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石川榮一君 それは深刻な被害は
各所にあります。これは私
どもも存じ上げております。それはそうだからどこも手を着けないで行くということはどうかと思う。それは皆そうなんだから苦むのは当り前だとい
つて、それじややらないとい
つて諦めれば諦めがつくのでありますが、それは政治の本筋ではないのではないか。先ずできる限り大きな被害を持つものから手を着るということも、これは政治の行き方として少しも非難があるベきものでない。深刻な被害はこれは同じでありまし
ようが、その量或いは経済的の効果というものから判断いたしまして、若しやるとしますれば、どの水系を
総合計画をやるかとすれば、先ず北上を先にやり、
利根は
最後にするか、或いは
利根を一番先にや
つて見るかということにつきましては、これはいろいろの資料から判断いたしまして
考えてやらなければならんのですが、
利根の置かれております現実は一部五県の亘り、御
承知の
ように大災害があり、これを
改修すれば大きな経済効果があるのでありますから、こういう点から
考えまして、先ず
利根川の
総合開発計画を実施に移しまして、そしてそれが軌道に乗りつつあると同時に、国の
予算と睨み合せまして大きな水路を漸次片付けて行くという方針をと
つて行くのがいいのではないか。か
ように
考えておるのでありまして、ただ
利根川の
治水を急ぎたいというばかりでなく、御
承知の
ように本当に真剣に
考えますと、日本の国土のあり方はどうしたら救われるだろうかということは、水に関心を持ちます政治家は皆御心配だと思います。このままで行
つていいのか、このままでは悪いとすればどうしたらいいか、これはいろいろ
考えなければなりませんが、特に
予算の面におきまして制約を受けておりますので、私
どもは今のあり方ではまずい。できるだけ
国費も投入すべし、民間資金も投入すべし、でき得れば民間資金のうちに外資も投入し得る
ような方途も
考えなければ、とても日本のこの国土を
保全することは困難である。それはあまりに貧困な財政でありますので、さ
ように
考えられるのであります。こういう
ような
観点から国を救う
政策は国土の
保全にある。それは水を
中心とする
総合計画の実施であり、これは勿論政治、経済再建の基盤であると
考えておりますので、こういう面から
考えました場合に、先ず
総合開発をやる場合にその利益はどこにあるかということを調べて見ますと、
利根川は御
承知の
ようにダムを十五カ所ばかり作る予定に
なつておりますから、このダムによりまして三千町歩の水力を治め、この水を利用いたしまして六十三万五千二百キロワツト時の電力が出る計算に
なつております。現在四十三万
程度しか出ませんが、このダムの建設による水の量だけで更に一倍半の電力量ができると、これを大きな電源
開発をやりますと、
利根の本流だけで今調べて見ますと約百三万キロワツチ時の電源ができるのであります。さ
ように経済の
中心地東京に近く、最もコストが効率に済み、消耗率の少い電源
開発は、
利根の
奥地林を
中心とするダムの建設によ
つてできるのであります。これが第一に
考えねばならんことであろうと思います。幸いに
建設省の
計画によりましても二十四年二月の
利根の
改修計画のダムの建設のうちにそれも含んでおる
ようであります。先ずそういう
ようなわけで電力の大きな生産ができます。それからよく言いますが、北海道は未開地であるが、ここは熟田である。
開発の必要はないじやないかということがちよつと
考えられますが、この東山京に近い関東平野は御
承知の
ように水に荒らされ、そして冠水に悩んでおります。埼玉におきましては中川の
改修ができませんので六万から七万町歩の立派な水田が腐
つております。又栃木県の渡良瀬の三千町歩の用水地の外にあります一連の四万町歩は、年々湛水のために参
つておる。洪水よりも湛水の恐しさに泣いておる
ような現実に
なつております。
千葉県におきましても、茨城県におきましても、濕地田は随所におきまして殆んど濕地田の
機能を半減されておるという
ようなわけであります。熟田と称しておるものが、殆んど熟田としての効率を示しておらない。そういう
ようなところがたくさんあるのであるのでありますから、こういう
点等も
考えまして、一部五県、特に各県会がこれには非常な熱望を持
つておりますので、これらの人の和を得ました今非常に念願しておりまする一部五県民の協力振りを政治に活かすことも、これは非常によい時を得ておるという
考え方もりありまして、この際この
法案をお願いいたした次第であります。他
地方に先んじてやるということは甚だ不都合の
ように
考えられますが、とにかく一番大きい川である。勿論深刻の度におきましてはもつとひどいところもありまし
ようが、とにかく局部的に直しても意味のない大きな川でありますから、
総合開発としては最もふさわしいものではないか。他の河川を軽んずるわけではありませんが、先ず一番大きい特殊的な性格を持つ
利根の
総合開発をすることは、これを国家的に
考えて非常に意味があるという
ような
考え方をいたしておりますので、決して
予算をたくさん取
つて早くという
ようなことを
考えておるわけではないのであります。要は大体の
総合開発計画を立てる場合には、
水資源を
中心とすれば先ず
利根川に第一指を染めても差支えないのではないか、それが第一の順位であるべきものではないかというのでこれを出したわけであります。勿論
あとの希望する川等もおのずからいろいろな御意見があろうと思うのであります。今
予算が非常に少いので、どの川も捨てられて、農民は泣寝入であります。この状態で続きますならば、随所にこういう
法案が出るのは当然であります。それは誠に
予算が
治水治山、
農林行政に対して少な過ぎるのであります。こういう点から起
つて参る止むに止まれん声ありまするならば、これは国元の声といたしましてこれを議会に反映して差支えない、これによ
つて政治は急転回をすることもできるのではないかと、か
ように
考えて、これは少し余談に亘りましたが、要は
利根川が一番大きい川であり、勿論他の深刻な被害を受けておるところから
考えれば、その激甚の度においては差があるかも知れませんが、広汎な利害
関係を持ちます経済基盤のあるところでありますので、さ
ような意味でこれを出したわけであります。決して他の川を軽んじているという
ようなつもりは毛頭ないのでありまして、要するに一歩政治を前進させるためにはこういう
法案を御心配願いまして、そうして第二、第三、第四の永源に関する国の
政策が十分に行われる
ようになることを念願するわけであります。