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赤木正雄君
先ほど申したように非常に
書類の上に複雑な点がありまして、これを完全にまとめて行くのには、今日の
定員法に
上つただけの
定員だけではとてもできるものではない。而も
書類を
整理するが
ために
所長以下の立派な
技術者までも没頭してしまう、これでは
工事の真髄が発揮できがたいということは明らかであります。でありますからこの
書類は
ひとり建設省のみの
関係でありません。これは
人事院にも
関係した
書類であります。或いはその他の各官省にも
関係した
書類でありますからして、この際ぜひとも
各省と
協議されて、この
複雑化をもつと簡素にされたい。私
どもは
現場に長らくおりましたときに、最初に申した
通り僅かに三、四冊の帳簿で而も莫大な金を使
つて来ましたが、少しも不正、不義がなしに立派に
工事をや
つて来たのであります、それを思うと、今日のやり方が余りにも合理的なようで、実は不合理にた
つていますから、これをぜひとも
関係各省の間でよく御研究なさ
つて、即刻改められるように
要望して置きます。これはむしろ
行政部門になりまして、私
どもの申す
範囲外かも知れませんが、余りに見るに見かねた複雑な情勢で、而もこれが
ために
現場が如何に困
つておるかという事実を把握したのでこれを申上げます。
次にこれも私
どもが
関東地建で調べた点でありますが、仮に
関東地建の四つの
工事事務所、これについて二十五年度にどれほどの人が行
つて見られたか、
会計検査院から十二回、百三十五人、
大蔵省から三十五回、五百九十六人、
経済安定本部から十八回、六十一人、
人事院から十一回、三十一人、
国会議員が七回、三十三人、通産省は十二回、八十七人、
建設省から百四回、五百四十七人、
労働省から六回、八人、その他が三十二回、百三十九人、合計二百四十数回、千六百五十人という延人員の人が四カ所の
現場事務所に行
つておられるのであります。実際
現場の
人々の話を聞きましても、これらの
人々の応接に忙殺されて
しまつて殆んど
現場を
監督する
時日もない。それはそうでしよう。
回数にいたしまして二百四十二回、三百六十五日のうちの過半以上はこれらの
人々が
現場に行かれるのでありますからして、これは誠に困
つたことである。これでは
本当の
仕事ができるはずはない。殊に
大蔵省から五百九十六人の人が行
つておられる。而も
大蔵省から行
つておられるのは、先ず
書類を見て、これこれのことをしてくれというふうな
要望がある。なおこれらの
人々が、私は皆とは申しません。成るべくそういう人の少いことを
要望いたしますが、行かれました先に、果して正当な
旅費をお
払いにな
つておるか、ここに非常に疑問があるのであります。中にはこの頃は上の
官庁から来れば殆んど金も払わずにお帰りになる、或いは僅かの金をお
払いにな
つて、あとは
現場のほうでこれを
処理すると、こういうことではいきおい不正事実をなからしめるように
考えても、不正事実はおのずから起
つて来るのであります。
従つて事務所長初め
技術官がこれらの多くのお客さんに忙殺されて、殆んど実際
現場に当る
時日は少い、これも遺憾ながら事実であります。これは今申した
通りに
各省に
関係しております。
国会議員もこれには
関係しておりますから、無論
国会議員も成るべく自粛すべきが当然であります。
建設省が、
現場の
技術官庁として五百四十七人の人が行
つておる。これも止むを得んかも知れませんが、併し
現場の
人々が一生懸命にや
つていること、それを思うなら、成るべく
仕事の邪魔をしないように、又
大蔵省が五百九十六人……、
先ほど申したのは
昭和二十五年の例ですが、五百九十六人も
現場に行
つておる。これは私は実に不可解であります。こういうふうな
書類を作
つてくれと言われて、その
書類を作る
ために非常に
現場では困
つておる。こういうふうな
観点からして、
現場の人も実際
自分の責任ある
仕事を
監督する
時日もない。見物人と申しましては語弊がありますが、とにかくこれらの
人々を案内す
ために忙殺されて、
仕事も十分にできない、これが今日の
建設事業の大部分であります。これは今申したのは
直轄の
工事でありますが、このことは
ひとり直轄のみならず、
府県工事においてもこれと同じような事実が認められるのであります。でありますからして、
大蔵省の人がここに見えておれば、よく私の申すことをお聞き願いたい。
監督に行かれるのは結構でありますが、これこれの
書類を作
つてくれというふうなことで行かれる。而も一年間に
関東地建の僅かに四カ所の
事務所に対して三十五回、五百九十六人も行かれると、これは無論
会計の
監督上行かれるのでありますから止むを得んこととは
考えますが、こういうふうにされては、
現場において立派な
仕事をしようと
思つてもする余地がない。我々長年
現場にお
つた者の体験から申しても、これでは
仕事はできないのは当然であります。でありますからしてこれは
大蔵省、
安定本部、
人事院、
建設省の
本省は無論、お互いによく
考えられて、今日の
新聞紙上に
建設省、延いては
府県の
土木関係の不正事実がたびたび載ることは、我々誠に遺憾と思います。遺憾でありますが、こういうふうにたくさん来られる人をどうするかと、それに適当な
旅費をお
払いになることと思いますが、中にはそうでもないのがある。それをこの
現場の
人たちは何とか
処理しなければならん。ここに非常に不合理と申しますか、不正事実の起る大きな原因があります。このことをよく
各省の
かたがたはお
考えにな
つて、
現場監督に行かれるのは結構でありますが、いわゆる立派な
仕事をさせる
ための
現場監督ならばよいが、そうではなしに、単に
仕事を見るに名をかりて
公務員が遊びに行くということは、無論口幅
つたいことで、恐らくそういうことがあるわけはありませんが、そういうことのないように願いたい。殊に
地建の
仕事の中でも、場所によりましては
請負に付しておる
仕事がありますが、その
請負業者は月に二十万円の
接待費を払わねばならないと、実にそれで困
つてしまうと、こういうことまで
言つておりました。又或る
仕事に対しては、
請負に付する場合に百万円の金を役所の者に出せと、どうなさるのか、いやいろいろな金が要るから出せと、ところが
請負業者のほうでは、私のほうで百万円の金を出すのは何とも意に介しません、併しこれを出して、仮にこれが裁判問題に
なつたときに、私のほうはどこまでも知らんと言うが、あなたのほうで困りやせんか、そういうことを言われて遂にそのことはなく
なつた。
従つて請負事業も、百万円の金をそういうほうに出すならば、やはり初めの見積りが百万円それにプラスになります。そういうふうな誠にいまいましいことが見れば見るほど、研究すれば研究するほどほうぼうにあるのであります。而もそれには、
先ほど申した
通りに非常に無理な点がたくさんありますから、これを
建設省が主になりまして、これに
関係しておられる
人事院とも或いは
労働省とも、又
先ほども申した
大蔵省とも或いは又
安定本部ともよく
協議なさ
つて、無理のないように、
本当にお国の
ために全精力を捧げて
仕事のでき得るように、今日
現場主任におきましても、立派な
技術官でありながら、殆んどその
自分の
技術に精進する暇がない。殆んど
書類の
整理とか、
先ほども申したように一年に千四百二十五人の人が来れば、これは
回数にして二百二回にいたしましても大変なものでございます。それに応対しなければならんので、殆んど
自分の
仕事はできないというのが
現状でありますからして、この間の消息を私は
建設大臣に訴えて、私は
官紀の
粛正を口に唱えるのはこれで三回目であります。何回もこういうことを申すのは実は嫌なのでございますが、事実はこういうような
状態に追い込まれておりますから、
一つこれは
大臣みずから
関係各省ともお諮りにな
つて、成るべく無理のないように、私
どもが
現場にお
つたときに
点検簿と
箇所限日計簿と
工事材料受払簿、この三つで立派な
仕事ができたと同じような、そういう
仕事をして欲しい。現に今日恐らく次右も御
承知の
通りに、
工事年報というものを最近私
ども見受けません。昔から伝統的の内務省、今日の
建設省、あの
直轄工事の立派なものは
工事年報に毎年々々その
事業が
年報としてきれいに出されて、それによ
つて成るほど
直轄の
事業らしいものがあ
つたのです。然るに今日は
工事年報も一冊も出ない。
戦争中或いは
戦争直後ならいざ知らず、もう
戦争も済んで講和も近付いた今日、今以て
工事年報のできないということは非常に不思議に思う。そこで
現場の人に聞くというと、これ以上に
工事年報に手を延ばす人はありません。私はこれは恐らく真相だろうと思います。
工事年報もできないようなことでは、もはや
直轄工事の
価値がどこにあるか、言い換えれば殆んど
請負工事で十分だと、そういうことも言えます。昔のいいところはやはりあの
工事年報、そういうものはどうしでも活かして行かなければ……、最近は
弘報課と申しますか、あれから
パンフレツトを出しておりますが、あの
パンフレツトの三冊や四冊よりも、
次官の御
承知の
通りに毎年あの
部厚な
工事年報があ
つて、初めて
直轄工事がどういう
仕事をしたということが、将来まで名誉ある記録であ
つたのです。これが最近はできない。そういう
状態では
直轄工事の
価値いずれにありや、殆ん
どもうこれは全部
請負にしてもよろしい。言い換えれば
建設局、
地建、
直轄工事を主としてやるべきその
建設局の必要がどこにありや、こういうことも言いたくなります。でありますから私の申上げたいことはたくあります。併し今私が申したことは、事実に即応してお話しております。決してこれによ
つて建設省をいじめようとか、そういう
考えは毛頭ない。若しも
直轄工事をなさるのならば、昔のように
直轄工事らしい
仕事のできるように、
書類の
簡素化、これは
各省とも御
協議なさ
つて、又
先ほど申したように随分
各省から
現場に行
つておりますが、こういうたくさんの人が行かないでも、
本当に
仕事のできるように、
現場の人をもつと可愛が
つてや
つて欲しい。そうしていわゆる日本の再建に資して欲しい。これは私の願いであり、又そうすべきが当然と思います。これに対して今まで私が
一つの
現場について見たことをお話いたしまして、今日
大臣がおられませんから、一応
次官のお
考えを承わりたいと思います。