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1951-05-14 第10回国会 参議院 建設委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年五月十四日(月曜日)    午後一時五十二分開会   —————————————   委員の異動 五月十一日委員門田定藏君辞任につ き、その補欠として三輪貞治君を議長 において指名した。   —————————————   本日の会議に付した事件 ○利根川開発法案石川榮一君外百十  二名発議)   —————————————
  2. 岩崎正三郎

    理事岩崎正三郎君) 只今から委員会を開きます。委員長が遅れて来るそうでありますから、私、代つて委員長をやります。  前回に引続きまして利根川開発法案について、逐条的な審議をやることにします。本日は第八条から審議に入りたいと思います。
  3. 菊地璋三

    専門員菊地璋三君) それじや一応朗読いたします。  第八条 関係地方公共団体は、開発計画に関し、内閣に対して意見を申し出ることができる。
  4. 岩崎正三郎

    理事岩崎正三郎君) 第八条、御質問ございませんか。    〔理事岩崎正三郎限席委員長着席
  5. 小林英三

    委員長小林英三君) それじや第八条につきまして御質疑がございましたらば。……それでは別に御質問がなければ第九条に入ります。    〔菊地専門員朗読〕  第九粂 開発計画に基く事業は、昭和二十八年度から開始し、昭和三十七年度までに完成しなければならない。
  6. 赤木正雄

    赤木正雄君 これは国家財政をお考えの上に、発案者はこういう条項をお入れになつたのでありますか。
  7. 石川榮一

    石川榮一君 この条項は一応財政計画と申しますか、国の将来の財政上の進展ぶり等を考察に入れまして、昭和二十八年度から三十七年度のこの十年間日本経済はよほど大きく発展するだろう、かように考えております。もう一つは、一つ事業を実施いたしますのに、余りにも長い年度に亘りますと、ややもするとその事業にいろいろな支障がある、不可能に陥るような場合も起り得るのでありまして、事業施行といたしましては、相当大きな予算を伴いますが、少くとも十年程度にはこれを完遂する見通しを付けなければ、この法案の意義が没却されると考えまして、少し無理だとは考えますが、提案者昭和二十八年度から実施することにいたしまして昭和三十七年度、十カ年間にこの事業を完遂するということが望ましい。こういう意味でこの条項を入れたのであります。もとより測るべからざる将来の国の財政でありますから、どうなりますか、事態の推移によりましては或いはこれは延ばされるかも知れない。併しながらこの法案を立法化する上から行きますれば十年間程度が最も適当である、若し財政的な面からできない場合、止むを得ない場合にはその時になりましてから一年でも二年でもこれは延長し得る途があるのでありますから、少くも十年という一応見通しをつけて、この法案の効果を全たからしめたい、かような考え方を以ちまして、この年度をきめたのであります。
  8. 赤木正雄

    赤木正雄君 相当多額の予算を要するが、併し十年間ぐらいでこの事業を完成しないと、この法案を立案した趣旨に反すると、こういうようなお話で、相当の費用を要すると、こういうお話はつきり言われましたが、どれほどの費用を要するのでありますか。
  9. 石川榮一

    石川榮一君 まだ本当に実施設計ができているわけじやありませんので、大体の資料を集めまして、そうして見通しとしまして予算を一応見たのでありますが、各省から得ましたものから推算いたしますと、二千四百五十億円要することになつております。併しとれはその資料なるものがそう権威のあるもののようにも考えられない点もあり、ややすると今までの各府県、或いは各庁等プランには相当の余裕を見て提出しているのが実際でございます。要するに予定表を作る程度のものでありますので、若干の含みもあるだろうという点と、もう一つ法案の第二十三条の特別の法人をして事業の一部をなさしむ、或いは事業を実施する者に対する投資をし得るような項目も謳つておりますので、それらの面から考えまして、電力或いは一部の干拓事業、或いは用排水等の問題につきましても、いわゆる第三者的な特別法人の手によつて或る程度予算もこなし得るという見方から、最大限一千九百億円程度はできるだろう。かように考えまして、一千九百億円程度を見込んでいるわけであります。二千四百五十億円というのは各省から得ました資料集計いたしましたものでありますので、これには相当含みがあるだろう、かように考えているのと、今の民間投資、或いは外資の導入等も考慮の中に入れまして、一千九百億円程度で実現し得るだろうという見通しをつけているわけであります。
  10. 赤木正雄

    赤木正雄君 最近の毎年のこれに対する費用幾らほど払つているんですか。
  11. 石川榮一

    石川榮一君 最近のものはお手許に上げております資料に載せておりますのですが、国の予算は別にいたしまして、この資料の十四頁、県別河川改修事業費一覧表、その次の十五項にあります災害復旧費一覧表、これらを参考にしておるわけであります。でありまするから、各河川のほうと利根川災害復旧費昭和二十一年から二十五年までの総計は十六億五千八十七万二千八百四十三円であります。それから県別ですが、これは東京を除いておりまするから群馬、埼玉、栃木、茨城千葉も落ちておりまするが、これを集計だけで申しますと表の十にあります、七十億二千四百七十五万円、十四頁にありますのは河川改修費、それと砂防工事費であります。で、その集計河川改修費のほうにおきまして五県で七億八千百三十二万五千五十三円、砂防工事費は一億六千七百九十九万百一円となつております。
  12. 赤木正雄

    赤木正雄君 もう一点承わりますが、そういたしますと一カ年平均幾らになつておりますか。
  13. 石川榮一

    石川榮一君 大体におきまして私の記憶では昭和二十六年度を入れまして、昭和二十二年から今日まで大体におきまして五十億程度と思つております。
  14. 赤木正雄

    赤木正雄君 私の承わりたいのは治水事業費年間平均です。
  15. 石川榮一

    石川榮一君 国の支出について私資料を今日持つて参りませんでしたから、その年間集計をいたしまして、次回の委員会に文書で申上げたいと思います。御了承を願います。
  16. 赤木正雄

    赤木正雄君 現在の年平均額に比べまして、今お話の千九百億円を十カ年にいたしますると、大体平均年二百億円になりますが、今のお話では年平均額は最近のはお手許にないというお話でありますが、その年平均額と二百億の額とを、やはり相当御吟味の上に、この十カ年をお出しになつているのですか。
  17. 石川榮一

    石川榮一君 それは十カ年と申上げても、その平均二百億にするということにつきましては、おのずから計画の長短もあり、或いは軽重もあり、順位もありいたしますが、そのほかに開発計画は、実施計画として生れました後に、財政上等を勘案いたしましてその年度割をきめたい、かように考えております。従いまして初めのうちはさほど大きなものはできないと思いますが、その計画費といたしましては、大ざつぱでありますが、今の資料の表紙の裏に一応つけておきましたが、昭和二十八年度を六十億、二十九年度を九十億、三十年度を百三十億、三十一年度を百八十億、三十二年度が二百億、三十三年度が二百二十億、三十四年度が二百四十億、三十五年度が二百五十億、三十六年度が二百六十億、三十七年度が二百七十億、こういうように一応のプランを立てております。従いまして今の御質問金額ですが、これは建設省だけではないのでありまして、発電事業並びに三十五万町歩に亘ります農地の用排水事業、或いは干拓事業等も含んでおります。それからもう一つ林野庁の所管になつております造林植林も含んでおります。でありますから延段省だけの予算で比較しておりません。利根水系に関するこの法案狙います林野庁関係農林省関係建設省関係電力関係等開発事業全部を含めたものを約二千億見ておるわけであります。ですから建設省関係になりますと、多分その半分程度になるのではないかと思います。
  18. 赤木正雄

    赤木正雄君 今農林関係のことを強く言われましたが、この前の審議の場合に、第四条の項目について発議者意見を承わりたのでありますが、第六号の「造林営林及び治山に関する施設及び事業」、これはだんだん聞いて参りますと、主として治水関係のことと、こういうふうに了承したのであります。従つて営林事業も、いわゆる一般営林も皆ここに含んでやろう、こういう意見なんですか。
  19. 石川榮一

    石川榮一君 大体その狙いは、初めは今の治水中心とする治山ばかりを考えたのでありますが、総合開発として坂上げます以上は、そこの区画が非常に困難でありますので、むしろ営林関係も全部これに包括いたしまして、この計画のうちに入れ、又奥地林開発等も行いまして、腐朽いたします巨木を伐り出そうというような狙いも加えておりますから、治水以外にこの地域に関する分だけは、造林営林も皆この法案によつて実施するという建前をとつておるのであります。
  20. 赤木正雄

    赤木正雄君 大分この間の御意見と違うように私は了承するのですけれども、この間の御意見では治水のことを強くおつしやいました。これは恐らく速記録にも伐つておると思いますが、今の御意見ですと、治水からだんだん発展していわゆる一般営林もやるのだ。こういうことになりますと、つまり農林関係も含んで来なければならんということになつて、又だんだん意見がこんがらかりますので、私はそれ以上のことは論及いたしませんが、少しそういうふうになつて来ると、この間の御意見違つた点に触れるのではないですか。
  21. 石川榮一

    石川榮一君 別に違つておらんつもりで申上げておるのですが、先生からは治水中心かということをお尋ねになりましたので、私も勿論治水がその根幹であることを申上げましたが、水に関係を持つ用排水事業、或いは干拓ということもこれに加えまして、水に関連を持つものに対しては一切を含むということを申上げたのであります。それから林道開発はどうかという御質問がありました。これは御質問趣旨から見ましても、造林営林ということも含んでおるかとおつしやることと思いまして、営林のうちには勿論林道も含んでおると考えて、特に林道は挙げておりませんと、かように申上げたのであります。もう一つ考え方として、治山治水営林との区画をどこにおくかということは非常に困難な問題でありまして、自然林務行政治山治水の面と営林の面と切離すことなしに、この一画だけは一緒にやることが最も総合性があり、事業の運営がうまく行く。かように考えまして、この地区に関する林野庁のほうは、この地区だけはこの管轄に入れまして、林務行政のほうと一貫してやるということになつておるわけであります。
  22. 赤木正雄

    赤木正雄君 この問題については、又次に質問いたします。
  23. 小林英三

    委員長小林英三君) 他に御質問がなければ第十条に移ります。    〔菊地専門員朗読〕  第十条 国家行政組織法昭和二十三年法律第百二十号)第三条第二項の規定に基いて、総理府外局として、利根川開発庁を設置する。  2 利根川開発庁の長は、利根川開発庁長官とし、国務大臣をもつて充てる。
  24. 赤木正雄

    赤木正雄君 一つの庁を作れば、当然これに関連して人が殖えるのははつきりとしております。この政府の御方針としても行政整理をこの前やつた。これは国民の長年要望しておつたところをこの政府がなしたといつて国民は非常に讃辞を呈したのであります。併しその半面において、国鉄のごとき、たくさんの人が職を去つてしまつた。又ほうぼうに職を去つた人がたくさんあり、なお最近の新聞では、総理は一層行政簡素化をして、整理をしなければならんということを新聞に謳つております。これは総理の正しい意見か存じませんが、新聞の上から見るのであります。私ども考えとしましては、成るべく現在の職員に手当でも出して、或いは給料でもよくして、いわゆる最近頻発する不正工事原因が、やはり公務員給料が少ないということがその一部の原因になつておりますから、公務員が安心して自分の事務に専念し得るようにしたい。その意味において、成るべく行政を簡素にし、場合によつて行政整理をやつて、その代り現在おる人をどこまでも優遇する。これでこそ初めて国家行政機構が完全になると思うのであります。そういう方針とはこれは多少反するように思いますが、これは無論自由党の総裁も、先ほど申し出したように、行政審理をお考えでおられるようでありますが、そういうふうの、一方においては行政整理をやつて国民期待に副うというのと、この法案作つて新しく一つの庁を置いて、従つてそれに人員を殖やすということは非常に矛盾するように思う。又国民一般期待に反するように思いますが、これに対してどういうお考えを持つておりますか。
  25. 石川榮一

    石川榮一君 一応赤木議員お話通りに私も考えるものであります。行政簡素化は、今国の方針としては何人も異論のないところでありますが、併しながら国の行政は必ずしもその数を減らすことのみが行政簡素化、或いは効率を発揮するゆえんとも考えられませんので、意味をなさない。要するに軽きようなものは、比較的現在の国民生活の上からさまで影響力がないようなものは極力簡素化すべきことは当然であります。併しながら私どもが狙つております利根川開発法の目標は、日本自立経済基盤をなす水系を辿りまして、そうして水資源を高度に技術化いたしまして、そうして自立経済基盤を作ろうという大きな狙いがあるのでありますから、必要なる施策等に対しましては私は必ずしも官庁作つても悪いとも考えておらないのであります。一官庁作つたがために非常に無駄をするということであれば、これはわかりませんが、今考えております考え方から言いますれば、遅れております日本経済の困難を克服するゆえんは、人的資源水資源との高度の利用以外にはない。日本には悲しいかな天然資源があり幸せん。国土は四分の三にも圧縮しておりますような状況下にありますので、国土の保全と、特に水資源に重大な関心を持ちまして、その資源を極力急いで日本経済基盤資料にしなければならんという考え方を持つておりますので、開発庁一庁を作りましたがために、今のようなお話の御批判はあろうと思いますが、絶対に国策として取上げて必要なものであるならば、これは止むを得ないと思うのでありまして、他の部面簡素化して、減らしましても、他の部面では時局の要請に従いまして、おのずから、政治は生きものでありますから、必要なものは最小限度の人を新たに採用することも止むを得ないのでございます。さような考えでおるのでございます。現状に飽き足らないためにできました私ども法案の狂いでありますので、現状そのままで置いて、日本国土が立派に回復され、あらゆる川が改修されるのであれば別でありますが、今のような情勢は相当高度な政治力を持ちませんとでき得ない状態にありますので、一面からは行政簡素化に背馳するようにも見えますが、一面からは水資源を十分に利用させるために画期的な法律によつて、その経済基盤を推准するための庁として、ここに開発庁を置くということも決して無駄ではない、かような考え方でおるわけであります。
  26. 赤木正雄

    赤木正雄君 水資源利用は御尤もでありますが、これは只見川水源開発とか、或いはこれに次ぐ熊野川水源開発ごとき、国民周知の問題であります。只見川開発すれば二百四十万キロワツトが出る、それを放置してはいかん。只見川だけ特に総合開発法案を作ろう、こういう声まで現われている。これは結局水資源を活用しようというのでありますが、又熊野川についても、それに次ぐ考えはありましよう。併し利根川については国民がそれほど了解していない。というのは利根川にそれほど水資源がないと私は思うのです。若しもあればすでに今まで相当開発しておるはずです。若しも利根川開発して水資源があるならば、まだ黒部川にしても、或いは常願寺川にしても、ほかの河川水資源開発はよりよい利用があると思う。今おつしやる水資源というのは、水資源開発するからよいとおつしやるのは、私は非常にそこに考えの少し矛盾がおありになりはしまいかと思う。先ほど申す通り国民只見川開発、或いは熊野川開発、或いは庄川の開発というならまだわかりますのでありますが、利根川がそれほど水資源があるようにおつしやるけれども、どこを以てそういうふうにおつしやるのですか。
  27. 石川榮一

    石川榮一君 私ども只見川のことやほかのことは余り存じ上げませんが、利根川に住んでおりますだけによく知つております。水資源と申しましても、災害防除も消極的な水資源であります。又年々歳々の利根川の大洪水災害は、恐らくどの川にも劣らないすばらしい災害でありますことは御承知の通りであります。これも水資源を抑える、いわゆる水資源を防ぐ、水の暴圧を防ぐということからも、一つ水資源とも考えられるのであります。それからもう一つは、比較はどうかわかりませんが、今建設省計画しております利根川改訂改修計画ダム建設、これは主として洪水防除であります。これを中心として、群馬県などは広汎な発電事実の調査を二年ばかりかかつてやりまして、その結果は、あのダムの水を利用するだけでも約六十三万五千キロワツトが出ることになつております。現在利根川電力を出しておりますのが僅かに四十三万キロワツト・アワー、その一倍半がこの建設省ダム建設による水だけでも生れて出るということになつておるのであります。更に広汎に電力を起すということになりますと、百三万キロワット程度は出ることになつております。そういうふうにいたしますると、只見川は二百四十万といいますが、これは私どもわかりません。これは結構でしようが、利根川はその水力電気においては大体六十三万キロワツト、本当によくやり度すれば百二十万キロワツトくらいは出る。そういう面から考れえば東京に近いということと、従いまして消耗率が少いということと、それから鉄道に近い、鉄道が深く入つておりますので、その水源地工事を施す場合に非常に有利であります。只見川の或る箇所のごときは私が聞いたのでは一つダム建設するのに三十年を要するだろう。これは有力な電力会社技術部長の言うことですから私も信用するのでありますが、理想としてはいいのでありますが、本当に調べて見ますと、それに要するセメントを運ぶだけでも現在の交通機関から考えますと三十年も要する。そういうような、できれば二百四十万キロワツト出るでありしようが、それに数十年も要するということであつては、現在の経済困難を克服するためには余りにも時間的に考えられないという点もありまので、つぶさに只見川或いはその他の河川状況を詳細に調べませんと、多いからいとばかりいえない。経済的な価値があるかどうか、又工事施行上の困難さはどの程度であるかということも比較いたしませんと、一方的に私どもは賛成できないのであります。私は電力ばかりを考えているのではないのでありまして、昭和二十二年カザリン台風だけでも、民間損害まで入れますれば一千三十五億円という統計が出ております。年々二百億なり三百億の損害があるというような状況でありますので、この経済的な損失を防ぎ、そうして今の電力、或いは用排水、或いは茨城千葉方面の、御覧の通りの甚だしい湿地であります。これらも電力の供給によりまして必ずポンプ・アツプによつて立派な水田に還元し得るのであります。関東平野は開発されたとは申しましても、開発してないのでありまして、胎んど昔のまま、そのままであります。でありますから、東京に近く、開発してあるように思いますが、細かに調べて見ますと、非常に未開発になつておるのであります。こういう点等考えまして、私ども只見川水源水力電気只見川との関係は概には言えませんが、さように考えておりまして、利根川も決して他の川には劣らない、すばらしい水資源があるのです。かように考えて、この法案をお願いしておるわけなんです。
  28. 赤木正雄

    赤木正雄君 災害を復旧することが水資源とおつしやいますが、それは私ちよつと了解しがたいのです。やはり水資源というのはそういうものではない。従つて六十三万キロワツト開発電力はある。これは私の調査と大体同じことです。要するに建設省の調べておるのと、立案者の今の御説明とは、この開発電力においては一致するのであります。そういたしますと、一体予算さえつければこの水害でも防ぎ得ることで、特に総理府外局として利根川開発庁をしなくても、或いは建設省なら建設省予算をやり、農林省なら農林省予算をやつたならば、それで仕事はできるので、特にこういうものをやらなくても……、なぜできないのですか。
  29. 石川榮一

    石川榮一君 それは御尤もです。予算を十分にやつて下されば少しは無駄をしてもいいという建前から行きますればこれはできるのです。私どもは今の財政状態が非常に困難でありますのを考え、又一方災害が年々増大することを考えまして、このなけなしの金によつてこの大きな襲いかかろうとする災害を少しでも効果的に紡ぎ、又利水を徹底しようとしますれば、あらゆる面から検討を加えまして、そのなけなし予算を最効率に、有効適切に使うように配慮しなければならん、かような狙いなんです。建設省農林省、通産省、或いは各県等がおのおの独自の独善的な考え方と言えば失礼ですが、そのおのおのの割拠的な考え方から予算を取つて、そうして横の連絡なしに、お互いに水をめぐる施設をするということは、そこに必ず矛盾があり撞着があることは当然であります。なけなし手算でありますが故に、行政機構改革によりまして、できるだけ割拠的なものをなくし、矛盾撞着を排除し、なけなし予算を有効適切に使うということが政治である、かような観点から実はお願いしておるのでありまして、厖大な予算が出されて来るならば何もしなくてもよろしいのです。私どもはたくさんの金が国から出て来るのは、建設段省でもどこでも結構です。今は無駄どころの騒ぎではない、何もできない。百年河清を待つ、どの川もそうです。なけなし予算を有効適切に使うためにはどうしたらよいか。今の現状では必ずしも水が出ないということは何人も考えておられぬと思うのです。いわゆる官僚独善割拠主義を排撃いたしまして、そうして一本の姿で効率的に予算を執行すべきである、こういう観点からこの開発庁はいわゆる無駄であるようでありますが、むしろ各省が割拠して無駄な金がら見ればその十分の一と思うのです。私はそう考え、今までの無駄な金を使わず、そういうことをやめさせ、一本の姿にして開発庁人員が殖えたことによる金額の問題ではない、むしろ今までのままにしておいて、矛盾撞着なことをしておる、予算の使い方をしておるのが大きな国家損失である。こう考えておるのでありまして、今の行政組織は、これは水を中心とする総合開発計画には不適当である。これを打破するために無駄なようではございますが、この開発庁の設置を要望しておるわけであります。要は国費を有効適切に使いたい、又機能的に一貫性のある、総合性のある政策を推進して行きたいという結果にほかならないのでありまして、各省に任すということは、この際水の資源に関する総合一発をやる場合には、私は賛成しかねるのでありまして、そういう点からこれを設置することを要望しておるわけであります。
  30. 赤木正雄

    赤木正雄君 予算が無駄に使われておると言い、又各省総合性がない。これはこの委員会でもう長年問題になつておる、つまり各省行政機構の問題でありまして、水に関連する一つの省に持つて行けばいいということは、我々はこの委員会で長年検討したことであります。ただそれが実行されていない。これは併しこの問題はひとり利根川の問題だけではないのであります。石狩川、北上川、木曾川についても、どの河川についても同じように、同じ一つ予算が、或いは農林省或いは建設省に使われるために、我々の要望通り行つていないということは、はつきりしていますからして、特に利根川のために、今のお話通りならば、利根川たけの問題でなしに、又この水に関する行政機構根本改革、そういうところに行けばあなたのお説に達する、こういうふうに思いますが、どうですか。
  31. 石川榮一

    石川榮一君 そういうふうなものが生れて参りますれば、私どもも非常に賛成でありまして、この上もないことだと考えますが、今の情勢では利根川が一番大きな川であり、災害が大きいし、経済効果も大きい。又経済政治、文化の中心である東京都をみずから守る。こういう点等も勘案いたしまして、又赤木先生のおつしやるように、そういうような大きな省ができまして、それが実施機関として強力に推進されるということが起りますれば、私はこういう心配はしなかつたのであります。今の情勢では殆んどこれは望み薄である。そういう声は識者の中にありますけれども、実現性がない。むしろ事前決定によつてやるほうがいいかどうか知りませんが、政府に待つてつたのでは、これは困難ではないか。そういう大きなものを狙つてゆすぶるよりも、先ず利根川のような一つ大きな川をやつて見て頂いて、そうしてこれがよいということになれば、おのずから又大きな観点から、水資源開発庁とか、或いは天然資源庁とか、或いは国土保全庁とかいうような形で、全国のものをここへ圧縮して、国費の大部をそれに投入するというような、大きな政治の展開がありますれば誠に申分ないところでありまして、そのときにおのずからこういうものについては、又検討する時期が来るだろうと思います。今差当つての問題は、非常に建設行政、農林行政なりに対する予算が非常に少いのであります。少い予算をめぐつて、先刻来申上げましたように、非常に各省、或いは各県が勝手に工事施行するというようなこともありますので、先生も御同感の通りであります。そういう意味でありますので、この際、これをお願いするということは先生が憂えておりますことを、如実に議会の手によつて、先ず利根川一つやらして見よう。その反響はどうかわかりませんが、なかつたらこれだけでも結構です。あれば又あるように政治の動きがあるだろう。こう思つておるわけであります。御趣旨は先生と変りはないのであります。
  32. 赤木正雄

    赤木正雄君 それはこの案が通過すれば、すでに提案しておる北上川の開発法案、これも同じように処理せねばならん。又それと同じ或いは木曾川、或いは信濃川、淀川、恐らく各河川総合開発法案というものができましようが、そのたびごとにやはり庁が一つできて、関係大臣がたくさんできるわけでございます。そういうこともやはりお考えの上で、こういうことをやることをお考えになつておりますか。或いはもうそういうことは全然ないものというお考えで、利根川開発庁のことを考えておるのですか。
  33. 石川榮一

    石川榮一君 それはそういうことも特に起り得ると思うのであります。或いは北上川でなくても、ほかの川からもこういう意思の発表が起つて来ると思います。それは、要はこの河川の検討をして行きまして、取上ぐべき価値があるということになれば、これはまあ取上げてもいいと思いますが、ただ前に利根川をやつたから、ほかの河川も真似するだろうということを予想しますことは、丁度温泉都市法と同じようにやつて来るであろうというようなことにも窮われるのですが、私はこういう水の問題はなかなか温泉都市法のようにはなつて来ない、こういうように思うのであります。要は本当に小さな川であれば河川改修工事をすればいいのだというようなものもありましようし、中には災害復旧だけしておけば、当分間に合うだろうというようなところもありましようし、いろいろありますから、むやみにやれないものは、そうたくさんはないと思います。若しそういうのがありまして、総合して議会で検討を加えまして、これは取上ぐべきものだ、利根川と変りはないものだというようになりましたならば、これを加えまして、一つの庁の中にこれを吸収してもいいと思います。幾つも作らなくてもいいと思います。それを少しでも拡大して行けばいいと思います。こういうふうに考えておりまして、一つずつ川の庁を作るということを考えませんで、この庁の運用によりまして若干の増加をするとか、或いは局、課等の拡張を図りますれば、これはそういうものが二つ、三つありましても、一つ総合開発庁的なものと一て行けるものではないか。かように考えておるような次第であります。どれもこれも同じものを作ろうということをもくろむ人もないと思いますので、ありとすれば、これと一緒になつて行けるのはないか。こうも考えておるわけあります。
  34. 赤木正雄

    赤木正雄君 各河川ごとに仮にそういうようなものができまして、これが建設省も要らないし、農林省も大部分要らない。各河川開発庁で全部できるということになりますと……、そうう倒れになつてしまうのでありまして、そういうことがわかつているだけに、やはり各官庁の技術員が熱意を以て総合計画を立て得ないという事情もあります。要するに技術者の立てたのを、国策の面で、政治面で興すのに政治面に大きな欠陥がある。徒らに技術者を酷使するに過ぎないということが、今まで長く続いたために、本当に総合的な、権威ある調査、企画ができない。そういうことであつてはいつまでたつても国の文化は進みませんものですから、そういう面から考えて、どうしても実現性の伴う総合計画を立てなくちやならん。それによつて技術者の持つている技術を十分に仕事の面に躍如たらしめるような活動を促して、総合計画の、完全なる計画の立案に当つてもらうということ、又先ほど来申上げました今の各省、或いは各県の連絡なしに使われているこの予算を、合法的な、又総合的な関連性のある予算の使い方をするということ等があるわけであります。まあ、広汎に申上げますれば、もつと広い観念もありましようが、先ほど御指摘になり幸した予算が少ないから各省が無駄をするからということだけでやつたかという御趣意ですと、そればかりではないのでありまして、目標はむしろあと申上げたほう……、或いは大きな構想を考えますと、私どもはそのほうを注視しておるわけです。勿論お説のような点もこの中に入つておるわけであります。
  35. 赤木正雄

    赤木正雄君 技術者が自分の仕事に専心しがたい、これは予算さえあれば一生懸命技術者はやるものと私は思います。それから各省に同じような仕事がまたがつている、これが連絡がない。これも、だからして先ほど申しておるように、仮に水に関する一つ行政機構ができるならば、非常に障害になる点も除かれて、発案者の予想通りに仕事ができるはずなんです。でありますから、予算の問題と、それからそういうふうの各省のごたごたをなくす、この二つさえ取れれば別に開発庁を置かなくてもいい、こういうように私は考える。
  36. 石川榮一

    石川榮一君 今の政治情勢では、今先生のおつしやつたように、相当の予算が取れ、ごたごたがなくなるという方法は、このままではない。ますます予算は骨が折れ、各省割拠主義はなかなか解消どころではない、ますます激化する。かように考えておるのであります。それが見通しがないものですから、こういうふうなものも自然やむにやまれず出るのです。現在の国の情勢から考えまして、お説のようなことは当分私どもは見込みない、かように考えております。
  37. 赤木正雄

    赤木正雄君 先ほど私の申したことが、やはり発案者も同じように非常に難関だ、而もこのままではますますそれが解消する情勢ではないとおつしやいますから、私もこれはひとり利根川のみならず、日本の各河川に同じような不合理がありますから、それを解消させるために、少くともこの委員会、或いは国会としては、成るべく行政の根本改組といいますか、それを発案し、又そういうふうに持つて行くのが我々の職務と私は思うのです。それでそういうふうな職務に持つて行くのが第一の問題、これは利根川だけの問題で、日本全体からの考えで行くならばそういうふうに持つて行くのが、第一の職務と考えるが、如何ですか。
  38. 小林英三

    委員長小林英三君) ちよつと皆さんにお諮りいたしますが、今この法案の逐条審議をしておりますのですが、総体的な質問は逐条的にやつて御覧になつたら如何ですか。    「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  39. 東隆

    ○東隆君 その問題、少し前にして、ちよつとお伺いしておきたいのですが、これは今の北上川の問題、そういう問題を併せて考えたときに、非常にむずかしくなると思うのです。それで私は皆さんの考え方……、この国家行政組織法に関連をして仮に道州制のようなものを前提に置きますと、これは北海道は北海道で一つ総合開発計画を立てる。それから関東は、動脈である利根川中心にして総合開発計画を立てる。東北はこれは又別のものを中心にして考えてもいいと思うのですが、必ずしも河川中心にしてやる必要はない。天然資源だの、何だのを中心にして開発計画考えた場合に、今の県は非常にこれは小さくて、これを中心とした考え方で以て進めて行つたのでは、これは総合開発計画にならない。却つて経費倒れになつたり、或いは仕事の奪いくら、或いは予算の取りくら、こんなようなことになつてしまうのです。それで私は石川さんにお答えを願うのは、これは無理なことだと思うのですが、道州制を前提に置いて、各地方は特別な、特殊な総合開発計画を立てるのだ、こういうことを若し前提に置かれれば今まで非常にむずかしい問題にしておつた問題は解消するわけです。それから今後においても、例えば少ない公共事業費を中心にして、これを道州制で考えて、重点的にこれを分配する。こういうことになればこれも私は解決がつくと思うのです。そういう前提を置かないと、この問題は赤木さんが心配されるような問題も、これは皆出て来るわけです。私は道州制の問題について石川さんのほうで、例えばお考えになつて、この問題を進められたか、或いは又今後そういう問題についてお考えになるか、まあこんなことをお聞きしたいのです。
  40. 石川榮一

    石川榮一君 お答えいたします。行政機構改革は必至だと思いますから、今御説のようにほんの小さな県が、各小さな地域にお互いに割拠的な自治制をやつて行くということは、非常に国家的の発展を阻害するということは、私どももさように考えております。なかなか町村の合併をいたしましても、最近は折角合併したものを分離しようという勢いが、非常に多くなつて参りましたことは非常に遺憾であります。我々といたしますれば、関東の州、或いは中には小さい県は二県、三県を合せまして一つの県を作るというようなことにいたしまして、そうしてその地域におけるあらゆる行政一貫性があり、総合性があるように運営して行くということが、非常に財政的にも結構なことでありますし、又いたしましたその事業が非常に効果的だと思いますので、私ども非常にそれは賛成なのでありますが、今置かれております情勢では、なかなか府県の合併も困難だ、州制度もよほどの英断を以てやりませんと困難だ。かように考えておりまして、できることでしたら御説のように州なり道というような、そうしにブロツクごとに総合開発計画を立てることができますれば申し分ないのです。恐らくこれは理想であつて、今の情勢では容易ならざることである。単なる水系を迫るだけの総合計画ですら各省によりまして相当に強い反対の意思を表明しておるようなわけでありますから、その州の独立性等から考えますと、相当県を合併し、或いは州を立てて見ましても、それは広汎な国家権力を移譲するのでなければ意味をなざん。ただ拡げるだけでは意味をなさないというような見地から考えますと、大きな政治的な動きにならなければなかなか容易じやないのではないか。かように考えておりまして、理想は理想として考えておりますが、一応この案を成立させておきまして、幸いにそういうような形になりますれば、その一環として私どもはこれは恐らく包含し得ると思うのです。今のところは理想を長く待つわけには参りません。どうしても急いで実施性のある、こういうふうなものによつて関東の平野を総合開発したいという狙いなんであります。御意見とは少しも変りはないのであります。
  41. 小川久義

    ○小川久義君 私は素人ですが、三月二十四日からでしたか、六日間に亘つて利根川水系全般を見せてもらつたのですが、今の場合、県は御承知の通り5つあり、都が一つある。この五つの県、一つの都が各個ばらばらの計画をみんなやつておるように思う。県境、行つて見ますと、この現状が、よく察知できるので、この府県にも協力を求め、今までの各省ばらばらのやつも、一丸にして、地方自治体と各役所とばらばらになつているやつを、一丸にした総合計画によつてこの問題を解決しよう、これが狙いであると思うので、今のばあい、五つの県がばらばらの計画によつてつてていないか、又、都は都で別の考えを持つているように見受けられるので、それを総合的に一つ……。特にこの地方の協力を得なければならんし、この中に書いてあるようですが、それが狙いである。一つ利根川水系総合的にやるには県の予算も導入する、国の予算も一丸にした総合的なものにしてと行く。これが狙いで、丁度東さんの言われた何つかそこに特殊な事情があつてやることが前提なら、それはすらすらできないじやないか。ということは今の場合、五つの県がばらばらである。一つの都も別な計画になつているということと、先ほど申上げましたように各省ばらばらの計画である。印旛沼の計画を見ましても排水路が一本できた、そこに建設省関係の川が同じように一本流れて行く。こういうようなのを総合的にするというのがこの狙いであります。
  42. 岩崎正三郎

    岩崎正三郎君 第一項の、利根川開発庁長官とし、国務大臣を当てるということでありますが、これは国務大臣を新たに任命するのか、或いは適当な大臣と兼任させるのか、そういつたことについてお考えがありますか。
  43. 石川榮一

    石川榮一君 これは総理考え一つになりますが、私どもは別に大臣をやさなくても、国務大臣無任所大臣もおりまするから、或いは主管の重点が指向され、どこへ行くかということが……第一年から第三年までは建設行政が仕事である。或いは三年目から先は農林行政が多いというときには、おのずつからそれに関係の深い主管大臣、行政官庁の主宰者が兼任しても差支えないではないか。事業の性格が変るときには……、ということにして、主体性があります省の大臣が、これを兼務されても差支えないではないか、かように考えております。成るべくそういう大臣を殖やしてもらうことは私どもは欲しないのであります。
  44. 小林英三

    委員長小林英三君) ほかに発言がなければ、十一条に移りたいと思います。御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  45. 小林英三

    委員長小林英三君) 十一条に移ります。    〔菊地専門員朗読〕  第十一条 利根川開発庁は、開発計画について調査し、及び立案し、並びにこれに基く事業の実施に関する事務の調整及び推進にあたる。
  46. 赤木正雄

    赤木正雄君 これは事業の実施に関する事務の調整及び推進で、事業そのものは開発庁でやるのと違いますか。
  47. 石川榮一

    石川榮一君 お答えいたします。この開発庁調査、立案並びに実施に関する事務の調整、推進ということにしでおりまして、事業それ自体を実施する現業官庁の性格を持たないのであります。それは現在あります行政官庁、各府県にやらせまして、調査、立案、事業実施に関する事務の推進、調整等をやりまして、そうして事業そのものの現業は今の現業官庁にやらせるという建前であります。初めはそれまでも考えたのでありましたが、非常な猛烈な反対がありますので、これは止むを得ずやめました。それで実は一本の線でやつたわけであります。
  48. 赤木正雄

    赤木正雄君 そういたしますと、各関係官庁のこれと同じ事務に対する関係はどうなりますか。各関係官庁はこれに対して全然関与しないという意味ですか。
  49. 石川榮一

    石川榮一君 これは各省の協力も求めなければなりませんし、むしろ協力の積極化を考えておるのでありまして、それがためにはあとから出て参ります参与等の職を置くことにいたしております。各省における各省自体の考え方、いわゆる思向というものも勿論重大な資料でありますので、これを取上げまして、開発庁がこれを集めて検討する場合があり、独自の見解によりまして立てる場合もありいたしますが、勿論責任は開発庁の長官が責任を持ちますが、その事務の内容におきましては大いに各行政官庁の協力を求めまして、そうして各行政官庁が得ておるところの資料、或いは意見等も開発庁のほうへどんどん報告、或いは内申等をさせるようにいたしまして、そうしてそれを勘案いたしまして総合計画の基本方針なり、年次計画を立てるという考え方であります。ただこの官庁ができるから他の行政官庁からは協力してもらわなくてもいいかというと、それではこの行政庁も本当の機能は発揮できないのであります。各省の協力をできる限り強めて頂くということも、大いに官庁の運営の上において心掛けなければならないというふうに考えております。ですから、今の調査機関等については若干の圧縮はありましようし、又各官庁におります調査に関するエキスパートは、この開発庁の職員の中に入つて頂きまして、そうして開発庁の職員として調査、立案等当る。従つて人の交流等も常時行われる、かように考えております。
  50. 東隆

    ○東隆君 今の十一条と、後ろのほうの二十三条と関連をして、一貫的な仕事をやるという計画と、それから事業をやる。そういう点ではないのですが、この二十三条の特別の法人というのは何かパブリツク・コーポレーシヨンのようなものをこしらえて、これが公共事業費も受取るし、それから外資導入をやた場合の金、その他の金も受ける。そうして事業もやる、計画開発庁でやる。こういう形を採るつもりじやないのですか、この機構は……。
  51. 石川榮一

    石川榮一君 今の十一条は主として今赤木先生に申上げたのと、もう一つは、二十三条をまだやつておりませんから申上げませんが、二十三条の狙いは、この仕事は非常に予算が大きいのでありまして、従つて非常に国家予算としても支出が容易ならんことになるだろうと思います。できる限り民間資金をこれに導入する、そうして官民一体一の力によてこの大工事施行して行こうという考え方から、第二十三条をここに一条差し入れておるわけであります。これは開発計画の一部、例えて申上げますれば電源開発或いは東京部における水道の施設、或いは干拓事業、直ちにことについてまでお考えになつているんでしようか。
  52. 石川榮一

    石川榮一君 そういうことを今やつておるわけじやありませんが、理想としては私にはあります。現にこの法案に離れてはおりますのですが、今のところはつきりそれを申上げる段階になつていませんが、私見を以てしますれば、私は大いにある。要するに天然資源庁、或いは資源開発庁、或いは国土保全省とかいうような名称をつけまして、農林と建設等の大分のものは一元的に一つの省に統合して、そうして国策の線を推進すべきであるということを私は個人としては是非そうしたいと思つておりますが、これがそこまで発展するということを考えておりませんが、若し辛いにこの法案を通して頂きまして、そうして他からもこういうものがたくさん出て来た。そこで議会で非常な問題になりまして、それでは大きくそういうものを作ろうではなかろうかということになりますれば、これは僥倖であろうと思います。恐らくそこまで発展しないのではないかと思うのでありますが、今の先生のお説のようなものが出て来ますことを私も期待しますが、それを出させるためにこれをやたんではないことを申上げておきます。
  53. 田中一

    ○田中一君 今赤木委員の御質問の中の、又新らしい開発庁を作るという案でございますが、内閣の総理府でした、ね、総合開発は。
  54. 石川榮一

    石川榮一君 総理府でした。
  55. 田中一

    ○田中一君 総理府ですね。そのほかに北海道の開発庁が現在あります。これは北海道のいわゆる自主権といいますか、地方自治というものを坂上げて北海道の開発をやる、こういう建前になつておりまして、最近は札幌に開拓局というものを設けまして、そこが無論この地方の北海道の、道のほうとも打合せてやるでしようけれども、大体において政府が自由にやるという建前になつておると聞いておるのです。地方行政の改正以来、地方に地方自治というものが確立せる今日、逆に地方の自主権といいますか、そういうものを政府に統合しまして事をするという形が、自治の精神に、地方行政の精神に、戻るんじやないかという気がするんです。殊にこうして地方千五百万人の沿岸住民が、何かそこに割り切れない政治的な含み政府がやるというように、かように考えるようになつては、これは非常に大きな禍根を残すんじやないか、できるならば地方に……、無論監督する権限はどこか持たなければならんですが、それは総理府が持つとしましても、実施庁を、沿岸の六府県が実施権を持つというような形にはならんものでしようか。又この法制上の問題もあるでしようが、そういう形に政府実施計画を持つんじやなくて、水域の府県が北海道における開拓局のような実施面を担当するような形のものができんものでしようか。又そういうことについて御考慮したことがあるか、どうか伺いたいと思います。
  56. 石川榮一

    石川榮一君 お答えいたします。そういう御構想につきましても、私も初めに考えて見たのであります。できる限り自治体の確立のできましたものを、その権力を圧縮しないで、拡大強化して、而も関係都県が一緒になつて、大きな政治力を以てこういう施工をする。こういう工事に当る計画を立てるということは、非常に望ましいと思いまして、いろいろ計画を加えたのであります。そうなりますと、建設省農林省、通産省等の各関係官庁の持つております権限を、地方に委譲することになりますので、非常に反対が猛列にあるように伺つております。今私ども考えておるのは、これは次善の問題ですが、今田中さんのおしやるまうな案を一応考えまして、各方面の意見を叩いて見たのですが、現在の情勢では非常に反対が強くなつて、これですら非常な反対がありまして、現機構が最も理想的なりという観点点から反対しておるのでありますから、地方にこういう重大な権限を各行政機関から委譲するなんということは、とても及びもつかない。これは始めるとすぐ潰れてしまう。むしろそれを憂えまして、議員の皆様方の良識がありましても、それに押されまして、法案の成立が非常に暗くなるというようなことをはつきりと見てとることができましたものですから、その構想をやめまして、次善に立てたものがこれなんであります目標は今の自治体の確立強化、特にブロツク的な都県が手を握つて、その地方における協力団体としてこういう大きなものを背負つて立つということは非常に望ましいのでありまして、そうあつてこそ真に地方自治の確立が如実に行くものと考えて、いろいろ知事や県会議員或いは関係各庁よ折衝したのでありますが、どても絶望ということになりまして、止むを得ませんから、まあこうした官尊民卑の日本の民主化の状態では、この程度で諦らめるよりしようがないだろう、但し国土総合開発審議会のメンバーを批評するのではありませんが、何ら水資源関係のないような人、国土の保全に余り関心を持たないようなメンバーを加えた、いわゆる国が採用しています国土総合開発審議会のメンバーから考えましても、こではとても各地方開発の代表意見が滲透しないと考えましたので、別に利根川総合開発審議会というものを特設いたしまして、これに衆議院、参議院から八名の最も水に関係の深い、そうして権威者であるかたがたを採用し、又関係の責任者としての都県知事並びに県会の代表者である議長、その他学識経験者十名等を加えまして、いわゆる行政機関の意思が相当この推進機関として活躍し得るように、そうして行政面と実施面とがタイ・アップして行けるようにしまして、今、田中委員のおつしやるような地方行政の強さを、この審議会に折り込もうとして案を立てましたのが、今の審議会の案なんであります。この審議で以て一応やるよりしようがないというので、次善の策をとつたのであります。理想としてはさように考えておつたのであります。
  57. 田中一

    ○田中一君 そうしますと、例えばこの次に北上川、或いは吉野川、その他の河川開発法が出た場合、それが現在総合開発審議会で一応選んでいる案というものは、十河川考えておられるようですが、それがことごとく単行法でこうして出た場合、総合開発審議会の職分とどういう関係……、これはまあ後に関係が出て来るでしようけれども、それに統合するというような意思はないですか、将来。
  58. 石川榮一

    石川榮一君 御質問の要旨がはつきりつかめないのですが、これと同じようなものがたくさん出た場合、こういう官庁、或いはこういう単行立法は成立せんということになると、国土総合開発法との関連がどうなるか。或いは国土総合開発法がもつと強力な実施権を持ち、推進権を持つというような、要するに企画官庁でなしに、実施官庁の性格を帯びるような国土総合開発法の改革が行われた場合には、それに統合し得るというようにも伺いましたのですが、まあ将来のことでありまするから一遂には申しかねますが、国土総合開発審議会、これらが予算的な裏付があり、推進力があり、実施権を持つておるということになりますれば、そういう事態になりますれば、こういうものはいつまで持つ必要はないということも生れて来ると思います。要するにここにあります国土総合開発計画というものは、ただプランを作る。各府県からその府県の総合開発計画を立てまして、それを建設大臣を通して総理大臣に報告して、総理大臣はそれを各行政官庁に諮問して、諮問したものが審議会にかかつて、そうして終りなんです。実施をするとも、推進をするとも、何とも立てない。ただプラン作つて審議会にかけるということだけです。それが全国から出て来る。それを取上げるかどうかはこれはわからない。そういうことになつておりまして、プランを作ることはわかるのでありますが、施行するとか、或いは推進するという意味合いがちつとも国土総合開発法にはないのです。要するに法文ができておるだけでありまして、而もそこに現実性を伴つておらない法律でありまして、これが法律によつてできるだろうと思召すことは、この法律の主体性がつかめない。この法律はただプラン作つて審議会にかける。その審議会の委員は経団連の会長の石川さんのような、経済界には明るいかも知れませんが、国土総合開発には、失礼ですが知識がない人が多いのです。そういうような機関にかけて見ても、その軽重を論ずる資格がないものだと思います。こういうものは、議会人の中に水の関係者もいる、農地の関係者も相当いるのです。議会人がそうしたものをやるべきであつて民間人でも、ただ大金持だとか、或いはこういうような会長を並べて見てもおよそナンセンスである。そういう政治の貧困性を突くというのが私の狙いであります。そういう意味合いでありますので、大変激烈なお言葉になりまするが、田中さんのお話のように、そういう立派なものができるなら私どもこんな苦労をしない。ただ放つて置いてできるならいいんですが、放つて置いたらできない。できなくてもいいようにできているのです。現に経済安定本部の建設交通局に集まる各省の代表者諸君は、日々議論ばかりしておつて、まとまりがつかない。まとめ役がないのです。意見の展開場だ、議論場だ。ちつとも収拾がつかない。つけて見てもそれは実行性がないのです。従つて熱意を持つてまとめようともしておらない。それが現在の実態なんであります。そういう実態を見ていつまでもおられないというのが利根川でもある、北上川もある、或いは筑後川もそうだろうと思うのです。ですからこの狙いは、或いは非難を受けましようが、ただそういうような立法の必要ありという両院の議員のかたがたの強い御支持があれば、おのずから政治はその線に進んで行くのではないか、かように考えておるわけであります。
  59. 田中一

    ○田中一君 そうすると、実施面はやはり府県が別々に持つのですか。やはり統合したものを……。
  60. 石川榮一

    石川榮一君 実施面は現業官庁に一切委せることにしてあります。併し企画官庁でありまして、総合的な計画の基本計画と年次計画を立てまして、それによつて予算が参りますれば、その予算の調整をやりまして、それを関係官庁並びに府県に流しまして、そして府県には勧告をし、或いは協力を求める権能を持つております。又他の行政官庁にもこれには協力の義務を負わせております。そういう線から、各官庁の公的な協力を実は法文化しておるのもこの法案狙いなんであります。ややもいたしますると各行政官庁の紐付きである大臣連が出る闘争場になつては大変ですから、そこに公的に義務付ける、或いは協力関係の法文化を明文で謳うという線で行きますれば、あとはその人を得ますれば相当に仕事は進展するであろうと思つております。
  61. 田中一

    ○田中一君 要は、提案者の結論は、結局そういうふうに開発庁を置くことは次善の策であつて、理想的なものではない。併しながら今日の段階ではそうしなければならないからそうしたのだ、こういう御説明ですね。
  62. 石川榮一

    石川榮一君 その通りであります。
  63. 田中一

    ○田中一君 わかりました。
  64. 小川久義

    ○小川久義君 先ほどから赤木先輩の御意見も拝聴し、田中さんの御意見も聞いたのですが、赤木先生は発議者ではないので、田中さんは発議者のお一人でありますし、今までの実態を見ますと各官庁ごとに工事施行することになつておりますが、うまく行つておらんことは御承知の通りであります。露骨に申しますと、縄張り争いか何かあつてうまく行つておらない。そこに国土開発審議会がありましても、それは企画的なものであつて、実行力は何も備わつていない、それを利根川というものを指定して見本的な総合開発をやろう、これが根本の狙いであると思うのでありまして、私も発議者の一人でありますけれども、特に三月に六日間に行つて委員長と共にその実情を見て来た。それで今まではうまく行かんが、これで一つ見本的なものをやつて見よう、完全な総合開発をやつて見ようというのが狙いである。もう一つは、このようなものは次から次と各所から出て来るのじやないかという御意見で、そういう心配もああ、又北上はすでに準備中であるというお話も聞いておりますが、私は利根川というものをどうしても第一義的に取上げなければならんと思う。東京というところを守るために、相当あの川に無理があると見る。江戸川は水を落せば落差もあり流域も短かくつて水がすぐ出て行つてしまうものを、銚子まで落差のない、そういうところまで川を持つて行く。そこで六県のかたがたが東京都を守らんがための多大な犠牲を払つている。これは他の川に見られん実態だと思うのです。これは委員各位にも、一つ守り立てて見本的なものを作り上げて、見本的な総合開発をやろうじやないかという御趣旨から御審議を頂きたい。石川さんもここに専念している深い識者であるので、発議者の代表であるが故に説明をしておいでになると思うので、これは議員提出の法案は、一応提出した議員が説明することは当然でありますが、そういうことで、狙い法案の中に都合の悪いことがあれば直すが、根本的にはそういう過去の誤つた点、又うまく行つておらん点を、この法律を作ることによつて見本的な立派なものに一つつて見よう、こういうことで一つ御協力を願いたいと思うのです。
  65. 赤木正雄

    赤木正雄君 さつきの石川さんの説は結局なんですね。各省予算が少ない、而も一つ予算を、例えて申しますと、水に関する一貫した行政機構はないから、それをほうぼうで不合理に使つているのだ、そのためにこれをやるのだ、こういうふうにおつしやいましたが、そういうふうに了承して差支えありませんか。
  66. 石川榮一

    石川榮一君 お答えいたします。それが全部ではないのであります。それも一部であります。私どもがこの狙いといたしますところは、今のお話一つ、それからもう一つは、災害が年々増大して来ますが、これに対する工事災害それ自体に行うばかりではなしに、これから経済的に発展もし、文化が進展するに従いましていろいろな施設がこの水を通しまして起つて来るだろう、これも或いは災害の端緒をなすことも相当起り得るだろうということであります。ですから、そういう面からも総合的にものを立てて行きませんと、真の災害復旧はあり得ない、根本改修はあり得ない。かように考えておりますのが一つ。もう一つは、プランに終るような計画はおよそ意味がないから、実現性のあるようなものを一応取きめて、総合開発を進めるのでなければ意味がない。折角農林省建設省がおのおの総合的な見地から利根川水城に関する総合計画を立てましても、それに予算的な見通しのないものでありましては、結局計画倒れ、企画利潤を生んで参りまして、数十年の後にはその資本が利益として具体的に現われ得るようなものは、別個の法人の手によりましてその工事施行されることもでき得るように、二十三条を謳つておるわけであります。ですからバランスシートのとれないものでやらなければならんようなものは、勿論これは国の行政措置でありますが、でき得る限り民間資金も導入し、或いは外資も導入し得るような性格を持つような事業、例えて申上げまするならば、東北振興株式会社、戦争中ありました北支開発、ああいうような性格のもの、利潤の追求いたしませんで、公共性のある、而も相当にバランスシートがとれる会社を作りまして、これに民間から投資をさせる、或いは債券を発行させることによつてみずからの災害を防ぎ、みずからの利益を得させる建前から、成るべくこういうような資金を集めるような、そうしてそれが工事としてすぐ施行されるような、それがすぐ農村地帯に利益として流れて来るような構想を持つた特殊会社を作りまして、これに民間資本、又外資の導入も考えまして、そうしてこの十年間に仕上げようというのであります。十一条のほうは官庁方面に関する点だけで、一方一部分は二十三条のほうの特別法人の資金をこれに運用するということになるので、二本建になります。
  67. 赤木正雄

    赤木正雄君 開発計画について調査、立案する、実施面はやらないとおつしやるが、実施面は現在通り各地方庁にやらせるのだ。これは実際それがいいか悪いかは、第二の問題として、仮にそうした場合にいわゆる開発庁というのは調査機関、立案機関、こういうふうに解釈して差支えありませんか。そうするとやはり調査機関或いは立案機関のために、又先の開発庁の設置を特にせなければならんこと、これは第十条は今後審議いたしますが、ただ調査機関、立案機関のためにやるのですね、言い換えれば……。
  68. 石川榮一

    石川榮一君 調査と立案とをやりますが、これに対する予算的な措置、或いは実施面に関する各省に割り振りをする点と、予算の調整並びに実施に関する監督、推進というようなことをやりまするので、ただ調査、立案だけでなしに、取りました予算を、それを調整して、各省総合性のあるような工事面を狙いまして、各省にこれを渡しまして、各省に仕事をさせる。又その監督をさせる。その推進をするということであります。事業それ自体だけは向うの現業官庁に委せますが、実施の推進或いはその調整とか、或いは監督というものはおのずからこの行政官庁の仕事に入つておるのであります。
  69. 赤木正雄

    赤木正雄君 そういたしますと、この開発庁調査、立案の上に、予算も無論この開発庁が取る。そういうことになるのですか。
  70. 石川榮一

    石川榮一君 そうです。
  71. 赤木正雄

    赤木正雄君 ちよつと念のために伺いますが、仮に先ほどのように千九百億というこの厖大な予算をこの開発庁だけで取り得る目的のためにするのですね。
  72. 石川榮一

    石川榮一君 予算を取るだけで、こういう形のものを作るのではないのでありまして、勿論予算は成るべく多くもらいたいのでありますが、予算を取るばかりが目的ではなく、先ほど来申上げましたこの法案を作る趣旨は、前段申上げました通りですから省きますが、予算は勿論成るべく多くもらつて、そうしてこの工事を進めたい。でき得るならば十年間を限つてやりたいというのでありまして、十年間における予算の按配は、国の予算をますます圧縮しまして、日本経済困難に陥つて太平洋戦争のようなああいう事態が……、若し戦争でも起りますというと、この十年は或いは無意味かも知れません。ただ今の情勢から考えて無事で行きますならば、十年の間には一度に一千億円も損する側でありますから、十年間に一千九百億、二千億ぐらいのものは、国並びに地方の民間投資を加えますれば不可能ではないだろう。又それくらいの目標を立てなければこの法案を出した骨子が失われるのでありまして、そういう観点から予算は勿論開発庁が国の予算から独自の立場で、北海道開発庁のために出るのと同じように、この開発庁に出してもらうという建前なのであります。ですから、各省に今まで取つてつたものを、合法的に、効果的に使わせるためにまとめてもらう。そうして期限がついておるのだから予算も成るべく出してもらうということが予算狙いにたつております。
  73. 赤木正雄

    赤木正雄君 この法案と関連しますが、ちよつとこれに関連しますからお願いして置きたい。それは利根川流域で農民或いは商工業者が納めておる税金を知りたい。但し、東京都に住んでおるために、東京都に事業を持つていないけれども、都のほうに住んでおる人、そういう人の税金ではありません。直接利根川流域におるために納めておる税金、それから過去五カ年の年年の利根川流域における治水事業施設、全国の治水事業施設、なぜこういうことを申すかと言いますと、今立案者の言われておるように予算までこれを取つてしまう、或いはこの法案が通過して、これに国務大臣がおつて、厖大な予算がこれに取られてしまうということになりますと、これはほかの各府県はとんでもない不幸を招くかもわからない。そういう観点から利根川流域で納める税金、これを知りたい。これを参考に御調査願いたい。  それから、質問いたしますが、利根川開発庁でないとこの調査、立案はできないとおつしやるのか、その点私は腑に落ちない。現在の各官庁でも立派に調査もでき得ると思うのです。又立案もでき得ると思うのです。なぜこの開発庁でないと調査、立案ができないのでしようか。
  74. 小林英三

    委員長小林英三君) 今の赤木さんの御要望になりました各流域の税金、利根川流域と他の府県の……。
  75. 赤木正雄

    赤木正雄君 いや、利根川流域におるために納めておる税金、但し東京都に住んでおつて事業の大部分は大阪でやつておる。そういう人はネグレクトするのです。利根川の流域内に住居しておつて、そのために納めておる税金です。
  76. 小林英三

    委員長小林英三君) 地方税ですね。
  77. 赤木正雄

    赤木正雄君 そうです。国税と全部の税金。これは非常に厄介だと思いますけれども、それをはつきり……。
  78. 石川榮一

    石川榮一君 只今の御説明を伺いますと、利根川流域に生んでおる一部五県の税金まで出せということでありますが、私どもは税金の額を比較して頂くのは結構ですが、利根川それ自体が急いで総合開発すべきだという建前で行つておりますので、実は税金が多いからやつてもらうとか、少いから遠慮するとかというものではない。性格がおのずから違うのでして、国策として是非やつてもらいたいというつもりでやつておりますから、税金が多いからこれはやらせるのだ、少いからやらせないのだということではなくて、むしろ税金の少いところで非常に逆境に立つている農村のようなところへは、国は助成を殖やすべきだとさえ考えておるのでありまして、税金の多寡によつて御判断をなさることは御随意でありますが、私どもは余り賛成しかねるのであります。要は日本資源を成るべく早く効率的に開発したいということを私ども考えておるのでありまして、不毛の地であろうとも、そこに住民がおつて非常に苦しんでいれば、税金よりも数倍するところの施設もなさなければならんと思つておるのであります。これは御参考までに、意見の相違でありまするが、私どもはさように考えておるのであります。それから調査、立案するのは開発庁がなくてもできるじやないかという御意見でありますが、これは御尤もであります。今でも、建設省にも、或いは農林省にも、資料を求めますればあるのです。その資料も各府県から急いで取寄せたものでありまして、而もその府県自体も確証を以て出したとも言い切れない。要するに火急の場合に出すようなものでありますから、なかなか資料が正確なものが出ない。第一に調査費が各府県に十分ないし、実現性もあるものかどうかわかりませんものですから、政府のほうからこういう資料を出せといわれても、たくさんの経費をかけ、たくさんの技術者を雇つてした調査でなければ、調査にならないのであります。一つ資料にはなるでしようが、本当に権威のある資料にはならない。それがこの開発庁のようなものができれば、調査費も計上しまして、各省の協力を求め、各省調査費等を加えまして、そうして本当に慎重な正確な調査を求めまして、そうして初めてこの調査の根本方針がきまると思うのであります。今の事態では、できるかできないかわからないような状態のときに命じました調査資料というものは、非常に権威の薄いものでありまして、むしろ誤り多いと、こう考えております。ですから、調査、立案と言いますが、簡単にプランを作るということでなしに、実施し得るような、而も総合性のあるような、本当に高度の技術を持つた調査でなくちや意味がないという観点から、私どもはこの開発庁を立てまして、その調査機関と各省調査機関とを総動員して、そうして正確なる資料の下に正しい調査をし、立案したい、こういう念願なのであります。
  79. 赤木正雄

    赤木正雄君 昨晩の国会討論会で私聞いたのですが、北海道の開発事業に対して、今では事業を全部北海道庁にさしていたと、ところが今度選挙の結果、やはり社会党が勝つて、ほかの候補者が遺憾ながら落選した。その結果北海道の開発庁事業を北海道庁に委託させないで開発庁独自で仕事をするか、こういうことを或る人か質問していました。これに対して官房長官はどういうふうに考えるかと、その答えは、こういう事業はむしろ独自でするほうがいいかもわからん、併し北海道の場合はごたごたの際にまあああいうふうにして北海道庁で仕事してもらうことになつたのだ、この結論もまだついていない。こういうふうな国会討論会の御答弁でした。これと同じようなことが関連すると私は思うのです。今発案者は、事業そのものは各府県でさせる、こういうふうに言われますが、官房長官の御意見は、これは政府意見ですが、必ずしもこれがいいというふうにおつしやらなかつたし、又今申す通りに知事の選挙の結果で非常に変つて来る。そういう場合を考えると、又北海道のようなこんな問題が起らんとも限らない。それに対して、先ほど事業そのものも開発庁でやるつもりであつたが、自治省の反対があるからよしたとおつしやいましたが、合理的に言うならば、自治省の反対があつてもやはり開発庁でやるほうがいいじやないかと、こういう考え方もありますが、これはどうなりますか。
  80. 石川榮一

    石川榮一君 赤木先生の意見に同意であります。できますことなら一本の線で実施までやるべきだと、かように私ども考えておるのあります。併しながら現在の官僚の情勢から考えますと、非常に困難性が多いのでありまして、或いはそれがために法案そのものがまとまらないのではないかということすら憂えられておるのであります、この程度のものでも反対なのでありして、もう今の現業官庁は、あの機構を直すことにはどの省も挙つて反対のようであります。それはどういう理由で反対するかはおよそ想像がつくのでありますが、どうも割拠主義が非常に牢固として抜くべからざるものがあるというので、実施面におきましてもそういう矛盾があつては困りますから、一本の線で行くという考えを持つてつたのでありますが、なかなかそれは困難であります。それからもう一つ、実施官庁に任せるというのは、今実施官庁の持つておる特殊的な技能、地域的な技能等は相当買つてやらなければならんよいところもあるのであります。又機械器具にいたしましても、建設省にあります浚渫船等を、開発庁ができますれば又二重に買わなければならんということもあります。それで今建設省にありますあらゆる機械器具等は、全部開発庁が買いますよりも、その機械器具そのものがすぐ実施に移せるという利点もあるのであります。その特殊性を考えまして、おのおの特殊の技術を要するものでありますから、その面を活かすことと、それから今の官僚人を理想的に打破することは非常に困難でありますから、その点にも若干の敬意を払うということ、それから器具その他の設備費等は、現在の現業官庁が持つておるものをそのまま使うということが、そこに非常に経費の節約もできると、こういう見通しもあつたのであります。そうして、お説のような実施までやることを実は投げたわけであります。
  81. 赤木正雄

    赤木正雄君 今まで同じ仕事に対しましても、省が変つているために非常に統制がとれてない。従つて各府県におきましては、本省から出た同じような仕事を、いわゆる実施機関である地方府県庁では、これをまとめて一本にして仕事をしようと、こういう傾向は非常に多いのであります。本省がごたごたしているならば、せめて実施面でもこれを一本にして行きたい。これは私は地方でもほうぼうで聞いています。併しなかなかそれもできないのでありますが、そういうふうにまで地方はいつていますが、今発案者の御意見でありますと、成るほど地方には随分抵抗があつても、今度は出すほうは、命令は一本でも、仕事するほうでは各ブランチに分れて仕事をしてもよい、こうなりますからして、非常にそこに不合理があると、こう思うのですが、その不合理に対しては、事業機関までこれを統合してやるというところには、ただ抵抗があるためにそれをしないのだと、その不合理を除こうとなぜしなかつたのですか。
  82. 石川榮一

    石川榮一君 不合理を除こうといたしまして、いろいろ協議をし、各関係官庁の意向等を聴取し、又議論を戦わしたのでありますが、なかなか牢固として抜くべからざる気分がありますので、折角のものが根抵から理想に走つて、倒れてしまうということも考えられたのであります。この結果、一応この法案から考えますと譲つたわけであります。たださつき申上げたように、あらゆる設備機械等がそのまま使えるということは言い得るのであります。而も設備機械も、随分大きな設備機械が建設省農林省等にあるのでありまして、これらをこれができたために新たに造るとか、或いは借用するというような形になりますと、これ又なかなか厄介な問題がありまして、事業の実施面に非常に支障を来たすようなこともあり得ると思いますから、総合計画を立てて、そうしてこれが予算が適正に各省に流れまするならば、事業面にまではそう差迫つてこちらが理想に走る必要はないのではないか。それは成るべくそうしたいけれども、今の情勢では到底困難だ。それともう一つは、今の設備機械等の流用等を勘案いたしまして、この案をそれだけ譲つたわけであります。考え方は同じだつたのであります。
  83. 小林英三

    委員長小林英三君) ちよつと御相談したいことがありますから……、今経済安定委員会、地方行政委員会、それから内閣委員会、この三つから連合委員会を開いてもらいたいという希望があるのですが、希望としましては、明日の午前中という希望の委員会が多いのですが、若し皆さんよろしければ、今向うに言つてやれば手続がとれるわけでありますが、如何でしよう。    〔「異議ありません」と呼ぶ者あり〕
  84. 岩崎正三郎

    岩崎正三郎君 異議ありませんが、一つこれは赤木さんにもお願いでございますが、こつちはここまで来たのですから、今日中に一つ、赤木さん大分質問して飽きたようでありますから、(赤木正雄君「飽きやせんよ」と述ぶ)こつちは一応ここでやるように、適当に一つ運んでもらうという条件をつけて……。
  85. 石川榮一

    石川榮一君 もう一つ委員長提案者で甚だ失札でありますが、明日は関係の知事並びに県会の代表者等を午前十一時に集めまして、そうして中間報告をすることになつております。私は十一時半頃から或いはそのほうへ行かなくちやならんかとも思つております。
  86. 小林英三

    委員長小林英三君) 十一時半頃までなら大丈夫でしよう。ちよつと速記をやめて。    〔速記中止〕
  87. 小林英三

    委員長小林英三君) 速記を始めて。それでは内閣、地方行政、それから経済安定、この三つの連合委員会を明日午前十時から開会いたします。それから連合委員会の散会後、建設委員会を継続すると、それでよろしうございますね。……それではそういうことにいたしす。  それでは十一条に別に御発言ございませんならば、十二条に移りたいと思います。御異議ありせんか。    「異議なしと呼ぶ者あり〕
  88. 小林英三

    委員長小林英三君) それでは十二条。    〔菊地専門員朗読〕  第十二条 利根川開発庁に、次長一人を置く。  2 次長は、長官を助け、庁務を整理する。
  89. 田中一

    ○田中一君 十二条以下ですね、これは開発庁を設けるということの前提の下に、これがきまつたようなものとも考えられるので、この十二条、十三条、十四条、これを一括したらどうでしよう。そうしてこの審議会の面だけを一括する。こういうようにしたらどういうものでしようか。
  90. 小林英三

    委員長小林英三君) 今田中君から、十二条から十四条まで一括して審議を願いたいという御意見がありましたが、御異議ありませんか。……それではそういうことにいたします。十二条乃至十四条。    〔菊地専門農朗読〕  第十三条 利根川開発庁に、参与十人以内を置き、庁務に参与させる。  2 参与は、関係行政機関の職員のうちから、長官が命ずる。  3 参与は、非常勤とする。  第十四条 利根川開発庁利根川開発審議会(以下「審議会」という。)を置く。  2 審議会は、第六条に規定するものの外、利根川開発庁、長官の諮問に応じ、開発計画に関する重要事項を調査審議する。  3 審議会は、開発計画に関する重要事項について、関係行政機関に建議することができる。
  91. 田中一

    ○田中一君 十五条も同じ関連しておるものですから……。
  92. 小林英三

    委員長小林英三君) それでは十五条までやりましよう。    〔菊地専門員朗読〕  第十五条 審議会は、左に掲げる者につき、内閣総理大臣が任命する委員三十人以内で組織する。    一 衆議院議員のうちから衆議院が指名した者      五人    二 参議院議員のうちから参議院が指名した者      三人    三 関係都県の知事    六人    四 関係都県の議会の議長 六人    五 学識経験のある者 十人以内   2 委員の任期は、二年とする。但し、委員に欠員が生じた場合における補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。委員は、再任されることができる。   3 委員は、非常勤とする。   4 審議会の会長は、委員のうちから互選する。会長に事故があるときは、会長があらかじめ指名する委員が、その職務を代理する。   5 会長は、会務を総理する。   6 前項に定めるものを除く外、審議会の議事及び運営に関し必要な事項は、審議会が定める。
  93. 田中一

    ○田中一君 今の十二条から十五条までは、只今申上げた通り利根川開発庁が設置されるということになれば、これは附随したものと考えられるので、ただ十五条の委員の構成の問題についてだけ若し御意見があれば聞いたほうがいいのではないかと思いますが……。
  94. 小林英三

    委員長小林英三君) 次に移りまして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  95. 小林英三

    委員長小林英三君) それでは別に御意見がなければ、十六条から二十条までを一括して御審議を願います。    〔菊地専門員朗読〕  第十六条 利根川開発庁に置かれる職員の任免、昇任、懲戒その他人事管理に関する事項については、国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)の定めるところによる。  第十七条 利根川開発庁に置かれる職員の定員は、別に法律で定める。  第十八条 利根川開発庁長官は、関係行政機関又は関係地方公共団体に対し、必要な資料の提出を求めることができる。  第十九条 利根川開発庁長官は、関係地方公共団体に対し、開発計画に基く事業に関し必要勧告をすることができる。  第二十条 関係行政機関及び関係地方公共団体は、開発計画に基く事業の促進及び完成に誠実に協力しなければならない。
  96. 赤木正雄

    赤木正雄君 第十七条の「職員の定員は、別に法律に定める。」ということは、大体どれくらいの定員の予定でしようか。
  97. 石川榮一

    石川榮一君 五十一名程度考えております。
  98. 赤木正雄

    赤木正雄君 そのうちに技術者は幾らですか。
  99. 石川榮一

    石川榮一君 そういう詳細な部類分けにしたものはありませんが、大体の構想として申上げます。これは本当に構想であります。長官それから次長、その庁のうち課を三つにわけまして、庶務課、計画課、管理課、その庶務課は約二十人、計画課が大体これは技術者ですが、二十人、管理課、これは主として連絡、調整、勧告等に当る人が十人。庶務課二十、計画課二十、管理課十、それに次長を加えまして五十一名という予定であります。
  100. 赤木正雄

    赤木正雄君 五十人ほどでこういうことができるならば、現在の地建の仕事と余り変らない。そういうことはよく御調査になつているのでしようか。
  101. 石川榮一

    石川榮一君 これは実施をして見なくてはわからないのでありますが、今各行政官庁はそのままにしてあるということを申上げてありますから、それから必要な資料の提出を求めましたり或いは勧告をして調査を依頼いたしましたりいたしますれば、この秩度の人員でこの計画は立つ。かように考えております。でありまするから、各省の協力を求めまして、成るべくこれを庁員の数は減らそうと狙つておるわけであります。
  102. 赤木正雄

    赤木正雄君 成るべく人の数は少くする。私もこれは同感です。が併し、恐らく石川委員も御承知と思いますが、今日の各官庁人員は、実は私は主脳部の人員が多過ぎる。そうして現場の人員が少な過ぎる。こういう考えを持つています。そこでどういうふうになつているかと思うと、非常にたくさんの事務をほうぼうから言つて来られる。御承知の通りに、或いは大蔵方面からも、或いは会計検査院は勿論、それからほうぼうの関係官庁から言つて来られて殆んど手が廻らん。これはよく御承知と思います。その上に又こういうふうなことを各官庁にいつて、各官庁はこれで困りはしないでしようか。
  103. 石川榮一

    石川榮一君 お答えいたします。例えば建設省、その他地建に対しましても、又農林省東京農地事務局にいたしましても、公益事業委員会における発電関係におきましても、それぞれこれを担当するような形をとつておる技術者があるわけでありまして、でありまするから自分の当然になすべき主要なる使命であります利根の総合開発でありますから、迷惑どころではない、むしろ協力して頂けるのじやないか。自分自体の仕事を総合される機関ができるので、その資料には正確を期し、検閲を受けなくちやならんということは当然でありますので、それは現業官庁であるものがそのままで置かれるということだけでも、これは私は協力が必ずできるものである。あとの戦争以来、互いに受けております監査、調査或いは検閲というようなものは、これは非常に迷惑だと思いますが、この事業そのものがやはり使命である現業官庁でありますから、迷惑どころではない。むしろ進んでやつて頂けるのじやないか。又やらすべきものと、かように私は考えておりますので、協力の面には相当に期待は持てると、こういうつもりでありますので、それで定員をずつと減らしておるわけであります。
  104. 赤木正雄

    赤木正雄君 今お話のように、各官庁のそれぞれエキスパートがおつて事業というものを担当しておる、実際そうでしよう。それなら又先に戻りますが、こういう官庁を置く必要があるかという議論が起ります。併しこれは別に項でありますからこの際は申しません。
  105. 小林英三

    委員長小林英三君) それではほかに御発言がなければ、次に移りたいと思いますが、先ほどの方針によりまして二十一条、二十二条、二十三条を一括して御審議を願います。    〔菊地専門員朗読〕  第二十一条 国は、開発計画に基く事業の用に供するため必要があると認めるときは、国有財産法(昭和二十三年法律第七十三号)第二十二条又は第二十八条の規定にかかわらず、開発計画に基く事業の実施に要する費用を負担する公共団体又は第二十三条に規定する特別の法人に対し、普通財産を無償貸付し又は譲渡することができる。  第二十二条 国は、開発計画に基く事業を実施するため必要があると認めるときは、他の法令の規定にかかわらず、政令の定める基準により、地方公共団体が負担すべき費用の割合を軽減し、又は当該地方公共団体に対して地方財政法(昭和二十三年法律第百九号)第十六条の規定に基き補助金を交付することができる。  第二十三条 別に法律の定めるところにより設立される特別の法人は、開発計画に基く事業の一部を実施し、又は開発計画に基く事業の一部を実施する者に対し、投資その他の助成をすることができる。
  106. 赤木正雄

    赤木正雄君 二十一条の、国は開発計画に基く事業の用に供するため必要があると認めるときは、国有財産を無償で取る、こういうことになつておりますが、これは国際観光温泉文化都市、あの法案に対して、国有財産を無償で取るということは余り穏当でないということはたびたび論議されております。而も温泉都市のごときは国有財産に関連する部分は小さい。併し利根川流域開発計画であるからと言つて、無償で取つたら厖大なものになるのです。これに対してはどういうお考えなんですか。
  107. 石川榮一

    石川榮一君 これは、この事業は国が施行するのでありまして、一地方の公共団体がやるのでないのであります。国が国策としてこの地域における事業を実施するという建前から行きました場合、国に実際の上において無償でこの程度のものは利用さしても差支えない。むしろ、国が国に賠償を払うというようなことも法律上どうかと思われますが、勿論開発庁と大蔵省とは対立しておるような形には考えられますが、開発計画を実施する上におきまして、みだりにやるのでないのでありまして、止むを得ざる場合にはこういう条項も謳つておきませんと、事業施行に非常に国難を来たすというように考えられますので、実は他の法案にもそういうのがあちこちにありますものですから、国がやります事業でありますので、こういう体裁をとつたのであります。温泉都市法のような一地方公共団体のやることとは違いまして、直接に国の責任において、而も国務大臣がやることでありますから、無償で使うという点も国自体であるのですから止むを得ない。かように考えて、この条項を設けたのであります。
  108. 赤木正雄

    赤木正雄君 御参考までに伺いますが、国有鉄道を付ける場合、或いは国有林地内に林道を設ける、そういう場合には国有林は無償で提供しておりますか、どうでしようか。
  109. 石川榮一

    石川榮一君 私はそれを調べて見ませんからわかりません。
  110. 赤木正雄

    赤木正雄君 では、この次までに御答弁願います。
  111. 小林英三

    委員長小林英三君) ほかに御質問がなければ附則について……。
  112. 赤木正雄

    赤木正雄君 ちよつと待つて下さい。この二十二条の、仮にまあ国が仕事をする場合ですが、国が仕事をするとおつしやいますが、先ほどのお話では施工機関は地方自治体なんですね。でありますからして、今の国の直轄事務とは全然変つて来るのですね、これは……。予算開発庁で取るが、併し施工は皆地方に任しておる。今日の直轄工事は国で直轄するのですが、これは根本的に変つて来ますが、どうなんですかね。
  113. 石川榮一

    石川榮一君 それは第三条に謳つておるのでありますけれども、「国は、第一条の目的を達成するため、利根川総合開発計画(以下「開発計画」という。)を樹立し、これに基く事業を当該事業に関する法律(これに基く命令を含む。)」こう謳つてありまするから、この点で抑えられると思いますが、今のお話は。
  114. 赤木正雄

    赤木正雄君 もう一点承わりますが、先ほどのお話では事業の実施機関は各府県庁に任せると、こうおつしやいましたね。
  115. 石川榮一

    石川榮一君 いや、それは大体は各行政官庁に任せることになります。
  116. 赤木正雄

    赤木正雄君 そうでしよう。それでありますがね、各行政官庁、今の各行政官庁とおつしやるのは、どういう範囲なのですか。
  117. 石川榮一

    石川榮一君 農林省、或いは建設省……。
  118. 赤木正雄

    赤木正雄君 農林省、或いは建設省、それから従つてそれの出先である……、或いはなんでありますか、出先と申しますと語弊がありますが、各府県庁、知事に任せるというのですか。
  119. 石川榮一

    石川榮一君 中小河川、或いは用排水事業というものは、この開発庁の政令による地域の中に入れます一本の線で行きます。でありますから、それによる負担の関係等は今までの命令或いは法律できめられたもので行きますが、一応一切のものをこの計画官庁が使いますから、ただ実施をする、工事をやらせる、事業それ自体はこの開発庁自体が計画を立て、予算をきめ、そうしてそれを流すわけです。併しそれは命令の定むるところによる基準によりまして、勿論分担金も取り、仕事そのものは一括してつかむわけであります。
  120. 赤木正雄

    赤木正雄君 でありますから、現在やつているところの、仮に河川について申しますと、大つきな河川は直轄河川としてやる、中小河川はその次に準じて、中小河川として地方官庁に任せる、こういう組織と余り変らないでしよう。実施の機関は……。
  121. 石川榮一

    石川榮一君 実施機関は変りませんが、これを実施させる機関は変ります。
  122. 赤木正雄

    赤木正雄君 それはわかつております。開発庁がやるのですけれども、施工機関に関しては、先ほどあなたのお話通り、つまり現状と少しも変らんと、こう解釈して差支えないと思いますが。
  123. 石川榮一

    石川榮一君 工事もそれは変りません。
  124. 赤木正雄

    赤木正雄君  それに関連して申しますが、地方公共団体から負担すべき費用云々の問題ですが、これも大体今までのやり方にしたつて、直轄河川に類するようなものは、これは国が三分の二出して、地方が三分の一出しております。実際は……。そうして中小河川は国が二分の一出して、地方が二分の一を出している。こういうような経費の分担ということで行くのですか。
  125. 石川榮一

    石川榮一君 そうであります。今までと分担基準につきましては別に変更いたしません。ただこういうふうな大きな問題でありますから、県の財政と国の財政とタイ・アツプできないで、どうしても止むを得ない場合には、やはり幾分なり軽減するとか、或いは延納するというようなことをしなければ、工事施行ができません場合がありますから、例えば群馬県のように、非常に枯渇して今にも崩壊するような状態のところに、どうしても相当の仕事をしなければならん所もあり得ると思います。そういう事情の止むを得ない場合には、やはり若干の軽減はしようということを、この中に謳つておりますが、大体の目標はお説の通りであります。
  126. 赤木正雄

    赤木正雄君 あとはこの次に質問をしますから。
  127. 小林英三

    委員長小林英三君) それでは附則に入ります。    〔菊地専門員朗読〕    附則  1 この法律施行の期日は、政令で定める。但し、昭和二十七年四月二日以後であつてはならない。  2 総理府設置法(昭和二十四年法律第百二十七号)の一部を次のように改正する。    第十七条中「北海道開発庁」を「北海道開発庁利根川開発庁」に改める。  3 国家行政組織法の一部を次のように改正する。    別表第一の総理府の項中「北海道開発庁」を「北海道開発庁利根川開発庁」に改める。  4 行政機関関職員定員法(昭和二十四年法律第百二十六号)の一部を次のように改正する。    第二条第一項の表総理府の項中「北海道開発庁四五人」を「北海道開発庁四五人・利根川開発庁五一人」に、同項中「計六二、三八一人」を「計六二、四三二人」に、同表合計の項申「八八七、二七七人」を「八八七、三二八人」に改める。
  128. 小林英三

    委員長小林英三君) 別に御質問ありませんか。それからなお経済安定委員会から、先般この連合委員会を一回やりましたが、国土調査法案、これを近く連合委員会でやりたいということの申込がありました、その際は又お願いいたします。明日は経済安定、それから地方行政、内閣、この三つとの連合委員会を午前十時から開会いたします。これにて散会いたします。    午後四時九分散会  出席者は左の通り。    委員長     小林 英三君    理事            岩崎正三郎君            赤木 正雄君            小川 久義君    委員            石川 榮一君            深水 六郎君            田中  一君            東   隆君   事務局側    常任委員会専門    員       菊地 璋三君    常任委員会専門    員       武井  篤君