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1951-03-29 第10回国会 参議院 経済安定委員会 第10号
公式Web版
会議録情報
0
昭和二十六年三月二十九日(木曜日) 午前十時五十九分
開会
———
—————
—————
本日の
会議
に付した事件 ○
臨時物資需給調整法
の一部を
改正
す る
法律案
(
内閣提出
、
衆議院送付
) ———
—————
—————
佐々木良作
1
○
委員長
(
佐々木良作
君) それじや
委員会
を
開会
いたします。 今日は十一回になると思いますが、
前回
は
物調法
を中心としまして
一般
の
質疑
を行いましたが、今日引続きまして先ず
物調法
の
審議
をお願いしたいと思います。
前回
のときに申上げましたように、成るべくならば今日で
質疑
を打切
つて
頂きたいと思いますが、
質疑
がありましたならば御継続願います。
速記
をとめて。 〔
速記中止
〕
佐々木良作
2
○
委員長
(
佐々木良作
君)
速記
を始めて下さい。
質疑
はほかにありませんようでしたら、これで打切りたいと思いますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
佐々木良作
3
○
委員長
(
佐々木良作
君) それでは
物調法
の
質疑
を打切りまして
討論
に入りたいと思います。
討論
の
発言
のかたは順次……。
兼岩傳一
4
○兼
岩傳
一君 私は本
会議
で
反対討論
をいたしますので、その
要旨
を極く簡潔に申述べたいと思います。
物調法
の
有効期間
を一年
延期
して
統制
をして行こうとする供給の特に不定する
物資
というものは一体何であるか。これが
国民
にと
つて
非常に重要な問題でありましたので、
周東長官
にお尋ねいたしましたところ、
長官
は私の
質問
に対して、
日本
では何も軍需的なものは作
つて
おらん、こういうことを
はつ
きり言われました。又
奥委員
の
質問
に関連して、
生活必需品
の
統制
をやろうということも
考え
がないということを
答弁
いたしておられます。この
答弁
の前半は真赤な偽りでありまして、
あと
の半分は本当であります。私はこの
周東長官
が
議事録
に
はつ
きり残して嘘を
言つて
、
日本
は軍需的なものは製造しておらないということを
言つて
いるのに対して、
はつ
きりここに反証を提供しております。それは大蔵省が監修しております
財政経済月報
によりますと、一月十四日現在の
特需
の中から
ちよ
つと私が拾
つて
見ましても、
鉄条網
と鉄柱が千五百万ドル、
ロケツト弾部品
百二十八万ドル、
鋼鉄製
、
木製兵舎
が七百六十万ドル、
軍用自動車
が千七百万ドル、
兵器
の
修理加工
が二千五百二十五万ドル、合計して五千六百二十三万ドルというような大きな、大量の
兵器
を現に
日本
で作り、これを
アメリカ
に売
つて
おられる。ここに
長官
のそれに対する
答弁
が全く偽りであるということは非常に明らかなことだと思います。さてこれらの
特需
なんでありますが、
朝鮮特需
、これ
はつ
まり
朝鮮
のための
軍需資材
なんでありますが、これが現在二・四億ドル、
日本
の金にして九百億円かに上
つて
おりまして、これは
関連産業
は非常な好景気に
なつ
たのでありますが、併し現在むしろ欠之インフレというような形に
なつ
て来ておりまして、例えば
物調法
、現に問題に
なつ
ております
物調法
の
統制下
におきますところの銑鉄とか、ニツケル、
苛性ソーダ等
の
物価
が上
つて
おります。加うるに
中日貿易
、我が党の最も主張しております
中日貿易
を禁止いたしましたために、
中国
から買えば一トン十二ドルで買えるものを
アメリカ
からわざわざ二十五ドルで買
つて
おる。粘
結炭
を
中国
から買えば十六ドルで買えるものを二十八ドルで、塩を
中国
から買えば八ドルで買えるものを二三ドルでわざわざ
アメリカ
から買
つて
おる。こういうような国の政治の結果、非常に
日本
の
経済
が疲弊しておる。半面いわゆる
自由党
の最もお得意の
自由経済
のままに放置されております。
奥委員
も
指摘
されました味噌、醤油、石鹸、紙、
衣料品等
の
生活必需品
は大暴落に
なつ
ております。
只今
提出されました
物調法
の一年
延期
は、以上申述べましたような
事態
を直して、
反対
に直して、軍需的なものを減らして平和的なものを増産をして、
国民生活
の安定を図り、
実質賃金
の向上を図るというのなら話もわかるのでありますが、
事態
は全くこれと正
反対
であります。それは
周東長官
の私が最初に申述べました
答弁
で明らかなように、そういう
考え
は今の
政府
は持
つて
いないのであります。
反対
であります。
政府
は今
国民
と
国会
を欺いております。現に
周東長官
が私の前々回の
委員会
の
質問
に対しましても欺瞞の答をしておる。嘘の答えをしておる。これは今の
政府
、
自由党
の上に築かれております今の
政府
、
吉田政府
が、ひそかに
日本経済
を
アメリカ
の
軍備拡張
の
経済
の下請にし、
日本
を
————
の
————
にするための、いわゆる
日米経済協力体制
を推し進めておる。この
統制
の
延期
はそういつたことに必要な国際的な
資材割当機関
に参加するための地均しなのであります。それで私は、すでにこの
内閣
がドツジ・ラインという名の下に、
平和産業
と
中小企業
と
人民大衆
の
生活
を破綻させて来られましたこの
内閣
が、この
法律
の
改正
を一つの段階として、その
生活必需品
の暴騰、或いは
人民生活破綻
には見向きもしないで、よその国の
軍需生産
の下請けに
なつ
て、
戦争
に必要な
物資
について
官僚統制
どころか、一歩誤れば祖国を焦土とするような大
戦争
のために、而も
外国
のために、最悪なる
統制
をやろうとしておられるという点、これが
日本共産党
のこの
法律
の
修正
に対して根本的に
反対
するゆえんであります。以上。
佐々木良作
5
○
委員長
(
佐々木良作
君) ほかに御
発言
ありませんか。
藤野繁雄
6
○
藤野繁雄
君
臨時物資需給調整法
の一部を
改正
する
法律案
に対し、私は若干の
希望条件
を附して
賛成
するものであります。 元来この
法律
は
国家総動員法等
の
あと
を受け、戦後
経済統制
の
根拠法
としし制定せられ、今日まで運用されて来たものでありますが、その
内容
においては極めて包括的な
委任立法
であり、
経済統制
に関する全面的な
権限
を
政府
の手に委ねているのであります。このような
法律
の条項が、戦後の民主々義の要求や、或いは
経済
の実情に合致しないことは、すでに各
方面
より
指摘
せられて来たところであり、この
意味
において
臨時物資需給調整法
の全面的な
改正
が年来強く要望されて来たことは、極めて当然のことと申さねばならないのであります。而して今回その一部
改正
により、
物資需給調整審議会
の
設置
による
民意
の
尊重
、或いは
主務大臣
の
権限縮小等
、不十分ながらも
民間
の要望が実現を見るに至りましたことは、従来に比べて一歩前進であるということができます。なお変転する
世界経済
の推移に対処して
重要物資
の
需給
を調節するためにも、本法の延長が必要とせられるのであり、これらの
意味
合いにおいて本
改正案
に
賛成
の意を表する次第であります。 次にその運用に当り、
政府
において特に留意せらるべき事項を
希望条件
として申述べることにいたします。 即ち第一に、
指定生産資材
及び
指定配給物資
の
改廃
及び
追加
は、
国民経済
に重大なる影響を及ぼすものであるかつ、原則として
国会
の
承認
を経る。緊急その余裕なき場合には、早急に事後の
承認
を求める。第二に、今後
物資需給調整
の
基本方針
、その方法、
大要等
を決定する場合、特に
指定生産資材
及び
指定配給物資
の
改廃
、
追加
をなす際には、必ず
物資需給調整審議会
に諮問すると共に、その
報告文
は建議はこれを
尊重
すること、第三に、
物資需給調整審議会
の
設置
に当
つて
は各
方面
の
民意
を取入れ、
経済統制
に遺憾なきを期することができるよう
委員
の選任に留意すること、第四に、
物資需給調整審議会
は、
農林漁業者
及び
中小企業者
の
生産増強
並びに
一般消費者
の
生活確保
につき十分留意するよう運営する。
佐々木良作
7
○
委員長
(
佐々木良作
君) ほかに御
発言
ありませんか。
中川以良
8
○
中川以良君
私は
自由党
を代表いたしまして
臨時物資需給調整法
の一部を
改正
する
法律案
に対しまして賛意を表しますものであります。 そもそも本
法律
は、
政府
のまさに伝家の宝刀とも言うべき
法律
でございまして、これが運営に当りましては、
政府
は極めて慎重でなければならんと存じます。私は今後
日本
の
経済
がいよいよ立派に
再建
をせられ、
生産
が増強せられ、
国民
の
生活
が安定をせられ、更に
日本
の
再建
というものが立派に進んで参りますならば、かような臨時的の
立法
は要らないと存じます。かような
意味
におきまして、
政府
は飽くまでこの面において力を尽されまして、この
法律
に対する
対象物資
というものをできるだけ局限せらるることを切に切望をいたしまするものであります。殊に本
委員会
の
審議
の過程におきまして、各
委員
から極めて立派なる
意見
が出、
政府
にいろいろ要望しております。かような
国会
の意思というものを十分に
尊重
をせられまして、本
法律
を運営するに当
つて
遺憾なきを期せられんことを望むものであります。なかんずく今回新たにできましたところの
物資需給調整審議会
の構成に当りましては、飽くまで公正に
民間
の
意見
が十分に反映できるような
審議会
といたしまして、これを活用せられんことを特に私
ども
は期待をいたしまして本
法律案
に
賛成
をいたしまするものであります。
佐々木良作
9
○
委員長
(
佐々木良作
君) ほかに御
発言
はありませんか。ほかに御
発言
もなさそうでありますから、ここで
討論
を打切るわけでありますが、
討論
を打切る前に、
立法技術
上の問題といたしまして、私から念のため
発言
をお許しを願いたいと思います。 これに類する
法律
の施行に当りまして、まま問題になるのではないかと思うわけでありますが、若しこの
法律
が施行された場合に、この
法律
が施行される前になした行為に対する罰則の適用について或いは
疑義
が残るかと存じます。従いましてその
意味
の
修正
をこの法案に加える必要が
立法技術
上あるのではないかという
意見
があるわけでありますが、
政府
におきましては、その
立法技術
上の問題につきまして、どういうふうに
考え
ておられますか、念のために一つ伺
つて
おきたいと思います。
小峯柳多
10
○
政府委員
(
小峯柳
多君)
只今立法技術
上の御
指摘
がありまして、
疑義
が残りやせんかという御注意でありました。私
ども
も御
指摘
を受けまして、何かそうして頂きますほうが明確になるというふうに
考え
ますが、又今までのこれに類似した、或いは
物価統制令
における
最高裁判所
の
判例等
に徴しまして、
政府
としましてはその附則がありませんでも、ありまするものと同じように扱えるという
解釈
をと
つて
おります次第でありまして、この点を御了承願いたいと思います。
佐々木良作
11
○
委員長
(
佐々木良作
君)
只今
の問題は、そういたしますと丁寧にするならばそういうふうな
修正
が必要とも思うが、従来成立した
法律
の
解釈
に鑑みて遺憾なかろう、こういうお答えでございますか。
小峯柳多
12
○
政府委員
(
小峯柳
多君) さようでございます。
佐々木良作
13
○
委員長
(
佐々木良作
君) ではさように取計られるものと
考え
まして、私の
疑義
は一応捨てることにいたします。以上で
討論
すべて終りましたが、特別に御
発言
がなければ
採決
に入りたいと思いますが、御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
佐々木良作
14
○
委員長
(
佐々木良作
君) それでは
臨時物資需給調整法
の一部を
改正
する
法律案
につきまして
採決
いたします。
臨時物資需給調整法
の一部を
改正
する
法律案
を原案通り可決することに
賛成
のかたの
挙手
を願います。 〔
挙手者
多数〕
佐々木良作
15
○
委員長
(
佐々木良作
君) 多数でございます。よりまして
本案
は原案通り可決すべきものと決定いたしました。 なお本
会議
におきます
委員長
の
口頭報告
の
内容
につきましては、あらかじめ多数
意見者
の
承認
を求めることに
なつ
ておりますが、これは
委員長
におきまして、その
内容
につきましては、本
委員会
における
質疑応答
の
要旨
、
討論
の
要旨
及び
採決
の結果を報告することにいたしまして御
承認
を願うことに御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
佐々木良作
16
○
委員長
(
佐々木良作
君)
異議
ないものと認めます。なお
委員長
が議院に提出する
報告書
につきまして、多数
意見者
の
署名
を附することに
なつ
ておりますから、
本案
を可とせられたかたの御
署名
を願います。 多数
意見者署名
永井純一郎
奥
むめお
泉山
三六
九鬼紋十郎
中川
以良
野田
卯一
藤野
繁雄
菊田
七平
佐々木良作
17
○
委員長
(
佐々木良作
君)
署名漏れ
はないと認めますから、これで
本案
に対する
審議
は打切りますが、残余の議案、特に
外為関係法
及び
外資関係法
につきます
審議
を続行いたしたいと思いますが、
ちよ
つと
速記
をとめて下さい。 〔
速記中止
〕
佐々木良作
18
○
委員長
(
佐々木良作
君)
速記開始
。それでは打合せによりまして、これで本
委員会
を一応
休憩
いたしまして、午後一時に再開いたしたいと思いますが、御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
佐々木良作
19
○
委員長
(
佐々木良作
君) それでは
休憩
に入ります。 午前十一時十八分
休憩
—————
・
—————
午後二時三十五分
開会
佐々木良作
20
○
委員長
(
佐々木良作
君) それでは再会いたします。
速記
をとめて下さい。 午後二時三十六分
速記中止
—————
・
—————
午後四時五十九分
速記開始
佐々木良作
21
○
委員長
(
佐々木良作
君)
速記
を始めて下さい。では本日はこれにて散会いたします。 午後五時散会
出席者
は左の通り。
委員長
佐々木良作
君 理事
永井純一郎
君 奥
むめお
君
委員
泉山
三六君
九鬼紋十郎
君
中川
以良君
野田
卯一
君
藤野
繁雄
君
菊田
七平君 兼岩 傳一君 国務大臣 国 務 大 臣
周東
英雄君
政府委員
外国為替管理委
員会委員
大久保太三郎
君
外国為替管理委
員会事務局長
牛場
信彦君
経済安定政務次
官
小峯
柳多君
経済安定本部官
房次長
河野 通一君
経済安定本部
産
業局長
増岡 尚士君
経済安定本部
産
業局次長
前谷 秀夫君
外資委員会事務
局長
賀屋
正雄君
事務局側
常任委員会専門
員 桑野 仁君
常任委員会専門
員 渡邊 一郎君