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1951-05-19 第10回国会 参議院 建設委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年五月十九日(土曜日)    午前十一時十八分開会   —————————————   委員の異動 五月十六日委員三輪貞治君辞任につ き、その補欠として齋武雄君を議長に おいて指名した。   —————————————   本日の会議に付した事件 ○利根川開発法案石川榮一君外百十  二名発議)   —————————————
  2. 小林英三

    委員長小林英三君) 只今から建設委員会を開会いたします。利根川開発法案を議題に供します。
  3. 赤木正雄

    赤木正雄君 第三条によりまして、これは国が実施するものである、こういうことはこの前の各条審議のときにも発議者から説明がありましたし、又連合委員会におきましても説明がありました。ただ実施に際しては現状通りに各府県においてさせる、こういう話がありましたが、その点をもう一度はつきり伺いたい。
  4. 石川榮一

    石川榮一君 お答えいたします。第三条は、この開発事業は国がこれを企画、調査いたしまして、そうしてその計画に基いて総合計画を樹立いたしますから、その線に沿いまして予算割当をいたし、その予算割当に達しましたものを基本計画に基きまして実施する場合には、それを建設省に或いは農林省に或いは各行政官庁にその総合的な線からその予算を調整して、その実施に当らせるということに考えておるわけであります。もう一つ附加えて申上げますが、去る十一日だと思いますが、赤木先生から御質疑を頂いて、よく調べてから申上げると言つて置きました。既往五カ年間における利根川にどれだけ府県並びに国が財政支出をしておるかという御質問でありましたが、これはお手許に差上げてございます資料のうちにあるのでありますが、大ざつぱに見ますと、昭和二十一年から二十五年まで、それまでに国の事業といたしまして、直轄事業でやりましたものが二十三億二千三百三十八万六千二百三十五円であります。又中小河川に対するこの管轄の府県河川改修事業費は、河川費におきまして七億八千百三十二万五千余円、砂防工事費が一億六千七百九十九万余円、合せまして県別河川改修事業費は約九億四千九百三十万円であります。従いまして河川改修費直轄河川と、それから各地方行政機関でやりました河川改修費の総計は三十二億七千三百六十九万円であります。更に災害復旧費になりますと、直轄災害復旧費は十六億五千八十七万円余、県別災害復旧費は七十億二千四百七十五万円、総計いたしますと、その総額は大体におきまして、百十九億四千八百三十一万円であります。即ち百二十億円弱が五カ年間における改修事業費並びに災害復旧費であります。一年度の平年度に割当てますと、約二十四億になります。平均二十四億の国県費がこれに使われておるのであります。
  5. 赤木正雄

    赤木正雄君 この前の逐条審議のときと今のお話とは多少相違しているように思うのです。この前も成るほど国が調査し、立案すると、そうして施行現状通りにすると、そうおつしやいました、併し全体としては国がするものであるが、それを現状通りにするんだと、こういうふうに言われたのですが、その点もう一度はつきりして置いて頂きたいと思います。
  6. 石川榮一

    石川榮一君 今申上げたのは、私どもといたしますと、別に考えを変えておらないと思いますが、もう一度申上げますれば、この開発法事業は、国が実施するのを建前といたしまして、そうして国がこの総合計画基本計画を立て、年次計画を進めて参るのであります。それが国の予算のうちから、この事業割当てられたものに対しまして、この開発庁は、その基本計画、並びに年次計画の線に沿いまして、そうして重点的に仕事を進めて参る場合に、各省ごとに或いは各県ごとに、担当するところの、その事業部面に対する工事実施をするということになつておるのであります。要するに国が調査立案をし、そうしてできましたところの計画に基ずきまして、一本の線に沿いまして、各行政機関にその工費の調整按配をしまして、そうしてその線に沿うように工事を続けて参るという基本的な考えであります。
  7. 赤木正雄

    赤木正雄君 大体現状通りの方針であるとこの前も言われたのですが、一つの例を申しますと、やはり河川工事に対しては国直轄河川もあるし、又中小河川もあるし、町村河川もあります。この法律ができた場合に現在の中小河川のようなものをやはり国直轄河川に入れるお考えか、或いは町村河川のごときものを中小河川に取り上げて置くか、これもはつきりして下さい。
  8. 石川榮一

    石川榮一君 今県費のほうでやつています中小河川並びにその基準から外れている河川等につきましては、勿論この事業をやりまする上において総合性を持たせるために一応調査の対象といたしまして、そうして作り上げ、それらのものを一切を包含してその計画を立てるのであります。で予算はそれに従いまして国の予算が出た場合、各府県中小河川並びに中小河川外仕事をするような場合には、やはりそれは今までの法律命令によつて基準されたところの負担率等は変らないのでありまするから、その負担の方法は従前と変りはないが、仕事の面だけを行政官庁並びに公共団体に任せるという考え方なのであります。
  9. 赤木正雄

    赤木正雄君 現在の中小河川直轄河川に取上げられるか、或いは町村河川中小河川に坂上げられるか、これは全国を通じて大体一定の基準に基いてやつています。従つてこの法案が直ちに利根川流域だけの中小河川に対して今までのまあ例を破つて、そうして直轄河川に持つて行くとか、そういうこともなさり得る考えなんですか、どうなんですか。
  10. 石川榮一

    石川榮一君 やつておりません中小河川そつくり国直轄河川に編入するということは考えておりませんが、仕事の面におきまして、その総合計画のうちに織込みまして、その計画基礎資料、又仕事の面においてはその計画従つて仕事を進めて行くという建前から考えまして、一応この国の事業のうちに包含をいたしまして、そうして計画のうちには入れますが、事業そのものは各府県で現在やつております。中小河川並びに公共事業団体がやつています中小河川等は元と変りはない。要するに計画立案をする上において入れまして、総体的に予算を取る、それを府県に流す場合は府県に流しまして、府県は今までと同じような負担割合で進めて行く、又小河川であつて河川になつておらないようなものは、やはりその線に沿つて公共団体をしてやらせて行くという建前であります。
  11. 赤木正雄

    赤木正雄君 くどいようですが、私の申上げる趣旨は、河川基準、順位といいますか、それを現在通り基準によつてなさるかどうか、これが質問要点です。たくさんのことを承わらなくても今から要点だけをお聞きしたい。現在通り基準によつて、或いは中小河川基準は現在これならばこれとそれをなさるのか、或いは現在の中小河川の全体の傾向はむしろあるんでしよう、あるべきですが、現在の中小河川直轄河川に持つて行くとか、つまりこの利根川流域だけに限つてほかの府県とは格別な基準に各河川をおとりになるのかどうか、これを承わりたい。
  12. 石川榮一

    石川榮一君 私どもの立法の趣旨は今御質問のありましたように、特別に中小河川をこの開発法建前直轄河川と同じように、中小河川を根本的に編入替えしようという考えを持つておらないのであります。要は計画を立てる上においてそれらのものも総括いたしませんと、今までと同じように各府県ことにその事業を勝手にやつて行く、それがためにトラブルが起つて来る、矛盾、撞着があつてはいけませんから、計画の面には入れますが、工事施行の面については今のと変りはないのであります。
  13. 赤木正雄

    赤木正雄君 審議会を開いて、学識経験のある者を集めて、いろいろと計画なさるらしいと承わりましたが、又その中にはこの間の連合委員会の席上ではローダーミルクさんのような人も入れたいと、こういうお考えはつきり承わつたのです。実は御承知通りにトルーマンの技術最高委員長であるローダーミルクさんは三月の中頃から日本に来て、主として利根川を見て廻りました。そうして五月の二十七日にアメリカに帰られましたが、帰る前に、是非私に会いたいということを言われて、私は丁度五月の十六日から選挙で地方行つておりましたが、向うさんとのお話関係もあり、二十三日に特に東京帰つて向うさんの希望通りに帝国ホテルに行つて長い間話したのです。そのときにローダーミルクさんにこの開発案のことを言いました。向う利根川については十分よく見たと、そこでこのTVAことも私は相談したのです。ところが今これをTVAのような形に持つて行く必要がどこにあるか、利根川治水に関してはもう立派に調査できているのだ、ただこれが実行あるのみだ、こういうことを強く言つて私に話されたのです。そういう関係からして、私も実際利根川治水関係におきましては、昭和十三年の増補計画、それに又昭和二十二年のあの大水害に基く改訂計画において、殊に二十二年の大水害以後、先ず現在の技術面といたしましては、最高級の人が集まつて現在の利根川改訂計画ができているのであります。でありますからして、発議者学識経験の人を集めて、又非常に立派な計画をなさるようなことをおつしやいますが、どういう人を一体お集めなさるお考えでありますか。
  14. 石川榮一

    石川榮一君 お答えいたします。先般の連合委員会におきまして、ローダーミルク氏のような者をということを申上げましたが、それは日本の現在の状況から考えまして、こういう人を学識経験者として、この法律が得られるわけではありませんが、要は技術指導的な立場から、顧問的な立場から大きな問題のときはその指導を仰ぐということも考えておりますという意味を申上げたのでありまして、若し当時私がローダーミルク氏をこの審議会委員に入れたいということを言つたとしますればその点は取消します。要は技術的な指導、難局に当面したとき、或いは問題を大きく検討を加えますという重大な場合に、それらの世界最高水資源権威者であります人とも相談に乗つて頂きまして、そうしてその間違いなきを期したい、こういうつもりで申上げたのであります。そこで今御質問になりました点について申上げますれば、利根川改訂改修計画ができておりますのは私も承知しておるのであります。又ローダーミルク氏との会見も私も四回ばかり会つておりましてそのときの御意見伺つたのでありますが、勿論開発法案についての法律的な根拠については質問いたしませんが、まあいろいろ利根川を見て頂きました関係技術上のいろいろな話を伺つております。日本技術相当に進んでおることは確認されております。従つてその改訂改修計画に対して私どもは不満を持つておるわけではないのでありまして、勿論あれは根幹になる治水改修事業とかように考えておるのであります。要は上流奥地林開発或いは治山の面から見た林野行政の面、それから電力の開発の問題、それから一連の農林省がやつております、計画を立つております五カ年計画乃至十年計画というようなものも織込んでございまして、建設行政農林行政とそれから水力電気行政その他川に関係がありますいろいろな橋粱或いは道路という問題もある、或いは改修計画が立つておりますあれを実現いたしますれば自然起りまする築港の問題、或いは河口の問題というものも起つて来るわけであります。それら一切の水資源に対する総合計画を立てなければ、単にあの改訂計画をやつただけで必ずしも私は目的を達しられない。むしろ上流山腹砂防或いは植林というものが、これが大きくこれに寄与しなければあの改訂改修計画の目標は達し得られないのだというような観点に立ちまして、この水に関する一切の機関を一元化いたしまして、そうして最効率に、重点的に工事を進め、間違いなく総合計画目的を達したいという念願なのであります、従いまして学識経験者を入れるという場合には総合開発に関する権威者であるかた、或いは特に農地の改良に関する権威者であるとか、或いは治水に関する権威者であるとか、或いは築港に関する権威者でありますとか、その他或いは経済面におきましてもこの事業を推進する上におきまして特殊会社の目論見も内蔵しておりますから、その方面に関する権威者等も加えまして、そうして立派な総合開発審議会としての機能を発揮したい。建設省で作りました改訂改修計画を私どもは決して無視するものではないのでありまして、あれは利根川改修計画根幹をなすものでありますので、私どもも絶対の信頼を持つておるのであります。あれを中心とした一切の総合計画を作りたいという念願なのであります。
  15. 赤木正雄

    赤木正雄君 この間利根川総合開発図譜を頂きました。相当十分調査されております。これについて建設省関東地方建設局長お話したい。この利根川総合開発に対しては建設省関東地方建設局はどういう立場において今まで処理されたか、これを伺いたい。
  16. 小林英三

    委員長小林英三君) 赤木さん、まだ来ていないそうですが……。
  17. 赤木正雄

    赤木正雄君 一つ至急に……。
  18. 小林英三

    委員長小林英三君) 赤木さんに申上げますが、今朝連絡しましたときは局長出張だから部長が来るという話だつたのです。今又連絡しましたら、部長も又出張中であるから、その次の者をよこすというのですが、どうですか。
  19. 赤木正雄

    赤木正雄君 責任のある人ならいいが、十分責任のとり得る人ならいいのですが……。
  20. 小林英三

    委員長小林英三君) 今提案者河川局次長が来ておりますのですが、建設局かたは芝浦から来るので相当暇がかかると思いますので、その間に御質問がございましたらお願いしたいと思います。……ちよつと速記を止めて。    〔速記中止
  21. 小林英三

    委員長小林英三君) 速記を始めて、何か御質問ございましたらお願いいたします。責任ある者は皆出張中なので、そういう手違いができましたことを政府委員室からここに弁明に来たいというわけです。  赤木さんに申上げますが、政府委員室から来てるんですが、地建のほうは昨日は局長出張中であつたが、工務部長はおるから工務部長を出す。こういうわけであつたのです。ところが、今朝になりまして確かめましたところが、催促しましたところが、工務部長出張しておる。そこで先ほどの御要求の責任のある者というので、更に折衝しましたところが、責任のある者も全部出払つておるということの釈明に今ここに政府委員室から来ておりますから御了承願いります。
  22. 赤木正雄

    赤木正雄君 それで今お話通りに、質問に対して殊に責任ある局長出席を要求して置いたのでありますが、今責任ある者は誰も出ることはできない。こういう場合に委員長はどういうような処置を一番穏当とお考えになるのですか。
  23. 小林英三

    委員長小林英三君) いや、今確かめましたところが工務部長現地出張しておるということになつております。
  24. 赤木正雄

    赤木正雄君 現地はどの辺でしようか、利根川流域と申しましてもすぐそこも現地ですから。私もこの間土曜から日曜にかけて現地行つて来たのです。現地状況によつてはすぐ帰つて来られます。
  25. 小林英三

    委員長小林英三君) 現地の所は聞いておりません。
  26. 田中一

    田中一君 私の要求する質問者がおられなければ、このまま進行して頂きたいと思うのです。
  27. 小林英三

    委員長小林英三君) そのほかの御質問がございましたら一つこの際お願いいたしたいと思います。ちよつと速記を止めて。    〔速記中止
  28. 小林英三

    委員長小林英三君) 速記を始めて。昨日赤木委員から地建局長出席方を本日の委員会に求められたのでありまするが、委員長は直ちに出席方地建に要求したのでありますが、然るところ、離日の話では地建局長出張中であるので、次長出席をさすということであつたのであります。本朝更に工務部長出席方を要求いたしましたところが、工務部長地方出張しておる、責任者もいないと、こういう回答を得たのであります。委員長はこの地建のこの処置に対しまして甚だ遺憾に存じます。赤木委員に御了解を願いたいと思いますが、委員長といたしましては、この地建処置に対して厳重な抗議を申すつもりでありますが、この地建に対する質問につきましては一応御了承をお願いいたしたいと思います。
  29. 赤木正雄

    赤木正雄君 只今委員長お話で、地建局長はこの利根川開発法案については重大な関心のあることは私今までから存じております。それに対して本日見えていないということは、局長責任を特に回避しているとこういうふうに考えるよりほか途がないのであります。若しも自分が来られないならば責任者をよこすべきである。その責任者も本日よこさないというのは国会を無視している、こういう観点からと思います。殊に地方建設局長がこの法案に対して政府反対しているということが明らかになつたために或いは来ないのではないかと、そういうことまで考え得られるのであります。私はいつか機会を持つてこれを追及します。そういうふうで。今日は責任者の来ていないのは残念でありますが、この内容についても又後日追及することがあるかも知れませんが、併しこれは審議とは別問題にします。
  30. 小林英三

    委員長小林英三君) ほかに本法案につきまして御質疑はございませんか。御質疑はないものと認めます。つきましては只今から本法案につきましての討論に入りたいと存じます。御異議ありませんか。
  31. 赤木正雄

    赤木正雄君 この法案連合委員会を四回も開いて十分審議しました。その際におきまして各委員長、例えば内閣委員長或いは地方行政委員長或いは経済安定の委員長、いずれもこの法案に賛成しがたい意味はつきり現わしています。又決して私ども政府をどこまでも考えるわけではありませんが、政府におきましてもこの法案実行難であることははつきり申しました。殊に昨日大蔵大臣のごとき、若しもこの法案が仮に通過するならば、直轄施行しておる七十数河川に対しては、これと同じような法案を出すべきものだと、このことも言明しています。又財政部面から見ましても、今日の日本経済からして、こういうことは事実不可能である。そういうことをはつきり言つています。なお昨日地方行政委員長質問のごとき、憲法に関しても多少異議があるとしています。こういう点からいたしまして、私は今日の情勢において、而も国土総合開発法というあの法律が昨年制定されて間もない今日に、あの国土総合開発法で、これはその一環として審議できるものを、特にこの法案を作り出す、無論これには発議者が言われた通りに、この利根川を今日のような荒廃に置いては、見るに忍びんと、これについては、私は永年治水問題には関係していますから、決して治水事業の拡充にやぶさかでありません。或いは皆さん以上に治水には関心を持つておる。これは恐らく第三者は考えてくれることだと思います。併し日本全体を考える場合に、先ほど申しました種々の観点からして、この法案が今通過することは、これは全体としてよくない。殊にこの法案の中には、この長官を大臣を以て充てるというふいなこともあります。これなんかも果していいか悪いか、私は適当と思いません。そういう観点からして、私はこの法案には遺憾ながら賛成しかねます。
  32. 小林英三

    委員長小林英三君) ほかに御意見がございましたら、賛否を明らかにしてお述べを願います。
  33. 岩崎正三郎

    岩崎正三郎君 私はこの法案に賛成するものであります。確かに国土総合開発法はございます。ございますが、今日これが不備であるということは、政府当局も認め、又衆議院の建設委員会においても、又我々のこの委員会においても従来それは認めておつた。それでそういう観点からしまして、特に北海道開発庁ができ、次に全国の各地方を見渡せば、御承知利根川荒廃中心として関東一部五県の総合的な開発をすることこそが、今日緊迫した日本情勢において我々は不可欠なものであると考えます。更に先ほど申しましたように、総合開発法ができておるけれども何ら実質的にやつておらない。北海道開発法もできておるけれども総合開発法不備なる点からして今日いろいろなトラブルを起しておる。我々はこの利根川開発法案が通過することによつて日本全国に亘るところの総合開発というものに対して官民が真剣になつて考えてくれるであろうということを予期するのであります。日本経済の自立ということは幾度か叫ばれておりますけれども、まだまだ実質的には何ら私は手が打たれていないと思う。日本のこの一番地方のあるところの、実力のあるところの利根川水域を本当に開発するということが、そういう一つのきつかけになる、又日本全体に及ぼすところの総合的な開発日本の国力を培養するところの一つのきつかけを作れるだろうと私は確信するのであります。そういう意味で、どうか多少の法案不備はございましようけれども、これを参議院において通過することによつて日本総合開発を更に推進せしめ、又誠に生れたばかりで何ら実績は挙げていないところの総合開発法を更に焼き直し、それを強化するところのよすがになると私は確信するのであります。私はこの意味においてこの法案の通過に賛成するのであります。と同時にどらか皆様方にもこの気持をお酌み取り願つて、この法案に御賛成下さるように希望申上げて置きます。
  34. 小川久義

    小川久義君 私はこの法案に賛成するものであります。法案内容、字句その他に対しましては、幾らか不備があり、改むべきところがあると思うのでありますが、根本的に考えまして、今年の三月、六日間に亘りまして本院から派遣され調査を遂げたのでありますが、その調査の実情から見ましても、又あの川の様子を見ますると、相当無理がある。落差の多い、距離の短かい江戸川へ落すべき水が、銚子まで持つて廻つて落差のない、距離を延ばされ、それに対して今の流域民相当犠牲を払つている。言い換えますれば、東京都を守らんがために他県のかたがた、又都の一部のかたがた犠牲になつておいでになるということも窺われますので、一日も早くこの犠牲を取除くという点、又総合開発法が昨年施行されましたが、何ら実質的には動いていそうにもない、従つてこれをモデル的に一つやりまして、あの総合開発法の本当の活動が促進されることになると私は確信するのでありまして、その総合開発法を活かして利用するという促進の意味におきましても為になると思うのであります。かような点、法自体には幾分の不備がありましても、根本的に大局から見て総合開発が促進されるやに考えますので、賛成する次第であります。
  35. 小林英三

    委員長小林英三君) ほかに御意見はございませんか。
  36. 東隆

    東隆君 私はこの法案に遺憾ながら反対をするものでありますが、趣旨その他については私は非常に賛成をいたしたいのでありますが、北海道開発関係利根川開発関係考えましたときに、そこには大きな相違が私はあると思うのであります。開発の余地を十分に持つておる所、又開発すべき資源を十分に持つておる所と、すでに十分に開けた所に対する開発関係、これはおのずから違つて参ると思います。そういうような点で。若し総合開発問題を取上げるならば、利根川中心にしての問題よりもまだ先に取上げなければならん地帯が日本の国にはある、こういう考え方を持ちます。と同時に、私はこの関係考えましたときに、国土総合開発法を真剣に進める、こういう問題になりましたときに、この法案が、それを進めるに当つて審議の過程が大きな効果を挙げることを私は十分に考えるのでありますが、私はこれを機会日本を道州制のような形に一応取上げて、そして関東ブロックとして各方面関係を持つておる利根川中心にして総合開発考え、それから他の地域についても大きなブロツクについて考えて行く、こういうようなことでも若し前提がありますならば、これは国土総合開発を進める上においての一つの大きな進歩になる、こういうふうに考えますけれども、そういうような点も実は決定をみておりません。従つてこの問題を続けるに当つて、いろいろ今後においてむずかしい問題を起して来ると、こう考えまするので、改めて国土総合開発法を総論として、そうして各論的な問題は別途の考え方で進むべきものであるというふうに考えますので、先ほど赤木委員から言われた以外の理由として附加えて私は反対をするものであります。
  37. 小林英三

    委員長小林英三君) ほかに御意見はございませんか。御意見はないようでございます。討論はこれにて終結したものと認めて御異議はございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  38. 小林英三

    委員長小林英三君) 御異議はないものと認めます。これより採決をいたします。  石川榮一君ほか百二十二名発議利根川開発法案を議題といたします。
  39. 赤木正雄

    赤木正雄君 今百二十何名とかおつしやいましたが、その中に緑風会の幾人かは発議者を取消しておりますから、それを御訂正願います。
  40. 小林英三

    委員長小林英三君) そうですか。じや、それは人数をあとで訂正いたしますから……。  本法律案を原案通り可決することに賛成のかたの御起立を願います。    〔起立者多数〕
  41. 小林英三

    委員長小林英三君) 多数と認めます。よつて法律案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお本会議におきまする委員長の口頭報告の内容等に関しましては、すべて先例に従つて行いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  42. 小林英三

    委員長小林英三君) 御異議ないものと認めます。  次に本院規則第七十二条によりまして委員長が議院に提出する報告書には多数意見者の署名を附することになつておりますので、本案を可とせられたかたは順次御署名をお願いいたします。   多数意見者署名     岩崎正三郎   平井 太郎     石川 榮一   島津 忠彦     齋  武雄   田中  一     小林 亦治   小川 久義
  43. 小林英三

    委員長小林英三君) 御署名漏れはございませんか……、御署名漏れはないものと認めます。  委員会はこれにて散会いたします。    午後零時三十二分散会  出席者は左の通り    委員長     小林 英三君    理事            岩崎正三郎君            赤木 正雄君            小川 久義君    委員            石川 榮一君            島津 忠彦君            平井 太郎君            田中  一君            小林 亦治君            齋  武雄君            徳川 宗敬君            東   隆君   政府委員    建設省河川局次    長       伊藤 大三君   事務局側    常任委員会専門    員       武井  篤君    常任委員会専門    員       菊地 璋三君