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1951-03-31 第10回国会 参議院 経済安定委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月三十一日(土曜日)    午後三時二十二分開会   —————————————   委員の異動 三月三十日委員岡田宗司君辞任につ き、その補欠として波多野鼎君を議長 において指名した。   —————————————   本日の会議に付した事件外国為替管理委員会設置法の一部を  改正する法律案内閣提出) ○外資に関する法律の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) それでは委員会を開会いたします。  前回に引続きまして外国為替管理委員会設置法の一部改正法案質疑を続行いたします。なおこの設置法関係に継続いたしまして、外資法関係質疑にも入るわけでありますから、御準備をお願いいたします。  ほかの委員のかたで御質問がないようでしたら、私一、二だけ質問したいのですが……。  では私から一、二御質問申上げますが、三月二十五日の日本経済新聞によりますと、外為委員会の廃止問題があるやに報道されております。特に、この外為委員会があることがむしろ外国為替の処理に官庁間の権限所属の不明ができて、却つて不明瞭になつておるという批判があるかのごとく伝えられておる、同時にそれが今度の一—三月の外貨予算関係について不手際があつた云々と報ぜられておりますが、これにつきまして、外為委員長安本両方から簡単に御答弁願いたいと思います。
  3. 木内信胤

    政府委員木内信胤君) 今お話のような議論が政府の一部にあるということについては私は何も聞いておりません。その記事に出ましたような内容の問題については、各自見るところによつていろいろ考えが違うだろうと思います。今の為替管理の行き方は、権限を数個の官庁に分散してそれを統合してやつて行こうという行き方でありまして、そうしなければならないと考えられた理由は、過去の日本の持つていた為替管理貿易は、当時の商工、為替大蔵ということに分れていて、必ずしもその調整がうまく行かなかつた両方ばらばらになつておる傾向があつた。それに対して最近諸国の例ではこれを一体的に管理するほうがいいということが非常に言われております。これは国際通貨基金専門家も当時日本参つたのでありますが、その人もはつきり言つてつたのであります。これを一体的に管理するには、貿易為替の両面に亘りますから、その中間に金を扱う一つ官庁を作つたほうがいいと考えたのが、今の改正の根本であります。かように権限を分散しましたことは、新らしく権限を分けるようになつたことは始めてであります。必ずしもまだしつかり熟しない面かあるのかも知れません。殊に今お願いしておりますこの改正は、権限を分けたんだが、その分けられた権限を各官庁が実行して行く上において、誰か一人音頭をとると申しますか、全体に目を張つてばらばらになつておるものが、てんでん勝手な方向に走らないように見ておる必要がある、そういう一種の調整法律では申しましたが、そういうことをする必要があつて、これは今まで十分に表現されておりません。一時その仕事が誰の責任であるかわからないような時代がありましてまごついたこともあるのであります。つまり現状は新らしい制度にまだ熟さないものがあると思いますが、今お願いしておりますこの改正案のようなものが通りまして、はつきりとそう点もきまつて来ればうまく行くであろうと思います。それがこれをお願いしておる理由であります。その他の点で工合が悪いというのは……。
  4. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 一—三月の外貨予算をめぐつて不手際云々ということです。
  5. 木内信胤

    政府委員木内信胤君) それは私不手際とは……、一—三月の外貨予算の狙いとしましたところは、非常に遅れておりました輸入というものを取返したいというので、極度の輸入許可を行なつたのであります。十分に許可してしまつた結果として、現在これ以上今までのような思い切つた許可ができない、手綱を締めなければならんという状態に達したのであります。そうなるのは当然なのであります。そのことが誤り伝えられて多少の誤解を生んで、何かそこに失態があるかのように伝えられたのだと思います。一—三月の予算は十分にその目標に達し、むしろ私は非常にうまく行つておるのだと考えております。
  6. 小峯柳多

    政府委員小峯柳多君) 只今外為委員長からお話がありましたように、封鎖経済から国際経済経済がだんだん拡つて行きます過程におきまして、為替貿易或いは外資等に関しまする技術的な面で、なおだんだん事情に応じて改善しなければならん面があると思います。併し御指摘のようなことは私ども直接伺つておりませんし、安定本部といたしましても新聞に伝えられるような結論にはまだ達しておりません。
  7. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 重ねてもう一点だけお伺いして置きます。今度の改正法案によると、単なる手続の問題が規定されておるだけでありますが、この報道その他によりますと、権限所属自身に問題があるかのごとく見えますが、この権限所属の問題を棚上げして、手続だけの改正で以て今のところ大体うまく行くというふうに考えておられますか。
  8. 木内信胤

    政府委員木内信胤君) そう考えております。と申しますのは、権限所属法律できめます。法律できめた権限所属に関して、今申しました通りいささか慣れないものがあつた考えるだけでありまして、その権限所属自体を今改正しなければならないと思う点はございません。
  9. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) ほかに各委員のかた、外為設置法改正法律案につきまして御質問ございますか。
  10. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 僕は昨日お願いして置いたんですが、今度提出されておる設置法は表面的には非常に簡単な二、三の権限の問題を整理するように見えるが、一体外為委員会というものの存在が今のままでいいか悪いかという根本問題について、安本長官大蔵大臣日銀総裁意見を聞きたいということを申入れて、昨日速記録がございませんでしたが、安本長官意見だけは聞くことができましたが、大蔵大臣日銀総裁意見を聞きたいということを申入れて置きましたが、その点どういうふうになつておりますか。
  11. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 日銀総裁手続いたしましたが、何でしたかともかくも出られないという理由を附して断つて来られたと思います。それから昨日の、大蔵大臣はほかの委員会に入つておるか何だかまだ見えておらないと思います。
  12. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 私のほかの話も木内委員長安本次官から聞いておるので、できましたらその問題ははつきり大蔵大臣から聞きたいと思います。
  13. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 連絡をとつて置きます。
  14. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 そこで委員長にお尋ねしたいのですが、提出されております事柄は機構権限その他に関するものですが、僕は最近の為替政策そのものか非常に動揺的であり、且つ自主性を喪失しておるために、その点についてずつと二、三お尋ねして置くことが極めて必要だと考えますのでお尋ねしたいと思いますが、お答え願えましようか。というのは昨日、一昨日のときにはそういうような為替政策責任者は……閣僚審議会外為委員会は、單に何かこう金庫番のようなものだという意見がございました、一昨日は。それから昨日はあなたのところの事務局長からそうじやない、やはり為替政策責任者は総理を除けばやはり木内委員長である。こういうふうなのがありましたから、これからそういう点について二、三ずつとお尋ねしたいと思いますが、よろしいですか。
  15. 木内信胤

    政府委員木内信胤君) 御質問によつては、お答えできると思います。
  16. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 先ず第一にお尋ねしたいのは、朝鮮事変勃発前に国際市価の非常に安定していた時期に買付を見送られた。これは見送られたのか、見送ることを余儀なくされたかという問題、この辺について私どもは解釈を持つておりますが、この点、そうして事変勃発外貨はどんどん溜つて行くのに、輸入について積極的に何ら手を打たれなかつた、又打たれなかつたように見える。そうして実際その効果を現わしていない。そうかというと、いよいよ相当アメリカの相場が上つてから、今日の新聞ですか二五%というふうに言つておりますが、その当時でも少くも一四%乃至一五%値が上つて相当高くなつたものを買われたというこの一連の関係、これは自主性が余りにも欠けており、日本はこれによつて余りにも大きな損をしているんじやないか、その運用の衝に当つておられる委員長はこのような外貨の浪費、そうして国内への物の不足から来るインフレというような点についてどういう責任を感じておられるか、一つできるだけ詳細に御説明願いたいと思います。
  17. 木内信胤

    政府委員木内信胤君) 貿易政策の面は必ずしも私専管事項でありませんが、外貨予算については事実だけは知つておりますからその範囲で申上げます。朝鮮事件が始まつて以来輸入の必要があつたにかかわらず、その当時輸入が見送られたというお言葉でありますが、格別見送つたことはないのであります。外貨予算の使い方は、私今ちよつと数字を記憶いたしませんが、昨年の一月は予算数字は一億三千万ドル弱というものでスタートしたのです。それが毎半期ごとに逐次増加しております。でありますから、特に毎四半期……特に当時見送つたということは決してございません。ただ朝鮮事変以後特需があり、海外向け輸出増加しましたために、輸入は普通に同じように逐次増加の勢いで進めて来たにもかかわらず外貨の収入が多かつたために私どもの預つております外貨は非常に殖えました。ですから言い直しますれば、昨年秋の朝鮮事変後の輸入というものは、輸出が急に殖えたのに対してそれと同じスピードで殖えなかつたということだけのことであります。当時もう少し早く輸出と同じように輸入ができたらなおよかつたであろうということは考えられますが、特に見送つたというようなことはございません。従いまして、輸出が急に殖えまして外貨の手持が殖えましたからこれを早く使つて輸入を急ごうということは、恐らく国民全体の輿論であつたと思います。それでその輸入をもつと早くしようということは突然今年になつてまつたことではないのでありまして、当時十月から打つべき手は我々として打つてつたと思います。殊に今度非常に輸入が促進されました大きな原因自動承認制というものをやつたためであります。この自動承認制は七月からスタートしているのであります。逐次その物資増加して参りまして今日のようになつたのであります。大体事情はそのようでありますから、御質問にありましたような点は別になかつた考えております。
  18. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 僕も資料の関係で坐つてやりますからどうぞあなたも坐つていて下すつて結構ですが、今あなたの答弁されました点によるとそうでないというふうに言われますが、私だけの意見でなくて、現にこの委員会稻垣委員のごときこの実業に精通した委員委員外発言で昨年の秋頃と思いますが、私の意見と同じことを言つて非常に憂慮されて、こういうやり方をしていたら高いものを買うぞ、これは政党の問題でなくて、一会派の問題でなくて、日本の非常な大きな損失であるということをこの委員会で現に警告をしておられて、そのときには私は次官もおられたのじやないかと思うんですが、これは私の意見でなしにそういう稻垣議員のごときそういう関係の人がはつきり言つておられるのであります。それから労農党木村禧八郎君もこの点を詳細に数字を挙げて大体五億ドルについて一四%と計算して七千万ドル、邦貨にして二百五、六十億のこれはあなたの委員会為替政策のよろしきを得ないために損を與えているということを言つておるんですが、そういう点、これは損を與えなかつたというふうに抽象的なお答えでしたが……。
  19. 木内信胤

    政府委員木内信胤君) 先ほど申しました通り輸入がもう少し早く伸びたならよかつたであろうということは考えられます。併し経済のことはあとで考えて、一番いいような、一番安いときに、一番高いいときに買う、振返つてその一番都合のいいときを掴えて参るわけには参らない。何も損をしたということではないと思います。
  20. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 僕がこれを言うのはただ過去のことを何か揚足をとつて言うのではなくて、現在提出されている法案はいささかなりともこの為替管理委員会機構を強化するのです。そういう国のためにならん機構を強化する必要はないということに結論が出て来るわけですが、私は若し速記が悪ければなくなつてもいいのですが、実際ざつくばらんに言つて余儀なくされているという、こういう感がしてならんのですが、そういうことがなくて今後も全く日本が損しないように自主的に運営できるでしようか。
  21. 木内信胤

    政府委員木内信胤君) 余儀なくされているとおつしやいますのは、司令部政策とかいう意味ですか。
  22. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 つまり使おうと思つても使えないというような、つまり占領下にあるために買いたい時期にも、商機の最も熟したときに買うということが非常に困難だという実情があるのじやないでしようか。そういうことは全然ないでしようか。
  23. 木内信胤

    政府委員木内信胤君) そういうことはございません。
  24. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 まあ私はこの問題はその程度にして……その次に来る四—六月の外貨予算ですが、一—三月に対して、約九億ドルに対して四億五千万ドルで予備費を抜きますと三億七千万ドルくらいに過ぎないということですが、そして自動承認制を削減して事前割当を復活するというようなやり方をしておられますが、こういうような條件で第一にお尋ねしたいのは、八千万ドルのアメリカからの食糧予定通りガリオア資金輸入に切替えられるようですが、これで食糧輸入額の減少はあり得ない、当初の予定通り食糧輸入ができるかどうか、これが一つです。これは委員長のほうでしようか、安本のほうでしようか。
  25. 木内信胤

    政府委員木内信胤君) 私代つてお答えできると思いますが、食糧輸入に関して別に差支えない予定です。
  26. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 できるという……。
  27. 木内信胤

    政府委員木内信胤君) そうです。それから今のお話で、一—三月九億といつたのは四億五千万、実質はそれより少いということを非常に不安のようなお言葉でありましたが、九億ということは成るべく輸入は急いだほうがいいという天下の世論に応えまして精一ぱい輸入をした。輸入と申しましても外貸の割当でありますが、外貨割当をしたのでありまして、これは若し九億というものを毎四半期分けて行けば年間三十六億になる。それが今の日本の国力からいつてとび拔けて大きくなるということは疑いないのです。ですから何も四半期というものをそう一々分けて考える必要はない。上半期今の九億に三億幾らを合せて十二億、それでも年間にすれば二十四億になるのであります。ですから一—三月に大いに急いで出しても減るというのは当り前のことであり、別にそこを不安のように考える必要はないと思います。
  28. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 兼岩君御発言中ですが、先ほどお話のありました一万田日銀総裁はよんどころない事情によつて今日は出席できないそうであります。政府委員でないためにそれ以上こちらから催促できない事情にあることを了承願います。池田大蔵大臣は目下予算委員会答弁中だそうです。そして予算委員会答弁が済んだら直ちに大蔵委員会答弁のために入られるそうです。両方とも所管の委員会であるために席を外しにくいというお話だそうです。お伝えいたします。
  29. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 それでは今までは食糧輸入予定通り順当に行つておりますか。今後はできるという御答弁は頂きましたが、今までは予定とぴつたり吻合するようにできておりますか。
  30. 賀屋正雄

    政府委員賀屋正雄君) 食糧輸入につきまして朝鮮事変に至る期間については順調に参りました。朝鮮事変が起りまして、いろいろな事情から若干遅れたようでありますが、一月二月三月と非常に順調に入つておりまして、この傾向を以てすれば格別心配することはないというふうに考えております。
  31. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 つまり政府計画しておる数量と一致しておるのですか、一致してないのですか。
  32. 賀屋正雄

    政府委員賀屋正雄君) 二十五年度の予算には三百二十万トン程度予算を計上いたしておりましたが、実際入りますものは恐らく三百万トンを若干切る程度考えております。
  33. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 三百二十か三百の程度において、つまり一割程度の停滞がある程度でやつてゆけるような進行状態にいるという意味ですか。
  34. 賀屋正雄

    政府委員賀屋正雄君) さようでございます。予算のほうは申上げるまでもなく何と言うか買付ペースであります。実際入つて参りますのはアライバル・ベースでありまして、そこに若干の違いが出て参ります。
  35. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 もう一度お尋ねしますと、月々の予定、或いは四半期ごと予定を持つておられるところの一割程度少く入つておるだけというふうに聞いているのですが……。
  36. 賀屋正雄

    政府委員賀屋正雄君) 実際入つて参ります到着ベース考えまして、二百八十万トン乃至三百万トン程度が予想されますので、到着ベースといたしましては大体予定いたした数量を確保いたしておる次第であります。
  37. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 到着ベースというのは何ですか。
  38. 賀屋正雄

    政府委員賀屋正雄君) 現実に入着いたした数でございます。
  39. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 それではお尋ねいたしますが、塩と皮革などを自動承認制から脱せられるのですか、すでに脱せられるようとしておりますか、もうすでに脱せられましたか。塩、皮革……若しこれを自動承認制から除くと非常に輸入が困難になりはしないでしようか。この二つ如何でしようか。
  40. 木内信胤

    政府委員木内信胤君) 塩は自動承認制ではなかつたと思います。初めから事前割当であります。皮革自動承認制物資でありますが、今後皮革自動承認制から外すという話はしておりません。
  41. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 ああ、そうですか。それからそうして四—六月に、ともかくもあなたは一—三月が多過ぎたので四—六月が減つたのではないかと言われておりますが、我々見て非常に減つております。外貨が非常に削減されております。その他の重要物資の供給について自信がございましようか。つまり自信というのは漠然と言つたのではなくて、政府のちやんと計画として発表しておられる数字に比べて、それだけの責任は必ず持てるというふうにお考えでしようか。
  42. 賀屋正雄

    政府委員賀屋正雄君) 輸入計画につきましては累次申上げますように、為替予算の増額その他の或いは為替手続貿易手続簡素化によりまして、非常に進捗いたしておる状況であります。その点は先ほど木内委員長から申上げた通りであります。私ども輸入につきましては大体計画通り数量を確保できる、こういう段階、現状であると、かように考えております。
  43. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 現状……手続簡素化もさることながら問題はそんな手続の末梢ではなくて問題はもつと本質的のところにあると思いますが、この問題も見解の相違として次へ進みましよう。それはインフレーシヨンの問題で、昨日もこれはちよつと責任者がおられなかつたの十分論議に入らないで置きましたが、我々が以てするところは、我々の見るところでは、現在一生懸命に政府はこの国内で金を抑えつけておられる。苛酷な徴税その他あらゆる方法でやつておられるが、一方大きなところを逃しておられるために抑えても抑えてもインフレは進む。つまり激しい金詰り、一方において激しい金詰りのくせに一方においてインフレが進行しておるというのがこれらのインフレ原因ではないかという見通しを持つておりますが、その根源は全くそのあなたのところの運営されておる外貨特別予算に私は根源があると考えておりますが、あなたはそういうふうには考えておられんでしようか。
  44. 木内信胤

    政府委員木内信胤君) 考えておりません。
  45. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 考えておられません……それじや僕はもう少し数字的にその他実証いたしますから、そういうふうにお答え願いたいのですが、私どもの見るところでは、現在の外為特別会計とは曾つての戰争中の臨時軍事費特別会計実質上全く同じで、ただ主人公が日本から外国に変つたというだけであるというふうに私は見ざるを得ないでありますが、それは詳細に私ども分析いたしまして、日本のこの曾つて臨時軍事費のこの製造会社日本の軍隊、日本の軍閥と市中銀行興銀補助金政府資金あらゆる点を検討いたしまして全くそつくり状態にいて、違うところは臨時軍事費及び戰時統制に代るに外為会計というものが原料の輸入から、できた軍需品輸出に至るまで一貫して抑えておるというために、その他の関係はもう全く同じ、つまり市中銀行関係も同じ、興銀補助金等の代りに開発銀行とか輸出銀行興業銀行のある点も同じ、それから政府出資につきましても預金部日銀信用というのも全く同じ、ただこれに見返資金という外国支配下にいるものが入つて来ているという関係、これは全く私は瓜二つというふうに、ただ目の色その他皮膚の色が変つておるというふうに見るのでありますが、その結果として数字的に我々が調査いたしましたところによれば、二月二十二日現在の数字でありますが、外為支払超過額日銀発行関係を見ますと、日銀発行高の六八%まで外為支払超過額でできておるのですが、こういう関係はどういうふうにインフレ原因でないという御証明になられるのでしようか。
  46. 木内信胤

    政府委員木内信胤君) 臨時軍事費特別会計外為会計瓜二つだというお説は私全然了解できないのでわかりませんです。輸出入を抑えているという言葉がありましたけれども輸出は自由でありまして、ただその手取りの外貨を売つてもらう、輸出した人は円を銀行からもらうわけですが、それで商売はできてしまつた、売つてしまつた外貨をわざわざ持つている人はないのです。その点外貨を売つてもらうという事実はありますが、別に抑えている事実はないのです。又輸入のほうは大部分のものが今自動承認制なりつつあるのでありまして、その面もだから輸入している品目は指定しております、贅沢品はいけないという意味で指定してありますが、国家の再建に必要な物資だけを選んで自動承認制物資にしているのであります。これも自動的に為替をもらうのであつて自由制は極めて強い、抑えているという関係はないのですが、お言葉では抑えている結果同じだというふうにちよつと伺いましたが、全部私わかりませんから今は申せませんが、若し抑えているということがありましたら、抑えておらんのだということだけを申上げます。  それから現に日銀発行高は殖えました。それと私ども会計支払超過なつたもの、実は私ども支払超過ではございません。今は日銀に対して三百八十億ですか、三百八十億かの預金ができている。支払超過ではございませんが、これは恐らく日銀の今の外貨貸付というもので払出されたものをあらかじめ私ども会計から払出したように錯覚なさいましての数字と思います。世間にそういう錯覚がたくさんございますからそうかと思いまする意味から言うと同じとお考えになつてもいいのです。併し要するにその両者を合併しましていわゆる貿易関係から払出しが多かつたということは申せます。申せますが、そのほか多かつたという事実と、日銀通貨発行高増加というのを直接比較なさるのは間に考えるべき條件を拔かしておられる、日銀通貨発行高増加というものはなおそればかりではないのであります。ですからそれを比較して六〇何%に当るからお前のほうは最大のインフレ製造者だというふうに結論なさるのにはいろいろ考えるべきことがあると思います。端的に申しまして、今は輸入のほうが輸出より進んでおります。その輸入には、いわゆるユーザンスが與えられますために、一時的に資金政府機関若しくは日銀に還流するということを一時的に延ばしているために、やや輸出が起すデフレーシヨン的効果を遅延さしておるということはあるのでありますが、輸入が非常に進んだということは非常にデフレ要素でありまして、それが御承知の通りたびたび申上げましたように非常に進んだのであります。むしろ今の外国貿易外国為替の運営というものは、デフレーシヨンの要因を作りつつあると御覧になつていいのでありまして、それが一時的に二、三カ月続くということを、それを一々捉えて非常なインフレであるというように思うのは、少し見方が足りなかつたと、こういうふうに考えます。
  47. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 私が抑えていると言つた意味は、言葉がまずければ直しますが、その内容を申上げますと、つまり特需として曾つて日本軍が製造会社から軍需品を買つた場合に、製造会社のイニシャルでなくて軍が必要とするものを買う。それに必要な原料を厳格な戰時統制、官僚統制、官僚的な戦時統制で原料をやる。運転資金市中銀行から、設備資金に対しては興銀その他の補助金でやるという形で、この臨時軍事費政府資金から出て行く。そうして預金部と税金と日銀の信用とでやつておられる。これは一連の関係の原動力がその軍需品を買うという、それぞれの何々の軍需品が要るという日本軍の絶対命令で、一連の経済活動のインフレという過程が行われた。これに対して現在の條件瓜二つというのは、ただ日本軍ではなくてここに朝鮮事変アメリカ軍を先頭とする国連軍という関係に置き換えて、ここで必要な戦略物資、差当り要る軍需品という特需、それから機械及び今も現に進行中の日米協力による戰略物資、いわゆる新特需は、何ら我々に発言権があるんではなくて、これは向うさんからの要求によつて製造会社に行く。その製造に必要なるものがユーザンスその他の輸入資金という形で来る。そこで市中銀行から運転資金、設備資金については開発銀行とか輸出銀行等々そういう形で興銀等で與えられて、そうして政府から直接投資がその製造会社になされる。そうして見返資金が大きな役割をつとめておるのです。さてそれらの一連の、つまり特需及び新特需を原動力とする一連の経済活動におきまして、外為会計が演ぜられておる立場は、その本質は私は自主性がないと見ておりますが、自主性がないにもかかわらず、又極く少数の自主性しかないにしろ、結局外為関係があたかも日本の基幹であるかのごとき現象を演じておる。事実輸出輸入に対する役割はこれは絶対的に大きなものだ、こういう意味なんです。第一の問題はそれを承認されませんか。
  48. 木内信胤

    政府委員木内信胤君) 輸出輸入の尻は私ども会計に参りますから、輸出輸入というものに対して演じておる役割は大きいとおつしやるのは事実と思います。その他の点は私にはお考えがよくわかりません。今の御質問によりまして、さつきよりはよくわかりましたが、十分にわかりません。併し要するに私ども会計インフレ要因であるというのは、結局の問題点と思います。それは先ほど申上げましたことで答弁は盡きておると思います。そう御承知願います。
  49. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 外為輸入金融も行なつておられる。従つて先ほどの、最初の関係なりますが、割高な輸入品、これをされたということは、これはあなたも認めておられるのですが、その割高の輸入品が、割高のままで大量に日本の市場に入つて来て、海外の物価高というものが波及する。これも一つインフレの現象ですが、それにしてもこれの海外からの物価高の波及、つまり自主性がないための波及、そのほかにそれが又一つ原因ともなり外為支払超過が、私は現在のインフレの唯一の原因で、他は全部抑えておるにかかわらず、これだけが出ておると思うのですが、今あなたがそれに対して説明して、あなたの説明に対する反駁として私はもう少し細かに申上げますが、二月二十日現在の外為を除く政府資金外為を除きます一般、特別及び国鉄、輸出銀行、専売公社、住宅公庫というような機関全体を合せます。と、政府資金の対民間との関係の収支では引揚げ超過九百十三億円になつておる。つまり黒字になつておりますが、これに外為を加えますと、俄然政府資金の民間收支が千六百七十九億の赤字になります。従つてこの黒字の九百十三億と赤字の千六百七十九億を合計いたしまして二千五百九十二億が外為のみのための撒布超過であると認めるべきだという意見ですが、これを御承認になりませんか。
  50. 木内信胤

    政府委員木内信胤君) それは先ほど私が指摘申しました日銀等をこめて考えておられる。私ども関係は撒布超過で、それだけの撒布超過をするならば、これだけの赤字を示すはずであります。私ども会計はさつきも申しました通り今黒字であります。ですからそれは日銀外貨貸付というものをこめておられるのだと思います。従つて質問はその実体なしと答えざるを得ません。
  51. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 併しそうすると、私どもの調査したこの二月二十日の政府対民間の支出が九百十三億の黒字であつて外為を加えると千六百七十九億の赤字になるというこの数字は、僕のほうのは誤つた調査ですか。
  52. 木内信胤

    政府委員木内信胤君) 日銀外為を加えるとそうなると思います。
  53. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 それを加えてどうして悪いのですか。
  54. 木内信胤

    政府委員木内信胤君) ですから私ども会計インフレ原因であるのではなくて、それをおつしやるならば日銀総裁も加えてインフレ、デフレを論じなければならん。日銀を加えてお論じになるのでありますと、何も貿易ばかりでない、その他の部面も加えなければならない。金融のことはすべて全部を見なければなりません。一部の、私ども会計だけ、而も事実でない、日銀貿易部分、輸入部分だけをそれに加えて、そういう数字をお出しになることは、何か少し的を外れておると思います。結論として、輸入を促進されたということは、非常なデフレ要因を作つたのである。それが今ユーザンスが與えられた結果として、その現われて来ることが少し遅れて来るかも知れませんが、併し全体として、私ども会計あるがためにインフレなつたというふうに聞こえますが、そういう事実は絶対ないのです。
  55. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 僕は日銀外貨貸付が入つていても、私の調べた結論的な終局において、今日本政府と対民間との関係においては、途中のどういうプロセスがあろうとどういうものが入つていようと、要するに引揚超過と撒布超過の関係においては、そうしてインフレの要因という経済学的な観点においても変りないじやありませんか。つまりどものほうの調査のほうがよろしいじやありませんか。つまり管理の責任の所在でなくて、インフレという経済現象の根底に横たわる数量関係は、この途中に日銀外貨貸付が入つていてもいいじやございませんか。結局それがつまり外貨資金の運用の輸出関係根源を置いている結果として赤字と黒字のかような結果があるという事実に法律的解釈によつて何の影響も受けないのじやないですか。
  56. 木内信胤

    政府委員木内信胤君) それはおつしやる通りでありますが、私ども会計があるためにインフレを作るのではない。今輸入を非常に急いだ、輸出が非常に延びた、延びたに対して輸入はそれに追付くのみならず追越しつつある。但しユーザンスが與えられたためにその発露が遅れている。これだけの現象であります。これだけの現象があるのでそれが非常にインフレが進行するというふうにお思いになるのは的外れではないか。これは解釈の違いかも知れませんが、私はそういうふうに思います。
  57. 中川以良

    ○中川以良君 私は本法律案についての質疑は大体盡せたと思います。兼岩君の御質問は非常に長いようでありますが、すでに本日で休会に入るようなことになつておりまする話もありますし、私はここで質疑を打切つて討論に入る動議を提出いたします。(「賛成」と呼ぶ者あり)
  58. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 ちよつと議事進行に入る前に、今日で国会が自然休会に入るということはあなたの御想像ですか。今理事会をやつているので僕のところに来いと言つて来ているのですが、本当に今日ということにきまりましたか。ちよつと中川先生にそのことを聞いてから……。
  59. 中川以良

    ○中川以良君 入るような空気になつているということを私は申上げた。あなたは議運の委員でいらつしやるからよく御存じでしよう。
  60. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 私の了承しているところでは、今日で終るか終らんか甚だ疑問だと思います。少くとも今折衝中です。
  61. 中川以良

    ○中川以良君 私の動議を一つ……。
  62. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 それであなたの動議に反対いたします。議事進行については、かような重要な問題は十分討議を盡されるべきである。そして昨日、一昨日と言われるけれども、あなたが見ての通り木内委員長も来られませんでしたし……。
  63. 中川以良

    ○中川以良君 動議の成立の可否を問うて下さい。
  64. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 動議が出まして、動議をどうするかということを御相談申上げようと思いましたけれども、兼岩君の今のお話によりますと動議反対というお話もありますので、動議の採用についての意見が交されていると思います。従いまして動議を採用するかしないかについて先ずお伺いします。  只今の中川君の動議を取上げることに御賛成のかた、或いは御反対のかたの御意見を先ず伺います。
  65. 野田卯一

    ○野田卯一君 賛成。
  66. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 反対意見は先ほどの兼岩君だけですか……。  それでは今の動議の採決に入りたいと思いますが、動議に御賛成のかたの御挙手を願います。    〔挙手者多数〕
  67. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 多数でございます。それでは動議は成立いたしました。従いまして質疑は打切られたものと思います。  従いまして質疑の後討論に入りたいと思いますから逐次御発言をお願いいたします。
  68. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 外国為替管理委員会は過去一年余の体験に鑑みまして、今回改正せられることになつたのでありますが、外国貿易を健全に発達せしめることは我が国の再建上にも、又重要産業の振興促進上にも緊要でありますから、私は外国為替管理委員会設置法の一部を改正する法律案に賛成するものであります。ただ外国為替及び外国貿易管理事務は、各官庁関係があり複雑であるから、今回の改正によりまして外国為替管理委員会が主となつて、よく官庁相互間の連絡を円滑ならしめて、外国為替の取引及びこれに関連する外国貿易の取引の手続に遺憾なきを期すると共に、外国為替銀行その他の関係金融機関をも十分に監督して、失敗を未然に防止する等万全の策を立てられんことを要望いたしまして、私の賛成討論を終ります。
  69. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) ほかに御発言ありませんか。
  70. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 賛成についてですか。
  71. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 討論に入つておりますから、賛成、反対いずれとも御発言願います。
  72. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 私は折角資料を持つて、この日本の政治と経済の中心問題であるこの外国為替の運用の問題、その衝に当つておられる外為委員会の問題について丁度半分質問で、まだあと半分が残つておるときにその質問を打切られまして、私は非常に遺憾に思つております。私はまだ東南アジア方面に対する輸出の問題も聞かなければなりませんでしたし、特にインベントリー・フアイナンスの問題について徹底的に承わろうと思つておりましたが、それを聞くこともできないのです。そこでこの問題に、そういう運営方法の結果甚だ調査が不十分ではありましたけれども、不十分な調査の中にもすでに私はこの法案に対する賛成すべきものを何ら含んでいないということを質問の過程において明らかにしたつもりであります。従つてここでは繰返しません。私は本会議の反対討論において自分の所信を十分に展開するつもりでございますから、ただ反対であるということにして、細かな点は省略いたします。
  73. 野田卯一

    ○野田卯一君 私は自由党を代表いたしまして、本案に賛成の意を表するものであります。外国為替管理の問題は関係するところが非常に広いのでございまして、単に一つの省とか一つの役所でやり得るものではないのでありまして、その間の関係を密接にして、そうして歩調を揃えてよく調整をとつてつて行くことが極めて必要だと思います。今回の改正法律案はそれを目的とするものでありまして、衷心より賛成の意を表するものであります。
  74. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) ほかの御発言ありませんか。……ほかに御発言もないようでしたら、これで討論は終局したものと認めますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  75. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) それでは討論は終局したものと認めます。討論が終局いたしましたら引続いて採決に入りたいと思いますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  76. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) それでは採決に入ります。外国為替管理委員会設置法の一部を改正する法律案につきまして採決いたします。同法案を原案通り可決することに賛成のかたの御挙手を願います。    〔挙手者多数〕
  77. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 多数でございます。よりまして本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  例によりまして本会議におきます委員長の口頭報告の内容は、あらかじめ多数意見者の承認を経なければならないことになつておりますが、これは委員長におきまして本案の内容、委員会におきます質疑応答の要旨、討論の要旨及び表決の結果を御報告することにして御承認願うことに御異議はございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  78. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 御異議ないものと認めます。  それから委員長が議院に提出する報告書につきましては多数意見者の署名を附することになつておりますから、本案を可とせられましたかたは順次御署名を願います。   多数意見者署名    中川 以良  泉山 三六    野田 卯一  藤野 繁雄    九鬼紋十郎   —————————————
  79. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) それでは引続きまして先ほど申上げましたように議題の二番目に入ります。外資に関する法律の一部を改正する法律案の審議に入りたいと存じます。同法案に対しまする一部質疑が残つておりますから質疑の続行から入りたいと思います。質疑のあるかたから順次発言願います。
  80. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 従来外国法人が日本の株式を取得することを制限しておりましたところの理由は、株の値段が非常に安かつたからであつたのでありますが、本法案においては制限を緩和するということになつておるのであります。その制限を緩和する前提條件としては非常に安いところの株の値段を解消するようなことをしなくちやできないと、こう考えるのであります。そういうふうな手段といたしまして証券金融の円滑化、再評価税の軽減、再評価のやり直し、固定資産税の軽減、こういうふうなことについて考えて見られたことがあるか、又何らの措置をとられたことがあるか、お尋ねしたいと思うのであります。
  81. 小峯柳多

    政府委員小峯柳多君) 証券の相場の問題が出ましたが、証券の価格というものは御承知のようにそのときにおける経済実力の総合的な表現になるものですから、証券金融の問題、税の問題等勿論それを形成する要因の一つではありましても、それだけで株式の価格がきまるものではないと思います。要は国の経済の実力がどういうふうに充実して来たかという問題になるのかと思いますが、併しそのこと自体には相当時間を要しますので、今御指摘のような場合は証券に対する対策といたしまして政府が折角研究中でございます。
  82. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 次は税法上の外資優遇措置についてお尋ねしたいと思うのでありますが、同族会社の積立金、或いは特許権の使用料、こういうふうなものに対して課税の軽減、又は免除措置というようなことをどう考えておられるか、お伺いしたいと思うのであります。
  83. 賀屋正雄

    政府委員賀屋正雄君) 同族会社の積立金の課税につきましては、過般の昨年の第七通常国会におきまして法人税が改正されました際に、外国法人が出資いたしております会社で、同族会社になるものの範囲が従来よりも多少殖える。而も積立金の課税の面で他の一般会社より高い税を課するという不合理な結果と申しますか、外資導入にとりましてはマイナスのフアクターと認めるような現象が生じたのであります。この点を是正するために、いろいろ研究をいたし、それから税制を扱つております大蔵当局にもそのことを話しまして、今度の御承知のような法人税の改正によりまして、積立金課税は一般にはなくなつたわけでありますが、ただ同族会社の範囲については従来の取扱と変えまして、その親になる株主が、その会社であります場合にはこれは同族会社と見ない。例えば外国の会社が従来或る会社の三〇%以上一社で持つておりますその会社は、同族会社となるわけでありますが、株主が法人であります場合は、同族会社と見ない扱いにするということを大蔵省のほうで大体了承して、今後はその扱いをして行くということになつております。それから特許権の使用料についてはやはりこれは国内で登録せられますので、やはり日本に財産があるということになりまして、その財産から生ずる利益金という意味で課税されることになるのでありますが、この点は実は税法上そうなつておるだけで、実際問題としては、例えば特許権者が国内に誰もいない、代表者が誰もいないという場合には税の払いようがなく、申告の仕方もない。さればといつて源泉徴収の方法も規定をしておりません。従つて現実の問題としてそれは取り得ないわけでありまして、この点につきましても大蔵省と十分打合せをいたしまして、実際の扱いとして課税しないという話がついております。
  84. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 たとえ今申上げたような株の値段を安くするところの原因が解消するような措置を講じましたといたしましても、現在の株の値段は当り前の値段に回復したということを考えておられるかどうか、この点お尋ねしたいと思うのであります。
  85. 小峯柳多

    政府委員小峯柳多君) 株の価格に対する見方はいろいろございましようが、極く常識的に言つてまだ日本の株価は在るべき姿より低いという見方のほうが一般的ではないかと考えております。
  86. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 次には新らしい株については配当金の送金保証の必要がない限りは届出で足ることにし、旧株については投資計画の一部でない場合でも認可するというような大幅の緩和措置をとられておるのでありますが、外資法の目的であるところの国際収支の改革及び重要産業、公益事業の発展等に寄與せずに、却つてこういうことが投機又は思惑を助長するようなことになりはせないかと心配するのでありますが、この点についてのお考えを承わりたいと思うのであります。
  87. 小峯柳多

    政府委員小峯柳多君) 実は御指摘のようなところまで響くほど若しこの法案効果があるとしますると、むしろ歓迎したいような気がするのでありますが、率直に申上げまして先ほどお答え申上げましたように、まだ株の価格が在るべき姿より低いという今日の段階におきましてはむしろそれはいい刺激を期待し得られるというふうに考えるほうが適当ではないかと考えます。
  88. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 次には右のように緩和して来まするというと、そういうふうなことはないかわかりませんが、外国の人に重要産業のことごとくを握られてしまつて非常に将来困るようなことになりはせないかという心配が窺われるのでありますが、そういうふうなことにならないという明確な御返事がで’きるかどうか、お尋ねしたいと思うのであります。
  89. 小峯柳多

    政府委員小峯柳多君) 実際問題としましては、外国の株主或いは資本家の日本の仕事に対する見方等もありまして、又過去の外資によつて戰前運営しておりました日本の会社の実例等から見ましてあり得ないと思います。併し理窟の上じや今御指摘になつたこともあり得ると思いますので緩和いたしましたとは言え、なお外資に関する法律で幾多の制限を置いておりますのはそんな点に対する考慮もあつたと御承知願いたいと思います。
  90. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 次には外国の投資家ということでありますが、外国の投資家には中国人であるとか台湾人であるとか朝鮮人も含むものと考えなくちやできないと思いますが、外国投資家というものはどういうものであるか。今申上げたようなものも含むのであるかどうか、こういうふうなことをお尋ねしたいと思うのであります。
  91. 賀屋正雄

    政府委員賀屋正雄君) 外国投資家の範囲も今度は別段触れませんでしたが、外資に関する法律のうちに定義があるのでございます。その外資法のうちの定義以外に御覧願わなければならないのは、この外資法ができます前の前段階におきましては、一昨年の三月に施行になりました政令五十一号であります。外国人の資産所得に関する政令があるのでありまして、この中に外国人として定義いたしておりますその外国人が、やはりこの外資法におきましても外国投資家の一部に含まれることになつておるのであります。いろいろ外国投資家の全般を御説明するのも煩瑣でございまして、ここに定義を御覧になれば大体御了解願えると思いますが、ただ特に御指摘のありました朝鮮人、台湾人、それから中国人、この点について御説明いたしますれば、これは今申しましたように外資法の第三條の一号のホのところで引張つて来ております。外国人の資産所得に対する政令のほうの定義からそういうふうにきめるわけでありますが、先ず台湾人につきましては、これはまだ台湾、朝鮮等の国籍の帰属はまだ最終的のことはきまつておらないのであります。ただ日本の国籍から離脱したものであるということは大体言えると思うのであります。この点につきましては朝鮮人、台湾人は扱いを異にいたしておりまして、台湾人につきましては、先ほど申しましたような政令ができます当時いろいろな面におきまして外国人のような扱い、つまり中国人と同じような扱いをいたしておつたのであります。ただ中国人と同じ扱いを受けるためには中国より正式に日本に派遣しております代表団の証明書をとるという必要があるのであります。それを持つておりますれば、当時でありますと刑事裁判権は日本とは別でありました、その他食糧の配給上も特別の扱いをいたしておつたのであります。従いましてこの点を捉えまして、台湾人につきましては終戰前から引続いて今日まで住んでおるものにつきましては一応日本人と見るのであるが、これは長い終戦前からの慣習で、殆んど生活内容等も日本人も同じようなことになつておる関係がございますので、日本人と同じように見るのであるけれども、そういう台湾のミツシヨンの登録を持つておる者についてはこれは外国人の扱いとする、この政令の適用については外国人の扱いをする、こういうことになつておるのであります。ところが朝鮮人につきましては当時そういうミツシヨンが別段なかつたのであります。従いましてそういう裁判権その他私生活上においても外国人の扱いをするという制度はなかつたのであります。これにつきましては、終戰後入つて参りました者はこれは外国人扱いをいたしますが、終戰前から引続いて日本に住んでおる朝鮮人はこれはやはり日本人扱いとするということで、多少その間の扱いが変つておるのであります。結論的に申しますと、戰前から住んでいる朝鮮人は日本人扱いとする、戦後日本に入つて来た者は外国人として扱う。台湾人につきましては戦前から住んでおる者で中国代表団の登録証明を持つておる者は外国人の扱いをする。中国人についてはこれは普通の一般の外国人と同様の扱いをする。こういうことであります。
  92. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 問題として二世ということが取上げられることになるのでありますが、株式を取得するというようなものの対象は一般の外国人というよりも二世というものが対象にされて考えられたのではなかろうかと想像されるのでありますが、そういうようなことはどういうふうにお考えになつておりますか。
  93. 小峯柳多

    政府委員小峯柳多君) 御指摘の通り二世のかたで日本の優良な株式を持ちたいというかたは今までの法律ですと抑えることになつておりましたので、これを直すことも大きな目的の一つ考えております。
  94. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 次には、外国人が所有しておるところの円資金はどのくらいであるか、又そのうち株式取得に向けられるものはどのくらいであるか、又そのうちに中国人、台湾人、朝鮮人及び二世が持つておるものはどのくらいであるか。若し数字が今おわかりでなかつたならばあとで資料を提出して頂いてもよろしうございますが、大体の見当をお伺いいたしたいと思います。
  95. 賀屋正雄

    政府委員賀屋正雄君) 外国人の持つております円資金の調査につきましては、なかなか調査が困難な点がございますが、これはまあ権限と申すのも変でありますが、実は私ども権限で以て調べる範囲の外でございますので、只今のところ調査いたしておりませんが、仕事をやつて参りますために当然そういうことは承知して置かなければならないことでありますので、大蔵省あたりともよく相談いたしまして今後調査を進めたい、かように存じておりますが、只今までのところで承知いたしております、わかつております数字は、為替管理法上のいわゆる非居住者の所有円資金数字はわかつておりますが、これは一月末で四十四億円程度になつております。これ以上の詳しい数字関係事務局と打合せまして、できるだけ早い機会に調査したいと思います。
  96. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 今の数字はあとで資料で一つお願いいたします。次に日本人が外国人の名義を利用いたしまして、株を取得しようとする場合は、どういうふうに取締られるかという点、次には外国人には課税することになつておりますけれども、実際には殆んど申告がない実情に鑑みまして見ますというと、外国人名義を利用することによつて脱税になると考えられるのでありますが、この脱税防止の方法はどう考えておられるか。又外国人名義の利用によつて資本が逃避するような慮れはないかどうか、こういうような点について、くどいようですがお尋ねいたします。
  97. 小峯柳多

    政府委員小峯柳多君) 足りませんところは補つて頂くことにいたしまして、この法律の一番の狙いは、株式を取得する場合の、その支払手段が合法的なものかどうか、或いは筋の立つたものであるかということを、押えることが一番大きな趣旨になつております。従つて今御指摘のような外国人の名前を利用するということは、これは筋道が通りさえすれば大体検討がつくものと事務当局は考えております。私もそう思います。その点は心配ないと実は思うわけであります。脱税防止については、外国人名義云々なりますと、これはなかなか必ずしも外国人だけでありません。これは一般にも関連してかなり現在実在しない名前を用いまして、株式の名義になつておるような場合もございます。然るが故に讓渡取得に関する課税なんかむしろ廃したほうがよかろうという意見も出ておるわけであります。これも税務署で手まめに見当を付けておりますと、大体発見できるような傾向になつております。又取引に対しましても、これも御承知の通り一定株数の取引に対しましては、税務署から報告もさせておるようなわけでございますが、きめ手はございませんが、十分あの手この手でそういうものを正確に掴まえるような努力を税務署ではしてくれておると考えます。
  98. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 あとは暫らくあとに延ばして、今向うのほうで討論採決に入るということでありますから、討論採決に参加して来ます。
  99. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) それではちよつとお諮りいたしますが、このままで五、六分休憩をしたら如何ですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  100. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) それではこのままで暫らく休憩いたします。    午後四時三十七分休憩    —————・—————    午後五時五十五分開会
  101. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 休憩前に引続きまして質疑を続行いたします。休憩前丁度藤野委員からの質問中であつたと思いますから、質問が残つておりましたらどうぞ御発言願います。
  102. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 最近における外資導入の状況ですね、これをお伺いしたいと思うのであります。又技術援助の今お話があつたようでありますが、技術援助に比較いたしまして株式の投資が増加しておるのじやないかという心配をしておるのでありますが、そういうふうなところがあるかどうか。若しそういうふうなことで株式の投資が多いということであるといたしましたならば、それはインフレによる思惑的投資が多いのじやないか、こういうふうな心配もされるのでありますが、これらの点について御説明を願いたいと思うのであります。
  103. 賀屋正雄

    政府委員賀屋正雄君) 最近の外資導入の状況はどうなつておるかという御質問でございますが、お手元に配りました外貨導入概況という横書にいたしました表と、それから外資委員会審議状況報告書という資料を差上げたのでございますが、大体これによりまして今日までのところの状況をおわかり下さると思うのであります。それはそれといたしまして、極く簡單に申上げますと、今年の二月末までの数字を申上げますと、先ず技術援助契約では政令第五十一号で外資法ができます前に、認可いたしました分も含めまして、二月末までで三十三件ございます。これを業種別に分けますと、これも資料に載せてございますが、化学工業関係が十一件、それからゴム関係が二件、造船、車両関係が七件、機械器具関係が十件、養魚関係が一件、金属関係が二件、こういう内訳になつております。それから技術援助契約に比べて、株式投資が非常に多いのじやないかというお話がございましたが、株式投資の数字を申上げますと、これは今度の改正をいたします前は比較的制限が厳重でございまして、いわゆる旧株と申しますか、既存の、すでに発行されております株につきましては、殆んど原則として認可ができないことになつておりましたので、非常に件数が少いのであります。多くの場合は株数がかさみます場合は、大抵技術援助契約をいたしますために日本の会社と提携いたしまして、会社を新らしく作る場合が多いわけであります。その他はそういつた新設の場合の株でありますとか、それから増資の場合の割当がありました場合に、引受ける株でありまして、投機のために株を持つという例は殆んどないと申上げて差支えないかと思います。いずれにいたしましても、数字としてどのくらいになつておるかと申しますと、三月末までの数字を申上げますと、これは政令第五十一号で認可いたしましたものと、外資法で認可いたしました分を加えまして、十二億四千六百万円ということになつております。そのうち政令第五十一号で認可いたしましたものが二億千五百万円、外資法で認可いたしましたものが十億三千万円という数字になつておるのであります。それから貸付金でありますとか、社債というのが、これは外資導入の一つの形態と考えられるわけでありますが、これは戰後何と申しますか、外資委員会ができましてからは、殆んど例がないと申上げていいと思います。ただ単純に資金を持つて参りまして、債権者の立場に立つというような形の投資が、今日のような国際情勢の不安な時代でもありますので、殆んど期待ができないというような状況になつております。
  104. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 今の御説明のような外資が入つて来たといたしましても、資材であるとか、技術であるとか、設備であるとか、原料というようなものの裏付がなかつたらば、却つて外資が入つて来たということがインフレを促進するような原因にはならないかと心配しておるのでありますが、この点についてのお考えをお伺いいたしたい。
  105. 小峯柳多

    政府委員小峯柳多君) 今私どもで扱つております外資は、筋の通りましたものだけにしておりますから、それが対外支払手段として外の機械なり資材等を購入する役に立つというようなことになりますので、それがインフレになるというようなことにはならないと思います。又技術導入その他に関する問題は、それが直接生産の面で製品のコスト、或いは品質等に響きますので、その点から言いましてもインフレというようなことにはならず、むしろ産業の実力を培うというように考えております。
  106. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 外資委員会は、従来物の裏付のない外資の投資は余り歓迎しておられなかつたのでありますが、この法案が通過いたしましたならば、物の裏付がないものも入つて来る、こういうふうなことになるのでありますが、その間の状況を一つ承わりたいと思うのであります。
  107. 小峯柳多

    政府委員小峯柳多君) 物の裏付云云のお話なんでありますが、直接物で入つて来るだけが物の裏付じやないと私は考えます。正当な対外支払手段に裏付されております外資はそれが次の資材、原材料等を外国から輸入する正常な資金になるわけでございますから、多少時間的にズレはありましても、それが物の裏付がない、専らその資金が対外支払手段として正当のものであるかどうかという点にかかつて来はせんかと思います。
  108. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 次は講和條約前に今回の法律改正のような大幅な緩和をされるということが、諸外国にどういうふうな影響を及ぼすとお考えであるかどうか、お尋ねしたいと思うのであります。
  109. 小峯柳多

    政府委員小峯柳多君) 資本は原則的に国籍を設けるべきものじやないと考えます。併しそれが若し非常に不合理なものでありますれば、もとよりこれに対する規制はして行かなければならんと思います。私どもは今の段階で株式の価格その他を睨み合せまして、差支えない範囲で緩和して行くわけでありますが、のこの緩和は国際社会の経済的な一員に復帰するということの努力の現われだというふうに考えておりまして、これは好感を以て迎えて頂けるのじやないか。又これが延いては旧債の処理などに関しましても一歩前進というふうな意味で、むしろいい印象を以て受取つて頂けるのじやないかというふうに考えております。
  110. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 今回の法律改正に関連いたしまして、今後の外資の優遇措置というようなことを、更に考えられておるかどうか、お尋ねしたいと思うのであります。
  111. 小峯柳多

    政府委員小峯柳多君) 私は優遇の特別な措置というよりも、むしろ障害になつておるもの、而も世界的な経済慣習その他で、今まで日本が扱いを変えている面を直して行くことのほうが考えとしてはいいのじやないかと考えております。特に外資というよりも、むしろ障害となつておりますものを個個別々に切離して行く、かような考え方で行つております。
  112. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 次はこの法律改正案に対して財界方面はどういうふうな関心を持つているかどうかということについてお尋ねしたいと思うのであります。
  113. 賀屋正雄

    政府委員賀屋正雄君) 非公式ではありましたが、この改正案を出しますにつきまして、安定本部といたしまして、財界のかたがたにも御意見を承わつております。この人たちの意見は、外資に入ることは結構なことだ、但し先ほど藤野委員から御指摘のありましたように、不当な安い株価のときに、これを入れてよいかどうかという問題が実はあるわけでありまして、外資は欲しい、併し今の株価の段階で株を取得することはつらい、この二律背反するその中間のところで折合うというのが、本提案の内容になつていると御承知願いたいと思います。
  114. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 特許使用料等の課税を免除したいということでありますが、事実申告するものがないので、実際は免除したと同様に徴税がされていないのじやないか、こう考えるのでありますが、この点の実情を承わりたいと思うのであります。
  115. 賀屋正雄

    政府委員賀屋正雄君) この点は先ほどお答えいたしましたように、確かにこちらで申告する人もなければ源泉徴収をするような手続的な規定も設けておりませんが、今日までのところでは実際には課税いたしておりません。それから今後の問題といたしましても、こういつたものには成るべく課税しないほうが適当じやなかろうか、つまり課税いたしますれば、結局又それが日本の技術の援助を受けるほうの日本側の業者の負担になるようなこともありますので、従来通り課税しないような扱いにするということについては、大体大蔵省とも打合せをして了承しておるような実情でございます。
  116. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 次は外国投資家の企業の接収に当りまして補償金支払手続を具体的に定めておられますが、最近アジア各国におけるところの傾向、特にイランの石油事業の国有化をどういうふうに考えておられるか、この点をお尋ねしたいと思うのであります。
  117. 小峯柳多

    政府委員小峯柳多君) 今お話に出ましたような点で、例えばその国の政治の方向が従来の普通の企業を国有にするというようなことが仮にあるといたしますと、それに対する懸念から外資は非常に不安になるわけでありますから、私どもはこの法律によりましてそういう場合には勿論この法によつて円による支払が保証されておりますし、又その円を外貨に換えて国外に送金するという方法もこの法律できめたわけでありまして、私どもは万が一にも問題がそういう方向には行かんような政治勢力がなお続くと考えますが、若しそういうようなことがありますれば、この規定によりまして外資導入に対する安心感を與えたいということを規定して置きましたわけでありまして大きな意味における外資に対する保証となると思います。
  118. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) ほかに質疑はありませんか。
  119. 野田卯一

    ○野田卯一君 外資導入の問題についていろいろ聞くのですが、或る人によると、日本に非常に外資が入つて来るというようなことを言うし、或る人はなかなか入つて来ないというわけで、外資に対する見解が非常に分れている。例えて申しますと、ドレーパーという人は非常に楽観をされておるのですが、あの人は外資はどんどん入つて来ると言うし、又或る人はこれは望めない。どうしてあんなに幅が違うのか。その辺についていろいろとその方面について折衝されておるかたからその御見解を漏らして頂きたいと思います。
  120. 小峯柳多

    政府委員小峯柳多君) この事情に詳しい野田委員からの御質問なんですが、お答えになりますかわかりませんが、日本経済というものは今は非常に欠点が多い。併し非常に先行見込のある少年のようなものだと思うのであります。ですから先の見込を注目して下されば、非常に外資に対して希望が持てることになり、当面を見ますと、なかなか欠点が多いものですから足踏みするのです。その見方が先を見るか、現在を見ているかというふうな違いになつておるのじやないかと思います。従つて非常に理解のある筋から見ますと、当然こういうことに手をかけ、筋を追つて行けば立派な人に成長する。併し又彼は半面非常にコンサーヴアテイヴのものですから、現実を見るとそういうことになるので、或いは日本経済の過渡的な姿から当然起る問題じやないかと思つております。併し結論としまして、そう簡単には私は外資というものが言われるように入つて来るものとは考えません。むしろ経済の姿を自分たちとして整える……私どもがやつております自立経済計画なんか、そういう意味でみずから自分の身を修めております姿がはつきりして参りませんと、入つて来ないのじやないかと考えまして、先に対しては大いに私ども期待しております、併し当面はむしろ自分で賄うような愼しやかな経済自立を考えて行かなくちやいかんというような考え方で、資本蓄積の問題なんかを取上げておるのであります。
  121. 野田卯一

    ○野田卯一君 それから国際面の金融問題なんかしよつちゆう変るのでありますが、日本の旧外債の処理というものが、今まで日本外貨導入に一つの障害になつていたというこれは一応の御見解であつたのですが、そのことについての、現在まあ情勢が非常にしよつちゆう変るので、私は最近の情勢を聞きたいのであります。最近やはり旧外債の処理というものが外資導入とからんでどういうふうに考えられているか、この点を一つ漏らして頂きたいと思います。
  122. 小峯柳多

    政府委員小峯柳多君) 御指摘の点を本格的に改めて参りませんと、私はこの外資の導入の問題に対しましても途が開けて来ないだろうと思います。政府としましてはその保証の途を実は常に考えて来ておるわけでありますが、いろいろの財源その他の関係で遅れておるのじやないかと思います。差当つてこういう緩和をいたしたのでありますが、このあとには又旧債に対する、殊に株の問題とその責任も睨み合せまして、責任のある施策を講じて行く必要があり、又その線に向つて努力しておると申上げたいのであります。
  123. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 野田委員よろしうございますか。ほかに御質問ありませんでしようか。  ございませんですか。
  124. 中川以良

    ○中川以良君 委員長議事の進行について……。
  125. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) どうぞ中川委員
  126. 中川以良

    ○中川以良君 私は質疑を打切り、討論に入るの動議を提出いたします。
  127. 野田卯一

    ○野田卯一君 賛成。
  128. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 今席を外しております兼岩委員からはまだ質問をしたいという話があつたまま席を外されておりますが、動議が成立するならば止むを得んと思いますから、只今の動議についての特に御意見がありましたならば御発言を願いたいと思います。
  129. 野田卯一

    ○野田卯一君 賛成します。
  130. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 動議の内容についての御発言はありませんですか。それじや動議を採決したいと思います。  只今の中川委員の動議に御賛成のかたの御挙手を願います。    〔総員挙手〕
  131. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 満場一致です。  それではこれで質疑が打切られたことになります。従いまして直ちに討論に入るわけでありますが、若しお許しが頂けるならば、稻垣君の発言と関連して懸案になつておりますところの疑点を明確化するために、委員長に一、二発言を許されたいと思いますが、よろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  132. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 委員外発言としてなされた稻垣君からの疑点と関連して、今の政府のお考えはつきりとこの際にいたして置いて頂きたいと思います。  第一点は資産再評価による新株発行の場合、外資法上の取扱が新株とみなさるべきか、旧株とみなさるべきか、法文上明確を欠いておりますので、適当な措置が必要ではないかという点、解釈上の疑点も残ると思いますから、明確な解釈なり政府の御意見はつきりして置いて頂きたいと思います。  それから第二点は外資法施行前に取得しました株式の再審査前の配当金を以て更に株式を購入しておる場合には、その株式に対する配当金の送金保証がないわけであります。再審査前の配当金は外貨と同等と認められない虞れがそとに出て来るわけであります。この関係外資法施行前に支払われた技術料等についても同様のことがあり得る。従いましてこうした状態の場合には片手落ちな状態ができはしないか、これを明確にする必要がないかという点、以上二点でありますが、最後に附加えてもう一点、今回の改正によりますと、今回の改正前に行われた違法行為については、従前の例によつて処罰することになるだろうと思いますが、その、それが法文上は明確になつていないわけであります。立法技術上の不備でもあるかとも思いますが、この際これも明確にして置いて頂きたいと思います。
  133. 小峯柳多

    政府委員小峯柳多君) 順序が逆になりますが、最後に御指摘頂きましたこの法案に関する立法技術上の問題になるのでありますが、先に本委員会で御審議頂きました、臨時物資需給調整法につきましても同じような趣旨の御指摘がありまして、私どもは立法技術からいいますと、そういう御指摘のように、まだ法が念が足りたとは考えぬのでございますが、今までの過去の経験、過去の実例、及び裁判所の判例等に徴しまして、その附則がなくても同じ目的が達しられるというふうな解釈をいたしておりまして、従つてなおその従前の例によるという建前でこの法案を御了承願いたいと思うのであります。  又質問の点でありますが、最初に再評価積立金を資本金に組入れましたことによつて発行せられる株式、この株式は一般には新株と呼ばれるのでありますが、外資法上ではこれを新株と扱いません。外資法上では当該法人に資産の増加をもたらすものを新株と考えておりますから、單に形式的な振替えで、その法人に資産の増加をもたらさないという意味で、再評価積立金の組入れによる株式はこれは旧株として扱うことにいたしております。  もう一点、第二番目に御指摘頂きました点でありますが、改正法によつて保証を受けます配当金は、指定の日以後に支払われるものに限つたわけでありますが、その趣旨は、政令五十一号の認可を受けた株式取得を、改めて外資法の精神から見直す必要がある、外資法の認可基準に照らして、送金保証をすることが適当であるという判定を下したなら、その決定があつた後の配当金について送金保証をするのが妥当と考えたわけであります。せめて五十一号の認可を自動的に外資法上の認可とみなし、すでに支払済の配当金を送金まで保証いたしましてはという、先に稻垣委員のお説があつたのでありまするが、外貨を投資しなかつたような株式の配当金までも自由に送金を認めることになりますし、これは、いわゆる旧債の処理が未解決であります今日の処置としましては、行過ぎであるというふうな解釈で、さよう決定したわけであります。従つて指定日前に支払われた配当金は、一般の為替管理の基準に従つて別途送金の許否を決定することにいたしまして、外資法の送金保証の章から除外したわけであります。但し指定済の配当金を株式に再投資したとき場は、その配当金を産んだ元の株式が外貨又はこれと同等の価値あるもので払込まれたか否かによつて区分し、そうである場合はその配当金を外貨と同等な価値あるものとみなし、それで払込んだ株式の配当金は、指定日以後保証する途が開かれておるので不都合はないと考えられるのであります。  以上御説明がくどかつたようでありますが、こういうふうに解釈しておりますので、御了承頂きたいと思います。
  134. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 只今の問題の二点につきまして、内容的には非常に明確となつたと思います。併しながらこの内容をもつと明確化するための立法的な措置は必要でないかどうか、立法的措置をとらなくても今の解釈で以て行うのに不便はないかどうか、念のために伺つて置きたいと思います。
  135. 小峯柳多

    政府委員小峯柳多君) 別に立法的措置をしませんでも、現行法で、今の解釈で私は行けるものと考えております。
  136. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 質疑は打切られたわけでありますから、討論に入りたいと思います。御意見のおありのかたは順次御発言を願います。
  137. 中川以良

    ○中川以良君 議事進行について……。私は質疑中に討論に代るべき議が十分に盡されておりますので、討論を省略いたしまして、直ちに採決に入ることの動議を提出いたします。
  138. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 賛成。
  139. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 只今の中川君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  140. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) それでは討論も終局したものと認めて差支えないと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  141. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) それでは直ちに本案の採決に入りたいと思います。外資法の一部を改正する法律案について採決をいたします。同法案を原案通り可決することに賛成の諸君の御挙手を願います。    〔総員挙手〕
  142. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 満場一致でございます。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお本会議におきまする委員長の、口頭報告の内容については、多数意見者の御承認を経なければならないことになつておりますが、これは委員長におきまして適当に報告することに御承認を願うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  143. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) なお委員長が議院に提出する報告書につきまして、多数意見者の署名を附することになつておりますから順次御署名を願います。   多数意見者署名     中川 以良  奥 むめお     泉山 三六  野田 卯一     藤野 繁雄
  144. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 御署名漏れはございませんか。……御署名漏れないと認めます。特に御発言がなければ、委員会はこれで打切りたいと思いますが、御発言ございませんか……。それでは委員会は閉会いたします。    午後六時二十四分散会  出席者は左の通り。    委員長     佐々木良作君    理事            奥 むめお君    委員            泉山 三六君            中川 以良君            九鬼紋十郎君            野田 卯一君            藤野 繁雄君            兼岩 傳一君   政府委員    外国為替管理委    員会委員長   木内 信胤君    経済安定政務次    官       小峯 柳多君    経済安定本部総    裁官房長    平井富三郎君    経済安定本部総    裁官房次長   河野 通一君    外資委員会事務    局長      賀屋 正雄君   事務局側    常任委員会專門    員       桑野  仁君    常任委員会專門    員       渡邊 一郎君