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1951-05-18 第10回国会 参議院 建設・内閣・地方行政・経済安定連合委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年五月十八日(金曜日)    午後一時四十九分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○利根川開発法案石川榮一君外百十  二名発議)   —————————————
  2. 小林英三

    委員長小林英三君) 只今から利根川開発法案につきまして、建設委員会内閣委員会地方行政委員会並びに経済安定委員会連合委員会を開会いたします。先ず河井君から大蔵大臣に対しまして質問通告がございましたから発言を許します。
  3. 河井彌八

    河井彌八君 すでに前回におきまして、利根川総合開発法につきまして、その法律としてのあり方、即ち国土総合開発法との関係につきまして発議者の親切な御説明も承わりましたし、又内閣委員としての立場を率直に申上げて置いたのであります。その問題は私どもといたしましては、発議者の御意見に必ずしも従うことはできないというような考えを持つておりまするが、併し一番大切なことは、この法律が成立しましてもしませんにいたしましても、どちらにいたしましても、この関東の大荒廃を速かに建直さなければならんという、この事実は残るのであります。而うして、そのためには何が一番大切かと申しますれば、結局国の費用をどういうようにして、これに充てるかという問題であります。地方費用関係もあります。起債をどうするかということもありますが、私は主として公共事業費をどういうふうに割当てるかということを財政の当局である大藏大臣に伺いたいのであります。この案の計画書によりますると、大体十年間で以て治山事業として五百三十五億円、治水事業として一千九十六億円、利水事業として八百十九億円、計二千四百五十億円が要るというのであります。尤もその経理の方法によりましては、その内容ははつきり私にはわかりませんけれども、併し千九百億円はどうしても要るということになつておるのであります。それは昭和二十八年度の予算から組入れて支出しよう、こういう計画になつておるのであります。大蔵大臣はこの計画について御承知であるかないかは存じませんが、少くともこういう大きな問題が出て参りました以上は、これに対して或る程度の御検討を加えておられると思うのであります。私の考えまするのには、結局この費用が適当に割当られなければこの仕事法律がどういうふうに通りましても、実行は不可能に陥るであろうということを恐れる。そうして根本的にこの治水、大きな広い意味においての治水が完成でき得ないということを恐れるのであります。そこで公共事業費のことに入りますが、大体例年の公共事業費等につきまして、私は何も申す必要はありませんが、昭和二十六年度の公共事業費として一千百億円以上、百五億余が見積られておるのであります。そうしてそれが一般事業費と、それからそのほかに特に注意すべきことは、北海道総合開発事業に分けておりますが、北海道のほうは、たしか七十何億と記憶いたします。そこで今度この法律案通りますれば、もう一つ利根川総合開発庁費用として、昭和二十八年度には八十億円が要求せられるということになつておるのであります。最近はこういう公共事業に対しまして、継続費というものは認められておらない。おらないのでありまするが、併しとにかく事業は十年間一貫して遂行されねばならんということになるのでありまするから、初年度の予算が仮に八十億といたしましても、それから次々に相当に膨れて参ることは明瞭であります。こういうことに対しまして、大蔵大臣は政府としてどういう財政計画をお持ちになつておられるか、その構想をあらかじめここで承わつて置きたいのであります。
  4. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) お答え申上げます。利根川総合開発法案につきましては、二つの問題があると思います。第一の問題は利根川のみに限らず、こういう大きい河川につきまして個々に開発計画を立て、法案を出すことがいいか悪いかという問題であると思います。若し仮に利根川総合開発法案という考え方で行くとすれば、日本の今の直轄河川は殆んど北上川総合開発法案とか、何々川というものがどんどんできて来て、出先官庁相当殖えるということを考えなければなりません。最近の例に見ますがごとき何々都市建設法案とかいろいろなものが出ておるような状況でございます。こういう点から一つ検討を加えて見なければならんと思います。次に仮に又そういう法案通りました場合におきましてその計画通り、その計画に大体マッチするように日本財政経済が許すかどうかという問題が第二点でございます。お話通り治山計画治水計画利水計画で二千四百億円が十年間に計上されておるようでありますが、利根川ばかりではございません。他に相当河川も総合的に考えなければならん問題があるのであります。こうして考えますると、率直に申上げますると、私はなかなか予算上、財政上困難な問題ではないかと思う。勿論国を治めるためには山を治め、そうしてその災害をできるだけ少いようにしなければならんことは、予算編成の最大重要問題でございまするが、特に特定の河川を拾い上げまして、そうして十カ年の計画で二千数百億円ということは、大蔵大臣としてはなかなか承服しがたいと思うのであります。而して将来の財政計画をどうするかという問題でございまするが、何分にも経済は漸く安定の度を加えつつあるとは申しまするものの、敗戦後の日本経済をどういうふうに持つて行くか、今後数年間どうなるかということにつきましては、條約の問題、或いは戦後におきまする戦争の後仕末もまだ十分できていないという状態でございまするので、かくITOを基準といたしました財政計画というものは遺憾ながらなかなかできないのであります。私はただ大きい見通しといたしましては、大体今まで通り均衡予算でやつて行きたい、できるだけ経済力を強めてそうして徐々に……。まあできるだけ早いことに越したことはございませんが、ステップ・バイ・ステップ日本の再建を図つて行こう、こういうことをお答えするよりほかに材料を持合せておりません。
  5. 河井彌八

    河井彌八君 大蔵大臣の御説明は大体私が想像しておつたような御説明でありました。第一点につきましては、実は私は申述べなかつたんでありますが、すでに最初の質問におきまして自分はそういう心配があるということを申述べたのであります。従つて先の第一点のごとくにいろいろな河川総合開発計画を立てて、そうしてそれに皆それぞれ開発庁を作るというようなことが起つたならば、結局は実行はできなくなつて、そして元へ戻つて総合開発法の適正なる運用に待つほかないであろうということまで申したのであります。これをこの財源の立場から見ますると、やはり同様なことになるのではないかと考えます。而して今お話のように、財政甚だ豊ならず、そして苦しいときにとにかく一千百億円にも及ぶこの公共事業費を作られたということには、よほどのお骨折りがあつたと思います。そこでどうしてもこれに対して或る程度相当な額の増加ということが見極められなければ、この大切な仕事でありましても、この運命は甚だ怪しいということになるのです。もう一方別に考えますると、起債ということもあります。併しこれにつきましては、私はこれも又限度があることであると思いますが、この点につきましては私は意見を差控えて置きます。そこで今の結論を伺いますと、先ず見通しはつかない。私どもはそれでありますにもかかわらず、実際この公共事業費支出の中で、特に治山治水に関する、本当に国家国土を根本的に建て直す、すべてのもののかかつておる一番大切な事業、こういうものにつきましては私どもはもつともつと公共事業費を増すことができれば、その増しただけ、或いは現在の公共事業費におきましても、若しゆとりがつくならば、そのゆとりのできた分を全部これへ注ぎ込むくらいな熱意を持つて、その一番初めにしなければならんところのこの根本的の仕事にこの力を盡して頂きたいということを考えるものであります最近におきましては河川費用、或いは砂防事業或いは農業又山林というようなことにつきましては、だんだん経費もたくさん支出せられるような傾向になつて来ております。これは誠に幸せなことであると考えまするけれども、併し国土の荒れておる今日の現状から見ますると、これらの費用はもつともつと思い切つて増加しなければ、年々こうむるところの災害というものの莫大なことを考えまして、又それが今後の日本経済の立ち直りを妨害することを考えましても、これこそ一番力を入れて予算を増して頂かなければならんことであると考えるのであります。特に造林をなすこと、砂防をやることというようなことは随分遅れております。林業関係について申しましても、日本林業は本当に危いという、もう警戒線を突破した危険状態に立つておるのでありまするが、これらに対しましては、公共事業費は勿論でありますが、他の方法を以ても十分に経営ができるように骨折つて頂きたい。砂防のごときも又そうである。三十三億くらいにやつとなつたのでありますが、過去を見れば実にひどいのであります。併し砂防をやらなければならぬ所は非常に多い。そういうことを考えまして、どうぞそういう点に、本当に力を注いで頂きたいと考えるのであります。そういうことによつて、とにかく予算がたくさんできるのでなければ、こういうつまり法律案がいくらでも発案されざるを得ないということになるであろうと思うのであります。それは私ども法律の建前からいうて見て感心しない点があるのでありますが、何とかしてこの経費をとにかく相当に、できるだけ潤沢にこれに支出するということを過去の実際のお取扱いに対しまして、甚だ不満と考えまするから、こういうことを強く要望して置く次第であります。
  6. 小林英三

    委員長小林英三君) なお地方行政委員長岡本君から質問通告がございます。自治庁長官に対して質問通告がございます。発言を許します。
  7. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 先ず大蔵大臣質問いたしたいと思います。内閣委員長から御質問がありまして、御答弁になりましたので、大蔵大臣の、この法案に対する御意向というものは大体わかりましたが、内閣委員長が残された起債の枠の問題について念を押して置きたいと思います。この法案によりますと、この事業をやりますにつきまして、地方公共団体負担関係は、当該法律によつて負担を命ぜられておる通りに大体なるということであります。つまり国費で三分の二を持ち、地方公共団体で三分の一を持つものもありますれば、半分々々国と地方公共団体が持たなければならぬというものもできて参ります。そういたしますると、関係府県の持たなければならない公共事業費が大分出て参るわけであります。これは今の関係府県の貧弱な財政状態におきましては、起債によるよりほかにないだろうと思います。起債の枠の問題については大蔵大臣が随分努力をなさつていらつしやることは承知いたしております。占領下にありまして、起債の枠が嚴格にきめられ、守られなければならないという現状でありますが、この事業は二十八年度から始めようというのですから、講和ができ上つて日本自主性を取り戻してからの問題であります。現大蔵大臣はそれまでおられるかどうかそれはわかりませんが、併し現在の大蔵大臣のお考えとして御意見を承わつて置きたいと思うのであります。そういう自主性を取り戻した後におきまして、この大計画のため、又この計画のみならず北上川とか続々もう後続部隊が控えております。そういうもののために、ほかの地方公共団体起債の枠を破らないで、特にこれだけにそういう起債優先権が認められるか。つまりこういう事業起債を優先的に與えることによつて、他の公共団体起債が非常に阻害されはしないか、この点は大蔵大臣の御意見を承わつて置きたいと思うのであります。
  8. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) これ又問題が二つあると思いますが、利根川総合開発法案通りまして、又予算もでき上つたと万が一いたしました場合において、利根川沿岸府県が将来十年間で七百億円くらいの起債を行うと聞いておりますが、その起債能力があるかという問題でございます。御承知通り群馬等利根川沿岸府県は、今までかなり負債が多いのでありますが、災害復旧費群馬県におきましては通常の租税収入の倍を費つておる、こういう状況になつておる。この群馬県が将来それだけの負担能力ありやなしやという問題は私も相当問題だと思います。十年先、二十八年から将来十年のことでございますから、はつきりは申上げられませんが、現状からして三分の一の負担能力があるかということは、相当私は問題があると思います。第二の御質問地方債の粋ということは、これは全体の日本経済金融状況から考えているのであります。何も予算自主性が認められたからといつて、そうむやみに、借金をして地方公共団体として仕事をするということは、それはインフレの要因になるのであります。やはり経済の事情を見ながら借金もほどほどにしなければなりません。而して利根川開発法案が通過いたしまして、日本財政経済金融状況如何にかかわらず特別に優先的に起債を認めるということはこれはいかんと思います。やはり利根川に金を使うことによりましても、集める物資は全国から集める。利根川開発によりまして発行いたしました社債の通貨は全国に廻るので謝ります。これは利根川開発起債は別に取扱うということでなしに、日本財政金融上から総合的に結論を加えなければならない問題だと考えておるのであります。
  9. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 只今大蔵大臣お答えは、内閣委員長のまねをするようでありますが、これも私の予期しておつた答弁であります。次に地方自治庁長官岡野国務大臣質問をいたしたいと存じます。先ず第一点は地方行政地方財政立場から、この法案に対して地方自治庁長官としてどういう御意見を持つておられるか、それをお尋ねいたしたいのであります。それで抽象的になりますから、それを伺う一、二の例として御質問申上げて置きますが、この法律によりますと治水治山、そういう見地からこの総合開発法案を作ろうという一つ目的、そのほかにいろいろの開発事業をやろうという目的があります。その治山治水の問題は非常に公共の福祉に関係がありますから、これは国家干渉といつては何でありますが、世話を燒過ぎてもいいかも知れません。併しそのほかの開発事業におきまして各府県地方公共団体たる自主性をあんまりこれで阻害しては困る、こういうふうに私ども考えておるのであります。殊にこの二十三條によりますと、法律の定めるところによつて特別の法人を設立いたしまして、そうして開発とか何とかそういう事業を実施させようというような計画もあります。これが地方自治とどういうふうな関係を持つておるか、その点が一つであります。それからもう一つは、この三十二條に「国は、開発計画に基く事業を実施するため必要があると認めるときは、他の法令の規定にかかわらず、政令の定める基準により、地方公共団体負担すべき費用の割合を軽減することができる。」という重要な規定があります。これはその他の地方公共団体との関係におきまして非常な不公平になりはしないか、その点をどうお考えになるか。それからまだ問題があります。憲法規定にこれはどういう関係を持つておるか、それは御承知でありましようが、憲法條章に、九十五條に、「一の地方公共団体のみに適用される特別法は、法律の定めるところにより、その地方公共団体の住民の投票においてその過半数の同意を得なければ、国会は、これを制定することができない。」という規定があります。そこでこの「一の」ということは一つの県、一つの都ということでないのが学者通説であります。つまり特別の地方公共団体のみに、一つ地方に適用されるのもこれは包含するというのであります。これは私の説でなくして、憲法学者通説であります。ところがこの法律はそういうふうにしてない。これは数府県関係するから一つ地方公共団体でない、こういう見地から出ておるかどうか知りませんけれども、その点をどうお考えになるか。いろいろこの問題がこの法律にあります地方行政地方財政に関してそういうことについて御意見を承わりたいと思います。
  10. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。第一点の治山治水なんかよろしいが、ほかのいろいろ地方自治団体自主性を以てやるべき仕事に入り込んで、自治の精神に違反するようなことになりはしないかという御質問のようでありますが、私は只今出ております法案を読んだだけでは地方自治団体自主性を傷つけるというようなふうには受取つておりません。無論これから特別法人というものができましてそうしてこれの実施に当るということになるそうでありますが、併しその特別法人法案というものが出ておりませんから、具体的にどういう結果になるかわかりませんので、結論を申上げるわけには参りません。併し要するにこの特別法人法案というものが出ました場合には、相当そういうような御懸念の点を我々も検討しなければなりませんし、皆様がたにも検討して頂かなければならない、こう考えております。併しながら概括的に申しますならば、国土総合開発法というものがありまして、そうして国土総合審議会とか都道府県総合開発審議会とか、もう一つ何か地方総合開発審議会とかいうものがありますものですから、そういうふうな審議会との関係をどう調節して行くのか、これも又この法案の上から見ますというと余りはつきりいたしておりません。ただ自治庁長官といたしまして、地方行政立場から考えまするならば、余り多くの同じようなものがあちらにもこちらにもできるということは、私は好ましくないのではないか。そう考えますので、大体におきまして御趣旨は非常に御尤もで、この荒れ果てたところの日本開発して行きますにつきましては、いろいろお考えがあり、同時に又いろいろあちらにもこちらにも要求や又希望がありまして、それを実現して行かれることについては望ましいことではありますけれども、先ほど大蔵大臣からも御答弁申上げましたように、何と申しましてもやはり中央財政のほうから相当な金が出なければならんということになります。そういたしますというと、その中央財政立場から、これがたとえできましても十分運行ができない、併しながらこの法律に書いてありますところによりまして、地方公共団体はいろいろ資料も提供しなければならんし、何か勧告も受けなければならんということになりますから、その辺をよく御考慮下さらなければならんとこう思います。それから第二点の問題でありますが、これは法人法案というものをお作りになるときには、相当自治庁といたしましても意見がございますし、それから同時に皆様がたでもよく御研究を願いたいと存じます。それから地方負担軽減とか、又補助金を増加するとかいうようなことが二十三條に書いてございますが、併しこれは私の立場、即ち單に地方財政の点から申しますれば非常に結構なところでございまして、このほかの方面補助金が減らないし、又同時にほかの方面負担が殖えない。そしてこの開発法によりましてできた事業に対して負担軽減ができ、同時に補助金が増し得るということになれば、これは誠に地方財政といたしましては喜ばしいことでありますが、これにもやはり中央財政の制約がございますから、果してその希望通り行くか行かんかということにも私は疑問を持つております。それから憲法九十五條の問題でございますが、これは私は多少議論の余地がある、こう存じております。でございますからこの点はなお検討を要するのではないかと私は考えております。
  11. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 負担軽減はそれは結構だ、こういう御答弁ですが、私の言うのはそうでなくて、この地方だけに負担軽減して、他の府県との均衡考えないでいいかという問題であります。それが一つ。もう一つは小さい問題ですが、関係地方公共団体は單に意見を申出ることになつております。もつとこういう大事な事業について計画の立案当初から資料の提供やら調査報告やら、いろいろの協力をさせる必要があるのじやないか、こういうふうに感ずるのですが、そういう点について御答弁を願いたいと思います。
  12. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。負担軽減などにつきましては、先ほども申上げましたように、ほかの方面を減らしてただ利根川方面開発だけに金を注ぎ込んで行くということは、先ほど私が申上げましたようにほかの方面が減らないでこの方面だけ殖えるということなら至極結構であります。併しながらほかの方面を減らしてこの方面だけにするということは、これは国土総合開発審議会あたり相当問題にもなり、又問題にもしなければならないと思いますから、ほかの方面負担軽減補助金を減らしてそうしてこの方面にやるということには私は賛成いたしかねるわけであります。又そうなるべきものじやないと思います。それからその次には報告でございますが、これはその地方開発を十分やつて頂くのでございますから、公共団体としても非常に便益を受けると思いますから、それくらいの報告は無論やらす、できるだけやらなければならないと思います。やるだろうと思います。
  13. 小林英三

    委員長小林英三君) なお岡本君にちよつと申上げますが、池田大蔵大臣が二時半から所用があるそうでありますから、皆さんのほうで質問がありましたら、先に大蔵大臣に対する質問をお願いしたいと思います。
  14. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 只今重ねて御答弁がありましたが、私の言う意味岡野国務大臣お答えになつたのではなくてこのほうだけに法律できめられておるこの地方負担軽減していいかという問題であります。つまりほかの地方つて同じような事業を総合的じやありませんけれどもつておるのでありますから、それには軽減をしないで、こういう総合開発というような名義で法律を作れば、どんどんその地方だけが軽減されて行くということでいいのであるかという質問であります。
  15. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) 私はその辺におきまして、その地方だけが特別の便益即ち軽減をしてもらえることになるだろう、こう考えます。そういたしますと先ほど大蔵大臣の申上げましたように、最上川もやらなければならぬ、北上川もやらなければならぬということで、丁度特別都市観光地があちらこちらにできるように、こういうような開発法が各河川なり又各地方に濫立する、こういうようなことが起り得ると私は考えます。そういう意味におきまして、余りにそういうような機関が各地方にできるということに対しては、私は余り賛成をいたしかねる、こう考えておるのでございます。
  16. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 大蔵大臣にお尋ねしたいと思います。この法律案にはいろいろ問題はあろうとも、この正しい要求、特にこの年次計画要求しているという点は非常に正しいと思うのですが、大蔵大臣利根川に限りませず、一般に数年或いは十数年に亘るこの建設事業について、継続的に支出責任を持つ、終局な責任を持つという政治的態度が現在欠けておるように見えるのですが、これは吉田内閣の方針なのですか。それともそういうふうに一年こつきり、一年こつきりの形で事業をしなければならない、余儀なくされる力関係があるのか。それともそういう形を以てしてもなお且つ完全な建設行政に対する責任がとれるというふうに考えておられるか、年次計画について継続的な支出ということについてお尋ねします。
  17. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 治山治水その他の問題につきましても継続費継続予算ということが明治時代から問題になつておるのであります、従いまして昭和二十年頃までは継続費観念予算を組んだ場合もございます。例えば八八艦隊の問題だとか、六八艦隊の問題は継続費でやつてつたのでございますが、財政法ができましてから継続費のことがなくなつたのであります。併し実際経済が安定して参りますると、昔のような或る程度継続費観念は入れてはどうかという議論も強いのであります。只今そういう問題につきまして検討いたしておりまするが、何分にも先ほど申上げましたように五年先、十年先のですね、計画を立てるということはなかなか困難でございます。十年くらい前、二十年くらい前には、財政五カ年計画とか十カ年計画ということが議論にされたのでありますが、只今のところでは全般の問題でもなかなか予算が立ちにくい。個々の問題につきまして、優先的に五年なり六年なりの経続費ということは、先ずそこまで行つていないということを御了承願いたい思うのであります。財政法には継続費規定はございません。
  18. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 そうするともう一遍お尋ねしたいのですが、つまり内閣独自の形、独自の方針で継続ということを、実行をようしておられないというふうにどうも聞こえたのですが、若しそうだとすれば、この河川のごときですね、他の事業も同じですが、河川治山治水のごときは、一定の事業をしなければ全体として効果を出さないのだから、そういう態度はこの全国民に対するまじめな建設行政に対する態度だと受取れないのですがね。その点をもう一度つまりそういう一年こつきりの形態でも、国民に対して責任のある建設行政がとれるという観点に立つておられるのか。敗戰国だからそういうことは言うはやすくしてできないというお考えなのか。それともそういうことは現在の資本主義的な社会機構そのものの財政的な面から計画経済にならなければできないのだからやらないのだという意味ですか。もう少しその点を内閣のつまり建設行政に対するそれだけやらなきや効果を発揮しないということを、あえてやらないということの説明責任の所在が内閣にあるのか。例えばそういうふうの関係の他の力で余儀なくされておるのか。それから近い将来にどういうふうに考えられるか、この三点をお伺いしたいと思います。
  19. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 私は御質問財政法上の予算継続費を認めることができるかできんかという問題だと受取つたのであります。政府はいろいろな予算を作ります場合におきまして、全体的には大体の見通しはつけておりますが、殊に実際問題といたしまして過年度分の災害がどれだけあるか、本年度は新らしい災害がどれだけ起きるだろうか、こういうことはいろいろな点から考え検討いたしておるのであります。予算にそれを組むか組まんかという問題を先ほどお答えいたしたのであります。従いまして公共事業費をきめます場合におきましては、従来どの程度公共事業費をどういう方面に出しておるか、そして来年はどういう方面にやつて行くか。利根川にいたしましても、北上川にいたしましても、どの程度災害復旧があり、どの程度の補修がいるかという具体的の問題につきましては検討いたしておりません。予算上何年度にどれだけということは出しておりません。而うしてこのことは占領せられておるかどうかという問題ではない。日本経済自体の問題でございます。
  20. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 もう一言だけ。僕はですね、そういう態度では占領上の問題でなければなおのこと、内閣は短命であつても、或いは二、三年続こうとも、河川の総合計画などというものは一定の期限をかさなければ完結しないので多額の国民の血税を入れながら、効果を挙げないのだからたとえ余儀なき事情が起つても、その期限が短縮され、延長されるということがあつても、全体に対する計画なしに血税を使うということは責任のある内閣として許されないと思うのであります。それでその点をお尋ねしておるのであります。そういう態度でいいと考えておられるか。今後継続的の予算の提出方法を講じなければ、国民に対して完全な責任が取れないじやないかという考えは持たれないわけですか。つまり一年こつきりに適当に按配して行く、それからまあ信用しろという考えでやられるのか、はつきりとあれを何年間かやらなければ一定のところまで来なければ、血税を入れながら効果を発揮しない。当然継続的に責任を持つべきだと私は考えたけれども、その点は考えていられない。こういうふうにとつていいのですか。
  21. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 実際問題といたしましては、過去の災害、或いは現在の堤防が破れたとか、いろいろな問題は考え予算を組みますが、お話通りに来年度の河川はどれだけの予算を組み、再来年先、再来年度はこうだとか、翌年先はどうだとかいうふうな予算を組むべく組み得る程度日本経済見通しはつきりしていないのであります。而してそういうものを組みましても、なかなか実行困難でございますので、予算上はそういうものを組んでおりませんが、予算の査定におきましては過去の実績、将来の見通しを各分野につきまして頭に入れて査定をいたしておるのであります。
  22. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 大蔵大臣に簡單に……。今日の公共事業費治山治水の分野に十分の金のいかないことはよく存じております。そこで先ほど河井委員の質問に対してお答えになりましたが、二十六年度の仮に直轄河川だけを考えましても、八十億に対して利根川は二十億、約四割三分四厘である。これは結局政府にいたしましても利根川の重要性を見、又はかの河川のあらゆる重要性を見て我々は先ずかように按配しておられるものとこう考えております。そこで万一この予算が通過した場合には、今日の経済情勢におきまして、特に利根川だけに重点的に公共事業費が行くということが非常に私は不可能である。こういうふうに考えますが、これに対する大蔵大臣のお考え如何ですか。
  23. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 先ず問題は、公共事業費全体をどの程度に組むかというのが問題でございます。従いまして、昭和二十五年度九百八十億を千百億に殖やしました。千百億に殖やした場合におきまして、先ず第一に災害復旧費をどれだけ組むかという問題、昨年は多分四百八十億だつたと思います。而して予備費を百億置きました。而して今年度におきましては、予備費は七十億にいたしまして過年度の災害復旧を三百何ぼと心得ております。こういうふうにきまりまして、而してその次には植林の問題をどうするか、砂防をどうするか、或いは港湾をどうするか、漁港をどうするか、こういう問題でいろいろなものが錯綜して来るのであります。而して大体河川のほうにどれだけ持つていくかということがきまりまして、その額によつて河川の、今お答え申し上げましたように補助事業状況等を考えて行くのでございます。先ず全体の枠がきまり、その中の河川がきまり、そうしてその河川の額によりまして、全国七十五の直轄河川並びにその他の河川をずつと見合つて来るのでありまするから、今年度利根川が二十何%あつたから、来年度も二十何%というわけには行きません。或いは全体の枠によりまして、このパーセンテージが殖えたり或いは減つたりすることはありましようが、與えられた額のうちで、適当にそれは安本その他の関係省がお考えになると思うのであります。大蔵省の所管といたしましては、日本経済全体からいつて問題は、減税の問題もありましようし、又公務員の給與の引上げの問題もありましようし、又米価の引上げ等によります補給金の数百億の捻出、又公共事業費の増加などいろいろな問題がありまして、それを先ずきめることに私どもかかつておるのであります。それによつてきめましたならば、安本を中心とした各関係省がその割振りによつてやられる。本年度はいいか悪いかわかりませんが、利根川には相当出ていると私は思つております。
  24. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 大体わかりました。私の考えは本年の予算が特に利根川に軽いとは思わない。大体各河川をよくお考えになつて、或いはその利害関係から、利根よりも川は小さくても今すぐ仕事をしなければならんものもあります。又大きな河川で先に延ばしてもいいものもあります。それを十分に検討して今日按配をされておると考えますが、よしこの法案が通過したときに利根川だけに重点的に行きますと、今日の河川の改修、治水計画というものは狂つて来ます。私は今日の情勢からむしろ公平ではないと、こう考えます。こういうふうな考えを持つて日本全体の河川を注意してもらわなければ困る。こういう考えを持つております。
  25. 石川榮一

    石川榮一君 只今大蔵大臣並びに自治庁長官に御質問の要旨を伺いまして提案者といたしまして一言この御答弁に対する関連的の意見を申述べさして頂きます。先ほど岡本委員から自治庁長官に御質疑になりましたあの法案のうちに明瞭にきめてある負担率を軽減することができる、或いは補助金を殖やすことができるということにつきまして、只今御質疑があつたようであります。私どもはあの法案の狙いは、利根川総合開発が緊急止むを得ざる国策である。こういう観点に立ちましてこの法案を国会に提案しておるのでありまして、決して地区的に利根川流域のみがあの法案の影に隠れて、いわゆる法案の影に隠れまして、地区的の補助金を多く得ようとか、或いは公正なる負担率を軽くならしめるというようないやしい態度は全然ありませんことをはつきり申し上げます。先ほど来長官お話にもありましたように、利根川の中心になつております群馬県は非常に財政困難に陥つておるのであります。この群馬県の財政困難の一斑は何かと申しますと利根の荒廃であります。利根の支流が何本も荒はてて、そのために群馬県の財政は危機に見舞われております。この群馬県がこの中心体でありますから、財政困難に陷つて天然と鬪いつつあるところのあの群馬県の財政状態を私ども考えまして、国家並びにこの利根流域における各県におきましても、この原因を絶たなければ利根の改修はあり得ない。こういう観点から考えまして、この国策を推進する上におきまして、群馬県が危機の立場に立つておる、その原因は利根川にあるのであるという観点に立ちまして、止むを得ざる場合は本当に公正なる審査をいたしまして、幾分の軽減をしてやらなければこの国策の遂行はできない、円満な遂行はできない。いわゆる功を一簣に虧くという事態に相成ることを憂えまして、あの條項を入れたのでありまして、決して濫用しようとか、他の地区に御迷惑をかけてもこの地区だけはという考えは毛頭ないことをあらかじめ御了承願いたいと思います。要は群馬県の財政状態でありますが、昭和二十五年度、昨年度における群馬県の財政は九十五億の総予算に対しまして、この災害費を六十五億計上しております。全予算の六五%から六八%を割当てておる。県の財政全部を挙げてあの自然の暴威と鬪つております。気の毒な群馬県の財政、これをこのままにして置きますれば、ますますこれが荒れる、荒れるからますます群馬県は財政の危機に見舞われ崩壊するのであります。私はあの河川の荒れ方と群馬県の財政の荒れておる反面に、恐るべきあの山々の荒れ果てた状況考えまして慄然たるものがあるのであります。このままにして、今いろいろ御議論がありましたが、私に言わしめれば納得のいかない点もたくさんあります。ありますが、要はそれが利根川であろうが、相模川であろうが、あらゆる河川がかくのごとき荒れ果てておるのを彌縫を糊塗しつつありますことが日本の再建になるでありましようか。私は恐るべき大きな国土の荒廃が日本経済をゆすぶるときが来るであろう。そのとき目覚めたときには、すでに手遅れでありましよう。日本の将来は暗澹たるものがあるのではないかとすら心配しておるのであります。今技術上の問題を云々するよりも、大所高所から国土の保全、国土開発ということを考えるのが焦眉の急である。ほかのあらゆる政策は拡げ打つても、ここでなけなしの狭い国土を保全し開発することが私は政治の要諦であると考えまして、この特別地域の利根をお願いしたわけであります。決して地区的に利益を得ようとか、利根の今年度の割当が多いから、これをもつと多く出されては困るというお話もございました。私ども考え方と全然違つておりますことを遺憾に思うのでありますが、決して利根川のみを私どもは念願しておるものではない、全国河川皆かくのごときでありましよう。全国の河が全部然りであります。この状態において十年後二十年後、この荒廃の状態日本が行つたならばどうなりましようか。私は水のある所には必ず平野があり、文化がある、そこが全部荒廃したときはどうなるか、私はこれを憂えます。こういう観点から、先ほど来私ども提案者として聞いておりましても、何だか我々が如何にも邪心があつて利根川予算を特別に取りたい、或いはこの地区の人たちに特別に負担軽減を図らせようというようなことを意図しておるのではないかというような御質問のようにも伺いましたので、この点をよく御納得頂きたい。かように考えまして一言関連して意見を申述べた次第であります。どうか誤解のないように、この法案の審議につきましては誤解のないように、私どもはすつきりした氣持でおりますので、どうかそういう点を誤解して頂かないように、切にお願いいたします。かように考えまして一言申述べさせて頂きます。
  26. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 これの執行ですね、地方建設局というような執行機関、それから農地関係の執行機関との関係はどうなるんですか。
  27. 石川榮一

    石川榮一君 お答えいたします。この法案国土開発をやりまして、予算国家から取りますと、それを総合開発の遂行の線に沿いまして、そうして有効適切に予算が使われますように、これを各省に調整してこの事業の遂行に当らしめ、又関係行政官庁に対しましても、やはり総合計画の線に副うて、それに順応する予算をその府県に渡しまして、そうして府県の現業機関にその工事を遂行させる。要するに利根川開発庁は立案、調査、計画並びに事業の推進監督等をいたすものでありまして「仕事自体は現在の現業官庁に一任しておるわけです。
  28. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 予算は一度通過するんですか、アドバイスの程度ですか、予算開発庁を通過するんですか。
  29. 石川榮一

    石川榮一君 お答えいたします。この予算公共事業費の中にありますうちの、北海道開発庁と同じように、やはり一つ利根川開発庁として、予算をもらいまして、そしてそれを開発庁の権限におきましてこれを調整して現業機関に渡して、事業の遂行をさせるということにしておるのであります。
  30. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 開発庁として、開発庁自体の予算を持つことはわかります。そうでなく、例えば利根川は従来は建設省がそれを執行していた。今後は建設省と内閣との間の中間に立つて一度あなたのところに予算が行つて、その予算が建設省の執行機関に渡されるのか。事業予算の通過する第一の責任者になられるのか、現在は建設省がやつておるけれども……。それに対して忠告、監督等の圧力を加えられるのか。予算が直接この庁を通過するというのですか。
  31. 石川榮一

    石川榮一君 予算開発庁を通過いたしまして、そうして開発庁自体が事業計画を立てまして、そうしてそれを建設省の事業は建設省に、農林省の事業は農林省そのものに渡す。
  32. 小林英三

    委員長小林英三君) それではこれで散会いたします。    午後二時四十七分散会  出席者は左の通り。   建設委員    委員長     小林 英三君    理事            岩崎正三郎君            赤木 正雄君    委員            石川 榮一君            島津 忠彦君            平井 太郎君            小林 亦治君            田中  一君            齋  武雄君            徳川 宗敬君            東   隆君   内閣委員    委員長     河井 彌八君    理事            楠瀬 常猪君            梅津 錦一君    委員            郡  祐一君            林屋亀次郎君   地方行政委員    委員長     岡本 愛祐君    委員            石村 幸作君            高橋進太郎君            安井  謙君           小笠原二三男君            西郷吉之助君   経済安定委員    理事            奥 むめお君            山本 米治君    委員            泉山 三六君            藤野 繁雄君            菊田 七平君            兼岩 傳一君   国務大臣    大 蔵 大 臣 池田 勇人君    国 務 大 臣 岡野 清豪君   事務局側    常任委員会專門    員       武井  篤君    常任委員会專門    員       菊池 章三君    常任委員会專門    員       藤田 友作君    常任委員会專門    員       杉田正三郎君    常任委員会專門    員       福永與一郎君    常任委員会專門    員       武井 群嗣君    常任委員会專門    員       桑野  仁君    常任委員会專門    員       渡邊 一郎君