○
証人(
齋藤齊君)
只今赤木会長から
お話がありました
報告、
特別委員会が設けられまして、不肖図らずも
委員長に互選いたされまして、
皆様のお世話をいたしたわけであります。従いましてその
責任上そのあらましを申上げますると、大体次のごとくでございます。
特別委員会は十一月二十八日から開催されたのでございます。大体二日ずつ連続いたして催され、第一回は十一月二十八日、二十九日、第二回は十二月五日、六日、第三回は十二月十二日、十三日、第四回は十九日、二十日と、このように殆んど毎週催しました。今年に入りましてからは第五回を一月の九日と、第六回を一月の十六、十七日の二日間、第七回を一月の十九日に催したのであります。詳細に
審議の
経過を申上げるのでございまするが、その前に大体の概要を申上げますれば、先ず最初に問題になりましたのは、
厚生省の
諮問にありまするところの、この
諮問を読んで見ますると、
医療の向上と
国民の
経済的負担力とを勘案したる
医師、
歯科医師及び
薬剤師の適正なる
技術料及び
薬価の
基準につき会の
意見を問う。その次に
右基準は云云ということがございます。その
基準ということは一体どういうものであるかということが
皆さんの
議論の
中心になりまして、それから又その
基準と実際の
医療報酬との
関係がどうであるか、
薬価というものはどういうものであるか。
薬価の
意義とい
つたようなものが
大分論議が交されたのでありまして、
技術料につきましては、現在の
医療報酬というものが、
技術料と薬の価、
所要経費と、そういうものは一切合切込みになりまして、渾然として徴収されておられます
関係上、この
技術料というものが、これが
分離ができるかどうかということが先ず問題になりました。ところでこれは
技術料というものは
分離することができるのだという
皆様の御
結論にな
つたわけです。なお又その際、その
技術料というものは一体どういうようなものか、
技術料の
意義についても
大分御
議論がありました。そうこういたしておりまするうちに、話が各所に飛びますので、これは
一つ委員長の
試案を出して、その
試案に基いて
議論を進めて
行つたらよいだろうというような
お話になり、
委員長案というものを作りまして、これは私個人でもできませんので、
厚生省側、
幹事側の
意見を参照いたし、また
皆様の御
意見も考え合せまして、
委員長案というものを
提出いたしたのであります。それは第四回の
特別委員会のときでありました。その後はこの
委員長試案というものを
中心にいたしまして
議論が進められたのであります。その
委員長試案は、大体お
手許にあると存じまするが、その
答申案にいろいろと
数式が書いてございます。その
数式になります基の案でございましてその
数式につきましていろいろと
皆さんの御
議論がありました次第でございます。例えば
技術料というものを、
医師の
最低生活費に関するものと、それから
技術の難易というものに関するものと
二つに分けて考えるというような御
議論もあ
つた次第でありまして、又
医師、
歯科医師の一日当りの
診療に関する、その
診療に従事する時間、これを制限しろ、そういうような時間がきまりませんと非常に
算定が困難である。例えば
歯科医の
かたがたにおかれましては非常に時間を食う。
一般に八時間労働なんということを言
つておりますけれども、そんな時間ではとても自分の
責任が果せないのだというようなことでございました。かくいたしまして漸く先ほど述べました一月十九日の第七回の
特別委員会におきまして
結論に達しました次第ございます。
その結果を申しますると、先ほど申しました
技術料及び
薬価の
基準という
基準とは何かということと、これにつ
いては
個々の
診療行為についての具体的な
数字ではなく、
技術料とか
薬価を定めるべき
原則とい
つたようなものであるということになりました。即ちその
基準というものは、
幾ら幾らというきま
つた数字でなく
つて、そういう
数字を導き出すところの
原則というようなものだということになりました。そういたしますると、今度はそういうふいにきめられた
基準と実際の
医療報酬との
関係についてこれをどうするのかということが問題になりました。そういよ実際的の問題はこれは実際問題を取扱
つて行きますところの、
社会保険と
公的医療機関におきましてはその点を具体化して行かなくちやならんのでありまして、そういう所では
中央社会保険医療協議会或いは
医療審議会でこれを具体的にきめて行けばよろしい。我々のほうの
委員会におきましてはそういう具体的にきめないで、ただそういうものを導きますところの
基準をきめて行けばいいのだということにな
つたのであります。又一方
医療の中には、今申しましたような
社会乗除以外に
一般の
自由診療があるのでありまするが、この
自由診療についでは何も強制的にきめることはできない。併しながらこの
社会保険等がはつきりした
数字をきめて行けばそれによ
つて各
医師、
歯科医師はそれを標準にしまして、これから適当にきめて行くだろう、そのきめて行くことのよりどころにな
つて行くんだということでございました。それから
薬価というものはどういうものか、先ほど
薬価の
基準というものがございましたが、この
薬価というものはどういのものかと申しますると、
薬価にもいろいろと
議論がございました。これは薬の
原価というような
関係から見るというような
議論もございましたが、この
委員会におきましては、これは
患者側のほうから眺めた薬の価というふうに考えることになりました。
技術料については先ず
分離ができるかどうか。先ほど申しました
通り、
現行におきましては
技術料というものはほかの
所要経費とか、そういうものと一緒に徴收されているんだけれども、これを
分離できるかどうかということが
議論されたのでありますが、これは結局先ほど申しました
通りに、
分離は可能であるというふうに
皆さんの御
意見が一致いたしたのであります。さてその
技術料というものは一体どういうものであるか。
技術料の
意義につきましては、これはこの
委員会におきまするところの
中心課題であ
つたのであります。これにつきましては
皆さん非常に御熱心に御
議論になりました。これは
答申案の中にございまするから後程そちらで申上げます。その後おいおいと
皆さんの御
議論が出るに従いまして、従前の
議論を修正し、そしてだんだんと整理されて
行つたのであります。そうして先ほど申しましたように、
委員長試案が出て来たのでございます。
そして
最後にこの
答申案の、横書きのものでございますが、お
手許にお持ちだろうと思いますが、これは
数字や何かがございまするから一応お持ち頂いたほうが御理解がいいかと存じます。
医療報酬の構成。a、
医療報酬を次の
二つに分ける。
診療に対する
報酬S1、
調剤に対する
報酬S3、総
報酬をSといたしますれば、Sというものは、S1という
個々の
診療に対する
報酬を寄せ集めたもの、この変な
文字は、
ギリシヤ文字のシグマという意味でございまして、これはすべて寄せ集めるという
記号でございす。それにS2、
調剤に対するすべての
報酬を寄せ集めたもの、そういうものを合せたものが
医療報酬であります。
次に
診療に対する、
報酬S1は次の
要素からなり
技術料は
分離できる。
技術料というものを
G1といたしました。これはローマ字のG、
技術料のGの字を
使つただけの話であります。
医師、
歯科歯師、
薬剤師を除く
人件費N1、それから
所要経費これをM1といたしました。それから行要
経費と申しますのは
衛生材料費処置手術等に使用する
薬品費、
光熱材料費、
修繕料、
固定資産税その他
事業に伴う
公租公課、
償却費、
図書研究費等を申すのでございます。ここで税金の中で
所得税のごときものはこの中に含んでおりません。
事業に要する
公租公課だけを含んでおります。そうしますとS1というのは今のは
技術料、それから
人件費、それから今の
所要経費M1、こういうものを寄せ集めたものである。脇に1と書いてございますのは、これは
調剤に要するものと区別するために1というふうに小さく書いてあります。次のCの
調剤に対する
報酬S2は次の
要素からなり、
技術料は
分離できる。
技術料の
G2、それから
医師、
歯科医師、
薬剤師を除く
人件費、これをN2、それから薬、これはなぜ薬という字だけを
使つたかと申しますと、先ほど申しました
通りに、
薬価とかいろいろな問題がございますので、ここは薬という字をただ一字使いました。
患者に投與されるものに限る。
調剤を行う
機関における
取得価格を
基礎とし、
損耗率を見るものとするという註釈を書きました。それをK、そうしますると、S2といいうのは、
技術料G2、それに
人件費N2を加え、それに
所要経費M2を加え、それにKを加えたもの。従いまして先ほどaという所で申しました大きなS、すべての
医療報酬というものはどういうものかと申しますると、bの所で述べましたS1、即ちG十N1十M1そうののも総
合計、
診療に西する
報酬の総
合計。それに
調剤に対する
報酬、即ち
G2十N2十M2十K1そういうものを寄せ集めた、そういうものを加えたものがこの総
報酬だということになります。こんな
記号を持出しまして甚だ御迷惑と存じますが、
議論をいたしますのに、ただ空漠として
議論をいたしますよりも、こういう
数字の
記号を使いまして
議論いたしたほうが、非常に
議論がしやすか
つたものでございますから、
委員室に黒板を持出しまして、こういうような
記号で物事を書きましてそれで
皆さんが御
議論にな
つた次第であります。
記号を書いたということは、又
皆さんの考えていらつしやることを言葉で現わさないで、ただ
記号で現わして、それで
議論を簡単に進行さして
行つたということでございす。
次に
所要経費、これは
医療のほうの
所要経費及び
調剤のほうの
所要経費M1、M2及び
人件費のN1、N2の
基率というものを考えたのであります。
所要経費は
衛生材料費、
処置手数料等に使用する
薬品、
光熱材料費、
修繕料、
償却費、
図書研究費等診療、
調剤を行うに要する
経費であり、
固定資産税その他
事業に伴う
公租公課を含む、
住民税、
所得税は
所要経費とは認められないが、
事業に伴う
特別所得税は存続する限りはこれを
所要経費とする。次に
所要経費M1、M2は
原価計算方式により
算定することが適当である。
厚生省資料「
病院診療所原価計算要綱案」は
参考となるであろう。これはこういう
基準を出しまして、その後
厚生省におきましてはいろいろと
作業がありますので、その
作業をいたします上にこうい
つたものが役に立つだろうということをここで明書した次第でございます。
人件費N1、N2は
所要時間、
平均賃金を勘案して定める。これも
作業をいたしますときの
参考的にここに書いてございます。
所要経費の
原価計算の
具体的方法及び
人件費については、別途
調査会を設けることを適当と認める。
所要経費の
算定については、
日本医師会資料、「
診療報酬適正単価決定に必要な
基礎的考察」、「
入院料の
原価計算」、
厚生省資料「
病院原価計算」、
日本薬剤師協会資料「
薬局業態調査」等が重要な
参考資料となるであろう。
技術料、
G1、
G2の
基準、
技術料の
意義、
技術料は
専門的技術に対する
報酬である。もう一遍申しますると、
技術料は
専門的技術に対する
報酬である。
診療に対する
技術料の
基準、
技術料は
専門的技術に対する
報酬であ
つて、
医師、
歯科医師の
生活費に充てられるものであるから、その
決定に当
つては、
医師、
歯科医師の
専門技術者としての生活を十分考慮して定めなければならない。もう一遍申しますると、
技術料は
専門的技術に対する
報酬であ
つて、
医師、
歯科医師の
生活費に充てられるものであるから、その
決定に当
つては、
医師、
歯科医師の
専門技術者としての生活を十分考慮して定めなければならない。次に小さい(I)でございますが、
診療所要時間が同じであれば、
技術指数によ
つて増減差異があるべきであり、
技術指数が同じであれば、
診療所要時間に比例する。即ち、
診療行為の
技術料は
G1=(1十α)gtここでtというものは
診療所要時間、gというものは単位時間の
医師の平均
技術報酬、(1十α)は
技術指数である。この点もう少し詳しく後ほど申します。その次に(II)
技術指数は
診療が高度の専門
技術によるものである性質上、これを定めることは相当困難である。
技術料を何らかの経済的価値に表現しなければならない以上、これを
決定する必要があるものである。
技術指数の
決定に当り、各
診療行為の難易差を余り大きく見過ぎるときは各
医師、
歯科医師の受ける
診療報酬の額が著しく現状とそぐわない結果となることも考えられるので、平均
技術報酬を
基準として、各
診療行為の頻度、
医療施設の実態等をも斟酌の上、実情に即するようにすべきである。(III)
診療所要時間は、実働時間であ
つて、一
診療行為に従事する全
医師、
歯科医師の実働時間の総計とする。(IV)gは現実の総
技術報酬で、
G1、
G2というものを集めたものございます。そこでミス・プリントがあるようでございます。これはどうせ後で又
作業のときによく注意いたしておきます。(ΣG)即ち
調剤に要する諸掛を
医師、
歯科医師の総所得から差引いたものを
診療に従事した全
医師の総
診療所要時間(Σt)で除して得た数値である。(V)、
技術指数、
診療所要時間、平均
技術報酬の
決定に当
つては
厚生省、
日本医師会、日本
歯科医師会の
資料が重要な
参考資料となるであろう(VI)なお個人の
技術差を別途考慮することが望ましい。
調剤に対する
技術料も
専門的技術に対する
報酬であるが、各
調剤行為の
技術指数は便宜上一率としても差支えない。
それから先が薬の問題になります。
薬価の
基準。
薬価の構成は、
調剤に対する
技術料(
G2)、
人件費(N2)、
所要経費(M2)及び薬(K)である、
従つてS2=
G2十N2十K、
技術料は前掲(3)Cにより、
所要経費は前掲(2)により薬は
取得価格に
損耗率を見るものとする。
医療の向上及び
国民の経済的負担との調整。従来の
診療報酬については必ずしも合理的でない面もあるので、
技術料(
G1、
G2)が、
所要経費(M1、M2)、
人件費(N1、N2)及び薬(K)から
分離し、適正に評価
決定せられることによ
つて、
医療の向上が期せられるであろう。
医療報酬は、
国民の
医療費負担力に相応するものでなければならないが、
医療報酬中、
所要経費、
人件費等はおのずから定まるのであるから、Gの量は
国民の
医療費負担力に制約され、現状においては、多くの増額を期待できないが、
技術料は
原則として
国民所得の向上に比例して引上げられるものであろう。
これがそのときの
答申のないようでございます。そこでこの中で御注意、御注意と申しますか、一応敷衍して申しますれば、今の一番最初の所でございますが、aの所の(ΣS1ΣS2)ということは、先ほど
個々のものを皆寄せ集めたものだということを
お話し申上げて置きました。それからbの所も先ほど少しく触れて申しました。Cにつきましてはこれも先ほど申しました。それからdの所は、これも先ほど詳しく申しました。さて今までの所の一でございますね。これはこの中で問題になりました点は、
診療報酬及び
調剤報酬は、
技術の進歩に伴う施設の整備改善等に要する諸
経費以外の蓄積をも加えるべきだという
意見があ
つたのであります。
技術の進歩に伴い施設の整備改善をすることの必要があることは、これは当然であると存じますが、併しそれに要する費用というものは、諸
経費の中にどういうふうにな
つておるかと申しますると、これは諸
経費の中で
償却費の中に入
つておるのであります。
償却費の中に入
つておるにかかわらず、又そういうものを改めて買う費用までもこの中に入れるということは少し余計である。場合によ
つたら
患者から二重に、
償却費のほうで取
つて置いて、又別にこういうものを計算に入れますということになりますと、
患者のほうから二重に取
つて行くというような形にもなるということで、これは除外いたしました。ただそういうような金が要るのならば、その金融の途はこれはつけなくちやならないのだ。その金融の途は一つ政府において然るべく何か考えてもらいたいというようなことでございます。
それから先ほど申しました
所要経費中の税金の
方面でございすが、
住民税だとか
所得税というものは、これはその所得の中から引かれるべきもので、この
所要経費の中に入れるものじやないのだ。但し
特別所得税につきましては、
特別委員会といたしましては、これは廃止すべきものだと考えましたのでありまして、別にその廃止方を決議として
提出したのでございますが、そういう税金が存続する限りは
所要経費と認めてもいいことになります。次に、
所要経費は
原価計算方式で
算定すべきことを明らかにしておるのでありまして、この
原価計算方式というところに、科学
技術を尊重してという文句を入れるというような
お話がありました。併しながら
原価計算という方式をとるということが即ち科学
技術を尊重してや
つていることだということでございましたので、これは特にこんなものは謳わなくてもいいだろうということで省きました。
それから次に
人件費につきまして、これは
皆様奇異にお考えになるかも知れませんが、例えば看護婦だとかレントゲン
技術者等、
医療関係に雇われている
医師、
歯科医師それから
薬剤師にあらざる
技術者についでも、
技術者としての
技術料として扱うべきではないかというのでございす。併しながら雇われている
医師と私申しましたが、それはちよつとデリケートなところでありますので、それは
医療関係の
医師、
医療に
関係している
医師なんでございますが、この
診療報酬に直接
関係のない
医師ということに御了解を願います。従いましてこの
調査会ではこういうような
人件費というものは、どうしたらいいだろうかということにな
つてお
つたのでありまするが、これは
診療報酬をきめますときにはこれは直接出て来ないのでありまして、これは
調査会の問題が
医師、
歯科医師、
薬剤師の
技術料ということなんでありまするから、こういうものは
所要経費の中に突込みにいたしてやるというようなことにきま
つたのであります。
それから
技術料は、これは先ほど申しました
通り、
専門的技術に対する
報酬であるということを明らかにいたしておるわけであります。
技術料というものは
医師、
歯科医師の
生活費に充てらるべきものでありますので、その検定に当
つては生活を十分考慮してきめられなければならないということを謳
つておる次第であります。そこで問題になりましたのは、この
技術料をどういうふうにきめるかという問題でございます。
技術料を
医師の最低生活に対する部分と、
技術の難易に対するものとの
二つの
要素を加え合せた方式を立てようという
意見があ
つたのであります。これは先ほど冒頭にも申上げた
通りであります。即ち
技術料の
算定方式をきめます場合には、
医師に対して最低生活を営み得る
報酬が得られるようにせよというような要望のこれは現われと存じますが、
最低生活費というものはいろいろこれはむずかしいので、殊に
専門技術者としての生活ということを我々は考えておるのでありまして、この
専門技術者としての
最低生活費ということは非常にむずかしい。少くともこの医学というものは日進月歩に進んで行く性質から見まして、
一般労働者の
最低生活費というものよりは高いものであるということはわかるのであります。併しそれは一体どの程度に高くすればいいかどうかということはこれはわからないのでありまして非常にむずかしい。而も労働者の
最低生活費というもののまだはつきりきま
つておらない際に、
医師の
最低生活費のほうだけをきめてしまうということも、これも勿論できない問題であるというので、これはこうでないやり方にしたのであります。それには又ほかの理由もあるのであります。それから又
診療報酬を
決定いたします際に、
医師、
歯科医師の一日当りの
診療従事時間の限界を定めて
診療報酬をきめようという
意見があ
つたのであります。これは冒頭にちよつと触れた点でございます。労働者にも労働
基準法で
原則として八時間労働が行われておる今日、それよりも高い生活を保障しようという
医師、
歯科医師が極端に長時間労働をしなければ生活ができないというようなことは、これは以てのほかだという
お話でございました。併しながらそういう点も、先ほど申しました
専門技術者としての生活を十分考えて行くのだということの中にこれは併せて考えて行くのだということで御了承を得た次第であります。
それからこの
答申案にございます、
技術料の
算定方式の所にございますが、これは1十αにgtをかけたものということにして掲げたわけであります。これについていろいろ
議論があ
つたのであります。
技術料は、單位時間の
技術報酬に
技術指数を乗じたものに
所要時間を乗じたものであります。この式はこの考え方は
診療に対する
技術料は、先ず難易の程度が同じような
診療であれば、時間が多くかかるものの
技術料が高いはずであります。難易の程度が全く同じであるという
二つの
診療を比べまして、そこで
診療報酬をどういうふうにするか。片つ方の時間が片つ方の倍かか
つたとすれば、
診療報酬は倍になるべきだという考え方であります。それから又同じ時間がかか
つて診療が行われた
二つの
診療行為がありました際に、これは難易の程度が、片つ方は非常にむずかしい
技術が要るのだ、片つ方はそう大した
技術は要らないのだということならば、むずかしい
技術のほうが余計
診療報酬を取るべきものであるという考え方でございます。そういう観点から、今の算式が出ておるのでありまして、今申しました
通りに、
技術料というものは時間に比例する、それから難易の程度に比例する、時間にも比例し難易にも比例するのだということでありますから、時間と難易を合すものとの相乗積に比例する、そういうことでございます。そうしてそれに何かを掛けたものが
技術料になる。その何かというものをここでは平均
技術報酬としたのであります。それはそういうことになりますと取扱が非常に楽になりますので、そういうことにしたのであります、平均
報酬を使いませんと、又ほかのものをもう一遍掛けたり何かしなくちやなりませんので、非常に複雑になります。又ほかの取扱方からこの平均
報酬が適当だということも或いはできるかも知れません。それは私の
意見になりまするから、それをお含み願いたいと思います。
この小さい(Ⅱ)という所は、これは先ほども申上げました
通り技術指数をどういうふうにきめるか、
決定方法をきめたものであります。
技術指数というものは各
診療行為ごとに定めるわけでありまするが、これは非常に困難だろうと存じます。併しながら
技術料というものは、これは何らかの経済的価値に換算しなければならないのでありまするから、これはどうしてもや
つて行かなくてはならない。その
決定をいたしまするときに、ここに非常に問題が起
つて来るのであります。実際にお
医者さんの生活を支えておるものと、これは何か理論的にと申しまするか、そういうもので推して
行つたものとの間では非常に問題が起
つて来ると存じます。例えば
日本医師会から厖大な
資料を
特別委員会に御
提出にな
つたのでありまするが、その厖大な
資料を拝見いたしておりましても、これが如何にむずかしいことかということがよくわかるのであります。これはこれを
決定いたしますには簡単にはできません。又短時日ではできません。相当のこれは日数を要するものであります。従いまして非常に急がされました
委員会といたしましては、そこまで掘下げてこういうものを取扱
つておりません。又先ほども申しました
通り、
基準というものがそうい
つたような具体的の問題を扱うんではなく、具体的な問題は又別の
委員会でや
つたらいいだろうということを先ほど
お話いたしましたが、それはそちらの新たに作られますほうの
委員会で以てここは十分手をかけ、時間をかけて、これは
検討すべきものだと私は思います。とにかくそういうようなものでございす。
そこで例の平均
報酬というものを片方に書きました
関係上、ここにⅠ十αという形でこの難易の指数を書いたのであります。即ちαというものがゼロという場合にはgtということになりまして、これは平均
報酬に時間を掛けたものだというようなことになります。時間が一でございますれば単位時間でございまして平均
報酬ということになります。α=0ということは、平均の難易ということになりますから、平均的の難易度で単位時間を要するということになりますと丁度平均的の
報酬が得られるんだという形の式でございます。
診療所要時間、これにつきましては何も御説明をする必要はないと存じます。
先ほども申しました
技術指数というものを
決定して行きます際には、これはただ先ほど申しました
委員会あたりできめて行くということでは足らないのでありまして、十分
関係学会等の
意見を徴してきめて行くというような
意見がございました。至極これは御尤もな話でございまして、現に
医師会、
歯科医師会なりで、この
調査会にお出しになりました
資料につきましても、
関係学会の
意見が十分出ておるのでございまして、なおその
関係学会の
意見をどういうふうに扱うかということにつきましては、或いはこの
医師会、
歯科医師会がおやりになりましたこのやり方そのままでいいかどうかということは、これは疑問でございます。この点は先ほど申しました新らしい
委員会のほうで十分研究して頂くということが適当かと存じます。併しながらとにかくこの
関係学会の
意見を十分徴するということに
皆さんの御
意見が一致したわけであります。先ほど申しました平均
技術報酬というところでございすが、この平均
技術報酬というものを、
技術指数の
決定の
基準としないで、
最低生活費を使えという御
意見もあ
つたのでありますが、これはやはりなかなか
最低生活費というのはむつかしい問題でございますので、これは
皆さんが御賛成になりません。