○
説明員(
佐々木義武君) それから
物価に関しましては、今申上げましたように
輸出入とも
国際物価が非常に作用を受けまして、従いましてそれに
伴つて国内物価というものが
上昇しつつありますが、その
国際物価の変動を
国内的にどういうふうにアジヤストして行くか、或いはこれを中断して、これを
国際情勢から孤立した
国内物価を持
つて行くという
議論が相当あ
つたのでありますが、この
想定では、
為替レートを変えまして、これによ
つて国際物価を一応
国内的に反映するのだ、或る
程度アジヤストする、
調整するという面はやめまして、
国際為替レートを変えないで、
国際物価に関連して
国内物価が動くという大体
考え方でいいのじやないかというので、そういう
考え方で
生産或いは
貿易等を彈いております。但し
国民所得に関しましては、しよつちゆう
物価が動きましては
比較対照ができませんので、
基準物価を作りましてそれによ
つて計算しております。併し
最後には当然
生産、
貿易等で彈きまして、
物価との
調整の問題が起りますので、それは
最後にとるわけであります。
それから
ちよつと事務的な
説明で恐縮でありますが、もう少し大綱的な
説明に移ります。五頁に「
財政金融政策の
基本方針」とございまして、本当は今の問題に引続きましてこれを出すべきだ
つたのですけれども、これを
あと廻しにしたので、これから
説明しますと、この中には第一点では
原則でございますので、第一点は要するに
公債等による
擬制資金によ
つてまでこの
計画を達成するということは
考えまい。従いまして
インフレは極力これを回避しまして、今のデイス
インフレの線でこの
計画を達成したい、こういう
考え方で現在や
つております。
委員の中には名前ほ差控えますが、これに反対すると申しますか、
建設公債とい
つたようなものは問題の
出しようによ
つては
インフレじやないのだ、そこでこういう際には
生産状況が一番国の根幹的な
政策であるならば、ものによ
つてはそういうものを
考える時期に来ておるのじやなかろうかというふうな
意見もありましたが、大半の
委員のかたは、やはり
インフレによらずに行くという建て方で行こうじやないかというので、こういう
方針で進めております。
それから二番目は、この
計画を達成できるもできないも、この一点にかか
つてといつても過言でないのでありますが、それは
財政金融の
政策を、こういう
政策にどういうふうに
調整するかという問題でありまして、この問題に関しましては、従来の
政府のやりましたような法規的な統制というものはやめて、今の
政府資金或いは一部
民間資金の
動員等、何らかの方法で
考えまして、その積極的な
計画の達成を図ろう、こういうことでや
つております。これに関しては
あとで
説明を詳しく申上げますが、それから三番目には、参議院の
予算委員会でも衆議院の
予算委員会でも非常に問題になりまして、こういう
計画を達成するには、何らか
産業助成政策というものが必要じやないかという質問がありまして、大臣からもそれぞれ答弁があ
つたようでありますが、今のところでは、まあ極力そういう助成金的な
財政的な
援助というものはしない、
原則としてしないという
方針で、特定のものは必要によ
つて考えるということにな
つております。でこれに関してはまだ最終的な問題にな
つておりませんが、一番問題になりそうなのは造船の鋼材だろうと思います。
食糧は勿論でありますが、大体こういうことを
前提にいたしまして、五頁の後段に
生活水準の向上という項がございますが、先ほども申しましたように、この
計画を進めます際に一番問題になりますのは、
生活水準をどうするかという問題で、これは非常に
意見があるのであります。
仮りに現在
程度の
水準で行きまするとすれば、
原則から行きますと、これは理論的に若干誤謬がありますが、
人口の
増加率をこの
程度のものと
考えますと、それでいわゆる
ベーシツク・インポートの
増加というものは彈き得るのであります。極力この
生活水準というものを向上させようというので、今後は思い切
つて上げる案を作
つております。それはここに書いてありますように二十五年が八〇%でありますのを、二十八年には約九〇%まで上げる。これは別に合理的な
基礎もありませんので、従来の
増加の
傾向率をとりまして、そのくらいの
増加であれば大体や
つて行けるのではないかというので、
仮りにこういうものを出しただけでありまして、それで
さつきのような
財政金融、或いは
国際情勢、
人口等の大枠の
想定をきめた後において、今後こうした各
産業乃至
貿易等の一番大きい問題をとり上げまして、それを先行的に一応今まで
審議して頂いたのであります。その
一つといたしましては
貿易であります。
最後の
説明は
先行審議の問題と、それからそれぞれ
貿易、
交通鉱工、農林、
財政、
金融等各
部会で今まで本
年度審議をしつつ、或いは
最終段階に近づいておりまするその
状況を合わせまして御
説明申上げたいと思いますが、この
貿易の
部会では、先ほど申上げましたような問題とそれから
生活水準の問題が或る
程度きま
つて参りましたので、現在二十五年度の
貿易、
輸出入の
想定を先ず彈き出しまして、先ず今年度は
輸入は十二億
程度、当初三千万ドル
程度であ
つたのであります。その後
物価の
上昇或いは
長期計画、或いは繰上げ
輸入等のいろいろな問題がありまして、極力
輸入を促進しようというのでやりました結果、ここに掲げた
数字がございますが、現在では恐らくここまで行かんだろうと思いますが、十一億から十二億の間ぐらいになると思いますが、先ず只今のところでは一応十二億二千万円という非常に高めの
数字に押えまして、これを
基礎にいたしまして、これには
特需とかそういうものは含んでおりません。純
貿易だけだというふうに御
承知願いたいと思います。そこでこれを
基礎にいたしまして、大体七割というものは
ベーシツク・インポートにいたしまして、
あとの三割は
輸出用の
原材料という
恰好になりますが、その八割を
さつきのように
人口が殖え、
生活水準が上
つて行きますから、それに伴いまして
食糧とか或いは
国内の綿花とい
つたものをそれぞれ殖しまして、先ほど申しました
食糧の
自給の
上昇、そういうものと噛み合せながら
考えて行きます。そうして大体の
国民生活、或いは
国内で消費する主たる
物資の
基礎になる
輸入の
規模というものはきま
つて参りますので、それからべーシツク・インポートを彈きまして、その
残つた三割が
輸出用の
原材料というふうになります。そうしますと二十八年度には大体十六億
程度、現在
物価に押えまして最小必要だという、そういう
想定が出まして、それに
輸出の面からどれだけこれを
基礎づけるかというと、今の統計では十四億八千万ドルはやり得るかも知れませんが、一億五千万ドルの
ギヤツプが出るわけであります。この
ギヤツプを今のところでは一億は
貿易外収入、主として
船舶収入或いはその他の先ほど申しました何か投資なり、或いは今の進駐軍に代るような観光と申しますか、そうい
つた収入等を噛み合せまして一億ぐらいは見込んでも、これは不当でないという計算をや
つております。残りの五千万ドルというものは、これは
国内の
自給度を高めるために
食糧或いは
合成纎維の増産の奨励をして参りますれば、それくらいのセーブはできるのじやないか、こういう点で賄えると思います。こういう大
ざつぱな頭で
計画を進めております。
それからこういう大きいものを
基礎にいたしまして細部の
作業に入りまして、目下のところでは各
物資別の大きい
物資の
輸出入の
想定が終りまして、それを
国別或いは
通貨別に
検討を進めております。それが
一つであります。
それからもう
一つは、国際的な
貿易構成の問題、言い換えますと
朝鮮事変以後、非常に
貿易の
様相が変
つて参りまして、今までの
ドル不足から
ポンド不足に問題が移
つて参りまして、これに対する
貿易構成の問題とか、或いはそれに対処する
貿易政策の
問題等いろいろございますので、その問題を
中心に目下
検討を進めております。
次に
鉱工業の問題でありますが、
鉱工業の問題で一番のネツクは
電気でございまして、
電源の問題を
中心に
審議をいたしまして、これは初の
單位は千
キロワツトであります。次の頁の
供給量のほうの一番下の一
キロワツト・アワーは問題でありまして、百万
キロワツト・アワーであります。
電気は一応こういうような
想定を下されまして、それで
電気の面から
産業の動きを、
原單位を非常にシビヤーに押えまして
計画をしたのでありますが、先ほど申しました
輸入に見合い、乃至
輸出に
見合つての
国内の一応の
産業の
規模に必要な
電気というものと、その
電気の
供給力から見た
産業の伸びというものと釣合いませんので、
従つて非常に
電気が
不足だという
状況にな
つておるから、これではいけないというので極力更に
電気の
供給力を増すような
作業をいたしまして、これよりも更に、たしか四十万か五十万
キロワツト程度まで増すような
計画を
目下作りつつあります。それを
基礎にいたしまして、今度は需要のほうも或る
程度締めまして、その調子をと
つて、
電気だけの面から行きますと、物量的には或いは或る
程度可能性のある、妥当な
計数が出るのではなかろうかというふうに
考えておりますが、さてそういうふうな
計画で参りますと、
電源の
開発、これは水力、火力共にでありますが、相当
尨大な金になりまして、現に毎年四百五十或いは五百億
程度の
所要資金が必要でありまして、御
承知のように目下
電気は、今年は百五十億でありましたが、それがなかなか出なくて、今言
つたような話で、更に再
検討しておるのでありますが、来年度はどうなるかわかりませんけれども、大体百五十億
程度が今まで見返
資金でもらえたのでありますが、とてもそういう
程度では、
自立経済などはとんでもない話なのでありますので、何とかそういう
資金の調達を、今までの
構想でなくて、新しい
構想で
一つ考えたらどうかというので、その
対策を今
考えております。
併しなにせ国全体の
資本蓄積がないものでありますから、そういう問題はどういうふうに
考えたらいいのか、今後の一番大きな問題になるだろうと思います。
それから四番目の鉄の問題に関しましては、
最小限度三百七十万乃至四百二十万トン見当は、今年は三百二、三十万トンだろうと思いますが、それを一応の
関係で、極力漸次上げようということでや
つておりますけれども、今まで一番問題にな
つてお
つたのは
スクラツプであります。
アメリカ等から期待するのは非常に無理がございますので、だんだんなくなりそうな
国内の
スクラツプを
基礎にして
生産を上げなければならぬというのが
一つであります。もう
一つは、
鉄鉱石というのが非常に問題でありまして、中国からの
鉄鉱石は、この
計画では余り
計画しておりませんが、
鉄鉱石を将来どうするかという問題が非常に大きな問題でございます。もう
一つは、最近の事情といたしまして、中共との
関係から、原料炭を今まで大分
輸入しておりますので、超粘結炭を今後どうするかという問題が相当大きな問題にな
つて来ると思います。
経済自立の要求が非常に強いのでありますが、この鉄鉱の増産をどうしたらいいかという問題が非常に問題になるのであります。現在のところではそういう問題を
検討中でありまして、一応の
貿易、或いは造船、或いは機械等を彈くため、必要な鉄鉱の一応の
目標としては、来年度以降四百万トンから四百二十万トン
程度を
目標にしてや
つて見たらどうだろうというので
作業をしておりますが、恐らくは今の
情勢では、少しこれを下げざるを得ない
情勢になるのではないかとも
考えております。
それから纎維でありますが、これは化纎
関係、スフ、人絹、或いは綿花
関係が
中心でありますが、ここでは綿花の、綿布乃至綿糸の問題が
中心に書いてありますけれども、これで一番問題になりますのは、原綿の手当の問題と紡機の増錘の問題であります。
日本の
経済の、大きく申しますと重科学工業に関しましては、設備を余り殖やさんでも従来の設備でや
つて行ける。これは勿論合理化、或いは近代化のために機械を変えたり何かすることは必要でありますが、軽工業に関しましては、大部分は御
承知のように戰時中、軍の重科学工業に転換いたしましたので、これを増錘、拡張してするという問題が残
つておりまして、一番大きな問題は纎維の問題で、これを極力拡張しなければならん段階にな
つております。現在恐らく七十万錘
程度が、年間で作り得る最大限の能力だと思いますので、幾ら需要が多くて、原綿の手当が付いたといたしましても、現在の稼動能力を以てしては、それほど増産することは不可能でありますので、おのずから紡機と申しますか、この問題が
中心にな
つておりますので、その能力に応じて
生産の限度がきま
つて参ります。その問題とそれから
国際情勢と申しますか、綿業ミツシヨン等も参りまして、相当
日本の伸びに対しましてはなかなか国際的にもむずかしい問題があるので、そういう点等も噛み合せまして、大体この
程度の
作業であれば、何とかできるのではなかろうかということで、こういう
程度の
計画において進めております。
それから次には船舶でありますが、これは交通
部会で調べたのでありますけれども、年間大体三十万乃至四十万総トン
程度を造りまして、最終年次に百六十万総トンから百九十二万総トンまで伸ばしたい。大体これで事変前の半分近くに行くと思います。その
程度までは伸ばしたいという見込でや
つております。
資金の問題、或いは施設
関係をどういうふうにカバーするかという問題がありますが、やりようによ
つては年間三十万
程度は今後とも造り得るのではなかろうかというふうに
考えております。どういたしましても造船の問題が
日本の
経済としては一番
中心問題にな
つて参
つておりますので、これも他の
電気と併せまして一番根本的な問題としてこの
委員会として取上げまして、
あとで申します
食糧、船舶、電力と、この三つだけはどうしても何かの形で
援助と申しますか、
資金的な或いは
財政的な点を
考えて参りませんと、一番必要な
産業であるにもかかわらず、足踏みするというような
恰好になりますので、これをどうするかという問題が一番
中心問題になるだろうと思います。
次は
食糧でありまして、これは農林
部会で練
つております。農林
部会ではこの米麦の増産
計画のほかに、水産或いは林業等の問題もありまして、そちらのほうも一応
作業を完了しました。ここでは米麦の増産
目標だけを掲げておりますが、三カ年で千二百万石と掲げておりますが、いろいろ
作業をや
つて見ますと、これはいろいろ無理な点がありまして、二十九年度に千八十万石
程度近いものにやつと到達できるだろうというふうな、今のところでは
中間報告にな
つておるようであります。
以上で大体大きい
審議問題を終えまして、これに基きまして各
部会とも
貿易或いは交通、或いは鉱工、農林、これには載
つておりませんが鉱工に
関係の最もある建設
部会等の
作業を、細部の
作業を進めまして、一応ほぼ
計数が出揃いつつあるのであります。そこでまあ
貿易と
鉱工業、或いは
貿易と農林、或いは
生活水準と
国内生産との関連の問題とい
つたような、そういう問題の
調整をとるのが
一つの問題として残
つております。
それからその次に問題になりますのは、そういう問題と、それを達成するに必要な
財政金融との兼ね合をどうするかという
財政金融部会との
調整の問題が残
つておりまして、
最後にこの
財政金融との
調整の問題に入る予定にな
つております。まだそこまで入
つておりません。そこで
財政金融部会の
審議状況を申上げますと、先ほど申しました
基本方針を
一つ頭に置きまして、これに則
つて作業をしたのでありますが、大体国民
経済予算といいますか、
生産国民所得を
基礎に置きまして、一応の
国民所得の総支出と申しますか、全般的な
資金の
計画というものを作ります。それから個人消費の部面、或いは
財政資金の部面、或いは民間資本形成の部面というふうに問題を分別いたしまして、大体そういう
作業に必要だと思われる
財政資金、或いは民間資本で調達する
資金を彈き上げまして、その枠と、こちらから出ました、各
部会からの要求書とを
調整するわけでありますが、
財政金融部会では、ほぼそういう
計数を出し得る段階に達しております。そこで一応出したのでありますけれども、なかなか各
部会の要求
とつき合わないということが非常にはつきりして参りましたので、問題をもう一歩進めまして、
財政金融部会では、どうしたら一体その個人蓄積なり企業の自己保留分なりとい
つたような、そういう民間資本の蓄積を増し得るか、或いはどういう
行き方が一番目的に合致するかとい
つたような、
資本蓄積の方法論、或いはその機構の
問題等を先ず初めにデイスカツシヨンいたしまして、その討論の結果、或る
程度の問題がはつきりいたしますれば、それによ
つてそれでは資本形成的なものを更に
調整しようということで、その
作業をやりまして、それで来週くらいからぼつぼつこの
調整を図ろうという段階にな
つております。
経過を申上げますと大体そういう経過でございまして、ここにあります六頁以下の
問題点としてありますのは、只今申上げましたものを、今までのところありました中で一番
問題点として重要な問題を割合に詳しく並べたのでありまして、これをお読み願いたいと思います。只今のところはこういう
問題点があるということを
基礎にいたしまして、先ほど言いましたように、先ず
計数の
調査を大ざつぱにや
つて、その上でこういう問題を更に
検討して、こういう
問題点を解決するための諸
対策というものが
最後の
結論にな
つて出て来るということであります。非常に抽象的な
説明で恐縮でございますが、今までの
調査の段階ではその
程度でございますので、今日の
説明はこのくらいで終りたいと思います。