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1950-12-11 第10回国会 参議院 経済安定委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年十二月十一日(月曜日)    午前十時四十三分開会   —————————————  委員氏名    委員長     佐々木良作君    理事      中川 以良君    理事      永井純一郎君    理事      奥 むめお君            泉山 三六君            野田 卯一君            羽生 三七君            伊藤 保平君            藤野 繁雄君            兼岩 傳一君            菊田 七平君   —————————————   委員の異動 十二月十日議長において山本米治君を 委員に指名した。   —————————————   本日の会議に付した事件調査承認要求に関する件 ○日本経済の安定と復興に関する調査  の件  (経済自立計画方策に関する件)  (国工総合開発審議会の経過に関す  る件)   —————————————
  2. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) それじや委員会を開会いたします。  今日の議題は、最初調査事件議題といたしまして、その次に自立経済計画構想について説明を聞き、それから三番目に国土総合開発法の機構の状態説明を聞き、そうして最後にこの国会は相当長期に亘りますので、その長期間の本委員会の運営について御相談申上げたいと思います。今のような順序で御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) では最初調査承認事件議題といたしますが、これは日本経済の安定と復興に関する調査で、従来通りの恰好調査事件としてとつて置いて、それに基いてあらゆる調査の仕事をやつて行く。つまりその中で今の自立経済の問題、総合開発の問題とかをのつけて行くわけですが、それで御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) それでは所定の手続を経まして議長宛調査承認要求書を提出することにいたしますから御了解を願いたいと思います。   —————————————
  5. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) それでは次に自立経済計画基本構想につきまして、自立経済審議会のほうから御説明を承わりたいと思います。
  6. 佐々木義武

    説明員佐々木義武君) それではお手許に「自立経済計画基本構想問題点」という刷り物がございますが、これを中心にお話いたしたいと思います。  自立経済審議会の成果はまだ実は出ておりません。これはほんの中間報告でございまして、こういう中間報告を元にしまして調査をやりつつあります。恐らく今月末ぐらいで中間報告結論的なものか出ると思います。従いましてほんのこれは調査を進めるための便宜の資料だというふうに御理解願いたいと思います。  去年の秋くらいから、いろいろ対日援助が或いは早期に打切られるかも知れないという話がぼちぼち出て参りましたので、打切られた以後の日本経済というものはどういう状況になり、それに対して今からどういう対策を講じたらいいかという問題が、当時から問題になつておりましたので、安定本部といたしましては、事務的にはその問題をいろいろ検討しておつたのでありますけれども、この春に或る程度のほんの中間的な初歩的な案を作りまして、それで暫くその初歩的な対策基礎にいたしまして、今後問題を深めようとしておつた矢先に朝鮮動乱が起りまして、世界情勢が全く政治的にも経済的にも変つて参りましたので、客観的にはこの新らしい情勢に対処してこの問題をどう取扱つたらいいかという新事態に達したことと、それからもう一つ内閣が変りまして、この改造内閣で新らしく経済施策も、中心問題としてこの問題を取上げて行きたいという状態が出て参りまして、そこで経済復興計画審議会というものを改組いたしまして、仮り自立経済審議会を置いて、この問題の調査立案にかかつたわけであります。非常に情勢が刻々変化して参りますので、こういう立案というものは困難なんでございますけれども、そういう際にこそ却つてこういうものが必要だという反対的な考え方もございまして、この八月来いろいろ検討を進めておつたのでありますが、その検討を進める一つのまあ前提といたしまして、分散的な議論をいつまで個別的にやつてもなかなかまとまりませんので、初めに大きい問題を取りあえず片付けまして、そういうでかい問題を基礎にして最後に細目に入ろうというので、この十月の末、十一月の中頃までにかけては基本的な問題を取りあえず目標として来たわけなんでございます。  ここに差上げました一頁の「計画目標」というのがございますが、文面は非常に簡單でございますけれども、これの意味するところはこういう意味でございます。ここには計画目標といたしまして、自立経済とはこういう内容を含んでおるという内容を書いてありますが、これは国際収支の均衡と同時に適正な生活水準の維持ということを考えまして、そこで併せてこの国内資源開発という点に留意しようというふうに計画の定義を定義づけております。これはどういう意味かと申しますと、委員会の初めに一番もんだ問題でございまして、自立経済と申しますと、従来は單に国際収支バランスさえすればそれでよい、それでまあ自立経済というふうに考えておつたのでありますけれども、朝鮮事変以後、皆さん御承知の非常に様子が一変いたしまして、その後最近の傾向では、輸出乃至は特需というものが非常に伸びまして、従つて外貨の手取りが多くなるという半面、輸入が非常に困難を予想されますので、そういう関係からいたしますと、国際収支バランスというものは、割合にとりよい状勢に立至るわけなんでありますけれども、反対にそれを裏返しに考えますと、輸入が余り伸びぬものですから、日本経済のように原材料というものは、輸入食糧等に依存して生産或いは生活水準というものを維持して行く経済にとりましては、その規模は小さい、どうしても国の経済規模というものが小さくなります。そこで小さくなりますと、国内的には現在において九——十一年に比べまして、大体生活水準において八〇%程度でありますが、最近は或いはもう少し実質的に落ちておるかも知れません。こういう程度の低い生活水準をやつと維持する程度でありますから、ややもすると社会不安的な要素経済の面から出て来そうな傾向が出ておる。或いは生産面から申しますと、特需なり輸出が強いにもかかわらず、又生産余り輸入関係で伸びないといたしますと、自然内需が圧迫されまして、その内需の面から必要物資と申しますか、その需給バランスが破れまして、物資の値上り、延いてはインフレ的な様相が非常に強くなるというふうなことがややもすればあり勝ちだ。そうしますと折角国際収支が一旦バランスいたしましても、暫らく経つ間に再び国の経済というものは非常に弱くなりまして、もう一遍何かの形で援助に頼らざるを得ないというふうな恰好になつては、折角自立経済が達成したと申しても何のことかわからない。そこでこの際従来のように国際収支が均衡したという單なるその状態のみをいうのじやなくて、もつと生活費の高い、従つて経済規模の大きい、強い経済状況、又従つて自立状況が長い間継続するという要素を織込んだものを自立経済名付けようじやないかというふうに内容を規定したわけなんであります。そこでそれに伴つて最近の準戰時態勢的な世界情勢を加味いたしまして、この際できるだけ国内資源開発を早急にいたしまして、自給度を高める。特にこれは食糧、或いは合成纎維を指しております。こういう面でできるだけ自給度を高めまして、如何なる場合にでも或る程度国自給を維持させるというような態勢をとりたい、こういう多面的な要素を持つたものを自立経済内容にいたしたい。こういうように言つております。お互いにこの要素は、各フアクターもそれぞれ矛盾したものでありまして、これが全部調整のとれた恰好で、調和のとれた恰好で大きい経済になる。その最も根幹的なものが、現在といたしましては生産の拡充とそのための輸入の増進というものが、恐らく中心問題になるだろう、こういうふうに考えております。  次に、ここには計画性格が書いてありませんが、計画性格といたしましては社会主義計画でありませんで、飽くまでも現在の自由主義態勢に乘つかつた計画でございますから、従来の計画のようにこれを計数的に非常に精密に組合せをいたしまして、そのできた計数を、手段を選ばず達成するというふうな計画というものはこの際とれんわけであります。そこで今度の計画はそういう計画でなくて、計数のほうは、数字のほうは極く大綱的なものにいたしまして、それを構造的な面で大きい調和をとりまして、それを一つの何と申しますか、前提條件のように取上げまして、その中から発生して来る諸問題、並びにその諸問題を解決するための対策というものに重点を指向いたしまして、従いましてこの報告の最終的な結論は、恐らく或いは経済自立のための問題点、或いはそれを達成するための可能なる諸手段、諸対策というものが結論になりまして、計数的な問題は、恐らく参考資料程度になるのじやなかろうかと現在のところでは考えております。これはまだ委員会を開いて見ませんと何とも言えませんけれども、現在のところでは諸外国、アメリカにいたしましても、英国にいたしましても、毎年々々こういう何カ年かの見通しを立てまして、それで年度計画というものを立てて行くわけなんであります。その形式なぞを見ましても同じような形式でありまして、アメリカ年間中央経済報告等を見ましても、そういう形式になつておりますが、恐らく今後の結論もそういう問題点、或いは対策の点に重点が置かれるということになるのじやないかと現在考えております。それが計画性格でございます。「計画期間」といたしましては、大体まあ一応二十六年以降、三カ年をとつておりますけれども、これは別に三カ年と限つたわけではありませんで、例えば電気だとか農業のように、長い期間を必要とするものでありますれば、長い期間を見まして、その中から特にまあ三カ年を初め取上げるという意味であります。それからもう一つは、この三カ年にむりやりに自立しようとかいう意味じやなくて、いろいろ検討した結果、こうすれば自立は達成しそうだとか、こうすれば自立に近づくとか、或いは早急に一方的に自立されるだろうというようなことが若しあれば、それに対する対策、例えば今までの援助に代る外資の導入とかいつたような、何かの対策というものが必要じやなかろうかといつたような諸條件考える必要もありますので、むりやりに自立しようとかいう考えでなくて、いろいろ資料を収集しまして検討の結果、狙いはあくまでも自立経済に近づけるという狙いであるけれども、その期間にむりやりに自立しようという考えはあまりに強くは持つておりません。併しこれは期間をきめる際の当初の申合せでありましたので、もう現在から考えますと、余り来年、或いは再来年くらいを一つの打切りの時期として検討せざるを得ないような情勢になつておるようなわけであります。  次に「基礎的前提條件」といたしまして先ず人口が一番問題になるわけなんでありますが、この人口を見ますには、従来の人口の総計を最も新らしい資料として、言い換えますと、終戰直後の混乱しましたあの人口増加趨勢を、最近のやや落着きました正常なテンポで以てこれを再検討いたしまして、厚生省のほうでとりました数字がこの数字でございます。  それから次は国際情勢の推移でございまして、これはこういう計画をとりました際には、国際情勢の或る程度想定がありませんと、各作業マンの頭が皆ばらばらになりますので、これを一本にいたします意味で、従いまして便宜上この仮想した国際情勢想定というものが必要なんでありまして、委員のかたたちもいろいろ御検討願つたのでありまするが、飽くまでもこれは資料を作るための一つの便宜的な前提というふうにお汲取り願いたいのでありますが、その考え方といたしましては、情勢が非常に緊迫した情勢にありますが、取りあえず一本のレールを引きまして、それで計画を作り上げます。そこで情勢の非常に急変した場合にはそのレールに対して改正を加える、修正を加えるというふうな彈力性のあるような行き方がよかろうじやなかろうか、何本も計画を作るという案もありますけれども、それでは余り煩瑣でありますので、仮りに作り上げました、想定しました国際情勢を元にして或る案を作りまして、それで情勢の急変に応じて逐次その案に改変を加えるという行き方のほうが最も妥当だろうというふうになりましたので、一応まあこういう想定考えまして、それによつて作業しております。そこに(略)としてありますのは、非常に機微に亙ります問題が略してありますが、大きく申しますと、この作業をやつておる間には第三次大戰というものは起らないという一つ想定に立つております。併し米ソ関係と申しますか、この関係は相当緊迫した状況を続けて行くといつたようなものを基本的な條件にしまして、朝鮮事変の問題、或いは対中共の貿易の点、或いは国際物価の動向とか、或いは西欧、米国の軍拡の情勢とかいつたようなものを一応考えて仮装の前提を作られておりますが、その説明は省略したいと思います。  それから次にそういうような情勢に則りまして対日援助想定をしたのであります。ここはちよつと速記をとめて頂きたいと思います。
  7. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止
  8. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 速記を始めて下さい。
  9. 佐々木義武

    説明員佐々木義武君) それから物価に関しましては、今申上げましたように輸出入とも国際物価が非常に作用を受けまして、従いましてそれに伴つて国内物価というものが上昇しつつありますが、その国際物価の変動を国内的にどういうふうにアジヤストして行くか、或いはこれを中断して、これを国際情勢から孤立した国内物価を持つて行くという議論が相当あつたのでありますが、この想定では、為替レートを変えまして、これによつて国際物価を一応国内的に反映するのだ、或る程度アジヤストする、調整するという面はやめまして、国際為替レートを変えないで、国際物価に関連して国内物価が動くという大体考え方でいいのじやないかというので、そういう考え方生産或いは貿易等を彈いております。但し国民所得に関しましては、しよつちゆう物価が動きましては比較対照ができませんので、基準物価を作りましてそれによつて計算しております。併し最後には当然生産貿易等で彈きまして、物価との調整の問題が起りますので、それは最後にとるわけであります。  それからちよつと事務的な説明で恐縮でありますが、もう少し大綱的な説明に移ります。五頁に「財政金融政策基本方針」とございまして、本当は今の問題に引続きましてこれを出すべきだつたのですけれども、これをあと廻しにしたので、これから説明しますと、この中には第一点では原則でございますので、第一点は要するに公債等による擬制資金によつてまでこの計画を達成するということは考えまい。従いましてインフレは極力これを回避しまして、今のデイスインフレの線でこの計画を達成したい、こういう考え方で現在やつております。委員の中には名前ほ差控えますが、これに反対すると申しますか、建設公債といつたようなものは問題の出しようによつてインフレじやないのだ、そこでこういう際には生産状況が一番国の根幹的な政策であるならば、ものによつてはそういうものを考える時期に来ておるのじやなかろうかというふうな意見もありましたが、大半の委員のかたは、やはりインフレによらずに行くという建て方で行こうじやないかというので、こういう方針で進めております。  それから二番目は、この計画を達成できるもできないも、この一点にかかつてといつても過言でないのでありますが、それは財政金融政策を、こういう政策にどういうふうに調整するかという問題でありまして、この問題に関しましては、従来の政府のやりましたような法規的な統制というものはやめて、今の政府資金或いは一部民間資金動員等、何らかの方法で考えまして、その積極的な計画の達成を図ろう、こういうことでやつております。これに関してはあと説明を詳しく申上げますが、それから三番目には、参議院の予算委員会でも衆議院の予算委員会でも非常に問題になりまして、こういう計画を達成するには、何らか産業助成政策というものが必要じやないかという質問がありまして、大臣からもそれぞれ答弁があつたようでありますが、今のところでは、まあ極力そういう助成金的な財政的な援助というものはしない、原則としてしないという方針で、特定のものは必要によつて考えるということになつております。でこれに関してはまだ最終的な問題になつておりませんが、一番問題になりそうなのは造船の鋼材だろうと思います。食糧は勿論でありますが、大体こういうことを前提にいたしまして、五頁の後段に生活水準の向上という項がございますが、先ほども申しましたように、この計画を進めます際に一番問題になりますのは、生活水準をどうするかという問題で、これは非常に意見があるのであります。仮りに現在程度水準で行きまするとすれば、原則から行きますと、これは理論的に若干誤謬がありますが、人口増加率をこの程度のものと考えますと、それでいわゆるベーシツク・インポート増加というものは彈き得るのであります。極力この生活水準というものを向上させようというので、今後は思い切つて上げる案を作つております。それはここに書いてありますように二十五年が八〇%でありますのを、二十八年には約九〇%まで上げる。これは別に合理的な基礎もありませんので、従来の増加傾向率をとりまして、そのくらいの増加であれば大体やつて行けるのではないかというので、仮りにこういうものを出しただけでありまして、それでさつきのような財政金融、或いは国際情勢人口等の大枠の想定をきめた後において、今後こうした各産業乃至貿易等の一番大きい問題をとり上げまして、それを先行的に一応今まで審議して頂いたのであります。その一つといたしましては貿易であります。  最後説明先行審議の問題と、それからそれぞれ貿易交通鉱工、農林、財政金融等部会で今まで本年度審議をしつつ、或いは最終段階に近づいておりまするその状況を合わせまして御説明申上げたいと思いますが、この貿易部会では、先ほど申上げましたような問題とそれから生活水準の問題が或る程度きまつて参りましたので、現在二十五年度の貿易輸出入想定を先ず彈き出しまして、先ず今年度は輸入は十二億程度、当初三千万ドル程度であつたのであります。その後物価上昇或いは長期計画、或いは繰上げ輸入等のいろいろな問題がありまして、極力輸入を促進しようというのでやりました結果、ここに掲げた数字がございますが、現在では恐らくここまで行かんだろうと思いますが、十一億から十二億の間ぐらいになると思いますが、先ず只今のところでは一応十二億二千万円という非常に高めの数字に押えまして、これを基礎にいたしまして、これには特需とかそういうものは含んでおりません。純貿易だけだというふうに御承知願いたいと思います。そこでこれを基礎にいたしまして、大体七割というものはベーシツク・インポートにいたしまして、あとの三割は輸出用原材料という恰好になりますが、その八割をさつきのように人口が殖え、生活水準が上つて行きますから、それに伴いまして食糧とか或いは国内の綿花といつたものをそれぞれ殖しまして、先ほど申しました食糧自給上昇、そういうものと噛み合せながら考えて行きます。そうして大体の国民生活、或いは国内で消費する主たる物資基礎になる輸入規模というものはきまつて参りますので、それからべーシツク・インポートを彈きまして、その残つた三割が輸出用原材料というふうになります。そうしますと二十八年度には大体十六億程度、現在物価に押えまして最小必要だという、そういう想定が出まして、それに輸出の面からどれだけこれを基礎づけるかというと、今の統計では十四億八千万ドルはやり得るかも知れませんが、一億五千万ドルのギヤツプが出るわけであります。このギヤツプを今のところでは一億は貿易外収入、主として船舶収入或いはその他の先ほど申しました何か投資なり、或いは今の進駐軍に代るような観光と申しますか、そういつた収入等を噛み合せまして一億ぐらいは見込んでも、これは不当でないという計算をやつております。残りの五千万ドルというものは、これは国内自給度を高めるために食糧或いは合成纎維の増産の奨励をして参りますれば、それくらいのセーブはできるのじやないか、こういう点で賄えると思います。こういう大ざつぱな頭計画を進めております。  それからこういう大きいものを基礎にいたしまして細部の作業に入りまして、目下のところでは各物資別の大きい物資輸出入想定が終りまして、それを国別或いは通貨別検討を進めております。それが一つであります。  それからもう一つは、国際的な貿易構成の問題、言い換えますと朝鮮事変以後、非常に貿易様相が変つて参りまして、今までのドル不足からポンド不足に問題が移つて参りまして、これに対する貿易構成の問題とか、或いはそれに対処する貿易政策問題等いろいろございますので、その問題を中心に目下検討を進めております。  次に鉱工業の問題でありますが、鉱工業の問題で一番のネツクは電気でございまして、電源の問題を中心審議をいたしまして、これは初の單位は千キロワツトであります。次の頁の供給量のほうの一番下の一キロワツト・アワーは問題でありまして、百万キロワツト・アワーであります。電気は一応こういうような想定を下されまして、それで電気の面から産業の動きを、原單位を非常にシビヤーに押えまして計画をしたのでありますが、先ほど申しました輸入に見合い、乃至輸出見合つて国内の一応の産業規模に必要な電気というものと、その電気供給力から見た産業の伸びというものと釣合いませんので、従つて非常に電気不足だという状況になつておるから、これではいけないというので極力更に電気供給力を増すような作業をいたしまして、これよりも更に、たしか四十万か五十万キロワツト程度まで増すような計画目下作りつつあります。それを基礎にいたしまして、今度は需要のほうも或る程度締めまして、その調子をとつて電気だけの面から行きますと、物量的には或いは或る程度可能性のある、妥当な計数が出るのではなかろうかというふうに考えておりますが、さてそういうふうな計画で参りますと、電源開発、これは水力、火力共にでありますが、相当尨大な金になりまして、現に毎年四百五十或いは五百億程度所要資金が必要でありまして、御承知のように目下電気は、今年は百五十億でありましたが、それがなかなか出なくて、今言つたような話で、更に再検討しておるのでありますが、来年度はどうなるかわかりませんけれども、大体百五十億程度が今まで見返資金でもらえたのでありますが、とてもそういう程度では、自立経済などはとんでもない話なのでありますので、何とかそういう資金の調達を、今までの構想でなくて、新しい構想一つ考えたらどうかというので、その対策を今考えております。併しなにせ国全体の資本蓄積がないものでありますから、そういう問題はどういうふうに考えたらいいのか、今後の一番大きな問題になるだろうと思います。  それから四番目の鉄の問題に関しましては、最小限度三百七十万乃至四百二十万トン見当は、今年は三百二、三十万トンだろうと思いますが、それを一応の関係で、極力漸次上げようということでやつておりますけれども、今まで一番問題になつてつたのスクラツプであります。アメリカ等から期待するのは非常に無理がございますので、だんだんなくなりそうな国内スクラツプ基礎にして生産を上げなければならぬというのが一つであります。もう一つは、鉄鉱石というのが非常に問題でありまして、中国からの鉄鉱石は、この計画では余り計画しておりませんが、鉄鉱石を将来どうするかという問題が非常に大きな問題でございます。もう一つは、最近の事情といたしまして、中共との関係から、原料炭を今まで大分輸入しておりますので、超粘結炭を今後どうするかという問題が相当大きな問題になつて来ると思います。経済自立の要求が非常に強いのでありますが、この鉄鉱の増産をどうしたらいいかという問題が非常に問題になるのであります。現在のところではそういう問題を検討中でありまして、一応の貿易、或いは造船、或いは機械等を彈くため、必要な鉄鉱の一応の目標としては、来年度以降四百万トンから四百二十万トン程度目標にしてやつて見たらどうだろうというので作業をしておりますが、恐らくは今の情勢では、少しこれを下げざるを得ない情勢になるのではないかとも考えております。  それから纎維でありますが、これは化纎関係、スフ、人絹、或いは綿花関係中心でありますが、ここでは綿花の、綿布乃至綿糸の問題が中心に書いてありますけれども、これで一番問題になりますのは、原綿の手当の問題と紡機の増錘の問題であります。日本経済の、大きく申しますと重科学工業に関しましては、設備を余り殖やさんでも従来の設備でやつて行ける。これは勿論合理化、或いは近代化のために機械を変えたり何かすることは必要でありますが、軽工業に関しましては、大部分は御承知のように戰時中、軍の重科学工業に転換いたしましたので、これを増錘、拡張してするという問題が残つておりまして、一番大きな問題は纎維の問題で、これを極力拡張しなければならん段階になつております。現在恐らく七十万錘程度が、年間で作り得る最大限の能力だと思いますので、幾ら需要が多くて、原綿の手当が付いたといたしましても、現在の稼動能力を以てしては、それほど増産することは不可能でありますので、おのずから紡機と申しますか、この問題が中心になつておりますので、その能力に応じて生産の限度がきまつて参ります。その問題とそれから国際情勢と申しますか、綿業ミツシヨン等も参りまして、相当日本の伸びに対しましてはなかなか国際的にもむずかしい問題があるので、そういう点等も噛み合せまして、大体この程度作業であれば、何とかできるのではなかろうかということで、こういう程度計画において進めております。  それから次には船舶でありますが、これは交通部会で調べたのでありますけれども、年間大体三十万乃至四十万総トン程度を造りまして、最終年次に百六十万総トンから百九十二万総トンまで伸ばしたい。大体これで事変前の半分近くに行くと思います。その程度までは伸ばしたいという見込でやつております。資金の問題、或いは施設関係をどういうふうにカバーするかという問題がありますが、やりようによつては年間三十万程度は今後とも造り得るのではなかろうかというふうに考えております。どういたしましても造船の問題が日本経済としては一番中心問題になつてつておりますので、これも他の電気と併せまして一番根本的な問題としてこの委員会として取上げまして、あとで申します食糧、船舶、電力と、この三つだけはどうしても何かの形で援助と申しますか、資金的な或いは財政的な点を考えて参りませんと、一番必要な産業であるにもかかわらず、足踏みするというような恰好になりますので、これをどうするかという問題が一番中心問題になるだろうと思います。  次は食糧でありまして、これは農林部会で練つております。農林部会ではこの米麦の増産計画のほかに、水産或いは林業等の問題もありまして、そちらのほうも一応作業を完了しました。ここでは米麦の増産目標だけを掲げておりますが、三カ年で千二百万石と掲げておりますが、いろいろ作業をやつて見ますと、これはいろいろ無理な点がありまして、二十九年度に千八十万石程度近いものにやつと到達できるだろうというふうな、今のところでは中間報告になつておるようであります。  以上で大体大きい審議問題を終えまして、これに基きまして各部会とも貿易或いは交通、或いは鉱工、農林、これには載つておりませんが鉱工に関係の最もある建設部会等の作業を、細部の作業を進めまして、一応ほぼ計数が出揃いつつあるのであります。そこでまあ貿易鉱工業、或いは貿易と農林、或いは生活水準国内生産との関連の問題といつたような、そういう問題の調整をとるのが一つの問題として残つております。  それからその次に問題になりますのは、そういう問題と、それを達成するに必要な財政金融との兼ね合をどうするかという財政金融部会との調整の問題が残つておりまして、最後にこの財政金融との調整の問題に入る予定になつております。まだそこまで入つておりません。そこで財政金融部会審議状況を申上げますと、先ほど申しました基本方針一つ頭に置きまして、これに則つて作業をしたのでありますが、大体国民経済予算といいますか、生産国民所得基礎に置きまして、一応の国民所得の総支出と申しますか、全般的な資金計画というものを作ります。それから個人消費の部面、或いは財政資金の部面、或いは民間資本形成の部面というふうに問題を分別いたしまして、大体そういう作業に必要だと思われる財政資金、或いは民間資本で調達する資金を彈き上げまして、その枠と、こちらから出ました、各部会からの要求書とを調整するわけでありますが、財政金融部会では、ほぼそういう計数を出し得る段階に達しております。そこで一応出したのでありますけれども、なかなか各部会の要求とつき合わないということが非常にはつきりして参りましたので、問題をもう一歩進めまして、財政金融部会では、どうしたら一体その個人蓄積なり企業の自己保留分なりといつたような、そういう民間資本の蓄積を増し得るか、或いはどういう行き方が一番目的に合致するかといつたような、資本蓄積の方法論、或いはその機構の問題等を先ず初めにデイスカツシヨンいたしまして、その討論の結果、或る程度の問題がはつきりいたしますれば、それによつてそれでは資本形成的なものを更に調整しようということで、その作業をやりまして、それで来週くらいからぼつぼつこの調整を図ろうという段階になつております。  経過を申上げますと大体そういう経過でございまして、ここにあります六頁以下の問題点としてありますのは、只今申上げましたものを、今までのところありました中で一番問題点として重要な問題を割合に詳しく並べたのでありまして、これをお読み願いたいと思います。只今のところはこういう問題点があるということを基礎にいたしまして、先ほど言いましたように、先ず計数調査を大ざつぱにやつて、その上でこういう問題を更に検討して、こういう問題点を解決するための諸対策というものが最後結論になつて出て来るということであります。非常に抽象的な説明で恐縮でございますが、今までの調査の段階ではその程度でございますので、今日の説明はこのくらいで終りたいと思います。
  10. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) それでは次に国土総合開発のほうの説明を伺いまして、時間がありましたら懇談のときに御質問を願うことにいたしたいと思います。
  11. 首藤宣通

    説明員(首藤宣通君) 国土総合開発事務所の首藤でございます。今日山崎主幹が丁度病気でございますので、代理で御説明申上げたいと思います。  お手許にございます第一回乃至第八回の国土総合開発審議会議事摘要という一枚のプリントがございます。これによつてあらまし今日までの概略を御説明申上げます。御承知の通り五月二十六日に国土総合開発法が公布になりまして、六月一日から施行になつたわ、けでありますが、事務所のほうは六月一日から安定本部内に開設されたのでございますが、審議会の委員の人選その他で非常に遅れまして、八月の終りになつてその任命を見たわけでございます。その審議会の委員の顔触れは、別表に国土総合開発審議委員名簿という一枚紙のプリントがございます。これに載つております。全部で二十七名、只今三名だけ欠員ということになつております。  先ず八月の終りに、二十五日頃でしたか、委員が任命されまして、それから早速第一回の審議会を二十九日に開催いたしました。吉田総理御出席の下に第一回の審議を進めたのでございますが、先ず最初に会長の選任がございまして、飯沼委員が会長に御就任になつたのであります。それから審議会議事規則、それから幹事会並びに運営規則をその日に審議決定いたしまして、第二回以後実質的な審議に入るということになつたわけでございます。第二回はそれまでに事務所のほうで準備いたしておりました、従来の統計に基く都府県別の現状分析を進めでおつたわけでありますが、その現状分析の結果を報告いたしまして、そうして国土総合開発に関する集め得る基本的な統計を説明いたしたわけでございます。第三回、第四回は、各省における総合開発関係業務の基本方針及び現在進行しております施設基本計画の大要を二回に亘りまして説明を聽取したのでございます。先ず経済安定本部、建設省、運輸省が第三回に説明いたしております。第四回におきましては農林省、通産省、厚生省等が説明いたしております。それから第五回になりまして、いよいよ国土総合開発計画基本方針審議する段階に入りまして、問題点と申しますか、国土総合開発基本方針考え方に対する審議事項を事務所のほうで用意いたしまして考え得られるいろいろな問題点を挙げたわけでございます。それらによりまして審議会の意見をまとめて頂き、そのときの審議によりまして、大体こういうところが問題だという問題点を整理いたしました。第六回の国土総合開発計画の運営方針は、それに基いて事務所のほうで整理いたしまして提出したわけでございます。その運営方針を第六回において大体御決定願いまして、それから引続きその方針に基きまして細部の專門部会を設置するという方針を御審議つたわけであります。第七回におきまして、最後的に国土総合開発計画の運営方針の確認を願いました。それから部会の担当委員を指名し、それから会長はいろいろ御繁忙でございますので、不在の場合の会長代理の指名をいたしました。村上龍太郎委員が会長代理に就任されたわけでございます。それから更に都府県計画審議いたします場合に、中央においてやはりそれの鑑になるような計画上の基準がなくてはならないということから、審議会から各行政機関に依頼いたしまして、総合開発基本調査実施要綱及び部門別調査要領並びに様式というふうなものを各省に依頼することにいたしまして、この様式を審議決定いたしております。これは一月末までに上つて参るわけでありますが、これによりまして中央で全国計画の鑑というようなものを一応考えてみたいと思います。それに対しまして都府県から上つて来ました計画を附き合せまして、総合調整して、総理大臣に対する報告及び勧告案を作成するという段取りでございますが、その中央側の計画を進めると申しますか、調査を進める一つの手掛りといたしまして、従来の現状分析にいろいろなデーターを織込んで調査を依頼したのであります。これが第七回の審議でございます。第八回はそれぞれ総合部会の主査及び担当委員を決定し、更に総合部会資金部会の各分科会の專門委員の決定を願つたわけであります。これらの第八回の審議会の決定によりまして、現在それぞれ総合部会の各分科会が引続いて開催されておりますわけでございます。第九回に、十二月五日でございますが、そのプリントにはございませんが、更に国土総合開発審議会を開きまして、このときは地方に、都府県計画はどういう様式で作らなければならないかということを、一応の案を事務所側として提出いたしまして、それについて御審議つたわけであります。まだその様式につきましては、更に各分科会の審議の結果によりまして、訂正いたさなければならない部分がございますので、未定稿として第一回の御審議を願つたわけであります。  以上が大体一回乃至九回に亘ります総合開発審議会の議事の概要でございますが、非常に発足が遅れましたにもかかわらず、各委員御繁忙の折にもかかわらず、馬力をかけて頂きまして、八月から九月にかけましては、特に殆んど毎週審議会を開催するというふうなことで非常に審議を急いでおります。只今はむしろその審議状況は、分科会のほうに重点が移つてつたような次第でございます。それで第六回に決定されました国土総合開発計画の運営方針は、どういうものであるかということを御説明申上げます。これは別紙に六頁ばかりのプリントがございますが「国土総合開発計画の運営方針」というプリントがございます。読みながら御説明申上げます。「国土総合開発計画基本方針」「国土の総合的利用、開発、保全の基本政策確立のために地方の自主的創意を尊重すると共に国の経済再建の方向に照応して、とくに下記目標の達成を重視しこれが実現を推進し併せて社会福祉の向上に資する。」1の1「国内資源の高度開発と合理的利用による経済自立基盤の育成」1の2「治山、治水の恒久対策自立による経済安定の基礎確立」これは開発法の目的といたしまして国土総合開発法の第一條に目的が書かれてございますが、それによりますと、「国土の自然的條件を考慮して、経済、社会、文化等に関する施策の総合的見地から、国土を総合的に利用し、開発し、及び保全し、並びに産業立地の適正化を図り、あわせて社会福祉の向上に資することを目的とする。」というふうにございまして、あらゆる現在考えられます政治経済上の要請がこれに盛り込まれておるわけでございます。そこでこの法律によりましてそういうふうな目的が与えられておるわけでございまするが、現在の事態においてどういうふうな方向に重点を置いたらば、国土総合開発計画として十分であるかという点を御審議願いまして、それにはどうしても経済自立基盤の育成ということが一つの主眼であろう、同時に又治山、治水等の災害防除ということが重点であろう、これらのものが当面の国土総合開発計画重点的課題でなくちやならないと、こういうことに決定いたしたのでございます。従いまして災害防除のみならず、更に進んで国内の資源の高度開発によつて、究極は経済立基盤の育成ということに重点が置かれておるわけでございます。
  12. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 以下要点だけで結構です。
  13. 首藤宣通

    説明員(首藤宣通君) それでは読みながら……。「総合開発計画の作成要領」といたしましては、「都府県総合開発計画はその地方の産業経済発展の合理的見透しに立脚しその推進を図るため公共施設の総合計画を作成するものとし、国土総合開発審議会にて之を総合調整する。」これは当然でございます。「地方総合開発計画は下記の地域について作成するものとし、関係都府県総合開発計画と併行して調査審議し相互の調整を図る。a、二以上の都府県の区域にわたる重要河川流域及び関連区域、b、大都市及びその周辺府県を含む地域、c、その他二以上の都府県の区域にわたり、資源開発国土保全上一体の開発又は整備計画を必要とする地域、」これらは開発法に規定されておりますことの重点とも睨み合せまして、こういうふうに解釈したわけでございます。  それから特定地域総合開発計画につきましては、「特定地域総合開発計画は、都府県内及び二以上の都府県に亘る区域について下記の基準より見て緊要なものを指定し総合開発計画を作成せしめる。a、特定地域指定の基準、電力、食糧、その他重要な資源開発及び産業振興並びに緊急に国土保全、災害防除対策の樹立を必要とする地域で、総合開発計画の実施により著しく効果の増加が見込まれる地域、」これらの諸地域が特定地域に指定されるわけである。  それから「b、特定地域の区域設定、特定地域の区域は、自然、経済、社会等について密接な関係があり、総合開発計画上不可分な地域を含めて、合理的区画を決定する。」  計画期間でございますが「都府県、地方及び特定地域総合開発計画はおおむね十年後の開発目標を総合的に策定する。ただし治山治水計画等については、特に長期目標を設定するのを妨げない。」でこういう期間はおおむね大体十年というふうなことになつておると考えております。それで治山治水等十年よりはみ出す計画のものもございまするので、そういつたふうな特に長期目標を必要とするものについては、別にこの長期目標を設定しても差支えない、こういうふうに相成つております。その十カ年のうちの初め三カ年をとりまして、昭和二十八年度を目標とする第一期の年次別計画を作成する。これは国の向うべき方向が、経済自立計画その他によつて明らかになりますので、そういつたことに照応いたしまして、その間の期間は特にあらゆる点において、特に資金その他につきまして、年次別計画を編成して詳しくやつて行きたい、こういうふうに考えます。  それから総合開発計画に取上げらるべき具体的内容、これは開発法第二條に対象が上つておるわけでございます。これらの対象を具体的に挙げたらどういうふうになるだろうかということからこれらの施設を挙げておるわけでございます。生産関係施設、それから発電所や何か項目が掲げてあります。国土保全施設及び災害防除施設、それから交通、通信及び気象観測施設、それから都市計画、住宅、公共建築施設その他、それから厚生文化及び観光施設、こういつたふうな項目に亘つております。「これらの各種施設の配置あたつて産業の適正立地と都市及び農村の人口配分を適正ならしめる」ものとする。この配置の構想には、都市及び農村の人口の配分の適正或いは適正な産業立地、こういつたようなことが考えられるのは当然のことでございますが、これを規定しておるわけでございます。  それからこれらの国土総合開発計画審議いたします場合、或いは作成いたします場合、審議会といたしましては基準を決定することができるわけでございますが、その基準はどういうふうなものを基準と考えられるであろうかということを、次に挙げたわけでございます。「国土総合開発計画に科学的な総合性を附与すると共に資金の総合的効率の向上を目途として諸計画調整を期するため先ず下記の諸基準を調査審議し決定するものとする。」その一つは、「経済自立促進上緊急開発すべき物資別目標」、これは只今進行しております自立経済審議会の結果に基きまして、将来国の向うべきところの目標と申しますか、産業構造と申しますか、そういつたものが明らかになるわけでございますが、それらは当然国土開発計画の重要な基準にもならなければならないわけでございます。  それから4の2といたしまして、「資源の総合開発、高度利用上必要な技術的基準」、これはいろいろなことが考えられるわけでございますが、例えば資材の原單位とか或はプラントの建設費とか経営費とか、そういつたふうなものが考えられるのじやないかというふうに考えられます。  それから4の3といたしまして、「総合開発計画経済性評価の基準」、これはいろいろと計画には対象が挙つて来るわけでございますが、それらの対象を組合せまして、最も国民経済の利用度の大きいものにしなければならないんじやないかというふうなことが、この計画の主眼と考えられますので、経済効果の算定をどういうふうにしたらばいいか、経済効果の見方、こういつたものを基準に考えるべきだと思います。  それから4の4は4の3と関連いたしますが、共同目的施設における各事業別の費用の振り分けの基準でございます。これはコスト・アロケーシヨンと俗にいわれておるものでございますが、4の3と関連しまして、こういう基準も考えられるわけであります。  4の5といたしまして、「総合開発投資の財政的限度」、国の財政見合つてどの程度規模考えるかということ、  それから4の6は「総合開発に必要な資金の源泉別供給見込」、見返り資金とか或は国費とか地方費、或は預金部資金、そういつたふうないろんな源泉別の供給見込。  それから4の7としまして、「総合開発に必要な主要資材供給見込」、これは何といいますか、物資バランスの問題であります。  こういつたふうなものが総合開発計画上の基準と考えられなければならないということになつております。これらの構想によりまして、今後政府に対して以下の措置を要望するといたしまして、審議会から政府に要望いたしておりますのは、「政府は本審議会にて勧告したる総合開発計画基本方針に従い実施上必要な措置を講ずること。政府総合開発計画実施の効果を審議する具体的措置を講ずること。政府関係機関において作成した開発計画関係資料はこれを総合的に検討計画基本方針審議に資すると共にその積極的活用を図ること。」こういつたふうなことが国土総合計画基本方針考えられておるわけでございます。  非常に長くなりますので、あと部会の編成方針につきまして、どういう分科会ができたかということだけ申上げます。只今設置されましたのは、総合部会資金部会でございまして、総合会には分科会が五つございます。地域設定分科会、開発目標分科会、技術分科会、経済効果分科会、人口分科会、こういつたふうに、先ほどの基準の問題に関連いたしまして、こういう分科会が総合部会にできまして、現在その審議を鋭意進めておるわけでございます。それから資金部会には総合分科会と財政金融分科会でございまして、これも現在発足いたしまして審議を進めておるような状態であります。今のそれらの規定につきましては、このプリントに書いてございませんので御了解願いたいと思います。  以上甚だまずい説明でございますが、現在までの総合開発審議会のことについて申上げた次第であります。
  14. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) 有難うございました。今のお話の中で基本調査実施要綱についてだけは話がなかつたですね。
  15. 首藤宣通

    説明員(首藤宣通君) これは先ほどちよつと申上げたのでございますが、この第七回の審議会に書いてございます総合開発基本調査実施要項及び部門別調査要領及び様式を審議決定いたしましたそのあらましの内容かこれになつております。
  16. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) これで一応自立経済審議会のほうと国土開発計画の御説明を聞いたわけですが、懇談的に若し御質問がありましたならば御質問をお願いしたいと思いますが、もう速記を帰していいのじやいかと思いますが、よろしうございますか。……速記を停止して下さい。    午後零時二分速記中止    —————・—————    午後零時三十四分速記開始
  17. 佐々木良作

    委員長佐々木良作君) それでは速記を始めて下さい。本日はこの程度で散会いたします。    午後零時三十五分散会  出席者は左の通り。    委員長     佐々木良作君    理事            永井純一郎君            奥 むめお君    委員            泉山 三六君            野田 卯一君            羽生 三七君            藤野 繁雄君            兼岩 傳一君            菊田 七平君   説明員    経済安定本部総    裁官房経済計画    室長      佐々木義武君    総理府国土総合    開発事務所主幹    代理      首藤 宣通君