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1951-05-15 第10回国会 参議院 建設・内閣・地方行政・経済安定連合委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年五月十五日(火曜日)    午前十時三十一分開会   —————————————  委員氏名   建設委員    委員長     小林 英三君    理事      岩崎正三郎君    理事      赤木 正雄君    理事      小川 久義君            石川 榮一君            島津 忠彦君            平井 太郎君            深水 六郎君            小林 亦治君            田中  一君            三輪 貞治君            徳川 宗敬君            久松 定武君            田方  進君            東   隆君   内閣委員    委員長     河井 彌八君    理事      楠瀬 常猪君    理事      梅津 錦一君    理事      尾山 三郎君            郡  祐一君            松平 勇雄君            横尾  龍君            カニエ邦彦君            堂森 芳夫君            楠見 義男君            竹下 豐次君            林屋亀次郎君            大山 郁夫君   地方行政委員    委員長     岡本 愛祐君    理事      堀  末治君    理事      吉川末次郎君    理事      竹中 七郎君            石村 幸作君            岩沢 忠恭君            高橋進太郎君            安井  謙君           小笠原二三男君            相馬 助治君            中田 吉雄君            西郷吉之助君            鈴木 直人君            岩木 哲夫君            石川 清一君   経済安定委員    委員長     佐々木良作君    理事      山本 米治君    理事      永井純一郎君    理事      奥 むめお君            泉山 三六君            中川 以良君            野田 卯一君            岡田 宗司君            川上 嘉市君            藤野 繁雄君            菊田 七平君            兼岩 傳一君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○利根川開発法案石川榮一君外百十  二名発議)   —————————————    〔小林英三委員長席につく〕
  2. 小林英三

    委員長小林英三君) それでは只今から利根川開発法案につきまして、経済内閣地方行政並びに建設委員会連合委員会を開会いたします。先例によりまして建設委員長委員長の職をとります。  本法案は去る五月九日に建設委員会に付託されまして、十日の日に提案理由説明を承わりまして、その後二回委員会を開会いたしまして、逐條審議をいたしまして、逐條審議はすでに終了いたしているのであります。そこで先ず連合委員会におきましては、すでに文書を以ちまして、提案理由説明並びに本案の説明書を配付しているわけでありますが、この際簡単に提案者から本法案大要につきまして説明を求めることにいたしたいと思います。
  3. 石川榮一

    石川榮一君 本日は利根川開発法案関係いたします関連する各委員会連合委員会を御開催に相成りまして、本法案のために格別なる御尽力を煩わしますことを心から厚くお礼を申上げます。この利根川開発法案は御案内よう議員立法でありまして、格別の御援助をひたすらお願いする次第であります。この法案提案理由を申上げる前に、この法案を提出するに至りました経過の大要を御参考までに申上げて置きたいと思うのであります。  去る昭和二十二年九月に起りましたカザリン台風における埼玉栗橋附近からその上流に亘り二百メートルの大決壊が起りまして、御承知よう埼玉県の北半分、東京都の江東三区を二十六日間、酸鼻を極わめ惨害を与えましたことは皆様方承知通りであります。当時の内閣はこれに全力を傾倒いたしまして、これが復旧工事に狂奔いたしましたが、われわれ思う通りに参りません。その被害は実に一部五県に亘りまして、全額にいたしまして、当時千三十五億円と称せられておつたのであります。人命の損傷は二千二百余人に至つた前代未聞惨害を来たしたのであります。爾来この利根の恐るべき災禍に鑑みまして、東京都を中心とします関係都府県、群馬、埼玉、千葉、茨城、この一部五県の県民は期せずして大会を開きましてこの利根川あり方につきまして、非常な決意を以てこれが解決をしなければならんということで翕然として立つたのであります。爾来一部五県の知事県会中心としまして、あらゆる階層からの総意の下に一部五県の利根川治水同盟というものが結集されました。今日までその治水同盟利根川災害復旧工事並びにこれの改修計画の急速なる実現に努力して参つたのでありますが、御案内通りに、国家予算は窮乏しておりまして、又利根川に割当てられます予算等も誠に貧弱でありまして、今日の予算状況から考えますれば、大体におきまして百年はかかる、よくやりまして、百年かかるという結論に到達したのであります。こういう非常な災害を招き、又将来の見通しにつきまして、暗澹たる状況に立つております一千五百万の関係住民は非常な憤懣の下にこの利根川治水問題に対して注視をしておるわけであります。私ども一部五県に関係を持つ関係国会議員は、この事態重大性に鑑みまして、抜本塞源的の施策を講じなければ、由々しき一大事が起るというように考えており、又国策もその線に沿うべきであるという考え方から、いろいろ協議を続けて参つたのであります。そこで利根川根本改修を根幹といたします治山治水利水一切の利根流域関係を及ぼします水の行政は、一貫したところの計画の下に、そうして将来経済文化の進展によりまして、あの水路に及ぼしますところのあらゆる施設が錯綜して参ります将来の状況も考えまして、どうしても総合対策を確立いたしまして、その線に沿うて利根流域解決を図らなければ根本的な災害復旧工事はあり得ない。今日やつておりますよう災害復旧工事或いは利水工事農林省でやります利水工事或いは農林省林野行政等はそこに何らの一貫性を認められないのでありまして、各省おのおの独自の見解に立つて予算をとり、独自の見解でおのおのその将来における目標を達成するために予算を使つておるのでありまして、そこに水に関する一貫性が認められていない。ときには、我々民間人から考えましても、折合いが付いて何とかなるのではないかと思うような、いわゆる農林省建設省との水に関する意見の相違或いは行政官庁を異にいたします県の水に関する葛藤等随所に現われて参りまして、なけなし予算に加うるに、かように分断しております行政が、ますます水を激化しつつあるのでありまして、そういう観点から考えまして、この際どうしても利根水域に関する一切の水の行政は、一貫的にこれを統合いたしまして、総合的な見地から、高度の科学性を持つたところの計画立案いたしまして、その線に沿つて予算を重点的に施行する、こうしなければ、この利根水域開発は、或いは、永久の災害防除は考えられないというよう観点から、幸いにこの被害をめぐりまして、一部五県の県民層、その代表であまりす都県議会等中心となりまして、本当に一体をなしまして、この利根総合開発にまつしぐらに進んで参つたのであります。この空気を反映いたしまして、私ども関係議員は、何とかしてこの住民層の正しき希望に答うべく、昨年六月以来この問題を検討し続けて参つたものであります。勿論関係官庁その他のあらゆるかたがたの御意見も細かに拝聴して参つて、そうして現在置かれております行政機構で、何とかこの地元の希望に沿うような案を作り上げたいというので、ここにこの法案を作成した次第であります。でありますから、この法案は理想的なものではないのであります。現在の行政機構の中で最も呑みやすい、比較的トラブルの少いものをとりまして、次善であり、或いは三善であるかも知れませんが、この程度のものならば、その目標を達し得るであろうということで、この法案の作成をいたしたわけであります。  試みにその後の被害状況を調べて見ますると、昭和二十三年、四年、五年、この三年も二百億乃至三百億近い被害が続けてあるのであります。昨年の七月七日に起りました小貝川決壊のごときは、皆さんも御覧だと思いますが、これ又この利根の暴威が随所に逞しういたしまする一端を現わすものでありまして、小貝川決壊ですら、あの河口の逆流によりまして、二町五カ村が十一日間床上五、六尺の浸水を見て、あの附近農村人は、すでに刈取らんとする直前に立派な水田を腐らしてしまい、十一日間の泥水でありましたから、家財道具も全部腐れてしまいました。耕地はいやが上にも荒れ果ててしまつたのであります。これではやつて行けません。本年の出水期、明年の出水期にも随所にそういうことが起り得る状況にあるのでありまして、政治に志を持つ人といたしますれば、実は漫然とこれを看過し得るい状況にあるのでありまして、やむにやまれん痛烈な地元民の血の叫び声を実は私は汲みとりまして、私どもこの法案を作成した次第でございまして、この点は各地方におりまする各水系あり方と思い合して下されば、皆様方もよく御了解願えると思うのであります。そこで私ども総合開発計画狙いといたしまするものは、第一に災害を永久的に防除するためには、どうしても総合開発以外にはないという結論、これはこれから日に増し伸展するでありましよう日本経済は、いろいろの面から水資源をめぐりまして殺到すると私は思う。これに対する施設は、いろいろのものが利根水系に影響を及ぼすでありましよう。これらのものも皆水に関連を持ちますので、ややもいたしますると、洪水の端緒を開き、災害を増大する傾向にまで行くのではないかという考え方もありますので、そういう点からも、この開発総合性を称える一つであり、又現在置かれておりまする国の予算の大綱につきましては、私ども別な意見がありますが、余りにも貧弱なのであります。六千五百七十億の総予算のうち、河川改修費並びに砂防費全国の七十三本の直轄河川全国八百本の中小河川、これらに与えましたところの予算は僅かに二百億弱であります。パーセントといたしますれば三%二、三弱でありましよう。こういうよう状況下にあるときでありますから、一層この予算の使い方には最もうまく能率的にしてもらわなくちやならん。こういうときに当りまして、各省或いは各県ごとに独自の見解でやりますと、水資源をめぐるあらゆる政策が、そこに総合性もなく、ややもしますると、できた結果は矛盾撞着をする、利水に急いだために治水の面に非常な害を及ぼすというような点も各所にあり得るのであります。で、こういうふうに予算を細かに分断して、思い思いにお使いなさるということは、今荒れ果てました利根川改修に、なけなし予算を投入いたしまして、それが何%かは必ずそういう面から考えますれば、浪費になるという嫌いがあるのであります。たとえ百億の金でも非常に有意義に使われねばならん。重大なこの利根川の荒れ果てた状況と、現在の行政機構分断状況を考えましたときに、何とかしてこれは一本の線に沿いまして、そうして有効適切になけなし予算を使うべきである。これが私どもの最も配慮しておるところであります。それからもう一つは、各省において形の上では総合開発計画なるものを立ててはおりまするが、先ほど来申上げましたように、予算が非常に圧縮され、少いものでありますから、実現性が殆んどない、三十年後か、五十年後に完成するような、そういう計画目標を以ちまして、今立案するところの調査というものは、熱意が乏しくて真劍な総合計画はでき得ない、技術者をして徒らに苦しめるにとどまりまして、その予算実現性が全然見通しのないよう総合開発計画を立てるということは、およそナンセンスである。こういう見地に立ちまして、今農林省建設省等中心とする技術陣実施計画目標を与えまして、はつきりした見通しを立てさせまして、真劍にその総合計画立案をさせることは、技術者に対して為政者が考うべきことである、かように考える点もありいたしまして、この際是非とも総合開発中心とする利根川水域開発を目指したいという念願なのであります。これに要します費用は、各省で調べ上げましたものをただ私どもは集めただけでありますから、非常に杜撰でありますが、約二千四百五十億円という集計が出たのであります。併しこれは今も申上げたようなわけで、実現性のない計画の、いわゆる机上プランを作らしたのでありますから、これにはまあ相当余裕が見てある、かように私どもは認めております。又この法案の第二十三條にも謳つてありますように、国家予算にのみ頼ることなくして、でき得る限り利根水域事業の一部、特に電力或いは干拓事業というようなものは特殊会社を作りまして、民間資金導入によりまして、そうして民間資金或いは外資導入をそれに受入れるような体制を整えまして、民間資金外資導入と、これに加えまして、国家予算、これとタイアツプいたしまして、この開発計画目標を達しようという狙いがあるのでありますが、二千四百五十億円という一応の集計は、大体におきまして千九百億円程度でできるであろうという見通しを付けておるわけであります。併しそれは嚴密に調査をせなければ、はつきりは申上げられませんが、提案者発議者として得たものはさような次第であります。これによりまして、目標とする利益は、利根上流に建設しまする洪水調節ダム建設省計画しております利根川改修計画の一環をなします上流洪水調節のために設置しようとする堰堤約十三カ所、これに水力電気を加味いたしますと、大体におきまして、六十三万五千キロワツト程度は常時出るのであります。現在利根川から出まする水力電気量は四十三万キロであります。それが六十三万キロワツト程度出るのでありまして、一倍半程度電力は急速に供給せられることになるのであります。更にこれをダム、そのダム以外に計画を持ちますれば、百三万キロワツト程度は出る見通しが付いておるのであります。この厖大なる水力電源を、この開発狙いといたしておるのであります。又用排水事業もこれに関連を持たせるのでありますから、用排水事業中心とするこの一部五県の畑地灌漑排水一切のものを加えますと、これ又二十八万町歩、現在施行しております五カ年計画の六万町歩に加えまして、更に二十八万町歩土地改良の完成もやることにしておるのであります。これらによりまして、得るところの食糧増産は、米におきまして大体におきまして最小限三百万石程度増産が可能である。更に検討を加えますれば、二毛作の実現等がもくろまれておりますので、本当に仕上がりますれば、私どもは五百万石の食糧増産は不可能でないという見解をとつておるわけであります。それから東京都の飲料水の問題も、これによつて解決ようとしておるのであります。又関東にあります中小都市は百七十でありますが、これらにも水の資源を供給いたしまして、水道の完備、或いは工業用水の供給、或いは豊富なる電力を供給することによりまして、これらの諸都市が逐時工業化するであろうというところにも狙いがあり、農村電化の徹底もその中に含んでおるのであります。さようにいたしまして、利根川のあの猛威を逞しうしております現状を、利根の水の流れます間千五百万の関係民がその惠みに浴しまして、経済基盤としての農村を建設し、一方には食糧増産、一方には農村工業推進をいたしまして、高度の農村を建設しようというような大きな狙いもこの中に含んでおるのであります。さようにいたしまして、全国生産量の一四%を生産しておるのであります。そういうよう食糧の重大な基盤でありますところを守り、その生産を増強するということは、非常に国家的に私どもは有益な事業であることを確信しておるわけであります。以上の観点からいたしまして、捨て置くに置かれない現在の利根川の荒れ狂いつあります現実を、急いで国家並びに民間投資等によりまして、官民一体の力によつてこれは解決を図るべきである。殊に東京政治経済文化中心であり、日本中枢神経の本当に大事な所でありますので、これを水の面から救い、でき得るならば、この開発によりまして、将来第三次戦争の起つたような場合、あらゆるルートが爆撃を受けまして、ややもしますると、政治中心地東京が麻痺するよう状況が仮にあつたような場合、食糧の面におきましては、この法案の仕上り方によりまして、この東京都並びに五県に住む住民約千八百万人の住民食糧はこれによつて確保できるのであります。要するに不敗の態勢は東京中心としてでき得るのでありまして、そういうのも大きくこの狙いの中に加味しておるわけであります。以上の観点から、大ざつぱに申上げますと、私どもはこの法案是非とも皆様方の御協力によりまして、一日も早く速かに御審議を賜わりたい、そうして一部五県の農民或いは商工業者の翹望に答えて頂くようにお願いしたい、かように念願しておるわけであります、以上簡単でありますが、提案理由構想一端を申述べて置く次第であります  更に法案の内容につきまして、お手許に差上げてあります法案につきまして、逐條的に御説明を申上げたいと思います。第一條は、この法律目的規定しておるのであります。即ち「この法律は、利根川流域における資源を総合的に開発し、利用し、及び保全し、もつて災害防除と産業の振興に資することを目的とする。」ということを明確に規定しておるのであります。ここで利根川流域と申しますのは、第二條に讓りまして、その第二條には「利根川水系を含む地域で、政令で定める」ということに規定しております。従いまして、この法案通りまして、あと政令によつてこの地域規定することに相成つておるのであります。この法案は、第一に利根川総合開発計画に関する事項、第二に利根川開発庁に関する事項、第三に利根川開発審議会に関する事項、第四に関係行政機関及び関係地方公共団体協力助成並び利根川開発のための特別法人に関する事項の四点に大別して規定をしておるわけであります。  第三條から第九條までは、利根川開発計画に関する規定であります。この利根川開発計画というのは、利根川流域において施行せられる重要な施設及び事業の総合的且つ基本的な計画であるところの基本計画と、その基本計画に基く事業、その中には勿論災害復旧事業も含んでいるのでありますが、これを実施するための毎年度の計画である年次計画の二つであります。基本計画に盛られております施設計画及び事業の基準は、第四條に詳しく規定しておるのであります。この総合開発計画樹立は、利根川開発審議会の議決を要するものといたし、又関係地方公共団体開発計画に関しまして、内閣意見を具申することができることとして、関係地方公共団体の意向を十分に反映せしむるようにいたしておるのであります。そうしてこの開発計画に基く事業事態が誠に緊急を要する状態でありますので、昭和二十八年度から十年間で完成しなければならないことにいたしました。なお先年制定せられました国土総合開発法に基く国土総合開発計画との調整は、第七條に規定しておりまして「内閣総理大臣利根川開発庁長官及び国土総合開発審議会意見を聞いて行う」ことにいたしておるのであります。  次に第十條から第十三條まで、並びに第十六條から第十七條は、利根川開発庁に関する規定であります。利根川総合開発計画を「これを推進するためには中央にこれを專管する強力な行政機関の存することを必要と考えまして、新たに総理府の外局として、国務大臣を長とする利根川開発庁を設置することといたしたのであります。利根川開発庁は、開発計画に関して調査立案する機関でありまするが、同時に開発計画に基く事業実施に関する関係行政機関事務調整及び推進に当る権限を有するものといたしたのであります。利根川開発庁には、長官及び次長以下その常勤職員が置かれますが、別に非常勤の参与十人以内が置かれることになつております。参与関係行政機関職員の中から長官が命じ、庁務参与させるものでありまして、これによつて利根川開発庁の任務の遂行に当りまして、関係行政機関との連絡調整に遺憾なきを期する規定であります。  又第十四條、第十五條は、利根川開発計画に関する規定であります。利根川開発計画調査立案に当つては、広く各方面の知識、経験を活用する必要があると認めましたので、利根川開発庁附属機関として利根川開発審議会を置くことといたしました。この利根川開発審議会は、両院の議員関係都県知事関係都県の議会の議長及び学識経験者の中から「内閣総理大臣が任命する委員三十人以内で組織する。」ことといたしてあるのであります。又開発計画樹立に関する事項のほか、開発計画に関する重要事項について、利根川開発庁長官の諮問に応じて調査審議し、又関係行政機関に対して建議することができることにいたしておるのであります。  最後に第十八條以下におきましては、利根川開発庁長官に資料の提出を求める権限及び必要な勧告をする権限を与えると共に、関係行政機関及び関係地方公共団体協力義務規定しております。又国が国有財産の無償の貸付又は讓与をなし得る旨を規定いたしまして、地方公共団体の経費を軽減するための必要な規定も設けておるのであります。かくいたしまして、この開発計画はもとより多額の費用を要するものでありまして、これが負担を国の財政投資に待つの多いことは勿論でありますが、それのみを以つてしては、なかなかへ思うようにならないと考えますので、そのためには地方民の出資に期待することは可能であり、又適当であると考えますので、開発事業の一部を実施し、又は実施する者に対して投資をする特別の法人の設立を予想しておるのであります。これは第二十三條に規定いたしてございまして、これに関する法案というものは、他日成案を得たいと考えておる所存であります。  以上簡単でありますが、提案理由構想並びに法文の大体の御説明を申上げた次第であります。どうぞ愼重審議して下さいまして、速かに皆様方の御協賛を得られることを切にお願いいたします。
  4. 小林英三

    委員長小林英三君) 只今法案につきましての大要説明があつたのでありますが、これより質疑に移りたいと思いますが、質疑逐條的でなく総括的にいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 小林英三

    委員長小林英三君) それでは質疑に移りますが、主として建設委員会以外の諸君の発言を許したいと思います。主として……。それからなお政府側といたしまして、安本の建設交通局次長の山崎君が見えております。それから建設省管理局企画課木村技官と、それから間瀬事務官が見えております。
  6. 河井彌八

    河井彌八君 質疑に入ります前に少しお願いがあります。それは場合によりますと、政府はこの案に対してどういう態度をとるかということを最後に質して見たい。従いまして関係ある大臣等が出席せられることを先ず以つてお願いして置きますが、委員長においてこれのお取計らいを願いたいと思います。提案者の御熱心な御意見を拝聴いたしまして、実に深甚な敬意を表するものであります。私は内閣委員長といたしまして、実はこの法案内閣委員会に付託せられるであろうと考えたのであります。その理由は、国土総合開発法案がすでに内閣委員会にかけられております。又北海道総合開発法案内閣委員会にかけられておつたのです。従いましてやはり同様な性質を持つておるところの利根川開発法案というものが、又内閣委員会にかけられるであろうと考えました。併し私のほうには、内閣委員会にはこれが付託せられないのでありますから、少しくほかの委員の諸君には御迷惑であるかも知れませんが、内閣委員の立場としての質疑をいたしたいのでありますから、それをお許し願いたいのであります。  第一に、国土総合開発法がすでに制定せられております。その開発法によりますれば、全国に亘る総合開発計画、それから例えば現在のこの法案のごとく都府県に亘る開発計画、それから一府県内の開発計画、それからその府県内の一地区に関する開発計画というものが国土総合開発計画法の予定しておるもので、従いまして、私ども国土総合開発法を検討いたしました内閣委員の立場から考えますると、この法案は第二の部類のものであるということに考えられるのであります。即ち東京都と関係県、数県を区域とするものでありまして、その区域がこれをみずから作成するという建前になつておるのでありまするから、この法律を出すことはいろいろまあ切迫した事情等もありまするが、併しそれはこの国土総合開発計画法の下において、例えば各計画の総合的の推進をする、或いはそれに従つて必要な予算を十分にとつて、そしてそれを実現をするという方法ができておるのでありまするから、この案を提出するということは、少しく意義を失するということはどうか知りませんが、少くともこの国土総合開発法の建前から見まするならば、これはその必要はないではないか、そして更に例えば提案者の述べられましたような熱心な力を以て、この国土総合開発法がこの東京都を初めとするこの地区に、実現せられる方法に持つて進んで行くべきではないかということを考えるのであります。よつてこの場合において国はどうするかと言えば、国土総合開発法の建前から申しますれば、それらと関係の府県等の自治権を尊重いたしまして、十分にその作成ができるようにするよう法律はできておるのでありまするから、私はこの法律を特に出す必要はなかろうかということを考えるものであります。それから第二点といたしましては、この第四條の規定にあります各種の事業、その事業につきましては、只今提案者は非常に調査等ができていない、それから或いは又ばらばらであつて頼りにならない、実行上できないというような困難を挙げておられましたが、私の承知しておりまするところは、只今提案者のお言葉にもありましたが、大体においてこれは利根川治水計画をどうするか、そうして災害防除して、そうして今後それが起らないようにすると同時に、その水の利用を十分にするということであるように、それが主なことであるように考えられます。その点につきましては、すでに建設省におきましても、或いは河川、或いは砂防に関する施設等には相当十分な調査ができておると思います。勿論これではまだ十分とは言えないかも知れませんけれども、まだ併し比較的にかなり広範な徹底した調査ができておると思います。或いは造林関係等におきましても、私ども承知しておりまする範囲において相当に用意があると思うのであります。発電等につきましても、又さようなものであろうと考えます。もとより理想から言いますれば、これはもつともつと推進すべきものでありまするが、そういう計画の内容を実は提案者でなくて、政府からそれぞれ相当にはつきりしたものを示して頂きたいと考えるのであります。そういう点から見ましても、それが即ち国土総合開発法がここで有効に働くフアクターができておるのでありまするから、それをやはり有効に働かせる行動を、かよう法律の案件の提出によらずして推進することができるのではないか、かように考えます。従いましてそれらの点から申しましても、かような発案はどうであろうかということを私は心配するものであります。今の提案者が御指摘になりましたように、官庁の相互の間の何と申しますか、権限、まあセクシヨナリズムと言いましようか、そういうことは随分激しいのでありますから、これらのことにつきましては、もつと政府計画しておりまする行政構を簡素にして、そうして行政を適切にするという、この整備をすることが先決問題であるのでありまして、こういう案を作りますと、例えば北上川であるとか、信濃川であるとか、或いは淀川であるとか、琵琶湖であるとかいうようなものも差当りすぐに総合開発という名前で皆出て来ると思うのであります。そうしてその地方の利益を代表する議員諸君を初めといたしまして、熱心なる主張を続々提出いたしまして、そうして同じようなこの開発法案が出て来ると思う。そうしますると、行政を簡素化するとかいうような事柄なども根本において破れてしまうのではないか。そうするとどうかと言えば、結局たくさんのものができれば、特に或るものに重点を置かなければならんという主義が壊れて来はしないかということを恐れるものであります。そうすると、結局は又更に元に戻つてそれは更にこれに整備を加えて、そうして一つのものにするとか何とかいうことになると、やはり現在の制度を活用すればよろしいのだという結果になるのではないかということを考える次第であります。これらの点につきまして、内閣委員会としては、各官庁のあり方、又その組織等につきまして、相当研究を進めておりまするのでありまするから、内閣委員といたしましての立場を申述べまして、これに対して提案者、又政府のこの事業の内容等につきまして、どういう御意見を持つておられるかを承わつて見たいと思います。一応は総合的に、小さい問題には入りませんで、内閣委員の立場としてそれらの点を質問をいたすのであります。まだ一、二お伺いしたい点がありまするが、今はこの程度にとどめて置きます。
  7. 小林英三

    委員長小林英三君) なお河井君に申上げますが、大臣の出席の要求につきまして交渉いたしましたが、十時から閣議が開かれておりまして、ちよつと今見通しが付きませんそうでございます。お含みを願います。
  8. 河井彌八

    河井彌八君 大臣の出席は何も今すぐというのではございませんが、併し最後政府各省につきまして、この案に対する態度はどうであるかということも参考に聞いて見たいと思う。もとよりこれは議員の立法でありまして議員が議決するのでありますから、政府の態度も又参考になると思います。そういう意味においていつか機会を与えられることをお願いして置きます。
  9. 石川榮一

    石川榮一君 お答えいたします。内閣委員長河井彌八さんから詳細な御質疑がございまして、誠に有難うございます。私どももお説のような面から、いろいろこの問題を出します間には検討を加えて参つたのであります。国土総合開発法がありますから、こういうものは屋上屋ではないかという考え方を以ちまして、種々検討を加えて参つたのであります。あの国土総合開発法只今お話のありましたように、都県の総合開発計画、特別地域を指定されたところの総合開発計画、これらをその行政責任者である府県知事或いは特定地域におけるその責任者から、建設大臣を通しまして総理大臣に報告をする。総理大臣はそれを関係行政機関に諮問いたし、そうしてそれを国土総合開発審議会にかける、その答申を得たものを又関係行政機関に勧告をするということになつておるのであります。要するに国土総合開発法狙いは、全国的な国土総合開発の一応プランを立てまして、そうして大きな国土開発計画としての一環から眺めて、日本の国土開発をどうするかという大きな狙いがあるようでありますが、その実施面におきましては、何らの責任がないのでありまして、単に報告を受け、勧告をする。勧告を受けたところの自治体は更にそれをよく考えてやつて行くということになるのでありますが、大体におきまして、プランを作る、そうして一応それを調べて見るということだけになつておるのでありまして、それを実現するところの推進或いは実施をするとかいう何ら規定がないのであります。従いまして、今の国の財政状況から考えますれば、年々歳々起る災害復旧は殆んど手も付けられないようなわけであります。三年前のものを今やつておるというような現実の面から考えまして、この全国的な総合開発計画立案はできましても、これを実現するということは遠き将来のことでありまして、差当りその意義が誠に少い。こういう観点から私どもはこの水域はこのままにして置けない。非常に窮迫な緊急な状態になつておりますので、実施中心とする企画、計画を、ただ実現性が或る程度まで見通しの付くことによる総合計画を進めたいという基本的な考え方でありましたので、この国土総合開発法の特定地域として、一応は文章ではできることになりますが実質面においては国土総合開発法では、何ら推進或いは実施するということが権限上できない。単に報告機関であり、監督機関である、一つのプランを立てる計画機関官庁である、かように考えるのであります。若し国土総合開発法が本当に活撥に活動するならば、今の国土総合開発審議会事務局のような、あんなちつぽけなものでは問題にならん。少くとも全国総合開発をやるとするのであるならば、大きな本当に権威のある機関を設置して、相当の予算をとりまして、活撥に運行しなければならん。ところが今の状態は各県から受ける企画、計画を収集するにとどまりまして、機能が余りにも小さい。そういう積極性を持ち得ない気の毒な状況にある。大きな重大な責務は負わされておりますが、その機能は実に微々たるものでありまして、私ども国土総合開発審議会のあの事務局の諸君のお気の毒な点につきましては、非常に同情に堪えないのであります。で、政治は理想を一応考えるのでありますが、先ず第一に理想に近ずけるための実現をすることが政治である、かよう観点に立ちまして、今置かれております利根川ような荒果てたよう状況、このまま放置することのできないような危急の状態にありますものは、ただそういう実現性の薄いプラン的な計画があるから、行く行くはできるのではないかというような実は時間の余裕を持たないのであります。若し幸い国土総合開発審議会がすばらしい活躍をして、国費をどんどん投入するということになりますれば、おのずから私どもの考えも違うでありましようが、今の状況では国土総合開発審議会中心機関である事務局は、事務局ではなくして事務所、単なる事務所であります。それに大きな期待をかけること自体が私どもは誠に腑に落ちない。今のお話のように、国土総合開発審議会があり、あの法律が生きて実現性を持たせるような仕組みになつておるならば、私どもは或いはこれを皆様の前にお願いしなかつたかもわかりませんが、今の状況は期待を持てない。従つてどもが知り得る限りの各府県におきましては、法律に余り期待を持つておりません。急いで出すといつても、どうせ出して見てもできるはずがないので、いつのことかわからないのだという感じがやはり起つておりまして、失礼ですが、あの法律はできましても余り期待を持つておらないのが地方行政官庁の状況であります。只今どもは聞いておりませんけれども全国から集まつたということは聞いておりません。或いは全国の半分くらいしか計画が集まつておらない。特に利根川流域について関係官庁に伺いますと、これからこれを調べるのだとおつしやり、まだ手を付けておらない。これは各建設省農林省等には独自の総合開発計画があるのでありましようが、まだ本気にこれに手を付けるまでに至つておらない。それは要するに予算が国土総合審議会の事務局に少い、人員が少いからだ。機能が非常に小さいからだ、こういう点から考えまして、一応の全国プラン、計画としての国土総合開発法は結構でありますが、利根川ような特殊の地域と相成りますと、これにはどうしても実現性を持たして行きまして、真劍に技術者が明朗な将来を夢見つつ、本当に一生懸命に技術者がこの法案中心として開発と取組むような姿にしたい、こういうことで実はこの法案を、国土総合開発法はありますけれども、出したのであります。従いましてこの調整は総理大臣にその調整権を認めまして、開発長官国土総合開発審議会意見第の調整をして頂く。できることなら、北海道のように特別地区として、利根川総合開発法案を成立さして下さつた以上で、一部この附近だけはこの総合開発法のうちから除いて頂くことも一つの方法ではないか、要するに特殊な地域であるということの御認定を頂きまして、すでに北海道にもあるのでありますが、北海道は全域に亘る水計画ばかりではなく、一切の公共事業です。私どものは利根水系中心とする、水資源中心とする大体の総合計画であります。そういう意味合いで国土総合開発法のありますにもかかわらず出しました理由は、以上の通りであります。それから材料について十分でないということについて、十分あるという話でありますが、それは私も各省を廻りまして、その資料を頂戴しました。しましたが、これは昨年の十月頃閣議の話合の中に、利根川総合開発ようじやないかというお話が出たという噂があつたのですが、当時急いで各省もこの総合計画に対する資料の提出を、求められた。そこで各府県に急いでその資料提出を求めたのであります。そうして建設省農林省等が中心で一応の数字を集めたのであります。ですから相当の調査研究をしておるのではありましようが、要するにかき集めた資料の集計、そういうようなわけでありますので、必ずしもこの集計が私どもは不正確とは言いませんが、万全の資料でないということを言い得ると思うのです。こういう点から実はこの資料は相当ありますけれども、中に相当まだまだ研究しなければならんものがたくさんあるということを申上げる次第であります。それから電力の問題でありますが、これは公益事業委員会関連を持つのでありまして、公益事業委員会事務局等とも交渉したのでありますが、さまで反対はないのであります。今置かれております発電事業は最も急を要する事件でありますので、この利根川洪水防除をするための施設としての、そのダム水力電気に利用するということは非常に結構だというよう意見でありました。仮にこれを水力電気のほうで試みましても、建設省は治山治水の面からこれを制抑する傾向があります。そこに必ずしも仲よく行つていないという点は指摘できるのであります。電力会社は電力を作りたいという一本で進んで、一方は治山治水中心として電力を規制しようという、電力源の施設に対して鋭いメスを加えようという態度もないわけでありまして、自他共にこれは非常な、実は不便を感じておる。そのために水力電気のスムーズな発展はなかなか困難であるという状態も私どもは見てとつておるのであります。この点もこの法案によつて、何とかスムーズに一本の線でできるようにいたしたいというふうに考えておるのであります。行政簡素化の問題でありますが、これは御説御尤もであります。私どもも今の行政官庁の煩瑣には本当にこりておりますから、とにかくこの行政簡素化を徹底してもらいたいということは、決して先生と意見を異にするものではない。全力を挙げてこの点は私どももその必要を強調する一人でありますが、行政簡素化ということが必ずしも必要とする施設をまであげろという意味ではなく、比較的軽い事業であり、軽い行政官庁はこれを他に合併する、或いはお互いに摩擦の余り多いものは一つの省にしてしまうというのが狙いであろうと思うのです。どうしても必要だとする場合には、余り大きな経費を要せない場合には、新らしい官庁も、これも広い意味における簡素化の一端を担ぐものである。不要なものはどしどし減らす、絶対に必要なものは、予算に余り大きな関係を持たないものであつたならば、これを新設することも行政簡素化の広範な意味において決して見捨てたものではない、こういう考えが方が利根川開発庁なるものを新設するような、いわゆる矛盾した議論なんでありますが、どうしても必要なものはやむを得ない、必要でないものは徹底的にこれを簡素化するということにして頂くことを私どもは固執する。行政簡素化に必ずしも背馳するものではない。どうしても必要なものは、これの新設も又やむなしという考え方なのであります。それから水系ごとに国土、この利根川開発法案なるものがたくさん出はせんかという御心配、これは初めから私どもも心配しておる。温泉都市法のように続々出て来るのではないか、かように心配しておる。それは出て来るよう日本の状態であるようにも考えられる。どの河川も、どの河川も非常に荒れ果てております、それから選出しております代表者の国会議員の諸君はこの問題の解決に狂奔しておられることは事実であります。全国的な問題であります。予算見通しは殆んどないわけであります。どの川も、どの川も荒れ放題にしておりますから、それを解決ようとして熱意ある国会議員が立ちまして、各水系ごとに、かよう考え方を以て殺到して来ることは私は当然だろう。私ども決してそれは不自然とは思いません。自然に出て来るものでありまして、これはやむを得ない、そういうことになりますれば、おのずからこれは国策の大転換でありまして、国土の保全開発が国是の基本方針だということになる。従つて予算は重点的にこれを投入される政治情勢になるであろうと思います。そういうことになりますれば、そのときの状況によりまして、私どもが今考えておりますこのことがどういうことに相成りますか、わかりませんが、今振りかかつて参りました現在の問題を解決するのには、将来そういうことがあるだろうということを予想して待つておるわけにも参りません。あえてこれを皆様にお願いするわけでありますが、私は恐らくさような情勢にはありますが、温泉都市法のように五つも、六つもどんどん出るということはないだろう、若しそれがあるとしたならば、国土総合開発審議会の機能を拡大強化しまして、非常に実践力の強い機関を作らせまして、それによつて水系ごとにおやりになるのも私はよいと思う。若しそういうようなことが将来立派なものができましたときには、或いは利根川総合開発法案なんか要らなくなる。要らなくなることを欲するのですが、現在の政治情勢では私どもは途は甚だ遠いと思う。そういう政治の貧困さも私どもは非常に遺憾と思います。私どもは、戦争中に泣き抜きました農村人は……、戦争の犠牲者の大部分は農村人であります。国土の荒廃にあつて食糧増産に泣きつつ鋤、鍬をとつているのも農村人であります。この農村人の真の叫びが議会にぱりぱりと反映することを欲するのであります。ややもいたしますると、農村の施策はうつちやりのようです。茫ばくとして荒廃しておるあの水系の荒れ果てました耕作地、あの耕作地と取組んでおります血みどろの農村人のこの諸君の気持を考えますときに、そつとして置けないのであります。その点からしまして、私はあえて皆様方にこういう、大変大それた法案ように思うかたもあると思いますが、私は最小限のこれは農民の熾烈な声でありまして、その声を私どもは代弁するに過ぎない。どうか是非とも私どもの意のありますところを……、農村の荒れ果てています、あの水辺に住んでおります農村人のことを思いまして、国策をどんどん推進して頂きたいと思います。特にこういう問題は政府に任してはできません。恐らくは大臣は自分の省内における反対に押し切られまして、それを提案するだけの措置は私はとれないと思いまして、あえて国会議員諸君の良識の判断によりまして、救つて頂くためにこれを出したのであります。どうか以上の点をお考え下さいまして、是非とも御協力あらんことを切にお願いいたします。
  10. 河井彌八

    河井彌八君 提案者の御趣旨はよくわかります。私はここで提案者と議論をする考えではありませんが、今のお話によりましても、結局この東京都及び関係県の実情から、解決を急ぐ余り特にこれを作らなければならんという御趣意に了承したのであります。而して国土総合開発法におきましては、ただ現状におきましては、いろいろばらばらな調査を集めたというがごときものであつて、総合的のものではないというお話でありました。実情においては或いはそれに類することがあるかとも考えまするけれども、この法律がすでにある以上は、この法律を生かして、そうしてこれが最も国家の全体に適するよう推進するということが、やはり議員として考えなければならんことである。特に私はこういう点につきましては、参議院は最も正しい判断をして進むべきものであるという考えを持つておるのであります。そこでこの利根川開発法案と同じようなものがたくさん出るかどうか、それはわからないということでありますが、そうたくさんは出ないであろうということになつて来ましても、その結果はどうかと言えば、結局は一つのものに、先に申しました通り一つの強力な機関を作る、そうして国として正しく各地に適応する開発計画を進めて行くということになるものだと私は考えるのであります。丁度今発議者の御意見も又これに帰着するように私は解したのであります。そういう点から見ましても、これだけ急いでやらなきやならんという事情はよくわかりまするけれども、それならば現在のこの機構をもつと十分に働かせるようにして、審議会の数でも、その事務局の力でも、もつともつと強力にして、この目的を達するようにしたほうが正しいのではないかということを申上げておるのであります。それからもう一つ伺いたいのは、第三條に、この事業計画の実態は国がやるのだ。それからそれの実施はやはりその第一項において国が実施するのだというように読めるのであります。併しこれを他の條文に比較して見ますると、例えば二十一條、二條、三條のごときものは、都であるとか、或いは県であるとか、或いは又一種の法人を作つて、その法人に相当の仕事を、或る程度の仕事をやらせるとかというようにも見えるのでありますが、その関係はどうなるのでありますか、その点を承わりたいのであります。それで国土総合開発法によりましても、計画は総合的にやるが実施機関はないとおつしやいますが、私はそうではないと考えます。それでも国の仕事ならば国がやるのだ、建設省でも、農林省でも、或いは通産省でも、或いは電気通信省でも、その他それぞれやはりやる機関は国の機関が実行するのだということと私は解しておるのでありますが、この利根川開発法案におきましては、国が計画をなし、そうしてその計画は国において、第三條は国において実施する、それからその二十一條、二十二條、三條等におきましては、国でなくて地方団体と申しますか、都であるとか、県が実行するというようなことにも見えるのでありますが、これは国もやるし、それから或るものは都、県がやるというような意味でありますか、それらの点を承わつて置きたいのであります。それからもう一つ、二十一條、二十二條、二十三條のごときは、これは地方公共団体に対しまして、国の財産、国有財産を無償にて貸付ける、或いはこれを讓渡する、或いは地方公共団体が負担すべき費用の割合を軽減するのであるとかというようなこと、或いは特別法人に対して特殊のフエイヴアーを与えるがごとき、助成をするというようなごときことがあるのでありまして、それは政令によつてやるという点は、これは余ほど思い切つた御構想に基いておると思うのであります。政令でなくて法律で、若しやることがいいか、悪いかという点を先ず考えなきやならん。それからやるとするならば、法律によつてやるべきであろうと考えます。それはすべて法律規定しているものを政令で緩めるということは、どうも立法上正しくないという感じを持つのでありますが、それを政令に讓るという理由はどういう点であるか、この点も併せて承わりたいのであります。併しこれは立案者ばかりでなしに、政府のかたでも、或いは同意せられた議員諸君のかたでも、政府のほうからでも御説明があれば幸いであります。
  11. 石川榮一

    石川榮一君 お答えいたします。第一に御質問の、国土総合開発法の機能を拡大強化して、この利根川開発法の狙うような大きな実施の機能ができるようなものの推進に当ればいいのではないか、それによつてこの法案を出す目的は達せられるじやないかというお説であります。それは一応議論のうちでは、そう考えられるのでありますが、国土総合開発法狙いは、御案内ように今あります法律だけを私ども対象としているのでありまして、あれが直ちに予算化しまして、実施をするということになつております。各地の総合計画の報告を求めまして、それを集めまして国は国としての総合計画を立てる。又都県は都県の総合計画を立てる。特定地域の指定を受けました場合には特定地域総合計画を立てる。立てたものは報告を総理大臣にし、その諮問機関である審議会が審議する。そうしてそれを又勧告をするということになつております。要するに一応総合計画を各地に命じて立てさせて見る。そうしてそいつを一応集めて全国狙いを一応見るというだけしかいたしておりませんので、あとは地方公共団体に向つて勧告するという、この法律だけを私どもは一応考えなければならないのでありまして、次の推進につきましては、これは別途考えるべきものであります。将来のことでありますから、私どもはそこまで考えない。今の推進をするということも一応尤もであると思いますが、なかなか容易ならん大問題であります。全国的に総合開発実現するということは非常な理想でありまして、これは非常な将来を、長い将来を要する。実質的に今何ものも総合開発はできない。全国的な総合開発をすることは、今の日本の態勢では全国的なことはできないのでありまして、結局プランを作るところだけで終るのです。要するに構想を立てる機関だけに過ぎないというように考えておるのでありまして、やむを得ずこの実施の伴う、実現性のあるこの法律をお願いしたわけであります。それからこの法律のうちの国と県とり関係等について御質問のようでありましたが、大体におきまして、この総合開発狙い利根川水系の国土保全開発でありますから、国がこれを施行することに相成ります以上は、国がこの工事の責任を負うてやる機関を求める開発法にするわけであります。ただ今まであります河川法等のいわゆるこれに基く法律等は今までありますものは勿論これも利用しなくちやならんのでありまして、一応国がやりましても、その負担等は既往の各府県が負担しておりますような、国が三分の二、府県が二分の一、或いは国二分の一、県二分の一というような負担区分につきましては、この法律では別にその軽減を図つておらないのであります。従いまして各府県の負担は他の地方と変りはない。ただこういう国策としてやつて頂く以上、国が予算の許す限りこれをやるという場合、これに対応するところ、県財政が伴うかどうかということは大きな問題になるのであります。国全体の食糧危機を緩和する建前、或いは経済基盤を関東平野からも十分出したいというような、大きな政治狙い等がありますれば、国はこの法案によつて相当活撥に施行して来ることができると思うのであります。そのときに負担ができませんで、その県がどうしようもないというような場合もあろうと思います。特に群馬県のように年年歳々の災害で、殆んど群馬県の財政は失礼でありますが、まあ経済の崩壊の端緒に入つております。他の県にはないでありましよう。昨年は九十何億の予算、私は埼玉県ですが、埼玉県は群馬県よりも約三分の一財政力もあり、人口もあるのでありますが、埼玉県の五十五、六億に対して群馬県は治水費のために九十四、五億使つております。河川に関係を持つ予算は群馬県全体の予算の六三%を占めております。他の県に六三%も背負つておるというような県はない。埼玉県は一四、五%栃木県は四〇%、茨城県が一七、八%、そういうよう利根水域にある群馬県は貴重な財政を、災害復旧費でもお手許の資料を見ますとわかりますが、災害予算で、恐るべき水魔に襲われておる、それが利根川の水源なのであります。この水利地帯が財政的に崩壊しつつある。それで地方財政の今の財政が開発法によつて企画を立てさせて、報告をとり、勧告をするだけで行けばそれでもいい。事態は余りにも地方財政の、特に利根の水源における群馬県の財政は窮迫するのであります。こういう点も考えまして、私ども利根川の水源が荒れ果てておると同じように群馬県の財政が荒れておるから、年々歳々起つて来る災害によつて全く救うことができないという状況になるのじやないか。そのときこそすでに利根川を救うことができないのじやないかというようにさえ、実は考えておるのであります。そういう点も勘案いたしますと、そういう県に対しましては、これは公正に考えまして、或る程度の軽減等も又考えなければ、この工事の目的は達成されないという考え方でありますが、この軽減も場合によつてはなし得るという條項を入れて、そうして工事の円滑な進行を図ろうと狙つておるわけであります。特にそういう軽減を目途としてやつておるのでなくて、余儀なくそういう状態が起るであろう、そのためにこの法律の施行が円滑に行かなかつたならば、これは一簣に功を虧くことになりますので、こういう点も勘案いたしまして、こういう條項を入れたわけであります。それから無償とか或いは讓渡というものは大変耳障りなんですが、殊に水利に関する件でありますが、例えば大蔵省の所管のものでありましても、改修計画の進行によりましては、その河川敷は大蔵省の所管から建設省の所管に所管替してもらうことが起るのであります。そのときに国と国との取引をするということは必要はないと思います。そういうような場合は、これは当然無償であり、又特殊会社は、会社のことですが、これは特別の法律による会社を考えておりまして、政府民間との合弁によるいわゆる東北振興株式会社のようなものを構想の中に入れておりますから、これらのものも半国家的な、半公共的な仕事でありますので、場所によりましては、場所を無料で一時貸してやる、或いはやむを得ざる場合には、土地によりまして、余りに大して価値のないものであり、而もその仕事が国家的なものであれば、或る程度検討の上、無償でも讓渡する場合も起り得るであろう、これも事業の運行上弊害の起らん限り、そういうような途を開くようにして頂きませんと、そり法律狙いとする目的を達することは困難だという考え方から、これができたわけであります。それから地方公共団体と工事との関係がどうかということでありますが、さようなわけでありますので、初めは私どもはこの開発法の狙いは一本の線にしようと思いまして、企画、立案、それから予算調整、それから工事の施行は全部一貫的にやろうというもくろみを以て進んだのであります。もう一つ狙いは、ややもしますと、中央集権的な嫌いがあるのでありますから、各府県の強力な団体を作りまして、府県にこの事業を移管させて、いわゆる地方公共団体をしてこの仕事をさせようという狙いも考えております。ところが私ども関係官庁に参りまして、いろいろ折衝をいたしたのですが、これらに対しては反対が猛烈に強く手も付かない、とてもどうしようもないというようなことで、この問題は諦めたのであります。そこで今度は工事の施行の面につきましても、一応各省のトラブルを緩和して頂くために、今の仕事をそつくりそのまま現業官庁としてやつておるわけであります。総合的な計画調査等はこの官庁がやる、その予算もとる、その予算の配分の方法も適正に総合開発の線に沿うような、重点的な導入ができるような割当をいたしまして、そうしてその事業は現業官庁の諸官省並びに各府県に現在あるところにお任せをするという線に緩和したわけであります。そこは大変に私どもとしますと遺憾であつたのですが、非常なトラブルが多いのですから、この点を実は打切りまして、そうして現業官庁のかたがたに敬意を表したわけであります。そういうようなわけで、国としてこの計画のうち、地方全共団体にも、地方行政機関にもお任せをするのは、仕事を任せる、現場の工事そのものを任せるということになつて来るわけであります。従つてそれに要する費用等は、勿論各府県は法の命ずるところに従いまして、その負担を背負うことは当然であります。そういうような形でありまして、仕事は現業官庁にやつてもらう、本当に計画立案予算調整、それから事業推進、監督一切の施行権をこの官庁が握り、その現場の工事につきましては一切を任せる、それにはもう一つ狙いがありまして、若しその現業官庁が入りまして、この官庁をとることになりますと、農林省に或いは建設省にいろいろの大きな科学的な機械がある、この機械を新たに又こちらが買わなければならない、新らしい官庁は買わなくちやならん、或いは技術者農林省建設省にくものごとく技術者がいる、この技術者の、ややもいたしますると余りにもトラブルが強いというと協力が得られないという点も考えまして、あの両省の技術者のエキスパートの諸君、大体機械等も十分に仕事の上で任せて頂くためには、やはり現業官庁にお任せしたほうが国家のためになるであろう、又国費も無意味に使われることはなくなるであろう、一台で済む新設機械を二台作らなくちやならん、或いは三台あるものを四台買わなくちやならんということに相成りますことはどうかと考えまして、成るべくそういう面も工事の面につきましては総合的にやつて頂くのでありますが、その現業官庁にあります機械技術を十分に生かしてもらう、こういう点で実は官庁のような形のものにしてしまつたわけであります。それから政令法律との関係でありますが、お説のようにあらゆるものは法律規定すべきものであります。併し余り大きくない問題、常識的に考えても法の精神に触れないような問題、これら開発法案がその目的を達する手段としての細部に亘るものにつきましては、或る程度これは政令に任せてもいいのではないかということ、ここに政令によるということを謳つておるわけでありますが、これは法律によらなければならんということになりますれば、これはやむを得ませんが、この法案目的を達成するための手段であり、それとも手段が余り広範なものでなかつたならば、そういうものは政令に任せるほうが便利ではないかというよう考え方でいたしたわけであります。あと河井先生の御質問の要項は漏れておるかと思います。漏れておりましたらば重ねて御質疑を願います。お答えいたします。以上簡単でありますが、御報告いたします。
  12. 河井彌八

    河井彌八君 長くなりますから、簡単にします。国土総合開会法の運用につきまして、これは単に総合計画樹立する官庁ということでなしに、そのきまつた計画は誰がやるかと言えば、国がやる場合には国のそれぞれの官庁がこれを実行するのであつて、そういう法の建前であると考えます。そういう意味かに見まして、この第三條の規定実施は国が実施するのか、それぞれの地方公共団体実施するのかということを伺つて見たわけであります。それは現在のやつておるままに任せるという御説明であつたのでありますが、私が伺いましたのは、任せるにして見たところで実施するその本体は国であるか、或いは地方自治体であるか、その点を承わりたかつたのであります。その点につきましては、少しく私の了解が悪かつたかも知れませんが、まだ御説明では満足ができないのであります。それからもう一つ、それだけの大きな仕事をやるのであるから、関係実施体に対しまして、国の財産等を与えるとか、或いは助成するとかいうようなことになりますのでありまするが、その場合には、これは利根川と同じように、方々の団体から、川の各種の開発法案が出て来るに相違ないと、かように考えますが、利根川だけはよろしいが、北上川はいけないのだというようなことができるかどうか。結局はそういう点を考慮しますると、先に申しましたこの国土開発法の内容をもつと充実いたしまして、そうして正しいあり方にし、そして今お話のようないろいろな摩擦があるとか、或いは怠慢があるというようなことは、これを除いて、そうして予算も十分にとつて行くということが議員としての務めであるというように私は考えるのであります。今御説明を承わりますると、それだけでは私の考えが間違つておるかも知れませんけれども、どうもこれを改めることがむずかしくなつたのであります。それから最後一つ伺いたいのは予算であります。予算計画はどうなつておるかということでありますが、これは先に御説明がありまして、総計におきましては二千四百五十億円、併し実際やつて見ると、千九百億円で足るのかも知れんという御説明であつたのですが、その予算は二十七年度の予算から予算に組まれるものと了承いたしますが、それは利根川開発庁という庁ができるといたしまして、その庁で一本に予算を集めまして、そうして実施部局へ、官庁或いはその他へこれを配付する、こういう御計画であるのでありますか、この点を新たに伺いたいのであります。もう一つ政令法律の問題、これは今の御説明ではまだ私は満足ができないということを申上げて置きます。更にこれは政府に対して私は質問を出して置きます。この案に対しまして、関係各省はこれに賛成するかどうかという点、賛成、反対ばかりでなしに、どういう意見を持つておるかということを、この委員会において明らかにせられたいのであります。本日は大臣等が揃つていらつしやらないのでありますが、併しおつてもおらなくても私はこの質疑を出して置く次第であります。大体私の伺いたい点はそれらであります。
  13. 石川榮一

    石川榮一君 お答えいたします。第三條の実施は国がすることになつておるが、今私が申上げた工事の一部は、それは地方行政官庁がやるのではないかという御質問であります。この第三條の目標がこれらの事業をやります当該事業に関する法律が今まで出ております。その規定に従いまして実施するということに規定しておるのでありまして、従いまして今まで国がやつておりましたものは勿論国がやる、又その中に入りまして計画をやつて立案をいたしまして、一貫性のある総合計画をやる、その事業はそれは実施の面につきましては、一部分行政官庁に任せることができるわけであります。ですから計画予算とはその官庁がやりますが、実施の面におきますと、中小河川ようなものは特に国が必要とする工事以外の小さなもの等につきましては、やはりその行政官庁にその仕事をさせるということも言い得るわけであります。ですからこの事業推進するに当りまして、この事業の当該事業に対する法律は今までありません。その法律の範囲内におきまして実施をして行くということでありますから、今までと大きな狂いはない、実施の面におきましては、国がやりますことは勿論国がやりますが、小さなものにつきましては、やはり府県の行政官庁実施を委ねるという形になるわけであります。それから予算の面でありますが、二千四百五十億円という集計を一応出しております。これは正確であるかどうかということは私どもわかりませんが、現在ではこれより方法がないのでありまして、これが集計になつた。それから先ほど来申上げました、あわよくば外資導入の方法等の態勢が整いますれば、これからも相当にできます。それができないにいたしましても、二千四百五十億円という、各省が急いで集めたあの予算の作り方から考えまして、私どもは相当圧縮ができる、かよう見通しを付けておるのであります。その見通しを付けまして、千九百億円程度であれば必ずできるものである、かように判断いたします。ややもすれば、各省で急いで出しますものは大抵やまをかけることは普通なんです。大抵一割や一割五分はやまをかけるのは当り前なんです。ですから実施計画になりますれば、私どもは物価が暴騰しなければ或る程度の圧縮ができるものであるという考え方に立ちまして、今までの常識判断から考えまして、二千四百五十億円は千九百億円程度でできるのであろう、かように考えておるわけであります。それから最後にお話になりました点でありますが、これは見解が、失礼ですが、違うのでありまして、私どもは今仰せられますようなことを、これから推進して行くということ、それが成功するかしないかわかりませんが、あの国土総合開発法が非常な活撥な動きをして、大きな予算をとつてどしどしこういうふうなものがやつて行けるという状態になることを欲しますが、これはなかなか全国的の問題でありまするだけに、なお手が付かないのじやないか。結局ごま塩予算で、振りまくよう予算で、何ら総合性のあるよう計画ができないのじやないか、そういうふうな考え方で先ず一番災害の大きい、そして開発によりまして事業効果の大きい、又それが国の政治経済文化に最も大きな寄与をするような部面を先ず手を付けて頂く、どうせ全国的の総合開発計画は、全国的に手が付くはずはないのであります。必らず順位がきまるのであります。その順位をきめた場合に、どの県を先にするか、どの水域を先にするか、議論があるわけでありますが、全国的の総合開発計画を一度にやるということは、これはおよそ夢であります。これは実施計画を立てる場合に起る問題でありますが、その基礎資料もまだ十分できないのと、今の総合開発審議会自体は、国土総合開発法の範囲内においてやる、事業推進計画実施ということには何ら権限がない。そこに人を集めて報告をし、それを総理大臣が監督するということにとどまつておる法律であります。この法律の将来の進展につきましては、これはこれから先のことでありますので、私どもは今のところ現在の国土総合開発法だけでは、どの川も、どの県も直ちに立つてあの線に沿つて実施計画が行われるとは考えません。又予算的にも全国的にやることは無理である。かように考えまして、重点的にこの地域を特殊地域と認めて、そうして総合開発のほうはこういうものをたくさんやりたい、全国的にこれをやりたいというのが目的でありますが、重点的に取上げて、この主体となる機関をきめて、責任ある官庁といたしまして、そうして官民一体の力でこういう工事を執行することが、私は計画実施を図る根本だろうと思いまして、さように考えてこの案を出したわけであります。河井先生とは若干意見が相違しておりますことは甚だ遺憾であります。
  14. 小林英三

    委員長小林英三君) なお経済安定委員長の佐々木君から質問の通告がございますから、発言を許します。
  15. 佐々木良作

    佐々木良作君 質問を申上げる前にちよつとお伺いしたいのですが、委員会の予定はどうなつておりますか。時間ももう十二時になつておりますけれども、私の質問は相当あるのですが、やりかけて途中で切られても結構ですし、或いはあとに時間があるのか、どうなんですか。
  16. 小林英三

    委員長小林英三君) 如何ですか、午後継続して……。ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  17. 小林英三

    委員長小林英三君) 速記を始めて……。如何ですか、明日午前十時から開会することで御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 小林英三

    委員長小林英三君) それでは明日午前十時から連合委員会を開会いたします。本日はこれにて散会いたします。    午後零時十分散会  出席者は左の通り。   建設委員    委員長     小林 英三君    理事            岩崎正三郎君            赤木 正雄君            小川 久義君    委員            石川 榮一君            島津 忠彦君            田中  一君            徳川 宗敬君            東   隆君   内閣委員    委員長     河井 彌八君    理事            梅津 錦一君    委員            郡  祐一君            カニエ邦彦君            楠見 義男君   地方行政委員    委員長     岡本 愛祐君    理事            堀  末治君    委員            石村 幸作君            岩沢 忠恭君            安井  謙君            高橋進太郎君           小笠原二三男君            相馬 助治君            中田 吉雄君            西郷吉之助君            鈴木 直人君            石川 清一君   経済安定委員    委員長     佐々木良作君    理事            永井純一郎君    委員            中川 以良君            藤野 繁雄君            菊田 七平君   政府委員    農林省農地局長 平川  守君    経済安定本部建    設交通局次長  山崎小五郎君   事務局側    常任委員会專門    員       武井  篤君    常任委員会專門    員       菊地 璋三君    常任委員会專門    員       藤田 友作君    常任委員会專門    員       杉田正三郎君    常任委員会專門    員       福永與一郎君    常任委員会專門    員       武井 群嗣君    常任委員会專門    員       桑野  仁君    常任委員会專門    員       渡邉 一郎君