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1951-05-17 第10回国会 参議院 建設・内閣・地方行政・経済安定連合委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年五月十七日(木曜日)    午前十時五十一分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○利根川開発法案石川榮一君外百十  二名発議)   —————————————
  2. 小林英三

    委員長小林英三君) 只今から利根川開発法案につきまして、連合委員会を開会いたします。  昨日出席の御要求のありました大蔵大臣は、只今渉外関係でちよつと出席が不可能だそうであります。若し何だつたら事務次官からお願いします。それから自治庁長官は間もなく見えるそうであります。それから農林大臣が今お見えなつております。
  3. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 大蔵大臣及び自治庁長官がお見えなつたら又質問いたしますが、その前に少し承わつておきたいと思います。  石川さんに質問をいたしたいと思います。実は私はこの法案発議者の一人となつておるのでありまして、こういう質問をこれから展開することは不適当かとも思うのでありますが、実はその案の内容も知らず、又その案について御相談も受けないで実は発議者なつておりますような関係で、案を見まして、これはどうも我々には質問しておかなければならないという点がありますので、区質問をいたすのでありまして、御了承を願いたいと思います。先ず提案理由の説明を承わりますと、この構想一つの示唆として、TVAのことをおつしやつておるのであります。そこでTVAは、私ども考えでは、一つ法律を作つたことによつて忽然とでき上つたものではないのでありまして、それだけの準備というものが十分整えられてでき上つたものであります。ところが今度はこの法律作つて、而も三十八年度から十年間にやつてしまおうというような御構想でありますが、これでは準備不足ということになりやしないかどうか、つまりTVAは随分長い間研究をし、調査をし、基本的な資料を集め、そうして発足したのでありまして、この大計画の二千何百億に上る利根川開発、それについての準備ということは非常に足らないように私は思うのであります。その点について伺いたい。時間もありませんから、お答えはなるべく簡明に願いたいと思います。
  4. 石川榮一

    石川榮一君 お答えいたします。只今岡本委員の御質問御尤もであります。私どもTVA基案を置いてのみやろうとしておるのではないのでありまして、利根水系が現在の状況下におきまして、特に国土が非常に狭小になりました現実に鑑みまして、このままに置くことは非常に国家の将来に悪影響を及ぼす。殊に第三次世界戰争等を予想いたします今日におきましては、東京都を中心とする経済政治文化中心でありますところをあらゆる事態に即応して守り得るように態勢を整えるためには、この東京中心とする利根水系開発こそ最も重大な国策でなくてはならん、かように考えておるのであります。TVAは御案内のように一九三三年にやはり議員立法によりまして立派に法制化されたのであります。爾来十年間にこのすばらしいテネシーヴアレー開発が行われまして、世界驚威の的にさえなつておるようであります。勿論私どもはこれに非常な憧憬を持つのであります。この資料に対しまして、御指摘のように十分私ども準備も持つておりませんが、幸いに建設省農林省等、おのおの利根水系に関するその省における独自の総合開発計画があるのでありますから、それらの資料を収集いたしまして、そうしてそれを基本的な材料にいたしますならば、その長期を要しなくても大体の基本的方針は立つのではないか、この技術士の細かい調査等につきましては、勿論相当期間を要するでありましようが、大綱をきめるだけの、基本的な計画を立てるだけの資料建設省農林省等資料で私どもは或る程度総合開発はできるのではないか、かように考えておるわけであります。その一環には農林省は五カ年に六万余町歩土地改良をもくろんでおり、又十年間計画といたしまして二千八万余町歩土地改良計画されております。又林野庁林野庁といたしまして、やはり十年の相当計画を立てております。建設省におかれましても、やはり利根川の本線の治山治水のためになる建設省自体の基本的な計画は立てておるのであります。これらを勘案いたしまして、これを中核にいたしまして、更に專門家を動員いたしまして、強力にこれを推し進めて行きますならば、私は一年半程度でおよその見当は付くのではないか、かように考えております。そういう点で昭和二十八年というふうに実施を引き延ばしております。ですから若し幸いに御協賛が得られまして、そして法文化されて発足いたしますれば、昭和二十六年の下半期と昭和二十七年、二十八年の三月までおよそ一年半ありますから、これらの省を中心といたしますれば、このテネシーヴアレーのようにああいう大きな河でないから、私どもはその準備期間相当基本的計画は立つものなりとかように考え計画いたしておるわけであります。簡單でありますがお答えといたします。
  5. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 法律が出たのは成るほど後でありますが、TVAにおきましては第一次大戰の時におきまして国法によつてあすこ発電所を起し二十五万キロの発電所ができており、その他国会の議決によりまして、いろいろ調査をいたしておりまして、そうして初めてその基礎ができ上つて、そして事業基本計画基礎資料を十分に整え、そして中心母体となる事業もでき、又企業経営的な独立探算制のとり得る部分もかなりあり、政府がこの種の事業に投下し得る資本金も十分持つていたのであります。そういうふうなでき上る形勢にあり初めて法律を出した。そしてあなたのおつしやるように着手をしたのであります。これはそういう形勢はでき上つてないのであります。それを二十八年度までにやり上げよう、二十八年度までにそういう資料をすべて整えて、そして十年間にやり上るということは如何にも無理ではないか。私は何もこの利根総合開発ということに反対じやありません。その趣旨には非常に賛成であります。そのためにその開発について賛成してくれというので賛成をしたのであります。併し二十八年度から十年間に二千何百億円の事業をやり上げるというような法律はこれは私は少し無謀じやないか。準備も何も完全にできないでおいて二十八年度からそういう厖大な計画を実行に着手するということは私は非常に無謀だろうと、こういうふうに思うのであります。それで私をして言わしめれば、速かにこういう事業が完成することは望ましいのでありますけれども、何もそういう二十八年度から何年間というようなことを切られる必要はないじやないか、こういうふうに私は思うのであります。これは私の意見をその点申上げました。  なお、この法案に盛られておりますいろいろな事業がありますが、その中でこの利根川総合開発というのであれば総合的に全部やるということはわかつておりますが、最も重きを置いておられる事業は何であるか、この年々災害をこうむる治山治水の問題であるとか、それから運河とか、公有水面の埋立とか、いろいろ書いてありますが、そういうようなことなのか、その点を一つ伺いたいと思います。
  6. 石川榮一

    石川榮一君 お答えいたします。大分御親切な御質問でありまして有難うございました。テネシーヴアレーとこれとの比較は勿論大変な差がありますのですから、論議する余地がないと思いますが、テネシーヴアレーの主要なる目標は要するに舟運と水力と農業、工業生産力の増強、特に肥料のコストの引下、化学製品発展というようなことに主要なる目標が置いてあるようであります。私ども考えておりまする利根川総合開発法案はその狙いは先ず治山にあり治水であります。次にこれに関連を持ちまして利水を高度に開発しようという考え方なのであります。具体的に言いまするならば、あの荒れ果てました利根川を素直な水に引き直すために治山に、特に砂防に力点を置きまして、そうして水源を断ち、そうしてあの荒れ狂う水を素直に流して行くというのが第一の目的であり、第二の目標はその水によりまして得るところの利水、特に関東平野における大部分の、今排水なり或いは灌水なり或いは灘地田で救うことのできないような数万町歩土地等があるのでありまして、これらを速かに土地改良によりまして用排水灌水事業の整備並びに干拓或いは排水、或いは濕地田のポンプ・アツプにより美田に還元するというような一連の農地政策を織込んで行きたいと思う。更に第二段階におきまして、このダム建設が進むに伴いまして、数年後にはこの水力電気発電を起しまして、その発電による多量のいわゆる常時六十五万キロワツトに上るような豊富な電力関東平野に流して、現在ややもすれば零細化さんとする農村、即ち五十年、百年後には二反百姓、三反百姓に転落しようとする運命にありますので、農村電化のために農村工業基盤を作らせる、そうして農村政策を確立させるためにその電力を多量に供給し、そうして関東平野を何らの災害もない、そうして高度の農村経済的発展を求め、従いまして文化の向上を図りたい。かような念願なのであります。更に一つ申上げたいことは東京都の水道源は今多摩川の工事をやつておりますが、この工事は遅々として進みませんが、大体ここ五、六年後に仕上がるようであります。併しながら現在の東京都の人口からこれを検討いたしますと、その工事が仕上ると同時に東京都の飲料水はそれでパーになつてしまう、あと殖えますものの、東京都の発展に必要とする飲料水はここ数年後に枯渇する状況にある、この飲料水利根のいわゆる上流ダム建設により、そのダムの水によりまして東京都の飲料水並びに工業用水等を確実に確保して安心して東京都の発展ができますように寄與したいというような狙いかあるわけであります。その他細かい点がいろいろありますが、大体におきまして治山治水農地改良電力の豊富な開発、これによる農村零細化に転落する運命にある関東の四十万に及ぶ農家の生活権を確保したいという狙いであります。利根川改修だけをしておるのではないのでありまして、真に総合的な開発でなければ水の資源というものは決して順調に発展は見られない。今現在あるような一本の利根川にも各府県ごと行政区画を異にし、又建設省農林省等水資源に対する考え方はおのおの特殊なものがありますので、そこにいわゆる連絡の密な総合的な案は立て得ない状況でありますことは、非常に水資源目標として日本経済的な自立を基盤とする場合には、今の行政組織を細かく分断しておること自体がこの水資源を十分活用するゆえんでないという観点から考えまして、この法案をお願いしたわけであります。
  7. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 只今の御答弁でこの総合開発の中で最も重きを置くものはこの利根川治山治水である。こういうお話に承わりました。そうでなければならないと私は思います。そういたしますと、これはすでに政府において建設省並び安本、進んでは政府当局利根川治山治水ということに最も重きを置いて計画をし、施政をなしておると、こういうふうに我々は思つておるのでありますが、併しそれは日本全体を見渡しての上での政府施政であろうとこういうふうに考えております。そこでそれにかかわらずその十年間にやり上げようと、やり上げなければならないというような案を突付けられるということは、建設省安本既定計画を棚上げにしまして、そして政府の意図にかかわらず優先的に国会において利根川開発を促進しようとするものである。こういうふうに断定をしなければならないと私は思うのでおります。即ち政府の従来の施政、殊に吉田内閣施政に対する一種の不信任の現われであるというふうにも考えられるのでありますが、この点はどういうふうにお考えなつておるか、それをお尋ねしておきます。
  8. 石川榮一

    石川榮一君 お答えいたします。御質問の十年間が大変無理だというお話のように伺いますが、私どもも十年間でやり上げることは非常に困難であると考えております。併し事業をやります計画をいたします場合に、一つ目標を置きませんでやりますことは、これは誠に今までもあり勝ちですが、ややもいたしますと、投げやりになりまして、いつ仕上るかわからないという状況下になり勝ちなのであります。現にあらゆる河川もそうですが、利根川におきましても建設省計画しておりますその案は利根川改修改訂計画として二十四年二月に発表されております。その費額は本川の改修費だけで七百六十五億円、その他治山費は約五百十二億円、合せますと、一千二百億円にも達しておるのであります。これに対する予算は昨年度は六億数千万円、今年は十二億……大体十億程度でございますから、百年ばかりかかるわけであります。ですから計画をいたしましても、年限のないことを言いますると、ややもしますると数十年も要するような結果になるのでありまして、およそ意味がない、要するに構想は立てましても、その実現に対するはつきりした見通しがないということは、非常に私ども河川等に関しましては遺憾の極みである、道路やほかのものでありますれば、できただけは効果があるのでありますが、河川改修に関する限り、僅かばかり一割や一割の河川改修をしたところで意味がない、全川完成して初めて河川改修としての成果が挙るのでありまして、荏苒としていつできるともなしにただ計画を立ててぼつぼつやつて行くという建前で行きまするほど国家の損害になるものはない、かように考えております。こういう観点から考えまして、実は三十年、三十年ともいろいろ相談したのでありますが、日本の現在の経済状態がこのままで行くならば、これは百年も止むを得ないと思いますが、私どものほうはそう考えておりません。今度の講和ができて、我々といたしまして経済日本人の手によつて運行され、国民が現在の目ざめた気持で努力をいたしますれば、相当洋々たる経済界が展開されて、日本の国力も相当伸びて来るだろう、かように考えまして、十年間には相当大きな経済力日本に付くものなり、こう考えまして、今私ども考え方でいたしますと、ここ二、三年の間は今までと大差ない予算でありましても、六年、七年、八年経ちましたら、相当予算が私は国家からも支出をして頂けるのではないか、現に利根川の前の計画利根川改修改訂計画前の計画を実行するような場合でも、国費の四分の一程度利根川に投入した時代もあつたのであります。そういう大担な政治をしたために利根川改修ができたのであります。現実のような状態でありますと、利根川災害復旧すらできない、改修計画さえ手が付かないというのが実態でありまして、そういう点を取上げまして、重点的に大きな川、最も経済効果のある災害の大きなものを克服して頂くためには格段の予算的の措置が必要であろう、こう思うのであります。私どもはもとより自由党員でありますから、決して内閣不信任を意図いたしておりません。併しながら現在の治山治水の経費に関する予算の按配、或いは農林省関係のいわゆる興農に寄与するような予算が甚だ貧弱であることは今御指摘の通りであります。不信任とは申しませんが、不満は持つておるのであります。その不満の現われであります。こういうように真に利根川の現在のような状況から考えて、国におかれましても現在から考えまして、是非ともこの案を通過をいたしまして、特に短いようでありますが、十年間で仕上げるという考えで行きたい。勿論これには地方府県協力も必要でありますが、幸いにこの関係六県の都県会は非常な協力をいたしてこの法案立法化されることを非常に待望しておるような協力態勢なつております。官民の力によりましたならば、十年間に仕上げ得るであろう、一つ目標をそこに置いて、万一事態が思うように参りません場合には勿論この延期も止むを得ないと思いますが、立法といたしますれば、一応十年間を一つの目安とすることは決して私どもは無意味でない、又さような目標を持つて行くべきだというような考え方でおるわけであります。決して不信任意味を含んでおるものではありません。この点は御了承願いたいと思います。
  9. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 只今の御答弁によりまして、私はこの第九条に、十年間で完成しなければならないというようなことを余り強くも御主張になつていないように見受けます。そういうことを目標にしてと、こう言われるのであるならば、何も法律強制しなくてよかろうと私は思うのであります。昨日も安本長官なり、増田建設大臣なりが非常に困つておるのは、この第九条であろうと思うのであります。速かにこの総合開発計画を実行するということならばわかるのでありますが、十年間という強制が付いておるのであるから、増田建設大臣のごときはそれは訓令的規定であるから、必ずしも政府拘束力を受けないようなことを言うのでありますが、それは法律強制をすれば違反のできない強い訓令なのでありますから、拘束力を生ずるのであります。そういう立法を、できもしない強制国会でやるというのは非常に考えものだ、法律国会自身がないがしろにするものだ、こういうふうに思います。そこで私のほうも実は茨城県、群馬県、栃木県、埼玉県、つまり利根川総合開発関係のある各県に対しまして、この法律案をどう思うかという意見地方行政委員会から聽取をしてあります。まだ回答が来ていない所もありますが、埼玉並び群馬からは回答が来ております。成るべく速かに願いたいということであつて、十年間に是非ともやつでくれということは言つて来ておりません。まあほかの県からどう言つて来るかわかりませんが、我々のほうもそういうふうに県の意向まで確かめておるということを御了承願つておきたいと思います。  岡野地方自治庁長官出席を求めましたが、おいでにならんようであります。そこで仕方がありませんから、小野政務次官がおられますから、小野政務次官にも聞いて頂き、小野政務次官にも御答弁願うというふうにして参りますが、この利根川総合開発によつて定めるものが、国土総合開発法によつて定める都道府県総合開発計画、それから地方総合開発計画とどういうふうに具体的の関係を持つているか、それはここに第七条に、総理大臣双方意見を聞いて調整を行うものとする、こう漠としておりますけれども、こう法律で言つたつて非常に困るのでありまして、構想はどういうふうにお考えなつておるか、それをお尋ねして見たいと思います。
  10. 石川榮一

    石川榮一君 お答えいたします。国土総合開発法特定地域としての企画と、私どもがこの法案によつてやりまする企画とはどういうふうな関連にあるかというようなことも疑問になるかもわかりませんが、この法律立法化されますれば、利根川水系に関する特定地域としての調査は、これは国土総合開発法による特定地域立案企画をするということは必要はないのでございます。これは特別立法でありますから、国土総合開発法の制圧はこの法律によつて一応この地域だけは免除されて然るべきだ、こういうふうに考えておるのでありますが、その法文上の解釈につきましては、私ども考え方は間違つておるかも知れませんが、若しも国土総合開発法方針と、利根川開発庁方針とが齟齬をしたような場合が仮にあるといたしました場合、そういうような場合にはこれは総理大臣双方意見を聞いて、そうしてその調整をするということにしておきますれば、この法律運行に、又総合開発法運行にさまで差支えないものである、かように考えております。
  11. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 その点が重要点であります。今石川君から御答弁のありましたように、この利根川総合開発法ができますれば、国土総合開発法による今申した府県の定める総合開発計画というものは要らなくなる、つまり地方自主性と申しますか、それを極度に束縛することになりはしないか、その点の調整総理大臣がするというふうにはこの七条ではなつておりますけれども、つまりこの利根川総合開発という法律ができますれば、地方自主性自治ということに対して極度の束縛を与えはしないか。それは治山治水の点におきましては或いは大きな見地から止むを得ないかも知れません。併しそのほかの開発計画についてまで束縛を受けるということはどういうものであるか、その点についてお伺いいたします。
  12. 石川榮一

    石川榮一君 お答えいたします。この開発法のうちには利根川総合開発審議会というものを設置いたしまして、その構成メンバーのうちに各県の知事、県会議長がその構成員に入つておるわけであります。この審議会はその開発庁事務局が作つたものを調査審議することになつておりますが、勿論できるのを待つててやるのではないのでありまして、意見具申の途もありますから、各地方長官が必要とするもの、各県会議長が必要とするものをどしどしと開発庁に申出があるわけです。同時にその方法におきましても、その決定審議会を通さなくではならんことになつておりますから、その審議会構成メンバーである県知事並びに県会代表者というものは自分の県に関係する重大問題につきましては、ことごとく意見を述べることもでき、又決定を躊躇することもできるのでありまするから、それはさまで自治権を侵犯するようなことはなかろうと、かように思います。特に狙いとしておりますのは、水に関する限り都道府県ごと意見を異にしておりまして、上流と下流との水の葛藤が起りやすいのであります。それは現に利根川水域各所に見られております。そういうようなためにこの水の決壊を招いて災害を呼ぶようなことも間々ありますので、こういうような点から考えて、むしろこの法案ができましたために、本当に各県が協力するならば、各県の水に関するトラブルはこれによつて解消し得る。自然の流れに従うように本当にスムーズに大きな眼目の目標に到達するような協力態勢がこれによつて行われるというようにも考えられますので、御指摘地方自治体の権限を犯すにあらずして、むしろ暢達し得る立派な機関を作らなければならないというふうに私ども考えております。御質問の自主権を侵犯するという、要するに上から抑えつけるということは全然この審議会運用如何によりましてはないものである。むしろ地方自治体意見を暢達し得る立派な法的な機関作つてやるのだ。まあかように考えておるわけであります。
  13. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 この審議の会合に出席いたしますのは初めてなんでありますが、石川さんが中心なつてこ法案提出について御熱心なる計画、運動をしていらつしやることは以前からよく承知いたしておるのであります。又この法案を実は初めて見まして、又いろいろお話を承わつて、大体内容は了承いたしたのでありますが、私といたしましても地方行政の面からいたしましても、地方行政の主体がこういう経済行政になり、又戰後の日本国策経済復興ということが主眼点である。而も自然資源の非常に乏しい日本においてはこれを集約的に開発して行くということが非常に重要な点である。そういう点からいたしまして、TVAのような計画に範をとりましたところの何と言いますか、地方計画というようなものが国策枢軸をなす。又地方行政枢軸をなして行かなければならんという考えを以前から持つておるものであります。そういう意味において十分この法案目的とせられておりますことにつきましては、勿論双手を挙げて歓迎いたしたいのでありますが、ただ併しながら非常にこれは金の要ることであります。そうして又そういう考えに基きまして、政府相当それに対する法案を今日まで安本及び建設省等中心にして練つており、又それに関するところの調査報告、或いは諸種の刊行物等も随分政府から出ておりまして、実は私も一通りそういうものにも目を通しておるのであります。又最近の現象といたしましては、TVA委員会委員長をいたしておりましたリリエンソール氏が日本に来ますると、吉田さんも非常にそういうことには興味を持つていられると見えまして、リリエンソール氏を特によんで、そうしてリリエンソール氏の著書を飜訳しました工業大学学長和田小六さんとも会談をされて食事を共にして、いろいろとそういうことを話をしておられる。又予算委員会でも吉田さん自身からもTVAの話も出ており、それから新聞記事にも大きく出たようなわけであります。又全般に今日そういう石川さんが今お述べになつたような考え方は、これは悪い表現かもしれませんが、非常にはやりもののようにプリヴエイルしております。それが今の常識になつておる。現に今朝も同じような考えの人から私は自分の部屋に訪問を受けたようなわけで、今又十二時から東京都からやはりこの計画について、我々相談をいたしまするようなわけで、身辺にもこれと同じような計画とか、観念というものが今広く国内に拡まつておると思うのでありますが、非常に結構と思うのです。併しながらこれを我々は地方的な利害を中心にして考えてはならないのであつて、やはり日本政治家なのでありますから、国策的見地において考えて行くということがこの問題を処理するところの基本的な考えでなければならないと思うのであります。各地においてこういうような計画が行われ、すでにその一つとして北海道の総合開発もあり、或いは又科学的な面については私たち素人でわかりませんが、多少聞いてみまするというと、熊野川、或いは只見川というような所のほうが先にすべきであるというようなことを言う人もあります。それでこれはただ一つ事業を取上げて見ましても、ここに数千億というところの大金を要するわけでありますから、今日の貧弱なる日本経済力を以てしては、各地方において起つておるところのそういう運動や計画に応えてそれに要するところの費用というものを出すということは私は非常に困難な状態にあるのではないかと思うのです。又TVAの話が出ましたが、TVAのことをいろいろと調べてみましても、先ほど岡太さんからお話がありましたように、これは第一次世界大戰のときからのずつと計画なつておつたのを、一九三三年のアメリカの非常な経済的不景気のときの失業者の救済対策及び特にこのアメリカにおけるデプレスド・エイリア、未開発地域開発とか、ルーズベルト大統領のニユーデイール政策の一環としてそれを取上げ、そうして多額の国費をそれに投じて、ああいうことをやつて、それが非常な成功をしたのでありますが、併しながらあの富裕なるところのアメリカにいたしましても、TVAテネシーヴアレーの流域に先ず始められて、そうしてそのほかそれが成功しましたのに刺戟をされて、コロンビア流域であるとか或いはミシシッピー流域であるとか、いろいろな所から同様なる計画が立てられ、又それに対する法案がアメリカの国会に出ておるということが、これは建設省から出していらつしやる最近の印刷物の中にも非常に書いてあるのであります。これはともかくやつて成功したのはこのTVAだけなんですが、それを只見川や北海道や熊野川にもやる。或いはそのほかにも信州の天龍川にもやるかというようなことで、社会党でこの話が出ますというと、我々は選出地区を中心として俺の所だ、俺の所だというようなことで、蜂の巣をつ突くような状況を呈しておりますが、国策といたしましてはアメリカでもTVA主眼点を置いて、そうしてそれをやつたのでありますから、利根川国策的見地から第一に着手すべきところの地域であるということであれば私は結構なんでありますが、果して利根川が他の地域に先んじてやるべきところの第一の地域でなければならないのか、或いは只見川とか、能野川流域というようなものは、そのあとでいいのか、一時にそんなたくさんの金を出すことができないのでありますから、順位をそのエキスパートがきめて、そうしてその権威的な順位、配列に基いて漸次そういう集約的な国土総合開発をやつて行くということが、私は国策的見地に立つならば必要なことじやないかと思うんです。ただ單に地元の選出議員といたしますと、私も地元の選出議員でありますが、ただ地元の選出議員であるということで騒ぎ廻ることは、それは県会議員であるとか市会議員のすることで、(笑声)いやしくも国会議員のすることでないのでありますから、それでそういうようにも私は考えておるわけなんです。それから北海道の総合開発のごときも、これは私も余り留意しないうちに通つてしまつた法案で甚だ申訳ないのでありますが、これもやはり国策的な見地に立つて、総合的にもう一度還元して考え直す必要があるんじやないかと私思つておるのです。それでそのようにも考えておるようなわけで、あれを見まするというと、社会党が北海道の知事になつておるので、社会党の知事がいろんなことをやるのは困るからというので、前長官増田君が社会党の知事に成るべく仕事をさせんようにというのでああいう法案を出して、(笑声)そうして議員が関心を持つていないうちに議会を通過さしてしまつたということになつておるという噂もあるのであります。私はもう一度国策的な、総合的な見地からあれを国土総会開発法なら国土総合開発法の中に入れて、もう一遍練り直してみる必要があると考えておるのでありますが、それで政府もいろいろ今安本なんかを中心にして御研究になつておるんです。でどこを先ず第一に総合開発の第一着手点とすべきであるかというようなことの見地から、利根川を先ず第一にやるのがいいかどうかということについて、一つ安本代表者、それからこの事業法案TVAの例から見ましても、TVAもこれは未開発地域開発して非常に生活程度の低かつた農村を電化して、そうしてその電力料金というものを政府の干渉政策によつて極めて安いものにして、電力会社と政府と闘いつ非常な農村の電化をやつた。そうして非常に経済力が向上したのであります。而もそれの一つとしては、その水力電気を利用して非常に安い化学肥料を大きな工場を建てて供給することが非常に農村の電化に貢献し、農村の又生活向上に貢献したので、これは農林省行政にも非常に関係がある。ここに丁度廣川農林大臣がおいでになつておりますから、農林省の立場からもこの際御意見を承わりたいと思います。それから地方行政のほうの面から地方自治及び地方財政との関連性もあると思いますので、地方自治庁のかた及び地方財政委員会の、大臣或いは次官がお出でになつておつたならば、一つ意見を承わりたいと思うのであります。それから建設省代表者のかたも又その御意見を、もう聞かれたかも知れませんが、私はまあ出席しなかつたのが悪かつたんですが、もう一遍聞かしてもらいたいと思いますが、とにかく今私が申上げたようなことがこの問題に対する極めて常識的な国民一般の考え方ではないかと思いますので、どうぞ一つ以上申上げましたことについての各省代表者の、或いは総理大臣からも聞くべきことであると思いますが、一つ安本農林省及び自治庁、建設省から御答弁を願いたいと思います。
  14. 相馬助治

    ○相馬助治君 私はこの連合委員会を見て非常に奇怪な感じに打たれる。というのは只今吉川さんが政府側の見解を聞きたいと、こういうふうに申しておりますが、最終的にはそういうことか非常に必要であろうとは存じまするか、たくさんなかたが発議されてかかる法案を提出しておいて、今日まで経過したこの委員会を見ると、石川さん一人被告席に立たせたようなあんばいであれこれといろいろな議論が展開されております。私はこの法案発議者として署名を求められたときにはつきりと申しましたことは、これは非常に賛成であるけれども、我々は国会議員としての立場から国の総合的立場に立つてそういうことを考えて行かなければならない。そういうものが陸続としてあとから出て来ることも予想しなければなるまい。そういう意味において政府部内においてもこれは十分下相談をされて、有効適切な案というものを作つて、これが委員会においては極めてスムースな形において通るような段取りが必要であろうというような見解を述べて、その上で発議者になるということを申したのでございます。ところが発議者から私は省かれてしまつた。(笑声)私は発議者の中には入つておりませんが、私は発議者と同じ気持を持つております。そこで私はこの際石川さんにお聞きして、石川さんの勇気を新らたに振い起すことを希望いたしますことは……    〔「議事進行」と呼ぶ者あり〕
  15. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 僕の質問に答えた後にしてもらえないですか。    〔「続けて」「簡單にやつてくれ」と呼ぶ者あり〕
  16. 相馬助治

    ○相馬助治君 私は委員長が停止しないからしやべつておるのですが……先ほど岡本地方行政委員長が二つの県の意見を求めたところが、それにはこの法案は一日も早く通してもらいたいが、十年間に作つてくれというようなことは言つていない、こういうお話がございました。これは聞き方によるというと、十年間ということが無理であるから、もうちよつと長くとも、だらだらした法案でもいいというふうにも聞えるが、これは両県の知事がそういう意図を持つているのではなくて、その十年とか何とかいう数字を言うことが悪いと思つて、一日も早く而も有効適切なる……
  17. 小林英三

    委員長小林英三君) ちよつと相馬君に申上げますが、今の吉川君の発言に対してあなたの御発言はやはり議事の進行という意味でおつしやつたように考えておりましたが、あなた自身の御質問のようでありますから、先ず吉川君の質問に対して答弁を求めます。そのあとでお願いいたしたいと思います。
  18. 相馬助治

    ○相馬助治君 承知いたしました。
  19. 小林英三

    委員長小林英三君) 吉川君にお伺いいたしますが、先ず廣川農林大臣見えております。それから自治庁では政務次官がお見えなつておりますから……昨日ももうすでに各省の大臣の意見も皆さん聞いておりますが、折角の御質問ですから、廣川さんからお答えを願います。
  20. 廣川弘禪

    ○国務大臣(廣川弘禪君) 只今吉川さんからのお尋ねでありますが、この利根川流域の開発、又他の河川利水面その他についてのお尋ねでありますが、法案自体に対しましては昨日安本長官からお答えがあつたようでありますが、私も全く同意見でありまして、国土総合日開発法を十分適用して行けば、この狙つておる効果は十分現わすことができると、こう私ども考えておるわけであります。又政府としてどの流域が一番利用効果があると考えておるかというようなお尋ねでありますが、各河川々々には私どもの所管関係から見ましても各特徴がございまするので、一様に順位はなかなか付けにくいのではないかと思います。單に川が荒れるから縛るということなら、これは付けられるかも知れませんが、非常に広範囲な利用価値を考えて見た場合にはそれぞれ特徴があるものでありますから、端的に順位を付けることは困難じやないかと考えております。
  21. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 これはやつてもいいんですか。この法安本を通しても……。政府を代表して一つつて下さい。
  22. 廣川弘禪

    ○国務大臣(廣川弘禪君) 先ほど申上げた通り、この国土総合開発法を十分活用すればでき得るということで御了承願いたいと思います。
  23. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 皆済んでいたならば、私は出席しなかつたのだからよろしうございます。
  24. 小林英三

    委員長小林英三君) それでは……。
  25. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 私もこの問題非常に関心を持つていましたけれども、まだ開いておりませんが、それは速記録で読むという手がありますけれども、速記録が数日のうちに来ればそれで読みたいと思いますが、重要な点は多少ダブりましても、やはり吉川委員の質問に対しては答弁頂きたいというふうに考えるのです。それでなければ速記録を今、明日くらいに頂きたい。
  26. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 本会議にかかるとか何とかの間に合うようにして頂かなければならんですね。出られないということは……
  27. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 岡野国務大臣がいないですから、小野政務次官から先ほど私が……
  28. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 つまりダブつて質問……徹底的に時間を費すという考えはございませんが、簡潔でもいいですから、重要な点はやはり繰返してやつて下さるか、そうでなければ速記録を今明日に読まして頂けるか、どちらを委員長とられますか。
  29. 小林英三

    委員長小林英三君) 昨日あなたはおいでになりませんでしたが、第二回の連合委員会を開会いたしました昨日の申合わせによりまして、第三回目の今日の委員会を以て連合委員会はこれで打切るということになつております。若し昨日の各省の大臣の答弁等について知りたいということがありましたら、それは速記録でそのことについて調査して下さい。
  30. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 調査したいから速記録を出して下さるかどうか。
  31. 小林英三

    委員長小林英三君) 速記録は速記課に行つて御覧下さつたらどうですか。
  32. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 それは私たちが本会議において態度を決定するまでの間に速記録が間に合うように渡されていなければ、本会議で態度を決定することができないということを兼岩委員が言われたが、それは僕も同感です。
  33. 小林英三

    委員長小林英三君) 何大臣のですか、全部ですか。
  34. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 今吉川さんの質問には……僕自身はまだ質問を持つておりますが、少くとも吉川委員の質問の……。
  35. 小林英三

    委員長小林英三君) ですからあなたの要求するのは何大臣ですか。
  36. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 安本建設……。
  37. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 私は吉川委員の発言に関連して議事進行でやつているのです。私自身建設大臣、安本、大蔵です。
  38. 小林英三

    委員長小林英三君) 大蔵大臣は渉外関係のことで御出席なかつたのです。今日も出席を要求しておりますが、そういう関係で御出席がなかつたのです。
  39. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 先ほどのは私が……総理もあれしておりますが、吉川委員の答弁を聞かして下さるか、速記録を間に合うように見せて頂けるものか、それをどういうふうにおきめになるかというんです。
  40. 小林英三

    委員長小林英三君) そうすると、吉川君の御希望は建設安本ですね。
  41. 吉川末次郎

  42. 小林英三

    委員長小林英三君) 自治庁長官は今日来るわけであつたのですが、先ほど岡本君がおつしやつたように、渉外関係で止むを得ないので、今小野政務次官が来ておりますから……。
  43. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 それじや小野政務次官から……。
  44. 小林英三

    委員長小林英三君) それじや小野政務次官から聞きますか……。
  45. 小野哲

    政府委員(小野哲君) 私からお答えをいたします。只今審議中の利根川開発法案の趣旨につきましては、総合的な計画が立てられまして、実施されるこの必要については私も全く同感でございます。ただ先ほど岡本さんなり或いは吉川さんなりからの御質問がございましたように、この法律が成立いたしました暁において、或いは利根川開発庁が設置され、それと関連して国土総合開発法に基いたいろいろの機関がございますが、これらの運営の面について如何にすれば最も効果的にその調整の実を挙げ得るかということが私は問題ではないか、かように思う次第でございます。従つて地方自治庁という立場から申上げますならば、これらの諸機関の中においてこの法律案に定められておりますような方法によつて調整を図られるということがあるわけでありますが、十分にこの点につきましては、運用の面について一層調整の実が挙げ得るようにという御配慮が願いたいということを申上げておきたいのであります。と同時に單に国土総合開発法とこの法律案関係ばかりでなしに、更に中央における諸機関がいろいろとあるわけでありますので、従つてこれら諸機関地方公共団体の相互間におきましてのやはり調整の問題があるのだろう。かような点につきましては、この委員会におきましても十分に御検討御審議を煩したい、かように考えます。
  46. 小林英三

    委員長小林英三君) なおこの吉川君の速記録の件を委員長においてできるだけ努力をいたしたいと思います。
  47. 竹中七郎

    ○竹中七郎君 私もこの問題に対しましては非常に敬意を表しますが農林大臣の、先ほどの御答弁が非常に簡單でございますので、一つずつ、四つばかりお聞きいたしたいと存じます。  この国土総合開発法によりまして、国土総合開発審議会において国土総合開発特定地域決定せられたか、その審議状況利根川のほかにその他たくさんあると思いますが、この点はどういうふうにお考えなつておりますかということを国務大臣としてお伺いしたいと思います。それから利根川流域の開発関係いたしまする現各行政機関計画事業を十分調整する必要は認めるが、本法案のような権限を持ちました行政機構を設置することに対しまして、どういうふうにお考えになりますか。その行政機構ができますというといろいろな弊害があると思います。それに対しまして農林大臣、国務大臣としてどういうふうにお考えになりますか。  第三点といたしましては、利根川流域の開発関係する現行政機構の計画事業調整は、国土総合開発法の運用及び審議会令の改正によりまする地域ごとの特別部会の設置によりまして、その目的を達成することができると思いますが、この点につきましてお伺い申上げたい。  第四点といたしまして、巨額の費用を要しまする利根川流域の開発事業を十年間にやるということになりまするというと、一年間に二百億以上の財政計画というもの、政府としてこの法案が通つたときにおきましてはどういうふうにお出しになるか、その点をお伺いしたい。  第五といたしましては、行政管理庁長官といたされまして現在の治山治水行政に対しまして、現在の官庁行政は上のほうが農林省或いは林野庁がやる、その次におきまして建設省河川改修をやるが、下流におきまして又農林省関係があると、こういうような関係がありますが、その官庁の改革をおやりになりまする御意思があるかどうか、こういうものは実際いろいろの問題がありまして、農林省建設省の兼合いが非常に多い。一つのものをやりまするについて予算でお前のほうがやるならばこつちはやらない、こういうような問題がございますが、この点につきまして一つ農林大臣並びに行政管理庁長官といたされまして御答弁を願いたいと思います。
  48. 廣川弘禪

    ○国務大臣(廣川弘禪君) 国土総合開発法が制定されまして浅いものでありまするから、まだあなたの第一点の点までは行つていないようであります。それからこの利根流域に関しての行政機関調整ができているかというお話でありますが、これも内部においては紛淆のないように調整をいたしておるようなわけであります。それから十年間に二百億ずつというお話でありますが、まだこの法案が通らないものでありまするから、どうも仮定の上に立つては申しにくいことかと思うのであります。それから特に最後に行政管理庁長官としての立場のお話でありましたが、私は実際に行政両を担当いたしまして、この河川或いは山林等を見まして、これは或る程度やはり一つのものにしなければならんと考えておりまして、案を練つているようなわけでありますが、適当な機会にこれは私提案いたしたいと思います。
  49. 竹中七郎

    ○竹中七郎君 一番の問題は巨額の費用という点でございますので、この点に対しまして政府はこれは当然若しも……若しもとも申しませんが、この案が通つたときにおきましては、どういうふうにやれるかということを聞いておきませんと、我々は予算の面におきましてその出し方がちよつと困るのですが、その点はどういうようにお考えになるか、十年間でやれるかやれないか、こういう問題ですね。可能性があるかどうかということはあの法の内容として考えられると思いますが、この点農林大臣から……。
  50. 石川榮一

    石川榮一君 関連して私から……、財政の問題でありますので、一参議院議員が自分の構想を申上げることは大変失礼でありますが、いろいろこの問題につきましては研究をいたしましたので、一応申上げたいと思います。農林省の十年計画建設省の十年計画林野庁の十年計画、又公益事業委員会の意図する十年計画等を勘案いたしますと、二千四百五十億円という数字が一応まとまるのであります。これは何らの関連性のない各省の独自の見解に立つたものでありまするから、私どもはこれが総合開発の線に統合いたしますれば、私ども相当の経費は縮減し得る。それが又総合開発狙いであるとも言い得るのでありまして、各省御随意に作りましたその案をつぶさに検討いたしますれば、統合した線に沿いまして検討しますれば相当に縮減し得るということが一つと、それからもう一つは、ややもいたしますると、この各省で案を立てておりまするときには、地方庁からいろいろの資料を取り寄せております。地方庁から出すものはややもしますれば若干の水ぶくれを予想して出すのが普通であります。こういう観点もありますので、一部六県に及ぶ地方庁から出しまするものにつきましても、相当に縮減の余地がある、かように考えます。こういう点から二千四百五十億円というものは全部の集計でありまするから、圧縮が相当できる、その率は少くとも一割、或いは二割はできるではないかという考え方、これは常識であります。それからもう一つは、この第二十三条の特別の法人を作りまして、その法人の手によりまして事業の一部を施行し、或いは投資をさせるということができるように謳つておるのでありますが、これは各地方からの要望もありいたしまするので、民間資金の導入を意図したところの特別法人を作りまして、政府資金と民間資金或いは各県資金というものをこれに投入させる途を講じますれば、これによつて相当に財政支出を抑えることができる。それからもう一つはこの特殊会社に対しまして、外資の導入も実は考えておるのであります。これは細かく折働したのではありませんが、総司令部でもこの点を強調しておるのでありまして、必ずしも不可能ではないだろうという言明は得ております。外資もこれに導入しようという考え方もある。それからもう一つは、この法案は全額国庫負担じやないことであります。いわゆる今まで法律命令によつて規定しておりますところの経費負担率はやはり県か或いは都が負担することになるのでありますから、私ども考え方では大体において国家支出は多くて千五百、……千二百億円程度でできるのではないか、かように考えております。総支出は二千四百五十億円ですが、圧縮し又外資の導入を見、或いはそれができなくても民間の資金の導入、或いは会社による……法的な研究も必要でありますが、利根川開発債券というような仮称のものを発行いたしますれば、県民の非常な熱意のあるところから考えまして相当の資金は集まるだろうというふうに考えます。真に国家が資金として出すのは千二百億円程度で済むであろう。そういたしますれば、一年間に百二十億でありますから、初めのうちは六十億か七十億でやりまして、次第に殖やして行く、そのくらいのことは日本の十年間の経済力は堪え得るであろう、又これは利根川に限らず、とにもかくにも今全国の水域における耕地が荒れ果てている現状から考えまして、刻下のなすべき大きな国策はこの国土の保全開発である、かように考えております。まあ予算的にはさように考えておりまして、十年間にやりますることは非常に困難でありますが、努力をしますれば官民の力によつてできるものである、かように考えておるのであります。以上簡單でありますが、提案者の考え方を申上げました。
  51. 廣川弘禪

    ○国務大臣(廣川弘禪君) まだこの案を実際に我々検討いたしておりませんので、財政計画等もまだ検討いたしてございません。なお又財政計画安本のほうの所管でありますから、向うのほうへ……。
  52. 相馬助治

    ○相馬助治君 さつきちよつと意見めいたことを申したのですが、改めて一つこの際石川さんにお尋ねしておきます。同僚委員の質問に答えて農林大臣は、国土総合開発法をよろしく運用すれば、利根川流域の開発即ち本法案に代るべきことができるということをおつしやつたのですが、そういうことはできないからしてかかる法案考えられたものである、かように考えるのでありますが、それらについてはどのような見解を持つておるかということが第一点。  それから第二に、先ほど岡本地方行政委員長がおつしやつた意見の中にも大分本法案に対して否定的な意味合が含まれており、且つ又吉川委員の言葉を借りるならば、国会議員が地区代表としてその利益のために狂奔しておる。あまつさえ県会議員並びに町村議員と……速記を調べないとさだかにはわかりませんが、侮辱するかのごとき言葉があつたのでありますが、これは国会議員同士として誠に如何なものかと思うのでありまして、私思うのに、このような法律案が出るということそれ自身が何も吉田内閣不信任でもなければ、それから吉田内閣の政策に対してどうこうということでなくて、今までの災害復旧工事その他を見ても、皆日本のこの種のやり口というものは賽の河原に似ておつて、崩れることを承知で石を積んでおる。そういう意味合を以て特に利根川流域というものが首都東京を持つておる関係その他を以て重点的に、而も啓蒙的にここから手を染めようとする石川さん初め皆々様の熱烈なる愛国的意思の表現であろうと、かく考えるのでございまするが、さよう了解してよろしいかどうかということが、第二。  それから第三点は、TVAを範としておると申しておりますが、これは常識的にもわかりまするように、アメリカにおけるTVA計画というものは十分なるデータがあり、確固たるプランがあり、何年でも施行するプランかあり、而も国にお金があつた。かかる三拍子が揃つてこの法律案が出た。日本の場合にはどうであるかということは喋々するまでもありません。而も利根川開発法案というものが議員提出で出るにつきましては、残念ながら今の国会制度ではこれは石川さんの責任ではなくて、十分なるデータを揃え、完全なる何びとも理解するようなプランをここに提示するということがすでに不能に近い。そうしてこういう法律案が議員提出を以てここに出るというと、当然金がかかるからして、政府側においではこういう法律案は好ましくないとか、他の法律を使えば何とかなるであろうというような、その場を糊塗するような、或いは極めて自今勝手な意見というものが一応含まれたところの政府側の見解が開陳されることは容易に想像されるのであります。従いまして、私はこの際石川さんに確めておきたいことは、本法案の発議に当つて政府内の関係筋との了解した工作だと申しまするが、それが概略でよろしいからどうなつているかということ、並びに是非お聞きしたいことは、自由党の政策審議会において本法案が如何なる取扱がされて今日に至つておるかということ。なぜかかることを聞くかと申しますると、名前は挙げませんけれども発議者の中に名を連ねた与党議員のかたで、頼まれたから署名したのであつて、どうもあの法律案は云々というような誠に頼りないことを聞いて、私も又この法律案関係している地区から選出された議員の立場からは残念に思いますると共に、そのような形において本法案審議されている、而も議員提出を以て審議されておる。そうして先ほど吉川さん、それから地方行政委員長の岡本さんの意見というものも内容について失礼な批判めいたことを申しましたが、そういう質問が当然出るような形において本法案が出されておる。こういう現実に鑑みまして、先ほど申しまするような政府との了解がどうなつていたか、自由党政策審議会において本法案がどのような形において取扱われて来たか、これらの点について一応御意見を承わつておきたい。こう存じます。
  53. 石川榮一

    石川榮一君 お答えいたします。只今の第一の御見解、政府当局の御答弁国土総合開発法を強化して努力をすればこれはできるであろうというお話であります。これは実は国土総合開発法を作るときにすでに実践に移すべき心構えを以ちまして、あの法案はやられなければならなかつたのでありますが、まだ日が浅いということを言いましても一年も経つております。只今国土総合開発審議会にかかつておりますものがどのくらいあるか私は今日聞いておりませんが、とにかく各府県知事が作るその県におけるいわゆる国土総合開発計画、これらはそうたくさんは参つておらない。ましてや特定地域などの指定はまだはつきり指定しておらないようであります。利根川流域におきましては、この法案を出す前に実は特定地域の申請をしたのでありますが、これもまだはつきりしておりません。かように考えてみますると、今の国土総合開発法並びにその事務局の運営は非常にその規模が小さくて、私どもから考えますると、今まで折衝した経過から見ますると、構想は持つておるかも知れませんが、余りにも貧弱である。国土総合開発法の精神を躍動させるような機関を持たない、事務局ではない、事務どころであります。事務室に近いものです。單なる事務所で全国の国土開発計画をやるということが可能でありましようか。それは余りにも私ども国土総合開発法なるものの法律を軽視するものである。若し軽視したのではないとすれば為政者が誤つておるということを言いたい。それに頼ろうという気持が、恐らく皆さんのお話のうちでも国土総合開発法があれば何でもできるかのようにおつしやいますが、これはただプランを集めるだけ、そのプランもみずから作るんではない、各県庁から持寄せる。特定地域を指定しましてもその特定地域行政官庁二県なり三県のかたがたを集めて協議をして作る、それを報告するのです。報告して報告したものを建設大臣は総理大臣に報告する。総理大臣はこれを審議会にかけます。かけて出たものをその成果によつてそれを出しましたところの自治官庁に向つて勧告をする、これで終るのであります。取寄せて勧告をするだけなんです。ですからその機能が全国の各地を調べまして真劔に国土総合開発をするために大きく活動して、特定地域を申請しなくてもみずから進んで特定地域をきめて調査をするというような機能を発揮しておらない。そこまで要求しておらない。要するに全国のプランを作るというのがあの法律です。それに頼つてできるということなら、私はあの法律はもつと強化した法律にしなければ、あの法律だけではでき得ないと思います。あれは本当にプランを作る、プランを集める機関です。それしか考えられない。それよりも私ども利根川のような全国の一番大きな、而も帝都を守る特殊なもの、先ほども申上げましたが、ここにおる住民は千五百万であり、又全国の四分の一もありますような大きな平野もあり、米におきまして一四%、大麦では四三%を取つております。人口においても約一割から二割に近い。かような所に荒れ果てた、荒れ狂う大きな川がそのまま存在しているということは、私どもはこれを今の総合開発法の、又あの機関でできようとは考えていません。そのように止むに止まれず国土の荒廃をこのままにしておけないということと、現実東京都を守り、この災実を防止し、そうしてあらゆる資源をこの際潤沢ならしめ、これに検討を加えまして、総合計画の下に開発をすることが非常に経済自主性を高めるものであるという見地に立つておるのでありまして、先ほど吉川先生から大分御批判がありました、村会議員、町村長がやるようなことだということが出ましたが、そういう気持は絶対に毛頭ございません。私どもはそういうふざけたつもりでやつているのではないことをはつきり申上げます。私ども利根川沿線におきまして泣きながら鋤鍬とつてつておる、そうして毎年の水に追廻されている農村の気持を汲取つて、議会に反映しようと思つているのであります。それから第二項のお説は私は賛成であります。断じてふざけているのではないことを御了承願いたい。  最後の自由党の内部としてこの問題についてどうかというお話、御尤もであります。参議院自由党の政調会にはこれを細かに説明いたしまして、そうして皆様がたの御賛同を得ておるのであります。衆議院のほうの政調会につきましては、衆議院の人に任しておりまして、私ども出席しておりませんが、衆議院の同士諸君がその方面を担当して下さつていることなので、その情勢はしつかりとは聞いておりませんが、大体において御了承を得ていると思います。又この問題を取上げましたのは、昨年の六月以来今日まで各所管大臣には二回なり三回官邸でお目にかかりまして、この問題の研究並びに法案の作成等につきまして、いろいろ御意見も伺つて参つたのであります。はつきりは言えませんが、大体において私どもは御了解を得ているという確信の下に実は参つておるのであります。今日いろいろな議論が出て参りましたので、ややともしますると、この政府当局意見も大分私どもからすると、従前から考えますると愼重さを増して参りまして、何といいますか、退色鮮やかなるものがあるのであります。これは皆様がたのこの法案に対する真劍なる御批判の現れだと思いますので、私どもは決して気にしておりません。私どもは大臣の説も、課長の説も聞き、或いは経済安定本部等に参りまして、建設局の諸君と二、三時間も議論を闘わしたこともあります。あらゆる方面と実は官僚の諸君と闘つて参りました。熾烈な反対を受けました、受けましたが、私どもはその反対を真の反対と考えません。事務的な反対である、国土を守ろうという耿々たる念による反対でない、自分の立場を擁護する反対であるかのようにしか考えませんから、今日までこうして参つたのであります。要は参議院のかたがたの御良識の判断によつて是非ともこの法案を御審議の上、可決して頂けることを心から念願するものであります。大臣並びに自由党の政調会のことについて以上申し上げました。
  54. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 議事進行について……。昨日のこの委員会では、今日大蔵大臣の御出席を求めて一日延ばすというお話でありましたが、御存じの通り大蔵大臣見えておりませんし、又吉川さんからも兼岩さんも御質問がありまして、速記録は果して間に合うかどうかわかりませんから、却つてこの委員会は早くやるためにももう少しく大臣の御出席を願いまして、日を延ばしたほうがいいと、こういうような考えなんですが、如何でしよう。
  55. 岩崎正三郎

    ○岩崎正三郎君 私はこの問題につきましては、初回の連合委員会ときに、質問者はできるだけ残つてつて午後にでも引続きやつてもらいたいという発言をしたところが、成るべく皆さんのいるときに質問したほうがいいというので、委員会を更にということでございまして、又本日にもなつたわけであります。三回の委員会をやつておりまして、今日は恐らく大体の質問は済んだと思うのであります。それで済まない人は従来二日間も来ないで、今日になつて来てどうしてもやるということは、これは私は議員としての職責を十分にやつていないと思うのであります。当時来なくて、最後になつて来て又やつてくれということは、お互い議員として慎しまなければならんと思うのであります。更に申上げたいことは、質問を続行したいと言つて大蔵大臣に再三これは委員長からも要求している、実際において来られないのです。又待つたところで来られない。私は恐らく更に質問をしたいという人は一人か二人だと思うのであります。そう考えて参りまするならば、すでに三日間も近合委員会をやつた以上は速かに建設委員会に廻してもらつて、そうしてその際に更に質問をしたい人はこの会において質問してもらいたい。かように考えるのであります。でありますから、もはや三日間もやつたということは連合委員会としては誠に珍しいことでありますから、適当なところで連合委員会を終了してもらいたいと、かように思います。
  56. 河井彌八

    ○河井彌八君 今赤木君の御発議になつたように、この委員会をもう一回なりせめて……私は大蔵大臣に質疑をしたいと思うのであります。連合委員会をもう一度延ばして頂きたい、実は昨日おきめになつたことも私はよく承知しております。それで私は第一回でも第二回でもすべて出席しております。それでどうしてもこの法案について一応は発議者なり政府の説明を承わりまして、自分の了解を得たつもりであります。併し何としてもこの案が生きようが潰れようが、どうしてもこの公共事業費を殖やすというそれが一番の重大な点であります。従いまして私は一議員としてここに出席して、やはりこの連合会を開いてその席において大蔵大臣にそういう問題について十分な意見を質したいという希望を持つておりまするから、赤木君の発議せられたるがごとくに、やはりもう一回是非大蔵大臣に出てもらつて、その機会を与えるために連合委員会をもう一回開いて頂きたいということを申上げるのであります。
  57. 小林英三

    委員長小林英三君) 委員長考え方としましては、もう今日で三回やりまして、昨日の小川君の御意見によりまして、今日を以て連合委員会を閉じたい、こういうことにまとまりましたものであります。先ほど岡本君からも大蔵大臣に対する質問もあるというお話がございましたのですが、これからのち又建設委員会としましても審議の日にちも急いでおりますので、建設委員会におきまして大蔵大臣を呼んでそういう機会も与えますから、委員長として建設委員会において一つ審議を頂きたいという了解を得てありますが、河井さんもどうでございましようか。そういうふうにしてそういう機会を与えたいと思いますから、建設委員会に来て一つ大蔵大臣にお願いいたします。
  58. 河井彌八

    ○河井彌八君 私は、建設委員会に出て大蔵大臣に質疑をすることは、これをお許し下さることは議事規則上においてもこれは明らかだと思います。併しそれよりもやはり大蔵大臣出席のときに最も重大な要点、それについてはやはり連合委員会を開いて頂きたいということを私はもう一度繰返してお願いいたします。それは併しそれでもわからんとおつしやれば、これはもうこの委員会の御決定に従うほかはありませんけれども、自分はその点を強く要請いたすものであります。
  59. 小林英三

    委員長小林英三君) 今の御意見如何ですか。大体今日で連合委員会は終了したいと思いますのですが、昨日もそういう申合せをいたしております。
  60. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 先ほど申した通りに、殊に内閣委員長からもああいう御意見もあります。無論私は建設委員ですから、建設委員会で質疑しますが、皆さんの御意向を大蔵大臣から聞くということは非常に大事だと思います。建設委員会審議する上からも連合委員会をもう一度お願いいたします。当然だと私は思います。
  61. 奥むめお

    ○奥むめお君 先ほどからそういう何が出ておりませんけれども委員長も御承知のように昨日小川さんから提案されておりましたのは、明日大蔵大臣質問をするからもう一回延ばして、明日で打切ろうじやないかという条件が付いていたと思うのであります。今日大蔵大臣がお見えにならなければ、私も経済安定委員といたしましてやはり責任ある立場で大蔵大臣の御答弁が聞きたいと思つておりますから、これは無理にここで打切るというところに無理があると思うのでございますが、反対いたしまして、是非皆さんの総意できめて頂きたいと思います。
  62. 小林英三

    委員長小林英三君) 連合委員会を更にもう一回やるという御意見が、相当あるのですが……。
  63. 尾山三郎

    ○尾山三郎君 この法案は非常に重要な法案であります。先ほど来もう一回延ばして審議するという説は、私はそれを無理に遮つて今日これで以て打切らねばならないという問題では私はなかろうと思います。円満なる運営を図る上においては一日くらい御延期されてもよろしいじやないか、これは議事を円満にやる上で私は先ほどの河井君の動議に賛成いたします。
  64. 小林英三

    委員長小林英三君) ちよつと懇談をいたします。速記をとめて……。    〔速記中止〕
  65. 小林英三

    委員長小林英三君) 速記を始めて……。それでは連合委員会はもう一回開くことにいたします。大蔵大臣並びに自治庁長官出席を要求いたしまして、各委員長に連絡いたします。
  66. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 石川さん及び廣川農林大臣質問いたしたいと思つておつたのでありますが、廣川君は出て行つたようでありますから、石川さんだけにお尋ねいたします。利根川開発庁長官ということを言つておりますが、これは先ほど来私が申しましたようなことによつて、この法案が通過いたしますというと、恐らくは私は各地方から国費を大分使いましてこの事業をやるのでありますから、挙つて同一法案が恐らく議員提出の形において提出されて来るだろうと思うのであります。そうするというと、この長官というものだけを見ましても、これは大臣級のものだと思いますが、国務大臣級の利根川開発庁長官と同じように、熊野川開発庁長官であるとか。只見川開発庁長官であるとか、いろいろな長官が恐らく猛烈に出て来ると思うのでありますが、そういうことについての提案者としての石川さん、及び特に行政管理庁長官としての横川君の意見を聞きたかつたのですが、おりませんから、これを一つ聞かせて頂きたいと思います。と申しますのは、先ほど石川さんが私の申しましたようなことについて、ふざけて言つておるのではないかというお話がありましたが、私は十分石川さんのお心持はよくわかつておるのでありまして、決して冷かすとか、変な意味で申上げておるのではないのであります。あなたの熱意に対しては平素非常に敬意を表しておるのであります。而して建設委員会のかたには甚だ相済まんようでありますが、前例がないわけでないのであります。私が今憂えておることにつきましては、この法案は非常にまじめに熱心にやつておりますが、参議院の建設委員のかたにはそういうかたは少いのですが、どうも衆議院の議員提出案というのは非常にいい加減な、あやふやな、つまらない内容のものが今日まで非常に多いのでありまして、例えば地方行政の全体系を紊るという意味において、岡本委員長も私も猛烈に建設委員会との合同委員会で反対いたしました別府国際観光温泉文化都市法というような、実にそのとき私は国会のこれは恥であるとまで言つたのでありますが建設委員会はこれを我々の意思に反してお通しになつたのであります。ところが果然それが前例になりまして、その後同様なるところの愚劣なる法案地方自治体からも十以上出て来て、収拾することができないようになつて、前例があるからこれは皆通そうじやないかということになつておるわけであります。これは私は通るならば、その内容はこれは非常にアイデアもいいし、結構でありますが、やはりそうした地方的な利害に偏して、総合国策の見地を離れてそうした結果を来すということは、私は国会議員として非常に心配する。そういう点から先ほど申上げましたので、一つ誤解ないように願いたいのでありますが、ただ一つ利根川開発庁の設置及び長官というようなことを中心として今のようなことを心配されるのでありますが、それについての一つ答弁を願いたいと思います。
  67. 石川榮一

    石川榮一君 お答えいたします。先ほど私が言い過ぎました点に対しましてはお詫びいたします。御親切有難うございました。今御指摘になりましたようなことも私どもは非常に憂えて、この問題をここまで持つて来るうちに心配したのであります。ほかの今御指摘の温泉都市法案というようなものとは類が違いまして、国土開発であり、而も相当予算を持つものでありますだけに、これは真劍に議会では研究するに違いない、その研究する場合における順位といたしまして、若しやるとすれば利根川を第一に挙げて、そうして御審議をお願いしても、これはその比較において私どもから考えますると、決して無理からんことである、利根川総合開発するということ、他の川に先んじてやるということが必ずしも私は利根川の特殊性から考えまして、又災害、並びにこれの目標を実施した上における経済価値の大きさ等から考えまして、私ども利根川を取上げても決して間違いでないという確信を持つておるわけであります。又他の河川からもそういうようなもくろみが最近ぼつぼつありますことも実は伺つておるのであります。これがたくさん出まして、どうもあらゆる河川がこれと同じような形を持つて参りまして、而も議会が温泉都市法案を通すように、どうも前通したから通すというような簡單なことで通すことがあつては大変でありますが、事が非常に大きな予算を呼ぶことでもあり、或いは又施工費もこれに関連して相当大きな負担をせなくちやならんものでありますだけに、地方自治庁の肚と国の肚とが一致しなければこれはなかなか出ない、かように考えておりまして、温泉都市法のようにたくさん出るであろうということは私どもは想像しないのであります。或いは二つ、三つ程度は出るかも知れません。出てもそれは利根川とその川とを比較して見まして、やはりこれも利根川と同じように特殊な性格を持つて、どうしてもこの際なけなしの窮乏予算の中でも取上げようという議会の協賛が得られるならば、これも結構である、そういうときには利根川の今の開発庁に加えますのに、例えて申しますれば、北上川の場合には利根川、北上川開発庁ということになつて、一本でこれはやつて行けるものである、審議会は或いはダブるかも知れませんが、その官庁は利根川開発庁と合流してできる、たとえ三つありましても、一開発庁で一国務大臣の下にできる、かように考えております。全般的にこれを見て、どうしても議会が十も二十も取上げるということになりますれば、おのずからそこに開発省、或いは天然資源省とか言われております新らしい構想の下に行政の改革が大きく行われまして、そうして全国的の規模における各水系総合開発を実現し得る機能を持つところの官庁ができるかも知れませんが、今の段階ではそこまで行かずに、利根川開発庁ができました場合には、これに合流いたしまして、一つの役所で運営できるもの、かように考えておるわけであります。
  68. 小林英三

    委員長小林英三君) 時間も経過いたしましたから、本日はこれで散会いたします。    午後零時三十四分散会  出席者は左の通り。   建設委員    委員長     小林 英三君    理事            岩崎正三郎君            赤木 正雄君    委員            石川 榮一君            平井 太郎君            深水 六郎君            徳川 宗敬君            東   隆君   内閣委員    委員長     河井 彌八君    理事            尾山 三郎君            梅津 錦一君    委員            郡  祐一君            林尾亀次郎君   地方行政委員    委員長     岡本 愛祐君    理事            堀  末治君            吉川末次郎君            竹中 七郎君    委員            高橋進太郎君            安井  謙君           小笠原二三男君            相馬 助治君            西郷吉之助君            石川 清一君   経済安定委員    理事            奥 むめお君    委員            藤野 繁雄君            兼岩 傳一君   国務大臣    農 林 大 臣 廣川 弘禪君   政府委員    地方自治政務次    官       小野  哲君   事務局側    常任委員会專門    員       武井  篤君    常任委員会專門    員       菊池 章三君    常任委員会專門    員       藤田 友作君    常任委員会專門    員       杉田正三郎君    常任委員会專門    員       福永與一郎君    常任委員会專門    員       武井 群嗣君    常任委員会專門    員       桑野  仁君    常任委員会專門    員       渡邊 一郎君