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1951-03-27 第10回国会 参議院 厚生委員会 第19号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十六年三月二十七日(火曜日) 午前十一時六分開会 ————————————— 本日の会議に付した事件 ○
社会保障制度
に関する
調査
の件 (
戦争犠牲者遺族
の
援護
に関する 件) ○
船員保険法
の一部を
改正
する
法律案
(
衆議院提出
) ○
国民健康保険法
の一部を
改正
する法
律案
(
衆議院提出
) ○小
委員会設置
の件 ○小
委員
の選任の件 —————————————
河崎ナツ
1
○
委員長
(
河崎ナツ
君)
只今
から
厚生委員会
を開きます。
議題
に入ります前に、
山下議員
からお申出がございますので、そのことを伺うことにいたします。
山下義信
2
○
山下義信
君 最近承わりますところによりますと、
戦争犠牲者
、即ち
遺族
の
援護
に関しまする問題につきまして、極めて具体的なる措置、
方法
が他の
委員会等
におきまして、いろいろ
調査立案
の歩が進められてあるやに仄聞をいたすのであります。殊に今朝の朝日新聞を見まするというと、
厚生大臣
の談話といたしまして、極めて具体的なる発表がありましたことは、恐らく
同僚議員諸君
も御
承知
相成
つた
ことであろうと思うのであります。この
遺族援護
の問題は、すでに第五
国会等
におきましても、
周知
のごとく当
厚生委員
が
主唱者
になりまして、
全会一致
の
参議院決議
と相成り、又
衆議院
の
厚生委員諸氏
とも緊密な
連絡
の下に、
衆議院
におかせられても、特にこの点を強調せられた
決議案
とも相成りまして、この
遺族援護
の問題は
厚生常任委員会
といたしましては、重大なる懸案といたして、今日まで我々が熱心にこのことを
考え
来た
つた
問題でございます。殊に
遺族援護
に関しまする
請願陳情
につきましては、第一
国会
以来、当
厚生委員会
が
取扱い
来たりました問題でもございまするし、且つ又それらの
民間
の輿論或いは
民間
におけるところの
関係団体等
の諸会合に際しましては、常に
厚生委員
の
議員諸君
が出席をせられまして、或いは激励の辞を与え、或いは種々これらに対しまして、熱心にその主張を傾聴し参りましたところでございまする。本員は昨年七月
委員長
の重責を拝命いたしましたときに、当
厚生委員会
として、将来重大な問題として是非取上げなければならん
一つ
の
項目
といたしまして、
文章
にしたためまして、特にその
調査
につきましては、
厚生専門室
にその
趣旨
を申入れて置きましたような
経過
もあるのでございます。殊に昨年来、
同僚長島議員
が御当選に相成りまして、当
厚生委員会
にお迎えして以来は、特に
同君
の今日までの本問題に関しまするお
立場等
もございまする。院内におきまして、
是非同君
の宿志を貫徹いたすべく、
厚生委員会
は何らかの遂に出でなければならんように
考え
まして、私の
記憶
といたしましては、本年の一月、
厚生委員会
におきましても、その
懇談会
の席上で是非
遺族
問題は
厚生委員会
として強力に取上げようではないかという
申合せ
をいたしたように
記憶
をいたしておるのでございます。今日まで本問題につきましては、すでに皆さま御
承知
でございますから、ここに絮説を用いませんけれ
ども
、従来とも
厚生委員会
が不熱心であ
つたの
ではないのでありまして言うまでもなく無差別平等の
原則
の下に抑えられて来たのでございまして、諸般の
情勢
上、これらの
原則
も
変遷変化
をせざるを得ない
情勢
が昨年来から予期せられましたので、当然
厚生委員会
の問題と相成るべきものと私
ども
は覚悟もいたしており、その後も陰に陽に申して
参つて
お
つたの
でございます。然るに先刻申上げまする
通り
に、最近
国会
内の他の
委員会
におきまして、この問題を取上げまして、当
厚生委員会
としては、具体的に何らのこともないかのように聞いておるのでございますが、或いは又別に御準備に相成
つて
おるのかもわかりませんけれ
ども
、私といたしましては、非常にその点を不満に感ずるのでございます。従来それに対しましての本員の
努力
の足りませんところは、非常に悪魔に堪えないものでございますが、改めまして、どういうわけで
厚生委員会
でこの問題をお取上げになり、お進みにならなか
つたの
であるかということを、この
機会
に私は
委員長
にも伺
つて
置きたい。又当
厚生委員会
といたしましても、その点をはつきりして置いて頂きたい、かように
考え
る次第でございます。
長島銀藏
3
○
長島銀藏
君
只今山下委員
のお説の
通り
、私
ども厚生委員
としては、いろいろな四囲の事情がありまして、今日に相成
つて
お
つた
ということに間違いないのでございます。ここに
緊急動議
を提出させて頂きたいと思うのであります。
遺族援護
に関する小
委員会
を設けまして、その数は七名とし、選出の
方法
は
成規
の手続を省略して、
委員長
の御指名による
方法
をおとり下さるようなことにいたしたい、かような
動議
を提出いたします。
河崎ナツ
4
○
委員長
(
河崎ナツ
君)
山下委員
よりの御発言があり、丁度そういう御計画を
長島委員
が
考え
ておいでになりまして、今ああいうふうな
動議
をお
出し
にな
つたの
でありますが、
長島委員
の
動議
につきまして御
異議
ございませんか。御
異議
があれば御
意見
を承わりたいと思います。
山下義信
5
○
山下義信
君 私はどういうわけで、この問題を今日まで
厚生委員会
のほうでお
取扱い
にならなか
つた
かということを明らかにして置いて頂きたい。それは
厚生委員会
として明らかにして頂いてもよろしうございますし、
委員長
のお
考え
を承わ
つて
もよろしうございますので、一応その点を明らかにして置いて頂きまして、
長島議員
の
動議
のお
取扱い
にお移りを願いたいと存ずるのでございます。
河崎ナツ
6
○
委員長
(
河崎ナツ
君) 今
山下委員
の御
質問
でございましたが、
厚生委員会
といたしまして、
委員長
がどうしてその問題を取上げなか
つた
かということについての御
質問
でございますが、この問題を
長島議員
がいろいろお
考え
でいらつしやいましたから、適当なときに、そういうものが丁度適当な時期に形に
なつ
て来ますとき、適当な時期が来ると思
つて
おりまして、私もあの新聞を見まして、だんだん形がはつきりして来たと思
つて
おりましたのでありますが、特に皆様にお諮りいたしまして、積極的にこの問題をどうしようというところまで実は
行つて
おりませんでしたことは事実でございまして、
山下委員
といたしまして、或いは遺憾にお思いかも存じませんが、そういう次第でございます。
山下義信
7
○
山下義信
君 私が伺いましたのは、
厚生委員会
でこれを取扱う
意思
を私
ども
は持
つて
お
つたの
でありますが、最近の数カ月の間にお
扱い
の
意思
を放棄せられたのであるかどうか、或いは依然として、これは
厚生委員会
で大いに力を入れてやろうというお
考え
があ
つたの
かどうかという点を明らかにして置いて頂きたい、こういうことを伺いましたのは、私の責任もありまするので、
伺つたの
でありましたが、
只今委員長
の御
答弁
で、適当な時期にやるつもりであ
つた
ということでございますので、本員は
了承
をいたす次第でございます。つきましては、
只今長島委員
から、小
委員会
の
設置
の
動議
が出ましたのでございますが、大体におきまして賛意を表するにやぶさかでござませんが、念のために、
動議
の
提出者
であります
長島
君に私伺いますが、当
厚生委員会
で小
委員会
を作りました暁におきまして、現実に、すでに
在外
同
胞引揚特別委員会
でいろいろこれを取上げてや
つて
おりますることは
周知
の
通り
でございます。従いまして、当
厚生委員会
と
在外
同
胞引揚特別委員会
との間を如何にこれを
関係
付けて行くか、当
厚生委員会
は独自の
立場
で行くか、どうするかという方針をあらかじめきめて置かなければ、この小
委員会
を
設置
してよろしいかどうかということにつきましても、にわかに決しがたいようにも思われますので、その点
動議
の
提出者
であります
長島議員
におかせられましては、今後の小
委員会
の
運営
、延いては当
厚生委員会
として如何にこれを取扱
つて
行くかということに対してのお
考え
、お
見通し
につきましても、御
意見
を承わ
つて
置きたいと思います。
長島銀藏
8
○
長島銀藏
君 実は私も
引揚委員会
のメンバーの一員でございまして、或る日、
遺族
の
援護
の問題を
引揚委員会
で、丁度私が休んでおるときでございましたが、
扱い
を始めたということがわか
つたの
であります。それからその次の日に
特別委員会
へ参りまして、
引揚委員会
は、
昭和
二十四年の十二月三十一日を以て一応終りを告げる、そこでこの
特別委員会
をそのまま
遺族援護
に関する
委員会
に直す、こういうことを聞いておるがどうかというわけで聞きましたところが、そういうことに
なつ
てお
つたの
だが、
引揚げ
はまだ続けて行くのだということでございました。そこで然らば
遺族
問題に対して、現在取上げるということは、どの
程度
までを取上げて
行つて
、どういうことをや
つて
行くのかということを
質問
いたしましたところが、
遺族
問題について研究をして行くのだというような
意味合い
の御
答弁
がございました。そこで従いまして、私
ども
は
厚生委員会
といたしましては、事が大きい仕事になりまするので、当然
厚生委員会
で取扱わなければならない
意味合い
にも
考え
ておるし、又
厚生委員
の
委員
の
かたがた
もそう思
つて
いらつしやるかたが相当おるが、この
関係
はどういうふうにしていいかということも
質問
をいたしたのであります。それから最近におきまして、我々
厚生委員会
のほうで、この問題を取上げて小
委員会
を作
つて
行くということについて御
了解
を得たいということで、いろいろ打合せて参
つたの
でございますが、要するに小
委員会
ができました暁には、小
委員
の
かたがた
の御
意見
に従いまして、独自の
立場
で行くとか、或いは
連絡
をとりながら行くということをおき
め願
つた
らどうか、こういうように
考え
ておる次第でございます。
山下義信
9
○
山下義信
君 小
委員会
の
設置
の暁における
運営
のお
考え
につきましては、
只今
の御
説明
でやや
了承
いたしましたのでございまするが、これは
委員長
にもお伺いもいたし、又
同僚長島議員
にも御相談申上げるのでありまするが、私
ども只今
の
動議
には、先刻申上げましたように、大体賛成をいたす次第でございますが、もつと根本的な
厚生委員会
としてのとるべき態度を基本的に
一つ
きめまして、そして
在外同胞
との間の
調整等
につきましても、或る
程度
の
見通し等
も以ちまして、そして折角作りました小
委員会
でございますれば、或いは小
委員会
にしないで、直ちに本
委員会
というような
行きかた
もあるかもわかりませんし、又小
委員会
をやめて結構にも存じまするし、その辺は当
厚生委員会
でお互いに忌憚なく
一つ
御相談申上げ、私
ども
の会派にもよく話しまして、そして本当に
委員会
が
一致
いたしまして、この問題に当るような態勢で進む、こういう
了承
の上で私は
只今
の
動議
の御
採決
を頂けますればいいのではないか、かように存じまするので、折角
動議
をお
出し
下さいましたのでございますが、若干御
採決
は後刻にして頂きましたらば如何かと思いますので、お諮りをいたします。
長島銀藏
10
○
長島銀藏
君
了承
いたします。
河崎ナツ
11
○
委員長
(
河崎ナツ
君) なおこの問題につきまして、
山下委員
から御
提案
がありましたが、丁度
引揚同胞
のほうでもその問題を大分具体的に
考え
ておるようなこともちらちら聞いておるのでございますが、今
山下委員
の御
提案
のようなことは重要に
考え
て、よく見渡して行かなければならんと存じますので、ほかの
委員
のかたもお
考え
がございましたら、伺わせて頂きたいと思います。
山下義信
12
○
山下義信
君 先ほど私が申上げました
通り
に、直ちに
日程
にお入り下さいまして、本日の
日程
の御
審議
をお進めになり、適当な
機会
に休憩をいたしまして、
委員長
からお話し下さ
つて
、私
ども
に御
懇談
の
機会
をお与え下さいまして、続いて正式に
長島議員
の御
動議
の
採決
の議事にお入り下さるように希望いたします。
河崎ナツ
13
○
委員長
(
河崎ナツ
君) 御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
河崎ナツ
14
○
委員長
(
河崎ナツ
君) それではそういうふうに御
了承
願いまして
日程
に入ることにいたします。 —————————————
河崎ナツ
15
○
委員長
(
河崎ナツ
君)
船員保険法
の一部を
改正
する
法律案
、これにつきまして、
提案者
の
衆議院
の
丸山先生
がお見えに
なつ
ておりますから、
丸山直友議員
から
提案
の
理由
を御
説明
頂くことにいたします。
丸山直友
16
○
衆議院議員
(
丸山直友
君)
只今議題
となりました
船員保険法
の一部を
改正
する
法律案
を御
審議
せられるに当りまして、本
法案
の
提案理由
を御
説明
申上げます。 今回の
改正
の主眼とするところは、
養老年金支給額
の
増額
を図らうとすることでありまして、
現行法
では、
養老年金
の額の
計算
の
基礎
となる
平均標準報酬月額
は、被
保険者
であ
つた
期間
の全
期間
の
平均標準報酬月額
でありますが、これにより
計算
した
養老年金
の額は、他の
年金給付
たる
寡婦年金
(
鰥夫年金
)
遺児年金
と比較して、甚だしく不均衡を生ずることとなりますので
養老年金
の額を適正な額とするため、その
計算
の
基礎
となる
平均標準報酬月額
を、
昭和
二十一年四月一日以後の被
保険者
であ
つた
期間
の
平均標準報酬月額
といたしました。この場合において
養老年金
の額が二万四千をこえるときは、これを二万四千円といたしたのであります。その他
厚生年金保険法
の
関係条文
との
調整
をいたした次第であります。 以上が、
船員保険法
の一部を
改正
する
法律案
を今
国会
に提
出し
ました
理由
でありますが、何とぞ速かに、御
審議
の上、可決されますよう、お願い申上げる次第であります。
河崎ナツ
17
○
委員長
(
河崎ナツ
君) 右の御
説明
に対しまして、御
質問
ございましようか。
上條愛一
18
○
上條愛
一君 私は二点について御
質問
いたしたいと思います。第一は、
養老年金
の額を二万四千円で抑えるという
理由
は、これは主として財政的の
理由
によるとか、或いは
厚生年金
その他の方面の
調整
を
考え
られての案でありますか。この点
一つ
。
今一つ
は、
養老年金
の額の
計算
の
基礎
となる
平均標準報酬月額
については、当分の
間昭和
二十一年四月一日以後となるという
修正案
のようでありますが、この点について当分の間というのはどのような
意味
を含まれておるのか。その点、二点お伺いいたしたい。
丸山直友
19
○
衆議院議員
(
丸山直友
君)
養老年金
の頭打ちでございまする。二万四千、二万四千円にいたしましたということは、現在の
給付
の
実情
から申しまして、このままで参りましても、
昭和
三十一年にこの額に達するわけに
なつ
ておりまするが、現在の
給付
の
実情
から
考え
て、二万四千で抑えるのが最も
実情
に即しているということでございますのと、もう
一つ
は、
最高
で参りますると、四万九千二百円くらいまでも上るということの、
保険料
との
見合い
ということも
考え
ております。それから第二点の、
昭和
二十一年四月一日ということで区切りました
理由
は、御
承知
のように、お
手許
に差上げてございます
資料
の箱のような表を御覧下さいますとわかるのでございますが、
給与
に関するこの二十一年四月一日までが
戦時
の
給与
で、そのときに
給与
が
改正
に
なつ
ております。そのときを以て区切るとして、現状に即するようにするのが最も正しいのではないか、かように
考え
、
実情
に即する
意味
においても、その
意味
で四月一日で
切つた
、こういうような
理由
でございます。なお
財政的理由
かという御
質問
でございまするが、勿論この財政的の
保険料
との
見合い
ということを全然無視して、これを
考え
たわけではないわけでございまして、私
ども衆議院
においても、実際の
数字
に基きまして、いろいろ検討した結果これが一番適当であろうと
考え
た次第でございます。
上條愛一
20
○
上條愛
一君 なお御
質問
申上げたい問題は、
社会保険審議会
において、昨年十二月並びに本年一月において、この問題について
厚生大臣
から
諮問
がありまして、その
諮問
に対する答申といたしましては、
養老年金
の額の
計算
の
基礎
となる
平均標準報酬月額
は、
昭和
二十二年の十二月一日以降を
期間
とするというふうな希望とそれから
今一つ
は、二万四千円の頭打は妥当ではないという
意見
で、労使並びに
公益委員各界
の
代表一致
の要望であ
つたの
でありまするが、この
修正案
を出すに当りまして、十分この
社会保険審議会
と御
連絡
の上提出せられたのであるのか、どうかという点をお伺いします。
丸山直友
21
○
衆議院議員
(
丸山直友
君)
只今
の
社会保険審議会
の御
意見
というものは勿論考慮してございます。ございまするが、実は
衆議院
においてこの
改正
を
審議
いたしましたときには、正式のお申入れば頂いておらなか
つたの
でございます。然るに今日ここへ参りましたところ、
船員保険法
の一部を
改正
する議案に関する
修正意見
とも称するものが、
日本船主協会
から出ておるということを初めて
承知
いたしましてそれを
只今
拝見いたしたわけでございます。その中に
只今
の御
質問
の
項目
が入
つて
おるのでございます。その
文章
を拝見いたしますると、
厚生省事務当局
の
努力目標
というものが、二十二年十二月一日ということが謳われてあるわけであります。これは
努力目標
という言葉はどういう
意味
か私にはよくわかりませんが、二十二年の十月で一応区
切つた
らどうであるかということを
承知
して、一応これで私
ども
は
計算
して見たのであります。然るに二十二年の十二月を区切
つて
計算
いたしますると、
最高
の
年金
が八万六千四百八十円と相成るのでございます。実はここに書いてございまするその次の
船主協会
からお
出し
になりました
数字
には、若干私
ども
の
調査
いたしましたところと差異がございます。これはもつと金額が多くなりまして、八万六千四百八十円というのは実数であろうと
考え
ます。又そういうようなことでこの
文章
に対しては多少の、私
ども
といたしまして、私
ども
の承わ
つて
おりましたところとは多少の違いがあるということを感じておるわけであります。なおこの
審議会
のその当時
審議
せられました内容は、今ここに
船員保険課長
が事実その
審議会
に出席せられておりますので、その
実情
は詳しく
船員保険課長
から御
説明
申上げることとしたいと
考え
ております。
牛丸義留
22
○
説明員
(
牛丸義留
君) 私から
社会保険審議会
の
審議
の
経過
を御報告申上げます。この
養老年金
の額の
増額
の問題は、
臨時国会
に提出いたしました
料率
の
引上げ
の
改正
の問題と同時に、昨年の十一月に一番最初に
社会保険審議会
に諮
つた
わけでございますが、その後
大蔵当局
との
交渉
のまとまりが付きませんでしたので、とりあえず
料率
の
改正
を
臨時国会
において
政府提案
で提出いたしまして、それらの
関連事項
として、このたび
養老年金
の額の
増額
が出ておるわけでございます。それでこの問題につきましては、本年の一月におきまして、更に
社会保険審議会
の
船員保険部会
を招集いたされまして
審議
にかか
つた
わけでございますが、そのときの
審議
の
経過
を申しますと、
政府
の初めの
原案
は
昭和
二十一年の四月一日ということに
なつ
ております。それから二万四千円の問題は、その当時問題に
なつ
ておらなか
つた
わけでございます。それで
審議会
の席上、二十二年の十二月一日以降にしてくれということは、主として
全日本海員組合
の被
保険者代表
の
委員
のかたから申出でがございまして、私
ども
としてそのときにお答えしましたのは、二十二年の十二月一日と申しますと、大体この
資料
の
最後
の欄でもおわかりになるように、五百円から八千円の
標準報酬
の
とりかた
でございます。これによりますると、非常に高額な額になりますので、実際の
支給
として余りにも大きな
養老年金
が
支給
されるということになるので、
財務当局
との
交渉
がどうかと思うというふうな返事をいたしましたところ、そういう成果はとにかくとして、
政府
の
努力目標
をそこに置いて
一つ
交渉
してくれと、こういうことでございましたので、私
ども
もそれでは最大の
努力
をこの
目標
に置いて
交渉
しますということで
了承
を受けたわけでございます。その後
大蔵当局
とも
交渉
いたしましたけれ
ども
、二十一年の四月一日以降と言いますのは、この
養老年金
の額を
増額
する
趣旨
が、
戦時
中の非常に低い
標準報酬
を
計算
の
基礎
にされるのは今の時勢としては気の毒である、そういう
趣旨
でございますから、戦後の高い
標準報酬
にすべきじやないか、そうなりますと、
昭和
二十一年の四月一日というのが戦後において初めて
標準報酬
が改訂された時期でございますので、その点で抑えたほうがいいんじやないか、こういうふうな点が私
ども
としても
大蔵当局
との
意見
の
一致
を見た点でございますので、
昭和
二十二年の十二月一日以降としますと、どうしても予算の
関係
その他で非常に高額になる。そうしますと、全部を
国庫負担
で賄うという筋合のものでございませんので、
料率
にも
関係
があるということで、結局
昭和
二十一年の四月一日ということで
折合つた
わけでございます。それからそのとき二万四千円の問題も出ましたけれ
ども
、これも取りあえず全部が二万四千円以下でございますので、少くとも二万四千円まで
引上げ
るということが今日の
情勢
としては適当じやないか。これをいきなり五万円なり、八万円の
養老年金
の額まで上げますと、これから数年後には年度の加算が付きますので非常に大きな
養老年金
の額になる、そういたしますと
昭和
二十八年頃に
なつ
て、
陸上
の
厚生年金保険
の
養老年金
も出て参りますので、それとの
関連
がございまして、
船員保険
におきましては、
国庫負担
五分の一としましても、そう大した額でもないと思いますけれ
ども
、これが
厚生年金
の
陸上
の
尨大
な被
保険者
の
養老年金
との
関連
して来ますと、
尨大
な
国庫負担
になる、こういうふうな問題で、
一つ
は野放しにこの
増額
を考慮することはできない。それからもう
一つ
は、
社会保障制度審議会
の勧告の線もございまするし、そういう問題も、
厚生年金保険
があと二、三年のうちに出ますので、そのときに根本的に全体の
年金
として考慮しよう、こういうことでそういうふうな
只今
の
原案
のような結果に
なつ
たわけでございます。それでこの結果につきましては、
社会保険審議会
の
船員部会
で結論を得ました。三月に招集いたしまして、そうして被
保険者
並びに
船舶所有者
の
委員
の
かたがた
にも
了承
を受けておるような次第でございます。
上條愛一
23
○
上條愛
一君 もう
一つ
お伺いして置きたい問題は、
官吏
の
恩給
などにつきましては、
最高
の
制限
がないと思うのでございますが、
船員
のごときは、御
承知
の
通り炭坑夫
と同様に相当危険な業務に従事いたしまして、
日本
の
産業
の
興隆
に寄与しておるところの特殊の
労働者
であると我々は
考え
ております。そういう非常に平素において
重大任務
に就き、而も危険を冒して
産業
の
興隆
に寄与して参
つた
ところの
船員
に対しまして、老後の
養老年金
を二万四千円
程度
において抑えるということが果して妥当であるか、どうかという問題であります。それからいま
一つ
は、今の御
説明
によりまするというと、
船員部会
において
了解
を得たというお話であるのでありますが、これは私
ども海員組合
からも直接お伺いしておりまするし、又お
手許
にありまするところのこの
改正案
に対する
修正意見
によりましても、
船舶所有者側
の
意向
といたしましても、この二万四千円というものが妥当でないという
意見
を強く述べられておるわけでありますが、この点についての御
意見
を一応承わ
つて
置きたいと思います。
牛丸義留
24
○
説明員
(
牛丸義留
君) 二万四千円が妥当であるかどうかという問題と、それから
官吏
の
恩給
は
制限
がないけれ
ども
、
船員
の
養老年金
は
制限
が付いているという、この点でございますが、
社会保険
というものが
只今
の
制度
といたしまして、一定の
国庫補助
というものがあるにはありますけれ
ども
、大体の仕組というものが
保険料
の徴収ということで賄われている今日といたしましては、私
ども船員
が
陸上
の
坑内夫
と同様に非常に危険な職務であるし、又海運の隆盛その他からいたしましても、高度の
給付
をやるということが適当であろうと思いますけれ
ども
、結局
保険料
との
見合い
ということになりますので、これに高度の
給付
をやるとしますると、結局
料率
がそれに見合
つて
来なければならないような今日の
社会保険
の
制度
でございますので、結局野放しで行くと
法定料率
が千分の二百十四というふうに
船員保険法
では
なつ
ているわけでございます。それを今日では
臨時国会
で三十の
料率
を上げて、なお千分の百六十の
暫定料率
で
行つて
おりますので、結局この点との
見合い
で、こういう
制限
を付けざるを得ないのじやないか、こういうふうに存じておる次第でございます。それからその次の
部会
の
了承
を得たということでございますが、これは私
ども
としては、
法案
の
最後
の案がこういう結果に
なつ
たということを御報告申上げましたが、その際に主として
船員
の被
保険者
の側から
意向
としては、二十一年の四月一日でやるということに対しては
了承
する。併し二万四千円については、我々としてはもうすでに
海員
の
諸君
にもこの点を通達しているし、にわかに
了承
するわけには行かないということでございましたので、この点は丸山議員のほうにも御報告申上げてお
つた
わけでございます。それから
船主協会
もこの
修正意見
書のように反対されておるわけでございますが、この点につきまして、これは今日
船主協会
のほうにも照会いたしましたけれ
ども
、結局この
意見
を出された
趣旨
は、ちよつと誤解があ
つた
ようなあれもありますし、過去の低いものだけを二万四千円で
制限
するのは、これは差支えないけれ
ども
、将来野放しにしても二万四千円以上になる人間ががこの法律によ
つて
制限
されるというのはかわいそうだ、そういうためにこの
意見
書を
出し
たのだというふうなことでございましたので、結局そうなりますと、このたびの立法の
趣旨
も、当分の聞こういうふうな二万四千円の頭打ちということになりまして、
厚生年金保険
における
養老年金
が発生しますような時期に
なつ
たら、この問題は両方相互的に考慮されるということでございますので、この点の
了解
は付くのじやないかと、こういうふうに存じ上げておる次第でございます。
河崎ナツ
25
○
委員長
(
河崎ナツ
君) よろしうございますか。
上條愛一
26
○
上條愛
一君 一応これ以上は
意見
になりますからやめます。
河崎ナツ
27
○
委員長
(
河崎ナツ
君) それでは本
法案
の
審議
は、本日はこの
程度
にいたしまして、次の議案に移りたいと思いますが、如何でございましようか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
河崎ナツ
28
○
委員長
(
河崎ナツ
君) それでは本
法案
の質疑は次回に廻します。 —————————————
河崎ナツ
29
○
委員長
(
河崎ナツ
君) 次に、
国民健康保険法
の一部を
改正
する
法律案
を
議題
といたします。御出席の
提案者
の代理のかたの御
説明
を求めます。
青柳一郎
30
○
衆議院議員
(青柳一郎君)
只今議題
となりました
国民健康保険法
の一部を
改正
する
法律案
の
提案理由
につきまして、御
説明
申上げます。 御
承知
の
通り
、国民健康保険は
昭和
十三年に実施されまして以来、急速に普及発展いたし、今や
社会保障制度
の一環といたしまして、着々その成果を上げ、現在
保険者
数五千百、被
保険者
数二千五百万人と
なつ
ているのでありますが、今回更に国民健康保険の
運営
を適正且つ合理的ならしめるため、次のような
改正
を必要とすることと相成りましたので、この
法律案
を
提案
する次第であります。 この法律の
改正
の第一点は、国民健康保険の診療報酬を適正ならしめるため、これを審査する機関として、都道府県に一又は二以上の国民健康保険診療報酬審査
委員会
を
設置
しようとすることであります。第二点は、特別の事由のある市においては、その市の一部の区域において、公営で国民健康保険を行い得る途を開こうとすることであります。第三点は、一部負担金を療養担当者の窓口で支払い得ることとし、又特別の事由のある者には、一部負担金を減免する等の措置を講じ得ることとしようとすることであります。 第四点は、今回地方税法の
改正
によりまして、国民健康保険を行う市町村は、
保険料
に代えて国民健康保険税を課し得ることとなりましたことに伴い、
保険料
に関する規定を整理しようとすることであります。 以上がこの法律の
改正案
の要点であります。何とぞ慎重御
審議
の上、速かに御可決あらんことをお願いする次第であります。 ちよつと速記を止めて頂きたいと思います。
河崎ナツ
31
○
委員長
(
河崎ナツ
君) 速記を止めて下さい。 〔速記中止〕
河崎ナツ
32
○
委員長
(
河崎ナツ
君) 速記を始めて……。それでは本
法案
の
審議
は次回に廻しまして、本日は
提案理由
を伺うだけにとどめたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
河崎ナツ
33
○
委員長
(
河崎ナツ
君) 御
異議
ないと認めます。午前中はこの
程度
で休憩いたしまして……。ちよつと速記を止めて下さい。 〔速記中止〕
河崎ナツ
34
○
委員長
(
河崎ナツ
君) それでは時間もございませんから、引続き開催いたすことにいたします。 先ほど
長島銀藏
委員
から、
遺族援護
に関する小
委員会
を設けて、その
委員
の数は七人とし、選出の
方法
は
成規
の手続を省略して、
委員長
指名によられたいとの
動議
がございましたのですが、この
動議
に御
異議
ございませんでしようか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
河崎ナツ
35
○
委員長
(
河崎ナツ
君)
動議
に御賛成の御
意見
がございましたから、
異議
ないものと認めます。 それでは
遺族援護
に関する小
委員
は左の
かたがた
をお願いいたしたいと存じます。
山下義信
君、中山壽彦君、常岡一郎君、谷口弥三郎君、松原一彦君、
長島銀藏
君、藤原道子君、以上七名でございます。よろしくお願いいたします。
谷口弥三郎
36
○谷口弥三郎君 私から
緊急動議
を提
出し
たいと思います。実は前回の
委員会
において御採択を得てお
つた
わけでありますが、癩に関する小
委員会
というのを設けまして、その数を七名といたし、選出の
方法
は
成規
の手続を省略しまして、
委員長
が指名することの
動議
を提出する次第であります。 〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
河崎ナツ
37
○
委員長
(
河崎ナツ
君) 御賛成の声がございますから、
異議
ないと認めます。それでは谷口弥三郎
委員
からの癩に関する小
委員会
を設けることにつきまして、その小
委員会
の
委員
の数は七名とし、選出の
方法
は
成規
の手続を省略して、
委員長
の指名によられたいとの
動議
がございましたが、この
動議
に御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
河崎ナツ
38
○
委員長
(
河崎ナツ
君) 御
異議
ないと認めます。それでは癩に関する小
委員会
の
委員
の
かたがた
は左の
通り
にお願い申上げます。
委員
の名前を申上げます。谷口弥三郎君、松原一彦君、中山壽彦君、常岡一郎君、藤原道子君、
上條愛
一君、藤森眞治君、以上七名でございます。それでは今日の
委員会
はこれで散会いたします。 午後零時八分散会 出席者は左の
通り
。
委員長
河崎 ナツ君 理事 小杉 繁安君 有馬 英二君
委員
石原幹市郎君 中山 壽彦君
長島
銀藏君 上條 愛一君 藤原 道子君 山下 義信君 谷口弥三郎君
衆議院議員
丸山 直友君 青柳 一郎君 事務局側 常任
委員会
専門 員 草間 弘司君 常任
委員会
専門 員 多田 仁己君
説明員
厚生省保険局船 員保険課長 牛丸 義留君