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栗山良夫君
只今鬼丸
委員から非常に疑惑の濃厚な
事件である。そうして而も
決定的な
調査を要する
事件であり、愼重に行われない。特に二千万円の過払いの
内容については詐欺
事件の動きが濃厚であるのに、この詐欺の実態について徹底的に
究明をするまで、この
委員会としては
結論を出したくない、こういう
発言があ
つたのであります。それで而もそこまで
国会が
努力をしなければならん理由は、検察当局の内部において、
国会の内部においてもいろいろとこの運動の
調査に障害を与えるような状況がなきにしもあらずであるので、或いは
関係官庁においても然り、
従つてそういう妨害を排除する
意味においても
国会みずから行うべきであるというお
考えでありました。これは私は
一つのお
考えであろうと思うのであります。特に私
どもが昨年秋以来熱心にこういう問題を進めて参りました。そして昨年十二月九日には
小委員会の中間
報告がなされまして、この場合には各会派こぞ
つて承認をし、更に今
国会に引続きまして徹底的な
調査をされるようなことについても承認を与えておるのであります。そういうことによ
つて証人を出し、そしてこの
小委員会の
報告が行なわれまして、この
委員会で
決定をしようとする寸前に当りまして、私は極めて残念でありまするけれ
ども、私の耳に入
つたところによりますと、参議院の政党の一部の
かたがたにありましては、これほどまでに
努力を傾けて参りましたこの
証人喚問の
内容につきまして、これみずからを否定せんとするがごとき行動をとられたやに伺
つておるのであります。即ち
小委員会におきまして
証人を喚問するというようなことは越権である。法律的に無効であるというようなことすら、熱心に研究をせられ、そしてそういうことによ
つてこの問題を葬むり去られようとするような空気すらあるやに私は伺
つたのであります。誠に国民の前に対しまして、参議院の権威のために私は遺憾であると申さなければならんのであります。このことは私は決して架空なことを申上げておるのではないのでありまして、
委員部長の所にもわざわざお出かけにな
つて、そういうことを研究された人もあるのであります。こういうような状況でありました場合、少くとも
国会が権威を以て
調査しようといたしましても、どうして
調査することができましようか。私は従いましてこの問題はすでに先ほど
溝口君も言われましたが、この
報告書の
内容が杜撰である。こういう御指摘がありました。成るほど見
かたによりましては完璧を期していない点があるかも知れません。併し
報告書は過去何回も行なわれました
証人喚問の
内容につきまして、
証言の
内容について一応とりまとめが行われておるのでございまして、
証言された
速記録は決してなくな
つておるわけではないので、依然として
速記録は
速記録としての権威を持
つておるわけであります。従いまして、いろいろな状況から直接
速記録を中心にして、この
小委員会の
報告書を見られ、そして
事件の全貌というものを
究明せられれば、決して私は手落はないと思うのであります。更に先ほど
小林委員は
回収に
努力したほうがいい、それが
国会の
責任であるとおつしやいましたが、この
速記録の
内容をよくお読み頂けばわかりますように、決して
回収し得るような段階にないことは明瞭にわか
つておるのであります。国民の血税を以て二千万円過払いをし、現に未納入金一千六百万円に対しましては、もう一銭も
回収の余地のないような状況であります。而も
回収することができるような
自動車だとか、株券等は
大橋法務総裁の介在によりまして、
国庫に入れる前に逃されてしま
つておるのであります。そういう実情を
考えて見ましたときに、如何に
回収に努めるのが参議院の役割であると言われるお説のごときが空論であるかがおわかり願えると思うので、これは
速記録を十分に御
調査を願いたいと思う。私
どもの今行わなければならんことは、やはりこういう
事件に
関連し、そして
国庫に非常な損失を与え、国民に迷惑をかけました人々の
責任を徹底的に追及するということでなければならんと思うのであります。これは鬼丸
委員のおつしや
つた通りであろうと私は
考えるのであります。特に私
ども小委員会にも若干
発言をし、又
委員会にも
出席をいたしまして、或る
程度事件の
内容について
承知しておるものとして極めて遺憾に思いますることは、二千万円の過払いの
内容について追及をいたしたいというので随分
努力を傾けたのであります。各
証人に対しましても、できるだけの
努力を傾けたのでありますけれ
ども、例えば
一つの例を申上げまするならば、
昭和二十三年の九月三十日ということで発行されておりますところの物品納入検査調書にいたしましても、これは
皆様がたのお手元にあるのでおわかり願えると思います。その原本の
通りであります。
昭和二十三年十二月三十日という日付があ
つたものを、どういうわけか九月三十日に消されて、そうして而も山口という、
特別調達庁の生産促進部の検査員山口君の訂正印が押されてあるのであります。これにつきまして、十二月三十日の本文がどうして九月三十日に直
つたのか追及をいたしましたことについて、藤原君が答えて曰く、これは石井という技官の命令によ
つて行つたのである。九月の三十日に訂正したのは命令によ
つて行われたのである。そういうことを
はつきり申しているのであります。而も石井技官を呼んで聞きますれば、この物品納入検査調書というものは、
事件が発見になるまで全然見たこともないと
証言をしているのであります。そういうような
証人どもを呼んで、何回ここで調べましても決して黒白は明らかにならないと思うのであります。
国会は裁判官ではありません。検事でもありません。それ以上本人を追及することは到底できない。又
国会は非常に繁忙を極めておりますので、この
事件だけで今日お寄りに
なつたような多数の議員が列席をいたしまして
審議する余裕はないわけであります。私
どもいつも
小委員会においても、
決算委員会に
出席を努めていたしておりますが、今日はどういうわけで、こうもたくさん御
出席に
なつたか、私
どもも誠に不可解に思うのであります。誠に不可解に思うのでありますが、常にこういうように議員が揃わないので、本日ご
出席に
なつた
かたの中には、この問題をとにかく何とかして葬むるか、或いは軽微にしたいという御
意思の下に御
出席にな
つている
かたも多数あるものと私は忖度をいたすのであります。そういう観点からいたしましても、
只今鬼丸議員のおつしや
つたことは重々了解はいたします。了解はいたしまするけれ
ども、過去数カ月間に
亘つて行いました
小委員会並びに
委員会の
努力、而もその間において実に臭気紛々たるこの
事件に対しましては、この辺で
国会としての決意を固められ、そうして告発の措置をとられまして、そうして同時に私は告発すれば、もう参議院は一指も触れられないというのではないのであります。直ちにこれと並行せられまして、今鬼丸議員がおつしやいましたような
調査を続行すると、こういうことに是非いたしたいと思うのであります。是非とも私はさように極めて強く
お願いを申上げる次第であります。