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1951-03-29 第10回国会 参議院 建設委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月二十九日(木曜日)    午後一時五十五分開会   —————————————   本日の会議に付した事件請願及び陳情に関する件 ○河川道路都市及び建築等各種事  業並びに国土その他諸計画に関する  調査の件(建設省関係工事状況に  関する件) ○公共土木施設災害復旧事業費国庫負  担法案(内閣送付)   —————————————
  2. 小林英三

    ○委員君(小林英三君) 只今から建設委員会を開きます。  本日は先ず請願及び陳情の審査から始めたいと思います。ちよつと速記をとめて下さいつ    〔速記中止
  3. 小林英三

    委員長小林英三君) それでは速記を始めて下さい。  引続きまして河川道路都市及び建築等各種事業並びに国土その他諸計画に関する調査を議題といたします。  なおこの関係につきまして政府のほうから御出席のかたは、安本建設交通局長の小澤君、大蔵主計局大蔵技官の奥村君、労働省労働基準局長の中西君、職業安定局失業対策課長の海老原君が見えております。速記をとめて下さい。    〔速記中止
  4. 小林英三

    委員長小林英三君) 速記を始めて下さい。  先ず建設省関係工事状況につきましての調査をいたします。
  5. 赤木正雄

    赤木正雄君 私は大臣に重ねて官紀粛正の問題についてお伺いしたいと思つたのですが、大臣が今おられませんから、次官からでもよくお伝え願えたいと思います。大臣は恐らく私の気分はよく御承知と思います。私の質問することも恐らく大臣は喜んで下さると私は思います。成るべき実地について掘り下げて見たいという観点から、過日私は建設省の一事務所について現地に行つて調べて見たのです。行くまでには余りに最近建設省関係事業不正事件が起るからして非常にこれは困つたことだ、公務員が全部悪いような考えを私は持つていたのです。ところが実際現場を見るに当つて、若しも現場の人が変なこと、或いはごまかしでもおつしやれば、私は相当に突込んで質問もしようと思つていた。然るに私の考えとは全然反対に、その実情を縷々述べられて、而もこういうふうなことをしないとやつて行けない。成るほどその実情を聞いて見ますと、止むを得ず不正事実をせねばならないというふうなところまで追い込められているということがわかつて、私の考えは初めの考えとはよほど変つて来ました。それについて今日のありかたは如何に混雑といいますか、混迷といいますか、誠に土木事業に対して困つた事態に遭遇しておる。併しこれは一つ直轄工事に限りません。恐らくこの関係は、いわゆる府県公共事業に対しても同じような関係にあり得ると想像せられるのであります。なお先ほど申す通りにこれは私が一事務所質問もし、又実態を調査した点でありますが、ほかの事務所に行けば行くほど、いろいろの事実がたくさんあることと考え得られるのであります。先ずこれをお尋ねするのは、或いは労働省にお尋ねするのか、人事院にお尋ねするのか、その関連もはつきりわからん点もありますが、今日のこの公共事業に対する、この公共事業と申しましても、私は農林省関係は調べませんでした。この土木関係公共事業に対して如何に万事が複雑であるかということに余りに驚いたのであります。私どもが長年省轄工事に当つたときには、点検簿箇所限り、工事日計材料本当の二、三の書類があるならば、それで幾ら多額工事でもやすやすとして片付け、又不正工事はなしにすべての直轄事業をやつて来たのであります。然るに今日は全然それとは違つて実に書類は複雑である。例えて申しますと、ここに一つ見本がありますが、職員別給与簿、これは一人に対して一枚工事事務所が保管せねばならない。これには随分いろいろと面倒なことを書入れねばならない。又勤務時間報告書、これについても随分厄介なことも書かねばならん。こういう複雑な書類は実に想像もつかないほどたくさんあるのであります。これを一々処理して行く場合には、今日の定員では恐らくできないと思います。事実関東地建におきましても一万人の定員に対して人夫給と申しますか、いわゆる定員外の人がやはり一万人ぐらい支払われている。そういうふうな人がないとこの処理はできない。こういう複雑な状態になつています。それで若しも私の調べた事務所の人がごまかしでも言われるようならば、どにまでも突込んで行こうと思いました。然るにこれに反して縷々どうしてもざまかさねばならない。こういう事情を訴えられる場合には、帳面二つ作つて、それで事務処理しない以上は処理できない、こういう事実もはつきりわかつたのです。こういうふうなことになつていますからして、これは何といつてひとり建設省のみならず、これには労働省も或いは人事院も無論関係してのことでありますからして、各関係しておられる省がよく協議をされて、もつと簡単に処理できるようにできないか。現に私ども現場にいたときには人夫点検簿箇所限り、日計薄工事日計薄材料受払薄、この四册の帳面幾ら大きな工事でも簡単に整理していた。而もその間何ら違算もなければ不正もなしにやつて来たのであります。而もこの書類が簡単でありますから、技術員専心自分技術に終始することができた。然るに今日の現状におきましては、恐らく高級の技術官におきましても、言い換えれば事務所長のそういう人々におきましても、殆んどこの書類に埋没して、専心して自分技術に当るということが時間が許さない。こういう実情で、関東地建におきまして一万人の定員に対してやはり一万人くらいの人が、これは人夫としてやられて、それによつてやつとこの書類整理しておる、こういう実情なんであります。定員法において随分定員を縮小して、公務員定員減つた、こういうふうな簡易な考え政府が持つておられるならば、それは余りに馬鹿心々しい話です。関東地建において一万人の公務員に対して先ほども申したように一万人の人夫給の人間がいる、この事実を以てすれば、すべてが如何に複雑であるかということがはつきりわかります。でありますからこの書類を先ず簡素にすることがでないか、これはひとり建設省のみならず人事院にも関係しております。そういう方面で私は先ず書類を簡素にして欲しい、この点について建設省は今後どういうふうに研究して行こうという考えお持ちであるかどうか、その点を先ず伺つて置きたい、これをなさらない以上は決して正しい仕事はできません。立派な技術を学んだ高級の技術官が殆んどこの事務に当つて自分技術を活かす時間さえない、これが実情であります。こういう観点から私は書類を簡素にする、こういう点を第一に伺いたい。関東地建でこれらの書類整理するため定員は一万人ぐらいでありますが、定員外人夫給の人が一万人ある、これは実情であります。これは公務員を減した、減した、表には如何にも公務員を減したようでありますが、やはりいわゆる公務員以外の人夫としておらるる人が一万人もおる、これでは真の人員整理も何もなつてない、こういう事実がはつきりしたのであります。  次に前渡官吏所長ですが、所長が口座からして出し得るのは百万円を超えるわけです。こういうふうになつております。そうして三十万円以上の支出契約が物件に対してはできる、こういうことにもなつております。そこで三十万円以上のものは日銀の支店から支払う、こういうことになつております。これについて百万円を超ゆる場合にはどうなるか。御知の通り継続事業を認めない結果、そこで又月末になりまして、或いは年度末になりますか、急にたくさんの金を支払う、常には金が殆んど自由にならないが、急に月末になつてたくさん支払う、これを記帳することは非常に複雑になつておる。要するのに書類処理上からして止むを得ず不正事実をせねばならない、帳面を二つ持つて置かないと仕事ができない、こういう実情なんであります。こういうことを先ず本省のおかたは御承知かどうか、承わりたい。
  6. 中田政美

    説明員中田政美君) 只今赤木委員より貴重な実地を御視察なさつて、その結果に基いてお話がございましたので、非常に傾聽したわけでございます。終戦後、殊に最近公務員法の制定その他によりまして、給与その他人事に関する事務がやや複雑を来たしておる点につきましては、御指摘通り我々も確かに仕事の量が殖えて参つておるように思いまして、それがために末端においてはかた仕事をその方面へ割かなければならない。又事実職員が非常に不足勝であるという点につきましては、能う限りこれらの簡素化を研究したいものと考えまして、現に各地建実務者等を招集いたしまして、これらの改善方策について検討をいたしております。  ただこれらの仕事のやりかたにつきましては、赤木委員の仰せのごとく建設省だけで改善を決定し、すぐ実行に移し得ないものが多々あることは甚だ遺憾でございます。例えば公務員法によつて人事院のお示しのあるいろいろな書類等につきましては、人事院のほうに御相談をし、又その他会計法上のことにつきましても大蔵省なり或いは又安本なりに御相談をいたして、これを改善して行かなければならんわけでございまして、この点は赤木委員におかれましても十分御了察願えることと存じまするが、要するに書類簡素化、やや形式的書類につきましてはどこまでもこれを簡易にして真実を発見し、その適正を得られるということをモツトーにして、改むべき制度上の点はこれが改正に邁進いたしたいと念願し、且つ決意をいたしておるわけであります。  資金前渡官吏金額の問題につきましては、会計課長より御説明を申上げたいと思いますが、これにつきましても前渡官吏制度そのものが、小口の頻繁に起るものを日常現場においてすぐ払えるようにしようという制度でありますので、比較的大口のものにつきましては支出官が支払いをするというのは、これ又制度上からいたしまして原則的には止むを得ない点もございますが、併しながら直営を実施いたしております地建におきましては、現場においてかなり多額の金を頻繁に支出せにやならん実情に鑑みまして、確か二十五年度よりは相当これは緩和いたしたようなわけでございます。併しながら更に御指摘のようにこれらの金額制限等につきましても、実情に即するようにいたしたい。最後にこの定員以外に事務的人夫を使わざるを得ない現場実情につきましては、御回情ある御意見を承わりましたが、決して我々はこれが正しいとは思つておりません。どこまでもこれらは簡素化いたしまして、本来の仕事に邁進して頂けるようにしたいものだという点につきましては、全然同感でございますので、今後御指摘の点は十分尊重いたしまして、これらの改善に一段と努力いたしたいと存ずる次第でございます。
  7. 赤木正雄

    赤木正雄君 先ほど申したように非常に書類の上に複雑な点がありまして、これを完全にまとめて行くのには、今日の定員法上つただけの定員だけではとてもできるものではない。而も書類整理するがため所長以下の立派な技術者までも没頭してしまう、これでは工事の真髄が発揮できがたいということは明らかであります。でありますからこの書類ひとり建設省のみの関係でありません。これは人事院にも関係した書類であります。或いはその他の各官省にも関係した書類でありますからして、この際ぜひとも各省協議されて、この複雑化をもつと簡素にされたい。私ども現場に長らくおりましたときに、最初に申した通り僅かに三、四冊の帳簿で而も莫大な金を使つて来ましたが、少しも不正、不義がなしに立派に工事をやつて来たのであります、それを思うと、今日のやり方が余りにも合理的なようで、実は不合理にたつていますから、これをぜひとも関係各省の間でよく御研究なさつて、即刻改められるように要望して置きます。これはむしろ行政部門になりまして、私どもの申す範囲外かも知れませんが、余りに見るに見かねた複雑な情勢で、而もこれがため現場が如何に困つておるかという事実を把握したのでこれを申上げます。  次にこれも私ども関東地建で調べた点でありますが、仮に関東地建の四つの工事事務所、これについて二十五年度にどれほどの人が行つて見られたか、会計検査院から十二回、百三十五人、大蔵省から三十五回、五百九十六人、経済安定本部から十八回、六十一人、人事院から十一回、三十一人、国会議員が七回、三十三人、通産省は十二回、八十七人、建設省から百四回、五百四十七人、労働省から六回、八人、その他が三十二回、百三十九人、合計二百四十数回、千六百五十人という延人員の人が四カ所の現場事務所に行つておられるのであります。実際現場人々の話を聞きましても、これらの人々の応接に忙殺されてしまつて殆んど現場監督する時日もない。それはそうでしよう。回数にいたしまして二百四十二回、三百六十五日のうちの過半以上はこれらの人々現場に行かれるのでありますからして、これは誠に困つたことである。これでは本当仕事ができるはずはない。殊に大蔵省から五百九十六人の人が行つておられる。而も大蔵省から行つておられるのは、先ず書類を見て、これこれのことをしてくれというふうな要望がある。なおこれらの人々が、私は皆とは申しません。成るべくそういう人の少いことを要望いたしますが、行かれました先に、果して正当な旅費をお払いになつておるか、ここに非常に疑問があるのであります。中にはこの頃は上の官庁から来れば殆んど金も払わずにお帰りになる、或いは僅かの金をお払いになつて、あとは現場のほうでこれを処理すると、こういうことではいきおい不正事実をなからしめるように考えても、不正事実はおのずから起つて来るのであります。従つて事務所長初め技術官がこれらの多くのお客さんに忙殺されて、殆んど実際現場に当る時日は少い、これも遺憾ながら事実であります。これは今申した通り各省関係しております。国会議員もこれには関係しておりますから、無論国会議員も成るべく自粛すべきが当然であります。建設省が、現場技術官庁として五百四十七人の人が行つておる。これも止むを得んかも知れませんが、併し現場人々が一生懸命にやつていること、それを思うなら、成るべく仕事の邪魔をしないように、又大蔵省が五百九十六人……、先ほど申したのは昭和二十五年の例ですが、五百九十六人も現場に行つておる。これは私は実に不可解であります。こういうふうな書類を作つてくれと言われて、その書類を作るために非常に現場では困つておる。こういうふうな観点からして、現場の人も実際自分の責任ある仕事監督する時日もない。見物人と申しましては語弊がありますが、とにかくこれらの人々を案内すために忙殺されて、仕事も十分にできない、これが今日の建設事業の大部分であります。これは今申したのは直轄工事でありますが、このことはひとり直轄のみならず、府県工事においてもこれと同じような事実が認められるのであります。でありますからして、大蔵省の人がここに見えておれば、よく私の申すことをお聞き願いたい。監督に行かれるのは結構でありますが、これこれの書類を作つてくれというふうなことで行かれる。而も一年間に関東地建の僅かに四カ所の事務所に対して三十五回、五百九十六人も行かれると、これは無論会計監督上行かれるのでありますから止むを得んこととは考えますが、こういうふうにされては、現場において立派な仕事をしようと思つてもする余地がない。我々長年現場におつた者の体験から申しても、これでは仕事はできないのは当然であります。でありますからしてこれは大蔵省安定本部人事院建設省本省は無論、お互いによく考えられて、今日の新聞紙上建設省、延いては府県土木関係の不正事実がたびたび載ることは、我々誠に遺憾と思います。遺憾でありますが、こういうふうにたくさん来られる人をどうするかと、それに適当な旅費をお払いになることと思いますが、中にはそうでもないのがある。それをこの現場人たちは何とか処理しなければならん。ここに非常に不合理と申しますか、不正事実の起る大きな原因があります。このことをよく各省かたがたはお考えになつて現場監督に行かれるのは結構でありますが、いわゆる立派な仕事をさせるため現場監督ならばよいが、そうではなしに、単に仕事を見るに名をかりて公務員が遊びに行くということは、無論口幅つたいことで、恐らくそういうことがあるわけはありませんが、そういうことのないように願いたい。殊に地建仕事の中でも、場所によりましては請負に付しておる仕事がありますが、その請負業者は月に二十万円の接待費を払わねばならないと、実にそれで困つてしまうと、こういうことまで言つておりました。又或る仕事に対しては、請負に付する場合に百万円の金を役所の者に出せと、どうなさるのか、いやいろいろな金が要るから出せと、ところが請負業者のほうでは、私のほうで百万円の金を出すのは何とも意に介しません、併しこれを出して、仮にこれが裁判問題になつたときに、私のほうはどこまでも知らんと言うが、あなたのほうで困りやせんか、そういうことを言われて遂にそのことはなくなつた。従つて請負事業も、百万円の金をそういうほうに出すならば、やはり初めの見積りが百万円それにプラスになります。そういうふうな誠にいまいましいことが見れば見るほど、研究すれば研究するほどほうぼうにあるのであります。而もそれには、先ほど申した通りに非常に無理な点がたくさんありますから、これを建設省が主になりまして、これに関係しておられる人事院とも或いは労働省とも、又先ほども申した大蔵省とも或いは又安定本部ともよく協議なさつて、無理のないように、本当にお国のために全精力を捧げて仕事のでき得るように、今日現場主任におきましても、立派な技術官でありながら、殆んどその自分技術に精進する暇がない。殆んど書類整理とか、先ほども申したように一年に千四百二十五人の人が来れば、これは回数にして二百二回にいたしましても大変なものでございます。それに応対しなければならんので、殆んど自分仕事はできないというのが現状でありますからして、この間の消息を私は建設大臣に訴えて、私は官紀粛正を口に唱えるのはこれで三回目であります。何回もこういうことを申すのは実は嫌なのでございますが、事実はこういうような状態に追い込まれておりますから、一つこれは大臣みずから関係各省ともお諮りになつて、成るべく無理のないように、私ども現場におつたときに点検簿箇所限日計簿工事材料受払簿、この三つで立派な仕事ができたと同じような、そういう仕事をして欲しい。現に今日恐らく次右も御承知通りに、工事年報というものを最近私ども見受けません。昔から伝統的の内務省、今日の建設省、あの直轄工事の立派なものは工事年報に毎年々々その事業年報としてきれいに出されて、それによつて成るほど直轄事業らしいものがあつたのです。然るに今日は工事年報も一冊も出ない。戦争中或いは戦争直後ならいざ知らず、もう戦争も済んで講和も近付いた今日、今以て工事年報のできないということは非常に不思議に思う。そこで現場の人に聞くというと、これ以上に工事年報に手を延ばす人はありません。私はこれは恐らく真相だろうと思います。工事年報もできないようなことでは、もはや直轄工事価値がどこにあるか、言い換えれば殆んど請負工事で十分だと、そういうことも言えます。昔のいいところはやはりあの工事年報、そういうものはどうしでも活かして行かなければ……、最近は弘報課と申しますか、あれからパンフレツトを出しておりますが、あのパンフレツトの三冊や四冊よりも、次官の御承知通りに毎年あの部厚工事年報があつて、初めて直轄工事がどういう仕事をしたということが、将来まで名誉ある記録であつたのです。これが最近はできない。そういう状態では直轄工事価値いずれにありや、殆んどもうこれは全部請負にしてもよろしい。言い換えれば建設局地建直轄工事を主としてやるべきその建設局の必要がどこにありや、こういうことも言いたくなります。でありますから私の申上げたいことはたくあります。併し今私が申したことは、事実に即応してお話しております。決してこれによつて建設省をいじめようとか、そういう考えは毛頭ない。若しも直轄工事をなさるのならば、昔のように直轄工事らしい仕事のできるように、書類簡素化、これは各省とも御協議なさつて、又先ほど申したように随分各省から現場に行つておりますが、こういうたくさんの人が行かないでも、本当仕事のできるように、現場の人をもつと可愛がつてつて欲しい。そうしていわゆる日本の再建に資して欲しい。これは私の願いであり、又そうすべきが当然と思います。これに対して今まで私が一つ現場について見たことをお話いたしまして、今日大臣がおられませんから、一応次官のお考えを承わりたいと思います。
  8. 中田政美

    説明員中田政美君) 現場事務監察、その他事務処理等につきまして赤木先生の貴重な御意見を承わりまして、非常に参考になり、我々痛いところを突かれたようで誠に恐縮いたしておりますが、監察が各方面からばらばらに行き、現場仕事を非常に阻害しておるという点につきましては御指摘通りでございまして、これは我々のほうもこの点は現場のほうからの要望もあり、前益谷建設大臣当時におきましても閣議に御披露して、どうしても各省はこれに協力し、理解のある監察をしてもらわなければ困るという点を申入れたことがございます。と同時に又事務的には次官会議等にも各省にこれを訴えて、何とかして監査を同時に施行する方法はないかということを真剣に考えて見ましても、まあ制度行政府を離れております会計検査院はとにかくとして、それ以外の狭い意味の行政府においては、何とかこの監査の機会をダブらんように、同じような書類で済ませられるように、従つて現場の手間をかけないようにという点で協議をして頂いたことがありますが、正直に申上げますると何ら一致いたしません。大蔵省大蔵省で、大蔵省的監察をやらなければならんと言い張ります。まあそういうわけでありまして、それぞれ理窟はあるでしよう。併しながらいわゆる監査の目的からして、相手に余り迷惑をかけて、それがため仕事ができんでは、角を矯めての類でありまして、お説の通りでございます。これはなかなか各省を糾合して、理解ある監査を実施するということにつきましては困難でありまするが、只今指摘の点につきましては、今後能うる限り各省の協力を得て、逐次現場仕事のしよいようにこの点を改めるべく努力することを申上げます。  それからそれに関連していろいろと不正の支出を余儀なくされておる現場事情をよく理解して、さような苦しみに立たないようにしてやつて行くべきであるという御同情ある御言葉に対しては、全く同感でございます。ただ監督を受ける身で、当然に言うべき筋合、又応ずべからざる筋合のことも、いわば監査を受ける立場からつい十分のことが言えないというような点もございますので、やはりこれも又監査をするほうでは、殊に直接責任を持つておる私のほうの建設省本省、又地建の本局、こういうものから真先きに改むべく、実は昨日も省議でこの問題を十分討議しまして、或る種の結論を得たわけで、更にこれを実施に移すべくいたしております。従いましてこれらの点につきましても、御指示の点、十分戒心の意を盡したいと存じております。  更に工事年報につきましては、全くこれも申訳ない点でございます。実は直営本当の真価は、その工事が如何たる材料たり人件費で如何たる工事ができたかということを精細に記録して、そうしてこれが集大成されておるのがいわゆる工事年報でありまして、メリツト・システムからいえば、これたくしては実は直営価値は論ぜられない。又立派にやつた者には賞うをやり、余り芳しからざる仕事には十分戒心をさせる、いわゆる信賞必罰も工事年報からと言つていいくらいであります。まさに御指摘通りであります。ただこれが終戦後、あのどさくさなりその後の事務煩雑等によりまして、ともすれば十分これが行われていない。従つてまとまつてこれを編纂するに至つていないことは誠に申訳でございません。どうぞこれも決してぬかつておるわけではございません。何とかしてこれを一日も早く元に復元したいと、従つてこのためにも予算の支出科目の整理、いろいろ従来からの科目との不一致というようなことをうまく調和をとるようにいたしまして、そうしてこの年報をまとめていて、このいわゆるメリツトシステムを十分発揮するようにいたしたいと考えておるわけでございます。一応御趣意に対してお答えを申上げます。
  9. 赤木正雄

    赤木正雄君 もう一つ、この前も大臣に申したのでありますが、公共事業監察官の制度であります。この公共事業監察官が行かれまして、果してどれほどの効果があるか、これは無論公共事業の不正がないようにこれを設けられたと思いますが、殆んどその効果が挙つていない。却つて公共事業監察官が来られれば、それの接待もしたければならん。その接待費はどこから出すか、これがためにいろいろと費用を捻出せんならん。言い換えれば不正の上塗りをする、こういうふうなことに事実はなつておるといつても……、これは結果から見てもそう言えるのであります。でありますから私は公共事業監察官のごときも必要があるかないかをもう一度再検討されて、却つて害があつて利のないものであれば、一日も早くこれを廃止して、そうして現場人々がそういうことに無駄のないように、とにかく一日々々が正しい仕事ができるように、無駄のないように専心事業に当たれるようにお願いしたい。そうお願いしたいのが……、我々長年土木におつた者の一人として、又多少実施を知つておる者の一人としてこれは政府にお願いするわけであります。又最近ブロツク会議があるかないか知りませんが、例のブロツク会議というものは、これは戦争中止むを得ず起した会議と私は考えております。これは今日なお残つていて……。ブロツク会議をやつて何の効果があるか、殆んどブロツク会議は、ほうぼうのブロツク会議の結果を私は聞きもし、又現場にも行つて見ましたが、それほど効果があるように思わない。もはや交通機関の整つた今日でありますから、これが若し必要であれば、これは本省会議をなさる……。これは行政部門で、我々の言うべきことと違いますが、とにかくブロック会議をやつてもその費用はどこから出るか、無駄の出ることを、成るべく無駄を省くことがいわゆる正しい途の第一歩と考えますから、この点も申上げて置きます。私のお願いするのは以上であります。
  10. 田中一

    ○田中一君 最近九州の大村の出張所長が停職に付されるような話を聞いております。併しこの事実は今赤木委員指摘した通り、幽靈人夫、いわゆる人夫賃を以て他のほうに流用したということが犯罪事実だそうでありますが先ほどいろいろ数字を挙げて赤木委員が言われた通り公共事業費が、人夫賃として支出さるべきものが実際他のほうに流用されて、その清算が人夫賃として支出されたという事実は、単に大村地区の出張所が不幸にして発見されただけであつて、他の現場の悉くがそのような形で支出されているということは絶対に間違いないと思うのです。そうしていてその仕事が、今赤木委員指摘されたような、仕事がうまく行つているということはあり得ないと思うのです。  伺いたいのは、若しそうした形で支出されていない、正しく人夫賃が人夫賃として人夫給与されているというところが一カ所でもあるならば、その見本を逆に示して頂きたい。悉くが不正な支出方法によつて闇から闇に流れていると考えられます。不幸にして引掛つたのがこの大村地区の出張所たと考えます。この際大村地区の技官が検挙されまして、最高裁まで起訴、不起訴に対する意見が徴されておつたように聞いておりますが、この真相を明らかにして頂きたいと思うのです。若しこのまま放置して、或いは最高検察庁で手を著けるならば、各現場悉くにこれに類するような犯罪が摘発されると思うのです。無論次官のお話を伺うと、昨日もいろいろその点について御協議なすつたそうでありますが、裁判所の記録、地検の記録、高等裁判所の記録、最高検察庁の意見、そうしたものを一つ明らかにしてこの委員会に御報告願いたいと思うのです。そして余分な仕事を負わされている……、本省人々は定時に出勤して定時に出るのが建前ですけれども現場人々は両が降り、風が吹くということ一つすら神経を尖らして現場に勤務したければならん。これに対して超過勤務手当が出ているか、出ていないか私は詳しく知りませんが、先ほど赤木委員指摘されたように、この八千人の定員に対して一万人以上の事務費といますか、労務賃として支払われているのが間違いないのですから、この事実に鑑みましても、本省を除く全建設省の労働組合のかたがたが、止むを得ず不正事実或いは不正をしなければならない、犯罪を犯さなければならないというところに追い込められている現状をよくお考えつて、これに対する方途をお示し願いたい。同時に重ねて申しますが、今の大村地区におけるところの所長が起訴されまして、或いは不起訴になりますか、少くとも譴責を食いまして、犠牲になつたという真相を明らかにして頂きたい。
  11. 中田政美

    説明員中田政美君) 田中委員から御質問の九州における私のほうの出先の出張所長に対する詐欺事件につきましては、お話の通り司直の手で目下取調を受けているわけでございます。私のほうといたしましても、極めて重大なるに鑑みまして、本省監察官を現地に派遣し、逐次内容を取調べて、かなり詳細にその真相はつかんでいるつもりでございますが、只今お話のように人夫賃を或る種の手段で他の使途へ流用したということがおおむね多いようでございます。併しながらその中におきましても、例えば四月の年度変りの場合に処するために、若干前年度の年度末に人夫賃を蓄えて四月に払つたというような、いわば継続費的予算のないために、止むを得ず行なつたような軽微な、いわば形式的なものもありますし、又機械費が足りないので、機械を買うために、その機械を買うときにマル公では入手できないので、若干の市場価格で買う。その場合にマル公で買わなければならんという会計法上の点を免かれるために、人夫貨で買つてつたとかというようなものもございます。それから又次にだんだんと進んで参りまして、只今指摘の超勤の予算が足らん、併しながら実際の現場では仕事が非常に段到したために超勤を命じたと、そこでその超勤にこれを充当した。又旅費が足りない、旅費にも若干出しておるというようなのもございます。それから又更に進んで、いろいろな接待の経費に充当したのもございます。接待と申しましても、まあ公式的な起工式とか落成式というようなものもございますが、やや私的のような匂いのするのもありまして、その使途は極めて少額のものもありますが、種々雑多と申さなければならんような状態であります。そこでそれらの中で本当に個人のために使つたというようなものは、これはその人の公務員としての責を免れるわけには参りません。併しながら公けのため制度上の多少の窮屈さを若干免がれるためにやつたというようなのも勿論これは会計法規違反であり、予算の精神にも反するのでありますが、いろいろそこには段階があるわけでありまして、それこれを十分勘案の上、九州の問題になつております三事務所長は一カ月の停職処分をいたしました。これにはやはり十分の注意をしたであろうけれども、なお且つ重大な過失と覚しきものがあつたためでございます。これは今お話のように全国の地建には全然ないかということについては、ないことは好ましいのでありますが、今ここにその証拠を挙げろということにつきましては、若干の時日をかして頂かなければなりません。いずれにいたしましても全体のためにかようなことのないように戒心して頂くという意味で、まあ泣いて一つの行政処分を行なつたようなわけでございます。検察庁との関係につきましても、私も関係筋と折衝いたしておりますが、この際は御遠慮申上げて、最善を盡す予定にいたしております。
  12. 田中一

    ○田中一君 次官の御答弁、甚だお上手な御答弁で、どうも私が伺いたいことがはつきりしておりませんけれども建設省の他の職員組合のかたがたに私どもが働きかけまして……、非常に自分達の加重されている勤務と受けるところの手当、報酬、そうしたものがバランスが取れんという不平が随分あるのです。その上且つ縷々赤木委員が御説明、紹介したような接待費その他に使用されるものがたくさんあると思います。昨年あたりでは四百円くらいの旅費しか持つて監察官が行きませんけれども、大低一人二千円から二千五百円くらいかかるそうです。これは各所に監察官が出ておるのですから、必ずや全部が全部幽靈人夫の費用によつて払いされてないと思うのです。若し非常に良心的な技官並びに事務官がおりまして、おのおの自己の良心に顧みて、自分はこういうことをして会計法違反をやつた、こういうことをして犯罪を犯したということを自白したならば、これは恐らく今日公共事業というのは悉く停止しなければならんと思います。私は必ずやそういう事実があると思います。これに対してよほど慎重にお考えになり、又次の機会に建設省として対策をお立て願つて、この委員会でもお示し下さるか、そうでなければこの不幸な下級の職員ために、我々は断乎としてこの立場を守つてやらなければならんと思います。こういう点について、大臣はいらつしやいませんけれども大臣ともよく御相談つて、単なる犯罪事実を摘発するばかりじやなくして、この下級の職員に対する待遇かたもお考え願いたい。こう考えております。
  13. 兼岩傳一

    ○委員外議員(兼岩傳一君) 今の両委員に関連して一つ、二つちよつと聞かしてもらいたいのですが……。
  14. 小林英三

    委員長小林英三君) 如何でございましようか、委員外議員の兼岩君からちよつと……、四、五分ぐらいですね。
  15. 兼岩傳一

    ○委員外議員(兼岩傳一君) 長く要りません。
  16. 小林英三

    委員長小林英三君) 質問したいという要求がございますが、許すことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  17. 小林英三

    委員長小林英三君) それではどうぞ。
  18. 兼岩傳一

    ○委員外議員(兼岩傳一君) 僕はやはり赤木、田中両委員と同じ問題なんです。それで実はそれについて西のほうの或る現場から、三億余円の予算がきまつているらしい、ところが四月の中旬まで金が来ないので、二月の二十八日付ぐらいで、使つている労働者の首切りをやらなければいけないと言つて来ておりますが、この問題は建設省でできる問題なのですか。大蔵省でなければ答弁できない問題ですか。
  19. 中田政美

    説明員中田政美君) まあ大蔵省なり安本の御協力を得て、さようなプランクのできんように今盛んに折衝いたしておりまして、大体四月分につきましては、一般の予算を全部付けるのには間に会わないというような関係もありますので、労力費だけは先にそれだけ切離してすぐ付けるという処置をいたしております。従つて只今説明のようなことにならんだろうということを考えております。
  20. 兼岩傳一

    ○委員外議員(兼岩傳一君) そうすると四月上旬までに行くものと理解してよろしうございますか。そうすると首切りの問題は先ずない、今年はそういう措置によつて免れると取つてよろしうございますか。
  21. 中田政美

    説明員中田政美君) その個所の工事金額にもよりけりでございますが、予算の端境期における処置の悪いために首切りをせねばならんということは起らないと考えております。
  22. 兼岩傳一

    ○委員外議員(兼岩傳一君) これに関連してこの問題については了解しましたが、実は私はこの問題で自分で東北のほうを直接に調査して来たんです。今両委員の言われましたようなことの面、つまり書類の問題とか監察の問題等のほかに、今私が問題にしているような労働者を首切りたくないという問題、或いは雪の降つたときに仕事の量を少くして、本当仕事のできるときに多くやりたいというような……、そのときに設計変更の手続やつていたのでは間に合わんので、その設計変更の手続も一方に進めながら、実際の仕事は一番事情に適した方法をとる等々と、そういう純技術的なことのために労賃、人夫賃を流用するというような形で出して問題が起きておりましたが、やはりこれも直轄問題なんですが、両方の面からあの東北地方の問題はどういうふうに処分されましたでしようか。
  23. 中田政美

    説明員中田政美君) 内容によりまして、形式的には会計法その他に反するが、実質的にはその人間の道徳的責任は比較的に軽いというようなものについては比較的寛大な処置がされております。ただそういう場合に、将来とも制度現場の者が困らないように、形式的にも違反にならないような処置にするためにいろいろ考えております。例えば予算の付けかたの問題もあります。それから今機械が足りないため人夫賃から機械費を払つておるというようなことも、これももう少しよく実情を、予算を配布するほうで聞いてやるならば是正できる問題なんでありますので、それらは前轍を踏まないように十分考えております。
  24. 兼岩傳一

    ○委員外議員(兼岩傳一君) やはり東北の猿ケ石ダムの問題ですが、これは非常にいい工事で、有名な工事なんですが、地元からの陳情書によりますと、百四十戸の農家が見返り地をもらえないために非常に困つておると、耕作は放棄されておりますし、肥料は横流しになつているし、住宅は減るし、これもやはり直轄工事一つの悩みのように思いますが、こういうふうの見返り地とか、移転費を十分やるとか、生活を保障するというような問題は、直轄事業では十分考えておられないのでしようか。
  25. 中田政美

    説明員中田政美君) 実は猿ケ石の、問題は戦時中、即ち終戦前に用地買收その他をやつて、金もやつちやつてつた。ところがその後敗戦のため仕事は打切られてしまつて、今日のようになつて、漸く今年から再開、従つてこれを形式的に言うならば、もうすでに移転補償してしまつたじやないか、お前らはあとどんどん移つたらいいだろうということになるわけでございます。併しながら実際はそうは行きません。従つてこれは常識的に考えて、社会がこれを容認する程度の実質的な補償は十分考えるという方針で、只今現地で当つております。従つてこれは現地の人にも納得して頂ける、こう考えております。
  26. 兼岩傳一

    ○委員外議員(兼岩傳一君) ずつと今までの書類簡素化、それから田中委員の問題から私の問題、全部一貫して流れている問題は、やつぱり直轄事業が今のままではいけないんだと思うのですね。ああいうやりかたで、而も私の考えるのは、これを請負事業に切替えれば解決するなんという単純な考えかたは、私どもとしては間違えで、やはり直轄事業としてなすべきものは直轄事業でなさなければならないし、将来やはりこれに大きい望みを嘱すべき事業が多分にあるから、これは飽くまで発展させて行かなければならない。ところがいろいろ矛盾がある。で、結局お尋ねしたいのは、つまり——として、こういうふうな複雑な書類をやらせたり、監査をやらせたり、不合理な認証制をやつたり、或いは継続費を認めなかつたり等々しているという、つまり吉田内閣の限界を超えた問題は何々であるかということ、それから吉田内閣に責任のある問題は何々であるかという問題、それから第三に占領政策にも関係なく、吉田内閣の責任でもない、全く次官以下の純事務的、純技術的で解決し得る問題が何々であるか、これを一つ私は、今でなくてよろしいから、大臣ととくと相談されて、一つ速記録の上で明快に御答弁願いたいと思います。これで私の質問を打切りたいと思います。委員長如何でしようか、今の私の三点を明らかにして頂くということ、答弁そのものは要りませんが、やつて頂けるかどうか、委員長にでも次官でも結構ですが…。
  27. 小川久義

    ○小川久義君 兼岩君の発言の中に猿ケ石の工事においては、田中君と我々去年親しく調査に行つて来た。又住民の意見も聞いて来ました。次官説明された通りです。戦争中金はもらつた。ところがそのときの物価と今の物価と違うからもう一遍もらいたいということです。それであそこの事務所長は僕の友人でありまして、その所長が農民をトラツクに乗せて、替地としてここをやろうかというふうに親切に替地の斡旋をしておりまして、問題は僕はない形だ思つておりますが、そういう点もお含み願いたい。それから只今関係筋と本省関係との問題はどれとどれだ、これはどこにどうなつているとか……、これは現在においては委員長としても確答はできないと思うし、それから建設省としても、あなたと確約ができそうにないと思いますのですが、現在の日本の実情からして無理じやなかろうかと思うのですが……。
  28. 兼岩傳一

    ○委員外議員(兼岩傳一君) 僕はそういうことがわからなかつたら議員の責任が果せないと思うのですが、これは—————として押しつけられている問題だ、こういうことならそう。それからこれは吉田内閣の政策である。これは純事務的、技術的であると、この三つを明らかにしなかつたら、徒らに建設省職員をいじめることになり、或いは我々が空廻りをすることになる。或いはどこを突けばこの問題の解決がつくかということは国会議員として、各会派として当然の任務だと思います。
  29. 小林英三

    委員長小林英三君) 兼岩議員に申上げますが、これは建設省のあなたに御答弁できる範囲内において他日御答弁するということにしたいと思います。   —————————————
  30. 小林英三

    委員長小林英三君) それでは日程によりまして公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法案を議題に供します。  この法案は過日衆議院におきまする委員会を通過いたしまして、本日本会議に上程しておりますので、多分今日中に参議院に回付されるものだと考えております。それでは建設大臣がちよつと御都合があるそうでありますから、提案の理由を中田次官からあるそうでございますから……。
  31. 中田政美

    説明員中田政美君) 公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法案について提案の趣旨と内容の概要を御説明申上げます。  我が国は地勢及び気象等の関係から、古来有数の炭害国でありますが、殊に戦時中の国土の荒廃等に基因いたしまして、終戦後災害が連年相継いで起り、その被害は驚くべき巨額に達しております。而して公共土木施設の災害は、その大半を占めておりますが、その復旧費は地方公共団体の負担に属しまする関係上、一面において地方の財政に過重な負担を課することとなり、地方財政を破綻に頻せしめる虞れがありますのみならず、他面においてこれがため迅速にして適切な復旧事業の遂行を不可能ならしめ、災害を累増せしめる大きな原因となつておるのであります。御承知のごとく一昨年シヤウプ使節団の勧告の次第もありまして、昭和二十五年度は公共土木施設の災害復旧事業は、合理的な恒久的負担制度を確立するまでの暫定措置として、取りあえず全額国庫負担の特例を設けることになりました。その後地方行政調査委員会議において、シヤウプ勧告を基礎にして、恒久的制度調査審議に力をいたされておりましたが、昨年十月国会及び政府に対しましてこれに関する勧告を提出されたのであります。政府におきましても、かねて窮迫した地方財政の現状と激甚な災害の頻発とに鑑みまして、地方の財政能力に即して災害の速かな復旧を図り得ますように、復旧費の国と地方との間における負担関係を合理的に調整することの緊要なるを痛感いたしまして、関係各省において審議検討を重ねていたのでありますが、更にこの勧告を受けましたので、その趣旨を尊重しながら、現在の国家財政の実情を勘案いたして、愼重検討を加えました結果、成案を得ましたので、ここに法律案として御審議を願うことにいたした次第であります。  以下法案の大要を申上げますと、第一に本制度の対象とする災害復旧事業は、地方公共団体又はその機関の維持管理に属する河川、海岸、砂防設備、荒廃林地防止施設、道路、港湾及び漁港のうち政令で定める公共土木施設の災害に係わるものでありまして、災害にかかつた施設を原形に復旧することを原則といたしますが、それが不可能な場合においては、当該施設の従前の効用を復旧するための施設をすることとし、且つ原形に復旧することが署しく困難又は不適当な場合には、これに代るべき必要な施設をすること、即ちいわゆる超過事業を併せて行うことができるものとし、又一カ所工事費は二十五年度の特例通り十五万円以上とすることといたしました。  次に国庫の負担率は、各地方公共団体の一カ年の災害復旧事業費の総額を、当該年度の普通税の標準税收入見込額と比べまして、その二分の一までは三分の二、その二倍までは四分の三、それ以上は全額と逓次に負担率を増加して、個々の地方公共団体の財政力に適応して算定することといたしました。尤も超過事業費については一般の改良事業費に対する負担率と同率とするものでございます。  北海道につきましては、同地が現在なお開発途上にあり、従来災害復旧事業費については八割補助をしておりました事情をも勘案いたしまして、当分の間暫定的に特例を設けることとし、五分の四に満たない場合は五分の四とすることといたしました。なお昭和二十五年以前の災害による復旧事業で主務大臣の決定を受けたが、国庫負担金の未交付のものにつきましては、二十五年度の標準税收入を基礎として、各年の災害復旧事業費の総額ごとに前述と同様の方法により負担率を定めまして、その残事業費の負担とするものであります。  地方行政調査委員会議は、この法律に規定した事項のほか災害復旧事業費の支十年度の限定、予算の計上方法及び特別会計の新設等に関しても勧告いたしておるのでありますが、国家財政の現状からいたしまして時期尚早と認めまして、これらは採用しないことといたしました。  以上申述べましたように、この法律は公共土木施設の災害復旧事業について、地方公共団体の財政力に適応するように国の負担を定めまして、災害の速かだ復旧を図り、以て公共の福祉を確保ぜんとするものでありまして、何とぞ十分御審議あらんことを切にお願いいたす次第でございます。
  32. 小林英三

    委員長小林英三君) 本案につきまして御質疑がございましたらば……。
  33. 田中一

    ○田中一君 この法案の審議に先立つて委員長に伺いたいのですが、衆議院では来月の六日まで会期延長しようという案が出ておりますが、参議院では議院運営のほうでどういうふうにきまつたか御存じですか。
  34. 小林英三

    委員長小林英三君) まだはつきりしないのですが、小川君がよく知つておられますね。
  35. 小川久義

    ○小川久義君 実は今朝の議運で、衆議院議長から参議院議長に申入れのあつた点が議長から報告されまして、その答えは、参議院はいろいろの観点から見て三月三十一日で一応未提出の法案も、政府で急いでいるというものは議了できるという目安できめたのであるから、衆議院に却つて同調してもらいたいという申入れを衆議院にしてあるはずであります。その後の情勢から見ますと、これはまあ自分の会派のことを申上げて失礼でありますが、今朝総会を開きましたところ、もう三日や四日で法案が成立するという見込のものに対しては延長も止むを得んじやないかという空気でありますが、会派の意向を持ち寄つて、明日の議運で大体がきまると思われるのであります。
  36. 田中一

    ○田中一君 明日会期延長の問題がきまるとしましても、非常に建設省のやり口が不親切だと思うのです。もう二、三日しか会期を余さない今日になつて、昨年全額補助しておつた法案を、これを十二分にやるというのならばまだわかりますが、減らすというような法案を以てここに提案されるということに対して、非常なる事務当局の手落じやないかと思うのです。これに対してなぜ今日急遽提案しなければならなかつたかという理由を、これは内輪のことで以てお聞きするのも失礼かも知らんのですが、我々が納得するように大臣がおられたら大臣に伺いたいと思つたのですが、次官から御説明願いたいと思うのです。
  37. 中田政美

    説明員中田政美君) この法律が非常に休会前のこの緊迫した今日まで提案が遅れましたことについては誠に申沢ございません。お叱りを受けるのも重々我々の責任であることを痛感いたします。ただ弁解がましいこになりますので、誠に申上げかねるのでありますが、事情を掻摘んで申上げて御了承を得れば幸いと存じます。御承知通り二十五年度のこの暫定法律は、長い間災害復旧の基本法であつた法律を一応眼らして、一カ年だけを全額負担ということでやつて見ろ、その間に十分検討して、恒久的な補助法を作つて制度化したらよかろうという意味で元の法律は廃止せずに、一カ年を限つての暫定特例として、全額国庫負担法を制定されたわけでございます。爾来各省におきましてはいろいろと持寄りまして、この恒久制度考えたわけでございます。殊にこの地方行政調査委員会議というものができまして、それにおいても非常に検討をいたされてあつたわけでございます。ただ基本的に、而も各省とも共通の意見としましては、本来この全額国庫負担ということは二十五年度だけの特例でございまして、従来は大体三分の二、それ以前におきましては若干この租税の負担率を加味した、いわゆる軽いスライド制の補助制度というものが永年行なわれて参つたわけでございまして、地方の災害に対して国が全部持つて地方は一文も出さんという制度は二十五年度を以て嚆矢とするわけで、それまで永い間、双方が出し合つてやると、尤も地方の負担の非常に窮屈な鳥取県とか或いは島根県とか、高知県とかいうような県は、戦前九割というような高い補助率で特例を設けたことはございますが、要するに或る種の若干の負担は地方でも持つということで今日まで来たわけでございます。  従いまして各省がこの恒久制度を検討するに当りましても、どうしてもこれは全部国が持つというのはどうも適当ではないのではないか、やはり或る程度は地方に持たせるがいいではないか。それは余りにこの災害復旧を他に依存し過ぎるという弊風があつてはならない。やはり我がことであるという意味も十分加味したほうがよかろう。併しながら地方財政の実情を無視したものではこれは勿論いかないというところで、いういうと案を立てたわけでございますが、結局でき上りましたものがかような税收入を標準として、貧乏県は余計、裕福県はやや少な目にというように、併しながら最初少くとも三分の二は下らないことにするというような制度が一番いいのではなかろうかということに、いろいろと研究討議した結果落付いたわけでございおして、この原案はかなり長い間もんだわけでございます。実はこのいろいろな案を安本なり大蔵省なり地方財政委員会なり、我々のほうなり、農林省なりに持寄りましたが、然らば実際の府県にこれがどういうことになるかということになりますと、非常に手間取る計算法をいたしまして弾いて見ておよそこの案ならば何%くらいになる。或いはこの案ならばどれくらい減るとか殖えるとか、かなりもみにもんで、相当手間をかけたのでございまして、従つてそれらのためにかなり成案を得ることが遅れましたのは、確かに申訳ございません。わけてもこの北海道の特例を暫定的に認めるかどうか等は、政府部内におきましても必ずしも意見の一致が初めから見られなかつたようなわけもございまして、日時を重ねること相当になりまして、御審議を得る期間が切迫いたしましたことを申訳なく存ずるのでありますが、大体において以上の点を御了承あつて御審議下されば、誠に幸いと存ずる次第であります。
  38. 田中一

    ○田中一君 次官の御説明を聞いてよくわかりました。併し長い間各省とも非常に御苦労なすつてこの法案ができ上つたという御説明を伺つたのですが、我々にも一つ各省が、行政官庁のおのおのが智慧を搾つてでき上つたこの成案に対して、十分慎重審議する時間をお与え願いたいと思うのです。それにつきましては、もう二日しか余すところない会期中にこれを愼重審議し得るかどうか、これは各委員の御意見もあると思いますが、先ずそれを先に御意見を伺つてから審議にかかりたいと、こう考えております。
  39. 岩崎正三郎

    ○岩崎正三郎君 私も大体そういう気持を持つていますが、その前にちよつと伺いたいのは、いろいろ各府県のどれだけ分担するかということを詳細に研究したいというのでありますが、結局この新法で今度地方が負担しなければならないのは、全額負担の場合と比較して、地方が余計に今度負担しますね、それは一体どのくらいになるもくろみでございますか。
  40. 伊藤大三

    政府委員(伊藤大三君) 全国の全部の市町村についてまで検討が今すぐということにはなかなか困難で、今盛んにやつておるのでありまするが、大体府県につきましては二十三、二十四、二十五と平均いたしまして七割五分、大体四分の三程度になるものと思います。従つてそれと全額の点の差がここに出て来るかと存じます。
  41. 岩崎正三郎

    ○岩崎正三郎君 金額にして幾らくらいになりますか。
  42. 伊藤大三

    政府委員(伊藤大三君) 金額にいしまして、これは建設省だけの問題といたしまして計算いたしますると、大体四十六億程度になるかと思いまするが、精細の、数字に若し間違いがあれば又後に訂正させて頂きます。
  43. 東隆

    ○東隆君 この第六條の一箇所工事の費用が十四万円に満たないもの、これは適用除外の分ですね。これは非常に問題があると思うのです。それで非常に大きな村を持つておるところですね。面積が非常に大きいところで、川なんかでも非常に長い川が貫流しているというようなところでは、十五万円以下の箇所がたくさんできて来るわけですね。それでそういう例が昨年の災害なんかにも大分ありますが、これには地方公共団体においてそのトータルが或る程度以上に達した場合には、それに対して何かいい方法がなければ非常にそれを直すのに困難だろうと、いう問題が起きて参ります。同時に小さいときにそれを直して置かないと、次に又大きくなるのですが、それを救済する何か規定がないのですか。規定を作るわけに行かないのですか。
  44. 伊藤大三

    政府委員(伊藤大三君) 適用除外に該当するために災害復旧の補助を受けられない、特に一箇所の十五万円という問題が一番大きな問題かと存ずるのでありますこの問題につきましては、実はいろいろと討議いたしたわけでございます。これを十五万にするか、十万にするか、この問題についてはどこかこれは線を引かなければならない、こういう問題でいろいろ討議いたしましたのでございまするが、国の財政の面からも考えまして、小工事の問題につきましては、これは一つ地方においてできるだけ自費においてやつて頂き、相当災害の大きいものについては重点的に国が力を入れて、そうして災害を成るべく早く解決して行きたい、こういう観点から十五万円に落着いたわけでございます。なお一カ所十五万円と申しましても、その二項におきまして連続しておる場合、これが二十メーターごとに連続しておる、又更にものによりましては二十五メーターを超えた場合においても、連続しておるものはこれを一カ所の工事としてやるというような方法も講じて、できるだけ救えるものは救いたと考えておるのであります。  なおこれに外れるものはどうするかという問題につきましては、県の単独の起債の問題を考えて頂く、今の段階ではその程度しか考えが行つておりませんのでありまして、目下それの救済の方法についてこの法規においては考えておりませんのでございます。
  45. 東隆

    ○東隆君 特別なところをとつて甚だ何ですが、村の大きさが十里ある、縦が十里ある、横が五里あるとか、そんなようなところがたくさんあるわけですね。そういうようなところでは、例えば上流のほうで一つ橋が壊れると、それがすぐ流れて来て次の橋に丁度ぶつかつて、ダムのようになる。そうして又その橋を壊して次に行く。そんなふうに行きまして、九つくらい橋が一遍に同じ村の中で以て皆流れてしまう。そうしてその橋が皆十五万円以下だ、そういうような例が出て来るわけですね。現に昨年の水害なんかにはそういうところがあるわけです。そうするとそれだけ加えてもこれは物凄い金になつてしまう。そうして、そのものがその村ではどうしても直さんければならんところになつて来るわけです。二十五メーターだの二十メーターなんというのは、これはどこか小さいところの考え方であつて、北海道ではその距離なんというのはこれは問題にならんわけです。それを救済する方法があれば、この十五万円の問題は何も問題ではないのです。十五万円以下はいいのですが、併しそれのトータルが幾らくらいに達した以上は助成するとか何とかしなければ、これは同じ財布から出すのですから、これはできんと思う。そういう問題を救済することを考えなければ、これは無理なんじやないか、こう思つておるのですが、この法律にはそれがないのです。それを考えなければ、私はこれは却つて前のものを存続さしてもらつたほうがいいのじやないか、こういう問題が出て来ると思うのです。
  46. 伊藤大三

    政府委員(伊藤大三君) 今の問題につきましては、できるだけそういう問題の解決をこの改正法規で何とか救済して行くという方法をとる以外には、将来の問題として県負担でやられたものについて、平衡交付金の特別交付金というような問題で解決して頂くというより方法はないのじやないかと思つて、実はそういうような特別の何も書いてはというような意見もありましたけれども、全体的の考えからいたしまして、特例を特にそういう問題に設けるということについてはどうかということになりまして、実は一般的に規定いたしまして、そういう点に抜けておるのがあるかとも存じますが、将来の問題として若し考えるとすれば……。現在といたしましては、この法規としてその救済の方法が考えられないのは遺憾でありますが、一つ御了承願いたいと存じます。
  47. 岩崎正三郎

    ○岩崎正三郎君 どうも今の御答弁も誠に面白くない答弁ですけれども、(笑声)それはそれといたしまして、もう一つ伺いたい点は、六條の「甚しく維持管理の義務を怠つたことに基因して生じたもの」はやはり除外するというわけでございますな。一体それはどこでそういうふうに認定するのですか。甚だしく維持管理の義務を怠つたということは誰がどこで……。
  48. 伊藤大三

    政府委員(伊藤大三君) 元来府県市町村等の公共団体が管理し、又はその機関が管理しておるのでありますから、普通でありますれば、この維持管理というようなことも当然して頂くべきであり、なお工事をせられた場合におきましても、設計等につきましても、工事の施行についても十全の注意を払つて頂くのが、これは管理者として当然のことと存ずるのであります。併しながら普通のものとしての注意を払つて、なおそこにいろいろの不備もあることもございましよう。この場合におきましては、そういう場合を取上げたのではなくて、特に明らかに誰が見ましても、管理者として不都合ではないか、もう少ししつかりしたならばいいのじやないかということが当然はつきりしておつて、普通一般の人が考えても非難すべきような、そういう義務を怠つた、設計や工事の施行に注意が非常に欠けておつたというようなことがあつた場合を適用除外に入れたわけでございます。これは何人が見ましても、普通常識で見て不当ということの明らかな場合を除こう、こういう場合でございます。
  49. 岩崎正三郎

    ○岩崎正三郎君 まああつてもなくてもよいわけですな。(笑声)これは誰が見てもというのであれば……、いろいろそういうことを実はこう見て来るというと、我々もつと研究しなければならことが随分あるようなのでございますが、どうも今日一日、すぐに持つて来られていろいろ説明せられても誠に困るので、今のようにちよつと気付いたところが……、見ていてもなかなか大変でございますが、委員長はこれを逐條におやりになる気はないのですか。
  50. 小林英三

    委員長小林英三君) これが散会しましたら理事会を開きまして、そうして明日午前からこれをやることにしたいと思つておりますから、明後日一ぱいと仮にいたしましても、努力して頂きたという考え委員長はおるのでございます。
  51. 小川久義

    ○小川久義君 さつき東さんの言われた一カ所十五万以内というものはオミツトされる、これは一箇所の解釈をもつと広義にできんかね。東さんの言われたように川が一本流れておる、三里か二里か知らんが流れておつた。そこでその間が一つの町村である。そうしてそこに一カ所ということはその川に対しての一カ所、普通広義な解釈なら三カ所切れて、十万円と五万円二つなら二十万円になる、そうすれば補助の対象になる。そういう解釈はできんかね。一カ所ということは、ここの二十メーター切れた、これだけを一ケ所とするか、僕は広義の解釈で行けばその川、町村なら町村に跨つておる場合、数カ数あろうと十カ所あろうと、その川一本に対しての復旧なら、これは一カ所と見ていいんじやないかと思うだが、次長の話では、それは一カ所じやないという解釈なんですが、その点は如何ですか。
  52. 中田政美

    説明員中田政美君) 一箇所という言葉は、誠に幅のある言葉でありまして、一河川は全部一カ所というわけにも行きません。これは常識が許しません。又それではもう少しすぼめて一部落、或いは一村くらいを一カ所にしたらどうかということも、私はそれでも断定的には、少し無理ではないかと思いますが、いわゆる物理的に連絡しておらなければ、ちよつと離れておつても一カ所にならんかといいますと、決してそうじやないのでありまして又従来の査定官の常識も、さような四角四面の窮屈な解釈はいたしておりません。従つてこれは精神的に十五万円の制限を作つた趣意を十分尊重いたしまして、一箇所を適当に解釈して行くようにいたしたい、こう考えております。
  53. 小川久義

    ○小川久義君 次長の答弁と次官の答弁と違うじやありませんか。(笑声)それはまあ次官の解釈で推し進めて見てもらうということにぜひ解釈をし直してもらいたいと思いますが、そこでさつき次長の話では、四十五億ほどの金が地方負担になる。その数字は違つてつても、一つの例として申上げますと、四十五億地方負担になるが、一方その地方が負担した金は他の恒久施設に必ず向うか向わんかということですね。復旧のほうに負担さして置いて、こつちは地方から取つたほうでよしと……、その見返しで今度は普通の恒久施設に廻つて行かんと、取られつ放しのようになつてしまう。そうなつてしまうと、特例法を一年延ばす延ばすという考えかたが出て来るので、災害ばかり守るわけに行かん、恒久施設もやらなければならん。ですからその点は十分勘案してもらいたい。
  54. 中田政美

    説明員中田政美君) 小川委員の御質問の点はかように了解しておるわけですが、地方に負担させる結果、国の予算は特に災害のほうが減りはせんか、それだけは恒久改良事業のほうに廻したらどうか、そうでないと詰まらんじやないか、こういうことに了解いたしましたのですが、実はこういう結果になろうかと存じます。即ち災害復旧の国の予算は、すでに御審議、御可決を願いました予算によつて金額は決定いたしております。従いましてこの金額をまるまる国庫負担で実施いたしますれば、工事の量は、今ここに御審議を願つておる法律が出た場合とは事業の量が減るわけでございます。でこの法律を御審議願つて、これが御可決願えるといたしますれば、地方負担は幾らになりますか、それだけは仕事の量が延びて行く、こういう結果になるわけでございます。
  55. 小川久義

    ○小川久義君 どうも法律のない先に予算が出てしまつたというのは、これは逆で、現存する法律を対象に予算を作るのが当然の行き方でなければならん。法律も出さん先に向う様からお許しもない先にこれを目あてに予算を作つたというのは根本の誤まりですが、但し現在の日本の実情から止むを得んとも思いますので、折角通すなら早く通してと考えるのですが、委員長は理事会を開いて理事会でという話ですが、ここで全員お集まりのところで懇談会に切換えてもらつて、もつと政府当局も打割つた気持を披瀝してもらい、懇談会において妥協点を見出だして行くとすれば、旧法より多少いいことはわかつておるのですから、そういう形で進めて頂いたらと思うのです。
  56. 小林英三

    委員長小林英三君) どうですか。
  57. 東隆

    ○東隆君 もう一つ……さつきの問題に喰い下がるようですけれども……。
  58. 小林英三

    委員長小林英三君) いや、明日も委員会を開きまして幾らでも御審議願いたいと思うのですが……、それではどうぞ。
  59. 東隆

    ○東隆君 今の一箇所の問題なんですが、これは現実に昨年ぶつかつた例ですが、国の分とそれから道の分と村の分が、これは災害関係とほぼ同じくらいで、三分の一ぐらいになつているのです。昨年の例は、七月の終りにぶつかつた災害はそれで、村の分というのは十五万円以下のものが結局全体の三分の一と、こういう数字が北海道の災害の報告には出ておるはずです。それで非常に大きい枠になるのです。村にしますと、昨年のところはそう大きい村ではありませんけれども、十平方里ぐらいはあるでしよう。それで大きい村は九十平方里というのがあるのですから、これはもう一県ぐらいの大きさのところがあるのですから、小さいものも馬鹿にならないで、そういう問題があるので、そいつに対する何らかの救済方法を考えて置いて頂かなければ、非常に将来においてもむずかしい問題が起きて来る。こう考えますし、それからこの問題は府県のほうにおいてもできるだけ未然に、小さなうちに直して行くと、こういうことが国費を将来においてたくさん使わないということになるのですから、この救済方法をやはり相当考えて行かなければならん、こう私は考えるのですが、これは昨年赤木君と長野県のほうを見せて頂いて、そうしてその感じをつくづく起したわけです。全体としての全額を助成する必要はないけれども、十五万円のところを十分考えて、全額助成でなくても、相当大きく仕事がやれるような形をとるほうがいいのではないか、こういう考えかたに到達しておつたわけです。それであえてこいつに喰い下がるわけですけれども……。
  60. 中田政美

    説明員中田政美君) 御尤もな御質問なんですが、実は内輪を申しますと、この案を漸くここで食いとめた実情なんでございまして、ここにも案の小澤局長がおられますが、安本大蔵省は三十万円ぐらいにせよと、こう言うのです。そこで地方財政委員会と建設省は、それは実情に合わない、さようなことをして小さいのを見逃す、それがだんだん緒になつて切れ口が大きくなる。だかな小さいときに疵は直してしまうようにそういう意味で大きくなつてからやることはどうしてもいけないというので、漸く防戦これ努めた結果、前年度、これまで通りここで十万円にしようという実はわけもございまして、御趣意の点は我々も同感な点もございます。ただ余り細かいやつを取りますと、小修繕に属するようなものもまあ入つて来る。そうすると普段修理をやらせる趣意からすると、災害に名をかりて皆災害のときに帳面をつけるということになると、どうしても濫に流れる結果になりはしないかというところ、あれこれ考えまして、それじやどうしても前年通りぐらいで一つ勘弁しろというので、漸くここに落ちつけたわけでございまして、一カ所という意味の取りかたにつきましては、濫に流れんように、安本監督なさるほうで、我々は実施するほうでございますが、我々実施するほうは常識で許す程度において、河川の本来の目的を達するように復旧費を使わして頂きたいと、こう考えております。
  61. 東隆

    ○東隆君 その一カ所は一つ相当広義に解釈ができるようにお考え願いたいということと、それからもう一つは、今の第六條の五号ですね、「甚しく維持管理の義務を怠つたことに基因して生じたものと認められる災害に係るもの」、これは一号に非常に関連があると考えますので、それと併せて、その條件だろうと思うのです、この五号は。それで広義に一つ解釈ができるようにやつて頂きたいと思います。
  62. 赤木正雄

    赤木正雄君 まだ十分検討していませんから、気の付いたことを二、三御質問いたします。私は年来維持修繕に対して国が補助すべきだ、維持修繕に対して国が補助しておるなら、災害のまあ少なくとも半分ぐらいはなくなる。併しその総持修繕は県の責任である。それに対する維持修繕は県の責任であるから何も国は補助していないのだ。又そういう観点からして実際問題はこれは御承知通りに、維持修繕は県の責任であるからして、これは国費を出すのは御免こうむる、それで小さいときにこれを放置して、これが大きな災害になるというと、今度はいわゆる災害の対象物として国庫の補助になるんだ、これが今までの実情です。そういう観点からして、真に政府は災害というものはなくしようという御気分なら、維持修繕に補助をなさい。維持修繕に補助をして、成るべく少額の費用でそれが持つときにこれを完全にして置くならば、水害はない。基盤が一坪破壊しておる、そのときには僅か千円ぐらいで仕事ができる。その千円の仕事の維持修繕はこれは各府県とも金が少いから放置しておる。その維持修繕は府県の責任でありますが、やはり財政の関係でそれを放置しておる。そうしてそれが今度の出水で破堤になる、要するに堤防が切れてしまう。そうすると国の災害の対象になつて、これは国庫の補助が出る。殊に昨年のごとき、本年度のごとき全額国庫補助となると、ますますそれをば要望して全部国の補助になつてしまう。それで言い換えるならば、今日の災害の一部は、そういう法律の欠陥による人為的災害災害と申しますが、それに基いて来たものがたくさんある。そういう観点からして安本はどういうお考えか存じませんが、これは国全体の考えからして維持修繕に対し補助すべきである。どうしても維持修繕に対して補助をして、そうして災害が起らないようにして行く、これが私は一番いいのだということを長年主張していたのですが、それに対して多少でもこの案をお作りになるときに何らか御検討なすつたのでしようか。
  63. 伊藤大三

    政府委員(伊藤大三君) 災害は非常に小さいときに防除すれば大きくならずに、却つて経費が少なくなる。仰せ御尤もでありまして、実は建設省といたしましても、この小破のうちに何とかしたいということで実は防災費、普通防災費とこういつておりますが、災害防除費又は河川維持の補助という名目でここ数年間毎年この経費を出しまして、維持的な部分又は改良的な部分を助成いたしまして、災害を防ぐように実は努力して参つておるのであります。ただ金の面におきまして甚だ少いのは遺憾ではございまするが、将来におきましては、なお安本その他にも十分に了解して頂きまして、この面の経費について御同情ある取扱をして頂きたいと思つております。
  64. 赤木正雄

    赤木正雄君 防災費という名目で維持修繕に当る、そういう半端な名前を使わずに維持修繕に対して当局が補助するのだ、そういうふうにすつきりしたら、これは府県も迷わないし、実際防災費で維持修繕をやるということを私聞きまして、今次長の御答弁のように、防災費が果して維持修繕に使われておるということも非常に疑問と思います。事実そういうふうに使われておるものは先ず少い。防災費は防災費らしいものに使おうとしておる県の要望でございます。従つて今、一つの護岸を破壊している、これを維持修繕すればいい、私は大きなものでなくて、そういう小さなものに維持修繕をする場合に国の補助を出す。それをこの法律を審議なさるときに少しでも御検討なさつたでしようか。
  65. 伊藤大三

    政府委員(伊藤大三君) 只今お話のございました防災費という費目で出すのも実は腹案もありました、そういうお話もございました。実は災害防除費という費目の内容がはつきりしないという点はございまするが、災害防除費の中の若干につきましては、そういう維持的な問題につきまして実は取扱つておるのでございます。なおこの法案を考えるに当りましてもどうかというお話もございました。実はこの法案の審議と併行いたしまして災害防除費、災害防災対策費というようなものについても相当の経費の要求は進めて参つたのでございまして、決してなおざりにいたしたというわけではございませんので、ただ金額きおきまして、甚だ改良費と比べて少ないという点につきましては、我々としてはなお遺憾な点がございまするが、この点につきましては将来において十分に考えて参りたいと存じております。
  66. 赤木正雄

    赤木正雄君 では今後は防災費は維持修繕にお使いになさる、こういうように考えて差支えありませんか。(笑声)
  67. 伊藤大三

    政府委員(伊藤大三君) 防災費の内容が実は先ほど申上げましたように、いろいろの問題が入つておりまするので、そのうちの若干をこれに向けられた、こういう意味でありまして、決して今後におきまして費目をどういうことに将来改めるか、これはわかりませんが、維持修繕費というものと、それから局所改良というものを分けることにしますれば、その点ははつきりいたします。併しこれを二つ一緒にいたすとすれば、これは両方狙つたものだ、こうお考え願いたいと存じます。
  68. 赤木正雄

    赤木正雄君 非常にうまい御答弁のように聞こえますが、(笑声)そういう御答弁でなしに、我々は防災というのは、それによつて府県の一坪の護岸でも維持修繕に使えるのだと、こういうふうに地方に参つたときに申しても差支えありませんか。(笑声)
  69. 中田政美

    説明員中田政美君) 誠に率直な御質問で、よく趣意はわかつておりますが、防災予算として付けたものについては、或る程度個所その他についても紐が付いております。従つてどこでも、一坪の護岸でも自由自在に修繕費としてばら撒けばよろしいかというと、必ずしもそうではございません。併しながら防災予算を付ける趣意は、できるだけ小さい間に傷口を塞ごうという趣意のいわゆる維持修繕を成るべく全うしたいという趣意で予算を配付するようにいたしております。それから維持修繕費というものを堂々と予算に計上して、例えば道路には御承知通り修繕に三分の一の補助をやる制度がございます。これに国会の議決を経まして、両二、三年このかたつてつておるわけでございますが、これにも私は非常にいい面があると思います。ただいい面があると同時に多少の副作用が現われて参つております。というのは、補助をやらなければ全然予算に計上しないという副作用です。これは要するに補助というものの効用に対する一つの悪副作用でございまして、地方財政逼迫の今日におきましては、曲りなりにも道路の修繕費を出しておつたものが、今度は補助予算を付けないと、今度は全然出さなくなるということは、これは決して望むべきことじやございません。併しながら御趣意の点は、私は確かに非常なポイントであると思いますので、折角、只今御趣意の点は実現に、又その副作用のないようなことを研究をさせて頂く余裕を与えて下さるようにお願いいたします。方法如何ということを……。
  70. 赤木正雄

    赤木正雄君 誠に立派な御答弁で、(笑声)恐縮でございますが、成ほど副作用はありましよう、ありましようが、私どもの主眼は、災害は成べく少くしたいのだ。帰着するところはそれなんです。災害を多くならんようにしたい。それには今申す維持修繕に対して国は補助をする、これに帰るというふうな事実をたくさん持つております。そうして今又次官の言われた通りに、これに対してはいろいろ弊害がある、これも私はあると思います。併し又この弊害と、それをやらないために大きな災害が起つて、而も地方財政が逼迫する関係上、維持修繕もできん相当の大災害があつて金を流してしまう、いわゆる何億という金を水に流してしまう、これは事実なんです。その観点から申しますと、維持修繕費はどうしても防災費というような変な名前を付けずに、維持修繕として相当の補助をするのだ、これは初めからして検査を十分にして行けば、果して維持修繕をしたかどうかということはわかりますから、これは検査の方法でどうにもなると思います。そこまで行けば維持修繕の効果もありますからして、本当は維持修繕に対して先の防災費というような何だかぬえ的の名前を使わずに、はつきりこうした維持修繕にも費用を出すというふうなところまで真に研究きれないのか。この法案を成立されるについて、或いはそこまでは技術の問題としてそこは研究されなかつたのか、私はこれは長年維持修繕に対しては補助しない、災害は殖えるばかりだという事実に対して、もう少し御当局の今までの考えをすつきりしてもらいたい。
  71. 伊藤大三

    政府委員(伊藤大三君) まあ率直なお話も、私のほうからも申上げるわけでございますが、実は討持修繕の費用の問題につきましては、河川局といたしましては、従来からこの点については災害防止という観点から、この要求は進めておつたものでございます。併し前から維持修繕というものに対する補助というものがなかなか困難であるというので、困難でありまして、その経費が認められて来なかつたのでございまして、その裏くぐりという意味ではございませんが、単なるそれ相当な維持的なものより若干大きいかも知れませんが、局処的には損傷が起つたところを未然に防止して、そうしてこの災害を防いで行くという、小さい金で相当効果を挙げて行くという意味で防災費というような名で分けたわけでございます。昨年度の予算におきましては、この維持修繕という言葉が実は予算面にも現われ、これは内容的には防災と同じような扱い方をしたわけでございます。名は何といたしましても、実際におきましては赤木さんのおつしやいましたように、一坪のかけらのようなところの工事にはなかなか手が向かず、それよりは相当大きいところを現実にはやつておるわけでございます。なお実は平衡交付金などにおきまして、国からは、軽度の維持修繕の問題につきにましては、これは決して壊れた個処をどうという具体的な金ば取れませんけれども、或る程度河川の延長というようなものを基準にして、軽度の交付金は出されて、維持修繕に対する国としての関心を示されておるわけであります。勿論この平衡交付金に我々が頼ると、こういう意味ではございません。将来の問題といたしましては十分その点については考えて参りたいと、こう存じます。併しこれを作るときにそれと併行に維持のほうを取るまでにお前は力が足らなかつたとおつしやれば、これは兜を脱ぐというより仕方がないと、こう存じております。
  72. 小川久義

    ○小川久義君 どうも建設省とすれば、少しでも余計出したいという肚のように受取れますが、明日法案の審議に入ると共に大蔵大臣一つ御出席を願つて、足らんところを出すのが大蔵省だと思いますので、この所信を一つつて、それからこの審議に入つたらと思うのですが、お諮り願います。
  73. 小林英三

    委員長小林英三君) 今小川委員からのお話がありましたからちよつと懇談会に移りたいと思います。ちよつと速記をとめて。    〔速記中止
  74. 小林英三

    委員長小林英三君) 速記を始めて下さい。それでは明日十時から、今月中に是非通して頂くように御勉強して頂くことにして、本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十九分散会  出席者は左の通り。    委員長     小林 英三君    理事            岩崎正三郎君            赤木 正雄君            小川 久義君    委員            平井 太郎君            深水 六郎君            門田 定藏君            田中  一君            徳川 宗敬君            東   隆君   委員外議員    兼岩 傳一君   国務大臣    建 設 大 臣 増田甲子七君   政府委員    労働省労働基準    局長      中西  實君    建設省大臣官房    会計課長    植田 俊雄君    建設省河川局次    長       伊藤 大三君    経済安定本部建    設交通局長   小沢久太郎君   説明員    建設事務次官  中田 政美君