敷衍して申しますれば、今の一番最初の所でございますが、aの所の(ΣS1ΣS2)ということは、先ほど個々のものを皆寄せ集めたものだということをお話し申上げて置きました。それからbの所も先ほど少しく触れて申しました。Cにつきましてはこれも先ほど申しました。それからdの所は、これも先ほど詳しく申しました。さて今までの所の一でございますね。これはこの中で問題になりました点は、診療報酬及び調剤報酬は、技術の進歩に伴う施設の整備改善等に要する諸経費以外の蓄積をも加えるべきだという意見があつたのであります。技術の進歩に伴い施設の整備改善をすることの必要があることは、これは当然であると存じますが、併しそれに要する費用というものは、諸経費の中にどういうふうになつておるかと申しますると、これは諸経費の中で償却費の中に入つておるのであります。償却費の中に入つておるにかかわらず、又そういうものを改めて買う費用までもこの中に入れるということは少し余計である。場合によつた患者から二重に、償却費のほうで取つて置いて、又別にこういうものを計算に入れますということになりますと、患者のほうから二重に取つて行くというような形にもなるということで、これは除外いたしました。ただそういうような金が要るのならば、その金融の途はこれはつけなくちやならないのだ。その金融の途は一つ政府において然るべく何か考えてもらいたいというようなことでございます。  それから先ほど申しました所要経費中の税金の方面でございすが、住民税だとか所得税というものは、これはその所得の中から引かれるべきもので、この所要経費の中に入れるものじやないのだ。但し特別所得税につきましては、特別委員会といたしましては、これは廃止すべきものだと考えましたのでありまして、別にその廃止方を決議として提出したのでございますが、そういう税金が存続する限りは所要経費と認めてもいいことになります。次に、所要経費原価計算方式算定すべきことを明らかにしておるのでありまして、この原価計算方式というところに、科学技術を尊重してという文句を入れるというようなお話がありました。併しながら原価計算という方式をとるということが即ち科学技術を尊重してやつていることだということでございましたので、これは特にこんなものは謳わなくてもいいだろうということで省きました。  それから次に人件費につきまして、これは皆様奇異にお考えになるかも知れませんが、例えば看護婦だとかレントゲン技術者等、医療関係に雇われている医師歯科医師それから薬剤師にあらざる技術者についでも、技術者としての技術料として扱うべきではないかというのでございす。併しながら雇われている医師と私申しましたが、それはちよつとデリケートなところでありますので、それは医療関係医師医療関係している医師なんでございますが、この診療報酬に直接関係のない医師ということに御了解を願います。従いましてこの調査会ではこういうような人件費というものは、どうしたらいいだろうかということになつてつたのでありまするが、これは診療報酬をきめますときにはこれは直接出て来ないのでありまして、これは調査会の問題が医師歯科医師薬剤師技術料ということなんでありまするから、こういうものは所要経費の中に突込みにいたしてやるというようなことにきまつたのであります。  それから技術料は、これは先ほど申しました通り専門的技術に対する報酬であるということを明らかにいたしておるわけであります。技術料というものは医師歯科医師生活費に充てらるべきものでありますので、その検定に当つては生活を十分考慮してきめられなければならないということを謳つておる次第であります。そこで問題になりましたのは、この技術料をどういうふうにきめるかという問題でございます。技術料医師の最低生活に対する部分と、技術の難易に対するものとの二つ要素を加え合せた方式を立てようという意見があつたのであります。これは先ほど冒頭にも申上げた通りであります。即ち技術料算定方式をきめます場合には、医師に対して最低生活を営み得る報酬が得られるようにせよというような要望のこれは現われと存じますが、最低生活費というものはいろいろこれはむずかしいので、殊に専門技術者としての生活ということを我々は考えておるのでありまして、この専門技術者としての最低生活費ということは非常にむずかしい。少くともこの医学というものは日進月歩に進んで行く性質から見まして、一般労働者の最低生活費というものよりは高いものであるということはわかるのであります。併しそれは一体どの程度に高くすればいいかどうかということはこれはわからないのでありまして非常にむずかしい。而も労働者の最低生活費というもののまだはつきりきまつておらない際に、医師最低生活費のほうだけをきめてしまうということも、これも勿論できない問題であるというので、これはこうでないやり方にしたのであります。それには又ほかの理由もあるのであります。それから又診療報酬決定いたします際に、医師歯科医師の一日当りの診療従事時間の限界を定めて診療報酬をきめようという意見があつたのであります。これは冒頭にちよつと触れた点でございます。労働者にも労働基準法で原則として八時間労働が行われておる今日、それよりも高い生活を保障しようという医師歯科医師が極端に長時間労働をしなければ生活ができないというようなことは、これは以てのほかだというお話でございました。併しながらそういう点も、先ほど申しました専門技術者としての生活を十分考えて行くのだということの中にこれは併せて考えて行くのだということで御了承を得た次第であります。  それからこの答申案にございます、技術料算定方式の所にございますが、これは1十αにgtをかけたものということにして掲げたわけであります。これについていろいろ議論があつたのであります。技術料は、單位時間の技術報酬技術指数を乗じたものに所要時間を乗じたものであります。この式はこの考え方は診療に対する技術料は、先ず難易の程度が同じような診療であれば、時間が多くかかるものの技術料が高いはずであります。難易の程度が全く同じであるという二つ診療を比べまして、そこで診療報酬をどういうふうにするか。片つ方の時間が片つ方の倍かかつたとすれば、診療報酬は倍になるべきだという考え方であります。それから又同じ時間がかかつて診療が行われた二つ診療行為がありました際に、これは難易の程度が、片つ方は非常にむずかしい技術が要るのだ、片つ方はそう大した技術は要らないのだということならば、むずかしい技術のほうが余計診療報酬を取るべきものであるという考え方でございます。そういう観点から、今の算式が出ておるのでありまして、今申しました通りに、技術料というものは時間に比例する、それから難易の程度に比例する、時間にも比例し難易にも比例するのだということでありますから、時間と難易を合すものとの相乗積に比例する、そういうことでございます。そうしてそれに何かを掛けたものが技術料になる。その何かというものをここでは平均技術報酬としたのであります。それはそういうことになりますと取扱が非常に楽になりますので、そういうことにしたのであります、平均報酬を使いませんと、又ほかのものをもう一遍掛けたり何かしなくちやなりませんので、非常に複雑になります。又ほかの取扱方からこの平均報酬が適当だということも或いはできるかも知れません。それは私の意見になりまするから、それをお含み願いたいと思います。  この小さい(Ⅱ)という所は、これは先ほども申上げました通り技術指数をどういうふうにきめるか、決定方法をきめたものであります。技術指数というものは各診療行為ごとに定めるわけでありまするが、これは非常に困難だろうと存じます。併しながら技術料というものは、これは何らかの経済的価値に換算しなければならないのでありまするから、これはどうしてもやつて行かなくてはならない。その決定をいたしまするときに、ここに非常に問題が起つて来るのであります。実際にお医者さんの生活を支えておるものと、これは何か理論的にと申しまするか、そういうもので推して行つたものとの間では非常に問題が起つて来ると存じます。例えば日本医師会から厖大な資料特別委員会に御提出になつたのでありまするが、その厖大な資料を拝見いたしておりましても、これが如何にむずかしいことかということがよくわかるのであります。これはこれを決定いたしますには簡単にはできません。又短時日ではできません。相当のこれは日数を要するものであります。従いまして非常に急がされました委員会といたしましては、そこまで掘下げてこういうものを取扱つておりません。又先ほども申しました通り基準というものがそういつたような具体的の問題を扱うんではなく、具体的な問題は又別の委員会でやつたらいいだろうということを先ほどお話いたしましたが、それはそちらの新たに作られますほうの委員会で以てここは十分手をかけ、時間をかけて、これは検討すべきものだと私は思います。とにかくそういうようなものでございす。  そこで例の平均報酬というものを片方に書きました関係上、ここにⅠ十αという形でこの難易の指数を書いたのであります。即ちαというものがゼロという場合にはgtということになりまして、これは平均報酬に時間を掛けたものだというようなことになります。時間が一でございますれば単位時間でございまして平均報酬ということになります。α=0ということは、平均の難易ということになりますから、平均的の難易度で単位時間を要するということになりますと丁度平均的の報酬が得られるんだという形の式でございます。診療所要時間、これにつきましては何も御説明をする必要はないと存じます。  先ほども申しました技術指数というものを決定して行きます際には、これはただ先ほど申しました委員会あたりできめて行くということでは足らないのでありまして、十分関係学会等の意見を徴してきめて行くというような意見がございました。至極これは御尤もな話でございまして、現に医師会歯科医師会なりで、この調査会にお出しになりました資料につきましても、関係学会の意見が十分出ておるのでございまして、なおその関係学会の意見をどういうふうに扱うかということにつきましては、或いはこの医師会歯科医師会がおやりになりましたこのやり方そのままでいいかどうかということは、これは疑問でございます。この点は先ほど申しました新らしい委員会のほうで十分研究して頂くということが適当かと存じます。併しながらとにかくこの関係学会の意見を十分徴するということに皆さんの御意見が一致したわけであります。先ほど申しました平均技術報酬というところでございすが、この平均技術報酬というものを、技術指数の決定基準としないで、最低生活費を使えという御意見もあつたのでありますが、これはやはりなかなか最低生活費というのはむつかしい問題でございますので、これは皆さんが御賛成になりません。
  12. 山下義信

    委員長山下義信君) 証人に伺いますが、診療報酬調査会答申案についての御証言はまだ時間を要しますか。
  13. 齋藤齊

    証人齋藤齊君) あと五分くらいで。
  14. 山下義信

    委員長山下義信君) ああそうですか。どうぞお願いいたします。
  15. 齋藤齊

    証人齋藤齊君) こういつた数式をかつぎ出しましたことにつきまして、何か数学でこういつたものをきめるのではないかというような誤解をお持ちになつたかたが、もう民間の中にはあつたようでございますが、決して数学で処理をするというようなことは考えておらないのでございまして、ただ皆様の御意見を、それを数式の恰好で表しますとこういうふうになります、非常に議論がしやすくなるのでございまして、そういう関係で便宜上数式で現わしたということだけでございます。  それからこういうものをやつて、こういう答申案を出して、一体どうなるのだろうか、医薬分業、分業との関係はどういうふうになるのだろうかというようなことが多少議論されたのであります。併しながらこれは分業の方式がどうなるかということがきまりませんと、こちらのほうで、これは数字的にどうなるかというようなことが言えないのでございます。従いましてそういうようなことには一切触れておりません。それからなおこの特別委員会の間におきまして、先ほど申しましたいろいろの決議を一つしたらいいじやないかというようなことがございました。これは私から申上げるよりも、最後総会にかけられたものでございまするから、会長さんから御説明頂いたほうが適当じやないかと思います。私の御説明はこれで終ります。
  16. 山下義信

    委員長山下義信君) 齊藤証人には又あとで別に御発言を願うことにいたしますが、診療報酬調査会答申について、特別委員長としての齊藤証人の御証言は只今の通りでございます。関連いたしまして、臨時診療報酬調査会委員であらせられた宮尾証人から、この診療報酬調査会審議の過程、或いは答申案等についての証人の御愛想を御証言願いたいと存じます。
  17. 宮尾武男

    証人宮尾武男君) 私宮尾でございます。只今委員長から御指名でございますので、若干感想を申上げて見たいと思います。私を証人としてお呼び出しになりましたのは、保険者或いは診療を受ける者の立場をお考えになつてのことと思います。又私がその調査会に出ておりましたのもそういう立場で出ておりましたので、従つてそういう立場からものを見させて頂くことになると思います。  この医薬分業問題はそういう保險者並びに医療を受ける者の立場から申しまするというと、医者薬剤師との間のこういう迷刻な問題に捲き込まれることは非常に迷惑なのであります。ただこの医薬分業がうまく解決せられることによりまして、医療が向上し、診療報酬が適正に拂われるというような結果になりますことを期待して、原則として我々は賛成であるというような態度をとつてつたのであります。従いまして現状の医療制度或いは診療報酬の問題に関しましては、現状を肯定しておらないのでありまして、もつとよくなることを期待しておるのが終始今までの立場でございます。そういう期待の上に立つて議論をして参つたのであります。それで答弁が出まして、この答申については今詳細に御説明がありましたのですが、私どもといたしましては、この結果適正な診療報酬が計算されて、それによつて医薬分業問題の可否がきまつた場合に、国民の総医療費とか、或いは社会保險の医療費がどうなる、国民負担がこれにより増すか、増さないかということが一番の関心事でありまして、そういう見通しの下にこの答申がなされるのでなければ我々は大した期待が持てない、こういうのであります。今も御説明がありましたように適正なる診療報酬額、実際の価額というものを見付けることにはこの調査会は不成功であつた。そうしまして、只今お話がありましたような方法論については、一応の結論を得られたのでありまして、私どももこの方法論については賛意を表しておるのでありますが、この方法論から実際のそれでは診療費が上るのか、下るのか、或いは国民医療費の負担というものが多くなるのか、少くなるのかという見通しというものは付かずして、この調査会結論を付けてしまつたということについては私どもは不満なのであります。そういうことでありまして、この医薬分業の可否についても後ほど御説明があると思うのでありますが、そういうような先付小切手のような結果が出て来た。又診療報酬については方法論しか出てないので、実際の單価がわからない、こういうような多くの問題を残して、そうしてこの調査会が終つてしまうということについては、私ども非常に残念なのであります。それでこの両調査会の間に医薬問題に関する、或いは診療報酬に関するいろいろな問題は残るところなくさらけ出されているのであります。いろいろな問題が出ております。例えば今も御説明がありましたような技術指数、技術料というものをきめるについてもこれは大きな問題なんです。又医者の立場を考えまして、医療というものは公共的なものだということについてはどなたも異論はないのでありますが、その公共性を裏付けることについては何にもきまつておらないのであります。これは決議はなされておりますが、この決議はただ決議がなされたというだけで、別に公共性を裏付けた結果にはならないのであります。実行されなければ何にもならないというようなのでありまして、私どもはこの法律がどうなりますかは非常に関心を持つておりますのですが、たとえこの法律ができましても、早速技術料の問題をきめで頂かなければ見通しはつかない、こういうような状況なんでありまして、又何か御質問がございますれば、後ほど御答弁申上げたいと存じます。
  18. 山下義信

    委員長山下義信君) 臨時医薬制度調査会答申につきましては、なお御証言をお願いしたいと存じておるのでありますが、時間の関係上及び塩田証  人が午後は御多用の模様でもございますので、順序を若干変更いたすきらいもございますが、この際塩田証人から医薬分業に関しまする調査会の御審議に関しまして種々御努力、御斡旋を下さつたということを承わつておるのでございますが、その辺の御事情等につきまして、証人から御証言をこの際頂いて置きたいと存じます。  なお以上の御証言に対しまして委員各位からの御質疑をお願いいたしまして休憩に入りたいと存じますので御了承願いたいと存じます。
  19. 塩田廣重

    証人塩田廣重君) ちよつと申上げます。どういうことを申上げてよいのかわかりませんが、私が考えておりますことをあの会ではちやんとまとめて申したことはないかも知れませんが、とにかくこの問題について私の考えておることだけを申上げて、なお御質問でもありますればお答えいたしたいと存じます。  この医薬分業ということに関しましては、これを理論的に考えて見ますと、医師医療を行なつておる、そこに持つて来て薬剤師制度を作る、薬剤師を作つたということになりますと、そのときにすでに純粋の医療というもの、治療ということと、それから薬剤師ということに仕事というものが二つに分れたわけでありますから、おのおのがそれぞれに與えられたところの仕事をして、そうして病人の福祉を増して行くということをしなければならんということでありますので、おのずからその仕事は分れることになるのであります。併しながらそういう制度を作つたにもかかわらず、官でも民間でもこれを二つにするというようなことについて十分な努力が拂われておらない。つまりまあわかりやすく言いますれば、医者の治療、今盛んに言われております主として技術方面、或いはその人の持つておる医学的知識とか技術とかいうことでありますが、それに対するところの報酬を出すということにし、そうして又薬のほうは薬りのほうだというて分けることについては話はときどきあつたのでありましても、これを一般患者方面に対して、こういうふうに行うべきものであるということを説明したり、骨折つたりする仕方が足りなかつたと思いますから、日本における従来の仕方によつて、薬の代価というものに含めてその技術の料金などもとるということが一般に国の習わしになつてつたのであります。中には勿論技術料或いは指導の代価を取つて、そうして薬は別に自分の処方で書き與えるという人々もあつたのでありますけれども、それはまあ比較的少数のものでありました。こういうふうなことでありますから、今医薬分業というものの、分業の説は唱えられておつても、長い間従来のままで行われておつたのであります。ところが今度こういう問題がやかましくなつて参りましたのでありますが、私は若しも今もう少し医者に対するところの治療の、薬を抜いた治療の報酬というものが與えられるならば、自然に医者は自分の治療を行い、そうして薬のほうは薬剤師が担当するということになることであると思つております。それはアメリカあたりでも医者報酬と、それから薬屋は薬のほうで自分の職業をやつて行くということになつておりますから、つまり任意のやり方であります。そういうふうに日本でもだんだんなつて行くにきまつておると私は思つておるのであります。まあ一般については勿論特別の田舎の薬剤師の店などのない所はまあ別でありますが、今にわかにこれを法律に作れということでありますと、そこに矛盾が起ると私は思つておるのであります。それで法律に作るという、どうしても法律に作らなければならんということであると、まあ自分らは先ほど申したように、医師とそれから薬剤師というものが二つあるのですから、自分は医者のほうの方面のことをやつて行くということを建前に自分で考えて、そうしてこれを集めた、集めたといいますかその考えをもとにしてこれを法律の形にする。上から強制されるのではなく、自分がこういう考えであるのをこういう形に現わして置くということにしたらばいい、こういう私の考えでおりましたが、併しそういうふうにするには、医師もそれから歯科医師薬剤師も共に共同してそうしてそういうような方面に向うということでなければうまく行かない。そういうことが最も治療を完全にして行く上に必要なことであるというのでありましたが、併し最後の案になりましてから少し模様が違つて、第三案ということになりまして、それが答申案になつたのでありますけれども、これは今申す私の本旨とは違つておることになつておるのであります。なおいろいろ申上げれば申すこともありますけれども簡単に申せば私の考えておることはかような次第であります。
  20. 中山壽彦

    ○中山壽彦君 塩田証人が午後お差支があるということでありますが、一言だけお尋ねしておきたいと思います。社会保險におきましては、法律改正しなければ薬剤師調剤できないのじやないかというような話で日本医師会のほうに塩田証人初め四、五人のかたがおいでになつたというようなことがあつたように聞きました。医師会のほうでそれは保險薬剤師という形において、法律改正しなくても処方箋によつて調剤でき得るのだというような話をしてそれを了解してお帰りになつた、併しその報告書にはそういうふうに認めていないような字句になつておるというようなことをちよつと聞いたのでありますが、そういう事実がありましたかどうか。
  21. 塩田廣重

    証人塩田廣重君) ちよつともう一度おつしやつて下さい。その辺のことは余り私頭に残つておりませんが社会……
  22. 中山壽彦

    ○中山壽彦君 社会保險の調剤が、法律改正いたさなければ薬剤師のほうで調剤ができないのじやないかというような話題が上りまして、それであなたのほかに四、五人の人が日本医師会に行かれて話された。それを医師会のほうじや保險薬剤師というのがあるのだから、法律改正しなくても処方箋によつて調剤はでき得るというような話になつて、非常によく了解をされたというようなことをちよつと耳にしたことがあるんですが、そういうことがありましたか。
  23. 塩田廣重

    証人塩田廣重君) それは四、五人で、四人でしたか、いろいろな問題があつたときに医師会へ説得に行つたという報告になつておりますが、あのときの話であるかも知れませんが、あのときは、さあどういう話であつたか、私の考えは今申した通りの頭であつて法律にするということは医師会では全然反対であると言われるけれども、それは普通のときであればそれはいいかも知れんが、今この際是非とも法律に作れと言われるときになると、そうせんわけに行かんだろう。けれどもそういう上から強制されるということは誰でも気に入らぬかも知れんけれども、今私が申したようにして、これは先ほどの、上からはこういうことがされるべきはずであるということになつているが、今は急の間に本当は会わぬけれども、強制でなしに自分らの話合いでこういうふうにするように考えたらどうだ、こういう意味で私は言つたのでありまして、そのときにそういう社会保險の方面で処方箋を與えぬで、処方箋を書くということができないとかできるとかいうようなことについての頭は私にはありませんでした、余り。了解されたか、されんとしてもそういうことは不案内ですから頭の中に残つておりません。
  24. 松原一彦

    ○松原一彦君 塩田先生午後お帰りだと思いますし、今日の御証人の中ではただ一人のお医者さんのように私は拝見したのでお伺いしたいんですが、この法律が成立しますというと、原則として医者調剤ができない、こういうことになるのでありますが、薬事法二  十二條のままでこの法律改正せられれば、特定の場合を除いては医者調剤することができないのでありますが、医者は、一体その医者調剤法律において禁止するということの根本の理由は、医者調剤能力がないのでしようか。或いは調剤能力は一応はあるが、不備であつて危險である、だから原則として医者調剤は任せられない、こういうことなのでありましようか。いずれ近いうちにこの委員会は医科大学の方面のかたたちと、薬剤のほうの大学の方面のかたとにおいでを願つて、その辺の能力上の問題を、教育的にどういうふうにお扱いになつているか、制度の上からどうお扱いになつているかを承わることにはなつていますけれども、塩田先生の日本医科大学の学長としてのお立場からも、今日の医者の免許状を持つておる者、将来の医者調剤の能力のない者というふうになるのでございましようか、その辺一つ承わりたい。
  25. 塩田廣重

    証人塩田廣重君) 私自身の考えを申上げますと、医者として立つておる以上は、今日のところでは調剤の能力がないとは私は認めておらんのであります。成るほど薬剤師諸君のように、薬の性質などを詳しく、製造法から何からを詳しく知つているということについては、医者のほうは劣つていることはあるであろうと思いますけれども自分の日常仕事をしておる上に困るような調剤能力がないものとは私は思つておりせん。ただ先ほど申したように薬剤師という職業がちやんとできて、それが調剤のことなどを特別に習つておるということであると、そのほうが仕事をし、こつちが医者のことをやるということは一応尤もと思うのでありますけれども、併し医者が何も調剤ができないとか、それを取上げてしまうということがいいとは私は思つておらないのであります。
  26. 松原一彦

    ○松原一彦君 重ねてお尋ねしますが、この答申案に基いてできたる法律の原案は、一応原則として医者調剤は禁止せられるのでありますが、若し禁止せられるということになりますというと、薬事法第二十二條の違反は、同第五十六條によりまして三年以下の懲役又は三万円以下の罰金に処せられることになるのであります。そうなりますというと、特定の例外を除いて医者患者の求めに応じて調剤をした場合においては、三年以下の懲役又は三万円以下の罰金に処するということになりますので、私は医師というもの、医師法による医者というものの基本の人権から言つても、職権から言つてもこれは非常に憲法上疑義がありはしないかと思うのであります。勿論分科になることについては私は異議がございません。なるべきものであろう。先刻の御見解のように適当なる技術料支拂われることになれば、何を好んで医者が面倒な調剤などをしましようかと私も思いますが、併しそれを促進するために医者調剤した場合においては、懲役又は罰金に処するといつたような、さような法的処罰を伴う禁止までしなければならんほどに医者調剤を禁止しなければならないという論拠を承わりたい。これは皆様がたがこの答申案をお書きになりましたその根本を承わりたいし、さような立法例が世界のどこかにあるのかも私は承わりたいのです。先生どうでございますか。
  27. 塩田廣重

    証人塩田廣重君) いや、私はあなたのおつしやる通り医者から直ちにそういうものを奪うというようなことについては誠に反対なのであります。けれども多数決で済んでしまえば、それはどうもしようがないことであつて、私は今あなたのおつしやるようなことを言いたいのでありますけれども、それについて反対の考えを申上げることはできないのであります。
  28. 松原一彦

    ○松原一彦君 それでは塩田先生にはもうお尋ね申上げませんが、他の証人のかたでどなたでもよろしうございますから午後に一つ……、私は決して反対じやない、この成り行きそのものについては敬意も表し、将来こうあつて欲しいとは思いますが、法律を以て禁止しなければならないという根本の理由には、よほど念を入れませんと、医者調剤するというと危險である、極量を誤まるとか、或いは調剤上配合禁忌を犯すといつたようなことが法律の根拠になりますというと、今後国民を非常に不安がらせることになる。その点につきまして立法者としてはよほど念を入れねばなりませんから、国民の納得の行くように、又我々委員の納得の行くように、この根本の点につきまして委員のかたからどういう論議が行われ、どういう根拠によつて、かようなことが多数決となつたかを明らかにして頂きたいという希望を申述べて置きます。
  29. 山下義信

    委員長山下義信君) よろしうございます。その点午後に御証言を願うことにいたします。  それでは委員長から一つお伺いしたいのでございますが、大変塩田先生には居中調停と申しますか、円満妥結について只今御証言のありましたように、医師会方面への御説得に非常に御盡力下さつたということでございます。或いは大変何と申しますか、語弊があるかも知れませんが、説得においでになりましたが、逆に説得されてお帰りになつたということも噂に出ておりますが、それは別といたしまして、証人には医師会側はもう全然妥協に応ずるというような見込は今後ともないというお見込でございましようか。先ほどお述べになりました御証言の中に、できるだけこれは三者が円満に協議をして、上からの法律でなくして、協議の結果に基いたものが立法に現われるのが非常にいいと思うという御趣旨のようでございます。そういう見込は、少くとも証人医師会側のほうと御折衝、御説得、御盡力になりました経過等から見まして、今後さような見込は寸毫もないというお見込でございましようか。或いはなお努力の余地があるというお見込でございましようか。
  30. 塩田廣重

    証人塩田廣重君) 特別委員会におきます薬剤師諸君のお考えや、それから医師諸君のお考えを拜聽した限りにおきましては、なかなか両者の意思を一致させるという傾向はちよつとないと考えます。私は寸毫だか何だかわかりませんけれども。(笑声)
  31. 山下義信

    委員長山下義信君) 他に塩田証人に対する御質疑はございませんか。  それでは午前はこれを以で休憩いたします。午後は一時半から再開いたします。    午後零時二十九分休憩    ―――――・―――――    午後一時四十四分開会
  32. 山下義信

    委員長山下義信君) それでは午前に引続き委員会を開会いたします。  齊藤証人から御証言を求めたいと存ずるのございますが、臨時医薬制度調査会から最紹の答申案が出ておるのでございますが、この答申案を御審議になりました経過につきまして、御証言を願いたいと思います。
  33. 齋藤齊

    証人齋藤齊君) それではこれより臨時医薬制度調査会特別委員会の模様をお話いたします。  本年の二月の十四日に特別委員会の設置を決安せられました。即日第一回の委員会を開き、第二回は十六日、第三回は二十日、第四回は二十二日、第五回は二十四日、第六回は二十六日、第七回は二十七日、第八回は二十八日、こういうふうに極めて短時日でありましたが、非常に熱心に皆様議論になつたわけであります。場合によりましては午後八時過ぎまで御議論になつたわけであります。第一回の委員会は事務的の問題でございましたが、第二回の会員会からそろそろ本論に入つたわけであります。大体のことを申上げますれば、第二回冒頭におきまして、医薬分業を階段的にやる案を作らうといつた案がございました。それから議論といたしましては薬を交付しない場合、従来はお医者さんが診察をして薬を交付しておるのでございますが、その交付しない場合、ただ医者が診察する場合そういう薬をくれないというような場合には、つまり医者無形的な技術に関して患者支拂いをするのでありまするが、そういう観念が国民にあるかどうかというような問題それからこれは分業となりますれば、薬局において調剤するものでありまするが、薬局における調剤というものが信用できるかどうかというような問題、それから医薬分業をいたしました場合に、医療費がどういうふうに変つて来るかということが問題になつて来たのであります。その医療費の問題でありますが、それは幹事側から数字を出してもらつたのでありますが、それによりますと、医薬分業になりますれば、調剤の手数料だけが問題になつて来るのであります。申し落しましたが、大体こういうものをやつて行くのには社会保險の資料というものが非常に役に立つて来るのでありまして、社  会保険の資料から見ますると、その実績に見ますれば調剤手数料というものが影響して来るのでありまして、これがそういう医療費に対する割合が一・六%である、調剤というものを完全に薬剤師のほうに渡してしまえば、社会保險の実績から見れば一・六%のものが薬剤師のほうに行くのだ、併しながら現在のすでに病院等では医薬の分業が行われておると見られるのでありまして、国民医療費にかかつて来ますところの影響は一・六%というものよりは小さいだろうから、医薬分業の方式によつては或いはこれを大都市だけでやるとか、或いは大都市という言葉がいけませんければ、地域を限つてやる、そういうようなことになりますれば、一・六%この全部が影響して来るわけじやない。その一・六%のうちの何分の一かが影響して来るのだろうというようなことでございました。そこで今の一・六%がどういう影響になつて来るかと言いますると、つまり現在お医者さんが……調剤手数料というもののほうが、薬餌料の中に含まれておりまするから、医者のほうの收入の中にこれは入つておるのであります。それを医者のほうから薬剤師のほうに渡す、手離すということになりますると、医者の收入が減ります。その減つた部分を補償するということにすれば、お医者さんのほうの取り前がそれだけ減らないようにしなければならない。医者の生活を現在と同じように確保するのだつたら、一・六%というものは医者のほうに確保しておかなければならない。然るにもかかわらず薬剤師のほうに一・六%の調剤手数料が流れて行くのでありますから、結局医療費につきましては国民の総医療費につきまして一・六%上つて来るのだ、こういうように見られるのであります。但し今申上げましたように、実際におきましては一・六%よりももつと減るだろうというような問題であります。それからこれにつきましては、医師会側の委員からは、医薬を分業すれば一二%上る。それから又新らしい体制の下におきましては、新医療費の体制の下におきましては二八%増になるような主張が行われたのでありまして、これにつきましては特別委員会におきまして検討するのは非常に時間の関係もございますので、困難でありますので、検事側でこれは検討してもらいまして、幹事側からその報告を受けましたところによりますると、この二八%増となるという御主張の根本は、現在の社会保險の診療を、慣行料金並みに引上げる、慣行料金は大体社会保險のほうの一・五倍である。そういうものをかけて行くと二八%増になるような結果になる。それから一二%上るというのは、医薬分業の結果、医師から薬剤師に移るのは薬品原価のみであつて従つて薬剤師支拂調剤手数料、所要経費等のために一二%上る。つまり現在の薬餌料の中から医者のほうから薬剤師のほうに廻るのは薬品原価だけを廻してやる。薬品原価以外は医者のほうに生活を保障する、そういうような関係で、医者のほうに取つておかなくちやならない。薬品原価だけが薬剤師のほうに廻る、薬剤師はそれについて又調剤手数料とか、所要経費がそれにかかつて来ます。薬剤師のほうがそれ以上又余計患者のほうから取らなくちやならない。そういうものから一二%上るのだということなんだという説明がございました。とにかく今後議論を進めて行くのには、これは前に申しましたもう一つの委員会のほうにおきまして、皆さんの御賛同を得ました医療費の新体制というものをやつて行くのだ。このことにつきましては皆さん御賛成でありますので、医薬分業というものを議論して行くのには、この新体制の上に医薬を分業して行くということで議論して行こうという了解が成り立ちました。その後医薬の分業問題につきまして、具体的な方法についていろいろな意見が交換されたのであります。例えば処方箋発行の問題とか、或いは現在の医師歯科医師については、いわゆるこれは既得権と申しまして、こういう果して調剤権という権利があるかどうか私はよくわかりませんが、こういう権利のごときものを医者に認めるかどうか、それから新らしい医師とか歯科医師に場所によつて調剤を認めるという問題、そういうものが議論になつております。こういう問題も賛否両論非常に複雑でございまして、医師会委員はそこでおきめになることを避け、そして次の会までに何かの意見を申出るというようなことで散会になつたようなことがあるのであります。これはまあ大体第三回までがそういつたようなことでございまして、第四回目になりましてからは、幹事側から前に三回までに交わされました意見を取まとめました案を提出いたしました。その後これについて意見を交換されたのであります。そうして結局この幹事案につきまして医師会側の委員から七つの條件を挙げ、これが認められれば呑むといつたような意見の表明があつたのであります。併しこれはその次の委員会で以て問題になつたところでありまして、そういうことを言つたことはないのだという御主張でありました。併しながらこの第四回の委員会におきましては、そういつたような強い印象を我我は受けたということでございます。その條件というのはどういうのかと申しますと、第一に医療報酬の新体制を促進すること、これは医師会側のかたがたの御意見も、これはもう是非早速やつてもらわなければ困るというふうなお話でございました。医療報酬の新体制と申しますのは、先ほども申しましたような無形的な技術に対して正当な支拂いをして行くのだといつたような新体制でございます。第二に、国民に対して無形技術に対して正しい報酬支拂うという観念を普及指導するということ、第三に薬品の混合販売の禁止、第四に国民処方の禁止、無診投薬の禁止、五に薬品、機械、器具の低廉化、六に処方箋記載事項の嚴守、これらのために行政的の監督を強化しろということでございます。これらにつきましては皆異論もございませんで、一応皆解決したのでございますが、問題として残つたのは、新規開業の医師歯科医師にも場合によつて調剤を認めなければならない場合があるという主張に対しまして、それは一体具体的にどんな場合があろうかといつたようなことが問題になつた。これは結局更に医師会検討するということで散会したのでありますが、第五回の委員会におきまして、医師会側の委員から「処方箋発行の除外例となる診療上支障ある場合」という文書が提出されました。ここで前回の委員会で問題として残つたのは、調剤を認める例外であつて処方箋発行の除外例ではないということから医師会委員から、原案に対してはこれはどうも承認しないというような発言がございました。ここで委員会としては非常に困つたのでございます。その結果更に医師会のかたが御納得できるような案を作ろうというので皆努力したのであります。こういたしまして第二案というのが出て参つたのであります。この第一案、第  二案というのは恐らくお手許の印刷物の中に入つておると存じます。第二案と申しますのは、医師歯科医師薬剤師、この三者が協力して分業の方向に進んで行こうという案でございます。この中に「当分の間」という文句がございますのですが、この「当分の間」ということ、それからこの医師会歯科医師会薬剤師協会かたがたの協力の問題、それを共同声明して  行こうというような了解事項が付いております。これにつきましては薬剤師側の委員から強硬な反対意見が表明され、そのうちに医師会側の委員から、医師会が今対抗している理事のほうから法律で強制することには絶対反対だということを言つて来て、我々は賛成することはできん、反対だというような御発言があり、第二案というものもだめになつてしまつたのであります。その日はもう午後八時頃になつてしまつたのでありまして、一応散会したのでございまするが、この会議はにつちもさつちも行かなくなつた状態でございますので、先ほどもこの公聽会で問題になつておりました、話題になつておりましたような塩由さん、加藤さん、長尾さん、吉田さんの四委員医師会に説得に向かわれたのでございます。翌日になりましてこの四人のかたも御出席になつたのでありまするが、結局説得に行つたけれども、無駄に終つた医師会は決して態度を御変更にならなかつたということになつたのでございます。  第六回は午後四時から開会したのでありまするが、何とか妥協して円満な案を作ろうといたしたのでございまするけれども、結局その日は成功しなかつたのであります。そのうちにここでいろんなこの委員会の問題でないような、こういう委員会が持たれた元になつたところのいろんな問題が出て参りまして、それの説明を我々は伺つたのであります。そうするとそのうちにそういう話を通じてわかつてつていることは、法律改正が必要だと、こういうGHQ側の意見があるのだということになりまして、医師会側の委員からはそういうことを知らなかつたということでありまして、なお客観情勢を説明して理事会の説得に努力したいという御発言がありました。それで散会したのであります。  第七回には開会直前に黒川厚生大臣出席されまして、特に円満なる妥結を望むというような御希望の御開陳があつたのであります。開会直後、前回に問題になりましたこの法律問題ということが問題になりまして、結局それでは向う側のはつきりした意見を聞いて来ようということでございます。併しながら委員会といたしましてはこれは聞く必要はない、医師会かたがたが異論を唱えておられるのでありまするから、医師会のほうで向うへおいでになつて聞いて頂きたいということになりまして、結局谷口委員がサムス準将を訪問されたのであります。そのときには東医務局長も御同道になつて、その結果法律改正が必要であるということが認められまして、法律改正については第一案、第二案のほか、第二案を少しいじつたような案、即ち第二案というものの中に先ほど申しました「当分の間」という字句があるのでありますが、この「当分の間」というものを五年間ということに限定する案、そういつたようなものが出て来たのであります。これを一つ医師会のほうで検討して見るということで散会したのであります。  第八回には医師会側の委員から、三案ともこれは賛成できない、なお四案というものも時間がなくて作れなかつたということでありました。委員会といたしましては非常な不成功に終つたわけでありますが、今後の取扱についてどういうふうにしたらいいであろうかということを協議いたしました。この一案、二案と申しますものはちよつと申上げますれば、    (第一案)   医師歯科医師及び薬剤師についてその専門分野を明確化し、それぞれその専門分野において医療の向上に寄與し公共に奉仕するようにすることが望ましいものと考えられるが、一方国民の理解、関係施設の整備の実情等に鑑みるとこれの急速な徹底化は却つて国民医療に好しくない影響を及ぼすことも考えられるので右の原則に向つて実情に応じ、漸進的に進むことが適当と認められる。   よつてこの際次のような立法措置をとることが適当であり、その施行については前提として医療報酬に関し昭和二十六年一月二十四日附臨時診療報酬調査会答申に基く所要の措置がとられることが必要であるので昭和二十八年からとすべきである。 1 医師歯科医師は投薬の必要ありと認めるときは診療の一環として法律により当然処方箋を全面的に患者に交付するものとすること。 2 現に開業している医師歯科医師、獣医師は従前の通り引続き調剤を行うことができること、するが、新に開業する医師歯科医師、獣医師については薬局の分布が十分でない地域に開業するものには審査機関を設計審査の上調剤を認めるものとすること。 3 薬業法に左の趣旨の規定を設けること。    薬剤師調剤する場合には、医師歯科医師又は獣医師の処方箋によらなければならない。(第二案)1 医師法第二十二條を左の趣旨の如く改正すること。(歯科医師法も同様の改正を行う)    医師診療上投薬を必要と認める場合には患者に対し処方箋を交付しなければならない。前項の処方箋による調剤薬剤師によつて行われることを原則とする。2 薬事法に左の趣旨の規定を設けること。    薬剤師調剤する場合には、医師歯科医師又は獣医師の処方箋によらなければならない。薬事法第二十二條但書を削り、同法附則に左の趣旨の規定を設けること。    医師歯科医師、獣医師は当分の間第二十二條の規定にかかわらず自己の処方箋により自ら調剤することができる。    前項の場合においても調剤薬剤師によつて行われるよう医師歯科医師、獣医師は協力しなければならない。  この最後にこういうような協力的と申しますか、何と申しますか、「前項の場合においても調薬は薬剤師によつて行われるよう医師歯科医師、獣医師は協力しなければならない。」という字句が入つておるのであります。それでここに註をいたしまして「当分の間」ということが第二案の第三項にございますが、当分の間とは十年、二十年という長いものではあるまい。恐らく五、六年後には医療新体制がほぼでき上つて来るであろう。そうすれば医師歯科医師、獣医師医療上特に必要のある場合に限つて調剤をすることを法律で規定することは差支ない。勿論薬局のない地域で医師歯科医師、獣医師がみずから調剤することは当然である。もう一つ註といたしまして、日本医師会、日本歯科医師会、日本薬剤医師会答申決定後直ちに共同の声明を発し、医療新体制の下において薬剤師調剤することが原則であつて、この原則が実施せられるように三者協力して努力することを明らかにする、こういつたものであります。  こういう第一案、第二案というものが今まで議論になつてつたのでありますが、この第一案、第二案は今も申述べましたように、これは一種の妥協案でございまして、而も医師歯科医師薬剤師三者の協力が前提となつておるのであります。これが得られない以上この案は出しても無意味であるということになりまして、そうして第三案とも申します最後案が出て来たのであります。そうしてこれを一体どうしてきめるか、一体当時はすでに総会を午後一時からでございましたか、一時半でございましたか、つまり午後から総会を催すことにきまつておりまして、総会を催すならばその総会に対して特別委員会はどういう報告をするか、特別委員会の意思を決定して報告しようか、或いは中間報告をしようかということが議論されました。結局これは特別委員会の意思を決定して報告しうということに意見が一致しまして、そこで然らば特別委員会の意向をどうしてきめようかということになりまして、これは止むを得ないから無記名投票によつてやるということになりまして、無記名投票をいたしましたところが、結局投票したのが十票で、うち白票が一つありまして、白票はこれは無効にする、そうしまして第三案が特別委員会の意思というふうに決定されたのであります。  以上がその特別委員会の大体の経過でございます。これを以ちまして私の御説明を終ります。
  34. 山下義信

    委員長山下義信君) 続いて清水玄君にお願いしたいのでありますが清水証人から診療報酬調査会答申、並びに医薬制度調査会の最終の答申につきまして証人の所見をお述べ願いたいと存じます。殊に証人調査会委員以外に別に基金の主宰をしておいでになります。そういう方面から見てのこの答申案についての御所見も承わりたいと存じます。
  35. 清水玄

    証人清水玄君) 御指名によりまして申上げるのでありますが、私の申上げますことは所見ということでありますが、要するに私の感想を申上げたいと思います。そろで従つて当時の両調査会答申、その他に対する感想、或いはそのあとの診療報酬調査会委員をしておりませんが、そのほうにおきます状況についての感想等を申上げたいのでありますが、大体これは私の感じました空気等を申上げるわけでありまして、或いは全体の空気はそのまま反映しておらん点があるかも知れませんのですが、間遅つておりましたら御勘弁を願います。  大体私が感じましたことでどうかなあと思いましたことが幾つかある、先ず第一はこの診療報酬調査会審議に対する時間が少し短かつたのであります。非常に審議が慌しかつたのではないかという点が一つであります。大分調査会を通じまして時間はかかつておるのでありますが、あとの肝腎の医薬分業審議しま調査会の期間というものが割合に短かつたように思いまして、少しどうももの足らん感じがしたのであります。大体この明治時代から問題になつております医薬分業の問題を右か左にきめてしまうには、少しどうも審議が短かつたような気が大変いたしたのであります。と申しますと、その一つの点はこの医薬分業を行いますにつきまして、初めのほうの診療報酬調査会結論というものが、これが医薬分業を行う大綱になるべきものだと私は考えておつたのであります。でありますからこの初めの調査会結論というものに非常な期待を持つてつたのでありますが、これはまあ非常な皆さんの御努力の結果、結局診療報酬基準ができ上つたのであります。実は基準では私は医薬分業をきめるには甚だ不十分だと考えたのです。それはなぜかといいますと、医薬分業というものは大体よりよい診療国民に與え、それと同時に経済的に安く診療が行くというこういう二つの面から考えて、国民負担が徒らに多くなるというようなことでは現行の日本の国情としては甚だ面白くないものだろうと考えたわけでございます。それで従つて初めの調査会結論に当りまして、医薬分業をやつた際に、一体勿論これは医薬分業をやれば皆さんお話のようにいい診療ができるだろうと思いますし、お医者さんも技術的にも向上し得る範囲があると思いますのでありますが、同時に国民の負担を考えますと、その診療による経費というものは今度の調査会結論でどのくらいになるか、現実に診療を受けたならばどのくらいの費用がかかるか、前より医薬分業で早く申せば安くなるか高くなるか、こういうことがわからん限りにおいては実は我々診療を受ける考え方といたしましては、医療分業がそれだけでつまりいいとも悪いともちよつと申上げかねるような感じがいたしたのであります。ところがこの診療報酬調査会結論は先刻来お話のありましたように、要するに診療報酬基準でありまして、具体的にこれによつて診察いくらいくらになる、現実に医薬分業をすればこうなるという実際の数字には実はならんのだと思います。あとで何パーセント上るとか上らんとか、お話がありましたが、これも非常に抽象的な話で、或いは健康保險を、或いは社会保險を一般診療のレベルに引上げればこれだけになるとかいうようなことでありますと、これはもう我々としてはちよつと納得いたしかねるような部分があります。医薬分業を実際に審議をするほうとしますと、これはまあ御承知のように曾つて一遍臨時医薬制度調査会なるもので一応の結論は一遍出たのであります。これを改めてやり直すということでありますれば、十分なデータなり十分な審議を経た上でないと甚だ不十分なような気がするのです。それについて見ますと、結局この現状では基準しか出せない、そうすると仮に一方非常にいい医療ができるようになるといたしましても、国民の負担が非常に上るのでは日本の現状においてはまあ我々としては一概に賛成をいたしかねる、こういうようなところであろうと思います。従つてもう少し時日をかしまして、先刻お話のありましたように、診療報酬調査会結論というものが実質的にいくらいくらになるか、A・B・C・Dというものがあつて、Aはいくら、Bはいくら、Cはいくら、或いは調剤料などはこれぐらいになるというところまでやつてお話ですと、イエスとかノーとか、或いは右とか左はわかるのであります。現状のような状態ではまあ医薬分業をきめる前提としては少しもの足らん、従つてもう少しそこまでの日があつた上での御相談に願いたかつた、こういうことが一つなのであります。勿論これは非常に急がなければならん事情もあり、勿論それも了承しておりますが、併しそれだからといつてこれでよろしいということにはならんので、理窟を申せば今のようなことになる、こういうように思うのであります。  それからもう一つはこれは形式的なお話でありますが、この二つ調査会、特にあとの医薬制度調査会委員の構成でありますが、これは私も感じたのでありますが、勿論診療担当者……、医師会歯科医師会側の委員も、それから調剤側の薬剤師委員も、それから一般国民の代表或いは受診する者の代表といたしまして、いろいろなかたが出ておられたのでありますが、いわゆる中立委員と称しておりました学識経験のあるかたがたの中にも医薬関係のかたが非常に多かつたのであります。従つてこの委員会の中の審議の工合は、早く申せば医師会薬剤師会、甚だ語弊がありますが、の対立、つまり論戰といつたような工合で国民の声といいますか、受診者の声といいますか、そういう方面の話が大変こう影が簿かつた従つて早く申せば医薬分業によつて一方の生活が保障されるとか保障ざれんとか、極く卑俗の言葉を使うと損になる得になるということが多くて、一体これが国民の負担にどう響くのだ、受療者がこれによつていい診療を受けるのか受けないのか、こういう方面検討が少し私は足らなかつたのではないか、従つて私の考えではもう少し委員の構成自身がもつと国民全体のほうの代表の人が……どうもそう言うと医師会歯科医師会薬剤師会の攻撃になつて来ると思いますが、そういう意味ではなく、受療者のほうの代表が多いほうがもつと話がよかつたんではないか、こういう気がしたのであります。従つて私は仮に、特に医薬制度のほうですが、医薬  制度調査会結論が仮に右とか左とかなつたとしても、この結論自身というものは余り何と申しますか、余り実は公平な結論であるかどうか疑わしいと言いますと甚だ語弊がありますが、多少そういう気分がしたのであります。そこで私は仮にそういうことで法律も作らなければならん、或いは何か急にこの際結論を出さなければならん、こういうことであるとしても徒らにそういうことをしたために紛糾を来たしたり、経済的の混乱が起つたりするようなことでも面白くないので、若し仮にそういうことにしなければならんとするならば、これはそういう案がでて国会できめられるにしても、国会で右とか左とかきめるのに、或る都市はやつてよろしいとか或るいは田舎はいかんとかいうように簡單にきめられるものではないので、若し仮にどうしてもやるとすれば、その都市々々の事情を反映する必要がこれは経済的に大いにあると考えたのであります。実は私はこれは私のことを申上げて恐縮ですが、特別委員会では若しやるならば、もう一遍地方議会で私の村はやるとか、私の町はやらんとか、地方議会でもう一遍議決した上で医薬分業を実行する段取になるべきだ、こういうことを実は申上げたのでありますが、これはどうも御賛成が余りございませんので、これはそれつきりになりました。私はそういうように考えております。従つて医薬分業ということはこれによつていろいろいい面もあります、勿論医療の向上には大いになる部分もあると思います。まあ外国でもやつておるのですから勿論悪いことではないと思つておりますし、できれば結構なのでありますが、同時に日本の国情も考え、日本の社会経済のことも考え、医師の分布とか薬剤師の分布、そういうことをいろいろ考えてみますと、そう簡單に右とか左とか言える問題ではないので、もう少し初めに申しましたように、時日もかして頂き、もう少し細かい計算もでき、その上で是非を判断するのがよろしいと考える。従つて私としましてはそういうふうな感じを持つたのであります。  答申案につきましては、今申上げましたように初めの答申案については、勿論あれ自身については非常に結構なことだと思いまして、敬意を表しますし、非常にいいことだと思つております。と同時に曾つては健康保險でもああいうやり方をしようじやないかというような研究をしたこともあるのです。勿論いいことだと思います。と同時に又あとのほうの調査会結論につきましては、これはあの通りではちよつと実行がなかなか面白く行かんので、日本の国情をもう少し考える必要があるのじないかと、こういうふうに考えます。一応簡單でありますが、考えを申上げます。
  36. 赤木朝治

    証人赤木朝治君) 只今清水証人から御発言のありましたうちに、お考え違いがあるのじやないかと思うので、その点をちよつとお伺いして置きたいと思います。清水委員臨時診療報酬調査会委員であつたというふうにお述べになりましたが、清水委員臨時医薬制度調査会委員臨時診療報酬調査会委員ではなかつたと思います。そのことを申上げたいと思います。
  37. 清水玄

    証人清水玄君) 今のは言い間違えたかも知れんが、つまりあとのほうの委員会医薬制度調査会のほうであります。
  38. 山下義信

    委員長山下義信君) わかりました。証人に対する御質疑のありますかたはどうぞ御質疑を願います。
  39. 中山壽彦

    ○中山壽彦君 赤木証人或いは齊藤証人からかどちらでもよろしいのでありますが、今度の臨時診療報酬調査会というものは、設置当時厚生当局の説明によりますと、これは医薬強制分業には無関係である。適正なる医療費を調査してもらいたい、こういう趣旨の要望があつたように私に聞いておりますが、結論から申しますと、ただ診療報酬基準をきめるというふうになりまして、又あの経過を見ましても、例えば医学技術の進歩に件う設備の充実強化というような問題、これは所要経費に含まれるというように御報告になつておりますが、そういたしますと、なかなか基準はきまりましても、実際の具体的の数字というものはなかなかこれは暇がかかる、今度の強制分業の法律案には何ら役に立つていないというふうな感じがするのでありますが、そういう点について承わりたいと思います。  もう一つは、今清水証人からおつしやいましたが、医薬制度のほうの検討の日が非常に短かつたように私は感じておるのであります。又こういう調査会におきましては、外国の事例と申しますか、法律を以て調剤を禁止しておるというような何か参考を取入れて御審議になりましたかどうか、実は今月七日の当厚生委員会の席上におきまして、一委員から各国の事例を尋ねられたのでありますけれども、政府当局の御答弁は私ども甚だ不得要領だと痛感しております。私どもはもう少し詳しく存じておるつもりでおりますけれども、誠にどうも不得要領の御答弁で、現在照会中であるというような言葉もありましたので、私は非常に不満足に感じておるのでありますが、そういうような各国の事例を参考にされて医薬制度の調査をされたかどうか、こういう点を一応伺つて置きたいと思います。
  40. 赤木朝治

    証人赤木朝治君) 臨時診療報酬調査会に対する諮問を御覧下さいますれば……この諮問医師歯科医師薬剤師の適正な技術料薬価基準を問うということになつてつたのでありますが、それは或る基準を定めれば技術料というものは明らかになる。又技術料というものとそのほかの薬代というようなものを区別することになるから、そういうことがはつきりして来れば、おのずからこれは医薬分業を実施する上において便利な考え方ができて来る、こういう意味においてこの諮問医薬分業実施の可否を判定する資料になる、こういう見解から特に、そういうことを謳つて諮問に相成つておるのであります。私どもの承知しておりますところでは、臨時診療報酬調査会が設けられて、この基準を求められるということ自体が医薬分業決定するのではないのでありますが、そういうことによつて適正な診療報酬制度が定まれば、医薬分業ができるかできないかということがはつきりわかるだろう、こういうように理解しておつたのであります。従つてこのほかにもう一つ医薬制度調査会というものができましてその医薬制度調査会においては分業の可否、分業にするのがよろしいかどうか、若しこれを可とするならば如何なる時期に、どういう地域にどうしてやつたらいいかということの諮問があつたわけであります。従つて厚生省当局のお考えになつてつたことは、この薬価技術料等の基準及び医薬分業問題についての結論を求められておることと私どもは承知しておりまして、そういう面で審議を進めて参つた次第であります。それから医薬分業についての外国の立法例、これは恐らく従来も……、七十年来医師会薬剤師会論争の結果でありますから、恐らく医師会薬剤師会のほうに十分資料があることと思うのでありますが、私どもは、委員会といたしまして、そう大  部の資料は持つておりませんけれども、先ずそういう各団体から出されました資料によつて判定いたしたわけであります。私どもの承知しておるところでは外国の立法例においては法律によつて強制をしておるという例もあることはあると存じております。又法律の上においてはそうはつきり強制はしておりませんけれども、実際において行えるような制度になつておる所もあるようであります。大体そういうふうに考えておりますが、ついでに先刻松原委員から御質疑のありましたことについてもお答えいたしたいと思います。法律によつて分業問題をきめるということは医師の権利を侵害することになるまいか、こういうお話であつたと思うのであります。医師調剤をするということはこれはこの分業問題の歴史を御覧下されば医師調剤、いわゆる調剤権というものがどういうものであるかということはおわかり下さることと思うのでありますが、調剤ということは一般国民にはこれは禁止されておることで、誰も調剤はできないことになつておる。ただ原則として薬剤師調剤をするということは薬事法が定められてからの原則である。ただ当時薬剤師の普及、薬局の普及が十分でないために、それだけでは不便であるというので、医師が自分の診た患者に対して調剤するということは、便宜上これは止むを得ず認めたことだ、こういうことで日本の制度は成つたことと私は理解しておるのであります。従つてその医師に認めたいわゆる調剤権というものは、一般に禁止しておるものをその範囲において医師に許したという、こういうことであると思うのであります。法律によつて許されたのだ、その法律を如何に改正するかということは、これは国会の権限でどうでもできることだと思うのであります。そういうことによつて何も憲法の保障されておる権利を侵害するものとは考えておらないのであります。又、従来認めておつた職業に対しても、法律によつて新たに禁止された事例は幾らもあると思うのであります。その事例を申上げてもよろしいと思いますが、まあそれはそういうほうの御専門家でありまするから、御調査を願えばすぐわかると思います。そういう意味で法律でこれを定めるということは何ら差支えないことと私どもは考えまして、法律を改めてこういう制度を作つたらよろしいという答申が成つたものと理解いたしております。  先刻罰則云々の問題が出ましたが、これは答申では別に罰則を設けろということを言つておるわけではないのでありまするが、これは立法技術上の問題で、政府なり国会でおきめになることと存じまするが、まあ日本では御承知のように或る事を法律にはきめても罰則がなければ実際行われないということが実際問題であるので、恐らく罰則を設けられたことと付度するのでありますが、委員会としては分業の方法を定めたもので、それを如何にしてどういう立法をされるかということまでは具体的に触れておらないという次第でありまするから、十分その点は御研究を願いたいと存じます。
  41. 山下義信

    委員長山下義信君) 大体証人証言を一巡承わつたのでありますが、午前の診療報酬調査会答申、午後の医薬制度調査会答申、両答申に関しまする証言を通じまして御質疑がございますれば、どうぞお願いいたします……。齋藤証人に伺うのでありますが、大体先ほどの御証言の中にも、この医薬分業制度関係三者の円満なる協力がなければ到底完全な実施は望み得ないというような御趣旨の御証言もあり、又調査会において御報告になりました御演説の速記等にもそれらが見られておるのであります。最終の答申は先はどの御証言関係者の円満なる協力を得る望みが絶えたので、この第三案に落着いたのだという御証言でございましたが、この第三案の実施によりまして本制度の実施が可能であるというふうにお考えになりましたでございましようか、その辺のお心持はどうでございましようか、率直に御証言願いたいと思います。
  42. 齋藤齊

    証人齋藤齊君) 先ほど私が申上げました通り、医薬制度のほうの委員会最後の段階におきまして、第三案というものが出て参りました。この際にどういうふうにこの第三案が出て来たかということをもう一遍繰返して申上げますれば、先ほど私が申上げました通り特別委員会は何らかの特別委員会の意思を決定しようか、どうしようか、総会に対しまして特別委員会の意思を決定して総会報告するか、或いは中間報告をいたそうか、こういうことを特別委員会にお諮りしたのであります。然るところ特別委員会におきましては何らかの意思を決定せよという結論に相成りました。然らばどういう答申をするかということになりまして、第三案というものが出て来たのであります。御承知の通り第一案、第二案というものは三者の協力というものを前提といたしております。その意味におきまして第二案、殊に第二案のごときは三者が協力しなければならない、而も三者が同時に共同声明を発するのだ、こういうことが書いてございます。それが協力できないということを御表明になつた以上は、この二案というものを採択されるということになりますれば、恐らくいやだというかたがたに対したかなり大きな重圧を加えられるようなことになるのではないかと思います。共同声明などというものは自分たちはするのはいやだというのに、共同声明をしなくちやならないのだということが書いてあります。従いましてこれはこの第二案、第三案と比べて見ますれば、これを受取られるところの医師会或いは薬剤師会のかたがたにとりましては、これは重圧の程度においてかなり圧力が多いのではなかろうかと私は思います。物事というものはおよそ軽重の差のあるものでございまして、その軽きに従うか、重きに従うか、そのいずれがよろしいかということは皆さんの常識判断でこれは行われたものと存じます。従いまして皆さんの御意思がそういつたような重きものではなく、軽きにありというようなことで第三案というものを御採択になつたものと私は思つております。なお先ほど赤木会長からお話がありましたごとく、こういうような特別委員会の意思が決定されたにもかかわらず、総会におきましては一部の委員から御斡旋がありまして、この三者の間でもつと話合つて円満な妥結行つたらどうかというようなお話がありまして、かなりの長時間三者の間で御懇談願つたのであります。然るにもかかわらずどうしても妥協的の案は呑めないというようなお話がありましたので、止むを得ず第三案というものが採択されたのであります。従いまして今の委員長お話のごとくいやだというものを無理に押し付けた結果というものが、非常にこれがうまく行こうということは恐らくは誰しも考えないところだろうと思います。みんながやろうやろうといつてやれば、これは非常にうまく行くのだということになると思います。併しながらこれはその時代というものが、時勢というものがどういうふうに動いて参りまするか、或いはこういう法律というものが施行せられました場合におきまして、それでも医師会がどうしてもいやだというふうにおつしやるか、或いはこれは日本の国民医療というものを向上させるのだということから欣然これに協力なさるか、これは将来のことでありますので、私にはまだよく判断できません。
  43. 山下義信

    委員長山下義信君) 証人各位の御苦心になりました答申案をかれこれ申すのでは決してございません。申すまでもなく本案の政府の提案理由には、この答申案基礎としてということが提案理由の一節になつておりますので、本日は申すまでもなくそれらの消息について御証言を得たいと存じて御証言を願つておるのございますが、そういたしますと、できるだけ三者の協力を必要とするということの建前から申しますれば、一応実際におきましては協力が得られなくても、それが一等正しい実施上の要件を備えた答申案で、仮に第一案若しくは第二案といつたものに御答申なされてもよろしかつたのではないかという考えも起るのであります。例えば診療報酬のほうの答申では理想的な原則論を以て御答申をなさり、医薬制度のほうは実地に妥協、斡旋等をお試みになつて、実施に相応するか否かという実際的に即した方向へ御努力をなさつたのでありますが、それの成否にかかわらず三者が協力してこうあるべきだという御答申でもお差支えはなかつたのではないかという気持もいたすのでございますが、その辺が第三案というものになりまして、是非これは強制的でなくちやならんということの案の御採択になりました辺の御消息はどういうお心持でございましたでしようか。赤木会長からでも承われましたら結構と存じます。
  44. 赤木朝治

    証人赤木朝治君) 只今齋藤証人からお話がありました通り、第一案及び第二案は共に妥協案と申しますか、そういうものでございまして、その妥協は要するに三者、医師会歯科医師会薬剤師会、この三者がお互いに協力をするという土台の上に成立つておる妥協案であるのであります。従つてそういう三者の協力が行われるならば、これは我々の望ましいところでありますが、随分努力をいたしましたけれども、この三者の協力ということは医師会側の反対のために到底できない、どうしてもできない、こういうことでありまするので、そういたしますれば、その協力の上に立つた案というものは協力ができないということになると根底が崩れるのであります。従つてそういう案を採択いたしましても、これは実行不可能であります。そうなれば結局法律によつてこれを強制するよりほかにしようがない、こういう結論に達したのであります。これは三者協力されようとされまいと、法律によつて強制するのでありますから行われることと存じました次第であります。
  45. 山下義信

    委員長山下義信君) 第三案の御採決になりました十九票対十一票の賛否の模様につきまして、いま少し内容等も承わりたいと存ずるのでございますが、会長から一つお願いいたします。
  46. 赤木朝治

    証人赤木朝治君) 十九票対十一票の内容につきましては、これは無記名投票でありまするから、何人が賛成され何人が反対されたということはわかりません。ただ当時の出席者三十名の投票の結果が只今のような十一対十九ということで決定されました次第でございます。
  47. 山下義信

    委員長山下義信君) 投票の数につきましては御証言通りと存じます。が、投票の質等につきまして若干疑義を持たれるかたもあるのじやないかと考えられる節がございます。御証言のように無記名投票でありますから、誰が賛成したか反対したかということは不明であろうと存じますが、大体三十名の御出席の顔触れ或いは当日欠席の十名のかたがた等につきまして、要すれば十名欠席された顔触れ等でもよろしうございますが……。
  48. 赤木朝治

    証人赤木朝治君) その調査によりますと、当日出席されたかたと欠席されたかたはわかつております。それを申上げたらよろしいでございましようか。
  49. 山下義信

    委員長山下義信君) 欠席されたかたをおつしやつて頂きますれば、出席者がわかりますから……。
  50. 赤木朝治

    証人赤木朝治君) 当日の欠席者は藤林委員、それから清水委員、遠山委  員、高木委員、宮川委員、今のは学識経験者であります。そのほかに眞鍋委員、それから柳川委員、三宅委員、横山委員、吉村委員、以上が欠席者であります。
  51. 山下義信

    委員長山下義信君) これらの欠席委員の医薬中立といつたような、何と申しますか、そういう区別を立てたといたしまして、中立側の委員はどなたでございましようか。
  52. 赤木朝治

    証人赤木朝治君) 只今申しましたうちで眞鍋委員医療関係者、歯科医師会の出身のかたであります。それから柳川委員、三宅委員、横山委員、吉村委員、この四人のかたは医療を受ける側の委員であります。それから清水委員、藤林委員、高木委員、宮川委員、遠山委員はこれは学識経験者側の委員であります。
  53. 山下義信

    委員長山下義信君) 学識経験者というのは何名委員があるのでございますか。
  54. 赤木朝治

    証人赤木朝治君) 二十人であります。二十人の中には学識経験者と関係行政機関の職員が入つております。
  55. 山下義信

    委員長山下義信君) わかりました。受療者側の委員は何名おりますか。
  56. 赤木朝治

    証人赤木朝治君) 十名です。
  57. 山下義信

    委員長山下義信君) 齋藤証人に伺いますが、医師会側と調査会側と御交渉になりましたときに、医師会側のほうで一応條件附で呑むという御意見があつたやでありまして、後にそれはお認めにならなかつたようになつておりますが、少くともさような強い印象を受けたという御証言でございましたが、その辺のところを今少し詳細に御証言願いたいと存ずるのであります。
  58. 齋藤齊

    証人齋藤齊君) その点非常にデリケートな問題でございまして、この特別委員会は速記を取つておりません。従いましてもう時間も経つておることでございまするから、私一名の証言では或いは不十分かと存じますが、私はそういう印象を受けまして、そういうふうな答申をいたしたのでございまするから、できますことならば私以外のかたからそのときの模様をお聽き取りになつたほうがむしろ適当ではないかと存じます。
  59. 山下義信

    委員長山下義信君) ではそれでもよろしうございます。又別に伺うときがあろうかと思います。  それではこの医薬制度調査会におかれまして、医薬分業というものをどういうふうなものを以て医薬分業というものに大体お定めになりましたでございましようか。医薬分業の定義とでも申しましようか、医薬分業の内容とでも申しましようか、それは先ほどの御証言にもお述べ頂いたのでございますが、改めて調査会のほうで御決定になりました医薬分業の定義というような点を承わりたいと思うのでございます。齋藤証人にお願いします。
  60. 齋藤齊

    証人齋藤齊君) その定義と申しまするか、その定義を作ることがこの調査会の問題でございまして、その答申案、即ちこれが定義と私は考えております。
  61. 山下義信

    委員長山下義信君) そういたしますと、調剤に対しての両者の区別をはつきりいたしますることが医薬分業の定義でございますね。
  62. 齋藤齊

    証人齋藤齊君) さようでございます。委員長の御質問の要旨というものは、一体どういうことを予想してこの調査会に臨んだかということが御質問の一番の重要な点かと存じまするけれども、我々はそういつたような何か既成的な観念を以てこれに臨んだのでないのでありまして、従来医薬分業という言葉はしばしば述べられておりまするけれども、医薬分業なる言葉は盛んに使われておりますけれども、これがどういうものが医薬分業だということは今まで余り述べられておらないのであります。従いまして、そういうような概念的な医薬分業という言葉はあつても、具体的な医薬分業というものについては我々は余りまだ耳にも触れず、又読んだことも余りないわけでございます。或いは医薬分業論というものは昔からあるかも知れませんけれども、これは人ひとりひとりによつていろいろと言うことが違つておると思います。従いまして余り私どもは医薬分業とはどういうものかというような既成的な概念を持つてこれに臨んだのではなくして、こういつた何か我々で作つて行く制度こそこれは医薬分業であるというふうに考えておる次第であります。
  63. 山下義信

    委員長山下義信君) 医師の薬剤の交付ということにつきましては余り多くお触れにはなりませんのでございますね。分業の定義として……齋藤証人
  64. 齋藤齊

    証人齋藤齊君) 勿論そういう点に触れておるわけであります。医師の薬剤の交付ということはどういう場合にやる、どういう場合にやらんということがこの答申案の中にもはつきり書いてあります。
  65. 藤原道子

    藤原道子君 私この際ちよつとお伺いしたいのでございますが、本案の実施については国民生活に重大な影響ありと言われておるわけでございます。そこでその具体的な事例、特に国民の受ける利益とか損失のバランスをどう考えられたかということを伺いたい。これは先の清水さんのお話でそういう点があまり考えられなかつたということで非常に失望しておるのですが、その点について齋藤証人にお伺いしたい。
  66. 齋藤齊

    証人齋藤齊君) 私はこういうふうに考えております。世の中が進みますと科学技術というものはだんだん進んで参ります。従いまして物事を片手間にやつてつたのではこれは間に合わない。自分の専門の職を明らかにして行くということにつきましては、これは医師会もこれに非常に御賛成なのでありまして、そういつた方向に是非持つて行きたいのだということを言つていらつしやる。これはそういうことになりますれば、例えば甚だ失礼なことでございますけれども、今の医者技術、お医者さんにしても果して今の身につけておられるところの技術というものがそれで十分かどうか。或いは今身につけておる技術では日進月歩して来ますところの医学の進歩に果して追随して行けるかどうか。お医者さんが十分に暇がおありになつて、くだらない薬剤等の調合なんかを御自分でおやりにならないで、技術の研鑚にお励みになればこれは非常な国民医療の向上というものが出て来る。我々の命というものは一つしかないのです。二つとない命なんです。その二つとない命を扱つて頂くのはお医者さんです。我々はこのお医者さんというものに全幅の信頼を置いているのであります。このお医者さんに技術というものを励んで頂いて、そうして我々の一つしかない、二つとない命というものを守つて頂くというのが我々の希望して止まない点なのであります。そういうお医者さんに対して、今の診療報酬の差上げ方がどうかということになりますと、今の診療報酬のやり方ではお薬を出さなければお医者さんの收入がないといつたようなやり方になつておるのですね。従いまして今の診療報酬のやり方はよくない。これを変えなくちやいけない。お医者さんが自分の技報だけで正当に評価されるということになりますれば、医者の技報がますます向上いたしまして、我々の命を扱つて下さるお医者さんがますます向上されるということは、我々にとつては誠に有難いことなのであります。従いましてそういつたような医療報酬の組立方をやる、これが医療費の新らしい体制と称せられておるものなのでございます。そういたしまして、そういう医療の新体制ができて来れば、これは医師会皆様方もおつしやいます通り薬を出すなんということは調剤の専門家に任せてしまうのだ、それで自分たちは診療のほうだけに専念するのだ、こう言つていらつしやる。これは誠に正論だと私は思います。ところが世の中というものはそう理想的に参りませんので、ここにやはりお医者さんの生活問題というものがある。その生活問題をどうしたらよいかということになります。然らばこの生活問題を解決するのにはお医者さんに相当の報酬を差上げればいいわけです。ところが国民のほうはそうは行かない。御承知の通り健康保險におきましても方々赤字で困つておるというような状態でございます。従いましてこの面からお医者さんの報酬をたくさん上げようというところがチエックされて来るわけですね。そこでこのお医者さんと薬剤師との間の調剤の問題ということがそこに複雑な関係になつて来るわけでございます。それで何といたしましてもこれは専門技術に専念するということに進んで行くことが、日本の文化というものを向上させるゆえんでもありますし、又国民の福祉を増進させるゆえんでもございますし、これは皆さんがどなたも御異存がないところと私は存じます。そういう方向に我我持つて行きたい。我々は国民の福祉ということを考えておる。そこに無理のない、こうした無理のないやり方でそつちに持つて行きたい。ここにデリケートなむずかしさがあるわけでございます。そういうような方向に持つて行きたいということはこれは医師会皆さんも異国同音におつしやるのでございます。これは日本国民医療を扱つておるかたがたといたしまして、どなたでもこの医療の福祉の向上することを念願しない人は一人もないと思います。そつちに行きたいのだけれども、そこに理想論と現実論との間にギヤツプが出て来る。そこにいろいろな問題が出て来ると私は思います。甚だ簡單でありますが……。
  67. 藤原道子

    藤原道子君 そので私ども答申案を拝見いたしましても、今のお話を伺いましても、御意見はそう無理ないのでありますが、それならば答申案の中に国民の経済能力の向上がなければそれができないということになつておるわけです。それが自然に解決するであろうということが出ておるわけですね、答申の中に。その時期を、それならば三十三年頃がその時期だということを、そのお見込で三十三年という結論が出たわけですか。
  68. 齋藤齊

    証人齋藤齊君) それはこういうことなのでございます。今のお医者さんが薬を出しておられる、これは社会保險で薬治料と申します、その薬治料の中で、これは一日一剤大体二十三円四十銭ぐらいになつております。その中で薬の原価というのが五円何がし、それから診察料みたいのが十三円何がしかございます。そういうような関係でこの調剤というものを薬剤師のほうにやります。それはどういうふうな関係になつて来るかと申しますと、先ほどもちよつと申上げましたが、国民医療費の中の一・六%、年間で大体十七億円ぐらいになりましようか、個人的に申しますれば一人当りにいたしますとこれは大した額じやございません。一・六%でございますから大したことでございません。そういうものがどうしても医者の生活を今まで通りに進持して行くために薬剤師のほうに流れてしもうから、医者のほうはそれだけ余計出さなければならんことになります。そういうように医者のほうでは現状のままじやいけないんだ、現状のままでは医者は、ここにいらつしやるようなかたはそんなかたはございませんでしようが、開業医のかたは随分お困りのかたがあります。奥さんの着物を売つて生活しておる、こういう人があります。今の取り分だけでは足りない。もつと今の医者の收入を増してくれなければ、自分たちは一生懸命患者につききりで診療のほうをもつと向上さして行くということまでできない、こういうことを言つておられる。そうして今の一・六%じや足りない、もつと欲しいということを言つておる。先ほど二八%ということを申しました、それなんかも今の社会保險の報酬ではとても足りません。これを慣行料金並み、つまり社会保健でない患者さんから取る料金でございます。その料金ぐらいまで自分たちは欲しいんだとおつしやる。そういうことは国民経済の上から申しますればちよつとできないんでございますね。それはもう少し国民経済のほうが豊かになりまして、お医者さんのほうに十分差上げられるようになれば、そういうときにはそういうものも上げて行けましようし、そういう時代が来れば自然に解決をして行くということで、ああいう文句がちよつと出ているわけです。今の昭和三十三年という言葉はそれはどういうことから出て来るかと申しますと、最初に申しました診療費のほうの作業があるんですね。あれは基準を出しました。出ました基準から今度は具体的な診療費を計算しなければならない、それをやりますのにいろいろな調査やなんかが要るんです。それに三年ぐらいかかるだろうと思う。それで二十七年一ぱいそれにかかつて、二十八年頃にそれが完成するだろう、それからまあ五年間くらい猶予期間を置いておきますればその間に、この二十八年頃から今の新らしい診療費の新体制に移りますると、これはその医師会かたがたもおつしやりまする通り、そういう新体制に乗つて来れば、お医者さんはそれに新体制に乗つて来れば、もうその無形的の技術料というものは患者のほうからちやんとくれるのだ、今は薬の世の中で、実際の二十三円の金の中で診察料が十三円何がしかあるのです。それは薬と一緒に取つておられる。今度は薬は薬、診察料診察料で別に取つて行かれるような体制になつて五年もたてば慣れてしまう、そのときになつて法律を作れば何の痛痒も感じない、お医者さんもそこで三十三年というものがそこに出て来ておるわけであります。
  69. 藤原道子

    藤原道子君 私はもう素人だからお笑いを受けるかも知れないですけれども、この答申案で誠に納得行かないものがあるのです。それでもう何と申しましようか、結論は出てないわけなんですね。国民医療の負担がどの程度になるかということがはつきり出てないわけですね。
  70. 齋藤齊

    証人齋藤齊君) その点はつまり新体制になりましたときにどうなるかという問題になつて来まして、それは如何ようにでもその……そう育つちやなんですけれども、できるのです。できるということになりますがね。ですから結局現状より上らないようにすればこうなる、一・六%くらいになる。但し一・六%というものは先ほどもお話いたしました通り、これは全体の薬治料の中からそれだけのものが行くのである。現に病院等医薬分業を現実に行なつているところがあるのでありますね。国立病院とかいろいろなものがありますね、ですから一・六%まるまるのものじやない。それからこの医薬分業のやり方なんですね、やり方はどういうふうにやるか、つまりそのやり方によつてこれは計算しなければなりません。全国一斉にやればこうなる、それから大都市だけでやればこうなる、それから更にもつと小さくすればどうなる、やる範囲ですね、分業をやる範囲、その分業のやり方によつて、分業のフオームによつてこの医療費はどういうふうにでも影響というものがなつて来るわけですね。例えばこれから先だけやる、そういうことによつて全体の医療費の動き方は、影響の仕方は違うわけですね。ですから今の全体でやるとすれば一・六%くらいだ、今のお医者さんの收入を現状より動かさないという前提でございますよ、お医者さんの收入を現状より低くもしない、高くもしないという前提的な全体で大体一・六%くらいだ。それを場所を限るとかというようなことをすればもつと少くなるということでございます。
  71. 山下義信

    委員長山下義信君) 齋藤証人に伺いますが、藤原委員の質問に私も附随して伺うのですが、つまり診療報酬答申と分業制度答申とはこれは因果関係があると会長も先ほど御証言になつた。当然医薬分業の前提として診療報酬答申は求められたのだと考えておるが、その通りである、その趣旨でやつたのだと、こういうことです。齋藤証人の御証言の、先ほどの中にこれは分業制度のあり方については診療報酬の、又実際の基準ということは避けると、その診療報酬のあり方についても又変つて来る、来るかも知らん、こういうことであります。それで診療報酬答申が前提になつて分業の最後の最終案の御答申がなされたのであるとすると、この最終の今度は御答申案を得られて今度は後返りして診療報酬に関するあの御答申案について再検討を加えられる必要がありますか、ありませんか。
  72. 齋藤齊

    証人齋藤齊君) それは最後答申ではまだ不十分なんでございます。というのはすぐおわかりだろうと思いまするが、まだ分業のフオームがきまつていないのでございますね。分業のフオームがきまつていませんと医療費のほうがどういうふうになつて来るかはつきりしないのでございます。それからもう一つは、これは社会保險を以て先ずやるといたしますと社会保險のほうでこの分業関係をどういうふうにするか、これはかなりデリケートな問題が起つて来て或いは勿論法律案法律改正薬事法その他の改正が或いは起るのじやないかというような問題も懸念いたしておりますけれども、とにかくいずれにいたしましてもこの分業のフオームがきまりませんと最初のほうの問題がはつきりきまらないわけでございます。影響というものがはつきりわからないわけです。
  73. 山下義信

    委員長山下義信君) それで先ほど藤原委員の質問に対して御証言下さつたのですが、問題はこの国民医療費の問題になつて来まして、増減ということが非常に論点の一つに世間では言われておるわけであります。その点が調査会のほうでは結論をお出しにならずしてそれでそれは一つの枠の中で伸縮自在でどうでもきめられるのだと、高くつくようなきめ方もできるし、変らんようなきめ方もできるし、或いは極端に言えば安くなるようなきめ方もできるのだし、ということになりますと、医療費に対する国民の負担の増減が新体制の下ではどうあるかということは調査会のほうではその点は置いておかれまして御答申案ができたように我々には感ぜられるのでありますが、その点を藤原委員もお尋ねしたのであろうと思うのです。御証言によりますというと、それはどうにでもなるのだと、こういうことでありまして、どうにでもなるのだというのではちよつと困るのでありますが、何かその辺調査会のほうで御審議になりました模様を御証言願いたいと思います。
  74. 齋藤齊

    証人齋藤齊君) これはまあ非常な難問でございます。分業のフオームがきまらないうちにそいつを計算しましたつてこれはできない話なんです。分業のフオームがきまつて、例えば日本国の国土の中で、従来の日本全体の国土の中からと申しまするか、九州なら九州を向うへ引割いてしまえばあと残りの人口は幾らということがきまるわけでございます。まだ国土というものがきまらないうちに人口の計算のしようがない。これと同じことでありまして、分業のフオームがきまらないのにその影響を計算しろと言われましてもこれは計算できない、非常にそこの点が誤り伝えられておると思います。そのところの認識を改めて頂きたいと思います。
  75. 有馬英二

    ○有馬英二君 今の証言についてちよつと伺いたいのですがよろしいですか。理解できないところがあるのです。分業のフオームがきまらんとおつしやるのですが、フオームというのはどういうふうにお考えになつていらつしやいましようか、私どもは非常に重要視しておりますと共に、今おつしやつたような分業のフオームによつてこれは決定されるのならばそのフオームというものをはつきりとここで一つお教え願いたいと思います。
  76. 齋藤齊

    証人齋藤齊君) 今の第三案の、お手許にあると思いますが、第三案というものを一つ御覧になつて頂きたいと思います。最後答申案というのですな、これを、「薬事法第二十二條を次の如き趣旨に改正すること」というのがございます。「薬剤師でない者は、販売又は授與の目的で調剤してはならない。」それからそのあとのほうへ参りまして、「前項の規定に拘らず医師歯科医師、獣医師は左に掲げる場合に於て自己の処方せんにより自ら調剤することが出来る。」という規定を置いてあるのであります。そのあとに「緊急治療上必要ある場合、」とございます。その次が問題になる。次は「審査機関の審査を経て厚生省令の定めるところにより薬局の分布が充分でない地域で行う場合。」こういうふうに一項あるのです。これをはつきりきめて頂きませんと、どういうふうになつて行くのかわからないのでございます。
  77. 山下義信

    委員長山下義信君) 赤木証人に伺いますが、今のその医療費国民負担の増減問題につきまして、大変この点は御調査も困難であつたと思う。併しながら調査会の御審議の過程では、この問題が非常に大きく御論議に相成つて関係者から相当な資料が出たのではないかと思うのでありますが、それらの資料等のお取扱はどういうふうに調査会ではなされましたでしようか。
  78. 赤木朝治

    証人赤木朝治君) この点については、お話のごとく資料もたくさん出ております。調査会においてそれらの資料を十分検討いたしたのでありまするが、答申案となつて出ましたものにつきましては、具体的の計算は只今齋藤証人から申上げましたように、いわゆる分業を実施する範囲、程度というものが具体的にならなければ計算をすることができない、併しながらこの診療報酬調査会のほうの答申では、いわゆるこの診療報酬基準が定めてあるのでありますが、その基準によつて診療報酬をどういうふうに定めるかということは、これは分業問題とはそのこと自体は直接関係のないことであります。新らしい診療報酬体系によつてやることが、技術とその他のことを分けて医療の向上を期する上において有益であるということは認めておりまするが、あの答申に基いて医療費が高くなるか安くなるかということは、どうあの答申を当てはめるかということによつてきまるのであります。ところで、あの診療報酬答申によつて医療費を高めるような、つまりお医者さんの取前を多くするような定め方もできます。併しそれでは国民経済は及ぼす影響がありますから、そう幾らでも高くするわけには行かんので、ですからその点については、国民の負担力を勘案して定めなければならんということも言つておるのであります。そうかと言つて医者さんの生活を無視するわけには参りませんから、お医者さんの生活も十分考慮してやらなければならん。この二つの枠の範囲内において、臨時診療報酬調査会答申を具体的に数字化する場合には、この枠の範囲内においてきめてもらいたいと、こういう趣旨で答申ができておるのであります。そのこと自体はいわゆる医薬分業を実施すると否とにかかわらず起る問題があるのであります。医薬分業を仮に実施しないといたしましても、臨時診療報酬調査会答申に基くいわゆる新体制によりまして、医療報酬を高める、お医者さんの收入を多くするということだけを行なつてもよろしいのであります。そうなれば、要するに国民の負担において、重き負担を受けるということになるのであります。そのこと自体は、分業問題とはこれは別個の問題であると思うのであります。ただ診療報酬調査会答申が分業問題をきめる上の参考にはなりますけれども、そのこと自体できまつておるのではない。従つて診療報酬調査会答申によつて医療費が増減するということはあるけれども、それは分業による増減とは別個の問題であるということを十分御承知置き願いたいと思うのであります。分業によつて医療費が増減を来たすというのは、只今齋藤証人からお話がありましたように、国民医療費の一・六%ですかは、これは理論的に処理しなければならん数字であるのであります。その処理しなければならん数字を、まあ仮に全面的に分業が行われて、つまり従来のこのお医者さんから薬をもらうということを全面的になくして――全国的になくしたと仮定をいたしまして、従来お医者さんのふところに入つてつた一・六%というものが入らなくなる、こういうことなんであります。その一・六%は全面的にやつた場合のことであつて、この分業は全面的にやろうというのではないので、できるところをやろうと、こういうのでありまするから、そのパーセンテージは遥かに小さくなつて来べき数字だと思うのであります。なおこの一・六%に該当するお医者さんの收入は、従来お医者さんはそれは調剤によつて得ておつた收入面で、それを調剤ということがお医者さんの行為からなくなつたと仮定するならば、お医者さんはそれだけの時間の余裕ができて来るはずなんでありまするから、一・六%を仮にこれを国民が負担したといたしまするならば、お医者さんは従来調剤しておつた時間に対する報酬調剤しないで、ただ儲けをする、こういう計算になると存ずるのであります。でありまするから、医療費の負担が多くなる、少くなるということは、診療報酬調査会のほうの答申の問題でありまして、いわゆる分業に関する負担の多くなるか、少くなるかという問題は、一・六%を如何に対処するかという問題であるということを御了解願いたいと存じます。どうもお話を伺つておりますと、その二つがとかく混同されておるように受取れますので、その点を申上げたいと思います。
  79. 山下義信

    委員長山下義信君) 只今の赤木証人の御証言御尤もに存ずる点がありますので、一応この程度にして置きますが、私その点更に別に宮尾証人から承わりたいと思うのであります。素朴に我々の印象といたしましては、診療報酬調査会は、分業の前提として適正な診療報酬のあり方について諮問があつたものと考えております。やはりその答申を待つて、医薬制度の問題についての御調査が必然的に……これはその御答申の結果を心待ちにお待ちになつて、そして御審議に相成つたものである、必然的の関係があると思うのでありますが、従つて診療報酬調査会のあの診療費の基準の出し方、基準というものの価値は別にいたしまして、ああいう方式ができたということが、分業が可能であるという前提をお示しになつたものだろうと思う。そうして一番の特徴は技術料というものの分析、抽出ができるというその可能性をお示しになつて、その技術料というもののあり方が非常な重要なものであるということを御強調に相成つて、今後の診療報酬の建前としては、その技術料というものが中心である、技術料というものに対して国民が十分納得して支拂うような慣習がつくことが必要である。こうお認めになりまして、この医薬制度のほうの分業に関する答申は、その建前ができてあるように私どもは感じているのであります。そこらに関係がないということになりますと妙なものになつて参りまして、私どうはそういうふうに感じているのでございますが、如何でございますましようか。  それから今の医療費の増減の問題につきましては、国民全体の医療費の増減ということは、成る程お説の通りに一部のことであり、或いは社会保險等がありましたり、影響があります面と無影響の面がありますから、国民全体の増減の問題と、この新制度の下に受療するものの治療費の増減の問題と、私二つあると思う。我々の聞かんとするのは、国民全体の医療費の総数の増減ではなくて、この新制度の下において、分業の下において受療する場合の医療費の負担の増減はどういうふうなお見込であるかということが本問題の相当重点を占めるように思うのでありますが、それらの点につきまして調査会はあまりお触れにならなかつた、こう伺つているのであります。宮尾証人につきましてはそれらの点の御所見を承わりたいと思います。
  80. 宮尾武男

    証人宮尾武男君) 私は先ほど午前中の証言でも申上げましたように、診療報酬支拂が適正に行われて、その中には無論技術料なんかが適正に見込まれることが含まれておりますが、そういうものが定められて医療の向上ということが確保されて行つてこそ分業にして行く価値があるのだと思つているのであります。午前中も申上げましたように、不幸にして診療報酬調査会のほうでは方法論しか結論がでない、基準々々というのは方法論であります。かくかくにすれば適正な診療報酬算定できるだろうということなんでありまして、その額がどのくらいになつて、そうして国民生活にはどういう影響があるのかという見通しは不幸にしてつけられなかつた。そこに私のこの答申に対しての不満があつたのでありますが、そういう点で今委員長のおつしやいましたように、その見通しなくして、これを基にして、医薬分業の可否をきめる医薬制度調査会は、大体それではきめられんないのじやないか。大体どれによつて可否をきめるか。そういう国民医療費というものが大体上るか下るのか、或いは社会保險の医療費がどうなるのかというようなこことがわからずして可否をきめるのは、大体納得できないじやないかというふうに私は考えておつたのであります。そういうことで制度調査会のほうの答申がああいうふうになりましたので、私はやはり何と申しますか、いろいろある問題をそのままにして、ただ結論が出た、而も分業問題に対しましては先付小切手の問題がありまして、それが大体相殺になるののかどうかということもこの法律ができても何年か先のことであります。ですから問題を解決してもらわなければ、我々はもとから分業に賛成でありますが、問題の解決なくして行くのはどうかというような感じを抱くのであります。委員長の御質問の趣旨に合いますかどうか……。
  81. 山下義信

    委員長山下義信君) ほかに御質疑ございませんか。
  82. 赤木朝治

    証人赤木朝治君) ちよつと附加えたいと思います。これは委員の中にもいろいろ誤解を解くまでに困難した問題であるのでありますが、皆さんでもやはりそういうお考えが起きるかと存じますので申上げて置きたいと思うのであります。それは臨時診療報酬調査会答申に基き、いわゆる新体制によつて具体的の診療報酬がきまつて、そうして、それによつて国民の負担がどうなるかということがはつきりしなければ、分業をやつてよろしいかどうかということがわからない。只今宮尾さんのお話も大体そういうふうに受取れたのであります。臨時診療報酬調査会技術料基準ということを求められたのは、現在行われておりまする診療報酬技術料と薬代とを混合して取つている、そういうことが適当な診療報酬のあり方でないから、これを技術料というものとその他の薬価と申しますか、これを分けることができるかどうかということが主眼であると思うのであります。技術料薬価とを分けることができるという結論に達してあの答申ができたのであります。その技術料薬価というものを分けてこれを評価するということができるということになれば、その基礎の上に分業というものが容易に行われる、こういうことで、分業問題を論議する上の参考になる。かように考えまして委員会は進んだかと私どもは理解しているのであります。これを診療報酬調査会答申に基くいわゆる報準によつて具体的な数字が現われて、そうしてそれが国民医療負担に如何なる結果になるかということを見なければ分業問題がきまらないというものではないと思うのであります。それはそこまでやるのもよろしいかも知れませんが、そうまで行かんでも、技術料と薬代とを分けることができるということの上に分業が適当かどうかということを判断できる、そうしてそれをやつた上においてどうなるかということを検討することはできますけれども、それをやつてから後でなければ分業ができ上らない、こういう問題ではない、こう考えるのでこれを附加えて置きたいと思います。
  83. 井上なつゑ

    ○井上なつゑ君 只今の赤木証人お話つておりまして感じましたのですが、そういたしますと、この医薬分業制度がきまりましてから後、なお引続いて医療報酬審議会が必要だという結論に達しましたと考えますが、そういうわけでございますか。
  84. 赤木朝治

    証人赤木朝治君) これはこの診療報酬調査会を継続してなおやつてもよろしい問題でありまするが、そうでなくして少くも社会保險につきましては、社会保險の診療報酬をきめる調査会がございます。その調査会において検討されてよろしいものと考えております。又薬その他のものにつきましても、それぞれそいうう調査会ができておりますから、そのほうの調査会で御検討つても結構だと思うのであります。こちらの調査会を存続して、そういう従来やつた継続だから便利だろうということで継続になされるということも結構だと思いますけれども、それがなければできない、こういうものではないと考えております。
  85. 齋藤齊

    証人齋藤齊君) 今の赤木さんの御答弁に附加えて置きますが、それは私先ほどお話申上げた中にそのことに触れております。具体化は中央社会保險医療審議会で行うべきであるということにこの委員会では大体きまつたのであります。
  86. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 私ずつと午前中欠席しておりましてお話がすでに或いは出たかも知れませんが、先ほで齋藤証人お話で、どういう形で行われるかわからんからいろいろ計算もまだできないのだというお話のところに関連して、この答申案の第三項の、厚生省令の定めるところによつて薬局の分布が完全でない地域とか、或いはその前でも厚生省令の定めるところにより診療上必要と認められる場合、ここらのどういう場合に医者が処方箋で投薬してよいか、或いは薬局の分布が完全でない地域はどういうところを考えたらいいかということは両調査会においては掘不げて御検討されたのでありますかどうか、その点……。
  87. 齋藤齊

    証人齋藤齊君) ちよつとそこに念のためにお話して置きますけれども、その計算できなかつたという点は、影響が計算できなかつたということなんて、第一の例の診療費の基準だけ出して置いて、後の具体的の診療費を計算しなかつたということはちよつと違うわけなんです。私が申し上げたのは、国民に対しまする影響がどのくらいであるかということの計算が具体的にできなかつた、主にそつちのほうについて申上げておるのでありまして、お説の通り一体どのくらいのところまでやつたらいいかということは、これは具体的の問題に触れまするとやはり非常な利害関係その他のものもございますし、時間がかかることと思います。率直に申しますれば、大体こんなところはどうだろうかぐらいの話は委員会で漫談的にございましたけれども、具体的にコンクリートな意味合いでの漫談的と申しますか雑談的……漫談的という言葉は訂正いたします。雑談的にございましたが、具体的にしつかりした委員会できめようというところまでの御意向は皆さん委員の間にございませんでした。
  88. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 じやまあそういう問題について、或いは厚生省から参考案をとられるとかどうとかということがあつたのかなかつたかということです。それから診療上必要と認められた場合、私はここが非常に重要じやないかと思うのですが、こういう問題についてまあ調査会ではどういう場合を予定しておるとか予定したらよいとかいうことの御審議があつたのかないのか、これは赤木証人から伺つたほうがよいかも知れませんが……。
  89. 齋藤齊

    証人齋藤齊君) それは委員会で以て問題になりました具体的の問題に触れてもおります。それから議論医師会との間で決定的なところまで運びませんで、結局そういう漠然としたかつこうで以て書かれたと思います。なおその点は資料に残つておりますから、当時の幹事でありましたところの厚生省側が持つておると思いますから、御必要でありますれば幹事のほうからお取寄せになつて御覧願いたいと思います。
  90. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 今齋藤証人が言われた幹事のほうからもらつたらよいというのは、幹事のほうから参考案として医薬制度調査会のほうに出された資料ですか、案ですか。
  91. 齋藤齊

    証人齋藤齊君) そのとさの議論のあつた点をまとめたもの、参考的に書き出したという程度のもの、或いは極めて前のことでありますから記憶ははつきりしておりませんが、幹事案とはつきり名前をつけられた程度のものではないかと思います。
  92. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 それでは医薬制度調査会としては、こういう場合は診療上必要があると認めてよいのですか、或いは薬局の分布はこの程度でどうとかということについて、この答申案を作る場合に、この答申案を出される前提としての結論的のものは別になかつたと解釈していいのですか。
  93. 齋藤齊

    証人齋藤齊君) 内部で問題になりまして、この程度で書けばいいだろうということでありまして、これをただうかうかと書いたという程度のものではないのであります。或る程度の考え方は検討をいたしてこういうふうに書いてあるわけであります。何と申しますか時間のないことでありましたので、これをコンクリートなところまで書くということは、当時の実情としてできなかつたところであります。
  94. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 それでは最後に、大体調査会で論議され、委員の各位の考えられた線はこういうものであるというようなことは、先ほど言われた幹事から資料を求めましたならば大体推測し得る資料はあると考えて置いてよろしうございますか。
  95. 齋藤齊

    証人齋藤齊君) ちよつと幹事側と相談してよろしうございますか。
  96. 山下義信

    委員長山下義信君) どうぞ御相談下さつて証言願います。
  97. 宮尾武男

    証人宮尾武男君) その間によろしうございますか。
  98. 山下義信

    委員長山下義信君) よろしうございます。
  99. 宮尾武男

    証人宮尾武男君) 私証言をいたしておりまして、大体医薬分業制度反対のようなお感じをお與えはしないかと思いますが、ただ私は医薬分業をやることについては、その原則として賛成しているのでございますが、医薬分業がされますというと、どうしてもこれは私の感じとしまして、どうしても国民医療費も上るし、社会保險の診療費も上るのじやないかという感じが当初から強いのであります。そういう点について具体的にもう少し資料があつて、そうしてきめてもらいたいということと、いろいろ検討して参りました間にいろいろな大きな問題はみんな未解決のままにそのまま残されている。そういうものをもう少し究明した上でこの制度が実施されることを希望しているのであります。この制度法律になりましてもそういう伏在しております問題は、是非急速に何とか究明される御処置をおとりになることを一つ切望しているわけであります。
  100. 山下義信

    委員長山下義信君) わかりました。
  101. 齋藤齊

    証人齋藤齊君) 石原委員からの御質問でありますが、二点のうちのあとのほうの点、第二号のほうの問題につきましては、委員会で問題になりましたのは、行政区域で以てやつたらどうかという案が一つ出て来ましたけれども、それじや誠に実情にそぐわない、実際の便、不便を考えて、実際医者のかたわらに薬局があるというようなところはやつぱり入れたらどうかというような案がありました。なおこれを実際具体的に法文化する上において、技術上の問題として果してそういうことができるかどうか、非常に面倒な條文になりはしないか、そういうような議論が交されたことだけは覚えております。距離制限と行政区域の両方を併用したらどうかというような話合いがありまして、まあ実際問題としてここできめなくともあとで以てきめられる問題だというふうな皆さんの御意向だつたと私は思つております。
  102. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 一のほうは、診療上必要があると認められるほうは別に何もないのですか。
  103. 齋藤齊

    証人齋藤齊君) それは当時書いたものがありました。メモ的に書いたものがありました。それから今果してそれが残つておるかどうかわかりませんけれども、当時確かにこれを医師会側からもたしかお出しになつたのじやなかつたかと思つておりますが、これはデリケートな問題ですからそううやむやに葬つた問題でないので、たしか書いたものがいろいろ検討した際にもありますので、今それが残つておるかどうかということは、ちよつと私は申上げかねるので、高田課長でも参りましたならば又よくわかるのじやないかと思います。
  104. 藤森眞治

    ○藤森眞治君 今宮尾証人からいろいろ重大な問題が未解決のままで進められておるというお話と、今朝から伺つておりますと非常に時間がないので急いだ急いだと言われるのでありますが、私その急がれたということは想像できないのでありますが、一体何をそんなに急がれたかということをお差支えなければ赤木会長なり或いは齋藤さんからでも御証言を願いたいと思います。
  105. 赤木朝治

    証人赤木朝治君) 急がなければならなかつた事情を詳細に申上げたいのでありますが、多少遠慮しなければならんとこともございまするので、今日は申上げませんが、この調査会が設けられましたときに、これの答申は急いでやつてもらいたい、次の国会に間に合うようにやつてもらいたいということでございまして、それでこの国会に間に合わすようにということで急いだ様子であります。これにはお役所のほうの希望もございましようし、各方面の御都合もあつたことと存じまするが、結論はどうなるにいたしましてもこの国会に間に合うように結論を出すということが我々の任務であつたと考えます。
  106. 藤森眞治

    ○藤森眞治君 この法律が出ておりますが、これは政府提案で現在出ておりますのですが、そうすると、この国会に是非早くかけたいからという希望は、これは政府の意見だと、こういうふうに解釈してよろしうございますか。
  107. 赤木朝治

    証人赤木朝治君) これは一つ政府のほうへ聞いて下さい。私どもはこの国会に間に合うように……。
  108. 藤森眞治

    ○藤森眞治君 どういうふうな御解釈……。
  109. 赤木朝治

    証人赤木朝治君) この国会に間に合うようにやつてもらいたいという要望であります。その要望に副つたわけでありますから……。
  110. 藤森眞治

    ○藤森眞治君 それはどこから言うて……。
  111. 赤木朝治

    証人赤木朝治君) それは政府のほうへお聞き願いたい。
  112. 藤森眞治

    ○藤森眞治君 政府のほうに聞けというのですか。
  113. 赤木朝治

    証人赤木朝治君) 政府のほうへお聞き願いたい。
  114. 山下義信

    委員長山下義信君) 他に御質問ございませんか。御質疑がなければ本日はこの程度に止めて置きたいと存じます。   なお本日御欠席の証人につきましては、近く適当な機会に御出席願うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  115. 山下義信

    委員長山下義信君) 御異議ないものと認めます。  証人かたがたには御多忙中大変御無理を申上げまして有益な御証言を頂きまして感謝に堪えません。有難うございました。  本日はこれを以て散会いたします。    午後三時五十二分散会  出席者は左の通り。    委員長     山下 義信君    理事            小杉 繁安君            井上なつゑ君            有馬 英二君    委員            石原幹市郎君            中山 壽彦君            河崎 ナツ君            藤原 道子君            藤森 眞治君            谷口弥三郎君            松原 一彦君   事務局側    常任委員会専門    員       草間 弘司君    常任委員会専門    員       多田 仁己君   証人    臨時診療報酬調    査会長、    臨時医薬制度調    査会長     赤木 朝治君    臨時診療報酬調    査会副会長   齋藤  齊君    臨時診療報酬調    査会委員    宮尾 武男君    臨時医薬制度調    査会委員    清水  玄君    臨時医薬制度調    査会委員    塩田 廣重君