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1951-03-27 第10回国会 参議院 厚生委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月二十七日(火曜日)    午前十一時六分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○社会保障制度に関する調査の件  (戦争犠牲者遺族援護に関する  件) ○船員保険法の一部を改正する法律案  (衆議院提出) ○国民健康保険法の一部を改正する法  律案衆議院提出) ○小委員会設置の件 ○小委員の選任の件   —————————————
  2. 河崎ナツ

    委員長河崎ナツ君) 只今から厚生委員会を開きます。議題に入ります前に、山下議員からお申出がございますので、そのことを伺うことにいたします。
  3. 山下義信

    山下義信君 最近承わりますところによりますと、戦争犠牲者、即ち遺族援護に関しまする問題につきまして、極めて具体的なる措置、方法が他の委員会等におきまして、いろいろ調査立案の歩が進められてあるやに仄聞をいたすのであります。殊に今朝の朝日新聞を見まするというと、厚生大臣の談話といたしまして、極めて具体的なる発表がありましたことは、恐らく同僚議員諸君も御承知相成つたことであろうと思うのであります。この遺族援護の問題は、すでに第五国会等におきましても、周知のごとく当厚生委員主唱者になりまして、全会一致参議院決議と相成り、又衆議院厚生委員諸氏とも緊密な連絡の下に、衆議院におかせられても、特にこの点を強調せられた決議案とも相成りまして、この遺族援護の問題は厚生常任委員会といたしましては、重大なる懸案といたして、今日まで我々が熱心にこのことを考え来たつた問題でございます。殊に遺族援護に関しまする請願陳情につきましては、第一国会以来、当厚生委員会取扱い来たりました問題でもございまするし、且つ又それらの民間の輿論或いは民間におけるところの関係団体等の諸会合に際しましては、常に厚生委員議員諸君が出席をせられまして、或いは激励の辞を与え、或いは種々これらに対しまして、熱心にその主張を傾聴し参りましたところでございまする。本員は昨年七月委員長の重責を拝命いたしましたときに、当厚生委員会として、将来重大な問題として是非取上げなければならん一つ項目といたしまして、文章にしたためまして、特にその調査につきましては、厚生専門室にその趣旨を申入れて置きましたような経過もあるのでございます。殊に昨年来、同僚長島議員が御当選に相成りまして、当厚生委員会にお迎えして以来は、特に同君の今日までの本問題に関しまするお立場等もございまする。院内におきまして、是非同君の宿志を貫徹いたすべく、厚生委員会は何らかの遂に出でなければならんように考えまして、私の記憶といたしましては、本年の一月、厚生委員会におきましても、その懇談会の席上で是非遺族問題は厚生委員会として強力に取上げようではないかという申合せをいたしたように記憶をいたしておるのでございます。今日まで本問題につきましては、すでに皆さま御承知でございますから、ここに絮説を用いませんけれども、従来とも厚生委員会が不熱心であつたのではないのでありまして言うまでもなく無差別平等の原則の下に抑えられて来たのでございまして、諸般の情勢上、これらの原則変遷変化をせざるを得ない情勢が昨年来から予期せられましたので、当然厚生委員会の問題と相成るべきものと私どもは覚悟もいたしており、その後も陰に陽に申して参つてつたのでございます。然るに先刻申上げまする通りに、最近国会内の他の委員会におきまして、この問題を取上げまして、当厚生委員会としては、具体的に何らのこともないかのように聞いておるのでございますが、或いは又別に御準備に相成つておるのかもわかりませんけれども、私といたしましては、非常にその点を不満に感ずるのでございます。従来それに対しましての本員の努力の足りませんところは、非常に悪魔に堪えないものでございますが、改めまして、どういうわけで厚生委員会でこの問題をお取上げになり、お進みにならなかつたのであるかということを、この機会に私は委員長にも伺つて置きたい。又当厚生委員会といたしましても、その点をはつきりして置いて頂きたい、かように考える次第でございます。
  4. 長島銀藏

    長島銀藏君 只今山下委員のお説の通り、私ども厚生委員としては、いろいろな四囲の事情がありまして、今日に相成つてつたということに間違いないのでございます。ここに緊急動議を提出させて頂きたいと思うのであります。遺族援護に関する小委員会を設けまして、その数は七名とし、選出の方法成規の手続を省略して、委員長の御指名による方法をおとり下さるようなことにいたしたい、かような動議を提出いたします。
  5. 河崎ナツ

    委員長河崎ナツ君) 山下委員よりの御発言があり、丁度そういう御計画を長島委員考えておいでになりまして、今ああいうふうな動議をお出しになつたのでありますが、長島委員動議につきまして御異議ございませんか。御異議があれば御意見を承わりたいと思います。
  6. 山下義信

    山下義信君 私はどういうわけで、この問題を今日まで厚生委員会のほうでお取扱いにならなかつたかということを明らかにして置いて頂きたい。それは厚生委員会として明らかにして頂いてもよろしうございますし、委員長のお考えを承わつてもよろしうございますので、一応その点を明らかにして置いて頂きまして、長島議員動議のお取扱いにお移りを願いたいと存ずるのでございます。
  7. 河崎ナツ

    委員長河崎ナツ君) 今山下委員の御質問でございましたが、厚生委員会といたしまして、委員長がどうしてその問題を取上げなかつたかということについての御質問でございますが、この問題を長島議員がいろいろお考えでいらつしやいましたから、適当なときに、そういうものが丁度適当な時期に形になつて来ますとき、適当な時期が来ると思つておりまして、私もあの新聞を見まして、だんだん形がはつきりして来たと思つておりましたのでありますが、特に皆様にお諮りいたしまして、積極的にこの問題をどうしようというところまで実は行つておりませんでしたことは事実でございまして、山下委員といたしまして、或いは遺憾にお思いかも存じませんが、そういう次第でございます。
  8. 山下義信

    山下義信君 私が伺いましたのは、厚生委員会でこれを取扱う意思を私どもは持つてつたのでありますが、最近の数カ月の間にお扱い意思を放棄せられたのであるかどうか、或いは依然として、これは厚生委員会で大いに力を入れてやろうというお考えがあつたのかどうかという点を明らかにして置いて頂きたい、こういうことを伺いましたのは、私の責任もありまするので、伺つたのでありましたが、只今委員長の御答弁で、適当な時期にやるつもりであつたということでございますので、本員は了承をいたす次第でございます。つきましては、只今長島委員から、小委員会設置動議が出ましたのでございますが、大体におきまして賛意を表するにやぶさかでござませんが、念のために、動議提出者であります長島君に私伺いますが、当厚生委員会で小委員会を作りました暁におきまして、現実に、すでに在外胞引揚特別委員会でいろいろこれを取上げてやつておりますることは周知通りでございます。従いまして、当厚生委員会在外胞引揚特別委員会との間を如何にこれを関係付けて行くか、当厚生委員会は独自の立場で行くか、どうするかという方針をあらかじめきめて置かなければ、この小委員会設置してよろしいかどうかということにつきましても、にわかに決しがたいようにも思われますので、その点動議提出者であります長島議員におかせられましては、今後の小委員会運営、延いては当厚生委員会として如何にこれを取扱つて行くかということに対してのお考え、お見通しにつきましても、御意見を承わつて置きたいと思います。
  9. 長島銀藏

    長島銀藏君 実は私も引揚委員会のメンバーの一員でございまして、或る日、遺族援護の問題を引揚委員会で、丁度私が休んでおるときでございましたが、扱いを始めたということがわかつたのであります。それからその次の日に特別委員会へ参りまして、引揚委員会は、昭和二十四年の十二月三十一日を以て一応終りを告げる、そこでこの特別委員会をそのまま遺族援護に関する委員会に直す、こういうことを聞いておるがどうかというわけで聞きましたところが、そういうことになつておつたのだが、引揚げはまだ続けて行くのだということでございました。そこで然らば遺族問題に対して、現在取上げるということは、どの程度までを取上げて行つて、どういうことをやつて行くのかということを質問いたしましたところが、遺族問題について研究をして行くのだというような意味合いの御答弁がございました。そこで従いまして、私ども厚生委員会といたしましては、事が大きい仕事になりまするので、当然厚生委員会で取扱わなければならない意味合いにも考えておるし、又厚生委員委員かたがたもそう思つていらつしやるかたが相当おるが、この関係はどういうふうにしていいかということも質問をいたしたのであります。それから最近におきまして、我々厚生委員会のほうで、この問題を取上げて小委員会を作つて行くということについて御了解を得たいということで、いろいろ打合せて参つたのでございますが、要するに小委員会ができました暁には、小委員かたがたの御意見に従いまして、独自の立場で行くとか、或いは連絡をとりながら行くということをおきめ願つたらどうか、こういうように考えておる次第でございます。
  10. 山下義信

    山下義信君 小委員会設置の暁における運営のお考えにつきましては、只今の御説明でやや了承いたしましたのでございまするが、これは委員長にもお伺いもいたし、又同僚長島議員にも御相談申上げるのでありまするが、私ども只今動議には、先刻申上げましたように、大体賛成をいたす次第でございますが、もつと根本的な厚生委員会としてのとるべき態度を基本的に一つきめまして、そして在外同胞との間の調整等につきましても、或る程度見通し等も以ちまして、そして折角作りました小委員会でございますれば、或いは小委員会にしないで、直ちに本委員会というような行きかたもあるかもわかりませんし、又小委員会をやめて結構にも存じまするし、その辺は当厚生委員会でお互いに忌憚なく一つ御相談申上げ、私どもの会派にもよく話しまして、そして本当に委員会一致いたしまして、この問題に当るような態勢で進む、こういう了承の上で私は只今動議の御採決を頂けますればいいのではないか、かように存じまするので、折角動議をお出し下さいましたのでございますが、若干御採決は後刻にして頂きましたらば如何かと思いますので、お諮りをいたします。
  11. 長島銀藏

    長島銀藏君 了承いたします。
  12. 河崎ナツ

    委員長河崎ナツ君) なおこの問題につきまして、山下委員から御提案がありましたが、丁度引揚同胞のほうでもその問題を大分具体的に考えておるようなこともちらちら聞いておるのでございますが、今山下委員の御提案のようなことは重要に考えて、よく見渡して行かなければならんと存じますので、ほかの委員のかたもお考えがございましたら、伺わせて頂きたいと思います。
  13. 山下義信

    山下義信君 先ほど私が申上げました通りに、直ちに日程にお入り下さいまして、本日の日程の御審議をお進めになり、適当な機会に休憩をいたしまして、委員長からお話し下さつて、私どもに御懇談機会をお与え下さいまして、続いて正式に長島議員の御動議採決の議事にお入り下さるように希望いたします。
  14. 河崎ナツ

    委員長河崎ナツ君) 御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 河崎ナツ

    委員長河崎ナツ君) それではそういうふうに御了承願いまして日程に入ることにいたします。   —————————————
  16. 河崎ナツ

    委員長河崎ナツ君) 船員保険法の一部を改正する法律案、これにつきまして、提案者衆議院丸山先生がお見えになつておりますから、丸山直友議員から提案理由を御説明頂くことにいたします。
  17. 丸山直友

    衆議院議員丸山直友君) 只今議題となりました船員保険法の一部を改正する法律案を御審議せられるに当りまして、本法案提案理由を御説明申上げます。  今回の改正の主眼とするところは、養老年金支給額増額を図らうとすることでありまして、現行法では、養老年金の額の計算基礎となる平均標準報酬月額は、被保険者であつた期間の全期間平均標準報酬月額でありますが、これにより計算した養老年金の額は、他の年金給付たる寡婦年金鰥夫年金遺児年金と比較して、甚だしく不均衡を生ずることとなりますので養老年金の額を適正な額とするため、その計算基礎となる平均標準報酬月額を、昭和二十一年四月一日以後の被保険者であつた期間平均標準報酬月額といたしました。この場合において養老年金の額が二万四千をこえるときは、これを二万四千円といたしたのであります。その他厚生年金保険法関係条文との調整をいたした次第であります。  以上が、船員保険法の一部を改正する法律案を今国会に提出しました理由でありますが、何とぞ速かに、御審議の上、可決されますよう、お願い申上げる次第であります。
  18. 河崎ナツ

    委員長河崎ナツ君) 右の御説明に対しまして、御質問ございましようか。
  19. 上條愛一

    上條愛一君 私は二点について御質問いたしたいと思います。第一は、養老年金の額を二万四千円で抑えるという理由は、これは主として財政的の理由によるとか、或いは厚生年金その他の方面の調整考えられての案でありますか。この点一つ今一つは、養老年金の額の計算基礎となる平均標準報酬月額については、当分の間昭和二十一年四月一日以後となるという修正案のようでありますが、この点について当分の間というのはどのような意味を含まれておるのか。その点、二点お伺いいたしたい。
  20. 丸山直友

    衆議院議員丸山直友君) 養老年金の頭打ちでございまする。二万四千、二万四千円にいたしましたということは、現在の給付実情から申しまして、このままで参りましても、昭和三十一年にこの額に達するわけになつておりまするが、現在の給付実情から考えて、二万四千で抑えるのが最も実情に即しているということでございますのと、もう一つは、最高で参りますると、四万九千二百円くらいまでも上るということの、保険料との見合いということも考えております。それから第二点の、昭和二十一年四月一日ということで区切りました理由は、御承知のように、お手許に差上げてございます資料の箱のような表を御覧下さいますとわかるのでございますが、給与に関するこの二十一年四月一日までが戦時給与で、そのときに給与改正なつております。そのときを以て区切るとして、現状に即するようにするのが最も正しいのではないか、かように考え実情に即する意味においても、その意味で四月一日で切つた、こういうような理由でございます。なお財政的理由かという御質問でございまするが、勿論この財政的の保険料との見合いということを全然無視して、これを考えたわけではないわけでございまして、私ども衆議院においても、実際の数字に基きまして、いろいろ検討した結果これが一番適当であろうと考えた次第でございます。
  21. 上條愛一

    上條愛一君 なお御質問申上げたい問題は、社会保険審議会において、昨年十二月並びに本年一月において、この問題について厚生大臣から諮問がありまして、その諮問に対する答申といたしましては、養老年金の額の計算基礎となる平均標準報酬月額は、昭和二十二年の十二月一日以降を期間とするというふうな希望とそれから今一つは、二万四千円の頭打は妥当ではないという意見で、労使並びに公益委員各界代表一致の要望であつたのでありまするが、この修正案を出すに当りまして、十分この社会保険審議会と御連絡の上提出せられたのであるのか、どうかという点をお伺いします。
  22. 丸山直友

    衆議院議員丸山直友君) 只今社会保険審議会の御意見というものは勿論考慮してございます。ございまするが、実は衆議院においてこの改正審議いたしましたときには、正式のお申入れば頂いておらなかつたのでございます。然るに今日ここへ参りましたところ、船員保険法の一部を改正する議案に関する修正意見とも称するものが、日本船主協会から出ておるということを初めて承知いたしましてそれを只今拝見いたしたわけでございます。その中に只今の御質問項目が入つておるのでございます。その文章を拝見いたしますると、厚生省事務当局努力目標というものが、二十二年十二月一日ということが謳われてあるわけであります。これは努力目標という言葉はどういう意味か私にはよくわかりませんが、二十二年の十月で一応区切つたらどうであるかということを承知して、一応これで私ども計算して見たのであります。然るに二十二年の十二月を区切つて計算いたしますると、最高年金が八万六千四百八十円と相成るのでございます。実はここに書いてございまするその次の船主協会からお出しになりました数字には、若干私ども調査いたしましたところと差異がございます。これはもつと金額が多くなりまして、八万六千四百八十円というのは実数であろうと考えます。又そういうようなことでこの文章に対しては多少の、私どもといたしまして、私どもの承わつておりましたところとは多少の違いがあるということを感じておるわけであります。なおこの審議会のその当時審議せられました内容は、今ここに船員保険課長が事実その審議会に出席せられておりますので、その実情は詳しく船員保険課長から御説明申上げることとしたいと考えております。
  23. 牛丸義留

    説明員牛丸義留君) 私から社会保険審議会審議経過を御報告申上げます。この養老年金の額の増額の問題は、臨時国会に提出いたしました料率引上げ改正の問題と同時に、昨年の十一月に一番最初に社会保険審議会に諮つたわけでございますが、その後大蔵当局との交渉のまとまりが付きませんでしたので、とりあえず料率改正臨時国会において政府提案で提出いたしまして、それらの関連事項として、このたび養老年金の額の増額が出ておるわけでございます。それでこの問題につきましては、本年の一月におきまして、更に社会保険審議会船員保険部会を招集いたされまして審議にかかつたわけでございますが、そのときの審議経過を申しますと、政府の初めの原案昭和二十一年の四月一日ということになつております。それから二万四千円の問題は、その当時問題になつておらなかつたわけでございます。それで審議会の席上、二十二年の十二月一日以降にしてくれということは、主として全日本海員組合の被保険者代表委員のかたから申出でがございまして、私どもとしてそのときにお答えしましたのは、二十二年の十二月一日と申しますと、大体この資料最後の欄でもおわかりになるように、五百円から八千円の標準報酬とりかたでございます。これによりますると、非常に高額な額になりますので、実際の支給として余りにも大きな養老年金支給されるということになるので、財務当局との交渉がどうかと思うというふうな返事をいたしましたところ、そういう成果はとにかくとして、政府努力目標をそこに置いて一つ交渉してくれと、こういうことでございましたので、私どももそれでは最大の努力をこの目標に置いて交渉しますということで了承を受けたわけでございます。その後大蔵当局とも交渉いたしましたけれども、二十一年の四月一日以降と言いますのは、この養老年金の額を増額する趣旨が、戦時中の非常に低い標準報酬計算基礎にされるのは今の時勢としては気の毒である、そういう趣旨でございますから、戦後の高い標準報酬にすべきじやないか、そうなりますと、昭和二十一年の四月一日というのが戦後において初めて標準報酬が改訂された時期でございますので、その点で抑えたほうがいいんじやないか、こういうふうな点が私どもとしても大蔵当局との意見一致を見た点でございますので、昭和二十二年の十二月一日以降としますと、どうしても予算の関係その他で非常に高額になる。そうしますと、全部を国庫負担で賄うという筋合のものでございませんので、料率にも関係があるということで、結局昭和二十一年の四月一日ということで折合つたわけでございます。それからそのとき二万四千円の問題も出ましたけれども、これも取りあえず全部が二万四千円以下でございますので、少くとも二万四千円まで引上げるということが今日の情勢としては適当じやないか。これをいきなり五万円なり、八万円の養老年金の額まで上げますと、これから数年後には年度の加算が付きますので非常に大きな養老年金の額になる、そういたしますと昭和二十八年頃になつて、陸上厚生年金保険養老年金も出て参りますので、それとの関連がございまして、船員保険におきましては、国庫負担五分の一としましても、そう大した額でもないと思いますけれども、これが厚生年金陸上尨大な被保険者養老年金との関連して来ますと、尨大国庫負担になる、こういうふうな問題で、一つは野放しにこの増額を考慮することはできない。それからもう一つは、社会保障制度審議会の勧告の線もございまするし、そういう問題も、厚生年金保険があと二、三年のうちに出ますので、そのときに根本的に全体の年金として考慮しよう、こういうことでそういうふうな只今原案のような結果になつたわけでございます。それでこの結果につきましては、社会保険審議会船員部会で結論を得ました。三月に招集いたしまして、そうして被保険者並びに船舶所有者委員かたがたにも了承を受けておるような次第でございます。
  24. 上條愛一

    上條愛一君 もう一つお伺いして置きたい問題は、官吏恩給などにつきましては、最高制限がないと思うのでございますが、船員のごときは、御承知通り炭坑夫と同様に相当危険な業務に従事いたしまして、日本産業興隆に寄与しておるところの特殊の労働者であると我々は考えております。そういう非常に平素において重大任務に就き、而も危険を冒して産業興隆に寄与して参つたところの船員に対しまして、老後の養老年金を二万四千円程度において抑えるということが果して妥当であるか、どうかという問題であります。それからいま一つは、今の御説明によりまするというと、船員部会において了解を得たというお話であるのでありますが、これは私ども海員組合からも直接お伺いしておりまするし、又お手許にありまするところのこの改正案に対する修正意見によりましても、船舶所有者側意向といたしましても、この二万四千円というものが妥当でないという意見を強く述べられておるわけでありますが、この点についての御意見を一応承わつて置きたいと思います。
  25. 牛丸義留

    説明員牛丸義留君) 二万四千円が妥当であるかどうかという問題と、それから官吏恩給制限がないけれども船員養老年金制限が付いているという、この点でございますが、社会保険というものが只今制度といたしまして、一定の国庫補助というものがあるにはありますけれども、大体の仕組というものが保険料の徴収ということで賄われている今日といたしましては、私ども船員陸上坑内夫と同様に非常に危険な職務であるし、又海運の隆盛その他からいたしましても、高度の給付をやるということが適当であろうと思いますけれども、結局保険料との見合いということになりますので、これに高度の給付をやるとしますると、結局料率がそれに見合つて来なければならないような今日の社会保険制度でございますので、結局野放しで行くと法定料率が千分の二百十四というふうに船員保険法ではなつているわけでございます。それを今日では臨時国会で三十の料率を上げて、なお千分の百六十の暫定料率行つておりますので、結局この点との見合いで、こういう制限を付けざるを得ないのじやないか、こういうふうに存じておる次第でございます。それからその次の部会了承を得たということでございますが、これは私どもとしては、法案最後の案がこういう結果になつたということを御報告申上げましたが、その際に主として船員の被保険者の側から意向としては、二十一年の四月一日でやるということに対しては了承する。併し二万四千円については、我々としてはもうすでに海員諸君にもこの点を通達しているし、にわかに了承するわけには行かないということでございましたので、この点は丸山議員のほうにも御報告申上げておつたわけでございます。それから船主協会もこの修正意見書のように反対されておるわけでございますが、この点につきまして、これは今日船主協会のほうにも照会いたしましたけれども、結局この意見を出された趣旨は、ちよつと誤解があつたようなあれもありますし、過去の低いものだけを二万四千円で制限するのは、これは差支えないけれども、将来野放しにしても二万四千円以上になる人間ががこの法律によつて制限されるというのはかわいそうだ、そういうためにこの意見書を出したのだというふうなことでございましたので、結局そうなりますと、このたびの立法の趣旨も、当分の聞こういうふうな二万四千円の頭打ちということになりまして、厚生年金保険における養老年金が発生しますような時期になつたら、この問題は両方相互的に考慮されるということでございますので、この点の了解は付くのじやないかと、こういうふうに存じ上げておる次第でございます。
  26. 河崎ナツ

    委員長河崎ナツ君) よろしうございますか。
  27. 上條愛一

    上條愛一君 一応これ以上は意見になりますからやめます。
  28. 河崎ナツ

    委員長河崎ナツ君) それでは本法案審議は、本日はこの程度にいたしまして、次の議案に移りたいと思いますが、如何でございましようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 河崎ナツ

    委員長河崎ナツ君) それでは本法案の質疑は次回に廻します。   —————————————
  30. 河崎ナツ

    委員長河崎ナツ君) 次に、国民健康保険法の一部を改正する法律案議題といたします。御出席の提案者の代理のかたの御説明を求めます。
  31. 青柳一郎

    衆議院議員(青柳一郎君) 只今議題となりました国民健康保険法の一部を改正する法律案提案理由につきまして、御説明申上げます。  御承知通り、国民健康保険は昭和十三年に実施されまして以来、急速に普及発展いたし、今や社会保障制度の一環といたしまして、着々その成果を上げ、現在保険者数五千百、被保険者数二千五百万人となつているのでありますが、今回更に国民健康保険の運営を適正且つ合理的ならしめるため、次のような改正を必要とすることと相成りましたので、この法律案提案する次第であります。  この法律の改正の第一点は、国民健康保険の診療報酬を適正ならしめるため、これを審査する機関として、都道府県に一又は二以上の国民健康保険診療報酬審査委員会設置しようとすることであります。第二点は、特別の事由のある市においては、その市の一部の区域において、公営で国民健康保険を行い得る途を開こうとすることであります。第三点は、一部負担金を療養担当者の窓口で支払い得ることとし、又特別の事由のある者には、一部負担金を減免する等の措置を講じ得ることとしようとすることであります。  第四点は、今回地方税法の改正によりまして、国民健康保険を行う市町村は、保険料に代えて国民健康保険税を課し得ることとなりましたことに伴い、保険料に関する規定を整理しようとすることであります。  以上がこの法律の改正案の要点であります。何とぞ慎重御審議の上、速かに御可決あらんことをお願いする次第であります。  ちよつと速記を止めて頂きたいと思います。
  32. 河崎ナツ

    委員長河崎ナツ君) 速記を止めて下さい。    〔速記中止〕
  33. 河崎ナツ

    委員長河崎ナツ君) 速記を始めて……。それでは本法案審議は次回に廻しまして、本日は提案理由を伺うだけにとどめたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  34. 河崎ナツ

    委員長河崎ナツ君) 御異議ないと認めます。午前中はこの程度で休憩いたしまして……。ちよつと速記を止めて下さい。    〔速記中止〕
  35. 河崎ナツ

    委員長河崎ナツ君) それでは時間もございませんから、引続き開催いたすことにいたします。  先ほど長島銀藏委員から、遺族援護に関する小委員会を設けて、その委員の数は七人とし、選出の方法成規の手続を省略して、委員長指名によられたいとの動議がございましたのですが、この動議に御異議ございませんでしようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  36. 河崎ナツ

    委員長河崎ナツ君) 動議に御賛成の御意見がございましたから、異議ないものと認めます。  それでは遺族援護に関する小委員は左のかたがたをお願いいたしたいと存じます。山下義信君、中山壽彦君、常岡一郎君、谷口弥三郎君、松原一彦君、長島銀藏君、藤原道子君、以上七名でございます。よろしくお願いいたします。
  37. 谷口弥三郎

    ○谷口弥三郎君 私から緊急動議を提出したいと思います。実は前回の委員会において御採択を得ておつたわけでありますが、癩に関する小委員会というのを設けまして、その数を七名といたし、選出の方法成規の手続を省略しまして、委員長が指名することの動議を提出する次第であります。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  38. 河崎ナツ

    委員長河崎ナツ君) 御賛成の声がございますから、異議ないと認めます。それでは谷口弥三郎委員からの癩に関する小委員会を設けることにつきまして、その小委員会委員の数は七名とし、選出の方法成規の手続を省略して、委員長の指名によられたいとの動議がございましたが、この動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  39. 河崎ナツ

    委員長河崎ナツ君) 御異議ないと認めます。それでは癩に関する小委員会委員かたがたは左の通りにお願い申上げます。委員の名前を申上げます。谷口弥三郎君、松原一彦君、中山壽彦君、常岡一郎君、藤原道子君、上條愛一君、藤森眞治君、以上七名でございます。それでは今日の委員会はこれで散会いたします。    午後零時八分散会  出席者は左の通り。    委員長     河崎 ナツ君    理事            小杉 繁安君            有馬 英二君    委員            石原幹市郎君            中山 壽彦君            長島 銀藏君            上條 愛一君            藤原 道子君            山下 義信君            谷口弥三郎君   衆議院議員            丸山 直友君            青柳 一郎君   事務局側    常任委員会専門    員       草間 弘司君    常任委員会専門    員       多田 仁己君   説明員    厚生省保険局船    員保険課長   牛丸 義留君