○
政府委員(
池口凌君) それでは一番
最初にあります、一番
金額も大きいと御指摘のありました
ガスの問題につきまして御
説明さして頂きたいと思います。
代々木地区というのは、現在八百数十戸の
占領軍住宅がありまして、今までの
住宅としては非常に大きなものでございます。この所に
メーターなしに
ガスを
供給しているのは非常に大きな問題でありますが、根本がそこにありますので、そのことの御
説明を
一つお聞き願いたいと存じます。このように大量の
ガスを
供給いたしておる所に何故に
メーターを設置しなかつたか。この
状態を調べて参りますと、
昭和二十一年
戰災復興院というのが当時
建設を担当いたしてお
つたのであります。
戰災復興院がこの
建設に着手いたしますそのときから問題に
なつてお
つた事項でありまして、その記録は
相当私
どもの所に残
つております。
終戰のすぐ翌年でありまして、このような
厖大な
住宅建設をいたしますときに当りまして、
GHQのほうに対しましてここに
メーターを設置しなければならんということは、文書を以ちましても、口頭におきましても数回に亘りまして、
戰災復興院は申込んでおります。又
終戰連絡事跡局を通しましても、又直接これを担当いたします
東京瓦斯会社からも、この
ガス・
メーターの設置の申請が出してあ
つたのであります。併しそのときからどうしても
メーターを設置することは
許可に相成
つておりません。何故かと申しますと、
相当建設に費用がかかるということもありましようが、
最後の理由は、美観上好ましくないというような意見が出ております。
メーターと申しますと、私
どもすぐ家庭川の
メーターくらいのことを想像するのでありますが、かかる
厖大なものになりますと、
一大工場のような非常に大きなものになるのでありまして、その
設計図等もできてお
つたのでありますが、あの
明治神宮の裏側、あの地域にこのような
工場のような建物など、非常に大きなものでありますので、
許可に相成
つていないのであります。それでどういうふうにしてこの
契約をいたしたかと申しますと、各
住宅につきまして各
ガス器具につきましておのおののタイプによりましてどのくらい一時間に使うか、これは
器具によ
つてすぐわかるのであります。何時間くらいその
居住人が使うかというようなことにつきまして、各
調査表を配りまして、これによ
つて私の所では
台所用に何時間、
ガス暖房はどのくらい使うか、夏はどのくらい、冬はどのくらいというような
調査をとりまして、これによ
つて契約をいたしたのであります。余り細かく申しますと非常に長くなりますので大ずかみに申上げさして頂きます。
終戰連絡事務局が二十二年から
契約をいたしてお
つたのであります。この数量につきましても非常に多うございましたのであります。
調達庁ができまして、二十二年の九月にこの
業務を受継いでおります。そうして半年くらいいたしましてから、二十五年になりましてから、どうもこの
地区につきましてはほかの
地区よりも
ガスの量が多いということに気付きまして検討いたしております。そうして今までは年を三回に分けて夏と、いわゆる春と夏と秋の中間、それから冬の期間の三段階に分けておりましたものを、いろいろな温度の曲線等を研究いたしまして、四段階に分けるようなふうに改正をいたしました。それは全体の量から申しましても約一五%減ずるような、そういう改訂をいたしておるのであります。それによりまして、
調達庁は
ガス供給の
契約をして、
支払をいたしてお
つたのであります。それでもなお且つ
会計検査院の御指摘の通りに、多いという結果的には数量が出ておるのであります。こういうような
状態を続けてお
つたのでありますが、二十四年の四月になりまして、
GHQのほうから二十四戸だけにつきまして、テスト・
メーターを付けろということが指示されて来たのであります。今まで
建設当時以降三年に亘りまして、
ガス・
メーターの設置の申請はいたしてあ
つたのでありますが、何らの公の返事も得られないまま、二十四年の四月になりまして、二十四戸に対してテスト・
メーターを設置しろと、こういうような指示がありまして、これを付けたのであります。五月、六月、七月と三カ月間この読みをと
つて見ましたところが、初夏の候でありますが、非常に少のうございまして、大ざつぱに申しますと、四分の一くらいの読みが出て来た、こういうふうな
状態であ
つたのであります。この結果に基きまして、
GHQのほうでも余りに差が大きいというので、二十四年の九月になりまして、特にこのためにスキヤツピンの六八四二という指示が出て参
つております。この要点は、
メーターのないことはよくない、それからその推定が余り正確でないというようなこと、これにつきましてテスト・
メーターを付けた結果によ
つて、
ガス会社とすぐ交渉をするように
なつて、それからマスター・
メーターといいますか、全体につきましての親の
メーターを設置するようにというようなことが、これに具体的に指示してあるのであります。それで
調達庁といたしましては、すぐ
ガス会社に対しまして、マスター・
メーターの設置の
工事を指示いたしまして、との設計等につきましても、勿論
GHQの
許可を得なければならんのでありますが、約二千万円の
工事費を投じまして、そこに
ガス会社の負担において
工事をやらしたのであります。一カ所に造りますと非常に大きくなるものですから、三つに分けまして、そうして三カ所の系統においてこれを計量するような方法を講じさせるようにいたしたのでありますその間
GHQの御指示もありまして、四分の一に
契約をすぐ切下げまして、
メーターの設置ができるまで、四分の一の
契約で仮払いをいたしてお
つたのであります。その
工事ができましたのは、二十四年の暮にやつとできたのであります。その後このマスター・
メーターの完成によりまして、現在では正確に払
つておりますが、このテスト・
メーターによりまして四分の一に
なつたということ、・マスター・
メーターによりまして
契約の四五%というような実績が出て来るように相成
つたのでありますが、この二つの事実から、私
どもは過去三カ年を逆算いたしまして、如何ほど実際には使
つておつたろうかということを合理的に推算しなければならんという羽目に陥
つたのであります。これはなかなか面倒なものであります。推定のところもかなりあります。誰しも幾ら
ガスが
供給されたかということを確言できるものはないのでありまして、どういう方法を以てこの過去三カ年の推定をいたしたかということを大ざつぱに
一つ申さして頂きたいと思います。テスト・
メーターを付けましたときには、確かに四分の一に減
つたのであります。二十四戸の家に対しましてテスト・
メーターを付けましたところが、その期間はとにかく四分の一に減つた、これはだから過去全体が四分の一しか使
つてなかつたんじやないかという推論もできないことはありません。併しマスター・
メーターができましてからの全体の数量というものは四五%に
なつております。そこでテスト・
メーターを付けられたということによ
つて、各居住者は節約の意思がそこに働いておつたということが明瞭にわかるのであります。それと同じように、従来全然
メーターなしで使
つておつたというものが、全体について今度は
メーターが付いたということによ
つて、心理的にもかなり節約の
状態が起つたということも想像されます。明らかに二五%と四五%の間に非常に大きな開きがあるのであります。
それからもう
一つ、これは軍内部においてもはつきりわか
つておるのでありますが、進駐当時から順次濫費しておつたとは申しませんけれ
ども、進駐直後のときよりもだんだんああいう生活につきましても節約をするような内部的な指令があります。そういうことによりまして、前は非常にたくさん使つでおつたろうけれ
ども、だんだん節約指令が出まして、掃除をすのでも湯でや
つておつたものが、今度は水で掃除をしなければならん。日本人の
使用人等におきましても、冬冷いものでありますから、お湯を沸かして一々掃除をしていたというような
状態が、だんだん節約指令によりまして水で辛抱しなければならんという
状態が内部にあ
つたのであります。そういうような事例は他の
地区におきましても見られるのでありまして、そういうほかの、軍以外の
ガスの
使用量というものは順次少く
なつておる。そういうようなところを比較いたしまして過去を推測いたしたのであります。勿論
終戰連絡事務局において、節約で、先ほど申上げたように一五%の差があるのでありますから、そういうものを全部私
どもは算定いたしまして、
最後に
なつてこういう
結論を出した、
結論だけを申したいのでありますが、現在四五%である、現在と申しますのは、一昨年の十二月までです。マスター・
メーターができますまでのところです。それ以後はマスター・
メーターの実際の計量によ
つておりますから、二十五年度の正月以降は正確のものであります。その前の二十四年の暮までのものにつきましては、マスター・
メーターの完成しました後が四五%、過去は幾らであつたかということの推測につきましては、七〇%という線が出て来たのであります。それは先申しましたように、軍の内部におきましても節約をしたというようなこと。それから他の
地区からの推測、それから先お話のありましたあの
地区におきましては、他の
地区と非常に違つた点があります。それは
ガス器具というようなものが、フロア・フアーネスといいまして、床から温めて行くような、そういう暖房
器具を使
つております。普通はサーキユレーターといいまして、こういう鑄物のような
器具を使うのでありますが、そこには特別のものであります。又そのフロア・フアーネスは初めてでありまして、馴れますまでは婦女子では点火その他が困難であります。現在ではそうではありませんが、非常に故障が多く
つて、点火が困難なものでありますから、不用の時にでもつけつ放しに
なつておつた時間が多かつたというような事実もあります。
ガス器具そのものが非常に多量に要するような設備だというように考えられます。又あすこの
代々木地区は、他の
地区と比較して、二、三例もあるんですが、カーネル級といいますか。
相当高官の人たちが割合に多かつた。そういうようないろんな事実を総合いたしまして、七〇%というような線が出ました。これを七〇%から四五%に下る段階におきまして、直線的に下つたか或いは段階を持
つて下つたかというようなことにつきまして、期間を捉えまして、推定ではありますけれ
ども、数回嚴密な検討をいたして見たのであります。これにつきましては占領軍
当局の専門のかたがた、財政の方面のかた、エンジニアの方面のかたといろいろ検討いたしまして、合理的な
一つの数字を出しまして、それによりまして
金額を過去に遡
つて戻入させよう、こういうふうなことにしたのであります。
大ざつぱに申しますと約五億円の
金額を
代々木地区につきましては
調達庁が
支払つておるのであります。
終戰連絡事務局から全部引継ぎましたものを合ぜまして五億円であります。そのうち今申しますように過去、全部が四五%であると仮定しますならば、三億円近くのものが戻入になるというようなことになります。併し過去の一番古いところで七〇%、順次段階を設けまして四五%に
なつたと仮定いたしますと、約一億九千万円くらいになります。併しその間過払いに
なつておつたということの期間におけるところの戻入を見まして、五分五厘という法定利息を見まして、その利子等をも換算いたしまして、二億八百万円というさつきお話の数字が出て来たのであります。この二億八百万円を二十七年の三月までに分納するようにということで、現在一カ月につきまして九百万円ずつの戻入をさぜるということにいたしまして、二十七年三月までには全部完了するということに相成
つておるのであります。これにつきましては
GHQのほうにおきましても、公共事業のこの会社に二億八百万円をすぐに戻入させるということにつきましては、非常にシヨツクを與えますし、何分にも公共事業でありますので、この会社が潰れるということになりますと市民も迷惑いたしますので、できるだけ今のように早く取立てて、併し会社が潰れるというようなことによ
つて市民が迷惑するというようなことは軍のほうの本意でないというようなことで、二十七年三月までに分納するということを承認されまして、それを現在実行しつつあるのであります。毎月確実にこの
金額は戻入させております。又二十五年の正月頃におきまして、この分納計画を立てたのでありますが、その当時におきましては一カ月に九百万円も戻入させるということについては、会社にあ
つては最大の負担であつたろうと私
どもは考えております。併し現在におきましては、その当時と非常に経済事情が変
つておりますので、二十五年正月頃はコークス等も殆んど売れない、滞貨して全然売れないというような事情でありまして、会社の経営
状態が非常に苦しかつたようであります。そこで私
どもは会社につきましても市民は
ガスの
供給を非常に冀
つておる事情が
相当あり、その
工事に応じられないという事情があつたものですから、
一般市民の
ガスの
供給要望に対しても、或る程度
供給させることができるようにというような考えを持ちまして、
GHQもそういう考えを持ちまして、この一カ月九百万円、二十七年三月までの分納計画を立てたのでありますが、その後の
状態におきましては、御承知の通り朝鮮事変を契機といたしまして、石炭の副産物であるところのコークスの値段というものが非常に値上りいたしておりますので、今結果的に考えますと、もう少し早く戻入させることができたのではないかということも言えますけれ
ども、その当時の
状態といたしましては、最大の嚴重な返納計画であつた、そう考えておる次第であります。今非常に
説明が下手でございましたけれ
ども、過去三カ年のものを、現在得られましたところの二つのデータによりまして過去を推測して戻入せしめる、これにつきましてしは軍
当局にも非常な専門的な知識を拝借いたしたりいたしまして、その力にもお願いをいたしまして漸くこのような計画を辿りまして戻入したしております。国に御迷惑をかけたことにつきましては、最大の努力を以てお返しをしつつあるという現状でもありますので、御了承を願いたい、かように存ずる次第であります。