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1951-03-31 第10回国会 参議院 建設委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月三十一日(土曜日)    午後五時三十九分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○河川法の一部を改正する法律案(衆  議院提出)   —————————————
  2. 小林英三

    委員長小林英三君) それでは只今から委員会を開会いたします。  先ず河川法の一部を改正する法律案西村英一君ほか十一名提出議題といたします。先ず提案者説明を願います。
  3. 西村英一

    衆議院議員西村英一君) 只今議題となりました河川法の一部を改正する法律案につきまして、提案者を代表いたしまして、提案理由を御説明申上げます。  現行河川涙は明治二十九年に制定を見たものでありまして、極めて古い法律であります。これを政治、社会、経済の各般に亘りまして、着々とその民主化が進められております今日から見ますれば、時代に即応しないものが非常に多いのでありまして、その全面的な改正をも考慮しなければならないような趨勢にありますることは皆様承知通りでございます。なかんずく同法の第三十二條河川に関する工事費用分担規定いたしておる條文でありまして、河川そのもの工事と、河川工事施行することによつて必要となるいろいろの附帶工事、例えば鉄道橋梁の昂上或いは経間の拡張或いは道路橋の昂上、経間拡張、又は農事用用排水施設変更というような附帶工事がある場合の費用負担を定めておる條文であります。この場合に現行河川法建前は、原則として附帶工事管理者が、その附帶工事に必要なるところの費用負担するというように規定されておるのであります。ただ政令によりまして、これを三分の二まで補助することができるというふうになつておるのであります。例えば一例を町村管理用排水施設にとりますると、河川改修に伴いまして、これらの用排水施設の移築、改築等の必要な場合は、その管理者である町村負担しなければならない建前になつておるのでありまして、政令によりまして、三分の二の補助を受けられる場合といえども、三分の一は管理者負担するということになつておるのであります。このような思想は現行河川法が極めて古い時代のものでありまして、国家権力の甚だ強い時代考え方でありまして、これを今日から見ますれば、甚だしく時代に適応しないものと考えられる次第であります。故に本法律案改正の趣旨は、かような場合におきましては、その工事の必要を生ぜしめた原因者負担することが妥当でありまして、特にその管理者受益があつたという場合は、その受益限度におきまして、一部を負担するように改正しようとするものであります。又現行河川法の第三十二條適用は、河川改修工事の速かなる促進が要望されておりまする今日におきましては、むしろこのために工事促進を阻む原因ともなりまするので、同條の第二項を原因者負担精神改正せんとする次第であります。以上が本法律案提案いたしました概要でございます。  次に、その理由を今少し詳細に申上げてみたいと思います。第一の理由といたしまして、現行河川法の第三十二條は、第一項と第二項からなつておりまして、これを仔細に検討いたして見ますると、同條第一項と第二項とは、その精神が甚だ矛盾をし、大いに均衡を失しておるような感がいたすのであります。即ち第一項は他の工事によつて河川工事の必要を生じた場合、この河川工事費負担はその原因者負担するということになつておるのでありまするが、第二項は河川工事によつて必要を生じた他の工事、即ちいわゆる附帶工事費用は、この附帶工事管理者をして負担せしめるという逆の事項規定いたしておるのでありまして両者の間には余りにも均衡を失しており、公平の精神に反するものがあるのであります。かくのごとく河川法それ自体におきまして、甚しく矛盾せる考え方は、最前申しましたように、国家権力によつて一方的に強要せられておつたような感じがいたすのでありまして、現在の社会情勢に鑑みまして、第一項の精神と同様に、第二項も原因者負担とすべきではなかろうかと思うのであります。若し附帶工事施行によつて特別の利益がありますれば、受益限度によりまして、そのもの費用の一部分を負担せしむることが費用負担の公平の精神にも合致するものと考うるのであります。  第二の理由といたしましては、現行河川法現行道路法と比較しての矛盾の問題であります。道路法は御承知のように大正八年に制定されまして、河川法に比較いたしましては、新らしい法律でありまするが、同法におきましては、第四十一條におきまして、道路附帶工事費用道路工事費用負担者負担する。即ち原因者負担するという建前をとつておるのでありまして、河川法の場合と原則を逆にいたしておるのであります。これらのことは明らかに道路法におきまして、原因者負担ということが現在の精神に合致するのではなかろうかと考えます。河川法道路法におきまするかような関連法規間の矛盾がありまするが、この場合やはり道路法原因者負担精神を貫いているのであります。即ち河川附帶工事道路である場合、河川法によりますれば、その附帶道路工事費用道路管理者負担となり、道路法原則たる原因者負担と相反することになるので、道路法第六十三條第八号によりまして、かかる場合は河川法第三十二條適用しないことといたしまして、道路法において原因者負担精神を一貫させているのであります。  第三の理由といたしましては、現行河川法の第三十二條規定は、その取扱上首尾一貫いたしませず、行政上決して面白くない点があるように思われます。即ち河川附帶工事に対しては、政令によりまして、三分の二まで国庫補助をなし得るといたしまして、更に特別な理由がありますれば、全額補助をなし得るようになつております。併し河川附帶工事は市町村或いは公共組合管理用排水施設がその件数におきまして大半を占めておりまするが、地方財政困窮のため、今日におきましては、その特例が一般例となつているところもあるのであります。又場所によりましては、三分の一負担せしめられているような場所もあるのでありまして、これは当事者の考え方次第で負担に差異を生じておるような現状で、行政上好ましいことではないのであります。これを費用負担原則原因者負担というすつきりした合理的改正が行われるならば、その取扱いも公正を期し得られると考えるのであります。  第四の理由といたしましては、現行河川法第三十二條第二項の規定は、河川改修促進に対して支障を来たしておるという点であります。皆さん御承知のように、昨今の河川災害は激増の一途を辿りつつあるとき、河川改修の速かなる進捗が要請されておりますときに、その附帶工事費用を一方的な考え方によりまして、地方鉄道或いは地方公共団体等にその工事費負担せしむるととはかなり無理なる場合が多く、ために河川改修一大支障を来たしておるのであります。御承知通り河川改修公害を除去するために一貫して速かに施行することによつてその効果を挙げ得るのであります。現行法第三十二條第二項の一方的な取扱いでは、その円滑なる進行を期しがたいのでありまして、これを原因者負担とするといたしまして、河川工事を一貫した精神によつて行うことが河川改修の円滑なる促進を図るゆえんであろうと確信するものであります。  以上が本法律案提案いたしましたる主なる理由でございます。最後に本法律案は、河川法全文と文体その他と調子を併せましたために、多少読みずらいような点もございまするが、これは皆様の御了承をお願いいたしたい次第であります。何とぞ愼重御審議上速かに御賛同あらんことを提案者といたしまして、お願いする次第でございます。
  4. 小林英三

    委員長小林英三君) 政府委員といたしまして、河川局次長伊藤君、運輸省民営鉄道部長唐澤君が出席しております。
  5. 小川久義

    小川久義君 政府側意見を承わりたいと思います。どつちからでも、運輸省からでも、どちらからでもいいです。このたび西村委員その他のかたがたの提案といたしまして、河川法三十二條改正の何が出ました。実は先ほど西村委員からのお話しもございましたように、河川法といたしましては、相当古く制定せられましたために、いろいろの点におきまして、又矛盾し、又現代の時勢に適応しない点もたくさんあることと存じます。ただ、この問題、改正につきましては、いろいろと全般的の問題につきまして検討をいたしておるのでありまするが、その関係するところは相当多方面に亘り、又今日の地方自治というような観点からいたしまして、河川行政の地方委讓問題その他権限等の問題もございまして、なかなか捗らず、今以て研究中でふる点については遺憾と存ずるのでございます。三十二條の問題につきましては、従来いろいろの法規が、最近原因者負担の制度がだんだんと進められて参つておる中に、ひとり取残されておるような実情でございまして、ただこれにつきましては、河川というものの性格もありますのと、今までの一応原則におきましては、原因者負担の制をとらなかつたけれども、今の政令におきまして、大体これを三分の二程度補助をいたす、なお財政状況その他を勘案いたしまして、更に高額の補助も出せるという便利が開かれておりました関係上、実際問題といたしまして、これを運用いたしまして、現在の実情に即応するようにやつて来ておつたのでありまするが、この際根本的に改正せられたということにつきましては、大して反対をいたすものではございません。ただ予算の問題におきましても、この点について若干の狂いはありますけれども、現に大きな問題でありますところの道路橋梁につきましては、すでに道路法規定適用されまして、これと何ら差のないようなことになつております。それから国鉄の問題につきましては、これから外されまして、別個に閣議了解事項によつて進めておりますので、この問題についても大した支障は来たしておらないのであります。なお用排水附帶工事につきましては、最近の管理団体財政状況ども睨み合わせまして、相当高額にいたしまして、実情に適するようにやつてつておりますので、そこにも大なる支障も来たさないと、こう存じている次第でございます。一応簡單に政府側としての意見を申上げた次第であります。
  6. 小川久義

    小川久義君 運輸省の御意見を伺いたい。
  7. 唐澤勳

    政府委員唐澤勳君) 運輸省といたしましては、このような改正を是非して頂きたいと思つておるものでございます。それは理論的に言いまして、只今提案者の御説明のありましたように、やはり原因者負担原則とする。そうして受益の範囲で管理者負担するということが情状妥当である、かように考えるのであります。それから又実際問題といたしまして、過去の実績を見ますというと、私設鉄道の問題が一番大きいのでありますが、私設鉄道橋梁を拡げるとか、或いは工事をするとか、その他のいろいろな工事をするという場合の過去の補助実績を見ますというと、大体その工事費の三割五分から五割、或いは事情によりまして七割くらい、或いは又特に全額補助といつた場合もございますが、非常にまちまちになつておりまして、それをきめる場合にもいろいろとなかなか事務の進捗上など思わしくないような点があつたように見受けられますし、それから又実際の負担の能力におきましても、殊に最近の経営状況等から考えまして、最近のように工事費が非常に高くなつておりながら、一方経営上におきましては、運賃その他の制約があつて、收入源をそう容易に確保し得ないというような統制監督の下に置かれておりまする経営者の立場を考えますというと、とてもその三分の一の負担というようなことはなかなか困難であります。原則として原因者負担ということを確立して頂くことが最も実情に適するであろうと、かように思うわけであります。なお国有鉄道につきましても、伊藤政府委員の申されましたように、直接適用を受けずに、別に閣議了解で以て、適当な措置が講ぜられておるので、この法律改正に直接の関係はないという恰好になつております。以上要するにこの改正は是非して頂くことを希望するものであります。
  8. 赤木正雄

    赤木正雄君 これは直接にこの法案と一致するか、ちよつと疑問に思いますのは、以前に橋をかけて、橋をかけた当時においては重量関係からして何ら支障がなかつた、併し最近の水害のようにだんだん土砂が出て河床が埋つて、今までの橋では洪水流量を流すことができない、つまり以前にかけた橋と現在の洪水状況とはマツチしない、そこでピアーが或いは多過ぎるとか、或いはアバツトが少し出過ぎている、そういう関係で又バツク・ウオーターが非常に上流に影響しますから、河川改修を必要とする、従つて一番大きな原因流量の問題でありますが、従つて又その河川断面の問題に来るのでありますが、経間、橋が原因をなして河川改修を必要とすることになつたか、両々相俟つ場合があります。これに対してはどういうふうな処置があるのですか。
  9. 西村英一

    衆議院議員輿西村英一君) 赤木さんのおつしやるような、両々相俟つというような場合もあるかも知れませんが、河川改修をやるということそれ自身公害を除去するためだ、従いましてその附帶工作物に対して変更をするという費用の問題について、そこに勿論施設部としても被害を受けないようになるということの利益もあります。併しこれはその河川を直すという、公害を除去するということにつきまして、当然受けてもいい利益だというふうに考えるのであります。例えばそれは橋梁でありましても、道路橋梁鉄道橋でありましても、横断しておるとか、していないかということよりも、その河川附近通りましても、附近を、例えば鉄道橋鉄道が通つておる河川蒿上げをいたしますれば、それによつてその附近を通つておる鉄道利益を受けるわけです。その洪水のあれを免れるわけです。それは河川を直すということが、一般公害を除去することによつて一般に受けてもいい利益だ、こういうふうに考えて費用分担の場合は、その附帶工事をやることによつて特段の積極的の利益がある場合には、当然これはその橋梁なり、施設部管理者負担しなければならんが、この消極的な利益ならば、河川を直すというそれ自身のことが公害を除去するものである、こういうふうに私は考えておるのであります。
  10. 赤木正雄

    赤木正雄君 もう一度承わりますが、橋梁さえ十分な洪水量を現在において流し得るような状態なれば、何も河川改修々をしなくてもいい。併し従前に橋をかけた場合と今日とは川の断面が非常に変つた結果、いわば橋梁そのものが非常に洪水に害をなし、その結果両方の堤防を越流する、こういうことはしばしばであります。従つて若しも橋梁さえなければ河川改修をしなくてもいいのだ。極端に言えば、ただ橋梁があるために河川改修をしなければならん。或いは局部的かも知れませんが、少くとも橋梁から上流数キロに行かなくても、一キロ、二キロで済むかも知れません。とにかく局部的に河川改修しなければならんということがたくさんあろうと思います。言換えるならば、橋梁河川改修を非常に局部的にすべき原因になつている、こういう場合にはどうなりますか。
  11. 西村英一

    衆議院議員西村英一君) 私の考え方は、今赤木さんの言われるように、その河川が初め施設部を、そういう場合には許認可が要るわけでありますから、その許認可が要るときに橋をかけたい、或いは道路を作りたいという、河川を利用して許認可を受けるときには、その河川洪水量を考え、その施設物が決して邪魔しないというふうな條件を十分付けられて、そうしてやることは、これは当然であろうと思います。併しその認可いたしまして数年もたつて、それで河川に予測しなかつた自然的変化がだんだん起つて来た、それが或いはあなたの言われるように橋梁があつたからというような場合もあるかも知れませんが、そういうような場合は、やはり河川を直すというならば、やはり河川のほうでその附帶工事を持つのが適当ではないか。初めに許認可をするときに十分考慮をめぐらして、それを事実としてその後の問題はこれは現任者が持つというのが適当ではなかろうか、こういうふうに考えておる次第であります。
  12. 赤木正雄

    赤木正雄君 政府なり、或いは地方団体でいいのですが、無論橋をかける場合には、十分洪水に対して余裕もあり、又余裕を持つように許可をしても橋をかけさせる。併し十年とか、二十年とか、或いはそういう長い年限が経たなくても、最近のように大水害の結果、数年ならずして河川状況が変つてしまう、断面積が減つてしまう。そういう場合には、初め認可する場合には何ら手落ちがなかつた、ただ自然の結果そういうふうになつてしまつて、而も今度はその橋梁断面を小さくする結果、その上流の幾部分の河川改修をせねばならん。そういう場合がある。初めの認可する場合には、何ら政府に対しても、或いはその認可したものに対して手落ちはない。今西村さんのおつしやる通りに、十分の余裕を見て橋梁をかけるように認可した。併し自然の状況に応じて、それが今日においては不可能になつてしまつた。そういう場合のことで、初めは全然手落ちがない、こういう場合です。
  13. 西村英一

    衆議院議員西村英一君) 赤木さんのおつしやるその意味が、今までお答えしたことでピントに合つていないのかどうか知りませんが、河川法の第一項の問題で、河川工事をやるときの費用の問題でないわけでしよう。その辺の……ちよつと質問の点が非常にデリケートな、非常に技術的な問題に触れておりますから、今まで私の申しました点と非常にお答えが違うかどうですか。僕の聞き違いかわかりませんが……。
  14. 瀬戸山三男

    衆議院議員瀬戸山三男君) 赤木先輩専門家でありますので、私ども專門外のことでありますから、おわかりにくいと思いますが、今赤木委員からお尋ねの点は、最初河川法許可する場合には、さして洪水その他に対して不都合はないという状況下工作物をいたした。ところがその後自然的の状況変化によつて流量その他が殖えるという関係から、従来の構想で工作物をいたした。鉄橋その他のものでは流量を塞ぐ結果になつて河川氾濫させる、従つてそこに自然的の原因が、横断しておる工作原因があるのじやないか、その場合にどうするのだという意味であろうと思うのであります。その場合にはこの法律を現在一部改正いたしておりますのは、やはりその場合も勿論自然的の原因は橋にあるのでありますけれども最初許可をいたします場合には、それでよろしいという專門的、技術的の見解から工作物をいたした。その後の状況変化は自然の現象によりまして、河川がその工作物と両々相待つて氾濫をする、従つて河川改修をしなきやならない、そういう次第でありますので、私どもの考えといたしましては、勿論一つの原因にはなつておりますけれども河川改修するという計画は、国なり地方公共団体、いわゆる河川を管理するものが河川改修をするのであります。よつて来たる原因は、自然的の原因と、以前にやられました工作物との二つの原因ではありますけれども河川改修すること自体は、洪水を防禦する責任を持つております地方公共団体なり、若しくは国なりがやるのでありますので、この法律によつて河川改修をするほうでその経費負担する、こういう考え方であります。その場合に、先ほどお話にありました経間を広くするとか、若しくは川幅を広くいたしまして、橋の延長を長くしなければならない、こういうことに相成つて来るのであります。その経間を広くする、若しくは橋を高くする、この経費をどうするかという問題が、この本法案改正をする原因になつておるのであります。さような経費は、河川改修する計画を立てたものが、又その工事をするものが負担しなければいけないじやないか、こういう考え方であるわけであります。
  15. 赤木正雄

    赤木正雄君 大体よくわかりましたけれども、要するにその橋が邪魔なんだ、だからその橋が仮になければ河川改修をしなくてもいい、以前に許可するときには、無論支障ないように許可した、併し洪水が殖えましたり、川床が埋つたために、今日の状態においてはその橋が邪魔になつて困るのだ、それで若しもその橋さえとれば、河川改修はしなくてもいい、こういう場合にはどうしますか。
  16. 瀬戸山三男

    衆議院議員瀬戸山三男君) 勿論橋をとつてしまいまして、川の流量が増してもかまわないという事態になると思います。併しながらやはり橋にいたしましても、その他の鉄橋にいたしましても、これは交通運輸上どうしてもなくちやならないものとして存在するものでありますから、それをとつてしまえばよろしいということには、ちよつと私どもとしては考えられないのであります。勿論その橋の個所変更いたしまして、更に別な個所にそれに代る工作物をすれば、河川改修をする必要がないということも、たまにはあるかも知れませんが、普通の場合においては、その交通運輸上の施設もやはり必要でありますので、それを河川改修するために、さような工作物変更その他に経費を要するというときには、やはり河川改修の一環として工事施行者負担すべきである、又一面から申せば、例えば鉄橋を考えますと、鉄橋自体はその際に別に危險はない。ただ鉄橋があるから流量を塞いで河川氾濫をするということに相成るのでありますが、河川を管理いたすものといたしましては、公共福祉のために河川改修しなければなりません。併し施設自体としては、河川改修してもらわなくても、鉄道運輸上別に差支えない、併しそれでは公共福祉に反するから、大きな原則河川改修して鉄橋を延ばすということに相成るのでありますので、さようなことはやはり工事施行者、いわゆる河川改修をする原因者負担すべきである、こういう見解をとつているわけでございます。
  17. 赤木正雄

    赤木正雄君 大体わかつたのですが、そういたしますと、河川改修はしなくてもいい、これはだからして無論これには該当しないと思う。念のために私言うのです。河川改修はしなくてもいい、ただその鉄橋蒿上げするとか、或いは幅を変えるとか、そういう場合には無論河川改修をしませんから、又これに言葉が足らなかつたのですが、その鉄橋を或いは高くしないと、或いは経間を広くしないと、交通上その橋が維持できない、又災害のためにそれが困るという場合は無論河川改修をしませんから、これには該当しないのですね。
  18. 西村英一

    衆議院議員西村英一君) そういう場合は該当しないわけであります。
  19. 赤木正雄

    赤木正雄君 さつきの鉄橋が、或いは普通の橋でもいいのですが、その橋が原因として、上流の相当の区間の河川改修をする、それは橋さえ初めよくするならば、その河川改修をしなくてもいい、こういう場合もありますが、これはまあどちらが、無論橋に災害の大きな原因があつて、それに基いて河川改修をするということになりますが、この間は実際むずかしいと思うのです。どちらが実際、そういう場合には、全部この法律によつて橋をかけかえる場合も、全部国が出すか、非常にむずかしい問題がありはせんかと思いますが、併しこれは一々実際の場合に当つて見ると困難だし、これを議論しても、なかなか学理的にむずかしいと思います。バツク・ウオーター関係もありますから、これくらいにして置きましよう。
  20. 田中一

    田中一君 伊藤次長に伺いたいのですが、本年度の二十六年度の直轄河川について、この法を適用するような個所経費ですね、そういうものは見込んでおりますか、伺いたいのです。個所と見込み方です。
  21. 伊藤大三

    政府委員伊藤大三君) 大体附帶工事につきましては、個所々々全部或る程度に新らしい計算をいたしておるわけでございまして、大体国鉄とか、道路とか、或いは用排水路をやつておるわけでございますが、国鉄の問題についても、道路の問題につきましても、現行と変りはないわけであります。ただ問題は用排水の問題が出て来るのと、私鉄の問題が出て来るのが大きな問題と思います。私鉄の問題につきましては、現在問題が起り、この改正問題にまで発展して来ておる大きな何は、利根川の東武、江戸川の東武とか、或いは肱川の伊予鉄、そういうような何があるわけですが、まだ河川改修進捗が、これを今動かすというところまで進んで来ていないので、本年度の予算においては、これは実はまだ計上していないような実情でございます。それから用排水の問題につきましては、個所につきまして、今後これがない場合においては、地元と相談いたしまして、その財政状況、それから受益程度を見てやつて行くという意味で今後の協議に則つたわけでありますが、これは実は我々のほうとしまして、こういう趨勢がございましたので、実際の問題といたしましては、その工事に万一負担がかからない場合においては、若干工事個所の整理もありましようが、支障を来たさないように実は考えて来ておるわけでございます。なお継続の分につきましても若干負担をかけるのもございまするが、この法規施行と同時に、これは一斉に同じ方向に進んで行きたいと、こう考えて、その部分の若干の金の不足は現在の用排水に向けておる金から考えて参りたい、こう存じておるわけでございます。
  22. 田中一

    田中一君 今の御説明によりますと、私鉄関係の大きな問題は、二十六年度の工事には該当するものがない、こういうわけでございますね。
  23. 伊藤大三

    政府委員伊藤大三君) 現在のところでは、河川改修とマツチさせてやつて行く段階までに来ておらない、というよりは、そこまで私のほうとして治水の計画から考えられなかつたので、本年度におきましては、その関係経費というものを実は考えていなかつたのであります。
  24. 田中一

    田中一君 そうしますと、本年度に若しこの法を適用するような附帶工事個所があつた場合には、現在計画されておるところの工事を縮小しなければ、この法通り施行ができんというわけなんですか、そういう解釈もできるのですが。
  25. 伊藤大三

    政府委員伊藤大三君) 継続の若干の何をこの法規によつて改正しますと、四千万四ぐらいの負担の問題があるかと思いますが、これは新たに考えておりまする経費を少し切詰めますれば、それに廻すこともできるかと、こう思つております。新たな問題につきましては、この情勢を大体察知いたしておりまして、そうして工事個所なんかも選定いたしておつたわけでございます。そのために殆んど支障を来たさないような考え方で進んで来ておるわけであります。
  26. 田中一

    田中一君 では、地方行政のほうの政府委員来ておりますか……。府県費の負担が重くなるということをこの資料にも書かれておりますが、これについて地方行政のほうの政府委員を呼んで頂きたいと思います。
  27. 小川久義

    小川久義君 僕は初めは簡單に考えておつたが、これは容易に結末は出ないと思う。今、田中君が聞きたいというのは、この(五)の表ですが、現行法で行くと、国が四億で、府県が二億、私鉄が三億である、九億になる、改正すると、国の負担が二億殖えて、府県の負担が一億殖えて、私鉄がゼロになる、これは今行き詰つておる地方財政に対して重圧を加えるものである。今日しやかしやかやるように先ほど僕は発言しましたが、愼重審議を要する。それで同院の決定は、今日限りしかやらないこいう切迫した時期に、これを上げるこいうことには僕は参らんと思うのです。内容を見ると……。
  28. 西村英一

    衆議院議員西村英一君) 御説明申上げます。(五)の地方鉄道との関係というのは参考資料に付けたのでありまして、河川改修工事につきまして、約九億円の河川改修に対する費用というのは、これは十カ年、十五カ年の今から想定される今後河川改修が随分いろいろ起つて来るであろう、そういうもので想定されるところを言つてあるのでありまして、来年度なら来年度、或いは再来年度なら再来年度だけ府県の費用が一億殖えるというようなことではないのでありまして、極く参考にこういうふうな程度にずつと十年乃至十五年の間の河川改修を考えると、これくらいの費用があるのではないかと、こういうことで参考書類に付けたものでありまして、府県の一億増というようなものも、これは十カ年か或いはそれ以上の年でこなす金額でございます。そのつもりで一つ。
  29. 小川久義

    小川久義君 僕はその例について申上げておるのではない。この例があるから例をとつただけで、私鉄負担がゼロになつて、地方財政に電圧が加わるということを申上げておるので、一億とか、二億とかという数字を書いてあるから言つておるので、一方がゼロになる、そして財政的に悩んでおる府県に対して負担を課する、これは国と県だけが負担して、私鉄だけにプラスになるものであつて、国民全般から言うと大いに迷惑すると思う。それからもう一つ附加えますが、私鉄は特に公共事業的な内容を持つておりますが、営利会社が経営しておるものであつて、営利を目的としてやつておる鉄道事業に対して負担が一文もかからない、そして県と国がその分だけを負担しなければならん、こうなりますと、そう簡單には僕はこの法案を上げるわけには行かん、特に時間が切迫しておりますので、この辺で打切つてもらいたいと思う。
  30. 西村英一

    衆議院議員西村英一君) 表の第三表を御覽になつて頂きたいのでありまするが、これは昭和二十四年度の附帶工事につきまして、その種別ごとの費用を大体出しております。用排水施設私鉄道路、二十四年度の附帶工事の総工事費三億五千九百万という種別は、こういうふうにわかれておるのでありまして、この全額から申しまして、用排水施設は遥かに多いのであります。それから表の第一表をちよつと御説明申上げますと、これは二十四年度の附帶工事費三億五千九百万、二十五年度、二十六年度の総工事費、それからその補助額、それから管理者費用を持つものと、こういうふうに分れておるのでありまするが、この法律案改正によりまして、地方公共団体施設管理者になつておる場合は非常にこの法律によつて助かるのであります。例えばこの表を御覽になつて管理者負担という府県、市町村、水利組合、こういうものはゼロになるわけでありまして、ただこのゼロになつた金額を国庫の補助に直す、従つて国庫の補助額は増しまするが、それに伴いまして府県の費用として一部分殖える。併しその殖えました金額は、府県で以て減つたところの、管理者としての金額は府県は減るわけなんです。併し補助金の補助額は、府県の金額は殖えるわけであります。差引きの増加になるわけでございます。府県の地方公共団体の圧迫もそうひどくないと思うのであります。
  31. 田中一

    田中一君 もう一度伊藤次長に伺いますが、二十六年度に計画されておる、計画されておる工事の中で、この法を適用して細かい数字を願いたいのですが、国がどの個所でどれだけのものを負担するか。府県がどの個所でどれだけのものを負担するかということがおわかりだと思うのですが、それを一つ御説明願いたい、詳しく知りたいのです。その個所と府県と。無論二十六年度の予算には計画されておるところの工事はお挙げになつておるはずだと思いますから、それをお示し願いたい。ただ概念的なものでなく、どの府県がどういうことをするか。それでこの法によつて今度府県がどういう負担をやるか、市町村はどうなのか、或いは私鉄国鉄はどうなつておるか。この第一表を現在二十六年度に計画されておるものに合せまして、その数字をお示し願いたいと思うのです。
  32. 伊藤大三

    政府委員伊藤大三君) 今細かい資料をここに持つて来ておりませんので、はつきりここで申上げることはできないのでございます。
  33. 田中一

    田中一君 今小川委員からも言われた通り、第五表は單なる何年間かの継続事業の中の水準を示したものだという御説明なのでありますが、事実建設省において、河川局においては二十六年度の予算も盛つて計画されておるのですから、これを具体的に数字をお示しになつて、どの府県がどれくらい負担が多くなるという点を明確にして頂いてから後、審議したいと思うのです。
  34. 西村英一

    衆議院議員西村英一君) ちよつと御説明いたします。第一表を御覽になつて、二十六年度附帶工事費は、これは建設省から出して頂いたものであり虫ずが、総工事費が十億四千五百万ある。そのうちで補助額は八億七千九百万、あとは旧法によりますると、その管理者負担が、今想定いたしまして用排水とか、その他たくさん雑件がございますから、そういうものは一々建設省としてわからないわけですが、大体府県が五百万円、市町村負担が二千五百万円、水利組合が二千万円と、こういうような費用管理者が持たなければならん。私人というのはこの法では私鉄その他になるわけです。公法上の私人でございますから……。その場合は只今伊藤次長から申されましたように、私鉄等の計画は二十六年度にはこれに合致するところはない。その次に、国鉄の一億一千六百万円という費用がございます。この一億一千六百万円というのは、これは国鉄負担でございます。そうしまして、これが改正法律案のようになりまするとどうなるかと言いますれば、この管理者は直接の利益がなければ負担しないのであります。直接の利益がありますると、これは多少その利益限度において負担しますが、直接の利益がない場合は、この管理者負担額という府県の五百万円もゼロになります。市町村の二千五百万円もゼロになる、水利組合の二千万円も、これもゼロになるわけでございます。そうしますと、この金額が五千万円でありますが、この五千万円は国が補助するのだということになるわけでございます。従いまして国が補助します場合において府県の負担がその三分の一あるわけでございますから、五千万円の三分の一だけは、これは府県がそのために管理者としてではなくして、河川改修の、河川管理者としての負担が殖えるわけでありますから、府県は五百万円と五千万円の三分の一との差額だけを府県が負担増になる、こういうことになるのでありまして、市町村等は積極的な利益がない限りにおいては負担が少くなる、こういうふうな結果になるのでありまして、多少の府県の負担の増加は認めなければならんと思うのでありまするが、この差引きをいたしましても、二十六年度としては全国で一千万円ぐらいな増加にしかならないと思うのでありまして、地方財政の窮乏の折から多少でも殖えることは困ると思うのでありまするが、又府県といたしましても、河川の改良をやるのだという現在のやはり負担の責任に任じておる今日でありますので、全体といたしまして、こういうふうな考え方にしたほうが適当じやないかというふうに考えた次第であります。
  35. 小川久義

    小川久義君 私は審議しないというのじやないのですが、いろいろ伺いしで納得が行かんところもある。又さつきの次長の話からしても、今年はこうついうものに、この法律に該当する個所はないのだ、それから法律には古い法律で不備があるから、閣議の決定において実際的には善処されておる。然るに今、今日一日だという会期に、まだ衆議院を通過しない先に、無理にどうして出さなければならんのか、二十六年度にはこの該当の個所はない。仮にあつたとしても適当な閣議の決定において措置をされておる。それで今押しかけて出されたところに疑義がある。それから僅かでも地方財政の負担になる。これは提案者もはつきりお認めですが、地方自治体に負担がかかるということになると、我々は軽々に結論を出せないと思う、従つて続行して審査をお願いしたいと思います。
  36. 田中一

    田中一君 伊藤次長に重ねて伺いたいのですが、実際に二十六年度予算において私鉄関係はないというわけですか。
  37. 伊藤大三

    政府委員伊藤大三君) ないのです。もう一遍よく調べますが、ないと思います。
  38. 田中一

    田中一君 それから府県費の第五表ですね、第五の項ですね、これに一応一億円府県費が増すという計算ですね、これは今提案者からの御説明は概念的で、細かい具体的な数字をお示したいものですから、はつきり納得が行かんのですけれども、これは一つ河川局として、何も細かい数字をお示し願わんでも結構ですから、どれくらいかかつて、どこの府県がどのくらい負担になるということを、無論現地で設計もして実施されておるものでしようから……、その総額ですね、そういうものをお示し願いたいと思うのです。
  39. 小川久義

    小川久義君 僕は議運が開かれておるし、又食管の両院協議会の委員として出席なければならんという実情にありますので、退席をお許し願いたいと思います。
  40. 小林英三

    委員長小林英三君) それでは如何いたしましようか。衆議院は大体早ければ七時、遅くとも七時半に通過する予定だそうでありますが、通過いたしますまで休憩いたしまして、何しますか。
  41. 小川久義

    小川久義君 もう一つ……、議員提出法案が各党提案したからと言つて、それを鵜呑みにするならば、参議院は存在しなくていいのです。議員提出法案で修正されないものは一つもない。ボート・レースのやつを出してくれたが、まだ審議未了になつておる。熱管理法案も修正に決定した。こういう実情にあるので、もつと審重愼議を要すると思うので、これで一つ今日はこういう忙しいときに、もう五時間ほどしかない間に、両院協議会も三つも開かれる。議運においてもいろいろな問題を審議決定しなければならん。こういう実情でありますので、改めて一つ十分審議なされたほうがいいと思います。
  42. 赤木正雄

    赤木正雄君 私も議院運営の一委員として向うに行かなければ……、今時間がないのです。でありますから、こういうふうのことになりますれば、二時間、三時間休んでいるようなことよりも、もう一度愼重になすつたほうがいいと思う。そのほうが却つてやりやすいのではないか。そうして今田中さんの要求なすつた資料のごときは、なかなか一日や二日で建設省で私はできんと思う、こういう要求は……。でありますから、二時間、三時間休むならば、もう休会明けに十分に審議したほうがお互いに納得が行きはしませんかね。
  43. 田中一

    田中一君 実はその昨日こちらで審議して今日採決しましたが、九州の問題について、災害復旧の問題について……府県の負担が非常に重い、多くなつている、殊にその災害というものは何も自分から求めておるものではなく、不幸な日本の地形と言いますか、天災地変として受けるものです。殊にその平衡交付金の問題にしても、認定で以てやるような形が多々あるのです。私はこれは政令でも結構ですから、法文化して、明確な形において審議するというようなことを、私はとつて欲しいのです。やらんものはやらんで結構なんです。今日この法案にしても、どう結論を出しても、今提案者の御説明にも府県の負担が重くなるということは、いろいろ法の本当の正しさから見れば、或いはやむを得んかも知らんけれども、この場合は納得させるまで審議をして、我々は地方の国民の代表なんですから、そのかたがたが税の負担が重くなるという、こういう法については、その国民に納得させる形で以て審議したい、こう思うのです。今小川委員並びに赤木委員が退席されれば、進行はどうかと思うのですが、この際委員長の一つ御決意を願いたいと思います。
  44. 西村英一

    衆議院議員西村英一君) 最前申述べましたが、府県が重くなるというところのみお考えにならんで、市町村負担はこれによつて非常に軽くなるという点も併せてお考えを願いたいのであります。なお十分御審議を願いたいと思いましたのですが、実は関係方面のあれが非常に遅くなりましたので、甚だ無理な御審議を願つているわけで、その辺は恐縮に存じている次第でございます。
  45. 田中一

    田中一君 今伊藤次長に要求した資料にしても、一応御準備なすつて提案者の気持……提案理由というものを、恐らく我々がこういう何か邪魔をするような、疑ぐるようなことに感ぜられるかも知れませんけれども、そうでないのです。事実政府提案者の裏付の資料を提出する義務があると思うのです。それを怠つている。そうして我々の質問に対して返事ができない。提案者の意思はよくわかります。併しながら政府が裏付ける資料を提出されないということは、提案に欠陷があると思うのです。これを伊藤さんに一つお伺いしたいのですが、どういうような措置をおとりになつてこの審議をなさるおつもりか……。(「これは政府の責任じやない、提案者が勝手に出したんだから」と呼ぶ者あり)
  46. 小林英三

    委員長小林英三君) それでは、衆議院のほうもまだ上つておりませんから、暫時休憩いたします。    午後六時四十五分休憩    —————・—————    午後九時十七分開会
  47. 小林英三

    委員長小林英三君) 休憩前に引続きこれより開会いたします。都合により本日はこれにて散会いたします。    午後九時十八分散会  出席者は左の通り。    委員長     小林 英三君    理事            赤木 正雄君            小川 久義君    委員            石川 榮一君            島津 忠彦君            門田 定藏君            田中  一君            徳川 宗敬君   衆議院議員            西村 英一君            瀬戸山三男君   政府委員    運輸省鉄道監督   局民営鉄道部長  唐澤  勳君    建設省河川局次    長       伊藤 大三君   事務局側    常任委員会專門    員       武井  篤君    常任委員会專門    員       菊地 璋三君