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石川榮一君 お答えいたします。
内閣委員長の
河井彌八さんから詳細な御
質疑がございまして、誠に有難うございます。私
どももお説の
ような面から、いろいろこの問題を出します間には検討を加えて参
つたのであります。
国土総合開発法がありますから、こういうものは屋上屋ではないかという
考え方を以ちまして、種々検討を加えて参
つたのであります。あの
国土総合開発法は
只今お話のありました
ように、都県の
総合開発計画、特別
地域を指定されたところの
総合開発計画、これらをその
行政責任者である府県
知事或いは特定
地域におけるその責任者から、建設大臣を通しまして総理大臣に報告をする。総理大臣はそれを
関係行政機関に諮問いたし、そうしてそれを
国土総合開発審議会にかける、その答申を得たものを又
関係行政機関に勧告をするということにな
つておるのであります。要するに
国土総合開発法の
狙いは、
全国的な国土
総合開発の一応プランを立てまして、そうして大きな国土
開発計画としての一環から眺めて、
日本の国土
開発をどうするかという大きな
狙いがある
ようでありますが、その
実施面におきましては、何らの責任がないのでありまして、単に報告を受け、勧告をする。勧告を受けたところの自治体は更にそれをよく考えてや
つて行くということになるのでありますが、大体におきまして、プランを作る、そうして一応それを調べて見るということだけにな
つておるのでありまして、それを
実現するところの
推進或いは
実施をするとかいう何ら
規定がないのであります。従いまして、今の国の財政
状況から考えますれば、年々歳々起る
災害復旧は殆んど手も付けられない
ようなわけであります。三年前のものを今や
つておるという
ような現実の面から考えまして、この
全国的な
総合開発計画の
立案はできましても、これを
実現するということは遠き将来のことでありまして、差当りその意義が誠に少い。こういう
観点から私
どもはこの
水域はこのままにして置けない。非常に窮迫な緊急な状態にな
つておりますので、
実施を
中心とする企画、
計画を、ただ
実現性が或る
程度まで
見通しの付くことによる
総合計画を進めたいという基本的な
考え方でありましたので、この
国土総合開発法の特定
地域として、一応は文章ではできることになりますが実質面においては
国土総合開発法では、何ら
推進或いは
実施するということが
権限上できない。単に報告
機関であり、監督
機関である、
一つのプランを立てる
計画機関官庁である、か
ように考えるのであります。若し
国土総合開発法が本当に活撥に活動するならば、今の
国土総合開発審議会事務局の
ような、あんなちつぽけなものでは問題にならん。少くとも
全国の
総合開発をやるとするのであるならば、大きな本当に権威のある
機関を設置して、相当の
予算をとりまして、活撥に運行しなければならん。ところが今の状態は各県から受ける企画、
計画を収集するにとどまりまして、機能が余りにも小さい。そういう積極性を持ち得ない気の毒な
状況にある。大きな重大な責務は負わされておりますが、その機能は実に微々たるものでありまして、私
どもは
国土総合開発審議会のあの
事務局の諸君のお気の毒な点につきましては、非常に同情に堪えないのであります。で、
政治は理想を一応考えるのでありますが、先ず第一に理想に近ずけるための
実現をすることが
政治である、か
ような
観点に立ちまして、今置かれております
利根川の
ような荒果てた
ような
状況、このまま放置することのできない
ような危急の状態にありますものは、ただそういう
実現性の薄いプラン的な
計画があるから、行く行くはできるのではないかという
ような実は時間の余裕を持たないのであります。若し幸い
国土総合開発審議会がすばらしい活躍をして、国費をどんどん投入するということになりますれば、おのずから私
どもの考えも違うでありまし
ようが、今の
状況では
国土総合開発審議会の
中心機関である
事務局は、
事務局ではなくして
事務所、単なる
事務所であります。それに大きな期待をかけること自体が私
どもは誠に腑に落ちない。今のお話の
ように、
国土総合開発審議会があり、あの
法律が生きて
実現性を持たせる
ような仕組みにな
つておるならば、私
どもは或いはこれを皆様の前にお願いしなかつたかもわかりませんが、今の
状況は期待を持てない。従
つて私
どもが知り得る限りの各府県におきましては、
法律に余り期待を持
つておりません。急いで出すとい
つても、どうせ出して見てもできるはずがないので、いつのことかわからないのだという感じがやはり起
つておりまして、失礼ですが、あの
法律はできましても余り期待を持
つておらないのが
地方行政官庁の
状況であります。
只今私
どもは聞いておりませんけれ
ども、
全国から集まつたということは聞いておりません。或いは
全国の半分くらいしか
計画が集ま
つておらない。特に
利根川の
流域について
関係官庁に伺いますと、これからこれを調べるのだとおつしやり、まだ手を付けておらない。これは各
建設省、
農林省等には独自の
総合開発計画があるのでありまし
ようが、まだ本気にこれに手を付けるまでに至
つておらない。それは要するに
予算が国土総合
審議会の
事務局に少い、人員が少いからだ。機能が非常に小さいからだ、こういう点から考えまして、一応の
全国プラン、
計画としての
国土総合開発法は結構でありますが、
利根川の
ような特殊の
地域と相成りますと、これにはどうしても
実現性を持たして行きまして、真劍に
技術者が明朗な将来を夢見つつ、本当に一生懸命に
技術者がこの
法案を
中心として
開発と取組む
ような姿にしたい、こういうことで実はこの
法案を、
国土総合開発法はありますけれ
ども、出したのであります。従いましてこの
調整は総理大臣にその
調整権を認めまして、
開発庁
長官と
国土総合開発審議会の
意見第の
調整をして頂く。できることなら、北海道の
ように特別地区として、
利根川の
総合開発法案を成立さして下さつた以上で、一部この
附近だけはこの
総合開発法のうちから除いて頂くことも
一つの方法ではないか、要するに特殊な
地域であるということの御認定を頂きまして、すでに北海道にもあるのでありますが、北海道は全域に亘る水
計画ばかりではなく、一切の公共
事業です。私
どものは
利根の
水系を
中心とする、
水資源を
中心とする大体の
総合計画であります。そういう意味合いで
国土総合開発法のありますにもかかわらず出しました
理由は、以上の
通りであります。それから材料について十分でないということについて、十分あるという話でありますが、それは私も
各省を廻りまして、その資料を頂戴しました。しましたが、これは昨年の十月頃閣議の話合の中に、
利根川を
総合開発し
ようじやないかというお話が出たという噂があ
つたのですが、当時急いで
各省もこの
総合計画に対する資料の提出を、求められた。そこで各府県に急いでその資料提出を求めたのであります。そうして
建設省、
農林省等が
中心で一応の数字を集めたのであります。ですから相当の
調査研究をしておるのではありまし
ようが、要するにかき集めた資料の
集計、そういう
ようなわけでありますので、必ずしもこの
集計が私
どもは不正確とは言いませんが、万全の資料でないということを言い得ると思うのです。こういう点から実はこの資料は相当ありますけれ
ども、中に相当まだまだ研究しなければならんものがたくさんあるということを申上げる次第であります。それから
電力の問題でありますが、これは公益
事業委員会に
関連を持つのでありまして、公益
事業委員会事務局等とも交渉したのでありますが、さまで反対はないのであります。今置かれております発電
事業は最も急を要する事件でありますので、この
利根川の
洪水防除をするための
施設としての、その
ダムを
水力電気に利用するということは非常に結構だという
ような
意見でありました。仮にこれを
水力電気のほうで試みましても、
建設省は治山
治水の面からこれを制抑する傾向があります。そこに必ずしも仲よく行
つていないという点は指摘できるのであります。
電力会社は
電力を作りたいという一本で進んで、一方は治山
治水を
中心として
電力を規制し
ようという、
電力源の
施設に対して鋭いメスを加え
ようという態度もないわけでありまして、自他共にこれは非常な、実は不便を感じておる。そのために
水力電気のスムーズな発展はなかなか困難であるという状態も私
どもは見てと
つておるのであります。この点もこの
法案によ
つて、何とかスムーズに一本の線でできる
ようにいたしたいというふうに考えておるのであります。
行政簡素化の問題でありますが、これは御説御尤もであります。私
どもも今の
行政官庁の煩瑣には本当にこりておりますから、とにかくこの
行政簡素化を徹底してもらいたいということは、決して先生と
意見を異にするものではない。全力を挙げてこの点は私
どももその必要を強調する一人でありますが、
行政簡素化ということが必ずしも必要とする
施設をまであげろという意味ではなく、比較的軽い
事業であり、軽い
行政官庁はこれを他に合併する、或いはお互いに摩擦の余り多いものは
一つの省にしてしまうというのが
狙いであろうと思うのです。どうしても必要だとする場合には、余り大きな経費を要せない場合には、新らしい官庁も、これも広い意味における簡素化の
一端を担ぐものである。不要なものはどしどし減らす、絶対に必要なものは、
予算に余り大きな
関係を持たないものであつたならば、これを新設することも
行政簡素化の広範な意味において決して見捨てたものではない、こういう考えが方が
利根川の
開発庁なるものを新設する
ような、いわゆる矛盾した議論なんでありますが、どうしても必要なものはやむを得ない、必要でないものは徹底的にこれを簡素化するということにして頂くことを私
どもは固執する。
行政簡素化に必ずしも背馳するものではない。どうしても必要なものは、これの新設も又やむなしという
考え方なのであります。それから
水系ごとに国土、この
利根川開発法案なるものがたくさん出はせんかという御心配、これは初めから私
どもも心配しておる。温泉
都市法の
ように続々出て来るのではないか、か
ように心配しておる。それは出て来る
ような
日本の状態である
ようにも考えられる。どの河川も、どの河川も非常に荒れ果てております、それから選出しております代表者の国会
議員の諸君はこの問題の
解決に狂奔しておられることは事実であります。
全国的な問題であります。
予算の
見通しは殆んどないわけであります。どの川も、どの川も荒れ放題にしておりますから、それを
解決し
ようとして熱意ある国会
議員が立ちまして、各
水系ごとに、か
ような
考え方を以て殺到して来ることは私は当然だろう。私
ども決してそれは不自然とは思いません。自然に出て来るものでありまして、これはやむを得ない、そういうことになりますれば、おのずからこれは国策の大転換でありまして、国土の保全
開発が国是の基本方針だということになる。従
つて予算は重点的にこれを投入される
政治情勢になるであろうと思います。そういうことになりますれば、そのときの
状況によりまして、私
どもが今考えておりますこのことがどういうことに相成りますか、わかりませんが、今振りかか
つて参りました現在の問題を
解決するのには、将来そういうことがあるだろうということを予想して待
つておるわけにも参りません。あえてこれを皆様にお願いするわけでありますが、私は恐らくさ
ような情勢にはありますが、温泉
都市法の
ように五つも、六つもどんどん出るということはないだろう、若しそれがあるとしたならば、
国土総合開発審議会の機能を拡大強化しまして、非常に実践力の強い
機関を作らせまして、それによ
つて各
水系ごとにおやりになるのも私はよいと思う。若しそういう
ようなことが将来立派なものができましたときには、或いは
利根川総合開発法案なんか要らなくなる。要らなくなることを欲するのですが、現在の
政治情勢では私
どもは途は甚だ遠いと思う。そういう
政治の貧困さも私
どもは非常に遺憾と思います。私
どもは、戦争中に泣き抜きました
農村人は……、戦争の犠牲者の大部分は
農村人であります。国土の荒廃にあ
つて、
食糧増産に泣きつつ鋤、鍬をと
つているのも
農村人であります。この
農村人の真の叫びが議会にぱりぱりと反映することを欲するのであります。ややもいたしますると、
農村の施策はうつちやりの
ようです。茫ばくとして荒廃しておるあの
水系の荒れ果てました耕作地、あの耕作地と取組んでおります血みどろの
農村人のこの諸君の気持を考えますときに、そつとして置けないのであります。その点からしまして、私はあえて
皆様方にこういう、大変大それた
法案の
ように思うかたもあると思いますが、私は最小限のこれは農民の熾烈な声でありまして、その声を私
どもは代弁するに過ぎない。どうか
是非とも私
どもの意のありますところを……、
農村の荒れ果てています、あの水辺に住んでおります
農村人のことを思いまして、国策をどんどん
推進して頂きたいと思います。特にこういう問題は
政府に任してはできません。恐らくは大臣は自分の省内における反対に押し切られまして、それを提案するだけの措置は私はとれないと思いまして、あえて国会
議員諸君の良識の判断によりまして、救
つて頂くためにこれを出したのであります。どうか以上の点をお考え下さいまして、
是非とも御
協力あらんことを切にお願いいたします。