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1951-03-14 第10回国会 参議院 決算委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月十四日(水曜日)    午後三時三十六分開会   —————————————   本日の会議に付した事件昭和二十四年度特別会計予備費使用  総調書(その二) ○昭和二十四年度特別会計予算総則第  六條並びに第七條に基く使用調書昭和二十四年度日本国有鉄道予備費  使用調書昭和二十五年度一般会計予備費使用  総調書(その一) ○昭和二十五年度特別会計予備費使用  総調書(その一)(承諾を求める  件)(内閣提出衆議院送付) ○小委員長報告特別会計政府関係機関及び終戰処  理費経理に関する調査の件   —————————————
  2. 前之園喜一郎

    委員長前之園喜一郎君) 只今より決算委員会開会いたします。  最初に昭和二十四年度特別会計予備費使用調書(その二)、昭和二十四年度特別会計予算総則第六條並びに第七條に基く使用調書昭和二十四年度日本国有鉄道予備費使用調書昭和二十五年度一般会計予備費使用調書(その一)、昭和二十五年度特別会計予備費使用調書(その一)を一括して議題に供します。御質疑のあるかたは御質疑を願います。
  3. 千田正

    千田正君 只今委員長より議題になつております予備費の問題につきまして、私は一応この点を聞いて置きたいと思います。国会開会中には予備費使用しない、補正予算方法によると閣議決定しておりますから、この閣議決定が二十五年の一月乃至三月、それと二十五年の十二月、これは国会開会中であつたのでありますので、この閣議決定は守られていないのでありますが、この点について何か当局からこの際言明ができますか、御回答を願いたいと思います。
  4. 東條猛猪

    政府委員東條猛猪君) 国会開会中におきまして、予備費使用について極力制限をいたさなければならないという御趣旨のお尋ねでございますが、誠に御尤もな仰せでございまして、政府におきましても、国会開会中は原則といたしましては、予備費使用を行わないという大方針に則つておる次第でございます。ただ事柄の性質上、極めて軽微なものにつきましては、例外的に予備費使用し得るということに取扱いを定めておる次第でありまして、昭和二十五年の三月、国会開会中は原則といたしまして、予備費使用をいたさなかつたのでございますが、但し事業費増加いたしまして、これとても新たな事業ではございませんで、予算で御決定を頂いておりますところの種目の事業で、その事業量増加等に伴います経常的な経費、それから法例の決定或いは国家債務負担行為によりまして、支出義務が発生いたしました経費でございまして、行政府政府意思如何にかかわらず、支出義務が出ましたような場合、或いは補充、従来の言葉で申上げますれば補充費的な経費、例えて申しますれば、刑務所の収容費でございますとか、そういうようなのつぴきのならないような補充費的な経費と、特に大蔵大臣が非常に軽微な、又やむを得ない支出であるという場合に指定いたしました経費等、比較的軽微なものについてのみしか国会開会中は行わない。裏から申上げますれば、新たなる部款項を友ける必要があります場合でありますとか、又政府職員増加を伴わない場合でありますとか、或いは行政機構、例えば部局等の設置の改廃を伴います場合とか、その他法令の改廃を伴いますような場合には、予備費使用国会開会中はいたさないという方針を定めまして、それによつておる次第であります。実は昭和二十二年であつたかと存じますが、右に申述べました方針に多少違背をいたしまして予備費支出をした事例がございまして当院の決算委員会のほうから、その旨の御指摘がございましたので、その後政府といたしましても、御趣旨の存するところは、かねて政府といたしましても守らなければならないと存じておるのでございますので、右に申上げました院議の趣旨も、そういう意味合におきまして、右に申述べましたような例外的な場合についてのみ予備費使用をいたすということで取計らつておる次第でございます。
  5. 千田正

    千田正君 更に労働者災害補償保険保険金支払いに関する問題について一言承わりたいのでありますが、この二十四年度労働省所管労働者災害補償保險特別会計予備費使用調書によりますると、十三億八十七百万円余を、いわゆる保險金支払いのためにこれを予備費から出しているのでありますが、更に同じように二十五年度も繰返している。二十五年度のやはり労働省所管労働者災害補償保険特別会計予備費使用調書を見ると、やはり十三億五千四百万円以上の金が出ている。これは我々から考えますると、何か保険料率が低いためなのではなかつたかというふうにも考えられますのですが、重ねてこういうような同じような問題が翌年も起きておる。これは何かこれをやはり法的に改正するかどうかして、予備費からの支出でなく、保険料率自体によつて賄える方法を考えるべきではないか、かように考えまするが、政府当局の御回答を頂きたいと思つております。
  6. 中西實

    政府委員中西實君) 労災保險を始めましたのが、昭和二十二年の九月でございまして、実は現在までまだ三年半でございます。始めますときに、実は各産業の災害率等もよくわかりませんので、一応いろいろな統計を斟酌しまして、仮の料率をきめ、その後災害の発生と、それから医療費の騰貴というようなことで料率が不適正なものが大分出て参りました。現在までに四、五回改訂をいたしておるのであります。それでそれをやりますのは大抵年度が始まりましてからというようなことで、予算編成の時期に、実は料率改訂前の料率で一応予算を検討いたしまして、そのために実際の予算と実際の保険金保險料とに非常な差違が出て参りました。そのために保険料の見合によりまして、保險金のほうに相当予備金から流用するということをいたして参つたのであります。これは五年も経ちますと、大体保険料率はつきりいたします。故に労災補償保険法につきましても、五年経つまでは大臣の告示で料率がきめられたのであります。五年経ちますと、これを法律できめるということにがつちりなるのであります。ちよつと今過渡期でございますので、年度当初の予算と実際とのギャップを予備金で賄つておる、こういうことで、実はこの一、二年予備金流用を続けておる次第でございます。
  7. 千田正

    千田正君 この決算検査報告の百六十五頁にございますように、結局は二十五億四百余万円の欠損ということになつておりますが、二十五億というのは相当多額の金である。これはやはり五年という一つの試験、テスト期間を経なければならないというお説も一面において肯かれますけれども、やはり国の会計という点から言えば、これはやはり確定した支出に対する何か法的根拠作つて、そうして納得の行くような支出をして頂きたいと私どもはそう考えられるわけです。何か労働省においては、この点につきまして、あと二年か、三年あるでしようが、その静に予備金からというようなことでなくして、津津の改正が或いは何か適費を以て支出させるような方法を講ずるのが至当ではないかと思いますが、何か研究され、或いは準備されておりますか、その点についてお伺いしたいと思います。
  8. 中西實

    政府委員中西實君) 今週源期でございまして、さように申しますようなことで、当初の計画と非常に違つて参りまして、誠に遺憾でございますが、大体もう三年半の実績を得ましたので、今後は一応計画通りのふうに行くのじやなかろうか、それでこれは国会におきましても、メリット制を布きまして、災害の防止その他にも努めまするし、又なお料率の不適正なものにつきましても、目下研究いたしております。それでこの予算支出方法としまして、実は大体保険料に対しまして事務費その他を一割五分見まして、そうしてやりますると、丁度保険料の八三・三三三とずつと続くのですが、これだけは若し保険金に不足があれば、そのほうに流用できるという弾力規定がございまして、それに違背しない程度で実はやつております。二十四年度はそういつたふうに非常に実績と違いましたので、二十五年度予算では特に実績に合うように保険金支出額も十分に殖やして計上いたしました次第でございます。
  9. 前之園喜一郎

    委員長前之園喜一郎君) ほかに御質疑のおありのかたはございませんか……。御質疑がなければ、質疑は盡きたものと認めて御異議はございませんか……。それでは御異議はないものと認めまして、これより討論に入りたいと思います。御意見のおありのかたは、それぞれ賛否を明らかにしてお述べをお願いいたします。  別に御意見もないようでございますが、討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 前之園喜一郎

    委員長前之園喜一郎君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより採決に入ります。昭和二十四年度特別会計予備費使用調書(その二)、昭和二十四年度特別会計予算総則第六條並びに第七條に基く使用調書昭和二十四年度日本国有鉄道予備費使用調書昭和二十五年度一般会計予備費使用調書(その一)、昭和二十五年度特別会計予備費使用調書(その一)を、承諦を與うべきものと議決することに御賛成のかたの挙手をお願いいたします。    〔総員挙手
  11. 前之園喜一郎

    委員長前之園喜一郎君) 全会一致と認めます。よつて本件承諾を與うべきものと決定いたしました。  なお本院規則第百四條による事務上の手続等については、委員長に御一任をお願いいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 前之園喜一郎

    委員長前之園喜一郎君) 異議なきものと認めます。  それから本院規則第七十二條によりますと、委員長が議院に提出する報告書には多数意見者署名を附することになつておりまするから、承諾を與えられることに賛成されたおかたは順次御署名をお願いいたします。   多数意見者署名     岩沢 忠恭  仁田 竹一     棚橋 小虎  溝口 三郎     大矢半次郎  西山 龜七     カニエ邦彦  小泉 秀吉     村尾 重雄  栗山 良夫     小林 亦治  小林 政夫     岩男 仁藏  千田  正     森 八三一   —————————————
  13. 前之園喜一郎

    委員長前之園喜一郎君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  14. 前之園喜一郎

    委員長前之園喜一郎君) 速記を願います。
  15. 棚橋小虎

    棚橋小虎君 公団等経理に関する小委員会の経過を御報言いたします。
  16. 前之園喜一郎

    委員長前之園喜一郎君) 若し要点だけ御報告が願えれば要点だけの御報告がいいと思います。
  17. 栗山良夫

    栗山良夫君 先ほどお話があつたように、余りよく知らないので、速記か何かよく読んで、そうして研究するという御発言のかたもあつたので、そういうことになれば、委員会の権威あるレコードとして、小委員長全文をこの委員会報告しなければ、今発言されたかたがたは勉強される余地もないと思います。僕はそういう点で、成るべく細かく御報告を願つたほうがいいと思います。
  18. 前之園喜一郎

    委員長前之園喜一郎君) それではこの報告は相当長いものになりますが、これを全部御報告を願いますか、或いは又重点的に要領だけ一応御報告を願いますか、それらの点について一応皆様の御意見を伺いたいと思います。
  19. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 その点につきましては、先ほどの小委員会決定いたしました事項要点だけを報告を願いまして、そうしてその後にその詳しい理由としての内容を又述べて頂いて、この結果を御判断を願う、こういう順序でいいのじやないかと思うので、先ず要点だけ、いわゆる先ほどの小委員会決定した事項について簡単に一つ報告を願う、こういうことでどうでしようか。
  20. 前之園喜一郎

    委員長前之園喜一郎君) そしてそのあとは……。
  21. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そのあと委員がその細かい内容について御要求があれば、その内容について一応小委員長から御説明を願つたらどうかと思う。その上で我々は検討する。こういうことでどうかと思います。
  22. 栗山良夫

    栗山良夫君 それは委員長から、先ほどの御発言のおかたに是非ともどういう御趣旨先ほど発言なつたか、今後の議事進行のこともありますので、お尋ねして頂きたいと思います。先ほど細かく何か資料をとつて研究したいとおつしやつたので、その資料というものは、これは権威あるものでなくちやいけないと思いますが、どういう御意味の御発言であるか、私は今発言したような意味にとりまして、そうして成るべく細かく報告されたいということを述べたのでありまして、若しそういう必要でなくて御発言者がおつしやつておるならば、今のカニエ君の発言通りで結構だと思います。
  23. 前之園喜一郎

    委員長前之園喜一郎君) 私の承わつたの資料ということでなくて、何か長いものだから、一応謄写して皆さんに配付してもらいたい、こういう趣旨に私は聞いております。資料は小委員会のほうでおまとめになつたその結果は出ておるのですから、重ねて本委員会資料を提出する必要はなかろうと、一応委員長はそう考えます。
  24. 千田正

    千田正君 少くとも小委員会に與えられた使命というものは重大であつたはずであります。そうしてここ数カ月の間熱心に御研究なされて、小委員長はその報告をまとめて只今決算委員会に御報告なさる、厖大な報告書であるがために、先ほど岩沢委員からは詳細なる報告謄写刷つてお手渡し願いたい、それによつて研究したいというような御発言のように私は承わりました。それで各委員からは時間の問題もある、いろいろ問題があるから、大要を御説明願つて、詳細の報告書謄写版で刷つたものをお手許に配付して十分に御研究願いたいというような点もあつたようであります。それでその点を、委員長からいずれにするかということをお諮り願いたいと思います。
  25. 前之園喜一郎

    委員長前之園喜一郎君) カニエ委員の御意見は、先ず小委員長から要領だけを御報書願つて、それに対して御質疑を願うと、こういう順序で行きたいということですが、そういう取扱いで御異議はございませんか。
  26. 西山龜七

    西山龜七君 私は要領だけはここで説明願つて、今日はそれで終つてその一切の書類最後に配付してもらうようにお手配を願いたい、かように思うのであります。それに対する質問すべては、一応それを目を通してからにさせて頂きたいと、かように考えます。
  27. 棚橋小虎

    棚橋小虎君 報告者といたしましては、これを一部分重要なところだけを抜き出して、要領だけを御報告するということになりますと、この全体を報告するのと大分違つた印象が與えられる、こう考えるのでありまして、これを事件全貌を明白に把握して頂くには、やはりこれは全体を聞いて頂くことが大切だと思います。それでいずれ後日、あとからこれを謄写版にでもしてお手許へ差上げることは考えておりますが、とにかくお聞き頂くときには、全体をお聞き願いたい、こう思うのであります。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
  28. 西山龜七

    西山龜七君 今小委員長お話を聞いて見ますと、私としましては、只今申上げましたようなことを取消して、今日は大要を聞かずに、それを配付して後に質疑応答をするようにして頂きたい、かように考えます。
  29. 栗山良夫

    栗山良夫君 この小委員会の任務は、先ほど千田委員も言われましたように、本委員会に対して正式に報告する、これは義務を私は持つておると思うのです。従いまして謄写刷りなどというようないろいろ御意見が出ておりまするけれども、正式にはこの委員会に小委員長全文を私は報告しなければならんと思います。従つて幸いに今日は定足数も満ちておりますので、今後国会は三月末を控えまして多忙を極め、各委員会とも非常に定足数の揃うということすら困難であろう、又長時間を要するということになりますならば、これは今後ますます困難に相成ると思います。従つて今日のところは非常に御都合のおありのかたもあろうかと思いまするけれども、曲げて一つ御辛抱頂いて、小委員長報告は成るべく詳しく全貌を伺い、そうして権威ある委員会速記録にこれが収録されるようにお取計りを願いたい。こういう工合に私は考えます。
  30. 前之園喜一郎

    委員長前之園喜一郎君) 西山委員に御相談申上げますが、結局一応小委員長から、これは十分か十五分で全部御報告願つても済むかと思いますから、一応御報告願つて、小委員長のほうから報告したあとで、謄写版刷つて配付してもいいという御意見ですから、御報告を願うことに一つ御同意願えませんか。
  31. 西山龜七

    西山龜七君 今小委員長さんの御説明を聞いておると、大要説明をしても、その全貌がどうも不十分であるからというようなお話がありましたから訂正をしただけであつて、その点を大要聞きまして、それから最後書類を配付して頂いて質問に入るということになれば、それでも私は結構だと思います。
  32. 前之園喜一郎

    委員長前之園喜一郎君) 小委員長から御報告を願います。
  33. 栗山良夫

    栗山良夫君 委員長どういう恰好で報告……。
  34. 前之園喜一郎

    委員長前之園喜一郎君) いや小委員長報告されるのですよ。全部です。
  35. 千田正

    千田正君 私この問題は、相当将来重大な問題であつて、仮に小委員長から配付されましても、決算委員しかそれを承知しない。併しながら、次の恐らく決算委員会において、いずれかを採決しなければならない重要な問題になつて来ると思います。仮に採決されても、否決されても、国民がはつきりそれを把握するようでなければ意味をなさんのでありますから、決算委員会だけが承知したというのでなくて、少くとも参議院は如何なる議決をしたかということをはつきりするために、小委員長は明細に報告をして、そうしてその報告と、すでに或いは証人を喚問しまして、証人証言と照し合せまして、我々委員は正確なる判断をすべきものだと思うのであります。私はこれが我々に課せられた使命であると考えております。でありますから、私は小委員長に、そこのお手許にありまする報告書を漏らさずに報告して頂きたい。
  36. 前之園喜一郎

    委員長前之園喜一郎君) いや私が申上げるのはそういう意味です。    〔「そういう意味です」「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  37. 前之園喜一郎

    委員長前之園喜一郎君) それじや御報告を願います。
  38. 棚橋小虎

    棚橋小虎君 公団等経理に関する小委員会は数十回の会議を重ねまして、十数人の証人を呼び、なおいろいろの証拠を検收いたしまして、一応の結論に到達した次第であります。その結論はつづめて申せば極めて簡單でありますが、第一番は、法務総裁大橋武夫氏に対する偽証の件であります。それから一つは、この事件の発端となつておりまするところの特調並び足利板金工業株式会社、それからしてその中間に立つて検収を委託されておりました太平商事会社、この三つの人々の間に検収調書というものを作りまして、これによつてこの金を過払いを受けたのでありますが、この検収調書の作成について、そこに詐欺の事実が存在しておるということであります。  この大橋武夫氏に対する偽証の件は二つあるのでありまして、その一つは、特別調達庁に対して過払金の弁償金として支払うために、足利工業株式会社所有自動車を提供いたしまして、その自動車を換価して、調達庁に入金することになつたのであります。ところがこれに対して大橋武夫氏は、この委員会における証一員において、子れは高橋正吉という者の所有自動宙であつて高橋正吉からこれを成るべぐ高価に売却してくれるように依頼夕受けたものであるという証言をいたしておるのでありまして、これはその所有者並びに依頼じたところの人が明らかに事実に反しておるわけであります。これが大橋氏に対する偽証の第一点であります。それからその次には、かようにして売却いたしましたところの自動車の金を直ちに特別調達庁に入金すべきであるにもかかわらず、それを入金せずに、高橋正吉という者の名前で銀行預金にして預け入れをして置きまして、大橋氏の監督の下に山下という者がこれを出入れいたしておりました。この山下という者は大橋氏の特別親交のある自動車屋でありまして。それがその金を営業費命に流用いたしておりまして、約百三十万円ほどの金を一昨年の夏頃までに殆んど全部費消いたしまして、残つておるものは僅かに四千円余りしか残つておらないのでありますが、この売却代金を直ちに特別調達庁のほうへ入金しなんで、それを営業資金に当てていろいろ流用しておつたということは、これは大橋氏の証言によりますというと、足利工業の社長である田中平吉並びに特別調達庁川田次長並びに三浦監事の承認を経てやつたことであると、こういうふうに申しておるのであります。けれども、これは明らかに事実に相違しておりまして、さような承認を與えたことはないということを、川田次長も、三浦監事も、それから板金工業田中広ひとしく申しておるところでありまして、この点において明らかに偽証の事実があるものと考えるわけであります。こういう事実がありますので、委員会におきましては、大橋武夫氏を僞証によつて告発すべきであるという意見が述べられたわけであります。  それから第二の点は、先ほども申しましたように、この検収調書を作成する上において、特別調達庁の役人と、それから足利工業専務高橋という者と、それからその間に立つて検収事務を嘱託されておりました太平工業の藤原という社員でありますが、この三人において検収調書を勝手に作りまして、そうしてこれによつて過払いの件をきめたということになつておるのでありまして、この三人のうち果して誰が首藤者であり、誰がそれに通謀してやつたのであるかということは、当委員会の取綱べによりましては、明瞭なことはわかつておりません。けれども、この三人の間において誰かがその検収調書をいい加減に作成して、それによつて命受取つたということは事実であるのでありまして、この先の事実が存在するということは、これは間違いのない点であると思うのであります。そこで問題は大橋武夫氏に対する僞証の件の告発と、それからして一つはこの特別調達庁に対して、只今の先の点に対して適当な処置をとるようにという勧告をすべきであるということが本委員会で提案されたのでありました。この案に対しまして、各委員意見として述べられましたことは、緑風会かたがたは、その偽証の点については、まだもつと証人を調べて、そうしてもう少し精細な確証を掴まなければ、今日この段階では僞証とするということは少し尚早であるだろう、こういう御意見でありました。自由党の委員のかたは、僞証告発に対しては反対であるという御意見がありました。それから社会党のかたがたは、この証人をなお一層これ以上調べたところで、いろいろ打合せをしたりして、到底的確な証拠を掴み得ることはできないであろう、なお我々は検察庁の役人ではないのでありましてそこに僞証の事実或いは犯罪の事実が存在するという容疑が濃厚にあるならば、詳しいことは検察庁当局の取調べに譲つて、かかる犯罪容疑があるという点で告発をして差支えないものであろうから、その段階において告発をすべきである。こういう御意見がありました。大体それらが主な御意見でありますが、結局委員会におきましては、採決をいたしまして、この二つの問題について本委員会に御報告をして、本委員会の御決定に待つという採決至つたのであります。  なおこの犯罪容疑につきましては、只今概略申上げましたが、詳細なことはもう少し詳しくここに調べたのがあるのでございますからして、これを御報告申上げたいと思うのであります。第一は、事件の概要でありますが、その点から申上げます。戰災復興院昭和二十一年九月二十日付LD35による二重煙突二十五万フィートの調達要求に応ずるため、昭和二十一年十二月九日付復特設契六三Dを以て足利板金工業組合に対し、これを発註した。而して昭和二十二年九月一日、特別調達庁の発足によつて同契約も同庁に移管されることとなつた。他面足利工業組合田中平吉及び高橋正吉組合組織による共同事業であつたのが、その後足利板金工業所と名称を改め、次いで株式会社組織に改め、足利工業株式会社となつて、引続き同契約を承続して、右煙突生産納入に当つて来たのである。併し企業の実体は終始田中及び高橋両名の個人経営にひとしく、経理面においても会社と個人との区別は殆んどなされていなかつたのである。然るに昭和二十三年七月九日付LD80によつて、前記LD35の二重煙突調達契約が解約せられるに至つたのである。併し業者の資材手当及び加工が相当進捗しているものについては、打切り困難であるため、第八軍担当官の口頭による指示を受けて生産を続行することとなつたが、正式の公文書未着のため、これが代金の支払いは一応有効なLD57を根拠として行うこととなつた。かくて昭和二十三年十二月初句頃、足利工業の申出に基き、最後の納入分たる二重煙突五万フイートを納入代行業者太平商工株式会社職員藤原英三が検収をなし、同会社常務取締役にして、特別調達庁庁検收員たる山口総男名義で、納期たる同年九月三十日付の検収調書を作成した。足利工業は同調書に基き、同年十二月十四日付で、これが代金四千百七万六千八百五十円の支払請求書を特別調達庁に提出したので、同庁では同月二十八日、右金額を足利工業宛支払つた。ところが翌昭和二十四年一月二十九日、特別調達庁促進局生産促進部技官石井英夫が同庁中村副総裁の命によつて、上記現品の実地調査を行なつた結果、右検收調書記載の検収数量五万フィートに対し、その実数は一万七千九百八フィートのみで、三万二千九十二フイートの不足あることが判明した。従つて足利工業へ支払つた前記代金四千百七万六千八百五十月中、金二千二百三十七万六千九百六十七円十六銭が過払いつている結果となつたのである。そこで特別調達庁はこれが回収の措置を講ずることとなり、紆余曲折を経た結果、昭和二十四年四月十六日より翌二十五年二月九日までの間、十一回に金六百三十六万二千七百八十二円二十四銭を回收し、昭和二十五年十月二十日付、起訴前の即決和解によつて昭和二十八年十二月までに残額一千六百一万四千百八十四円の返納を受けることとなり、当時の足利工業の社長たる田中平吉及び専務取締役たりし高橋正吉も連帯保証をしたのである。その間昭和二十四年二月下旬、同庁は田中及び高橋と折衝し、両名の個人名義資産をも提供させることとして、その計画を記載した誓約書を両名から徴した。そのうち高橋名義の分として1、東武鉄道株式会社株券三万五千株、2、自家用自動車一台(価格百万円)、3、住宅芝浦足利寮一棟(価格百万円)、4、尾張町ビル七階事務室賃借権が挙げられている。この価格合日計が当時金五百万円と推定せられており、結果から客観的に見ても大体そのくらいであつた。株券は金百六十万円、自動車は金百三十三万円で売却されたのである。ところがそのうち実際に特別調達庁へ支払われたのは金三十万円に過ぎない。約十分の一である。株券と自動車だけについて見ても、結局当初の誓約と計画に反して、約金二百七十万円というものが現在に至るも特別調達庁に支払われていない。それは如何なる理由に基くものであろうか。これが本調査の目的たる疑問点の一つである。ところで現法務総裁であり、当時は戦災復興院次長を辞し、弁護士をしていた証人大橋武夫が、本件一重煙突代金の過払いから回收折衝に至る間に種々なる関係を有していたのである。大橋氏は昭和二十二年秋、戦災復興院次長をやめて弁護士となり、昭和二十三年四月頃より約一年間足利工業の顧問をしていた。その間、昭和二十三年十一、二月頃、足利工業高橋正吉の依頼によつて、本件で問題となつた二重煙突代金の支払促進かたにつき、特別調達庁へ交渉に行つたことがある。その後該代金中に前記のごとき過払金のあることが判明した後、大橋氏は特別調達庁監事三浦義男に依頼され、これが回收に関し、特別調達庁と田中及び高橋との間に立ち種々盡力して来たのである。而も前記自動車に関しては、大橋氏が山下茂に命じて売却し、その売却代金高橋正吉名義で株式会社三和銀行日比谷支店に預金し、その出入れに関しては大橋氏が権限を持ち現在に至つておるのである。高橋正吉証言によれば前記東武鉄道の株券売却代金の内金土十万円も大橋氏に預けてあるという。してみると、前記のごとく株券及び自動車売却代金の内金六十万円が、特別調達庁へ支払われただけで、残額約金二百四十万円について未だに特別調達庁へ支払われていない事情に関しては、大橋氏に至大な関係あるものといわねばならない。そこで、大橋氏を証人として喚問し、その理由について証言を求めたのである。この証言中に真実に反することを知りながら虚偽の事実を述べているものと認められるものがある。以下、この点を中心として詳細に説明しよう。   第二偽証容疑ある大橋証言内容  一、証人大橋武天は、昭和二十五年十二月六日開会された参議院決算委員会公団等経理に関する小委員会における特別会計政府関係機関及び終戦処理費経理に関する調査の件(昭和三十三年度会計検査院決算検査報告批難事項第三百二十九号足利工業株式会社に対する二重煙突代金支払い、並びにそれに関連する事項の件)の関する証人として宣誓の上証言をした。  二、その証言中前記高橋名義の自家用自動車(一九四〇年型モーリス)に関し、次のごとく証言しているのである。即ち右の証言を要約すれば、  1、本件自動車高橋正吉の個人財産で、高橋正吉個人から売却方を依頼せられたものである。  2、証人大橋はこの依頼に基き、山下茂なる者を紹介して、山下がこれを売却した。  3、売却代金は金百万円ぐらいである。  4、売却代金は将来特別調達庁へ支払うべきものであるが、それまでは高橋個人の財産である。  5、売却代金に関しては、高橋正吉名義で銀行預金とし、証人大橋の監督の下に山下茂が管理しているのであつて、入金は山下が自由にできるが、出金は証人大橋の指示を要する。  6、かかる管理の目的は、一面高橋が勝手にこの金を処分することを制限すると共に、他面即時に特調へ支払うことなく一定期間金を有効に利用して利益を上げることにある。更に詳しくいえば、高橋が田中より先に自己の個人財産によつて過払金返還の責に任ずることを澁つたので、即時に特別調達庁へ支払うことを櫓予する代り、将来確実に特別調達庁へ支払い得る手段として高橋の財産ではあるが、現実にこれを管理することを制限し、他面その間にその金を利用して高橋の生活を考えてやると共に、特別調達庁へもより多く支払い得るよう利殖することにある。  7、以上の如き事柄については、高橋の他、田中平吉特別調達庁の監事たる三浦義男、同庁経理部次長たる川田三郎に相談し、その同意を得ている。  8、この管理は現在まで継航している、との八点にあること明らかである。  三、併しながらその他の証人証言及び証拠物件とを照し合わせて考えて見ると、右の証言中、1、の高橋個人から本件自動車の売却方を依頼せられたとの点及び7、の右売却代金の管理方法に関し、出中平吉、三浦義男、川田三郎の三名の同意を得ているという点は、真実ではないと認められる。而も大橋証人が、記憶違いでかかる証言をしなものとは到底認められない。これらの理由について、順次説明しよう。   第三僞証容疑の理由  一、本件自動車所有者及び売却依頼者は誰か。  1、本件自動車は形式上高橋正吉の個人所有者我になつているが、実質上の所有権者は足利工業株式会社である。田中証言では「本件自動車は会社財産で会社のものとして買い、会社帳簿にも記載ざれでいる(第九国会委員会会議録一号二十二頁)。従つて昭和二十四年二月二十三日附け覚書によつて高橋が会社へ提供したのだ」(同二十三頁)という。当時足利工業東京事務所総務課長であつた証人高橋正雄は、それは「間違いもなく会社の所有物件であり、財産表にもたびたびの決算表にも記載してあるので処理もそのようにしている(第十国会会議録三号三頁)」述べている。高橋正吉も、それば「会社の金で買つたものであるから会社のものと考えていた、」と述べながら「この事件が起きてから私のものということに話合いをした(第九国会会議録二号一五頁)」と弁解しているが、本件が起きて後作成した昭和二十四年二月二十三日附の覚書によれば「高橋正吉は会社に対し、モリス自家用自動車一台の所有権を現実に無償にて提供し、田中平吉の会社のためにする処分に一件する」に明記されており、他に高橋証言のごとく本件後に高橋個人所有に話合つたという証拠はないので、高橋の右弁明は到底信用できない。殊に本件の過払金返還問題が生じ、高橋正吉特別調達庁から支払いを受けた金品中、相当巨額のものを費消していることが判明し、田中社長との間に本件処理に関して種々な争いがあつたのであるから、明らかに会社所有財産であるものを高橋の個人財産にするという話合いに田中社長初め会社関係者が応ずるというがごときは、到底常識上考えられない。従つて自動車の実質上の所有権は終始会社にあつたと断定せざるを得ないであろう。ところが形式上は高橋個人名義になつているので、右の関係を明らかにすると共に、高橋に任せておいては勝手に処分してしまつて特別調達庁への支払いに充てないと困るという見地から、前記覚書に本件自動車を会社に提供して、田中平吉が会社のために処分するという條項を入れたものと推論しなければ、この覚書を作成した理由がないわけである。田中平吉も同じ趣旨のことを述べているわけである。而も証人大橋はこの覚書に立会人として署名し、その内容も知つているので、本件自動車が会社所有であることを知らない筈はない。更にこれは本件自動車の売却依頼者は誰かということも関連してくるから、続いてその点に触れよう。  2、本件自動車の売却方を大橋に依頼したのは誰であろうか。それは足利工業株式会社の代表取締役社長としての田中平吉であると認めるべきである。証人大橋が本件自動車の売却を依頼せられ、これを受取つたときに差出した預り証には次のごとく記載されている。即ち「モーリス自動車一台見積価格百万円処分方小生において引受け御依頼申上候、衆議院議員大橋武夫——昭和二十四年六月一日、田中様」とある。この文言は明らかに売却方を依頼した相手方が田中であることを示している。依頼は高橋であり、自動車授受の相手方のみが田中であると解釈する余地はない。証人田中は「前記覚書に基き高橋から自動車のナンバーの引渡を受け、これを大橋の使いの者に渡したのだから、私から大橋自動車を渡したのである(第九国会会議録一号二十三頁)」といい、証人高橋政雄も「大橋が自分が有利に売つてやろうというので、田中平吉大橋に車輌証を渡したもので、田中が大橋に売却方を依頼したものである(第十国会会議録三号三、四頁)」といい、証人羽鳥元章も「田中社長が大橋に預けたものである(同七頁)」と証言しているのである。前段摘記の覚書文面からしても、田中社長に本件自動車の処分権があり、高橋にないのであるし、その所有者は前段説明のごとく実質上会社であり、而も右覚書によつて会社の代表権は田中に一任され高橋が代表することは禁ぜられているのである。その意味からも本件自動車の売却依頼者は会社代表者としての田中社長であるといわねばならない。勿論高橋及び山下証言にあるがごとく、当時現実に自動車使用していたのは高橋正吉であろうから、車体の現実の引渡しは高橋正吉からなされたのかも知れない。然し右のごとく田中に管理権が移つていたのでその処分に必要な車輌証は田中に渡されていた。それで田中から大橋にその車輌証が引渡された。さればこそ大橋は田中宛の預り証を出したのであつて高橋には預り征を出していないのである。若し高橋から依頼を受けたものならば、高橋宛の預り証がないはずがないであろう。「車体の引渡しを受け、依頼を受けた人に預り証を出さないで、車輌証だけを引渡してくれた人に預り証を出すわけはないからである。」更に三浦証人は「会社が自動車を持つていたのでこれを売つて出せということになつたが、その自動車高橋名義であつた(第十国会会議録一号一四頁)。私としては田中、高橋は一体であると考えていた(同一六頁)」といい、自動車の実質上の所有者は会社であるから会社がこれを処分するのであつて、その実行者が田中であろうと高橋であろうと同じように考えていたという趣旨のことを述べ、川田三郎の証言も任意供述と相待つて、同趣旨のことを述べている。それは本件自動車高橋の個人所有であるとか高橋個人が処分権を持つているということを否定しているものと解さねばならない。僅かに高橋正吉と山下茂が大橋証言と吻合する供述をしているが、前別段経過に照して、これらの証言には合理性なく、到底信用できない。殊に後に述べるごとく自動車売却代金の管理や利殖がこれらの証人によつて不法になされているのである。そこで彼等としてはこの行為を正当ずけるため、本件自動車自体が高橋個人所有であり、高橋個人が大橋に売却方を依頼したのであるという架空の事実を作り上げたものと想像される。かかる前提に立たねば彼等の行為を正当化する理窟がないからである。  二、自動車売却代金の管理方法に関し、大橋武夫田中平吉、三浦義男及び川田三郎に相談した結果、これを即時に特別調達庁へ支払わないで、或る程度の期間大橋の監督下に高橋名義で管理するということの同意を得たのであろうか。  1、かような話合いが出て来る筋道として大橋証言は次のごとく説明しているのである。田中及び高橋の個人名義になつている財産をも特調への支払いに提供するといつても、返済計画によつて現実に提供するのは高橋名義のものばかりだ。高橋は自分のものだけ出しても後になつてから田中が高橋と同じように出すか出さぬかわからない。出さねば自分が先に出しただけ損だ。そういつた考えから高橋が個人名義の財産を提供するという返済履行を澁つた。それも高橋としては無理もない話だ。だからといつてその計画中にある本件自動車をそのまま高橋に任せておくことは計画に反するので一応提供させて売却した上、その売却代金をすぐには特調へ支払わないで高橋に管理させておこう。併しこれも全く高橋の勝手に任せておくと高橋がその金を使つてしまつて特調へ入らなくなるといけない。そこでそんな結果の起きないように、高橋名義の預金にしてその出入については大橋が監督する。併しかかる提案は、本件自動車が純粋に高橋の個人財産であることを前提としての話である。形式上高橋個人名義であつても、実質上会社財産であるならば、田中が先に出さぬから損だとか得だとかいう問題が生じて来る余地がない。形式上の名義が、田中であろうと高橋であろうと、実質上会社財産である以上、当然支払いに充てるべきで、その名義のいずれを先にするかによつて損益があるべきはずがないからである。形式上の名義が高橋のものだから、実質上もそうだと主張してこれを隠匿しようとか、ごまかそうというのならば別である。然るに既に詳述せるごとく、本件自動車は実質上正しく会社の所有なのである。そしてそれを返済計画に組入れて誓約書として特調に差出しておるのである。田中との間では、高橋は本件自動車が会社のものであるということを認める趣旨において、無償で会社へ提供し、田中の処分に一任してあるのである。その上で田中が大橋に対し有利に売却方を依頼しているのである。田中は更に「高橋は特調から受取つた煙突代金の内金二千七百万円くらいを東京で勝手に使つている。高橋に個人財産があるとすれば、それはすべて会社の所有であるべきこれらの金でできたものだ(第九国会会議録一号二十一頁)」と述べている。高橋もこの額は認めているが、自分が個人的に使つたのは金三百万円くらいだ(同二号十二頁)併し田中も会社の金を私に使つたり、隠匿したりしていると述べている。過払金返済のため個人名義の財産を提供する段階になつて、かように両名間に争いが生じていたわけで、そのために前記のごとき覚書が作られたのである。このようないきさつの下で田中が本件自動車を改めて高橋個人の所有に認めてやるとか、高橋の個人所有を前提としなければ理解できないような大橋の提案に同意するわけがない。田中の証言大橋のかかる提案に同意したことは認めていない。証言全体の趣旨及び任意供述においては明らかに否定している。高橋政雄及び羽島元章の両証人も單に大橋が有利に売却してやるというので依頼したといつており、田中と高橋との間にかような争いがあつて高橋自動車を提供しないために、大橋がかかる提案をしたというような事実は全く窺うことができない。  三浦義男及び川田三郎の証言も前記のごとく本件自動車は会社のもので形式上高橋名義となつていたに過ぎず、而も田中と高橋とは同じく会社の代表者で一体のりものだと考えていたという趣旨である。東武鉄道の株券についてもそうである。計画書によれば高橋の個人名義であるが、それが実質的には会社のものであるから会社代表者田中からそれを預つた。そして田中宛に預り証を出した。然るに高橋が取りに来たので、同じ会社の代表者だからと思つて渡したという。本件自動車に関しても三浦や川田がこれを現実に預らなかつたというだけのことで、そうした考え方は全く同じようである。大橋証言に言うが如き、高橋の個人財産であることを前提とする高橋の言う不満を耳にしたという点は、三浦及び川田証言中には全く感知できないのである。大橋が真実、高橋からのかかる不満を理由として自動車の処分方法や、その金の管理方法を両名に相談し、同意を得たのならば、両名が自動車は会社のものだとか、田中と高橋とは一体だとか言う筈がないのである。  (2)のみならず本件自動車売却代金は確実に特調へ納めるのであるが、それでは田中が自分の財産を出すかどうか分らないから、名義だけは高橋にして、その出入は大橋が監督するという。それは田中に個人財産を早く出させて、両者の負担部分の均衡をとるためということになろうが、一旦金に変えてしまつて、かかる目的で大橋の監督下にある以上、大して田中に対する掣肘たる意義はないものと言えよう。けだし高橋名義の財産はすでに大橋の監督下でいつでも特調へ支払い得る状況におかれているのだから、田中としては自分の財産の提供を、そのため急がねばならないということにはならない。  そこで大橋はその金を有効に利用して、高橋の生活も考えてやらねばならないし、その利益によつて一刻も早く全額の返済ができるようにせねばならない。それで大橋の監督下に山下に管理をさせて利殖の途を講ずることにし、関係者の同意を得たということをも附加しているのである。だが、特別調達庁の三浦義男と川田三郎はかかる考えを持つたことも、大橋からのかかる提案があつたことも共に否定している、川田証言及び任意供述は自動車の売却を大橋に頼んだということはあとになつて聞いたことであつて、それじや大橋に頼んで直ぐ払込んでもらいたいということで、初めて大橋とそのことで折衝するに至つた(第十国会会議録一号九頁)。ところが、大橋は実はあの自動車を売つた金で別の自動車を買つたので諒承して欲しいというので、自分としても、すでに売つてしまつたものはしかたがないと思い、それではその自動車を早く売つて金を払い込んで欲しいと請求したのであるという。三浦証言も同じく「高橋名義の自動車大橋のところへ行つているということを聞いて、当時大橋高橋とは師弟みたいな関係であつたので、大橋に、それでは早く高橋に売らせてそれを特調に入れてくれと頼んだのである」(同上十四頁)と述べている。田中平吉は前敍のごとき事情から、かかることに同意する筈のないことは明らかであり、任意供述の際にも強く否定している。  (3)以上のごとく、本件自動車売却代金を即時に特別調達庁へ支払わないで、大橋の監督下に管理するということに関しては、田中社長を始め、特別調達庁の三浦も川田も相談も受けていなければ、同意もしていないのである。する筈もないのである。つこの点に関し、大橋に記憶違いや誤解のあるわけがない。虚僞を承知の上でかかる証言をしているものと推認せざるを得ない。  三、然らば、証人大橋武夫はなぜかかる僞証をする必要があつたのであろうか。  (1)それはほかでもない。高橋名義の自動車売却代金大橋監督の下に山下に利殖させているうちに、それが焦付いてしまつて今、即時に特別調達庁へ返済するだけ残つていない。大橋証言は現在もありますと述べているが、三和銀行日比谷支店の預金台帳によれば、現在僅かに約四千円余りしか残高のないことは明らかである。その利殖は明らかに失敗に終つているわけである。この失敗の責任を軽減せんがためには当初よりこの自動車売却代金の運用に関し利害関係者全員の同意を得ていたというに如くはない。関係者と相談し、その同意を得て運用していたのであつて独断でやつたのではない。金の運用にはときとして損を生ずるのは当然である。それ故かような結果は同意した関係者も当然予想すべきものであつて直接の監督者たる自分一人の責任ではないこう持つて行きたいのであろう。併し大橋は当初から事情を知つている関係から、田中と高橋が仲の悪いことも前記覚書のあることも承知している。田中がこの金をさような形で運用することに同意しないことも推察できる。それ故、自動車の売却を田中個人、又は会社代表者たる田中から依頼されたことにしては、依頼者たる田中がその売却代金の運用方に同意したことを否定するに違いない。それで依頼者は当時大橋と非常に親しかつた高橋だということにした。そして他面、会社の自動車であつてみれば覚書の関係から高橋に依頼されるというのもおかしいし、その売却代金を自由に運用する同意を得たいということも成立ちがたい。かくて自動重は高橋個人の所有である。かように帰納されて大橋証言ができ上つたものであろうと推測されるのである。従つて、ことの真相は前述のごとく大橋が会社代表者たる田中から会社所有自動車をできる限り高く売却し、その金はすぐ特別調達庁へ支払つてくれという依頼を受けたのであろう。ところが親しい仲であり、顧問料名義やら選挙の陣中見舞名義やらで金五、六十万円の金をもらつている高橋正吉から、あの自動車は自分の個人名義のものだ、田中だつて会社の利益で個人名義の財産を作つていながらこれを出さないのに自分だけ出すのはばかばかしい。売つた金は大橋に預けるから自分が事業をやるときとか、生活費に困つたときは何とかして貰いたいと頼まれたのではなかろうか。その結果大橋はこの売却代金を自己の監督の下に山下に管理させていたがうまく行かなかつた。これが真相ではないかと考えられる。そのため大橋証言高橋正吉証言及び山下証言の三者間に相当大きな食違いがある。それは單に記憶違いとか、誤解とかから生れたものとは考えられないものであめる。高橋大橋自動車売却代金の利殖を委託したという趣旨のことを述べている反面、さような約束はないので返してくれと請求しても返してくれないので困つた証言している。三浦、川田及び羽島証言もこのことを裏書している。してみると高橋大橋に対し大の言うような意味で金のことを頼んでいたものでないことがここでも窺われる。そして更に高橋証言は東武鉄道の株券売却代金中金五十万円をも大橋の言いつけだというので山下に渡したが、大橋も知つているはずだと言い、山下はそれは自分が個人的に高橋から借用したものだと言う。これも山下の言い分は筋が立たない。高橋足利工業をやめ、收入の途もなく特調の債務に責められている際、大橋を通じて顔知りになつたに過ぎず、佳所もよく知らない山下に金五十万円という大金を借用証も何もなしに貸すわけがない。そして又、山下が自分個人の金を一々大橋の指示を受けなければ出すことのできない高橋名義の本件預金に繰入れるわけがない。これはやはり株券の売却代金が何か大橋高橋との関係に基く金と見るほかないであろう。それにしては、大橋がかかる金を全く知らない、本件預金中には自動車売却金だけしか入つていないと言つているのも納得できない。更に高橋及び山下証言によれば、自動車売却代金たる高橋名義の預金中から金六十三万円が高橋に返されている。それは特調へ支払われたものではなく、無條件に返されている。そのことは大橋も知つりているはずだと言う、大橋証言及び有光証言によつてもこの出金を大橋が知らないはずがない。ところが大橋自動車売却代金をこのような形で管理したのは高橋に現実に渡すと特別調達庁へ支払わない危険性があるからだと述べていることと正面から矛盾しているわけである。  その次は本件の僞証告発の必要性と申しますと、如何にも大橋偽証のことが、事柄そのことは極めて小さいこりとであつてこれを取立てて僞証告発をするということは、如何にも大げさなやり方ではないかというような考えがあるかも知れないと思うのでありますが、それに対して最後に一言意見でありますが附加えるのであります。   第四、本件偽証告発の必要性  一、証人大橋武夫の前記証言は以上のごとき理由により明白なる僞証であると認められる。然らばこの僞証告発すべき程度の重要なものであろうか。この点に関して以下検討したい。  二、本件の真相は前述のごとく大橋足利工業株式会社代表者たる田中平吉より会社所有自動車一九四〇年型モーリス一台(時価百三十三万円)の売却及びその売却代金特別調達庁への過払金返還に充てられたい旨の依頼を受けたのである。然して大橋はこれを昭和二十四年六、七月頃山下茂をして金百三十三万円で売却し、その代金を受領して保管中高橋正吉及び山下茂と相談の上、高橋及び山下の利益を図つて高橋名義の預金として三和銀行日比谷支店に預入れ、山下をしてその運用の衝に当らしめたのである。従つてその行為は刑法第二百五十二條第一項の横領罪に該当するものと言わねばならない。然るに証人大橋はこの罪責を隠蔽せんとの意図の下に本件僞証をしたのではないかとの疑いが濃厚であり、その責任たるや重大なるものと言わねばならない。三、次に本件自動車売却代金が前記足利工業特別調達庁に対する過払金返還に充てられなかつたということは、政治的、道義的に大橋証人の責に帰すべきもの極めて大である。  即ち元来この過払金の発生自体が客観的には明らかに詐欺的行為によつて行われ、主観的にもそこに多くの不正の伏在を疑わしめるものがある。而もこの過払は国民の血と汗の結晶たる税金によつて購われている国家資金によつてなされたものでありその実質的被害者は実に全国民なのである。従つてその回收たるや一般企業間のと取引に基く一債権の回收と異なり、政治的、道義的にも非常に重大な問題なのである。  2、この大切な過払金返還に当てらるべき本件自動車売却代金百三十三万円を証人大橋は前記のごとき不穏当な方法によつて国家べ返納し得ない状況に至らしめたのである。而も山下茂なる一ブローカーにこの大金の運用を委ね、自動車売買に使用させたことは甚だ無責任なるものと言わねばならない。  3 而もすでに第一の概要において述べたごとく、証人大橋は本件過払金の発つ生当初よりその回收計画の立案、履行に至るまで何らかの意味において関連を持つていたのである。それ故、本件金員の確実なる支払が如何に重要なもうのであるかは十分承知していたはずであり、かように本事件の全般に干與していた点からも、この種事態の発生を未然に防止すべき特別な注意が払われねばならなかつたはずである。  4、田中証言によれば、過払発覚当時に急速に回收方法を講ずれば十分回收ができたはずである。ところが証人大橋が当事者の依頼とはいえ、両者のなかに立つて本件のごとく支払いの延引をもたらすがごとき方法をとつたので、証人大橋の経歴、信用等の関係から当事者もこれに従うごとき結果となり、逐に前記のごとき状況に立至らしめたのである、従つて本件結果に対しては証人大橋の経歴、信用、政治的地位も至大な影響を及ぼしているものと推認せざるを得ない。  四、証人大橋武夫は現に国務大臣として殊に法務総裁の地位にある。衆議院議員をも兼ねているのである。国法を遵守し、国会の権威を尊重するの要たるや最も大なるものありとしなければならない。然るに前記のごとく国会において証人として喚問され、宣誓の上証言するに際し真実を述べないことは国法を無視し、国会の権威を傷つけること極めて大であつて、これを一般人のそれと比すべくもないものと言わざるを得ない。若しそれ憲法上のかかる須要の地位にある者にして僞証をなすもこれを黙過せんか、将来国民は国法の尊嚴を疑い、遵法の精神地を払らうに至るであろう。  五、のみならず、証人大橋の前記証言中に右の他次のごとき偽証その他の犯罪の存在を疑わしめるものあることを指摘しておかねばならない。  第一に先に触れたごとく高橋正吉より東武鉄道の株券売却代金中より金五十万両を預かりながら、これを全く関知せずと述べているのではないかという僞証の疑いである。このことは証人高橋正吉証言によつて窺い得られる外、大橋高橋及び山下の証言中に記憶違い等によつては納得できない矛盾のあることによつても消極的に裏書できるのである。  第二に証人大橋足利工業株式会社の顧問料として同会社代表者たる高橋及び田中より金三十数万円を受領しながら全然所得税の申告をしていないことは明らかである。それが如何なる名目の金にせよ、その間に所得税法出遅反の犯罪が伏在しているものと考えられる。のみならず大橋証言はこれを車代なりと述べ、或いはその金額、回数等において述べているところについては僞証の疑いがあるものと考えられる。  第三に証人大橋昭和二十三年十二月の衆議院議員総選挙の立候補に際し、高橋正吉より金二十万円の贈與を受けていることは明らかである。而して大橋はこれを自己の生活費に費消したと弁明しているが、疑いなきを得ない。その使途如何によつては政治資金規正法違反及び僞証容疑あるものと言わねばならない。  大変長い間失礼いたしましたが、これが全貌でございます。
  39. 前之園喜一郎

    委員長前之園喜一郎君) 只今小委員長から詳細な御報告があつたのでありますが、この御報告の取扱について如何いたしますか。先ほど来いろいろと御意見もあつたようでありますが、改めて皆さんの御意見を承わります。
  40. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 その問題をお諮りになるまでに、先ほど委員長報告の中で冒頭に言われました小委員会報告が二件あることに関しまして私から動議を出しまして、その動議の結果、採決をし、そうして大橋に対する僞証で、小委員会から告発をするという議決を出したのでありますが、その議決をしたということの決定に対しての御報告がなかつたように思うので、ぞの点小委員長から再度明確に御報告をしておいて頂きたい、こう思います。然る後に只今委員長の御発言になりました件をお諮りを頂きたい、こう思います。
  41. 棚橋小虎

    棚橋小虎君 大橋証人に対する僞証告発ということと、それから特別調達庁に対して詐僞の事実について特別な措置をとる、この二点について決をとりましたところが、先ほど申しましたように、緑風会の諸君は態度を保留きれましたのでありますが、多数によつてそのカニエ君の意見決定いたした次第であります。
  42. 前之園喜一郎

    委員長前之園喜一郎君) 小委員長に聞きますが、僞証罪で告発するというのは、小委員会でやるというのですか。或いは本委員会にその決議を報告をして本委員会においてやるというのですか、誰を告発するのですか。
  43. 棚橋小虎

    棚橋小虎君 本委員会報告をして、本委員会における御決定によつてして行く、こういうことであります。
  44. 仁田竹一

    ○仁田竹一君 只今の小委員長の言われることと、カニエさんの言われることでは、大部差があると思いますが、結局小委員長の言うことは頗る不得要領つたと思いますが、小委員会ではこれを僞証罪として告発するということの決議はされておりません。ただ僞証罪としての件或いは詐僞としての件を本委員会報告するということに対して採決をいたしたのでございます。従いまして僞証罪として告発するとか、或いは詐僞としてこれを勧告するとかいうふうなことの決議はされておりません。私はそのように考えております。小委員長に対して、どちらか、もう一度お伺いしたいと思います。
  45. 棚橋小虎

    棚橋小虎君 僞証罪として告発する件、それからして詐僞の事実について特別の措置をとる件ということを、本委員会報告をするということを諮りまして、これが多数によつて決定になつたのであります
  46. 千田正

    千田正君 そうしますというと、本決算委員会が仮にそういう問題で採決をとつた場合に、賛成、不賛成は別としましても、小委員会は断然これは僞証罪として告訴するということなのですか、その点を明確にして頂きたい。
  47. 前之園喜一郎

    委員長前之園喜一郎君) ちよつとはつきりしませんが、本委員会意思如何にかかわらず小委員会でやるという決議があるかどうかということであります。
  48. 小林亦治

    小林亦治君 こういうようなですね、決算委員会としてですね、只今この小委員長報告した通り告発すべきものである、それから特調に関しては勧告すべきものである、この程度の小委員会決定であります。小委員会自体が、こういう権限でやるということは取りきめない、勿論その権限はございませんけれども。
  49. 前之園喜一郎

    委員長前之園喜一郎君) それじやはつきりしておきますが、小委員会としては大橋武夫君を僞証罪として告発すべきであるという意見ですね、意見決定ですね。    〔「そうです」と呼ぶ者あり〕
  50. 前之園喜一郎

    委員長前之園喜一郎君) それからもう一つは、詐欺罪として調査する勧告をするのですか。
  51. 小林亦治

    小林亦治君 半調に対してですか。
  52. 前之園喜一郎

    委員長前之園喜一郎君) 勧告……。
  53. 小林亦治

    小林亦治君 勧告をする。
  54. 前之園喜一郎

    委員長前之園喜一郎君) 検察庁に勧告をするという。
  55. 小林亦治

    小林亦治君 特調の件に関しては特調で当然に関連するので適当に処分すべきで勧告をすると、こういうのです。そうでしよう。
  56. 前之園喜一郎

    委員長前之園喜一郎君) 特別調達庁に再調査をするという勧告ですか。
  57. 小林亦治

    小林亦治君 いや、大橋証人に対しては僞証の告訴をする。
  58. 前之園喜一郎

    委員長前之園喜一郎君) あとの勧告ですね。
  59. 小林亦治

    小林亦治君 それから特調の不当に検收をした事実がございます。それに対しては当該事項に干與した官吏を処分する、その勧告を特調に対してする、その二つです。
  60. 前之園喜一郎

    委員長前之園喜一郎君) 仁田委員、おわかりになりましたか。
  61. 仁田竹一

    ○仁田竹一君 いやわかりません。そこに中村さんから出された原稿があると思います。それを御覧下されば一番よくわかると思いますが。ただ何々の件を中間報告するというだけでありまして、告発するとか何とかいうようなことはその原稿には書いてない。
  62. 小林亦治

    小林亦治君 それは專門員のほうで記録してありませんか。そんな議論的なことじやない。ちやんと告発すべきものは、小委員会にはその権限がないから、決算委員会にかけてなすべきものだ。すべきものであるということははつきり決定してある。そんなあやふやな決定ではなかつた
  63. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 その件については、專門調査のほうも、委員部のほうも、速記もしておつたと思いますから、一応委員部のほうからその決議の決定要領について報告をして頂けばいいと思います。
  64. 大矢半次郎

    大矢半次郎君 この小委員会に移された場合、小委員会にはどれだけの権限が與えられておりますか。果して今のような決議をする点まで與えられているかどうか、小委員会の性格を明らかにして頂きたい。
  65. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 その点についても、重ねて委員部のほうから答弁を願つたほうが、正確であろうと思います。
  66. 前之園喜一郎

    委員長前之園喜一郎君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  67. 前之園喜一郎

    委員長前之園喜一郎君) 速記を始めて下さい。これははつきりしないと、本委員会で取扱上非常に困るのですが、小委員長にもう一度繰返して伺いますが、小委員会決定は、大橋武夫君の僞証告発をすべきものであるということを本委員会報告する。それからもう一つは、特別調達庁に対して関係者の処分をするように勧告をする、こういう決議をされたということなんですか。
  68. 棚橋小虎

    棚橋小虎君 ここに書いてありますように、大橋武夫偽証告発の件、特調への勧告の件、この報告委員会に行うことに賛成者の挙手を求めた、こういうことであります。
  69. 前之園喜一郎

    委員長前之園喜一郎君) 併しその内容告発の件というものは、告発をするように小委員会決定して、そのことを本委員会報告されるという趣旨なのか、或いは本委員会告発の件を……。
  70. 栗山良夫

    栗山良夫君 それはですね、くだけて申上げますと、告発をし、且つ特別調達庁の担当係官に対して責任処罰するように勧告を本委員会においてせらるべきであるという意味報告をしたということなんです。
  71. 前之園喜一郎

    委員長前之園喜一郎君) それで意味はわかりますね、それで……。
  72. 大矢半次郎

    大矢半次郎君 小委員長に伺いますが、その点をもう一ぺん明確にして頂きたい。
  73. 棚橋小虎

    棚橋小虎君 何度言つても同じことです。告発の件と、それからして特庁への勧告の件、これを報告委員会に行うということに賛成の方は挙手をして頂いた、こういうわけであります。
  74. 大矢半次郎

    大矢半次郎君 それは字句はその通りですが、その内容は果してどういうことを言つておられるか。小委員長のその点に対する明快なる御解釈を願います。
  75. 前之園喜一郎

    委員長前之園喜一郎君) 大矢委員、こういう意意味なんです。さつきからくり返してお答えしているように、偽証として告発すべきものであるという意思決定を小委員会の意思決定を本委員会報告する、もう一つは特庁に対して処分をするように勧告をするということを、本委員会報告するという決定である。だから小委員会がこの告発をするとかなんとかという決定じやないのですね、報告です。
  76. 大矢半次郎

    大矢半次郎君 私が伺つているのは、小委員会が果してそういう決定をするまでも任されておるかどうかということです。
  77. 前之園喜一郎

    委員長前之園喜一郎君) それはいいです。そういう意思決定を御報告にな認ることは差又えな恥いのじやなりいですか。ただこれをどう扱うかということは、本委員会で更に質疑応答をして決定すべき問題なんです。小委員会としてそういう意思決定をされることは、これはいいのじやないのでしようかね。小委員会報告は大体御了承になつたと思いますが、この取扱について先ほどから謄写刷を配付してもらいたいという意見もあり、或いは本日質疑を行なつておきたいという御意見もあつたのですが、改つめてこの取扱についてお諮りをいたします。
  78. 栗山良夫

    栗山良夫君 先ほど委員長から極めて克明に調査の内容を御報告せられ、且つ小委員会としての意思の表示もせられたわけであります。而もこの小委員会は非常に長期に亘りまして、多数の回数を重ねて審議を進めて参つたものであります。各会派とも小委員を送られまして、そうしてこの調査には参画をせられておるわけであります。逐次小委員会の模様は各会派にも御報告に相成つておることと思うのであります。従いまして、本日は先ほどの詳細なる正式な報告書に基きまして、この委員会において小委員会の意思の発表をせられました通りに正式に決定をせられ、そうして大橋法務総裁の偽証に対する告発特別調達庁の担当係官に対する処分の勧告、この二つを是非とも実行せられたい、私はそう提案をいたします。
  79. 前之園喜一郎

    委員長前之園喜一郎君) 小委員長にもう一度はつきり承わつておきたいのですが、勧告のことは、これは決算委員会でやることはできると思うのですが、告発は誰の名義でやるという御意見なんですか。
  80. 棚橋小虎

    棚橋小虎君 その方法委員会において適当に御協議下すつてよろしいようにして頂きたいと、こう思うのであります。
  81. 前之園喜一郎

    委員長前之園喜一郎君) 大体の御方針委員会報告するとなれば、代表者としての委員長がやるのか、或いは委員会全部が……。
  82. 棚橋小虎

    棚橋小虎君 この法文の解釈でありますが、恐らくこれは委員長の……。
  83. 前之園喜一郎

    委員長前之園喜一郎君) それは委員会全員でやつてもいいだろう。或いは代表でやるのがいいのか……。
  84. 栗山良夫

    栗山良夫君 重要なことですから、委員部長を呼んで責任ある取扱の下に進行せられたらいいと思います。
  85. 棚橋小虎

    棚橋小虎君 これは法文の解釈でありますから、前例もあることと思いますから、只今栗山君が言われたようにして頂きたいと思うのでありますが、自分の解釈といたしましては、これは委員長がやられてもよし、或いは決議があつた以上は委員が全員で、或いはその一部のかたがやられても差支えないことであると、こういうふうに考える次第であります。
  86. 前之園喜一郎

    委員長前之園喜一郎君) それじや一応委員部の部長を呼びまして前例等を聞きましよう。それじや暫時休憩いたします。    午後五時十七分休憩    —————・—————    午後五時十八分開会
  87. 前之園喜一郎

    委員長前之園喜一郎君) 開会いたします。
  88. 宮坂完孝

    ○参事(宮坂完孝君) 議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律の第八條により、委員会告発しなければならないのでありまして委員会告発の主体であります。委員会決定いたしまして、告発いたすのでありますが、この場合委員会委員長が代表いたしまして、告発の手続を行うものと思います。
  89. 前之園喜一郎

    委員長前之園喜一郎君) 前例もそうなつておりますか。衆議院などの取扱はありませんか。
  90. 小林亦治

    小林亦治君 委員会がやる……。
  91. 前之園喜一郎

    委員長前之園喜一郎君) 委員長が代表としてやるということが正当でしようね。委員全体でやつても差支えない賛成した以上は……。
  92. 栗山良夫

    栗山良夫君 委員会が行うということが明らかになれば、あとはその告発人の問題は事務的に御研究を願えば結構なことなんであります。従つてここでは委員会でさようなことを御決定を願いたい、こういうことであります。
  93. 前之園喜一郎

    委員長前之園喜一郎君) 栗山委員から、長い間小委員会で研究されて詳細の報告があつたので、今日直ちに決定すべきもつのであるという動機が出ておりますが、これに対する御意見を承わりますう。
  94. 大矢半次郎

    大矢半次郎君 小委員会の経過につきましては、私ども時々或る程度を伺つておりましたけれども、詳細のことは本日初めて伺つた。なかなか内容複雑であり、又事の性質上非常に慎重を要することと思います。従いましで、本日の小委員長報告を速かに速記録ができ上つた上でそれをとくと拝見して、然るべきのち、私どもの意見をきめたいと、こう考えます。
  95. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 私は小委員会におきまして、なお審議を十分に重ねて頂きたいということを申上げたのでありますが、時日の関係もあるし、採決をする時期になつたということで、私は棄権をいたしたのでございますが、今日は詳細な御報告を伺つたのでございますが、なおその事件等につきまして速記録ができ上りましたら、それに基いて私は慎重に審議をした上に、この問題を私どもの態度をきめたいと思つております。今日はこの程度で取やめて頂くように願いたいと思います。
  96. 前之園喜一郎

    委員長前之園喜一郎君) ほかに御発言はありませんか。
  97. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 大矢委員からお話になりました点でありますが、これはすでに速記録によても当然出ておることでありまして、皆御承知のことであろうと思いますし、なお今の小委員公の速記録という話もありますが、これらは全部委員会速記録を基礎としてできておるものでもあるのでありますから、私は種々の事情を考えまして、すでにこの問題は一カ月や二カ月でない。去年の十一からすでに五カ月の間に亘つて愼重審議、調査をいたした事項でありますから、もはやこれ以上延ばしておつて意味がないと、こう思うので、只今亜本山君が動議を出されました趣旨に賛成ついたしまして、速かに御採決あらんことを願うものであります。
  98. 岩男仁藏

    ○岩男仁藏君 私は午前中の小委員会報告を、本会議に出すというときに言葉を保留しております。本会議に出すことば私の個人の良心で賛成したのでありますが、そのときはつきり……私は言葉を濁しておるのであります。事が重大でありますから、私の所属の民主党の総会に持出つしてそうして態度をきめたりいということを申上げて置きます。その意味で今日即決ということは反対であります。
  99. 栗山良夫

    栗山良夫君 私は非常に重要な問題であり、而もすでに国民各層にも相当深く滲透しておる問題でありまして、参議院におけるその態度の決定につきましては、非常に深い関心を持たれておる問題なんであります。従いまして、すでに愼重に今日までやつて参りましたので、この辺で決定いたして然るべきものと考えております。特に話中の食い違いについては更に質したいというような御意見も多々ございますが、これは今までの例からいたしましても、証言の食い違いを更に突き合わせて参りまして、そうして偽証の断定を下すというようなことになりますれば、これは参議院の本委員会の仕事の範囲を更に越えまして、裁判所で行うような領域にまでもスるわけであります。この委員会においては今まで調べましたいろいろな資料判断いたしまして食い違いの中で僞証証言であると思われるものに対しまして、適正な、公正無私の判断の下に立つて断案を下し、そうして告発をするのが正しいと思うのであります。又小委員会に御列席のかたはよくおわかりだと思いますが、出られました各証人証言というものは、必ずしも全幅の信頼を寄せられないような複雑な事情があるようでございまして、発言のところどころにも出ておるわけです。これ以上証言を求めましても同じようなことを繰返すだけだろうと思うのであります。従つて私は諸般の事情を考えまして断案を下すべきだと考えますけれども、只今他の各御会派の御意思によりますと、これはやはり党の態度が未決定であるので、委員会採決には本日入り得ない、こういうような御事情が中心になつておるようであります。僞証内容について云々せられるのでなくして、そういうような点が中心になつておるように私は考えるのであります。勿論偽証内容についても御意見のあるところがあるようでございますが、さように考えますので、その点は諒といたしまして、そうして本日はこの程度で打切りまして、私の動議を撤回することにいたしたいと思いますが、ただここでその條件と申し上げましては誠に失礼でありますけれども、かような重要な問題でありますので、議事進行上あらかじめ一つ予定を立てて委員会で御決定願つておきたい、こういうことをお願いいたします。
  100. 前之園喜一郎

    委員長前之園喜一郎君) 大矢委員に伺いますが、大体どのくらいあつたらあつなたのほうの十分な調査がおできになるでしよう。まあ余り長くなつても困ると思うのですがね。
  101. 大矢半次郎

    大矢半次郎君 速記録を拝見しまして、数日間御猶予下ざればいいと思います。
  102. 前之園喜一郎

    委員長前之園喜一郎君) 速記を止めて下さい。    〔速記中止
  103. 前之園喜一郎

    委員長前之園喜一郎君) 速記を始めて下さい。  それでは二十二日までに一つ研究を願つて、二十三日に午前やるか午後やるかということは前日お知らせしますが、二十二日に続行することに決定いたしたいと思いますが、御異議はございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  104. 前之園喜一郎

    委員長前之園喜一郎君) それではさように取計います。
  105. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 先ほど速記録に残つておるかと思いますが、今専門調査の波江野氏かうちよつと注意がありましたので、私迂濶にしておつたのですが、先ほどの小委員会決定の二件でありますが、一件は大橋氏に対する僞証告発の件、それは間違いないのです。それからあとの特調に対して処分方の指示をする、勧告をすりるということを言われたのですが、これはその言葉の中に小林君も官吏に対して処分方をするとこういうように言われたようであります。そのことが速記に残つておると思うのです。ところが私が申しましたのはそうでなくして勿論それもありますが、問題は詐欺の疑いがある。だからこの詐欺に対して委員会が詐欺の告発をするというのもおかしいからだからそれはやはり特調が被害者だからこの面の……だから特調からそれぞれの手続をさすと、こういうことも含まれておるのでありますから、そこのことは今、森専門員も委員部のかたもおつて皆さんがはつきり御承知のはずでありますので、さように速記録の上ではつきりして置いて頂きたい、こう思いましたので……。
  106. 前之園喜一郎

    委員長前之園喜一郎君) わかりました。  それからお諮りいたしますが、公団等経理に関する小委員会が深川タマヱ君の委員辞任によりまして欠員になつておりますので、その後任といたしまして岩木哲夫君を指名したいと思いますが、御異議はございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  107. 前之園喜一郎

    委員長前之園喜一郎君) それではさよう決定いたしります
  108. 仁田竹一

    ○仁田竹一君 栗山さんから何か証人を呼ぶ等のようなことは云々というお話がございましたが、勿論そうだと思いますけれども、それが今日の申合せの事項なつたようなことはないでしようね、将来証人等を呼ばないということを申合せておるということは含んでおりませんね。  あなたが長く証人等を呼ぶような無駄はすまいということを言いましたので……。
  109. 前之園喜一郎

    委員長前之園喜一郎君) それは本委員会において決定すべきことですから、二十三日までに各委員のかたが十分に御研究になつて然るべきものだと思うのですが……。
  110. 仁田竹一

    ○仁田竹一君 さようでございますね……。
  111. 前之園喜一郎

    委員長前之園喜一郎君) それでは本日はこれを以て散会いたします。    午後五時三十五分散会  出席者は左の通り。    委員長    前之園喜一郎君    理事            岩沢 忠恭君            仁田 竹一君            棚橋 小虎君            溝口 三郎君    委員            大矢半次郎君            小杉 繁安君            西山 龜七君            カニエ邦彦君            栗山 良夫君            小泉 秀吉君            小林 亦治君            村尾 重雄君            小林 政夫君            常岡 一郎君            岩男 仁藏君            千田  正君            森 八三一君   政府委員    大蔵省主計局次    長       東條 猛猪君    労働省労働基準    局長      中西  實君   事務局側    参     事    (委員部長)  宮坂 完孝君    常任委員会專門    員       森 莊三郎君    常任委員会專門    員       波江野 繁君