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1951-02-15 第10回国会 参議院 厚生委員会 第6号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十六年二月十五日(木曜日) 午後二時二十八分開会 ————————————— 本日の会議に付した事件 ○
社会保障制度
に関する
調査
の件 (
覚醒剤
に関する件) —————————————
河崎ナツ
1
○
委員長
(
河崎ナツ
君) お待たせいたしました。それではこれから
厚生委員会
を開きます。 今日は
覚醒剤
につきまして
参考人
のかたがたから
お話
を伺うことにな
つて
おります。最初に
都立松澤病院長
の
林先生
から
お話
を伺います。
林しよう
2
○
参考人
(
林しよう
君) 簡単に今申上げましたことをもう一遍
ちよ
つと繰り返しますが、私
ども
がこの
覚醒剤
の
中毒
の
患者
に気が付き出したのは、大体
昭和
二十二年からでございますが、
松澤
でも実際入
つて
来た
入院患者
というのは、二十二年が一人、二十三年が一人というくらいでございます。二十四年から少し殖えて来まして九名、これは全新
入院患者
五百五十九名中の九名でございます。二十五年が五百六十六名中三十一名、今年にな
つて
はまだ二人しか入
つて
おりません。そういう
状態
でございます。女は今まで全部で四名のみでございます。これは申上げるまでもなく、
覚醒剤
というのは、大体が
催眠剤
の反対の
作用
をするような、眠りを去
つて疲労感
を
感じ
なくさせるというような薬でございますけれ
ども
、
中枢性
の
興奮剤
なのでございますが、そのほかにまあ個人的にかなりいろいろな
違つた作用
がある。主観的な
感じ
というのは個人的にかなり違
つて
おります。これによ
つて
非常に酒を飲んだときのような快感を
感じ
やすい人が余計
習慣性
になりやすい。直接命にかかわるような毒性はそれほど目立たないので、かなりだんだんに大量に刺すようにな
つて
し
まつ
たということが困るのでございます。そういつた個人で、同時にまあ私
ども
がその人の
性格
を見ておりますと、私
ども
の一口に言う
意思薄弱
、いわゆる一貫した
目的
のある
生活態度
のとりにくい人、すぐ目先の環境にいろいろな
影響
を受けて、すぐ
意思
が左右されてしまう。それによ
つて
多少
あと
まで
目的
なり、一貫した
生活態度
のとれぬというような人が余計こうした
習慣性
になりやすい。大抵まあ
麻薬中毒
の場合でもそうでございますが、
慣性中毒
にな
つて
おる人というのは、先ず殆んどすべてが一種の
性格
異常を持
つて
おる人と
言つて
も差支えない。それだけに
あと
の扱いや何かが余計むずかしくなるというわけでございます。いわゆる不良の
仲間
とか、ぐれんたいとか、或いは博徒、やくざという
仲間
にこういうのが多いというのも、
一つ
は
仲間
にそうした
性格
の人が余計寄り集ま
つて
しま
つて
おる。
手取
早いことをやるのにやりいい
世界
へそういう人が寄り集
つて
来る。
従つて
そういう
世界
ではどうしてもこうした
中毒者
が一人入ると、余計又それが広が
つて
、すぐそうな
つて
しまうということになるのだと思います。で、まあ大体私
ども
これは
注射
でやるということは殆んど必要ないと
思つて
おつたのですが、大体
注射剤
がこう使われるのは、恐らく
日本
だけのことだろう、私
ども
がまれに
医薬
として用いる場合も殆んどこれは
内服
で済ます、
内服
のほうがむしろ使うのに普通の
やり方
だと恩
つて
おりました。これが非常に
注射
がはやる。又私らは針を刺して
注射
するということに
一つ
の魅力を持
つて
おるので、余計やりたがる。又実際
作用
も早ようございますから、一遍味をしめると、
手取
早いからどうしても
注射
する。それで一度に十筒とか、ときには二十筒ぐらい刺すというような人まで出て来て、一日それを数回繰返す。で、だんだんこれがなくてはもの足りない
状態
になりまして、こうした禁断
症状
その他のことは、又
竹山
さんのほうから
一つお話
を頂くほうがいいと思います。併しそれを繰返して行くうちに、だんだんしよつちゆう
落着き
のない、それから気の早い或いは短気な、そうしてふだんならば遠慮してやらないようなことを、すぐ
手取
早くや
つて
しまう、軽率の
状態
、
犯罪
的なこと、いろいろなゆすり、たかりというようなことから、掻つ払いというようなことまでや
つて
おると、余計
手取
早くやりいいというような
状態
、そういう
状態
だけのほかに、或る人は少くとも二、三十ミリのものを一日に刺しておるという人が、一月ぐらい刺すうちに、或いはもつと遅く出る人もございますが、明らかに私
ども
が異常とするような
精神症状
が出て来る。それの一番多いのは
幻覚
、殊に耳に聞えて来るというもの、
ちよ
つと
分裂病
の或る時期に似たような
状態
になりまして、大抵
自分
の
悪口
とか、それから
批評
とか、指図というようなことが聞えて来る、ああしろ、こうしろと言われるとか、
悪口
を言われるとか、それから
批評
をされるというようなことです。それから人によりましては、目に見えて来る人がこの頃まれにございます。大抵はこれは細かいものが虫に見えるという人が多うございます。で、まあ
天井
から細かい虫が落ちて来る、それで痒くてかなわんとか、体を刺されるとか、非常に
落着き
がなくなります。それから
天井
から毒が降
つて
来るとかいうような人もおりまして、もう大騒ぎをや
つて
家中掃除する。
天井
を外してしまう。成る人は折角建てた新らしい家を壊して、十間ばかり引ず
つて
建てたというような人もおります。これは
奥さん
と二人でや
つて
、両方ともそうな
つて
おります。何か
奥さん
が羽目板を洗
つて
いるから何をしているというと、虫がいて
しよう
がないから、洗
つて
いるというようなこと、これは或る文士の人でございますけれ
ども
……。それから私の知
つて
いるお医者さんで、そういうのがおります。こみを
拾つて顯
微鏡でばかり見ている。
しよう
がなくて困
つて
いるのですが、ごみを
拾つて
は顯微鏡で見て、虫だと
言つて
、論文を書くと言い出したので困り出した人がおります。非常に
落着き
がなくな
つて
短気にな
つて
おります。
患者
が来たときにはどうにかや
つて
おるようでございますけれど、そういうような目に見えて来たり、耳に聞えたり、同時に非常に疑い深くなりまして、何でもないことが一々
自分
の
悪口
や、それから
自分
に対する悪意にとれて来る。そういうところから嫉妬、
妄想
と私
ども
は
言つて
おるのですが、夫婦がお互いに相手を疑い出すというようなことが起
つて
来る。こんなことから、つい
犯罪
的ないろいろ傷害や、場合によ
つて
は殺人、放火というようなことが出て来る人もある。そういつた例の鑑定を私
ども
ときどき
仰せ付
か
つて
困
つて
おります。恐らく七、八例は十分ある、十例くらいあつたかと思いますが、私
ども
は
仰せ付
か
つて
おります。一体こういつた本当の
精神病
的な
状態
になる人が
松澤
に大体入
つて
来ておる
状態
であります。これがどのくらいの率になるかは、私
ども
は確言することはできないのでありますが、その辺は
竹山
君のほうの調べた
材料
ではつきりするかと思いますが、二、三〇%くらいあるで
しよう
か、如何で
しよう
かと私は
思つて
おります。ともかくこれほど
慢性
に
中毒
の
状態
が起りやすいということは私
ども
考えなかつた。大体
注射
で余計起りやすいのか、どうかということも問題でございますが、私
ども
の経験では、
錠剤
を飲んでおりまして、一日に五、六十錠から百錠飲んでおるという人がありますが、その人はやはり同じような
幻覚
を起して来たのを知
つて
おります。恐らく飲むものでも起り得ると思います。ただ殆んど飲む人には
慢性中毒
の人がございませんから、なかなか出て来ないだけだと思います。それから
内村先生
なんかの御
意見
でもあるので、
一つ
申上げて置きますが、私
ども医薬
として使わぬわけではございません。併し比較的
応用
の
範囲
は狭いものでございます。抑鬱症なんかの場合に使う、これは使い方が非常にむずかしいような気もいたしますが、や
つて
いい場合もあります。そういう場合に使うこともございますし、それからまあこれはまれな
病気
でございますが、ナルコレプシイというのでございますけれ
ども
、
睡眠発作
、
発作
的に眠くな
つてしまつてばつ
たり倒れる、倒れるところまで行かないでも眠くなる人がございます。癲癇に近いような
病気
で、
ちよ
つと違いますが、そんな場合にこれを使うと非常によろしいので、昔から使つたりいたしております。それは多少実験的な
意味
では私
ども
実は
ちよ
い
ちよ
い使
つて
おるのでございます。
分裂病
の人の診断の場合に成る分量を与えて見たりすることもございます。こうした
中枢系
の
興奮剤
というものは比較的例が少いので、これからまだいろいろ
応用
の
方面
もあるのじやないかと
思つて
おります。そういう
意味
で、これは絶対に作らぬようにするということには、私
ども
は多少危惧を持
つて
おる、まだ
研究
的の
材料
として使う余地がある、むしろ
製造
をやめましても、実際今のように
中毒者
が跋属しておるときには、やはりどこかで作
つて
しまう。なかなかこれは
取締
ることがむずかしい。むしろそれと同時に
使用
の
方面
を少し
嚴重
に
取締
る工夫がないだろうか。それでむしろこれは少し検討の上で、何か
麻薬
に準じて扱
つて
頂きたい、不法な
使用
というものは罪になるようにして頂きたい、そう考えております。実際
麻薬といつて
も、これは
モルヒネ
の
類い
ばかりではない、
コカイン
も入
つて
おります。
大麻
というものも入
つて
おります。
コカイン
というものは大体
ヒロポン
の
類い
の
覚醒剤
に非常に似た
作用
を持
つて
おります。
コカイン
もこのようにやはり耳に聞えて来るのがございます。まれですから、二、三例しか見ておりませんが、同じようでございます。それとやはり眠気だの
身体
のだるいというのは
コカイン
でとれる、
モルヒネ
をや
つて
お
つた人
が同時にこれを併用して、そういう
状態
に
なつ
たというのを二、三例見ておりますが、非常に似ております。同じような
意味
で何とか
麻薬
に準じて扱えないか。ただ
慢性中毒
という
状態
が
モルヒネ
のほうでは多いのでございますけれ
ども
、
モルヒネ
ほどはつきり掴みにくい。
身体症状
というものがそれほどはつきりいたしません。その辺についての
取締
の仕方とか、何かも考えなければならんと思います。その辺は又実際
法規
をどうきめるかという問題のときに考えて頂きたいと思います。一応このくらいにして置きます。
河崎ナツ
3
○
委員長
(
河崎ナツ
君) 一応皆さんから伺いますか……。それでは実際になお又御
研究
も重ねて
おいで
になります
慈恵医大精神学教室
の
竹山先生
にお願いします。
竹山恒壽
4
○
参考人
(
竹山恒壽
君) 私
慈恵医大
の
竹山
でございます。本日お求めに応じまして、
覚醒剤
の
医療
上の
必要性
、それから
中毒
の
状況
、
社会的影響取締
というようなことに関しまして、私
ども
の
意見
をお聞き下さる
機会
を得ましたことは光栄に存ずる次第であります。 本来
覚醒剤
と申しましても、
プロパミンメチルプロパリン等
は
覚醒アミン
或いはアンフエタミンと呼ばれてみるものでありましてこれは
医療
上にどういうふうな場合に使うかというふうなことでは、割合に
範囲
が狭いのであります。普通に
覚醒剤
が使われるような場合は、
先ほど
も
ちよ
つと
お話
がありましたが、
ナルコレプシー
という
睡眠
の
発作
、これは非常に稀な
病気
であります。この
ナルコレプシー
それから抑
欝症
、低
血圧
、それから急性の
催眠剤
の
中毒
、そんなふうな場合に使われますが、あまり確実なものではありません。
覚醒アミン薬効
というのは、
中枢神経興奮作用
、それから
血圧上昇
の
作用
であります。今申上げましたような疾患に使いまして、それほど著明な
効果
を出すものでもなく、又そのような場合には代用となり得る
薬品
もあるのであります。これ以外に
覚醒アミン
が使われますのは、
疲労
に際してその
疲労感
を除去するという場合に使うことがありますが、
疲労
というのはそもそも
病気
ではないし又
覚醒アミン
はこの
疲労
を直す薬ではない。一時的に
疲労感
を忘れさせる、から元気をつけさせるというだけの薬に過ぎないのであります。このほか
アメリカ
などはこの
覚醒剤
を使
つて
いるのは痩せ薬に使
つて
いる。それは長く使
つて
おりますと、
食慾
がなくなり痩せて来ることがあるからであります。で医師はこの
覚醒剤
を治療上の必要があ
つて
使う場合は非常に少いのであります。
覚醒剤
の大
部分
は、
覚醒剤耽溺者
がこれを使
つて
いるのであります。頂きましたこの
調査資料
にあります厚生省の「
覚醒剤
の
医療消費方面
の
使用
」、こういうふうなものも実際に純粋に
医療
上に使われていた数が出ていたとは思われないのであります。
医療
上に使われるのは、
先ほど林先生
が言われました散剤或いは
錠剤
の一部のものが使われておるに過ぎないのじやないかと推定されるのであります。 それで
中毒
の
状況
はどういうふうになるかというのは、
医療
上の
目的
でなくて、このような
覚醒剤
を人がなぜ使うかという問題になるのでありますが、成るほどこれを使う人間は
意思
の弱い人、軽はずみの人が多いのでありますが、ともかく使
つて
おるうちに
人格
の
変化
が起
つて
来る。人が
覚醒剤
を使う
目的
で一番多いのは娯楽的な
夜業
、例えば麻雀だとか賭博だとか、そういうふうな娯楽的の
夜業
のために使い、或いは
好奇心
に基いて使い始めるのが一番多いのであります。それに続いては学生の
試験勉強
だとか中には
麻薬中毒者
が
麻薬
の代用品としてこれを使
つて
行くような場合があります。これを使
つて
行きますうちに
習慣性
を生じて、使わないと何となくもの足りなくなる。これを得るために
自制心
がなくなり、反社会的な行動も発して来るようになる。こういうふうな
覚醒剤
の
常用者
、これを
慢性
の
覚醒剤中毒
と呼んでおります。
慢性覚醒剤中毒
の場合にどういうことが現れるかといいますと、
三つ
ばかりは
特長
があるのでありますが、第一には
覚醒剤効果
が持続しておるということ、それは
落着き
がなくなりいらいらし、全般的に
刺戟性衰弱
というような
疲労状態
を呈して来る。第二には
覚醒剤
が切れて来ると初めのうちはやめて二、三日間ぼうつとして眠い
状態
が続く。その
あと
では逆に眠れなくなりだるくなる。そうしてそれが暫く続いた
あと
に治るのであります。併し中には切れて来るときにいろいろと
幻覚
が起り
朦朧状態
を呈して来る場合があります。それと第三の
覚醒剤常用者
の
特長
は、
覚醒剤刺戟
の固定ということ、
覚醒剤
を得るためにはどんな非道徳なことでもや
つて
のける。家庭的にも社会的にも問題を起すことがあり易い。この
薬品
を獲得
しよう
とするときには激烈な飢餓の感を以てこれを要求する。こういうような
状態
が成立するのであります。これが
覚醒剤
の
慢性中毒者
であります。更に彼らが
覚醒剤
を用い続けで行くと、この上に
覚醒剤
の
中毒性精神病
というものが起ります。
覚醒剤中毒性精神病
が起るのは
中毒者
の七五%に相当するほど数が多いものでありまして、この点
麻薬
などよりも遥かに
害毒
が大きいものであるということができるのであります。この
覚醒剤中毒性精神病
にもいろいろな型がありまして、最も多い者は
幻覚妄想
型でありまして、
精神病状態
にな
つた者
の約八五%がこの
状態
であります。それは
先ほど
も言われました
通り幻聽
、ないものが聞えてくる、人が
自分
のことを呼んでいる声がはつきりと聞えてくる。それから幻視、これは初め錯覚のように起
つて
参りまして壁の
しみ
だとか、
天井
の
しみ
だとか、そういうものが小さい虫や或いは小さい動物が動いているように見えたり、人の顔が化物のように見えてくる。こういう
幻覚
が起りまして
被害関係妄想
が起
つて
くる。
自分
が人に噂される、迫害される、附け狙われる、
ことごと
に意地悪をされるような
妄想性
の
幻覚
が何事によらず起
つて
来るようになるのであります。この
幻覚
や
妄想
を起す数が一番多いのでありますが、その外に譫妄型といいまして意識が鈍くなり、いろいろな
幻覚
が出没し、興奮してめちやくちやなことをや
つて
のける
状態
に陥ることがあるのです。これは直ぐに治りますが、反復して来る場合が多いのであります。その外に、まだ
中毒性精神病
として考えられるのは、
記憶
が非常に悪くなりぼんやりして来る。周囲の認識もうまくできなくなり、
自分
の家族のものの名前も忘れてし
まつ
たり、これが誰であるか認識できなく
なつ
たり、経験した出来事を直ぐ忘れてしまうというような
記憶
不良を主として呈する型が稀にはあるのです。
中毒性精神病
の型は、大体今の
三つ
ぐらいの型でありますが、これは
覚醒剤使用
を中止すれば、やがては治るものでありますけれ
ども
、中にはこの
精神病状態
が固定されておりまして、やめた後も数カ月間これを続けている場合もあります。私
ども
の例で最もひどいのは一年後の現在なお
関係妄想
がありまして、警察で
自分
を附け狙
つて
おる、そのためにそれの
防禦手段
として非常識のことをしてしまうというような例があります。けれ
ども
このようになるのは多少素質的にも問題がある場合だと思います。併し
覚醒剤
がそれを運用して
精神病状態
を起すことが非常に多いものであるということは紛れもない事実であると思います。 次に
社会的影響
でありますが、これは
先ほど
も
お話
があつた
通り
やはり
犯罪面
に
関係
して来ることが一番多いのであります。
覚醒剤運用者
は
人格
の
変化
が起
つて
来、怒りぼく、だらしなく、無軌道の
生活
をやる。社会的の覊絆を問題としなくなり、
自制力
がなく、
覚醒剤獲得
の
行為
をするためにそれが
犯罪
と呼ばれるようなことにな
つて
しまうことがある。
覚醒剤中毒者
の癖として
自分
が使
つて
おるだけでなく、これを他人にも勧めるという
傾向
が著しいのでありまして、そのために
模倣性
がある
青少年
はたやすくこの悪癖が染りまして、彼らが
中毒者
の群を作
つて
おることが多いのであります。この
中毒者
の群というのは
自制心
を
失つた者たち
の集りでありますから、たやすく
犯罪行為
にまで発展してしまう。
中毒者
が
犯罪
に
関係
して来るその
関係
の仕方は二
通り
ありまして、我々が今まで
覚醒剤中毒
を鑑定した場合に見られる
傾向
は二つある。その第一のものは、
覚醒剤
を欲しいがその費用がないために金品を窃取するというような場合。第二には
覚醒剤中毒
の結果、
幻覚
や
妄想
がありまして、それに基いて
行為
が発し且つ
妄想状態
でめちやくちやなことをやつたり乱暴なことをや
つて
しまう。つまり
精神病
の結果としての
症状
が
犯罪
と呼ばれてしまうことがある。この二つの場合が
犯罪
に
関係
して来るものであります。それから
社会的影響
で無視できないものは、これは直接
覚醒剤
に
関係
しておりませんが、
麻薬取締法
を運営しておりますかたたち、警察官であるとか、検察官であるとか、
麻薬取締官
であるとか、そういう
人たち
が
覚醒剤中毒
が存在しておるということで非常に困難しておる。それは
麻薬中毒者
は御
承知
のようにそれは違法であるとされますが、彼らを検挙した場合に大概の者は、いや
自分
は
ヒロポン中毒
ですと言い張る、そのためにこれがよほど慣れた
専門家
でないと
鑑別
がむずかしくなる、
専門家
であ
つて
も
鑑別
がむずかしいことは多々あるのであります。そういうようないろいろな
影響
が社会的にはありますが、
覚醒剤
の
中毒
、これをなくするにはどうしたらいいだろうかというふうなこと、これを我々がふだん考えておりますことをこの
機会
に申上げさして頂きますれば、いろいろな
やり方
があると思います。その
一つ
は
薬事法
で
劇薬
としての
取締
りを厳重にやるかどうかということであります。併し現在この
薬事法
の励行というのは非常に不徹底な実情にありまして、更に
薬事法
では
薬品取扱者
以外は毒薬、
劇薬
を不当に譲渡し、
所持
し、
使用
することを特に
規定
しておりません。それに
販売業
や
製造業者等
の
取扱者
が
薬事法違反
を犯した場合に対する罰則が非常に軽いのであります。そういうふうなことから
薬事法
で
取締
るということが余り
効果
を期待できない。 第二の案として
麻薬取締法
に
麻薬
としてこれを追加指定したらどうかということであります。御
承知
のように
麻薬取締法
の第一條三項で新らしくこういうような薬を追加して指定することはできるかという問題になるのでありますが、成るほど
覚醒剤
は
習慣性
があり、濫用される虞れがあり、
害毒
もあるという点で
麻薬
と同様、或いはそれ以上の
害毒
を持
つて
いるのでありますが、本質的には阿片、
コカイン
、
大麻
というような
麻薬
と違うものでありまして、
麻薬
扱いするのは、
麻薬
というのは国際的に関連がある問題でありますので、特に
日本
だけがこの
覚醒剤
を
麻薬
として扱うことは如何なものかとも思われます。 第三の案として、
麻薬取締法
に準ずるような何か
法規
があればどうかということなんであります。このことに関連しまして思い出されますのは、
アメリカ
で第七十八
議会
以来
ロジヤース夫人
が
催眠剤
を
麻薬
と同じように取扱う
法規
を作れという運動をしておることであります。
日本
では
覚醒剤中毒
が非常に問題にな
つて
おりますが、
アメリカ
では
バルビツール酸属
の
催眠剤中毒
の問題が非常にやかましくな
つて
おる。これは
日本
でもぼつぼつと近頃は見られるようにな
つて
参りましたが、
覚醒剤
の
中毒
と同じように激烈な
精神症状
を出すことがあるものでありまして、
日本
では現在のところ
覚醒剤
の
害毒
に圧倒されておりまして、
催眠剤中毒
というようなものが比較的わからないでおるのでありますが、
アメリカ
ではこのためにいろいろの事故或いは
犯罪
が頻発しておるのであります。これを絶滅するために
ロジヤース夫人
なんかが毎年
議会
に出しましてこれの
取締法規
を作ろうとしております。そうして
ロジヤース夫人
の言うのは、やはり
麻薬取締法
に準ずるようなものを作れ、向うの
連邦麻薬條例
、これに準ずるようなものを作れということを主張しております。この考え方が
日本
における
覚醒剤
にもそのままに適用されるのではないかと思われます。
麻薬
と
覚醒剤
と比べますと、
麻薬
の場合にはその
医療
上の
必要性
が
覚醒剤
とは比べものにならないほど大きいのであります。それにもかかわらずその
害毒
を認めてこれを
嚴重
に
取締ろう
というのは国際的な取りきめにな
つて
おります。併し
覚醒剤
は
医療
上の必要が
先ほど
申上げましたように甚だ少い、それにもかかわらず
害毒
は
麻薬
と比較できないほど大きいということで、やはりこれは当然何らかの
法的措置
がとられる必要があるのではないかと思われます。
麻薬取締法
に準ずるようなものができるとしますると、我々が希望いたしますのは、この
覚醒剤
の原料の
輸入
、
製造
、
販売
、譲渡、
所持
、
使用
に関して適当な
規定
ができることが望ましいのであります。
麻薬
以外に特に
嚴重
なそういう
規定
を作るということは、單に
覚醒剤
だけではなく、将来必ず起ると思われる
催眠剤
の
中毒
に関しましても、やはり同じようなことが考えられるようになるのではないかと
思つて
おります。そういう
覚醒剤
を
取締
る
法規
というのは
取扱者
を
嚴重
にきめ、
取扱者
でなければ
輸入
も
製造
も
販売
も管理も
研究
もできない、彼らだけが今申上げましたような
行為
を行なうことができ、そうして彼らが登録され、このような
行為
を記録し、且つ報告する義務があるというようになれば理想的だと思います。そうすれば
取扱者
でない者はこのような
行為
ができなくなる、
従つて中毒者
のような非
取扱者
、これはやはり
覚醒剤
の
所持
とか
使用
とかできないことになるのでありまして、今申上げましたようなことが
麻薬取締法
に準ずるような
法規
を制定される場合に望ましい事柄だと考えられるのであります。現在
覚醒剤
は大
部分
が
中毒者
によ
つて
使われておりまして、
害毒
も甚だ大きいところから、この問題を取上げられまして御検討下さることに関しまして、我々
麻薬
や
覚醒剤
の
中毒
を
研究
しているものにとりまして、非常に感謝に堪えない次第であります。
河崎ナツ
5
○
委員長
(
河崎ナツ
君) 有難うございました。それでは
防犯
のほうの、
犯罪
の
方面
から
覚醒剤
に
関係
いたしましてのいろいろと当面して
おいで
になります
警視庁防犯部少年
第二課長の
山本
さんにお願いいたします。
山本鎭彦
6
○
参考人
(
山本鎭彦君
) 私
山本
でございます。時に
好奇心
と
模倣性
が強くて
自制心
の弱い
青少年
に対する
覚醒剤
の害というのは非常に多いわけであります。私
ども
の取扱
つて
おる数も相当ございます。その中の大体の
症状
というものを
ちよ
つと先に申上げますと、これは直接私
ども
調べたものを大体まとめたものでございますが、
ヒロポン
など初め打つと、暑い夏には涼しくなるし、冬は温かいと、こういうような
感じ
を受ける。まあ口が唾でねばねばして来る、又
たばこ
をのんでもうまくない、どんな
たばこ
をのんでもうまくなくなる。
食慾
もなくなる。
反抗心
が強くなる。
ちよ
つとしたことにも気がむらむらして人を疑うようになる。落付がなくなる。話をしてもちぐはぐにな
つて
まとまりがなくなる。
憂欝
になる。
記憶力
が減退して来る。
神経衰弱
にな
つて
来る。
自分
を卑下する。人によ
つて
は狂暴性を帯びて来る。それから多くの
中毒
患者
で最近偽造品を相当使う
関係
上熱を出したり、ふるえが出たりする。又
注射
するために
注射
器が不潔であるのでごみが入
つて
、又人の使つたものを使つたりするのでやはりふるえが出て来る、こういうような現象が現れて来る。それで結局肉体的に
中毒
症状
、禁断
症状
、こういうものが出て参る
関係
上一種の生ける屍のような恰好にな
つて
参ります。そうして経済的に一本か二本であるならばこれは小遣いでも買えますが、十本、十数本になりますと、百円、二百円となりましてどうしても経済的にも参つりて来て、家財を持出し、その結果窃盗その他
犯罪
が起き、そうして一生を誤まり、その一家を不幸のどん底につき込む、このような例が多数ございます。これを
先ほど
委員長
さんの許へ差上げましたが、
覚醒剤使用
者
調査
表というのがございまして、昨年一カ年間のまと
まつ
たものがございます。これは未青年者だけでございますが、これを私
ども
の扱つた数だけ見ましても総計二千九百二、十才以下は五名、十一才が二十八名、十二才が七十名、十三才が百二十三名、十四才が百三十八名、十五才が二百十九名、十六才が三百九十二名、十七才が六百十六名、十八才が六百六十八名、十九才が五百十四名、二十才一百二十九名とな
つて
おりまして、男が二千三百八十四、女が五百十八とな
つて
おります。一番多いのは十七、十八、十九が多いのでありますが、なお十才以下、十一、二というのは、これは浮浪児その他にこういう現象が多いということを示しております。そうしてこれが原因とな
つて
特に
犯罪
なり不良化したもの、それもそこに挙げてありますように、殺人が一件、強盗十に、窃盗五百七十九、恐喝百四十一、詐欺横領八十七、たかり三、賭博五十、諸法令違反百六十八、家財持出三百二十三、家出百三十三。これらの数は直接
覚醒剤
を原因としての
犯罪
なり、不良
行為
に走つたというものの数でありまして、全体の数から見て一番多いのは家財持出であります。これは大体家財持出の二〇%ぐらいが
ヒロポン
の金欲しさということにな
つて
おります。そのほか賭博、恐喝というのが多うございます。これが私
ども
の大体扱
つて
いる数でありまして、全体の
犯罪
なり不良
行為
なりの数から見ますれば、大体七、八%ぐらいではないかと考えられます。これは
先ほど
も申上げましたように、未成年者だけでありまして、これが成人のほうの数というものは大体この倍くらいになるのであります、
犯罪
についてですね。
犯罪
にならないその数になりますと、この十倍くらいと我々は大体ふんでおるのであります。 それでは第二点はこういうような
青少年
に害を及ぼし、国家の未来を危くするような結果も生じかねない。こういうような
覚醒剤
の
取締
の盲点はどこにあるか。
医療
上どうしても必要であるというのなら、これはいたし方がありませんが、第一点は少くとも我々の考え方から申上げますならば、
覚醒剤
つの
製造
を禁止して頂きたい。少くとも
注射
液の禁止をお願いいたします。
先ほど
も
お話
がありましたように、この
注射
液を打つということに非常に快感を覚え、
好奇心
を持つのでありまして、ひどいのになりますと、ただ
注射
を打
つて
……水を打つただけでいいのでりありまして、食塩水みたようなものを打
つて
置いても満足する、又着物の上から打つ、こういうような
状態
であります。ただぷすぷす刺す、それに大きな魅力を覚え、興奮を
感じ
、
好奇心
を満足しておりますので……、
注射
液のことは、私は
注射
とか
錠剤
とかはよく知りませんが、
注射
液は
効果
が同じであるならば止めてもらいたい、粉末か、
錠剤
だけにして頂きたい。 第二点は、
取締
の盲点は不正
所持
の処断のできないということであります。
麻薬
に準じて
取締
をするように、でき得るならばそのような
法規
にして頂きたい。
犯罪
のために
所持
してお
つて
も現在は
取締
ることができません。その
取締
ができ得るように
薬事法
を改正するなり、新らしい立法を作るなりして頂きたい。この
取締
の
状況
も昨年一年度の表を差上げてございますが、検挙件数三百十八、検挙人員三百八十八、送致人員三百三十、違反種別の登録業者の濫売百六十一、無登録業者の闇売百五十一、偽造十一、押収の数量、百四十三万一千三百五十八、一番多いりのは
ヒロポン
の百万六千本、ネオアごチン三十七万、こういうふうにな
つて
おりまして、最近特に偽造品も相当殖えて来ております。これだけであります。
河崎ナツ
7
○
委員長
(
河崎ナツ
君) 有難うございました。 最後に、
製造
をなさ
つて
おいで
になりますほうの御
意見
もお伺いしたいと思います。大
日本
製薬会社の東京支店長の豊島さんの
お話
を伺いたいと思います。
豊島順吉
8
○
参考人
(豊島順吉君)
覚醒剤
を、私の所は
ヒロポン
でございますが、売り出しましたのは
昭和
十六年でございまして、勿論薬を売り出します場合には、
医療
上の必要があるということを十分認めて出し、又その需要のどれくらいであるかということも推定して発売することは当然であります。そのときには
覚醒剤
というものは今まで医者の薬療になかつたものであるが、併し、こういうものができたことは、治療薬の
一つ
の進歩だという
意味
で非常に
調査
いたしました。その頃勿論
日本
の文献というものは
一つ
もございません。欧米の文献全部を渉猟いたしまして、そして用途、用法などを十分に
研究
いたしまして、その当時三浦謹之助先生も非常にそれに関心を持
つて
おられまして、ときどきお伺いして御
意見
を伺
つて
、そうしていよいよ発売することになりました。この薬は、我々はその当時
先ほど
来申されますように、大脳の興奮
作用
と、もう
一つ
は循環系に対する
作用
と、二つの大きな
作用
があるということで、この
方面
の用途を強調
しよう
ということで売出したのであります。ところが図らずもその頃には太平洋戰争が起りまして、精神
興奮剤
のほうが非常に重大視されて、戰華中は殆んど軍部に全部取られましていろいろなお菓子に入れたり、いろいろなことで使われまして、余り市場には出なかつたのでありますが、戰後になりまして民間に出るようになりましてから
中毒
の声を聞くようになりました。我々が
昭和
十六年頃に発売する頃には、
中毒
というものはそうひどいものだということは記載がなかつたのであります。又こういう薬は
医療
界に出てから間もない頃であつたせいもありま
しよう
が、そういう記載はないのであります。その当時その薬はそういうふうには
思つて
おりませんでした。ただ大量に使
つて
も生命の危険はない薬だというふうに考えておつたのですが、
先ほど
も
林先生
がおつしやつたように、
昭和
二十二年頃からぼつぼつ
中毒
が現われたという
お話
でございます。我々の聞き知つたのは、もつと
あと
でございまして、ただこれはややもするとズーフトになります、嗜癖というふうになるということは十分
承知
しておつたのです。つまり
たばこ
を吸
つて
たばこ
がやめられなくなると量が殖えるという程度のものとしか
思つて
おらなかつたのです。ところがいろいろ御
研究
になりますと、
麻薬
に類したような禁断
症状
さえ出て来るというような
お話
を伺
つて
、実はびつくりしたわけであります。
医療
上の必要ということは、これはたとえ僅少であ
つて
も、やはり我々の仕事としては、たとえ売上の少いものでも
医療
上必要な薬は、やはり治療界に提供しなければならんと考えております。こり薬は現在
アメリカ
では
アメリカ
の薬局方にも収載されておる現状でありまして、
アメリカ
では十分
医療
上の必要を認めておればこそ収載をしておるのだと考えております。純粋の
医療
上の
目的
からは、さように若干の
必要性
があるということは十分に言えまするが、併しそれが
先ほど
来
お話
になりましたような
中毒
の問題、殊に
社会的影響
、それが
犯罪
と結付いておるというようなこととからみ合して、これの
製造
なり、
取締
ということが問題にな
つて
来るなどと我々は考えております。 ではどうしたらいいかということなんです。
中毒
の
状況
或いは社会的な
影響
ということは皆さんが
お話
になりましたが、又私もそう詳しくは存じませんですが、どうしたらいいかということなんです。我々はすでに昨年の後半から
製造
を中止しておりますが、依然として僞造品が……、我々の会社に僞造品り鑑定を求められるのが一月に何回となくあるのです。そういう現状であるということを見ますと、ますます以てむずかしい、
取締
もむずかしいと思うのであります。
先ほど
来
麻薬
に準じた
取締
ということでありますが、又
竹山先生
の
お話
では
麻薬
より大きな
害毒
があるという
お話
でありますが、これは私、若干、
麻薬
が今のように
ヒロポン
と同じような程度に入手できるのであれば、その
害毒
はむしろ
麻薬
のほうがより大きいのではないかという気がするのであります。今の
麻薬
取締
の
状態
においてこそ、
ヒロポン
と比較すれば、
ヒロポン
のほうがより大きい
害毒
を流すかも知れませんが、
麻薬
が
ヒロポン
のように容易に密造でき、容易に入手できるというような
状態
であれば、
麻薬
のほうがずつと大きな
害毒
があるのではないかと思います。
ヒロポン
はまだまだその点において
取締
がゆるい。だからこそ
害毒
が大きいのではないかと思いますが、その点は
あと
でお伺いしたいと思います。ですからこの
麻薬
に準ずると申しましても、
麻薬
と違つたものであることは十分おわかりでありますから、我々
製造
業者は自粛し、或いは
製造
を中止してさえもこれが入手ができる。そういう密造が行われないような何か
取締
の
方面
のことをお考え下さることが非常に大事だと思うのであります。
医療
上の量なんというものは
先ほど
来
お話
を伺
つて
おる
通り
、微々たるもりであります。にもかかわらずメーカーがたくさんおる。勿論数を減らし特定の会社に、極く良心的な会社に極く量を制限して作ることによ
つて
、そしてそれが直接御
使用
になる以外、直接なルートで行くというようなことをやられれば
医療
上の必要は満たし、ほかの面には絶対に行かないということになるのではないか。たとえ
法規
でお
取締
りになろうと密造される限りにおいては、
ヒロポン
禍といいますか、
ヒロポン
だけではありませんが、私のところは
ヒロポン
が代名詞にな
つて
迷惑しているのですが、その点を十分に……、密造の根源を除くということを十分
製造
面でお考えになれば、これは行けるのではないかと考えております。
河崎ナツ
9
○
委員長
(
河崎ナツ
君) 有難うございました。御出席のかたから御
意見
を伺いましたのですが、なお又今まで
お話
下さいましたかたでお附け加えになりますことがございましたら伺います。
竹山恒壽
10
○
参考人
(
竹山恒壽
君) 只今も
お話
がありましたが、
昭和
十六年頃、これが
害毒
がないというようなことで発売された、
製造
されたということ、これはまあその頃は確かに
害毒
が余り問題にな
つて
おりませんでした。併し一九四〇年でありますから
昭和
十五年になりますが、この年すでに
アメリカ
ではダビドフがこれが
習慣性
を生じ
中毒
になることがあるといつうことを報告しております。これを
一つ
只今の
お話
に附け加えて置きます。それから
麻薬中毒
と比較して、
覚醒剤中毒
は
害毒
が大きいということに関しても報告がありました。我々は
麻薬中毒
をすでに十七年間取扱
つて
おります。併し
麻薬中毒
の場合には、
覚醒剤中毒
のように
中毒性精神病
を起すことが少い。それは
コカイン
とかヘロインを使つた場合に僅かに
幻覚
、
妄想
の形を呈するこがあるのであります。
麻薬
を取扱
つて
おりますと
中毒性精神病
の
状態
になると思える者は甚だ少いのであります。併し覚醒灘の場合にはそれが非常に見られるということから、医学的に言えば
害毒
が大きいのだということが言えるのではないかと思うのであります。 それから只今も
お話
のありました
通り
密造が確かにいけない。正しいルートで正しく
規定
された
製造
と
販売
が行われておりましたら、
覚醒剤
には成るほど一面に、非常に少い場合でありますが、
医療
上に使えるという場合もあるにはあるのであります。これは非常に少いのであります。併し確かに
医療
的に使えないというものでもありませんから、やはりこの密造を
取締
るとかというふうな趣旨を活かすためには、やはり
麻薬取締法
に準ずるようなものができたほうがいいという我々の希望があるわけであります。これを附加えさせて頂きます。
河崎ナツ
11
○
委員長
(
河崎ナツ
君) 御質問でございますか。
林しよう
12
○
参考人
(
林しよう
君)
注射
の形で、お出しに
なつ
たのですか、如何ですか。
豊島順吉
13
○
参考人
(豊島順吉君) やはりあれは初め粉末と一緒に取扱つた。それはなぜかといいますと、嗜眠
状態
のようなときには
注射
でなければ使えないということで、やはり
注射
で出しておるのです。
林しよう
14
○
参考人
(
林しよう
君) 私余り勉強しておらないのですが、向うの文献でも
注射
を使
つて
おりましたか。
豊島順吉
15
○
参考人
(豊島順吉君) ありました。
林しよう
16
○
参考人
(
林しよう
君) 私はどうも
注射
薬で出たのが気にな
つて
いたのですが、この前厚生省に出て初めて知つたのですが、
製造
を制限してから、
錠剤
と粉末を禁じて
注射
だけ許してあると言われて少々驚いたのですが。
豊島順吉
17
○
参考人
(豊島順吉君) 三浦先生には、
注射
を出すときに御相談しましたが、そのときこれは脳溢血なんかのとき、やはり
注射
があつたらいいのではないかということで初めから出しました。
林しよう
18
○
参考人
(
林しよう
君) 今
催眠剤中毒
自殺の
目的
でたくさん飲んだ人を助ける場合にこれをやるということがありますが、これはときには逆に強く深くな
つて
しまうことがあります。
アメリカ
ではこの
方面
に使う場合はピクロトキンを使
つて
お
つて
、
覚醒剤
は使
つて
おらない。曾
つて
よく行かないようなことがあつた。
血圧
はよろしい。これは非、常に水に溶けやすいものでございますから、粉末が出ておれば、医者がどうしても
注射
を使いたいというときには、
注射
液を作るということは非常にたやすい。一般の
中毒者
は、どうしてこれほど
注射
が好きかと思うほど
注射
が好きである。
注射
のアンプルはやめて頂きたい。私
ども
今
竹山
さんがおつしやつたが、私の
麻薬中毒
と違うと
言つて
おりますのは、
モルヒネ
のときにはどうしても欲しくて
しよう
がない。やめられない。そのために無理なことをしたり、実際にも働く意欲がなくなるということも実際にある。
精神病
的とか、
幻覚
、
妄想
の出て来るということは
モルヒネ
においては絶対にない。
モルヒネ
中毒
の
患者
でそういう
状態
があつたという場合には、
コカイン
を併用しているという経験があることを私
ども
見ている。それと
ヒロポン
は実質、的に違
つて
おると思う。それよりも
害毒
が大きいか小さいかということは、別の価値判断ですが
豊島順吉
19
○
参考人
(豊島順吉君) つまり
中毒
患者
が治るという点からい
つて
そうでございますか。
林しよう
20
○
参考人
(
林しよう
君) それは本人にと
つて
は取るときは楽です。
モルヒネ
よりは楽です。併しやはり病院のようなところで強制しないと取れません。その辺手数からいつたら同じですが、扱い方は少したやすいかも知れません。まあ一生懸命にな
つて
取ろうというので、
自分
でかかるときは
麻薬
よりはたやすいかも知れません。
河崎ナツ
21
○
委員長
(
河崎ナツ
君) それでは今度聞かして頂きましたので、委員がたで又もう少し先生がたにお伺いすることがございましたら、どうぞ……。
中山壽彦
22
○中山壽彦君 私今日遅く参りまして、林君の
お話
は聞かれなかつたのですが、
竹山
君の
お話
を聞いたのでありますが、今
厚生委員会
の当面の問題とな
つて
おりますことは、この
覚醒剤
が
医療
の面にはたくさん要らない。而して半面には非常に社会的に
害毒
を流す。
従つて
この
覚醒剤
というものの
製造
を全然禁止したらどうか。又一面から言うと、警察予備隊の医務総監が今日お見えになりませんが、警察予備隊では
覚醒剤
を使おうとしておる、こういうような話も聞いておるのです。全然禁止していいのかどうか。成いは極度にこれを制限したらどうか。
製造
は禁止いたしましても、昨年の十二月一日以降、厚生事務次官の通牒で、新たな
製造
は禁止されているようでありますけれ
ども
、昨年末の厚生省の報告によりますというと、現在なおストツクが二、三千リツトルある。このストツクというものをどういうルートでそれを
医療
用に適正に流すことができるか。こういう面について
一つ
御両君の御
意見
を耳聽したいと思います。
林しよう
23
○
参考人
(
林しよう
君)
ちよ
つと申上げますが、これは沖中先生などにも少し
お話
をした結果なのでございますが、ともかくこういう薬が出て来たことは、これは
一つ
の進歩ですから、使える面、嚴密の
意味
で
医療
的の面で私
ども
使う場合は確かにあり、その他
研究
的の面で使いたいというような場合がある。これを殊に沖中さんの専門のほうでも、いろいろの実験的
意味
でお使いになる場合があるだろうと思います。私
ども
もそういつた
意味
で少し
使用
しております。こういつたものを、今後のいろいろ発達のためその他に、
製造
を全然禁止してしまうということは、むしろ文化的な措置ではないという御
意見
は私
ども
もそう思います。むしろ
使用
の面でこれを適当に
取締
ることができれば、そのほうの方途を取りだ、それから今思いつくままですが、警察予備隊で使うということ、戰争中からの
一つ
の癖なんか、そのときのまあ御経験なんか残
つて
いると思いますが、これは私
ども
絶対に反対いたします。こういう
意味
で、人の意欲を引つぱたいて何かやらせるというのは、これは極く一時的なものですね。そのために人間はいろいろな害を受けると申しますか、そういう慮れがある。これは或る
意味
において人間蔑視の
やり方
だと思います。大抵私
ども
は少し無理な
夜業
をするという場合には、ときに用いると薬になることもありますが、
アメリカ
の局方にも載
つて
おるように、
注射
を一時的に、少し無理するときに適量を使えば、そのときとしては能率が上るが、
あと
で休養が取れないといけません。そういうような場合もあるのですが、それを何か一律に強制するように演習のときに飲ませて、無理な演習をやらせるというようなことは、実際の戰時にな
つて
のつぴきならんときならともかく、今から不断そういうことをお考えになるというのは、よほどこれは見当が違
つて
いると、私
ども
そう思いますので、その点申上げて置きたいと思います。
中山壽彦
24
○中山壽彦君 恐らくその予備隊には備蓄の
意味
で
しよう
な。
山本鎭彦
25
○
参考人
(
山本鎭彦君
) よく存じません。総監が来られましたら……。
林しよう
26
○
参考人
(
林しよう
君)
ちよ
つともう一遍附け加えますが、三千リツトルばかりという
お話
でしたが、これは全部溶液にな
つて
いるのでございま
しよう
かね。溶液だから三千リツトルだとおつしやるのだろうと思いますが、これが粉末のままですと、私
ども
としては使いにくい気がするのです。私
ども
は粉末や
錠剤
で使う場合が多いので、必要に応じて
注射
も使わないわけではございません。
竹山恒壽
27
○
参考人
(
竹山恒壽
君)
医療
上に極く僅かには使います。
覚醒剤
は使える。それで又
研究
的にも使う場合もあります。それでありますから
先ほど
から申上げました
通り
正規なルートにのせて
医療
上に、或いは
研究
上に使うというために
法規
を作つたらどうかということです。ストツクがあるという
お話
につきましては、そういう
法規
では別に
製造
禁止とか、
販売
を禁止するというようなところまで考えていいものじやないだろうかと思うので、ストツクがあるからこれがどうなるかという問題にまではならないのじやないかと思います。
中山壽彦
28
○中山壽彦君 豊島君に
ちよ
つと伺いたいのですが、今まで私は
覚醒剤
は
注射剤
だけが
販売
されているように
思つて
おつたのですが、
ちよ
い
ちよ
い聞いて見ると粉末もあれば
錠剤
もある、これは私
ども
が聞いたところでは、粉末、
錠剤
等はよほど前に政府が
販売
禁止をしている。
注射剤
だけが
販売
許可にな
つて
いるように聞いているのですが、その点を
一つ
明らかにしてもらいたい。それからもう
一つ
は、
覚醒剤
の原料のエフエドリンですが、これは誰でも非常に入手し易い、そうしてこれを入手しますれば、製薬会社に多少勤めてお
つた人
は、
自分
の下宿ででも何でも
自分
でできるという
意味
から、模造品というものが以前から非常にたくさん出ている。この量というものははつきりわからない。又そういうものがいろいろな人に売られて、非常な
犯罪
のもとにもなる、こういうようなことも無視しておるのですか、これらについて
一つ
承わりたい。
豊島順吉
29
○
参考人
(豊島順吉君) 散剤と
錠剤
でございますね、それはあの
製造
は一年一年
製造
の許可を得ることにな
つて
おりまして、そのために丁度この
覚醒剤
の問題が起つたときに、その
製造
の更新の時期に当りましたものですから、一応それが許可にならず、
注射
薬のほうだけが
製造
の許可が継続していたというかつこうにな
つて
おりまして、
従つて
まあ
錠剤
は造らないということに
なつ
たわけです。つまり
錠剤
のほうが早く
製造
許可のあれが切れてし
まつ
たということで、造れないことに
なつ
たわけです。それから御質問の第二点のエフエドリンというもの、あれは
劇薬
ではありまするが、比較的容易に手に入るものであります。ですから
あと
それが還元できるのですから、少しばかりの製薬の知識をお持ちのかたは容易にできると思います。
従つて
密造なんか行われ易いと言えま
しよう
。
藤森眞治
30
○藤森眞治君
山本
さんに
ちよ
つと伺いたいのですが、
覚醒剤
の密造ですね、密造はあなたのほうとして少しお調べにな
つて
挙げられた例はございませんか。
山本鎭彦
31
○
参考人
(
山本鎭彦君
) それに書いてございますように偽造を検挙したのは十一件、偽造数が七十五万五千六百七十四、これだけ昨年あつたわけです。
藤森眞治
32
○藤森眞治君 これは偽造品ですね、そうでございま
しよう
。
山本鎭彦
33
○
参考人
(
山本鎭彦君
) 偽造検挙件数十一件あります。
藤森眞治
34
○藤森眞治君
ちよ
つと伺いますが、偽造というのは偽造製剤が出ておるのですか。偽造工場を押えたというのですか。
山本鎭彦
35
○
参考人
(
山本鎭彦君
) 偽造しておる人を送致した、それが十一……。
藤森眞治
36
○藤森眞治君 それが十一件ですか。
山本鎭彦
37
○
参考人
(
山本鎭彦君
) 下にその偽造して押収した数量が七十五万五千六百七十四。
藤森眞治
38
○藤森眞治君 これは僞造数は、偽造しておる者と
関係
なしに偽造製品がこれだけと書いてあるのですか。偽造したのは十一件だから、それから出て来たのがこれだけという数字ですか。
山本鎭彦
39
○
参考人
(
山本鎭彦君
) 上のと下のとは一致するわけです。
藤森眞治
40
○藤森眞治君 一致するのですか、そうですが。
有馬英二
41
○有馬英二君
ちよ
つと林さんに伺いますが、私遅く来まして
お話
を承われなかつたのでありますが、
先ほど
からも
お話
があつたろうと思うのですが、これの
中毒
症状
ですね、私
ども
はこうい
患者
は余り扱わなかつたので、私はわからないのですが、どれくらい用いたら
中毒
ということが大体言えるのですか、或いは体質的に違うのですか。
林しよう
42
○
参考人
(
林しよう
君) それは
症状
にもよりますが、要するに何遍も使
つて
おるうちに量が殖えて使わずにおられない。これは主に
麻薬
の場合の診断
症状
の強い、
身体
的
症状
ではないのでありますが、精神的な希求、飢渇という
状態
が出て来れば大体
中毒
と言えると思いますが、そういうときには一般に気が早く
なつ
たり、落ち着きがなくな
つて
いらいらしたり、手つ取早く悪いことをする。そういうきよろきよろした
状態
になる。そのほかに私
ども
は特に注意しましたのは、
幻覚
が出たり、
妄想
が出たり、そういうのが一番多いのでございます。
有馬英二
43
○有馬英二君 一回の量は……、
中毒
症状
が出るまで……。
林しよう
44
○
参考人
(
林しよう
君) これは個人的に非常に違います。一、二カ月に一日に先ず二、三十本で出る人もあります。数十本、百本近くでも年年近くた
つて
出るという人もあります。全然そのくらいまで行
つて
も余りそういつた
幻覚
を出さん人もあります。私
ども
がそれはどれくらいのところかというので、
竹山
君が
中毒
患者
の全部について調べたところ七、八〇%くらいまで何か
妄想
的な多少
幻覚
を持
つて
おるような
症状
が出ておる。今
竹山
君の言われたのは、そうした
幻覚
、
妄想
の
状態
であ
つて
、そういつたものが一番多いのでございますが、稀れにやめて暫らくしてから、最近も見たのですが、意識の障害に伴
つて
譫妄
状態
を急に起す、それからそれに伴
つて
その後コルサコフの
状態
にな
つて
しまうのもあるが、これは稀れでございまして、私
ども
は数例にとどめるだけでございます。それから聞こえるやつと、それから今度虫や何かが余計見えて来るという二つ形があるように思います。
幻覚
症状
に……。これは全く
分裂病
みたいでございますよ。知らないでいると
ちよ
つと
鑑別
に因ることがあります。
有馬英二
45
○有馬英二君 なお
竹山先生
からも何か附け加えて伺
つて
置きたいと思いますが……。
竹山恒壽
46
○
参考人
(
竹山恒壽
君) その
使用
量と期間でございますが、我々が経験した一番少い
使用
量は一日十筒ぐらいで、一月以内ですでに
覚醒剤中毒
になりまして、
幻覚妄想
を起して来た例もございます。その
使用
量と
使用
期間というものは個人差がありましてはつきりとはきめられません。併し非常に大量を持続していますと、例外なく一応
精神病状態
にな
つて
おります。
有馬英二
47
○有馬英二君 なお
竹山先生
に伺いますが、私らはこれを臨床的に必要とする、つまり治療の
目的
でございますね。使う場合というのはどういうような場合なんですか。それを
一つ
私
先ほど
承わらなかつたのですが、
ちよ
つと伺
つて
置きたいと思いますが……。
竹山恒壽
48
○
参考人
(
竹山恒壽
君) それは
先ほど
ちよ
つと触れましたのでございますが
ナルコレプシー
、それから抑欝病、それから
記憶
がなくな
つて
いるような
病気
、それから徐脈性低
血圧
といわれるいわゆる低
血圧
症、それと急性の
催眠剤中毒
の場合、こんなふうなときですけれ
ども
、余り聞かないのでございます。殊に急性
催眠剤中毒
に関しましては、只今林教授からも
お話
がありましたように、逆な
効果
を来たすことがあるので、余り望ましくない
使用
法なんです。習慣的に使われているのでは
疲労
を訴えて来たようなときに使うようなこともございますけれ
ども
、これは御
承知
のように、
覚醒剤
というものは
疲労
を回復させるものではございませんから、正しい
医療
上の使い方とは申せないと思います。まあそのくらいのもので、余りほかの疾病に対してこれが使われることはまあないように
思つて
おります。
有馬英二
49
○有馬英二君 それならば、これがどうしても
医薬
上必要欠くべからざるものであるとして、この
製造
禁止を絶対的のものであるとはお考えにな
つて
おらないわけですか。
竹山恒壽
50
○
参考人
(
竹山恒壽
君) それは
先ほど
お話
いたしました中で
ナルコレプシー
でございますが、これはまあてんかん類似の疾患でなかなか面倒なものでございます。こういうときには
覚醒剤
を使
つて
おりますと、その
発作
を抑制することができる。まあすべての場合ではありませんけれ
ども
、抑制できる場合もある。そういうような理由では使
つて
もいいと思います。併しこの場合でも、さつき
お話
がありました
注射
薬、すべて
発作
が起きているときには粉末が使えない、或いは
錠剤
が使えないから
注射
をさすというふうなことは、これは実際上にはないのでありまして、
ナルコレプシー
の
発作
というのは極く数秒間の短いものでありまして、その
発作
のときに医者が駈けつけてこれに
注射
するという場合はないのでありまして、やはり
錠剤
なり、粉末なりで一日のうちに持続的に少量ずつ打
つて
いるということで、
発作
の鎭圧を
しよう
という
意味
で使われるわけでありますから、
ナルコレプシー
に成るほど使う場合もあるけれ
ども
、このときに
注射
などということは役に立たない方法であると、そういうように思います。
林しよう
51
○
参考人
(
林しよう
君) 今の絶対的になくしたらどうかという
お話
の問題でございますけれ
ども
、実際私
ども
使います場合だの、量だのが非常に少い。それからまあ成る程度の抑
欝症
などに使うときにも、本体は知らせずに使
つて
見て行こう。それでまあ
影響
を見て、
あと
のことをやるというような場合の使い方でございます。この薬はアドレナリン(副腎髄質ホルモン)の系統のものからこれがだんだんできて来まして、できたのは随分古いものでございますけれ
ども
、それが測らずも戰争中
日本
で、まあその前からだんだん使われて来ておるのでございますけれ
ども
、実際この
中枢性
の刺戟剤、或いは、いわゆる自律神経の中枢、その他についての
研究
の上からだんだんこういつたものからいろいろなものを引つ張り出すということも必要だと思うのでございます。それからこの
中毒
の
症状
が非常に
分裂病
の
症状
に似て来ているものが出て来ているということから、私
ども
はこれを
一つ
今
分裂病
のいろいろな
関係
の
研究
の、
一つ
の手掛りにもしたいという考えを多少持
つて
おりますので、ともかくこういつた
一つ
のできて来たものは、
害毒
はあるにしても、一応他方法でそれを防ぐ方法を講じないで、絶対にこれを潰してしまうというのはどうも文化的でない。その辺は少し
研究
の自由の上から、やはり成る使える途は残しておいて頂けまいかと私
ども
は思うのです。実際に
製造
を禁止しても、
取締
りのほうが十分……、実際の
使用
の
取締
りができなければ、これは幾らでもできて来ますので、割合に簡單にできますので、エフエドリンから作るということが、実際いろいろ聞いて見ますと、誰でもすぐ素人ができるものではなさそうでございますけれ
ども
、どうも高くついてしまうので、なかなかれだそうでございますが、併しそういう方法もあるので、エフエドリンはなくすわけに行かんものですし、実際的ではなかろうと思います。
藤森眞治
52
○藤森眞治君 豊島さんに伺いたいのですが、あなたのほうで作
つて
おる
ヒロポン
は、エフエドリンの副産物としてできておるものが主なんでございますか。やはり合成もおやりにな
つて
おるのでございますか。
豊島順吉
53
○
参考人
(豊島順吉君) あれはやりません。
藤森眞治
54
○藤森眞治君 全然しませんか。
豊島順吉
55
○
参考人
(豊島順吉君) 今麻黄が十分入
つて
おりますから、やはり麻黄のほうから作
つて
おります。
藤森眞治
56
○藤森眞治君 それでは合成は全然ないわけですね。
豊島順吉
57
○
参考人
(豊島順吉君) ええないのです。
藤森眞治
58
○藤森眞治君 それはやはり副産物としてできるわけなんで
しよう
か。或いはエフエドリンが
ヒロポン
のほうへ入
つて
行くというふうにな
つて
行くのでございますか。
豊島順吉
59
○
参考人
(豊島順吉君) 我々のほうでは、エフエドリンを潰してそれを作るということは昔はやらなかつたです。
藤森眞治
60
○藤森眞治君 昨年我々が、大阪のほうの製薬業のほうぼうのところへ見せてもらいに行つたのですが、そのときにたしかあなたのほうの麻黄の
輸入
が、ガリオア資金なんかで相当たくさん入るという
お話
も承わつたので、これは結局エフエドリンが
目的
のために入
つて
来るというふうに伺つたので、まあこの
山本
さんからの何を見ましても、
ヒロポン
がやはり一番多い。偽造も一番多いということですが、エフエドリンになるものが
ヒロポン
にな
つて
いるということが考えられるのでございますが……。
豊島順吉
61
○
参考人
(豊島順吉君) エフエドリンがなるのではございませんで、麻黄の中にございます。プソイド・エフエドリンというものを原料にして作ります。けれ
ども
副産物と申されると…、副産物と言いますかな。
藤森眞治
62
○藤森眞治君 それで現在は、もう
製造
は中止しておられるわけでございますね。
豊島順吉
63
○
参考人
(豊島順吉君) 勿論中止しております。
藤森眞治
64
○藤森眞治君 これはいつから中止に
なつ
たのでございますか。
豊島順吉
65
○
参考人
(豊島順吉君) 昨年の六月くらいから全部止めております。
藤森眞治
66
○藤森眞治君 そうですか。
豊島順吉
67
○
参考人
(豊島順吉君) 少くとも私の会社はそういうふうにや
つて
おります。
藤森眞治
68
○藤森眞治君 それで現在あなたのほうで手持で持
つて
いるのほどのくらい、
先ほど
も中山委員から言われましたように
覚醒剤
三千リツトルと言われておりますが、あなたのほうのお手持はどのくらい。
豊島順吉
69
○
参考人
(豊島順吉君) 私、最近伺
つて
おりません。大阪のほうのことは知りませんが、殆んどないように申しております。全然私の会社ではないようであります。併しそれは市場にはまだあるかも知れません。私の会社ではありません。
藤原道子
70
○藤原道子君 私は
林先生
と
竹山先生
にお伺いしたい。これは治療上或いは
研究
上必要だとおつしやる気持はわかるのでございますが、この
覚醒剤
がなければ絶対に駄目なのでございま
しよう
か。治療のほうでほかにそれに代るべき薬は絶対にないものかどうか、仮に治療に必要なものといたしましても、今私
ども
が恐れますのは、心身共に未熟の者が
中毒
患者
に多いということであります。これが社会にどれだけの害悪を与えているかということを考ええまして、先日来各
方面
に
調査
等に参りまして、まあ慄然としておるのであります。このときたださえ社会不安の醸されております今日に、果して僅かな治療の面に必要ということでこれを作らなければならないものかどうかということが一点でございます。 いま一点は、
林先生
が今素人には容易にできるものではないという
お話
もございましたので、
研究
上確かに逆行するとおつしやる気持もわかりますが、それならば
研究
の分として、特に先生方がそれを
製造
といいますか、
研究
用のものだけをおやりになるというような方法で社会の害悪に対しての分野から申しまして、そういう方法はとれないものかどうかということが
一つ
。 それからいま
一つ
、私は心身共に未熟な者が
中毒
にかかるということと併せまして、あの
ヒロポン
は戰争中に軍需工場等で、労働者にフルに労働強化をやるために使われた。或いは特攻隊に使われた。いろいろ聞いております。それが今民間にこういうふうにな
つて
来ております。又今の時代に中山先生から
お話
に
なつ
たように、予備隊の常備薬の中にこれは入
つて
おる。或いは聞くところによると、某、何といいますか、電源開発工事に働いておる
人たち
のところで、労働者がこれをすでに使われておる。最近になりましては、これは許可がないうようでございますけれ
ども
、競馬馬に
ヒロポン
を使
つて
いる。勝利を得ようというようなことさえ策動をされておるやに聞いておる。こういうふうにこの
ヒロポン
が悪用々々という
方面
に使われて行くことを考えますときに、又民主主義の未熟と申しま
しよう
か、
日本
の今の
状態
から考えまして、良心的にということがなかなか困難なのであります。私たちは害があるから禁止するというようなことは、誠に余り政治家としては褒められたことではないと思いますけれ
ども
、併しながら広い分野から考えまして、今の
日本
の社会に流す害悪と、その学究的な立場、この学究がほかの方法で若しやれるとするならば、私はこの際大いに英断が必要じやなかろうか、こう思うわけであります。私素人でございますから先生方はお笑いになるかも知れませんが、社会を憂えますと、ついこういう気持になります。若し
ヒロポン
があるならば、軍需産業或いは特需景気というようなところですでに私は
ヒロポン
が使われているように聞くのでありまして、誠に労働者の立場から考えまして、私は大いに考えさせられておるわけでございまして、この点
一つ
お考えをお聞かせ願いたいと思います。
林しよう
71
○
参考人
(
林しよう
君) 御趣旨よくわかりましてございます。ただ私
ども
は
製造
を禁止されてもそのほかにいろいろな、むしろ
取締
的の
やり方
のほうが実際の
効果
の上からいいまして先行するのじやないかと考えましたことと、それから実際に学問の進歩の上から言うと、こういうものも扱
つて
行きたいという気持もあることで申上げたのでありまして、差当り私
ども
一年に数例見るか見ないかという、この場合に使うくらいの分量は、これは私
ども
大学、或いは又
関係
しておるものと相談して、一
部分
作
つて
もらうということは訳はない。それからまあ薬局あたりでやるということもできないことじやないと思います。それから又、これもやれなければほかの代用的の
コカイン
系統、カフイン系統のものなんか代用してみても成る程度本人の苦痛を除くことができるかも知れませんけれ
ども
、どうしても
取締
を強化すると同時に
製造
も一時は全面的に禁止しなければ徹底できぬということならば、一時はそうした犠牲を忍ぶのも私
ども
止むを得んと
思つて
おります。実際私
ども
の
研究
可能である程度、必要な分を取扱をするということが、それが
取締
に触れて来ると問題でございますので、実験室的に扱うということはできると思います。
竹山恒壽
72
○
参考人
(
竹山恒壽
君) 只今の御
意見
は誠に御尤もでありまして、私
ども
も痛感しております。
製造
並びに
販売
を今のままにして置いたらその心配が出るだろうと思います。これは
先ほど
来申上げました、
麻薬取締法
の趣旨の
規定
でも考えまして、
製造
と
販売
を
嚴重
に制限いたしますれば只今のような御心配も消えるのじやないかと思います。
藤原道子
73
○藤原道子君 私は先日来委員会で提案しておりますことは、最悪の場合には
製造
禁止することが
一つ
、その次に考えるとは
麻薬
と同じように番号を打
つて
、薬の何番から何番までどこそこへ行
つて
おる、ルートを明らにして必要なところに必要なもの以外には絶対に流すことができないというような方法、現在あるものは全部国家が買上げるか何とかいたしまして、一大英断を以て今どこに幾らあるのだか、大体わかつたものでも、わか
つて
ないものが相当あると思うので、
製造
が禁止され、或いはそのルートがそう明らかになりますと、
所持
しておる者が全部いわば
取締
れる、罰則をもつと強化すること、
薬事法
の改正によりまして罰則をもつと強化するというようなことができないものだろうか。いろいろと提案しておるのではございますけれ
ども
、その結論として今日は皆様方の御
意見
を伺
つて
おるわけなんでございます。今のままにして置いて、それらも
製造
禁止してみたところで、これは
効果
がないことは明らかなんでございます。
竹山恒壽
74
○
参考人
(
竹山恒壽
君) 丁度その問題は
麻薬
取締
規則から現在の
麻薬取締法
に移行しましたときと同じように考えてよろしいのでございます。製品としての
麻薬
並びに原料、これは
麻薬取締法
に
なつ
たときに、何も政府で買上げたものでなく、ただそれの在庫保持、それらの
使用
を
規定
しただけなんです。これだけで十分じやないかと思うのであります。
赤松常子
75
○委員外議員(赤松常子君) 私厚生委員じやありませんが、質問をしてよろしうございますか。
河崎ナツ
76
○
委員長
(
河崎ナツ
君) よろしうございますね。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
河崎ナツ
77
○
委員長
(
河崎ナツ
君) どうぞ。
赤松常子
78
○委員外議員(赤松常子君) 私は警視庁のかたにお尋ねしたいのでありますけれ
ども
、お取扱いになりました事件の中で家庭の経済
状況
はどういうところの人が多いのか、それが
一つ
と、それからこういう
注射
などを打つというその動機は大人から教わつたものであろうか、同じ
仲間
から教わつたものであろうかということが
一つ
。それからお取扱いに
なつ
た件数のうちで、
先ほど
から藤原委員もおつしや
つて
おるように、特需
関係
の中小企業あたりで生産を上げるために、特にそれを
注射
して働かせたというような事例がおありでございましたで
しよう
か、如何で
しよう
か。この三点お伺いしたいと思います。
山本鎭彦
79
○
参考人
(
山本鎭彦君
) 家庭の経済
状況
は大体において中位というところであります。特に際立
つて
貧乏人に多いとか、或いは特別な家庭であるとか、そういうような
傾向
は私は見でおりません。教わつた動機は、これはいろいろでありまして、一番大きいのはやはり不良
仲間
で親分から教わ
つて
、その感化を受けている。それから本人の
好奇心
とこれがマツチして使
つて
いるのが一番多いのであります。中小企業のほうのあれは全然扱つた経験ございません。
赤松常子
80
○委員外議員(赤松常子君) もう
一つ
。その
青少年
は学生が多いので
しよう
か、或いは労働者が多いので
しよう
か。
山本鎭彦
81
○
参考人
(
山本鎭彦君
) 丁度平々というところでございます。
赤松常子
82
○委員外議員(赤松常子君) わかりました。
有馬英二
83
○有馬英二君 林さんと
竹山
さんのお二人にやはり伺いたいのですが、
先ほど
山本
さんがおつしやつたのは、その
注射
薬を第一になくしてし
まつ
たほうがいいというように私承わつたと思うのですが、
注射
製造
を禁止する、そして
錠剤
若しくは散薬というか、粉ですね、だけにして置けば今のような
害毒
は、
害毒
と
言つて
病症という
意味
ではないですよ。社会的な
害毒
も含めまして、そういうことが絶対起らんということはないかも知れませんけれ
ども
、少くなるとお考えになりますか、如何で
しよう
か。
ちよ
つとそれをお伺いいたします。
竹山恒壽
84
○
参考人
(
竹山恒壽
君)
中毒者
の大
部分
を我々が見まして、殆んど全部
注射
によ
つて
な
つて
いる。
注射
を禁止すれば非常に少くなるということは言えると思います。併し散剤がやはり自由に手に入るような
状態
でありましたら、必ずこれを
注射
薬にしまして使うようになるものでありますから、やはり
錠剤
も散剤も
嚴重
に
取締
られるべきものだと思います。
林しよう
85
○
参考人
(
林しよう
君) 恐らく今のように癖がついておりますと、粉末が手に入ればそれで適当に薄めて使うだろうと思うのです。今大体一管が三ミリグラムでございます。ですからあれは随分薄いもので一グラムあると三百本ぐらいできてしまうあれになりますが、今のような
中毒
の癖がついておるときには、じきにそれを作るであろうと思うのでございます。粉末にしても
錠剤
にしてもやはり入手なり、讓渡なり、そういうところにあれがあ
つて
、今の場合のようにレジストして使うようにしないといけないと思います。
有馬英二
86
○有馬英二君 そうしますと、
先ほど
からの治療上並びに
研究
上若干必要であるという
お話
があつたのでありまして、確かにこれは文化的に考えまして、私
ども
それを全面的に禁止するということは学者のほうでお困りになる。学者を困らせるというような、私
ども
もそういうことは余り好みませんけれ
ども
、併し
注射剤
を禁止して、
錠剤
並びに散剤を残して置くということも
意味
のないような
お話
でありますと、若し禁止するということになれば全面的にこれを禁止しなければならんようになるのではないかと私は思うのですが、そういう工合に
なつ
た際にですね、あなた方
研究
者はどれくらいお困りになるか、若し
日本
で
製造
しなければイギリスだとか
アメリカ
あたりから
輸入
したものでお間に合いになりますかどうか、それはお気の毒ですが、私
ども
永年の医学的の
研究
の際に、
日本
で作
つて
いない品物がたくさんあるのですから、ドイツからでなければ
輸入
できなかつたというようなことが、例えばサルバルサンにしても
日本
では
製造
してなくて全部ドイツから来たというような時代もあつたので、極く少数の製品量……極く少数と
言つて
は甚だ悪いかも知れませんけれ
ども
、
研究
者が必要とするくらいの量ならば外国から
輸入
をしたもので、幾らの金でもないと私は思うのですね。そういうものでお間に合せになるか、或いは
先ほど
竹山先生
もおつしやつたような薬局或いは薬学の教室で作
つて
おもらいにな
つて
、それを
研究
所に置くという面もあるらしいから、その辺でお間に合せにな
つて
、この社会的に非常に
害毒
を流すところのものを全面的に禁止してしまうという方向が私はいいのじやないかというようなことも考えられるのですが、如何で
しよう
か、その点を
一つ
……。
林しよう
87
○
参考人
(
林しよう
君) 差当りとしては私はそれでも結構だと思います。それから今
注射
のほうが出なくなれば一応非常にやりにくくは確かになると思うのでございます。粉末の入手のほうは少しやかましくすればむずかしくなりますし、今私はとにかく
注射
薬のほうが止められてるのだと
思つて
いたくらいなので、差当りは
注射
液のほうがなくなることが結構だろうと思うのですが、やはりエフエドリンから作る人が出て来るだろうと思います。併しどうしても
取締
の罰則を強化しなくてはなるまいということが言えるのであります。一部必要な分だけ
輸入
することは結構だと思いますし、少量で済むと思いますので、
輸入
したときのほうがルートを調べるときにもやりようございます。
竹山恒壽
88
○
参考人
(
竹山恒壽
君) これは
製造
を禁止しましても無くな
つて
しまうものではない。今の
お話
で、我々が本当に必要なときには
研究
室なりで作ればいいのではないかということと、これは将来に大きい禍根を残すものであります、特定のところで、
研究
所だけで作
つて
いるということが、これがどういうふうにだらしなく流れて行かないとも限らない。それでやはり
製造
を禁止しても作ることもできるというふうなものであれば、この
製造
と
販売
を、
先ほど
から申上げました
通り
麻薬
並みに取扱うことが一番合理的な
やり方
じやないかと考えております。
有馬英二
89
○有馬英二君 そうすると
竹山先生
の御
意見
は、
製造
を全面的に禁止してもなかなかこれは無くならんものである、即ち密造ということが行われるということが
一つ
と、それからやはり
麻薬取締法
に準じて厳重に
取締
をしなければやはり
製造
並びに
使用
を禁止するということは、或いは絶対的じやないかも知れませんけれ
ども
、
害毒
を禁圧することができるくらいな程度にそれを減少せしめることはむずかしい、かようにお考えになりますか。
藤森眞治
90
○藤森眞治君 もう
一つ
豊島さんに伺いたいのですが、
先ほど
あなたの御
意見
では密造の根源を絶つことが重要だと言われましたが、これはもう我々のほうは同感なんですが、併しただ密造の根源を絶つということは言葉じや非常に優しいのですが、事実問題としては非常にむずかしい問題です。殊に現在あなたの会社のように、すぐに
製造
を自発的におやめになるというような、こういう一流の製薬業者のところは非常にいいですけれ
ども
、そう行かない、いわゆる密造をや
つて
おるところは至
つて
困難だと思いますが、それにつきまして、
製造
業者の
方面
から御覧に
なつ
た方法で、何か密造の根源を絶つにいい思い付きなり、お考えはございませんで
しよう
か。
豊島順吉
91
○
参考人
(豊島順吉君) むずかしいですね。
藤森眞治
92
○藤森眞治君 これはやはりその道から何かいい智慧がお出になれば非常に結構だと思いますが……。
豊島順吉
93
○
参考人
(豊島順吉君) 実にむずかしいですな。やはり重い罰でも科さなければ駄目で
しよう
な。
藤森眞治
94
○藤森眞治君 そうすると、やはり法律の改正とか、どうとかという
方面
から入
つて
行
つて
、いわゆる取扱いにもなりま
しよう
し、
製造
ということにもなりま
しよう
し、そういう
方面
から縛
つて
行
つて
、そこに重い罰則を作るというようなお考えでございま
しよう
か。
豊島順吉
95
○
参考人
(豊島順吉君) まあそれも
一つ
の手でございまして、もう
一つ
大事なことは、僕は社会的な啓蒙ということも
一つ
お考え願えませんで
しよう
か。それは幾らもうなく
しよう
としても、みんなが国民的な自覚がなければ到底むずかしいことだと思うのですね。
藤森眞治
96
○藤森眞治君 これは私は初めから考えたのでございますけれ
ども
、これは
一つ
社会教育の
方面
から強く考えて行かなければならんということはわか
つて
おるが、現在ぶつか
つて
おるのは、社会教育のほうがいわゆる手遅れと言いま
しよう
か、悪いほらが進み過ぎておるものですから、そこでむずかしい問題が起きて来たわけです。そこを
一つ
よく考えて、何かいいあなたがたの御体驗からいい方法でもあればというわけです。
藤原道子
97
○藤原道子君 そこで私の考えは、社会の道徳、教育啓蒙運動というようなことを自覚を促がすという
意味
から申しましても、
ヒロポン
というものはそれほど害があるということを一般が余り知らないのですね、ですからこういうことを私は十分に徹底させ、
製造
禁止までするほど害があるのだからというところで、
一つ
この際、まああるに越したことはないけれ
ども
、なくても済むという程度のものでございましたならば、私は飽くまでも
製造
を禁止して、心身共に未熟な青年たちを保護して行きたい、守
つて
行きたい、もうこういう気持ちが強いのでございます。それと併せて無論
製造
を禁止した、しつ放しではいけませんので、十分
取締
りをして行く。
製造
を禁止されているのに、若しも僞造品にしろ、何にしろ作
つて
いれば重罰にするというところまで行かなければ、強化
規定
をしなければ、今の
状態
は救いがたいと思う。各所を視察した結果が私は悲観的なのでございます。警視庁に参りましても、各警察署に参りましても、或いはこの間看護法の問題で全国的に歩いて参りましたけれ
ども
どこの県に参りましても熱望しております。衛生部あたりで手を焼いておるらしいのです。
有馬英二
98
○有馬英二君
ちよ
つと豊島さんにお伺いしたいのですが、先だ
つて
あなたがたの業者の富山化学工業さんですか、二カ月の営業停止を受けましたね。あれはどのくらい業者に対して感銘を与えたもので
しよう
か。非常な厳重な罰則というようなお考えがありま
しよう
か。或いはあんなものはなくてもいいというようなお考えになりま
しよう
か。
豊島順吉
99
○
参考人
(豊島順吉君) 二カ月間の営業停止ということは非常に大きな打撃で
しよう
。恐らく我々の会社であれば再起不能になるで
しよう
というふうに考えますが、非常に重い罰だと思います。併しあそこまでの行政処分をお考えに
なつ
た経路を見ますると、むしろ遅きに失したのじやないかという
感じ
を持
つて
おります。
河崎ナツ
100
○
委員長
(
河崎ナツ
君) ほかにございますか。
藤原道子
101
○藤原道子君 今日は十分伺いました。
河崎ナツ
102
○
委員長
(
河崎ナツ
君) それでは質問もございませんようでございますから……。いろいろ今日は特に御不便なところを、いろいろ御苦難を越えて四人のかたがたが
おいで
下さいまして、いろいろ私
ども
に御経験のところを御指示下さいまして、本当に有難うございました。 それでは今日の
厚生委員会
はこれで終りにいたします。 午後四時二十七分散会 出席者は左の
通り
。
委員長
河崎 ナツ君 理事 有馬 英二君 委員 石原幹市郎君 中山 壽彦君 長島 銀藏君 藤原 道子君 藤森 眞治君 松原 一彦君 委員外議員 労働
委員長
赤松 常子君 事務局側 常任委員会專門 員 草間 弘司君 常任委員会專門 員 多田 仁己君
参考人
都立
松澤
病院院 長 林
しよう
君 慈惠医科大学教 授
竹山
恒壽君 警視庁
防犯
部少 年第二課長
山本
鎭彦君 大
日本
製薬東京 支店長 豊島 順吉君